JP2017044189A - 電子制御装置及びコンピュータプログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】フェールセーフ用のスイッチ部の故障診断を適切に行え、エンジンの始動性を高める。
【解決手段】スタータ制御装置は、エンジンの始動要求が発生すると(S3:YES)、通電命令をスタータリレーに通知し(S4)、スタータの駆動を開始し、エンジンの始動後に、故障診断の実行条件が成立していると(S6:YES)、遮断命令をスタータカットリレーに通知し(S7)、スタータカットリレーの故障診断を行う。スタータ制御装置は、遮断命令がスタータカットリレーに通知された後のスタータへの印加電圧が所定電圧を超えていないときにスタータカットリレーが正常であると特定し(S9)、印加電圧が所定電圧を超えているときにスタータカットリレーが異常であると特定する(S10)。
【選択図】図2

Description

本発明は、電子制御装置及びコンピュータプログラムに関する。
車両のエンジンを始動させるスタータは、スタータを駆動するスタータリレーと、回路故障によるスタータの駆動を回避するフェールセーフ用のスタータカットリレーとを介してバッテリ電源に接続されている(例えば特許文献1参照)。
特開2012−202309号公報
この種のスタータを制御するスタータ制御装置では、従来はスタータカットリレーの故障診断を以下のように行っていた。即ち、スタータ制御装置は、エンジンの始動要求が発生し、故障診断の実行条件が成立すると、スタータカットリレーを遮断したままスタータリレーを通電し、その状態でのスタータへの印加電圧を所定電圧(0ボルト)と比較する。スタータ制御装置は、スタータへの印加電圧が所定電圧を超えていないと判定すると、スタータカットリレーが正常であると特定し、印加電圧が所定電圧を超えていると判定すると、スタータカットリレーが異常であると特定する。そして、スタータ制御装置は、故障診断を行った後に、スタータリレーを通電したままスタータカットリレーを通電し、スタータの駆動を開始する。
しかしながら、上記した構成では、エンジンの始動要求が発生したタイミングに対してスタータの駆動を開始するタイミングが故障診断を行う時間分だけ遅くなり、エンジンの始動性の点で改善する余地があった。
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、フェールセーフ用のスイッチ部の故障診断を適切に行うことができ、しかも、エンジンの始動性を高めることができる電子制御装置を提供することにある。
請求項1に記載した発明によれば、スイッチ制御部(2a)は、第1の診断方法による故障診断として、エンジンの始動要求が発生したと判定すると、第2のスイッチ部(8)を通電したまま通電命令を第1のスイッチ部(7)に通知して電気負荷(4)の駆動を開始する。そして、スイッチ制御部は、エンジンの始動後に、第1の診断方法による故障診断の実行条件が成立していると判定すると、第1のスイッチ部を通電したまま遮断命令を第2のスイッチ部に通知する。物理量検出部(2b)は、電気負荷に対して電気的に作用する物理量を検出する。特定部(2c)は、第1の診断方法による故障診断では、遮断命令が第2のスイッチ部に通知された後の物理量が所定量を超えていないときに第2のスイッチ部が正常であると特定し、物理量が所定量を超えているときに第2のスイッチ部が異常であると特定する。
即ち、エンジンの始動要求が発生すると、電気負荷の駆動を開始し、エンジンの始動後に、第1の診断方法による故障診断の実行条件が成立していると判定すると、第2のスイッチ部の故障診断を行う。これにより、エンジンの始動要求が発生したタイミングに対して電気負荷の駆動を開始するタイミングが遅れてしまうことを回避することができ、エンジンを速やかに始動させることができる。このようにフェールセーフ用のスイッチ部の故障診断を適切に行うことができ、しかも、エンジンの始動性を高めることができる。
スタータ制御装置及び周辺の構成を示す機能ブロック図 第1の診断方法による故障診断処理を示すフローチャート 第2の診断方法による故障診断処理を示すフローチャート
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。スタータ制御装置1は、電子制御装置(ECU:Electronic Control Unit)により構成されており、マイコン2と、入力回路3とを有する。スタータ制御装置1は、車両の内燃機関である図示しないエンジンを始動のためにクランキングするスタータ4(電気負荷に相当)の駆動を制御する。スタータ制御装置1は、車両に搭載されているバッテリ電源5のプラス端子に接続されており、バッテリ電源5のプラス端子からバッテリ電圧VBが供給されることで動作する。バッテリ電圧VBは本実施形態では約12ボルトである。
入力回路3は、スタータ制御装置1の外部からスタータ信号、ブレーキ信号、アクセル信号、シフト位置信号、車速信号、ブレーキ負圧信号、回転信号等の各種信号を入力する。スタータ信号は、車両の運転者が始動用操作を行うと非アクティブレベルからアクティブレベルに変化する信号である。始動用操作とは例えば車両の運転者がキーシリンダに挿したキーをスタート位置に捻る操作やスタートボタンを押す操作等である。ブレーキ信号は、ブレーキペダルが踏まれたことを検出するセンサから出力される信号である。アクセル信号は、アクセルペダルが踏まれたことを検出するセンサから出力される信号である。シフト位置信号は、シフトレバーの操作位置を検出するセンサから出力される信号である。車速信号は、車両の走行速度(即ち車速)を検出するセンサから出力される信号である。ブレーキ負圧信号は、ブレーキ負圧(即ちブレーキ倍力装置の負圧)を検出するセンサから出力される信号である。回転信号は、クランク軸センサやカム軸センサから出力される信号である。入力回路3は、これらの各種信号をスタータ制御装置1の外部から入力すると、その入力した各種信号をマイコン2に出力する。
スタータ4は、エンジンを始動するためにクランキングさせる動力源となるモータ6を有する。モータ6の一端側は、スタータリレー7(第1のスイッチ部に相当)とスタータカットリレー8(第2のスイッチ部に相当)とが直列接続されてなる通電経路を介してバッテリ電源5のプラス端子に接続されている。スタータリレー7は、スタータ4を駆動するスタータ回路を構成するリレーである。スタータカットリレー8は、回路故障によるスタータ4の駆動を回避するフェールセーフ用のスタータカット回路を構成するリレーである。モータ6の他端側は、バッテリ電源5のマイナス端子(即ちグランドライン)に接続されて接地されている。又、スタータ4は、モータ6により回転駆動される図示しないピニオンギヤを有し、そのピニオンギヤを図示しないエンジンのリングギヤに対して噛み合わない位置と噛み合う位置とに往復移動可能となっている。スタータ4は、ピニオンギヤをリングギヤに対して噛み合う位置に移動させた状態でモータ6を回転させることで、そのモータ6の回転力をピニオンギヤを介してリングギヤに伝達させ、エンジンをクランキングさせる。
スタータリレー7は、その一端側がマイコン2に接続されていると共に他端側が接地されているコイル7aと、一対の接続端子7b,7cとを有する。接続端子7bはバッテリ電源5のプラス端子に接続されており、接続端子7cはスタータカットリレー8に接続されている。スタータリレー7は、ノーマルオープン型のリレーであり、正常時では、コイル7aの非通電状態で一対の接続端子7b,7cが開放し(即ちリレーが遮断し)、コイル7aの通電状態で一対の接続端子7b,7cが短絡する(即ちリレーが通電する)。
スタータカットリレー8は、その一端側がマイコン2に接続されていると共に他端側が接地されているコイル8aと、一対の接続端子8b,8cとを有する。接続端子8bはスタータリレー7に接続されており、接続端子8cはスタータ4に接続されている。スタータカットリレー8は、ノーマルクローズ型のリレーであり、正常時では、コイル8aの非通電状態で一対の接続端子8b,8cが短絡し(即ちリレーが通電し)、コイル8aの通電状態で一対の接続端子8b,8cが開放する(即ちリレーが遮断する)。
マイコン2は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びI/O(Input/Output)を有する。マイコン2は、非遷移的実体的記録媒体に格納されているコンピュータプログラムを実行することで、コンピュータプログラムに対応する処理を実行し、スタータ制御装置1の動作全般を制御する。コンピュータプログラムに対応する処理は、後述する第1の診断方法による故障診断処理及び第2の診断方法による故障診断処理を含む。マイコン2は、コンピュータプログラムに対応する処理を実行する機能として、リレー制御部2a(スイッチ制御部に相当)と、電圧検出部2b(物理量検出部に相当)と、特定部2cとを有する。
リレー制御部2aは、スタータリレー7及びスタータカットリレー8のそれぞれの通電及び遮断を制御する。具体的には、リレー制御部2aは、例えばマイコン2とコイル7aとの間に介在されている図示しないMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)等のスイッチをオンして通電命令を通知することでスタータリレー7を通電可能であり、スイッチをオフして遮断命令を通知することでスタータリレー7を遮断可能である。
又、リレー制御部2aは、例えばマイコン2とコイル8aとの間に介在されている図示しないMOSFET等のスイッチをオンして遮断命令を通知することでスタータカットリレー8を遮断可能であり、スイッチをオフして通電命令を通知することでスタータカットリレー8を通電可能である。
電圧検出部2bは、スタータ4に対して電気的に作用する物理量としてスタータ4への印加電圧を検出する。特定部2cは、電圧検出部2bの検出結果によりスタータカットリレー8が正常であるか異常であるかを特定する。具体的には、特定部2cは、スタータ4への印加電圧が0ボルト(所定量、所定電圧に相当)を超えていないとき(即ち物理量が所定量を超えていないとき)にはスタータカットリレー8が正常であると特定する。一方、特定部2cは、スタータ4への印加電圧が0ボルトを超えているとき(即ち物理量が所定量を超えているとき)にはスタータカットリレー8が異常であると特定する。
次に、上記した構成の作用について、図2及び図3を参照して説明する。
マイコン2は、スタータカットリレー8の故障診断として、第1の診断方法による故障診断処理、第2の診断方法による故障診断処理をそれぞれ実行可能である。以下、それぞれの処理について順次説明する。尚、ここでは、スタータリレー7が正常であることを前提とする。
(1)第1の診断方法による故障診断処理
マイコン2は、スタータ制御装置1の動作中では第1の診断方法による故障診断処理の開始条件が成立したか否かを監視している。マイコン2は、例えば予め設定されている所定周期で第1の診断方法による故障診断処理の開始条件が成立したと判定すると、第1の診断方法による故障診断処理を開始する。マイコン2は、第1の診断方法による故障診断処理を開始すると、遮断命令をスタータリレー7に通知し(S1)、通電命令をスタータカットリレー8に通知する(S2)。
次いで、マイコン2は、エンジンの始動要求が発生したか否かを判定する(S3、第1の手順)。マイコン2は、エンジンの始動要求が発生していないと判定すると(S3:NO)、遮断命令をスタータリレー7に通知し(S11)、第1の診断方法による故障診断処理を終了する。即ち、マイコン2は、後述するようにエンジンの始動要求が発生したと判定し(S3:YES)、通電命令をスタータリレー7に通知したが(S4)、エンジンが始動したと判定する前に(S5:NO)、エンジンの始動要求の取り下げを判定した場合に(S3:NO)、通電命令をスタータリレー7に通知し続けてしまうことを回避すべく遮断命令をスタータリレー7に通知する。
一方、マイコン2は、例えば車両の運転者が始動用操作を行ったことでスタータ信号の非アクティブレベルからアクティブレベルへの変化を検出し、エンジンの始動要求が発生したと判定すると(S3:YES)、通電命令をスタータリレー7に通知する(S4、第2の手順)。このとき、通電命令がスタータリレー7に通知されたことでスタータリレー7が通電されると、バッテリ電源5からスタータ4への電圧供給が開始され、スタータ4への印加電圧が0ボルトからバッテリ電圧VBに変化する。その結果、ピニオンギヤがリングギヤに対して噛み合う位置に移動し、スタータ4のモータ6に電流が流れてモータ6が回転し、そのモータ6の回転力がピニオンギヤを介してリングギヤに伝達され、エンジンがクランキングされる。そして、エンジンがクランキングされると、エンジンを制御する図示しない他のECUによりエンジンに対する燃料噴射と点火とが行われ、エンジンが始動する。
次いで、マイコン2は、エンジンが始動した(即ち完爆状態になった)か否かを判定する(S5)。マイコン2は、例えば回転信号により特定される数値が所定値以上であると検出し、エンジンが始動したと判定すると(S5:YES)、第1の診断方法による故障診断の実行条件が成立しているか否かを判定する(S6、第3の手順)。マイコン2は、第1の診断方法による故障診断の実行条件が成立していると判定すると(S6:YES)、遮断命令をスタータカットリレー8に通知する(S7、第4の手順)。そして、マイコン2は、このときのスタータ4への印加電圧をモニタする。
ここで、遮断命令がスタータカットリレー8に通知されると、スタータカットリレー8が正常であれば、スタータリレー7が通電している状態でスタータカットリレー8が遮断することになるので、バッテリ電源5からスタータ4への電圧供給が停止され、スタータ4への印加電圧がバッテリ電圧VBから0ボルトに変化する。一方、スタータカットリレー8が異常であれば、スタータリレー7が通電している状態でスタータカットリレー8が遮断せずに通電を継続することになるので、バッテリ電源5からスタータ4への電圧供給が停止されずに継続され、スタータ4への印加電圧がバッテリ電圧VBのまま維持される。
マイコン2は、モニタしたスタータ4への印加電圧を所定電圧(0ボルト)と比較し、そのモニタしたスタータ4への印加電圧が所定電圧を超えているか否かを判定する(S8)。マイコン2は、スタータ4への印加電圧が所定電圧を超えていないと判定すると(S8:NO)、スタータカットリレー8が正常であると特定する(S9、第5の手順)。一方、マイコン2は、スタータ4への印加電圧が所定電圧を超えていると判定すると(S8:YES)、スタータカットリレー8が異常であると特定する(S10、第5の手順)。そして、マイコン2は、遮断命令をスタータリレー7に通知し(S11)、第1の診断方法による故障診断処理を終了する。このとき、遮断命令がスタータリレー7に通知されたことでスタータリレー7が遮断されると、バッテリ電源5からスタータ4への電圧供給が停止され、スタータ4への印加電圧がバッテリ電圧VBから0ボルトに変化し、ピニオンギヤがリングギヤに対して噛み合わない位置に移動する。
尚、マイコン2は、第1の診断方法による故障診断の実行条件が成立していない判定すると(S6:NO)、この場合も、遮断命令をスタータリレー7に通知し(S11)、第1の診断方法による故障診断処理を終了する。このときも、遮断命令がスタータリレー7に通知されたことでスタータリレー7が遮断されると、バッテリ電源5からスタータ4への電圧供給が停止され、スタータ4への印加電圧がバッテリ電圧VBから0ボルトに変化し、ピニオンギヤがリングギヤに対して噛み合わない位置に移動する。
このようにマイコン2は、第1の診断方法による故障診断処理では、エンジンの始動要求が発生すると、スタータ4の駆動を開始し、エンジンの始動後に、スタータカットリレー8の故障診断の実行条件が成立しているか否かを判定する。そして、マイコン2は、第1の診断方法による故障診断の実行条件が成立していると判定すると、スタータリレー7を通電したままスタータカットリレー8を遮断し、スタータカットリレー8が正常であるか異常であるかを特定する。即ち、マイコン2は、エンジンの始動前ではなく始動後に、スタータカットリレー8の故障診断を行う。
尚、マイコン2は、第1の診断方法による故障診断の実行条件が成立していると判定する頻度をどのような頻度で設定しても良い。即ち、マイコン2は、毎回のエンジンの始動後に、第1の診断方法による故障診断の実行条件が成立していると判定しても良い。又、マイコン2は、複数回のうち1回のエンジンの始動後に、第1の診断方法による故障診断の実行条件が成立していると判定しても良い。又、マイコン2は、第1の診断方法による故障診断の実行条件が成立していると判定した前回を起点として車両の走行距離が所定距離(例えば100キロ)に達した又は経過期間が所定期間(例えば1週間)に達した以降でのエンジンの始動後に、第1の診断方法による故障診断の実行条件が成立していると判定しても良い。
(2)第2の診断方法による故障診断処理
マイコン2は、スタータ制御装置1の動作中では第2の診断方法による故障診断処理の開始条件が成立したか否かを監視している。マイコン2は、例えば上記した第1の診断方法による故障診断処理においてスタータカットリレー8が異常であると特定した回数及び正常であると特定した回数のうち少なくとも何れかが所定回数(例えば10回)に達したことで第2の診断方法による故障診断処理の開始条件が成立したと判定すると、第2の診断方法による故障診断処理を開始する。マイコン2は、第2の診断方法による故障診断処理を開始すると、遮断命令をスタータリレー7に通知し(S21)、遮断命令をスタータカットリレー8に通知する(S22)。
次いで、マイコン2は、エンジンの始動要求が発生したか否かを判定する(S23)。マイコン2は、エンジンの始動要求が発生していないと判定すると(S23:NO)、遮断命令をスタータリレー7に通知し(S32)、第2の診断方法による故障診断処理を終了する。
一方、マイコン2は、例えば車両の運転者が始動用操作を行ったことでスタータ信号の非アクティブレベルからアクティブレベルへの変化を検出し、エンジンの始動要求が発生したと判定すると(S23:YES)、第2の診断方法による故障診断の実行条件が成立しているか否かを判定する(S24、第6の手順)。マイコン2は、第2の診断方法による故障診断の実行条件が成立していると判定すると(S24:YES)、通電命令をスタータリレー7に通知する(S25、第7の手順)。そして、マイコン2は、このときのスタータ4への印加電圧をモニタする。
ここで、通電命令がスタータリレー7に通知されると、スタータカットリレー8が正常であれば、スタータリレー7が通電してもスタータカットリレー8が遮断しているので、バッテリ電源5からスタータ4への電圧供給の停止が継続され、スタータ4への印加電圧が0ボルトのまま維持される。一方、スタータカットリレー8が異常であれば、スタータカットリレー8が遮断せずに通電を継続している状態でスタータリレー7が通電するので、スタータ4への印加電圧が0ボルトからバッテリ電圧VBに変化する。
マイコン2は、モニタしたスタータ4への印加電圧を所定電圧(0ボルト)と比較し、そのモニタしたスタータ4への印加電圧が所定電圧を超えているか否かを判定する(S26)。マイコン2は、スタータ4への印加電圧が所定電圧を超えていないと判定すると(S26:NO)、スタータカットリレー8が正常であると特定する(S27、第8の手順)。一方、マイコン2は、スタータ4への印加電圧が所定電圧を超えていると判定すると(S26:YES)、スタータカットリレー8が異常であると特定する(S28、第8の手順)。そして、マイコン2は、上記したステップS23に戻り、エンジンの始動要求が継続しているか否かを判定する。
マイコン2は、エンジンの始動要求が発生した又は継続していると判定し(S23:YES)、上記したように第2の診断方法による故障診断を行ったことで第2の診断方法による故障診断の実行条件が成立していないと判定すると(S24:NO)、通電命令をスタータカットリレー8に通知し(S29)、通電命令をスタータリレー7に通知する(S30)。このときも、通電命令がスタータカットリレー8に通知されたことでスタータカットリレー8が通電されると共に通電命令がスタータリレー7に通知されたことでスタータリレー7が通電されると、バッテリ電源5からスタータ4への電圧供給が開始され、スタータ4への印加電圧が0ボルトからバッテリ電圧VBに変化する。その結果、ピニオンギヤがリングギヤに対して噛み合う位置に移動し、スタータ4のモータ6に電流が流れてモータ6が回転し、そのモータ6の回転力がピニオンギヤを介してリングギヤに伝達され、エンジンがクランキングされる。そして、エンジンがクランキングされると、エンジンを制御する他のECUによりエンジンに対する燃料噴射と点火とが行われ、エンジンが始動する。
次いで、マイコン2は、エンジンが始動したか否かを判定する(S31)。マイコン2は、例えば回転信号により特定される数値が所定値以上であると検出し、エンジンが始動したと判定すると(S31:YES)、遮断命令をスタータリレー7に通知し(S32)、第2の診断方法による故障診断処理を終了する。このときも、遮断命令がスタータリレー7に通知されたことでスタータリレー7が遮断されると、バッテリ電源5からスタータ4への電圧供給が停止され、スタータ4への印加電圧がバッテリ電圧VBから0ボルトに変化し、ピニオンギヤがリングギヤに対して噛み合わない位置に移動する。
このようにマイコン2は、第2の診断方法による故障診断処理では、エンジンの始動要求が発生すると、第2の診断方法による故障診断の実行条件が成立しているか否かを判定する。マイコン2は、第2の診断方法による故障診断の実行条件が成立していると判定すると、スタータカットリレー8を遮断したままスタータリレー7を通電し、スタータカットリレー8が正常であるか異常であるかを特定する。そして、マイコン2は、故障診断を行った後にスタータ4の駆動を開始する。即ち、マイコン2は、上記した第1の診断方法による故障診断処理とは異なり、エンジンの始動後ではなく始動前に、スタータカットリレー8の故障診断を行う。
尚、この場合も、マイコン2は、第2の診断方法による故障診断の実行条件が成立していると判定する頻度はどのような頻度でも良い。即ち、マイコン2は、毎回のエンジンの始動要求の発生後に、第2の診断方法による故障診断の実行条件が成立していると判定しても良い。又、マイコン2は、複数回のうち1回のエンジンの始動要求の発生後に、第2の診断方法による故障診断の実行条件が成立していると判定しても良い。又、マイコン2は、第2の診断方法による故障診断の実行条件が成立していると判定した前回を起点として車両の走行距離が所定距離(例えば100キロ)に達した又は経過期間が所定期間(例えば1週間)に達した以降でのエンジンの始動要求の発生後に、第2の診断方法による故障診断の実行条件が成立していると判定しても良い。
以上説明したように本実施形態によれば、次に示す効果を得ることができる。
スタータ制御装置1において、第1の診断方法による故障診断処理では、エンジンの始動要求が発生すると、スタータ4の駆動を開始し、エンジンの始動後に、第1の診断方法による故障診断の実行条件が成立していると、スタータカットリレー8の故障診断を行うようにした。これにより、エンジンの始動要求が発生したタイミングに対してスタータ4の駆動を開始するタイミングが遅れてしまうことを回避することができ、エンジンを速やかに始動させることができる。スタータカットリレー8の故障診断を適切に行うことができ、しかも、エンジンの始動性を高めることができる。
又、スタータ制御装置1において、スタータカットリレー8が正常であるか異常であるかを特定した後に、遮断命令をスタータリレー7に通知するようにした。これにより、スタータリレー7が通電されたまま放置されることを未然に回避することができる。
又、スタータ制御装置1において、第1の診断方法による故障診断の実行条件が成立していると判定する頻度を、毎回のエンジンの始動後、複数回のうち1回のエンジンの始動後、第1の診断方法による故障診断の実行条件が成立していると判定した前回を起点として車両の走行距離が所定距離に達した又は経過期間が所定期間に達した以降でのエンジンの始動後等の任意の頻度で設定するようにした。これにより、第1の診断方法による故障診断を任意の頻度で行うことができる。
又、スタータ制御装置1において、第2の診断方法による故障診断処理では、エンジンの始動要求の発生後に、第2の診断方法による故障診断の実行条件が成立していると、スタータカットリレー8の故障診断を行うようにした。これにより、第1の診断方法による故障診断処理と第2の診断方法による故障診断処理とを併用することで、第1の診断方法による故障診断処理による誤診断を救済することができる。即ち、第1の診断方法による故障診断処理では、エンジンの始動後に故障診断を行うので、エンジンの始動により起因するノイズ等の影響を受けて誤診断する可能性があるが、第2の診断方法による故障診断処理では、エンジンの始動前に故障診断を行うので、エンジンの始動により誤診断する可能性が皆無である。よって、第2の診断方法による故障診断処理を行うことで、第1の診断方法による診断結果の真偽を判定することができる。仮に第1の診断方法により誤診断が発生したとしても、その誤診断を救済することができ、信頼性を高めることができる。
又、スタータ制御装置1において、第1の診断方法による故障診断によりスタータカットリレー8が異常であると特定した回数及び正常であると特定した回数のうち少なくとも何れかが所定回数に達したときに、第2の診断方法による故障診断を行うようにした。これにより、第2の診断方法による故障診断を行うか否か、即ち、第1の診断方法による診断結果の真偽の判定を任意の頻度で行うことができる。
又、スタータ制御装置1において、第2の診断方法による故障診断の実行条件が成立していると判定する頻度を、毎回のエンジンの始動後、複数回のうち1回のエンジンの始動後、第2の診断方法による故障診断の実行条件が成立していると判定した前回を起点として車両の走行距離が所定距離に達した又は経過期間が所定期間に達した以降でのエンジンの始動後等の任意の頻度で設定するようにした。これにより、第2の診断方法による故障診断も任意の頻度で行うことができる。
本発明は、上記した実施形態で例示したものに限定されることなく、その範囲を逸脱しない範囲で任意に変形又は拡張することができる。
スタータ4を駆動する駆動用のスイッチ部としてスタータリレー7が用いられ、フェールセーフ用のスイッチ部としてスタータカットリレー8が用いられ、それぞれのスイッチ部としてリレー7,8が用いられる構成を例示したが、トランジスタ等の半導体スイッチが用いられる構成でも良い。
スタータ4に対して電気的に作用する物理量としてスタータ4への印加電圧を検出する構成を例示したが、スタータ4への印加電流を検出する構成でも良い。即ち、電圧検出部に代えて、スタータ4への印加電流を検出する電流検出部が用いられる構成でも良い。その場合、特定部2cは、第1の診断方法による故障診断では、遮断命令がスタータカットリレー8に通知された後の印加電流が所定電流(0A)を超えていないときにスタータカットリレー8が正常であると特定し、印加電流が所定電流を超えているときにスタータカットリレー8が異常であると特定する。又、特定部2cは、第2の診断方法による故障診断では、通電命令がスタータリレー7に通知された後の印加電流が所定電流(0A)を超えていないときにスタータカットリレー8が正常であると特定し、印加電流が所定電流を超えているときにスタータカットリレー8が異常であると特定する。更に、印加電圧の検出によるスタータカットリレー8の故障診断と印加電流の検出によるスタータカットリレー8の故障診断とを併用する構成でも良い。
スタータ4に対してバッテリ電源5のプラス端子側にリレー7,8が接続されているハイサイド駆動形態の構成を例示したが、スタータ4に対してバッテリ電源5のマイナス端子側にリレー7,8が接続されるロウサイド駆動形態の構成でも良い。ハイサイド駆動形態の構成では、スタータ4への印加電圧及び印加電流の何れを検出する構成でもスタータカットリレー8の故障診断が可能であるが、ロウサイド駆動形態の構成では、スタータ4への印加電流の検出する構成でスタータカットリレー8の故障診断が可能である。
エンジンを自動停止及び自動始動させるアイドルストップ制御に適用しても良い。即ち、エンジンの自動停止条件が成立すると、エンジンを自動停止し、エンジンの自動始動条件が成立すると、エンジンを自動始動する制御に適用しても良い。その場合、ブレーキ信号、アクセル信号、シフト位置信号、車速信号、ブレーキ負圧信号及び回転信号等を用いてエンジンの自動停止条件や自動開始条件が成立しているか否かを判定すれば良い。
図面中、1はスタータ制御装置(電子制御装置)、2はマイコン、2aはリレー制御部(スイッチ制御部)、2bは電圧検出部(物理量検出部)、2cは特定部、7はスタータリレー(第1のスイッチ部)、8はスタータカットリレー(第2のスイッチ部)である。

Claims (13)

  1. 車両のエンジンを始動させる電気負荷(4)とバッテリ電源(5)との間に、前記電気負荷を駆動する駆動用の第1のスイッチ部(7)とフェールセーフ用の第2のスイッチ部(8)とが直列接続されている車両に用いられる電子制御装置(1)において、
    通電命令及び遮断命令をそれぞれ前記第1のスイッチ部及び前記第2のスイッチ部に通知し、前記第1のスイッチ部及び前記第2のスイッチ部のそれぞれの通電及び遮断を制御するスイッチ制御部(2a)と、
    前記電気負荷に対して電気的に作用する物理量を検出する物理量検出部(2b)と、
    前記物理量検出部の検出結果により前記第2のスイッチ部が正常であるか異常であるかを特定する特定部(2c)と、を備え、
    前記スイッチ制御部は、第1の診断方法による故障診断として、前記エンジンの始動要求が発生したと判定すると、前記第2のスイッチ部を通電したまま通電命令を前記第1のスイッチ部に通知して前記電気負荷の駆動を開始し、前記エンジンの始動後に、前記第1の診断方法による故障診断の実行条件が成立していると判定すると、前記第1のスイッチ部を通電したまま遮断命令を前記第2のスイッチ部に通知し、
    前記特定部は、前記第1の診断方法による故障診断では、遮断命令が前記第2のスイッチ部に通知された後の前記物理量が所定量を超えていないときに前記第2のスイッチ部が正常であると特定し、前記物理量が所定量を超えているときに前記第2のスイッチ部が異常であると特定する電子制御装置(1)。
  2. 請求項1に記載した電子制御装置において、
    前記スイッチ制御部は、前記第2のスイッチ部が正常又は異常であると前記特定部が特定した後に、遮断命令を前記第1のスイッチ部に通知する電子制御装置。
  3. 請求項1又は2に記載した電子制御装置において、
    前記スイッチ制御部は、毎回のエンジンの始動後に、第1の診断方法による故障診断の実行条件が成立していると判定する電子制御装置。
  4. 請求項1又は2に記載した電子制御装置において、
    前記スイッチ制御部は、複数回のうち1回のエンジンの始動後に、第1の診断方法による故障診断の実行条件が成立していると判定する電子制御装置。
  5. 請求項1又は2に記載した電子制御装置において、
    前記スイッチ制御部は、第1の診断方法による故障診断の実行条件が成立していると判定した前回を起点として車両の走行距離が所定距離に達した又は経過期間が所定期間に達した以降でのエンジンの始動後に、第1の診断方法による故障診断の実行条件が成立していると判定する電子制御装置。
  6. 請求項1から5の何れか一項に記載した電子制御装置において、
    前記スイッチ制御部は、第2の診断方法による故障診断として、前記エンジンの始動要求の発生後に、前記第2の診断方法による故障診断の実行条件が成立していると判定すると、前記第2のスイッチ部を遮断したまま通電命令を前記第1のスイッチ部に通知し、
    前記特定部は、前記第2の診断方法による故障診断では、通電命令が前記第1のスイッチ部に通知された後の前記物理量が所定量を超えていないときに前記第2のスイッチ部が正常であると特定し、前記物理量が所定量を超えているときに前記第2のスイッチ部が異常であると特定する電子制御装置。
  7. 請求項6に記載した電子制御装置において、
    前記スイッチ制御部は、前記第1の診断方法による故障診断により前記第2のスイッチ部が異常であると前記特定部が特定した回数及び正常であると前記特定部が特定した回数のうち少なくとも何れかが所定回数に達したときに、前記第2の診断方法による故障診断を行う電子制御装置。
  8. 請求項6又は7に記載した電子制御装置において、
    前記スイッチ制御部は、毎回のエンジンの始動要求の発生後に、第2の診断方法による故障診断の実行条件が成立していると判定する電子制御装置。
  9. 請求項6又は7に記載した電子制御装置において、
    前記スイッチ制御部は、複数回のうち1回のエンジンの始動要求の発生後に、第2の診断方法による故障診断の実行条件が成立していると判定する電子制御装置。
  10. 請求項6又は7に記載した電子制御装置において、
    前記スイッチ制御部は、第2の診断方法による故障診断の実行条件が成立していると判定した前回を起点として車両の走行距離が所定距離に達した又は経過期間が所定期間に達した以降でのエンジンの始動要求の発生後に、第2の診断方法による故障診断の実行条件が成立していると判定する電子制御装置。
  11. 請求項1から10の何れか一項に記載した電子制御装置において、
    前記物理量検出部は、前記電気負荷への印加電圧を検出する電圧検出部(2b)を含み、
    前記特定部は、前記印加電圧が所定電圧を超えていないときに前記第2のスイッチ部が正常であると特定し、前記印加電圧が所定電圧を超えているときに前記第2のスイッチ部が異常であると特定する電子制御装置。
  12. エンジンを始動させる電気負荷(4)とバッテリ電源(5)との間に、前記電気負荷を駆動する駆動用の第1のスイッチ部(7)とフェールセーフ用の第2のスイッチ部(8)とが直列接続されている車両に用いられる電子制御装置(1)のマイコン(2)に、
    第1の診断方法による故障診断として、エンジンの始動要求が発生したか否かを判定する第1の手順と、
    エンジンの始動要求が発生したと前記第1の手順により判定すると、前記第2のスイッチ部を通電したまま通電命令を前記第1のスイッチ部に通知して前記電気負荷の駆動を開始する第2の手順と、
    前記エンジンの始動後に、第1の診断方法による故障診断の実行条件が成立しているか否かを判定する第3の手順と、
    第1の診断方法による故障診断の実行条件が成立していると前記第3の手順により判定すると、前記第1のスイッチ部を通電したまま遮断命令を前記第2のスイッチ部に通知する第4の手順と、
    前記第4の手順により遮断命令を前記第2のスイッチ部に通知した後の前記電気負荷に対して電気的に作用する物理量が所定量を超えていないときに前記第2のスイッチ部が正常であると特定し、前記物理量が所定量を超えているときに前記第2のスイッチ部が異常であると特定する第5の手順と、を実行させるコンピュータプログラム。
  13. 請求項12に記載したコンピュータプログラムにおいて、
    第2の診断方法による故障診断として、前記エンジンの始動要求の発生後に、第2の診断方法による故障診断の実行条件が成立しているか否かを判定する第6の手順と、
    第2の診断方法による故障診断の実行条件が成立していると前記第6の手順により判定すると、前記第2のスイッチ部を遮断したまま通電命令を前記第1のスイッチ部に通知する第7の手順と、
    前記第7の手順により通電命令を前記第1のスイッチ部に通知した後の前記物理量が所定量を超えていないときに前記第2のスイッチ部が正常であると特定し、前記物理量が所定量を超えているときに前記第2のスイッチ部が異常であると特定する第8の手順と、を実行させるコンピュータプログラム。
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