以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
[第1実施形態]
[構成の説明]
図1は、遊技球の機外へ遊技球の払出しを行わず、機内に封入された遊技球を循環的に使用して遊技を行う第1実施形態の封入式のパチンコ機50(封入式遊技機50とも記載)の正面図である。封入式遊技機50では、発射装置により遊技領域(入賞口やアウト口や各種役物や遊技釘等が配された領域)に向けて発射された遊技球を回収し、回収した遊技球を前記発射装置により再度発射することで遊技が行われる。
図1に示すように、封入式遊技機50は、台間ユニット100と隣り合わせで配置されている。台間ユニット100には、カード挿入口100aと、現金挿入口100bとが設けられており、カード挿入口100aにICカードを挿入するか現金挿入口100bに現金を挿入することで、封入式遊技機50に設けた球貸しボタン102aの操作が可能となる。
封入式遊技機50は、縦長の固定外郭保持枠をなす外枠51にて各部を保持する構造を有している。外枠51の左側上下には、ヒンジ53が設けられていると共に、該ヒンジ53には内枠70が取り付けられており、内枠70は外枠51に対して開閉可能な構成になっている。
また、内枠70には、ヒンジ53等により前枠52が開閉可能に取り付けられていると共に、この前枠52には、板ガラス61が取り外し自在に設けられており、板ガラス61の奥には、内枠70に取り付けられた遊技盤1が配されている。従って、前枠52を開放すると、入賞口(入球に応じて遊技者に遊技球(換言すれば、持球)が付与される入球口)に遊技球を直接入球させることが可能となる(以後、入賞口に遊技球が入球することを入賞とも記載し、入賞に応じて遊技者に付与される遊技球を、賞球とも記載する)。また、前枠52から板ガラス61をはずした状態でも、入賞口に遊技球を直接入球させることが可能となり、メーカーから出荷される前のテスト時にはこの状態又は前枠52を開放した状態で様々なテストが行われる。
前枠52の上部左右には、スピーカ(図示無し)が設けられており、封入式遊技機50から発生する遊技音が出力され、遊技者の趣向性を向上させる。また、遊技者の趣向性を向上させるために前枠52に遊技状態に応じて発光する枠側装飾ランプ(図示無し)も複数設けられている。また、前枠52の右下部には入賞表示装置20が配置され、後述する入賞口に遊技球が入賞すると、入賞口毎に設定された獲得遊技球数を表示する。
前枠52の下方右側には遊技球の発射操作を行う発射操作ユニット107が配置され、その下には手置き台71が取付けられている。手置き台71は、常時発射操作を行う遊技者の手を乗せておく台となる。発射操作ユニット107は、発射強度調整スイッチ部108と、遊技者が遊技球を発射するために操作する摺動操作部107aと、摺動操作部107aの上部に配置した発射停止スイッチ111と、発射強度を固定する場合に操作する発射強度固定スイッチ110と、発射強度を数値で示す発射強度表示部107bと、遊技者の操作を感知する図示しないタッチセンサ112とで構成されている。摺動操作部107aを右方向に操作するほど発射強度が強くなる。第1実施形態では、摺動スイッチを用いて発射強度の調節を行っているが、これに限るわけではなく、所謂発射ハンドルの回動量に応じて発射強度を調節する構成でもよい。
発射操作ユニット107の右上(封入式遊技機50の右端)には、内枠70と前枠52の両方の枠の開放が規制できるスライド錠を操作するシリンダ錠36が配置され、鍵が挿入可能となっている。このシリンダ錠36は、解錠するための鍵の種類を変更自在に行い得る可変式錠になっており、このような可変式錠を封入式遊技機50に使用することで、遊技店は、店に配置される全ての遊技機を店独自の鍵(1種類)に設定することが出来る。
発射操作ユニット107の左には、遊技者とのインターフェースとなるコントロール部8が設けられている。このコントロール部8には、タッチパネル式の液晶表示器となる操作部装置102(タッチパネル式液晶表示器)と、計数スイッチ105と、遊技球数表示装置106と、試打モードスイッチ21とが配置されている。操作部装置102のタッチパネル上には、球貸しボタン102aと、返却ボタン102bと、画面切換ボタン102cと、球貸しボタン102a及び返却ボタン102bの操作結果を示す操作結果表示部102dとが設けられている。
なお、ICカードからの球貸し、持球の精算、及びICカードの返却等を行うボタン類(球貸しボタン102a、計数スイッチ105、返却ボタン102b)を台間ユニット100に配置する構成としてもよく、これにより、球貸しや精算などの操作を台間ユニット100にまとめることで、遊技に係る演出関連の操作と明確に区別することが可能となる。
コントロール部8を備える前板部も、ヒンジ53等によって内枠70から開閉可能となっているが、前枠52が前板部に被さる様に設置されているため、前枠52の開放時のみ前板部の開放が可能となる。
また、図1は、板ガラス61の奥に位置する遊技盤1の遊技領域3の様子を概略的に示している。遊技領域3は、ガイドレール16によって囲まれた略円形の領域であると共に、多数の遊技釘が植設されており、遊技盤1の左上に配置した発射装置87から発射された遊技球は、発射直後に遊技領域3を流下する構成となっている。
遊技領域3のほぼ中央部には、ワープ通路やステージ等が形成されたセンターケースや窓が設けられており、この窓の奥には、演出図柄表示装置6の液晶画面が配置される。また、これら以外にも、遊技領域3には、常時入賞可能な普通図柄作動ゲート17や、第1始動口11や、普通電動役物として構成された第2始動口12や、常時入賞可能なA〜D普通入賞口13a〜13d、アタッカー式の大入賞口14等の役物(入賞口)や、アウト口15が設けられ、遊技領域3の右下には第1特図表示装置、第2特図表示装置、普通図柄表示装置、第1特図保留数表示装置、第2特図保留数表示装置、普図保留数表示装置等が設けられている。このように、第1、第2特別図柄共に遊技領域の隅に小さく表示されるだけであって、遊技領域の中央に設けられた演出図柄表示装置6にて特別図柄に対応した抽選結果の報知を行うとともに特別図柄の擬似演出を行い、その擬似演出によって遊技者に抽選結果に対しての期待感を与えている。
上記のように遊技盤1を構成することによって、普通図柄作動ゲート17を遊技球が通過(普通図柄作動スイッチ17a(図3参照)が遊技球を検出)すると、乱数が抽出され、保留記憶される(最大4個)。そして、保留記憶された乱数に基づき普通図柄による当否判定(普図当否判定)が行われる。この時、普通図柄表示装置にて普通図柄の変動表示が開始されると共に、所定時間後に普図当否判定の結果に応じた普通図柄が停止表示される。そして、普図当否判定で当選すると、後述する普通電役ソレノイド12b(図3参照)が駆動され、これにより普通電動役物の羽根部材が開放されて、第2始動口12への入球(第2始動口スイッチ12a(図3参照)の検出)が可能となる。
尚、第1実施形態におけるパチンコ機では、普通電動役物の羽根部材が駆動する開放時間は、通常時は0.2秒(1回)、時短状態(開放延長状態)では1.8秒(2回)である。また、第2始動口12は、普通電動役物の羽根部材が開放しなければ遊技球が入球不可能な構成となっているが、羽根部材が開放していない時も、稀に入球可能に構成しても良い。
第1始動口11に遊技球が入球(第1始動口スイッチ11a(図3参照)が遊技球を検出)すると、第1特図表示装置において第1特別図柄が変動を開始し、所定時間後に停止する。また、第2始動口12である普通電動役物に遊技球が入球(第2特図始動スイッチ12a(図3参照)が遊技球を検出)すると、第2特図表示装置において第2特別図柄が変動表示を開始し、所定時間後に停止する。
第1特別図柄及び第2特別図柄の変動中は、演出図柄表示装置6において各々の特別図柄の変動に連動した演出態様を表示する。また、第1特別図柄と第2特別図柄は、第1始動口と第2始動口への入球順に関係なく、第2特別図柄の変動停止を優先して実施する。具体的には、第1特別図柄の保留記憶がある場合、第2特別図柄の変動が停止し且つ第2特別図柄保留記憶が無い状態となって、第1特別図柄保留記憶分の変動を開始する。
第1特別図柄及び第2特別図柄の確定表示した態様に応じて後述する大入賞口ソレノイド14b(図3参照)が駆動する。大入賞口ソレノイド14bが駆動すると、ほぼ同期して大入賞口14の扉部材が開放し、大入賞口14への遊技球の入球(カウントスイッチ14a(図3参照)が遊技球を検出)が可能となるように構成されている。
また、第1始動口11、第2始動口12に遊技球が入球したとき、又は普通図柄作動ゲート17を遊技球が通過したときに取得する当否乱数等の種々の乱数(第1始動口11、第2始動口12に入球した場合に取得する乱数は、大当り判定用乱数、大当り図柄決定用乱数、小当り図柄決定用乱数、リーチ決定用乱数、変動パターン決定用乱数となる)を、保留記憶として主制御装置80に格納(記憶)するとともに、第1始動口11及び第2始動口12への入球に起因する各種コマンドをサブ統合制御装置83(図3参照)に送信する処理を行う。以後、第1始動口11に遊技球が入球したときに格納される保留記憶を第1保留記憶、第2始動口12に遊技球が入球したときに格納される保留記憶を第2保留記憶、普通図柄作動ゲート17を遊技球が通過したときに格納される保留記憶を普図保留記憶として説明する。
第1実施形態においては、普図保留数表示装置、第1特図保留数表示装置、第2特図保留数表示装置による各々の点灯数の最大個数は4個(最大保留記憶数が4個)となっている。また、それぞれの保留記憶数が0であっても、第1始動口11、第2始動口12に遊技球が入球したとき、又は普通図柄作動ゲート17を遊技球が通過したときに取得される当否乱数等の種々の乱数は、最大値未満の記憶数がある場合と同様に主制御装置80に格納される。
第1特図始動スイッチ11a又は第2特図始動スイッチ12aが遊技球を検出し、その場合の第1保留記憶又は第2保留記憶の数が4個未満であれば、抽出した大当り判定用乱数、大当り図柄決定用乱数、小当り図柄判定用乱数、リーチ決定用乱数、変動パターン決定用乱数を第1又は第2保留記憶として記憶領域に格納する。
保留記憶された各種乱数は、特別図柄による当否判定(特図当否判定)によって予め設定されている値との比較抽選が行われ、大当り判定用乱数に基づき行われた特図当否判定結果は、第1特図表示装置、第2特図表示装置、演出図柄表示装置6に表示される。この時、大当り図柄決定用乱数の値に応じた特別図柄が停止表示される。
封入式遊技機50は、確率変動機として構成されている。具体的に説明すると、封入式遊技機50による遊技は、大入賞口14を閉鎖した状態での遊技と、大入賞口14を開放する特別遊技(大当り遊技とも記載)とに大別され、大入賞口14を閉鎖した際の遊技(遊技状態)には、大きく分類して、特図当否判定で当る確率が相対的に低い通常遊技状態と、該通常遊技状態に比べて特図当否判定で当る確率が高い確変状態とが存在する。
特別図柄は、確率変動図柄及び非確率変動図柄とからなり、確変状態は確率変動図柄での特別遊技終了後に移行可能に設定され、通常遊技状態、確変状態のうち、いずれの遊技状態でも確率変動図柄で大当りすれば、大当り遊技終了後、確変状態に移行する。同様に通常遊技状態は、非確率変動図柄での特別遊技終了後に移行可能に設定され、通常遊技状態、確変状態のうち、いずれの遊技状態でも非確率変動図柄で大当たりすれば、特別遊技終了後、通常遊技状態に移行する。
通常遊技状態に移行後は、規定回数(例えば、100回)だけ特別図柄及び普通図柄の変動時間が短縮され、かつ普通電動役物の開放延長機能が作動する時短状態となる場合がある。特別図柄及び普通図柄の変動時間(変動開始から結果が表示されるまでの時間)が短縮されると、一定時間内に変動表示が行なわれる回数が増大される。
具体的には、第1実施形態の時短状態では、特別図柄の変動時間の短縮とともに、普通図柄表示装置に表示される普通図柄の時間短縮も行われるが、この普通図柄の変動表示を短縮させることで、一定時間内で多数回普通図柄の確定表示が行われる。従って、一定時間内での普通図柄が当りとなる回数が増大し、これにより普通電動役物の作動回数も増大する。また、時短状態では、普通電動役物の開放時間が長くなるように設定されている(開放延長機能が作動)ので、多数の遊技球が入賞し易くなる。このように多数の遊技球が入賞し易くなることにより、第2特別図柄の変動表示回数が更に増大されるとともに、普通電動役物入賞で得る賞球により、遊技者の持ち玉が減り難くなり、有利な遊技を行うことができる。
尚、確変状態では、時短状態と同様に特別図柄及び普通図柄の変動時間が短縮され、普通電動役物の開放延長機能が作動する場合がある。各種図柄の短縮と普通電動役物開放延長機能に関わる設定は時短状態と同一であるが、確変状態は、それに加えて、特図当否判定での当選確率が高くなる。
また、第1実施形態では、確変状態と時短状態の双方が設けられているが、これらのうちの一方のみが設けられていても良いし、これらの状態が設けられていなくても良い。
次に、図2を用いて、第1実施形態における封入式遊技機50の遊技球の循環の仕組みを説明する。図2は循環の仕組みを背面から模式的に示した説明図となる。図2には、遊技球を循環させるための主な装置と、遊技球を揚上させる経路と、主な制御装置が記載されている。遊技球が発射されてから循環する流れを順を追って説明する。
遊技者が発射可能な遊技球(持球)を封入式遊技機50が管理(記憶)している状態で、摺動操作部107aが操作されると、発射装置87に配置された球送りソレノイド130が作動し、遊技球を発射位置に送り出す。その際、第1実施形態の封入式遊技機50では、発射位置に送り出された遊技球は、必ず遊技領域3を転動する構成(発射位置に送り出された遊技球は、必ず発射され、且つ、ファール球とならず遊技領域3に到達する)であるため、発射装置87内に設けられた減算センサ131は、送り出した遊技球を発射球として検出し、持球カウンタ(払出発射制御装置84が備える発射可能な遊技球数を記憶する装置)から1を減算する。発射可能な遊技球数(持球数)は、遊技球数表示装置106に表示され、減算センサ131の遊技球検出に応じて1を減算して表示する。
発射位置に送り出された遊技球は、摺動操作部107aの位置に応じた発射強度で発射ソレノイド129の作動により遊技領域3に発射される。第1実施形態における封入式遊技機50では、発射装置87の位置(遊技球を発射する位置)が遊技領域3を表から見て左上部(図は背面であるため右上部)となるため、従来機のように、発射された遊技球がガイドレールで形成された発射経路によって打ち上げられることがなく、発射ソレノイド129によって弾球された遊技球は、弾球直後に遊技領域3に到達する。
遊技領域3に到達した遊技球は、遊技領域3を流下し、第1始動口11、第2始動口12等の入賞口に入球するか、或いは、アウト口15に入球する。いずれかの入賞口に入賞した遊技球は、遊技盤1の裏面を流下し誘導経路に配置された入賞検出センサ124に検出され、アウト口15に入球した遊技球は非入賞検出センサ125に検出される。
入賞検出センサ124、又は非入賞検出センサ125が遊技球を検出するとアウト球数として加算される。アウト球数と発射球数(減算センサ131検出球数)とにより遊技球循環の管理が行われる。第1実施形態では、上記した各センサは払出発射制御装置84に接続され、封入された遊技球の循環は払出発射制御装置84によって管理されるが、払出発射制御装置84と相互通信が可能に接続された主制御装置80で管理する構成としてもよい。
入賞検出センサ124、非入賞検出センサ125が検出した遊技球は玉磨き装置85に繋がる誘導経路を流下する。玉磨き装置85では、カセットモータ114、研磨モータ115、カセットスイッチ116、研磨モータセンサ117を備え、研磨布を搭載したカセットを使用し、遊技球の研磨を実施する。また、研磨布を搭載したカセットの検知が行われる。
遊技球の研磨は、研磨モータ115を動作させて遊技球を研磨布に押し付けるように動かすことにより実施される。研磨布はカセットに搭載した構造で交換可能となっており、カセットモータ114を使用して一定周期で布を巻き取るように作動させる。また、カセットスイッチ116により、研磨布を搭載したカセットの有無を検知する。
研磨された遊技球は、球磨き装置85から誘導経路を経て揚上装置86に誘導される。揚上装置86は、揚上発射モータ119、揚上発射モータ監視センサ121、揚上入口センサ120を備え、封入式遊技機50の下部まで流下した遊技球を、発射装置87を配置した上部(発射球タンク40)まで揚上させる。
第1実施形態の封入式遊技機50では、揚上装置86まで誘導された遊技球を、揚上発射モータ119を用いて、封入式遊技機50の上部に配置されている発射球タンク40まで移動する構成となっている。揚上装置86では、揚上入口センサ120、発射入口センサ132により、揚上発射モータ119の遊技球発射位置と揚上経路の出口(発射球タンク40の入口)とに遊技球が存在するか否かを検出し、該検出結果に応じて揚上発射モータ119を駆動させる。揚上発射モータ119の駆動によって発射された遊技球は、図に示す封入球打上げ揚上経路の最上部の曲面に接触することより飛球経路が変化し、飛球速度が減速して発射球タンク40に達する。揚上発射モータ監視センサ121は、揚上発射モータ119が正常な発射動作を行っているか検出する。
上記した構成により、第1実施形態の封入式遊技機50では、揚上装置86に誘導された遊技球は、揚上動作(揚上発射モータ119による球の打ち上げ)の実施直後に発射球の待機する発射球タンク40に移動する。従って、螺旋構造の揚上装置や、ベルトによる揚上装置のように揚上経路上に複数の遊技球が存在することがないため、遊技を待機せざるを得ない遊技球の数を減少させ、結果的に封入式遊技機50内で循環させる封入球数を減らすことが可能となっている。
発射球タンク40まで揚上された遊技球は、転動して発射装置87に至るが、発射装置87への誘導を兼ねる封入球数計数経路に配置された適正量センサ123と満タンセンサ126とで遊技球を検出し、循環に必要な遊技球数を管理して過不足を検出すると報知を行う構成となっている。この場合の報知は、台間ユニット100を介して機外の管理装置(ホールコンピュータ87)に信号を出力すると共に、封入式遊技機50が備える表示装置(演出図柄表示装置6およびタッチパネル式液晶表示器102)に遊技球の過不足を表示する。
次に、台間ユニット100について説明する。遊技客は、封入式遊技機50で遊技を行う場合、ICカード(又は会員カード)又は現金を封入式遊技機50と1対1で接続された台間ユニット100に挿入し、球貸し操作を実施することによって封入式遊技機50で発射可能な遊技球が払出され遊技が可能となる。この場合の払出しは、発射可能な遊技球数を記憶する持球カウンタに発射可能な遊技球数を加算することによって行われる。
遊技の際に、入金により消費された(貸出された)遊技球と、大当り等の入賞によって獲得された払出球情報(遊技者ごとの(当日の)獲得球情報)は、ICカードとの関連付けが行われたうえで店内の管理装置(ホールコンピュータ87)で一旦保管された後、外部に設けられた第三者管理のデータ管理センタで管理することにより、入球数と出球数とが厳重に管理される。さらに、貯球は、外部の貯球第三者管理サーバーで保管され、遊技者の貯球を保障するシステムとなっている。
遊技者は遊技を終了する場合、台間ユニット100からカードを取り出し(持球が残っている場合には、持球を台間ユニット100に移行させてからカードを取り出す)、残金を精算する。その際POS管理コンピュータでデータを保存管理する。
封入式遊技機50に接続する台間ユニット100は、従来のCRユニットの機能に加えて、封入式遊技機50が発射した遊技球数、払出した遊技球数や遊技状態などの情報を受信して不正行為を監視する機能、不正基板の監視機能ならびに各種遊技情報を一括する機能を搭載している。これらの追加機能を実現するために、台間ユニット100と封入式遊技機50は従来とは異なる新たなインターフェースケーブルで接続される。
さらに、セキュリティー情報を共有して不正改造を防止するために、パチンコ遊技機製造メーカーと直結した遊技機管理センタ(機歴管理センタ)で台間ユニット100の不正監視機能と照合することで、営業所内に設置されている遊技機の基板の固有IDを常時監視して、異常を検知した際には報知することが可能となっている。
次に、封入式遊技機50の電気的構成を図3、4に示したブロック図を用いて説明する。詳細な図示は省略するが、主制御装置80、払出発射制御装置84、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83は、いずれもCPU、ROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備えている。
図3に示す主制御装置80を中心にしたブロックでは、主制御装置80には、遊技盤中継端子板74を介して、第1始動口11に入球した遊技球を検出する第1始動口スイッチ11a、第2始動口12に入球した遊技球を検出する第2始動口スイッチ12a、普通図柄作動ゲート17に進入した遊技球を検出する普通図柄作動スイッチ17a、大入賞口14に入球した遊技球を検出するためのカウントスイッチ14a、A〜D普通入賞口13a〜13dに入球した遊技球を検出するA〜D普通入賞口スイッチ13a−1〜13d−1、遊技球の流下方向に影響を与える磁力を検出する磁力センサ91、同様に遊技球の流下方向に影響を与える振動を検出する振動センサ92、上記した入賞口の検出スイッチを誤動作させる電波を検出する電波センサ93の検出信号が入力される。
また、主制御装置80には、試打モードスイッチ21からの検出信号が入力される。試打モードスイッチ21は、封入式遊技機50の前面のコントロール部8に設けられており、遊技者から操作可能となっている。
主制御装置80は、搭載しているプログラムに従って動作し、上記した検出信号などに基づいて遊技の進行に関わる各種のコマンドを生成してサブ統合制御装置83に出力する。また、主制御装置80は、図柄表示装置中継端子板90を介して、接続されている第1特図表示装置9、第2特図表示装置10及び普通図柄表示装置7の表示、第1特図保留数表示装置9a、第2特図保留数表示装置10a、普図保留数表示装置8の点灯を制御する。
更に、主制御装置80は、大入賞口ソレノイド14bを制御することで大入賞口14の開閉を制御し、普通電役ソレノイド12bを制御することで第2始動口12の開閉を制御し、入賞口への入賞を検出すると入賞口毎に設定された獲得遊技球数を入賞表示装置20に表示する。また、各入賞口への入賞に応じて、賞球数を示す賞球数指示信号を払出発射制御装置84に送信する(各入賞口に入賞した遊技球の個数と各入賞口に設定された獲得遊技球数を、払出発射制御装置84に一定間隔毎にシリアル信号(コマンド形式)で送信する構成としてもよい)。
また、主制御装置80からの出力信号は、図柄変動、遊技状態、大当り(特別遊技ともいう)等の管理用の信号が、払出発射制御装置84と台間ユニット100を介してホールコンピュータに送られる。但し、試打モード中(詳細は後述する)は、管理用の信号は機外に出力されない。
サブ統合制御装置83は、主制御装置80から送信されてくるデータ及びコマンドを受信し、それらを演出表示制御用、音制御用及びランプ制御用のデータに振り分けて、演出表示制御用のコマンド等は演出図柄制御装置82に送信し、音制御用及びランプ制御用は自身に含まれている各制御部位(音声制御装置及びランプ制御装置としての機能部)に分配する。そして、音声制御装置としての機能部は、音声制御用のデータに基づいて音LSIを作動させることによってスピーカ66からの音声出力を制御し、ランプ制御装置としての機能部はランプ制御用のデータに基づいてランプドライバを作動させることによって各種LED、ランプ26を制御する。
演出図柄制御装置82は、サブ統合制御装置83から受信したデータ及びコマンド(共に主制御装置80、又は主制御装置80を介して払出発射制御装置84から送信されてきたものとサブ統合制御装置83が主制御装置80からの入力に基づいて生成したものとがある)に基づく制御を行い、擬似図柄等の演出画像を演出図柄表示装置6の画面に表示させる。尚、サブ統合制御装置83と主制御装置80とは間に演出中継端子板65を介した主制御装置80からサブ統合制御装置83への一方向通信回路として構成され、サブ統合制御装置83と演出図柄制御装置82とはサブ統合制御装置83から演出図柄制御装置82への一方向通信回路として構成されている。
次に、図4を用いて、主制御装置80と双方向通信が可能に接続された払出発射制御装置84を中心としたブロックを説明する。払出発射制御装置84は、搭載しているプログラムに従って動作し、主制御装置80から上述した獲得遊技球数の要求を示すコマンドを受信すると、要求された獲得遊技球数を発射可能な遊技球数(持球数)を示す持球カウンタへ加算し、加算した値を遊技球数表示装置106に表示する。また、後述する操作に応じた信号又は、センサの検出に応じた信号に基づいて、貸球の加算、遊技球の発射、遊技球の研磨、遊技球(封入球)の循環、等を制御する。
払出発射制御装置84に台間ユニット100及び操作部接続基板101を介して接続された操作部装置102となるタッチパネル式の液晶表示器には、前述したように球貸しボタン102aと、返却ボタン102bと、画面切換ボタン102cと、球貸しボタン102a及び返却ボタン102bの操作結果を示す操作結果表示部102dとが設けられている。この封入式遊技機50に設けられたタッチパネル式の液晶表示器の電源は、台間ユニット100から供給される。
また、タッチパネル式液晶表示器には、台間ユニット100に挿入されたICカード(又は会員カード)に記録されているカード情報や封入式遊技機50の遊技情報(遊技履歴等)を表示する機能も備えている。
操作部装置102の球貸しボタン102aを操作すると、タッチパネル操作情報として貸球数の加算を要求する信号が台間ユニット100を介して払出発射制御装置84に入力され、払出発射制御装置84は、該入力によって要求された貸球数を持球カウンタに加算し、加算後の持球カウンタの値を遊技球数表示装置106に表示する。この時、遊技球数表示装置106の加算状況に応じて貸球動作の結果内容を操作結果表示部102dに表示する。なお、一回の球貸しボタン102aの操作に対しては、予め設定された所定額(例えば、500円)に応じた貸球数(例えば、125個)を要求する。
操作部装置102の返却ボタン102bを操作すると、タッチパネル操作情報としてICカードの返却動作を要求する信号が台間ユニット100に入力され、台間ユニット100から払出発射制御装置84に入力される。その時の封入式遊技機50の状態がICカードの返却が可能な状態であるか否かに応じて返却の可否と返却結果を操作結果表示部102dに表示する。返却可能な状態であれば、操作結果表示部102dに返却が可能であることが表示され、ICカードが台間ユニット100から排出される。
操作部装置102の画面切換ボタン102cを操作すると切換回路101aが作動し、タッチパネル式液晶表示器に表示する情報を、台間ユニット100から受信した情報から封入式遊技機50の演出図柄制御装置82から受信した情報(画像含む)へ切り替える。この切り替えに応じて、演出図柄表示装置6には台間ユニット100からの情報が表示される。
台間ユニット100と操作部接続基板101とは相互通信が可能に接続され、演出図柄制御装置82と操作部装置102とは、互いに操作部接続基板101と相互通信が可能に接続されている。なお、封入式遊技機50からホールコンピュータ87への全ての出力は、台間ユニット100を介して行われるため、台間ユニット100も封入式遊技機50を管理することが可能な構成となっている。但し、この構成に限らず、台間ユニット100を介さずにホールコンピュータ87に出力する構成も考えられ、台間ユニット100の制御内容を遊技媒体の管理に限定してもよい。
封入式遊技機50内においては、払出発射制御装置84には操作部中継基板103が相互通信可能に接続され、操作部中継基板103には相互通信可能に遊技球数表示基板104が接続されている。遊技球数表示基板104には、計数スイッチ105と遊技球数表示装置106が配置され、計数スイッチ105の操作信号が払出発射制御装置84に入力される。また、払出発射制御装置84の出力に応じて遊技球数表示装置106に発射可能な遊技球数が表示される。
計数スイッチ105が操作されると、持球カウンタが記憶している全ての値を持球カウンタから減算し、台間ユニット100に減算した値を送信する(ICカードに持球数を保存)。よって持球カウンタの値を表示する遊技球数表示装置106の数値は0となる。計数スイッチ105の操作によって発射可能な遊技球数が0になると、台間ユニット100に挿入されているICカードの返却が可能となる。
払出発射制御装置84には、裏配線中継端子板75を介して、前枠閉鎖スイッチ18、内枠閉鎖スイッチ19からの検出信号が入力され、操作部中継基板103を介して、発射操作ユニット107が相互通信が可能に接続され、発射操作ユニット107では、前述したように、発射強度調整スイッチ部108、発射強度固定スイッチ110、発射停止スイッチ111、タッチセンサ112、からの信号が払出発射制御装置84へ入力され、発射強度表示装置109の表示が払出発射制御装置84によって制御される。
また、払出発射制御装置84には、相互通信可能に接続された研磨中継基板113を介して、カセットスイッチ116、研磨モータセンサ117の検出信号が入力され、払出発射制御装置84は研磨中継基板113を介してカセットモータ114、研磨モータ115の駆動を制御する。
また、研磨中継基板113と相互通信可能に接続された揚上中継基板118を介して、払出発射制御装置84には、揚上入口センサ120、揚上発射モータ監視センサ121からの検出信号が入力され、払出発射制御装置84は前述した揚上発射モータ119の駆動を制御する。
また、内枠中継基板122は、内枠中継基板122から研磨中継基板113へと一方向通信が可能に接続され、内枠中継基板122には、前述した、適正量センサ123、入賞検出センサ124、非入賞検出センサ125、満タンセンサ126と、夜間監視スイッチ127とが接続され、各センサ又はスイッチからの信号が払出発射制御装置84に入力される。
夜間監視スイッチ127は、夜間(営業時間外)の扉開放を伴う不正を判断するための装置であり、電源基板に搭載されたバックアップ電源により、電源がオフの状態であっても内枠70の開放を監視可能とし、払出発射制御装置84が夜間の内枠70の開放回数情報を記憶し、電源投入時に開放回数情報を主制御装置80を介して機外に出力する構成となっている。
また、研磨中継基板113と相互通信が可能に接続された発射中継基板128を介して、払出発射制御装置84には、減算センサ131、発射入口センサ132の検出信号が入力され、同様に発射中継基板128を介して払出発射制御装置84は、球送りソレノイド130と発射ソレノイド129の駆動を制御する。
[動作の説明]
次に、第1実施形態の封入式遊技機50の動作について説明する。
封入式遊技機50は、電源投入時や電源投入後に試打モードスイッチ21を操作することで、A〜D普通入賞口13a〜13dへの入球頻度をチェックする試打モードに移行する。試打モードでは、A〜D普通入賞口13a〜13dの試打(A〜D普通入賞口13a〜13dを狙って遊技球を発射すること)が指示され、各普通入賞口の試打の結果が合格となった場合には、封入式遊技機50での遊技が許可される。なお、例えば、ホールコンピュータ87等といった封入式遊技機50に接続された装置からの指示により、試打モードに移行する構成としても良い。
また、封入式遊技機50では、特図当否判定で当った後、A〜D普通入賞口13a〜13dの全部又は一部が作動口に設定され、作動口への入球により、複数回にわたり大入賞口14を開放する特別遊技が開始される。
以下では、封入式遊技機50の処理について詳しく説明する。
(1)電源投入時処理について
まず、封入式遊技機50への電力供給開始時に行われる電源投入時処理について、図5のフローチャートにより説明する。この処理では、電源立上時に試打モードスイッチ21が操作された場合は、該操作に応じて、試打モードで電源を立ち上げる処理を行う。
図5には記載されていないが、封入式遊技機50の電源が投入されるとCPUのセキュリティーチェックが行なわれ、その後、図5に記載されているようにスタックポインタを初期値に設定する(S100)。なお、第1実施形態では初期値が8000Hに設定されている。続いて、電源投入時に必要な設定である、割込みモードの設定(S105)、内蔵RAMのアクセス許可(S110)、電源断フラグのクリア(S115)を行う。
S115の後は、RAMクリアスイッチからの信号がオンか否かを判定する(S120)。RAMクリア信号は、図示省略するRAMクリアスイッチを押しながら、封入式遊技機50の電源を投入するための電源スイッチ(図示省略)を操作することで(電源を投入することで)出力される信号である。なお、このRAMクリア信号の読み込みは、この1回だけ行なわれるだけであり、それ以降には読み込みされない。
S120が肯定判定なら、RAMの初期化をするため処理が行われ、否定判定ならRAMに記憶された遊技状態の情報を使用して封入式遊技機50を復帰させる処理が行われる。このRAMには、封入式遊技機50の遊技状態に関する情報が含まれており、封入式遊技機50の電源(通常電源)が遮断された場合でもバックアップ電源により、このRAMに記憶された情報が所定時間、保持される。
よって、電源遮断直前が特別遊技中であった場合には特別遊技中から、確変状態であった場合には確変状態から遊技が再開可能であり、突然の停電などで遊技者に不利益を与えることはない。
実際の制御としては、S120が否定判定なら(S120:no)、電源遮断時の発生情報は正常か否かを判定し(S125)、肯定判定なら(S125:yes)、RAM判定値を算出し(S130)、電源断時に保存されたRAM判定値と一致するか、即ち正常な値か否か判定する(S135)。肯定判定なら(S135:yes)、電源遮断時の発生情報をクリアする(S140)。
S140に続いては、試打モードスイッチ21からの信号がオフか否か判定する(S145)。否定判定、即ち、試打モードスイッチ21が操作されていれば(S145:no)、試打モードフラグの値が1か否か判定する(S170)。
試打モードフラグは主制御装置80が記憶する値であり、値が1であれば試打モードに設定されていることを、値が0であれば試打モードに設定されていないことを主制御装置80が判定する。
S170が肯定判定、即ち、電源断時が試打モードであったなら(S170:yes)、RAMが記憶した試打モード中の状態をクリアするために、RAMに記憶されている内容を全て0クリアし(S175)、各種乱数の初期値設定(S180)、RAMの初期値設定を行う(S185)。
S185、又はS170の否定判定(S170:no)に続いては、試打モード設定処理を行い(S190)、試打モードフラグに1を設定する(S195)。
試打モード設定処理では、主制御装置80は、試打モード中の遊技球の発射を可能とするために、払出発射制御装置84に対し、試打モードが開始された旨の信号を出力する。これに応じて、払出発射制御装置84は、持球カウンタが示す持球数に関わりなく、遊技球の発射を許可する。また、主制御装置80は、サブ統合制御装置83に対し、試打モードが開始される旨を示すコマンドを送信する。
なお、台間ユニット100にも試打モードに移行したことを示す信号を送信する構成としてもよく、これにより、台間ユニット100は封入式遊技機50が試打モード中であることを判断できる。
また、これ以降、試打モードが終了するまでは、主制御装置80は、各入賞口への入球を検出するが、賞球の払出しは行わない。
S195に続いては、CPU周辺デバイスの初期設定(S160)、割込み許可設定を行って(S165)、遊技が開始される。ここでいう遊技の開始は、主制御装置80がメインルーチンの実行を開始することである。
S145が肯定判定、即ち、試打モードスイッチ21が電源立上時に操作されていなければ、試打モードフラグの値が0か否か判定し(S150)、肯定判定なら(S150:yes)、サブ統合制御装置83に電源遮断直前の遊技状態に復帰させるためのコマンドを送信し(S155)、S160に進む。
S120が肯定判定なら(S120:yes)、RAMクリアスイッチがオフになったか否か判定し(S200)、否定判定、即ち、オンのままなら(S200:no)、S200の判定を繰り返す。S200が肯定判定、又はS125、S135、S150が否定判定なら(S180:yes、S125:no、S135:no、S150:no)、RAMに記憶されている内容を全て0クリアし(S205)、各種乱数の初期値設定(S210)、RAMの初期値設定(S215)を行い、S160に進む。
以上が主制御装置80が実行する電源投入時処理となる。試打モード中に電源が遮断された場合は、RAMクリアと試打モードスイッチの操作を行わずに電源を立ち上げると(S150の否定判定)、電源投入時処理において電源遮断直前の試打モードの遊技状態の記憶はクリアされる構成(試打モードスイッチを操作しないことによってRAMクリアが行われる構成)となり、RAMクリアスイッチを操作しながら電源を立ち上げた状態と同一の遊技状態で遊技を開始することが可能となる。
また、第1実施形態では、試打モードへの移行は試打モードスイッチ21の操作によって実施されたが、遊技機外部から受信した信号に応じて試打モードへ移行する構成としてもよく、この構成によって、ホール内でテストの必要がある複数の遊技機を一括して試打モードに切り替えることで、スタッフの手間が省くことができる。
(2)試打モード開始処理について
次に、図6を用いて主制御装置80が実行する試打モード開始処理を説明する。試打モード開始処理は、周期的なタイミングで実行される。また、試打モード開始処理を開始すると、試打モードスイッチ21のオン操作がなされたか否か(試打モードスイッチ21からの信号がオフからオンに変化したか否か)を判定する(S200)。そして、否定判定なら(S200:no)リターンし、肯定判定なら(S200:yes)、試打モード終了フラグが0か否か判定する(S205)。
S205が否定判定(S205:No)、即ち、試打モード中に試打モードスイッチ21のオン操作がなされたなら、リターンし、205が肯定判定なら(S205:Yes)、状態フラグ(遊技状態を示すフラグ)が0か否か判定する(S210)。否定判定なら(S210:no)リターンし、肯定判定、即ち、確変フラグと時短フラグとが共に0が設定された状態(通常遊技状態、且つ、時短状態でない)なら(S210:yes)、特別図柄及び普通図柄が共に非変動中であり、且つ、特別図柄及び普通図柄の当否判定の保留記憶数が全て0か否か判定する(S215)。
S215が否定判定なら(S215:no)リターンし、肯定判定なら(S215:yes)、持球数確認処理を行う(S220)。持球数確認処理は、払出発射制御装置84が備える持球カウンタの値を示す信号を、払出発射制御装置84から主制御装置80に送信させる指示信号を払出発射制御装置84に送信し、受信した持球カウンタの値を示す信号を確認する処理となる。なお、払出発射制御装置84が備える持球カウンタの値を随時(又は値の変化に応じて)主制御装置80に送信し、主制御装置80にも持球カウンタを備える構成としてもよい。
S220に続いては、受信した持球カウンタの値を示す信号が、持球カウンタ=0を示しているか否か判定する(S225)。否定判定なら(S225:no)リターンし、肯定判定なら(S225:yes)、電源投入時処理と同様の試打モード設定処理を実行すると共に(S230)、試打モードフラグに1を設定し(S235)、リターンする。
以上が、主制御装置80が実行する試打モード開始処理となる。これにより、電源投入後、一定の条件が充足されている場合には、試打モードスイッチ21の操作により試打モードが開始される。
また、第1実施形態では、試打モードに移行する際には、試打モードフラグが0(試打モードではない)ことを確認した上で、特別図柄及び普通図柄の変動表示が行われておらず、且つ、全ての保留記憶数が0であることを確認し、更に、持球カウンタの値が0であることを確認している。つまり、試打モードでない状態(通常モード)における遊技が終了していることを確認する。しかしながら、通常モードにおける遊技が終了しているか否かに関わらず(持球カウンタの値等に関わらず)、試打モードに移行しても良い。
また、第1実施形態では、接続する台間ユニット100へカードが挿入されていなくても試打モードへの移行が可能となっているが、台間ユニット100に有価価値情報(持球数や、貯玉数や、球貸しに用いることができる金額情報やポイント情報等)が記憶されたカードが挿入されていることを条件に、試打モードに移行しても良い。
また、台間ユニット100に該カードが挿入された際に、試打モードに移行するか否かの問合せを行っても良い。具体的には、主制御装置80は、払出発射制御装置84を介して台間ユニット100からカードが挿入された旨の通知を受け取ると、演出図柄表示装置6の画面上に、試打モードに移行するか否かを問い合わせる画面を表示しても良い。そして、この時、試打モードスイッチ21等を介して試打モードに移行する旨の指示を受け付け、該指示に応じて試打モードに移行しても良い。
(3)試打モード処理について
次に、図7を用いて主制御装置80が実行する試打モード処理を説明する。試打モード処理は、周期的なタイミングで実行される。
S300では、主制御装置80は、試打モードフラグを参照し、試打モード中か否かを判定し、否定判定の場合には(S300:No)、リターンすると共に、肯定判定の場合には(S300:Yes)、S305に移行する。
S305では、主制御装置80は、試打モードに移行後、最初に試打モード処理が実行されたか否か(試打モードの開始直後の状態か否か)を判定し、肯定判定の場合には(S305:Yes)、S310に、否定判定の場合には(S305:No)、S325に移行する。
S310では、主制御装置80は、いずれかの普通入賞口を、試打モードでの狙い打ち対象として選択する。各普通入賞口は、試打モードへの移行後、予め定められた順番(例えば、A〜D普通入賞口13a〜13dという順番や、D〜A普通入賞口13d〜13aという順番)で、狙い打ち対象に選択される。
続くS315では、主制御装置80は、選択された普通入賞口が狙い打ち対象となる最大期間(狙い打ち期間)を設定する。
狙い打ち期間は、当該期間中に選択中の普通入賞口を狙って遊技球を発射した際(該普通入賞口への入球頻度が最も高いと推定される状態で遊技球を発射した際)に、当該期間に少なくとも1個の遊技球が該普通入賞口に入球するように設定される(このため、各普通入賞口に割り当てられる狙い打ち期間の長さが異なる可能性もある)。具体的には、例えば、選択中の普通入賞口を狙って遊技球を発射した場合のベースの設計値(換言すれば、封入式遊技機50の検定試験を行った時点における選択中の普通入賞口を狙い打った場合のベース)に基づき設定されても良い。
なお、ベースとは、予め定められた期間において遊技者に付与される平均的な賞球数を、該期間において遊技領域3に向けて発射された遊技球の数で除算した値を意味する。
具体例を挙げて説明すると、A普通入賞口13aの賞球数は15個であり、A普通入賞口13aを狙って遊技球を発射した際のベースが30%であったとする。なお、1秒間に発射される遊技球数の平均値を、1.6個とする。このような場合であれば、A普通入賞口13aの狙い打ち開始後、最初にA普通入賞口13aの入球が生じるまでに要する平均的な時間Tは、
15/(1.6×T)=0.3
T=15/(1.6×0.3)
T≒31秒
となる。このような場合であれば、若干の余裕を持たせ、狙い打ち期間を35秒としても良い。
同様に、A普通入賞口13aの賞球数は5個、ベースが30%であれば、
5/(1.6×T)=0.3
T≒10秒
となるため、同様にして余裕を持たせ、狙い打ち期間を12秒としても良い。
また、同様に、A普通入賞口13aの賞球数は15個、ベースが20%であれば、
15/(1.6×T)=0.2
T≒46.8秒
となるため、同様にして余裕を持たせ、狙い打ち期間を50秒としても良い。
これらの時間は、一例であり、さらに余裕を持たせ、上記算出されたTの2倍、3倍の時間を狙い打ち期間としても良いことは、言うまでもない。
無論、ベースに限らず、選択中の普通入賞口を狙い打った場合の入賞率(所定期間(例えば、1分間)に該普通入賞口に入球する遊技球数の平均値)の設計値に基づき、狙い打ち期間を定めても良い。
続くS320では、主制御装置80は、新たに選択された普通入賞口を示すコマンドをサブ統合制御装置83に送信し、リターンする。
一方、S305で否定判定が得られた場合(試打モードの開始直後でない場合)に移行するS325では、主制御装置80は、選択中の普通入賞口からの信号に基づき、該普通入賞口への入球が生じたか否かを判定する。そして、肯定判定の場合には(S325:Yes)、S335に、否定判定の場合には(S325:No)、S330に移行する。
S330では、主制御装置80は、現在の狙い打ち対象である普通入賞口が新たに選択された後、狙い打ち期間が経過したか否かを判定する。そして、肯定判定の場合には(S330:Yes)、S335に、否定判定の場合には(S330:No)、リターンする。
S335では、主制御装置80は、現在の狙い打ち対象についての試打結果を示すコマンドを、サブ統合制御装置83に送信し、S340に移行する。なお、狙い打ち期間内に選択中の普通入賞口に入球した場合には、該普通入賞口についての試打結果は合格となり、入球しなかった場合には、該試打結果は不合格となる。
S340では、主制御装置80は、全ての普通入賞口の試打が終了したか否か(全ての普通入賞口が狙い打ち対象として選択されたか否か)を判定し、肯定判定の場合には(S340:Yes)、S345に、否定判定の場合には(S340:No)、S310に移行する。
S345では、主制御装置80は、試打モードを終了する旨を示すコマンドを、サブ統合制御装置83に送信し、S350に移行する。
S350では、主制御装置80は、全ての普通入賞口の試打結果が合格であるか否かを判定し、肯定判定の場合には(S350:Yes)、S355に、否定判定の場合には(S350:No)、リターンする。
S355では、主制御装置80は、本封入式遊技機50での通常モードの遊技を許可した後、リターンする。
具体的には、主制御装置80は、これ以降、通常モードでの遊技を許可する旨の遊技許可信号を払出発射制御装置84に送信し、払出発射制御装置84は、遊技許可信号に応じて遊技球の発射を行うようにし、遊技許可信号が入力されていない場合には、遊技球の発射を行わないようにしても良い。また、主制御装置80は、通常モードでの遊技を許可した後に、普通図柄の保留記憶及び当否判定や、特別図柄の保留記憶及び当否判定や、特別遊技や、入賞口への入賞に応じた賞球の払出し等を行うようにしても良い。
なお、いずれか1つ(或いは、所定数以上)の普通入賞口の試打結果が不合格であった場合には、主制御装置80は、通常モードでの遊技を禁止し、払出発射制御装置84に対し遊技許可信号を出力しないようにしても良い。
また、通常モードの遊技の許可,禁止を示す情報(通常モード情報)を、図示しない不揮発性の記憶媒体(例えば、EEPROM等)に保存する構成としても良い。そして、主制御装置80は、電源投入時に該記憶媒体から通常モード情報を読み出し、通常モード情報に応じて通常モードの遊技の許可,禁止を設定すると共に、試打モードの終了時には、試打結果に応じて通常モードの遊技の許可,禁止を設定し、設定した内容を新たな通常モード情報として該記憶媒体に保存しても良い。
さらに、封入式遊技機50の製造直後の状態では、該記憶媒体には通常モードの遊技の禁止する通常モード情報を保存しておき、試打モードを実行して試打結果で合格となることで、通常モードの遊技が可能となるようにしても良い。
また、試打結果が合格であった場合には、一定期間にわたり通常モードでの遊技を許可する構成とし、該期間が経過した後は、通常モードでの遊技が禁止される構成としても良い。具体的には、主制御装置80は、試打モードに移行した時期を該記憶媒体に記憶しておき、該時期から一定期間を経過した際には、試打モードの遊技を禁止すると共に、通常モードの遊技の禁止を示す試打モード情報を該記憶媒体に保存しても良い。そして、通常モードでの遊技が禁止された後、同様にして試打モードに移行して試打結果で合格となることで、通常モードでの遊技が許可される構成としても良い。
無論、試打結果に関わらず、通常モードでの遊技を可能としても良い。
以上が、主制御装置80が実行する試打モード処理となる。これにより、試打モード中、A〜D普通入賞口13a〜13dは、順番に狙い打ち対象として選択され、選択された普通入賞口の試打(入球に関する計測)が行われる。具体的には、狙い打ち対象である普通入賞口に入球するか、或いは、該普通入賞口に設定された狙い打ち期間が経過すると、該普通入賞口についての試打が終了し、次の普通入賞口が狙い打ち対象として選択される。狙い打ち期間に狙い打ち対象である普通入賞口に入球すると、該普通入賞口の試打結果が合格となり、入球しない場合には不合格となる。そして、全ての普通入賞口の試打結果が合格であれば、通常モードでの遊技が許可される。
(4)試打画面表示処理について
次に、図8を用いてサブ統合制御装置83が実行する試打画面表示処理を説明する。試打画面表示処理は、周期的なタイミングで実行される。
S400では、サブ統合制御装置83は、主制御装置80から受信したコマンドに基づき試打モード中であるか否かを判定し、否定判定の場合には(S400:No)、リターンすると共に、肯定判定の場合には(S400:Yes)、S405に移行する。
S405では、サブ統合制御装置83は、演出図柄制御装置82に対し、演出図柄表示装置6に、遊技盤やA〜D普通入賞口13a〜13dを模式的に表した試打モード画面を表示させる。図9(a)には、一例として、試打モード画面450が記載されている。試打モード画面450は、演出図柄表示装置6と、演出図柄表示装置6の周囲に配されたA〜D普通入賞口13a〜13dを表している。
続くS410では、サブ統合制御装置83は、主制御装置80から受信したコマンドに基づき、試打モードの開始や、各普通入賞口を狙い打ち対象とする試打の終了に伴い、新たな普通入賞口が狙い打ち対象として選択されたか否かを判定する。そして、肯定判定が得られた場合には(S410:Yes)、S415に、否定判定が得られた場合には(S410:No)、S420に移行する。
S415では、サブ統合制御装置83は、新たに選択された普通入賞口を報知し、S420に移行する。具体的には、例えば、試打モード画面450のように、普通入賞口の周辺を点線で囲むことで、新たに選択された普通入賞口を報知しても良い(なお、試打モード画面450では、一例として、A普通入賞口13aが新たに選択された普通入賞口となっている)。また、これに限らず、例えば、試打モード画面上で、新たに選択された普通入賞口を点滅させたり、異なる色で表示したり、拡大表示したりしても良い。この他にも、スピーカ66を介して音声により新たに選択された普通入賞口を報知しても良いし、新たに選択された普通入賞口に設けられたランプやLEDを所定の色で点灯させたり、点滅させたりしても良い。
S420では、サブ統合制御装置83は、主制御装置80から試打結果を示すコマンドを受信したか否かを判定する。そして、肯定判定が得られた場合には(S420:Yes)、S425に、否定判定が得られた場合には(S420:No)、S430に移行する。
S425では、サブ統合制御装置83は、試打結果を報知し、S430に移行する。具体的には、例えば、試打モード画面460(図9(b))のように、試打モード画面上で試打結果を受信した普通入賞口に隣接して“OK”(合格),“NG”(不合格)等といった試打結果を示す文言を表示しても良い。なお、試打モード画面460では、一例として、A,C普通入賞口13a,13cの試打結果が合格、B普通入賞口13bの試打結果が不合格となっていると共に、D普通入賞口13dについては、試打が終了しておらず、試打結果が表示されていない。また、これに限らず、例えば、試打結果を受信した普通入賞口については、試打モード画面上で、試打結果に応じた態様で該普通入賞口を表示しても良い。この他にも、スピーカ66を介して音声により試打結果を報知しても良いし、普通入賞口に設けられたランプやLEDにより、該普通入賞口の試打結果を報知しても良い。
S430では、サブ統合制御装置83は、主制御装置80から試打モードを終了する旨のコマンドを受信したか否かを判定する。そして、肯定判定が得られた場合には(S430:Yes)、S435に、否定判定が得られた場合には(S430:No)、リターンする。
S435では、サブ統合制御装置83は、演出図柄表示装置6の画面に試打モードが終了した旨を示す終了画面を表示させ、本処理を終了する。
(5)持球加減算処理について
次に、図10を用いて、払出発射制御装置84が実行する持球加減算処理を説明する。持球加減算処理は、封入式遊技機50が記憶する発射可能な遊技球数を管理する処理となる。持球加減算処理を開始すると、試打モード中であるか否かが判定され(S500)、肯定判定なら(S500:Yes)、リターンし、否定判定なら(S500:No)、減算センサ131が遊技球を検出したか、即ち、遊技球を発射したか否か判定する(S505)。肯定判定なら(S505:yes)、持球カウンタから1を減算する(S510)。なお、持球カウンタの値(持球数)は遊技球数表示装置106に表示される。
S510、又はS505の否定判定(S505:no)に続いては、主制御装置80から第1始動口スイッチ11a、第2始動口スイッチ12a、カウントスイッチ14a、又はA〜D普通入賞口スイッチ13a−1〜13d−1の遊技球検出に応じた持球カウンタへの加算指示信号を受信したか否か判定する(S515)。否定判定なら(S515:No)リターンし、肯定判定なら(S515:yes)、受信した指示信号に対応する賞球数を持球カウンタに加算し(S520)リターンする。
(6)特図当否判定処理について
次に、図11から図14を用いて、主制御装置80が実行する特図当否判定処理を説明する。本処理は、通常モード中、当該モードでの遊技が許可されている場合に周期的に実行され、通常モードの遊技が禁止されている場合や、試打モード中には実行されない。
図11に示す特図当否判定処理を開始すると、当りフラグの値に基づいて条件装置が非作動中か否か(当りフラグ=0)判定する(S800)。当りフラグは、特別図柄の当否判定で当選した場合(取得した大当り判定用乱数の値が予め定められた所定の値と一致していた場合)に1が設定される。
S800が否定判定なら(S800:no)特別遊技処理に進み、肯定判定なら(S800:yes)、特別図柄が非変動中か否か(S805)、確定図柄の非表示中であるか(S810)の判断が行われる。S805及びS810の判定は、第1特別図柄、第2特別図柄の両方について行われる。つまり、第1特別図柄と第2特別図柄とは同時に変動を行わないため、第1特別図柄、第2特別図柄のいずれかでも変動中あるいは確定表示中であれば、このS805とS810とは否定判定となる。
S805、S810、共に肯定判定なら(S805:yes、S810:yes)、第2保留記憶が有るか否か判定し(S815)否定判定なら(S815:no)、第1保留記憶が有るか否か判定する(S820)。S815が肯定判定なら(S815:yes)、最も古い第2保留記憶について第2特別図柄の当否判定を行い、S820が肯定判定なら(S820:yes)、最も古い第1保留記憶について第1特別図柄の当否判定を行う。最も古い保留記憶は抽選に応じて記憶領域から読み出されるが、保留記憶が残っている場合は記憶領域のシフト処理が行われ、読み出された最も古い保留記憶は記憶領域から消去される。
S815の肯定判定、又はS820の肯定判定に続いては、確変フラグが0か否か判定する(S825)。確変フラグは主制御装置80が記憶する値であり、値が0なら通常遊技状態であることを、値が1なら確変状態であることを主制御装置80が判断する。
S825が肯定判定、即ち、遊技状態が通常遊技状態であれば(S825:yes)、10個の当り値が設定されている通常確率判定用テーブルと読み出した大当り判定用乱数とを比較して抽選を行い(S830)、S825が否定判定、即ち、遊技状態が確変状態であれば(S825:no)、100個の当り値が設定されている高確率判定用テーブルと読み出した大当り判定用乱数とを比較して抽選を行う(S835)。これにより確変状態で大当りを取得する確率は、通常遊技状態よりも10倍高くなる。
S830、又はS835に続いては、上記当否判定結果が当りか否か判定し(S840)、肯定判定、即ち、当りに当選していれば(S840:yes)読み出した大当り図柄決定用乱数に基づいて当り図柄を決定し(S845)、決定した当り図柄の種類に基づいてモードバッファの設定を行う(S850)。
モードバッファは、特別遊技と、特別遊技終了後の遊技状態、即ち確変フラグ、時短フラグ、確変カウンタ、時短カウンタを設定するために、当否判定時の決定内容を一時記憶しておく記憶領域である。従ってモードバッファは、特別遊技終了処理時に参照されるために、記憶した内容(値)を特別遊技が終了するまで主制御装置80が記憶する(特別遊技終了処理時にクリア)。これは、特別遊技中(役物連続作動装置が作動している間)は、遊技状態を通常状態(状態フラグ、確変フラグ、時短フラグともに値が0)とする必要があるためであり、特別遊技後の遊技状態は、当否判定時に決定されるが、該遊技状態を制御する装置である確変フラグ、時短フラグの設定は、特別遊技終了後に行われる。
なお、時短フラグ、状態フラグも共に主制御装置80が記憶する値であり、時短フラグは、0なら時短状態ではなく、1なら時短状態であることを示す。
主制御装置80は、確変機能と時短機能の作動を上述した確変フラグと時短フラグとによって設定する。それぞれの機能はフラグ値によって作動と未作動とを主制御装置80が判定可能とするが、遊技状態としては、個々に設定される二つの機能の作動、未作動を組み合わせることによって4種類発生する。そして、各種類の状態を示す状態フラグが設けられている。
具体的には、確変フラグの値と時短フラグの値がともに「0」となる「通常確率時短無し」の状態(状態フラグ=0)、確変フラグの値が「0」で、時短フラグの値が「1」となる「通常確率時短有り」の状態(状態フラグ=1)、確変フラグの値が「1」で、時短フラグの値が「0」となる「確率変動時短無し」(潜伏状態)の状態(状態フラグ=2)、確変フラグの値が「1」で、時短フラグの値が「1」となる「確率変動時短有り」の状態(状態フラグ3)の4つである。
そして、S845で決定した当り図柄により、確変状態,時短状態の有無や、確変状態,時短状態の継続期間や、特別遊技のラウンド数(入球が容易な態様で開放される大入賞口14の回数)が決定される。
S850では、当り図柄に応じた値がモードバッファに設定され、特別遊技内容設定時及び特別遊技終了時にモードバッファの値が参照され、各値に対応した特別遊技や遊技状態が設定される。
S850に続いては、読み出した大当り判定用乱数、変動パターン決定用乱数の値、及び当該処理時の遊技状態(「通常確率時短無し」「通常確率時短有り」「確率変動時短無し」(潜伏状態)「確率変動時短有り」)に応じて変動パターン(変動時間)を決定する(S855)。
S840が否定判定、即ち、ハズレなら(S840:no)、ハズレ図柄を決定し(S865)、読み出したリーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数の値及び現在の遊技状態に応じて変動パターン(変動時間)を決定する(S870)。
このように第1実施形態では、第1特別図柄、第2特別図柄の両方の特別図柄の保留記憶が行われていた場合には、第1特別図柄の保留記憶のほうが先に記憶されていた場合でも、第2特別図柄の保留記憶を優先して抽選する構成(第2特別図柄の抽選結果を報知する変動を優先して行う構成)になっている。第2特別図柄の抽選(結果)を優先して行う構成及び第1特別図柄で大当りした場合に行われる大当り遊技状態よりも第2特別図柄で大当りした場合に行われる大当り遊技のほうが得られる賞球数が多く、大当り後に確変状態になる大当り遊技が発生する確率を高くした構成を組み合わせていることで、通常遊技状態では、あまり多くの賞球を得ることが出来ないが、一旦、確変状態になると多くの賞球が得られる構成、つまり、遊技店と遊技者の利益バランスが保ったまま、メリハリがある面白いパチンコ遊技機になっている。
S855,S870の処理に続いては、上述の抽選結果を示すデータ(特別遊技の種類、ハズレの種類(リーチの有り無し)、変動時間など)を含んだ変動開始コマンド(表示制御コマンド)をサブ統合制御装置83(演出図柄制御装置82)に出力すると共に、抽選したほうの特別図柄(第1又は第2)をその特別図柄に対応する特別図柄表示装置(第1又は第2)にて変動表示させ(S875)、特別遊技処理に移行する。
従って、サブ統合制御装置83(演出図柄制御装置82)は変動開始コマンド(表示制御コマンド)により、当り図柄(特別遊技の種類)、ハズレ図柄、リーチの有無、変動時間を把握することが出来る。また、変動開始コマンド(表示制御コマンド)を受信したサブ統合制御装置83は、特別図柄(第1、第2)の確定図柄(当り図柄、ハズレ図柄)、変動時間に応じて擬似図柄の種類、変動演出の種類を決定し、該決定結果を演出図柄制御装置82に送信し、演出図柄制御装置82はサブ統合制御装置83の決定に従って演出図柄表示装置6にて擬似図柄の変動表示を制御する。
なお、サブ統合制御装置83による擬似図柄の決定は、特別図柄(第1、第2)が大当りを示す図柄であった場合には、当り図柄(特別図柄)の種類に対応した擬似図柄(大当り図柄)を選択するようになっており、特別図柄(第1、第2)がハズレを示す図柄であった場合には、ランダムに擬似図柄を選択する構成になっている(なお、ランダムと言っても、リーチになる変動であった場合には同じ種類の擬似図柄を2個選択するようになっているほか、同じ種類の擬似図柄を3個選択しないように制御されている)。
また、サブ統合制御装置83による変動演出の決定は、主制御装置80から送られてきた変動時間と同じ演出時間である複数の演出表示(演出パターン)の中より1つの演出表示(演出パターン)を選択する構成になっている。なお、第1実施形態では、サブ統合制御装置83が擬似図柄及び変動演出を決定する構成になっているが、サブ統合制御装置83ではなく、同じサブ制御装置である演出図柄制御装置82にて擬似図柄及び変動演出を決定する構成にしてもよい。
図11のS805が否定判定、即ち、どちらかの特別図柄が変動中であれば(S805:no)、図12のS900に進み、図柄変動時間(S855又はS870の変動パターンに基づく)が経過したか否か判定する(S900)。否定判定なら(S900:no)特別遊技処理に進み、肯定判定なら(S900:yes)、図柄停止コマンド送信処理として図柄停止コマンドをサブ統合制御装置83に送信し、特別図柄表示装置(第1又は第2)を制御してS845又はS865で決定した確定図柄を確定表示させる(S905)。
図柄停止コマンドを受信したサブ統合制御装置83は、演出図柄制御装置82に予め決めておいた擬似図柄にて確定表示させる命令を出力し、演出図柄制御装置82は、その信号により演出図柄表示装置6を制御して擬似図柄を確定表示させる。これにより、特別図柄(第1又は第2)と擬似図柄の変動の開始と終了が同じタイミングになる(同期する)。
S905に続いては、確定表示させた特別図柄(第1又は第2)が大当り図柄の組合せか否か判定し(S910)、肯定判定なら(S910:yes)、確定図柄の表示設定処理(確定図柄で表示させておく時間の設定)を行い(S915)、当りフラグに1を設定し条件装置の作動を開始する(S920)。
S920に続いては、状態フラグが3か否か判定し(S925)、肯定判定、即ち、時短フラグと確変フラグとが共に立っていれば(S925:yes)、時短フラグ、確変フラグ共に0を設定し(S930、S935)、特別遊技処理に進む。S925が否定判定なら(S925:no)、状態フラグが2か否か判定し(S940)、肯定判定なら(S940:yes)、確変フラグに0を設定し(S945)特別遊技処理に進む。S940が否定判定なら(S940:no)、状態フラグが1か否か判定し(S950)、否定判定なら(S950)特別遊技処理に進み、肯定判定なら(S950:yes)、時短フラグに0を設定し(S955)特別遊技処理に進む。
S910が否定判定、即ち、確定表示した特別図柄(第1又は第2)が大当りを示すものでないなら(S910:no)、図13のS1000に進み、確定図柄の表示設定処理(確定図柄で表示させておく時間の設定)を行い(S1000)、時短フラグが1か否か判定し(S1005)、肯定判定なら(S1005:yes)時短カウンタのデクリメントを行い(S1010)、時短カウンタが0か否か判定する(S1015)。肯定判定なら(S1015:yes)、時短フラグに0を設定する(S1020)。
S1020、又はS1005、S1015の否定判定(S1005:no、S1015:no)に続いては、確変フラグが1か否か判定し(S1025)、肯定判定なら(S1025:yes)確変カウンタのデクリメントを行い(S1030)、確変カウンタが0か否か判定する(S1035)。肯定判定なら(S1035:yes)、確変フラグに0を設定し(S1040)、特別遊技処理に進む。
図11のS810が否定判定、即ち、第1特別図柄又は第2特別図柄が確定表示中なら(S810:no)、図14のS1100に進み、S915又1000で設定された確定図柄表示時間が終了したか否か判定し(S1100)、否定判定なら(S1100:no)特別遊技処理に進み、肯定判定なら(S1100:yes)、確定図柄表示終了処理(S1105)により特別図柄表示装置(第1又は第2)を制御して特別図柄の確定表示を終了させるとともに、サブ統合制御装置83を介して演出図柄制御装置82に指示信号を出力し、演出図柄表示装置6に表示した疑似図柄の確定表示を終了させ(S1105)、特別遊技処理に進む。
(7)特別遊技処理について
次に、主制御装置80が実行する特別遊技処理を、図15〜図17を用いて説明する。特別遊技処理を開始すると、特別遊技が開始されたか否かを判定し(S1150)、肯定判定であれば(S1150:yes)、当りフラグに基づき条件装置が作動中か否かを判定する(S1155)。否定判定なら(S1155:no)リターンし、肯定判定なら(S1155:yes)、作動口を設定済か否か判定する(S1160)。そして、肯定判定なら(S1160:Yes)S1165に、否定判定なら(S1160:No)S1170に移行する。
S1165では、いずれかの普通入賞口を作動口に設定すると共に、作動口に設定した普通入賞口を示すコマンドを、サブ統合制御装置83に送信する。
この時、普通入賞口が作動口に設定された状態を継続する最大時間(制限時間)が設定されるが、各普通入賞口を狙って遊技球を発射した際のベースは、該普通入賞口が作動口に設定された際の制限時間に基づき定められる。換言すれば、普通入賞口を作動口に設定した際の制限時間は、該普通入賞口を狙って遊技球を発射した際のベースに基づき定められる。
具体的には、作動口に設定された普通入賞口を狙って遊技球の連続的な発射を開始した後、予め定められた確率で制限時間内に該普通入賞口への入球が生じ、且つ、特典状態(特別遊技中、時短状態、又は、確変状態のうちのいずれかの状態)ではない場合において、該普通入賞口を狙って遊技球を発射した時に遊技者の持球が増加しないという条件を、設定条件とする。
なお、上記予め定められた確率は、任意に定めることができるが、一例として、ほぼ100%の確率(十分に高い確率)であっても良い。
各普通入賞口に対応する設定条件が充足されるように、特典状態ではない場合に該普通入賞口を狙って遊技球を発射した時のベース(換言すれば、この時の入賞率や、該普通入賞口の賞球数等)や、該普通入賞口に設定される制限時間の長さ等が定められる。
なお、作動口への入球が困難だと、特別図柄の当否判定で当りとなった後、特別遊技の開始までに時間を要すると共に、多くの遊技球を発射する必要がある。このため、各普通入賞口への入賞率を高くし、賞球数を少なくすることで、各普通入賞口を狙って遊技球を発射した際のベースを抑える(一例として、ベースを80%程度とする)のが好適である。
一例として、賞球数を1個とすれば、当該普通入賞口を狙って遊技球を発射したときに全ての遊技球が入球してもベースが100%以上となることはない。これにより、作動口となる普通入賞口に極めて容易に入球する遊技釘の配置又は角度とすることができる。
賞球数を1個、ベースを80%とする釘間隔又は角度の設計を行った場合、1/1.6×T=0.8から、T≒0.78秒であり、2〜3秒の数秒間も発射すれば、作動口としての普通入賞口に容易に入球させることができる。
賞球数を2個、ベースを80%として設計すれば、2/1.6×T=0.8から、T≒1.56秒であり、3〜4秒間発射すれば、作動口としての普通入賞口に容易に入球させることができる。
ベースが80%なので、当該普通入賞口を狙って遊技球を発射しても、それだけでは持ち球数が増加することはない。持ち球数が増加しなければ良いので、ベースは100%以下であれば良い。
また、主制御装置80は、複数の普通入賞口(無論、全ての普通入賞口でも良い)を同時に作動口に設定し、全ての作動口への入球を条件に特別遊技を開始させても良いし、いずれかの作動口への入球を条件に特別遊技を開始させても良い。また、このような場合には、最も入球が困難な作動口を狙い打ちした際のベースに基づき制限時間を定めても良い。
ここで、主制御装置80は、特別図柄の当否判定で当りとなる度に、作動口に設定される普通入賞口を切り換えても良い(無論、全ての普通入賞口が作動口として選択される可能性がある)。具体的には、例えば、予め定められた順番(例えば、A〜D普通入賞口13a〜13dという順番)で循環的に普通入賞口を選択し、選択した普通入賞口を作動口に設定しても良い。全ての普通入賞口を作動口としても良い。また、例えば、乱数を抽出すると共に、該乱数に基づきランダムに普通入賞口を選択し、選択した普通入賞口を作動口に設定しても良い。また、例えば、図示しない操作部を介して遊技者から受け付けた操作に応じて普通入賞口を選択し、選択した普通入賞口を作動口として設定しても良い。要は、盤面上の全ての普通入賞口に容易に入球させることができ、且つ、これらの普通入賞口に入球させるだけでは、遊技者の持ち球数が増加することのない構成であれば良い。
この他にも、例えば、当り図柄に応じて作動口となる普通入賞口を定めても良い。
また、この他にも、主制御装置80は、制限時間が経過するまでの期間において、1回又は複数回にわたって作動口となる普通入賞口を切り換えても良い。すなわち、該期間において、所定のタイミングが到来する度に、予め定められた順番で1又は複数の普通入賞口を選択し、その時点における作動口の設定を解除し、選択した普通入賞口を新たに作動口に設定しても良い。そして、作動口に設定されたいずれかの普通入賞口への入球を条件に特別遊技を開始しても良いし、作動口に設定された全ての普通入賞口への入球を条件に特別遊技を開始しても良い。
続くS1170では、作動口への入球が生じたか否かを判定し、S1170が肯定判定ならば(S1170:Yes)、特別遊技の開始を決定し(S1175)、S1190に移行する。なお、この時、主制御装置80は、作動口への入球が生じた旨を示すコマンドを、サブ統合制御装置83に送信する。
一方、S1170が否定判定ならば(S1170:No)、条件装置の作動後、予め定められた制限時間が経過したか否かを判定し(S1180)、否定判定の場合には(S1180:No)リターンすると共に、肯定判定の場合には(S1180:Yes)、条件装置を停止させ(S1185)、S1190に移行する。なお、この時、主制御装置80は、制限時間内に作動口への入球が生じなかった旨を示すコマンドを、サブ統合制御装置83に送信する。
S1190では、主制御装置80は、普通入賞口になされていた作動口の設定を解除し、リターンする。
S1150が肯定判定、即ち、役物連続作動装置が作動中(特別遊技中)なら(S1150:no)、図16のS1250に進み、大入賞口14が閉鎖中か否か判定し(S1250)、肯定判定なら(S1250:yes)、特別遊技の開始演出中(大当り開始演出中)であるか否か判定する(S1255)。そして、肯定判定なら(S1255:yes)、さらに、大当り遊技の開始演出の終了時間か否か判定し(S1260)、否定判定なら(S1260:no)リターンし、肯定判定なら(S1260:yes)、役物連続作動装置を作動させ、大入賞口14を開放する処理を行い(S1265)リターンする。
S1255が否定判定、即ち、特別遊技の開始演出中でなければ、開放間インターバル中か否か判定する(S1270)。なお、この開放間インターバルとは、大入賞口14が閉じてから開放されるまでの時間(換言すれば、各ラウンド間のインターバル)となる。S1270が肯定判定なら(S1270:yes)、開放間インターバルの終了時間か否か判定し(S1275)、否定判定なら(S1275:no)リターンし、肯定判定なら(S1275:yes)、大入賞口14を開放する処理を行い(S1280)リターンする。一方、S1270が否定判定、即ち、開放間インターバル中ではないなら(S1270:no)、リターンする。
S1250が否定判定、即ち、大入賞口14が開放中なら(S1250:no)、図17のS1300に進み、大入賞口14に規定数である10個の遊技球が入球したか否かを判定し(S1300)、否定判定なら(S1300:no)、大入賞口14の最大開放時間が経過したか否かを判定する(S1305)。
S1305が否定判定なら(S1305:no)リターンし、S1300又はS1305が肯定判定なら(S1300:no、S1305:no)、大入賞口14を閉鎖する処理を行なう(S1310)。
S1310に続いては、作動の終了したラウンドが最終ラウンドであったか否か判定し(S1315)、否定判定なら(S1315:no)、インターバル処理を行い(S1365)、リターンする。S1365のインターバル処理もS1265、S1280の大入賞口14を開放する処理と同様に、主制御装置80はサブ統合制御装置83に、サブ統合制御装置83は演出図柄制御装置82に信号を送信し、ランプ、LED、音声、演出図柄表示装置6によりインターバル用の演出を行う。
S1315が肯定判定、即ち、終了したラウンドが最終ラウンドなら(S1315:yes)、大当り遊技の終了演出処理(S1320)、条件装置,役物連続作動装置停止処理(S1325)を行い、特別遊技を終了する。そして、モードバッファを参照して(S1330)、状態フラグの設定(S1335)、確変フラグの設定(S1340)、確変カウンタの設定(S1345)、時短フラグの設定(S1350)、時短カウンタの設定(S1355)を行い、モードバッファをクリアして(S1360)リターンする。
以上が、第1実施形態の封入式遊技機50が通常モードで実施する特別遊技処理となる。特別遊技処理では、特別図柄の当否判定で当りとなった後、作動口に設定された普通入賞口への入球により、特別遊技を開始させる。そして、特別遊技の終了後は、当り図柄に応じて、確変状態や時短状態に移行すると共に、確変状態や時短状態の継続回数が決定される。
(8)特別遊技開始演出処理について
次に、サブ統合制御装置83が実行する特別遊技開始演出処理を、図18を用いて説明する。特別遊技開始演出処理は、周期的なタイミングで実行される。
S1400では、サブ統合制御装置83は、当りが発生したか否か(換言すれば、条件装置のみが作動した状態か否か)を判定する。具体的には、当りが発生したことを示す擬似図柄の組み合わせを確定表示した場合には、当りが発生したものとみなす。そして、肯定判定が得られた場合には(S1400:Yes)、S1405に移行し、否定判定が得られた場合には(S1400:No)、リターンする。
S1405では、サブ統合制御装置83は、主制御装置80からのコマンドに基づき、いずれかの普通入賞口が作動口として設定されたか否かを判定し、肯定判定の場合(S1405:Yes)には、S1410に移行し、否定判定の場合(S1405:No)にはリターンする。
S1410では、サブ統合制御装置83は、主制御装置80からのコマンドに基づき、作動口に設定された普通入賞口を特定し、該普通入賞口を遊技者に報知すると共に、作動口への入球により特別遊技が開始される旨を報知し、S1415に移行する。具体的には、例えば、遊技領域を示す画像を演出図柄表示装置6の画面に表示させ、該画像上で、作動口に設定された普通入賞口を表示しても良い。この他にも、スピーカ66を介して音声により作動口に設定された普通入賞口を報知しても良いし、作動口に設定された普通入賞口に設けられたランプやLEDを他の普通入賞口とは異なる色で点灯させたり、点滅させたりしても良い。
S1415では、サブ統合制御装置83は、作動口を狙って遊技球を発射する旨を指示し、S1420に移行する。具体的には、演出図柄表示装置6にてその旨を示すメッセージを表示しても良いし、スピーカ66等を介して、音声によりその旨を報知しても良い。
S1420では、サブ統合制御装置83は、主制御装置80からのコマンドに基づき、作動口への入球が生じたか否かを判定し、肯定判定が得られた場合には(S1420:Yes)S1425に、否定判定が得られた場合には(S1420:No)S1430に移行する。
S1425では、サブ統合制御装置83は、演出図柄表示装置6やスピーカ66等を介して、特別遊技が開始される旨を報知し、リターンする。
S1430では、サブ統合制御装置83は、主制御装置80からのコマンドに基づき、作動口の設定後、制限時間が経過したか否かを判定し、肯定判定が得られた場合には(S1430:Yes)S1435に移行し、否定判定が得られた場合には(S1430:No)リターンする。
S1435では、サブ統合制御装置83は、演出図柄表示装置6やスピーカ66等を介して特別遊技への移行失敗を報知し、リターンする。
[変形例]
次に、第1実施形態の変形例について説明する。変形例では、特別図柄の当否判定で当りとなった後、予め定められた遅延時間が経過した時点で、第1実施形態と同様にしていずれかの普通入賞口が作動口として設定される構成となっており、特別遊技処理と特別遊技開始演出処理の一部が第1実施形態と相違する。以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
(1)特別遊技処理について
変形例の特別遊技処理では、S1150〜S1190(図15)に替わってS1500〜S1555が行われる。以下では、図19を用いてこの相違点について説明する。
S1500,S1505は、S1150,S1155と同一であるため、説明を省略する。
S1505にて肯定判定が得られた場合に移行するS1510では、主制御装置80は、いずれかの普通入賞口が作動口として選択されたか否かを判定し、肯定判定が得られた場合には(S1510:Yes)S1520に、否定判定が得られた場合には(S1510:No)S1515に移行する。
S1515では、主制御装置80は、S1165と同様にして作動口となる1又は複数の普通入賞口を選択し、S1520に移行する。なお、この時、主制御装置80は、選択された普通入賞口を示すコマンドを、サブ統合制御装置83に送信する。
S1520では、主制御装置80は、条件装置の作動後、予め定められた遅延時間が経過したか否かを判定し、肯定判定が得られた場合には(S1520:Yes)S1525に、否定判定が得られた場合には(S1520:No)S1530に移行する。
S1525では、主制御装置80は、S1515にて選択された普通入賞口を作動口として設定し、S1535に移行する。なお、この時、主制御装置80は、選択された普通入賞口を示すコマンドを、サブ統合制御装置83に送信する。
一方、S1530では、主制御装置80は、サブ統合制御装置83に対し、作動口の設定までの遅延時間の経過前である旨を示すコマンドを送信し、S1535に移行する。
S1535〜S1555は、第1実施形態のS1170〜S1190と同一であるため、説明を省略する。
(2)特別遊技開始演出処理について
次に、変形例における特別遊技開始演出処理について、図20を用いて説明する。
S1600は、第1実施形態の特別遊技開始演出処理のS1400(図18)と同一であるため、説明を省略する。
S1605では、サブ統合制御装置83は、主制御装置80からのコマンドに基づき、いずれかの普通入賞口が作動口として選択されたか否かを判定し、肯定判定の場合(S1605:Yes)には、S1610に移行し、否定判定の場合(S1605:No)にはリターンする。
S1610では、サブ統合制御装置83は、主制御装置80からのコマンドに基づき、作動口として選択された普通入賞口を特定すると共に、S1410と同様にして該普通入賞口を遊技者に報知することで、作動口として設定される普通入賞口を予告すると共に、該作動口への入球により特別遊技が開始される旨を報知する。
続くS1615では、サブ統合制御装置83は、主制御装置80からのコマンドに基づき、遅延時間が経過したか否かを判定し、肯定判定の場合(S1615:Yes)には、S1620に移行すると共に、否定判定の場合(S1615:No)には、S1625に移行する。
S1620では、サブ統合制御装置83は、S1415と同様にして、遅延時間が経過した旨や、作動口を狙って遊技球を発射する旨を指示し、S1630に移行する。
一方、S1625では、サブ統合制御装置83は、普通入賞口が作動口として設定される前である旨を報知し、S1630に移行する。具体的には、演出図柄表示装置6にてその旨を示すメッセージを表示しても良いし、スピーカ66等を介して、音声によりその旨を報知しても良い。
S1630〜S1645は、図18のS1420〜S1435と同一であるため、説明を省略する。
変形例では、作動口を予告した後(S1610)、普通入賞口が作動口となる前に一定の遅延時間が設けられている(S1615)。これにより、条件装置が作動したとき(当り図柄が確定したとき)に盤面上の遊技球が偶然に作動口となる普通入賞口に入球し、特別遊技が開始される(役物連続作動装置が作動する)課題を解決することができる。
作動口となる普通入賞口へは極めて容易に入球するよう設計されているので、遊技者が意図しなくとも流下する遊技球が作動口に入球し特別遊技が開始される可能性は高い。これでは、条件装置が作動したときに持ち球が無い遊技状態、条件装置が作動したので一度休憩したい心理状態のとき、遊技者に不測の不利益を与えることになる。
変形例では、この課題を解決することができ、遊技者は制限時間内に(S1545)作動口となる普通入賞口に入球させれば良い。
制限時間は、10分以内が好適と考えられる。長い時間とすると、当該遊技機が稼働しない時間が増え、ホール側に不利益となるからである。制限時間又は制限時間の残り時間は、遊技者に報知される構成であり、また、制限時間が近づいたときには音又は光で警告する構成を付加しても良い。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態のパチンコ機について説明する。第2実施形態のパチンコ機は、第1実施形態と同様にして通常モードと試打モードを有している。そして、遊技機の前面に設けられた試打モードスイッチの操作に応じて第1実施形態と同様の試打モードに移行すると共に、通常モードでは、第1実施形態と同様にして遊技が行われる。しかしながら、第1実施形態のパチンコ機は封入式として構成されていたが、第2実施形態のパチンコ機は封入式ではない点において相違する。
このため、第1実施形態では、遊技盤の左上に設けられた発射装置87から遊技球を発射する構成となっていたが、第2実施形態では、遊技球の発射装置は前枠の下方右側(発射操作ユニットの奥側)に配されている。なお、第1実施形態では、発射操作ユニットは、摺動操作部107aにより遊技球の発射強度を調整する構成となっているが、第2実施形態では、発射ハンドルにより遊技球の発射強度を調整する構成としても良い。
また、第2実施形態のパチンコ機は、試打モード中であっても試打に用いる遊技球を上皿に供給する必要があり、試打モードの終了時には、試打モードにて発射された遊技球数分の遊技球が払い出される。
このような相違点を有しているため、第2実施形態においては、第1実施形態における電源投入時処理,試打モード開始処理,試打モード処理が行われるが、これらの処理が一部相違している。また、第2実施形態では、第1実施形態における持球加減算処理は行われないが、発射数カウント処理が行われる。一方、第2実施形態では、第1実施形態と同様の試打画面表示処理,特図当否判定処理,特別遊技処理,特別遊技開始演出処理等が実行される。
以下では、第2実施形態で行われる処理について、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
(1)電源投入時処理について
まず、電源投入時処理について、第1実施形態との相違点を説明する(図5参照)。
S190の試打モード設定処理では、主制御装置は、これ以降、試打モードが終了するまで、全ての入賞口への入賞を無効とする。
(2)試打モード開始処理について
次に、試打モード開始処理について、第1実施形態との相違点を説明する(図6参照)。
S230の試打モード設定処理では、電源投入時処理のS190と同様の処理が行われる。
(3)試打モード処理について
次に、試打モード処理について、図21のフローチャートを用いて説明する。第2実施形態の試打モード処理におけるS300〜S350の処理は、第1実施形態の試打モード処理(図7)におけるS300〜S350の処理と同様であるため、説明を省略する。
第2実施形態の試打モード処理のS355では、第1実施形態と同様にして通常モードの遊技を許可するが、遊技球の発射を許可する方法が異なっている。具体的には、主制御装置は、遊技球の発射装置に対し遊技球の発射を許可する許可信号を直接送信しても良い。発射装置は、許可信号に応じて遊技球の発射を行うようにし、許可信号が入力されていない場合には、遊技球の発射を行わないようにしても良い。
第2実施形態の試打モード処理では、S355の実行後、又は、S350にて否定判定が得られた場合に、S360に移行する。
S360では、主制御装置は、払出制御装置に対し試打モード中に発射された遊技球数を示す信号を送信し、該遊技球数分の遊技球(特許請求の範囲における遊技価値の一例に相当)の払い出しを行わせ、本処理を終了する。なお、試打モード中に発射された遊技球数は、後述する発射数カウント処理によりカウントされる。なお、遊技球そのものを払い出すのではなく、例えば、発射された遊技球数分の遊技価値(例えば、該遊技球数分の遊技球(例えば、持球や貯玉)を有する旨のデータや、該遊技球数分の金銭やポイント等を示すデータ等)を、台間ユニットに挿入されているカードに保存しても良い。
また、試打モード中、通常モードと同様に入賞口への入賞に応じて賞球を払い出すようにし、試打モード終了時には、試打モード中に発射された遊技球数から試打モード中に付与された賞球数を減じた数の遊技球に相当する遊技価値を付与するようにしても良い。
(4)発射数カウント処理について
次に、試打モード中に発射された遊技球数をカウントする発射数カウント処理について、図22を用いて説明する。本処理は、主制御装置により周期的に実行される。
S1700では、主制御装置は、試打モード中であるか否かを判定し、肯定判定が得られた場合には(S1700:Yes)S1705に移行し、否定判定が得られた場合には(S1700:No)、本処理をリターンする。
S1705では、主制御装置は、試打モード中に発射された遊技球数をカウントし、本処理をリターンする。
具体的には、例えば、各入賞口への入球を検出するセンサや、アウト口への入球を検出するセンサからの信号に基づき、これらの信号が検出した遊技球数をカウントし、該遊技球数を、試打モード中に発射された遊技球数としても良い。
また、例えば、発射装置に設けられたセンサからの信号に基づき、発射された遊技球数をカウントすると共に、ファール球(発射装置から発射されたが、遊技球に到達しなかった遊技球)を排出する経路に設けられたセンサからの信号に基づき、ファール球の数をカウントしても良い。そして、発射された遊技球数からファール球の数を減じた値を、試打モード中に発射された遊技球数としても良い。
[効果]
第1,第2実施形態によれば、特別な知識やスキルを有していない者でも、試打モードに移行することで、各普通入賞口への入球頻度が妥当であるか否かを容易にチェックできる。このため、認可された時の状態から普通入賞口への入球頻度を変更するような釘調整がなされたことが露見し易くなり、釘調整が行われるのを抑制できる。
また、作動口として設定された普通入賞口に入球しないと特別遊技に移行しなくなる。このため、普通入賞口への入球頻度が著しく低下するような釘調整を行うことはできなくなり、釘調整が行われるのを抑制できる。
[他の実施形態]
(1)第1,第2実施形態では、試打モードスイッチは遊技機の前面に設けられており、遊技者から操作可能となっている。しかしながら、これに限らず、例えば、主制御装置80に隣接して試打モードスイッチを配し、遊技機の背面側からしか試打モードスイッチを操作できない(パチンコ店の従業員しか試打モードスイッチを操作できない)ようにしても良い。
(2)第1,第2実施形態の試打モードにおける普通入賞口の試打(入球に関する計測)では、狙い打ち期間内に狙い打ち対象となっている普通入賞口に1回の入球が生じると、該普通入賞口の試打結果が合格となる。
しかしながら、これに限らず、上記試打において、例えば、狙い打ち期間中、狙い打ち対象となっている普通入賞口に予め定められたN回(N≧2)の入球が生じた場合に、該普通入賞口の試打結果を合格としても良い。無論、このような場合には、各普通入賞口を狙い打った時のベースや入賞率の設計値等に基づき、Nの値を定めるのが好適である。
また、上記試打において、狙い打ち期間中における狙い打ち対象となっている普通入賞口の入賞率を算出し、入賞率が閾値に達したか否かにより試打結果を合格とするか否かを定めても良い。
また、この時、例えば、
入賞率>第1閾値の場合は、良好
第1閾値≧入賞率≧第2閾値(第1閾値>第2閾値)の場合は、やや良好
第3閾値>入賞率(第2閾値>第3閾値)の場合は、不良
といった具合に、漠然とした表現により段階的に試打結果を報知しても良い。
また、例えば、どの普通入賞口の入球が容易で、どの普通入賞口の入球が容易ではないかを試打結果として報知しても良い。
また、例えば、各普通入賞口について算出された入賞率を試打結果として報知しても良いし、算出された入賞率を設計上の入賞率と共に報知したり、算出された入賞率と設計上の入賞率との比較結果を試打結果として報知しても良い。
また、第1,第2実施形態では、試打モードでは、普通入賞口のみが狙い打ち対象となっていたが、大入賞口14や第1,第2始動口11,12を狙い打ち対象として試打を行っても良い。また、例えば、図示しない操作部を介して試打を行う者から指定された入賞口を狙い打ち対象として試打を行うようにしても良い。
(3)第1実施形態の試打モード中は、持球カウンタが示す持球数に関わりなく遊技球が発射される。しかしながら、これに限らず、試打モード中、通常モードと同様にして持球カウンタを更新すると共に、試打モード中に発射された遊技球数をカウントし、試打モードが終了した際に、持球カウンタに試打モード中に発射された遊技球数を加算するようにしても良い。
さらに、第1実施形態において、試打モード中、通常モードと同様に入賞口への入賞に応じて賞球を払い出す(持球カウンタに加算する)ようにし、試打モードが終了した際に、試打モード中に減少した遊技球数を持球カウンタに加算する(若しくは、試打モード中に増加した遊技球数を持球カウンタから減算する)ようにしても良い。
また、第1実施形態では、当り図柄が確定して条件装置が作動した後に普通入賞口を、特別遊技を実行させるための作動口(役物連続作動装置を作動させる作動口)とする構成としたが、電動役物内に権利発生口となる特定領域を有し、遊技球が当該特定領域を通過した後に(条件装置が作動)、普通入賞口を特別遊技を実行させるための作動口とする構成としても良い。この場合も、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、第2実施形態のパチンコ機では、試打モードが終了した時点で、試打モード中に発射された遊技球が払い出される構成となっている。しかしながら、これに限らず、試打モード中、遊技球が入賞口またはアウト口に入球する度に、入球数分の遊技球を払い出しても良いし、入賞口またはアウト口に入球した遊技球をそのまま上皿又は下皿に誘導することで、試打に使用した遊技球を払い出しても良い。
[特許請求の範囲との対応]
上記実施形態の説明で用いた用語と、特許請求の範囲の記載に用いた用語との対応を示す。
第1,第2実施形態に関して、試打モードがテストモードの一例に、狙い打ち期間が計測期間の一例に相当する。
第1実施形態に関して、封入式遊技機50が弾球遊技機の一例に相当する。
また、電源投入時処理のS190が発射手段の一例に、S195が移行手段の一例に相当する。
また、試打モード開始処理のS230が発射手段の一例に、S235が移行手段の一例に相当する。
また、試打モード処理のS310,S315が割当手段の一例に、S325が計測手段の一例に、S355が許可手段の一例に相当する。
また、試打画面表示処理のS415,S425が報知手段の一例に相当する。
また、持球加減算処理のS505〜S520が更新手段の一例に相当する。
また、第2実施形態に関して、パチンコ機が弾球遊技機の一例に相当する。
また、電源投入時処理のS190が発射手段の一例に、S195が移行手段の一例に相当する。
また、試打モード開始処理のS230が発射手段の一例に、S235が移行手段の一例に相当する。
また、試打モード処理のS310,S315が割当手段の一例に、S325が計測手段の一例に、S355が許可手段の一例に、S360が付与手段の一例に相当する。
また、試打画面表示処理のS415,S425が報知手段の一例に相当する。