JP2017032721A - 光ファイバテープ心線の製造方法及び光ファイバテープ心線の製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】伝送特性を確保しつつ施工性の改善ができる光ファイバテープ心線の製造方法及び製造装置を提供する。
【解決手段】光ファイバテープ心線の製造方法は、並列させた3本以上の単心被覆光ファイバ3の周囲を未硬化状態の樹脂で一括被覆する工程と、一括被覆された各単心被覆光ファイバのうち、互いに隣接する単心被覆光ファイバどうしの間を、2以上の回転刃を有する回転刃ユニット15により部分的に分断した分断部を形成する工程と、分断部の形成後、未硬化状態の樹脂を硬化させる工程と、を有し、回転刃は、互いが同軸的に配置されていると共に、回転方向に沿って間欠的に設けられたn個の刃本体部をそれぞれ備え、回転刃のうちの互いに対向する各回転刃の刃本体部どうしは、それらの厚さ方向からみて部分的に重なっており、この重なりの度合を、回転方向を基準にしたラップ角度として表すと、ラップ角度は、100/n度以上、120/n度以下である。
【選択図】図1
【解決手段】光ファイバテープ心線の製造方法は、並列させた3本以上の単心被覆光ファイバ3の周囲を未硬化状態の樹脂で一括被覆する工程と、一括被覆された各単心被覆光ファイバのうち、互いに隣接する単心被覆光ファイバどうしの間を、2以上の回転刃を有する回転刃ユニット15により部分的に分断した分断部を形成する工程と、分断部の形成後、未硬化状態の樹脂を硬化させる工程と、を有し、回転刃は、互いが同軸的に配置されていると共に、回転方向に沿って間欠的に設けられたn個の刃本体部をそれぞれ備え、回転刃のうちの互いに対向する各回転刃の刃本体部どうしは、それらの厚さ方向からみて部分的に重なっており、この重なりの度合を、回転方向を基準にしたラップ角度として表すと、ラップ角度は、100/n度以上、120/n度以下である。
【選択図】図1
Description
本発明は、光ファイバテープ心線の製造方法及び光ファイバテープ心線の製造装置に関する。
複数本の単心被覆光ファイバを並列させると共に、互いに隣接する一組の単心被覆光ファイバどうしを部分的に連結する連結部を、長さ方向及び幅方向にそれぞれ間隔をおいて分散して配置した、間欠接合型の光ファイバテープ心線が知られている。
間欠接合型の光ファイバテープ心線は、一括被覆型の光ファイバテープ心線と比べて、幅方向への曲げ難さと相関のある曲げ異方性が小さいため、筒状に又は折り畳んでケーブル内に収納でき、これにより、ケーブルの高密度化や施工性の向上を図ることができる。また、間欠接合型の光ファイバテープ心線は、テープ心線本体から光ファイバを個別に後分岐させやすいうえ、光ファイバの接続の際には、光ファイバを所定の配列に並べることが容易であるため、一括接続が可能であるという利点を有する。
ここで、切断工具などを用いて、ケーブルの被覆部分に分断部(非連結部)を形成することにより、間欠的に連結部を形成する技術が提案されている(例えば特許文献1、2参照)。しかしながら、切断工具などを用いた場合、被覆部分の切断時に光ファイバを損傷させることや、切断によるバリなどの発生が懸念される。
一方、間欠接合型の光ファイバテープ心線の製造方法として、間欠的な連結部の形成に紫外線硬化型樹脂を利用する技術が知られている(例えば特許文献3、4参照)。しかしながら、この種の製造方法は、形成される連結部及び分断部の長さにばらつきが生じやすく、連結部の強度不足を招く場合や、この一方で分断部自体が形成されない場合などもある。
具体的には、連結部が強度不足になると、光ファイバがばらける事態などが生じ、光ファイバの例えば一括接続が困難となる。また、分断部が形成されない場合、曲げ異方性や光ファイバを後分岐させる際の作業性が悪化する。さらには、連結部及び分断部の長さ自体にばらつきが生じると、光ファイバの伝送特性に悪影響を与えるおそれがある。
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、所望の伝送特性を確保しつつ、施工性の改善を図れる光ファイバテープ心線の製造方法及び光ファイバテープ心線の製造装置の提供を目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る光ファイバテープ心線の製造方法は、並列させた3本以上の単心被覆光ファイバの周囲を未硬化状態の樹脂で一括被覆する工程と、前記一括被覆された各単心被覆光ファイバのうち、互いに隣接する単心被覆光ファイバどうしの間を、2以上の回転刃により部分的に分断した分断部を形成する工程と、前記分断部の形成後、前記未硬化状態の樹脂を硬化させる工程と、を有し、前記2以上の回転刃は、互いが同軸的に配置されていると共に、回転方向に沿って間欠的に設けられたn個の刃本体部をそれぞれ備え、前記2以上の回転刃のうちの互いに対向する各回転刃の前記刃本体部どうしは、それらの厚さ方向からみて部分的に重なっており、この重なりの度合を、前記回転方向を基準にしたラップ角度として表すと、前記ラップ角度は、100/n度以上、120/n度以下である、ことを特徴としている。
また、本発明の一態様に係る光ファイバテープ心線の製造装置は、並列させた3本以上の単心被覆光ファイバの周囲を未硬化状態の樹脂で一括被覆する一括被覆機構と、前記一括被覆された各単心被覆光ファイバのうち、互いに隣接する単心被覆光ファイバどうしの間を、2以上の回転刃により部分的に分断した分断部を形成する分断機構と、前記分断部が形成されてから前記未硬化状態の樹脂を硬化させる樹脂硬化機構と、を具備し、前記2以上の回転刃は、互いが同軸的に配置されていると共に、回転方向に沿って間欠的に設けられたn個の刃本体部をそれぞれ備え、前記2以上の回転刃のうちの互いに対向する各回転刃の前記刃本体部どうしは、それらの厚さ方向からみて部分的に重なっており、この重なりの度合を、前記回転方向を基準にしたラップ角度として表すと、前記ラップ角度は、100/n度以上、120/n度以下である、ことを特徴としている。
本発明によれば、所望の伝送特性を確保しつつ、施工性の改善を図ることが可能な光ファイバテープ心線の製造方法及び光ファイバテープ心線の製造装置を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る光ファイバテープ心線の製造装置10は、製造ラインに沿って上流側から順に、一括被覆機構21、分断機構22、樹脂硬化機構23を主に備えている。図2〜図4に示すように、光ファイバテープ心線の製造装置10を用いて製造される光ファイバテープ心線5は、隣接する単心被覆光ファイバ3どうしの間を間欠的に分断することにより、分断部7及び連結部8が長さ方向及び幅方向に分散して配置される間欠接合型の光ファイバテープ心線である。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る光ファイバテープ心線の製造装置10は、製造ラインに沿って上流側から順に、一括被覆機構21、分断機構22、樹脂硬化機構23を主に備えている。図2〜図4に示すように、光ファイバテープ心線の製造装置10を用いて製造される光ファイバテープ心線5は、隣接する単心被覆光ファイバ3どうしの間を間欠的に分断することにより、分断部7及び連結部8が長さ方向及び幅方向に分散して配置される間欠接合型の光ファイバテープ心線である。
単心被覆光ファイバ3のそれぞれは、図4に示すように、光ファイバ素線3aを1次被覆層3b、2次被覆層3c、着色層3dで順に覆うことで構成されている。また、並列された各単心被覆光ファイバ3は、例えばウレタン系アクリレート樹脂製のテープ層14によって一体的に被覆されている。
図1に示すように、一括被覆機構21は、一括被覆樹脂供給部11及びコーティングダイス12を備えている。この一括被覆機構21は、図1、図2に示すように、コーティングダイス12内において、並列させた少なくとも3本以上の単心被覆光ファイバ3の周囲を、テープ層14形成用の未硬化状態の樹脂(後述する紫外線硬化型樹脂)により一括被覆する。なお、図2は、各製造工程の理解を容易にするために、模式的に2本の単心被覆光ファイバ3を対象とした製造工程を例示している。一括被覆機構21は、図1に示すように、一括被覆樹脂供給部11及びコーティングダイス12を備えている。コーティングダイス12は、並列させた少なくとも3本以上の単心被覆光ファイバ3の周囲を、未硬化状態の樹脂で一括被覆する汎用的なダイスである。一括被覆樹脂供給部11は、コーティングダイス12内に搬入された各単心被覆光ファイバ3の周囲に上述した未硬化状態の樹脂を供給する。
図1に示すように、分断機構22は、回転刃ユニット15及び余分樹脂吸引部16を備えている。この分断機構22は、図1、図2に示すように、未硬化状態の樹脂が一括被覆された各単心被覆光ファイバ3のうち、互いに隣接する単心被覆光ファイバ3どうしの間を、コーティングダイス12を通過した後、出口近傍で、回転刃ユニット15(2以上の回転刃)により部分的に分断した分断部7、及び連結部8を形成する。余分樹脂吸引部16は、分断部7の形成時に、回転刃ユニット15によって各単心被覆光ファイバ3の表面から取り去られた未硬化状態の余分な樹脂16aを吸引する。
図1に示すように、樹脂硬化機構23は、第1の紫外線照射部として機能するUV予備照射部(Ultravioletプレ照射部)17、樹脂の成形区間(半架橋領域)18を含む搬送機構24、第2の紫外線照射部として機能するUV本照射部19などを備えている。この樹脂硬化機構23は、各単心被覆光ファイバ3の周囲に一括被覆された未硬化状態の樹脂を、分断部7の形成後に硬化させる。
具体的には、UV予備照射部17は、図1、図2に示すように、各単心被覆光ファイバ3の周囲に一括被覆された未硬化状態の紫外線硬化型樹脂を、分断部7の形成後、紫外線の照射によって半硬化させる。搬送機構24は、半硬化状態の紫外線硬化型樹脂で被覆された各単心被覆光ファイバ3を、製造ラインの進行方向に沿って(コーティングダイス12側からUV予備照射部17及び成形区間18を経由させUV本照射部19側へと)搬送しつつ、当該紫外線硬化型樹脂を成形させる。UV本照射部19は、半架橋状態の紫外線硬化型樹脂を紫外線のさらなる照射により完全硬化させて、図2〜図4に示すように、間欠接合型の光ファイバテープ心線5を得る。
次に、回転刃ユニット15及び回転刃ユニット45、55の構造を主に図5〜図11Cに基づき説明する。ここで、図7A〜図7C、図10A〜図11Cは、回転刃ユニット15、45、55の構造の理解を容易にするために、回転刃ユニットを構成する各回転刃の本体部分や、回転刃どうしの厚さ方向からみた重なり部分(ラップ部分)にハッチングを付与している。
図5〜図7Cに示すように、回転刃ユニット15は、2以上の回転刃によって構成されている。回転刃ユニット15において、2以上の回転刃31、32は、互いが同軸的に配置されていると共に、回転方向に沿って間欠的に設けられたn個(図7B、図7Cの例では2個)の刃本体部(刃渡り部)31a、32aをそれぞれ備えている。また、2以上の回転刃のうちの互いに対向(隣接)する各回転刃31、32の刃本体部31a、32aどうしは、図5、図7Aに示すように、それらの厚さ方向からみて部分的に重なっており、この重なりの度合を、回転方向を基準にしたラップ角度α5として表すと、このラップ角度α5は、100/n度以上、120/n度以下である。
ここで、図8及び図9に基づき、回転刃ユニット15の構成について詳述する。図8は、回転刃ユニット15により分断部7a及び連結部が形成される過程での変遷の状況を概略的に示している。この図8中において、斜線で塗り潰された領域7bは、回転刃ユニット15における回転刃の刃本体部と被覆樹脂とが接触中であることを示している。また、破線で囲われた領域7cは、回転刃の切り欠き部と被覆樹脂とが対向している状況(刃本体部が被覆樹脂に接触していない状況)であることを示している。回転刃ユニット15の各回転刃に対して1つ以上(n≧1)の刃本体部(刃渡り部)を設け、テープ心線(5)を搬送しつつ回転刃ユニット15を回転させることで、図8に示すように、分断部7a及び連結部をテープ心線(5)に形成することが可能となる。
一方、図9は、回転刃ユニット15を構成する例えば第2の回転刃32(又は第1の回転刃31)に対し、刃本体部32aと切り欠き部32bとをそれぞれ設ける個数などについて説明するための図である。図9は、第2の回転刃32に対して2つの刃本体部32a(及び2つの切り欠き部32b)を設けた例(n=2の例)を示している。一方、回転刃1枚あたりの刃本体部の数nがn≧7になると、刃本体部と切り欠き部とが回転刃の周面上に交互に形成される間隔が短くなり、テープ心線(5)における図9に示す切り込み領域A内に、2つ以上の切り欠き部(刃本体部ではない部分)が存在する場合がある。この際、個々の切り欠き部にそれぞれ隣接する各刃本体部によって、連結部(分断されない部分)が形成されることなく、テープ心線が、その長手方向の全長にわたって分断されてしまう結果となる。そこで、この対策として、テープ心線に対して回転刃を浅く当て、上記した切り込み領域A内に存在し得る切り欠き部を1つに抑えることなどが考えられるが、回転刃を浅く当てた場合、分断部の形成を安定化させることが難しくなる。また、回転刃を大径化させることで、切り込み領域A内に存在し得る切り欠き部を、1つに抑えることが可能ではあるものの、このような回転刃を含む製造装置自体の大型化を招く結果となる。したがって、上述したように、回転刃1枚あたりの刃本体部の数nは、1以上6以下であることが望ましい。
より具体的には、図6に示すように、回転刃ユニット15は、2枚の第1の回転刃31によって厚さ方向から、間隙を空けて1枚の第2の回転刃32を挟むようにして、各回転刃が隣接配置されている。3枚の回転刃を有する回転刃ユニット15は、図3に示すように、間欠接合型の4心の光ファイバテープ心線5を製造する場合に適用される。
また、図7B、図7Cに示すように、第1及び第2の回転刃31、32は、その回転方向に沿って180度のピッチで2つの刃本体部31a、32aがそれぞれ設けられている。詳述すると、図7B、図7Cに示すように、第1及び第2の回転刃31、32は、互いに同一の形状で構成されているものの、刃本体部31a、32aどうしの位相を90度ずらして隣接配置(セット)されている。
つまり、回転刃ユニット15は、図7A〜図7Cに示すように、刃本体部(刃渡り部)31a、32aによってそれぞれ構成される刃渡り角度α1、α3と、刃本体部(刃渡り部)31a、32aのない切り欠き部によって構成される切り欠き角度α2、α4と、を適宜調整することによって上記した数値範囲内に収まるラップ角度α5を実現している。
ここで、ラップ角度α5が上記した数値範囲の下限値に満たない比較例の回転刃ユニット(又は刃本体部がラップしていない回転刃ユニット)を適用して、図10に示すように、分断部67を形成しようとした場合、例えば中央の単心被覆光ファイバ間から、刃本体部によって取り去られる未硬化状態の樹脂が、例えば両脇の単心被覆光ファイバ間に流れ込み、樹脂の流れ込んだ単心被覆光ファイバ心線に変位量ΔXの振動が生じる。この際、分断された部位が、振動する樹脂により再度接合される現象が生じ分断部67の長さが短縮される結果を招く。このようにして製造された比較例の光ファイバテープ心線65は、曲げ異方性が大きく施工性に課題があると共に光ファイバのひずみが大きくなり、長期信頼性の悪化が懸念される。
一方、ラップ角度α5が上記した数値範囲内に収まっている回転刃ユニット15を適用して、図11に示すように、分断部7を形成しようとした場合、例えば中央の単心被覆光ファイバ間から、刃本体部によって取り去られる未硬化状態の樹脂が、例えば両脇の単心被覆光ファイバ間に流れ込もうとするが、適切にラップしている刃本体部によって樹脂の流れ込みが阻まれる。この際、単心被覆光ファイバに生じ得る変位量ΔYの振動が小さく抑えられ、非連結部は再接着することなく形成される。このようにして製造された光ファイバテープ心線5は、曲げ異方性が小さく施工性が向上すると共に、所望する伝送特性なども確保される。
また、ラップ角度α5が上記した数値範囲の上限値を超える回転刃ユニットを適用した場合、分断部が形成されるものの、連結部の長さが短くなり、光ファイバテープ心線としての強度不足が懸念される。この場合、個々の光ファイバがばらける事態などが生じ、光ファイバの一括接続などが困難となる。
ここで、上述したラップ角度α5についての条件を言い換えると、図3に示すように、分断部7の長さGに対する、当該分断部の非形成部分となる連結部8の長さHの比率が、0.29以上0.4以下となる分断が行われるように、光ファイバテープ心線の製造装置10が備える回転刃ユニット15(回転刃31、32の刃本体部31a、32a)は、構成されている。
また、このように構成された回転刃ユニット15に代えて、図12A〜図12Cに示すように、回転刃ユニット45を、本実施形態の光ファイバテープ心線の製造装置10に適用してもよい。図12A〜図12Cに示すように、回転刃ユニット45は、例えば2枚の第1の回転刃41と1枚の第2の回転刃42とを備えている。回転刃ユニット45は、例えば2枚の第1の回転刃41によって厚さ方向から、間隙を空けて1枚の第2の回転刃42を挟むようにして、各回転刃が隣接配置されている。
また、図12B、図12Cに示すように、第1及び第2の回転刃41、42は、その回転方向に沿って120度のピッチで3つの刃本体部41a、42aがそれぞれ設けられている。さらに、第1及び第2の回転刃41、42は、図12B、図12Cに示すように、互いに同一の形状で構成されているものの、刃本体部41a、42aどうしの位相を60度ずらして隣接配置されている。
また、回転刃ユニット45は、互いに対向(隣接)する第1及び第2の回転刃41、42のn個(3個)の刃本体部41a、42aどうしは、図12Aに示すように、それらの厚さ方向からみて部分的に重なっており、この重なりの度合を、回転方向を基準にしたラップ角度として表すと、回転刃ユニット15と同様に、このラップ角度は、100/n度以上、120/n度以下である。
さらに、回転刃ユニット15、45に代えて、図13A〜図13Cに示すように、回転刃ユニット55を、本実施形態の光ファイバテープ心線の製造装置10に適用することも可能である。図13A〜図13Cに示すように、回転刃ユニット55は、例えば2枚の第1の回転刃51と1枚の第2の回転刃52とを備えている。回転刃ユニット55は、例えば2枚の第1の回転刃51によって厚さ方向から、間隙を空けて1枚の第2の回転刃52を挟むようにして、各回転刃が隣接配置されている。
また、図13B、図13Cに示すように、第1及び第2の回転刃51、52は、その回転方向に沿って90度のピッチで4つの刃本体部51a、52aがそれぞれ設けられている。さらに、第1及び第2の回転刃51、52は、図13B、図13Cに示すように、互いに同一の形状で構成されているものの、刃本体部51a、52aどうしの位相を45度ずらして隣接配置されている。
また、回転刃ユニット55は、互いに対向(隣接)する第1及び第2の回転刃51、52のn個(4個)の刃本体部41a、42aどうしは、図13Aに示すように、それらの厚さ方向からみて部分的に重なっており、この重なりの度合を、回転方向を基準にしたラップ角度として表すと、回転刃ユニット15、45と同様に、このラップ角度は、100/n度以上、120/n度以下である。
ここで、3枚の回転刃を有する上記した回転刃ユニット45及び回転刃ユニット55は、図3に示すように、間欠接合型の4心の光ファイバテープ心線5を製造する場合に適用される。また、これに代えて、第1の回転刃(例えば回転刃31、41、51など)と第2の回転刃(例えば回転刃32、42、52など)とを交互に隣接配置した例えば合計7枚の回転刃を有する回転刃ユニットは、間欠接合型の8心の光ファイバテープ心線を製造する場合に適用される。
次に、このような構成の光ファイバテープ心線の製造装置10を用いた光ファイバテープ心線5の製造方法を、主に図1〜図4に基づき説明する。図1、図2に示すように、まず、コーティングダイス12内において、一括被覆樹脂供給部11から供給される未硬化状態の紫外線硬化型樹脂により、並列させた単心被覆光ファイバ3の周囲が一括被覆される。
次に、図1〜図4に示すように、回転刃ユニット15は、未硬化状態の樹脂が一括被覆された各単心被覆光ファイバ3のうち、互いに隣接する単心被覆光ファイバ3どうしの間を、コーティングダイス12を通過した後、出口近傍で、部分的に分断した分断部7、及び連結部8を形成する。この際、回転刃ユニット15の互いに隣接する第1及び第2の回転刃31、32の刃本体部31a、32aどうしが、それらの厚さ方向からみて適切にラップしていることで、図11に示すように、単心被覆光ファイバ間への必要以上の樹脂の流れ込みが抑えられ、所望の長さの分断部7及び連結部8が形成される(図3に示すように、分断部7の長さGに対する連結部8の長さHの比率が、0.29以上0.4以下となる分断が行われる)。なお、余分樹脂吸引部16は、回転刃ユニット15によって各単心被覆光ファイバ3の表面から取り去られた未硬化状態の余分な樹脂16aを吸引する。
次いで、UV予備照射部17は、図1、図2に示すように、各単心被覆光ファイバ3の周囲に一括被覆された未硬化状態の紫外線硬化型樹脂を、分断部7の形成後、紫外線の照射によって半硬化させる。一方、搬送機構24は、半硬化状態の紫外線硬化型樹脂で被覆された各単心被覆光ファイバ3を、成形区間(半架橋領域)18を経由させて搬送しつつ、当該紫外線硬化型樹脂を成形させる。この際、図2に示すように、隣接する単心被覆光ファイバ3どうしが互いに引き付け合い、各単心被覆光ファイバ3の配列方向において適切なピッチが実現される。この後、UV本照射部19は、半架橋状態の紫外線硬化型樹脂を紫外線のさらなる照射により完全硬化させて、図2〜図4に示すように、間欠接合型の光ファイバテープ心線5を得る。
既述したように、本実施形態に係る光ファイバテープ心線の製造方法及び製造装置10によれば、刃本体部31a、32aどうしを適切にラップさせた回転刃ユニット15を用いて、光ファイバテープ心線5に最適な長さの分断部7及び連結部8が形成することが可能である。これにより、製造された光ファイバテープ心線5は、所望の伝送特性が確保され、また、適切な強度が得られることから施工性を改善できる。
<実施例>
次に、本発明の実施例について説明する。
上述した光ファイバテープ心線の製造装置10を利用し、以下の表1に示すように、実施例C、D、Eでとしては、図5、図7Aに示したラップ角度α5が前述した条件の数値範囲内(100/n度以上120/n度以下)に収まる回転刃ユニット15(ラップ角度α5を50°から60°にしたもの)を適用し、一方、比較例A、B、Fとしては、ラップ角度α5が前述した条件の数値範囲内に収まっていない回転刃ユニット(回転刃ユニット15を基本としてラップ角度α5を18°、30°又は70°にそれぞれ変更したもの)を適用し、間欠接合型の4心の光ファイバテープ心線(間欠テープ)を作製した。
次に、本発明の実施例について説明する。
上述した光ファイバテープ心線の製造装置10を利用し、以下の表1に示すように、実施例C、D、Eでとしては、図5、図7Aに示したラップ角度α5が前述した条件の数値範囲内(100/n度以上120/n度以下)に収まる回転刃ユニット15(ラップ角度α5を50°から60°にしたもの)を適用し、一方、比較例A、B、Fとしては、ラップ角度α5が前述した条件の数値範囲内に収まっていない回転刃ユニット(回転刃ユニット15を基本としてラップ角度α5を18°、30°又は70°にそれぞれ変更したもの)を適用し、間欠接合型の4心の光ファイバテープ心線(間欠テープ)を作製した。
また、作製した光ファイバテープ心線の評価項目としては、間欠エラー発生率とテープ強度とを選択した。間欠エラー発生率における間欠エラー(分離エラー)の判断は、光ファイバテープ心線の長手方向に沿った1ピッチ(1ピッチ=70mm)内で3箇所の分離部(分断部)の状態を観察し、分離部の再接合(分離部の部分的な再接合を含む)が、少なくとも1箇所でもあれば、分離エラー数としてカウントする。一つの光ファイバテープ心線については、20サンプル(1サンプルあたり100ピッチ)を観察し、分離エラー数/間欠の総数(2000)から、間欠エラー発生率を求めた。また、表1では、間欠エラー発生率が、0.1%以下のものを「○」、0.1〜0.5%のものを「△」、0.5%以上のものを「×」で表した。
一方、テープ強度については、IEC 60794-1-2 Impactとして規定された衝撃試験を適用した。この衝撃試験では、光ファイバテープ心線をケーブルに実装し、そのケーブルに対して衝撃落下試験を行う。より具体的には、落下物の質量を1kg、落下高さを1mとしてケーブルの衝撃落下試験を行い、その後、ケーブルを解体して光ファイバテープ心線を取り出し、連結部の破壊箇所数を計測する。表1では、破壊箇所が0箇所のものを「○」破壊箇所が1〜3箇所あるものを「△」、破壊箇所が4箇所以上あるものを「×」として表した。
ここで、表1で例示されている周期(一箇所の分断部及び連結部をあわせた長さ周期)が70〜100mmの範囲内である場合、間欠テープ(光ファイバテープ心線)の強度は、分断部の長さに対する連結部の長さの比率に、おおまかに依存していることがわかっている。また、上記した周期を十分大きくすると(例えば周期を100mm以上にすると)、これに伴い連結部の長さも長くなり間欠テープの強度が高まるものの、同時に分離部の長さも長くなり、間欠テープを融着作業を介してホルダにセットする場合などの作業性が悪化することになる。
これらの点を踏まえたうえで、表1の結果からわかるように、図5、図7Aに示すラップ角度α5(隣接刃とのラップ角度)が小さい(30°以下の)比較例A、Bは、製作中の単心被覆光ファイバの幅方向への動き(回転刃に分断直後の単心被覆光ファイバの振動)が大きくなり、分断部(分離部)が互いに接触してしまい間欠エラー発生率が増大する傾向となった。
一方、ラップ角度が適切な(50°以上60°以下の)実施例C、D、Eは、被覆樹脂の分断時に、回転刃における切り欠き部(刃本体部の設けられていない部位)の先端が、交互に被覆樹脂に侵入しても、隣接する回転刃の刃本体部(刃渡り部)が、被覆樹脂の圧力変動の障害となって、単心被覆光ファイバの幅方向への動きを抑制し、これにより、間欠エラー発生率が低減された。
また、ラップ角度が大き過ぎる(60°より大きい)比較例Fは、回転刃の切り欠き角度(切り欠き部が配置されている角度)が小さくなり過ぎてしまい(30°以下になり)、間欠テープの周期(一箇所の分断部及び連結部をあわせた長さ周期)である70mmの区間については、連結部の長さが13mm以下となり、連結部の強度不足となった(ケーブルの衝撃試験後に連結部の破壊が一部確認された)。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
3…単心被覆光ファイバ、5…光ファイバテープ心線、7,7a…分断部、8…連結部、10…光ファイバテープ心線の製造装置、11…一括被覆樹脂供給部、12…コーティングダイス、14…テープ層、15,45,55…回転刃ユニット、17…UV予備照射部、18…成形区間、19…UV本照射部、21…一括被覆機構、22…分断機構、23…樹脂硬化機構、24…搬送機構、31,41,51…第1の回転刃、32,42,52……第2の回転刃、31a,41a,51a,32a,42a,52a…刃本体部、α5…ラップ角度。
Claims (8)
- 並列させた3本以上の単心被覆光ファイバの周囲を未硬化状態の樹脂で一括被覆する工程と、
前記一括被覆された各単心被覆光ファイバのうち、互いに隣接する単心被覆光ファイバどうしの間を、2以上の回転刃により部分的に分断した分断部を形成する工程と、
前記分断部の形成後、前記未硬化状態の樹脂を硬化させる工程と、を有し、
前記2以上の回転刃は、互いが同軸的に配置されていると共に、回転方向に沿って間欠的に設けられたn個の刃本体部をそれぞれ備え、
前記2以上の回転刃のうちの互いに対向する各回転刃の前記刃本体部どうしは、それらの厚さ方向からみて部分的に重なっており、この重なりの度合を、前記回転方向を基準にしたラップ角度として表すと、前記ラップ角度は、100/n度以上、120/n度以下である、
ことを特徴とする光ファイバテープ心線の製造方法。 - 前記nは、1以上6以下である、
ことを特徴とする請求項1記載の光ファイバテープ心線の製造方法。 - 前記分断部を形成する工程では、前記分断部の長さに対する、当該分断部の非形成部分となる連結部の長さの比率が、0.29以上0.4以下となる分断を行う、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の光ファイバテープ心線の製造方法。 - 前記一括被覆する工程では、ダイス内で前記各単心被覆光ファイバの周囲を未硬化状態の紫外線硬化型樹脂により一括被覆し、
前記硬化させる工程は、
前記分断部の形成後、前記未硬化状態の紫外線硬化型樹脂を紫外線の照射により半硬化させる工程と、
前記半硬化させた紫外線硬化型樹脂で被覆された各単心被覆光ファイバを搬送する工程と、
前記搬送された各単心被覆光ファイバの前記紫外線硬化型樹脂を紫外線の照射により完全硬化させる工程と、
を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光ファイバテープ心線の製造方法。 - 並列させた3本以上の単心被覆光ファイバの周囲を未硬化状態の樹脂で一括被覆する一括被覆機構と、
前記一括被覆された各単心被覆光ファイバのうち、互いに隣接する単心被覆光ファイバどうしの間を、2以上の回転刃により部分的に分断した分断部を形成する分断機構と、
前記分断部が形成されてから前記未硬化状態の樹脂を硬化させる樹脂硬化機構と、を具備し、
前記2以上の回転刃は、互いが同軸的に配置されていると共に、回転方向に沿って間欠的に設けられたn個の刃本体部をそれぞれ備え、
前記2以上の回転刃のうちの互いに対向する各回転刃の前記刃本体部どうしは、それらの厚さ方向からみて部分的に重なっており、この重なりの度合を、前記回転方向を基準にしたラップ角度として表すと、前記ラップ角度は、100/n度以上、120/n度以下である、
ことを特徴とする光ファイバテープ心線の製造装置。 - 前記nは、1以上6以下である、
ことを特徴とする請求項5記載の光ファイバテープ心線の製造装置。 - 前記分断機構は、前記分断部の長さに対する、当該分断部の非形成部分となる連結部の長さの比率が、0.29以上0.4以下となる分断を行う、
ことを特徴とする請求項5又は6記載の光ファイバテープ心線の製造装置。 - 前記一括被覆機構は、ダイスを有し、前記ダイス内で前記各単心被覆光ファイバの周囲を未硬化状態の紫外線硬化型樹脂により一括被覆し、
前記樹脂硬化機構は、
前記分断部が形成されてから、前記未硬化状態の紫外線硬化型樹脂を紫外線の照射により半硬化させる第1の紫外線照射部と、
前記半硬化させた紫外線硬化型樹脂で被覆された各単心被覆光ファイバを搬送する搬送機構と、
前記搬送された各単心被覆光ファイバの前記紫外線硬化型樹脂を紫外線の照射により完全硬化させる第2の紫外線照射部と、
を備えることを特徴とする請求項5ないし7のいずれか1項に記載の光ファイバテープ心線の製造装置。
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JP2010033010A (ja) * | 2008-06-23 | 2010-02-12 | Fujikura Ltd | 光ファイバテープ心線の製造方法及びその製造装置 |
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2015
- 2015-07-30 JP JP2015151218A patent/JP2017032721A/ja active Pending
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