JP2017048028A - フォークリフトおよび油圧ホースの劣化検出方法 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1に記載の方法は、劣化の程度を視認により判定するものである。したがって、ホースを視認しない限りその劣化の程度を判断することができない。
以下、図面を参照しながら第1の実施形態について詳しく説明する。
図1は、第1の実施形態に係るフォークリフトの構成を示す概略図である。
本発明の第1の実施形態について図面を参照して説明する。図1に示すように、本実施形態に係るフォークリフト1は、リーチ型のフォークリフトである。フォークリフト1は、作業者が搭乗する運転台を有する車体2と、この車体2に設けられた荷役装置3とを備えている。
リーチキャリッジ31は、複数の車輪を備えている。リーチキャリッジ31は、これら車輪により、車体2に設けられたレールに沿って前後方向に移動可能とされている。なお、リーチキャリッジ31をレールに沿って進出させる制御を、リーチアウト制御という。他方、リーチキャリッジ31をレールに沿って後退させる制御を、リーチイン制御という。
マスト装置32は、アウターマスト301、インナーマスト302、リフトブラケット303、フォーク304、チェーン305、リフトシリンダ306、油圧ホース307を備える。
インナーマスト302は、これらアウターマスト301に支持・案内されることで上下方向に昇降可能とされる装置である。インナーマスト302は、アウターガイド311から上方向に延びるように左右1つずつ立設されたインナーガイド321と、インナーガイド321の上方において2つのインナーガイド321を連結し、リフトシリンダ306の動力をインナーガイド321に伝達するチェーンサポート322と、チェーン305を支持・案内するチェーンホイール323と、油圧ホース307を掛け回されるプーリー324とを備える。チェーンホイール323およびプーリー324の回転軸は、チェーンサポート322に設けられる。
ティルトシリンダは、リフトブラケット303上に設けられた油圧装置である。ティルトシリンダは、リフトブラケット303上に固定されたシリンダ部と、シリンダ部から油圧によって出没可能なロッド部とを有している。このロッド部の先端部は、接続体を介してフォーク304と接続されている。すなわち、ロッド部が前方に進出することで、フォーク304が軸回りに傾斜することが可能となっている。なお、ロッド部とフォーク304の接続の態様は上記に限定されない。ティルトシリンダは、プーリー324に支持された油圧ホース307を介して作動油の供給を受ける。
なお、ティルトシリンダの伸長によりフォーク304の先端部を上方向に傾ける制御をティルトアップ制御という。他方、ティルトシリンダの収縮によりフォーク304の先端部を下方向に傾ける制御をティルトダウン制御という。
なお、リフトシリンダ306の伸長によりフォーク304を上昇させる制御を、リフトアップ制御という。他方、リフトシリンダ306の収縮によりフォーク304を下降させる制御を、リフトダウン制御という。
リフトシリンダ306のシリンダ部361には、チェーン305の第2端が接続される。つまり、リフトブラケット303は、チェーン305を介してシリンダ部361と接続されている。すなわち、チェーン305は、リフトブラケット303を起点として上方に向かって延びた後、チェーンホイール323を介して下方に向きを転じて、シリンダ部361に接続される。チェーン305の長さは、リフトブラケット303およびインナーマスト302が最も下方に位置した状態において、リフトブラケット303とシリンダ部361とを互いに接続可能な長さに設定される。
油圧ホース307は、内面層371、補強層372、外面層373からなる3層構造をなす。内面層371は、油圧ホース307の最も内側の層である。内面層371は、作動油に直接触れるため、耐油性合成ゴムにより構成される。補強層372は、内面層371と外面層373の間に設けられる層である。補強層372は、引っ張りによる油圧ホース307の変形を防ぐため、高抗張力鋼線のメッシュにより構成される。外面層373は、油圧ホース307の最も外側の層である。外面層373は、プーリー324と直接触れ、また外気に曝されるため、耐摩・耐候性合成ゴムにより構成される。各層の厚みは、例えばそれぞれ2ミリメートルとすることができる。
外面層373の内部には、電線374および電線375がらせん状に配される。電線374および電線375は、外面層373が伸長方向に裂けることで断線するよう、引張強さが外面層373を形成する耐摩・耐候性合成ゴムより小さい。電線374および電線375は、例えば互いに10ミリメートルの間隔を空けてらせん状に配される。これにより、外面層373に10ミリメートルの亀裂が生じたときに、電線374または電線375の少なくとも一方が断線する。また、電線374および電線375は、油圧ホース307の第2端において電気的に接続される。これにより、電線374と電線375との間に電圧をかけることで、電線374および電線375に電流が流れる。電線374および電線375は、例えば外面層373の深さ1ミリメートルの位置に配されることができる。
リフトレバー202は、リフト制御(リフトアップ制御及びリフトダウン制御)のためのレバーである。具体的には、リフトレバー202を前方へ倒すことでリフトダウン制御がなされ、リフトレバー202を後方へ倒すことでリフトアップ制御がなされる。
リーチレバー203は、リーチ制御(リーチイン制御及びリーチアウト制御)のためのレバーである。具体的には、リーチレバー203を前方へ倒すことでリーチアウト制御がなされ、リーチレバー203を後方へ倒すことでリーチイン制御がなされる。
ティルトレバー204は、ティルト制御(ティルトアップ制御及びティルトダウン制御)のためのレバーである。具体的には、ティルトレバー204を前方へ倒すことでティルトダウン制御がなされ、ティルトレバー204を後方へ倒すことでティルトアップ制御がなされる。
ディスプレイ205は、バッテリーの残存容量、走行速度、走行距離、フォーク304の負荷などの情報を表示する。ディスプレイ205は、例えばVFD(Vacuum Fluorescent Display:蛍光管ディスプレイ)によって実現される。
制御装置206は、フォークリフト1の制御および管理を行う。
図3は、リフトシリンダを最も収縮させたときのマスト装置の断面図である。図4は、リフトシリンダを最も伸長させたときのマスト装置の断面図である。
図3に示すように、初期の状態では、リフトシリンダ306のロッド部362はシリンダ部361の内部に格納されている。これにより、インナーマスト302はアウターマスト301に重なるようにして、最も下方に位置した状態となる。さらに、このときリフトブラケット303およびフォーク304も下方端に位置した状態となる。
図5は、第1の実施形態に係る制御装置の動作を示すフローチャートである。
制御装置206は、所定の周期で劣化推定処理を実行する。制御装置206は、劣化推定処理を開始すると、電線374の第1端に電圧を印加する(ステップS1)。次に、制御装置206は、電線374の第1端と電線375の第1端との間の電流値を計測する(ステップS2)。次に、制御装置206は、計測された電流値が所定の閾値以下であるか否かを判定する(ステップS3)。当該閾値は、電線374および電線375に電流が流れていると判定するための閾値であって、0または制御装置206における電流検出の雑音に相当する値である。
電流値が閾値より大きい場合(ステップS3:NO)、制御装置206は、油圧ホース307に亀裂が生じていないと判定し、ディスプレイ205への警告表示および油圧動作の制限を行わずに処理を終了する。なお、油圧動作の速度が制限されている場合、制御装置206は、電流値が閾値より大きくなったときに、当該制限を解除してもよい。
また、本実施形態に係る制御装置206、プーリー324、およびディスプレイ205は、従来のフォークリフトに備えられているものと同様である。なお、従来のフォークリフトの制御装置206には、機能拡張のための電圧印加回路および電流検出回路が設けられている。したがって、従来のフォークリフトの油圧ホースを電線が配されたものに交換し、当該電線と制御装置206とを接続し、制御装置206に上記処理を実行するためのプログラムをインストールすることで、本実施形態に係るフォークリフト1を容易に実現することができる。
以下、図面を参照しながら第2の実施形態について詳しく説明する。第1の実施形態に係る油圧ホース307は、電線374と電線375の組み合わせを1対備えるが、第2の実施形態に係る油圧ホース307は、電線374と電線375の組み合わせを複数対備える。
なお、第2の実施形態に係るフォークリフト1の構造は、第1の実施形態と同様である。ただし、第2の実施形態に係る油圧ホース307は、外面層373の内部に電線374と電線375の組み合わせを4対備える。
図6は、第2の実施形態に係る制御装置の動作を示すフローチャートである。
制御装置206は、所定の周期で劣化推定処理を実行する。制御装置206は、劣化推定処理を開始すると、各電線374の第1端に電圧を印加する(ステップS11)。次に、制御装置206は、電線374と電線375の組み合わせ(以下、電線対という)それぞれについて、電流値を計測する(ステップS12)。次に、制御装置206は、計測された電流値のうち、所定の閾値以下であるものの数を算出する(ステップS13)。
他方、断線した電線対がない場合(ステップS14:NO)、制御装置206は、油圧ホース307に亀裂が生じていないと判定し、ディスプレイ205への警告表示および油圧動作の制限を行わずに処理を終了する。なお、油圧動作の速度が制限されている場合、制御装置206は、電流値が閾値より大きくなったときに、当該制限を解除してもよい。
以下、図面を参照しながら第3の実施形態について詳しく説明する。第2の実施形態に係る油圧ホース307は、外面層373の内部に電線374と電線375の組み合わせを複数備える。これに対し、第3の実施形態に係る油圧ホース307は、異なる層の内部にそれぞれ電線374と電線375の組み合わせを備える。
なお、第3の実施形態に係るフォークリフト1の構造は、第1の実施形態と同様である。
第3の実施形態に係る油圧ホース307は、内面層371に、さらに電線376および電線377がらせん状に配される。電線376および電線377は、油圧ホース307の第2端において電気的に接続される。
図8は、第3の実施形態に係る制御装置の動作を示すフローチャートである。
制御装置206は、所定の周期で劣化推定処理を実行する。制御装置206は、劣化推定処理を開始すると、電線374の第1端と電線376の第1端に電圧を印加する(ステップS21)。次に、制御装置206は、電線374と電線375の間の電流値と、電線376と電線377の間の電流値を計測する(ステップS22)。次に、制御装置206は、電線376と電線377の間の電流値が所定の閾値以下であるか否かを判定する(ステップS23)。
他方、電線376と電線377との間の電流値が閾値より大きい場合(ステップS23:NO)、制御装置206は、電線374と電線375の間の電流値が所定の閾値以下であるか否かを判定する(ステップS26)。電線374と電線375の間の電流値が閾値以下である場合(ステップS26:YES)、制御装置206は、油圧ホース307の外面層373に亀裂が生じていると判定し、ディスプレイ205に油圧ホース307の寿命を警告する画面を表示させる(ステップS27)。また制御装置206は、油圧動作の速度を半減させる(ステップS28)。これは、亀裂が油圧ホース307の外面層373だけに生じているため、油圧動作によって作動油が噴出する可能性が低いためである。
電線374と電線375の間の電流値が閾値より大きい場合(ステップS26:NO)、油圧ホース307に亀裂が生じていないと判定し、ディスプレイ205への警告表示および油圧動作の制限を行わずに処理を終了する。なお、油圧動作の速度が制限されている場合、制御装置206は、電流値が閾値より大きくなったときに、当該制限を解除してもよい。
例えば、上述した実施形態に係る油圧ホース307は、らせん状に配された電線374および電線375を備えるが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る油圧ホース307の電線は、油圧ホース307のうちプーリー324と当接し得る部分にのみ巻き回されていてもよい。また例えば、他の実施形態に係る油圧ホース307の電線は、油圧ホース307の第1端に両端が表れる1本の電線であってもよい。
なお、上述した実施形態に係る油圧ホース307は、容易に量産することが可能である。つまり、上述した実施形態にかかる油圧ホース307は、らせん状に配された電線374および電線375を備える長いホースを一定間隔で切り分け、切り分けられたそれぞれのホースの第2端で電線374および電線375を電気的に接続すること生成することができる。また、電線374および電線375は、らせん状に配されるなど、幅方向に亘って配されることで、油圧ホース307の伸長方向に生じる亀裂を検出することができる。
301 アウターマスト
302 インナーマスト
304 フォーク
305 チェーン
307 油圧ホース
374、375、376、377 電線
323 チェーンホイール
324 プーリー
206 制御装置
Claims (8)
- 内層に電線が配された油圧ホースと、
前記電線に流れる電流を検出する電流検出部と、
前記電流検出部が電流を検出したか否かに基づいて、前記油圧ホースの劣化を推定する劣化推定部と
を備えるフォークリフト。 - 前記電線が前記油圧ホースの幅方向に亘って配された請求項1に記載のフォークリフト。
- 前記電線が前記油圧ホースに対してらせん状に配された請求項2に記載のフォークリフト。
- 前記油圧ホースがプーリーに掛け回され、少なくとも当該プーリーに接し得る部分の内層に前記電線が配された請求項1から請求項3の何れか1項に記載のフォークリフト。
- 前記油圧ホースに複数の前記電線が配され、
前記劣化推定部が、前記電流検出部が電流を検出した前記電線の数に基づいて、前記油圧ホースの劣化の度合いを推定する
請求項1から請求項4の何れか1項に記載のフォークリフト。 - 前記油圧ホースが複数の層を備え、
前記油圧ホースの異なる層に、それぞれ前記電線が配され、
前記劣化推定部が、前記電流検出部が複数の前記電線のうちいずれの前記電線から電流を検出したかに基づいて、前記油圧ホースの劣化の度合いを推定する
請求項1から請求項4の何れか1項に記載のフォークリフト。 - 前記劣化推定部によって前記油圧ホースが劣化していると推定された場合に、前記油圧ホースを通る作動油を用いた油圧動作を制限する制限部を備える請求項1から請求項6の何れか1項に記載のフォークリフト。
- 油圧ホースの内層に配された電線に電圧をかけるステップと、
前記電線に電流が流れているか否かを判定するステップと、
前記電線に電流が流れていない場合に、前記油圧ホースに劣化が生じていると推定するステップと
を有する油圧ホースの劣化検出方法。
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