以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
<第1の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態を図1および図14を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本実施の形態に係る無線通信システムを概略的に示す図である。
図1では、無線通信システムを構成する複数の無線機のうちの一組(回転偏波無線機301,401)を抜き出して例示している。図1において、一方の回転偏波無線機301は、情報信号発生器1、循環符号発生回路2、余弦回転周波数発生回路4、正弦回転周波数発生回路14、搬送波周波数発生回路11、電力増幅器9,19、送信アンテナ10,20、及び乗算器3,5,8,13,15,18から構成される送信系(送信部)と、受信アンテナ80,90、低雑音増幅器81,91、局部発振回路89、乗算器82,92、帯域通過フィルタ83,93、バッファアンプ84,94、及び遅延器85,95から構成される受信系(受信部)と、ディジタル信号処理回路99を含む信号処理系とから概略構成されている。
情報信号発生器1は、他方の回転偏波無線機401に送信するための情報信号(特定の情報信号)を生成するものであり、生成した情報信号を二分岐して出力する。循環符号発生回路2は、ディジタル信号処理回路99からの制御信号に基づいて循環符号を生成するものであり、生成した循環符号を情報信号発生器1から二分岐して出力された情報信号の一方に乗算器3を介して、他方に乗算器13を介してそれぞれ重畳する。余弦回転周波数発生回路4及び正弦回転周波数発生回路14は、互いに余弦波と正弦波の関係にある信号を生成するものであり、余弦回転周波数発生回路4は、生成した信号を情報信号発生器1から二分岐して出力された情報信号の一方に乗算器5を介して重畳し、正弦回転周波数発生回路14は、生成した信号を情報信号発生器1から二分岐して出力された情報信号の他方に乗算器15を介して掛け合わせる。搬送波周波数発生回路11は、他方の回転偏波無線機401への情報信号の送信に用いる搬送波信号を生成するものであり、生成した搬送波信号を情報信号発生器1から二分岐して出力された情報信号のそれぞれに乗算器8,18を介して掛け合わせる。電力増幅器9,19は、情報信号発生器1から二分岐して出力された情報信号を増幅してそれぞれ送信アンテナ10,20に送る。2つの送信アンテナ10,20は、空間的に直交するよう配置されており、電力増幅器9,19を介して送られてきた情報信号(情報信号が重畳された搬送波信号)は送信アンテナ10,20から電磁波(電波)として空間に放射される。
2つの受信アンテナ80,90は、空間的に直交するよう配置されており、他方の回転偏波無線機401から放射された電磁波(受信電界)を同時に受信する。受信アンテナ80,90で受信された電磁波(搬送波信号に重畳された情報信号)は、それぞれ低雑音増幅器81,91で増幅される。局部発振回路89は、搬送波信号と同じ周波数の信号を生成するものであり、生成した信号を低雑音増幅器81,91で増幅された情報信号に乗算器82,92を介してそれぞれ掛け合わせ、帯域通過フィルタ83,93に送る。帯域通過フィルタ83,93を通った情報信号は、バッファアンプ84,94で増幅されて、遅延器85,95に送られる。遅延器85,95は、縦列接続された複数(例えばn段)の遅延器85a,85b,・・・,85n,95a,95b,・・・,95nから構成されており、入力される情報信号が各遅延器85a,85b,・・・,85n,95a,95b,・・・,95nで順次遅延されてディジタル信号処理回路99にそれぞれ入力される。
ディジタル信号処理回路99は、回転偏波無線機301全体の動作を制御するものであり、遅延器85,95を介して入力された情報信号を処理する情報信号処理機能部と、情報信号の偏波の回転周期中における強度が極大となるタイミングを検出するタイミング検出機能部(タイミング検出部)とを有している。ディジタル信号処理回路99のタイミング検出機能部は、受信信号の強度が極大となるタイミングを検出すると、情報信号発生器1からの情報信号に重畳する循環符号を生成するための制御信号を循環符号発生回路2に送る。
ここで、情報信号発生器1、循環符号発生回路2、余弦回転周波数発生回路4、正弦回転周波数発生回路14、乗算器3,5,13,15、遅延器85,95、及びディジタル信号処理回路99は、ディジタル回転偏波送受信モジュール101を構成している。
回転偏波無線機301と対になる回転偏波無線機401においても、回転偏波無線機301と同様の構成を有している。すなわち、回転偏波無線機401は、情報信号発生器51、循環符号発生回路52、余弦回転周波数発生回路54、正弦回転周波数発生回路64、搬送波周波数発生回路61、電力増幅器59,69、送信アンテナ60,70、及び乗算器53,55,58,63,65,68から構成される送信系(送信部)と、受信アンテナ30,40、低雑音増幅器31,41、局部発振回路39、乗算器32,42、帯域通過フィルタ33,43、バッファアンプ34,44、及び遅延器35,45から構成される受信系(受信部)と、ディジタル信号処理回路49を含む信号処理系とから概略構成されている。
情報信号発生器51は、一方の回転偏波無線機301に送信するための情報信号(特定の情報信号)を生成するものであり、生成した情報信号を二分岐して出力する。循環符号発生回路52は、ディジタル信号処理回路49からの制御信号に基づいて循環符号を生成するものであり、生成した循環符号を情報信号発生器51から二分岐して出力された情報信号の一方に乗算器53を介して、他方に乗算器63を介してそれぞれ重畳する。余弦回転周波数発生回路54及び正弦回転周波数発生回路64は、互いに余弦波と正弦波の関係にある信号を生成するものであり、余弦回転周波数発生回路54は、生成した信号を情報信号発生器51から二分岐して出力された情報信号の一方に乗算器55を介して重畳し、正弦回転周波数発生回路64は、生成した信号を情報信号発生器51から二分岐して出力された情報信号の他方に乗算器65を介して掛け合わせる。搬送波周波数発生回路61は、一方の回転偏波無線機301への情報信号の送信に用いる搬送波信号を生成するものであり、生成した搬送波信号を情報信号発生器51から二分岐して出力された情報信号のそれぞれに乗算器58,68を介して掛け合わせる。電力増幅器59,69は、情報信号発生器51から二分岐して出力された情報信号を増幅してそれぞれ送信アンテナ60,70に送る。2つの送信アンテナ60,70は、空間的に直交するよう配置されており、電力増幅器59,69を介して送られてきた情報信号(情報信号が重畳された搬送波信号)は送信アンテナ60,70から電磁波(電波)として空間に放射される。
2つの受信アンテナ30,40は、空間的に直交するよう配置されており、一方の回転偏波無線機301から放射された電磁波(受信電界)を同時に受信する。受信アンテナ30,40で受信された電磁波(搬送波信号に重畳された情報信号)は、それぞれ低雑音増幅器31,41で増幅される。局部発振回路39は、搬送波信号と同じ周波数の信号を生成するものであり、生成した信号を低雑音増幅器31,41で増幅された情報信号に乗算器32,42を介してそれぞれ掛け合わせ、帯域通過フィルタ33,43に送る。帯域通過フィルタ33,33を通った情報信号は、バッファアンプ34,44で増幅されて、遅延器35,45に送られる。遅延器35,45は、縦列接続された複数(例えばn段)の遅延器35a,35b,・・・,35n,45a,45b,・・・,45nから構成されており、入力される情報信号が各遅延器35a,35b,・・・,35n,45a,45b,・・・,45nで順次遅延されてディジタル信号処理回路49にそれぞれ入力される。
ディジタル信号処理回路49は、回転偏波無線機401全体の動作を制御するものであり、遅延器35,45を介して入力された情報信号を処理する情報信号処理機能部と、情報信号の偏波の回転周期中における強度が極大となるタイミングを検出するタイミング検出機能部(タイミング検出部)とを有している。ディジタル信号処理回路49のタイミング検出機能部は、受信信号の強度が極大となるタイミングを検出すると、情報信号発生器51からの情報信号に重畳する循環符号を生成するための制御信号を循環符号発生回路52に送る。
ここで、情報信号発生器51、循環符号発生回路52、余弦回転周波数発生回路54、正弦回転周波数発生回路64、乗算器53,55,63,65、遅延器35,45、及びディジタル信号処理回路49は、ディジタル回転偏波送受信モジュール101aを構成している。
以上のように構成した本実施の形態について、さらに詳細に説明する。
回転偏波無線機301の送信アンテナ10,20および回転偏波無線機401の送信アンテナ60,70から放出される電波は偏波面が回転する回転偏波であり、搬送波の周波数と比較して十分に低い周波数で偏波が回転するように搬送波周波数や余弦・正弦回転周波数が設定される。また、回転偏波無線機301,401は同時に偏波を回転偏波周波数で周期的に変化させ通信しており、回転偏波の周波数を十分に低くすることにより、回転偏波無線機301の送受信タイミングと回転偏波無線機401の送受信タイミングを実質的に同一とすることができる。なお、回転偏波の回転周波数は、回転偏波無線機301,401の間に複数存在することが予想される什器などの電磁波散乱体の配置間隔に比べて波長が十分に長い(例えば5倍以上)にとることが望ましい。
回転偏波無線機301から複数の伝播路を介して回転偏波無線機401に到着する複数の到来波は、偏波面の回転については位相が揃っていると見做すことができるので、送信偏波と固有の偏波角度差を持つ回転偏波周波数を同じくする単一の回転偏波(複数の偏波ベクトルの総和で形成される一つの回転偏波)となる。回転偏波無線機401は空間的に直交する受信アンテナ30,40により、受信電界の偏波に対する強度分布を知ることができるので、301が用いた送信偏波を知ることができれば、送受間で生じる固有の偏波角度差を得ることができる。回転偏波無線機401から複数の伝播路を介して回転偏波無線機301に到着する複数の到来波についても同様である。
一対の回転偏波無線機301,401間における送受信で生じる固有の偏波角度差は、電磁波を用いた通信の対称性と双対性により、同時に通信を行っている回転偏波無線機301,401間では同時に自動的に共有される。したがって、回転偏波無線機301,401は、両無線機を取り巻く電波環境が変化したとしても、その変化に追随して固有な偏波角度差を自動的に共有する。
また、一対の回転偏波無線機301,401間における送受信で生じる固有の偏波角度差は、異なる回転偏波無線機対における固有な偏波角度差とは(特殊な場合を除いて)異なる。つまり、回転偏波無線機の対が複数配置された場合であっても、角回転偏波無線機対ごとに偏波角度差が異なる独立な伝播路が仮想的に形成され、しかもその伝播路の特徴(送受信の偏波角度差)は、無線通信システムの外部のみならず、無線通信システム内の別の無線機対に対しても秘匿される。
また、回転偏波無線機301,401から送信される情報信号発生器1,51の出力には循環符号発生回路2,52の出力を重畳している。一対の回転偏波無線機301,401では、同一の循環符号を共有している。一対の回転偏波無線機301,401の一方(送信側)で固有な偏波角度差に対応する回転偏波の周期内の固有なタイミング(例えば、受信信号の信号強度が極大となるタイミング)を開始点として共有する循環符号を重畳し、一対の回転偏波無線機301,401の他方(受信側)で受信信号の循環符号とのスライディング相関をとりその最大値を示すタイミングにより一対の回転偏波無線機301,401で用いた送信偏波を知ることができる。
また、一対の回転偏波無線機301,401間で固有な偏波角度差に対応する回転偏波の周期内の固有なタイミングで、循環符号発生回路2,52はディジタル信号処理回路99,49からの制御信号に基づいて循環符号の発生を開始し、循環符号を受信信号に重畳することにより回転偏波無線機301,401は、一方の無線機から他方の無線機に伝送される信号を正しく復調することができる。このような動作は、各回転偏波無線機301,401の動作を制御するディジタル信号処理回路99,49により行われている。一対の回転偏波無線機301,401以外の場所では、これらの無線機が用いる固有な偏波角度差を得ることができないので、循環符号を用いた伝送信号の復元を行うことができない。
図14は、本実施の形態における無線通信システムの動作説明図である。
図14は、対になる回転偏波無線機の送受信間で回転偏波を使い固有な偏波角度シフトを用いて情報を秘匿化して伝送する無線通信システムの構成例、および情報生成回路(情報信号発生器)が生成する情報信号と循環符号発生回路が生成する循環符号の対応を示している。
図14において、各回転偏波無線機の循環符号発生回路が生成する循環符号は偽雑音性を示す。つまり、循環符号を重畳された情報信号は偽雑音性を示すため、外部者には雑音として認知され、したがって、情報信号における情報内容は秘匿される。
また、一対の回転偏波無線機においては、同時に異なる回転方向を有する回転偏波を用いて通信を行うので、回転偏波間で物理的な干渉が生じることがなく、一対の回転偏波無線機における双方向同時通信が可能である。
以上のように構成した本実施の形態の効果を説明する。
社会インフラシステムは、社会にライフラインを提供するという重要な役割を担っているため、外部者によるシステムへの介入を厳しく制限する必要があり、ネットワークを稼動するうえでのセキュリティが極めて重要である。一般に無線通信では伝送路が開放空間であるので、特定の伝送路を特定することが有線通信に比べて極めて困難ではある。しかしながら、システム近傍においては外部者であっても無線通信のエネルギーを容易に獲得することが可能であるため、外部者による伝送路の発見や介入の可能性も否定できず、セキュリティの観点から解決すべき技術課題となっていた。
これに対して本実施の形態においては、空間的に直交する2つのアンテナを用いて一定強度の搬送波の偏波を回転させて他の無線機に送信する送信部と、他の無線機の送信部から送信された搬送波を受信する受信部と、受信部により受信された搬送波の偏波の回転周期中における強度が極大となるタイミングを検出するタイミング検出部とを備えた無線機において、送信部は、タイミング検出部により検出されたタイミングに基づいて搬送波を用いた特定の情報信号の送受信を行うように構成したので、無線通信による伝送情報を外部者に対して秘匿することができる。
電磁波はベクトル波であり反射により進行方向に垂直な偏波と呼ばれる物理実態が固有な変化をするために、ある無線機から自動的に複数の方向に放射された同一偏波の電波は、複数の構造物により固有の反射を行い、受信側の無線機には複数の伝搬路を介して固有の偏波の変化を受けた電波が到来する。
一対の無線機間の通信において、偏波ベクトルの総和はその1対の送受信点間で固有のものであって時間的に不規則に変化するものであり、かつ、1対の送受信点以外ではその情報は物理的に知りえないので、送信偏波と受信偏波の偏波角は特定の1対の無線機(送受信機)以外では知りえない物理量である。本実施の形態では、特定の1対の無線機においては、送受対称性により、その物理量の不規則変化を同時に共有することができるという知見に基づき、本物理量を用いて伝送する情報を秘匿するように構成したので、外部者による情報伝達の伝送路の特定や、伝送される情報の内容を秘匿することができる。
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態を図2を参照しつつ詳細に説明する。
本実施の形態は、第1の実施の形態における一対の回転偏波無線機の受信部を構成する受信アンテナを1つにしたものである。
図2は、本実施の形態に係る無線通信システムを概略的に示す図である。図中、第1の実施の形態と同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
図2では、無線通信システムを構成する複数の無線機のうちの一組(回転偏波無線機302,402)を抜き出して例示している。図2において、一方の回転偏波無線機302は、情報信号発生器1、循環符号発生回路2、余弦回転周波数発生回路4、正弦回転周波数発生回路14、搬送波周波数発生回路11、電力増幅器9,19、送信アンテナ10,20、及び乗算器3,5,8,13,15,18から構成される送信系(送信部)と、受信アンテナ80、低雑音増幅器81、局部発振回路89、乗算器82、帯域通過フィルタ83、バッファアンプ84、及び遅延器85から構成される受信系(受信部)と、ディジタル信号処理回路99を含む信号処理系とから概略構成されている。情報信号発生器1、循環符号発生回路2、余弦回転周波数発生回路4、正弦回転周波数発生回路14、乗算器3,5,13,15、遅延器85、及びディジタル信号処理回路99は、ディジタル回転偏波送受信モジュール102を構成している。
回転偏波無線機302と対になる回転偏波無線機402においても、回転偏波無線機302と同様の構成を有している。すなわち、回転偏波無線機402は、情報信号発生器51、循環符号発生回路52、余弦回転周波数発生回路54、正弦回転周波数発生回路64、搬送波周波数発生回路61、電力増幅器59,69、送信アンテナ60,70、及び乗算器53,55,58,63,65,68から構成される送信系(送信部)と、受信アンテナ30、低雑音増幅器31、局部発振回路39、乗算器32、帯域通過フィルタ33、バッファアンプ34、及び遅延器35から構成される受信系(受信部)と、ディジタル信号処理回路49を含む信号処理系とから概略構成されている。情報信号発生器51、循環符号発生回路52、余弦回転周波数発生回路54、正弦回転周波数発生回路64、乗算器53,55,63,65、遅延器35、及びディジタル信号処理回路49は、ディジタル回転偏波送受信モジュール102aを構成している。
その他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
以上のように構成した本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態において、回転偏波無線機302,402の受信系(受信部)は、受信電界強度の最大値を示すタイミングを得るために少なくとも回転偏波の一周期に相当する時間を必要とするが、回転偏波無線機302の回路構成要素を大幅に削減することができるので、無線通信システムを構成するための回転偏波無線機の製造コストを低減することができる。
<第3の実施の形態>
本発明の第3の実施の形態を図3を参照しつつ詳細に説明する。
本実施の形態は、第1の実施の形態における一対の回転偏波無線機のうちの一方を回転偏波を送受信する機能を持たない固定偏波無線機としたものである。
図3は、本実施の形態に係る無線通信システムを概略的に示す図である。図中、第1の実施の形態と同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
図3では、無線通信システムを構成する複数の無線機のうちの一組(回転偏波無線機301、固定偏波無線機403)を抜き出して例示している。図3において、回転偏波無線機301は、情報信号発生器1、循環符号発生回路2、余弦回転周波数発生回路4、正弦回転周波数発生回路14、搬送波周波数発生回路11、電力増幅器9,19、送信アンテナ10,20、及び乗算器3,5,8,13,15,18から構成される送信系(送信部)と、受信アンテナ80,90、低雑音増幅器81,91、局部発振回路89、乗算器82,92、帯域通過フィルタ83,93、バッファアンプ84,94、及び遅延器85,95から構成される受信系(受信部)と、ディジタル信号処理回路99を含む信号処理系とから概略構成されている。情報信号発生器1、循環符号発生回路2、余弦回転周波数発生回路4、正弦回転周波数発生回路14、乗算器3,5,13,15、遅延器85,95、及びディジタル信号処理回路99は、ディジタル回転偏波送受信モジュール101を構成している。
回転偏波無線機301と対になる固定偏波無線機403は、情報信号発生器51、循環符号発生回路52、余弦回転周波数発生回路54、搬送波周波数発生回路61、電力増幅器59、送信アンテナ60、及び乗算器53,55,58から構成される送信系(送信部)と、受信アンテナ30、低雑音増幅器31、局部発振回路39、乗算器32、帯域通過フィルタ33、バッファアンプ34、及び遅延器35から構成される受信系(受信部)と、ディジタル信号処理回路49を含む信号処理系とから概略構成されている。情報信号発生器51、循環符号発生回路52、余弦回転周波数発生回路54、乗算器53,55、遅延器35、及びディジタル信号処理回路49は、ディジタル回転偏波送受信モジュール201を構成している。
以上のように構成した本実施の形態の無線通信システムにおいて、固定偏波無線機403の受信部では、受信アンテナ30で受信された電波(受信信号)は低雑音増幅器31によって増幅された後、乗算器32によって搬送波の周波数と同一の周波数の信号を発生する局部発振回路39の出力が掛合わされる。局部発振回路39の出力が掛合わされた受信信号は、帯域通過フィルタ33を介してバッファアンプ34に入力され、その出力が遅延器35で順次遅延されてディジタル信号処理回路49に入力される。
また、固定偏波無線機403の送信部では、情報信号発生器51の出力に循環符号発生回路52の出力を乗算器53により重畳した後、余弦回転周波数発生回路54の出力を乗算器55を介して掛け合わせ、続いて搬送波周波数発生回路61の出力を乗算器58を介して掛け合わせ、その後、電力増幅器59を介して増幅し、送信アンテナ60から空間に放射する。
固定偏波無線機403は、回転偏波を受信し最大の受信電界強度を得る時間タイミングでディジタル信号処理回路49より制御信号を受けて循環符号発生回路52の循環符号の発生を開始する。情報信号発生器51の出力は、乗算器53により循環符号発生回路52の出力が重畳された後、乗算器55を介して余弦回転周波数発生回路54の出力が掛け合わせられ、続いて乗算器58を介して搬送波周波数発生回路61の出力が掛け合わせられ、電力増幅器59を介して増幅されて送信アンテナ60から空間に放射される。
回転偏波無線機301において、ディジタル信号処理回路99は、固定偏波無線機403と共有する循環符号を用いて受信信号とのスライディング相関をとり最大値を示すタイミングを検出し、固定偏波無線機403で送信に用いている回転偏波の偏波回転のタイミングとの時間軸上の相対位置を認識する。
その他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
以上のように構成した本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態によれば、一対の無線機(回転偏波無線機、固定偏波無線機)の動作が異なるため、それらの間で送受の対称性については成り立たず、したがって、一対の無線機間で同時に送信する回転偏波と受信した回転偏波のタイミングの時間軸上の相対位置を得ることは原理上できない。しかしながら、送受信間の伝搬遅延およびディジタル信号処理回路99の処理時間に関する時間推移の差分を誤差として近似的に送信する回転偏波と、受信した回転偏波のタイミングの時間軸上の相対位置を得ることができる。特に、回転偏波の一周期に対して同時間推移の差分が無視できる程度に小さければ、実用上送信する回転偏波と受信した回転偏波のタイミングの時間軸上の相対位置を少ない誤差で得ることが可能となる。すなわち、本実施の形態では、固定偏波無線機403を回転偏波無線機301と比べて極めて簡単な構成とすることができるので、無線通信システムを構成する機器の小型化および無線通信システム全体のコストを低減することができる。
<第4の実施の形態>
本発明の第4の実施の形態を図4を参照しつつ詳細に説明する。
本実施の形態は、第1の実施の形態における一対の回転偏波無線機において、循環符号発生回路に加えて同期符号発生回路を備えたものである。
図4は、本実施の形態に係る無線通信システムを概略的に示す図である。図中、第1の実施の形態と同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
図4では、無線通信システムを構成する複数の無線機のうちの一組(回転偏波無線機304,404)を抜き出して例示している。図4において、一方の回転偏波無線機304は、情報信号発生器1、循環符号発生回路2、同期符号発生回路7、スイッチ6、余弦回転周波数発生回路4、正弦回転周波数発生回路14、搬送波周波数発生回路11、電力増幅器9,19、送信アンテナ10,20、及び乗算器3,5,8,13,15,18から構成される送信系(送信部)と、受信アンテナ80,90、低雑音増幅器81,91、局部発振回路89、乗算器82,92、帯域通過フィルタ83,93、バッファアンプ84,94、及び遅延器85,95から構成される受信系(受信部)と、ディジタル信号処理回路99を含む信号処理系とから概略構成されている。情報信号発生器1、循環符号発生回路2、同期符号発生回路7、スイッチ6、余弦回転周波数発生回路4、正弦回転周波数発生回路14、乗算器3,5,13,15、遅延器85,95、及びディジタル信号処理回路99は、ディジタル回転偏波送受信モジュール103を構成している。
回転偏波無線機304と対になる回転偏波無線機404においても、回転偏波無線機304と同様の構成を有している。すなわち、回転偏波無線機404は、情報信号発生器51、循環符号発生回路52、同期符号発生回路57、スイッチ56、余弦回転周波数発生回路54、正弦回転周波数発生回路64、搬送波周波数発生回路61、電力増幅器59,69、送信アンテナ60,70、及び乗算器53,55,58,63,65,68から構成される送信系(送信部)と、受信アンテナ30,40、低雑音増幅器31,41、局部発振回路39、乗算器32,42、帯域通過フィルタ33,43、バッファアンプ34,44、及び遅延器35,45から構成される受信系(受信部)と、ディジタル信号処理回路49を含む信号処理系とから概略構成されている。情報信号発生器51、循環符号発生回路52、同期符号発生回路57、スイッチ56、余弦回転周波数発生回路54、正弦回転周波数発生回路64、乗算器53,55,63,65、遅延器35,45、及びディジタル信号処理回路49は、ディジタル回転偏波送受信モジュール103aを構成している。
回転偏波無線機304,404は、循環符号発生回路2,52の出力と同期符号発生回路7,57の出力とをディジタル信号処理回路99,49の制御信号に基づいてスイッチ6,56によって切り換え、情報信号発生器1,51の出力に重畳される符号を循環符号と同期符号とで切り換える。回転偏波無線機304,404は、通信のある時間に情報信号に重畳させる符号を循環符号発生回路2,52が発生する循環符号から、同期符号発生回路7,57が出力する同期符号に変更する。同期符号発生回路7,57により生成される同期符号は、循環符号発生回路2,52により生成される循環符号に比べて、より相関の強いものが設定される。
その他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
以上のように構成した本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、循環符号よりも相関の強い動機符号に切り換えるように構成したので、一対の回転偏波無線機304,404は、同期信号を用いた両無線機の時間タイミングを得て同期を取ることができる。したがって、無線通信システムを構成する回転偏波無線機間で送受される偏波と受信される偏波のタイミングの時間軸上の相対位置の検出精度を向上させることができ、秘匿して伝送する情報信号の再生を安定させることができる。
<第5の実施の形態>
本発明の第5の実施の形態を図5を参照しつつ詳細に説明する。
本実施の形態は、第1の実施の形態における一対の回転偏波無線機において、時刻発生回路をあらたに備えたものである。
図5は、本実施の形態に係る無線通信システムを概略的に示す図である。図中、第1の実施の形態と同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
図5では、無線通信システムを構成する複数の無線機のうちの一組(回転偏波無線機305,405)を抜き出して例示している。図5において、一方の回転偏波無線機305は、情報信号発生器1、循環符号発生回路2、余弦回転周波数発生回路4、正弦回転周波数発生回路14、搬送波周波数発生回路11、電力増幅器9,19、送信アンテナ10,20、及び乗算器3,5,8,13,15,18から構成される送信系(送信部)と、受信アンテナ80,90、低雑音増幅器81,91、局部発振回路89、乗算器82,92、帯域通過フィルタ83,93、バッファアンプ84,94、及び遅延器85,95から構成される受信系(受信部)と、時刻発生回路98及びディジタル信号処理回路99を含む信号処理系とから概略構成されている。情報信号発生器1、循環符号発生回路2、余弦回転周波数発生回路4、正弦回転周波数発生回路14、乗算器3,5,13,15、遅延器85,95、時刻発生回路98、及びディジタル信号処理回路99は、ディジタル回転偏波送受信モジュール104を構成している。
回転偏波無線機305と対になる回転偏波無線機405においても、回転偏波無線機305と同様の構成を有している。すなわち、回転偏波無線機405は、情報信号発生器51、循環符号発生回路52、余弦回転周波数発生回路54、正弦回転周波数発生回路64、搬送波周波数発生回路61、電力増幅器59,69、送信アンテナ60,70、及び乗算器53,55,58,63,65,68から構成される送信系(送信部)と、受信アンテナ30,40、低雑音増幅器31,41、局部発振回路39、乗算器32,42、帯域通過フィルタ33,43、バッファアンプ34,44、及び遅延器35,45から構成される受信系(受信部)と、時刻発生回路48、及びディジタル信号処理回路49を含む信号処理系とから概略構成されている。情報信号発生器51、循環符号発生回路52、余弦回転周波数発生回路54、正弦回転周波数発生回路64、乗算器53,55,63,65、遅延器35,45、時刻発生回路48、及びディジタル信号処理回路49は、ディジタル回転偏波送受信モジュール104aを構成している。
一対の回転偏波無線機305,405では、ディジタル信号処理回路49,99において、情報信号の偏波の回転周期中における強度が極大となるタイミングを検出し、そのタイミングを時刻発生回路48,98に保存する。時刻発生回路48,98に値が保存された後は、予め定めた一定期間は、ディジタル信号処理回路49,99は時刻発生回路48,98の出力(保存された時刻:タイミング)を用いて、循環符号発生回路52,2による循環符号発生のタイミング(制御信号の送信タイミング)を決定する。また、一定の期間を過ぎた後は、ディジタル信号処理回路49,99において、情報信号の偏波の回転周期中における強度が極大となるタイミングを検出あらたに検出し、時刻発生回路48,98に上書き保存する。
その他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
以上のように構成した本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、回転偏波無線機305,405が具備するディジタル信号処理回路49,99の動作を簡略化することができるので、回転偏波無線機305,405の消費電力を削減することができ、無線通信システム全体の消費電力を低減することができる。
<第6の実施の形態>
本発明の第6の実施の形態を図6を参照しつつ詳細に説明する。
本実施の形態は、第1の実施の形態における一対の回転偏波無線機において、循環符号発生回路に加えて同期符号発生回路を備えるとともに、時刻発生回路をあらたに設けたものである。すなわち、本実施の形態は、第4及び第5の実施の形態の無線通信システムの特徴を併せ持つものである。
図6は、本実施の形態に係る無線通信システムを概略的に示す図である。図中、第1、第4及び第5の実施の形態と同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
図6では、無線通信システムを構成する複数の無線機のうちの一組(回転偏波無線機306,406)を抜き出して例示している。図6において、一方の回転偏波無線機306は、情報信号発生器1、循環符号発生回路2、同期符号発生回路7、スイッチ6、余弦回転周波数発生回路4、正弦回転周波数発生回路14、搬送波周波数発生回路11、電力増幅器9,19、送信アンテナ10,20、及び乗算器3,5,8,13,15,18から構成される送信系(送信部)と、受信アンテナ80,90、低雑音増幅器81,91、局部発振回路89、乗算器82,92、帯域通過フィルタ83,93、バッファアンプ84,94、及び遅延器85,95から構成される受信系(受信部)と、時刻発生回路98及びディジタル信号処理回路99を含む信号処理系とから概略構成されている。情報信号発生器1、循環符号発生回路2、同期符号発生回路7、スイッチ6、余弦回転周波数発生回路4、正弦回転周波数発生回路14、乗算器3,5,13,15、遅延器85,95、時刻発生回路98、及びディジタル信号処理回路99は、ディジタル回転偏波送受信モジュール105を構成している。
回転偏波無線機306と対になる回転偏波無線機406においても、回転偏波無線機306と同様の構成を有している。すなわち、回転偏波無線機406は、情報信号発生器51、循環符号発生回路52、同期符号発生回路57、スイッチ56、余弦回転周波数発生回路54、正弦回転周波数発生回路64、搬送波周波数発生回路61、電力増幅器59,69、送信アンテナ60,70、及び乗算器53,55,58,63,65,68から構成される送信系(送信部)と、受信アンテナ30,40、低雑音増幅器31,41、局部発振回路39、乗算器32,42、帯域通過フィルタ33,43、バッファアンプ34,44、及び遅延器35,45から構成される受信系(受信部)と、時刻発生回路48及びディジタル信号処理回路49を含む信号処理系とから概略構成されている。情報信号発生器51、循環符号発生回路52、同期符号発生回路57、スイッチ56、余弦回転周波数発生回路54、正弦回転周波数発生回路64、乗算器53,55,63,65、遅延器35,45、時刻発生回路48、及びディジタル信号処理回路49は、ディジタル回転偏波送受信モジュール105aを構成している。
その他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
以上のように構成した本実施の形態においても、第1、第4及び第5の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
<第7の実施の形態>
本発明の第7の実施の形態を図7を参照しつつ詳細に説明する。
本実施の形態は、第6の実施の形態において、循環符号発生回路に換えて循環符号発生回路アレイを備えたものである。
図7は、本実施の形態に係る無線通信システムを概略的に示す図である。図中、第6の実施の形態と同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
図7では、無線通信システムを構成する複数の無線機のうちの一組(回転偏波無線機307,407)を抜き出して例示している。図7において、一方の回転偏波無線機307は、情報信号発生器1、循環符号発生回路アレイ12、同期符号発生回路7、スイッチ16、余弦回転周波数発生回路4、正弦回転周波数発生回路14、搬送波周波数発生回路11、電力増幅器9,19、送信アンテナ10,20、及び乗算器3,5,8,13,15,18から構成される送信系(送信部)と、受信アンテナ80,90、低雑音増幅器81,91、局部発振回路89、乗算器82,92、帯域通過フィルタ83,93、バッファアンプ84,94、及び遅延器85,95から構成される受信系(受信部)と、時刻発生回路98及びディジタル信号処理回路99を含む信号処理系とから概略構成されている。情報信号発生器1、循環符号発生回路アレイ12、同期符号発生回路7、スイッチ16、余弦回転周波数発生回路4、正弦回転周波数発生回路14、乗算器3,5,13,15、遅延器85,95、時刻発生回路98、及びディジタル信号処理回路99は、ディジタル回転偏波送受信モジュール106を構成している。
回転偏波無線機307と対になる回転偏波無線機407においても、回転偏波無線機307と同様の構成を有している。すなわち、回転偏波無線機407は、情報信号発生器51、循環符号発生回路アレイ62、同期符号発生回路57、スイッチ66、余弦回転周波数発生回路54、正弦回転周波数発生回路64、搬送波周波数発生回路61、電力増幅器59,69、送信アンテナ60,70、及び乗算器53,55,58,63,65,68から構成される送信系(送信部)と、受信アンテナ30,40、低雑音増幅器31,41、局部発振回路39、乗算器32,42、帯域通過フィルタ33,43、バッファアンプ34,44、及び遅延器35,45から構成される受信系(受信部)と、時刻発生回路48及びディジタル信号処理回路49を含む信号処理系とから概略構成されている。情報信号発生器51、循環符号発生回路アレイ62、同期符号発生回路57、スイッチ66、余弦回転周波数発生回路54、正弦回転周波数発生回路64、乗算器53,55,63,65、遅延器35,45、時刻発生回路48、及びディジタル信号処理回路49は、ディジタル回転偏波送受信モジュール106aを構成している。
一対の回転偏波無線機307,407において、循環符号発生回路アレイ12,62は互いに弱い相互相関を有する異なる循環符号を生成するものである。スイッチ16,66は、ディジタル信号処理回路99,49からの制御信号に基づいて、循環符号発生回路アレイ12,62で生成される異なる符号を選択し、乗算器3,13,53,63を介して情報信号発生器1,51の出力に重畳する。情報信号発生器1,51の出力に重畳される異なる符号の弱い相互相関特性により、一対の回転偏波無線機307,407は複数の自分以外の回転偏波無線機を識別可能となる。
その他の構成は、第6の実施の形態と同様である。
以上のように構成した本実施の形態においても、第6の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、循環符号発生回路アレイ12,62を切り替えることにより、複数の回転偏波無線機と伝送すべき情報を秘匿して通信可能となるので、無線通信システムを構成する複数の回転偏波無線機が同時に通信可能な時間軸上の領域が増え、無線通信システムにおける信号伝送のスループットを向上することができる。
<第8の実施の形態>
本発明の第8の実施の形態を図8を参照しつつ詳細に説明する。
本実施の形態は、第7の実施の形態において、通信状態記憶装置およびデータバスをさらに備えたものである。
図8は、本実施の形態に係る無線通信システムを概略的に示す図である。図中、第7の実施の形態と同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
図8では、無線通信システムを構成する複数の無線機のうちの一組(回転偏波無線機308,408)を抜き出して例示している。図8において、一方の回転偏波無線機308は、情報信号発生器1、循環符号発生回路アレイ12、同期符号発生回路7、スイッチ16、余弦回転周波数発生回路4、正弦回転周波数発生回路14、搬送波周波数発生回路11、電力増幅器9,19、送信アンテナ10,20、及び乗算器3,5,8,13,15,18から構成される送信系(送信部)と、受信アンテナ80,90、低雑音増幅器81,91、局部発振回路89、乗算器82,92、帯域通過フィルタ83,93、バッファアンプ84,94、及び遅延器85,95から構成される受信系(受信部)と、通信状態記憶装置97、データバス96、時刻発生回路98、及びディジタル信号処理回路99を含む信号処理系とから概略構成されている。情報信号発生器1、循環符号発生回路アレイ12、同期符号発生回路7、スイッチ16、余弦回転周波数発生回路4、正弦回転周波数発生回路14、乗算器3,5,13,15、遅延器85,95、通信状態記憶装置97、データバス96、時刻発生回路98、及びディジタル信号処理回路99は、ディジタル回転偏波送受信モジュール107を構成している。
回転偏波無線機308と対になる回転偏波無線機408においても、回転偏波無線機308と同様の構成を有している。すなわち、回転偏波無線機408は、情報信号発生器51、循環符号発生回路アレイ62、同期符号発生回路57、スイッチ66、余弦回転周波数発生回路54、正弦回転周波数発生回路64、搬送波周波数発生回路61、電力増幅器59,69、送信アンテナ60,70、及び乗算器53,55,58,63,65,68から構成される送信系(送信部)と、受信アンテナ30,40、低雑音増幅器31,41、局部発振回路39、乗算器32,42、帯域通過フィルタ33,43、バッファアンプ34,44、及び遅延器35,45から構成される受信系(受信部)と、通信状態記憶装置47、データバス46、時刻発生回路48、及びディジタル信号処理回路49を含む信号処理系とから概略構成されている。情報信号発生器51、循環符号発生回路アレイ62、同期符号発生回路57、スイッチ66、余弦回転周波数発生回路54、正弦回転周波数発生回路64、乗算器53,55,63,65、遅延器35,45、通信状態記憶装置47、データバス46、時刻発生回路48、及びディジタル信号処理回路49は、ディジタル回転偏波送受信モジュール107aを構成している。
一対の回転偏波無線機308,408において、通信状態記憶装置47,97はそれぞれディジタル信号処理回路49,99と結合し、回転偏波無線機308,408間における、送信した偏波と受信した偏波の偏波角度差の情報を時系列的に記憶し、さらにデータバス46,96を用いて外部に伝達する。
その他の構成は、第7の実施の形態と同様である。
以上のように構成した本実施の形態においても、第7の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、時系列的な偏波の角度差の変化を調べることによって、無線通信システムを取り巻く電波伝搬に影響を与える環境変化を検出することができるので、無線通信システムを安定動作させる為のメインテナンスのタイミングを検知することができ、無線通信システムの動作の安定化を図ることができるとともに、不測の事態が生じた場合のシステム復旧に要する時間を短縮することができる。
<第9の実施の形態>
本発明の第9の実施の形態を図9を参照しつつ詳細に説明する。
本実施の形態は、第1の実施の形態において、送信アンテナと受信アンテナとをサーキュレータにより送信と受信で共有化したものである。
図9は、本実施の形態に係る無線通信システムを概略的に示す図である。図中、第7の実施の形態と同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
図9では、説明の簡単のため、無線通信システムを構成する複数の無線機の一対のうちの一方の回転偏波無線機309を抜き出して例示している。
図9において、一方の回転偏波無線機309は、情報信号発生器1、循環符号発生回路2、余弦回転周波数発生回路4、正弦回転周波数発生回路14、搬送波周波数発生回路11、電力増幅器9,19、送受両用アンテナ78、88、サーキュレータ21,22、及び乗算器3,5,8,13,15,18から構成される送信系(送信部)と、送受両用アンテナ78,88(送信部と共有)、サーキュレータ21,22(送信部と共有)、低雑音増幅器81,91、局部発振回路89、乗算器82,92、帯域通過フィルタ83,93、バッファアンプ84,94、及び遅延器85,95から構成される受信系(受信部)と、ディジタル信号処理回路99を含む信号処理系とから概略構成されている。情報信号発生器1、循環符号発生回路2、余弦回転周波数発生回路4、正弦回転周波数発生回路14、乗算器3,5,13,15、遅延器85,95、及びディジタル信号処理回路99は、ディジタル回転偏波送受信モジュール101を構成している。
回転偏波無線機309と対になる回転偏波無線機においても、回転偏波無線機309と同様の構成を有している。なお、回転偏波無線機309と対になる回転偏波無線機を第1の実施の形態における回転偏波無線機401と同様の構成としてもよい。
回転偏波無線機309では、情報信号発生器1の出力を二分岐した一方に循環符号発生回路2の出力を乗算器3により重畳し、続いて乗算器5により余弦回転周波数発生回路4の出力を掛け合わせ、続いて乗算器8により搬送波周波数発生回路11の出力を掛け合わせ、その後、電力増幅器9を介してサーキュレータ21の第一端子に入力する。また、回転偏波無線機309では、情報信号発生器1の出力を二分岐した他方に循環符号発生回路2の出力を乗算器13により重畳し、続いて乗算器15により正弦回転周波数発生回路14の出力を掛け合わせ、続いて乗算器18により搬送波周波数発生回路11の出力を掛け合わせ、その後、電力増幅器19を介してサーキュレータ22の第一端子に入力する。
回転偏波無線機309では、サーキュレータ21の第三端子からの出力は、低雑音増幅器81によって増幅された後、乗算器82によって搬送波周波数と同一周波数の信号を発生する局部発振回路89の出力が掛合わされ、その出力が帯域通過フィルタ83を介してバッファアンプ84に入力され、その出力が遅延器85で順次遅延されてディジタル信号処理回路99に入力される。また、回転偏波無線機309では、サーキュレータ22の第三端子からの出力は、低雑音増幅器91によって増幅された後、乗算器92によって搬送波周波数と同一周波数の信号を発生する局部発振回路89の出力が掛合わされ、その出力が帯域通過フィルタ93を介してバッファアンプ94に入力され、その出力が遅延器95で順次遅延されてディジタル信号処理回路99に入力される。
サーキュレータ21,22の第二端子は、それぞれ、送受両用アンテナ78,88と結合する。サーキュレータ21,22は、端子の循環順序で信号を伝達するので、送受両用アンテナ78,88は電力増幅器9,19の出力を空間に放射し、また、回転偏波無線機309に到来する電磁波の電力を低雑音増幅器81,91に入力する。
その他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
以上のように構成した本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、送信と受信でアンテナを供用することができるので、無線通信システムを構成する回転偏波無線機の寸法を小型化することができるとともの、回転偏波無線機の製造コストを低減することができる。
<第10の実施の形態>
本発明の第10の実施の形態を図10を参照しつつ詳細に説明する。
本実施の形態は、第9の実施の形態において、サーキュレータに換えてアンテナスイッチを用いたものである。
図10は、本実施の形態に係る無線通信システムを概略的に示す図である。図中、第9の実施の形態と同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
図10では、説明の簡単のため、無線通信システムを構成する複数の無線機の一対のうちの一方の回転偏波無線機310を抜き出して例示している。
図10において、一方の回転偏波無線機310は、情報信号発生器1、循環符号発生回路2、余弦回転周波数発生回路4、正弦回転周波数発生回路14、搬送波周波数発生回路11、電力増幅器9,19、送受両用アンテナ78、88、アンテナスイッチ23,24、及び乗算器3,5,8,13,15,18から構成される送信系(送信部)と、送受両用アンテナ78,88(送信部と共有)、アンテナスイッチ23,24(送信部と共有)、低雑音増幅器81,91、局部発振回路89、乗算器82,92、帯域通過フィルタ83,93、バッファアンプ84,94、及び遅延器85,95から構成される受信系(受信部)と、ディジタル信号処理回路99を含む信号処理系とから概略構成されている。情報信号発生器1、循環符号発生回路2、余弦回転周波数発生回路4、正弦回転周波数発生回路14、乗算器3,5,13,15、遅延器85,95、及びディジタル信号処理回路99は、ディジタル回転偏波送受信モジュール101を構成している。
回転偏波無線機310において、アンテナスイッチ23の入力端子および出力端子は、電力増幅器9の出力および低雑音増幅器81の入力と結合し、共通端子は送受両用アンテナ78と結合する。また、アンテナスイッチ24の入力端子および出力端子は、電力増幅器19の出力および低雑音増幅器91の入力と結合し、共通端子は送受両用アンテナ88と結合する。アンテナスイッチ23,24は、ディジタル信号処理回路99によって制御され、送信と受信を時分割で行う。
その他の構成は、第9の実施の形態と同様である。
以上のように構成した本実施の形態においても、第9の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、寸法が比較的大きく重いサーキュレータを用いないので、無線通信システムを構成する回転偏波無線機の寸法を小型化および軽量化することができるとともに、回転偏波無線機の製造コストを低減することができる。
<第11の実施の形態>
本発明の第11の実施の形態を図11を参照しつつ詳細に説明する。
本実施の形態は、第9の実施の形態において、送信部の構成を変更したものである。
図11は、本実施の形態に係る無線通信システムを概略的に示す図である。図中、第9の実施の形態と同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
図11では、説明の簡単のため、無線通信システムを構成する複数の無線機の一対のうちの一方の回転偏波無線機311を抜き出して例示している。
図11において、一方の回転偏波無線機311は、余弦波搬送波発生回路72,73、正弦波搬送波発生回路76,77、情報信号発生器1、循環符号発生回路2、クロック発生回路29、デルタシグマ回路27,28、帯域通過型フィルタ25,26、電力増幅器9,19、送受両用アンテナ78、88、サーキュレータ21,22、加算器71,減算器75、及び乗算器3,13,74,79から構成される送信系(送信部)と、送受両用アンテナ78,88(送信部と共有)、サーキュレータ21,22(送信部と共有)、低雑音増幅器81,91、局部発振回路89、乗算器82,92、帯域通過フィルタ83,93、バッファアンプ84,94、及び遅延器85,95から構成される受信系(受信部)と、ディジタル信号処理回路99を含む信号処理系とから概略構成されている。余弦波搬送波発生回路72,73、正弦波搬送波発生回路76,77、情報信号発生器1、循環符号発生回路2、クロック発生回路29、デルタシグマ回路27,28、乗算器3,13,74,79、遅延器85,95、及びディジタル信号処理回路99は、ディジタル回転偏波送受信モジュール110を構成している。
回転偏波無線機311においては、情報信号発生器1の出力を二分岐した一方に、乗算器74により、余弦波搬送波発生回路72,73の出力を加算器71により足し合わせて形成されるビート状の搬送波を掛け合わせ、循環符号発生回路2の出力を乗算器3により重畳し、続いてデルタシグマ回路27で逓倍し、帯域通過型フィルタ25を介し、電力増幅器9により増幅してサーキュレータ21の第一端子に入力する。また、情報信号発生器1の出力を二分岐した他方に、乗算器79により、正弦波搬送波発生回路76,77の出力を減算器75により差をとって形成されるビート状の搬送波を掛け合わせ、循環符号発生回路2の出力を乗算器13により重畳し、続いてデルタシグマ回路28で逓倍し、帯域通過型フィルタ26を介し、電力増幅器19により増幅してサーキュレータ22の第一端子に入力する。
回転偏波無線機311において、サーキュレータ21の第三端子の出力は、低雑音増幅器81によって増幅された後、乗算器82によって搬送波周波数と同一周波数の信号を発生する局部発振回路89の出力が掛合わされ、その出力が帯域通過フィルタ83を介してバッファアンプ84に入力され、その出力が遅延器85で順次遅延されてディジタル信号処理回路99に入力される。また、サーキュレータ22の第三端子の出力は、低雑音増幅器91によって増幅された後、乗算器92によって搬送波周波数と同一周波数の信号を発生する局部発振回路89の出力が掛合わされ、その出力が帯域通過フィルタ93を介してバッファアンプ94に入力され、その出力が遅延器95で順次遅延されてディジタル信号処理回路99に入力される。
サーキュレータ21,22の第二端子は、それぞれ、送受両用アンテナ78,88と結合する。デルタシグマ回路27,28にはクロック発生回路29により動作クロックか供給される。サーキュレータ21,22は、端子の循環順序で信号を伝達するので、送受両用アンテナ78,88は、電力増幅器9,19の出力を空間に放射し、回転偏波無線機309に到来する電磁波の電力を低雑音増幅器81,91に入力する。
その他の構成は、第9の実施の形態と同様である。
以上のように構成した本実施の形態においても、第9の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、電力増幅器に入力信号の生成および低雑音増幅器の出力信号の処理をすべてディジタル回路で実現可能となるので、無線通信システムを構成する回転偏波無線機の寸法の小型化を図ることができるとともに、回転偏波無線機の製造コストを低減することができ、さらに回転偏波無線機の長寿命化を実現することができる。
<第12の実施の形態>
本発明の第12の実施の形態を図12を参照しつつ詳細に説明する。
本実施の形態は、第1〜第11の実施の形態において示した無線通信システムを昇降機制御システムに適用したものである。
図11は、本実施の形態に係る無線通信システムを適用した昇降機制御システムを概略的に示す図である。
図11において、昇降機システム1100は、建物1101の内部を昇降カゴ1111が昇降する。建物1101の内部の床部および天井部には本発明の外部者からの伝搬路改変行為を検出し、改変に対して送受信間の通信品質の低下を補償する無線通信システムの送信機および受信機を具備する基地局無線機1103と直交偏波一体アンテナ1102が結合し設置される。昇降カゴ1111の外部天井と外部床面には、それぞれ、外部者からの伝搬路改変行為を検出し、改変に対して送受信間の通信品質の低下を補償する無線通信システムの送信機および受信機を具備する端末局無線機1113および直交偏波一体アンテナ1112が設置され、高周波ケーブル1114を用いて端末局無線機1113に結合されている。基地局無線機1103と端末局無線機1113は、建物1101の内部を無線伝送媒体とするので、建物1101の内壁および昇降カゴ1111の外壁により電磁波は多重反射を受け、多重波干渉環境が形成される。
本実施の形態においては、多重波干渉環境下で外部者からの伝搬路改変行為を検出し、改変に対して送受信間の通信品質の低下を補償する高品質の無線伝送が実現可能となるので、昇降カゴ1111の制御・監視を建物1101より有線接続手段を用いずに遠隔で実施することができ、ケーブル等の有線接続手段を削除可能である。また、同一の輸送能力をより小さい建物体積で実現することができる。あるいは、同一の建物体積で昇降機の寸法を増大させることによる輸送能力向上を実現することができる。
<第13の実施の形態>
本発明の第13の実施の形態を図13を参照しつつ詳細に説明する。
本実施の形態は、第1〜第11の実施の形態において示した無線通信システムを変電所制御システムに適用したものである。
図13は、本実施の形態に係る無線通信システムを適用した変電所制御システムを概略的に示す図である。
図13において、変電設備監視システム1200は、複数の変電機1201と変電機1201には、本発明の無線通信システムを構成する回転偏波無線機としての端末局無線機1203と端末局回転偏波アンテナ1202とが結合して設置されている。また、複数の変電機1201の近傍には、変電機1201の数よりも少ない数の複数の基地局装置1211が設営されている。基地局装置1211は、本発明の無線通信システムを構成する回転偏波無線機としての基地局無線機1213と基地局回転偏波アンテナ1212とが結合して設置されている。
変電機1201の寸法は数mのオーダーであり、回転偏波無線機が使用する電磁波の周波数である数百MHzから数GHzにおける波長に比べて圧倒的に大きいため、電磁波は複数の変電機1201により多重反射を受け、多重波干渉環境が形成される。
本実施の形態では、多重波干渉環境下で複数の反射波を用いて送受信間の通信品質の低下を補償する高品質の無線伝送が実現可能となるので、変電機1201の制御・監視を複数の基地局装置1211により有線接続手段を用いずに遠隔で実施できる。また、ケーブル等の有線接続手段を用いる場合に問題となる高圧誘導電力の問題を解決することにより、ケーブルの敷設コストを削除することができるので、変電機1201の制御・監視システムの安全性の向上、およびコストの削減を図ることができる。
なお、本発明は上記した各実施の形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施の形態は本願発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。