JP2017034454A - 電子部品及び電子部品の製造方法 - Google Patents

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Atsushi Kamijo
敦 上條
山口 寛
Hiroshi Yamaguchi
寛 山口
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Abstract

【課題】水晶片に密着層を介して銀を主材料とする励振電極が設けられ、当該励振電極を削ることにより周波数調整がされた水晶振動子を容器に気密に封止した電子部品において、周波数の経時変化を抑制する。【解決手段】水晶片10に密着層4、Biからなる下地層及び主電極層300をこの順に積層して水晶振動子を構成し、水晶振動子を容器に固定するにあたって導電性接着剤を加熱硬化させ、下地層のBiを主電極層300中に拡散させる。その後、当該励振電極31、32の表面を削ることにより周波数調整を行った後、容器を加熱封止し、主電極層300の表面に近傍のBiのリッチな層を偏析させる。従って周波数調整後に、励振電極31、32の表面にBiの層51が形成された状態とする。【選択図】図9

Description

本発明は、銀電極を備えた圧電振動子を容器に気密に封止した電子部品に関する。
圧電振動子、例えばATカット水晶振動子をセラミックパッケージに搭載した振動子パッケージは、小型、高精度、高安定であることから、移動体通信端末をはじめとする様々な周波数制御デバイスとして広範に使用されている。表面実装型水晶振動子(SMD水晶振動子)は、以下のようにセラミックパッケージに水晶振動子が気密封止された構造を有する。即ち水晶振動子は、短冊状に切り出された水晶片の両主面の対向する位置に、励振電極とこの励振電極から水晶片端部に向かって延伸された引出電極とが形成され、該水晶振動子の引出電極とセラミックパッケージ(ベース)内の引き回し配線端子が導電性接着剤等を用いて導通固定され、該セラミックパッケージ(ベース)と、セラミックや金属製のリッドを低融点ガラスあるいは金属シール材料により気密に封止されている。封止に用いる低融点ガラスや金属シール材料の種類によるが、気密封止工程においては、水晶振動子や振動子パッケージが300〜400℃の高温状態に置かれる。
電極材料としては、蒸着法やスパッタ法により形成した金(Au)や銀(Ag)が使用されている。Au電極の水晶振動子は高い長期周波数安定性を有するものの材料コストが高いという問題がある。一方で、Ag電極の水晶振動子では、Au電極に比べ安価ではあるものの、長期周波数安定性(エージング特性)が劣っているという問題がある。
純Ag電極の水晶振動子における周波数の経時変化は、気密封止工程時の熱によりAgが凝集することが原因と考えられる。即ち、パッケージ内壁や接着剤、封止雰囲気からのガスの吸着や酸化による励振電極の質量変化が知られているが、凝集によりAg電極の表面積が増加し、ガスの吸着や表面酸化量が増えたことが周波数変動の原因であると推定される。
純Ag薄膜における凝集を抑えるためには、微量金属の添加が有効であることが知られている。例えば特許文献1では、ビスマス(Bi)及び、またはアンチモン(Sb)を合計で0.005〜0.40%(原子%:構成原子数を100%としたときの当該原子の数の%)含有するAg基合金が開示されている。また一方特許文献2では、インジウム(In)を0.1〜1.8原子%含有し、残部がAg及び不可避不純物からなる成分組成のAg−In合金が開示されている。いずれもAgの凝集による光の反射率劣化を抑えることを目的とした特許であるが、添加した金属(Bi、SbあるいはIn)を薄膜表面上に偏析層として析出させ、該表面偏析層が大気中の酸素に曝されることによって安定した酸化膜が形成されることで凝集が抑制され、反射率劣化が防止できるというものである。
特許文献1ないし2のAg基合金を水晶振動子の電極に用いた場合、以下のような問題がある。即ち水晶振動子の製造に際しては、電極膜をイオンビームやレーザーによって削ることによって、振動子の共振周波数を調整する工程があるために特許文献1や特許文献2のようなAg合金を水晶振動子電極として用いると、凝集抑制として形成されている表面偏析層が周波数調整時に削り取られてしまい、凝集抑制の効果が大きく低下してしまい、経時変化による周波数変動が小さくならない。
特開2004−139712号 特開2014−19932号
本発明はこのような事情の下になされたものであり、その目的は、圧電片に密着層と銀を材料とする主電極層とがこの順で積層された励振電極が設けられ、当該励振電極を削ることにより周波数調整がされた圧電振動子を容器に気密に封止した電子部品において、周波数の経時変化を抑制する技術を提供することにある。
本発明の電子部品は、圧電片に密着層と、銀を主材料とする主電極層と、をこの順で積層した励振電極が設けられ、当該励振電極を削ることにより周波数調整がされた圧電振動子を容器に気密に封止して構成された電子部品において、
予め前記主電極層と前記密着層との間に設けられ、銀に対して共晶を形成する金属からなる下地層の少なくとも一部が主電極層に拡散され、前記周波数調整後に主電極層の表面に前記金属が偏析した状態となっていることを特徴とする。
また本発明の電子部品は、前記銀に対して共晶を形成する金属は、イットリウム、セリウム、銅、シリコン、ゲルマニウム、鉛及びビスマスから選ばれる金属であることを特徴としてもよい。
本発明の電子部品の製造方法は、銀を主材料とする励振電極が圧電片に設けられた圧電振動子を容器に気密に封止して構成された電子部品の製造方法において、
圧電片に密着層と、銀に対して共晶を形成する金属からなる下地層と、銀を主材料とする主電極層と、をこの順で積層する積層工程と、
その後主電極層の表面を削って圧電振動子の周波数調整を行う工程と、
次に圧電振動子を加熱して、前記金属が主電極層の表面に偏析した状態になった励振電極を得る工程と、を含むことを特徴とする。
また本発明の電子部品の製造方法は、前記積層工程の後、圧電振動子の周波数調整を行う工程の前に、圧電振動子を導電性接着剤により容器に固定し、導電性接着剤を加熱して硬化させる工程を含み、
前記導電性接着剤の加熱により、下地層の少なくとも一部が主電極層中に拡散し、当該主電極層に拡散した前記金属が、前記周波数調整後の圧電振動子の加熱により主電極層の表面に偏析してもよく、前記周波数調整後に圧電振動子を加熱する工程は、容器を気密に封止するために加熱する工程であることを特徴としてもよい。
本発明は、圧電振動子を容器に気密に封止して構成された電子部品において、圧電片に密着層、銀と共晶となる金属からなる下地層及び銀からなる主電極層をこの順に積層し、主電極層の表面を削ることにより周波数調整した後、主電極層を加熱し、励振電極の表面に前記金属を偏析させて励振電極を構成している。そのため励振電極の表面の凹凸が少なくなり、ガスの吸着や酸化が抑制されるため、圧電振動子の周波数の経時変化を抑制することができる。
本発明の実施の形態に係る電子部品を示す分解斜視図である。 本発明の実施の形態に係る水晶振動子を示す平面図である。 本発明の実施の形態に係る水晶振動子を示す断面図である。 積層体を拡大した断面図である。 AgとBiの関係を示す相図である。 成膜処理後の主電極層を示す説明図である。 導電性接着剤の加熱後の主電極層を示す説明図である。 電極表面のエッチング後の主電極層を示す説明図である。 容器の気密封止後の主電極層を示す説明図である。 サンプル1に係るオージェ電子深さ方向分析スペクトルを示す特性図である。 サンプル2に係るオージェ電子深さ方向分析スペクトルを示す特性図である。 サンプル3に係るオージェ電子深さ方向分析スペクトルを示す特性図である。 実施例2に係る水晶振動子の周波数の経時変化を示す特性図である。 比較例2に係る水晶振動子の周波数の経時変化を示す特性図である。
本発明の実施の形態に係る電子部品である振動子パッケージについて説明する。図1に示すように振動子パッケージは、容器2と、水晶振動子1と、を備えている。容器2は、上方が開口し、概略箱形に形成されたセラミック製のベース体20と、ベース体20の開口を塞ぐセラミック製の蓋体21と、を備えている。ベース体20の内側底面には、ベース体20の底面下面側に設けられた図示しない電極パッドに電気的に接続された電極22が形成されている。
水晶振動子1は、図2、図3に示すように短冊状に切り出されたATカットの水晶片10の一面側の主面及び他面側の主面に励振電極31、32が互いに対向するように設けられている。一面側の励振電極31の一部には、水晶片10の一方側の周縁に向かって引き出されるように引き出し電極33の一端が接続されており、引き出し電極33の他端は、水晶片10の一方側の側面を介して水晶片10の他面側の一方側周縁に引き回され、電極端35が形成されている。また他面側の励振電極32の一部にも一方側の周縁に向かって引き出されるように引き出し電極34の一端が接続され、引き出し電極34の他端側は、水晶片10の他面側の一方側周縁に引き回され、電極端36が形成されている。
励振電極31、32について振動子パッケージの製造方法に沿って説明する。引き出し電極33、34及び電極端35、36についても励振電極31、32と同様の工程により形成されるが、励振電極31、32を例にとって説明する。図4に示すように、水晶片10の表面及び裏面にクロム(Cr)からなる密着層4、Biからなる下地層5及びAgあるいはAgを主体とするAg基合金からなる主電極層30がこの順に積層された積層体が設けられる。密着層4の膜厚は特に限定されないが、0.5〜10nmの範囲内であれば十分な密着性が得られる。下地層5の膜厚は特に限定されないが、0.5〜50nmの範囲内であればよい。AgあるいはAgを主成分とするAg基合金で構成された主電極層30の膜厚は、水晶振動子1の特性を左右し、水晶振動子1のサイズや共振周波数などの振動子特性によって決定される。典型的には100〜数100nmである。密着層4、下地層5及びAgあるいはAgを主成分とするAg基合金の主電極層30は抵抗加熱式の蒸着法、電子ビーム式の蒸着法、スパッタ法などにより成膜される。密着層4は、例えばチタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ニッケルタングステン(NiW)、アルミニウム(Al)などでもよい。この時主電極層30を構成するAgの層と、下地層5を構成するBiの層とが、接しているため図5に示すようにBiの原子50がAgあるいはAgを主成分とするAg基合金層の結晶粒界を通じて拡散する。
続いて図1に示すようにベース体20側の電極22と、水晶振動子1の電極端35、36とを導電性接着剤6により電気的に接続する。その後例えば200℃で30分加熱することにより導電性接着剤6が硬化し、水晶振動子1がベース体20に固定される(導電性接着剤6を硬化する加熱工程)。
ここで主電極層30の主成分であるAgと、下地層5の主成分であるBiと、は図6に示すように共晶となる相図を持っており、262.5℃以下においては、Ag、Bi共に略固体で存在している。そのため主電極層30に拡散したBiの原子50がAgあるいはAgを主成分とするAg基合金層の結晶粒内には拡散しにくく、AgとBiとは、分離しやすい性質がある。従って導電性接着剤6を硬化する加熱工程において、水晶振動子1が加熱されたとき図7に示すように、主電極層30中に下地層5の拡散がさらに進み、一部は、主電極層30の表面に偏析すると共に、表面のBiが偏析した層よりも深い層において、Biがリッチになった状態となっている。また下地層5は、ほぼ全て主電極層30中に拡散してしまい、消失してしまう。その後イオンビームあるいはレーザーにより、主電極層30の表面を削って、水晶振動子1の共振周波数が調整される。なお水晶片10の他面側の主電極層30の表面は水晶片10を透過したレーザー等により削られる。この時図8に示すように主電極層30においては、表層側に偏析したBiの原子50の一部も除去される。
続いて図1に示すように蓋体21の下面側の周縁に低融点ガラスあるいは金属シール材などの接着剤23を塗布し、窒素ガス雰囲気下において、当該蓋体21をベース体20の周壁上面に載置し、例えば360℃、30分の熱処理を行い、容器2を気密に封止する(容器2を気密封止する加熱工程)。この時の加熱処理により、主電極層30において、周波数調整前に表面のBiが偏析した層より深いところに形成されたBiのリッチな層が更に偏析する。この結果、図9に示すように水晶片10上に密着層4、表面にBiの層51が形成された主電極層300がこの順に形成され、励振電極31、32が形成されることになる。
Agは、水晶に対して密着性が低く、水晶片10上に直接AgあるいはAgを主成分とするAg基合金からなる主電極層30を設けたときに主電極層30が剥離しやすくなる。そのため密着層4を設けることにより、下地層5が主電極層30中に拡散し、徐々に薄い層となったとき、あるいは下地層5がすべて主電極層30中に拡散したときに主電極層30が水晶片10上に密着層4を介して形成されるため、主電極層30の剥離を抑制することができる。
背景技術に述べたようにAgは、加熱により凝集する性質がある。そのため、容器2を気密に封止するために加熱をしたときに、Agの凝集により励振電極31、32の表面の凹凸が大きくなり表面積が大きくなる。この結果、励振電極31、32の表面にガスが吸着しやすくなり、表面の酸化量が多くなり、水晶振動子1の周波数が変化しやすくなる。
一方Biは、酸化しやすい性質があるため励振電極31、32表面に偏析したBiの層51の最表面は、Bi酸化物で覆われる。この表面酸化膜の存在により、表面にBiの層51が形成された励振電極31、32は、容器2を気密に封止するために加熱をしたときに、表面の凹凸が小さくなり、表面積が小さくなる。従って励振電極31、32の表面のガスの吸着が抑制され、表面の酸化量が少なくなり、水晶振動子1の周波数の経時変化が抑制される。
上述の実施の形態は、水晶振動子1を容器2に気密に封止して構成された振動子パッケージにおいて、水晶片10に密着層4、Biからなる下地層5及び主電極層30をこの順に積層して水晶振動子1を構成し、水晶振動子1を容器2に固定するにあたって導電性接着剤6を加熱硬化させ、下地層5中のBiを主電極層30中に拡散させている。その後、主電極層30の表面を削ることにより周波数調整を行った後、容器2を加熱封止し、主電極層30の表面にBiを偏析させている。従って周波数調整後に主電極層30の表面にBiの層51が形成された励振電極31、32が得られる。そのため励振電極31、32の表面の凹凸が少なくなり、ガスの吸着や酸化が抑制されるため、水晶振動子1の周波数の経時変化を抑制することができる。
また上述の実施の形態においては、下地層5となるBiのほぼすべてが主電極層30に拡散するものとして説明したが、一部のBiが拡散せずに主電極層300の下層に残っていたとしても同様の効果を得ることができる。
また下地層5に用いる金属は、主電極層30として使用するAgに対して共晶を形成する金属であればよいが、更に主電極層30として用いる金属と、下地層5として用いる金属と、は、互いに単独で金属状態であった方が共晶が安定して形成されるためより好ましい。従ってAgを励振電極31、32の主材料として用いる場合に、下地層5として、Y(イットリウム)、セリウム(Ce)、銅(Cu)、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、鉛(Pb)などを用いることができる。
また圧電片はATカットの水晶片10に限らず、DTカットなどの異なるカットの水晶片であってもよく、タンタル酸リチウムや、ニオブ酸リチウムなどで構成された圧電体を用いてもよい。
[実施例1]
水晶振動子1に励振電極31、32を形成し、一面側の励振電極31の深さ方向における原子の組成比について調べた。ATカットの水晶片10に密着層4となるCrを2nm、下地層5となるBiを10nm、Agで構成された主電極層30を250nmの順にスパッタ法により成膜した。その後、実施の形態に示した導電性接着剤6の加熱硬化する工程と同様に200℃で30分加熱を行い、続いて励振電極31、32の表面にイオンビームを照射し、表面をエッチングした。更にその後、実施の形態に示した容器2の気密封止の加熱工程と同様に360℃で30分加熱した。密着層4、下地層5及び主電極層30を積層した直後の積層体をサンプル1とし、200℃で30分加熱を行った直後で、積層体の表面をエッチングする前の励振電極31、32をサンプル2、360℃で30分加熱後の積層体をサンプル3とした。サンプル3は、本発明の実施の形態で得られる励振電極31、32に相当する。
サンプル1〜3の夫々の深さ方向におけるオージェ電子分析を行い、Ag、Bi、O(酸素)、Siの各原子の比率を調べた。図10〜図12はこの結果を示し、夫々サンプル1〜3におけるエッチング時間(励振電極31、32の表面からの深さ)に対するAg、Bi、O、Siの各原子の構成比率を示す特性図である。なお励振電極31、32中にSiが拡散しているように見えるが、オージェ電子分析におけるSiのバックグラウンドレベルが組成にして10原子%程度ある。そのためSiの比率が10原子%以下であるということは、励振電極31、32中にSiが拡散していないことを示す。即ち水晶片10のSiは励振電極31、32中には拡散していないと言える。
図10に示すようにサンプル1の成膜直後においては、既に下地層5が主電極層30中に拡散し始めている。図11に示すようにサンプル2の周波数調整前においては、Biの原子50の拡散がさらに進み、一部は主電極層30の電極表面に偏析すると共に、表面偏析層よりも深いところにおいてBiがリッチになった状態が実現している。また密着層4上に形成した下地層5は、ほぼすべてが主電極層30に拡散して、消失している。そして図12に示すサンプル3の気密封止後の状態においては、周波数調整前に表面偏析層の下にあったBiのリッチな層がなくなり、周波数調整後における主電極層30の表面に偏析している。周波数調整の際にサンプル2における表面偏析層と、Biがリッチな層の一部と、がエッチング除去されるが、Biがリッチな層の残った部分が360℃で30分加熱により、主電極層30の表面に偏析したと考えられる。
[実施例2]
ATカット水晶片10上に、実施例2としてCrで構成された厚さ2nmの密着層4、Biで構成された厚さ10nmの下地層5、Agで構成された厚さ250nmの主電極層30を下層側からこの順で積層した27MHzの水晶振動子と、比較例2として、Crで構成された厚さ2nmの密着層と、Agのみで構成した主電極層とを、下層側からこの順で積層した27MHzの水晶振動子と、を形成した。実施例2及び比較例2となる水晶振動子をシリコーン系導電性接着剤によりセラミックの容器に搭載し、200℃で30分加熱して導電性接着剤を硬化させて水晶振動子を固定した。その後励振電極の表面をイオンビームによりエッチングを行い周波数の調整を行った後、窒素雰囲気下で低融点ガラスを用いて容器を360℃で30分の加熱処理により気密封止して振動子パッケージとした。
その後実施例2に係る振動子パッケージ及び比較例2に係る振動子パッケージを各々10個ずつ85℃の温度条件下にて保管し、実施例2に係る振動子パッケージについては、1日、2日、4日、8日、11日、21日及び31日経過後に発振周波数Faを測定した。また比較例2に係る振動子パッケージについては、1日、2日、5日、8日、11日、21日、31日及び41日経過後に発振周波数Faを測定した。実施例2及び比較例2の各々において、0日目の周波数Fに対する周波数差ΔF(=Fa−F)を求め、周波数変動量(ΔF/F)を求めた。なお高温環境保管下における水晶振動子の周波数変動は、エージング劣化と呼ばれる現象であるが、エージング劣化は保管温度が高い程、周波数変動量が大きくなる、いわゆる熱活性過程であり、85℃にて21日間保管後の周波数変動量は室温(25℃)にて1年間経過したときの周波数変動量に相当する。実施例2及び比較例2における水晶振動子の周波数変動量の経時変化について図示の便宜上各10個のデータの内、各3個を代表して周波数変動量の経時変化を図13(実施例2)及び図14(比較例2)に示す。
実施例2における水晶振動子は、21日経過時点において、10個の振動子パッケージの平均周波数変動量は、−2.3ppmであり、各々の振動子パッケージ間の周波数変動量のばらつきは、±0.7ppmであった。一方比較例2における水晶振動子は、21日経過時点において、10個の振動子パッケージの平均周波数変動量は、−3ppmであり、各々の振動子パッケージ間の周波数変動量のばらつきは、±2.0ppmであった。更に実施例2においては21日目以降において、周波数変動量や周波数変動量のばらつきが変動していないが、比較例2においては、周波数変動量及び周波数変動量のばらつきは共に大きくなっていた。
この結果によれば、実施例2における水晶振動子は、比較例2における水晶振動子よりも、各々の振動子パッケージ間において、経時変化に伴う周波数変動量のばらつきが小さいことが分かる。これは、実施例2においては、励振電極の表面にBiが偏析しており、このBiの層により、ガスの吸着や酸化が抑制され経時変化が小さくなったと推察される。
1 水晶振動子
2 容器
4 密着層
5 下地層
6 導電性接着剤
10 水晶片
30 主電極層
31、32 励振電極
50 Biの原子
51 Biの層

Claims (5)

  1. 圧電片に密着層と、銀を主材料とする主電極層と、をこの順で積層した励振電極が設けられ、当該励振電極を削ることにより周波数調整がされた圧電振動子を容器に気密に封止して構成された電子部品において、
    予め前記主電極層と前記密着層との間に設けられ、銀に対して共晶を形成する金属からなる下地層の少なくとも一部が主電極層に拡散され、前記周波数調整後に主電極層の表面に前記金属が偏析した状態となっていることを特徴とする電子部品。
  2. 前記銀に対して共晶を形成する金属は、イットリウム、セリウム、銅、シリコン、ゲルマニウム、鉛及びビスマスから選ばれる金属であることを特徴とする請求項1記載の電子部品。
  3. 銀を主材料とする励振電極が圧電片に設けられた圧電振動子を容器に気密に封止して構成された電子部品の製造方法において、
    圧電片に密着層と、銀に対して共晶を形成する金属からなる下地層と、銀を主材料とする主電極層と、をこの順で積層する積層工程と、
    その後主電極層の表面を削って圧電振動子の周波数調整を行う工程と、
    次に圧電振動子を加熱して、前記金属が主電極層の表面に偏析した状態になった励振電極を得る工程と、を含むことを特徴とする電子部品の製造方法。
  4. 前記積層工程の後、圧電振動子の周波数調整を行う工程の前に、圧電振動子を導電性接着剤により容器に固定し、導電性接着剤を加熱して硬化させる工程を含み、
    前記導電性接着剤の加熱により、下地層の少なくとも一部が主電極層中に拡散し、当該主電極層に拡散した前記金属が、前記周波数調整後の圧電振動子の加熱により主電極層の表面に偏析することを特徴とする請求項3記載の電子部品の製造方法。
  5. 前記周波数調整後に圧電振動子を加熱する工程は、容器を気密に封止するために加熱する工程であることを特徴とする請求項3または4に記載の電子部品の製造方法。
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