JP2017043145A - 車両用部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】自動車のオーナメントに好適な車両用部材を提供する。
【解決手段】車両用部材(10)は、電波透過性を有する半透明の膜状体(12)と、膜状体(12)の表側面に所定の模様を描くように部分的に形成された光遮断膜(123)と、光透過性を有し、膜状体(12)の表側面を被覆するように膜状体(12)と一体成形された表面部材(11)とを備える。
【選択図】図3

Description

本発明は、車両用部材に関し、特に、自動車のオーナメントなどに好適な車両用部材に関する。
近年、安全性向上や利便性向上を目的として車両(自動車)にさまざまなレーダーシステムが搭載されている。その一例としてレーダークルーズコントロールがある。レーダークルーズコントロールは、レーダーセンサーから車両前方にミリ波レーダーを照射して先行車からの反射波を受けることで先行車との速度差や車間距離を認識し、自動で車両の走行速度をコントロールするシステムである。
レーダーセンサーは、レーダーの指向性を考慮して車両の前面中央、それもフロントグリル奥などの目立たない場所に隠されて配置される。ところが、車両の前面中央にはCI(Corporate Identity)マークなどを表示するオーナメントあるいはフロントエンブレムが配置されることが多い。このため、レーダーセンサーとオーナメントの配置位置が重なってレーダーセンサーの電波放射面がオーナメントによって覆われてしまうことがある。
オーナメントは、意匠性を考慮して金属または金属調光沢を有する素材で製作される。しかし、ステンレスやニッケルメッキなどを使用したオーナメントは、レーダーセンサーに入放射される電波を吸収・拡散して弱めてしまう。この問題に対して、CIマークをかたどる非金属素材の表面にインジウム(In)を蒸着することで、金属調光沢を帯びつつ電波透過性に優れたオーナメントを実現している(例えば、特許文献1を参照)。
特開2008−273216号公報
インジウムは高価なレアメタルであることから、オーナメントにインジウムを使用することはオーナメントのコスト高の要因となる。また、インジウムは銀白色の金属調光沢を呈するが、色調を明るめまたは暗めにするといった調整が困難である。このため、インジウムを使用したオーナメントは、色調が単調で所望の意匠性を実現することが困難である。
上記問題に鑑み、本発明は、自動車のオーナメントに好適な車両用部材を提供することを目的とする。
本発明の一局面に従った例示的な車両用部材は、電波透過性を有する半透明の膜状体と、膜状体の表側面に所定の模様を描くように部分的に形成された光遮断膜と、光透過性を有し、膜状体の表側面を被覆するように膜状体と一体成形された表面部材とを備えたものである。これによると、意匠性および電波透過性に優れた車両用部材を実現することができる。
具体的には、光遮断膜が形成された部分とそうでない部分とで明度および/または彩度が異なる。これによると、車両用部材の意匠性を自由に変えることができる。
具体的には、光遮断膜が印刷膜または塗膜である。これによると、光遮断膜を容易に形成することができる。
具体的には、膜状体が金属調光沢を有する。これによると、車両用部材の意匠性を高めることができる。
具体的には、膜状体が金属成分を含まないものである。これによると、車両用部材の電波透過性をより高めることができ、あるいは、インジウムなどの高価なレアメタルを使用せずに済むため車両用部材のコストを低減することができる。
具体的には、車両用部材の少なくとも一部は車載レーダー装置の送受信電波領域内に配置される部材である。これによると、前面中央にレーダーセンサーが搭載された車両のオーナメントとして当該車両用部材を使用することができる。
本発明によると、自動車のオーナメントに好適な意匠性および電波透過性に優れた車両用部材を実現することができる。
一実施形態に係る車両用部材で製作されたオーナメントを有する車両の斜視図 一実施形態に係る車両用部材の分解斜視図 図2に示した車両用部材の断面図 一実施形態に係る車両用部材の製造方法のフローチャート 図4のフローチャートの各工程を説明する模式図 図5Aに続く図
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、発明者らは、当業者が本発明を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。また、図面に描かれた各部材の寸法、厚み、細部の詳細形状などは実際のものとは異なることがある。
図1は、本発明の一実施形態に係る車両用部材で製作されたオーナメントを有する車両の斜視図である。車両100の前面部分にフロントグリル101が配置されている。オーナメント102は、フロントグリル101の幅方向の中央、すなわち、車両100の前面の車幅中央に配置されている。
車両100は、先行車などの車両前方の障害物を検知するためのレーダーセンサー(車載アンテナ)103を備えている。レーダーセンサー103は、車両前方にミリ波レーダーを照射して先行車からの反射波を受けることで先行車との速度差や車間距離を認識する。
レーダーセンサー103は、オーナメント102から10数cm程度奥まった位置に配置されている。すなわち、オーナメント102は、レーダーセンサー103の電波放射面、しかもレーダーセンサー103から比較的近い位置に配置されている。したがって、レーダーセンサー103から車両前方に放射される電波、および車両前方の障害物からの反射波の大部分はオーナメント102を透過することとなる。このため、レーダーセンサー103に入放射される電波がオーナメント102で吸収・拡散されて弱められることがないように、オーナメント102は高い電波透過性を有する部材で形成する必要がある。
本実施形態に係る車両用部材は、高い電波透過性を有し、また、意匠性に優れ、オーナメントなどの人目に付きやすい車両外装への使用に好適な部材である。以下、本実施形態に係る車両用部材の構造および製造方法について詳細に説明する。
≪車両用部材の構造≫
まず、本実施形態に係る車両用部材の構造について説明する。図2は、上記のオーナメント102に用いられる車両用部材の分解斜視図である。図3は、その断面図である。なお、後述するように車両用部材は各要素が互いに密着して一体成形されているが、図3では便宜上、各要素を分離して描いている。
車両用部材10は、表面部材11と、膜状体12と、ベース部材13とからなる。膜状体12は、表面部材11とベース部材13とで挟まれている。車両用部材10の全体形状は任意であり、例えば、図1のようにオーナメント102として使用する場合、車両用部材10を略楕円形状にすることができる。
表面部材11は、車両100の外部に晒される部材であり、膜状体12の表側面を保護するために設けられる。また、表面部材11は、膜状体12の光沢を損ねないように光透過性を有する素材でできており、その表面は滑らかにされている。表面部材11として、例えば有機ガラスを用いることができる。有機ガラスの中でも特にポリカーボネート(PC)は、透明性(高光線透過率)、耐熱性、耐衝撃性などに優れ、表面部材11の素材として好適である。
なお、表面部材11の厚みは任意である。また、表面部材11の厚みは均一でなくてもよい。例えば、図1のようにオーナメント102に車両用部材10を用いる場合、表面部材11の中央部を最厚にして縁部にいくほどだんだん薄くなるような略球面状にしてもよい。このように、表面部材11は、単に膜状体12を保護するだけではなく、それ自体に立体形状(例えば、丸みを帯びた形状)を施して意匠性を持たせるようにしてもよい。
膜状体12は、電波透過性を有し、さらに、光を複雑に反射して特別な光沢や質感を呈するような半透明の素材でできている。そのような膜状体12として、例えば、東レ株式会社製のフィルムP!CASUS(登録商標)を用いることができる。当該フィルムは、数百から数千のナノレベルのポリマー薄膜がさまざまな層厚みパターンで積層されて成形されており、入射光がこれら各層表面で反射されることで自然な金属調光沢を呈することができる。しかも当該フィルムは金属成分を含んでいないため、電波透過性に優れる。
膜状体12は、表面に傷が付きやすく、また、厚みが100〜200ミクロン程度と薄いため破損しやすい。そのため、膜状体12は、外部環境に晒されるような外装部材としては不向きである。そこで、上述したように膜状体12を表面部材11で被覆して膜状体12が外部環境に晒されないように保護している。
膜状体12の裏側面に光沢膜122を形成してもよい。光沢膜122の厚みは任意である。光沢膜122の明度は0%よりも大きく100%よりも小さければよい。すなわち、光沢膜122は光沢グレーであればよく、必要に応じて色彩や模様を付ければよい。膜状体12の裏側面に光沢膜122を形成することにより、膜状体12の表側面から入射して裏側面まで透過した光が表側面に反射して、膜状体12のうち光沢膜122が形成された部分はより鮮やかな金属調光沢を帯びるようになる。
光沢膜122の明度の階調を変えることで膜状体12の見た目が違ってくる。例えば、光沢膜122を淡いグレーにすると、膜状体12は明るめの金属色を放つようになる。一方、光沢膜122を濃いグレーにすると、膜状体12は暗めの金属色を放つようになる。したがって、膜状体12に対する所望の色調に応じて光沢膜122の明度を適宜決定すればよい。
一方、膜状体12の表側面において所定の模様を描くように部分的に光遮断膜123を形成してもよい。光遮断膜123の厚みは任意である。光遮断膜123は、文字通り光を遮断する膜であり、色は任意である。例えば、光遮断膜123は、黒一色にしてもよく、あるいは部分的に色調を変えてもよく、さらにグラデーションを施してもよい。すなわち、光遮断膜123が形成された部分とそうでない部分とで明度および/または彩度が異なるようにすればよい。これにより、光遮断膜123が形成された部分とそうでない部分とのコントラストが際立つようになり、光遮断膜123で描かれた模様を目立たせることができる。
光遮断膜123を膜状体12の表面側に部分的に形成することで、光遮断膜123が形成されていない部分のみが金属色を放つようにすることができる。例えば、膜状体12の表側面において光遮断膜123でCIマークの反転画像を形成することで、あたかも金属でできたCIマークが取り付けられているかのように見せることができる。逆に、膜状体12の表側面において光遮断膜123でCIマークを形成することで、CIマークがくり抜かれた金属プレートのように見せることができる。
光遮断膜123で描かれる模様に合わせて、膜状体12の表側面にエンボス(浮き出し)模様124を形成してもよい。これにより、光遮断膜123で描かれた模様を立体的に表して意匠性をさらに高めることができる。
なお、膜状体12の表側面にエンボス模様124を形成した場合には、表面部材11およびベース部材13において膜状体12と接する面にも同じエンボス模様が形成される。
また、光遮断膜123で描かれる模様とエンボス模様124とを一致させなくてもよい。光遮断膜123とエンボスとでそれぞれ別の模様を形成することにより、膜状体12が違った印象の意匠性を呈することとなる。
ベース部材13は、膜状体12を裏側面から支持する部材である。上述したように膜状体12は薄いフィルム状部材であるため、表面部材11とベース部材13とで挟み込んで保護・補強することが望ましい。ベース部材13の厚みは任意である。また、ベース部材13の裏側面には突起やボスなどを設けることができる。ベース部材13として、例えば樹脂を用いることができる。樹脂の中でも特にABS(Acrylonitrile-Butadiene-Styrene)樹脂やAES(Acrylonitrile-Ethylene-Styrene)樹脂などは熱可塑性、剛性、硬度などに優れ、ベース部材13の素材として好適である。
≪車両用部材の製造方法≫
次に、本実施形態に係る車両用部材の製造方法について説明する。図4は、上記のオーナメント102の製造方法のフローチャートである。図5Aおよび図5Bは、図4のフローチャートの各工程を説明する模式図である。
まず、膜状体12の元となるフィルム(例えば、東レ株式会社製のP!CASUS)を適当な大きさにカットする(工程S1)。
次に、フィルムの裏側面に光沢膜122を形成する(工程S2)。例えば、印刷または塗装により光沢膜122を形成することができる。
次に、フィルムの表側面に部分的に光遮断膜123を形成する(工程S3)。例えば、印刷または塗装により光遮断膜123を形成することができる。ただし、フィルムの表面側の所定位置に光遮断膜123が形成されるようにきちんと位置決めして印刷または塗装を行う。
なお、工程S2と工程S3の順番は入れ替わってもよい。
次に、フィルムにエンボス加工を施してエンボス模様124を形成する(工程S4)。例えば、フィルムを加熱して軟化させてから金型にセットし、真空成形または圧空成形によりエンボス模様124をフィルム表面に形成する。
その後、不要な部分を取り除くトリミング処理を行う(工程S5)。これにより、膜状体12ができあがる。
次に、表面部材11と膜状体12とを一体成形する(工程S6)。例えば、膜状体12を射出成形金型にセットし、表面部材11の元となるポリカーボネートを流し込んで膜状体12に溶着させる。
次に、一体化した表面部材11および膜状体12とベース部材13とを一体成形する(工程S7)。例えば、一体化した表面部材11および膜状体12を射出成形金型にセットし、ベース部材13の元となるAES樹脂またはABS樹脂を流し込んで一体化した表面部材11および膜状体12に溶着させる。これにより、車両用部材10ができあがる。
最後に、表面部材11の表面にハードコートを施して車両用部材10の表面を強化する(工程S8)。
以上のように、本発明における技術の例示として、実施の形態を説明した。そのために、添付図面および詳細な説明を提供した。
したがって、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
また、上述の実施の形態は、本発明における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
10 車両用部材
11 表面部材
12 膜状体
122 光沢膜
123 光遮断膜
124 エンボス模様
103 レーダーセンサー(車載レーダー装置)

Claims (6)

  1. 電波透過性を有する半透明の膜状体と、
    前記膜状体の表側面に所定の模様を描くように部分的に形成された光遮断膜と、
    光透過性を有し、前記膜状体の表側面を被覆するように前記膜状体と一体成形された表面部材と、
    を備えた車両用部材。
  2. 前記光遮断膜が形成された部分とそうでない部分とで明度および/または彩度が異なる、請求項1に記載の車両用部材。
  3. 前記光遮断膜が印刷膜または塗膜である、請求項1または請求項2に記載の車両用部材。
  4. 前記膜状体が金属調光沢を有する、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の車両用部材。
  5. 前記膜状体が金属成分を含まないものである、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の車両用部材。
  6. 前記車両用部材の少なくとも一部は車載レーダー装置の送受信電波領域内に配置される部材である、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の車両用部材。
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