以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図5は、本実施の形態による有価媒体処理装置やこのような有価媒体処理装置による有価媒体処理方法を示す図である。このうち、図1は、本実施の形態における有価媒体処理装置の外観を示す斜視図であり、図2は、図1に示す有価媒体処理装置の内部構成を模式的に示す構成図である。また、図3は、図1等に示す有価媒体処理装置の制御系の構成を示す機能ブロック図であり、図4は、図1等に示す有価媒体処理装置による紙葉類の入金処理方法を示すフローチャートである。また、図5(a)は、本実施の形態における有価媒体処理装置の印刷部により商品券に印刷された消し込み印刷の内容を示す図である。なお、図5(b)は、従来の有価媒体処理装置の印刷部により商品券に印刷された消し込み印刷の内容を示す図である。
コンビニエンスストアやスーパーマーケット等の商業施設の店舗において、顧客が立ち入ることができるフロント領域には様々な商品が陳列された商品棚が設置されているとともに、このフロント領域の精算所にはレジ釣銭機やPOSレジスタが設置されている。顧客がこのような精算所で精算処理を行う際に、店員は、顧客から受け取った商品の代金としての貨幣をレジ釣銭機に入金したり、釣銭としての貨幣をレジ釣銭機から出金して顧客に返却したりするようになっている。また、POSレジスタにより、顧客が購入した商品に係る情報やレジ釣銭機に収納されている貨幣に係る情報等の管理が行われるようになっている。また、精算所において店員が顧客から商品の代金として貨幣の代わりに商品券を受け取った場合には、店員は顧客から受け取った商品券を収納ドロア等に手動で収納させる。また、このような店舗における顧客の立ち入りが禁止されたバックヤード領域(具体的には、例えば入金室)には、レジ釣銭機から回収された売上金としての貨幣を入金する売上入金機が設置されている。また、このような売上入金機がショッピングセンターに設置される場合には、フロント領域の精算所に設置されたレジ釣銭機から回収された売上金としての貨幣に加えて、ショッピングセンター内の各テナントから持ち込まれた売上金としての貨幣が当該売上入金機に入金されるようになる。売上入金機に入金された売上金としての貨幣は、警送会社の収集担当者により回収されて当該警送会社の管理センターに運搬されるようになっている。本実施の形態では、このような売上入金機として、紙幣および硬貨に加えて商品券等を含む有価媒体の処理を一つの装置で行うような有価媒体処理装置1が用いられるようになっている。
本実施の形態による有価媒体処理装置1において、識別部20(後述)により正常に識別された紙幣や商品券は、当該有価媒体処理装置1の紙葉類収納部53、54(後述)に収納されるようになるが、汚れや破れが原因で識別部20により正常に識別されなかった紙幣や商品券は、リジェクト部として機能する第1の集積部41(後述)からリジェクト券として有価媒体処理装置1の筐体2の外部に排出される。その場合、有価媒体処理装置1で入金処理を行った入金担当者とは別の担当者が、有価媒体処理装置1から排出された紙幣や商品券をバックヤード領域における入金室から出納室に運搬する。そして、出納室の係員は、入金室から出納室に運搬された紙幣や商品券の情報を、出納室に設置されている流通統合ターミナルを使って入力する。ここで、有価媒体処理装置1に入金された紙幣は警送会社の収集担当者によって当該有価媒体処理装置1の筐体2内から紙葉類収納部53、54ごと回収され、当該警送会社の管理センターに運搬される。また、入金室から出納室に運搬されてその情報が流通統合ターミナルで入力された紙幣も警送会社の収集担当者によって回収され、当該警送会社の管理センターに運搬される。一方、有価媒体処理装置1に入金された商品券や、入金室から出納室に運搬されてその情報が流通統合ターミナルで入力された商品券は、出納室に設けられた段ボール箱等に収納されて数ヶ月間保管され、その後、商品券は段ボール箱ごと廃棄される。また、有価媒体処理装置1の識別部20による紙幣や商品券の識別結果に係る情報は流通統合ターミナルに送信されるようになっており、当該流通統合ターミナルにおいて紙幣や商品券の情報の管理が行われるようになっている。また、流通統合ターミナルにより管理される紙幣や商品券の情報は上位サーバに送信されるようになっている。また、上位サーバは商品券の発行元と通信可能に接続されており、有価媒体処理装置1に入金された商品券や、流通統合ターミナルを使ってその情報が入力された商品券の金額が、商品券の発行元等により、銀行等の金融機関における店舗の口座に入金されるようになる。
次に、本実施の形態による有価媒体処理装置1の構成の概略について図1乃至図3を用いて説明する。図1および図2に示すように、本実施の形態による有価媒体処理装置1は略直方体形状の筐体2を有しており、この筐体2内には、紙幣や商品券等の紙葉類の処理を行う紙葉類処理ユニットおよび硬貨の処理を行う硬貨処理ユニットがそれぞれ設けられている。また、有価媒体処理装置1の前面下部には下部扉4が設けられており、この下部扉4を開くことにより、筐体2内に収容された紙葉類収納部53、54(後述)や硬貨収納部93、94(後述)を筐体2の外部に引き出すことができるようになっている。
図1および図2に示すように、本実施の形態による有価媒体処理装置1は、紙葉類処理ユニットとして、紙幣や商品券を含む紙葉類が投入される投入部10と、投入された紙葉類の各々の真偽および金種や券種を識別する識別部20と、識別された紙葉類を搬送しながら4種別に分類する搬送分類機構30と、分類された紙葉類が一時的に集積される4つの集積部41〜44と、4つの集積部41〜44の一部である2つの集積部43、44にそれぞれ対応して設けられた2つの紙葉類収納部53、54とを備えている。
投入部10は、紙葉類ホッパとして構成されており、投入された紙葉類(紙幣/商品券)を受け入れて1枚ずつ繰出するようになっている。また、投入部10には、当該投入部10に残留する紙葉類を検知するための残留検知センサ(図示せず)が設けられている。
識別部20は、搬送分類機構30により搬送される紙葉類を表側および裏側から挟むよう設けられた一対のイメージセンサ20a、20bを有しており、これらのイメージセンサ20a、20bにより紙葉類の表側および裏側の各々の画像を取得するようになっている。また、識別部20は、一対のイメージセンサ20a、20bにより取得された紙葉類の表側および裏側の各々の画像に基づいて、紙幣/商品券の区別の他、各紙幣の真偽および金種や、各商品券の種別等を識別するようになっている。なお、商品券の種別の識別とは、当該店舗(およびそのチェーン店舗)で発行された商品券/他社で発行された商品券の区別や、当該店舗において処分可能な商品券/他の管理センターへの回収が必要な商品券の区別や、使用期限内の有効な商品券/使用期限切れの無効な商品券の区別等である。そして、有効な商品券については金額を特定することができる。
また、識別部20は、一対のイメージセンサ20a、20bにより取得された紙葉類の表側および裏側の各々の画像に基づいて、紙幣や商品券の表裏を判定するようになっている。このように、識別部20は、搬送分類機構30により搬送される紙葉類の表裏を判定する表裏判定部21a(図3参照)を含むようになっている。また、この場合、識別部20における一対のイメージセンサ20a、20bは、搬送分類機構30における紙葉類の搬送路を挟むよう設けられた一対の表裏判定部分として機能するようになる。
また、搬送分類機構30により搬送される商品券に既に消し込み印刷が行われている場合には、識別部20は、一対のイメージセンサ20a、20bにより取得された紙葉類の表側および裏側の各々の画像に基づいて、商品券に消し込み印刷が行われていると判定するようになっている。このように、識別部20は、搬送分類機構30により搬送される商品券に消し込み印刷が行われているか否かを判定する印刷有無判定部21b(図3参照)を含むようになっている。また、識別部20は、一対のイメージセンサ20a、20bにより取得された紙葉類の表側および裏側の各々の画像に基づいて、搬送分類機構30により搬送される商品券の一部が欠損しているか否かを判定するようになっている。具体的には、フロント領域の精算所において店員が顧客から受け取った商品券がいわゆるもぎり券であり、操作者によって当該商品券の一部(例えば、隅部)が手動で切り取られることによりこの商品券が使用済のものとなっている場合には、本実施の形態による有価媒体処理装置1にその一部が切り取られた商品券が投入されたときに、識別部20により当該商品券の一部が欠損していることが判定されるようになる。このように、識別部20は、搬送分類機構30により搬送される商品券の一部が欠損しているか否かを判定する欠損判定部21c(図3参照)を含むようになっている。なお、本実施の形態では、識別部20は表裏判定部21a、印刷有無判定部21bおよび欠損判定部21cの全てを含むものに限定されることはない。本実施の形態における識別部20において、印刷有無判定部21bまたは欠損判定部21cが設けられていなくてもよく、あるいは印刷有無判定部21bおよび欠損判定部21cの両方が設けられていなくてもよい。
搬送分類機構30は、紙葉類を搬送する搬送ベルト機構35と、搬送路を切り換えるための3つの切換機構31〜33と、これらの搬送ベルト機構35や3つの切換機構31〜33を制御する紙葉類制御部36とを有している。そして、紙葉類制御部36が識別部20による識別結果に基づいて3つの切換機構31〜33を制御することによって、識別された紙葉類をそれぞれ対応する4つの集積部41〜44に分類して搬送するようになっている。
第1の集積部41は、リジェクト部として構成されており、リジェクト対象の紙葉類が集積されるようになっている。第1の集積部41(リジェクト部)は、常時外部に開放されており、常時外部からリジェクト対象の紙葉類を取り出し可能となっている。
第2の集積部42は、スタッカ部として構成されており、100枚程度までの紙葉類が集積されるようになっている。第2の集積部42(スタッカ部)には、開閉可能なシャッタ42sが設けられており、シャッタ42sの開放時に外部から紙葉類を取り出し可能となっている。より詳細には、シャッタ42sは電磁ロック部(図示せず)によりロックされており、当該電磁ロック部によるロックが解除されたときに操作者はシャッタ42sを開くことができるようになっている。もっとも、シャッタ42sの設置を省略することも可能である。その場合は、第1の集積部41(リジェクト部)と同様に、常時外部からアクセス可能(紙葉類を取り出し可能)となる。
第3の集積部43および第4の集積部44は、それぞれ入金一時保留部として構成されており、100枚程度の紙葉類が集積されるようになっている。そして、有価媒体処理装置1の操作者による承認の後には、入金一時保留部としての各集積部43、44の底面が開放されるようになっており、これらの集積部43、44に一時保留されていた紙葉類が対応する紙葉類収納部53、54に送り込まれるようになっている。また、有価媒体処理装置1の操作者によって非承認とされた後には、各集積部43、44に一時保留されていた紙葉類を有価媒体処理装置1の前方から取り出し可能となっている。より詳細には、図1に示すように、第3の集積部43の前面には返却扉6が設けられており、当該返却扉6を開くことにより第3の集積部43から紙葉類を筐体2の外部に取り出すことができるようになる。ここで、返却扉6は電磁ロック部(図示せず)によりロックされており、当該電磁ロック部によるロックが解除されたときに操作者は返却扉6を開いて第3の集積部43から紙葉類を筐体2の外部に取り出すことができるようになる。また、図1および図2に示すように、第1の集積部41、第2の集積部42および第3の集積部43は、筐体2から横方向に回動可能な回動部8に設けられており、当該回動部8を筐体2から横方向に回動させてこの回動部8を第4の集積部44の前方から退避させることによりこの第4の集積部44から紙葉類を筐体2の外部に取り出すことができるようになる。ここで、回動部8は電磁ロック部(図示せず)によりロックされており、当該電磁ロック部によるロックが解除されたときに操作者は回動部8を筐体2から横方向に回動させて第4の集積部44から紙葉類を筐体2の外部に取り出すことができるようになる。
また、各集積部41〜44には、それぞれ、これらの集積部41〜44に紙葉類が集積されているときに当該紙葉類を検知するための残留検知センサ(図示せず)が設けられている。
2つの紙葉類収納部53、54は、2つの集積部43、44に対応して設けられており、紙葉類を収納可能なカセットから構成されている。各カセットは、収納された紙葉類の回収条件(例えば、回収作業者の権限等)を個別に設定可能となっており、設定された回収条件が満たされた場合にのみ有価媒体処理装置1の筐体2の外部からアクセス可能(すなわち、紙葉類を取り出し可能)となっている。
例えば、2つの紙葉類収納部53、54の少なくとも一つに対して設定される回収条件は、有価媒体処理装置1が設置される店舗(の操作者)が紙葉類の回収を許可されているという条件とされ、2つの紙葉類収納部53、54の少なくとも他の一つに対して設定される回収条件は、紙葉類の回収業務を委託される警送会社が紙葉類の回収を許可されているという条件とされ得る。このように回収条件が設定されることにより、店舗自身による回収作業と、警送会社による回収作業とを、それぞれ個別に設定して管理することが可能である。
本実施の形態による有価媒体処理装置1では、各紙葉類収納部53、54への有価媒体処理装置1の筐体2の外側からのアクセスを制限する構成として、図2および図3に示すように、公知のロック機構63、64、97と、これらのロック機構63、64、97を制御するロック制御部65とが用いられるようになっている。ロック制御部65には、ターミナル70に内蔵された全体制御部73を介してICカードリーダ71が接続されており、店舗所属の操作者が保有するICカードをICカードリーダ71が読み取ったときに、店舗が紙葉類の回収を許可されていると判断し、そのような回収条件が設定されている紙葉類収納部53、54に対するアクセスが解放される。具体的には、ロック機構97によるロックが解除されることにより下部ユニットが引き出し可能となり、さらにロック機構63、64によるロックが解除されることにより、紙葉類収納部53、54が筐体2の外部へ取出し可能となる。一方、警送会社の収集担当者が保有するICカードをICカードリーダ71が読み取ったときに、当該警送会社が紙葉類の回収を許可されていると判断し、そのような回収条件が設定されている紙葉類収納部53、54に対するアクセスが解放される。具体的には、ロック機構97によるロックが解除されることにより下部ユニットが引き出し可能となり、さらにロック機構63、64によるロックが解除されることにより、紙葉類収納部53、54が筐体2の外部へ取出し可能となる。そして、ロック機構63、64によるロックが解除された状態で下部扉4を開くことにより、店舗所属の操作者あるいは警送会社の収集担当者は、回収権限が設定された紙葉類収納部53、54を筐体2の外部に取り出すことができるようになる。
ターミナル70には、全体制御部73およびICカードリーダ71に加えて、タッチパネル等で構成された操作表示部72が設けられている。操作表示部72は、操作ガイダンスや入金処理時の取引データ等を表示するとともに、操作者の指示入力を受け付けるようになっている。
また、本実施の形態による有価媒体処理装置1の搬送分類機構30において、紙葉類の搬送方向における識別部20の下流側には、商品券を無効化するための消し込みの印刷を行う印刷部75が設けられている。印刷部75は例えばインクジェットプリンタから構成されており、様々な印刷パターンにより商品券に対して消し込みの印刷を行うことができるようになっている。印刷部75は、有価媒体処理装置1の操作面に近接する位置に配置されており、筐体2のカバー(図示せず)を開放することにより、インクカートリッジの交換を容易に行うことができる。
ここで、本実施の形態による有価媒体処理装置1では、印刷部75による消し込みの印刷内容を変更可能となっている。このことについて図5を用いて説明する。なお、図5(a)は、本実施の形態における有価媒体処理装置1の印刷部75により商品券に印刷された消し込み印刷の内容を示す図であり、図5(b)は、従来の有価媒体処理装置の印刷部により商品券に印刷された消し込み印刷の内容を示す図である。従来の有価媒体処理装置では、印刷部として例えばインクローラが用いられ、図5(b)に示すように、このようなインクローラにより商品券に対して消し込みの印刷として「回収済」という文字しか押印することができなかった。これに対して、本実施の形態による有価媒体処理装置1では、印刷部75として例えばインクジェットプリンタが用いられ、図5(a)に示すように、このようなインクジェットプリンタにより商品券に対して消し込みの印刷として「回収済」という文字を印刷することに加えて、有価媒体処理装置1に商品券が投入された日時や有価媒体処理装置1が設置された店舗の店番号、有価媒体処理装置1に投入される商品券の回収元であるレジ番号、あるいは有価媒体処理装置1に商品券が投入された順番に係る通番等の情報を商品券に印刷することができるようになる。このことにより、有価媒体処理装置1における商品券の入金処理において違算が生じた場合に、商品券に印刷された日時や店番号、レジ番号、通番等の情報を確認することにより、違算の原因となる商品券の追跡を容易に行うことができるようになる。
また、本実施の形態による有価媒体処理装置1では、図示しないカメラ等によって有価媒体処理装置1に商品券を投入した操作者の顔等の撮像を行うことができるようになっていてもよく、この場合には、印刷部75により商品券に対して「回収済」という文字を印刷することに加えて、有価媒体処理装置1に商品券を投入した操作者の顔等の画像を商品券に印刷したり、あるいは当該画像に基づいて判別される操作者の年齢や性別等の情報を商品券に印刷したりするようになっていてもよい。
また、図3に示すように、本実施の形態による有価媒体処理装置1の各構成部材の制御を行う全体制御部73には、印刷部75により商品券に対して消し込みの印刷を行うか否かの設定を行う設定手段77が接続されている。設定手段77は、操作者によって操作表示部72により入力された指令に基づいて、印刷部75により商品券に対して消し込みの印刷を行うか否かの設定を行うようになっている。また、本実施の形態では、設定手段77による設定内容に基づいて、搬送分類機構30による商品券の搬送経路を異ならせるよう全体制御部73は搬送分類機構30の制御を行うようになっている。このような技術的事項の詳細については後述する。
また、本実施の形態による有価媒体処理装置1は、硬貨処理ユニットとして、硬貨が投入される硬貨投入部80と、投入された硬貨の各々を識別する硬貨識別部82と、識別された硬貨を搬送しながら3種別に分類する硬貨搬送分類機構84と、分類された硬貨が一時的に集積される3つの硬貨集積部86、88、90と、3つの硬貨集積部86、88、90の一部である2つの硬貨集積部88、90にそれぞれ対応して設けられた2つの硬貨収納部93、94とを備えている。
硬貨投入部80は硬貨ホッパとして構成されており、投入された硬貨を受け入れて1枚ずつ繰り出すようになっている。また、硬貨識別部82は磁気センサ等を有しており、硬貨の真偽の区別の他、各硬貨の金種を識別するようになっている。また、硬貨搬送分類機構84は、硬貨制御部98によって制御されるソレノイド付き選別部材を有する強制選別機構によって構成されており、選別された硬貨を3つの硬貨集積部86、88、90に分類して搬送するようになっている。ここで、硬貨搬送分類機構84は、振り分ける硬貨の種別を任意に設定できるようになっている。
第1の硬貨集積部86は、リジェクト部として構成されており、リジェクト対象の硬貨が集積されるようになっている。第1の硬貨集積部86(リジェクト部)に集積された硬貨は、常時外部から取り出し可能となっている。また、第2の硬貨集積部88および第3の硬貨集積部90は、それぞれ入金一時保留部として構成されており、それぞれに100枚程度までの硬貨が集積されるようになっている。そして、有価媒体処理装置1の操作者による承認の後には、入金一時保留部の枠体が移動されるようになっており、一時保留されていた硬貨が対応する硬貨収納部93、94に送り込まれるようになっている。また、有価媒体処理装置1の操作者によって非承認とされた後には、入金一時保留部の底板が退避し、一時保留されていた硬貨が当該入金一時保留部の下方の硬貨返却箱91、92に送り込まれ、当該硬貨返却箱91、92が筐体2外へ引き出されることにより硬貨が取り出し可能となっている。
2つの硬貨収納部93、94は、2つの硬貨集積部88、90に対応して設けられており、硬貨を収納可能なカセットから構成されている。各硬貨カセットは、収納された硬貨の回収条件(例えば、回収作業者の権限等)を個別に設定可能となっており、設定された回収条件が満たされた場合にのみ有価媒体処理装置1の筐体2の外側へ取り出し可能となっている。
例えば、2つの硬貨収納部93、94の少なくとも一つに対して設定される回収条件は、有価媒体処理装置1が設置される店舗(の操作者)が硬貨の回収を許可されているという条件とされ、2つの硬貨収納部93、94の少なくとも他の一つに対して設定される回収条件は、硬貨の回収業務を委託される警送会社が硬貨の回収を許可されているという条件とされ得る。このように回収条件が設定されることにより、店舗自身による回収作業と、警送会社による回収作業とを、それぞれ個別に設定して管理することが可能である。
各硬貨収納部93、94への有価媒体処理装置1の筐体2の外側からのアクセスを制限する構成として、図2および図3に示すように、公知のロック機構95、96、97と、これらのロック機構95、96、97を制御するロック制御部65とが用いられるようになっている。前述のように、ロック制御部65にはICカードリーダ71が接続されており、店舗所属の操作者が所有するICカードをICカードリーダ71が読み取ったときに、店舗が硬貨の回収を許可されていると判断し、そのような回収条件が設定されている硬貨収納部93、94に対するアクセスが解放される。具体的には、ロック機構97によるロックが解除されることにより下部ユニットが引き出し可能となり、さらにロック機構95、96によるロックが解除されることにより、硬貨収納部93、94を筐体2の外部へ取出し可能となる。一方、警送会社の収集担当者が所有するICカードをICカードリーダ71が読み取ったときに、警送会社が硬貨の回収を許可されていると判断し、そのような回収条件が設定されている硬貨収納部93、94に対するアクセスが解放される。具体的には、ロック機構97によるロックが解除されることにより下部ユニットが引き出し可能となり、さらにロック機構95、96によるロックが解除されることにより、硬貨収納部93、94を筐体2の外部へ取出し可能となる。そして、ロック機構95、96によるロックが解除された状態で下部扉4を開くことにより、店舗所属の操作者あるいは警送会社の収集担当者は、回収権限が設定された硬貨収納部93、94を筐体2の外部に取り出すことができるようになる。
以上のように、本実施の形態による有価媒体処理装置1では、ロック制御部65は、5つのロック機構63、64、95、96、97を制御するようになっている。
また、本実施の形態による有価媒体処理装置1には、識別された紙葉類ないし硬貨の各集積部41〜44ないし各硬貨集積部86、88、90への分類条件(分類パターン)を記憶しておく記憶部74がターミナル70内に設けられている。記憶部74に記憶された分類条件は、搬送分類機構30による紙葉類の搬送ないし分類を制御するための紙葉類制御部36、および硬貨搬送分類機構84による硬貨の搬送ないし分類を制御するための硬貨制御部98によって適時に読み出されるようになっている。
また、記憶部74は、各紙葉類収納部53、54および各硬貨収納部93、94に対して設定される回収条件(例えば、回収作業者の権限等)も記憶するようになっており、各紙葉類収納部53、54および各硬貨収納部93、94への有価媒体処理装置1の筐体2の外側からのアクセスの制限/許容を判別して制御するためにロック制御部65に適時に読み出されるようになっている。
また、記憶部74は、識別部20による紙葉類の識別のための詳細情報(例えば、識別処理に用いる辞書データ等)を記憶しており、識別部20に適時に読み出されるようになっている。
また、記憶部74は、印刷部75により商品券に消し込みの印刷を行うことが設定手段77により設定された場合の搬送分類機構30による商品券の搬送経路、および印刷部75により商品券に消し込みの印刷を行わないことが設定手段77により設定された場合の搬送分類機構30による商品券の搬送経路をそれぞれ記憶するようになっている。そして、全体制御部73は、設定手段77による設定内容に対応する、記憶部74に記憶されている商品券の搬送経路に基づいて商品券が搬送されるよう搬送分類機構30の制御を行うようになっている。具体的には、印刷部75により消し込みの印刷を行うことが設定手段77により設定された場合において、識別部20による商品券の識別結果に基づく当該商品券の表裏が所定のものであったときには印刷部75により当該商品券に対して消し込みの印刷を行うとともに消し込みの印刷が行われた商品券を入金一時保留部としての各集積部43、44に送るようにする。そして、投入部10に投入された紙葉類が全て有価媒体処理装置1の機体内に繰り出された後、操作者によって操作表示部72により承認入力が行われると、集積部43、44に一時保留されていた商品券が対応する紙葉類収納部53、54に送り込まれて収納される。一方、印刷部75により消し込みの印刷を行うことが設定手段77により設定された場合において、識別部20による商品券の識別結果に基づく当該商品券の表裏が所定のものではなかったときには印刷部75により当該商品券に対して消し込みの印刷を行わずこの商品券をリジェクト部としての集積部41に送るようにする。このことにより、操作者はリジェクト部としての集積部41から当該商品券を有価媒体処理装置1の筐体2の外部に取り出すことができるようになる。また、印刷部75により消し込みの印刷を行わないことが設定手段77により設定された場合には、全体制御部73は、識別部20による商品券の識別結果に基づく当該商品券の表裏が所定のものではなかったときにこのことを原因として当該商品券をリジェクト部としての集積部41に送ることのないよう搬送分類機構30を制御する。上述したような、印刷部75により商品券に消し込みの印刷を行うことが設定手段77により設定された場合の商品券の処理方法、および印刷部75により商品券に消し込みの印刷を行わないことが設定手段77により設定された場合の商品券の処理方法の詳細については後述する。
また、本実施の形態による有価媒体処理装置1には、入金処理時の取引データや、締め時/回収時等における集計データをプリントアウトするプリンタ装置76が設けられている。
さらに、本実施の形態による有価媒体処理装置1には、外部機器(具体的には、流通統合ターミナル)と通信可能であり、当該流通統合ターミナルから識別情報や分類条件(分類パターン)を取得したり、入金結果等を流通統合ターミナルに送信可能な通信インターフェース部78が設けられている。
次に、このような構成からなる有価媒体処理装置1による紙幣や硬貨、商品券等の有価媒体の処理方法、具体的には有価媒体の入金方法について以下に説明する。なお、以下に示すような有価媒体処理装置1の動作は、全体制御部73が紙葉類制御部36や硬貨制御部98を介して有価媒体処理装置1の各構成部材の制御を行うことにより行われるようになっている。また、本実施の形態の有価媒体処理装置1による硬貨の入金処理方法については本発明の原理と直接的な関係がないためその説明を省略する。
本実施の形態の有価媒体処理装置1による紙葉類の入金処理方法について図4に示すフローチャートを用いて説明する。
有価媒体処理装置1が待機状態となっているときに操作者が携帯するICカードをICカードリーダ71により読み取らせると、操作者の特定または回収元であるレジ等の特定が行われる。操作者等の特定が行われた後、紙幣および商品券のうちどちらの処理を行うかを操作者は操作表示部72により設定する(STEP1)。紙幣および商品券のうちどちらの処理を行うかが設定された後、操作者が投入部10に紙葉類を投入すると(STEP2の「YES」)、投入部10から紙葉類が1枚ずつ有価媒体処理装置1の機体内に繰り出され(STEP3)、搬送分類機構30により搬送される紙葉類は識別部20により識別される(STEP4)。なお、印刷部75により商品券に消し込みの印刷を行うことが設定手段77により設定されている場合には、操作者は商品券における券番号が記載された側の面が上になるように商品券を揃えた後、当該商品券を投入部10に投入する。操作者が誤って、商品券における券番号が記載された側の面が下になるように当該商品券を投入部10に投入してしまった場合には、印刷部75により、商品券における券番号が記載された側の面に消し込みの印刷が行われてしまい、商品券の券番号を読み取ることが困難になってしまうからである。また、識別部20により紙葉類が識別される際に、当該紙葉類の表裏が表裏判定部21aにより判定されるとともに、紙葉類(具体的には、商品券)に消し込みの印刷が既に行われているか否かが印刷有無判定部21bにより判定される。また、識別部20により紙葉類が識別される際に、当該紙葉類(具体的には、商品券)の一部が欠損しているか否かが欠損判定部21cにより判定される。
投入部10により有価媒体処理装置1の機体内に繰り出され、識別部20により識別された紙葉類が正常な商品券であり、かつ商品券の処理を行うことが設定されている場合において(STEP5の「YES」)、印刷部75により商品券に消し込みの印刷を行うことが設定手段77により設定されているときには(STEP6の「YES」)、表裏判定部21aにより判定される商品券の表裏によって、識別部20を通過した商品券の処理方法が異なるようになる。具体的には、識別部20により識別された商品券の表裏の向きが所定の向きである場合には(より詳細には、商品券における券番号が記載された側の面と、印刷部75により消し込みの印刷が行われる商品券の面とが異なるようになる場合には)(STEP7の「YES」)、当該商品券の計数データ(種類別の入金枚数、合計金額等)がレジ毎に加算される(STEP8)。また、この場合には、印刷部75により当該商品券に対して消し込みの印刷が行われる(STEP9)。また、印刷部75を通過した商品券は、記憶部74に記憶された搬送収納先に係る情報に基づいて、対応する集積部43、44へ振り分けられる(STEP10)。例えば、印刷部75により消し込みの印刷が行われた商品券は入金一時保留部としての第4の集積部44に振り分けられる。
一方、印刷部75により商品券に消し込みの印刷を行うことが設定手段77により設定されているときに(STEP6の「YES」)、操作者により投入部10に投入された商品券の表裏の向きに誤りがあり、識別部20により識別された商品券の表裏の向きが所定の向きではない場合には(より詳細には、商品券における券番号が記載された側の面と、印刷部75により消し込みの印刷が行われる商品券の面とが同じとなってしまう場合には)(STEP7の「NO」)、このような商品券に対して印刷部75により消し込みの印刷を行わず、当該商品券をリジェクト部としての第1の集積部41に搬送する(STEP11)。このことにより、操作者はリジェクト部としての第1の集積部41から商品券を取り出すことができるようになり、当該操作者は商品券の表裏の向きを正しい向きに揃えた後に投入部10に再投入することができるようになる。
また、識別部20により識別された紙葉類が正常な商品券であり、かつ商品券の処理を行うことが設定されている場合において(STEP5の「YES」)、印刷部75により商品券に消し込みの印刷を行わないことが設定手段77により設定されているときには(STEP6の「NO」)、表裏判定部21aにより判定される商品券の表裏に関係なく、当該商品券の計数データ(種類別の入金枚数、合計金額等)がレジ毎に加算される(STEP8)。また、この場合には、印刷部75により当該商品券に対して消し込みの印刷が行われる(STEP9)。また、印刷部75を通過した商品券は、記憶部74に記憶された搬送収納先に係る情報に基づいて、対応する集積部43、44へ振り分けられる(STEP10)。このように、印刷部75により商品券に消し込みの印刷を行わないことが設定手段77により設定されているときには、表裏判定部21aにより判定された商品券の表裏が所定のものではなかったときにこのことを原因として当該商品券を機体外に排出させることのないよう(具体的には、リジェクト部としての第1の集積部41に送ることのないよう)、搬送分類機構30の制御が行われる。
また、識別部20により識別された紙葉類が正常な紙幣であり、かつ紙幣の処理を行うことが設定されている場合には(STEP5の「NO」およびSTEP12の「YES」)、当該紙幣の計数データ(金種別の入金枚数、合計金額等)がレジ毎に加算される(STEP13)。なお、識別部20により識別された紙葉類の種類が紙幣であるときには、印刷部75により当該紙幣に対して消し込みの印刷は行われない。また、識別部20により識別された紙幣は、記憶部74に記憶された搬送収納先に係る情報に基づいて、対応する集積部43、44へ振り分けられる(STEP14)。例えば、識別部20により正常に識別された紙幣は入金一時保留部としての第3の集積部43に振り分けられる。
また、識別部20により識別された紙葉類が正常な紙幣や商品券ではなかったり、紙幣の処理を行うことが設定されているにもかかわらず識別部20により識別された紙葉類が商品券であったり、あるいは商品券の処理を行うことが設定されているにもかかわらず識別部20により識別された紙葉類が紙幣であったりした場合には(STEP5の「NO」およびSTEP12の「NO」)、このような紙葉類はリジェクト券として扱われるようになる。この場合には、リジェクト券の計数データは加算されることなく、また、印刷部75により当該リジェクト券に対して消し込みの印刷が行われることなく、リジェクト部としての集積部41に送られるようになる(STEP15)。例えば、識別部20により識別された商品券に既に消し込みの印刷が行われていることが印刷有無判定部21bにより判定された場合には、当該商品券は使用済のものとして有価媒体処理装置1の機体内に収納されることなくリジェクト部としての集積部41に送られる。また、識別部20により識別された商品券の一部が欠損していることが欠損判定部21cにより判定された場合には、操作者によって当該商品券の一部(例えば、隅部)が手動で切り取られることによりこの商品券が使用済のものであると考えられるため、当該商品券は有価媒体処理装置1の機体内に収納されることなくリジェクト部としての集積部41に送られる。
投入部10に紙葉類が残っている場合には(STEP16の「YES」)、図4のSTEP3〜STEP15に示す動作が繰り返し行われるようになる。一方、投入部10に投入された紙葉類が全て有価媒体処理装置1の機体内に繰り出された後(STEP16の「NO」)、操作者によって操作表示部72により承認入力が行われると(STEP17の「YES」)、集積部43、44に一時保留されていた紙葉類が対応する紙葉類収納部53、54に送り込まれて収納される(STEP18)。このことにより、例えば、識別部20により正常に識別された紙幣は紙葉類収納部53に収納され、また、識別部20により正常に識別された商品券は紙葉類収納部54に収納される。また、操作者によって操作表示部72により承認入力が行われたときに、第2の集積部42に設けられたシャッタ42sの電磁ロックが解除されるようになっていてもよい。この場合には、操作者はシャッタ42sを開いて第2の集積部42にアクセスすることができるようになる。一方、操作者によって操作表示部72により承認入力が行われず代わりに返却入力が行われると(STEP17の「NO」)、各集積部43、44に一時保留されていた紙葉類を有価媒体処理装置1の前方から取り出し可能となる(STEP19)。このようにして、有価媒体処理装置1における一連の紙葉類の入金処理が完了する。
以上のような構成からなる本実施の形態の有価媒体処理装置1およびこのような有価媒体処理装置1による有価媒体処理方法によれば、搬送分類機構30により搬送される有価媒体(具体的には、商品券)に消し込みの印刷を選択的に行う印刷部75が設けられているとともに、設定手段77により、印刷部75により有価媒体に印刷を行うか否かの設定が行われるようになっており、全体制御部73は、設定手段77による設定内容に基づいて、搬送分類機構30による有価媒体の搬送経路を異ならせるよう当該搬送分類機構30の制御を行うようになっている。このように、印刷部75により有価媒体に印刷を行うか否かの設定内容に基づいて、搬送分類機構30による有価媒体の搬送経路を異ならせることにより、投入される有価媒体に対して消し込みの印刷を行うような運用がなされる場合、および投入される有価媒体に対して消し込みの印刷を行わないような運用がなされる場合の両方において有価媒体をそれぞれ所望の箇所に搬送することができ、よって有価媒体を処理する際の作業性を向上させることができる。
より詳細に説明すると、従来技術の有価媒体処理装置では、機体内に投入された商品券等の有価媒体に消し込みの印刷を行うにあたり、商品券等の有価媒体における券番号が記載された面とは反対側の面に消し込みの印刷を行う必要があるため、投入部に有価媒体を投入する際に当該有価媒体の表裏や向きを一定方向に揃えなければならず、手間がかかるという問題があった。また、従来技術の有価媒体処理装置では、投入部に投入される商品券等の有価媒体の表裏や向きが誤っている場合には、有価媒体における券番号が記載された面に消し込みの印刷が行われてしまい、この券番号を読み取ることが困難になってしまうおそれがあった。一方、有価媒体処理装置に投入される商品券等の有価媒体に対して消し込みの印刷を行わないような運用がなされる場合には、有価媒体処理装置に投入される有価媒体の表裏や向きに関わらず当該有価媒体を機体内に収納させることが望ましい。これに対して、本実施の形態による有価媒体処理装置1では、投入される有価媒体に対して消し込みの印刷を行うような運用がなされる場合、および投入される有価媒体に対して消し込みの印刷を行わないような運用がなされる場合で有価媒体の搬送経路を異ならせるようにすることによって、上述したような従来技術の有価媒体処理装置の問題を解決することができるようになる。
また、本実施の形態の有価媒体処理装置1においては、上述したように、記憶部74は、印刷部75により有価媒体に印刷を行うことが設定手段77により設定された場合の搬送分類機構30による有価媒体の搬送経路、および印刷部75により有価媒体に印刷を行わないことが設定手段77により設定された場合の搬送分類機構30による有価媒体の搬送経路をそれぞれ記憶するようになっており、全体制御部73は、設定手段77による設定内容に対応する、記憶部74に記憶されている有価媒体の搬送経路に基づいて有価媒体が搬送されるよう搬送分類機構30の制御を行うようになっている。
具体的には、搬送分類機構30における印刷部75よりも有価媒体の搬送方向の上流側には、当該搬送分類機構30により搬送される有価媒体の表裏の判定を行う表裏判定部21aを含む識別部20が設けられており、全体制御部73は、印刷部75により有価媒体に印刷を行うことが設定手段77により設定された場合において、表裏判定部21aにより判定された有価媒体の表裏が所定のものであったときには印刷部75により有価媒体に対して印刷を行い、表裏判定部21aにより判定された有価媒体の表裏が所定のものではなかったときには印刷部75により有価媒体に対して印刷を行わず当該有価媒体を機体外に排出するよう(具体的には、リジェクト部としての第1の集積部41に送るよう)、印刷部75および搬送分類機構30の制御を行うようになっている。このことにより、投入部10に投入される商品券等の有価媒体の表裏や向きが誤っており、有価媒体における券番号が記載された側の面と、印刷部75により消し込みの印刷が行われる有価媒体の面とが同じとなってしまうことが表裏判定部21aにより判定された場合には、表裏判定部21aにより判定された有価媒体の表裏が所定のものではないとして、印刷部75により当該有価媒体に対して印刷を行わずこの有価媒体を機体外に排出させることにより、有価媒体における券番号が記載された面に消し込みの印刷が行われてしまうことを防止することができるようになる。
また、全体制御部73は、印刷部75により有価媒体に印刷を行うことが設定手段77により設定された場合において、表裏判定部21aにより判定された有価媒体の表裏が所定のものであったときには印刷部75により有価媒体の印刷を行うとともに印刷が行われた有価媒体を機体内の所定の箇所(具体的には、入金一時保留部としての各集積部43、44H)に搬送するよう印刷部75および搬送分類機構30の制御を行うようになっている。
また、全体制御部73は、印刷部75により有価媒体に印刷を行わないことが設定手段77により設定された場合において、表裏判定部21aにより判定された有価媒体の表裏が所定のものではなかったときにこのことを原因として当該有価媒体を機体外に排出させることのないよう搬送分類機構30の制御を行うようになっている。このように、印刷部75により有価媒体に印刷を行わないことが設定手段77により設定された場合には、投入部10に投入された商品券等の有価媒体における券番号が記載された面が有価媒体の表裏におけるどちらの面であっても問題ないため、投入部10に投入された商品券等の有価媒体の表裏の向きを考慮する必要はなく、また、表裏判定部21aにより判定された有価媒体の表裏が所定のものではなかったことを原因として当該有価媒体をリジェクト部としての第1の集積部41に送る必要もない。
また、本実施の形態の有価媒体処理装置1においては、上述したように、表裏判定部21aは、搬送分類機構30における有価媒体の搬送路を挟むよう設けられた一対の表裏判定部分(具体的には、一対のイメージセンサ20a、20b)を含んでいる。このことにより、識別部20において有価媒体の表裏の判定を確実に行うことができるようになる。
また、本実施の形態の有価媒体処理装置1においては、上述したように、印刷部75による印刷内容を変更可能となっている。この場合には、印刷部75により商品券に消し込みの印刷を行う際に、有価媒体処理装置1に商品券が投入された日時や店番号、レジ番号、通番等の情報を商品券に印刷することにより、有価媒体処理装置1における商品券の入金処理において違算が生じた場合に、違算の原因となる商品券の追跡を容易に行うことができるようになる。
また、本実施の形態の有価媒体処理装置1においては、上述したように、搬送分類機構30に設けられた識別部20には、当該搬送分類機構30により搬送される有価媒体に印刷が行われているか否かを判定する印刷有無判定部21bが含まれており、全体制御部73は、印刷有無判定部21bにより有価媒体に消し込みの印刷が行われていることが判定された有価媒体を計数結果に含めずに機体外に排出するよう搬送分類機構30の制御を行うようになっている。この場合には、有価媒体処理装置1において商品券等の有価媒体の入金処理を行う際に、消し込みの印刷が行われた使用済の商品券等の有価媒体が有価媒体処理装置1の機体内に収納されてしまうことを防止することができるようになる。
また、本実施の形態の有価媒体処理装置1においては、上述したように、搬送分類機構30に設けられた識別部20には、当該搬送分類機構30により搬送される有価媒体の一部が欠損しているか否かを判定する欠損判定部21cが含まれており、全体制御部73は、欠損判定部21cにより一部が欠損していることが判定された有価媒体を計数結果に含めずに機体外に排出するよう搬送分類機構30の制御を行うようになっている。この場合には、有価媒体処理装置1において商品券等の有価媒体の入金処理を行う際に、その一部が切り取られた使用済の商品券等の有価媒体が有価媒体処理装置1の機体内に収納されてしまうことを防止することができるようになる。
なお、本発明による有価媒体処理装置1やこのような有価媒体処理装置1による有価媒体処理方法は、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
例えば、本実施の形態の有価媒体処理装置1に通信可能に接続された流通統合ターミナルが、有価媒体処理装置1の管理を行う管理装置として用いられるようになっていてもよい。この場合には、有価媒体処理装置1および流通統合ターミナルを組み合わせることにより本発明に係る有価媒体処理システムが構成されるようになる。このような有価媒体処理システムにおいては、有価媒体処理装置1において印刷部75により有価媒体に消し込みの印刷を行うか否かの設定を行う設定手段、および設定手段による設定内容に基づいて、有価媒体処理装置1における搬送分類機構30による有価媒体の搬送経路を異ならせるよう当該搬送分類機構30の制御を行う制御部が全て有価媒体処理装置1に設けられることに限定されることはない。上記の設定手段および制御部のうちいずれか一方、あるいは設定手段および制御部の両方が有価媒体処理装置1ではなく管理装置としての流通統合ターミナルに設けられるようになっていてもよい。
また、上記の説明では、本発明に係る有価媒体処理装置として、硬貨、紙幣および商品券の入金処理を行うことができるものが用いられる例について述べたが、本発明に係る有価媒体処理装置はこのような例に限定されることはない。本発明に係る有価媒体処理装置として、紙幣および商品券のみの入金処理または入出金処理を行うことができるもの、あるいは商品券のみの入金処理または入出金処理を行うことができるものが用いられてもよい。