JP2017046033A - 圧電素子の製造方法及びドライエッチング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】エッチングレートの均一化に好適な圧電素子の製造方法を提供する。【解決手段】SAW素子1の製造方法は、電極形成工程(図2(c)〜図2(e))と、電極厚調整工程(図2(f))とを有している。電極形成工程では、SAW素子1が多数個取りされる圧電ウェハ21の両主面のうち第1主面21aのみにIDT電極7を形成する。電極厚調整工程では、IDT電極7が形成された圧電ウェハ21が、第2主面21bを下方に向けて下部電極45上に配置されている状態で、下部電極45にブロッキングキャパシタ49を介して交流電圧を印加して、IDT電極7を薄くするドライエッチングを行う。さらに、電極厚調整工程において、圧電ウェハ21は、下部電極45に載置された絶縁性のホルダ53によって第2主面の外周側部分が支持されており、これにより第2主面21bの中央側部分が浮いている。【選択図】図3
Description
本発明は、SAW(surface acoustic wave)素子等の圧電素子の製造方法及び当該製造方法に好適なドライエッチング装置に関する。
SAW素子等の圧電素子は、圧電基板と、その一方の主面に設けられた素子電極とを有している。このような圧電素子の製造方法は、例えば、圧電素子が多数個取りされる圧電ウェハに対してフォトリソグラフィーによって素子電極を形成する電極形成工程と、ドライエッチングによって素子電極を所定の厚さまで薄くする電極厚調整工程と、圧電ウェハを個片化して複数の圧電素子を得る個片化工程とを有している。電極厚調整工程が行われることによって、例えば、圧電素子の特性(例えばSAW素子の周波数特性)が調整される(特許文献1の従来技術の欄参照)。なお、特許文献1では、電極形成においてドライエッチングを利用することも開示されている。
導電層(電極)のドライエッチングにおいて、エッチングレートが圧電ウェハの中央側と外周側とで異なることがある。この場合、同一の圧電ウェハ内の複数の圧電素子間で電極厚などがばらつき、ひいては、特性がばらつくことがある。エッチングレートの中央側と外周側との相違を解消する手法は種々提案されているものの、公知の手法では十分な精度でエッチングレートの相違を解消できないことがあり、その原因も必ずしも明確ではなかった。従って、エッチングレートの均一化に好適な新たな圧電素子の製造方法及びドライエッチング装置が提供されることが望まれる。
本発明の一態様に係る圧電素子の製造方法は、圧電素子が多数個取りされる圧電ウェハの両主面のうち一方主面のみに素子電極を形成する電極形成工程と、前記素子電極が形成された前記圧電ウェハが、その他方主面を下方に向けて下部電極上に配置されている状態で、前記下部電極にブロッキングキャパシタを介して交流電圧を印加して、前記素子電極を薄くするドライエッチングを行う電極厚調整工程と、を有し、前記電極厚調整工程において、前記圧電ウェハは、前記下部電極に載置された絶縁性のホルダによって前記他方主面の外周側部分が支持されており、これにより前記他方主面の中央側部分が浮いている。
好適には、前記ホルダは、平面視において枠状である。
好適には、前記ホルダは、上方に面する凹部を有しており、当該凹部の底面中央側に開口が形成されることにより枠状とされており、前記電極厚調整工程では、前記圧電ウェハは前記凹部に収容されており、前記凹部の底面に前記他方主面の外周側部分が支持されている。
好適には、前記電極厚調整工程において、前記圧電ウェハは、前記凹部に嵌合している。
好適には、前記圧電ウェハは、水晶からなり、前記ホルダは、石英又は石英ガラスからなる。
本発明の他の一態様に係る圧電素子の製造方法は、圧電素子が多数個取りされる圧電ウェハの両主面のうち一方主面のみに導電層を形成する導電層形成工程と、前記導電層上にマスクを形成するマスク形成工程と、前記導電層及び前記マスクが形成された前記圧電ウェハが、その他方主面を下方に向けて下部電極上に配置されている状態で、前記下部電極にブロッキングキャパシタを介して交流電圧を印加して、前記導電層をパターニングするドライエッチングを行うパターニング工程と、を有し、前記パターニング工程において、前記圧電ウェハは、前記下部電極に載置された絶縁性のホルダによって前記他方主面の外周側部分が支持されており、これにより前記他方主面の中央側部分が浮いている。
本発明の他の一態様に係るドライエッチング装置は、下部電極と、前記下部電極に接続されているブロッキングキャパシタと、前記ブロッキングキャパシタを介して前記下部電極に交流電圧を印加可能な電源装置と、前記下部電極に載置されており、上方に面する凹部を有しており、当該凹部の底面中央側に開口が形成されることにより枠状とされており、前記開口の深さが前記凹部の深さの半分以下である絶縁性のホルダと、を有している。
上記の手順又は構成によれば、エッチングレートの均一化を図ることができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いられる図は模式的なものであり、図面上の寸法比率等は現実のものとは必ずしも一致していない。
(製造対象であるSAW素子の構成)
図1(a)は、本発明の実施形態に係る製造方法によって製造されるSAW素子1を示す模式的な平面図である。図1(b)は、図1(a)のIb−Ib線における断面図である。
図1(a)は、本発明の実施形態に係る製造方法によって製造されるSAW素子1を示す模式的な平面図である。図1(b)は、図1(a)のIb−Ib線における断面図である。
SAW素子1は、例えば、共振子又はフィルタとして利用される電子素子である。本実施形態の特徴は製造方法(製造装置)にあり、SAW素子1自体の基本的な構成は公知のものと同様でよいが、例えば、以下のとおりである。
SAW素子1は、一般に、比較的小さい電子素子である。例えば、SAW素子でも比較的小型のものの大きさの一例を示すと、SAW素子1がパッケージングされた電子部品の大きさで、厚さ(図1(a)の紙面貫通方向)が0.1mm以上0.4mm以下であり、平面視における長辺及び短辺の長さが0.5mm以上3mm以下である。
SAW素子1は、例えば、圧電基板3と、圧電基板3の一方主面(第1主面3a)に設けられた導電パターン5とを有している。
圧電基板3は、その主面(第1主面3a)においてSAWを伝搬させる部材である。圧電基板の材料、カット角及び寸法は公知のものと同様でよい。例えば、圧電基板の材料は、水晶(SiO2)、ニオブ酸タンタル(LiTaO3)単結晶、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)単結晶である。また、例えば、カット角は、圧電基板の材料が水晶で、SAWがレイリー波の場合は、STカットである。また、例えば、圧電基板3の厚さは、一定であり、また、100μm以上1mm以下である。
導電パターン5は、電極、配線及び端子等を構成している。導電パターン5の材料及び寸法は公知のものと同様でよい。例えば、導電パターン5は、アルミニウムからなる。また、導電パターン5の一部又は全部は、互いに異なる材料からなる金属層が積層されて構成されていてもよい。また、例えば、導電パターン5の厚さは、100nm以上300nm以下である。
図示の例において、導電パターン5は、いわゆる1ポートSAW共振子を構成している。1ポートSAW共振子は、IDT電極7と、IDT電極7をSAWの伝搬方向において挟む1対の反射器9とを有している。
IDT電極7は、1対の励振電極11を有している。各励振電極11は、櫛歯電極からなり、概ねSAWの伝搬方向に沿って延びるバスバー11aと、バスバー11aからSAWの伝搬方向に直交する方向に延びる複数の電極指11bとを有している。1対の励振電極11は、複数の電極指11bが互いに噛み合うように(交差するように)配置されている。反射器9は、格子状のパターンからなり、符号は省略するが、互いに対向する1対のバスバーと、当該1対のバスバー間において延びる複数の電極指とを有している。IDT電極7及び反射器9の電極指のピッチは、概ね一定である。
複数の電極指11bによって圧電基板3に電圧が印加されると、第1主面3a付近において、第1主面3aに沿って伝搬するSAWが誘起される。このSAWは、複数の電極指11bおよび反射器9によって反射される。その結果、複数の電極指11bのピッチを半波長とするSAWの定在波が形成される。定在波は、第1主面3aに電荷(定在波と同一周波数の電気信号)を生じさせる。その電気信号は、複数の電極指11bによって取り出される。このような作用によって、図示の構成は共振子として機能する。
なお、図1(a)は、SAW共振子の一例を模式的に示しているに過ぎず、SAW素子1は、公知の種々の共振子又はフィルタを有していてよい。例えば、SAW素子1は、複数の1ポートSAW共振子が接続されて構成されたラダー型SAWフィルタを有していてもよいし、複数のIDT電極7がSAWの伝搬方向に配列されて構成された多重(2重を含む)モード型SAWフィルタを有していてもよいし、前記のような共振子型フィルタではなく、トランスバーサル型SAWフィルタを有していてもよいし、送信用のSAWフィルタ及び受信用のSAWフィルタを含むデュプレクサを有していてもよい。
(製造方法の概略)
図2(a)〜図2(g)は、SAW素子1の製造方法の手順を説明する模式図である。具体的には、図2(a)及び図2(g)は、ウェハ全体を示す斜視図であり、図2(b)〜図2(f)は、図1(b)に対応する断面図である。図示のステップ(工程)は、図2(a)から図2(g)へ順に進む。なお、工程の進行に伴って各部の形状等は変化するが、便宜上、変化前と変化後とで同一の符号を用いることがある。
図2(a)〜図2(g)は、SAW素子1の製造方法の手順を説明する模式図である。具体的には、図2(a)及び図2(g)は、ウェハ全体を示す斜視図であり、図2(b)〜図2(f)は、図1(b)に対応する断面図である。図示のステップ(工程)は、図2(a)から図2(g)へ順に進む。なお、工程の進行に伴って各部の形状等は変化するが、便宜上、変化前と変化後とで同一の符号を用いることがある。
まず、図2(a)に示すように、圧電基板3が多数個取りされる圧電ウェハ21を準備する。圧電ウェハ21の外縁の形状は種々の形状とされてよい。例えば、外縁の形状(オリエンテーションフラット乃至はノッチを除いた形状)は、図2(a)に示すように円形でもよいし、矩形などの多角形であってもよい。圧電ウェハ21の厚さは、圧電基板3と同等の厚さである。なお、図2(b)は、図2(a)の圧電ウェハ21の一部を示す断面図である。
圧電ウェハ21の形成方法は、公知のものと同様でよい。例えば、圧電ウェハ21が水晶であれば、水熱合成法などにより人工水晶を生成し、その人工水晶の結晶軸を明確にするように表面研削加工を行い(ランバード加工)、ランバード加工された人工水晶をワイヤソーなどによって所定の角度で薄板状に切断し(ウェハ切断)、その薄板の外形を整え、主面を研磨する。なお、研磨は、両主面に対してなされてもよいし、第1主面3aとなる第1主面21aのみに対してなされてもよい。第2主面3bとなる第2主面21bは、ノイズとなる弾性波を好適に散乱するように研削などによって粗さが調整されてもよい。
圧電ウェハ21は、比較的高精度にウェハ切断及び主面の研磨が行われることなどによって基本的に平坦度が高い。例えば、JIS(日本工業規格)のC6760(弾性表面波デバイス用単結晶ウェハー仕様及び測定法)では、直径76.2.mmの水晶ウェハ(3インチウェハ)について、主面の算術平均粗さ(Ra)が0.5μm以上の場合はワープ(クランプしていない状態の最大高低差。ただし、ウェハ外周部は除く。)の限界値は30μm、主面の算術平均粗さが0.5μm未満のときはワープの限界値は20μmと規定されている。なお、同規格では、直径100mm以下の水晶ウェハ(3インチウェハ)の厚さの誤差は0.03mm以内とされている。
一般的には、水晶ウェハは、上記の規格の限界値よりも平坦である。平坦度の数値はあまり公開されていないことから、厚さの誤差を例示すると、ワイヤソーによるウェハ切断でも誤差を5μm以下にすることが可能であり、研磨を行えば誤差を1μm未満にすることも可能である。ワープの大きさは、この厚さの誤差と同程度と考えられる。なお、第2主面21b(第2主面3b)は、ノイズとなる弾性波を散乱させるために粗面加工されることがあるが、最大でも数μmである。
圧電ウェハ21を準備した後、図2(c)に示すように、圧電ウェハ21の第1主面21aには、導電パターン5となる導電層23が設けられ(導電層形成工程)、その上には、導電パターン5と同様のパターンのエッチングマスク25が設けられる(マスク形成工程)。これらの形成方法は、公知の方法と同様でよい。例えば、まず、スパッタリング又はCVD(Chemical Vapor Deposition)等により導電層23を形成する。次に、CVD等によりフォトレジストを成膜し、成膜されたフォトレジストを、フォトマスクを介して露光し、現像することによって、エッチングマスク25が形成される。
次に、図2(d)に示すように、エッチングマスク25を介して導電層23がエッチングされ、導電パターン5が形成される(パターニング工程)。エッチングは、ドライエッチングでもよいし、ウェットエッチングでもよい。次に、図2(e)に示すように、エッチングマスク25が除去される。なお、図2(c)〜図2(e)は、電極形成工程となっている。
その後、図2(f)に示すように、エッチングマスクを介さないドライエッチングによって導電パターン5は薄くされ、その厚さが調整される(電極厚調整工程)。電極指11bが薄くされることによって、SAW素子1の共振周波数は高くされ、これにより共振周波数が調整される。
より具体的には、例えば、電極形成後(図2(e)の後)、エッチングの前(図2(f)の前)に、SAW素子1の周波数特性を検査し、検査で得られた周波数特性と所望の周波数特性との差に基づいてエッチング量を決定し、そのエッチング量が得られるようにエッチング時間等のエッチング条件を定め、当該条件で図2(f)のエッチングを行う。なお、得られた周波数特性が所望の周波数特性になるまで、周波数特性の検査と所定のエッチング量のエッチングとを繰り返してもよい。
その後、図2(g)に示すように、圧電ウェハ21が切断され、圧電ウェハ21に形成されていた複数のSAW素子1は個片化される。なお、切断方法は、公知の方法と同様でよく、図2(g)では、ダイシングブレードを用いる場合を例示している。
(ドライエッチング装置の構成)
図3は、電極厚調整工程(図2(f))で用いられるドライエッチング装置41を模式的に示す断面図である。なお、このドライエッチング装置41は、パターニング工程(図2(d))において用いられてもよい。
図3は、電極厚調整工程(図2(f))で用いられるドライエッチング装置41を模式的に示す断面図である。なお、このドライエッチング装置41は、パターニング工程(図2(d))において用いられてもよい。
ドライエッチング装置41は、例えば、いわゆるカソードカップリングの容量結合型(平行平板型)のものであり、RIE(Reactive Ion Etching)とも呼ばれるものである。ドライエッチング装置41は、例えば、チャンバ43と、チャンバ43内に配置された下部電極45(カソード)及び上部電極47(アノード)と、これら電極にブロッキングキャパシタ49を介して電圧を印加する電源装置51と、下部電極45上にて圧電ウェハ21を支持するホルダ53と、を有している。
上記の各部の構成は、ホルダ53を除いて、公知の構成と同様でよい。換言すれば、ホルダ53が本実施形態の特徴部分の一つである。これらの構成は、具体的には、例えば、以下のとおりである。
(ドライエッチング装置の基本的な構成)
チャンバ43は、適宜な材料からなる容器によって構成されており、その内部にエッチングガス(プラズマ)を保持する。チャンバ43の下方側には排気口43aが設けられており、チャンバ43は、排気口43aを介して減圧される。減圧によって、例えば、プラズマ中のイオンの平均自由工程は長くなり、異方性エッチングの精度が向上する。また、エッチングによって生じた反応生成物は、排気口43aから排気される。チャンバ43は、一の圧電ウェハ21が配置されるものであってもよいし、複数の圧電ウェハ21が配置されるものであってもよい。換言すれば、ドライエッチング装置41は、枚葉式のものであってもよいし、バッチ式のものであってもよい。
チャンバ43は、適宜な材料からなる容器によって構成されており、その内部にエッチングガス(プラズマ)を保持する。チャンバ43の下方側には排気口43aが設けられており、チャンバ43は、排気口43aを介して減圧される。減圧によって、例えば、プラズマ中のイオンの平均自由工程は長くなり、異方性エッチングの精度が向上する。また、エッチングによって生じた反応生成物は、排気口43aから排気される。チャンバ43は、一の圧電ウェハ21が配置されるものであってもよいし、複数の圧電ウェハ21が配置されるものであってもよい。換言すれば、ドライエッチング装置41は、枚葉式のものであってもよいし、バッチ式のものであってもよい。
下部電極45は、上方に面して配置され、圧電ウェハ21を支持する。下部電極45の面積は、圧電ウェハ21の面積よりも広い。下部電極45の平面形状は適宜な形状とされてよい。下部電極45の上面等は、絶縁体によって覆われていてもよい。下部電極45の上面(前記のように絶縁体によって構成されていることもある。)は、一般には、本実施形態とは異なり、圧電ウェハ21が直接に載置される部分であり、圧電ウェハ21を平坦な状態で載置、クランプ又は吸着などができるように平坦である。例えば、下部電極45の上面は、上述の圧電ウェハ21(電極形成前)に要求される平坦度と同等以上の平坦度で平坦である。
上部電極47は、上方から下部電極45に対向し、ひいては、下部電極45上に配置された圧電ウェハ21に対向する。上部電極47は、例えば、下部電極45よりも広い面積を有している。上部電極47は、開口を下向きにした箱状のものとされ、チャンバを構成していてもよい。上部電極47は、内部が空洞とされているとともに、下面に複数の孔が形成されている。そして、矢印y1で示すように、エッチングガスは、上部電極47の内部を介してチャンバ43に供給される。上部電極47は、基準電位部と接続されている。
電源装置51は、適宜な周波数の交流電圧を出力可能である。例えば、本実施形態のように容量結合型のエッチング装置においては、電源装置51は、プラズマ生成用の比較的高い周波数の交流電圧(例えば27MHz〜60MHz)と、イオンエネルギー制御用の比較的低い周波数の交流電圧(例えば800kHz〜2MHz)を出力可能である。
ブロッキングキャパシタ49は、電源装置51と下部電極45との間に介在しており、電源装置51から下部電極45への交流電圧の印加を許容するとともに、下部電極45から電源装置51への電荷(電子)の移動を規制している。ブロッキングキャパシタ49の容量等は適宜に設定されてよい。
電源装置51から下部電極45に高周波電圧が印加されると、下部電極45と、基準電位が付与されている上部電極47との間の電圧によって、両者間にプラズマが生成される。生成されたプラズマの電子及びイオンは、交流電圧の電界によって振動する。この際、電子は、イオンに比較して、質量が軽いことから、容易に電界の変動に追従することができ、より多く電極に飛び込む。上部電極47に飛び込んだ電子は基準電位に流れ、その一方で、下部電極45に飛び込んだ電子はブロッキングキャパシタ49によってブロックされる。その結果、下部電極45は、負の電荷を帯びることになり、負の直流バイアスを生じる。
そして、負の直流バイアスによって電子は下部電極45から遠ざけられ、いわゆるイオンシースが形成される。その一方、イオンシースに近づいたイオンは下部電極45に向けて加速され、圧電ウェハ21(その上面の導電パターン5又は導電層23)に衝突する。これにより、例えば、導電パターン5(又は導電層23)にて反応生成物が生成及び脱離し、エッチングがなされる。なお、エッチングは、化学反応要因が高いものであってもよいし、物理的要因が高いものであってもよく、好適には、イオンアシスト反応が有効に生じるものである。換言すれば、エッチングガスは、適宜な種類のものが選択されてよい。
(ドライエッチング装置のホルダの構成)
ホルダ53は、下部電極45の上面に載置され、圧電ウェハ21の外周側部分を支持する部材である。従って、圧電ウェハ21の第2主面21bの中央側部分は、下部電極45から浮いた状態となる。このようにホルダ53によって圧電ウェハ21を支持することによって、圧電ウェハ21の中央側と外周側との間のエッチングレートの差を低減することができる。その理由については後述する。
ホルダ53は、下部電極45の上面に載置され、圧電ウェハ21の外周側部分を支持する部材である。従って、圧電ウェハ21の第2主面21bの中央側部分は、下部電極45から浮いた状態となる。このようにホルダ53によって圧電ウェハ21を支持することによって、圧電ウェハ21の中央側と外周側との間のエッチングレートの差を低減することができる。その理由については後述する。
なお、第2主面21bの外周側部分は、最も広く解釈した場合で、第2主面21bの中心(図形重心。ただし、オリエンテーションフラット又はノッチは考慮しない。以下、同様。)と外縁との中間位置から外側の領域である。同様に、第2主面21bの中央側部分は、最も広く解釈した場合で、上記の中間位置から中心側の領域である。
ホルダ53は、絶縁体からなる。ただし、一部に導電体が配置されていてもよい。絶縁体は、例えば、石英(例えば水晶)又は石英ガラスである。
ホルダ53は、例えば、全体として枠状とされている。これにより、ホルダ53は、圧電ウェハ21の外周部を支持可能である。より具体的には、ホルダ53は、上方に面する凹部53rを有し、その凹部53rの底面中央側に開口53aが形成されることにより、枠状とされている。圧電ウェハ21は、凹部53r内に配置され、凹部53rの底面によって外周部が支持される。なお、ホルダ53は、圧電ウェハ21のホルダ53に対する配置及び/又は取り出しを容易化するためなどの目的で、枠の一部(例えば1個所かつ全周の1/4未満)が途切れていたりしていてもよい。この一部が途切れている形状も、枠状に含まれるものとする。
凹部53rの平面形状及び開口53aの平面形状は適宜な形状とされてよい。好適には、これらの平面形状は、圧電ウェハ21の平面形状(オリエンテーションフラット又はノッチを考慮しても考慮しなくてもよい。)と相似形である。この場合、圧電ウェハ21を均等に支持できる。なお、凹部53r及び/又は開口53aの平面形状は、上方側と下方側とで異なっていてもよい。
凹部53rの平面視の形状及び大きさは、例えば、圧電ウェハ21が嵌合する形状及び大きさである。この場合、凹部53rは、圧電ウェハ21の平面方向の位置決めに寄与する。ただし、凹部53rの上方側部分は、圧電ウェハ21の配置及び/又は取り出しを容易化するために、圧電ウェハ21よりも広い形状及び大きさであってもよい。
開口53aの深さD1及び凹部53rの深さD2は適宜に設定されてよい。開口53aの深さD1は、例えば、比較的浅く、圧電ウェハ21の厚さの1倍以上3倍以下であり、又は、0.5mm以上1.5mm以下である。一方、凹部53rの深さD2は、例えば、比較的深く、圧電ウェハ21の3倍以上10倍以下であり、又は、2mm以上6mm以下である。また、深さD1は、例えば、深さD2よりも浅く、深さD2の半分以下又は1/3以下である。ただし、エッチングの精度に悪影響が生じない範囲で、開口53aを比較的深くしてもよい。また、凹部53rの深さD2を圧電ウェハ21の厚さよりも小さくしてもよい。
ホルダ53(凹部53rの底面)が圧電ウェハ21(第2主面21b)に当接する範囲(面積)は適宜に設定されてよい。例えば、最大で、ホルダ53は、第2主面21bの中心と第2主面21bの外縁との中間位置から外側の範囲(外縁から半径の50%の範囲)に当接してもよい。
ただし、圧電ウェハ21内の複数のSAW素子1間においてエッチングの条件を揃える観点から、凹部53rの底面は、できるだけ第2主面21bの外側に当接してもよい。すなわち、多数個取りされるSAW素子1は、圧電ウェハ21の外縁ぎりぎりまで配置されるわけではないことから、ホルダ53が当接する範囲を圧電ウェハ21の外縁側に限定すれば、ホルダ53が複数のSAW素子1に及ぼす影響のばらつきは緩和される。
具体的には、例えば、単結晶ウェハの外縁から5mmの範囲は、その製造誤差がSAW素子1のばらつきに及ぼす影響が少ない範囲であり、上記のJIS C6760では、単結晶ウェハの5箇所の厚さから厚さのばらつきを測定するとき、この範囲を除外している。そこで、当接する範囲は、第2主面21bの外縁(オリエンテーションフラット又はノッチを考慮してもよいし、考慮しなくてもよい)から5mmの範囲とされてよい。別の観点では、当接する範囲は、第2主面21bの外縁から直径の10%未満の範囲とされてよい。
ホルダ53の、圧電ウェハ21が載置される面(凹部53rの底面)は、平坦であることが好ましい。例えば、ホルダ53の平坦度は、圧電ウェハ21(電極形成前)に要求される平坦度(前述)以上である。ただし、ホルダ53は、圧電ウェハ21全体を面接触で支持するものではないことから、高い平坦度は必ずしも必要なく、圧電ウェハ21に要求される平坦度よりも平坦度が低くてもよい。
また、ホルダ53のうち、圧電ウェハ21よりも外側に位置する部分の、体積又は下部電極45に当接する面積は、適宜に設定されてよい。なお、圧電ウェハ21よりも外側に位置する部分は、上下方向(異方性エッチングの方向)において下部電極45と圧電ウェハ21との間に介在していないから、エッチングレートにさほど影響を及ぼさないと考えられる。
図4(a)及び図4(b)は、ホルダ53の作用を説明する模式的な断面図である。
図4(a)は、ホルダ53を用いなかった場合(比較例)における作用を示している。この図に示すように、圧電ウェハ21は、第1主面21aに導電パターン5が形成されると、圧電ウェハ21と導電パターン5との熱膨張差によって反りが生じる。具体的には、成膜後の導電パターン5の収縮によって、第1主面21a側を凹とするように圧電ウェハ21は反る。その結果、圧電ウェハ21を下部電極45に直接載置すると、例えば、第2主面21bの中央側のみが下部電極45に当接する。
このような状態においては、中央側のエッチングレートが外周側のエッチングレートよりも高くなりやすい。なお、圧電ウェハ21の平坦度が高い場合は、一般には、中央側ほどガス濃度が高くなったり、中央側ほど下部電極45内の冷媒によってウェハが冷却されたりすることから、中央側のエッチングレートが外周側のエッチングレートよりも低くなりやすい。
反った圧電ウェハ21において中央側のエッチングレートが高くなる理由として、例えば、直流バイアスの変化の影響が挙げられる。具体的には、図4(a)において模式的に示すように、圧電ウェハ21の第2主面21bの中央側部分は、下部電極45に当接していることから、下部電極45からの負の電荷によって帯電する。従って、下部電極45及び圧電ウェハ21の全体として、中央側にて負の電荷が相対的に多くなり、中央側の直流バイアスが強くなる。その結果、中央側において、圧電ウェハ21に衝突するイオンのエネルギーが増加し、エッチングレートが高くなる。
これに対して、図4(b)に示すようにホルダ53を用いると、中央側のエッチングレートと外周側のエッチングレートとの差が緩和される。なお、この際、エッチングレートは、図4(a)の場合に比較して全体的に若干低くなる。
ホルダ53を用いることによって、このような作用が生じる理由としては、例えば、以下のものが挙げられる。
まず、絶縁性のホルダ53が下部電極45と圧電ウェハ21との間に介在することになるから、圧電ウェハ21が直接に下部電極45に当接している場合に比較して、下部電極45の負の電荷は圧電ウェハ21へ移りにくい。すなわち、圧電ウェハ21は帯電しにくい。ひいては、下部電極45及び圧電ウェハ21の全体として、中央側にて負の電荷が相対的に多くなることが抑制され、中央側のエッチングレートが外周側のエッチングレートよりも高くなることが抑制される。
また、図4(b)において模式的に示すように、下部電極45の負の電荷は、ホルダ53に移ってホルダ53を帯電させ、更に、ホルダ53から圧電ウェハ21の外周側部分に移って当該外周側部分を帯電させる。従って、圧電ウェハ21は、ホルダ53によって下部電極45と隔てられているとはいえ、中央側部分に比較すれば、外周側部分が帯電する。また、下部電極45、ホルダ53及び圧電ウェハ21全体としては、外周側にて負の電荷が相対的に多くなり、直流バイアスが強くなる。
しかし、例えば、ホルダ53が圧電ウェハ21の外縁近くにおいてのみ位置しているのであれば、SAW素子1は、圧電ウェハ21の外縁ぎりぎりまで配置されているわけではないから、外周側においてエッチングレートが高くなっていることによる影響は小さい。
また、外周側の帯電を積極的に利用して、外周側のエッチングレートを高くし、これによりエッチングレートの均一化を図ることもできる。例えば、圧電ウェハ21の中央側部分は、ホルダ53によって下部電極45から浮いているから、仮に下部電極45に冷却機構があっても、冷却されにくい。このような場合、イオンの衝突による熱は、圧電ウェハ21の中央側において相対的に逃げにくく、圧電ウェハ21の中央側の温度が相対的に上昇しやすい。その結果、中央側のエッチングレートが相対的に上昇しやすい。そこで、ホルダ53及び圧電ウェハ21の外周側部分の帯電を利用して、外周側のエッチングレートを高くすれば、温度によるエッチングレートの差を緩和できる。
以上のとおり、本実施形態に係るSAW素子1の製造方法は、電極形成工程(図2(c)〜図2(e))と、電極厚調整工程(図2(f))とを有している。電極形成工程では、SAW素子1(厳密にはその圧電基板3)が多数個取りされる圧電ウェハ21の両主面のうち第1主面21aのみにIDT電極7を形成する。電極厚調整工程では、IDT電極7が形成された圧電ウェハ21が、第2主面21bを下方に向けて下部電極45上に配置されている状態で、下部電極45にブロッキングキャパシタ49を介して交流電圧を印加して、IDT電極7を薄くするドライエッチングを行う。さらに、電極厚調整工程において、圧電ウェハ21は、下部電極45に載置された絶縁性のホルダ53によって第2主面の外周側部分が支持されており、これにより第2主面21bの中央側部分が浮いている。
従って、図4(a)及び図4(b)を参照して説明したように、第2主面21bの中央側部分が下部電極45に当接することによって帯電することが抑制されることなどにより、圧電ウェハ21の中央側でエッチングレートが高くなるおそれが低減される。ひいては、エッチングレートを好適に均一化できる。
また、本実施形態では、ホルダ53は、平面視において枠状である。
従って、簡便な構成で圧電ウェハ21の外周側部分を支持して、中央側部分を浮かせることができる。また、例えば、ホルダ53が開口53aに代えて凹部53rの底面に更に別の凹部を有するような構成であり、これにより圧電ウェハ21の外周部を支持する態様(すなわち、ホルダが枠状でない態様。当該態様も本願発明に含まれる)では、ホルダ53が圧電ウェハ21の全体に亘って帯電する。このような態様に比較して、ホルダ53が帯びる負の電荷を圧電ウェハ21の外周側に集中させて、意図しない帯電の影響を低減したり、逆に、外周側のエッチングレートを高くしたりすることができる。
また、本実施形態では、ホルダ53は、上方に面する凹部53rを有しており、当該凹部53rの底面中央側に開口53aが形成されることにより枠状とされている。電極厚調整工程では、圧電ウェハ21は凹部53rに収容されており、凹部53rの底面に第2主面21bの外周側部分が支持されている。
従って、圧電ウェハ21がホルダ53から脱落するおそれを低減できる。また、例えば、圧電ウェハ21の直下の下部電極45だけでなく、圧電ウェハ21の側方に位置する凹部53rの内周面が負に帯電すると、イオンの移動方向を若干外向きにすることができる。その結果、上面を凹とするように沿っている圧電ウェハ21の第1主面21aの外周側部分に好適にイオンを衝突させ、効率的にエッチングが行われることが期待される。
また、本実施形態では、電極厚調整工程において、圧電ウェハ21は、凹部53rに嵌合している。
従って、ホルダ53は、圧電ウェハ21の位置決めに寄与しうる。また、例えば、圧電ウェハ21の外周側部分に負の電荷を帯びさせたい場合においては、ホルダ53が圧電ウェハ21の外周面に当接していることによって、下部電極45の負の電荷を、ホルダ53を介して圧電ウェハ21に移しやすく、都合がよい。
また、本実施形態では、圧電ウェハ21は、水晶からなり、ホルダ53は、石英又は石英ガラスからなる。
石英(水晶含む)又は石英ガラスは、例えば、他の絶縁体に比較すれば、帯電性に関して水晶に近い(又は同じ)性質を有することから、ホルダ53と圧電ウェハ21との間で正負の電荷が交換されるなどの意図しない作用が生じるおそれが低い。また、例えば、石英又は石英ガラスは、正に帯電しやすく負に帯電しにくい絶縁体であることから、意図しない負の直流バイアスを低減する観点から好ましい。また、例えば、石英ガラスは、耐熱性に優れていることから、ホルダ53を繰り返し使用することができる。
また、別の観点では、本実施形態のSAW素子1の製造方法は、導電層形成工程(図2(c))と、マスク形成工程(同図)と、パターニング工程(図2(d))とを有している。導電層形成工程では、SAW素子1が多数個取りされる圧電ウェハ21の両主面のうち第1主面21aのみに導電層23を形成する。マスク形成工程では、導電層23上にエッチングマスク25を形成する。パターニング工程では、導電層23及びエッチングマスク25が形成された圧電ウェハ21が、第2主面21bを下方に向けて下部電極45上に配置されている状態で、下部電極45にブロッキングキャパシタ49を介して交流電圧を印加して、導電層23をパターニングするドライエッチングを行う。前記パターニング工程において、圧電ウェハ21は、下部電極45に載置された絶縁性のホルダ53によって第2主面21bの外周側部分が支持されており、これにより第2主面21bの中央側部分が浮いている。
従って、パターニング工程においても、図4(a)及び図4(b)を参照して説明した作用が得られ、エッチングレートが好適に均一化される。ただし、エッチングマスク25を介したエッチングは、エッチングの異方性や側壁保護プロセスに影響される、断面視における幅方向の寸法について精度の向上が求められ、エッチングレート自体が直接的に精度に及ぼす影響は、エッチングマスクを介さないエッチング(電極厚調整工程)に比較して小さい。
また、本実施形態のドライエッチング装置41は、下部電極45と、下部電極45に接続されているブロッキングキャパシタ49と、ブロッキングキャパシタ49を介して下部電極45に交流電圧を印加可能な電源装置51と、絶縁性のホルダ53とを有している。ホルダ53は、下部電極45に載置されており、上方に面する凹部53rを有しており、当該凹部53rの底面中央側に開口53aが形成されることにより枠状とされており、開口53aの深さが凹部53rの深さの半分以下である。
当該ドライエッチング装置41によれば、上述した好適な電極厚調整工程及び/又はパターニング工程を実現することができる。また、開口53aの深さは、凹部53rの深さの半分以下であることから、凹部53rに配置される圧電ウェハ21において、圧電ウェハ21と下部電極45との距離は比較的小さい。従って、例えば、ホルダ53が介在することによって、イオンシースに対して圧電ウェハ21が入り込み過ぎ、エッチングが好適になされないおそれが低減される。
なお、以上の実施形態において、SAW素子1は圧電素子の一例であり、第1主面21aは圧電ウェハの一方主面の一例であり、第2主面21bは圧電ウェハの他方主面の一例であり、IDT電極7は素子電極の一例である。
(実施例)
以下に、ホルダ53を設けることによって、中央側のエッチングレートが外周側のエッチングレートよりも高い状況が改善された実施例のエッチング条件を示す。
SAW素子1:
圧電基板3の材料:水晶
導電パターン5の材料:アルミニウム
圧電ウェハ21:
直径:3インチ
電極形成後の反り量:100μm以下
エッチングレート:
水晶:アルミニウム=10:1
エッチングガス:CF4
ホルダ53:
材料:水晶
高さ:5mm
凹部53rの深さD2:4mm
開口53aの深さD1:1mm
以下に、ホルダ53を設けることによって、中央側のエッチングレートが外周側のエッチングレートよりも高い状況が改善された実施例のエッチング条件を示す。
SAW素子1:
圧電基板3の材料:水晶
導電パターン5の材料:アルミニウム
圧電ウェハ21:
直径:3インチ
電極形成後の反り量:100μm以下
エッチングレート:
水晶:アルミニウム=10:1
エッチングガス:CF4
ホルダ53:
材料:水晶
高さ:5mm
凹部53rの深さD2:4mm
開口53aの深さD1:1mm
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
圧電素子は、SAW素子に限定されない。例えば、SAW以外の他の弾性波を利用する弾性波素子であってもよいし、ジャイロセンサであってもよい。また、圧電素子は、ホルダを用いたドライエッチングの後、かつ個片化の前に、素子電極の上に保護膜が形成されたり、他方主面(第2主面21b)に圧電基板(3)の不要な電荷を放出するための裏面電極が形成されたりするものであってもよい。また、圧電基板(圧電ウェハ)は、単結晶からなるものに限定されず、セラミックからなるものであってもよい。また、圧電基板(圧電ウェハ)は、2種以上の圧電基板が、有機材料若しくは無機材料により貼り合わされたもの、又は直接的に貼り合わされたものであってもよい。
ホルダを用いた電極のエッチングは、パターニングと電極厚調整との双方に利用される必要はなく、例えば、電極厚調整のみに利用されてよい。実施形態では、電極のパターニングはエッチングによって行われたが、電極は、マスクを介してスパッタリングをすることなどによって、当初からパターニングされた状態で形成されてもよい。
ドライエッチング装置は、下部電極に負の直流バイアスを生じさせるものであればよく、容量結合式に限定されない。例えば、ドライエッチング装置は、磁場の印加によってプラズマを高密度化するマグネトロンRIEであってもよいし、電子サイクロトロン共鳴によって高密度なプラズマを生成するECR(Electron Cyclotron Resonance)プラズマエッチャーであってもよいし、電磁誘導によって高密度なプラズマを生成するICP(Inductive Coupled Plasma)プラズマエッチャーであってもよい。
1…SAW素子(圧電素子)、7…IDT電極(素子電極)、21…圧電ウェハ、21a…第1主面(一方主面)、21b…第2主面(他方主面)、45…下部電極、49…ブロッキングキャパシタ、53…ホルダ。
Claims (7)
- 圧電素子が多数個取りされる圧電ウェハの両主面のうち一方主面のみに素子電極を形成する電極形成工程と、
前記素子電極が形成された前記圧電ウェハが、その他方主面を下方に向けて下部電極上に配置されている状態で、前記下部電極にブロッキングキャパシタを介して交流電圧を印加して、前記素子電極を薄くするドライエッチングを行う電極厚調整工程と、
を有し、
前記電極厚調整工程において、前記圧電ウェハは、前記下部電極に載置された絶縁性のホルダによって前記他方主面の外周側部分が支持されており、これにより前記他方主面の中央側部分が浮いている
圧電素子の製造方法。 - 前記ホルダは、平面視において枠状である
請求項1に記載の圧電素子の製造方法。 - 前記ホルダは、上方に面する凹部を有しており、当該凹部の底面中央側に開口が形成されることにより枠状とされており、
前記電極厚調整工程では、前記圧電ウェハは前記凹部に収容されており、前記凹部の底面に前記他方主面の外周側部分が支持されている
請求項2に記載の圧電素子の製造方法。 - 前記電極厚調整工程において、前記圧電ウェハは、前記凹部に嵌合している
請求項3に記載の圧電素子の製造方法。 - 前記圧電ウェハは、水晶からなり、
前記ホルダは、石英又は石英ガラスからなる
請求項1〜4のいずれか1項に記載の圧電素子の製造方法。 - 圧電素子が多数個取りされる圧電ウェハの両主面のうち一方主面のみに導電層を形成する導電層形成工程と、
前記導電層上にマスクを形成するマスク形成工程と、
前記導電層及び前記マスクが形成された前記圧電ウェハが、その他方主面を下方に向けて下部電極上に配置されている状態で、前記下部電極にブロッキングキャパシタを介して交流電圧を印加して、前記導電層をパターニングするドライエッチングを行うパターニング工程と、
を有し、
前記パターニング工程において、前記圧電ウェハは、前記下部電極に載置された絶縁性のホルダによって前記他方主面の外周側部分が支持されており、これにより前記他方主面の中央側部分が浮いている
圧電素子の製造方法。 - 下部電極と、
前記下部電極に接続されているブロッキングキャパシタと、
前記ブロッキングキャパシタを介して前記下部電極に交流電圧を印加可能な電源装置と、
前記下部電極に載置されており、上方に面する凹部を有しており、当該凹部の底面中央側に開口が形成されることにより枠状とされており、前記開口の深さが前記凹部の深さの半分以下である絶縁性のホルダと、
を有しているドライエッチング装置。
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