JP2017036464A - 導電部材、ガス絶縁開閉装置用導電部材およびガス絶縁開閉装置用導電部材の製造方法 - Google Patents

導電部材、ガス絶縁開閉装置用導電部材およびガス絶縁開閉装置用導電部材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】熱処理を別途施すことなく、熱伝導性、電気伝導性および機械特性に優れた導電部材、ガス絶縁開閉装置用導電部材およびガス絶縁開閉装置用導電部材の製造方法を提供すること。【解決手段】本発明にかかるガス絶縁開閉装置用導電部材1は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる基材10と、リンを0.002質量%以上0.016質量%未満の割合で含む銅粉末を用いて形成され、基材10の周囲に積層されてなる金属皮膜11と、を備え、基材10と金属皮膜11との界面が塑性変形していることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、導電部材、ガス絶縁開閉装置用導電部材およびガス絶縁開閉装置用導電部材の製造方法に関するものである。
近年、コールドスプレー法と呼ばれる成膜方法が知られている。コールドスプレー法は、融点又は軟化点以下の状態にある金属材料の粉末を、ヘリウム、アルゴン、窒素等の不活性ガスとともにノズルから噴射し、固相状態のまま成膜対象の基材に衝突させて基材の表面に皮膜を形成する方法である(例えば、非特許文献1,2を参照)。コールドスプレー法においては、材料の粉末を溶融させて基材に吹き付ける溶射法と異なり、比較的低い温度で成膜が行われる。このため、コールドスプレー法によれば、熱応力の影響を緩和することができ、相変態がなく酸化も抑制された金属皮膜を得ることができる。特に、基材及び皮膜となる材料がともに金属である場合、金属材料の粉末が基材(又は先に形成された皮膜)に衝突した際に粉末と基材との間で塑性変形が生じてアンカー効果が得られると共に、互いの酸化皮膜が破壊されて新生面同士による金属結合が生じるので、密着強度の高いガス絶縁開閉装置用導電部材を得ることができる。
このコールドスプレー法を使用して、種々の導電部材が製造されている。例えば、ガス絶縁開閉装置用に使用される導電部材であって、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる基材に、前記基材より導電率の高い材料、例えば、銅または銅合金からなる粉末をコールドスプレー法によりコーティングしてなる導電部材が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特開2012−161156号公報 特開2013−4360号公報 特開2014−77173号公報
伊藤義康、外2名、「コールドスプレイで作製された銅皮膜の熱的・電気的特性」、材料(Journal of Society of Materials of Science, Japan)、日本材料学会、Vol.59、No2、pp.143-148、Feb.2010 吉田満、外2名、「Cold Spray にて形成された銅皮膜の特性報告」、第94回(2011年度秋季)全国講演大会講演論文集、日本溶射学会、pp.19-20、2011
特許文献1〜3の導電部材は、銅または銅合金のみから形成される導電部材より軽量化が可能であるものの、銅または銅合金からなるコーティングの熱伝導性、電気伝導性の向上のために、熱処理(アニール処理)が必要となる。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、熱処理を別途施すことなく、熱伝導性、電気伝導性および機械特性に優れた導電部材、ガス絶縁開閉装置用導電部材およびガス絶縁開閉装置用導電部材の製造方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる導電部材は、アルミニウムまたはアルミニウム合金、鉄または鉄合金からなる基材と、リンを0.002質量%以上0.016質量%未満の割合で含む銅粉末を用いて形成され、前記基材の周囲に積層されてなる金属皮膜と、を備え、前記基材と前記金属皮膜との界面が塑性変形していることを特徴とする。
また、本発明にかかる導電部材は、上記発明において、前記金属皮膜を形成する銅粉末は、積層方向に扁平した状態で積層されてなることを特徴とする。
また、本発明にかかる導電部材は、上記発明において、前記基材の引張強度は、前記基材を構成する材料の引張強度の90%以上であることを特徴とする。
また、本発明にかかるガス絶縁開閉装置用導電部材は、アルミニウムまたはアルミニウム合金、鉄または鉄合金からなる基材と、リンを0.002質量%以上0.016質量%未満の割合で含む銅粉末を用いて形成され、前記基材の周囲に積層されてなる金属皮膜と、を備え、前記基材と前記金属皮膜との界面が塑性変形していることを特徴とする。
また、本発明にかかるガス絶縁開閉装置用導電部材は、上記発明において、前記金属皮膜を形成する銅粉末は、積層方向に扁平した状態で積層されてなることを特徴とする。
また、本発明にかかるガス絶縁開閉装置用導電部材は、上記発明において、前記基材の引張強度は、前記基材を構成する材料の引張強度の90%以上であることを特徴とする。
また、本発明にかかるガス絶縁開閉装置用導電部材の製造方法は、リンを0.002質量%以上0.016質量%未満の割合で含む銅粉末を、前記銅粉末の融点より低い温度に加熱されたガスと共に加速し、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる基材の周囲に固相状態のままで吹き付けて堆積させて金属皮膜を形成することを特徴とする。
また、本発明にかかるガス絶縁開閉装置用導電部材の製造方法は、上記発明において、前記銅粉末は、600℃以上に加熱されたガスと共に加速されることを特徴とする。
また、本発明にかかるガス絶縁開閉装置用導電部材の製造方法は、上記発明において、前記銅粉末は、平均粒径が5μm〜80μmであることを特徴とする。
本発明によれば、熱処理を別途施すことなく、熱伝導性、電気伝導性および機械特性に優れた導電部材、およびガス絶縁開閉装置用導電部材を得ることができるという効果を奏する。
図1は、本発明の実施の形態にかかるガス絶縁開閉装置用導電部材の構成を示す断面図である。 図2は、本発明の実施の形態にかかるガス絶縁開閉装置用導電部材の金属皮膜の断面のSEM写真である(500倍)。 図3は、銅粉末のSEM写真である(500倍)。 図4は、図1に示すガス絶縁開閉装置用導電部材の製造方法を示すフローチャートである。 図5は、本発明の実施の形態にかかるガス絶縁開閉装置用導電部材の金属皮膜の形成に使用されるコールドスプレー装置の概要を示す模式図である。 図6は、本発明の実施の形態の変形例1にかかるガス絶縁開閉装置用導電部材の構成を示す断面図である。 図7は、本発明の実施の形態の変形例2にかかる導電部材の構成を示す断面図である。 図8は、本発明の実施例1にかかる評価サンプルの界面を含む断面図を説明する図である。 図9は、本発明の比較例2にかかる評価サンプルの界面を含む断面図を説明する図である。
以下、本発明を実施するための形態を図面と共に詳細に説明する。なお、以下の実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明において参照する各図は、本発明の内容を理解し得る程度に形状、大きさ、および位置関係を概略的に示してあるに過ぎない。すなわち、本発明は各図で例示された形状、大きさ、および位置関係のみに限定されるものではない。
まず、本発明の実施の形態にかかるガス絶縁開閉装置用導電部材について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態にかかるガス絶縁開閉装置用導電部材の構成を示す断面図である。
ガス絶縁開閉装置用導電部材1は、アルミニウムまたはアルミニウム合金、鉄または鉄合金からなる基材10と、基材10の表面に形成され、後述するコールドスプレー法によって積層され、銅を主成分とする金属材料からなる金属皮膜11と、からなる。ガス絶縁開閉装置用導電部材1は、有底の円筒状の基材10の外表面に金属皮膜11が積層されている。
一般に、コールドスプレー法により金属皮膜11を形成する際、基材10に金属皮膜11を構成する材料粉末が衝突し、基剤10と金属皮膜11との界面で塑性変形が生じる。この界面での塑性変形によるアンカー効果で基材と皮膜との密着性が向上する。本実施の形態では、アルミニウムまたはアルミニウム合金、鉄または鉄合金からなる基材10に対し、銅を主成分とする金属からなる粉末を使用して金属皮膜11を形成するため、基材と皮膜との密着性が良好なガス絶縁開閉装置用導電部材1を作成することができる。
金属皮膜11は、銅を主成分とし、所定割合のリンを含む銅粉末を用いて形成されてなる。銅粉末は、平均粒径が5μm〜80μmである。平均粒径が20μm〜50μmのものが取扱い性、および金属皮膜11の緻密さの観点から特に好ましい。該銅粉末は、例えば水アトマイズ法により製造される。また、銅粉末には、還元処理が施されていてもよい。
具体的には、銅粉末は、粉末中に0.002質量(mass)%以上0.016質量%未満のリンを含んでなる。銅粉末中に配合されるリン量を0.002質量%以上0.016質量%未満とすることによって、粉末の硬度を低減し、緻密化された金属皮膜11を成形することができる。また、リン量を0.002質量%以上0.016質量%未満とすることによって、コールドスプレー法を用いて成膜した際に生じる熱によって、金属皮膜11中で再結晶が起こって転位が減少し、この転位の減少により電気伝導率が向上する。このため、熱伝導性、電気伝導性に優れた金属皮膜11を得ることができる。
リン量が0.016質量%以上になると、金属皮膜11中のリン量が多くなって電気抵抗が増大し、金属皮膜11の電気伝導率が低下してしまう。また、リン量が0.016質量%以上になると、再結晶が生じる温度も上昇し、成膜時の熱による転位の減少が起こりにくくなる。また、リン量が0.002質量%よりも少ないと、金属皮膜11にボイドが生じやすく、銅の酸化も起こりやすいので、電気伝導率が低下してしまう。
銅粉末は、形成される金属皮膜11が高い電気伝導率および機械特性を有する点で、リン量が0.002質量%〜0.006質量%であることが好ましい。リン量を0.002質量%〜0.006質量%とすることによって、転位の減少による電気伝導率の向上がより顕著に起こるため、熱伝導性、電気伝導性がより優れた金属皮膜11を得ることができる。
ガス絶縁開閉装置用導電部材1において、金属皮膜11は、電気伝導率(IACS)が、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。なお、IACSは、標準焼きなまし銅線に対する(標準焼きなまし銅線を100%としたときの)電気伝導率(%)を指す。また、金属皮膜11は、熱伝導性に優れた銅粉末を用いて形成され、かつ良好な電気伝導率を有することで、熱伝導性も良好であると考えることができる。
また、基材10の引張強度は、基材10を構成する材料の引張強度の90%以上であることが好ましく、95%以上がより好ましい。本実施の形態では、所定量のリンを含有する銅粉末により金属皮膜11を形成するため、成膜後の金属皮膜11の電気伝導率(IACS)が高く、熱処理を行う必要がない。金属皮膜11の電気伝導率および熱伝導率向上のために熱処理を行うと、基材10の引張強度および硬度が低下し、ガス絶縁開閉装置用導電部材1の製品寿命が低下するおそれがある。したがって、最終製品の基材10の引張強度は、基材10を構成する材料、たとえば、金属皮膜11を形成前の基材10の引張強度の90%以上であることが好ましい。
また、熱処理を行うと、基材10と金属皮膜11との界面に金属間化合物が生成し、生成する金属間化合物の量が多くなると、ガス絶縁開閉装置用導電部材1の強度が低下する。したがって、ガス絶縁開閉装置用導電部材1の基材10と金属皮膜11との界面に生成する金属間化合物層の厚さは、5μm以下であることが好ましく、2μm以下がより好ましく、1μm以下が特に好ましい。
本実施の形態のガス絶縁開閉装置用導電部材1において、コールドスプレー法により形成される金属皮膜11は、略球状の銅粉末が基材10に吹き付けられて堆積する際、塑性変形して積層方向に扁平な状態(積層方向の銅粉末の径が、積層方向と垂直な方向の径より小さい)で積層されてなる。金属皮膜11を形成する銅粉末の扁平な状態は、例えば、光学顕微鏡または(走査型)電子顕微鏡で観察することができる。図2は、本発明の実施の形態にかかるガス絶縁開閉装置用導電部材1の金属皮膜11の断面のSEM写真である。図2に示す金属皮膜11は、図3に示す略球状の銅粉末を後述するコールドスプレー装置を用いて成膜されたものであるが、銅粉末は、成膜時の塑性変形により、積層方向に扁平な状態(積層方向の銅粉末の径が、積層方向と垂直な方向の径より小さい)で積層されることが確認できる。
つづいて、本実施の形態にかかるガス絶縁開閉装置用導電部材1の製造方法について説明する。図4は、図1に示すガス絶縁開閉装置用導電部材の製造方法を示すフローチャートである。
まず、切削または鋳造等により所定形状に加工された基材10に、後述するコールドスプレー装置により金属皮膜11を成膜する(ステップS1)。金属皮膜11は、所定形状の基材10の外表面に、所定の割合でリンを含む銅粉末を、該銅粉末の融点より低い温度に加熱されたガスと共に加速し、基材10に固相状態のままで吹き付けて堆積させて成膜する。図5は、本実施の形態にかかるガス絶縁開閉装置用導電部材1の金属皮膜11の形成に使用されるコールドスプレー装置20の概要を示す模式図である。
コールドスプレー装置20は、作動ガスを加熱するガス加熱器21と、基材10に噴射する粉末材料を収容し、スプレーガン22に供給する粉末供給装置23と、スプレーガン22で加熱された作動ガスと混合された粉末材料を基材10に噴射するガスノズル24とを備えている。ここでいう粉末材料は、粒径(平均粒径)が5μm〜80μm程度であってリンを0.002質量%以上0.016質量%未満の範囲で含む銅粉末のことをいう。
圧縮ガスとしては、ヘリウム、窒素、空気などが使用される。供給された作動ガスは、バルブ25および26により、ガス加熱器21と粉末供給装置23にそれぞれ供給される。ガス加熱器21に供給された作動ガスは、例えば600℃以上であって、金属皮膜11を形成するための粉末材料である合金の融点以下の温度に加熱された後、スプレーガン22に供給される。作動ガスの加熱温度は、好ましくは800℃以上であって粉末材料である銅の融点以下の温度である。
粉末供給装置23に供給された作動ガスは、粉末供給装置23内の、粉末材料(銅粉末)をスプレーガン22に所定の吐出量となるように供給する。加熱された圧縮ガスは先細末広形状をなすガスノズル24により超音速流(約340m/s以上)にされる。また、作動ガスのガス圧力は、1MPa〜5MPa程度とすることが好ましく、2MPa〜5MPa程度とすることがさらに好ましい。作動ガスの圧力を1MPa〜5MPa程度とすることにより、基材10と金属皮膜11との間の密着強度の向上を図ることができる。スプレーガン22に供給された粉末材料は、この作動ガスの超音速流の中への投入により加速され、固相状態のまま基材10に高速で衝突して金属皮膜11を形成する。なお、銅を主成分とする金属からなる粉末材料を基材10に固相状態で衝突させて金属皮膜11を形成できる装置であれば、図5のコールドスプレー装置20に限定されるものではない。
コールドスプレー法により基材10の表面に金属皮膜11を形成する粉末材料を吹き付けると、粉末材料が基材10に衝突した際に生じる熱によって、形成された金属皮膜11の再結晶(動的再結晶)が起こる。これにより、形成された金属皮膜11に熱処理を施さなくても、緻密な金属皮膜11を得ることができる。
なお、本実施の形態にかかるガス絶縁開閉装置用導電部材1は、有底の円筒状の基材10の外表面に金属皮膜11が積層されたものであり、基材10を回転させて円筒の側面に皮膜を形成した後、底面に皮膜を形成してもよく、あるいは、底面に皮膜形成の後、側面に皮膜を形成してもよい。
上記のようにして基材10の外表面に金属皮膜11を成膜した後(ステップS1)、旋盤加工等の機械加工により(ステップS2)、金属皮膜11の厚さを調製することにより、所望の厚さの金属皮膜11を有するガス絶縁開閉装置用導電部材1を製造することができる。
上述した実施の形態にかかるガス絶縁開閉装置用導電部材1は、所定形状のアルミニウムまたはアルミニウム合金、鉄または鉄合金からなる基材10の外表面に、リンを0.002質量%以上0.016質量%未満の割合で含む銅粉末を用いてコールドスプレー法により金属皮膜11を成膜することで、熱処理を行うことなく、高い電気伝導性、熱伝導性および機械特性を有するものである。
なお、本発明のガス絶縁開閉装置用導電部材は、上記の実施の形態で説明した構造のものに限定されるものではなく、例えば、図6に示すような形状のものであってもよい。図6は、本発明の実施の形態の変形例1にかかるガス絶縁開閉装置用導電部材の構成を示す断面図である。変形例にかかるガス絶縁開閉装置用導電部材1Aは、円筒部の中央部にフランジ部13を有する基材10Aの、フランジ部13を除く外表面に、リンを所定の割合で含む銅粉末から構成される金属皮膜11Aが成膜されている。変形例にかかるガス絶縁開閉装置用導電部材10Aにおいても、熱処理を行うことなく、高い電気伝導性、熱伝導性および機械特性を奏することができる。
また、所定形状のアルミニウムまたはアルミニウム合金、鉄または鉄合金からなる基材10の表面に、リンを0.002質量%以上0.016質量%未満の割合で含む銅粉末を用いてコールドスプレー法により金属皮膜11を成膜することで、熱処理を行うことなく、高い電気伝導性、熱伝導性および機械特性を有する導電部材、例えば、自動車や電力貯蔵用電源等の大きな電力を要する用途において使用されるブスバー用の導電部材を得ることができる。
例えば、ブスバー用の導電部材は、図7に示すような形状であってもよい。図7は、本発明の実施の形態の変形例2にかかる導電部材の構成を示す断面図である。導電部材1Bは、アルミニウムまたはアルミニウム合金、鉄または鉄合金からなる基材10Bと、リンを0.002質量%以上0.016質量%未満の割合で含む銅粉末を用いて、コールドスプレー法により基材10Bの表面に製膜された金属皮膜11Bと、からなる。なお、導電部材10Bは、図7のような矩形平板状に限定されるものではなく、円柱状、多角柱状などであってもよい。
本実施の形態にかかるガス絶縁開閉装置用導電部材の製造方法により、アルミニウム基板(基材)上に、リンを所定量含む銅皮膜を形成したガス絶縁開閉装置用導電部材を作製し、電気伝導性および機械特性について評価を行った。
(実施例1)
φ130mm、長さ500mmのアルミニウム(A6053−T6)製のパイプ(厚さ25mm)の外表面に、コールドスプレー装置20により、作動ガス:窒素、作動ガス温度:800℃、作動ガス圧力:5MPaで、リンを0.002質量%含み、還元処理が施された銅粉末(平均粒径:約33μm)を吹付けて3mmの厚さの金属皮膜を形成した。金属皮膜を成膜後、旋盤加工により金属皮膜の厚さを2mmまで切削加工して、ガス絶縁開閉装置用導電部材の評価サンプルを作製した。なお、銅粉末は、水アトマイズ法により製造されたものを用いた。
(実施例2)
基板、作動ガス、作動ガス温度、作動ガス圧力を実施例1と同一の条件とし、コールドスプレー装置20により、リンを0.006質量%含み、還元処理が施された銅粉末(平均粒径:約33μm)を吹付けて金属皮膜を形成し、実施例1と同様に切削加工して、ガス絶縁開閉装置用導電部材の評価サンプルを作製した。
(実施例3)
基板、作動ガス、作動ガス温度、作動ガス圧力を実施例1と同一の条件とし、コールドスプレー装置20により、リンを0.012質量%含み、還元処理が施された銅粉末(平均粒径:約33μm)を吹付けて金属皮膜を形成し、実施例1と同様に切削加工して、ガス絶縁開閉装置用導電部材の評価サンプルを作製した。
(実施例4)
鉄(SS400)製の基材(50mm×100mm×t10mm)の表面に、コールドスプレー装置20により、作動ガス:窒素、作動ガス温度:800℃、作動ガス圧力:5MPaで、リンを0.012質量%含み、還元処理が施された銅粉末(平均粒径:約33μm)を吹付けて3mmの厚さの金属皮膜を形成した。金属皮膜を成膜後、機械加工(フライス加工もしくは放電加工)により金属皮膜の厚さを2mmまで切削加工して、導電部材の評価サンプルを作製した。なお、銅粉末は、水アトマイズ法により製造されたものを用いた。
(比較例1)
基板、作動ガス、作動ガス温度、作動ガス圧力を実施例1と同一の条件とし、コールドスプレー装置20により、リンを0.016質量%含み、還元処理が施された銅粉末(平均粒径:約33μm)を吹付けて金属皮膜を形成し、実施例1と同様に切削加工して、ガス絶縁開閉装置用導電部材の評価サンプルを作製した。
(比較例2)
基板、作動ガス、作動ガス温度、作動ガス圧力を実施例1と同一の条件とし、コールドスプレー装置20により、リンを0.016質量%含み、還元処理が施された銅粉末(平均粒径:約33μm)を吹付けて金属皮膜を形成した。金属皮膜を形成後、窒素ガス雰囲気下、300℃、3時間熱処理し、実施例1と同様に切削加工して、ガス絶縁開閉装置用導電部材の評価サンプルを作製した。
(比較例3)
基板、作動ガス、作動ガス温度、作動ガス圧力を実施例4と同一の条件とし、コールドスプレー装置20により、リンを0.016質量%含み、還元処理が施された銅粉末(平均粒径:約33μm)を吹付けて金属皮膜を形成し、実施例4と同様に切削加工して、導電部材の評価サンプルを作製した。
(比較例4)
基板、作動ガス、作動ガス温度、作動ガス圧力を実施例1と同一の条件とし、コールドスプレー装置20により、リンを0.016質量%含み、還元処理が施された銅粉末(平均粒径:約33μm)を吹付けて金属皮膜を形成した。金属皮膜を形成後、窒素ガス雰囲気下、300℃、3時間熱処理し、実施例4と同様に切削加工して、導電部材の評価サンプルを作製した。
上記のようにして作製した実施例1〜4および比較例1〜4にかかる評価サンプルについて、過流導電率を測定した。測定は、Autosigma3000(ゼネラルエレクトリック社製)を用い、500kHz、径が12.7mmのプローブを用いて行った。結果を表1に示す。なお、表1中のIACSは、標準焼きなまし銅線に対する(標準焼きなまし銅線を100%としたときの)電気伝導率(%)を示している。
また、実施例1〜4および比較例1〜4にかかる評価サンプルの基材部分から、JIS14B号試験片(全長100mm、全幅20mm、焦点距離28mm、平行部の長さ36mm、幅8mm、板厚3mm)を切り出してテストピースとし、引張試験を行った。さらに、評価サンプルの基材部分の硬度を、全自動マイクロビッカース硬さ試験器(FM-700、(株)フューチュアテック製)にて、荷重100gf、保持時間10秒で測定した(測定数;5)。結果を表1に示す。なお、引張強度と硬度については、実測値に加え、基材であるA6053−T6またはSS400の引張強度と硬度に対する保持率も併せて示す。
さらに、実施例1および比較例2の評価サンプルについて、基材と金属皮膜との接合界面をSEMで観察した。図8および図9に観察結果を示す。図8は、本発明の実施例1にかかる評価サンプルの界面を含む断面図を説明する図である。図9は、本発明の比較例2にかかる評価サンプルの界面を含む断面図を説明する図である。
表1に示すように、リン含有量が0.002質量%以上0.016質量%未満の実施例1〜4の電気伝導率は、リン含有量が0.016質量%の比較例1および2の電気伝導率と比して大きい。銅粉末中のリン量を0.002質量%以上0.0016質量%未満とすることで良好な電気伝導率を有する金属皮膜が得られる。また、リン含有量が0.016質量%であって、熱処理を行った比較例2では、リン含有量が同一で熱処理を行わない比較例1より熱伝導率は向上するものの、引張強度および硬度が著しく低下する。また、熱処理を行った比較例2では、図8に示すように、基材10と金属皮膜11との界面に厚さRが3μmの金属間化合物12層が生じた。これは図7に示す実施例1と比較して非常に大きかった(実施例1の金属間化合物12の厚さは1μm未満)。
上述した実施の形態は、本発明を実施するための例にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明は、仕様等に応じて種々変形することが可能であり、更に本発明の範囲内において、他の様々な実施の形態が可能であることは、上記記載から自明である。
以上のように、本発明にかかる導電部材、ガス絶縁開閉装置用導電部材およびガス絶縁開閉装置用導電部材の製造方法は、熱処理を別途施すことなく、熱伝導性、電気伝導性および機械特性に優れた導電部材、特にガス絶縁開閉装置用導電部材を得るのに有用である。
1、1A ガス絶縁開閉装置用導電部材
1B 導電部材
10、10A、10B 基材
11,11A、11B 金属皮膜
12 金属間化合物
20 コールドスプレー装置
21 ガス加熱器
22 スプレーガン
23 粉末供給装置
24 ガスノズル

Claims (9)

  1. アルミニウムまたはアルミニウム合金、鉄または鉄合金からなる基材と、
    リンを0.002質量%以上0.016質量%未満の割合で含む銅粉末を用いて形成され、前記基材上に積層されてなる金属皮膜と、
    を備え、前記基材と前記金属皮膜との界面が塑性変形していることを特徴とする導電部材。
  2. 前記金属皮膜を形成する銅粉末は、積層方向に扁平した状態で積層されてなることを特徴とする請求項1に記載の導電部材。
  3. 前記基材の引張強度は、前記基材を構成する材料の引張強度の90%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の導電部材。
  4. アルミニウムまたはアルミニウム合金、鉄または鉄合金からなる基材と、
    リンを0.002質量%以上0.016質量%未満の割合で含む銅粉末を用いて形成され、前記基材の周囲に積層されてなる金属皮膜と、
    を備え、前記基材と前記金属皮膜との界面が塑性変形していることを特徴とするガス絶縁開閉装置用導電部材。
  5. 前記金属皮膜を形成する銅粉末は、積層方向に扁平した状態で積層されてなることを特徴とする請求項4に記載のガス絶縁開閉装置用導電部材。
  6. 前記基材の引張強度は、前記基材を構成する材料の引張強度の90%以上であることを特徴とする請求項4または5に記載のガス絶縁開閉装置用導電部材。
  7. リンを0.002質量%以上0.016質量%未満の割合で含む銅粉末を、前記銅粉末の融点より低い温度に加熱されたガスと共に加速し、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる基材の周囲に固相状態のままで吹き付けて堆積させて金属皮膜を形成することを特徴とするガス絶縁開閉装置用導電部材の製造方法。
  8. 前記銅粉末は、600℃以上に加熱されたガスと共に加速されることを特徴とする請求項7に記載のガス絶縁開閉装置用導電部材の製造方法。
  9. 前記銅粉末は、平均粒径が5μm〜80μmであることを特徴とする請求項7または8に記載のガス絶縁開閉装置用導電部材の製造方法。
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