JP2017032385A - 検査チップ、検査システム、及び、検査方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】検査精度の低下を低減する検査チップ、検査システム、及び、検査方法を提供する。【解決手段】検査チップは、所定方向604に配列された複数の溝670が設けられた壁部によって形成された保持部600、保持部600に導入される試薬が一時的に保持される液受部410、液受部410と保持部600とを接続する第一流路601、及び保持部600から試薬を流出させる第二流路602を備える。複数の溝670は、夫々、所定方向604のうち第二流路602に近接する第二流路側を構成する第二溝壁部と、第二流路側と反対の第一流路側を構成する第一溝壁部とを有する。第一溝壁部及び前記第二溝壁部の間の距離は、溝の底部に向かう程小さくなる。所定方向604に対して第二溝壁部のなす角度である第二角度は、所定方向604に対して第一溝壁部のなす角度である第一角度よりも大きい。【選択図】図4

Description

本発明は、抗原抗体反応のためのビーズを保持する検査チップ、検査システム、及び、検査方法に関する。
従来、抗原抗体反応のためのビーズを備える検査チップが知られている。例えば、特許文献1に記載の磁性ビードパッキングユニットは、試料液チャンバー、ウエストチャンバー、及び微細流動チャンネルを備えている。微細流動チャネルは、試料液チャンバーとウエストチャンバーとを接続する。微細流動チャンネルは、試料液チャンバー側の入口と、ウエストチャンバー側の出口との間の流路である。微細流動チャンネルは、屈曲部とボトルネック部とを備えている。屈曲部に隣接した位置には、磁石が配置される。
抗原を含む試料液に、磁石に引き付けられるビーズである磁性ビードが混合される。磁性ビードが混合された試料液は、試料液チャンバーに注入され、遠心力の作用によって、微細流動チャンネルを流れる。磁性ビードの移動速度は、ボトルネック部で遅くなる。磁性ビードは、磁石の磁力に引かれて屈曲部に保持される。磁性ビードが分離された試料液は、ウエストチャンバーに流れる。試料液チャンバーにバッファ液が注入される。屈曲部に保持された磁性ビードは、バッファ液によって洗浄される。免疫反応の検出のための基質が試料液チャンバーに注入される。屈曲部に保持された磁性ビードの表面に基質が付着する。基質の種類に応じた測定方法によって、免疫反応が検出される。
特開2008−58302号公報
従来の磁性ビードパッキングユニットでは、屈曲部において、磁性ビードが常に磁石に引き付けられる。このため、バッファ液内で磁性ビードが良好に流動せず、磁性ビードの表面の洗浄が行われない場合があった。又、基質内で磁性ビードが良好に流動せず、磁性ビードの表面に基質が付き難い場合があった。これらの場合、検査精度が低下する可能性があった。
本発明の目的は、検査精度の低下を低減する検査チップ、検査システム、及び、検査方法を提供することである。
本発明の第一態様に係る検査チップは、所定方向に配列され、抗原抗体反応のための固相化抗体を固定させるための担体を保持するための複数の溝が少なくとも一部に設けられた壁部によって形成された保持部と、前記保持部に導入される試薬が一時的に保持される導入部と、前記導入部と前記保持部とを接続し、前記導入部から前記保持部に前記試薬を流す第一流路と、前記保持部に接続し、前記保持部から前記試薬を流出させる第二流路とを備えた検査チップであって、前記複数の溝は、それぞれ、前記所定方向のうち前記第二流路に近接する第二流路側を構成する第二溝壁部と、前記第二流路側と反対の第一流路側を構成する第一溝壁部とを有し、前記第一溝壁部及び前記第二溝壁部の間の距離は、溝の底部に向かう程小さくなり、前記所定方向に対して前記第二溝壁部のなす角度である第二角度は、前記所定方向に対して前記第一溝壁部のなす角度である第一角度よりも大きいことを特徴とする。
第一態様によれば、検査チップでは、導入部から第一流路を介して保持部に試薬が流入される。保持部に流入された試薬は、複数の溝によって保持された担体に接触する。担体に接触した試薬は、第二流路を介して流出される。ここで、各溝は、第一溝壁部と第二溝壁部とを有する。第一溝壁部と第二溝壁部との間の距離は、底部に向かう程小さくなるので、担体は複数の溝に良好に集積される。又、第一溝壁部のなす第一角度は、第二溝壁部のなす第二角度よりも小さい。このため、集積された担体が溝から流出し易くなるので、担体は試薬の流入によって良好に流動する。従って、検査チップは、担体を流動させることによって担体と試薬とを良好に接触させることができるので、担体と試薬との接触が阻害されて検査精度が低下することを抑制できる。なお、第二溝壁部のなす第二角度は、第一溝壁部のなす第一角度よりも大きい。このため、担体と接触した試薬が第二流路に流出するときに、担体が保持部から流出することを、第二溝壁部によって適切に抑制できる。
第一態様において、前記第二角度が略90度であってもよい。この場合、担体と接触した試薬が第二流路に流出するときに、担体が保持部から流出することを、第二溝壁部によって更に適切に抑制できる。
第一態様において、前記壁部は、前記複数の溝のそれぞれの深さ方向に沿って前記底部に向かう方向の力が作用する作用領域を備え、前記複数の溝の少なくとも一部は、前記壁部の前記作用領域に配置されてもよい。この場合、作用領域に配置された溝の内部の担体に対して、底部に向かう方向の力が作用する。従って、検査チップは、複数の溝に担体を適切に保持できる。
第一態様において、前記作用領域には、前記複数の溝のそれぞれの深さ方向に沿って前記底部に向かう方向に磁力が作用してもよい。この場合、作用領域に配置された溝の内部の担体に対して、底部に向かう方向の磁力が作用する。従って、検査チップは、磁力によって、複数の溝に担体を保持できる。
第一態様において、前記保持部は、前記第一流路に接続する第一開口と、前記第二流路に接続し且つ前記第一開口よりも小さい断面積を有する第二開口とを有し、前記複数の溝のうち前記第一開口と交差する第一溝の数は、前記複数の溝のうち前記第二開口と交差する第二溝の数よりも多くてもよい。この場合、第一流路を介して保持部に流入する試薬は、相対的に多い数の第一溝に流入する。このため、検査チップは、溝によって保持された担体を、試薬の流入によって良好に流動させることができる。従って、検査チップは、保持部内に流入した試薬を担体と良好に接触させることができる。又、保持部で担体に接触した試薬は、相対的に少ない数の第二溝を通って第二流路に流出する。従って、検査チップは、複数の溝に保持された担体が保持部から流出することを適切に抑制できる。
第一態様において、前記保持部の前記壁部は、互いに離隔して対向する面状の第一壁部及び第二壁部と、前記第一壁部及び前記第二壁部の間に設けられ、前記第一開口と接続する第三壁部と、前記第一壁部及び前記第二壁部の間に設けられ、前記第二開口と接続する第四壁部とを有し、前記複数の溝は、前記第一壁部及び前記第二壁部の少なくとも一方に設けられ、前記第三壁部及び前記第四壁部には設けられず、前記第二溝に沿って前記第二開口に向けて延びる第二溝方向と、前記第四壁部の延びる方向とが交差してもよい。この場合、検査チップは、第四壁部に沿って試薬が流れることに応じて保持部から担体が流出することを、第二溝によって適切に抑制できる。
第一態様において、前記保持部の前記壁部は、互いに離隔して対向する面状の第一壁部及び第二壁部と、前記第一壁部及び前記第二壁部の間に設けられ、前記第一開口と接続する第三壁部と、前記第一壁部及び前記第二壁部の間に設けられ、前記第二開口と接続する第四壁部と、前記第一開口と前記第二開口とを隔離する隔離部とを有し、前記第三壁部に沿って前記第一壁部及び前記第二壁部と平行に延びる第一直線と、前記第四壁部に沿って前記第一壁部及び前記第二壁部と平行に延びる第二直線との交点から、前記隔離部に向けて延びる第一方向は、前記第一溝に沿って前記第一開口に向けて延びる第一溝方向に対して前記第二流路側を向き、前記第三壁部に沿って前記第一開口に向けて延びる第二方向は、前記第一溝方向に対して前記第一流路側を向いてもよい。この場合、保持部に流入する試薬は、第一溝に沿って流れやすい。このため、検査チップは、第一溝に保持された担体を、試薬の流入によって良好に流動させることができる。
本発明の第二態様に係る検査システムは、第一態様に係る前記検査チップと、前記検査チップを保持するホルダと、主軸を中心として前記ホルダを回転させ、且つ、前記主軸と交差する方向に延びる揺動軸を中心として前記ホルダを回転させることにより、前記主軸の回転による遠心力の前記ホルダに対する方向を、互いに直交する第一遠心方向と第二遠心方向との間で変化させる遠心機構とを備えている。
第二態様によれば、検査システムは、遠心機構によってホルダを回転させることによって、ホルダに保持された検査チップに遠心力を作用させる。又、検査システムは、検査チップに作用させる遠心力の方向を、第一遠心方向と第二遠心方向との間で変化させる。第一遠心方向と第二遠心方向とのうち一方の方向の遠心力によって、導入部に一時的に保持された試薬は、第一流路を介して保持部に流入する。ここで、保持部の各溝の第一溝壁部のなす第一角度は、第二溝壁部のなす第二角度よりも小さい。このため、保持部に試薬が流入するときに、担体は良好に流動する。従って、担体と試薬とを良好に接触させることができる。又、他方の方向の遠心力によって、保持部内の試薬は、第二流路を介して保持部から流出する。このとき、保持部の各溝の第二溝壁部は、担体が保持部から流出することを適切に抑制できる。
第二態様において、前記所定方向は、前記第一遠心方向及び前記第二遠心方向の何れとも交差してもよい。この場合、検査システムは、保持部に流入した試薬を溝に流入し易くすると同時に、担体と接触した試薬が第二流路に流出することを抑制できる。
第二態様において、前記検査チップの前記壁部は、前記複数の溝のそれぞれの深さ方向に沿って前記底部に向かう方向の力が作用する作用領域を備え、前記複数の溝の少なくとも一部は、前記壁部の前記作用領域に配置されてもよい。この場合、作用領域に配置された溝の内部の担体に対して、底部に向かう方向の力が作用する。従って、検査システムでは、検査チップの複数の溝に担体を適切に保持させることができる。
第二態様において、前記検査チップの前記複数の溝に、前記担体が保持され、前記担体に磁力を作用させる磁石が、前記ホルダに設けられてもよい。この場合、検査システムは、磁石によって検査チップに磁力を作用させることによって、複数の溝に担体を保持させることができる。
本発明の第三態様に係る検査方法は、検査チップのうち、所定方向に配列され、抗原抗体反応のための担体を保持するための複数の溝が少なくとも一部に設けられた壁部によって形成された保持部に、第一流路を介して導入部から試薬を流入させる流入工程と、前記保持部内の前記担体に、前記流入工程によって前記保持部に流入された試薬を接触させた後、前記担体に接触した前記試薬を第二流路を介して流出させる流出工程とを備えた検査方法であって、前記複数の溝は、それぞれ、前記所定方向のうち前記第二流路に近接する前記第二流路側を構成する第二溝壁部と、前記第二流路側と反対の第一流路側を構成する第一溝壁部とを有し、前記第一溝壁部及び前記第二溝壁部の間の距離は、溝の底部に向かう程小さくなり、前記所定方向に対して前記第二溝壁部のなす角度である第二角度は、前記所定方向に対して前記第一溝壁部のなす角度である第一角度よりも大きいことを特徴とする。
第三態様によれば、導入部から第一流路を介して保持部に試薬が流入され、試薬が担体に接触する。次いで、担体に接触した試薬が第二流路を介して流出される。ここで、各溝の第一溝壁部のなす第一角度は、第二溝壁部のなす第二角度よりも小さい。このため、保持部に試薬が流入するときに、担体は良好に流動する。従って、担体と試薬とを良好に接触させることができるので、担体と試薬との接触が阻害されて検査精度が低下することを抑制できる。又、各溝の第二溝壁部は、保持部から試薬が流出するときに、担体が保持部から流出することを適切に抑制できる。
検査装置1及び制御装置90を含む検査システム3の構成を示す図である。 検査チップ2の正面図である。 検査チップ2の後面図である。 ビーズ保持部600近傍を拡大した正面図である。 ビーズ保持部600近傍を拡大した正面図である。 図4のA−A線矢視方向断面図である。 図6の枠Wを拡大した図である。 遠心処理のフローチャートである。 遠心処理における検査チップ2の状態遷移図である。 図9から続く状態遷移図である。 図10から続く状態遷移図である。 図11から続く状態遷移図である。 図12から続く状態遷移図である。 図6の枠Wを拡大した図である。
本発明の一実施形態を説明する。図1は、検査システム3を構成する検査装置1の平面及び制御装置90の内部の機能ブロックを示す。
<1.検査システム3の概略構造>
図1を参照して、検査システム3の概略構造を説明する。本実施形態の検査システム3は、液体である試薬を収容可能な検査チップ2と、検査チップ2を用いて検査を行う検査装置1とを含む。検査装置1が検査チップ2から離間した垂直軸線A1を中心として検査チップ2を回転させると、遠心力が検査チップ2に作用する。検査装置1が水平軸線A2を中心に検査チップ2を回転させると、検査チップ2に作用する遠心力の方向である遠心方向が切り替えられる。本実施形態の検査システム3及び検査装置1は、特開2012−78107号公報に記載されているように周知の構造であるので、以下の説明では、検査装置1の構造を概略的に説明する。
<2.検査装置1の構造>
図1を参照して、検査装置1の構造を説明する。以下の説明では、図1の上方、下方、右方、左方、紙面手前側、及び紙面奥側を、夫々、検査装置1の前方、後方、右方、左方、上方、及び下方とする。本実施形態では、垂直軸線A1の方向は検査装置1の上下方向であり、水平軸線A2の方向は、検査チップ2が垂直軸線A1を中心として回転される際の速度の方向である。図1は検査装置1の上部筐体30の天板が取り除かれた状態を示す。
図1に示すように、検査装置1は、上部筐体30、下部筐体29、上板32、ターンテーブル33、角度変更機構34、及び制御装置90を備える。ターンテーブル33は、後述する上板32の上側に回転可能に設けられた円盤である。検査チップ2は、ターンテーブル33の上方に保持される。角度変更機構34は、ターンテーブル33に設けられた駆動機構である。この角度変更機構34は、水平軸線A2を中心に検査チップ2を各々回転させる。上部筐体30は、後述する上板32に固定されており、検査チップ2に対して光学測定を行う測定部7が内部に設けられている。制御装置90は、検査装置1の各種処理を制御するコントローラである。
下部筐体29の概略構造を説明する。下部筐体29は、枠部材を組み合わせた箱状のフレーム構造を有する。下部筐体29の上面には、長方形の板材である上板32が設けられている。下部筐体29の内部には、垂直軸線A1を中心にターンテーブル33を回転させる駆動機構が、次のように設けられている。
下部筐体29内の左方寄りに、ターンテーブル33を回転させるための駆動力を供給する主軸モータ35が設置されている。主軸モータ35の軸36は、上方に突出しており、プーリ37が固定されている。下部筐体29の中央部には、下部筐体29の内部から上方に延びる垂直な主軸57が設けられている。主軸57は、上板32を貫通して、下部筐体29の上側に突出している。主軸57の上端部は、ターンテーブル33の中央部に接続されている。
主軸57は、上板32の直下に設けられた図示しない支持部材により、回転自在に保持されている。支持部材の下側では、主軸57にプーリ38が固定されている。プーリ37とプーリ38とに亘って、ベルト39が掛け渡されている。主軸モータ35が軸36を回転させると、プーリ37、ベルト39、及びプーリ38を介して駆動力が主軸57に伝達される。このとき、主軸57の回転に連動して、ターンテーブル33が主軸57を中心に回転する。
下部筐体29内の右方寄りに、下部筐体29の内部において上下方向に延びる図示しないガイドレールが設けられている。図示しないT型プレートは、ガイドレールに沿って下部筐体29内において上下方向に移動可能である。
先述の主軸57は、内部が中空の筒状体である。図示しない内軸は、主軸57の内部において上下方向に移動可能な軸である。内軸の上端部は、主軸57内を貫通してラックギア43に接続されている。T型プレートの左端部には、図示しない軸受が設けられている。軸受の内部では、内軸の下端部が回転自在に保持される。
T型プレートの前方には、T型プレートを上下動させるためのステッピングモータ51が固定されている。ステッピングモータ51の軸58は後方、すなわち図1では下方側に向けて突出している。軸58の先端には、図示しない円盤状のカム板が固定されている。カム板の後側の面には、図示しない円柱状の突起が設けられている。突起の先端部は、図示しない溝部に挿入されている。突起は、溝部内を摺動可能である。ステッピングモータ51が軸58を回転させると、カム板の回転に連動して突起が上下動する。このとき、溝部に挿入されている突起に連動して、T型プレートがガイドレールに沿って上下動する。
角度変更機構34の詳細構造を説明する。角度変更機構34は、ターンテーブル33の上面に固定された一対のL型プレート60を有する。各L型プレート60は、ターンテーブル33の中心近傍に固定された基部から上方に延び、且つ、その上端部がターンテーブル33の径方向外側に向けて延びている。一対のL型プレート60の間には、内軸に固定された図示しないラックギア43が設けられている。ラックギア43は、上下方向に長い金属製の板状部材であり、両端面にギアが各々刻まれている。
各L型プレート60の延設方向の先端側では、ギア45を有する水平な支軸46が回転自在に軸支されている。支軸46は、後述するホルダ52を介して検査チップ2に固定されている。このため、ギア45の回転に連動して検査チップ2も支軸46を中心に回転する。ギア45とラックギア43との間には、L型プレート60により図示略の水平軸線を中心に回転自在に支持されたピニオンギア44が介在している。ピニオンギア44は、ギア45及びラックギア43に夫々噛合している。ラックギア43の上下動に連動して、ピニオンギア44、及びギア45が夫々従動回転し、ひいては検査チップ2が支軸46を中心に回転する。
本実施形態では、主軸モータ35がターンテーブル33を回転駆動するのに伴って、検査チップ2が垂直軸である主軸57を中心に回転して、検査チップ2に遠心力が作用される。検査チップ2の垂直軸線A1を中心とした回転を、公転と呼ぶ。一方、ステッピングモータ51が内軸を上下動させるのに伴って、検査チップ2が水平軸である支軸46を中心に回転して、検査チップ2に作用する遠心力の方向が相対変化する。検査チップ2の水平軸線A2を中心とした回転を、自転と呼ぶ。
T型プレートが可動範囲の最下端まで下降した状態では、ラックギア43も可動範囲の最下端まで下降する。このとき、検査チップ2は、自転角度が0度の定常状態になる。また、T型プレートが可動範囲の最上端まで上昇した状態では、ラックギア43も可動範囲の最上端まで上昇する。このとき、検査チップ2は、定常状態から水平軸線A2を中心に180度回転した状態になる。つまり、本実施形態では検査チップ2が自転可能な角度幅は、自転角度0度〜180度である。
ホルダ52は、検査チップ2が装着可能な装着部53を有する。装着部53の上側に開口部54が形成される。開閉部54Aは、装着部53に検査チップ2が装着された状態で、開口部54から検査チップ2が外れないように保持することができる。アパーチャ55は、装着部53の前面を形成する板状部材である。
上部筐体30の詳細構造を説明する。図1に示すように、上部筐体30は、枠部材を組み合わせた箱状のフレーム構造を有し、上板32の左部上側に設置されている。より詳細には、上部筐体30は、ターンテーブル33の回転中心にある主軸57からみて、検査チップ2が回転される範囲の外側に設けられている。
上部筐体30の内部に設けられた測定部7は、測定光を発光する光源71と、光源71から発せられた測定光を検出する光センサ72とを有する。光源71及び光センサ72は、検査チップ2の回転範囲の外側において、ターンテーブル33の前後両側に配置されている。本実施形態では、検査チップ2の公転可能範囲のうちで主軸57の左側位置が、検査チップ2に測定光が照射される測定位置である。検査チップ2が測定位置にある場合、光源71と光センサ72とを結ぶ測定光が、検査チップ2の前面及び後面に対して略垂直に交差する。ホルダ52のアパーチャ55は、光源71から光センサ72に向けて発光された測定光を検査チップ2の測定部450に透過させる。
<3.制御装置90の電気的構成>
図1を参照して、制御装置90の電気的構成を説明する。制御装置90は、検査装置1の主制御を司るCPU101と、各種データを一時的に記憶するRAM102と、制御プログラムを記憶したROM103とを有する。CPU101には、ユーザが制御装置90に対する指示を入力するための操作部104と、各種データ、及びプログラムを記憶するハードディスク装置105と、各種情報を表示するディスプレイ106とが接続されている。制御装置90としては、パーソナルコンピュータを用いてもよいし、専用の制御装置を用いてもよい。
さらに、CPU101には、公転コントローラ97、自転コントローラ98、及び測定コントローラ99が接続されている。公転コントローラ97は、主軸モータ35を回転駆動させる制御信号を主軸モータ35に送信することによって、検査チップ2の公転を制御する。自転コントローラ98は、ステッピングモータ51を回転駆動させる制御信号をステッピングモータ51に送信することによって、検査チップ2の自転を制御する。測定コントローラ99は、測定部7を駆動することによって、検査チップ2の光学測定を実行する。詳細には、測定コントローラ99は、光源71の発光、及び光センサ72の光検出を実行させる制御信号を、光源71及び光センサ72に送信する。CPU101は公転コントローラ97、自転コントローラ98及び測定コントローラ99を制御する。
<4.検査チップ2の構造>
図2、図3を参照して、本実施形態に係る検査チップ2の詳細構造を説明する。以下の説明では、図2の上方、下方、左方、右方、紙面手前側、及び紙面奥側を、夫々、検査チップ2の上方、下方、左方、右方、前方、及び後方とする。前後方向は、検査チップ2の厚み方向に対応する。本実施形態では、検査チップ2が使用され、ELISA法によって検査が行われる。ELISAは、Enzyme−linked immunosorbent assayの略である。
検査チップ2の物理的構造を説明する。図2及び図3に示すように、検査チップ2は、正面視で上辺部81、下辺部84、右辺部82、及び左辺部83を有する、上下方向に長い長方形状である。検査チップ2は、所定の厚みを有する透明な合成樹脂の板材19を主体とする。板材19は、上下方向及び左右方向に延び、且つ上下方向に長い板状である。板材19は、前面である第一面203と、第一面203の反対側の後面である第二面204とを有する。
図2及び図3に示すように、第一面203及び第二面204は、夫々透明の合成樹脂の薄板から構成された平面状のシート291,292によって封止されている。シート291,292と板材19との間には、検査チップ2に封入された液体が流動可能な液体流路25が形成されている。検査チップ2に封入された液体は、液体流路25に沿って予め定められた移動経路(以下、液体移動経路という。)を流動可能である。
液体流路25は、反応停止液注入部310、供給部320、基質溶液注入部330、供給部340、洗浄液注入部350、供給部360、標識抗体液注入部370、供給部380、検査液体注入部390、供給部400、液受部410、供給部420、余剰部430、接続部500、ビーズ保持部600、供給部440、測定部450、廃液部460等を含む。液体流路25は、接続部500、ビーズ保持部600、及び測定部450を除いて、板材19を前後方向に貫通し、且つ前後方向と直交する方向に延びる。反応停止液注入部310、基質溶液注入部330、洗浄液注入部350、標識抗体液注入部370、検査液体注入部390、液受部410、余剰部430、ビーズ保持部600、測定部450、及び廃液部460は、何れも下向きに延びる凹部である。
反応停止液注入部310は、液体移動経路の最上流側に設けられ、本実施形態では検査チップ2の左上部に設けられる。反応停止液注入部310は、上方に開口して下方に延びる凹部であり、且つ後述の反応停止液91が貯留される部位である。供給部320は、反応停止液注入部310の右上部分から下方に延びる流路である。供給部320の左下部は、基質溶液注入部330に繋がる。
基質溶液注入部330は、反応停止液注入部310よりも液体移動経路の下流側に設けられ、本実施形態では反応停止液注入部310の下側に設けられる。基質溶液注入部330は、上方に開口して下方に延びる凹部であり、且つ後述の基質溶液92が貯留される部位である。供給部340は、基質溶液注入部330の右上部分から下方に延びる流路である。供給部340の左下部は、洗浄液注入部350に繋がる。
洗浄液注入部350は、基質溶液注入部330よりも液体移動経路の下流側に設けられ、本実施形態では基質溶液注入部330の下側に設けられる。洗浄液注入部350は、上方に開口して下方に延びる凹部であり、且つ後述の洗浄液93が貯留される部位である。供給部360は、洗浄液注入部350の右上部分から下方に延びる流路である。供給部360の左下部は、標識抗体液注入部370に繋がる。
標識抗体液注入部370は、洗浄液注入部350よりも液体移動経路の下流側に設けられ、本実施形態では洗浄液注入部350の下側に設けられる。標識抗体液注入部370は、上方に開口して下方に延びる凹部であり、且つ後述の標識抗体液94が貯留される部位である。供給部380は、標識抗体液注入部370の右上部分から下方に延びる流路である。供給部380の左下部は、検査液体注入部390に繋がる。標識抗体液注入部370を形成する面のうち、供給部380に向かって右上方に延びる面は、形成面371である。
検査液体注入部390は、標識抗体液注入部370よりも液体移動経路の下流側に設けられ、本実施形態では標識抗体液注入部370の下側に設けられる。検査液体注入部390は、上方に開口して下方に延びる凹部であり、且つ後述の検査液体95が貯留される部位である。供給部400は、検査液体注入部390の右上部分から下方に延びる流路である。供給部400の左下部は、液受部410に繋がる。検査液体注入部390を形成する面のうち、供給部400に向かって右上方に延びる面は、形成面391である。供給部400を形成する面のうち、液受部410に向かって左下方に延びる面は、第一案内面401である。
液受部410は、検査液体注入部390よりも液体移動経路の下流側に設けられ、本実施形態では検査液体注入部390の下側に設けられる。液受部410は、上方に開口して右下方に延びる凹部であり、且つ各種液体が流入する部位である。液受部410と、液受部410の右側に設けられた供給部420との間に、液受部410と供給部420とを隔てる壁部である隔壁490が設けられる。接続部500は、隔壁490に設けられる。接続部500は、液受部410から右上方に延びる複数の供給流路510,520,530,540を含む。供給流路520,540は、夫々、第一面203(図2参照)から後方に向けて凹み、且つ液受部410から供給部420まで延びる凹部である。供給流路510,530は、夫々、第二面204(図3参照)から前方に向けて凹み、且つ液受部410から供給部420まで延びる凹部である。
供給部420は、接続部500の右上部分から下方に延びる流路である。供給部420の下部は、ビーズ保持部600に繋がる。供給部420のうちビーズ保持部600の近傍を、第一流路601という。余剰部430は、液受部410を挟んで接続部500とは反対側に設けられ、本実施形態では液受部410の左側に設けられる。余剰部430は、上方に開口して下方に延びる凹部であり、且つ液受部410から溢れた余剰の液体が貯留される部位である。液受部410の左上部から余剰部430に向かって左下方に延びる面は、第二案内面431である。
ビーズ保持部600は、液受部410よりも液体移動経路の下流側に設けられ、本実施形態では液受部410の右側に設けられる。ビーズ保持部600は、第一面203から後方に向けて凹み、且つ上方に開口して下方に延びる凹部である。即ちビーズ保持部600は、板材19の第一面203側にのみ設けられている(図2参照)。ビーズ保持部600は、複数の磁性ビーズ96を保持する部位である。供給部440は、ビーズ保持部600の右上部から下方向に延びる流路である。供給部440のうちビーズ保持部600の近傍を、第二流路602という。供給部440の左下部は、測定部450に繋がる。
磁性ビーズ96は、抗原抗体反応のための抗体を保持した担体である。本実施形態の磁性ビーズ96は、その表面に抗体が固相化された球状である。ビーズ保持部600の後側には、円柱形状の磁石690が設けられる(図3参照)。磁石690は、第二面204に形成された凹部に嵌め込まれた状態で、シート292によって封止される。即ち、ビーズ保持部600及び磁石690は、板材19を挟んで前後方向に並ぶ。
測定部450は、ビーズ保持部600よりも液体移動経路の下流側に設けられ、本実施形態ではビーズ保持部600の下側に設けられる。測定部450は、第一面203から後方に向けて凹み、且つ上方に開口して下方に延びる凹部である。即ち測定部450は、板材19の第一面203側にのみ設けられている(図2参照)。後述する光学測定が行われる際には、測定部450に測定光が透過される。
廃液部460は、測定部450よりも液体移動経路の下流側に設けられる。本実施形態では、測定部450の右上部は、廃液部460に繋がる。廃液部460は、上方に開口する凹部であり、且つ測定部450から液体が廃液される部位である。測定部450を形成する面のうち、廃液部460に向けて右上方に延びる面は、廃液案内面451である。
検査チップ2に封入された液体を説明する。図2及び図3に示すように、本実施形態の検査チップ2には、反応停止液91、基質溶液92、洗浄液93、標識抗体液94、及び検査液体95が封入される。
検査液体95は、例えば、血液、血漿、血球、骨髄、尿、膣組織、上皮組織、腫瘍、精液、唾液、又は食料品などの成分を含む液体である。標識抗体液94は、酵素標識抗体を含む液体である。酵素標識抗体は、検査対象の物質と磁性ビーズ96の抗体との結合体に特異的に結合する、酵素で標識された抗体である。検査液体95が、磁性ビーズ96に接触すると、磁性ビーズ96の表面に固相化された抗体に、検査液体95に含まれる検査対象の物質が結合する。次いで、標識抗体液94が磁性ビーズ96に接触すると、検査対象の物質と磁性ビーズ96の抗体との結合体に酵素標識抗体が特異的に結合する。
洗浄液93は、磁性ビーズ96を洗浄する液体であり、磁性ビーズ96の抗体と結合していない検査液体95の成分等を除去する。基質溶液92は、洗浄液93によって洗浄された後の磁性ビーズ96に接触し、酵素標識抗体と酵素反応する液体である。反応停止液91は、基質溶液92と混合される液体であり、酵素反応が進行するのを停止する液体である。本実施形態では、基質溶液92が酵素反応することによって生じる蛍光物質又は呈色物質を検出して、検査対象の物質を測定することができる。
図4から図7を参照し、ビーズ保持部600の詳細構造を説明する。ビーズ保持部600は、第一壁部603A(図6、図7参照)、第三壁部603B、第四壁部603C、隔離部631(図4、図5参照)、及び板材19の第一面203を封印するシート291(図6参照)の後面によって囲まれた部分に形成される。第一壁部603A、第三壁部603B、第四壁部603C、及びシート291の後面は、夫々、ビーズ保持部600の後側、左下側、右下側、及び前側の内壁面に対応する。第一壁部603A、第三壁部603B、及び第四壁部603Cの夫々の形状は、平面状である。
図6に示すように、第一壁部603Aは、シート291に対向して配置される。第一壁部603Aは、シート291に対して後側に離隔する。第三壁部603B、第四壁部603Cは、第一壁部603Aとシート291との間に介在する。図4、図5に示すように、第三壁部603Bの下端部と第四壁部603Cの下端部とは連結する。第三壁部603Bと第四壁部603Cとの連結部分は湾曲する。第三壁部603Bは、下端から上端に向けて、左斜め上方向に延びる。第四壁部603Cは、下端から上端に向けて、右斜め上方向に延びる。
第三壁部603B及び第四壁部603Cの夫々の上端は、ビーズ保持部600の上側に開口610を形成する。壁部630は、第一流路601と第二流路602とを隔てる。隔離部631は、壁部630の下端部に対応する。隔離部631は開口610と交差し、開口610を左右に区分する。開口610の左側の部分である第一開口611は、第一流路601に接続する。第一開口611は、第三壁部603Bの上端と隔離部631との間に形成される。開口610の右側の部分である第二開口612は、第二流路602に接続する。第二開口612は、第四壁部603Cの上端と隔離部631との間に形成される。隔離部631は、第一開口611と第二開口612とを左右方向に隔離する。
隔離部631は、第三壁部603Bと第四壁部603Cとの夫々の上端の間の中点、言い換えれば、開口610の左右方向の中心よりも右側で、開口610と交差する。図4に示すように、第一開口611の左右方向の長さをL1と表記し、第二開口612の左右方向の長さをL2と表記する。この場合、L1はL2の略1.5倍となる。以下、上下方向と直交する平面を、「第一仮想平面」という。第一仮想平面で第一開口611を切断した場合の断面積を、「第一断面積」という。第一仮想平面で第二開口612を切断した場合の断面積を、「第二断面積」という。この場合、第一断面積は、第二断面積よりも大きくなる。
以下、前後方向と直交する平面を、「第二仮想平面」という。図5に示すように、第三壁部603Bに沿って第二仮想平面と平行に延びる直線を、「直線623」という。第四壁部603Cに沿って第二仮想平面と平行に延びる直線を、「直線624」という。直線623、624の交点を、「交点P」という。直線623に沿って交点Pから第一開口611に向かう方向を、「方向623A」といい、方向623Aと反対方向を、「方向623B」という。直線624に沿って交点Pから第二開口612に向かう方向を、「方向624A」という。交点Pから隔離部631に向かう方向を、「方向631A」といい、方向631Aと反対方向を、「方向631B」という。
第一壁部603Aには、7つの溝670が形成される。7つの溝670は、夫々、第一壁部603Aから後方に凹んだ凹部である(図6、図7参照)。図4に示すように、7つの溝670は互いに平行に配列される。7つの溝670は、所定方向604に等間隔で並ぶ。所定方向604は、左右方向に対して僅かに傾斜する。以下、所定方向604のうち、ビーズ保持部600に対して第一流路601が配置される左側を、第一流路側という。所定方向604のうち、ビーズ保持部600に対して第二流路602が配置される右側を、第二流路側という。この場合、所定方向604は、第一流路側から第二流路側に向けて、右斜め上方向に傾斜する。左右方向に対して所定方向604のなす角度θaは、例えば、10度である。
図7に示すように、各溝670を第一仮想平面で切断したときの断面形状は、三角形である。各溝670は、平面状の第一溝壁部671及び第二溝壁部672によって形成される。第一溝壁部671は、各溝670のうち所定方向604の第一流路側(左側)を形成する。第二溝壁部672は、各溝670のうち所定方向の第二流路側(右側)を形成する。第一溝壁部671及び第二溝壁部672は、夫々の後端で交差する。第一溝壁部671及び第二溝壁部672の交点は、各溝670の底部に対応する。
第一溝壁部671は、底部から左斜め前方向に向けて延びる。底部から第一溝壁部671に沿って底部と反対方向に向けて延びる方向を、「方向671A」という。所定方向604と方向671Aとのなす角度を、「第一角度」といい、θ1と表記する。第二溝壁部672は、底部から前方に向けて延びる。底部から第二溝壁部672に沿って底部と反対方向に向けて延びる方向を、「方向672A」という。所定方向604と方向672Aとのなす角度を、「第二角度」といい、θ2と表記する。この場合、θ1は45度である。θ2は略90度であり、詳細には87度である。第二角度は、第一角度よりも大きくなる。第一溝壁部671と第二溝壁部672との間の左右方向の距離は、前方から後方に向かう程、言い換えれば、第一壁部603Aから底部に向かう程、小さくなる。
図4に示すように、7つの溝670のうち所定方向604の第一流路側(左側)の5つの溝670は、第一開口611と交差する。第一開口611と交差する5つの溝670を、「第一溝670A」という。7つの溝670のうち所定方向604の第二流路側(右側)の2つの溝670は、第二開口612と交差する。第二開口612と交差する2つの溝670を、「第二溝670B」という。なお、上記のように、第一開口611の左右方向の長さL1は、第二開口612の左右方向の長さL2よりも大きい。又、7つの溝670は等間隔で並んでいる。このため、第一溝670Aの数「5」は、第二溝670Bの数「2」よりも多くなる。
図5に示すように、第一溝670A(図4参照)に沿って第一開口611に向けて延びる方向を、「第一溝方向621A」といい、第一溝方向621Aと反対方向を、第一溝方向621Bという。第二溝670B(図4参照)に沿って第二開口612に向けて延びる方向を、「第二溝方向622」という。第一溝方向621A、621B、及び第二溝方向622は平行である。第一溝方向621A、621B、及び第二溝方向622は、所定方向604(図4参照)と直交する。この場合、交点Pから隔離部631に向けて延びる方向631Aは、第一溝方向621Aに対して右側を向く。なお、ビーズ保持部600の右側は、ビーズ保持部600に対して第二開口612が設けられる側を示す。又、第二開口612は第二流路602に接続する。このため、方向631Aは、第一溝方向621Aに対して第二流路602側を向くことになる。又、交点Pから第三壁部603Bに沿って第一開口611に向けて延びる方向623Aは、第一溝方向621Aに対して左側を向く。なお、ビーズ保持部600の左側は、ビーズ保持部600に対して第一開口611が設けられる側を示す。又、第一開口611は第一流路601に接続する。このため、方向623Aは、第一溝方向621Aに対して第一流路601側を向くことになる。又、第一溝方向621Aと反対の第一溝方向621Bは、方向623Aと反対の方向623Bよりも左側、且つ、方向631Aと反対の方向631Bよりも右側の方向となる。更に、第二溝方向622は、交点Pから第四壁部603Cに沿って第二開口612に向けて延びる方向624Aに対して左側を向く。第二溝方向622と方向624Aとは交差する。
図6に示すように、板材19を挟んで第一壁部603Aの後側に、磁石690が配置される。磁石690の磁力が作用する領域を、「作用領域691」という。第一壁部603Aのうち複数の溝670が設けられた部分は、作用領域691に含まれる。作用領域691内に配置された複数の磁性ビーズ96(図7参照)には、磁石690によって後側に向かう方向の磁力が作用する。なお、各磁性ビーズ96に対して作用する磁力の方向は、各溝670の深さ方向に沿って底部に向かう方向と一致する。このため、図7に示すように、複数の磁性ビーズ96は、磁力に応じて複数の溝670に入り込み、夫々の底部に向けて移動する。複数の磁性ビーズ96は、各溝670の底部近傍で保持される。
<5.検査チップ2のその他構造>
図1に示すように、L型プレート60から延びる支軸46は、ホルダ52を介して板材19の後面中央に垂直に連結される。支軸46の回転に伴って、検査チップ2が支軸46を中心に自転する。検査チップ2は図2に示す定常状態である場合、上辺部81及び下辺部84が重力Gの方向と直交し、右辺部82及び左辺部83が重力Gの方向と平行、且つ、左辺部83が右辺部82よりも主軸57側に配置される。定常状態の検査チップ2が測定位置に配置されている状態において、光源71と光センサ72とを結ぶ測定光を測定部450に通過させることで、検査装置1は光学測定による検査を行う。
<6.検査方法の一例>
検査装置1及び検査チップ2を用いた検査方法を説明する。図2及び図3に示すように、反応停止液注入部310に、反応停止液91が注入される。基質溶液注入部330に、基質溶液92が注入される。洗浄液注入部350に、洗浄液93が注入される。標識抗体液注入部370に、標識抗体液94が注入される。検査液体注入部390に、検査液体95が注入される。
液体は、各種手法によって検査チップ2内に配置可能である。例えば、シート291,292の何れかに、反応停止液注入部310、基質溶液注入部330、洗浄液注入部350、標識抗体液注入部370、及び検査液体注入部390の夫々に液体を注入可能な複数の穴が設けられてもよい。この場合、ユーザが複数の穴から各液体を注入した後、これらの穴をシールで封止すればよい。
シート292が第二面204に貼られた状態で、各液体が反応停止液注入部310、基質溶液注入部330、洗浄液注入部350、及び標識抗体液注入部370に各々配置された後に、シート291が第一面203に貼られてもよい。逆に、シート291が第一面203に貼られた状態で、各液体が反応停止液注入部310、基質溶液注入部330、洗浄液注入部350、及び標識抗体液注入部370に各々配置された後に、シート292が第二面204に貼られてもよい。
この場合、シート291,292の何れかに、検査液体注入部390に液体を注入可能な穴が設けられてもよい。ユーザは、この穴から検査液体95を注入した後、この穴をシールで封止すればよい。また、板材19における検査液体注入部390の左側部分に、検査液体注入部390に液体を注入可能な穴が設けられてもよい。ユーザは、この穴から検査液体95を注入した後、この穴をシールで封止すればよい。
ユーザは検査チップ2をホルダ52に取り付けて、操作部104から処理開始のコマンドを入力する。これによって、CPU101は、ROM103に記憶されている制御プログラムに基づいて、図8に示す遠心処理を実行する。CPU101は遠心処理において、公転コントローラ97を介して主軸モータ35を駆動制御することで、検査チップ2の公転開始、公転速度制御、及び公転停止を行う各動作を実行する。本実施形態では、CPU101は垂直軸線A1を中心として、検査チップ2を平面視で時計回り方向に公転させる(図1参照)。このとき検査チップ2が移動する公転方向は、検査チップ2の前側である。
CPU101は遠心処理において、自転コントローラ98を介してステッピングモータ51を駆動制御することで、検査チップ2の自転角度を変更する各動作を実行する。以下の説明では、図2及び図3に示す定常状態の検査チップ2の自転角度を、0度とする。正面視で水平軸線A2を中心として、定常状態からm度反時計回りに回転した検査チップ2の自転角度を、m度とする。例えば、定常状態から90度反時計回りに回転した検査チップ2の自転角度は、90度である。
図8に示すように、CPU101は、HDD105に予め記憶されているモータの駆動情報を読み込み、公転コントローラ97に主軸モータ35の駆動情報をセットし、自転コントローラ98にステッピングモータ51の駆動情報をセットする(S1)。このとき、図2及び図3に示すように、検査チップ2は定常状態であるため、自転角度0度である。次いで、CPU101は、自転角度0度の検査チップ2の公転を開始する(S2)。CPU101は、公転する検査チップ2の移動速度である公転速度を、速度Vまで上げる。速度Vは、例えば3000rpmである。数百Gほどの遠心力Xが、検査チップ2に作用する。
CPU101は速度Vで公転を実行する(S3)。図9の状態F1に示すように、左辺部83から右辺部82に向けて、検査チップ2に遠心力Xが作用する。以下、左辺部83から右辺部82に向かう方向を、第一遠心方向ともいう。第一遠心方向の遠心力Xによって、各液体が以下のように移動する。反応停止液91は、反応停止液注入部310から供給部320に移動する。基質溶液92は、基質溶液注入部330から供給部340に移動する。洗浄液93は、洗浄液注入部350から供給部360に移動する。標識抗体液94は、標識抗体液注入部370から供給部380に移動する。検査液体95は、検査液体注入部390から供給部400に移動する。
尚、複数の磁性ビーズ96は、遠心力Xの作用に関わらず、磁石690(図3参照)の磁力によってビーズ保持部600に保持される。以下の説明では、公転速度は速度Vで一定であるが、遠心処理の途中で速度Vの大きさが変更されてもよい。
次いで、図9の状態F2に示すように、CPU101は自転角度を0度から90度に変更する(S4)。この結果、上辺部81(図2参照)から下辺部84(図2参照)に向けて、検査チップ2に遠心力Xが作用する。以下、上辺部81から下辺部84に向かう方向を、第二遠心方向ともいう。第二遠心方向の遠心力Xによって、各液体が以下のように移動する。反応停止液91は、供給部320から基質溶液注入部330に移動する。基質溶液92は、供給部340から洗浄液注入部350に移動する。洗浄液93は、供給部360から標識抗体液注入部370に移動する。標識抗体液94は、供給部380から検査液体注入部390に移動する。検査液体95は、供給部400から液受部410に移動する。
次いで、図9の状態F3に示すように、CPU101は自転角度を90度から0度に変更する(S5)。この結果、第一遠心方向の遠心力Xによって、各液体が以下のように移動する。反応停止液91は、基質溶液注入部330から供給部340に移動する。基質溶液92は、洗浄液注入部350から供給部360に移動する。洗浄液93は、標識抗体液注入部370から供給部380に移動する。標識抗体液94は、検査液体注入部390から供給部400に移動する。検査液体95は、接続部500を介して液受部410から供給部420に移動する。
次いで、図9の状態F4に示すように、CPU101は自転角度を0度から90度に変更する(S6)。この結果、第二遠心方向の遠心力Xによって、各液体が以下のように移動する。反応停止液91は、供給部340から洗浄液注入部350に移動する。基質溶液92は、供給部360から標識抗体液注入部370に移動する。洗浄液93は、供給部380から検査液体注入部390に移動する。標識抗体液94は、供給部400から液受部410に移動する。検査液体95は、供給部420から第一流路601を通ってビーズ保持部600に移動し、複数の磁性ビーズ96に接触する。各磁性ビーズ96に固相化された抗体に、検査液体95に含まれる検査対象の物質が結合する。
図5に示すように、検査液体95は、第一流路601を通って第一開口611からビーズ保持部600に流入する。流入した検査液体95は、ビーズ保持部600の第一開口611近傍において、第一開口611から交点Pに向けて移動する場合がある。より詳細には、検査液体95は、第三壁部603Bに沿って延びる方向623Bと、隔離部631から交点Pに向かう方向631Bとの間の何れかの方向に移動する場合がある。ここで、第一開口611と交差する各第一溝670Aの延びる第一溝方向621Bは、方向623B、631Bの間の方向を示す。このため、ビーズ保持部600に流入する検査液体95は、各第一溝670Aに沿って移動し易い。
図14に示すように、各第一溝670Aの第一溝壁部671の第一角度は、第二溝壁部672の第二角度よりも小さい。このため、各第一溝670Aに沿って検査液体95が移動した場合、各磁性ビーズ96は、検査液体95の移動する勢いで、磁石690(図6参照)の磁力に逆らって流動し、各第一溝670Aから僅かに外部に移動する場合がある。この場合、各磁性ビーズ96が各第一溝670Aに保持された状態と比べて、検査液体95に含まれる検査対象の物質は、各磁性ビーズ96に固相化された抗体に結合し易くなる。
なお、ビーズ保持部600に対する検査液体95の流入が停止した場合、各磁性ビーズ96は、磁石690の磁力に応じて各第一溝670Aに入り込み、夫々の底部に向けて移動する。各磁性ビーズ96は、各第一溝670Aの底部近傍で保持される(図7参照)。
次いで、図10の状態F5に示すように、CPU101は自転角度を90度から0度に変更する(S7)。この結果、第一遠心方向の遠心力Xによって、各液体が以下のように移動する。反応停止液91は、洗浄液注入部350から供給部360に移動する。基質溶液92は、標識抗体液注入部370から供給部380に移動する。洗浄液93は、検査液体注入部390から供給部400に移動する。標識抗体液94は、接続部500を介して液受部410から供給部420に移動する。検査液体95は、ビーズ保持部600から第二流路602を通って供給部440に移動する。
図5に示すように、検査液体95は、ビーズ保持部600の第二開口612から第二流路602に向けて流出する。このとき、ビーズ保持部600の第二開口612近傍において、検査液体95は、第四壁部603Cに沿って第二開口612に向かう方向624Aと略平行に移動する場合がある。ここで、第二開口612と交差する各第二溝670Bの延びる第二溝方向622は、方向624Aと交差する。このため、ビーズ保持部600から流出する検査液体95は、各第二溝670Bと交差する方向に移動する。従って、各第二溝670Bの底部近傍で保持された状態の各磁性ビーズ96は、検査液体95がビーズ保持部600から流出する勢いで移動した場合、各第二溝670Bの第二溝壁部672に引っ掛かる。なお、各第二溝670Bの第二溝壁部672の第二角度は、第一溝壁部671の第一角度よりも大きいので、各磁性ビーズ96は、第二溝壁部672に引っ掛かり易い。従って、各磁性ビーズ96は第二溝壁部672に当接するので、ビーズ保持部600から外部に流出し難い。
次いで、図10の状態F6に示すように、CPU101は自転角度を0度から90度に変更する(S8)。この結果、第二遠心方向の遠心力Xによって、各液体が以下のように移動する。反応停止液91は、供給部360から標識抗体液注入部370に移動する。基質溶液92は、供給部380から検査液体注入部390に移動する。洗浄液93は、供給部400から液受部410に移動する。標識抗体液94は、供給部420からビーズ保持部600に移動して、複数の磁性ビーズ96に接触する。各磁性ビーズ96の抗体と検査対象の物質との結合体に、標識抗体液94に含まれる酵素標識抗体が特異的に結合する。なお、標識抗体液94は各第一溝670Aに沿って移動するので、各第一溝670Aの複数の磁性ビーズ96は、標識抗体液94の移動する勢いで流動し、各第一溝670Aから僅かに外部に移動する(図14参照)。このため、標識抗体液94に含まれる酵素標識抗体は、各磁性ビーズ96の抗体と検査対象の物質との結合体に結合し易くなる。検査液体95は、供給部440から測定部450に移動する。
液受部410に洗浄液93が移動するに伴って、余剰の洗浄液93が定量端部413から溢れる。溢れた洗浄液93は、余剰部430に移動して貯留される。余剰部430では、以降の処理で作用する遠心力Xに関わらず、余剰の洗浄液93が保持される。
次いで、CPU101は複数の供給流路510,520,530,540の何れかを介して、洗浄液93を液受部410からビーズ保持部600に複数回供給し、複数の磁性ビーズ96を多段階に洗浄する。CPU101は、第一動作と第二動作とを繰り返し実行することで、洗浄液93を多段階に液受部410からビーズ保持部600に供給する。第一動作は、下方向とは異なる方向の遠心力Xを、検査チップ2に作用させる動作である。第二動作は、下方向の遠心力Xを、検査チップ2に作用させる動作である。
CPU101は、n回目の第一動作を行う場合、遠心力Xの方向と下方向とのなす角度が第一角度以上、且つ第二角度未満となる方向に、遠心力Xを作用させる。第一角度は、n番目の供給流路が延びる方向に垂直な方向と、下方向とがなす角度である。第二角度は、(n+1)番目の供給流路が延びる方向に垂直な方向と、下方向とがなす角度である。本実施形態では、CPU101はn回目の第一動作において、遠心力Xの方向と下方向とが第一角度をなす方向に、検査チップ2に遠心力Xを作用させる。
図10の状態F7に示すように、CPU101は自転角度を90度から45度に変更することで、一回目の第一動作を行う(S9)。これにより、一番目の供給流路(供給流路510)が延びる方向と垂直な方向に、遠心力Xが作用する。この遠心力Xの作用によって、液受部410にある洗浄液93の一部は供給流路510内に流入し、供給部420に流出する。以下の説明では、供給流路510を介して供給部420に移動した洗浄液93を、洗浄液931という。
なお、S9において、反応停止液91、基質溶液92、及び検査液体95は、標識抗体液注入部370、検査液体注入部390、及び測定部450に夫々保持される。標識抗体液94は、遠心力Xの作用によって、ビーズ保持部600から供給部440に移動する。標識抗体液94は、ビーズ保持部600から流出するとき、各第二溝670Bと交差する方向に移動する。各第二溝670Bで保持された状態の各磁性ビーズ96は、標識抗体液94が移動する勢いで第二開口612に向けて移動した場合、各第二溝670Bの第二溝壁部672に引っ掛かる。各磁性ビーズ96は第二溝壁部672に当接するので、ビーズ保持部600から外部に流出し難い。
次いで、図10の状態F8に示すように、CPU101は自転角度を45度から90度に変更することで、一回目の第二動作を行う(S10)。この結果、第二遠心方向の遠心力Xによって、各液体が以下のように移動する。洗浄液931は、供給部420からビーズ保持部600に移動する。洗浄液931によって、複数の磁性ビーズ96に対する一回目の洗浄が行われる。なお、洗浄液931は各第一溝670Aに沿って移動するので、各第一溝670Aの各磁性ビーズ96は、洗浄液931の移動する勢いで流動し、各第一溝670Aから僅かに外部に移動する(図14参照)。このため、各磁性ビーズ96は、洗浄液931によって良好に洗浄される。なお、洗浄液931の流入が終了した場合、各第一溝670Aから僅かに外部に移動した各磁性ビーズ96に対して、後側に向かう方向の磁力が作用する。このため、複数の磁性ビーズ96は、磁力に応じて各第一溝670Aに入り込み、第一溝670Aの底部近傍で保持される(図7参照)。標識抗体液94は、供給部440から測定部450に移動する。尚、反応停止液91、基質溶液92、洗浄液93、及び検査液体95は、標識抗体液注入部370、検査液体注入部390、液受部410、及び測定部450に夫々保持される。測定部450では、流入した標識抗体液94が検査液体95に混合して、混合液951が生成される。
次いで、図11の状態F9に示すように、CPU101は自転角度を90度から30度に変更することで、二回目の第一動作を行う(S11)。これにより、二番目の供給流路(供給流路520)が延びる方向と垂直な方向に、遠心力Xが作用する。この遠心力Xの作用によって、液受部410にある洗浄液93の一部は供給流路520内に流入し、供給部420に流出する。以下の説明では、供給流路520を介して供給部420に移動した洗浄液93を、洗浄液932という。
なお、S11において、反応停止液91、基質溶液92、及び混合液951は、標識抗体液注入部370、検査液体注入部390、及び測定部450に夫々保持される。洗浄液931は、遠心力Xの作用によって、ビーズ保持部600から供給部440に移動する。洗浄液931は、ビーズ保持部600から流出するとき、各第二溝670Bと交差する方向に移動する。各第二溝670Bで保持された状態の各磁性ビーズ96は、洗浄液931が移動する勢いで第二開口612に向けて移動した場合、各第二溝670Bの第二溝壁部672に引っ掛かる。各磁性ビーズ96は第二溝壁部672に当接するので、ビーズ保持部600から外部に流出し難い。
次いで、図10の状態F10に示すように、CPU101は自転角度を30度から90度に変更することで、二回目の第二動作を行う(S12)。この結果、第二遠心方向の遠心力Xによって、各液体が以下のように移動する。洗浄液932は、供給部420からビーズ保持部600に移動する。洗浄液932によって、複数の磁性ビーズ96に対する二回目の洗浄が行われる。なお、洗浄液932は各第一溝670Aに沿って移動するので、各第一溝670Aの各磁性ビーズ96は、洗浄液932の移動する勢いで流動し、各第一溝670Aから僅かに外部に移動する(図14参照)。このため、各磁性ビーズ96は、洗浄液932によって良好に洗浄される。なお、洗浄液932の流入が終了した場合、各第一溝670Aから僅かに外部に移動した各磁性ビーズ96は、磁力に応じて各第一溝670Aに入り込み、第一溝670Aの底部近傍で保持される(図7参照)。洗浄液931は、供給部440から測定部450に移動する。尚、反応停止液91、基質溶液92、洗浄液93、及び混合液951は、標識抗体液注入部370、検査液体注入部390、液受部410、及び測定部450に夫々保持される。測定部450では、流入した洗浄液931が混合液951に混合して、混合液952が生成される。
次いで、図11の状態F11に示すように、CPU101は自転角度を90度から20度に変更することで、三回目の第一動作を行う(S13)。これにより、三番目の供給流路(供給流路530)が延びる方向と垂直な方向に、遠心力Xが作用する。この遠心力Xの作用によって、液受部410にある洗浄液93の一部は供給流路530内に流入し、供給部420に流出する。以下の説明では、供給流路530を介して供給部420に移動した洗浄液93を、洗浄液933という。
なお、S13において、混合液952の一部は、遠心力Xの作用によって測定部450から廃液部460に移動する。反応停止液91及び基質溶液92、及び混合液952の残りは、標識抗体液注入部370、検査液体注入部390、及び測定部450に夫々保持される。洗浄液932は、遠心力Xの作用によって、ビーズ保持部600から供給部440に移動する。洗浄液932は、ビーズ保持部600から流出するとき、各第二溝670Bと交差する方向に移動する。各第二溝670Bで保持された状態の各磁性ビーズ96は、洗浄液932が移動する勢いで第二開口612に向けて移動した場合、各第二溝670Bの第二溝壁部672に引っ掛かる。各磁性ビーズ96は第二溝壁部672に当接するので、ビーズ保持部600から外部に流出し難い。尚、廃液部460では、以降の処理で作用する遠心力Xに関わらず、廃液部460に流入した液体が保持される。
次いで、図11の状態F12に示すように、CPU101は自転角度を20度から90度に変更することで、三回目の第二動作を行う(S14)。この結果、第二遠心方向の遠心力Xによって、各液体が以下のように移動する。洗浄液933は、供給部420からビーズ保持部600に移動する。洗浄液933によって、複数の磁性ビーズ96に対する三回目の洗浄が行われる。なお、洗浄液933は各第一溝670Aに沿って移動するので、各第一溝670Aの各磁性ビーズ96は、洗浄液933の移動する勢いで流動し、各第一溝670Aから僅かに外部に移動する(図14参照)。このため、各磁性ビーズ96は、洗浄液933によって良好に洗浄される。なお、洗浄液933の流入が終了した場合、各第一溝670Aから僅かに外部に移動した各磁性ビーズ96は、磁力に応じて各第一溝670Aに入り込み、第一溝670Aの底部近傍で保持される(図7参照)。洗浄液932は、供給部440から測定部450に移動する。尚、反応停止液91、基質溶液92、及び洗浄液93は、標識抗体液注入部370、検査液体注入部390、及び液受部410に夫々保持される。混合液952は、測定部450及び廃液部460に保持される。測定部450では、流入した洗浄液932が混合液952に混合して、混合液953が生成される。
次いで、図12の状態F13に示すように、CPU101は自転角度を90度から0度に変更することで、四回目の第一動作を行う(S15)。これにより、四番目の供給流路(供給流路540)が延びる方向と鋭角をなす方向に、遠心力Xが作用する。この遠心力Xの作用によって、液受部410にある洗浄液93は供給流路540内に流入し、供給部420に流出する。供給流路540を介して洗浄液93が流出するのに伴って、液受部410にある洗浄液93の液面が遠心力Xの方向に移動する。これにより、液受部410にある洗浄液93の全てが、供給部420に移動する。以下の説明では、供給流路540を介して供給部420に移動した洗浄液93を、洗浄液934という。
なお、S15では、左辺部83から右辺部82に向けて作用する遠心力Xによって、各液体が以下のように移動する。反応停止液91は、標識抗体液注入部370から供給部380に移動する。基質溶液92は、検査液体注入部390から供給部400に移動する。洗浄液933は、ビーズ保持部600から供給部440に移動する。洗浄液933は、ビーズ保持部600から流出するとき、各第二溝670Bと交差する方向に移動する。各第二溝670Bで保持された状態の各磁性ビーズ96は、洗浄液933が移動する勢いで第二開口612に向けて移動した場合、各第二溝670Bの第二溝壁部672に引っ掛かる。各磁性ビーズ96は、第二溝壁部672に当接するので、ビーズ保持部600から外部に流出し難い。混合液953は、測定部450から廃液部460に移動する。廃液部460では、流入した混合液953が混合液952に混合して、混合液954が生成される。
次いで、図12の状態F14に示すように、CPU101は自転角度を0度から90度に変更することで、四回目の第二動作を行う(S16)。この結果、第二遠心方向の遠心力Xによって、各液体が以下のように移動する。反応停止液91は、供給部380から検査液体注入部390に移動する。基質溶液92は、供給部400から液受部410に移動する。洗浄液934は、供給部420からビーズ保持部600に移動する。洗浄液934によって、複数の磁性ビーズ96に対する四回目の洗浄が行われる。なお、洗浄液934は各第一溝670Aに沿って移動するので、各第一溝670Aの各磁性ビーズ96は、洗浄液934の移動する勢いで流動し、各第一溝670Aから僅かに外部に移動する(図14参照)。このため、各磁性ビーズ96は、洗浄液934によって良好に洗浄される。なお、洗浄液934の流入が終了した場合、各第一溝670Aから僅かに外部に移動した各磁性ビーズ96は、磁力に応じて各第一溝670Aに入り込み、第一溝670Aの底部近傍で保持される(図7参照)。洗浄液933は、供給部440から測定部450に移動する。
次いで、図12の状態F15に示すように、CPU101は自転角度を90度から0度に変更する(S17)。この結果、第一遠心方向の遠心力Xによって、各液体が以下のように移動する。反応停止液91は、検査液体注入部390から供給部400に移動する。基質溶液92は、接続部500を介して液受部410から供給部420に移動する。洗浄液934は、ビーズ保持部600から供給部440に移動する。洗浄液934は、ビーズ保持部600から流出するとき、各第二溝670Bと交差する方向に移動する。各第二溝670Bで保持された状態の各磁性ビーズ96は、洗浄液934の移動する勢いで第二開口612に向けて移動した場合、各第二溝670Bの第二溝壁部672に引っ掛かる。各磁性ビーズ96は、第二溝壁部672に当接するので、ビーズ保持部600から外部に流出し難い。洗浄液933は、測定部450から廃液部460に移動する。廃液部460では、流入した洗浄液933が混合液954に混合して、混合液955が生成される。
次いで、図12の状態F16に示すように、CPU101は自転角度を0度から90度に変更する(S18)。この結果、第二遠心方向の遠心力Xによって、各液体が以下のように移動する。反応停止液91は、供給部400から液受部410に移動する。基質溶液92は、供給部420からビーズ保持部600に移動する。基質溶液92は、洗浄液93によって洗浄された複数の磁性ビーズ96に接触し、酵素標識抗体と酵素反応する。なお、基質溶液92は各第一溝670Aに沿って移動するので、各第一溝670Aの各磁性ビーズ96は、基質溶液92の移動する勢いで、各第一溝670Aから僅かに外部に移動する(図14参照)。このため、洗浄液93によって洗浄された複数の磁性ビーズ96は、基質溶液92に良好に接触し、酵素標識抗体と酵素反応する。なお、基質溶液92の流入が終了した場合、各第一溝670Aから僅かに外部に移動した各磁性ビーズ96は、磁力に応じて各第一溝670Aに入り込み、第一溝670Aの底部近傍で保持される(図7参照)。洗浄液934は、供給部440から測定部450に移動する。
次いで、図13の状態F17に示すように、CPU101は自転角度を90度から0度に変更する(S19)。この結果、第一遠心方向の遠心力Xによって、各液体が以下のように移動する。反応停止液91は、接続部500を介して液受部410から供給部420に移動する。基質溶液92は、ビーズ保持部600から供給部440に移動する。基質溶液92は、ビーズ保持部600から流出するとき、各第二溝670Bと交差する方向に移動する。各第二溝670Bで保持された状態の各磁性ビーズ96は、基質溶液92が移動する勢いで第二開口612に向けて移動した場合、各第二溝670Bの第二溝壁部672に引っ掛かる。各磁性ビーズ96は第二溝壁部672に当接するので、ビーズ保持部600から外部に流出し難い。洗浄液934は、測定部450から廃液部460に移動する。廃液部460では、流入した洗浄液934が混合液955に混合して、混合液956が生成される。
次いで、図13の状態F18に示すように、CPU101は自転角度を0度から90度に変更する(S20)。この結果、第二遠心方向の遠心力Xによって、各液体が以下のように移動する。反応停止液91は、供給部420からビーズ保持部600に移動する。なお、反応停止液91は第一溝670Aに沿って移動するので、各第一溝670Aの各磁性ビーズ96は、反応停止液91の移動する勢いで、第一溝670Aから僅かに外部に移動する(図14参照)。このため、複数の磁性ビーズ96における酵素反応は、反応停止液91によって適切に停止される。基質溶液92は、供給部440から測定部450に移動する。
次いで、図13の状態F19に示すように、CPU101は自転角度を90度から45度に変更する(S21)。遠心力Xの作用によって、反応停止液91はビーズ保持部600から供給部440に移動する。反応停止液91は、ビーズ保持部600から流出するとき、各第二溝670Bと交差する方向に移動する。各第二溝670Bで保持された状態の複数の磁性ビーズ96は、反応停止液91の移動する勢いで第二開口612に向けて移動した場合、各第二溝670Bの第二溝壁部672に引っ掛かる。各磁性ビーズ96は、第二溝壁部672に当接するので、ビーズ保持部600から外部に流出し難い。基質溶液92は測定部450に保持される。
次いで、図13の状態F20に示すように、CPU101は自転角度を45度から90度に変更する(S22)。この結果、第二遠心方向の遠心力Xによって、反応停止液91は供給部440から測定部450に移動する。基質溶液92は、測定部450に保持される。測定部450では、流入した反応停止液91が基質溶液92に混合して、基質溶液92の酵素反応の進行が停止する。以下の説明では、反応停止液91が混合された基質溶液92を、測定溶液960という。
次いで、CPU101は自転角度を90度から0度に変更すると共に、検査チップ2の公転を終了する(S23)。以上により、遠心処理は終了する。遠心処理の実行後、CPU101は、検査チップ2を測定位置まで公転させる。図1に示すように、測定コントローラ99は、光源71を発光させることで、測定光を測定部450に貯溜された測定溶液960に透過させる。CPU101は、光センサ72が受光した測定光の変化量に基づいて、測定溶液960の光学測定を行い、測定データを取得する。CPU101は、取得された測定データに基づいて測定溶液960の測定結果を算出し、その算出結果をディスプレイ106に表示させる。尚、測定溶液960の測定方法は、光学測定に限られず、他の方法でもよい。
<7.本実施形態の主たる作用、効果>
以上説明したように、検査チップ2では、供給流路510,520,530,540、及び第一流路601を介して、液受部410からビーズ保持部600に試薬が流入される。本実施形態において、試薬は、反応停止液91、基質溶液92、洗浄液93、標識抗体液94、及び検査液体95である。ビーズ保持部600に流入された試薬は、複数の溝670によって保持された複数の磁性ビーズ96に接触する。複数の磁性ビーズ96に接触した試薬は、第二流路602を介してビーズ保持部600から流出される。各溝670は、第一溝壁部671と第二溝壁部672とを有する。第一溝壁部671と第二溝壁部672との間の距離は、底部に向かう程小さくなる。このため、複数の磁性ビーズ96は、複数の溝670の底部に良好に集積される。
各溝670において、第一溝壁部671と所定方向604とのなす第一角度(θ1)は、第二溝壁部672と所定方向604とのなす第二角度(θ2)よりも小さい。このため、第一流路601から第一開口611を介してビーズ保持部600内に試薬が流入する場合において、試薬が複数の溝670に沿って移動するとき、各溝670に集積された複数の磁性ビーズ96は流動し、各溝670から外部に移動し易くなる。従って、検査チップ2は、磁性ビーズ96を試薬と良好に接触させることができるので、磁性ビーズ96と試薬との接触が阻害されて検査精度が低下することを抑制できる。
又、第二角度(θ2)は、第一角度(θ1)よりも大きく、略90度である。このため、ビーズ保持部600から第二流路602に試薬が流出する場合において、ビーズ保持部600内で試薬が第二開口612に向けて移動するとき、各溝670に集積された複数の磁性ビーズ96は、第二溝壁部672に引っ掛かり易くなる。すなわち、複数の磁性ビーズ96は、第二溝壁部672に当接して第二溝壁部672を乗り越えにくくなる。このため、複数の磁性ビーズ96は、各溝670の内部に保持され易くなり、ビーズ保持部600の外部へ流出しにくくなる。従って、ビーズ保持部600から試薬が流出するのと同時に複数の磁性ビーズ96が流出することを抑制できるので、各溝670に複数の磁性ビーズ96を適切に保持できる。
検査チップ2の作用領域691には、磁石690の磁力が作用する。作用領域691では、複数の磁性ビーズ96に対して後側に向かう方向に磁力が作用する。なお、磁性ビーズ96に対して作用する磁力の方向は、複数の溝670の深さ方向に沿って底部に向かう方向と一致する。複数の磁性ビーズ96は、磁力が作用することによって各溝670から外部に移動し難くなる。このように、検査チップ2は、磁石690の磁力によって複数の磁性ビーズ96を各溝670の底部側に保持することによって、各溝670から複数の磁性ビーズ96が流出することを抑制できる。
検査チップ2において、第一開口611の第一断面積は、第二開口612の第二断面積よりも大きい。又、第一開口611と交差する複数の第一溝670Aの数は、第二開口612と交差する複数の第二溝670Bの数よりも多い。この場合、第一流路601を介してビーズ保持部600に流入する試薬は、相対的に多い数の第一溝670Aに流入する。このため、検査チップ2は、相対的に多い数の第一溝670Aに保持された複数の磁性ビーズ96を、試薬の流入によって良好に流動させることができる。従って、検査チップ2は、ビーズ保持部600内に流入した試薬を、より多くの磁性ビーズ96と良好に接触させることができる。一方、ビーズ保持部600で複数の磁性ビーズ96に接触した試薬は、相対的に少ない数の第二溝670Bを通って、第二流路602に流出する。従って、検査チップ2は、複数の磁性ビーズ96がビーズ保持部600から流出することを、複数の第二溝670Bの数を少なくすることによって抑制できる。
各第二溝670Bの延びる第二溝方向622は、第四壁部603Cの延びる方向624Aと交差する。ここで、ビーズ保持部600から流出する試薬が、ビーズ保持部600の第二開口612近傍において第四壁部603Cに沿って方向624Aと平行に移動する場合がある。この場合、試薬は、第二溝方向622と交差する方向に移動することになる。この場合において、磁性ビーズ96が試薬の移動する勢いで移動した場合、複数の磁性ビーズ96は、交差する向きに配置された各第二溝670Bの第二溝壁部672に引っ掛かり易い。従って、検査チップ2は、第四壁部603Cに沿って試薬が流れる場合、ビーズ保持部600から複数の磁性ビーズ96が流出することを適切に抑制できる。
磁石690は、複数の第二溝670Bに対して深さ方向に離隔した位置に配置される。各第二溝670Bの深さ方向の磁力が、複数の磁性ビーズ96に作用する。複数の磁性ビーズ96と磁石690との間の距離は、各第二溝670Bの底部に近い位置に配置される磁性ビーズ96程、短くなる。このため、複数の磁性ビーズ96に作用する磁力も、各第二溝670Bの底部に近い位置に配置される磁性ビーズ96程、強くなる。つまり、複数の磁性ビーズ96は、各第二溝670Bのより底部に近い位置で保持され易くなる。ここで、各第二溝670Bの底部に近い位置で保持される複数の磁性ビーズ96程、各第二溝670Bから外部に移動し難い。このため、検査チップ2は、各第二溝670Bから複数の磁性ビーズ96が外部に移動することを、各第二溝670Bの後側に磁石690を設けることによって適切に抑制できる。
ビーズ保持部600に流入した試薬は、ビーズ保持部600の第一開口611近傍において、第三壁部603Bに沿って延びる方向623Bと、隔離部631から交点Pに向かう方向631Bとの間の何れかの方向に移動する場合がある。これに対し、第一開口611と交差する各第一溝670Aの延びる第一溝方向621Bは、方向623B、631Bの間の方向を示す。このため、ビーズ保持部600に流入する試薬は、各第一溝670Aに沿って移動し易い。各第一溝670Aに沿って試薬が移動した場合、各磁性ビーズ96は、試薬の移動する勢いで、磁石690(図6参照)の磁力に逆らって流動し、各第一溝670Aから僅かに外部に移動する場合がある。この場合、各磁性ビーズ96が各第一溝670Aに保持された状態と比べて、検査液体95に含まれる検査対象の物質は、各磁性ビーズ96に固相化された抗体に結合し易くなる。このように、検査チップ2は、各第一溝670Aに保持された複数の磁性ビーズ96を、試薬の流入によって良好に流動させ、試薬と接触させることができる。
検査システム3において、CPU101は、公転コントローラ97、主軸モータ35、自転コントローラ98、及びステッピングモータ51によってホルダ52を回転させることによって、ホルダ52に保持された検査チップ2に遠心力を作用させる。又、CPU101は、検査チップ2に作用させる遠心力の方向を、検査チップ2の左辺部83から右辺部82に向かう第一遠心方向と、上辺部81から下辺部84に向かう第二遠心方向との間で変化させる。これによって、CPU101は、液受部410に一時的に保持された試薬を、第一流路601を介してビーズ保持部600に流入させることができる。又、CPU101は、第二流路602を介してビーズ保持部600から試薬を流出させることができる。
なお、複数の溝670が並ぶ方向である所定方向604は、左右方向(第一遠心方向)に対して僅かに傾斜する。ここで、所定方向604と第一遠心方向とが一致し、所定方向604と第二遠心方向とが直交する場合を例に挙げる。この場合、第一遠心方向の遠心力が作用した状態で、複数の溝670の延びる方向と遠心力の方向とは直交する。このため、遠心力が試薬に作用しても、試薬は移動し難くなる。従って、複数の溝670に保持された複数の磁性ビーズ96は流動し難くなる。又、第二遠心方向に遠心力が作用した状態で、複数の溝670の延びる方向と遠心力の方向とは一致する。このため、遠心力が試薬に作用することに応じて、試薬は複数の溝670に沿って移動する。この場合、複数の溝670に保持された複数の磁性ビーズ96は、試薬の移動する勢いで複数の溝670に沿って移動し易くなるので、ビーズ保持部600から外部に移動し易くなる。
これに対し、本実施形態において、所定方向604は、第一遠心方向及び第二遠心方向の何れとも交差する。この場合、検査チップ2は、遠心力によって第一流路601から流入した試薬を、複数の溝670に流入し易くすると同時に、複数の磁性ビーズ96が第二流路602に流出することを抑制できる。
自転角度の誤差により、第二遠心方向が下方向に対して右方向に僅かにずれる場合がある。これに対し、検査チップ2では、左右方向に対する所定方向604の角度をθaとする。これによって、検査チップ2は、第二遠心方向の遠心力に応じてビーズ保持部600に流入する試薬の第一開口611における移動方向と、各溝670の延びる方向とが略同一となるようにしている。なお、θaが大きい程、各溝670の間の左右方向の距離は長くなる。このため、第一遠心方向の遠心力に応じて試薬がビーズ保持部600内を移動するとき、各溝670は、各溝670の外側に移動した複数の磁性ビーズ96を内部に保持し難くなる。このため検査チップ2では、外部に移動した複数の磁性ビーズ96を各溝670が再度保持できるように、θaを10度としている。
検査チップ2では、第一角度(θ1)を45度とすることによって、ビーズ保持部600に対する試薬の流入時に複数の磁性ビーズ96が流動し易くすると同時に、複数の溝670の間の間隔を維持しつつ本数を増やすことができる。
<8.変形例>
本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変更が可能である。ビーズ保持部600に保持される担体は、磁性ビーズ96に限定されず、抗体が固定された他の周知の担体が保持されてもよい。例えば、ビーズ保持部600に保持される担体として、樹脂ビーズ、シリカ微粒子等が挙げられる。複数の溝670の数、複数の第一溝670Aの数、及び複数の第二溝670Bの数は、上記実施形態の数に限定されず、他の本数でもよい。複数の溝670は平行に配置されなくてもよい。例えば、各第一溝670Aの延びる方向と、各第二溝670Bの延びる方向とが相違していてもよい。複数の溝670は直線状に延びる場合に限定されず、湾曲してもよい。複数の溝670は、第一壁部603Aの一部分にのみ形成されていてもよい。複数の溝670は、第三壁部603B、第四壁部603C、及びシート291の後面の少なくとも何れかに設けられてもよい。この場合、第一壁部603Aに複数の溝670は設けられなくてもよい。上記において、第一壁部603Aのうち複数の溝670が設けられた部分は、作用領域691に含まれていた。これに対し、第一壁部603Aのうち複数の溝670が設けられた部分の一部分のみが、作用領域691に含まれてもよい。
第一角度は45度に限定されず、第二角度よりも小さいという条件を満たす他の角度でもよい。但し、第一角度は、30〜60度の範囲内であることが好ましい。第二角度は87度に限定されず、第一角度よりも大きいという条件を満たす他の角度でもよい。但し、第二角度は、85〜90度の範囲内であることが好ましい。
上記実施形態において、検査チップ2は磁石690を備えていた。磁石690は、磁性ビーズ96に磁力を作用させることによって、複数の溝670の底部に磁性ビーズ96を保持した。磁石690は、検査チップ2に設けられなくてもよい。例えば、磁石690は、ホルダ52の装着部53のうち、装着された状態の検査チップ2のビーズ保持部600に後側から近接する位置692(図1参照)に設けられてもよい。この場合、検査チップ2に磁石690を設ける必要がなくなるので、検査チップ2を小型化、簡素化できる。又、検査チップのコストを削減できる。
検査チップ2は、別の方法で、複数の溝670の底部に磁性ビーズ96を保持させてもよい。例えば、複数の溝670の深さ方向に沿って底部に向かう方向に重力が作用するように、検査チップ2が常に保持されてもよい。これによって、重力によって複数の溝670の底部に磁性ビーズ96を保持してもよい。この場合、磁石690は設けられなくてもよい。
第一開口611の第一断面積は、第二開口612の第二断面積と略同一であってもよい。この場合、隔離部631は、開口610の左右方向の中心で、開口610と交差してもよい。又、第一断面積は第二断面積より小さくてもよい。この場合、隔離部631は、開口610の左右方向の中心よりも左側で、開口610と交差してもよい。以上の場合、第一溝670Aの数が第二溝670Bの数よりも大きくなるように、複数の溝670の間隔が調整されてもよい。具体的には、第一溝670Aの間隔を、第二溝670Bの間隔より狭くしてもよい。又、第一溝670Aの数と第二溝670Bの数とが同一であってもよいし、第一溝670Aの数よりも第二溝670Bの数の方が大きくてもよい。
第一溝670Aの延びる第一溝方向621A、621Bと、第三壁部603Bの延びる方向623A、623Bとは一致してもよい。第二溝670Bの延びる第二溝方向622と、第四壁部603Cの延びる方向624Aとは一致してもよい。交点Pから隔離部631に向けて延びる方向631Aと、第一溝670Aの延びる第一溝方向621Aとが一致してもよい。
上記実施形態において、検査チップ2内の試薬には、検査装置1が駆動することによって第一遠心方向及び第二遠心方向の遠心力が作用した。そして、試薬に遠心力が作用することによって、ビーズ保持部600に対して試薬が流入し、又は、ビーズ保持部600から試薬が流出した。これに限らず、検査チップ2内の試薬を移動させるための外力を付与できればよく、検査装置1を用いず、例えば人間が手動で検査チップ2を振動させることによって、ビーズ保持部600に対して試薬を流入させ、又は、ビーズ保持部600から試薬を流出させてもよい。
<9.その他>
複数の溝670が設けられた第一壁部603Aは本発明の「壁部」の一例である。ビーズ保持部600は本発明の「保持部」の一例である。液受部410は本発明の「導入部」の一例である。シート291の後面は本発明の「第二壁部」の一例である。直線623は本発明の「第一直線」の一例である。直線624は本発明の「第二直線」の一例である。方向631Aは本発明の「第一方向」の一例である。方向623Aは本発明の「第二方向」の一例である。垂直軸線A1は本発明の「主軸」の一例である。水平軸線A2は本発明の「揺動軸」の一例である。公転コントローラ97、主軸モータ35、自転コントローラ98、及びステッピングモータ51は、本発明の「遠心機構」の一例である。S6、S8、S10、S12、S14、S16、S18、S20は、本発明の「流入工程」の一例である。S7、S9、S11、S13、S15、S17、S19、S21は、本発明の「流出工程」の一例である。
1 :検査装置
2 :検査チップ
3 :検査システム
52 :ホルダ
53 :装着部
90 :制御装置
96 :磁性ビーズ
101 :CPU
291 :シート
600 :ビーズ保持部
601 :第一流路
602 :第二流路
603A :第一壁部
603B :第三壁部
603C :第四壁部
604 :所定方向
611 :第一開口
612 :第二開口
621A :第一溝方向
621B :第一溝方向
622 :第二溝方向
623A、623B、624A、631A、631B、671A、672A :方向
631 :隔離部
670 :溝
670A :第一溝
670B :第二溝
671 :第一溝壁部
672 :第二溝壁部
690 :磁石
691 :作用領域

Claims (12)

  1. 所定方向に配列され、抗原抗体反応のための固相化抗体を固定させるための担体を保持するための複数の溝が少なくとも一部に設けられた壁部によって形成された保持部と、
    前記保持部に導入される試薬が一時的に保持される導入部と、
    前記導入部と前記保持部とを接続し、前記導入部から前記保持部に前記試薬を流す第一流路と、
    前記保持部に接続し、前記保持部から前記試薬を流出させる第二流路と
    を備えた検査チップであって、
    前記複数の溝は、それぞれ、
    前記所定方向のうち前記第二流路に近接する第二流路側を構成する第二溝壁部と、前記第二流路側と反対の第一流路側を構成する第一溝壁部とを有し、
    前記第一溝壁部及び前記第二溝壁部の間の距離は、溝の底部に向かう程小さくなり、
    前記所定方向に対して前記第二溝壁部のなす角度である第二角度は、前記所定方向に対して前記第一溝壁部のなす角度である第一角度よりも大きいことを特徴とする検査チップ。
  2. 前記第二角度が略90度であることを特徴とする請求項1に記載の検査チップ。
  3. 前記壁部は、前記複数の溝のそれぞれの深さ方向に沿って前記底部に向かう方向の力が作用する作用領域を備え、
    前記複数の溝の少なくとも一部は、前記壁部の前記作用領域に配置されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の検査チップ。
  4. 前記作用領域には、前記複数の溝のそれぞれの深さ方向に沿って前記底部に向かう方向に磁力が作用することを特徴とする請求項3に記載の検査チップ。
  5. 前記保持部は、前記第一流路に接続する第一開口と、前記第二流路に接続し且つ前記第一開口よりも小さい断面積を有する第二開口とを有し、
    前記複数の溝のうち前記第一開口と交差する第一溝の数は、前記複数の溝のうち前記第二開口と交差する第二溝の数よりも多いことを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の検査チップ。
  6. 前記保持部の前記壁部は、
    互いに離隔して対向する面状の第一壁部及び第二壁部と、
    前記第一壁部及び前記第二壁部の間に設けられ、前記第一開口と接続する第三壁部と、
    前記第一壁部及び前記第二壁部の間に設けられ、前記第二開口と接続する第四壁部と
    を有し、
    前記複数の溝は、前記第一壁部及び前記第二壁部の少なくとも一方に設けられ、前記第三壁部及び前記第四壁部には設けられず、
    前記第二溝に沿って前記第二開口に向けて延びる第二溝方向と、前記第四壁部の延びる方向とが交差することを特徴とする請求項5に記載の検査チップ。
  7. 前記保持部の前記壁部は、
    互いに離隔して対向する面状の第一壁部及び第二壁部と、
    前記第一壁部及び前記第二壁部の間に設けられ、前記第一開口と接続する第三壁部と、
    前記第一壁部及び前記第二壁部の間に設けられ、前記第二開口と接続する第四壁部と、
    前記第一開口と前記第二開口とを隔離する隔離部と
    を有し、
    前記第三壁部に沿って前記第一壁部及び前記第二壁部と平行に延びる第一直線と、前記第四壁部に沿って前記第一壁部及び前記第二壁部と平行に延びる第二直線との交点から、前記隔離部に向けて延びる第一方向は、前記第一溝に沿って前記第一開口に向けて延びる第一溝方向に対して前記第二流路側を向き、
    前記第三壁部に沿って前記第一開口に向けて延びる第二方向は、前記第一溝方向に対して前記第一流路側を向いたことを特徴とする請求項5に記載の検査チップ。
  8. 請求項1から6の何れかに記載の前記検査チップと、
    前記検査チップを保持するホルダと、
    主軸を中心として前記ホルダを回転させ、且つ、前記主軸と交差する方向に延びる揺動軸を中心として前記ホルダを回転させることにより、前記主軸の回転による遠心力の前記ホルダに対する方向を、互いに直交する第一遠心方向と第二遠心方向との間で変化させる遠心機構と
    を備えたことを特徴とする検査システム。
  9. 前記所定方向は、前記第一遠心方向及び前記第二遠心方向の何れとも交差することを特徴とする請求項8に記載の検査システム。
  10. 前記検査チップの前記壁部は、前記複数の溝のそれぞれの深さ方向に沿って前記底部に向かう方向の力が作用する作用領域を備え、
    前記複数の溝の少なくとも一部は、前記壁部の前記作用領域に配置されたことを特徴とする請求項8又は9に記載の検査システム。
  11. 前記検査チップの前記複数の溝に、前記担体が保持され、
    前記担体に磁力を作用させる磁石が、前記ホルダに設けられたことを特徴とする請求項10に記載の検査システム。
  12. 検査チップのうち、所定方向に配列され、抗原抗体反応のための担体を保持するための複数の溝が少なくとも一部に設けられた壁部によって形成された保持部に、第一流路を介して導入部から試薬を流入させる流入工程と、
    前記保持部内の前記担体に、前記流入工程によって前記保持部に流入された試薬を接触させた後、前記担体に接触した前記試薬を第二流路を介して流出させる流出工程と
    を備えた検査方法であって、
    前記複数の溝は、それぞれ、
    前記所定方向のうち前記第二流路に近接する前記第二流路側を構成する第二溝壁部と、前記第二流路側と反対の第一流路側を構成する第一溝壁部とを有し、
    前記第一溝壁部及び前記第二溝壁部の間の距離は、溝の底部に向かう程小さくなり、
    前記所定方向に対して前記第二溝壁部のなす角度である第二角度は、前記所定方向に対して前記第一溝壁部のなす角度である第一角度よりも大きいことを特徴とする検査方法。
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