以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態によるエンジンの内部EGR率算出装置及びエンジンの制御装置について説明する。
[装置構成]
図1は、本発明の実施形態によるエンジンの内部EGR率算出装置及びエンジンの制御装置が適用されたエンジン(エンジン本体)1の概略構成を示し、図2は、本発明の実施形態によるパワートレイン・コントロール・モジュール(以下では「PCM」と呼ぶ。)を示すブロック図である。
エンジン1は、車両に搭載されると共に、少なくともガソリンを含有する燃料が供給されるガソリンエンジンである。エンジン1は、複数の気筒18が設けられたシリンダブロック11(なお、図1では、1つの気筒のみを図示するが、例えば4つの気筒が直列に設けられる)と、このシリンダブロック11上に配設されたシリンダヘッド12と、シリンダブロック11の下側に配設され、潤滑油が貯留されたオイルパン13とを有している。各気筒18内には、コンロッド142を介してクランクシャフト15と連結されているピストン14が往復動可能に嵌挿されている。ピストン14の頂面には、ディーゼルエンジンでのリエントラント型のようなキャビティ141が形成されている。キャビティ141は、ピストン14が圧縮上死点付近に位置するときには、後述するインジェクタ67に相対する。シリンダヘッド12と、気筒18と、キャビティ141を有するピストン14とは、燃焼室19を画定する。なお、燃焼室19の形状は、図示する形状に限定されるものではない。例えばキャビティ141の形状、ピストン14の頂面形状、及び、燃焼室19の天井部の形状等は、適宜変更することが可能である。
このエンジン1は、理論熱効率の向上や、後述する圧縮着火燃焼の安定化等を目的として、15以上の比較的高い幾何学的圧縮比に設定されている。なお、幾何学的圧縮比は15以上20以下程度の範囲で、適宜設定すればよい。
シリンダヘッド12には、気筒18毎に、吸気ポート16及び排気ポート17が形成されていると共に、これら吸気ポート16及び排気ポート17には、燃焼室19側の開口を開閉する吸気弁21及び排気弁22がそれぞれ配設されている。
吸気弁21及び排気弁22をそれぞれ駆動する動弁系の内、排気側には、排気弁22の作動モードを通常モードと特殊モードとに切り替える、例えば油圧作動式の可変バルブリフト機構(図2参照。以下、VVL(Variable Valve Lift)と称する)71と、クランクシャフト15に対する排気カムシャフトの回転位相を変更することが可能な位相可変機構(以下、VVT(Variable Valve Timing)と称する)75と、が設けられている。VVL71は、その構成の詳細な図示は省略するが、カム山を一つ有する第1カムとカム山を2つ有する第2カムとの、カムプロフィールの異なる2種類のカム、及び、その第1及び第2カムのいずれか一方のカムの作動状態を選択的に排気弁22に伝達するカムシフティング機構を含んで構成されている。第1カムの作動状態を排気弁22に伝達しているときには、排気弁22は、排気行程中において一度だけ開弁される通常モードで作動するのに対し、第2カムの作動状態を排気弁22に伝達しているときには、排気弁22が、排気行程中において開弁すると共に、吸気行程中においても開弁するような、いわゆる排気二度開きを行う特殊モードで作動する。VVL71の通常モードと特殊モードとは、エンジンの運転状態に応じて切り替えられる。具体的には、特殊モードは、内部EGRに係る制御の際に利用される。なお、排気弁22を電磁アクチュエータによって駆動する電磁駆動式の動弁系を採用してもよい。
VVT75は、液圧式、電磁式又は機械式の公知の構造を適宜採用すればよく、その詳細な構造についての図示は省略する。排気弁22は、VVT75によって、その開弁時期及び閉弁時期を、所定の範囲内で連続的に変更可能である。
なお、内部EGRの実行は、上記したような排気弁22の二度開きのみによって実現されるのではない。例えば吸気弁21を二回開く、吸気の二度開きによって内部EGR制御を行ってもよいし、排気行程乃至吸気行程において吸気弁21及び排気弁22の双方を閉じるネガティブオーバーラップ期間を設けて既燃ガスを気筒18内に残留させる内部EGR制御を行ってもよい。
VVL71及びVVT75を備えた排気側の動弁系と同様に、吸気側には、図2に示すように、VVL74とVVT72とが設けられている。吸気側のVVL74は、排気側のVVL71とは異なる。吸気側のVVL74は、吸気弁21のリフト量を相対的に大きくする大リフトカムと、吸気弁21のリフト量を相対的に小さくする小リフトカムとの、カムプロフィールの異なる2種類のカム、及び、大リフトカム及び小リフトカムのいずれか一方のカムの作動状態を選択的に吸気弁21に伝達するカムシフティング機構を含んで構成されている。VVL74が大リフトカムの作動状態を吸気弁21に伝達しているときには、吸気弁21は、相対的に大きいリフト量で開弁すると共に、その開弁期間も長くなる。これに対し、VVL74が小リフトカムの作動状態を吸気弁21に伝達しているときには、吸気弁21は、相対的に小さいリフト量で開弁すると共に、その開弁期間も短くなる。大リフトカムと小リフトカムとは、閉弁時期又は開弁時期を同じにして切り替わるように設定されている。
吸気側のVVT72は、排気側のVVT75と同様に、液圧式、電磁式又は機械式の公知の構造を適宜採用すればよく、その詳細な構造についての図示は省略する。吸気弁21もまた、VVT72によって、その開弁時期及び閉弁時期を、所定の範囲内で連続的に変更可能である。なお、吸気側にVVL74を適用せずに、VVT72のみを適用し、吸気弁21の開弁時期及び閉弁時期のみを変更するようにしてもよい。
シリンダヘッド12にはまた、気筒18毎に、気筒18内に燃料を直接噴射する(直噴)インジェクタ67が取り付けられている。インジェクタ67は、その噴口が燃焼室19の天井面の中央部分から、その燃焼室19内に臨むように配設されている。インジェクタ67は、エンジン1の運転状態に応じて設定された噴射タイミングでかつ、エンジン1の運転状態に応じた量の燃料を、燃焼室19内に直接噴射する。この例において、インジェクタ67は、詳細な図示は省略するが、複数の噴口を有する多噴口型のインジェクタである。これによって、インジェクタ67は、燃料噴霧が、燃焼室19の中心位置から放射状に広がるように、燃料を噴射する。ピストン14が圧縮上死点付近に位置するタイミングで、燃焼室19の中央部分から放射状に広がるように噴射された燃料噴霧は、ピストン頂面に形成されたキャビティ141の壁面に沿って流動する。キャビティ141は、ピストン14が圧縮上死点付近に位置するタイミングで噴射された燃料噴霧を、その内部に収めるように形成されている、と言い換えることが可能である。この多噴口型のインジェクタ67とキャビティ141との組み合わせは、燃料の噴射後、混合気形成期間を短くすると共に、燃焼期間を短くする上で有利な構成である。なお、インジェクタ67は、多噴口型のインジェクタに限定されず、外開弁タイプのインジェクタを採用してもよい。
図外の燃料タンクとインジェクタ67との間は、燃料供給経路によって互いに連結されている。この燃料供給経路上には、燃料ポンプ63とコモンレール64とを含みかつ、インジェクタ67に、比較的高い燃料圧力で燃料を供給することが可能な燃料供給システム62が介設されている。燃料ポンプ63は、燃料タンクからコモンレール64に燃料を圧送し、コモンレール64は圧送された燃料を、比較的高い燃料圧力で蓄えることが可能である。インジェクタ67が開弁することによって、コモンレール64に蓄えられている燃料がインジェクタ67の噴口から噴射される。ここで、燃料ポンプ63は、図示は省略するが、プランジャー式のポンプであり、エンジン1によって駆動される。このエンジン駆動のポンプを含む構成の燃料供給システム62は、30MPa以上の高い燃料圧力の燃料を、インジェクタ67に供給することを可能にする。燃料圧力は、最高で120MPa程度に設定してもよい。インジェクタ67に供給される燃料の圧力は、エンジン1の運転状態に応じて変更される。なお、燃料供給システム62は、この構成に限定されるものではない。
シリンダヘッド12にはまた、燃焼室19内の混合気に強制点火(具体的には火花点火)する点火プラグ25が取り付けられている。点火プラグ25は、この例では、エンジン1の排気側から斜め下向きに延びるように、シリンダヘッド12内を貫通して配置されている。点火プラグ25の先端は、圧縮上死点に位置するピストン14のキャビティ141内に臨んで配置される。
エンジン1の一側面には、図1に示すように、各気筒18の吸気ポート16に連通するように吸気通路30が接続されている。一方、エンジン1の他側面には、各気筒18の燃焼室19からの既燃ガス(排気)を排出する排気通路40が接続されている。
吸気通路30の上流端部には、吸入空気を濾過するエアクリーナ31が配設され、その下流側には、各気筒18への吸入空気量を調節するスロットル弁36が配設されている。また、吸気通路30における下流端近傍には、サージタンク33が配設されている。このサージタンク33よりも下流側の吸気通路30は、気筒18毎に分岐する独立通路とされ、これら各独立通路の下流端が各気筒18の吸気ポート16にそれぞれ接続されている。
吸気通路30におけるスロットル弁36とサージタンク33との間には、気筒18に導入する新気にオゾンを添加するオゾン発生器(O3発生器)76が介設されている。オゾン発生器76は、吸気に含まれる酸素を原料ガスとして、無声放電によりオゾンを生成する。つまり、電極に対して、図外の電源から高周波交流高電圧を印加することにより、放電間隙において無声放電が発生し、そこを通過する空気(つまり、吸気)がオゾン化される。こうしてオゾンが添加された吸気は、サージタンク33から吸気ポート16を介して、各気筒18内に導入される。オゾン発生器76の電極に対する電圧の印加態様を変更する、及び/又は、電圧を印加する電極の数を変更することによって、オゾン発生器76を通過した後の、吸気中のオゾン濃度を調整することが可能である。
排気通路40の上流側の部分は、気筒18毎に分岐して排気ポート17の外側端に接続された独立通路と該各独立通路が集合する集合部とを有する排気マニホールドによって構成されている。この排気通路40における排気マニホールドよりも下流側には、排気中の有害成分を浄化する排気浄化装置として、直キャタリスト41とアンダーフットキャタリスト42とがそれぞれ接続されている。直キャタリスト41及びアンダーフットキャタリスト42はそれぞれ、筒状ケースと、そのケース内の流路に配置した、例えば三元触媒とを備えて構成されている。
吸気通路30におけるサージタンク33とスロットル弁36との間の部分と、排気通路40における直キャタリスト41よりも上流側の部分とは、排気の一部を吸気通路30に還流するためのEGR通路50を介して接続されている。このEGR通路50は、排気をエンジン冷却水によって冷却するためのEGRクーラ52が配設された主通路51を含んで構成されている。主通路51には、排気の吸気通路30への還流量を調整するためのEGR弁511が配設されている。
エンジン1は、PCM10によって制御される。PCM10は、CPU、メモリ、カウンタタイマ群、インターフェース及びこれらのユニットを接続するパスを有するマイクロプロセッサで構成されている。このPCM10が制御器を構成する。
PCM10には、図1及び図2に示すように、各種のセンサSW1、SW2、SW4〜SW18の検出信号が入力される。具体的には、PCM10には、エアクリーナ31の下流側で、新気の流量を検出するエアフローセンサSW1の検出信号と、新気の温度を検出する吸気温度センサSW2の検出信号と、サージタンク33付近に設けられ、吸気の圧力(以下では適宜「インマニ圧力」と呼ぶ。)を検出する吸気圧センサSW4と、吸気ポート16に取り付けられかつ、気筒18内に流入する直前の吸気の温度を検出する吸気ポート温度センサSW5の検出信号と(以下で使用する「吸気温度」の文言は特に吸気ポート温度センサSW5が検出した温度のことを指すものとする)、シリンダヘッド12に取り付けられかつ、気筒18内の圧力を検出する筒内圧センサSW6の検出信号と、排気通路40におけるEGR通路50の接続部近傍に配置されかつ、それぞれ排気温度及び排気圧力(以下では適宜「エキマニ圧力」と呼ぶ。)を検出する排気温センサSW7及び排気圧センサSW8の検出信号と、直キャタリスト41の上流側に配置されかつ、排気中の酸素濃度を検出するリニアO2センサSW9の検出信号と、直キャタリスト41とアンダーフットキャタリスト42との間に配置されかつ、排気中の酸素濃度を検出するラムダO2センサSW10の検出信号と、エンジン冷却水の温度を検出する水温センサSW11の検出信号と、クランクシャフト15の回転角を検出するクランク角センサSW12の検出信号と、車両のアクセルペダル(図示省略)の操作量に対応したアクセル開度を検出するアクセル開度センサSW13の検出信号と、吸気側及び排気側のカム角センサSW14、SW15の検出信号と、燃料供給システム62のコモンレール64に取り付けられかつ、インジェクタ67に供給する燃料圧力を検出する燃圧センサSW16の検出信号と、エンジン1の油圧を検出する油圧センサSW17の検出信号と、エンジン1の油温を検出する油温センサSW18の検出信号と、が入力される。
PCM10は、これらの検出信号に基づいて種々の演算を行うことによってエンジン1や車両の状態を判定し、本実施形態では特に内部EGR率を算出し、これに応じて、(直噴)インジェクタ67、点火プラグ25、吸気弁側のVVT72及びVVL74、排気弁側のVVT75及びVVL71、燃料供給システム62、各種の弁(スロットル弁36、EGR弁511)のアクチュエータ、並びに、オゾン発生器76へ制御信号を出力する。こうしてPCM10は、エンジン1を運転する。詳細は後述するが、PCM10は、本発明における「エンジンの内部EGR率算出装置」及び「エンジンの制御装置」に相当する。この場合、PCM10は、本発明における「内部EGR率算出手段」及び「エンジン制御手段」として機能する。
[運転領域]
次に、図3を参照して、本発明の実施形態によるエンジンの運転領域について説明する。図3は、本実施形態によるエンジン1の運転制御マップの一例を示している。このエンジン1は、燃費の向上や排気エミッション性能の向上を目的として、エンジン負荷が相対的に低い低負荷域である第1の運転領域R11では、点火プラグ25による点火を行わずに、予混合圧縮自己着火(HCCI)による圧縮着火燃焼を行う。しかしながら、エンジン1の負荷が高くなるに従って、この圧縮着火燃焼では、燃焼が急峻になりすぎてしまい、燃焼騒音が発生したり、着火時期の制御が困難になったりする(失火などが発生する傾向にある)。そのため、このエンジン1では、エンジン負荷が相対的に高い高負荷域である第2の運転領域R12では、圧縮着火燃焼を止めて、点火プラグ25を利用した強制点火燃焼(ここでは火花点火燃焼)を行うようにする。このように、このエンジン1は、エンジン1の運転状態、特にエンジン1の負荷に応じて、圧縮着火燃焼による運転を実行するCI(Compression Ignition)運転と、火花点火燃焼による運転を実行するSI(Spark Ignition)運転とを切り替えるように構成されている。但し、CI運転とSI運転との切り替えの境界線は、図例に限定されるものではない。
ここで、第1の運転領域R11において実行するCI運転と、第2の運転領域R12において実行するSI運転について具体的に説明する。
第1の運転領域R11内における低負荷側の領域では、CI運転として、圧縮着火燃焼の着火性及び安定性を高めるために、燃料の低温酸化反応を促進すべく、オゾン発生器76が発生したオゾンを筒内に導入すると共に、筒内の圧縮端温度を高めるべく、排気側のVVL71をオンにして、排気弁22を吸気行程中に開弁する排気二度開きを行って、相対的に温度の高い内部EGRガスを筒内に導入する。また、CI運転では、第1の運転領域R11における低負荷側の領域では、均質な混合気を形成すべく、少なくとも吸気行程から圧縮行程中期までの期間内において、インジェクタ67が筒内に燃料を噴射する。この場合、吸気行程と圧縮行程とにおいて、燃料を分割噴射してもよい。
一方で、第1の運転領域R11内における高負荷側の領域では、CI運転として、筒内へのオゾンの導入を停止すると共に、筒内の温度環境が高くなるため、過早着火を抑制するために、内部EGRガス量を低下させる一方で、EGRクーラ52を通過することによって冷却された外部EGRガスを筒内に導入する。また、このような筒内の温度制御に加えて、過早着火等の異常燃焼を回避しつつ、圧縮着火燃焼の安定化を図るべく、大幅に高圧化した燃料圧力でもって、少なくとも圧縮行程後期から膨張行程初期までの期間内で、筒内に燃料噴射を実行する(高圧リタード噴射)。
このような第1の運転領域R11でのCI運転に対して、第2の運転領域R12でのSI運転では、排気側のVVL71をオフにして、ホットEGRガスの導入を中止する一方で、クールドEGRガスの導入は継続する。SI運転ではまた、スロットル弁36を全開にする一方で、EGR弁511の開度調整により、筒内に導入する新気量及び外部EGRガス量を調整する。こうして筒内に導入するガス割合を調整することは、ポンプ損失の低減と共に、大量のクールドEGRガスを筒内に導入することによる異常燃焼の回避、火花点火燃焼の燃焼温度を低く抑えることによるRaw NOxの生成抑制及び冷却損失の低減が図られる。なお、全開負荷域では、EGR弁511を閉弁することにより、外部EGRをゼロにする。
また、SI運転においては、過早着火やノッキングなどの異常燃焼を回避すべく、高圧リタード噴射を行う。具体的には、30MPa以上の高い燃料圧力でもって、圧縮行程後期から膨張行程初期にかけてリタード期間内で、筒内に燃料噴射を実行する高圧リタード噴射を行う。なお、SI運転においては、リタード期間内での高圧リタード噴射に加えて、噴射する燃料の一部を、吸気弁21が開弁している吸気行程期間内で筒内に噴射するようにしてもよい(つまり分割噴射を行うとしてもよい)。
[吸気弁及び排気弁の制御]
次に、図4を参照して、本発明の実施形態による吸気弁21及び排気弁22の制御の具体例について説明する。
図4は、CI運転を行う第1の運転領域R11での吸気弁21及び排気弁22の動作を示している。具体的には、図4は、横方向にクランク角度を示し、縦方向に吸気弁21及び排気弁22のリフト量を示しており、実線のグラフG11は、クランク角度に応じた吸気弁21の動作を示し、破線のグラフG12は、クランク角度に応じた排気弁22の動作を示している。図4に示すように、CI運転を行う第1の運転領域R11においては、排気弁22を排気行程中に開弁させると共に吸気行程中にも開弁させる排気二度開きを実行して、吸気弁21及び排気弁22の両方が開いているオーバーラップ期間OLにおいて、相対的に温度の高い排気を内部EGRガスとして筒内に導入するようにする。
なお、上記したように、吸気弁21は、VVT72及びVVL74を介してPCM10によって開閉タイミング及びリフト量が適宜制御され、排気弁22は、VVT75及びVVL71を介してPCM10によって開閉タイミング及びリフト量が適宜制御される。
以下では、吸気弁21が開弁するときのクランク角度を「θIVO」と表記し、吸気弁21が閉弁するときのクランク角度を「θIVC」と表記し、排気弁22が一回目に開弁するときのクランク角度を「θEVO1」と表記し、排気弁22が二回目に開弁するとき(つまり排気二度開きを実行するとき)のクランク角度を「θEVO2」と表記し、排気弁22が閉弁するときのクランク角度を「θEVC」と表記する。厳密には、排気二度開きにおけるクランク角度θEVO2は、排気弁22のプロフィールの変曲点に対応するクランク角度、具体的には排気弁22の動作が閉じ側から開き側へと変位するときのクランク角度に相当する。
なお、図4に示す例では、吸気弁21が開弁するときのクランク角度θIVOと排気弁22が閉弁するときのクランク角度θEVCとの間の期間が、オーバーラップ期間OLに相当する。
[内部EGR率算出]
次に、本発明の実施形態による内部EGR率の算出方法について具体的に説明する。
まず、図5を参照して、本発明の実施形態による内部EGR率の算出方法の基本概念について説明する。図5は、エンジン1の気筒18周辺の構成要素を簡略化して表した断面図である。
算出したい内部EGR率を「1/k」とすると、この内部EGR率は、図5中の矢印A1に示すように、吸気ポート16から吸気弁21を介して筒内に導入される新気量(ガス重量に相当する)である「mair」と、図5中の矢印A2に示すように、排気ポート17から排気弁22を介して筒内に導入される、内部EGRガスとしての排気量(ガス重量に相当する)である「mreb」と、に基づいて表される。具体的には、内部EGR率は、新気量mair及び排気量mrebを用いて、「1/k=mair/mreb」と表される。
ここで、吸気ポート16から筒内への新気(吸気)の流れは、絞りのある場での流体の流れとして扱うことができ、また、排気ポート17から筒内への排気の流れは、絞りのある場での流体の流れとして扱うことができる。したがって、本実施形態では、以下の式(3)で示すような、絞りのある場での流体(圧縮性流体)の質量流量の理論式から、上記した新気量mair及び排気量mrebを定義することとした。
また、式(3)において、「A」は流体が通過する箇所の流れ方向に直交する面の面積を示し、「Pin」は流体の流れ方向の上流側圧力を示し、「Pout」は流体の流れ方向の下流側圧力を示し、「Tin」は上流側の流体の温度を示し、「R」はガス定数を示している。また、式(3)中の「Ψ」は、以下の式(4)に示すような、上記の圧力Pin、Poutと、比熱比である「κ」とを用いて表された関数である。
本実施形態では、このような式(3)から、上記した新気量mair及び排気量mrebの算出式を規定することとした。具体的には、本実施形態では、式(3)を、吸気弁21と排気弁22とのオーバーラップ期間OLについて積分するように変形した、以下の式(5)及び式(6)より、新気量mair及び排気量mrebを求めることとした。そして、本実施形態では、上記した「1/k=mair/mreb」という内部EGR率の算出式に式(5)及び式(6)を代入することで得られる以下の式(7)より、内部EGR率(1/k)を求めることとした。PCM10は、この式(7)を用いて、内部EGR率を算出するようにする。なお、式(7)(式(5)及び式(6)も含む)中の関数Ψは、上記の式(4)と同様の以下の式(8)によって表される。
式(7)において、「θ」はクランク角度を示し、「V」は筒内容積(燃焼室19の容積に相当する)を示し、「Tin」は吸気温度を示し、「TEVO2」は排気温度を示し、「Pin」はインマニ圧力を示し、「Pex」はエキマニ圧を示し、「Pcyl」は筒内圧を示し、「AeIV」はクランク角度に応じた吸気弁21の有効開口面積を示し、「AeEV」はクランク角度に応じた排気弁22の有効開口面積を示している(図5参照)。また、式(7)における積分区間には、吸気弁21及び排気弁22の開閉タイミングに応じて規定されるオーバーラップ期間OL(例えば図4参照)が適用される。
式(7)中の式(5)の部分は、式(3)中の「A」をクランク角度に応じた吸気弁21の有効開口面積AeIVで置き換え、式(3)中の「Pin」をインマニ圧力Pinで置き換え、式(3)中の「Pout」を筒内圧Pcylで置き換え、式(3)中の「Tin」を吸気温度Tinで置き換えたものである。同様に、式(7)中の式(6)の部分は、式(3)中の「A」をクランク角度に応じた排気弁22の有効開口面積AeEVで置き換え、式(3)中の「Pin」をエキマニ圧力Pexで置き換え、式(3)中の「Pout」を筒内圧Pcylで置き換え、式(3)中の「Tin」を排気温度TEVO2で置き換えたものである。なお、式(8)を式(7)中の式(5)の部分に適用するに当たっては、式(8)中の「Pin」をインマニ圧力Pinで置き換え、式(8)中の「Pout」を筒内圧Pcylで置き換えればよく、式(8)を式(7)中の式(6)の部分に適用するに当たっては、式(8)中の「Pin」をエキマニ圧力Pexで置き換え、式(8)中の「Pout」を筒内圧Pcylで置き換えればよい。
本実施形態では、式(7)に示すように、PCM10による内部EGR率(1/k)の演算処理を簡略化するため、吸気温度Tin、インマニ圧力Pin、エキマニ圧力Pex及び筒内圧Pcylをクランク角度によらずにほぼ一定であるとみなして被積分関数から外している。別の言い方をすると、本実施形態では、吸気弁21の有効開口面積AeIV、排気弁22の有効開口面積AeEV、及び筒内容積Vのみをクランク角度θに応じて変化する変数として扱い、被積分関数として用いている。加えて、式(7)では、ガス定数R及び比熱比κは、新気と排気とでほぼ同じであるとみなしている。そのため、ガス定数Rは式(7)に残っていない。
また、本実施形態では、PCM10は、式(7)中の吸気温度Tinとして、吸気ポート温度センサSW5によって検出された温度を用い、式(7)中のインマニ圧力Pinとして、吸気圧センサSW4によって検出された圧力を用い、式(7)中のエキマニ圧Pexとして、排気圧センサSW8によって検出された圧力を用いる。更に、本実施形態では、内部EGR率の演算処理を簡略化するため、PCM10は、式(7)中の筒内圧Pcylとして、大気圧に相当する固定値(例えば98kPa)を用いる(この代わりに、大気圧のセンサ値を用いても構わない)。加えて、PCM10は、式(7)中の排気温度TEVO2として、排気二度開きを行った時点(図4のクランク角度θEVO2に対応するタイミング)での筒内ガス温度を用いる。この場合、PCM10は、筒内ガス温度を推定し、この推定した筒内ガス温度を排気温度TEVO2として用いる。具体的には、PCM10は、内部EGR率などに基づき、排気弁22の閉弁時の排気温度やガスの組成などを求め、これらに基づき、圧縮後の混合気の着火時期や燃焼期間などを求め、そして、これらに基づき、膨張による温度低下から筒内ガス温度を推定する。
なお、少なくともインマニ圧力Pin及びエキマニ圧Pexについては、それぞれ、吸気圧センサSW4によって検出された圧力の平均値及び排気圧センサSW8によって検出された圧力の平均値を用いるのがよい。
ここで、図6を参照して、式(7)中の吸気弁21の有効開口面積AeIV及び排気弁22の有効開口面積AeEVの求め方について説明する。図6は、横軸に吸気弁21及び排気弁22のリフト量を示し、縦軸に流量係数であるCd値を示している。図6において、グラフG21は、吸気弁21を介して筒内に新気が流入するときの、吸気弁21のリフト量とCd値との関係を示し、グラフG22は、排気弁22を介して筒内に排気が流入するときの、排気弁22のリフト量とCd値との関係を示している。なお、吸気弁21と排気弁22とでリフト量とCd値との関係が異なるのは、バルブ径やバルブ角度などの違いに起因する。
基本的には、弁の有効開口面積は、弁の幾何学面積に対して、弁を通って流れる流体の流量係数であるCd値を乗算することで求められる(弁の有効開口面積=弁の幾何学面積×Cd値)。したがって、本実施形態では、PCM10は、吸気弁21の有効開口面積AeIVを、吸気弁21の幾何学面積に対して、吸気弁21を介して筒内に新気が流入するときのCd値を乗算することで求めると共に、排気弁22の有効開口面積AeEVを、排気弁22の幾何学面積に対して、排気弁22を介して筒内に排気が流入するときのCd値を乗算することで求める。なお、吸気弁21及び排気弁22のそれぞれについての幾何学面積及びCd値は、クランク角度θ(言い換えるとリフト量)によって変化する変数である。
この場合、PCM10は、図6のグラフG21を参照して、吸気弁21のリフト量に対応するCd値を求めると共に、図6のグラフG22を参照して、排気弁22のリフト量に対応するCd値を求める。また、PCM10は、所定の係数nと、吸気ポート16のスロート径と、吸気弁21のリフト量とを乗算することで(n×スロート径×リフト量)、吸気弁21の幾何学面積を求め、同様に、所定の係数nと、排気ポート17のスロート径と、排気弁22のリフト量とを乗算することで、排気弁22の幾何学面積を求める。
PCM10は、このようにして、吸気弁21及び排気弁22のそれぞれについて求められたCd値と幾何学面積とから、吸気弁21の有効開口面積AeIV及び排気弁22の有効開口面積AeEVを求める。具体的には、PCM10は、クランク角度θが変化している最中に(詳しくは吸気弁21と排気弁22とのオーバーラップ期間OLに)、所定の周期で繰り返し、吸気弁21の有効開口面積AeIV及び排気弁22の有効開口面積AeEVを求める。なお、PCM10は、事前に求めた値をマップ値として記憶しておき、このマップ値を用いて有効開口面積AeIV、AeEVを得てもよい。
次に、図7を参照して、式(7)中の「dV/dθ」について説明する。図7は、横軸に吸気行程におけるクランク角度を示し、縦軸に下死点(BDC)での筒内容積の大きさを100(%)としたときの筒内容積割合(%)を示している。つまり、図7は、吸気行程におけるクランク角度θの変化に対する筒内容積Vの変化(「dV/dθ」に相当する。)を示している。図7に示すように、筒内容積Vは、クランク角度θの変化に対して非線形にて変化している、より詳しくは三角関数(正弦関数/余弦関数)に基づく式に従って変化している。そのため、例えば、上死点(TDC)及び下死点(BDC)から離れたクランク角度θ1では筒内容積変化dV/dθが大きくなっているが、下死点(BDC)に近いクランク角度θ2では筒内容積変化dV/dθが小さくなっている。
本実施形態では、このようなクランク角度θに応じた筒内容積変化dV/dθを考慮して、上述した吸気弁21の有効開口面積AeIV及び排気弁22の有効開口面積AeEVのそれぞれに対して、筒内容積変化dV/dθを重み付けする。つまり、本実施形態では、PCM10は、吸気弁21の有効開口面積AeIVを筒内容積変化dV/dθによって重み付けして新気量mairを求めると共に(式(5)参照)、排気弁22の有効開口面積AeEVを筒内容積変化dV/dθによって重み付けして排気量mrebを求めて(式(6)参照)、これらの新気量mair及び排気量mrebから内部EGR率を求める(式(7)参照)。この場合、式(7)に示したように、筒内容積変化dV/dθを有効開口面積AeIV、AeEVと共に被積分関数として用いて、PCM10は、有効開口面積AeIV、AeEVに対して筒内容積変化dV/dθを乗算した値を吸気弁21と排気弁22とのオーバーラップ期間OLにおいて積分することで、内部EGR率を求める。
次に、図8を参照して、吸気弁21と排気弁22との種々のオーバーラップ期間OLについて説明する。図8(A)〜(D)は、それぞれ、図4と同様に、横方向にクランク角度を示し、縦方向に吸気弁21及び排気弁22のリフト量を示しており、実線のグラフG31〜G34は、クランク角度に応じた吸気弁21の動作を示し、破線のグラフG41〜G44は、クランク角度に応じた排気弁22の動作を示している。なお、ここで示す例では、排気弁22が上死点(TDC)において二回目の開弁を行うものとする、つまり排気弁22が二回目に開弁するとき(つまり排気二度開きを実行するとき)のクランク角度θEVO2が0度であるものとする。
図8(A)に示す例では、吸気弁21が上死点(TDC)前に開弁し(θIVO<TDC)、排気弁22が吸気弁21よりも前に閉弁している(θEVC<θIVC)。この例では、排気弁22が二回目に開弁するときのクランク角度θEVO2と排気弁22が閉弁するときのクランク角度θEVCとの間の期間が、オーバーラップ期間OL(以下では適宜「OL1」と表記する。)に相当する。
図8(B)に示す例では、吸気弁21が上死点(TDC)前に開弁し(θIVO<TDC)、吸気弁21が排気弁22よりも前に閉弁している(θIVC<θEVC)。この例では、排気弁22が二回目に開弁するときのクランク角度θEVO2と吸気弁21が閉弁するときのクランク角度θIVCとの間の期間が、オーバーラップ期間OL(以下では適宜「OL2」と表記する。)に相当する。
図8(C)に示す例では、吸気弁21が上死点(TDC)後に開弁し(θIVO>TDC)、排気弁22が吸気弁21よりも前に閉弁している(θEVC<θIVC)。この例では、吸気弁21が開弁するときのクランク角度θIVOと排気弁22が閉弁するときのクランク角度θEVCとの間の期間が、オーバーラップ期間OL(以下では適宜「OL3」と表記する。)に相当する。
図8(D)に示す例では、吸気弁21が上死点(TDC)後に開弁し(θIVO>TDC)、吸気弁21が排気弁22よりも前に閉弁している(θIVC<θEVC)。この例では、吸気弁21が開弁するときのクランク角度θIVOと吸気弁21が閉弁するときのクランク角度θIVCとの間の期間が、オーバーラップ期間OL(以下では適宜「OL4」と表記する。)に相当する。
このような図8(A)〜(D)に示すオーバーラップ期間OL1〜OL4のそれぞれを式(7)に適用すると、具体的にはオーバーラップ期間OL1〜OL4のそれぞれに対応する積分区間を式(7)に適用すると、以下の式(9)〜(12)が得られる。本実施形態では、PCM10は、吸気弁21及び排気弁22の開閉タイミングに基づいて、オーバーラップ期間OL1〜OL4のうちで適用されるオーバーラップ期間を決定し、式(9)〜(12)のうちで、決定したオーバーラップ期間に対応する式を用いて、内部EGR率(1/k)を算出する。なお、式(9)〜(12)では、説明の便宜上、クランク角度θIVOを単に「IVO」と表記し、クランク角度θIVCを単に「IVC」と表記し、クランク角度θEVO2を単に「EVO2」と表記し、クランク角度θEVCを単に「EVC」と表記している。
以上説明したようにして、PCM10は、式(7)を用いて、詳しくは式(9)〜(12)のいずれかを用いて、内部EGR率を算出する。本実施形態では、PCM10は、こうして算出した内部EGR率に基づいて、更に、吸気弁21のリフト量、吸気弁21の開閉タイミング、排気弁22のリフト量、排気弁22の開閉タイミング、燃料の噴射量、及び燃料の噴射タイミングのうちの少なくともいずれか1以上を制御する。例えば、PCM10は、推定された内部EGR率と目標の内部EGR率とを比較して、目標の内部EGR率が実現されるように、原則、吸気弁21及び/又は排気弁22のリフト量及び/又は開閉タイミングを制御(補正)することとし、目標の内部EGR率を実現するのに、吸気弁21及び/又は排気弁22の制御(補正)では追い付かない場合に、燃料の噴射量及び/又は噴射タイミングを制御(補正)することとする。
[作用効果]
次に、本発明の実施形態によるエンジンの内部EGR率算出装置及びエンジンの制御装置の作用効果について説明する。
本実施形態では、クランク角度θに応じた吸気弁21の有効開口面積AeIVをクランク角度θに対する筒内容積変化dV/dθによって重み付けした値をオーバーラップ期間において積算することで、吸気弁21を介して筒内に導入された新気量mairを求めると共に、クランク角度θに応じた排気弁22の有効開口面積AeEVをクランク角度θに対する筒内容積変化dV/dθによって重み付けした値をオーバーラップ期間において積算することで、排気弁22を介して筒内に導入された排気量mrebを求めて、これらの新気量mairと排気量mrebとの比率である内部EGR率(1/k)を算出する。
このような本実施形態によれば、クランク角度θに対する筒内容積変化dV/dθ(つまりクランク角度θに応じたピストン14の移動に対応する筒内容積の変化)を考慮して新気量mair及び排気量mrebを求めるので、内部EGR率を精度良く算出することができる。また、オーバーラップ期間OLにおいて吸気弁21及び排気弁22の有効開口面積AeIV、AeEVを筒内容積変化dV/dθで重み付けした値のみを積分して新気量mair及び排気量mrebを求めるので、比較的簡易な演算処理で内部EGR率を算出することができる。したがって、本実施形態によれば、排気二度開きを行って内部EGRガスを筒内に導入している最中にリアルタイムで内部EGR率を精度良く算出することができる。
より具体的には、本実施形態では、式(7)に示すように、吸気弁21及び排気弁22の有効開口面積AeIV、AeEV及び筒内容積変化dV/dθのみを被積分関数とし、吸気温度Tin、インマニ圧力Pin、エキマニ圧力Pex及び筒内圧Pcylをクランク角度θによらずにほぼ一定であるとみなして被積分関数から外しているので、内部EGR率の演算処理負荷を適切に低減することができる。
特に、本実施形態では、筒内圧Pcylとして固定値(大気圧に相当する)を用いると共に、排気温度TEVO2として筒内ガス温度を用いるので、内部EGR率の演算処理負荷を効果的に低減することができる。
また、本実施形態では、このようにして算出された内部EGR率に基づいて、吸気弁21のリフト量、吸気弁21の開閉タイミング、排気弁22のリフト量、排気弁22の開閉タイミング、燃料の噴射量、及び燃料の噴射タイミングのうちの少なくともいずれか1以上を制御するので、所望の内部EGR率などを適切に実現できるようになる。その結果、所定の低負荷領域(第1の運転領域R11)において、燃料を含む混合気を圧縮自己着火させるCI運転を適切に実現できるようになる。
[変形例]
以下では、上記した実施形態の変形例について述べる。
上記した実施形態では、新気量mairと排気量mrebとの比率である内部EGR率(1/k)を算出していたが、この代わりに、内部EGRガス量を算出してもよい。この内部EGRガス量は、式(7)に含まれる式(6)により求められる排気量mrebに相当する。そういった観点より、内部EGR率を算出することには内部EGRガス量を算出することが含まれており、内部EGR率を算出することと内部EGRガス量を算出することはほぼ同義であると言える。
また、上記した実施形態では、「1/k」を内部EGR率として求めていたが、「k」を内部EGR率として求めてもよい。新気量mair及び排気量mrebより、「1/k=mair/mreb」であるので、「k」を内部EGR率として求める場合には、「mreb/mair」を演算すればよい。
また、上記した実施形態では、本発明を、排気二度開きを実行して内部EGRガスを筒内に導入するエンジン1に適用する例を示したが、本発明は、排気二度開きを実行するエンジン1への適用に限定はされない。本発明は、排気弁22を一度しか開かないが、排気弁22の開弁期間を吸気行程に重ならせることで(つまり吸気弁21と排気弁22とのオーバーラップ期間を生じさせて)、内部EGRガスを筒内に導入するエンジン1にも適用可能である。
また、上記した実施形態では、ガソリンエンジンとしてのエンジン1に本発明を適用する例を示したが、本発明は、ディーゼルエンジンにも適用可能である。この場合にも、内部EGRガスを筒内に導入するようにしたディーゼルエンジンに本発明を適用するのがよい。