JP2017047709A - 運転支援装置および運転支援方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】減速の対象物の質量が大きく変化する車両において、車両走行における安全性と快適性とを両立させることができる運転支援装置を提供すること。【解決手段】運転支援装置30は、車両の運転を支援する装置であって、車両の車速、車両に対する先行車両の相対速度、および車両と先行車両との間の車間距離のうち少なくとも1つを含む走行パラメータを取得する情報取得部31と、車両1の駆動系統10を制御して車両1を加速させると共に、車両1の減速度の目標値の増大に応じて、摩擦ブレーキではない第1のブレーキ、および、摩擦ブレーキである第2のブレーキを、段階的に作動させて車両1を減速させる、自動走行制御を行う走行制御部32と、上記減速の対象物の質量に関する車両1の状態を判定し、車両1の状態に応じて、自動走行制御による第1のブレーキの作動を禁止する車両状態判定部33と、を有する。【選択図】図3

Description

本開示は、車両の運転を支援する運転支援装置および運転支援方法に関する。
近年、車両の運転を支援する技術の1つとして、アダプティブ・クルーズ・コントロール(Adaptive Cruise Control、以下「ACC」と表記する)が注目されている(例えば特許文献1参照)。ACCは、車両の車速、車両に対する先行車両の相対速度、および先行車両との間の車間距離等を取得し、車速や先行車両との車間距離が一定に保たれるように、車両の駆動系統および制動系統を制御する技術である。例えば、ACCは、車両の速度が高くなった場合や車間距離が狭くなった場合、ブレーキを作動させて車両を減速させる。
このような技術を、いわゆるトラクタヘッド等の、トレーラの連結が可能な車両に採用することにより、かかる車両の運転者の操作の負担を軽減し、走行の快適性を向上させることができる。
ところが、ACCによる走行では、運転者が自身のブレーキ操作の状況を把握しながら運転を行う通常の走行に比べて、摩擦ブレーキの使用頻度が高くなり、フェード現象が発生し易くなることがある。フェード現象とは、摩擦ブレーキの制動力が、摩擦熱によって低下する現象である。
そこで、上述の特許文献1に記載の技術(以下「従来技術」という)では、車両の減速度の目標値が比較的小さい場合には、摩擦ブレーキではなく、リターダ等の補助ブレーキを使用して減速を行うようにしている。これにより、摩擦ブレーキの作動頻度を低減させ、フェード現象の発生を抑制することができる。
特開平7−17295号公報 特開平8−268352号公報
しかしながら、重いトレーラが連結された状態で長い下り坂を走行し続けるような場合、補助ブレーキを作動させたとしても、摩擦ブレーキの作動頻度が高くなる可能性がある。そこで、補助ブレーキの制動力を高くすることが考えられる。しかしながら、補助ブレーキは、弱い制動力から高い制動力までを滑らかに発揮することができる摩擦ブレーキとは異なり、制動力をオン/オフで発揮するものである。したがって、補助ブレーキの制動力を高くすると、トレーラが連結されていないとき、補助ブレーキが作動する度に大きな減速度が発生し、走行の快適性が損なわれるおそれがある。したがって、トレーラの連結が可能な車両のように、減速の対象物の質量が大きく変化する車両においても、車両走行における安全性と快適性とを両立させることができる技術が望まれる。
本開示の目的は、減速の対象物の質量が大きく変化する車両において、車両走行における安全性と快適性とを両立させることができる運転支援装置および運転支援方法を提供することである。
本開示の運転支援装置は、車両の運転を支援する運転支援装置であって、前記車両の車速、前記車両に対する先行車両の相対速度、および前記車両と前記先行車両との間の車間距離のうち少なくとも1つを含む走行パラメータを取得する情報取得部と、前記車両の駆動系統を制御して前記車両を加速させると共に、前記車両の減速度の目標値の増大に応じて、摩擦ブレーキではない第1のブレーキ、および、摩擦ブレーキである第2のブレーキを、段階的に作動させて前記車両を減速させる、自動走行制御を行う走行制御部と、前記減速の対象物の質量に関する前記車両の状態を判定し、前記車両の状態に応じて、前記自動走行制御による前記第1のブレーキの作動を禁止する車両状態判定部と、を有する。
本開示の運転支援方法は、車両の運転を支援する運転支援方法であって、前記車両の車速、前記車両に対する先行車両の相対速度、および前記車両と前記先行車両との間の車間距離のうち少なくとも1つを含む走行パラメータの取得を開始するステップと、前記車両の駆動系統を制御して前記車両を加速させると共に、前記車両の減速度の目標値の増大に応じて、摩擦ブレーキではない第1のブレーキ、および、摩擦ブレーキである第2のブレーキを、段階的に作動させて前記車両を減速させる、自動走行制御を開始するステップと、前記減速の対象物の質量に関する前記車両の状態を判定し、前記車両の状態に応じて、前記自動走行制御による前記第1のブレーキの作動を禁止するステップと、を有する。
本開示によれば、減速の対象物の質量が大きく変化する車両において、車両走行における安全性と快適性とを両立させることができる。
本開示の一実施の形態における車両の使用状態の一例を示す外観図 本実施の形態における車両の構成の一例を示すブロック図 本実施の形態に係る運転支援装置の構成の一例を示す図 本実施の形態における走行制御処理の一例を示すフローチャート 本実施の形態における状態判定処理の一例を示すフローチャート
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
<車両の構成>
まず、本開示の一実施の形態に係る運転支援装置を含む車両の構成について説明する。
図1は、本実施の形態に係る運転支援装置を含む車両の使用状態の一例を示す外観図である。また、図2は、上記車両の構成の一例を示すブロック図である。なお、ここでは、運転支援装置に関連する部分に着目して、図示および説明を行う。
図1に示すように、車両1は、トレーラ2を連結して牽引することが可能なトラクタヘッド(牽引車)である。
車両1は、例えば、直列6気筒のディーゼルエンジンを搭載している。車両1は、エンジンおよび駆動輪等の動力系統や運転席を含む車両本体部3と、トレーラ2に対してブレーキ作動用のエアを供給するためのホース4およびコック5と、トレーラ2との連結部に配置されたカプラロックスイッチ6とを有する。カプラロックスイッチ6は、車両1に対してトレーラ2が連結されているか否かを検知する装置であり、例えば、特許文献2に記載の構成を有する。トレーラ2は、荷物を積載する積載部7と、かかる積載部7を支えるトレーラ車輪8とを有する。
図2に示すように、車両1は、車両1を走行させる駆動系統10、車両1を減速させる制動系統20、および運転者による車両1の運転を支援する運転支援装置30等を有する。
駆動系統10は、エンジン11、クラッチ12、変速機(トランスミッション)13、推進軸(プロペラシャフト)14、差動装置(デファレンシャルギヤ)15、駆動軸(ドライブシャフト)16、車輪17、エンジン用ECU18、および動力伝達用ECU19を有する。
エンジン用ECU18および動力伝達用ECU19は、CAN(Controller Area Network)等の車載ネットワークによって運転支援装置30に接続され、必要なデータや制御信号を相互に送受信可能となっている。エンジン用ECU18は、運転支援装置30からの駆動指令に従って、エンジン11の出力を制御する。動力伝達用ECU19は、運転支援装置30からの駆動指令に従って、クラッチ12の断接および変速機13の変速を制御する。
エンジン11の動力は、クラッチ12を経由して変速機13に伝達される。変速機13に伝達された動力は、さらに、推進軸14、差動装置15、および駆動軸16を介して車輪17に伝達される。これにより、エンジン11の動力が車輪17に伝達されて車両1が走行する。
制動系統20は、常用ブレーキ21、補助ブレーキ22、23、駐車ブレーキ(図示略)、およびブレーキ用ECU24を有する。
常用ブレーキ21は、一般に、主ブレーキ、摩擦ブレーキ、フットブレーキ、あるいはファウンデーションブレーキ等と呼ばれるブレーキである。常用ブレーキ21は、例えば、車輪17と一緒に回転するドラムの内側にブレーキライニングを押し付けることにより制動力を得るドラムブレーキである。
補助ブレーキ22は、推進軸14の回転に直接負荷を与えることで制動力を得るリターダであり(以下「リターダ22」と称する)、例えば、電磁式リターダである。補助ブレーキ23は、エンジンの回転抵抗を利用してエンジンブレーキの効果を高める排気ブレーキである(以下「排気ブレーキ23」と称する)。リターダ22および排気ブレーキ23を設けることにより、制動力を増大できるとともに、常用ブレーキ21の使用頻度が低減されるので、ブレーキライニング等の消耗を抑制することができる。
ブレーキ用ECU24は、CAN等の車載ネットワークによって運転支援装置30に接続され、必要なデータや制御信号を相互に送受信可能となっている。ブレーキ用ECU24は、運転支援装置30からの制動指令に従って、常用ブレーキ21の制動力(車輪17のホイールシリンダーのブレーキ液圧)を制御する。
常用ブレーキ21の制動動作は、運転支援装置30およびブレーキ用ECU24によって制御される。リターダ22および排気ブレーキ23の制動動作は、運転支援装置30によってオン/オフで制御される。リターダ22および排気ブレーキ23の制動力はほぼ固定であるため、所望の制動力を正確に発生させる場合には、制動力を細かく調整できる常用ブレーキ21が適している。
なお、図示しないが、制動系統には、トレーラ2のトレーラ車輪8に備えられた常用ブレーキも含まれる。すなわち、ブレーキ用ECU24は、上述のホース4を介してエアを供給することにより、トレーラ2のトレーラ車輪8に対しても摩擦力による制動力を付与する。
運転支援装置30は、車間距離検出部41、ACC用操作部42、アクセル操作検出部43、ブレーキ操作検出部44、車速センサ45、および連結検出部46から各種情報を取得し、取得した情報に基づいて、駆動系統10および制動系統20の動作を制御する。
また、運転支援装置30は、走行に関する各種情報を情報出力部50から出力する。
また、運転支援装置30は、ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)を実現する。すなわち、運転支援装置30は、車両1における定速走行制御および追従走行制御(以下「自動走行制御」と総称する)を行う。
定速走行制御とは、所定の範囲に先行車両が存在しない場合に、車両1の走行速度(以下「車速」という)が所定の目標値(値、あるいは、値の範囲)に近付くように、駆動系統10および制動系統20を動作させる制御である。
また、追従走行制御とは、所定の範囲に先行車両が存在する場合に、車間距離が所定の目標範囲に収まるように、かつ、相対速度がゼロに近付くように、駆動系統10および制動系統20を動作させる制御である。運転支援装置30の詳細については、後述する。
車間距離検出部41は、車両1と先行車両との間の車間距離(以下、単に「車間距離」という)を計測(検出)し、計測結果を運転支援装置30へ出力する。車間距離検出部41には、例えばレーザレーダ、ミリ波レーダ、撮像装置等を単独または組み合わせて適用することができる。上述の運転支援装置30は、車間距離検出部41の検出結果に基づいて、定速走行中および追従走行中の駆動系統10および制動系統20の動作を制御する。
ACC用操作部42は、ACCを実行可能とするためのメインスイッチ、および、ACCの設定/解除を行うためのACC設定スイッチを有する。また、ACC用操作部42は、車速の目標値を設定するための速度設定ボタン、および、車間距離を設定するための車間距離設定ボタンを含む。なお、これらのスイッチおよびボタンは、タッチパネル付きディスプレイに表示されたユーザインタフェースであってもよい。ACC用操作部42は、ACC用操作部42において行われた操作の内容を示す操作信号を、運転支援装置30へ出力する。上述の運転支援装置30は、ACC用操作部42からの操作信号(ACC用操作部42を通じて行われる運転者の操作)に基づいて、自動走行制御に関する情報を設定する。
アクセル操作検出部43は、車両を加速させるためのアクセルペダルが踏み込まれたか否か、および、アクセルペダルの踏み込み量を検出し、検出結果を、運転支援装置30へ出力する。運転支援装置30は、アクセルペダルの踏み込み量に基づいて、エンジン用ECU18および動力伝達用ECU19に駆動指令を送出する。
ブレーキ操作検出部44は、常用ブレーキ21を動作させるためのブレーキペダルが踏み込まれたか否か、および、ブレーキペダルの踏み込み量を検出する。また、ブレーキ操作検出部44は、リターダ22または排気ブレーキ23を動作させる補助ブレーキレバーが操作されたか否かを検出する。そして、ブレーキ操作検出部44は、ブレーキペダルおよび補助ブレーキレバーに関する検出結果を、運転支援装置30へ出力する。上述の運転支援装置30は、ブレーキペダルの踏み込み量に基づいて、ブレーキ用ECU24に制動指令を送出する。また、運転支援装置30は、補助ブレーキレバーの操作に基づいて、リターダ22または排気ブレーキ23のオン/オフ動作を制御する。
車速センサ45は、例えば推進軸14に取り付けられ、車速を検出し、検出結果を、運転支援装置30へ出力する。
連結検出部46は、トレーラ2が車両1に連結されているか否かを検出し、検出結果を示すトレーラ連結情報を、運転支援装置30へ出力する。本実施の形態において、連結検出部46は、カプラロックスイッチ6(図1参照)を含む。
情報出力部50は、例えば、スピーカ、および、いわゆるインストルメント・パネルやあるいはナビゲーションシステムのディスプレイ(図示略)等の表示部(ディスプレイ)を含む。運転支援装置30は、情報出力部50を用いて、例えばスピードメータ、タコメータ、燃料計、水温計、距離計等の各種計器類、および自動走行制御に関する情報の表示や、警報音の出力等を行う。
なお、エンジン用ECU18、動力伝達用ECU19、ブレーキ用ECU24、および運転支援装置30は、図示しないが、例えば、CPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを格納したROM(Read Only Memory)等の記憶媒体、RAM(Random Access Memory)等の作業用メモリ、および通信回路をそれぞれ有する。この場合、例えば、運転支援装置30を構成する後述の各部の機能は、CPUが制御プログラムを実行することにより実現される。なお、エンジン用ECU18、動力伝達用ECU19、ブレーキ用ECU24、および運転支援装置30の全部または一部は、一体的に構成されていてもよい。
このような構成を有する車両1は、運転支援装置30により、運転者の操作に基づく通常の走行だけでなく、車速や車間距離等に基づく自動走行制御による走行を行うことができる。
<運転支援装置の構成>
次に、運転支援装置30の構成について説明する。
図3は、運転支援装置30の構成の一例を示す図である。
図3に示すように、運転支援装置30は、情報取得部31、走行制御部32、および車両状態判定部33、および警報出力部34を有する。
情報取得部31は、例えばACC用操作部42からの入力情報に基づいて、車速、相対速度、あるいは車間距離の目標値を取得し、取得した目標値を、走行制御部32へ出力する。
また、情報取得部31は、車速センサ45および車間距離検出部41からの入力情報に基づいて、車速と、車両1に対する先行車両の相対速度(以下、単に「相対速度」という)と、車間距離とを取得する。例えば、情報取得部31は、入力情報を記録し、車間距離の時間変化から、相対速度を算出する。そして、情報取得部31は、取得した車速、相対速度、および車間距離を、走行制御部32へ出力する。
なお、情報取得部31は、例えば、車速の目標値および車間距離の目標値を、現在の車速および車間距離と、ユーザにより予め設定された車間レンジ(車間距離のレベル)とに基づいて、適宜設定してもよい。例えば、情報取得部31は、エンジン11の始動時に、ACC用操作部42の車間距離設定ボタンを介して、予め設定された複数の車間レンジの中から1つを選択する操作を運転者から受け付ける。そして、情報取得部31は、より長い車間レンジが選択されるほど、あるいは、現在の車速が大きいほど、より大きい値で車間距離の目標値を設定する。情報取得部31は、設定された車間レンジを示す情報を、情報出力部50に表示させてもよい。
走行制御部32は、車速、相対速度、および車間距離のうち少なくとも1つが、それぞれの目標値に近付くように、車両1の駆動系統10および制動系統20を制御する。すなわち、走行制御部32は、上述の自動走行制御を行う。
例えば、走行制御部32は、車速とその目標値との差分、および、相対速度とその目標値との差分に対して比例制御(P制御)を行い、車間距離とその目標値(車間レンジ)との差分に対して積分制御(I制御)を行う。これにより、走行制御部32は、これらの差分のそれぞれを0に近付ける加減速度を、加減速度の目標値(以下「目標加減速度」という)として算出し、算出された目標加減速度に対応する値を、駆動系統10および制動系統20に対する制御値として出力する。
なお、走行制御部32は、車両1の減速度の目標値の増大(目標値の絶対値の増大)に応じて、補助ブレーキであるリターダ22および排気ブレーキ23(第1のブレーキ)、および、摩擦ブレーキである常用ブレーキ21(第2のブレーキ、以下「主ブレーキ」という)を、段階的に作動させて車両1を減速させる。
但し、補助ブレーキは、制動力をオン/オフで発揮するものである。したがって、補助ブレーキは、車両1にトレーラ2が連結されていない場合や、低ギア段(変速比の高いギア段)で走行を行っている場合、急激な減速が発生し、走行の快適性を損なうおそれがある。
そこで、走行制御部32は、後述の車両状態判定部33によって設定されるトレーラ連結フラグがオンとなっており、かつ、高ギア段(変速比の低いギア段)にあることを条件として、補助ブレーキを作動させる。
トレーラ連結フラグとは、トレーラ2が車両1に連結されていないと判定されたか否かを示すフラグである。使用するギア段は、走行制御部32自身によって制御される。すなわち、走行制御部32は、自動走行制御による補助ブレーキの作動が好ましくないと判定された場合には、補助ブレーキを作動させないようになっている。トレーラ連結フラグは、走行制御部32が保持してもよいし、車両状態判定部33が保持してもよい。
また、走行制御部32は、所定のタイミングで自動走行制御を解除し、その旨を警報出力部34へ通知する。例えば、走行制御部32は、車速が35km/h等の所定の閾値まで低下したとき、自動走行制御を解除し、運転者の操作による通常の走行に切り替える。なお、走行制御部32は、車速が15km/h等に低下するまでの間、ACCのうち主ブレーキの制御のみを維持してもよい。
なお、走行制御部32は、ACCが働いていないとき、アクセル、ブレーキ、シフトレバー、およびハンドル等の操作インタフェース(いずれも図示せず)の操作に基づいて、駆動系統10および制動系統20を含む車両1の各部を制御する。かかる制御は、従来の車両における通常走行における制御と同一であるため、ここでの説明を省略する。
車両状態判定部33は、車両1の減速の対象物の質量に関する(関連する)車両1の状態を判定し、車両1の状態に応じて、自動走行制御による補助ブレーキの作動を禁止する。より具体的には、車両状態判定部33は、連結検出部46(図2参照)から出力されるトレーラ連結情報に基づいて、トレーラ2が車両1に連結されているか否かを判定し、車両1にトレーラ2が連結されていないとき、自動走行制御による補助ブレーキの作動を禁止する。車両状態判定部33は、かかる補助ブレーキの作動の禁止を、トレーラ2が車両1に連結されていると判定されたとき、上述のトレーラ連結フラグをオンにし、トレーラ2が車両1に連結されていないと判定されたとき、上述のトレーラ連結フラグをオフにすることにより行う。
警報出力部34は、走行制御部32において自動走行制御が解除されるとき、情報出力部50を用いて、警報出力を開始させる。警報出力は、例えば、情報出力部50のスピーカからの警報音の出力である。
このような運転支援装置30は、補助ブレーキの作動を、トレーラ2が車両1に連結され、かつ、高ギア段で走行を行っている場合に限定することができる。すなわち、運転支援装置30は、補助ブレーキの作動を、必要最小限に抑えることができる。
<運転支援装置の動作>
次に、運転支援装置30の動作について説明する。ここでは、運転支援装置30の動作を、走行制御部32を主体とする処理(以下「走行制御処理」という)と、車両状態判定部33を主体とする処理(以下「状態判定処理」という)とに分けて説明する。
運転支援装置30は、例えば、ACC用操作部42においてACC開始操作が行われると、以下に説明する走行制御処理および状態判定処理を開始する。情報取得部31は、車速が所定値(例えば35km/h)に満たない場合や、車速が他の所定値(例えば110km/h)を超えている場合、ACC開始操作を無効としてもよい。また、運転支援装置30は、例えば、車速が35km/h等の所定値に低下したとき、あるいは、ACC用操作部42におけるACC解除操作が行われたとき、以下に説明する走行制御処理および状態判定処理を終了する。
図4は、走行制御処理の一例を示すフローチャートである。
ステップS1100において、情報取得部31は、車速v、相対速度vr、車間距離dを取得し、運転支援装置30のメモリ等に記録する。
ステップS1200において、走行制御部32は、車速v、相対速度vr、車間距離dに基づいて、目標加減速度Aを決定する。目標加減速度Aは、速度の単位時間当たりの変化量であり、加速の場合に正の値を取り、減速の場合に負の値を取る。
ステップS1300において、走行制御部32は、目標加減速度Aが所定の閾値α(但し、α>0)よりも大きいか否かを判定する。走行制御部32は、目標加減速度Aが閾値αよりも大きい場合(S1300:YES)、処理をステップS1400へ進める。また、走行制御部32は、目標加減速度Aが閾値α以下である場合(S1300:NO)、処理を後述のステップS1500へ進める。
ステップS1400において、走行制御部32は、車両1の加減速度が目標加減速度Aに近付くように、エンジン11の燃料噴射量を増加させ、車両1を加速させる。
ステップS1500において、走行制御部32は、目標加減速度Aが所定の閾値β(但し、β<0)よりも小さいか否かを判定する。走行制御部32は、目標加減速度Aが閾値βよりも小さい場合(S1500:YES)、処理をステップS1600へ進める。また、走行制御部32は、目標加減速度Aが閾値β以上である場合(S1500:NO)、処理を後述のステップS1700へ進める。なお、目標加減速度Aが閾値β以上である場合、走行制御部32は、処理をステップS1100へ戻してもよい。
ステップS1600において、走行制御部32は、車両1の加減速度が目標加減速度Aに近付くように、エンジン11の燃料噴射量を減少させ、車両1を減速させる。
ステップS1700において、走行制御部32は、トレーラ連結フラグがオンとなっているか否かを判定する。トレーラ連結フラグは、上述の通り、車両状態判定部33により設定されるフラグであり、車両1にトレーラ2が連結されているか否かを示すフラグである。走行制御部32は、トレーラ連結フラグがオンとなっている場合(S1700:YES)、処理をステップS1800へ進める。走行制御部32は、トレーラ連結フラグがオフとなっている場合(S1700:NO)、処理を後述のステップS2100へ進める。
ステップS1800において、走行制御部32は、ギア段が高ギア段(例えば、9速以上のギア段)であるか否かを判定する。走行制御部32は、ギア段が高ギア段である場合(S1800:YES)、処理をステップS1900へ進める。走行制御部32は、ギア段が低ギア段(例えば、8速以下のギア段)である場合(S1800:NO)、処理を後述のステップS2100へ進める。
ステップS1900において、走行制御部32は、目標加減速度Aが所定の閾値γ(但し、γ<β)よりも小さいか否かを判定する。走行制御部32は、目標加減速度Aが閾値γよりも小さい場合(S1900:YES)、処理をステップS2000へ進める。また、走行制御部32は、目標加減速度Aが閾値γ以上である場合(S1900:NO)、処理を後述のステップS2100へ進める。なお、目標加減速度Aが閾値γ以上である場合、走行制御部32は、処理をステップS1100へ戻してもよい。
ステップS2000において、走行制御部32は、車両1の加減速度が目標加減速度Aに近付くように、補助ブレーキを作動させ、車両1を減速させる。
ステップS2100において、走行制御部32は、目標加減速度Aが所定の閾値δ(但し、δ<γ)よりも小さいか否かを判定する。走行制御部32は、目標加減速度Aが閾値δよりも小さい場合(S2100:YES)、処理をステップS2200へ進める。また、走行制御部32は、目標加減速度Aが閾値δ以上である場合(S2100:NO)、処理をステップS1100へ戻す。
ステップS2200において、走行制御部32は、車両1の加減速度が目標加減速度Aに近付くように、主ブレーキを作動させ、車両1を減速させる。
図5は、状態判定処理の一例を示すフローチャートである。
ステップS3100において、車両状態判定部33は、連結検出部46から、トレーラ連結情報を取得する。
ステップS3200において、車両状態判定部33は、取得されたトレーラ連結情報に基づき、車両1にトレーラ2が連結されているか否かを判定する。車両状態判定部33は、車両1にトレーラ2が連結されている場合(S3200:YES)、処理をステップS3300へ進める。また、車両状態判定部33は、車両1にトレーラ2が連結されていない場合(S3200:NO)、処理をステップS3400へ進める。
ステップS3300において、車両状態判定部33は、トレーラ連結フラグをオンにする。
ステップS3400において、車両状態判定部33は、トレーラ連結フラグをオフにする。
なお、車両状態判定部33は、ACCやエンジン駆動が継続している間に、定期的に状態判定処理を繰り返してもよい。
このような動作により、運転支援装置30は、自動走行制御における補助ブレーキの作動を、トレーラ2が車両1に連結され、かつ、高ギア段で走行を行っている場合に限定することができる。
<本実施の形態の効果>
以上のように、本実施の形態に係る運転支援装置30は、車両1の車速、相対速度、および車間距離のうち少なくとも1つを含む走行パラメータを取得する情報取得部31を有する。また、運転支援装置30は、車両1の駆動系統10を制御して車両1を加速させると共に、車両1の減速度の目標値の増大に応じて、摩擦ブレーキではない補助ブレーキ、および、摩擦ブレーキである主ブレーキを、段階的に作動させて車両1を減速させる、自動走行制御を行う走行制御部32を有する。そして、運転支援装置30は、上記減速の対象物の質量に関する車両1の状態を判定し、車両1の状態に応じて、自動走行制御による補助ブレーキの作動を禁止する車両状態判定部33を有する。より具体的には、車両状態判定部33は、車両1にトレーラ2が連結されているか否かヲ判定し、車両1にトレーラ2が連結されていないとき、自動走行制御による補助ブレーキの作動を禁止する。
これにより、本実施の形態に係る運転支援装置30は、自動走行制御における補助ブレーキの作動を、トレーラ2が車両1に連結されている場合に限定することができる。したがって、本実施の形態に係る運転支援装置30は、トレーラ2の連結が可能な車両等の、減速の対象物の質量が大きく変化する車両において、車両走行における安全性と快適性とを両立させることができる。
また、本実施の形態に係る運転支援装置30は、車両状態判定部33において、車両1の、トレーラ2が連結される位置に設けられたカプラロックスイッチからの出力信号に基づいて、上記判定を行う。
これにより、トレーラ2が連結されているか否を精度良く判定することができるだけでなく、車両1に既にカプラロックスイッチが搭載されている場合には、これを活用することができる。
補助ブレーキによる減速度の大きさは、車両1に連結されるトレーラ2の重量により大きく異なる。したがって、自動走行制御における補助ブレーキの作動を行うべきか否かの判定を、トレーラ2の重量に基づいて行うことが考えられるが、トレーラ2の重量を精度良く検出することは難しい。この点、トレーラ2が連結されているか否かの検出は、カプラロックスイッチ等より簡単に行うことができる。すなわち、本実施の形態に係る運転支援装置30は、上述の車両走行における安全性と快適性との両立を、簡単に実現することができる。
また、本実施の形態に係る運転支援装置30は、走行制御部32において、自動走行制御において車両1が使用するギア段を制御し、使用しているギア段に応じて、自動走行制御による補助ブレーキを作動させるか否かを切り替える。
これにより、本実施の形態に係る運転支援装置30は、走行の安全性を維持しつつ、走行の快適性を更に向上させることができる。
<本実施の形態の変形例>
なお、車両1にトレーラ2が連結されているか否かの判定手法は、上述の例に限定されるものではない。車両状態判定部33は、例えば、車両1の後方に向けて設置されたレーダあるいはカメラの検出結果や、トレーラ2が連結されていることを示す所定のユーザ操作に基づいて、車両1にトレーラ2が連結されているか否かを判定してもよい。
また、車両状態判定部33は、走行制御部32から使用ギア段に関する情報を取得し、低ギア段が使用されているか否かの判定を行い、トレーラ2が連結され、かつ、高ギア段にあることを条件として、自動走行制御による補助ブレーキの作動を許可するようにしてもよい。
また、運転支援装置30は、自動走行制御による補助ブレーキの作動の可否を、使用ギア段によらずに、トレーラ2の連結/非連結のみによって決定してもよい。
また、車両1、および、車両1に連結されるトレーラ2の形状および大きさは、上述の例に限定されるものではない。
また、減速の対象物の質量に関する(関連する)車両の状態は、上述の例ではトレーラ2の連結状態としたが、これに限定されない。例えば、車両状態判定部33は、車両1による減速の対象物の質量を、各車輪のサスペンションの変位等から推定し、推定された質量が所定値以下であることを条件として、自動走行制御による補助ブレーキの作動を禁止してもよい。
すなわち、減速の対象物の質量に関する車両の状態に基づいて自動走行制御による補助ブレーキの作動を禁止する技術の適用は、トレーラ2を連結可能な車両1に限定されない。
したがって、かかる技術は、平ボディ車、バンボディ車、ウィングボディ車、幌ウィング車、保冷車、冷凍冷蔵車、ダンプ車、タンクローリ車、バルク車、水素運搬車、ミキサ車、塵芥車、馬運車、ダブルキャブ車、コンテナ車、散水車、ダンプローダ車、ウォークスルー車、現金輸送車、霊柩車、リンボーバン車、超重量車、車両運搬車、タンクトレーラ車、バルクトレーラ車、コンテナトレーラ車、スタンショントレーラ車、重トレーラ車、構内用フルトレーラ車、重機運搬セミトレーラ車、ポールトレーラ車、荷台伸縮式トレーラ車等、積載量の変化等により車両全体の質量が大きく変化する各種車両に適用することができる。
また、走行制御部32が行う自動走行制御の内容は、上述の例に限定されるものではなく、例えば、車間距離のみについて所定の目標値に近付くように、所定の加減速度の範囲内で車両1の加減速を制御するものであってもよい。
また、走行制御部32が自動走行制御の解除のトリガとするタイミングは、上述の例に限定されるものではなく、相対速度、車間距離、あるいは自動走行制御が開始されてからの経過時間が所定の条件を満たすことになったタイミングであってもよい。
なお、以上説明した運転支援装置30の構成の一部は、運転支援装置30の構成の他の部分と物理的に離隔していてもよい。この場合、それらの構成は、互いに通信を行うための通信部をそれぞれ備える必要がある。
<本開示のまとめ>
本開示の運転支援装置は、車両の運転を支援する運転支援装置であって、前記車両の車速、前記車両に対する先行車両の相対速度、および前記車両と前記先行車両との間の車間距離のうち少なくとも1つを含む走行パラメータを取得する情報取得部と、前記車両の駆動系統を制御して前記車両を加速させると共に、前記車両の減速度の目標値の増大に応じて、摩擦ブレーキではない第1のブレーキ、および、摩擦ブレーキである第2のブレーキを、段階的に作動させて前記車両を減速させる、自動走行制御を行う走行制御部と、前記減速の対象物の質量に関する前記車両の状態を判定し、前記車両の状態に応じて、前記自動走行制御による前記第1のブレーキの作動を禁止する車両状態判定部と、を有する。
なお、上記運転支援装置において、前記車両は、トレーラの連結が可能な車両であり、前記車両状態判定部は、前記車両に前記トレーラが連結されているか否かを判定し、前記車両に前記トレーラが連結されていないとき、前記自動走行制御による前記第1のブレーキの作動を禁止してもよい。
また、上記運転支援装置において、前記車両状態判定部は、前記車両の、前記トレーラが連結される位置に設けられたカプラロックスイッチからの出力信号に基づいて、前記車両に前記トレーラが連結されているか否かを判定してもよい。
また、上記運転支援装置において、前記走行制御部は、前記自動走行制御において前記車両が使用するギア段を制御し、使用している前記ギア段に応じて、前記自動走行制御による前記第1のブレーキを作動させるか否かを切り替えてもよい。
また、上記運転支援装置において、前記第1のブレーキは、排気ブレーキ、圧縮ブレーキ、およびリターダのうち少なくとも1つであり、前記第2のブレーキは、ドラムブレーキおよびディスクブレーキのうち少なくとも1つであってもよい。
てもよい。
本開示の運転支援方法は、車両の運転を支援する運転支援方法であって、前記車両の車速、前記車両に対する先行車両の相対速度、および前記車両と前記先行車両との間の車間距離のうち少なくとも1つを含む走行パラメータの取得を開始するステップと、前記車両の駆動系統を制御して前記車両を加速させると共に、前記車両の減速度の目標値の増大に応じて、摩擦ブレーキではない第1のブレーキ、および、摩擦ブレーキである第2のブレーキを、段階的に作動させて前記車両を減速させる、自動走行制御を開始するステップと、前記減速の対象物の質量に関する前記車両の状態を判定し、前記車両の状態に応じて、前記自動走行制御による前記第1のブレーキの作動を禁止するステップと、を有する。
本開示の運転支援装置および運転支援方法は、減速の対象物の質量が大きく変化する車両において、車両走行における安全性と快適性とを両立させることができる運転支援装置および運転支援方法として有用である。
1 車両
2 トレーラ
3 車両本体部
4 ホース
5 コック
6 カプラロックスイッチ
7 積載部
8 トレーラ車輪
10 駆動系統
11 エンジン
12 クラッチ
13 変速機
14 推進軸
15 差動装置
16 駆動軸
17 車輪
18 エンジン用ECU
19 動力伝達用ECU
20 制動系統
21 常用ブレーキ
22 リターダ
23 排気ブレーキ
24 ブレーキ用ECU24
30 運転支援装置
31 情報取得部
32 走行制御部
33 車両状態判定部
34 警報出力部
41 車間距離検出部
42 ACC用操作部
43 アクセル操作検出部
44 ブレーキ操作検出部
45 車速センサ
46 連結検出部
50 情報出力部

Claims (6)

  1. 車両の運転を支援する運転支援装置であって、
    前記車両の車速、前記車両に対する先行車両の相対速度、および前記車両と前記先行車両との間の車間距離のうち少なくとも1つを含む走行パラメータを取得する情報取得部と、
    前記車両の駆動系統を制御して前記車両を加速させると共に、前記車両の減速度の目標値の増大に応じて、摩擦ブレーキではない第1のブレーキ、および、摩擦ブレーキである第2のブレーキを、段階的に作動させて前記車両を減速させる、自動走行制御を行う走行制御部と、
    前記減速の対象物の質量に関する前記車両の状態を判定し、前記車両の状態に応じて、前記自動走行制御による前記第1のブレーキの作動を禁止する車両状態判定部と、を有する、
    運転支援装置。
  2. 前記車両は、トレーラの連結が可能な車両であり、
    前記車両状態判定部は、
    前記車両に前記トレーラが連結されているか否かを判定し、前記車両に前記トレーラが連結されていないとき、前記自動走行制御による前記第1のブレーキの作動を禁止する、
    請求項1に記載の運転支援装置。
  3. 前記車両状態判定部は、
    前記車両の、前記トレーラが連結される位置に設けられたカプラロックスイッチからの出力信号に基づいて、前記車両に前記トレーラが連結されているか否かを判定する、
    請求項2に記載の運転支援装置。
  4. 前記走行制御部は、
    前記自動走行制御において前記車両が使用するギア段を制御し、使用している前記ギア段に応じて、前記自動走行制御による前記第1のブレーキを作動させるか否かを切り替える、
    請求項1に記載の運転支援装置。
  5. 前記第1のブレーキは、排気ブレーキ、圧縮ブレーキ、およびリターダのうち少なくとも1つであり、前記第2のブレーキは、ドラムブレーキおよびディスクブレーキのうち少なくとも1つである、
    請求項1に記載の運転支援装置。
  6. 車両の運転を支援する運転支援方法であって、
    前記車両の車速、前記車両に対する先行車両の相対速度、および前記車両と前記先行車両との間の車間距離のうち少なくとも1つを含む走行パラメータの取得を開始するステップと、
    前記車両の駆動系統を制御して前記車両を加速させると共に、前記車両の減速度の目標値の増大に応じて、摩擦ブレーキではない第1のブレーキ、および、摩擦ブレーキである第2のブレーキを、段階的に作動させて前記車両を減速させる、自動走行制御を開始するステップと、
    前記減速の対象物の質量に関する前記車両の状態を判定し、前記車両の状態に応じて、前記自動走行制御による前記第1のブレーキの作動を禁止するステップと、を有する、
    運転支援方法。
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