JP2017042730A - 粒子状分散剤および分散液 - Google Patents
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Abstract
【課題】分散媒中で分散質の分散安定化を高めることが可能な粒子状分散剤の提供。【解決手段】ケイ素を含む低級アルキル(メタ)アクリレート由来の構造ユニットと低級アルキル(メタ)アクリレート由来の構造ユニットとを有する共重合体で、各ユニットの側鎖長比が1.0以上4.0以下である共重合体が芯粒子表面を修飾している微粒子を有し、数平均粒子径が10〜500nmである粒子状分散剤。【選択図】なし
Description
本発明は、粒子状分散剤および分散液に関する。
分散剤は、分散質と分散媒の界面に吸着することで、分散媒中への分散質の分散を安定化する機能を有するものである。
一般に、分散剤は、高分子より構成される高分子分散剤や、界面活性剤などから構成される低分子分散剤、シリカやアパタイトなどの固体分散剤に分類される。
なかでも、高分子分散剤は、高分子鎖の運動性に由来する分散質表面への多点吸着能や、分散媒との親和性部位を含む高分子鎖による排除体積効果により、分散安定化効果に優れている。そして、高分子分散剤は、化粧品、医薬品、食品添加剤、工業薬品など、広範囲にわたって用いられている。
分散媒の主成分が水である場合、高分子分散剤や低分子分散剤、固体分散剤などを適宜用いることができるが、分散媒の主成分が有機溶剤である場合は、静電反発作用の効果が限定されるため、特に、高分子分散剤が有効となる場合が多い。
例えば、特許文献1では、炭化水素溶媒もしくはシリコーンオイル中で溶媒に不溶な粒子成分を分散安定可能な高分子分散剤を含む分散液が開示されている。
また、特許文献2では、シリコーンオイル中に非水性極性溶媒を分散させるための乳化剤として、架橋エラストマーのシリコーンポリエーテルを用いたエマルションが開示されている。
しかしながら、分散媒・分散質ともに主に有機溶剤からなる分散系においては、特許文献1および2に記載の高分子分散剤を用いても、十分な分散安定化効果を得ることができなかった。
この要因としては、分散媒・分散質ともに主に有機溶剤からなる分散系のため、イオン性基による電気的界面吸着作用が限定されることから、高分子分散剤が分散質表面へ吸着することが困難になることが考えられる。また、分散媒中での排除体積効果による分散維持を意図した親分散媒ユニットは、側鎖長が長く、嵩高い場合が多いため、親分散質ユニットの側鎖が分散質表面へ作用が遮蔽されることが想定される。さらに、排除体積効果による斥力を充分に得られない系では、分散質同士が容易に接触してしまい、分散安定性が低いことが想定される。
そのため、分散媒・分散質ともに主に有機溶剤からなる分散系においては、これらを考慮して分散安定性の高い粒子状分散剤を設計する必要があった。
上記に基づき、発明者等が鋭意検討した結果、下記に示す粒子状分散剤において、特に、分散媒・分散質ともに主に有機溶剤からなる分散系において高い分散安定性を示すことを見出した。
すなわち、本発明は、第一のユニットおよび第二のユニットを有する共重合体を芯粒子表面に修飾している微粒子を有する分散剤であって、
前記第一のユニットは下記式(1)で示される構造を有し、
前記第二のユニットは下記式(2)で示される構造を有し、
前記第一のユニットの側鎖長の平均値L1と、前記第二のユニットの側鎖長の平均値L2との比(L2/L1)が、1.0以上4.0以下であり、
前記芯粒子は、数平均粒子径が10nm以上500nm以下である、
ことを特徴とする粒子状分散剤に関する。
前記第一のユニットは下記式(1)で示される構造を有し、
前記第二のユニットは下記式(2)で示される構造を有し、
前記第一のユニットの側鎖長の平均値L1と、前記第二のユニットの側鎖長の平均値L2との比(L2/L1)が、1.0以上4.0以下であり、
前記芯粒子は、数平均粒子径が10nm以上500nm以下である、
ことを特徴とする粒子状分散剤に関する。
また、本発明は、上記粒子状分散剤と分散媒および分散質からなる分散液であって、前記分散媒および前記分散質に含まれる液体成分のうち、80質量%以上が有機溶剤であることを特徴とする分散液に関する。
本発明は、分散媒中で分散質の分散安定化を高めることが可能な粒子状分散剤を提供することができ、特に、分散媒・分散質が主に有機溶剤からなる分散液において効果を有する。
(粒子状分散剤)
本発明の粒子状分散剤について説明する。
本発明の粒子状分散剤について説明する。
本発明の粒子状分散剤は、少なくとも二種のユニットからなる共重合体を修飾した微粒子であって、下記(1)〜(5)の特徴を有することにより、粒子状分散剤として用いることができる。
特徴(1):共重合体を修飾した微粒子
分散剤が微粒子状であることの分散安定性に対するメリットを図1及び、図2を用いて説明する。図1に示すように、排除体積効果は、分散質同士が近づいた際、分散剤の親分散媒基濃度上昇による分散系内の濃度不均一を抑制すべく、分散媒が分散質界面に流れ込み、これにより分散質間に斥力が発生して分散安定性を保持するものである。その際に、分散剤の親分散媒基が少ないなどの理由により、流れ込む分散媒量が少ない場合、充分な斥力を発揮できず、分散質同士が衝突して、分散破壊に至る。これに対し、図2のように、分散剤が粒子状である場合は、充分な斥力が得られないような場合でも、粒子状分散剤が分散質同士の接触を物理的に阻害するので、分散安定を維持することができる。
分散剤が微粒子状であることの分散安定性に対するメリットを図1及び、図2を用いて説明する。図1に示すように、排除体積効果は、分散質同士が近づいた際、分散剤の親分散媒基濃度上昇による分散系内の濃度不均一を抑制すべく、分散媒が分散質界面に流れ込み、これにより分散質間に斥力が発生して分散安定性を保持するものである。その際に、分散剤の親分散媒基が少ないなどの理由により、流れ込む分散媒量が少ない場合、充分な斥力を発揮できず、分散質同士が衝突して、分散破壊に至る。これに対し、図2のように、分散剤が粒子状である場合は、充分な斥力が得られないような場合でも、粒子状分散剤が分散質同士の接触を物理的に阻害するので、分散安定を維持することができる。
また、共重合体を修飾した微粒子の芯粒子としては特に限定するものではないが、有機物、無機物、有機無機ハイブリッド材料等から成る粒子を用いることができる。共重合体の芯粒子への修飾方法は、特に限定するものではないが、芯粒子表面に共重合体をグラフトして形成する方法などをとることができる。
また、芯粒子を修飾している共重合体の密度は1nm2あたり0.1本以上であり、かつ、0.4本以下が好ましい。これは共重合他が分散質に対する吸着基、及び分散媒に対する分散基として働くために必要であり、共重合体の密度が0.1本以上であると粒子状分散剤中の親分散質基が多く、充分な吸着力が確保できるので、好ましい。0.4本以下であると、共重合体の運動性が保たれ、排除体積効果による斥力も大きくなるため、好ましい。
特徴(2):第一のユニット
本発明の粒子状分散剤に含まれる第一のユニットは、下記式(1)に示す構造を有し、分散媒への親和性を有する。
本発明の粒子状分散剤に含まれる第一のユニットは、下記式(1)に示す構造を有し、分散媒への親和性を有する。
式(1)に示す構造において、yは1以上500以下、より好ましくは3以上200以下であることが好ましい。yが3以上であれば、より好適に分散媒中への分散性を確保することができる。一方、yが500より大きい場合、側鎖が嵩高いために重合反応が阻害され、本発明の高分子分散剤が得られない場合がある。yが200以下であれば、重合反応の阻害の程度が小さく、好適に高分子分散剤を得ることができる。同様に、共重合体におけるyの重合度についても、1以上500以下、より好ましくは3以上200以下であることが好ましい。
特徴(3):第二のユニット
本発明の粒子状分散剤に含まれる第二のユニットは、下記式(2)に示す構造を有し、分散質への親和性を有する。
本発明の粒子状分散剤に含まれる第二のユニットは、下記式(2)に示す構造を有し、分散質への親和性を有する。
mおよびnの取りうる組合せについて、具体的には式(2−1)〜(2−5)の構造をとることができる。
式(2)(より具体的には式(2−1)〜(2−5))に示す構造において、zは1以上500以下、より好ましくは3以上200以下であることが好ましい。zが3以上であれば、より好適に分散質への親和性を確保することができる。一方、zが500以下であると、側鎖が嵩高過ぎず、重合反応が効率的に進むため好ましい。zが200以下であれば、重合反応の阻害の程度が小さく、好適に共重合体を得ることができる。
特徴(4):ユニットの側差長比率
本発明の共重合体に含まれる第一のユニットの側鎖長の平均値L1と第二のユニットの側鎖長の平均値L2との比(L2/L1)は1.0以上4.0以下であることを特徴とする。ここで側鎖長とは、ポリマー主鎖に結合しているカルボニル炭素を起点とし、側鎖末端までの長さであり、また、側鎖中に分岐を有する場合、分岐した長さのうち最も長い結合長を側鎖長とする。側鎖長は、側鎖を構成する各元素の共有結合半径の合計値とする。例えば、H−結合長は32pm、C−結合長は75pm、O−結合長は63pm、Si−結合長は116pmとして算出する。
本発明の共重合体に含まれる第一のユニットの側鎖長の平均値L1と第二のユニットの側鎖長の平均値L2との比(L2/L1)は1.0以上4.0以下であることを特徴とする。ここで側鎖長とは、ポリマー主鎖に結合しているカルボニル炭素を起点とし、側鎖末端までの長さであり、また、側鎖中に分岐を有する場合、分岐した長さのうち最も長い結合長を側鎖長とする。側鎖長は、側鎖を構成する各元素の共有結合半径の合計値とする。例えば、H−結合長は32pm、C−結合長は75pm、O−結合長は63pm、Si−結合長は116pmとして算出する。
そして、式(1)において、R1〜R6をメチル基、x=3、y=3とした下記式(1)’の構造の場合、側鎖長は合計で2246pmとなる。
側鎖長比率(L2/L1)は、第一のユニットと第二のユニットの側鎖を最も伸ばした場合の長さの比率に相当することから、第一のユニットおよび第二のユニットがそれぞれ分散媒および分散質との相互作用に関連するパラメータである。
側鎖長比率(L2/L1)が1.0以上とは、第一のユニットの側鎖長と第二のユニットの側鎖長とが同等以上の側鎖長を持つ場合である。このようなユニットの組合せであれば、第一のユニット側鎖による第二のユニット側鎖の分散質吸着効果を遮蔽することなく、作用することが可能となる。また、側鎖長比率(L2/L1)が4.0以下とは、第一のユニットの側鎖長と第二のユニットの側鎖長とが4倍以下の側鎖長を持つ場合である。このようなユニットの組合せであれば、第二のユニット側鎖による第一のユニット側鎖の分散媒への分散効果を阻害することがなく、作用することができる。
側鎖長比率(L2/L1)のより好ましい範囲としては、1.2以上3.0以下である。この範囲であれば、より第二のユニットによる分散質への吸着作用が効果的となり、同時に第二のユニットによる第一のユニットへの阻害が限定されるため、より高い分散安定効果を有する粒子状分散剤を得ることができる。
特徴(5):粒径
本発明の分散剤は、芯粒子の数平均粒子径が10nm以上500nm以下の粒子状であることを特徴とする。前述の通り、粒子状分散剤の特徴の一つは、分散質同士の接触を物理的に遮蔽することにある。この時、粒径が小さすぎると接触阻害性が充分に確保できないので、芯粒子の数平均粒子径は10nm以上であることが必要である。また、芯粒子の粒径が大きすぎると、吸着できる分散質の液滴も大きくなる。分散質の液滴径が大きすぎる場合は、分散質滴同士の接触を抑制できても、分散質液滴が沈降してしまうので好ましくなく、この観点から、芯粒子の数平均粒子径は500nm以下であることが必要である。
本発明の分散剤は、芯粒子の数平均粒子径が10nm以上500nm以下の粒子状であることを特徴とする。前述の通り、粒子状分散剤の特徴の一つは、分散質同士の接触を物理的に遮蔽することにある。この時、粒径が小さすぎると接触阻害性が充分に確保できないので、芯粒子の数平均粒子径は10nm以上であることが必要である。また、芯粒子の粒径が大きすぎると、吸着できる分散質の液滴も大きくなる。分散質の液滴径が大きすぎる場合は、分散質滴同士の接触を抑制できても、分散質液滴が沈降してしまうので好ましくなく、この観点から、芯粒子の数平均粒子径は500nm以下であることが必要である。
本発明の芯粒子の数平均粒子径は動的光散乱(DLS)により測定することができ、芯粒子との親和性が高いアセトン中で測定することが、測定の正確性の観点から好ましい。
上記特徴(1)〜(5)を全て満たすことで、分散媒に親和性のある第一のユニットと、分散質に親和性のある第二のユニットを含む共重合体を修飾した粒子状分散剤となる。そして、第二のユニットの側鎖が、第一のユニットの側鎖に遮蔽されることなく分散質表面に吸着し、同時に第二のユニットによる第一のユニットへの阻害が限定され、さらに分散質同士の接触を物理的に阻害することができるので、高い分散安定効果を有する。
また、より高い分散安定性を示すためには、式(1)に示す第一のユニットの含有モル分率は、0.20以上0.95以下である方が好ましい。その理由は、第一のユニットの含有モル分率が0.20以上であると、親分媒ユニットが少なすぎることによる分散安定性の低下を招くことがない。0.95以下であると、親分散質ユニットである第二のユニットが作用する量が十分であるため、分散質表面への吸着が容易で、分散安定性が保てる。また、第一のユニットの含有モル分率のより好ましい範囲としては、0.40以上0.85以下である。この範囲であれば、第一のユニットによる分散媒への分散効果をより高めることができ、同時に第二のユニットによる分散質表面への吸着性を上げることができるため、より高い分散安定効果を有する高分子分散剤を得ることができる。
また、本発明の粒子状分散剤を修飾する共重合体において、少なくとも第一のユニットと第二のユニットから構成される共重合体は、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、ブロック共重合体のいずれでもよい。
また、本発明の粒子状分散剤を修飾する共重合体の分子量は、好ましくは1,000以上、より好ましくは5,000以上であれば、共重合体の特徴であるポリマー鎖の運動性に由来する分散質表面への多点吸着性を得ることができる。一方、共重合体を高分子分散剤として使用するために分散媒もしくは分散質中に溶解させる際の溶解性の観点や、分散媒もしくは分散質の粘度の観点から、1,000,000以下であることが好ましい。
(粒子状分散剤の製法)
本発明の粒子状分散剤は、少なくとも芯粒子に開始剤を固定化し、原子移動ラジカル重合(ATRP)により第一のユニットと第二のユニットの共重合体をグラフトさせて作製することができる。
本発明の粒子状分散剤は、少なくとも芯粒子に開始剤を固定化し、原子移動ラジカル重合(ATRP)により第一のユニットと第二のユニットの共重合体をグラフトさせて作製することができる。
例えば一般的な有機溶剤に第一のユニットと第二のユニット、開始剤を固定化したシリカナノ粒子を溶解させる。そして、脱気後に加熱することで第一のユニットと第二のユニットを含む共重合体がシリカナノ粒子表面からグラフトした粒子状分散剤を得ることができる。
本発明では、芯粒子として、無機、有機、有機ハイブリッド材料等から成る粒子を用いることができ、材料組成については特に限定されるものではない。
また、本発明では、重合溶媒として、プロパノール、トルエン、ベンゼン、クロロホルム、酢酸エチル等の一般的な油性有機溶剤を例示することができるが、これらに限定されない。また、2種類以上の油性有機溶剤を使用することも可能である。
また、本発明の共重合体および粒子状分散剤は、可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)、ニトロキシド媒介ラジカル重合(NMP)などのリビングラジカル重合でも得ることができる。
(分散液)
次に、本発明の分散液について説明する。
次に、本発明の分散液について説明する。
本発明の分散液は、分散剤として本発明の上記粒子状分散剤と、主に有機溶剤からなる分散媒および分散質からなることを特徴とする。ここで、「主に有機溶剤からなる」とは、分散媒および分散質に含まれる液体成分のうち、80質量%以上が有機溶剤であることを特徴とする。有機溶剤としては、一般的な有機溶剤を用いることができる。
本発明の分散液のように、主に有機溶剤からなる分散質が含まれる分散液においては、分散質内に、例えば、高分子などを溶解させうることから、分散液を高分子粒子の造粒場として用いることができる。この造粒場において造粒される高分子粒子は、水系造粒場では実現できない粒子表面の疎水化が実現可能であるため、高分子粒子の機能化を図ることができる。したがって、前記分散質には、粒子状分散剤以外の高分子化合物や無機化合物、有機溶剤以外の有機物を含んでもよい。例えば、分散質中に高分子化合物を溶解させた後に、分散媒中に高分子化合物を含む分散質液滴を分散させ、分散質中の有機溶剤を除去することで、高分子粒子を得ることができる。
また、本発明の分散液は、前記分散媒のSP値が20.0以下であることが好ましい。本発明のように、主に有機溶剤からなる分散媒・分散質を形成させるためには、分散媒のSP値ができるだけ小さい有機溶剤を選択することが好ましい。例えば、分散媒に好適な有機溶剤として、ヘキサン、ヘキサデカン、各種シリコーンオイル、などが挙げられ、さらに高圧容器内で得られる液体CO2や超臨界CO2なども用いることができる。
また、本発明の前記分散質のSP値と前記分散媒のSP値の関係が、下記関係式式(3)を満たすことが好ましい。すなわち、分散質のSP値が分散媒のSP値よりも1.0以上大きいことが好ましい。
SP分散質−SP分散媒≧1.0 (3)
SP分散質−SP分散媒≧1.0 (3)
主に有機溶剤からなる分散媒・分散質を形成させるためには、分散媒・分散質のSP値差を大きくすることが求められる。したがって、より安定的な分散液を形成させるために、分散質のSP値と分散媒のSP値の関係が式(3)を満たすことが好ましい。例えば、分散質に好適な有機溶剤として、アセトン、テトラヒドロフラン、トルエン、クロロホルム、2−フェニルエタノールなどが挙げられる。
本発明の分散液を構成する分散媒・分散質の具体的な例としては、ヘキサン−アセトン−水の混合液から形成される分散液や、CO2−アセトン−水の混合液から形成される分散液、ヘキサン−2−フェニルエタノールから形成される分散液、CO2−2−フェニルエタノールから形成される分散液などが例示される。特に、ヘキサン−アセトン−水系やCO2−アセトン−水系においては、分散媒、分散質に二相分離するものの、それぞれの液体成分の分配が多く、分散媒と分散質の組成が非常に近いため、SP値差が小さい分散液の例として挙げられる。
以下、本発明における粒子状分散剤の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
(評価方法)
<共重合体の分子量、分子量分布>
粒子状分散剤の芯粒子を修飾する共重合体の分子量、分子量分布は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した。粒子状分散剤の芯粒子と共重合体を分離する(例えば芯粒子にシリカナノ粒子を用いた時はフッ化水素酸で芯粒子を溶解させることで分離する)。分離した共重合体をテトラヒドロフラン(THF)もしくはクロロホルムに溶解させ、GPCを測定することで分子量、分子量分布を得た。
<共重合体の分子量、分子量分布>
粒子状分散剤の芯粒子を修飾する共重合体の分子量、分子量分布は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した。粒子状分散剤の芯粒子と共重合体を分離する(例えば芯粒子にシリカナノ粒子を用いた時はフッ化水素酸で芯粒子を溶解させることで分離する)。分離した共重合体をテトラヒドロフラン(THF)もしくはクロロホルムに溶解させ、GPCを測定することで分子量、分子量分布を得た。
<共重合体の共重合比>
粒子状分散剤の芯粒子を修飾する共重合体の共重合比は、1H−NMRを用いて測定した。粒子状分散剤の芯粒子と共重合体を分離し(例えば上記の方法により分離)、共重合体を重水素化クロロホルムに溶解させ、1H−NMRを測定することで共重合体中に含まれるユニット比率を算出した。
粒子状分散剤の芯粒子を修飾する共重合体の共重合比は、1H−NMRを用いて測定した。粒子状分散剤の芯粒子と共重合体を分離し(例えば上記の方法により分離)、共重合体を重水素化クロロホルムに溶解させ、1H−NMRを測定することで共重合体中に含まれるユニット比率を算出した。
<粒子状分散剤の芯粒子の粒径>
粒子状分散剤の芯粒子の数平均粒子径は動的光散乱(DLS)を用いて測定した。得られた芯粒子をアセトン中に分散させ、DLSを用いて数平均粒子径を測定した。
粒子状分散剤の芯粒子の数平均粒子径は動的光散乱(DLS)を用いて測定した。得られた芯粒子をアセトン中に分散させ、DLSを用いて数平均粒子径を測定した。
<分散安定性評価>
粒子状分散剤の分散安定性評価は、各実施例および比較例に示す分散質、分散媒の組合せにおいて実施した。粒子状分散剤を含む分散液に撹拌機もしくはホモジナイザーを用いて一定時間撹拌し、分散媒中に分散質の微小液滴を形成させる。その後、撹拌を停止してから、分散液が白濁した状態を維持できる時間を測定することで分散安定性評価を行った。
粒子状分散剤の分散安定性評価は、各実施例および比較例に示す分散質、分散媒の組合せにおいて実施した。粒子状分散剤を含む分散液に撹拌機もしくはホモジナイザーを用いて一定時間撹拌し、分散媒中に分散質の微小液滴を形成させる。その後、撹拌を停止してから、分散液が白濁した状態を維持できる時間を測定することで分散安定性評価を行った。
(重合事例)
<開始剤の固定化>
芯粒子として数平均粒子径が10nm、100nm、470nm、600nmの何れかのシリカナノ粒子を用い、以下の方法で開始剤としてBHM(2−ブロモ−2メチルプロピニルオキシヘキシルトリメトキシシラン)を表面に固定化した。
<開始剤の固定化>
芯粒子として数平均粒子径が10nm、100nm、470nm、600nmの何れかのシリカナノ粒子を用い、以下の方法で開始剤としてBHM(2−ブロモ−2メチルプロピニルオキシヘキシルトリメトキシシラン)を表面に固定化した。
シリカナノ粒子をエタノールとアンモニア水の混合液に分散させて40℃で1時間撹拌した。そこに開始剤であるBHMとHM(ヘキシルトリメトキシシラン)を添加し、さらに18時間撹拌することでBHMとHMを固定化した。ここで開始剤であるBHMとともに、開始剤ではないHMも固定化させることで、シリカナノ粒子表面のBHMの密度を制御して、芯粒子からグラフトする共重合体密度を制御することが可能である。BHMとHMはともにシリカナノ粒子表面に固定化されるが、HMは開始剤として機能しないため、BHMとHMの添加比率によってナノシリカ表面の開始剤密度を制御できる。
<共重合体のグラフト>
表1に記載の第一のモノマー(第一のユニットを形成)と表2に記載の第二のモノマー(第二のユニットを形成)(計50mmol、精製なし)とを表3に記載の組合せと、開始剤を固定化したシリカナノ粒子にリガンドとしてbpy(ビピリジン)、触媒としてCu(I)Clを三口フラスコに導入した。このフラスコ内で、イソプロパノールを溶剤として混合し、200ccmで窒素バブリングを30分行うことによって脱酸素した後、スターラーで撹拌しながら70℃に加熱することでシリカナノ粒子表面から共重合体をグラフトした。この共重合体を芯粒子表面に修飾している微粒子である粒子状分散剤を得た。
表1に記載の第一のモノマー(第一のユニットを形成)と表2に記載の第二のモノマー(第二のユニットを形成)(計50mmol、精製なし)とを表3に記載の組合せと、開始剤を固定化したシリカナノ粒子にリガンドとしてbpy(ビピリジン)、触媒としてCu(I)Clを三口フラスコに導入した。このフラスコ内で、イソプロパノールを溶剤として混合し、200ccmで窒素バブリングを30分行うことによって脱酸素した後、スターラーで撹拌しながら70℃に加熱することでシリカナノ粒子表面から共重合体をグラフトした。この共重合体を芯粒子表面に修飾している微粒子である粒子状分散剤を得た。
得られた共重合体の分子量(Mn)は、15,000〜30,000程度の分子量であった。また、シリカナノ粒子表面のグラフト密度は、1nm2あたり0.4本程度であった。
表3に各重合事例で得られた粒子状分散剤にグラフトしている共重合体の第一のユニット含有モル分率、側鎖長比率(共有結合半径より算出した側鎖長比率)を示した。
(実施例)
表5に記載の重合事例と分散液の組合せにおいて、粒子状分散剤の分散安定性評価を行った。粒子状分散剤は、主に分散質を構成する有機溶剤であるアセトンもしくはフェニルエタノール中に5質量%溶解させ、水を加えて均一な溶解液を作製した後に、主に分散媒を構成する有機溶剤であるヘキサンもしくはヘキサデカンおよびヘキサンを加えることで二相分離液を作製した。この二相分離液をホモジナイザーを用いて15000rpmで撹拌することで白濁した分散液を形成した。
表5に記載の重合事例と分散液の組合せにおいて、粒子状分散剤の分散安定性評価を行った。粒子状分散剤は、主に分散質を構成する有機溶剤であるアセトンもしくはフェニルエタノール中に5質量%溶解させ、水を加えて均一な溶解液を作製した後に、主に分散媒を構成する有機溶剤であるヘキサンもしくはヘキサデカンおよびヘキサンを加えることで二相分離液を作製した。この二相分離液をホモジナイザーを用いて15000rpmで撹拌することで白濁した分散液を形成した。
分散液(粒子状分散剤を除く)の特性を表4に示し、分散安定性評価結果については、表5下に記載のように、撹拌停止後から分散液が白濁した状態を維持できる時間を3種類に分類して記載した。
(比較例)
比較例として、表6に記載の重合事例と分散液の組合せにおいて、実施例と同様に、高分子分散剤の分散安定性試験を行った。
比較例として、表6に記載の重合事例と分散液の組合せにおいて、実施例と同様に、高分子分散剤の分散安定性試験を行った。
図3に、数平均粒子径が100nmの芯粒子から得た粒子状分散剤を用いた場合に関し、縦軸に粒子状分散剤の共重合体の側鎖長比率(L2/L1)、横軸に共重合体に含まれる第一のユニットの含有モル分率とし、ヘキサン−アセトン−水系分散液における分散安定性試験結果をまとめて図示した。図3から、側鎖長比率が本発明の規定範囲を満たすことで分散安定性が改善され、更に第一のユニットの含有モル分率が好ましい範囲にあると、分散安定性がより改善されることが判る。
本発明の粒子状分散剤は、主に有機溶剤からなる分散媒・分散質から構成される分散液を分散安定化することができため、例えば、高分子粒子の製造に利用可能であり、ケミカルトナーやインクジェットインクに含まれる機能性バインダーの製造に利用することができる。
Claims (5)
- 第一のユニットおよび第二のユニットを有する共重合体を芯粒子表面に修飾している微粒子を有する分散剤であって、
前記第一のユニットは下記式(1)で示される構造を有し、
前記第二のユニットは下記式(2)で示される構造を有し、
前記第一のユニットの側鎖長の平均値L1と、前記第二のユニットの側鎖長の平均値L2との比(L2/L1)が、1.0以上4.0以下であり、
前記芯粒子は、数平均粒子径が10nm以上500nm以下である、
ことを特徴とする粒子状分散剤。
- 前記共重合体は、第一のユニットのモル分率が0.20以上0.95以下である
請求項1に記載の粒子状分散剤。 - 分散剤として請求項1又は2に記載の粒子状分散剤と分散媒および分散質からなる分散液であって、前記分散媒および前記分散質に含まれる液体成分のうち、80質量%以上が有機溶剤であることを特徴とする分散液。
- 前記分散媒のSP値が20.0以下である請求項3に記載の分散液。
- 前記分散質のSP値が前記分散媒のSP値よりも1.0以上大きい請求項3又は4に記載の分散液。
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