JP2017035036A - 酸性乳濁調味料 - Google Patents

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Abstract

【課題】架橋澱粉を用いる調味料であって、低脂質含量の酸性乳濁調味料において、乳化様の白濁感、食味と滑らかな物性を有する酸性乳濁調味料の提供。
【解決手段】脂質含量が10質量%以下、タンパク質含量が0.5〜5質量%である酸性乳濁調味料において、澱粉粒の体積平均粒子径が5〜8μm未満である米由来の架橋澱粉と、体積平均粒子径が5〜20μmである微結晶セルロース、及び/又は発酵セルロースとを含有し、微結晶セルロース及び/又は発酵セルロースの合計含有量1質量部に対する米由来の架橋澱粉の含有量が10〜100質量部であり、25℃における粘度が0.1〜10Pa・sである、酸性乳濁調味料。微結晶セルロース及び/又は発行セルロースの含有量が0.01〜2質量%未満であり、更にデキストリンを0.01〜1質量%含有する、酸性乳濁調味料。
【選択図】なし

Description

本発明は、低脂質含量でありながら乳化様の白濁感、食味と滑らかな物性を有する酸性乳濁調味料に関する。
近年、健康志向により低カロリーの食品の需要が高まっていることから、ドレッシング等の液状調味料においても、低カロリーの商品が求められている。乳化状ドレッシングのような乳化状調味料は、油と水が乳化状態にあることによって特有の白濁感、コク味やボディ感を有している。乳化状調味料のカロリーを下げるには、配合されている食用油脂を減らすことが考えられるが、単に食用油脂を減らしたのでは、乳化状態を維持することができず、分離状ドレッシングあるいは透明ですっきりとした味わいのノンオイルドレッシングのような食味となってしまい、乳化状調味料に特有の白濁感、コク味やボディ感において乳化状調味料と同等であるとは言い難いものである。
これまで解決方法として、特定の粒子径で膨潤度が低い架橋澱粉を配合することで、調味料の白濁感を増す方法が研究されている(特許文献1、2)。
しかしながらこれらの方法では、前記架橋澱粉は膨潤度が低く抑えられているため、水への親和性が低下しているためか沈降しやすいとの問題がある。沈降を抑える方法としては、ガム質等の増粘剤により、液状調味料全体の粘度を上げる方法がある。しかし、十分な効果が期待できるほど添加すると、食感が糸曳き性やブヨブヨした物性のものとなり、好ましくないため、架橋澱粉を配合した液状調味料の食味と物性には更なる検討の余地があった。
特開2005−295821号公報 特開2013−138687号公報
本発明は、低脂質含量の酸性乳濁調味料において、乳化様の白濁感、食味と滑らかな物性を有する酸性乳濁調味料を提供する。
本願発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、意外にも、澱粉粒が特定の大きさの粒子径の米由来の架橋澱粉と、特定の大きさの粒子径の微結晶セルロース、及び/又は発酵セルロースを含有し、前記米由来の架橋澱粉と前記微結晶セルロース、及び/又は発酵セルロースを特定の比率で含有させることによって、脂質含量が低いにも関わらず、乳化様の白濁感、食味と滑らかな物性が生み出されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)脂質含量が10質量%以下、タンパク質含量が0.5質量%以上5質量%以下である酸性乳濁調味料において、
澱粉粒の体積平均粒子径が5以上8μm未満である米由来の架橋澱粉と、
体積平均粒子径が5以上20μm以下である微結晶セルロース、及び/又は発酵セルロースとを含有し、
微結晶セルロース及び/又は発酵セルロースの合計含有量1質量部に対する米由来の架橋澱粉の含有量が10質量部以上100質量部以下であり、
25℃における粘度が0.1Pa・s以上10Pa・s以下である、
酸性乳濁調味料、
(2)(1)に記載の酸性乳濁調味料において、微結晶セルロース及び/又は発酵セルロースの合計含有量が0.01質量%以上2質量%未満である、
酸性乳濁調味料、
(3)(1)又は(2)に記載の酸性乳濁調味料において、デキストリンを0.01質量%以上1質量%以下含有する、
酸性乳濁調味料、
(4)(1)乃至(3)のいずれかに記載の酸性乳濁調味料において、米由来の架橋澱粉100質量部に対して、α化澱粉を1質量部以上40質量部以下含有する、
酸性乳濁調味料、
である。
本発明によれば、低脂質含量でありながら乳化様の白濁感、食味と滑らかな物性を有する酸性乳濁調味料を提供できる。これにより、低カロリーの健康志向ニーズに応えながらも乳化状調味料のような白濁感、コク味、ボディ感という食味を兼ね備えた酸性乳濁調味料を提供できる。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明において、格別に断らない限り、「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」を意味する。
<本発明の特徴>
本発明の酸性乳濁調味料は、澱粉粒の体積平均粒子径が5以上8μm未満である米由来の架橋澱粉及び、体積平均粒子径が5以上20μm以下である微結晶セルロース、及び/又は発酵セルロースを特定の比率で含有することによって、低脂質含量でありながら乳化様の白濁感、食味と滑らかな物性を有することを特徴とする。
<酸性乳濁調味料>
本発明の酸性乳濁調味料は、脂質含量が10%以下、タンパク質含量が0.5質量%以上5質量%以下に調整された液状調味料である。本発明の酸性乳濁調味料は、常温流通を可能ならしめるためにpHを4.6以下に調整された調味料である。このような本発明の酸性乳濁調味料としては、具体的には、例えば、ノンオイルドレッシング等のノンオイル調味料が挙げられる他、ソース類、タレ類などが含まれる。なお、本発明における液状調味料にはマヨネーズやマヨネーズ様食品のように半固体状調味料は含まない。本発明の酸性乳濁調味料は油脂含量が10%以下と少ないため、低オイルの酸性乳濁調味料とすることができる。また、本発明の酸性乳濁調味料は脂質含量を3%未満とすることができる。3%未満の場合は栄養表示基準制度に基づきノンオイルの酸性乳濁調味料とすることができる。ノンオイルの調味料は一般的に透明度が高いため、本発明の効果を奏し易い。
<米由来の架橋澱粉>
本発明の酸性乳濁調味料は、米由来の架橋澱粉を含有する。架橋澱粉は原料澱粉を架橋剤で化学的に架橋した澱粉である。架橋澱粉を含有することによって酸性乳濁調味料の白濁感を増し、乳化様の外観とすることができる。食品に用いることができる架橋澱粉としては、例えばアセチル化アジピン酸架橋澱粉、アセチル化リン酸架橋澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、リン酸架橋澱粉、リン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いるとよい。例えばリン酸架橋澱粉は、原料澱粉をトリメタリン酸ナトリウムやオキシ塩化リンでエステル化して得ることができる。リン酸架橋澱粉は、澱粉の分子内または分子間の水酸基が架橋しているために糊化が抑制されている特徴を有する。特に高架橋のリン酸架橋澱粉は、澱粉粒の膨潤が強く抑制され、粘度が低下する傾向があるため、本発明に用いるのに好適である。
<米由来の架橋澱粉の粒子径>
本発明の酸性乳濁調味料に含有される米由来の架橋澱粉の澱粉粒の粒子径は、体積平均粒子径が5以上8μm未満である。
米由来の架橋澱粉の澱粉粒の体積平均粒子径が前記範囲であることによって、乳化状調味料のような白濁感、コク味やボディ感のある食味を付与することができる。米由来の架橋澱粉の澱粉粒の体積平均粒子径は、さらに、下限値は6μm以上とすることができる。
前記範囲よりも体積平均粒子径が大きい場合、例えば特開2005−295821号公報に記載されている8μm以上の粒子径の澱粉を使用するような場合は乳化状調味料のような白濁感、コク味やボディ感のある食味を付与する効果が十分に発揮されにくい可能性がある。一方、前記範囲よりも体積平均粒子径が小さいと沈降量が多くなる等の問題を生じる恐れがある。
<微結晶セルロース、発酵セルロース>
本発明の酸性乳濁調味料は、微結晶セルロース、及び/又は発酵セルロースを含有する。メカニズムは不明であるが、微結晶セルロース、及び/又は発酵セルロースを後述する特定の米由来の架橋澱粉との比率で含有させることによって、ガム質等の配合によって生じやすくなる糸曳き性やブヨブヨした物性を改善することができる。
<微結晶セルロースの粒子径>
本発明に用いる微結晶セルロースは、体積平均粒子径が5以上20μm以下である。
微結晶セルロースの体積平均粒子径が米由来の架橋澱粉と近い前記範囲であることによって、糸曳き性やブヨブヨした物性を抑制しながらも乳化状調味料のような白濁感、コク味やボディ感のある食味を付与することができる。微結晶セルロースの体積平均粒子径は、さらに、下限値は6μm以上、7μm以上、上限値は15μm以下、10μm以下とすることができる。
<平均粒子径の測定方法>
本発明に用いる米由来の架橋澱粉の澱粉粒、微結晶セルロースの体積平均粒子径は、レーザー回析式粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
本発明において米由来の架橋澱粉の澱粉粒の体積平均粒子径は、無水換算で3%の水懸濁液を加熱し、85℃に到達後、85℃で10分間保持した後、30℃まで放冷したときの測定値である。微結晶セルロースの体積平均粒子径は、無水換算で5%の水懸濁液を1400rpmで2分間攪拌を行った後、測定したときの測定値である。
<微結晶セルロース及び/又は発酵セルロースに対する米由来の架橋澱粉の含有量>
本発明の酸性乳濁調味料は、微結晶セルロース及び/又は発酵セルロースの合計含有量1部に対する米由来の架橋澱粉の含有量が10部以上100部以下である。微結晶セルロース及び/又は発酵セルロースの合計含有量1部に対する米由来の架橋澱粉の含有量が前記範囲であることによって、ガム質等の配合によって生じやすくなる糸曳き性やブヨブヨした物性を改善することができる。微結晶セルロース及び/又は発酵セルロースの合計含有量1部に対する米由来の架橋澱粉の含有量は、さらに上限値は15部以上、20部以上、下限値は90部以下、80部以下、70部以下とすることができる。
<微結晶セルロース、発酵セルロースの含有量>
本発明の酸性乳濁調味料における微結晶セルロース、及び/又は発酵セルロースの合計含有量は、後述する米由来の架橋澱粉との比を満たすように含有させればよく特に限定されないが、0.01%以上2%未満とすることができる。さらに、下限値は0.05%以上、0.1%以上、上限値は1.5%以下、1%以下、0.8%以下とすることができる。
前記範囲よりも含有量が多いと、粉っぽい食感になってしまい風味の面で好ましくない可能性がある。また、前記範囲よりも含有量が少ないと、糸曳き性やブヨブヨした物性を改善する効果が十分に発揮されない可能性がある。
<米由来の架橋澱粉の含有量>
本発明の酸性乳濁調味料における米由来の架橋澱粉の含有量は、上述の微結晶セルロース、及び/又は発酵セルロースに対する比を満たすように含有させればよく特に限定されないが、下限値は0.5%以上、1%以上、2%以上、3%以上、上限値は5%以下、4%以下、とすることができる。
前記範囲よりも含有量が多いと、架橋澱粉のザラザラした食感が酸性乳濁調味料の食感に影響を及ぼす可能性がある。一方、前記範囲よりも含有量が少ないと十分に効果が発揮されない可能性がある。
<ガム質>
本発明の酸性乳濁調味料はガム質を含有することができる。ガム質を含有することによって、液体調味料の物性が糸曳き性やブヨブヨした物性となる問題を生じやすいため、本願発明の効果を奏しやすい。ガム質としては、例えば、キサンタンガム、ジェランガム、カラギーナン、ローカストビーンガム、タラガム、グアガム、アラビアガム、タマリンドガム、サイリュームシードガム、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、コンニャクマンナン等が挙げられる。ガム質の含有量は0.05%以上1%以下とすることができる。さらに下限値は0.1%以上、0.2%以上、上限値は0.9%以下、0.8%以下、0.5%以下とすることができる。ガム質の含有量が前記範囲よりも少ないと、本願発明の糸曳き性やブヨブヨした物性を改善する効果を奏しにくい可能性がある。一方前記範囲よりも多いと、糸曳き性やブヨブヨした物性が強くなりすぎ本願発明の効果が得られにくい可能性がある。
<デキストリン>
本発明の酸性乳濁調味料は、デキストリンを含有することができる。デキストリンを含有することによって、米由来の架橋澱粉や微結晶セルロースの粒子が凝集しにくくなり、糸曳き性やブヨブヨした物性を改善する効果に繋がると考えられる。デキストリンの含有量は、0.05%以上とすることができる。また、さらに下限値は0.1%以上、上限値は5%以下、3%以下、1%以下とすることができる。
<α化澱粉>
本発明の酸性乳濁調味料は、α化澱粉を含有することができる。α化澱粉は、澱粉粒子を膨潤させ(一部は粒子が崩壊し)粘性を持った透明または半透明の澱粉糊液としたものを乾燥させたもので、冷水で容易に膨潤溶解する特性を有する。本発明の酸性乳濁調味料にα化澱粉を含有させることによって、米由来の架橋澱粉の小さな粒子がα化澱粉の粒子の間に入り込むことで、沈降しにくくする効果があると考えられる。α化澱粉はその種類によって限定するものではなく、例えば、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ(例えば、スイートコーン由来、デントコーン由来、ワキシーコーン由来)、タピオカ澱粉、サゴ澱粉、甘藷澱粉、小麦澱粉、および米澱粉のいずれのものでもよい。また、α化処理の他に架橋等の化学的処理を施した加工澱粉であってもよい。本発明の効果を奏し易い点から本発明の酸性乳濁調味料に用いるα化澱粉はコーンスターチの加工澱粉とすることができる。含有量は下限値は0.01%以上、0.05%以上、上限値は10%以下、8%以下とすることができる。
<粘度>
本発明の酸性乳濁調味料の粘度は、25℃における粘度が0.1Pa・s以上10Pa・s以下である。さらに下限値は0.5Pa・s以上、0.9Pa・s以上、1Pa・s以上、上限値は8Pa・s以下、7Pa・s以下、6Pa・s以下、5Pa・s以下とすることができる。粘度が前記範囲であることによって、本願発明の効果を奏し易い。粘度が前記範囲よりも高いと糸曳き性やブヨブヨした物性が強くなりすぎ本願発明の効果が得られにくい可能性がある。一方、粘度が前記範囲よりも低いと架橋澱粉の沈降量が多くなる等の問題を生じる恐れがある。
<粘度の測定方法>
酸性水中油型乳化調味料の粘度の測定方法は、BH形粘度計を使用し、品温25℃、回転数10rpmの条件で、粘度が0.7Pa・s未満のとき:ローターNo.1、0.7Pa・s以上2.8Pa・s未満のとき:ローターNo.2、2.8Pa・s以上7Pa・s未満のとき:ローターNo.3、7Pa・s以上28Pa・s未満のとき:ローターNo.4、28Pa・s以上のときローターNo.5を使用し、測定開始後ローターが2回転した時の示度により算出した値である。
<脂質含量の測定方法>
本発明の酸性乳濁調味料の脂質含量は、常法により測定すればよく、ソックスレー抽出法にて測定することができる。
<タンパク質含量の測定方法>
本発明の酸性乳濁調味料のタンパク質含量は、常法により測定すればよく、ケルダール法にて測定することができる。
<白濁感>
本発明の酸性乳濁調味料は、米由来の架橋澱粉を含有することによって乳化状調味料のような白濁感を有することを特徴とする。具体的に白濁感は、酸性乳濁調味料が乳化様に見える程度であればよく、その指標としては酸性乳濁調味料を100倍希釈した時の濁度が25度以上とすることができる。さらに50度以上とすることができる。
<濁度の測定方法>
白濁感の指標として測定する濁度は、上水試験法中の積分球式光電光法に基づいた濁度計を用いて測定することができる。積分球式光電光法による濁度は、濁度=「拡散透過率」/「全光透過率」×100で表すことができる。単位は「度」で表され、ポリスチレン系粒子懸濁液を標準液とした。測定には5mmのセルを用いた。なお、酸性乳濁調味料はあらかじめ100倍希釈し目開き150μmのふるいを通した液の濁度を測定する。
<食用油脂>
本発明の酸性乳濁調味料は、10%未満の脂質を含有し、脂質源として食用油脂を含有することができる。食用油脂としては、例えば、食用植物油脂(例えば、大豆油、紅花油、ひまわり油、コーン油、オリーブ油、グレープシード油、ごま油、綿実油、シソの実油、アマニ油)、魚油、肝油、さらにはエステル交換した油脂やジグリセライドを主に含む油脂が挙げられ、これらを単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。 本発明の酸性乳濁調味料に用いる食用油脂は、本発明の効果を奏し易い点で食用植物油脂とすることができる。また、ノンオイルの調味料とするために、食用油脂を含有しないとすることができる。
<他の成分>
本発明の酸性乳濁調味料には、上述した原料の他に、本発明の効果を損なわない範囲で酸性乳濁調味料に一般的に使用されている原料を適宜選択し配合することができる。
このような原料としては、例えば、食酢、食塩、醤油、澱粉分解物、デキストリンアルコール、オリゴ糖、オリゴ糖アルコール等の糖類、グルタミン酸ナトリウム、核酸系旨味調味料、柑橘果汁等の各種調味料、からし粉、胡椒等の香辛料、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、リゾレシチン等の乳化材、アスコルビン酸、ビタミンE等の酸化防止剤、色素、加工澱粉、ゴマ、タマネギ、チーズ、キノコ、ナッツ類等の各種具材等が挙げられる。
<酸性乳濁調味料の製造方法>
本発明の酸性乳濁調味料の製造は、一般的な酸性乳濁調味料の製造方法に準じて行うことができる。
例えば、一般的に酸性乳濁調味料の原料として使用されている、食酢、ショ糖、食塩、各種エキス、清水、乳化剤、増粘剤等から本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択し、これらに米由来の架橋澱粉、微結晶セルロース又は発酵セルロースを加えて常法に準じて水相原料液を調製した後、必要に応じて食用油脂を注加して製造すればよい。
[実施例1]<酸性乳濁調味料の調製>
配合1の酸性乳濁調味料を調製した。すなわち、撹拌タンクに醤油、砂糖、食酢、米由来の架橋澱粉、いり胡麻、食塩、キサンタンガム、微結晶セルロース、デキストリン、α化澱粉、甘味料、うま味エキス及び清水を投入して均一に混合することにより全体を均一に混合し、70℃に加熱し、70℃で5分間加熱殺菌を施した後、PET容器に250mL容量ずつ充填して密栓し、酸性乳濁調味料を製した。なお、実施例1の酸性乳濁調味料の粘度は1Pa・s以上5Pa・s以下の範囲内であった。100倍希釈時の濁度は50度以上であった。
平均粒子径は、粒度分布径MT3300EXII(日機装株式会社製)を用いて段落0017記載の測定条件で測定した体積平均粒子径である。濁度はWA 2000N (日本電色工業株式会社)を用いて段落0029に記載の測定条件で測定した。
<配合1>
醤油 10 %
砂糖 10 %
食酢(酸度5%) 7 %
米由来の架橋澱粉(平均粒子径7μm) 3.5 %
いり胡麻 4 %
食塩 3 %
キサンタンガム 0.3 %
微結晶セルロース(平均粒子径9μm) 0.15%
デキストリン 0.4 %
α化澱粉 0.6 %
甘味料 0.5 %
うま味エキス 0.5 %
清水 残余
[実施例2]<酸性乳濁調味料の調製>
配合2の酸性乳濁調味料を調製した。すなわち、撹拌タンクに砂糖、食酢、チーズ、米由来の架橋澱粉、食塩、キサンタンガム、微結晶セルロース、デキストリン、α化澱粉、甘味料、及び清水を投入して均一に混合することにより全体を均一に混合し、70℃に加熱し、70℃で5分間加熱殺菌を施した後、PET容器に250mL容量ずつ充填して密栓し、酸性乳濁調味料を製した。実施例1の酸性乳濁調味料の粘度は1Pa・s以上5Pa・s以下の範囲内であった。100倍希釈時の濁度は50度以上であった。
<配合2>
砂糖 5 %
食酢(酸度5%) 5 %
チーズ 5 %
米由来の架橋澱粉(平均粒子径7μm) 4.5 %
食塩 3 %
キサンタンガム 0.3 %
微結晶セルロース(平均粒子径9μm) 0.12%
デキストリン 0.3 %
α化澱粉 0.3 %
甘味料 0.5 %
清水 残余
[実施例3]
配合1の微結晶セルロースを発酵セルロース0.055%に変更した以外は実施例1と同様にして、実施例3の酸性乳濁調味料を調製した。なお、実施例3の水中油型乳化食品の粘度は1Pa・s以上5Pa・s以下の範囲内であった。100倍希釈時の濁度は50度以上であった。
[比較例1]
配合1の米由来の架橋澱粉を配合しない以外は実施例1と同様にして、比較例1の酸性乳濁調味料を調製した。なお、実施例1の酸性乳濁調味料の粘度は1Pa・s以上5Pa・s以下の範囲内であった。100倍希釈時の濁度は20度未満であった。
[比較例2]
配合1の微結晶セルロースを配合しない以外は実施例1と同様にして、比較例2の酸性乳濁調味料を調製した。なお、比較例2の酸性乳濁調味料の粘度は1Pa・s以上5Pa・s以下の範囲内であった。100倍希釈時の濁度は50度以上であった。
[比較例3]
配合1の微結晶セルロース(平均粒子径9μm)を平均粒子径の大きい27μmのものに変更した以外は実施例1と同様にして、比較例3の酸性乳濁調味料を調製した。なお、比較例3の酸性乳濁調味料の粘度は1Pa・s以上5Pa・s以下の範囲内であった。100倍希釈時の濁度は50度以上であった。
[比較例4]
配合1の米由来の架橋澱粉(澱粉粒の平均粒子径7μm)を澱粉粒の平均粒子径の大きい27μmのものに変更した以外は実施例1と同様にして、比較例4の酸性乳濁調味料を調製した。なお、比較例4の酸性乳濁調味料の粘度は1Pa・s以上5Pa・s以下の範囲内であった。濁度は25度以上50度未満であった。
[比較例5]
配合1の米由来の架橋澱粉と微結晶セルロースの含有量を表1に記載のとおり変更した以外は実施例1と同様にして、比較例5の酸性乳濁調味料を調製した。なお、比較例5の酸性乳濁調味料の粘度は1Pa・s以上5Pa・s以下の範囲内であった。100倍希釈時の濁度は50度以上であった。
[比較例6]
配合1の米由来の架橋澱粉と微結晶セルロースの含有量を表1に記載のとおり変更した以外は実施例1と同様にして、比較例6の酸性乳濁調味料を調製した。なお、比較例6の酸性乳濁調味料の粘度は1Pa・s以上5Pa・s以下の範囲内であった。100倍希釈時の濁度は50度以上であった。
[試験例]
実施例1〜3及び比較例1〜6の酸性乳濁調味料の状態を以下の評価方法及び評価基準にしたがって行った。結果を表1に示す。
<評価方法>
実施例1〜3、比較例1〜6の酸性乳濁調味料を5℃で5日間保管した後の風味、外観、物性を目視にて確認した。なお、乳化タイプの酸性乳濁調味料である深煎りごまドレッシング(キユーピー(株)製)を対照として評価を行った。
<物性の評価方法>
酸性乳濁調味料を高さ15cmから皿に流し出し、流れ出る酸性乳濁調味料の糸曳き性、ブヨブヨ感の有無を確認し、対照と比較した。
<評価基準>
○:乳化タイプと同様の風味、外観、物性を有する
△:乳化タイプ様の外観を有するが、糸曳きやブヨブヨ感があり乳化タイプとは物性が異なる
×:白濁感がなく分離しているように見える又は風味が明らかに乳化タイプとは異なる
表1の結果より、体積平均粒子径が5以上8μm未満である米由来の架橋澱粉及び、
体積平均粒子径が5以上20μm以下である微結晶セルロース、又は発酵セルロースを含有し、微結晶セルロース又は発酵セルロース1部に対する米由来の架橋澱粉の含有量が10部以上100部以下であり、25℃における粘度が0.1Pa・s以上10Pa・s以下である、実施例1〜3は、乳化タイプの酸性液状調味料同様の風味、外観、物性を有し、低脂質含量でありながら乳化様の食味と滑らかな物性を有していることが示された。
[実施例4]<酸性乳濁調味料の調製>
配合3の酸性乳濁調味料を調製した。すなわち、撹拌タンクに醤油、砂糖、食酢、米由来の架橋澱粉、いり胡麻、食塩、キサンタンガム、微結晶セルロース、甘味料、うま味エキス及び清水を投入して均一に混合することにより水相を調製した。次に、ミキサーに、得られた水相を投入し、撹拌しながら油相であるサラダ油を注加して乳化処理した。全体を均一に混合し、70℃に加熱し、70℃で5分間加熱殺菌を施した後、PET容器に250mL容量ずつ充填して密栓し、酸性乳濁調味料を製した。実施例4の酸性乳濁調味料の粘度は1Pa・s以上5Pa・s以下の範囲内であった。100倍希釈時の濁度は50度以上であった。
<配合3>
醤油 10 %
砂糖 10 %
食酢(酸度5%) 7 %
サラダ油 5 %
米由来の架橋澱粉(平均粒子径7μm) 3.5 %
いり胡麻 4 %
食塩 3 %
キサンタンガム 0.3 %
微結晶セルロース(平均粒子径9μm) 0.12%
デキストリン 0.4 %
α化澱粉 0.6 %
甘味料 0.5 %
うま味エキス 0.5 %
清水 残余
実施例4の酸性乳濁調味料についても試験例と同様の方法で状態の確認を行ったところ、実施例1と同等に乳化タイプの調味料に特有の外観と物性を有していた。

Claims (4)

  1. 脂質含量が10質量%以下、タンパク質含量が0.5質量%以上5質量%以下である酸性乳濁調味料において、
    澱粉粒の体積平均粒子径が5以上8μm未満である米由来の架橋澱粉と、
    体積平均粒子径が5以上20μm以下である微結晶セルロース、及び/又は発酵セルロースとを含有し、
    微結晶セルロース、及び/又は発酵セルロースの合計含有量1質量部に対する米由来の架橋澱粉の含有量が10質量部以上100質量部以下であり、
    25℃における粘度が0.1Pa・s以上10Pa・s以下である、
    酸性乳濁調味料。
  2. 請求項1に記載の酸性乳濁調味料において、
    微結晶セルロース、及び/又は発酵セルロースの合計含有量が0.01質量%以上2質量%未満である、
    酸性乳濁調味料。
  3. 請求項1又は2に記載の酸性乳濁調味料において、
    デキストリンを0.01質量%以上1質量%以下含有する、
    酸性乳濁調味料。
  4. 請求項1乃至3に記載の酸性乳濁調味料において、
    米由来の架橋澱粉100質量部に対して、α化澱粉を1質量部以上40質量部以下含有する、
    酸性乳濁調味料。
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