JP2017043718A - コークス炉定型耐火物積み方法 - Google Patents

コークス炉定型耐火物積み方法 Download PDF

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Abstract

【課題】様々な形状の定型耐火物が混在した状態で用いられるコークス炉の築炉において、それらの定型耐火物を、省スペースで、効率的に積み上げることのできるコークス炉定型耐火物積み方法の提供。【解決手段】コークス炉定型耐火物積みシステム1が、定型耐火物2を積み上げる複数の積み台座300と、定型耐火物積み手段200と、モルタル塗布手段400と、定型耐火物積み手段200およびモルタル塗布手段400を制御する制御手段と、定型耐火物積み手段200に定型耐火物2を供給するための供給台100とを備え、供給台100上に定型耐火物2を配置する供給工程と、供給台100上に配置された定型耐火物2を定型耐火物積み手段200によって積み台座300上へ積み上げる積み上げ工程と、モルタル塗布手段400によって定型耐火物2にモルタル3を塗布するモルタル塗布工程とを有する、コークス炉定型耐火物積み方法。【選択図】図2

Description

本発明は、コークス炉定型耐火物積み方法に関するものであり、特に、様々な形状の定型耐火物を、省スペースで、効率よく積み上げることができるコークス炉定型耐火物積みシステムに関するものである。
製鉄に用いられる冶金用コークスは、室炉式コークス炉で石炭を乾留することによって製造される。室炉式コークス炉は、炭化室と、該炭化室に熱を供給する燃焼室とを炉幅方向に交互に配置することによって構成されており、炭化室と燃焼室とを隔てる耐火レンガ等の定型耐火物を介して燃焼室から炭化室へ熱が供給される。室炉式コークス炉には100門以上の炉室を備えるものもあり、その全長は100m以上、高さは10m以上におよぶ巨大レンガ構造物といえる。
コークス炉の築炉は、現在、築炉工による手積み作業で行われている。手積みによる築炉では、レンガ等の定型耐火物一つ一つにコテでモルタルを塗り、これを積み上げるという作業を繰り返し行う必要がある。さらに、コークス炉に使用される定型耐火物は1つあたり十数kgの重さがあり、これを積み上げる作業は極めて重労働といえる。そのため、定型耐火物の積み上げ作業を機械化、自動化し、労力を低減することが求められている。
一方、建築の分野においては、特許文献1に記載されているように、レンガを自動で積み上げるシステムが提案されている。特許文献1に記載された前記システムでは、コンベアによってレンガを搬送し、接着剤塗布ヘッドを備えたレンガ積みロボットを使用して、レンガを積み上げている。
特表2009−521630号公報
しかし、特許文献1に記載されたシステムは、一般的な建築物の建築におけるレンガ積みのために開発されたものであるため、室炉式コークス炉の築炉における定型耐火物の積み上げに使用することはできない。その理由は以下のとおりである。
一般的な建築物は、同じ形状(通常は直方体)で、同じ寸法のレンガを積み上げて建設される。これに対してコークス炉は、上面から見た形状が、長方形、台形、L型など、様々な形状の定型耐火物を複雑に組み合わせて建造される。その際に使用される定型耐火物の種類は数百種類に上る。また、それらの定型耐火物を、その形状に応じた適切な位置に積み上げる必要がある。そのため、コークス炉の築炉においては、数百種の定型耐火物を、適切な順序で供給し、積み上げていく必要がある。この定型耐火物の供給と積み上げは大変な作業であり、また、すべての定型耐火物を個別に保管、供給しようとすると、そのために巨大な設備が必要となる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、様々な形状の定型耐火物が混在した状態で用いられるコークス炉の築炉において、それらの定型耐火物を、省スペースで、効率的に積み上げることのできるコークス炉定型耐火物積み方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の要旨構成は、次のとおりである。
1.コークス炉定型耐火物積みシステムを用いて定型耐火物を積み上げる、コークス炉定型耐火物積み方法であって、
前記コークス炉定型耐火物積みシステムが、
前記定型耐火物を積み上げる複数の積み台座と、
前記積み台座上に定型耐火物を積み上げる定型耐火物積み手段と、
前記定型耐火物にモルタルを塗布するモルタル塗布手段と、
前記定型耐火物積み手段および前記モルタル塗布手段を制御する制御手段と、
前記定型耐火物積み手段に前記定型耐火物を供給するための供給台とを備え、
前記供給台上に前記定型耐火物を配置する供給工程と、
前記供給台上に配置された前記定型耐火物を前記定型耐火物積み手段によって前記積み台座上へ積み上げる積み上げ工程と、
前記モルタル塗布手段によって前記定型耐火物にモルタルを塗布するモルタル塗布工程とを有する、コークス炉定型耐火物積み方法。
2.前記定型耐火物積み手段が、
前記定型耐火物を前記積み台座上に積み上げる定型耐火物積み用ロボットと、
前記定型耐火物の、形状、寸法、および位置を測定する測定手段とを有し、
前記制御手段が、前記測定手段で測定された結果に基づいて前記定型耐火物積み用ロボットを制御する、前記1に記載のコークス炉定型耐火物積み方法。
3.前記測定手段が、撮像素子と距離センサとを備える、前記2に記載のコークス炉定型耐火物積み方法。
4.前記モルタル塗布手段が、
前記モルタルを移送するポンプと、
前記ポンプに接続された配管と、
前記配管に接続され、前記モルタルを定量供給する定量供給装置と、
前記定量供給装置に接続されたホースと、
前記ホースに接続され、前記モルタルを前記定型耐火物に塗布するノズルと、
前記ノズルが取り付けられた塗布用ロボットを備える、前記1〜3のいずれか一に記載のコークス炉定型耐火物積み方法。
5.(a)前記定型耐火物積み手段および前記モルタル塗布手段と、(b)前記積み台座の、少なくとも一方が、前記積み台座の長手方向に移動可能である、前記1〜4のいずれか一に記載のコークス炉定型耐火物積み方法。
6.前記供給工程において、前記定型耐火物を、形状ごとにまとめて、かつ積み重ねて前記供給台上へ配置する、前記1〜5のいずれか一に記載のコークス炉定型耐火物積み方法。
本発明のコークス炉定型耐火物積みシステムおよびコークス炉定型耐火物積み方法によれば、様々な形状の定型耐火物が混在した状態で用いられるコークス炉の築炉において、それらの定型耐火物を、省スペースで、効率的に積み上げることができる。
本発明の一実施形態におけるコークス炉定型耐火物積みシステムを示す上面概略図である。 本発明の一実施形態におけるコークス炉定型耐火物積みシステムを示す側面概略図である。 本発明の一実施形態における定型耐火物積み用ロボットの挟持部を示す斜視図である。 本発明の一実施形態における、供給台上での定型耐火物の配置を示す模式図である。 本発明の一実施形態における、定型耐火物積み方法を示す模式図である。 本発明の他の実施形態における、定型耐火物積み方法を示す模式図である。
次に、本発明を実施する方法について具体的に説明する。本発明のコークス炉定型耐火物積み方法においては、コークス炉定型耐火物積みシステムを用いてコークス炉定型耐火物の積み上げが行われる。前記コークス炉定型耐火物積みシステムは、定型耐火物を積み上げる複数の積み台座と、前記積み台座上に定型耐火物を積み上げる定型耐火物積み手段と、前記定型耐火物にモルタルを塗布するモルタル塗布手段と、前記定型耐火物積み手段および前記モルタル塗布手段を制御する制御手段と、前記定型耐火物積み手段に前記定型耐火物を供給するための供給台とを備えている。そして、本発明のコークス炉定型耐火物積み方法は、前記供給台上に前記定型耐火物を配置する供給工程と、前記供給台上に配置された前記定型耐火物を前記定型耐火物積み手段によって前記積み台座上へ積み上げる積み上げ工程と、 前記モルタル塗布手段によって前記定型耐火物にモルタルを塗布するモルタル塗布工程とを、少なくとも有している。以下、前記コークス炉定型耐火物積みシステムの構成と、前記各工程の内容について説明する。
<定型耐火物>
前記定型耐火物としては、特に限定されることなく、レンガやプレキャストブロック等、任意の定型耐火物を用いることができる。なかでも、手積みでコークス炉を建設する際に用いられる通常の定型耐火物を用いることが好ましい。通常の定型耐火物を使用することにより、本発明の方法で築炉する場合においても、従来と同様の炉の設計とすることが可能となり、その結果、少なくとも従来と同等の炉の性能を保証することが可能となる。また、大型のモジュールレンガを用いた場合には、亀裂が入った場合にモジュール全体にわたって亀裂が広がるおそれがあるが、通常の定型耐火物を使用すれば、仮に定型耐火物に亀裂が入ったとしても、その亀裂の伝搬を1つの定型耐火物内でとどめることができる。なお、ここでいう通常の定型耐火物とは、モジュールレンガではない、手積み用の定型耐火物全般を指すが、その寸法は、一般的には、高さ10〜15cm、水平方向の長さが20〜40cmである。
<積み台座>
上記定型耐火物は、最終的には定型耐火物積み手段により積み台座上に積み上げられる。前記積み台座上に定型耐火物を積み上げることによって作製されたブロックはコークス炉建設場所へ運搬された後、該ブロックを積み上げることによってコークス炉が建設される。その際、上記のように積み台座上にブロックを作製することにより、完成したブロックを該積み台座ごと運搬することができる。前記ブロックの運搬方法は特に限定されず、任意の方法を用いることができるが、例えば、積み台座をレール上に設置しておき、該積み台座をレール上で走行させて運搬することができる。また、クレーンを用いて積み台座ごとブロックを運搬することも可能である。そして、ブロックが搬出された後の積み場所には、定型耐火物が積まれていない空の積み台座を再度設置し、新たなブロックの作製を行うことができる。
積み台座の形状や寸法は、作製するブロックに合わせて決定することができる。例えば、コークス炉の燃焼室を構成するブロック等を作製する場合には、積み台座を上方から見た形状を略長方形とすることが好ましい。
本発明においては、上記積み台座を複数用いることが重要である。これにより、該複数の積み台座において、作業を並行して進めることが可能となる。例えば、一つの積み台座において定型耐火物の積み上げを行っている間に、別の積み台座において、既に積み上げられた定型耐火物(例えば、完成したブロック)の後処理を行うことができる。前記後処理としては、例えば、はみ出したモルタルの処理、目地押し、検査などが挙げられる。また、一つの積み台座において積み上げ工程を行っている間に、別の積み台座においてモルタル塗布工程を行うこともできる。
なお、一般的にコークス炉に使用される定型耐火物は、下面にダボと呼ばれる凸部を有している。このダボは、該定型耐火物の下の段に積まれる定型耐火物の上面に設けられた凹部とかみ合うことにより、定型耐火物同士を強固に固定する作用を有している。しかし、このようなダボを有する定型耐火物を使用した場合、平坦な面にそのまま置いただけでは安定せず、傾いたり倒れたりしてしまうおそれがある。そこで、前記積み台座としては、ダボを避けて定型耐火物を支持するための支持部を有する積み台座を使用することが好ましい。前記支持部としては、例えば、定型耐火物下面のダボと干渉しないよう、該ダボがある部分以外の位置で該定型耐火物を水平に支持するように積み台座の天板に設けられた支持部材を使用することができる。また、積み台座の天板に凹部を設け、該凹部にダボを収容することにより、定型耐火物のダボがある部分以外の位置を凹部以外の天板の面で水平に支持するようにすることもできる。
<定型耐火物積み手段>
本発明のコークス炉定型耐火物積みシステムは、上記積み台座上に定型耐火物を積み上げるための定型耐火物積み手段を少なくとも一つ有している。前記定型耐火物積み手段としては、定型耐火物を積み上げることができるものであれば任意のものを使用することができるが、作業効率の観点からは、前記定型耐火物積み手段が、定型耐火物積み用ロボットを備えていることが好ましい。また、前記定型耐火物積み手段は、定型耐火物の、形状、寸法、および位置を測定することができる測定手段を備えていることが好ましい。
[定型耐火物積み用ロボット]
上記定型耐火物積み用ロボットとしては、任意のロボットを使用することができるが、作業効率や設置スペースの観点からは、産業用ロボットの一種であるアーム型ロボットを用いることが好ましく、垂直多関節型ロボットを用いることがより好ましい。前記定型耐火物積み用ロボットは、定型耐火物を保持するための保持部を有している。定型耐火物積み用ロボットとしてアームを有するロボットを用いる場合には、該アームの先端に前記保持部を備えることが好ましい。前記保持部の構造はとくに限定されず、定型耐火物の保持と開放を適切に行えるものであれば任意のものを用いることができる。使用可能な保持部の例としては、平行開閉型ハンド、支点開閉型ハンド、真空吸着型ハンドなどが挙げられる。
[測定手段]
上記測定手段としては、定型耐火物の形状、寸法、および位置を測定することができるものであれば任意のものを使用することができる。コークス炉には、上面から見た形状が、長方形、台形、L型など、様々な形状の定型耐火物が使用される。そこで、定型耐火物積み用ロボットに測定装置を設け、定型耐火物の形状や寸法をその場で測定することにより、その情報に基づいて該定型耐火物積み用ロボットを制御することができる。また、定型耐火物の寸法にはいくらかのばらつきがあるが、測定された定型耐火物の寸法の情報に基づいて、定型耐火物を積み上げる位置やモルタルを塗布する位置を補正することも可能となる。
前記測定手段は、一つの測定装置であってもよいし、複数の測定装置を組み合わせたものであってもよい。測定手段として好適に使用できるものの一例としては、撮像素子(カメラ)と距離センサの組み合わせが挙げられる。また、前記位置は、絶対的な位置であってもよいし、測定手段を基準とした相対位置であってもよい。
上記撮像素子としては、例えば、CCDやCMOSなどのイメージセンサを備えたカメラを使用することができる。撮像素子により定型耐火物の画像データを取得し、該画像データを処理することによって定型耐火物の上面から見た形状や、寸法、位置等を検出することができる。定型耐火物の上面形状は、画像データを処理することにより、輪郭として検出してもよい。定型耐火物の位置に関する情報は、例えば、測定を行った時点における撮像素子の位置情報に基づいて画像データを解析することにより得ることができる。また、撮像素子で得た画像データに基づいて、定型耐火物の傾きを測定し、得られた傾きの情報を後述する制御に利用することもできる。
上記距離センサとしては、レーザーセンサをはじめとする、任意の距離センサを用いることが出来る。距離センサを用いることにより、定型耐火物の寸法や位置を測定することができる。例えば、後述する供給台の上に定型耐火物が置かれている場合、距離センサを用いて該定型耐火物の上面までの距離と台までの距離を測定し、両者の差をとることによって定型耐火物の高さを求めることができる。また、距離センサによる測定結果から、水平面に対する定型耐火物の傾きを算出することもできる。傾きの算出は、複数の距離センサの測定結果を用いて行ってもよく、単一の距離センサを移動させて複数の地点で測定した結果を用いて行ってもよい。
上記測定手段を設ける位置は定型耐火物積み手段の任意の箇所に設けることができるが、少なくとも、供給台上に配置された定型耐火物の測定を行える位置に設けることが好ましい。定型耐火物積み手段が定型耐火物積み用ロボットを備える場合には、該定型耐火物積み用ロボットの可動部分に前記測定手段を設けることが好ましい。また、前記定型耐火物積み用ロボットがアーム型ロボットである場合には、前記測定手段をアームに設けることが好ましく、アームの先端に設けることがより好ましい。これにより、前記測定手段を移動させるための手段としてロボットのアームを使用できるため、該アームが届く範囲内の任意の位置で測定を行うことができる。また、アームを回転させることにより、測定手段を水平方向など各種の方向に向けて測定を行うこともできる。
さらに、上記定型耐火物積み手段は、上記定型耐火物積み用ロボットを移動させるための移動手段を備えることが好ましい。定型耐火物積み用ロボットを移動可能とすることにより、ロボット1台当たりの作業可能エリアを広くすることができ、その結果、大型のブロックであっても効率的に作製することができる。移動手段としては、任意のものを用いることができるが、レールと、該レール上を走行するための走行装置を用いることが好ましい。また、定型耐火物積み用ロボットを移動させる方向は、上記積み台座の長手方向と平行とすることが好ましい。
<モルタル塗布手段>
本発明のコークス炉定型耐火物積みシステムは、定型耐火物にモルタルを塗布するためのモルタル塗布手段を少なくとも一つ有している。前記モルタル塗布手段としては、モルタルを塗布できるものであれば任意のものを用いることができるが、効率的に自動でモルタルを塗布するという観点からは、モルタル塗布用ロボットを備えるモルタル塗布手段を用いることが好ましい。また、安定的にモルタルを供給して精度良く塗布を行うために、モルタルを移送するポンプと、前記ポンプに接続された配管と、前記配管に接続され、前記モルタルを定量供給する定量供給装置と、前記定量供給装置に接続されたホースと、前記ホースに接続され、前記モルタルを前記定型耐火物に塗布するノズルと、前記ノズルが取り付けられた塗布用ロボットを備えるモルタル塗布装置を用いることがより好ましい。前記定量供給装置としては、スクリューフィーダー等の、モルタルを定量的に供給することが可能な装置を使用することができる。
前記塗布用ロボットとしては、定型耐火物積み用ロボットと同様に、産業用ロボットの一種であるアーム型ロボットを用いることが好ましく、垂直多関節型ロボットを用いることがより好ましい。また、前記ノズルは、前記塗布用ロボットの可動部に設けることが好ましく、前記塗布用ロボットがアーム型ロボットである場合には、該アームの先端にノズルを取り付けることがより好ましい。前記ノズルの形状は特に限定されず、任意のノズルを用いることができる。広い面積に均一な厚みで塗布を行うという観点からは、スリット状の吐出口を有し、モルタルを帯状に塗布することができる平ノズルを用いることが好ましい。
さらに、上記モルタル塗布手段は、上記塗布用ロボットを移動させるための移動手段を備えることが好ましい。塗布用ロボットを移動可能とすることにより、ロボット1台当たりの作業可能エリアを広くすることができ、その結果、大型のブロックであっても効率的に作製することができる。移動手段としては、任意のものを用いることができるが、レールと、該レール上を走行するための走行装置を用いることが好ましい。塗布用ロボットを移動させる方向は、上記積み台座の長手方向と平行とすることが好ましい。なお、塗布用ロボットを移動可能とする場合、塗布用ロボットのみを移動させ、モルタル塗布手段の他の部分(ポンプ、定量供給装置など)を固定式としてもよい。また、塗布用ロボットとともに、モルタル塗布手段の他の部分の一部または全部を移動させるようにしてもよい。
なお、本発明のコークス炉定型耐火物積みシステムにおいては、(a)定型耐火物積み手段およびモルタル塗布手段と、(b)積み台座の少なくとも一方を、前記積み台座の長手方向に移動可能とすることが好ましい。(a)定型耐火物積み手段およびモルタル塗布手段が移動可能であれば、積み台座が固定された状態であっても、適切な位置に定型耐火物積み手段とモルタル塗布手段を移動させた上で定型耐火物積みやモルタルの塗布を行うことができるため、定型耐火物積み手段およびモルタル塗布手段1台あたりの作業エリアを広くし、効率的に定型耐火物積みを行うことができる。また、定型耐火物積み手段およびモルタル塗布手段が固定式であっても、積み台座が移動可能であれば、同様に1台あたりの作業エリアを広くし、効率的に定型耐火物積みを行うことができる。作業の自由度を高くし、効率的に定型耐火物積みを行うという観点からは、定型耐火物積み手段およびモルタル塗布手段を、それぞれ独立に移動可能とすることがより好ましい。
<制御手段>
本発明のコークス炉定型耐火物積みシステムは、前記定型耐火物積み手段および前記モルタル塗布手段を制御するための制御手段を備えている。これにより、定型耐火物積み手段とモルタル塗布手段の動作を連動させ、効率的に定型耐火物積みを行うことができる。定型耐火物を積む位置や、モルタルを塗布する位置は、予め制御手段に記憶させておくこともできるし、測定手段等によって得られた情報に基づいて、制御手段により決定することもできる。
また、基準となる定型耐火物の形状、寸法等に関する情報を予め制御手段に設定しておき、前記情報と、測定手段で測定された定型耐火物の情報とを比較し、その差に基づいて、定型耐火物積み手段が定型耐火物を積み上げる位置やモルタル塗布手段がモルタルを塗布する位置を補正することもできる。これにより、定型耐火物の形状や寸法の誤差の影響を受けずに、定型耐火物を精度良く積み上げることができる。
<供給台>
本発明において定型耐火物積み手段により積み場所に積み上げられる定型耐火物は、前記定型耐火物積み手段へ直接供給されるのではなく、供給台上に供給される。前記供給台の形態は特に限定されず、定型耐火物積み手段へ定型耐火物を供給することができる、台状のものであれば任意のものを用いることができる。また、前記供給台は、その上面(天板)に、上記積み台座と同様に定型耐火物のダボを避けて支持するための支持部を有していることが好ましい。
前記供給台の寸法は特に限定されないが、定型耐火物積み手段への定型耐火物の供給と、該定型耐火物積み手段による定型耐火物の積み上げを効率的に行うという観点からは、前記供給台の長さを、前記複数の積み台座の合計の長さ以上とすることが好ましい。なお、ここで「供給台の長さ」とは、前記積み台座の長手方向と平行な方向における長さを意味する。また、前記供給台上に定型耐火物を配置する際の作業性の観点からは、供給台の高さを600〜700mmとすることが好ましい。なお、ここで「供給台の高さ」とは、該供給台が設置されている地面または床面から、供給台の上面までの高さを意味する。
前記供給台は1つであってもよいが、複数とすることもできる。供給台を複数とする場合には、例えば、供給台の数を上記複数の積み台座と同じ数とすることが好ましく、さらにその際に各供給台の長さを各積み台座の長さ以上とすることが、より好ましい。このように複数の供給台を使用すれば、各積み台座へ積み上げる定型耐火物を、複数の供給台のそれぞれに分けて供給することができるため、作業効率をさらに向上させることができる。
<供給工程>
本発明においては、積み上げを行う定型耐火物を、まず供給台上に配置する。前記供給台上への定型耐火物の配置は特に限定されることなく、任意の方法で行うことができる。前記配置を人手によって行う場合には、後述する蓄積場所などの任意の場所に置かれた定型耐火物を作業者が持ち上げて、前記供給台上へ置けばよい。また、機械によって行う場合には、ロボットを備えた定型耐火物供給手段を供給台に隣接する位置に設置し、該定型耐火物供給手段を用いて定型耐火物を供給台上へ置けば良い。
供給台上へ配置する前の定型耐火物は、任意の態様で置いておくことができるが、作業効率の観点からは、種類ごとに区分して蓄積しておくことが好ましい。例えば、一般的な定型耐火物は、種類ごとに分かれた状態で購入されるので、その状態のままフォークリフトなどで蓄積場所へ運搬し、パレットの上などに積まれた状態で蓄積しておくことができる。その場合、前記蓄積場所は供給台と隣接する位置とし、該蓄積場所と供給台との間に作業員または前記定型耐火物供給手段を配置すれば、効率的に供給台上へ定型耐火物を配置することができる。
供給台上での定型耐火物の置き方(並べ方)は特に限定されないが、作業効率の観点からは、定型耐火物の形状ごとにまとめて並べておくことが好ましい。また、省スペースの観点からは、定型耐火物を積み重ねておくことが好ましい。
<積み上げ工程>
次に、前記供給台上に配置された定型耐火物を、定型耐火物積み手段によって積み台座上へ積み上げる。この積み上げ工程は任意の態様で行うことができるが、通常は、供給台上に配置された定型耐火物を持ち上げる持ち上げ工程と、持ち上げられた定型耐火物を積み台座上の所定の位置に積む積み工程とを有している。また、前記定型耐火物積み手段が測定手段を備える場合には、前記前記持ち上げ工程に先だって、持ち上げようとする定型耐火物の形状、寸法、および位置を、該測定手段によって測定する測定工程を、前記積み上げ工程が有していることが好ましい。
<モルタル塗布工程>
モルタル塗布工程においては、定型耐火物にモルタルが塗布される。前記モルタルは、積み上げる定型耐火物同士を接合する機能を有している。モルタル塗布工程では、定型耐火物の表面にモルタルが塗布されるが、モルタルが塗布される定型耐火物は、定型耐火物積み手段が保持しているものであってもよく、定型耐火物積み手段によって既に積み台座上へ積まれたものであってもよく、また、その両者であってもよい。
例えば、定型耐火物積み用ロボットを備える定型耐火物積み手段を使用する場合には、該定型耐火物積み用ロボットが、アームの先端に取り付けられた挟持部材などで保持している定型耐火物に直接モルタル塗布装置によってモルタルを塗布した後、前記モルタルが塗布された定型耐火物を、積み台座上に既に置かれている定型耐火物の上に積み上げることができる。
また、既に積み台座上へ積まれている定型耐火物にモルタルを塗布する場合には、例えば、定型耐火物積み手段によって次に定型耐火物が積まれる位置にモルタルを塗布すればよい。前記定型耐火物が積まれる位置とは、積もうとする定型耐火物の下面が接触する部位、すなわち、下の段に既に積まれている定型耐火物の上面を少なくとも含む位置である。積もうとする定型耐火物の側面が接する位置に、既に定型耐火物が積まれている場合には、その定型耐火物の側面のうち、前記積もうとする定型耐火物と接する面にもモルタルを塗布しておくことが好ましい。また、上記のように定型耐火物1つ分に対応する場所毎に逐次モルタルを塗布する以外に、2個またはそれ以上、場合によっては1段分など、複数の定型耐火物を積む位置にまとめてモルタルを塗布してもよい。なお、積み台座の上に1段目の定型耐火物を積む際には、あらかじめモルタルを塗布しない。
本発明における供給工程、積み上げ工程、およびモルタル塗布工程は、それぞれ独立に、任意のタイミングで行うことができる。例えば、これらの工程を同時に並行して行ってもよいし、順次行ってもよい。また、一つの積み台座に積み上げる分の定型耐火物を供給台上へ配置した後に、積み上げ工程とモルタル塗布工程を実施して供給台上へ配置された前記定型耐火物を積み台座上へ積み上げ、その積み上げを行っている間に、別の積み台座へ積み上げる分の定型耐火物を供給台上の別の位置に配置する供給工程を実施することもできる。
上記のようにして積み台座上に積み上げられた定型耐火物からなるブロックは、任意の方法でコークス炉の築炉に使用することができる。例えば、上述したように前記ブロックを積み台座ごとコークス炉建設場所へ運搬する運搬工程を経て、運搬された前記ブロックをさらに複数積み上げてコークス炉を建造することができる。前記ブロックは、コークス炉のいずれの部分を構成するためのブロックとすることもできるが、比較的構造が単純な部分や、繰り返し構造を有する部分をブロック化すれば、作業効率の向上効果が大きいため、前記ブロックの少なくとも1つを蓄熱室および燃焼室のいずれかを構成するためのものとすることが好ましい。
本発明においては、上述のように、定型耐火物積み手段やモルタル塗布手段を備えたシステムを用いて定型耐火物を積み上げるため、様々な形状の定型耐火物が混在した状態で用いられるコークス炉の築炉において、重労働である定型耐火物積みを自動化することができ、定型耐火物を効率的に積み上げることができる。また、複数の積み台座を使用するため、該複数の積み台座への積み上げを順次行うことができ、一つの積み台座へ積み上げを行っている間に、別の積み台座では他の作業を行うことが可能であるため、作業効率が高い。さらに、一つの積み台座へ積み上げを行っている間に、積み上げを行っていない積み台座へ積み上げる分の定型耐火物を供給台上へ供給しておくこともできる。
また、本発明においては、定型耐火物を耐火物積み手段への定型耐火物の供給を、供給台上に定型耐火物を配置するだけで行うことができるため、例えば、作業者により蓄積場所から供給台上へ定型耐火物を移動させるといった簡便な方法を採用することができる。したがって、自動倉庫や定型耐火物の自動切り出し装置などの大がかりな設備を必要とせず、省スペースでコークス炉定型耐火物積みを行うことができる。
さらに、上述のように供給台上への定型耐火物の配置を作業者によって行う場合であっても、作業者は、供給台上に定型耐火物を置くだけでよく、定型耐火物積み手段に直接定型耐火物を供給する必要がない。したがって、作業者は、定型耐火物積み手段を構成するロボット等の可動域に立ち入らずに、安全に供給作業を行うことが可能である。
次に、本発明を実施する方法について、実施形態に基づいてさらに具体的に説明する。なお、以下の説明は、本発明の好適な例を示すものであり、本発明は以下の説明によって何ら限定されるものではない。
<第一の実施形態>
図1、2は、本発明の一実施形態におけるコークス炉定型耐火物積みシステム1を上面および側面からみた概略図である。コークス炉定型耐火物積みシステム1は、供給台100、定型耐火物積み手段200、積み台座300、モルタル塗布手段400、および制御手段500を備えている。
(供給台)
供給台100はテーブル状の台であり、その上に定型耐火物2を複数置くことのできる強度を有している。供給台100の天板上面には、定型耐火物2の下面にあるダボを避けて定型耐火物2を支えるための支持部110が設けられている。なお、本実施形態では図2に示すように供給台100から上方へ向けて突出するように支持部110が設けられているが、供給台100の上面を、ダボを収容できるように切り欠いて支持部を形成してもよい。
(定型耐火物積み手段)
定型耐火物積み手段200は、定型耐火物積み用ロボット210、測定手段220、および移動手段としてのレール230を備えている。レール230は積み台座300の長手方向と平行に敷設されており、定型耐火物積み用ロボット210はレール230上で自走するための走行装置をさらに備えている。
定型耐火物積み用ロボット210は、産業用ロボットの一種である垂直多関節型ロボットであり、アームを有している。前記アームの先端には測定手段220と、定型耐火物2を保持するための挟持部240が備えられている。
図3は、本実施形態における挟持部240の構造を示したものである。ここで用いられる挟持部240は、平行開閉型ハンド(平行ハンド)と呼ばれるタイプの保持機構を、本発明の目的に合わせて改良したものである。図中、242aおよび242bは、定型耐火物を挟み込んで保持するための挟持部材である。挟持部材の形状は特に限定されないが、図3に示したように定型耐火物と接触する面が平面であれば、接触面積が増し、その結果、定型耐火物を安定して保持できるため好ましい。また、挟持部材242aおよび242bの定型耐火物2と接触する部分には、保持力を向上させるための滑り止め部材243aおよび243bを設けることが好ましい。前記滑り止め部材としては、例えば、一般的なゴムのような熱硬化性エラストマー、シリコーンゴムなどの熱可塑性エラストマー、およびその他の樹脂などを用いることができる。図5に示した実施態様においては、挟持部材242aおよび242bの定型耐火物2と接触する面に、滑り止め部材243aおよび243bとして板状のゴムを設けている。また、ゴム等の弾性材料からなる滑り止め部材を設けることにより、定型耐火物の破損を防止することができる。
挟持部材242aおよび242bは、開閉することにより定型耐火物を保持または開放するように構成される。ここで、本実施形態においては、2つの挟持部材が、互いに近づく方向または互いに離れる方向に、直線的に動くことにより開閉する。前記挟持部材の開閉は、2つの挟持部材をともに動かすことによって行ってもよいし、一方のみを動かして行ってもよい。図3に示した挟持部の例では、エアシリンダ244を用いて、挟持部材243aを矢印Aの方向に移動させることにより、挟持部材の開閉を行うことができる。
さらに、挟持部材の少なくとも1つは、該挟持部材の定型耐火物と当接する当接面の角度を可変とすることが好ましい。これにより、定型耐火物の側面が傾斜している(対向する側面と平行ではない)場合であっても、該定型耐火物の側面の傾斜に合わせて挟持部材が回転することで、安定して定型耐火物を保持することができる。前記挟持部材の回転方法は特に限定されず、挟持部材を一定の角度範囲内で自由に回転できるように回転自在に設けておき、定型耐火物を挟持する際に、該定型耐火物側面の傾斜に倣うように回転するようにすることもできる。また、モーター等の駆動装置を用いて挟持板を任意の角度に回転させるようにすることもできる。
図3に示した挟持部の例では、挟持部材242aは、サーボモーター245に接続された回転軸246に固定されており、矢印Bで示す方向に回転可能である。サーボモーター245は、後述する制御手段からの信号により駆動され、定型耐火物の形状に合わせて挟持部材242aの角度を調整する。なお、上記の例では一方の挟持部材を開閉可能かつ回転可能としたが、一方の挟持部材を開閉可能とするとともに他方の挟持部材を回転可能とすることもできる。また、両方の挟持部材を開閉可能かつ回転可能としてもよい。
さらに、挟持部材の少なくとも1つは、該挟持部材の前記定型耐火物と当接する当接面と平行な方向における位置を変更可能とすることが好ましい。これにより、上面から見た形状がL型など特殊な形状の定型耐火物であっても、その形状に合わせた位置に挟持部材を平行移動させ、安定に定型耐火物を保持することができる。前記平行移動の方法は特に限定されず、任意の駆動装置を使用することが出来る。図3に示した挟持部の例では、挟持部材242bを矢印Cの方向に移動させるためのボールネジ247およびモーター248が設けられている。前記モーターとしては、ステッピングモーターやサーボモーターを使用することができ、該モーターは、後述する制御手段からの信号により駆動される。
また、本実施形態の定型耐火物積み手段200には、測定手段220として撮像素子221と距離センサ222が備えられている。測定手段220によって得られた定型耐火物2の形状、寸法、および位置に関する情報は、制御装置500に送信され、その情報に基づいて定型耐火物積み用ロボット210等が操作される。
(積み台座)
定型耐火物2が積み上げられる積み台座300は、レール310上に設置されている。積み台座300の天板、すなわち、定型耐火物2が積み上げられる面を上から見た形状は略長方形であり、前記天板上には定型耐火物2の下面にあるダボを避けて支えるための支持部(図示されない)が設けられている。前記支持部の形状は、供給台100に設けられた支持部と同様である。
(モルタル塗布手段)
積み台座300の、定型耐火物積み手段200と反対の側には、モルタル塗布手段400が設けられている。本実施形態においては、モルタル塗布手段400は、モルタル3を移送するポンプ410、ポンプ410に接続された配管420、配管420に接続され、モルタル3を定量供給する定量供給装置430、定量供給装置430に接続されたホース440、ホース440に接続され、モルタル3を定型耐火物2に塗布するノズル450、およびノズル450が取り付けられた塗布用ロボット460を備えている。また、モルタル塗布手段400はレール470の上に設置されており、レール470上で自走するための走行装置をさらに備えている。レール470は、積み台座300の長手方向と平行に敷設されている。
塗布用ロボット460は、定型耐火物積み用ロボット210と同じく垂直多関節型ロボットであり、ノズル450は、塗布用ロボット460のアームの先端に取り付けられている。ノズル450の取り付け部には、前記アームの中心軸を中心としてノズル450を回転させる回転手段(図示されない)が設けられており、モルタル3を塗布する面の向きに合わせてノズル450を回転させることができる。
本実施形態においては、定型耐火物積み用ロボット210と塗布用ロボット460が、それぞれレール230とレール470上に設置されており、レール230とレール470とが、積み台座300の長手方向と平行に敷設されているため、これらのロボットをレール上で移動させることにより、長さの長いブロックを容易に製作することができる。
(制御手段)
制御手段500は、定型耐火物積み手段200およびモルタル塗布手段400と接続されており、測定手段220によって測定された定型耐火物2の形状、寸法、および位置に基づいて、定型耐火物積み手段200およびモルタル塗布手段400を制御するように構成されている。
次に、本実施形態におけるコークス炉定型耐火物積み方法の一例を説明する。まず、定型耐火物2の積み上げ作業を開始する前に、定型耐火物の積み上げ作業を行う位置に積み台座300を設置する。積み台座300の設置は、例えば、天井クレーンや重機などによって積み台座300をレール310上へ置き、次いで、積み台座300を定型耐火物の積み上げ作業を行う位置まで走行させて行うことができる。本実施形態では、2台の積み台座300を使用する。
使用する定型耐火物2は、形状ごとにまとめられた状態で、供給台100に隣接した所定の位置に置かれる。その際には、定型耐火物2をパレット600に載せた状態でフォークリフトなどによって運搬し、パレット600に載せたままで前記所定の位置に置くことができる。
次いで、パレット600に載せられた定型耐火物2と、供給台100との間に作業員4が立ち、作業員4が定型耐火物2を開封、仕分けして、供給台100上に配置する。その際、供給台100上における定型耐火物2の配置は、図4に示すように、定型耐火物2の形状ごとに区分する形とすることが好ましい。また、省スペース化の観点からは、同じ形状の定型耐火物2は複数段、重ねておくことが好ましい。なお、供給台100上の定型耐火物2を配置する位置に、その位置に配置する定型耐火物2の種類や形状を示す番号、記号、イラストなどを表示しておくことが好ましい。これにより、作業員4による定型耐火物2の誤配置を防止することができる。
供給台100上に配置された定型耐火物2は、定型耐火物積み用ロボット210によって持ち上げられ、積み台座300の上に積み上げられる。その際、定型耐火物2を適切にハンドリングし、正しい位置に積み上げるために、予め測定手段220による測定が行われる。前記測定は、定型耐火物積み用ロボット210が定型耐火物2を持ち上げる前に、供給台100上に定型耐火物2が置かれた状態で行うことが好ましい。まず、定型耐火物積み用ロボット210を動かして、アーム先端に設けられている測定手段220を供給台100上の定型耐火物2に近接させる。その状態で測定を行い、定型耐火物2の形状、寸法、および位置を測定する。その結果に基づいて、定型耐火物積み用ロボット210および挟持部240を駆動し、定型耐火物2を一つ持ち上げる。
定型耐火物積み用ロボット210によって保持された定型耐火物2は、定型耐火物の種類に応じて、積み台座300上の予め定められた位置へ積み上げられる。どの形状の定型耐火物をどの位置に積むかという情報は、あらかじめ制御手段500に格納しておく。また、実際に定型耐火物を積む位置は、測定手段220によって測定された個々の定型耐火物の形状および寸法に基づいて補正される。具体的には、予め設定された基準となる定型耐火物の情報と、測定手段220で測定された情報とを比較し、その差に基づいて、定型耐火物積み手段200が定型耐火物2を積み上げる位置が補正される。
前記補正を行う方法の一例としては、定型耐火物の重心位置に基づいて補正を行う方法が挙げられる。具体的には、まず、図面寸法に基づいて定型耐火物の重心を算出し、該重心の位置と、重心がどの位置に来るように定型耐火物を積むかという位置情報を制御手段500に予め格納しておく。その後、実際に定型耐火物を積む際に、測定手段220によって測定された定型耐火物の実際の寸法から、実際の重心を算出する。次いで、前記実際の重心と予め図面寸法から求めた重心とを比較し、両者の差に基づいて定型耐火物を積む位置を補正する。なお、このような積み位置の補正は、重心だけでなく、定型耐火物の側面や上面の中心(中点)位置を基準として行うこともできる。
次に、モルタル塗布手段400によりモルタル3を塗布する手順について説明する。本実施形態においては、定型耐火物積み用ロボット210によって定型耐火物2を積む際に、それに先だって、該定型耐火物を積む位置にモルタルを塗布しておく。具体的には、積もうとする定型耐火物の下面が接触する部位、すなわち、下の段に既に積まれている定型耐火物の上面にモルタルを塗布する。また、積もうとする定型耐火物の側面が接する位置に、既に定型耐火物が積まれている場合には、その定型耐火物の側面のうち、前記積もうとする定型耐火物と接する面にもモルタルを塗布しておく。そのため、塗布用ロボット460のノズル450は、塗布用ロボット460の関節の可動および/またはノズル450の回転により、下方向以外だけでなく横方向など、任意の方向へ向けてモルタルを塗布することができるように構成されている。なお、定型耐火物を1つ積むたびに、該定型耐火物に対応する場所に逐次モルタルを塗布することもできるが、2個またはそれ以上、場合によっては1段分など、複数の定型耐火物を積む位置にまとめてモルタルを塗布してもよい。塗布を行う際にモルタル3がノズル450から吐出される速度は、定量供給装置430によって制御され、厚みが均一となるように塗布される。
モルタル塗布手段400は、測定手段220によって測定された情報等に基づいて、制御手段500によって制御される。その際には、予め設定された基準となる定型耐火物の情報と、測定手段220で測定された情報とを比較し、その差に基づいて、モルタル塗布手段400がモルタルを塗布する位置を補正する。
以上のように、定型耐火物供給手段100、定型耐火物積み手段200、モルタル塗布手段400、および制御手段500を利用して、積み台座300上に定型耐火物2が積まれる。この動作を繰り返し行うことにより、定型耐火物を積み上げてコークス炉を構成するブロックが作製される。完成したブロックは、積み台座300をレール310上で走行させて搬出される。搬出されたブロックは、直接コークス炉建設場所へ運搬することもできるし、一時的な保管場所へ運搬した後、コークス炉建設の進行状況に応じて前記保管場所からコークス炉建設現場へ運搬することもできる。そして、ブロックが搬出された後のレール310上には、定型耐火物が積まれていない空の積み台座300を再度設置し、新たなブロックの作製を行うことができる。
次に、図5を参照して、複数の積み台座300に対する、供給工程、積み上げ工程、および塗布工程の切替えについて説明する。本実施形態において使用されるコークス炉定型耐火物積みシステムは、定型耐火物積み手段200とモルタル塗布手段400をそれぞれ1台ずつ備えており、供給台100と積み台座300を2組備えている。ここで、前記2組のうち、一方の組が配置されている位置を領域A(図5の右側)とし、領域Aに設置されている供給台と積み台座を、それぞれ100A、300Aとする。同様に、前記2組のうち、他方の組が配置されている位置を領域B(図5の左側)とし、領域Bに設置されている供給台と積み台座を、それぞれ100B、300Bとする。
定型耐火物の積み上げ作業は、以下に述べるように、領域Aと領域Bとにおいて交互に行うことができる。まず、領域Aにおいて積み上げ作業を行っている場合を図5の上段に示す。この時、定型耐火物積み手段200とモルタル塗布手段400は、供給台100A上に配置された定型耐火物を積み台座300A上に積み上げてブロックを作成している。一方、領域Bにおいては、作業員4が、パレット600上に置かれた定型耐火物2を移動させて、供給台100B上の所定の位置に配置している。また、この時に、積み台座300B上に既に積み上げられた定型耐火物が存在する場合には、積まれた定型耐火物2からはみ出したモルタルの除去や、目地押し、検査などを行うこともできる。
領域A、領域Bにおける上記作業がともに終了すると、次は、図5の下段に示したように、定型耐火物積み手段200とモルタル塗布手段400を領域Bへ移動させ、領域Bにおける積み上げ作業を開始する。この時、作業員4は領域Aに移動し、供給台100Aへの定型耐火物の配置作業や、積み台座300A上に積まれた定型耐火物の検査などを行うことができる。
以上の工程を繰り返し行うことにより、2つの積み台座300Aおよび300B上に定型耐火物を積み上げる。このように複数の積み台座に対して交互に作業を行うことにより、効率的に定型耐火物積みを行うことができる。なお、上記領域A、Bにおける作業の切り替えは、定型耐火物2を1段積むごとに行ってもよいし、複数段ごとに行ってもよい。複数段ごとに切り替えを行う場合には、供給台100上には、複数段分の定型耐火物を一度に配置する。
<第二の実施形態>
次に、図6を参照して、供給台100と積み台座300を3組備えたコークス炉定型耐火物積みシステムを用いる場合について説明する。本実施形態においては、領域A〜Cに各一組の供給台100と積み台座300が設置されている。また、定型耐火物積み手段200とモルタル塗布手段400は、レール上を走行することによって領域A〜Cの間を移動できる。
本実施形態においても、第一の実施形態の場合と同様に、作業員による作業とロボットによる積み上げ作業とを領域ごとに切り替えながら定型耐火物積み作業を進めることができるが、領域が3つあることから、さらに定型耐火物積み手段200とモルタル塗布手段400による作業を別の領域で行わせることができる。
具体的には、A〜Cの各領域において、次の3つの作業を切替えればよい。
・作業1:作業員4による供給台上への定型耐火物の配置(供給工程)
・作業2:定型耐火物積み手段200による積み台座300上への定型耐火物の積み上げ(積み上げ工程)。
・作業3:モルタル塗布手段400による定型耐火物へのモルタルの塗布(モルタル塗布工程)
なお、作業1においては、第一の実施形態の場合と同様に、積み台座300B上に既に積み上げられた定型耐火物が存在する場合には、積まれた定型耐火物2からはみ出したモルタルの除去や、目地押し、検査などを行うことができる。
例えば、図6は、領域Aにおいて作業3を、領域Bにおいて作業2を、そして領域Cにおいて作業1を行っている状態を示している。この作業が終了すれば、各領域における作業を順次切替えればよい。一例としては、次の工程1〜3を繰り返し行うことにより3つの積み台座300上に定型耐火物を積み上げて、3つのコークス炉建設用ブロックを作成することができる。
(工程1) 領域A:作業3、領域B:作業2、領域C:作業1
(工程2) 領域A:作業2、領域B:作業1、領域C:作業3
(工程3) 領域A:作業1、領域B:作業3、領域C:作業2
1 コークス炉定型耐火物積みシステム
2 定型耐火物
3 モルタル
4 作業員
100 供給台
110 支持部
200 定型耐火物積み手段
210 定型耐火物積み用ロボット
220 測定手段
221 撮像素子
222 距離センサ
230 レール
240 挟持部
242a、242b 挟持部材
243a、243b 滑り止め部材
244 エアシリンダ
245 サーボモーター
246 回転軸
247 ボールネジ
248 モーター
300 積み台座
310 レール
400 モルタル塗布手段
410 ポンプ
420 配管
430 定量供給装置
440 ホース
450 ノズル
460 塗布用ロボット
470 レール
500 制御手段
600 パレット

Claims (6)

  1. コークス炉定型耐火物積みシステムを用いて定型耐火物を積み上げる、コークス炉定型耐火物積み方法であって、
    前記コークス炉定型耐火物積みシステムが、
    前記定型耐火物を積み上げる複数の積み台座と、
    前記積み台座上に定型耐火物を積み上げる定型耐火物積み手段と、
    前記定型耐火物にモルタルを塗布するモルタル塗布手段と、
    前記定型耐火物積み手段および前記モルタル塗布手段を制御する制御手段と、
    前記定型耐火物積み手段に前記定型耐火物を供給するための供給台とを備え、
    前記供給台上に前記定型耐火物を配置する供給工程と、
    前記供給台上に配置された前記定型耐火物を前記定型耐火物積み手段によって前記積み台座上へ積み上げる積み上げ工程と、
    前記モルタル塗布手段によって前記定型耐火物にモルタルを塗布するモルタル塗布工程とを有する、コークス炉定型耐火物積み方法。
  2. 前記定型耐火物積み手段が、
    前記定型耐火物を前記積み台座上に積み上げる定型耐火物積み用ロボットと、
    前記定型耐火物の、形状、寸法、および位置を測定する測定手段とを有し、
    前記制御手段が、前記測定手段で測定された結果に基づいて前記定型耐火物積み用ロボットを制御する、請求項1に記載のコークス炉定型耐火物積み方法。
  3. 前記測定手段が、撮像素子と距離センサとを備える、請求項2に記載のコークス炉定型耐火物積み方法。
  4. 前記モルタル塗布手段が、
    前記モルタルを移送するポンプと、
    前記ポンプに接続された配管と、
    前記配管に接続され、前記モルタルを定量供給する定量供給装置と、
    前記定量供給装置に接続されたホースと、
    前記ホースに接続され、前記モルタルを前記定型耐火物に塗布するノズルと、
    前記ノズルが取り付けられた塗布用ロボットを備える、請求項1〜3のいずれか一項に記載のコークス炉定型耐火物積み方法。
  5. (a)前記定型耐火物積み手段および前記モルタル塗布手段と、(b)前記積み台座の、少なくとも一方が、前記積み台座の長手方向に移動可能である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のコークス炉定型耐火物積み方法。
  6. 前記供給工程において、前記定型耐火物を、形状ごとにまとめて、かつ積み重ねて前記供給台上へ配置する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のコークス炉定型耐火物積み方法。
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