JP2017037244A - 定着部材、定着装置および画像形成装置 - Google Patents

定着部材、定着装置および画像形成装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2017037244A
JP2017037244A JP2015159378A JP2015159378A JP2017037244A JP 2017037244 A JP2017037244 A JP 2017037244A JP 2015159378 A JP2015159378 A JP 2015159378A JP 2015159378 A JP2015159378 A JP 2015159378A JP 2017037244 A JP2017037244 A JP 2017037244A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
roll
fixing
layer
elastic layer
elastic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2015159378A
Other languages
English (en)
Inventor
孝紀 須賀
Takanori Suga
孝紀 須賀
木村 潤
Jun Kimura
潤 木村
亮介 藤井
Ryosuke Fujii
亮介 藤井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Xerox Co Ltd filed Critical Fuji Xerox Co Ltd
Priority to JP2015159378A priority Critical patent/JP2017037244A/ja
Publication of JP2017037244A publication Critical patent/JP2017037244A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

【課題】弾性層の弾性率が接着層の弾性率と比較して同じまたは高い場合に比べて、弾性層と接着層との間の剥がれが抑制される定着部材が提供される。
【解決手段】円筒状の基材611と、基材611の周囲に形成された弾性層612と、弾性層612の表面を被覆する表面層613と、弾性層612と表面層613との間に形成された接着層とを有し、弾性層612の弾性率が接着層の弾性率と比較して低い定着ロール61である。
【選択図】図1

Description

本発明は、定着部材、定着装置および画像形成装置に関する。
電子写真方式を用いた複写機、プリンタ等の画像形成装置では、記録紙等の記録媒体に形成された未定着トナー像を定着装置によって定着して画像形成を行っている。このような画像形成装置に用いられる定着装置としては、定着部材としての加熱用の定着ロールおよび加圧部材としての加圧ロールを備えるロール・ロール方式がある。また、画像形成装置の高速化等に対応させるために、定着部材としての表面が弾性変形する回転可能な定着ロールと、この定着ロールに接触して走行可能なベルト部材と、このベルト部材の内側に非回転状態で配置された加圧部材としての圧力パッドとを備え、圧力パッドによって定着ロールとの接触面が形成されるようにベルト部材を定着ロールに圧接させて構成し、ベルト部材と定着ロールとの間に記録媒体を通過させるようにニップ部を設けるベルトニップ方式と呼ばれる技術がある。
例えば、特許文献1には、表面が弾性変形する回転可能な加熱定着ロールと、前記加熱定着ロールに接触したまま走行可能なエンドレスベルトと、前記エンドレスベルトの内側に非回転状態で配置されて、前記エンドレスベルトを前記加熱定着ロールに圧接させ、前記エンドレスベルトと前記加熱定着ロールとの間にシートが通過させられるベルトニップを設けると共に、前記加熱定着ロールの表面を弾性変形させる圧力パッドとを具備する画像定着装置が記載されている。
定着装置に使用する定着ロールには、特にカラー用途において弾性ロールが使用される。弾性ロールには弾性体として特に耐熱性ゴムであるシリコーンゴムが多く用いられる。また、近年では、トナーにワックスを添加することによって、従来のオイルを用いるトナー剥離アシストを用いなくてもよい、いわゆるオイルレストナーに対する適合性を高めるために、弾性ロールの表面にフッ素樹脂のチューブを被覆し、これをトナー離型層とする構造のものが多く提案されている。
弾性ロールの表面にフッ素樹脂のチューブを被覆する方法としては、例えば、金型を用いて、予めチューブ状に成形したフッ素樹脂とゴム材料を含んでなる弾性層とを1つの金型内で成形および接着させて一体成型する方法、または弾性層を形成してから加硫することで弾性層体を形成した後、弾性層体にフッ素樹脂のチューブを被覆する方法等がある。フッ素樹脂を被覆する他の方法としては、弾性層表面にフッ素樹脂分散液をスプレーコートやディップコート等でコーティングし、その後に焼成して被覆する方法等がある。耐磨耗性等の観点から、チューブを被覆する方法を使用する場合が多い。
例えば、特許文献2には、記録材に担持したトナー像を定着する定着装置に使用する定着ロールであって、円筒状芯金の周囲に形成した弾性層と、前記弾性層表面を被覆するフッ素樹脂層と、を有し、前記弾性層は、JIS K6257における230℃×168時間の加熱老化試験でのJIS K6253におけるタイプAデュロメータ硬さの変化が加熱老化試験前の硬さ−5以上、加熱老化試験前の硬さ+5以下、JIS K6262における180℃×22時間の圧縮永久ひずみ試験でのひずみ率が10%以内、かつ、JIS K6255における反発弾性率が70%以上である定着ロールが記載され、チューブ状に成形したフッ素樹脂とゴム材料を含んでなる弾性層とを一体成型して弾性層表面を被覆するフッ素樹脂層を形成する方法が記載されている。
特許文献3には、基材と、接着層と、該接着層に接して設けられている表層とを有している定着部材であって、該表層がエーテル結合を有するフッ素ゴムとポリエーテル構造を有するポリシロキサンとを含み、該接着層がポリオルガノシロキサン樹脂を含有し、かつ該接着層における、酸素に結合しているケイ素に対する酸素に結合している炭素の存在比が、1.0以上20.0以下である定着部材が記載され、弾性層表面にフッ素樹脂分散液をコーティングし、その後に焼成して被覆する方法が記載されている。
特開平08−262903号公報 特開2007−233084号公報 特開2008−176293号公報
本発明の目的は、弾性層の弾性率が接着層の弾性率と比較して同じまたは高い場合に比べて、弾性層と接着層との間の剥がれが抑制される定着部材、その定着部材を用いた定着装置、および画像形成装置を提供することにある。
請求項1に係る発明は、円筒状の基材と、前記基材の周囲に形成された弾性層と、前記弾性層の表面を被覆する表面層と、前記弾性層と前記表面層との間に形成された接着層とを有し、前記弾性層の弾性率が前記接着層の弾性率と比較して低い定着部材である。
請求項2に係る発明は、前記接着層の厚みが10μm以上である、請求項1に記載の定着部材である。
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載の定着部材を備える定着装置である。
請求項4に係る発明は、像保持体と、前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、前記像保持体の表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、前記像保持体の表面に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、前記現像されたトナー像を被転写体に転写する転写手段と、前記被転写体に転写されたトナー像を定着する、請求項3に記載の定着装置と、を備える画像形成装置である。
請求項1に係る発明によると、弾性層の弾性率が接着層の弾性率と比較して同じまたは高い場合に比べて、弾性層と接着層との間の剥がれが抑制される定着部材が提供される。
請求項2に係る発明によると、接着層の厚みが10μm未満である場合と比較して、弾性層と接着層との間の剥がれが抑制される定着部材が提供される。
請求項3に係る発明によると、定着部材の弾性層の弾性率が接着層の弾性率と比較して同じまたは高い場合に比べて、弾性層と接着層との間の剥がれが抑制される定着部材を有する定着装置が提供される。
請求項4に係る発明によると、定着部材の弾性層の弾性率が接着層の弾性率と比較して同じまたは高い場合に比べて、弾性層と接着層との間の剥がれが抑制される定着部材を有する定着装置を備える画像形成装置が提供される。
本発明の実施形態に係る定着装置の一例を示す概略構成図である。 本発明の実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
<定着装置および定着部材>
本実施形態に係る定着装置の構成の一例について説明する。本実施形態に係る定着装置は、例えば、回転可能な定着部材と、定着部材に接触しながら移動可能なベルト部材と、ベルト部材を介して対向するように配置され、ベルト部材を定着部材に圧接させて定着部材とベルト部材との間に記録媒体が通過するニップ部を形成するニップ部形成部材と、を備えるものである。定着装置は、記録媒体の通過方向の上流側からニップ部形成部材とベルト部材との間にわたって配置される摺動シート部材を有していてもよい。
図1は、本実施形態に係る定着装置60の構成の一例の概略を示す側断面図である。図1に示す定着装置60は、定着部材としての定着ロール61と、定着ロール61に接触しながら移動可能なベルト部材の一例としての加圧ベルト62と、加圧ベルト62を介して対向するように配置され、加圧ベルト62を定着ロール61に圧接させて定着ロール61と加圧ベルト62との間に記録媒体が通過するニップ部を形成するニップ部形成部材の一例としての加圧パッド64と、記録媒体の通過方向の上流側から加圧パッド64と加圧ベルト62との間にわたって配置される摺動シート部材68と、により主要部が構成されている。
図1に示す定着装置60は、ベルトを張架するための支持ロールや加圧ロールを有さず、後述するベルト走行ガイド63に沿ってガイドされ、定着ロール61からの駆動力を受けることで加圧ベルト62を従動させている。このようなベルト型の定着装置は、支持ロールや加圧ロールを有するタイプと区別するために、フリーベルト型定着装置と呼ばれる場合がある。
定着ロール61は、金属製等の基材(円筒状基材)611の周囲に弾性層612、および表面層613を積層して構成された円筒状ロールであり、回転自在に支持されている。定着ロール61の詳細については後述する。
定着ロール61の内部には、発熱源として、例えば、ヒータランプ66等の加熱手段が設けられている。また、定着ロール61の周辺には、定着後の記録媒体を剥離するための剥離部材70、ロール表面の温度を制御するための温度センサ69が設けられている。剥離部材70は、定着ロール61の回転方向Cと対向する向き(カウンタ方向)に、定着ロール61と近接する状態で配置される剥離バッフル71と、剥離バッフル71を保持するホルダ72とで構成されている。
加圧ベルト62は、加圧ベルト62の内部に配置された加圧パッド64とベルト走行ガイド63とによって回転自在に支持されている。加圧ベルト62は、出力画像に継ぎ目に起因する欠陥が生じないように、原形が円筒形状に形成された継ぎ目がない無端ベルトであることが好ましいが、無端ベルトに限定されるものではなく、例えばベルトに継ぎ目(シーム)があるもの等であってもよい。
加圧パッド64は、加圧ベルト62の内側において金属製等のホルダ65に支持されている。そして、加圧パッド64は加圧ベルト62を介して定着ロール61と対向するように配置され、加圧ベルト62を定着ロール61に圧接させて定着ロール61と加圧ベルト62との間に記録媒体56が通過するニップ部Nを形成している。加圧パッド64は、記録媒体56の通過方向に沿って、異なる硬度の2つの加圧部としてプレニップ部材64aと、剥離ニップ部材64bとを有する。記録媒体突入側(上流側)のプレニップ部材64aをゴム状弾性部材等から構成させ、記録媒体排出側(下流側)の剥離ニップ部材64bを金属等の硬い圧力付与部材から構成させ、ニップ部Nの圧力を記録媒体突入側より記録媒体排出側が高くなるようにしている。この構成により、例えば、記録媒体56の剥離性が向上される。プレニップ部材64a、剥離ニップ部材64bは、ホルダ65により支持され、テフロン(登録商標)等を含むガラス繊維シートやフッ素樹脂シート等の低摩擦層を有する摺動シート部材68を介して加圧ベルト62の内周面から定着ロール61を押圧している。
ホルダ65には、定着装置60の長手方向にわたって、潤滑剤塗布部材67が配置されている。潤滑剤塗布部材67は、加圧ベルト62の内周面に対して接触するように配置され、アミノ変性シリコーンオイル等の潤滑剤が供給される。これにより、加圧ベルト62と摺動シート部材68との摺動部に潤滑剤が供給され、摺動シート部材68を介した加圧ベルト62と加圧パッド64との間の摺動抵抗が低減される。
図1に示す定着装置60では、定着ロール61が図示しない駆動モータに連結されて矢印C方向に回転し、この回転に従動して加圧ベルト62も定着ロール61と同じ方向に回転する。後述する図2に示した画像形成装置の二次転写部20においてトナー像が静電転写された記録媒体56は、不図示の搬送手段によって、図1の定着ロール61と加圧ベルト62とが圧接して形成されたニップ部Nに搬送される。そして、記録媒体56がニップ部Nを通過した際に、記録媒体56上のトナー像Pはニップ部Nに作用する圧力、定着ロール61から供給される熱等が記録媒体56に加えられ、未定着トナー像Pが記録媒体56上に定着される。定着後の記録媒体56は、ニップ部Nを通過後、剥離部材70により定着ロール61から剥離され、定着装置60から排出される。このようにして定着処理が行われる。
摺動シート部材68は、記録媒体56の通過方向の上流側から加圧パッド64と加圧ベルト62との間にわたって配置される。摺動シート部材68を介した加圧ベルト62と加圧パッド64との間の摺動抵抗を小さくする等の点で、摺動シート部材68は、加圧パッド64と加圧ベルト62との間の全域にわたって配置されることが好ましい。ニップ部Nより上流側の摺動シート部材68の少なくとも一部は、不図示の固定部材等によってホルダ65に固定されている。図1の例では、ホルダ65がニップ部Nより上流側の摺動シート部材68の被固定部となっているが、特にホルダ65に限定されるものではなく、ニップ部Nより上流側に配置され、摺動シート部材68が固定可能な面積を有する部材であればよい。また、記録媒体56の通過方向の下流側の摺動シート部材68は、摺動シート部材68の歪みを抑制する等の点で、被固定部等に固定されず自由端(フリー)の状態に設定されることが好ましい。このような摺動シート部材68により、加圧ベルト62の回転に伴って発生する摺動シート部材68を介した加圧ベルト62と加圧パッド64との間の摺動抵抗等が低減される。
加圧パッド64を構成するプレニップ部材64aには、例えば、シリコーンゴムやフッ素ゴム等の弾性体や板バネ等が用いられる。また、加圧パッド64を構成する剥離ニップ部材64bは、例えば、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリイミド、ポリエステル、ポリアミド等の耐熱性を有する樹脂、または鉄、アルミニウム、SUS等の金属等で形成されている。
摺動シート部材68は、耐摩耗性、潤滑剤保持性等の点から、例えばフッ素系樹脂により形成されることが好ましい。ここで、フッ素系樹脂により形成された摺動シート部材とは、フッ素系樹脂シート以外にも、ガラスクロス等の基材にフッ素系樹脂をコーティングしたものや、ガラスクロス等の基材上にフッ素系樹脂シートを積層したもの等も含まれる。フッ素系樹脂には、例えば、4フッ化エチレン樹脂(PTFE)、3フッ化塩化エチレン樹脂、6フッ化プロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、2フッ化2塩化エチレン樹脂、およびそれらの共重合体等が挙げられ、これらのうち、例えば、耐摩耗性の観点から4フッ化エチレン樹脂を用いることが好ましい。
潤滑剤としては、例えば、フッ素系潤滑油を含んだシリコーンオイル、信越化学工業製X−22−9446オイル 動粘度240〜330mm/s(JIS Z 8803)等が挙げられる。
本実施形態に係る定着装置60における定着部材である定着ロール61は、円筒状の基材611と、基材611の周囲に形成された弾性層612と、弾性層612の表面を被覆する表面層613と、弾性層612と表面層613との間に形成された接着層とを有し、弾性層612の弾性率が接着層の弾性率と比較して低い。
画像形成装置内で使用されることを想定した熱老化試験により、一体成型方式の定着ロールでは弾性層の凝集破壊、チューブを後工程で被覆する方式では、弾性層と接着剤との間での剥がれが発生する場合があった。本実施形態に係る定着部材においては、定着ロールを作製する方法として、主に、弾性層を成形、加硫後に表面層を後工程で被覆する方法が用いられる。しかし、従来技術の項で記述したように弾性層と接着剤間での剥がれが生じることから、以下のような方法を発明した。本発明者らは、弾性層の弾性率を接着層の弾性率と比較して低くすることにより、弾性層の弾性率が接着層の弾性率と比較して同じまたは高い場合に比べて、弾性層と接着層との間の剥がれが抑制されることを見出した。弾性層と接着層との間の剥がれが抑制され、耐熱性が向上した定着ロールを用いることにより、画質色点の発生が抑制され、良好な画質が安定して得られる。なお、本発明における画質色点は、定着ロールの弾性層と接着層との間での剥がれが生じ、剥がれた部分の押圧力が変化することでニップ部Nの押圧力が不均一となり、記録媒体上のトナー像の一部または全部が定着不良となることにより発生する現象であると推定される。
弾性層の弾性率を接着層の弾性率よりも低く抑えることによって、以下のことが考えられる。弾性層の弾性率が接着層の弾性率よりも低くなることで、せん断応力が低減され、構成層内で生じる応力が弾性層と接着層との間に集中することが抑制される。弾性層の弾性率が接着層の弾性率と同じ、または接着層の弾性率よりも高くなった場合、せん断応力が弾性層と接着層との間の界面に集中することによって、弾性層の凝集破壊とはならず、弾性層と接着層との間での剥がれが引き起こされ、接着耐久性が低下すると考えられる。これを回避するために、弾性層の弾性率を接着層の弾性率よりも低くすることによって、弾性層と接着層との間の界面にかかる応力集中が抑制され、弾性層側に応力が集中することによって、所望の接着耐久性が得られると考えられる。
弾性層の弾性率は、接着層の弾性率よりも低ければよいが、例えば、0.1MPa以上5.0MPa以下の範囲であることが好ましく、0.2MPa以上2.0MPa以下の範囲であることがより好ましい。弾性層の弾性率が0.1MPa未満であると、未硬化が発生する場合があり、5.0MPaを超えると、高硬度となり、画像形成装置内で十分なニップが確保できない場合がある。
接着層の弾性率は、弾性層の弾性率よりも高ければよいが、例えば、0.2MPa以上6.0MPa以下の範囲であることが好ましく、0.3MPa以上2.5MPa以下の範囲であることがより好ましい。接着層の弾性率が0.2MPa未満であると、未硬化が発生する場合があり、6.0MPaを超えると、高硬度となり、画像形成装置内で十分なニップが確保できない場合がある。
接着層の厚みは、10μm以上であることが好ましく、10μm以上50μm以下の範囲であることがより好ましく、15μm以上30μm以下の範囲であることがさらに好ましい。接着層の厚みが10μm未満であると、接着効果が十分に発揮されず、弾性層と接着層との間の剥がれが生じやすくなる場合があり、50μmを超えると、接着層自体が破壊される場合がある。
接着層を構成する材料としては、例えば、シリコーン系接着剤等が挙げられる。接着層を構成する材料として、例えば、ビニル基を有するジメチルポリオルガノシロキサン等のジアルキルポリオルガノシロキサンと、ケイ素原子結合水素原子を有する分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジエンシロキサン共重合体等のシリコーン樹脂とを架橋させたシリコーン系接着剤を用いることが好ましい。
接着層が、シランカップリング剤を含むことが好ましい。シランカップリング剤としては、グリシドキシ基含有シランカップリング剤等が挙げられる。グリシドキシ基含有シランカップリング剤としては、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等のグリシドキシアルキルトリアルコキシシラン、グリシドキシアルキルジアルコキシシラン、グリシドキシアルキルアルコキシシラン等が挙げられ、反応性の点から、グリシドキシアルキルトリアルコキシシランが好ましい。グリシドキシアルキルトリアルコキシシランのアルキル基は、炭素数1以上5以下が好ましく、アルコキシ基は、炭素数1以上3以下が好ましい。中でもアルキル基の炭素数が3であり、アルコキシ基の炭素数が1であるグリシドキシプロピルトリメトキシシランがより好ましい。
接着層中のシランカップリング剤の含有量は、接着層全体の質量に対して5質量%以上30質量%以下の範囲であることが好ましく、5質量%以上20質量%以下の範囲であることがより好ましい。接着層中のシラン系カップリング剤の含有量が5質量%未満であると、接着性が不充分になる場合があり、30質量%を超えると、作製のときにシランカップリング剤がゲル化する場合がある。
定着ロール61の基材611は、例えば、鉄、アルミニウム(例えば、A−5052材)、SUS、銅等の熱伝導率の高い金属または合金、セラミックス、FRM(繊維強化メタル)等で形成される。
基材611の外径および肉厚は、例えば、通常、外径10mm以上50mm以下であり、例えば、アルミニウム製の場合は、厚さ0.5mm以上4mm以下、SUS(ステンレス鋼)製または鉄製の場合は、厚さ0.1mm以上2mm以下程度である。
定着ロール61の弾性層612の材質は、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の弾性体が挙げられる。シリコーンゴムとしては、例えば、RTVシリコーンゴム、HTVシリコーンゴムなどが挙げられ、具体的には、ポリジメチルシリコーンゴム(MQ)、メチルビニルシリコーンゴム(VMQ)、メチルフェニルシリコーンゴム(PMQ)、フルオロシリコーンゴム(FVMQ)等が挙げられる。弾性層612を構成する材料として、例えば、ビニル基を有するジメチルポリオルガノシロキサン等のジアルキルポリオルガノシロキサンと、ケイ素原子結合水素原子を有する分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジエンシロキサン共重合体等のシリコーン樹脂とを架橋させたシリコーンゴムを用いることが好ましい。弾性層612の製法としては、一体成型であってもフローコートであってもよく、所望の形状が得られる方法であればよい。
弾性層612の厚みは、例えば、0.2mm以上3mm以下であり、好ましくは0.3mm以上1mm以下である。
定着ロール61の表面層613の材質は、例えば、フッ素樹脂等が挙げられる。フッ素樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体(MFA)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロエチルビニルエーテル共重合体(EFA)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロプロピルビニルエーテル共重合体等のテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等が挙げられる。
表面層613の厚みは、例えば、5μm以上100μm以下であり、好ましくは10μm以上40μm以下である。
定着ロール61の製造方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。接着剤と、必要に応じて他の添加剤とを予め定めた量で含む接着剤組成物を調製する。予めプライマを塗布した円筒状の芯金の外周に弾性層形成用組成物を塗布して、予め定めた膜厚になるように形成した後、例えば140℃以上250℃以下で30分以上3時間以下焼成する。室温まで放冷して弾性層体を得る。この弾性層体に接着剤組成物を例えば10μm以上の厚さで塗布した後、円筒状の金型内壁に表面層となるPFAチューブ等のフッ素樹脂チューブ等が減圧して沿うように設置した後、接着剤組成物を塗布した弾性層体を金型内に挿入し、挿入し終わった後に、減圧を解除することによって、弾性層体にPFAチューブ等を被覆させることで、定着ロールを得る。
例えば、弾性層および接着層を構成する弾性体の架橋度等を調整して、弾性層の弾性率を接着層の弾性率よりも低くすればよい。例えば、弾性層を形成する際の硬化(焼成)温度、硬化(焼成)時間等を変えて弾性層の架橋度を調整することにより、弾性層の弾性率を接着層の弾性率よりも低くすればよい。また、弾性層および接着層を構成する材料として、例えば、ジメチルポリオルガノシロキサン等のジアルキルポリオルガノシロキサンと、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジエンシロキサン共重合体等のシリコーン樹脂とを用いる場合、例えば、両者の比率(モル比)を変えて弾性層または接着層の架橋度を調整することにより、弾性層の弾性率を接着層の弾性率よりも低くすればよい。
なお、本実施形態に係る定着装置60では、定着部材として上記本実施形態に係る定着ロールと、加圧部材として加圧ベルトを適用した、いわゆるロール・ベルト方式の定着装置について説明したが、これに限られず、定着部材として上記本実施形態に係る定着ロールと、加圧部材として加圧ロールを適用した、いわゆるロール・ロール方式の定着装置であってもよい。
<画像形成装置>
本実施形態に係る画像形成装置は、前記本実施形態に係る定着部材を備えるものであればよく、特に制限はない。画像形成装置は、例えば、像保持体と、像保持体の表面を帯電させる帯電手段と、像保持体の表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、像保持体の表面に形成された静電潜像を現像剤を用いて現像してトナー像を形成する現像手段と、現像されたトナー像を被転写体に転写する転写手段と、被転写体に転写されたトナー像を定着するための定着装置とを備え、定着装置は上記本実施形態に係る定着部材を有する。本実施形態の画像形成装置は、必要に応じて、転写後の像保持体の表面に残留した残留トナー等を除去して清掃する像保持体清掃手段を備えていてもよい。
以下、図面を参照しつつ本実施形態に係る画像形成装置の構成を説明するが、本発明は下記実施形態に限定されるものではない。
図2は、本実施形態に係る画像形成装置の構成の一例を示す概略構成図である。図2に示された画像形成装置3は、電子写真方式により各色成分のトナー像が形成される複数の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kと、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにより形成された各色成分トナー像を中間転写ベルト15に順次転写(一次転写)させる一次転写部10と、中間転写ベルト15上に転写された重畳トナー像を記録媒体(記録紙)56に一括転写(二次転写)させる二次転写部20と、二次転写された画像を記録媒体56上に定着させる定着装置60と、を備えている。また、各装置(各部)の動作を制御する制御部40を有している。
本実施形態において、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kには、矢印A方向に回転する感光体ドラム11の周囲に、これらの感光体ドラム11を帯電する帯電器12と、感光体ドラム11上に静電潜像を書込むレーザ露光器13(図2中、露光ビームを符号Bmで示す)と、各色成分トナーが収容されて感光体ドラム11上の静電潜像をトナーにより可視像化する現像器14と、感光体ドラム11上に形成された各色成分トナー像を一次転写部10にて中間転写ベルト15に転写する一次転写ロール16と、感光体ドラム11上の残留トナーが除去されるドラムクリーナ17等の電子写真用デバイスが順次配設されている。これらの画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、中間転写ベルト15の上流側から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の順に、略直線状に配置されている。
中間転写体である中間転写ベルト15は、例えば、ポリイミドあるいはポリアミド等の樹脂にカーボンブラック等の帯電防止剤を適当量含有させたフィルム状の無端ベルト(エンドレスベルト)で構成されている。そして、中間転写ベルト15の体積抵抗率は、例えば、10Ωcm以上1014Ωcm以下となるように形成されており、その厚さは、例えば、0.1mm程度に構成されている。中間転写ベルト15は、各種ロールによって、図1に示すB方向に予め定めた速度で循環駆動(回転駆動)されている。本実施形態では、各種ロールとして、定速性に優れたモータ(図示せず)等により駆動されて中間転写ベルト15を回転させる駆動ロール31と、各感光体ドラム11の配列方向に沿って延びる中間転写ベルト15を支持する支持ロール32と、中間転写ベルト15に対して張力を与えると共に中間転写ベルト15の蛇行等を防止する補正ロールとして機能するテンションロール33と、二次転写部20に設けられるバックアップロール25と、中間転写ベルト15上の残留トナーを掻き取るクリーニング部に設けられるクリーニングバックアップロール34とを有している。
一次転写部10は、中間転写ベルト15を挟んで感光体ドラム11に対向して配置される一次転写ロール16により構成されている。一次転写ロール16は、例えば、シャフト(不図示)と、シャフトの周囲に固着された弾性層としてのスポンジ層(不図示)とで構成されている。シャフトは、例えば、鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層は、例えば、カーボンブラック等の導電剤を配合したアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)とスチレン−ブタジエンゴム(SBR)とエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)とのブレンドゴムで形成され、体積抵抗率が例えば10Ωcm以上10Ωcm以下のスポンジ状の円筒ロールである。そして、一次転写ロール16は、中間転写ベルト15を挟んで感光体ドラム11に圧接して配置され、さらに一次転写ロール16には、トナーの帯電極性(マイナス極性とする。以下同様。)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が印加されるようになっている。これにより、各々の感光体ドラム11上のトナー像が中間転写ベルト15に順次、静電吸引され、中間転写ベルト15上において重畳されたトナー像が形成されるようになっている。
二次転写部20は、中間転写ベルト15のトナー像保持面側に配置される二次転写ロール22と、バックアップロール25とによって構成される。バックアップロール25は、表面が例えばカーボン等を分散したEPDMゴムとNBRのブレンドゴムのチューブ、内部は例えばEPDMゴムで構成されている。そして、その表面抵抗率は、例えば、10Ω/□以上1010Ω/□以下となるように形成され、硬度は、例えば70°(アスカーC:高分子計器社製、以下同様)に設定されている。このバックアップロール25は、中間転写ベルト15の裏面側に配置されて二次転写ロール22の対向電極をなし、二次転写バイアスを印加する金属製等の給電ロール26が接触配置されている。
一方、二次転写ロール22は、例えば、シャフト(不図示)と、シャフトの周囲に固着された弾性層としてのスポンジ層(不図示)とで構成されている。シャフトは、例えば、鉄、SUS等の金属等で構成された円柱状等の棒である。スポンジ層は、例えば、カーボンブラック等の導電剤を配合したNBRとSBRとEPDMとのブレンドゴム等で形成され、体積抵抗率が例えば10Ωcm以上10Ωcm以下のスポンジ状等の円筒状等のロールである。そして、二次転写ロール22は、中間転写ベルト15を挟んでバックアップロール25に圧接して配置され、さらに二次転写ロール22は接地されてバックアップロール25との間に二次転写バイアスが形成され、二次転写部20に搬送される記録媒体56上にトナー像が二次転写される。
また、中間転写ベルト15の二次転写部20の下流側には、二次転写後の中間転写ベルト15上の残留トナーや紙粉等を除去し、中間転写ベルト15の表面をクリーニングする中間転写ベルトクリーナ35が接離自在に設けられている。また、本実施形態では、イエローの画像形成ユニット1Yの上流側に、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにおける画像形成タイミングをとるための基準信号を発生する基準センサ(ホームポジションセンサ)42が配設されている。また、黒の画像形成ユニット1Kの下流側には、画質調整を行うための画像濃度センサ43が配設されている。この基準センサ42は、中間転写ベルト15の裏側に設けられたマークを認識して基準信号を発生しており、この基準信号の認識に基づく制御部40からの指示により、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは画像形成を開始するように構成されている。
さらに、本実施形態の画像形成装置3では、用紙搬送系として、例えば、記録媒体56を収容する用紙トレイ50と、この用紙トレイ50に集積された記録媒体56を取り出して搬送するピックアップロール51と、ピックアップロール51により繰り出された記録媒体56を搬送する搬送ロール52と、搬送ロール52により搬送された記録媒体56を二次転写部20へと送り込む搬送シュート53と、二次転写ロール22により二次転写された後に搬送される記録媒体56を定着装置60へと搬送する搬送ベルト55と、記録媒体56を定着装置60に導く定着入口ガイド57とを備えている。
次に、本実施形態に係る画像形成装置3の基本的な作像プロセスについて説明する。図2に示すような画像形成装置3では、画像読取装置(IIT)(図示せず)やパーソナルコンピュータ(PC)(図示せず)等から出力される画像データは、画像処理装置(IPS)(図示せず)により画像処理が施された後、画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって作像作業が実行される。具体的には、IPSでは、入力された反射率データに対して、シェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消しや色編集、移動編集等の各種画像編集等の所定の画像処理が施される。そして、画像処理が施された画像データは、Y,M,C,Kの4色の色材階調データに変換され、レーザ露光器13に出力される。
レーザ露光器13では、入力された色材階調データに応じて、例えば、半導体レーザから出射された露光ビームBmが、画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各々の感光体ドラム11に照射される。画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各感光体ドラム11では、帯電器12によって表面が帯電された後、このレーザ露光器13によって表面が走査露光され、静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、各々の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって、Y,M,C,Kの各色のトナー像として現像される。
画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの感光体ドラム11上に形成されたトナー像は、各感光体ドラム11と中間転写ベルト15とが接触する一次転写部10において、中間転写ベルト15上に転写される。より具体的には、一次転写部10において、一次転写ロール16により、中間転写ベルト15の基材に対し、トナーの帯電極性(マイナス極性)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が付加され、トナー像を中間転写ベルト15の表面に順次重ね合わせて一次転写が行われる。
トナー像が中間転写ベルト15の表面に順次一次転写された後、中間転写ベルト15は移動してトナー像が二次転写部20に搬送される。トナー像が二次転写部20に搬送されると、用紙搬送系では、トナー像が二次転写部20に搬送されるタイミングに合わせてピックアップロール51が回転し、用紙トレイ50から予め定めたサイズの用紙である記録媒体56が供給される。ピックアップロール51により供給された記録媒体56は、搬送ロール52により搬送され、搬送シュート53を経て二次転写部20に到達する。この二次転写部20に到達する前に、記録媒体56は一旦停止され、トナー像が保持された中間転写ベルト15の移動タイミングに合わせてレジストロール(図示せず)が回転することで、記録媒体56の位置とトナー像の位置との位置合わせがなされる。
二次転写部20では、中間転写ベルト15を介して、二次転写ロール22がバックアップロール25に押圧される。このとき、タイミングを合わせて搬送された記録媒体56は、中間転写ベルト15と二次転写ロール22との間に挟み込まれる。その際に、給電ロール26からトナーの帯電極性(マイナス極性)と同極性の電圧(二次転写バイアス)が印加されると、二次転写ロール22とバックアップロール25との間に転写電界が形成される。そして、中間転写ベルト15上に保持された未定着トナー像は、二次転写ロール22およびバックアップロール25によって押圧される二次転写部20にて、記録媒体56上に一括して静電転写される。
その後、トナー像が静電転写された記録媒体56は、二次転写ロール22によって中間転写ベルト15から剥離された状態でそのまま搬送され、二次転写ロール22の用紙搬送方向下流側に設けられた搬送ベルト55へと搬送される。搬送ベルト55では、定着装置60における最適な搬送速度に合わせて、記録媒体56が定着装置60まで搬送される。
定着装置60に搬送された記録媒体56上の未定着トナー像は、上述したように、定着装置60によって熱および圧力で定着処理を受けることで記録媒体56上に定着される。そして定着画像が形成された記録媒体56は、画像形成装置の排出部に設けられた排紙載置部に搬送される。
一方、記録媒体56への転写が終了した後、中間転写ベルト15上に残った残留トナー等は、中間転写ベルト15の回転に伴ってクリーニング部まで搬送され、クリーニングバックアップロール34および中間転写ベルトクリーナ35によって中間転写ベルト15上から除去される。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定的に解釈されるものではなく、種々の変形、変更、改良が可能であり、本発明の要件を満足する範囲内で実現可能であることは言うまでもない。
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
[シリコーンゴム組成物の調製]
予め、ジメチルポリオルガノシロキサン(ビニル基含有量0.08mmol/g、粘度(25℃)30,000Pa・s)100質量部のうち40質量部を混練装置に配合し、そこにアルミナ微粉末(Naイオン含有量10ppm、体積平均粒子径3μm)100質量部を配合した。これらを150℃で2時間加熱混練した後、残りのジメチルポリオルガノシロキサン60質量部で希釈し、さらに分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジエンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子含有量3mmol/g、粘度(25℃)5mPa・s)4.0質量部、触媒として塩化白金酸−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体を白金含有量として10ppm、硬化遅延剤として1−エチニル−1−シクロヘキサノール0.1質量部、さらに酸化第二鉄(Fe)2質量部をできるだけ均一になるように混合し、シリコーンゴム組成物を調製した。
[弾性層体の形成]
前述したシリコーンゴム組成物を用いて弾性層体の成形を行った。成形方法は、予めプライマ(東レ・ダウコーニング株式会社製、DY39−051 A/B)を塗布した円筒状の芯金(材質:アルミニウム)に対して、この芯金を横にした状態で回転させた状態で、シリコーンゴム組成物を上部から滴下し、かつ下部にてブレードで押し当てることにより、予め定めた膜厚(600μm)になるように形成した後、200℃/1時間で焼成した。焼成終了後、室温まで放冷して、弾性層体を得た。
[接着剤組成物の調製]
ジメチルポリオルガノシロキサン(ビニル基含有量0.08mmol/g、粘度(25℃)30,000Pa・s)100質量部のうち40質量部を混練装置に配合し、そこにアルミナ微粉末(Naイオン含有量10ppm、体積平均粒子径3μm)100質量部を配合した。これらを150℃で2時間加熱混練した後、残りのジメチルポリオルガノシロキサン60質量部で希釈し、さらに分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジエンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子含有量3mmol/g、粘度(25℃)5mPa・s)2.0質量部、触媒として塩化白金酸−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体を白金含有量として10ppm、硬化遅延剤として1−エチニル−1−シクロヘキサノール0.1質量部、さらに酸化第二鉄(Fe)2質量部をできるだけ均一になるように混合した混合物を100質量部とし、この混合物に対してグリシドキシプロピルトリメトキシシラン5質量部を加えた。グリシドキシプロピルトリメトキシシランを加えた混合物をn−ヘプタンで40質量%に希釈して、接着剤組成物を得た。
[定着ロールの作製]
前述した弾性層体に前記の接着剤組成物を20μmの厚さで塗布した後、円筒状の金型内壁にPFAチューブが減圧して沿うように設置した後、前記接着剤組成物を塗布した弾性層体を金型内に挿入し、挿入し終わった後に、減圧を解除することで、弾性層体にPFAチューブを被覆させることで、定着ロールを得た。
なお、定着ロールの弾性層および接着層の弾性率(MPa)は、動的粘弾性測定器RHEOVIBRON装置(ORIENTEC社製、型:DDV−01FP)を用いて、測定した。
[測定・評価]
上記の方法で得られた定着ロールを画像形成装置(富士ゼロックス社製、カラー複写機DocuCentre−III C3300)に装着し、15万枚の通紙試験を行った後、マゼンタハーフトーン50%の画質サンプルを採取し、以下の観点で目視にて画質評価を行った。結果を表1に示した。
(画質評価基準)
◎:弾性層と接着層との間の剥がれによる画質色点が未発生
○:弾性層と接着層との間の剥がれによる画質色点が部分的に発生(実使用上問題なし)
△:弾性層と接着層との間の剥がれによる画質色点が軽微に発生(実使用上問題になることがある)
×:弾性層と接着層との間の剥がれによる画質色点が発生(実使用上問題あり)
<実施例2>
分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジエンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子含有量3mmol/g、粘度(25℃)5mPa・s)の量を12質量部とすることによって、シリコーンゴム弾性層体の弾性率を表1に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様にして定着ロールを作製し、評価についても実施例1と同様にして実施した。
<実施例3>
分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジエンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子含有量3mmol/g、粘度(25℃)5mPa・s)の量を20質量部とすることによって、シリコーンゴム弾性層体の弾性率を表1に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様にして定着ロールを作製し、評価についても実施例1と同様にして実施した。
<実施例4>
分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジエンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子含有量3mmol/g、粘度(25℃)5mPa・s)の量を25質量部とすることによって、シリコーンゴム弾性層体の弾性率を表1に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様にして定着ロールを作製し、評価についても実施例1と同様にして実施した。
<実施例5〜9>
接着層体の膜厚を表1に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様にして定着ロールを作製し、評価についても実施例1と同様にして実施した。
<比較例1>
弾性層の分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジエンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子含有量3mmol/g、粘度(25℃)5mPa・s)の量を32質量部、および接着剤組成物における分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジエンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子含有量3mmol/g、粘度(25℃)5mPa・s)の量を0.6質量部とし、シリコーンゴム弾性層体の弾性率、および接着層体の弾性率を表1に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様にして定着ロールを作製し、評価についても実施例1と同様にして実施した。
<比較例2>
接着層体の膜厚を表1に示す通りに変更した以外は、比較例1と同様にして定着ロールを作製し、評価についても実施例1と同様にして実施した。
<比較例3>
弾性層の分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジエンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子含有量3mmol/g、粘度(25℃)5mPa・s)の量を32質量部、および接着剤組成物における分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジエンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子含有量3mmol/g、粘度(25℃)5mPa・s)の量を1.6質量部とし、シリコーンゴム弾性層体の弾性率、および接着層体の弾性率を表1に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様にして定着ロールを作製し、評価についても実施例1と同様にして実施した。
このように、実施例の定着ロールは、弾性層の弾性率が接着層の弾性率と比較して同じまたは高い比較例の定着ロールに比べて、弾性層と接着層との間の剥がれが抑制された。
1Y,1M,1C,1K 画像形成ユニット、3 画像形成装置、10 一次転写部、11 感光体ドラム、12 帯電器、13 レーザ露光器、14 現像器、15 中間転写ベルト、16 一次転写ロール、17 ドラムクリーナ、20 二次転写部、22 二次転写ロール、25 バックアップロール、26 給電ロール、31 駆動ロール、32 支持ロール、33 テンションロール、34 クリーニングバックアップロール、35 中間転写ベルトクリーナ、40 制御部、42 基準センサ、43 画像濃度センサ、50 用紙トレイ、51 ピックアップロール、52 搬送ロール、53 搬送シュート、55 搬送ベルト、56 記録媒体、57 定着入口ガイド、60 定着装置、61 定着ロール、62 加圧ベルト、63 ベルト走行ガイド、64 加圧パッド、64a プレニップ部材、64b 剥離ニップ部材、65 ホルダ、66 ヒータランプ、67 潤滑剤塗布部材、68 摺動シート部材、69 温度センサ、70 剥離部材、71 剥離バッフル、72 ホルダ、611 基材、612 弾性層、613 表面層、P 未定着トナー像、Bm 露光ビーム。

Claims (4)

  1. 円筒状の基材と、前記基材の周囲に形成された弾性層と、前記弾性層の表面を被覆する表面層と、前記弾性層と前記表面層との間に形成された接着層とを有し、
    前記弾性層の弾性率が前記接着層の弾性率と比較して低いことを特徴とする定着部材。
  2. 前記接着層の厚みが10μm以上であることを特徴とする、請求項1に記載の定着部材。
  3. 請求項1または2に記載の定着部材を備えることを特徴とする定着装置。
  4. 像保持体と、
    前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
    前記像保持体の表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、
    前記像保持体の表面に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
    前記現像されたトナー像を被転写体に転写する転写手段と、
    前記被転写体に転写されたトナー像を定着する、請求項3に記載の定着装置と、
    を備えることを特徴とする画像形成装置。
JP2015159378A 2015-08-12 2015-08-12 定着部材、定着装置および画像形成装置 Pending JP2017037244A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015159378A JP2017037244A (ja) 2015-08-12 2015-08-12 定着部材、定着装置および画像形成装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015159378A JP2017037244A (ja) 2015-08-12 2015-08-12 定着部材、定着装置および画像形成装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2017037244A true JP2017037244A (ja) 2017-02-16

Family

ID=58048566

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015159378A Pending JP2017037244A (ja) 2015-08-12 2015-08-12 定着部材、定着装置および画像形成装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2017037244A (ja)

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000305396A (ja) * 1999-02-19 2000-11-02 Canon Inc フッ素樹脂被覆弾性加圧ローラおよび加熱定着装置
US20090130462A1 (en) * 2007-11-16 2009-05-21 Xerox Corporation Fuser member with intermediate adhesive layer
JP2012042880A (ja) * 2010-08-23 2012-03-01 Canon Inc 現像ローラ、電子写真プロセスカートリッジ及び電子写真画像形成装置

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000305396A (ja) * 1999-02-19 2000-11-02 Canon Inc フッ素樹脂被覆弾性加圧ローラおよび加熱定着装置
US20090130462A1 (en) * 2007-11-16 2009-05-21 Xerox Corporation Fuser member with intermediate adhesive layer
JP2012042880A (ja) * 2010-08-23 2012-03-01 Canon Inc 現像ローラ、電子写真プロセスカートリッジ及び電子写真画像形成装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6446916B2 (ja) 定着部材、定着装置、画像形成装置
JP6197658B2 (ja) 定着装置、摺動部材および画像形成装置
JP6816367B2 (ja) 定着ロール、定着装置および画像形成装置
JP2013195908A (ja) 定着装置および画像形成装置
JP2008224835A (ja) 定着用部材、定着装置及び画像形成装置
JP2013068788A (ja) 定着ベルト、定着ベルトの製造方法、定着装置および画像形成装置
JP2008040321A (ja) 弾性部材、定着装置及び画像形成装置
JP2015129797A (ja) 画像定着用管状体、定着装置、および画像形成装置
JP6019627B2 (ja) 加熱部材、定着装置及びそれを用いた画像形成装置
CN107490945B (zh) 定影部件、定影装置、处理盒以及图像形成装置
JP2007233084A (ja) 定着ロール、定着装置及び画像形成装置
JP6171847B2 (ja) 摺動部材、定着装置及び画像形成装置
JP2014228762A (ja) 定着装置および画像形成装置
JP6477006B2 (ja) 定着部材、定着装置および画像形成装置
JP6171574B2 (ja) 定着用加圧ベルト、定着装置、及び画像形成装置
JP2017037244A (ja) 定着部材、定着装置および画像形成装置
JP2016070946A (ja) 定着装置および画像形成装置
JP6398528B2 (ja) 定着装置および画像形成装置
JP2018151473A (ja) 定着部材、定着装置、及び画像形成装置
JP2009103938A (ja) 加圧部材、定着用加圧部材の製造方法、定着装置及び画像形成装置
JP2018156026A (ja) 定着部材、定着装置及び画像形成装置
JP2017173584A (ja) 定着部材、定着装置および画像形成装置
JP2016177193A (ja) ベルト部材、定着装置および画像形成装置
JP2018054731A (ja) ベルト部材、定着装置、及び画像形成装置
JP2006065218A (ja) 定着装置、低摩擦シートおよび画像形成装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180622

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190319

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190320

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190510

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190604

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190725

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20190806