以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係る音声メッセージ提供装置を含む通信システムのシステム構成を示す図である。図1に示す通信システム1は、所謂留守番電話サービスを提供するシステムである。通信システム1では、発側の通信端末2から着側の通信端末3に対して発信したが何らかの理由により着側の通信端末3との通話ができない場合に、通信事業者側で発側の通信端末2からの着側の通信端末3のユーザを宛先とした音声メッセージを留守電サーバに格納すると共に、着側の通信端末3のユーザ(宛先ユーザ)宛の音声メッセージを格納したことを当該通信端末3に対して通知する。そして、着側の通信端末3から送信される音声メッセージの提供要求に応じて、通信端末3のユーザに対して音声メッセージを提供する。
なお、着側の通信端末3のユーザに対する音声メッセージの提供とは、音声接続により着側の通信端末3が留守電サーバ10に対して音声接続し、通信端末3のユーザが留守電サーバ10側で再生された音声メッセージを聴くこと、及び、通信端末3が留守電サーバ10から音声メッセージに対応した音声データを取得すること、が含まれる。いずれかの方法により、着側の通信端末3のユーザは、発側の通信端末2からの音声メッセージを聴くことができる。
発側の通信端末2及び着側の通信端末3は、それぞれユーザによって使用される端末装置であり、例えば、スマートフォン、タブレット等によって実現される。通信端末2,3は、それぞれ回線交換網N1、パケット交換網N2及びインターネットN3等に接続可能であり、これらの通信網を介して通信システム1と通信を行うことで、音声通信等の所望の処理を実行することができる。
通信システム1は、留守電サーバ10、SMSC(Short Message Service Center)20、交換機30、SMS−IWMSC(Interworking MSC for Short Message Service)40、及びHLR/HSS(Home Location Register/Home Subscriber Server)50を含んで構成される。なお、図1では、留守電サーバ10及びSMSC20は1つのブロックで表示している。
上記の通信システム1に含まれる各装置は、それぞれ、図2に示すように、CPU101、主記憶装置であるRAM(Random Access Memory)102及びROM(Read Only Memory)103、通信を行うための通信モジュール104、並びにハードディスク等の補助記憶装置105等のハードウェアを備えるコンピュータとして構成される。そして、これらの構成要素が動作することにより、各装置の機能が発揮される。
図1に戻り、通信システム1における留守電サーバ10は、発側の通信端末2のユーザからの音声メッセージを保存(格納)し、着側の通信端末3からの要求に応じて着側の通信端末3のユーザに対して音声メッセージを提供する機能を有する。すなわち、留守電サーバ10は、本実施形態における音声メッセージ提供装置である。留守電サーバ10は、例えば通信事業者毎に設けられ、当該通信事業者が提供する留守番電話サービスの利用契約を行っているユーザを宛先とした場合に限り音声メッセージを格納可能であることが一般的であるが、このような構成に限定されるものではない。
SMSC20は、留守電サーバ10からの指示に基づいて、音声メッセージを格納したことを宛先ユーザが保持する着側の通信端末3に対してSMS(Short Message Service)により通知する機能を有する。
交換機30は、発側の通信端末2からの要求に基づいて、伝送路間の接続を切り替える機能を有する。交換機30と発側の通信端末2との間は、回線交換網N1を介して接続される。
SMS−IWMSC40は、SMSC20からのSMS送信指示に基づいて、SMSを着側の通信端末3が在圏する通信網の交換機に対して送信する機能を有する。
HLR/HSS50は、通信事業者が提供する通信を利用する加入者情報の管理を行うサーバである。また、HLR/HSS50は、加入者が契約しているサービス等の情報を併せて保持し、サービス利用に係る認証に係る処理を行う機能を有する。本実施形態に係る通信システム1の場合、HLR/HSS50は、留守電サーバ10を利用する留守番電話サービスの利用に係る認証用の情報を保持する。
次に、通信システム1において従来行われている処理について及び従来技術における問題点について説明する。
上述したように、通信システム1は、留守番電話サービスを提供するシステムである。発側の通信端末2は、着側の通信端末3に対して交換機30を経て発信する。このとき、何らかの理由により発側の通信端末2と着側の通信端末3との間で通話ができない場合に、発側の通信端末2のユーザが録音操作をすることにより、留守電サーバ10では着側の通信端末3のユーザ宛の音声メッセージを録音し、保存(格納)する。留守電サーバ10に格納される発側の通信端末2からの音声メッセージにおける宛先ユーザは、着側の通信端末3を使用するユーザとなる。
留守電サーバ10では、発側の通信端末2からの録音操作により、着側の通信端末3のユーザ宛の音声メッセージを格納すると、通信端末3に対して、音声メッセージが格納されたことを、留守番電話サービスにおける音声メッセージの再生に係るアプリケーション(音声再生アプリ)を制御するSMS(制御SMS)により通知する。音声再生アプリとは、留守番電話サービスを利用する通信端末に通常インストールされているアプリケーションであり、ユーザによるアンインストールが制限されている場合も多い。したがって、音声再生アプリが通信端末において利用できない状況は基本的に発生しない。
着側の通信端末3では、制御SMSを取得することにより、留守電サーバ10に自端末のユーザ宛の音声メッセージが格納されていることを把握することができる。したがって、着側の通信端末3は、留守電サーバ10に対して音声メッセージの提供要求を送信することで、宛先ユーザである着側の通信端末3のユーザへの音声メッセージを留守電サーバ10から受けることができる。
音声メッセージの提供について、従来は、着側の通信端末3が留守電サーバ10に対して音声接続し、留守電サーバ10が格納していた音声メッセージを再生することにより行われていた。これに対して、近年では留守電サーバ10に格納されている音声メッセージに対応した音声データを着側の通信端末3に対して提供する方法が提案されている。なお、本実施形態における音声データとは、音声メッセージを着側の通信端末3に対して送信可能なデータ形式に変換したデータファイルのことを指す。
この場合、着側の通信端末3は、パケット交換網N2又はインターネットN3を介して、留守電サーバ10から音声データを取得する。したがって、着側の通信端末3のユーザは、留守電サーバ10において再生された音声メッセージを聴くのではなく、留守電サーバ10から取得した音声データを着側の通信端末3において再生することで音声メッセージを聴くことができる。したがって、ユーザが音声メッセージを繰り返し聴きたい場合等に留守電サーバ10に再度接続する必要がなくなり、また、着側の通信端末3において音声データ自体の転送等も行うことができるため、ユーザにおける利便性が高められる。また、留守電サーバ10側でも、着側の通信端末3に対して送信した音声データの管理を終了することも可能となる。
留守電サーバ10から着側の通信端末3への音声データによる音声メッセージの提供は、上記のように音声通信を用いることなく行われるため、従来の音声接続による音声メッセージの提供に用いられる音声通話に係るアプリケーションとは異なるアプリケーション(メッセージダウンロードアプリ)が用いられる。通信端末において用いられるアプリケーションが異なるため、当該アプリケーションの動作を制御するための制御SMSは、音声再生アプリ用の制御SMSとは異なるものとなる。
ここで、着側の通信端末3のユーザ宛の音声メッセージを留守電サーバ10が格納した場合に、留守電サーバ10では着側の通信端末3における利便性を高める目的から、メッセージダウンロードアプリを利用した音声データの取得を促す通知(例えば、図1に示すように「録音あり、ダウンロードアプリでダウンロードをしてください」とユーザによる操作を指示する通知)を着側の通信端末3宛に送信する。これにより、着側の通信端末3では、留守電サーバ10に自端末宛の音声メッセージが格納されたことを知ることができる。この場合、ユーザが通信端末3を操作せずにメッセージダウンロードアプリによって音声データの取得を能動的に行う構成とすることもできる。メッセージダウンロードアプリによって音声データの取得を能動的に行う場合には、音声データの取得に係るユーザの操作を必要としないので、音声メッセージの提供に係るユーザの利便性がさらに高められる。
ただし、留守電サーバ10からのメッセージダウンロードアプリを利用した音声データの取得を促す通知は、メッセージダウンロードアプリに対応した制御SMSである。したがって、着側の通信端末3においてメッセージダウンロードアプリを利用している場合には正常に動作するが、着側の通信端末3がメッセージダウンロードアプリを利用していない(インストールしていない又はインストール後に削除した)場合、メッセージダウンロードアプリに対応した制御SMSを着側の通信端末3に対して送信したとしても、正常に動作しないことが考えられる。着側の通信端末3がメッセージダウンロードアプリを保持していない場合、着側の通信端末3では、留守電サーバ10に自端末のユーザ宛の音声メッセージが格納されたことを把握することができず、表示等によって自端末のユーザに対して通知することもできない可能性がある。
従来のシステム構成では、着側の通信端末3においてメッセージダウンロードアプリを利用しているかどうかを留守電サーバ10側では把握していないため、着側の通信端末3において用いられているアプリケーションに対応した制御SMSを着側の通信端末3に対して送信することができていなかった。着側の通信端末3における利便性を高めつつ、着側の通信端末3に対して留守電サーバ10に自端末のユーザを宛先ユーザとした音声メッセージが格納されたことを通知するためには、音声再生アプリ用の制御SMS及びメッセージダウンロードアプリ用の制御SMSの両方を送信する方法もある。しかしながら、留守電サーバ10において音声メッセージを格納する毎に制御SMSを2通送信する構成とすると、通信量が増大する。また、メッセージダウンロードアプリを保持していない着側の通信端末3がメッセージダウンロードアプリ用の制御SMSを受信すると、着側の通信端末3において予期しない動作が引き起こされることも可能性として存在する。
これに対して、本実施形態に係る通信システム1では、留守電サーバ10において、音声メッセージに対応する音声データをダウンロードするためのアプリケーションの利用状態を特定する情報をユーザ毎に保持し、この情報に基づいて、宛先ユーザ(ここでは、着側の通信端末3のユーザ)への音声メッセージが格納されたことを通知する方法を選択する。また、利用状態を特定する情報が正確ではない場合であっても、着側の通信端末3のユーザに対する音声メッセージの提供状況に応じて通知方法を変更する等、留守電サーバ10に格納された音声メッセージをより利便性の高い状態で宛先のユーザに対して提供することを実現する。以下、本実施形態に係る通信システム1における特徴を有する装置である留守電サーバ10を中心に具体的に説明する。
まず、図3を参照しながら、留守電サーバ10及びSMSC20について説明する。
図3に示すように、留守電サーバ10は、利用開始処理部11、ユーザ認証部12、音声メッセージ格納部13(音声メッセージ格納手段)、ユーザ情報格納部14(利用状態格納手段)、録音処理部15、録音通知部16(通知方法選択手段、通知手段)及び音声メッセージ提供部17(音声メッセージ提供手段)を含んで構成される。
利用開始処理部11は、留守電サーバ10を利用した留守番電話サービスを利用開始した場合に係る各種処理を行う機能を有する。特に、留守番電話サービスを利用する通信端末が、メッセージダウンロードアプリを利用開始した場合には、当該情報を取得する機能も有する。利用開始処理部11において取得した通信端末に係る情報は、ユーザ情報格納部14に格納される。
ユーザ認証部12は、留守番電話サービスの利用に際して、宛先端末である着側の通信端末が留守番電話サービスを利用可能であるかを確認する所謂ユーザ認証処理を行う機能を有する。ユーザ認証部12では、ユーザ情報格納部14で格納された情報及びHLR/HSS50に格納された情報を基に、当該ユーザによる留守番電話サービスの利用可否について判断する。
音声メッセージ格納部13は、発側の通信端末2からの着側の通信端末3宛の音声メッセージを格納する機能を有する。発側の通信端末2のユーザによる音声メッセージの録音に関して、発側の通信端末2との間で音声通信を行う必要があるが、音声通信については後述の録音処理部15により行われる。音声メッセージ格納部13に格納される音声メッセージには、宛先ユーザ(着側の通信端末3のユーザ)を特定する情報(例えば、電話番号)と、格納された日時(録音日時)を特定する情報とが対応付けられる。なお、音声メッセージに対応した音声データを生成して併せて格納する構成としてもよい。
ユーザ情報格納部14は、留守番電話サービスの利用者に関する情報を格納する機能を有する。特に、本実施形態に係る留守電サーバ10では、メッセージダウンロードアプリの利用状態に係る情報を格納することを特徴とする。
ユーザ情報格納部14に格納されるメッセージダウンロードアプリの利用状態を特定する情報の例を図4に示す。図4では、メッセージダウンロードアプリを利用するユーザを特定する情報に対して、各ユーザの利用状態を特定する情報が対応付けられている。ユーザを特定する情報としては、例えば、電話番号等を用いてもよい。また、利用状態を特定する情報としては1〜3の何れかの値が選択して入力されている。図4に示す表は、通信端末のユーザから留守電サーバ10に対して、メッセージダウンロードアプリの利用開始を通知した際に、当該通信端末に係る情報(行)が追加作成される構成とすることができる。
利用状態を特定する情報に入力された1〜3の値が何を指し示すかを図5に示す。図5に示すように、利用状態「1」とは、現在そのユーザがメッセージダウンロードアプリを利用しておらず(メッセージダウンロードアプリ非活性)、音声再生アプリを利用している(音声再生アプリ活性)状態であることを示す。したがって、利用状態が「1」であるユーザに対して音声メッセージを提供する場合には、留守電サーバ10において音声メッセージを再生することを示している。したがって、当該通信端末宛の音声メッセージの録音があった場合には、音声再生アプリ用の制御SMSを通信端末に対して送信する。
利用状態「2」とは、現在そのユーザがメッセージダウンロードアプリを利用している(メッセージダウンロードアプリ活性)状態であることを示す。したがって、利用状態が「2」であるユーザに対して音声メッセージを提供する場合には、留守電サーバ10から当該ユーザの通信端末に対して音声データを送信することを示している。したがって、当該通信端末宛の音声メッセージの録音があった場合には、メッセージダウンロードアプリ用の制御SMSを通信端末に対して送信する。
利用状態「3」とは、現在そのユーザがメッセージダウンロードアプリを利用しているかどうかが不明であることを示す。したがって、利用状態が「3」であるユーザに対して音声メッセージを提供する場合の提供方法を留守電サーバ10では特定できない状況である。このような状況が起こり得るのは、例えば、メッセージダウンロードアプリを通信端末がインストールして利用開始した後に、何らかの理由で当該アプリをアンインストールした場合等である。
利用状態が「3」であるユーザ宛の音声メッセージの録音があった場合の通知方法としては、当該ユーザの使用する通信端末に対して、アプリケーションと連動しないテキストSMSを送信する方法と、音声再生アプリ用制御SMS及びメッセージダウンロードアプリ用制御SMSの両方を送信する方法と、が挙げられる。テキストSMSとは、テキストを通信端末に対して送信するSMSであり、アプリケーションとの連動等は行われない。また、テキストSMSは、通信端末においてテキストSMSを受信すると確実にユーザに対して表示をすることができる。なお、テキストSMSを通信端末に対して送信した後に、ユーザが留守電サーバ10からの音声メッセージの提供を受ける場合には、ユーザが通信端末を操作することでアプリケーションを立ち上げて操作する必要が生じる。音声再生アプリ用制御SMS及びメッセージダウンロードアプリ用制御SMSの両方を送信する方法の場合、ユーザの使用する通信端末においてメッセージダウンロードアプリが利用できない状態であったとしても、音声再生アプリ用制御SMSにより、ユーザに対して通知をすることができる。上記の2種類の通知方法のうちいずれの通知方法を採用するかは、留守電サーバ10の管理者によって予め設定することができる。
このように、図4に示す通信端末におけるメッセージダウンロードアプリの利用状態を特定する情報には、メッセージダウンロードアプリをインストールして利用を開始したユーザに関して、それぞれ実際にメッセージダウンロードアプリを利用しているか否かを特定する情報が対応付けられている。すなわち、図4に示す表には含まれていないが留守番電話サービスを利用可能なユーザは、メッセージダウンロードアプリをインストールして利用を開始した実績がないので、メッセージダウンロードアプリを利用していないと判断することができるため、そのようなユーザに対して音声メッセージを格納したことを通知する場合には、音声再生アプリ用の制御SMSを送信する。
なお、図4に示すようにメッセージダウンロードアプリをインストールして利用を開始したユーザの情報のみを格納する構成に代えて、留守番電話サービスを利用する全ユーザについて、メッセージダウンロードアプリの利用状態を特定する情報を格納する構成としてもよい。
図3に戻り、録音処理部15は、発側の通信端末2のユーザによる音声メッセージの録音に係る処理を行う機能を有する。発側の通信端末2のユーザから宛先ユーザ(着側の通信端末3のユーザ)への音声メッセージは、音声メッセージ格納部13に格納される。
録音通知部16は、音声メッセージ格納部13に格納された音声メッセージについて、それぞれ宛先ユーザ(着側の通信端末3のユーザ)に対して、留守電サーバ10に音声メッセージが格納されたことを通知する機能を有する。この際に、録音通知部16では、ユーザ情報格納部14を参照して、ユーザに応じた通知方法を選択する。ユーザの通信端末に対する通知方法は、上述に示すように、利用状態に応じて図5に示すように定めてある。したがって、これに基づいて、通知方法を選択してSMSC20に対して選択した方法によるSMSの送信を指示することにより、ユーザに対して音声メッセージが格納されたことを通知する。また、録音通知部16から音声メッセージが格納されたことをSMSにより通知した後は、当該ユーザに係るタイマ管理を開始し、当該ユーザからの音声メッセージ提供要求があった場合には、音声メッセージ提供部17に対して音声メッセージの提供を指示する。
通常状態において、音声再生アプリ用の制御SMSを着側の通信端末3に対して送信した場合、着側の通信端末3からは、音声通信による音声メッセージの提供が要求される。また、メッセージダウンロードアプリ用の制御SMSを着側の通信端末3に対して送信した場合、着側の通信端末3からは、音声データの送信が要求される。
ただし、通信端末3におけるメッセージダウンロードアプリの利用状態が、ユーザ情報格納部14に格納されている状態から変化している場合には、通信端末3からの音声メッセージの提供要求が留守電サーバ10に対して送信されない可能性がある。そこで、録音通知部16では、録音通知部16から音声メッセージが格納されたことをSMSにより通知した時点から所定時間(例えば、数分〜数時間)のあいだに、通信端末3からの音声メッセージの提供要求を受信したかについて、タイマを利用して管理する。
所定時間経過したにもかかわらず留守電サーバ10において通信端末3からの音声メッセージの提供要求を録音通知部16において受信していない場合には、通信端末3におけるメッセージダウンロードアプリの利用状態が変化している可能性があると判断する。したがって、最初に通信端末3に対して通知した方法とは異なる方法により、録音通知部16から通信端末3に対して再度音声メッセージが格納されたことを通知する。具体的には、例えば、最初にメッセージダウンロードアプリ用の制御SMSを用いて通信端末3に対して通知したものの、通信端末3からの音声メッセージの提供要求を確認できない場合には、録音通知部16はテキストSMS等の他の方法により再度通信端末3に対して通知を行う。これにより、仮に通信端末3においてメッセージダウンロードアプリを利用していない場合であっても、通信端末3のユーザに対して音声メッセージが格納されたことを通知することが可能となる。なお、このような状況の場合には、ユーザ情報格納部14に格納された当該通信端末のユーザに係るメッセージダウンロードアプリの利用状態を「3」(不明)に変更することにより、次回以降の音声メッセージの送信の際に同様の問題が発生することを防ぐことができる。
また、着側の通信端末3からの音声メッセージの提供要求で指定された音声メッセージの提供の形式(音声再生又は音声データの送信)が、着側の通信端末3に対して送信したSMSに対応するものとは異なる可能性がある。これは、特にメッセージダウンロードアプリの利用状態が「3」であるユーザが使用する通信端末が着側の通信端末3である場合に発生することが考えられる事象である。また、メッセージダウンロードアプリの利用を開始した後に、何らかの理由で利用を止めていたことによりメッセージダウンロードアプリの利用状態が「1」(音声再生アプリ活性)として登録されているユーザが、通信端末3を操作してメッセージダウンロードアプリの利用を再開した場合にも発生することが考えられる。
このように、着側の通信端末3からの音声メッセージの提供要求により指定される音声メッセージの提供の形式が、留守電サーバ10から音声メッセージを格納したことを通知する際に選択した通知方法に対応した形式と異なる場合には、着側の通信端末3から指定された形式が当該ユーザにおける最新のメッセージダウンロードアプリの利用状態であるとして、ユーザ情報格納部14に格納された当該通信端末のユーザに係るメッセージダウンロードアプリの利用状態を更新する。
このように、録音通知部16は、着側の通信端末3におけるメッセージダウンロードアプリの利用状態に基づいて、音声メッセージを格納したことを通知する方法を選択して、通信端末3に対して通知する。また、通信端末3からの音声メッセージの提供要求がない場合には、通知方法を変更して再度通知する等、宛先ユーザである通信端末3のユーザに対して、音声メッセージを格納したことをより確実に通知する機能を有する。
音声メッセージ提供部17は、録音通知部16から音声メッセージが格納されたことが通知されたユーザの通信端末(例えば、着側の通信端末3)から、音声メッセージの提供が要求された場合に、録音通知部16からの指示に基づいて、要求された方法によって音声メッセージを提供する機能を有する。音声メッセージ格納部13において音声メッセージに対応した音声データを生成して格納する構成とは異なる場合、音声メッセージ提供部17が必要に応じて音声メッセージに対応した音声データを生成する構成としてもよい。
SMSC20は、SMS送信部21を備える。SMS送信部21は、留守電サーバ10の録音通知部16からの指示に基づいて、当該指示において指定された通知方法により、着側の通信端末3に対してSMS(音声再生アプリ用制御SMS、メッセージダウンロードアプリ用制御SMS又はテキストSMS)を送信する機能を有する。
次に、上記の留守電サーバ10による宛先ユーザへの音声メッセージの提供について、図6〜図8を参照しながら説明する。図6は、宛先となる宛先ユーザの使用する通信端末3がメッセージダウンロードアプリを利用開始する際の処理を説明するシーケンス図である。また、図7は、音声メッセージの録音があった場合の留守電サーバ10における音声メッセージの提供処理について説明するフロー図であり、図8は、音声メッセージの録音があった場合の音声メッセージの提供処理について説明するシーケンス図である。なお、図6及び図8のシーケンス図では、通信システム1を構成する各装置のうち、音声メッセージの提供に関与する留守電サーバ10、SMSC20及び着側の通信端末3以外の装置については記載を省略する。
まず、図6を参照しながら、ユーザの使用する着側の通信端末3がメッセージダウンロードアプリを利用開始する際の処理を説明する。通信端末3のユーザが通信端末3を操作することにより、通信端末3に対してメッセージダウンロードアプリをインストールする(S01)。その後、通信端末3においてメッセージダウンロードアプリを利用開始する際には、ユーザがアプリケーションの利用に伴う各種処理を許諾する処理を行い、これが利用開始の処理となる(S02)。通信端末3においてメッセージダウンロードアプリの利用開始に係る処理を行った場合には、留守電サーバ10に対してそのことが通知される。その結果、留守電サーバ10の利用開始処理部11では、当該通信端末3のユーザがメッセージダウンロードアプリの利用を開始したことを把握し、ユーザ情報格納部14に格納される利用状態を示す情報を更新し、通信端末3のユーザに係る情報を追加する(S03)。このとき、通信端末3のユーザに係るメッセージダウンロードアプリの利用状態は「2」(メッセージダウンロードアプリ活性)として登録される。以上の処理により、新しくメッセージダウンロードアプリを利用開始したユーザに関する利用状態の登録が行われる。
次に、特定のユーザを宛先とする音声メッセージが格納された場合の留守電サーバ10における処理について、図7を参照しながら説明する。
まず、録音処理部15が宛先ユーザを指定した音声メッセージを録音すると(S01)、当該音声メッセージは音声メッセージ格納部13に格納される。
録音通知部16は、宛先ユーザにおけるメッセージダウンロードアプリの利用状態を、ユーザ情報格納部14を参照して確認し、宛先ユーザにおけるメッセージダウンロードアプリの利用状態に基づいて、通知方法を決定する(S12)。その後、録音通知部16は、決定された通知方法に対応するSMS(制御SMS又はテキストSMS)の送信をSMSC20に指示する(S13)。SMSC20のSMS送信部21は、留守電サーバ10からの指示に基づいて、宛先ユーザの通信端末3に対してSMSを送信することで、音声メッセージを格納したことを通知する。
その後、SMSが通信端末3に対して送信されたことを完了すると、タイマを設定する(S14)。このタイマは、通信端末3に対して音声メッセージの提供が所定時間内に行われるか否かを判断する。
次に、録音通知部16において、所定時間以内に音声メッセージ提供が完了したかの判定を行い(S15)、音声メッセージを格納したことを通信端末3からの要求に基づいた音声メッセージを提供した場合(S15−YES)には、音声メッセージをどのような方式で提供したかに基づいて、ユーザ情報格納部14に格納された当該ユーザに係るメッセージダウンロードアプリの利用状態を必要に応じて変更した後に(S16)、処理を終了する。
また、タイマにより管理していた所定時間が経過して、音声メッセージを格納したことを通知した通信端末3からの要求がなく、当該通信端末3に対して音声メッセージを提供していない場合(S15−NO)には、ユーザ情報格納部14に格納された当該ユーザに係るメッセージダウンロードアプリの利用状態を「3」(不明)に変更すると共に、録音通知部16により、初回の制御SMSとは異なる通知方法としてテキストSMSを用いて再度通信端末3に対して通知を行う(S17)。なお、本実施形態では、初回の制御SMSとは異なる通知方法としてテキストSMSを通知する構成について説明するが、図5に示すように、2種類の制御SMSを同時に送信する構成にしてもよい。また、2種類の制御SMSのうち、メッセージダウンロードアプリの制御SMSを初回の制御SMSとして送信している場合には、2回目の制御SMSとして、音声再生アプリ用の制御SMSを送信する構成とすることもできる。
その後、テキストSMSにより音声メッセージを格納したことを通知した通信端末3からの音声メッセージの提供要求があるか否かを判定し(S18)、音声メッセージを格納したことを通知した通信端末3からの要求がない場合(S18−NO)には、ユーザ情報格納部14に格納された当該ユーザに係るメッセージダウンロードアプリの利用状態を「3」(不明)を変更せず(S19)、引き続き待機する。
一方、音声メッセージを格納したことを通知した通信端末3からの要求があった場合(S18−YES)には、当該音声メッセージの提供要求において指定される提供の形式に基づいた判断を行い(S20)、ユーザ情報格納部14に格納された当該ユーザに係るメッセージダウンロードアプリの利用状態を更新する。すなわち、通信端末3から音声再生による音声メッセージの提供要求が送信された場合(S20−NO)には、音声メッセージ提供部17による音声再生により通信端末3のユーザに対して音声メッセージの提供を行うと共にユーザ情報格納部14に格納された当該ユーザに係るメッセージダウンロードアプリの利用状態を「1」(音声再生アプリ活性)と更新する(S21)。また、通信端末3から音声データのダウンロード(送信)による音声メッセージの提供要求が送信された場合(S20−YES)には、音声メッセージ提供部17による音声データの送信により通信端末3のユーザに対して音声メッセージの提供を行うと共にユーザ情報格納部14に格納された当該ユーザに係るメッセージダウンロードアプリの利用状態を「2」(メッセージダウンロードアプリ活性)と更新する。以上により、音声メッセージの提供に係る処理が終了する。
なお、音声メッセージ提供部17による音声再生により通信端末3のユーザに対して音声メッセージの提供を行うと共にユーザ情報格納部14に格納された当該ユーザに係るメッセージダウンロードアプリの利用状態を「1」(音声再生アプリ活性)と更新する(S21)ことに代えて、当該ユーザに係るメッセージダウンロードアプリの利用状態を「3」(不明)のままとする構成とすることもできる。メッセージダウンロードアプリの利用状態を「1」(音声再生アプリ活性)とした場合は、留守電サーバ10が次に音声メッセージを格納した際に、音声再生アプリ用制御SMSが通信端末3に対して送信される。一方、メッセージダウンロードアプリの利用状態を「3」(不明)とした場合には、留守電サーバ10が次に音声メッセージを格納した際に、テキストSMSが通信端末3に対して送信される。音声再生アプリ用制御SMSを通信端末3に対して送信した場合には、テキストSMSを通信端末3に対して送信した場合と比較して、ユーザがメッセージダウンロードアプリを改めて利用可能な状態に変更する可能性が低くなる。そのため、ユーザの利便性を考慮して、メッセージダウンロードアプリの利用状態を「3」(不明)のままとしておくことも考えられる。このように、音声メッセージの提供方式の実績に伴いユーザ情報格納部14に格納された当該ユーザに係るメッセージダウンロードアプリの利用状態をどのように更新するかは、ユーザの利便性及び通信端末3との間の通信量等を考慮して、留守電サーバ10の管理者(例えば、通信事業者)が適宜選択することができる。同様に、通信端末3に対するテキストSMSの送信制御についても、留守電サーバ10の管理者(例えば、通信事業者)が適宜設定することができる。例えば、メッセージダウンロードアプリの利用状態が「3」(不明)である通信端末に対するテキストSMSの送信を1度限りとし、音声メッセージの格納毎にテキストSMSが送信されないような制御を行ってもよい。
図7で説明した特定のユーザを宛先とする音声メッセージが格納された場合の装置間の処理について、図8を参照しながら説明する。ここでは、着側の通信端末3が、一度メッセージダウンロードアプリを利用開始したものの、何らかの理由により現在ではメッセージダウンロードアプリを利用していない状態であるとする(S31)。また、留守電サーバ10側では、着側の通信端末3がメッセージダウンロードアプリを利用開始したことは把握しているが、その後メッセージダウンロードアプリを利用していない状態であることを把握していないとする。このような状況では、留守電サーバ10のユーザ情報格納部14に格納されている通信端末3のユーザに係るメッセージダウンロードアプリの利用状態は「2」(メッセージダウンロードアプリ活性)となる。
このときに、留守電サーバ10において、発側の通信端末2からの着側の通信端末3のユーザ宛の録音を受け付けて(S32)、音声メッセージを音声メッセージ格納部13に格納すると、ユーザ情報格納部14に格納されたメッセージダウンロードアプリの利用状態に基づいて、メッセージダウンロードアプリ用の制御SMSの送信の指示が録音通知部16からSMSC20へ送られ(S32)、SMSC20のSMS送信部21により、通信端末3に対して制御SMSが送信される(S33)。通信端末3における制御SMSの受信完了報告はSMSC20を経て留守電サーバ10に対して送信されるため(S34)、留守電サーバ10の録音通知部16では、SMSの受信完了を契機としてタイマをセットする(S35)。
上述のように、通信端末3では、メッセージダウンロードアプリを利用していない状態なので、メッセージダウンロードアプリ用の制御SMSを受信したとしても、メッセージダウンロードアプリによる音声データによるメッセージの提供要求は行われない。留守電サーバ10の録音通知部16でセットされたタイマは所定時間経過後にタイムアウトとなる。これにより、録音通知部16では、ユーザ情報格納部14に格納された通信端末3に係るメッセージダウンロードアプリの利用状態を「3」(不明)に変更する(S37)。
その後、留守電サーバ10の録音通知部16では、制御SMSとは異なる通知方法として、テキストSMSを用いて通知を行う(S38)。テキストSMSについても、SMSC20を経て通信端末3に対して送信され(S39,S40)、通信端末3において受信したことが受信完了報告として送信される(S41)。通信端末3において受信されたテキストSMSは、モニタに表示する等の方法により、通信端末3のユーザに通知される。
通信端末3では、テキストSMSを参照したユーザが通信端末3を操作することにより、音声メッセージの提供要求が留守電サーバ10に対して送信される(S42)。このとき、ユーザが通信端末3を操作して、メッセージダウンロードアプリを再度利用可能な状態にする場合もある。したがって、音声メッセージの再生又は音声データのダウンロードのいずれかで音声メッセージの提供を希望する。これに対して、留守電サーバ10の音声メッセージ提供部17では、通信端末3から送信される音声メッセージの提供要求に基づいて音声データを提供すると共に、通信端末3から送信される音声メッセージの提供要求に基づいて、ユーザ情報格納部14に格納された通信端末3に係るメッセージダウンロードアプリの利用状態を更新する(S44)。
以上のように、本実施形態に係る音声メッセージ提供装置である留守電サーバ10によれば、音声メッセージに対応した音声データをダウンロードするためのメッセージダウンロードアプリの利用状態を特定する情報をユーザ情報格納部14に格納しておき、宛先ユーザに対する音声メッセージを格納した際には、ユーザ情報格納部14に格納された情報を参照して通知方法を選択した上で、宛先ユーザの通信端末3に対して、音声メッセージが格納されたことが通知される。したがって、メッセージダウンロードアプリを利用しているユーザに対しては、音声メッセージに対応した音声データの取得を促す通知を送信することができると共に、メッセージダウンロードアプリを利用していないユーザに対しては異なる方法での音声メッセージの提供が可能となる。このように、本実施形態に係る留守電サーバ10によれば、自装置に格納された音声メッセージをより利便性の高い状態で宛先ユーザに対して提供することが可能となる。
また、留守電サーバ10では、宛先ユーザの通信端末3に対して音声メッセージを格納したことを通知した後に、通信端末3からの音声メッセージの提供要求を取得していない場合には、テキストSMSのように、最初の通知に用いられた宛先ユーザへの音声メッセージを格納したことを通知する方法とは異なる方法によって、宛先ユーザの通信端末3に対して音声メッセージを格納したことを再度通知する構成を備える。これにより、仮にユーザ情報格納部14に格納された情報を参照して選択した宛先ユーザの通信端末3への通知方法では、通信端末3に対して適切に通知をすることが出来なかった場合であっても代替の方法によって通信端末3に対して再度通知することができるため、より確実に宛先ユーザの通信端末3に対して音声メッセージを格納したことを通知することができる。
また、留守電サーバ10のユーザ情報格納部14では、通信端末3におけるメッセージダウンロードアプリの利用開始を示す情報の取得を契機として、当該通信端末3に係るメッセージダウンロードアプリの利用状態を特定する情報を格納する構成を備えることで、メッセージダウンロードアプリを利用している可能性のあるユーザの通信端末3に対してメッセージダウンロードアプリの利用を促すことができる。メッセージダウンロードアプリを利用することにより、音声メッセージの操作という観点でユーザの利便性が高まることから、音声メッセージをより利便性の高い状態で宛先ユーザに対して提供することが可能となる。
また、留守電サーバ10において、音声メッセージ提供部17は、宛先ユーザの通信端末3からの音声メッセージ提供要求における音声メッセージ及び音声データのどちらの提供を要求するかを特定する情報に基づいて、音声メッセージ又は音声データを宛先ユーザに対して提供する。さらに、留守電サーバ10では、前記音声メッセージ及び前記音声データのどちらを宛先ユーザに提供したかに基づいて、ユーザ情報格納部14における当該宛先ユーザに係るメッセージダウンロードアプリの利用状態を特定する情報を更新する構成を備える。これにより、ユーザ情報格納部14に格納されたメッセージダウンロードアプリの利用状態を特定する情報をより新しい情報に更新することができ、ユーザ情報格納部14に格納された情報に基づいて、音声メッセージをより利便性の高い状態で宛先ユーザに対して提供することが可能となる。
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で以下のような様々な変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、留守電サーバ10が一台の装置である場合について説明したが、本実施形態に係る音声メッセージ提供装置は複数台の装置を組み合わせたシステムによって構成されていてもよい。
また、上記実施形態で説明したユーザ情報格納部14に格納された情報の更新方法は、一例であり適宜変更することができる。すなわち、メッセージダウンロードアプリの利用状態を特定する情報の取得方法及びユーザ情報格納部14に格納された情報の更新方法は、上記実施形態に限定されない。