JP2017044630A - 直線摺動ポテンショメータ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】所定の距離だけ離れた第一の磁石と第二の磁石に対して、磁界の角度を検出する2個のホールIC208、210を配置する。第一ホールIC208に組み込まれている演算器のプログラムに、磁界の角度がリニア検出可能範囲を外れた場合に、飽和電圧を出力する機能を持たせる。コンパレータ402は、第一ホールIC208の出力信号を定電圧発生回路405が出力する参照電圧と比較して、第一ホールIC208の出力信号が参照電圧以上になったら、マルチプレクサ401を第二ホールIC210の出力信号へ切り替える。
【選択図】図4
Description
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本実施形態に係る直線摺動ポテンショメータは、演算器を内蔵する二つのホールICを摺動体の摺動方向に並べて、1個のホールICが検出可能な摺動体の位置の直線検出可能な距離を合成する。
2個のホールICの出力信号を合成するために、第一ホールICは、合成させる位置で基準圧発生回路の参照電圧以上の出力電圧になるようにする。コンパレータは第一ホールICの出力信号が基準圧発生回路の参照電圧以上になったら、コンパレータの出力信号がLowからHighに切り替わる。マルチプレクサは、コンパレータの出力信号を受けて第二ホールICの出力信号へ切り替わる。
図1は、本発明の実施形態である、直線摺動ポテンショメータ101の外観斜視図である。
直線摺動ポテンショメータ101は、いわゆるスライドボリュームに似た形状の筐体102を有する。筐体102の上面にはレール103が設けられており、レール103には摺動体104が取り付けられている。直線摺動ポテンショメータ101は、レール103上における摺動体104の長手方向における絶対位置を、アナログ電圧信号として出力する。
図3Aは、直線摺動ポテンショメータ101の上面図である。
図3Bは、直線摺動ポテンショメータ101の、図3AのA−A方向における横断面図である。
下ケース201の凹部201aには、遮蔽板202を介して固定基板203が装着される。下ケース201の上面には、レール103がネジ止めにて装着される。レール103には摺動体104が長手方向に摺動可能に装着される。
摺動体104にはプラスチック等の非磁性体よりなるホルダ204がネジ止めされる。ホルダ204には第一磁石205と第二磁石206が装着される。第一磁石205と第二磁石206は平面に対して垂直方向に磁極面が設けられ、その磁極の方向は互いに逆である。
第一ホールIC208と第二ホールIC210は同一のホールICを採用しており、ホールICに記憶されるプログラムのみが異なる。
図4は、直線摺動ポテンショメータ101の回路図である。
第一ホールIC208と第二ホールIC210は、ホール素子と演算器を内蔵する、プログラムによって所望の機能を実現する磁気センサである。
第一ホールIC208と第二ホールIC210の出力端子は、それぞれマルチプレクサ401の入力端子に接続される。
更に、第一ホールIC208の出力端子には、コンパレータ402のプラス側入力端子が接続される。コンパレータ402のマイナス側入力端子には、例えば抵抗R403とツェナーダイオードD404よりなるような基準電圧発生回路405が接続されている。この基準電圧発生回路405は+2.5Vを出力する。コンパレータ402の出力信号は、マルチプレクサ401の制御端子に接続される。
マルチプレクサ401の出力端子には、周知のボルテージフォロワよりなるバッファ406が接続される。
第一ホールIC208と第二ホールIC210は、例えばMelexis社のMLX90360であるが、他の同等機能を有するホールICであってもよい。MLX90360は三次元方向の磁場を検出可能であるが、本実施形態においてはY軸方向とZ軸方向の信号のみ扱う。第一ホールIC208と第二ホールIC210は、ホール素子、A/D変換器、そして演算器を内蔵し、演算器にプログラムを設定することで、Y軸方向とZ軸方向の磁界の角度に応じた検出電圧を出力する。
図5A、図5B、図5C、図5D及び図6Eは、第一磁石205と第二磁石206と、ホールIC501の位置関係を説明する概略図である。
図7A及び図7Bは、第一磁石205と第二磁石206が形成する磁界と、ホールIC501が検出する磁界を説明する概略図である。
先ず、図5Aにおいて、ホールIC501は、第一磁石205と第二磁石206が形成する磁界を検出することで、第一磁石205と第二磁石206の絶対位置を検出する。このために、図5Bに示すように、ホールIC501は、磁界のY軸方向(長手方向)とZ軸方向(深さ方向)を検出する。
磁界の角度を単位ベクトルにて書き直すと、図7Bのようになる。
図7Bにおいて、ベクトルV711は、ホールIC501が図7Aの位置P701で検出した磁界の単位ベクトルである。ベクトルV712は、ホールIC501が図7Aの位置P702で検出した磁界の単位ベクトルである。以下同様に、ベクトルV713は、図7Aの位置P703に、ベクトルV714は、図7Aの位置P704に、ベクトルV715は、図7Aの位置P705に、ベクトルV716は、図7Aの位置P706に、それぞれ対応する。
このように、ホールIC501は磁界の長手方向成分と深さ方向成分の強度を測定して、磁界の角度を算出することで、ホールIC501に対する第一磁石205と第二磁石206の長手方向の絶対位置を取得できる。
図5Aにおいて、ホールIC501に対する第一磁石205と第二磁石206の直線上の位置を、直線性(リニアリティ)を維持して検出できる範囲は、概ね第一磁石205の中心から第二磁石206の中心までの範囲である。これ以降、ホールIC501が第一磁石205と第二磁石206の直線性を維持して検出できる範囲を、リニア検出可能範囲と呼ぶ。第一磁石205と第二磁石206の中心位置がリニア検出可能範囲を外れると、第一磁石205と第二磁石206の移動距離に対する磁界の角度の変化が減少するため、直線性が損なわれる。
つまり、1個のホールIC501に対して第一磁石205と第二磁石206の位置を、直線性を維持して検出できる範囲は、図5Cに示すような位置関係になる。
第一磁石205と第二磁石206が第一ホールIC208のリニア検出可能範囲内に存在する時は、第一ホールIC208の出力信号を選択する。そして、第一磁石205と第二磁石206が第二ホールIC210のリニア検出可能範囲内に存在する時は、第二ホールIC210の出力信号を選択する。
この時、第一ホールIC208の出力信号と、第二ホールIC210の出力信号のどちらを選択するのか、何らかの方法で検出しなければならない。例えば、図6Eに示すように、第一ホールIC208から見て、第一磁石205と第二磁石206が第一ホールIC208のリニア検出可能範囲外にあることを検出可能にする必要がある。この位置は、図7AにおけるホールIC501の位置P706であり、図7BにおけるベクトルV716である。
図9は、第一ホールICの出力信号と第二ホールICの出力信号を切り替えて合成させたグラフである。
何れのグラフも、横軸は摺動体104の絶対位置であり、縦軸は電圧である。
図8Aにおいて、摺動体104の位置が0mmの時(位置P801)、第一ホールIC208は0.5Vを出力する。そして、摺動体104の位置が50mmの時点(位置P802)で2.5Vを出力するまで、第一ホールIC208は出力電圧を0.5Vから2.5Vまでリニアに変化させる。このリニアな変化は、(2.5+α)Vまで続く(位置P803)、そして、第一ホールIC208は位置P804まで(2.5+α)Vを維持し続ける(位置P804)。更に摺動体104を移動させると、第一ホールIC208の出力電圧は5Vに上昇し、摺動体104の位置が最終位置である100mmに至るまで、第一ホールIC208は出力電圧を5Vに維持する(位置P805)。
なお、位置P803から位置P804に至るまでの間、第一ホールIC208は摺動体104の位置にかかわらず、一定の出力信号を(2.5+α)Vに維持し続ける。これは、組立作業において第一ホールIC208のリニア検出可能範囲を出力信号で確認するための処置であり、特に設定しなくても構わない。
なお、位置P812から位置P813に至るまでの間、第二ホールIC210は(2.5−α)Vを維持し続ける。
この処理も、前述の第一ホールIC208における、位置P803から位置P804に至るまでの間と同様、組立作業において第一ホールIC210のリニア検出可能範囲を出力信号で確認するための処置であり、特に設定しなくても構わない。
そして、図8Bに示すように、第一磁石205と第二磁石206の位置が第一ホールIC208のリニア検出可能範囲から外れ、第二ホールIC210のリニア検出可能範囲にある時は、第二ホールIC210は2.5Vから4.5Vまでの範囲で、第一磁石205と第二磁石206の位置に対応する電圧を出力する。
最終的に、図9に示すように、第一ホールIC208の出力信号と、第二ホールIC210の出力信号とを、コンパレータ402とマルチプレクサ401を用いて切り替えることにより、ホールIC501のリニア検出可能範囲をほぼ2倍近くまで増大することができる。
(1)上述の実施形態では、2個のホールIC501を組み合わせて、リニア検出可能範囲をほぼ2倍にする直線摺動ポテンショメータ101を開示したが、ホールIC501を組み合わせる個数は2個に限らず、3個以上でも可能である。
図10は、ホールIC501が3個の場合における、直線摺動ポテンショメータ1001の回路図である。
第一ホールIC1002と第二ホールIC1003は、第一マルチプレクサ1004に接続される。
第一コンパレータ1005は、第一ホールIC1002の出力信号を第一電圧源1006の電位と比較し、その判定信号を第一マルチプレクサ1004に供給する。
第一マルチプレクサ1004の出力信号と第三ホールIC1007は、第二マルチプレクサ1008に接続される。
第二コンパレータ1009は、第一マルチプレクサ1004の出力信号を第二電圧源1010の電位と比較し、その判定信号を第二マルチプレクサ1008に供給する。
第二マルチプレクサ1008の出力信号はバッファ406によって電流増幅される。
図11(B)は、第一ホールIC1002の出力信号のグラフである。
図11(C)は、第二ホールIC1003の出力信号のグラフである。
図11(D)は、第三ホールIC1007の出力信号のグラフである。
図11(E)は、3個のホールICの出力信号を切り替えて合成させたグラフである。
図11(A)に示す3個のホールIC501とリニア検出可能範囲の位置関係と、図11(B)、図11(C)、図11(D)及び図11(E)の横軸(摺動体104の位置)は等しい。
なお、説明の都合上、第一ホールIC1002は、第一磁石205と第二磁石206が第三ホールIC1007のリニア検出可能範囲内にある時、第一磁石205と第二磁石206の磁気を検出できなくなるものとする。また、第三ホールIC1007は、第一磁石205と第二磁石206が第一ホールIC1002のリニア検出可能範囲内にある時、第一磁石205と第二磁石206の磁気を検出できなくなるものとする。
第一磁石205と第二磁石206が第一ホールIC1002のリニア検出可能範囲から外れると、先ず、第一ホールIC1002は図11(B)に示すように、摺動体104の位置が位置P1102から位置P1103まではリニアな電圧を出力する。
一方、第一磁石205と第二磁石206が第一ホールIC1002のリニア検出可能範囲から外れ、第二ホールIC1003のリニア検出可能範囲内にある時、第二ホールIC1003は図11(C)に示すように、摺動体104の位置に応じた出力信号を出力する(P1107からP1108まで)。
摺動体104の位置が位置P1110から位置P1111までは、第二ホールIC1003は、図8Bの位置P812から位置P813と同様に、第一電圧源1006の電圧より低い電圧を維持する。
摺動体104の位置が位置P1112から位置P1113までは、第二ホールIC1003は、図8Aの位置P803から位置P804と同様に、位置P1112における出力電圧を維持する。この時点の、第二ホールIC1003の出力電圧は、図8Aの位置P803と同様、第二電圧源1010の電圧より高い。更に摺動体104を移動させると、第二ホールIC1003は、図8Aの位置P804と同様、飽和電圧を出力する。
一方、第一磁石205と第二磁石206が第二ホールIC1003のリニア検出可能範囲から外れ、第三ホールIC1007のリニア検出可能範囲内にある時、第三ホールIC1007は図11(D)に示すように、摺動体104の位置に応じた出力信号を出力する(P1115からP1116まで)。
また、第一磁石205と第二磁石206が第二ホールIC1003のリニア検出可能範囲内にある時は、第三ホールIC1007のリニア検出可能範囲外である。この時、第三ホールIC1007は図11(D)に示すように、摺動体104の位置が位置P1118では図8Bの位置P810と同様、飽和電圧を出力する。
摺動体104の位置が位置P1115に至ったら、第三ホールIC1007は、図8Bの位置P813から位置P815と同様、リニア検出可能範囲である位置P1115から位置P1116まで、摺動体104の位置に応じた出力信号を出力する。
(3)ホールICは直流磁界を検出できるセンサとしてホール素子を使用しているが、直流磁界を検出できるセンサはホール素子に限られない。磁気抵抗素子等、他の直流磁界を検出できるセンサを利用可能である。ホール素子を使用しない場合、ホールICという呼称の代わりに直流磁界検出装置と呼ぶことができる。第一ホールIC208は第一磁気検出装置と、第二ホールIC210は第二磁気検出装置と読み替えることとなる。
このように、第一磁石205と第二磁石206がホールIC501のリニア検出可能範囲を外れたことを検出したことを受けて、ホールIC501がコンパレータ402へ出力する、飽和電圧又は0V等、コンパレータ402に印加される参照電圧に対して明確に異なる電圧を、コンパレータ402のための制御電圧と呼ぶことができる。また、この制御電圧を出力するためにソフトウェア機能にて設けられた、デジタルスイッチ606、デジタルコンパレータ607、飽和値データ608及び閾値データ609を、制御電圧出力部と呼ぶことができる。
磁界の角度を検出するホールIC501のリニア検出可能範囲を並べた位置に、2個のホールIC501を配置する。そして、第一ホールIC208には、組み込まれている演算器のプログラムに、磁界の角度がリニア検出可能範囲を外れた場合に、飽和電圧を出力する機能を持たせる。コンパレータ402は、第一ホールIC208の出力信号を定電圧発生回路が出力する参照電圧と比較して、第一ホールIC208の出力信号が参照電圧以上になったら、マルチプレクサ401を第二ホールIC210の側へ切り替える。このように、ホールIC501のプログラムと、コンパレータ402とマルチプレクサ401を組み合わせることで、リニア検出可能範囲を拡大することが可能になる。
例えば、上記した実施形態は本発明をわかりやすく説明するために装置及びシステムの構成を詳細かつ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることは可能であり、更にはある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。
また、上記の各構成、機能、処理部等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計するなどによりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行するためのソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の揮発性あるいは不揮発性のストレージ、または、ICカード、光ディスク等の記録媒体に保持することができる。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしもすべての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
また、本実施形態では磁石を2個使っているが、1個又は3個以上使った構成でもよい。
また、本実施形態では測定長100mmになっているが、測定長は100mmに限定されない。
また、本実施形態ではリニアアナログ出力になっているが、Sin出力、Cos出力などの関数出力であってもよい。
Claims (2)
- 長手方向に摺動する摺動体と、
前記摺動体に固着される第一の磁石と、
前記摺動体の、前記第一の磁石に対し前記長手方向に所定の距離だけ離れた位置に固着されて、前記第一の磁石が発する磁界と反対の磁界を発する第二の磁石と、
前記第一の磁石と前記第二の磁石が形成する磁界の角度を電圧信号として出力する第一磁気検出装置と、
前記第一磁気検出装置と前記長手方向に所定の距離だけ離れた位置に設けられ、前記第一の磁石と前記第二の磁石が形成する磁界の角度を電圧信号として出力する第二磁気検出装置と、
前記第一磁気検出装置の出力信号と前記第二磁気検出装置の出力信号を選択的に出力するマルチプレクサと、
前記第一磁気検出装置の出力信号を所定の参照電圧と比較して、その比較結果に応じて前記マルチプレクサを制御するコンパレータと
を具備する直線摺動ポテンショメータであって、
前記第一磁気検出装置は、前記摺動体の、前記第一磁気検出装置に対する前記長手方向における移動距離と、前記第一磁気検出装置が出力する電圧信号が直線性を維持するリニア検出可能範囲から、前記摺動体が離脱したことを検出して、前記マルチプレクサが前記第二磁気検出装置の出力信号を選択するべく前記コンパレータが前記マルチプレクサを制御するための制御電圧を出力する、
直線摺動ポテンショメータ。 - 前記第一磁気検出装置は、前記摺動体の、前記第一磁気検出装置に対する前記長手方向における移動距離と、前記第一磁気検出装置が出力する電圧が直線性を維持するリニア検出可能範囲から、前記摺動体が離脱した際、前記摺動体の移動にかかわらず前記参照電圧を超える所定の電圧を維持する移動範囲を経て、前記制御電圧を出力する、
請求項1に記載の直線摺動ポテンショメータ。
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