JP2017067532A - 検査システム及び検査チップ - Google Patents

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【課題】検査チップ内を移動する液体の液量を正確に制御可能な検査システム及び検査チップを提供する。【解決手段】検査チップ2は、定量壁1340と、試薬定量面146とで囲まれた試薬定量部134を備える。第一面1341の試薬定量部134に対する外向きの法線N1が、遠心力の付与時に第一面1341に作用する作用力Z1の向きとの間になす角度を、作用角θ11とする。第二面1342の試薬定量部134に対する外向きの法線N2が、遠心力の付与時に第二面1342に作用する作用力Z2の向きとの間になす角度を、作用角θ12とする。作用角θ11は作用角θ12より小さい。試薬と第一面1341との間の接触角θ21は、試薬と第二面1342との間の接触角θ22よりも大きい。【選択図】図5

Description

本発明は、液体を検査チップ内で移動させることが可能な検査システム、及び液体が内部で移動可能な検査チップに関する。
従来、液体を検査チップ内で移動させることが可能な検査システム、及び液体が内部で移動可能な検査チップが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。特許文献1では、試料プロセッサカードの内部に収容された液体は、試料プロセッサカードに付与された遠心力に応じて、互いに対向する二面(フェースプレート及びボトムプレート)の間に形成された流路に沿って移動される。特許文献2では、マイクロチップの内部に収容された液体は、マイクロチップに付与された遠心力に応じて、互いに対向する二面(第1の基板及び第2の基板)の間に形成された流体流路に沿って移動される。
特開昭60−238760号公報 特開2009−281869号公報
従来の検査チップでは、互いに対向する二面間にある液体のメニスカスによって、液体の液面の端部が各面に沿って上昇又は下降する場合がある。これにより、検査チップに遠心力が付与された場合に、互いに対向する二面間にある液体の液面が、遠心力の作用する方向と直交する状態にならない場合がある。この場合、検査チップ内を移動する液体の液量を、正確に制御することが困難となるおそれがあった。
本発明の目的は、検査チップ内を移動する液体の液量を正確に制御可能な検査システム及び検査チップを提供することである。
本発明の第一態様は、液体が内部で移動可能な検査チップと、前記検査チップに公転軸線を中心とした遠心力を付与可能な検査装置とを含む検査システムであって、前記検査チップは、前記液体を定量する定量壁と、前記遠心力と直交する仮想面であって、前記定量壁よりも前記公転軸線に近い側から前記定量壁の少なくとも一か所の溢出部における接面として定義される定量面とで囲まれた定量部を備え、前記検査装置は、前記検査チップを保持可能な保持手段と、前記公転軸線を中心として前記保持手段を回転させることで前記遠心力を前記保持手段に保持された前記検査チップに付与可能な公転手段と、を備え、前記定量壁の壁面のうち、前記定量面と交わる壁面である第一面の前記定量部に対する外向きの法線が前記公転手段の動作時に前記第一面に作用する力の向きとの間になす第一角度は、前記定量面と交わる壁面である第二面の前記定量部に対する外向きの法線が前記公転手段の動作時に前記第二面に作用する力の向きとの間になす第二角度よりも小さく、前記液体と前記第一面との間の第一接触角は、前記液体と前記第二面との間の第二接触角よりも大きいことを特徴とする。
本発明の第二態様は、公転軸線を中心とした遠心力が付与されることによって、液体が内部で移動可能な検査チップであって、前記液体を定量する定量壁と、前記遠心力と直交する仮想面であって、前記定量壁よりも前記公転軸線に近い側から前記定量壁の少なくとも一か所の溢出部における接面として定義される定量面とで囲まれた定量部を備え、前記定量壁の壁面のうち、前記定量面と交わる壁面である第一面の前記定量部に対する外向きの法線が前記遠心力の付与時に前記第一面に作用する力の向きとの間になす第一角度は、前記定量面と交わる壁面である第二面の前記定量部に対する外向きの法線が前記遠心力の付与時に前記第二面に作用する力の向きとの間になす第二角度よりも小さく、前記液体と前記第一面との間の第一接触角は、前記液体と前記第二面との間の第二接触角よりも大きいことを特徴とする。
上記第一及び第二態様によれば、検査チップに公転軸線を中心とした遠心力が付与されることによって、検査チップの内部にある液体を定量部に移動させることが可能である。このとき、定量部の容量を超える液体は、少なくとも一か所の溢出部から溢れて定量部から排出される。第一角度が第二角度よりも小さいことは、定量部に貯留された液体の液面を、第一面側から第二面側に向けて定量部内の下流側に傾斜させる第一の作用を有する。一方、第一接触角が第二接触角よりも大きいことは、定量部に貯留された液体の液面を、第二面側から第一面側に向けて定量部内の下流側に傾斜させる第二の作用を有する。従って、液体が遠心力によって定量部に移動される場合、第一の作用及び第二の作用が互いに相殺し合うことで、定量部に貯留された液体の液面が遠心力と直交する定量面と略一致する。これにより、定量部において液体が正確に定量されるため、検査チップ内を移動する液体の液量を正確に制御できる。
前記第一面及び前記第二面に作用する力は、前記遠心力と重力との合力であって、前記公転軸線は、前記第一面及び前記第二面の少なくとも一つの前記法線と直交する方向に延びてもよい。この場合、第一面及び第二面の少なくとも一つが遠心力方向及び重力方向と平行に延びる検査チップにおいて、検査チップ内を移動する液体の液量を正確に制御できる。
前記第一面及び前記第二面に作用する力は、前記遠心力と重力との合力であって、前記公転軸線は、前記第一面及び前記第二面の少なくとも一つの前記法線と平行な方向に延びてもよい。この場合、第一面及び第二面の少なくとも一つが遠心力方向と平行且つ及び重力方向と直交に延びる検査チップにおいて、検査チップ内を移動する液体の液量を正確に制御できる。
前記検査チップは、二つの前記定量部である第一定量部及び第二定量部を備え、前記第一定量部及び前記第二定量部に対する各法線は、互いに同一方向でもよい。この場合、第一定量部及び第二定量部の各々において、液体を正確に定量できる。
前記検査チップは、前記第一定量部及び前記第二定量部との間に配置された壁部である共通壁を備え、前記第一定量部の前記第一面及び前記第二面の一方と、前記第二定量部の前記第一面及び前記第二面の一方とは、前記共通壁の壁面でもよい。この場合、第一定量部の第一面及び第二面の一方と、第二定量部の第一面及び第二面の一方とを別々の壁面に設ける場合よりも、検査チップの構造を簡素化できる。
前記液体と前記共通壁の壁面との間の第三接触角は、前記第一定量部の前記第一面及び前記第二面の他方と前記液体との間の接触角と、前記第一面及び前記第二面の他方と前記液体との間の接触角との中間値でもよい。この場合、第一定量部及び第二定量部の各々は、液体を遠心力の方向に移動させる成分の大きさが互いに異なる場合でも、液体を正確に定量できる。
前記検査チップは、前記第一面及び前記第二面の一方であって、接着性を有する面である接着面が設けられた板状の第一部材と、前記第一面及び前記第二面の他方である非接着面が設けられ、且つ前記第一部材まで突出する壁部である連結壁を有する板状の第二部材と、を備え、前記接着面は、前記連結壁と接着された状態で、前記第一部材と前記第二部材とを連結してもよい。この場合、第一部材の接着面に第二部材の連結壁を接着させる簡易な製造手法で、内部で移動する液体の液量を正確に制御可能な検査チップを製造できる。
前記第一面の表面粗さは、前記第二面の表面粗さよりも大きくてもよい。この場合、第一面及び第二面の各表面粗さを利用して、第一接触角が第二接触角よりも大きい検査チップを容易に製造できる。
前記第一接触角及び前記第二接触角は、何れも90度以上であるでもよい。この場合、第一接触角及び第二接触角の大きさを利用して、第一の作用を十分に相殺できる第二の作用を有する検査チップを容易に製造できる。
第一実施形態に係る検査装置1及び制御装置90を含む検査システム3の構成を示す図である。 第一実施形態に係る検査チップ2の正面図である。 第一実施形態に係る検査チップ2の背面図である。 第一実施形態に係る検査チップ2の斜視図である。 図1及び図2のI−I線矢視方向断面図である。 遠心処理のフローチャートである。 遠心処理における検査チップ2の状態遷移図である。 図7から続く状態遷移図である。 (A)は比較例の検査チップ200の斜視図、(B)は比較例の検査チップ200の正面図である。 図9(B)のII−II線矢視方向断面図である。 第二実施形態に係る検査装置5及び制御装置90を含む検査システム4の構成を示す図である。 第二実施形態に係る検査チップ6の正面図である。 図12のIII−III線矢視方向断面図である。 遠心処理における検査チップ6の状態遷移図である。
<1.第一実施形態>
本発明を具体化した第一実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、検査システム3を構成する検査装置1の平面及び制御装置90の内部の機能ブロックを示す。
<1−1.検査システム3の概略構造>
図1を参照して、検査システム3の概略構造を説明する。本実施形態の検査システム3は、液体である検体及び試薬を収容可能な検査チップ2と、検査チップ2を用いて検査を行う検査装置1とを含む。検査装置1が検査チップ2から離間した垂直軸線A1を中心として検査チップ2を回転させると、遠心力が検査チップ2に作用する。検査装置1が水平軸線A2を中心に検査チップ2を回転させると、検査チップ2からみた検査チップ2に作用する遠心力の方向が切り替えられる。尚、本実施形態の検査システム3及び検査装置1は、特開2012−78107号公報に記載されているように周知の構造であるので、以下の説明では、検査装置1の概略構造を説明する。
<1−2.検査装置1の構造>
図1を参照して、検査装置1の構造を説明する。以下の説明では、図1の上方、下方、右方、左方、紙面手前側、及び紙面奥側を、夫々、検査装置1の前方、後方、右方、左方、上方、及び下方とする。本実施形態では、垂直軸線A1の方向は検査装置1の上下方向であり、水平軸線A2の方向は、検査チップ2が垂直軸線A1を中心として回転される際の速度の方向である。図1は検査装置1の上部筐体30の天板が取り除かれた状態を示す。
図1に示すように、検査装置1は、上部筐体30、下部筐体31、上板32、ターンテーブル33、角度変更機構34、及び制御装置90を備える。ターンテーブル33は、後述する上板32の上側に回転可能に設けられた円盤である。検査チップ2は、ターンテーブル33の上方に保持される。角度変更機構34は、ターンテーブル33に設けられた駆動機構である。角度変更機構34は、水平軸線A2を中心に検査チップ2を各々回転させる。上部筐体30は、後述する上板32に固定されており、検査チップ2に対して光学測定を行う測定部7が内部に設けられている。制御装置90は、検査装置1の各種処理を制御するコントローラである。
下部筐体31の概略構造を説明する。下部筐体31は、枠部材を組み合わせた箱状のフレーム構造を有する。下部筐体31の上面には、長方形の板材である上板32が設けられている。下部筐体31の内部には、垂直軸線A1を中心にターンテーブル33を回転させる駆動機構が、次のように設けられている。
下部筐体31内の左方寄りに、ターンテーブル33を回転させるための駆動力を供給する主軸モータ35が設置されている。主軸モータ35の軸36は、上方に突出しており、プーリ37が固定されている。下部筐体31の中央部には、下部筐体31の内部から上方に延びる垂直な主軸57が設けられている。主軸57は、上板32を貫通して、下部筐体31の上側に突出している。主軸57の上端部は、ターンテーブル33の中央部に接続されている。
主軸57は、上板32の直下に設けられた図示しない支持部材により、回転自在に保持されている。支持部材の下側では、主軸57にプーリ38が固定されている。プーリ37とプーリ38とに亘って、ベルト39が掛け渡されている。主軸モータ35が軸36を回転させると、プーリ37、ベルト39、及びプーリ38を介して駆動力が主軸57に伝達される。このとき、主軸57の回転に連動して、ターンテーブル33が主軸57を中心に回転する。
下部筐体31内の右方寄りに、下部筐体31の内部において上下方向に延びる図示しないガイドレールが設けられている。図示しないT型プレートは、ガイドレールに沿って下部筐体31内において上下方向に移動可能である。
先述の主軸57は、内部が中空の筒状体である。図示しない内軸は、主軸57の内部において上下方向に移動可能な軸である。内軸の上端部は、主軸57内を貫通してラックギア43に接続されている。T型プレートの左端部には、図示しない軸受が設けられている。軸受の内部では、内軸の下端部が回転自在に保持される。
T型プレートの前方には、T型プレートを上下動させるためのステッピングモータ51が固定されている。ステッピングモータ51の軸58は後方、すなわち図1では下方側に向けて突出している。軸58の先端には、図示しない円盤状のカム板が固定されている。カム板の後側の面には、図示しない円柱状の突起が設けられている。突起の先端部は、図示しない溝部に挿入されている。突起は、溝部内を摺動可能である。ステッピングモータ51が軸58を回転させると、カム板の回転に連動して突起が上下動する。このとき、溝部に挿入されている突起に連動して、T型プレートがガイドレールに沿って上下動する。
角度変更機構34の詳細構造を説明する。角度変更機構34は、ターンテーブル33の上面に固定された一対のL型プレート60を有する。各L型プレート60は、ターンテーブル33の中心近傍に固定された基部から上方に延び、且つ、その上端部がターンテーブル33の径方向外側に向けて延びている。一対のL型プレート60の間には、内軸に固定された図示しないラックギア43が設けられている。ラックギア43は、上下方向に長い金属製の板状部材であり、両端面にギアが各々刻まれている。
各L型プレート60の延設方向の先端側では、ギア45を有する水平な支軸46が回転自在に軸支されている。支軸46は図示外の装着用ホルダを介して検査チップ2に固定されている。このため、ギア45の回転に連動して検査チップ2も支軸46を中心に回転する。ギア45とラックギア43との間には、L型プレート60により図示略の水平軸線を中心に回転自在に支持されたピニオンギア44が介在している。ピニオンギア44は、ギア45及びラックギア43に夫々噛合している。ラックギア43の上下動に連動して、ピニオンギア44、及びギア45が夫々従動回転し、ひいては検査チップ2が支軸46を中心に回転する。
本実施形態では、主軸モータ35がターンテーブル33を回転駆動するのに伴って、検査チップ2が垂直軸である主軸57を中心に回転して、検査チップ2に遠心力が作用される。検査チップ2の垂直軸線A1を中心とした回転を、公転と呼ぶ。一方、ステッピングモータ51が内軸を上下動させるのに伴って、検査チップ2が水平軸である支軸46を中心に回転して、検査チップ2に作用する遠心力の方向が相対変化する。検査チップ2の水平軸線A2を中心とした回転を、自転と呼ぶ。
T型プレートが可動範囲の最下端まで下降した状態では、ラックギア43も可動範囲の最下端まで下降する。このとき、検査チップ2は、自転角度が0度の定常状態になる。また、T型プレートが可動範囲の最上端まで上昇した状態では、ラックギア43も可動範囲の最上端まで上昇する。このとき、検査チップ2は、定常状態から水平軸線A2を中心に180度回転した状態になる。つまり、本実施形態では検査チップ2が自転可能な角度幅は、自転角度0度〜180度である。
上部筐体30の詳細構造を説明する。図1に示すように、上部筐体30は、枠部材を組み合わせた箱状のフレーム構造を有し、上板32の左部上側に設置されている。より詳細には、上部筐体30は、ターンテーブル33の回転中心にある主軸57からみて、検査チップ2が回転される範囲の外側に設けられている。
上部筐体30の内部に設けられた測定部7は、測定光を発光する光源71と、光源71から発せられた測定光を検出する光センサ72とを有する。光源71及び光センサ72は、検査チップ2の回転範囲の外側において、ターンテーブル33の前後両側に配置されている。本実施形態では、検査チップ2の公転可能範囲のうちで主軸57の左側位置が、検査チップ2に測定光が照射される測定位置である。検査チップ2が測定位置にある場合、光源71と光センサ72とを結ぶ測定光が、検査チップ2の前面及び後面に対して略垂直に交差する。
<1−3.制御装置90の電気的構成>
図1を参照して、制御装置90の電気的構成を説明する。制御装置90は、検査装置1の主制御を司るCPU91と、各種データを一時的に記憶するRAM92と、制御プログラムを記憶したROM93とを有する。CPU91には、ユーザが制御装置90に対する指示を入力するための操作部94と、各種データ、及びプログラムを記憶するハードディスク装置95と、各種情報を表示するディスプレイ96とが接続されている。制御装置90としては、パーソナルコンピュータを用いてもよいし、専用の制御装置を用いてもよい。
更にCPU91には、公転コントローラ97、自転コントローラ98、及び測定コントローラ99が接続されている。公転コントローラ97は、主軸モータ35を回転駆動させる制御信号を主軸モータ35に送信することによって、検査チップ2の公転を制御する。自転コントローラ98は、ステッピングモータ51を回転駆動させる制御信号をステッピングモータ51に送信することによって、検査チップ2の自転を制御する。測定コントローラ99は、測定部7を駆動することによって、検査チップ2の光学測定を実行する。詳細には、測定コントローラ99は、光源71の発光、及び光センサ72の光検出を実行させる制御信号を、光源71及び光センサ72に送信する。尚、CPU91が公転コントローラ97、自転コントローラ98及び測定コントローラ99を制御する。
<1−4.検査チップ2の全体構造>
図2〜図5を参照して、検査チップ2の全体構造を説明する。以下の説明では、図2の上方、下方、左方、右方、紙面手前側、及び紙面奥側を、夫々、検査チップ2の上方、下方、左方、右方、前方、及び後方とする。図5では、自転角度90度の検査チップ2を例示する(図7の状態F2参照)。一例として検査チップ2は、正面視で上辺部21、右辺部22、左辺部23及び下辺部24を有する正方形状であり、所定の厚みを有する透明な合成樹脂の板材20を主体とする。本例の板材20は、汎用ポリスチレン製である。上辺部21には、突出部40が板材20の外形から上方に所定長さ突出するように形成されている。
図4及び図5に示すように、板材20の表面である基板面20Aは、表面粗さが小さい平滑面である。基板面20Aは、板材20の前面201と、前面201の反対側の後面202とを含む非接着面である。前面201は、透明の合成樹脂の薄板から構成されたシート291によって封止されている。後面202は、透明の合成樹脂の薄板から構成されたシート292によって封止されている。本例のシート291,292は、ポリオレフィン製である。
図2〜図4に示すように、板材20とシート291との間、及び、板材20とシート292との間には、検査チップ2に封入された液体が流動可能な液体流路25が形成されている。液体流路25は、板材20の前面201側及び後面202側に所定深さに形成された凹部であり、板材20の厚み方向である前後方向と直交する方向に延びる。即ち、前面201及び後面202は、互いに直交する上下方向及び左右方向に平行をなす。前面201及び後面202と平行な断面を、検査チップ2の移動面という。検査チップ2の移動面内で移動する液体の速度ベクトルは、検査チップ2の移動面と平行な成分(即ち、液体を遠心力の方向に移動させる成分)を有する。シート291,292は、液体流路25を封止する。
図5に示すように、板材20のうちで液体流路25が形成されていない壁部は、前方又は後方に突出する壁部である連結壁20Bである。シート291の後面は、連結壁20Bと接着可能な接着剤が塗布された接着面291Aである。本例の接着面291Aは、シリコーン粘着剤で形成された粘着層である。接着面291Aは、その表面に凹凸が形成されているため、基板面20Aよりも表面粗さが大きい。接着面291Aが連結壁20Bの前端部に接着されることで、シート291と板材20とが連結される。シート292の前面は、接着面291Aと同様の接着面292Aである。接着面292Aが連結壁20Bの後端部に接着されることで、シート292と板材20とが連結される。
図2〜図4に示すように、液体流路25は、検体定量流路11、試薬定量流路13,15、第一接続流路301、第二接続流路331、混合部80、及び測定部81等を含む。図2に示すように、試薬定量流路13は、前面201における左上部に設けられている。検体定量流路11は、前面201における試薬定量流路13の右側に設けられている。図3及び図4に示すように、試薬定量流路15は、後面202側における左上部に設けられている。混合部80は、前面201における右下部に設けられている。混合部80は、後述する流路117に接続されて下方に延び、且つ後述する流入口306より右側の流路を含む領域である。測定部81は、混合部80の下部である。
試薬定量流路13、15に共通する構成を説明する。図2及び図3に示すように、試薬定量流路13,15は、夫々、注入口130、試薬注入部131、連通路154、第一保持部132、第二保持部133、試薬定量部134、第一案内部138、第二案内部137、及び試薬余剰部136を含む。試薬注入部131は、検査チップ2の左上部に設けられている。試薬注入部131は、上方に開口する凹部である。注入口130(図4参照)は、第一試薬18又は第二試薬19が試薬注入部131に注入される部位である。
試薬定量流路13の試薬注入部131は、試薬定量流路13の注入口130から注入された第一試薬18が貯留される部位である。試薬定量流路15の試薬注入部131は、試薬定量流路15の注入口130から注入された第二試薬19が貯留される部位である。尚、本実施形態の第二試薬19は、第一試薬18と後述する第一分離成分17Aとが混合された後に混合される試薬である。以下の説明では、第一試薬18、及び第二試薬19を総称する場合、又は何れかを特定しない場合、試薬16という。
図2及び図3に示すように、第一保持部132は、左向きに開口する凹部である。第一保持部132と試薬注入部131とは、左右方向に延びる連通路154を介して接続されている。第一保持部132は、連通路154の右側部分から下方向に延びる流路を介して、第二保持部133と接続される。第二保持部133は、左上方に開口する屈曲壁面によって形成されている。第二保持部133の下端部は、試薬16の流路である供給流路139に繋がっている。
第二保持部133の下方には、試薬定量部134が設けられている。試薬定量部134は、試薬16が定量される部位であり、左下方に凹む凹部である。試薬定量部134の容量は、定量端部142から右方向に延びる試薬定量面146より下方の液体流路25の容量である。定量端部142は、試薬定量部134における試薬余剰部136側の壁面の、最も上方側の端部である。試薬定量面146は、試薬16が試薬定量部134において定量される場合における試薬16の液面の位置となる仮想的な面である。
試薬定量部134の上部から、第二案内部137が左斜め下方に延びる。第二案内部137は、試薬定量部134から溢れた試薬16が移動する流路である。試薬定量部134は、第二案内部137を介して試薬余剰部136と接続されている。試薬余剰部136は、第二案内部137を移動した試薬16が収容される凹部である。試薬定量部134の上部から、第一案内部138が右斜め上方に延びる。第一案内部138は、試薬定量部134で定量された試薬16が移動する流路である。試薬定量部134は、第一案内部138及び第一接続流路301を介して混合部80と接続されている。
第一接続流路301を説明する。以下の説明では、試薬定量流路13の試薬定量部134を、試薬定量部134Aという。試薬定量流路15の試薬定量部134を、試薬定量部134Bという。第一接続流路301は、前面201に形成され、第一案内部138と混合部80とを接続する流路である。第一接続流路301は、試薬受け部305を備え、流入口306に接続する。
試薬受け部305は、第一接続流路301の下辺部24側に設けられ、流入口306に接続する。流入口306は、混合部80の左側に位置し、混合部80に試薬16を流入させる部位である。 試薬受け部305の左側には、合流孔部351が設けられている。合流孔部351は、板材20を前後方向に貫通し、第一接続流路301に第二接続流路331を合流させる孔部である。
第二接続流路331を説明する。図3に示すように、第二接続流路331は、後面202に形成され、試薬定量部134Bから合流孔部351側に延び、試薬定量部134Bと合流孔部351とを接続する流路である。第二接続流路331は、2つの試薬受け部341,342を備えている。試薬受け部341,342は、試薬定量部134Bにおいて定量された第二試薬19を受ける部位である。第二接続流路331は、試薬定量部134Bから右斜め上方に延びて試薬受け部341に繋がり、試薬受け部341から左斜め下方に延びて試薬受け部342に繋がる。試薬受け部342の右端部は、合流孔部351に接続されており、前面201側の第一接続流路301に繋がる。
検体定量流路11を説明する。図2に示すように、検体定量流路11は、注入口110、検体注入部111、検体保持部112、第一流路113、定量分離部124、第二流路125、第三流路127、第一余剰部126、分離成分保持部123、検体定量部114、流路115、流路117、及び第二余剰部116を含む。検体注入部111は、第一保持部132の右側に設けられている。検体注入部111は、上方に開口する凹部である。注入口110は、検体注入部111の上部から検査チップ2の上辺部21に向かって板材20を貫通する。注入口110は、検体17が検体注入部111に注入される部位である。検体注入部111は、注入口110から注入された検体17が貯留される部位である。本実施形態の検体17は、例えば、血液、血漿、血球、骨髄、尿、膣組織、上皮組織、腫瘍、精液、唾液、又は食料品などの成分を含む液体である。
検体保持部112と、検体注入部111とは、左右方向に延びる連通路を介して接続されている。検体保持部112は、検体注入部111に向かう方向に開口する凹部である。検体保持部112の下端部は、検体17の流路である第一流路113に繋がっている。検体保持部112は定量分離部124に注入される検体17を保持する。
第一流路113の下方には、定量分離部124が設けられている。第一流路113は、定量分離部124に検体17を案内する。定量分離部124は、右斜め下方に凹む凹状の形状を有し、検体17を定量すると共に検体17に含まれる成分が分離される部位である。定量分離部124の容量は、定量端部147から右方向に延びる検体定量面148より下方の液体流路25の容量である。定量端部147は、定量分離部124における第一余剰部126側の壁面の、最も上方側の端部である。検体定量面148は、検体17が定量分離部124において定量される場合における検体17の液面の位置となる仮想的な面である。
定量分離部124では、遠心力の作用によって、検体17が比重の小さい成分と比重の大きい成分とに遠心分離される。以下の説明においては、定量分離部124において分離された検体17の比重の小さい成分を第一分離成分17Aといい、比重の大きい成分を第二分離成分17Bという。残留液保持部121は、定量分離部124に対して右方向側に設けられている。残留液保持部121は、後述の検体残留液の少なくとも一部を保持する貯溜部である。接続流路120は、定量分離部124と残留液保持部121とを接続する流路である。接続流路120は、定量分離部124の右面から右斜め上方に延びる。接続流路120の上端部は、右側に湾曲して延び、残留液保持部121の上端部に接続されている。
定量分離部124の上部から、第二流路125が左斜め下方に延びる。定量分離部124の上部から、第三流路127が右斜め上方に延びている。定量分離部124に接続された第二流路125は、定量分離部124の左下方に設けられた第一余剰部126まで延びている。第一余剰部126は、定量分離部124から溢れ出た検体17が貯留される部位である。定量分離部124に接続された第三流路127は、分離成分保持部123に繋がっている。第三流路127は、定量分離部124において分離された第一分離成分17Aが取り出される流路である。
分離成分保持部123の下方には、検体定量部114が設けられている。分離成分保持部123は、分離成分案内部128を介して検体定量部114の上方に繋がる。検体定量部114は、第一分離成分17Aを定量する部位であり、上側に開口する凹部である。検体定量部114は、右上方に延びる流路117を介して混合部80と接続されている。検体定量部114は、流路115を介して第二余剰部116に接続されている。
検体定量部114の容量は、定量端部119から右方向に延びる検体定量面129より下方の液体流路25の容量である。定量端部119は、検体定量部114における第二余剰部116側の壁面の、最も上方側の端部である。検体定量面129は、第一分離成分17Aが検体定量部114において定量される場合における第一分離成分17Aの液面の位置となる仮想的な面である。第二余剰部116は、検体定量部114から溢れ出た第一分離成分17Aが貯留される部位である。流路117は、流入口306の上方に位置する。
混合部80は、流路117に接続されて下方に延びる、流入口306より右側の流路を含む領域である。混合部80においては、検体定量部114において定量された第一分離成分17A、試薬定量部134Aにおいて定量された第一試薬18、及び試薬定量部134Bにおいて定量された第二試薬19が混合される。後述する光学測定が行われる際には、混合部80の下部を形成する測定部81に測定光が透過される。
<1−5.検査チップ2の断面構造>
試薬定量部134を例示して、検査チップ2の断面構造を説明する。以下の説明では、理解を容易にするために、垂直軸線A1から半径方向に延びる仮想面Y(図5参照)が検査チップ2の断面中心である前後方向中心を通るように、検査チップ2が検査装置1に装着されているものとする。この場合、公転中の検査チップ2に作用する遠心力のうち、検査チップ2の断面中心を通る遠心力において、検査チップ2の移動面と平行な成分が最大となる。
図5に示すように、試薬定量部134A,134Bは、共通壁134Cを挟んで、垂直軸線A1と直交する前後方向に並んで配置される。共通壁134Cは、板材20のうちで試薬定量部134A,134Bの間にある壁部である。試薬定量部134Aは、第一試薬18(図2参照)を定量する定量壁1340と、先述の試薬定量面146とで囲まれた領域である。試薬定量部134Aの定量壁1340は、試薬定量部134Aの前後両側に対向配置された、接着面291Aの一部である第一面1341と、基板面20Aのうちで共通壁134Cの前面である第二面1342とを含む。
試薬定量部134Bは、第二試薬19(図3参照)を定量する定量壁1340と、先述の試薬定量面146とで囲まれた領域である。試薬定量部134Bの定量壁1340は、試薬定量部134Bの前後両側に対向配置された、接着面292Aの一部である第一面1341と、基板面20Aのうちで共通壁134Cの後面である第二面1342とを含む。試薬定量部134A,134Bの各々において、第一面1341及び第二面1342は試薬定量面146と交わる面であり、且つ第二面1342は第一面1341よりも仮想面Yに近い。
更に試薬定量部134A,134Bの各々は、以下の構造的特徴を有する。検査チップ2では、図5に示すように自転角度90度である状態で、遠心力によって試薬定量部134に試薬16が供給される(図7の状態F2参照)。このとき、試薬定量面146は遠心力と直交する仮想面をなす。試薬定量面146は、定量壁1340よりも垂直軸線A1に近い側から、定量壁1340の少なくとも一か所の定量端部142(図2、図3参照)における接面として定義される。
自転角度90度の検査チップ2では、上辺部21(図4参照)が垂直軸線A1側を向く。自転角度90度の検査チップ2において、第一面1341の垂直軸線A1に最も近い端部を、位置P1とする。位置P1は試薬定量面146上にある。垂直軸線A1を中心として位置P1を通る円筒状の仮想面を、基準面C1とする。基準面C1が第二面1342と交わる位置を、位置P2とする。位置P2は、試薬定量面146よりも試薬定量部134内の下流側にある。
第一面1341の試薬定量部134に対する外向きに延びる法線を、法線N1とする。法線N1は、位置P1から試薬定量部134とは反対側に延びる、第一面1341に対する垂線である。自転角度90度の検査チップ2が公転された場合に、位置P1を含む第一面1341に作用する力を、作用力Z1とする。本例の作用力Z1は、第一面1341に作用する遠心力及び重力の合力である。法線N1と作用力Z1とのなす角度を、作用角θ11とする。
第二面1342の試薬定量部134に対する外向きに延びる法線を、法線N2とする。法線N2は、位置P2から試薬定量部134とは反対側に延びる、第二面1342に対する垂線である。自転角度90度の検査チップ2が公転された場合に、位置P2を含む第二面1342に作用する力を、作用力Z2とする。本例の作用力Z2は、第二面1342に作用する遠心力及び重力の合力である。法線N2と作用力Z2とのなす角度を、作用角θ12とする。作用角θ11は作用角θ12よりも小さい。
次に、検査チップ2が公転されていない状態で、試薬定量部134に液体が貯留された場合を想定する。このとき、試薬定量部134に貯留された液体の液面が描く仮想面を、基準面C2とする。基準面C2が第一面1341と交わる位置を、位置Q1とする。基準面C2が第二面1342と交わる位置を、位置Q2とする。位置Q1において液体が第一面1341と静的に接触する角度を、接触角θ21とする。位置Q2において液体が第二面1342と静的に接触する角度を、接触角θ22とする。接着面291Aの一部である第一面1341は、基板面20Aの一部である第二面1342よりも表面粗さが大きい。第二面1342は、第一面1341よりも、試薬定量部134に貯留された液体が表面張力によって拡散しやすい。従って、接触角θ21は接触角θ22よりも大きい。好適には、接触角θ21,θ22は、何れも90度以上である。
本例では、血漿を接着面291A及び基板面20Aと静的に接触させたところ、接触角θ21「111.9度」及び接触角θ22「98.9度」が実験的に得られた。また、純水を接着面291A及び基板面20Aと静的に接触させたところ、接触角θ21「107.4度」及び接触角θ22「94.1度」が実験的に得られた。これにより、位置Q1は試薬定量面146よりも試薬定量部134内の下流側にあり、且つ位置Q2は試薬定量面146上にある。試薬定量部134に貯留された液体の液面は、第二面1342側に近い位置ほど試薬定量面146に近づくように傾斜する。
試薬定量部134A,134Bの各々では、第一面1341において位置Q1が位置P1よりも試薬定量部134内の下流側にあり、且つ第二面1342において位置P2が位置Q2よりも試薬定量部134内の下流側にある。基準面C1,C2は、試薬定量面146内で互いに交差する。なお、説明は省略するが、液体流路25において液体が定量される部位である定量分離部124及び検体定量部114も、試薬定量部134Aと同様の構造である。
<1−6.検査チップ2のその他構造>
図1に示すように、L型プレート60から延びる支軸46は、図示外の装着用ホルダを介して板材20の後面中央に垂直に連結される。支軸46の回転に伴って、検査チップ2が支軸46を中心に自転する。検査チップ2は図2及び図3に示す定常状態である場合、上辺部21及び下辺部24が重力の方向と直交し、右辺部22及び左辺部23が重力の方向と平行、且つ、左辺部23が右辺部22よりも主軸57側に配置される。定常状態の検査チップ2が測定位置に配置されている状態において、光源71と光センサ72とを結ぶ測定光を測定部81に通過させることで、検査装置1は光学測定による検査を行う。
<1−7.検査方法の一例>
検査装置1及び検査チップ2を用いた検査方法を説明する。図2に示すように、注入口110から検体17が注入され、検体注入部111に配置される。試薬定量流路13の注入口130から第一試薬18が注入され、試薬定量流路13の試薬注入部131に配置される。図3に示すように、試薬定量流路15の注入口130から第二試薬19が注入され、試薬定量流路15の試薬注入部131に配置される。第一試薬18、第二試薬19、及び検体17の配置方法は、他の手法でもよい。
ユーザは検査チップ2を図示外の装着用ホルダに取り付けて、操作部94から処理開始のコマンドを入力する。これによって、CPU91は、ROM93に記憶されている制御プログラムに基づいて、図6に示す遠心処理を実行する。CPU91は遠心処理において、公転コントローラ97を介して主軸モータ35を駆動制御することで、検査チップ2の公転開始、公転速度制御、及び公転停止を行う各動作を実行する。本実施形態では、CPU91は垂直軸線A1を中心として、検査チップ2を平面視で時計回り方向に公転させる(図1参照)。
CPU91は遠心処理において、自転コントローラ98を介してステッピングモータ51を駆動制御することで、検査チップ2の自転角度を変更する各動作を実行する。以下の説明では、図2及び図3に示す定常状態の検査チップ2の自転角度を、0度とする。正面視で水平軸線A2を中心として、定常状態からm度反時計回りに回転した検査チップ2の自転角度を、m度とする。例えば、定常状態から90度反時計回りに回転した検査チップ2の自転角度は、90度である。本実施形態では、CPU91は自転角度を増加するように変更する場合、検査チップ2を正面視で水平軸線A2を中心として反時計回りに回転させる。CPU91は自転角度を減少させるように変更する場合、検査チップ2を正面視で水平軸線A2を中心として時計回りに回転させる。
図6に示すように、CPU91は、HDD95に予め記憶されているモータの駆動情報を読み込み、公転コントローラ97に主軸モータ35の駆動情報をセットし、自転コントローラ98にステッピングモータ51の駆動情報をセットする(S1)。このとき、図2及び図3に示すように、検査チップ2は定常状態であるため、自転角度0度である。次いで、CPU91は、自転角度0度の検査チップ2の公転を開始する(S2)。CPU91は、公転する検査チップ2の移動速度である公転速度を、速度Vまで上げる。速度Vは、例えば3000rpmである。数百Gほどの遠心力Xが、検査チップ2に作用する。
CPU91は速度Vで公転を実行する(S3)。図7の状態F1に示すように、左辺部23から右辺部22に向けて、検査チップ2に遠心力Xが作用する。この遠心力Xによって、試薬16は試薬注入部131から第一保持部132に移動し、且つ、検体17は検体注入部111から検体保持部112に移動する。以下の説明では、公転速度は速度Vで一定であるが、遠心処理の途中で速度Vの大きさが変更されてもよい。
次いで、CPU91は自転角度を0度から90度に変更する(S4)。S4において検査チップ2が自転される過程で、試薬16は第一保持部132から第二保持部133に移動する。図7の状態F2に示すように、検査チップ2の自転角度が90度に変更されると、上辺部21から下辺部24に向けて、検査チップ2に遠心力Xが作用する。この遠心力Xによって、試薬16は試薬定量部134に移動すると共に、余剰の試薬16が定量端部142(図2、図3参照)から溢れる。溢れた試薬16は、第二案内部137を介して試薬余剰部136に移動して貯留される。遠心力Xは、試薬定量面146に垂直な方向に作用する。これによって、試薬定量部134の容量分の試薬16が定量される。なお、試薬定量部134で行われる試薬16の定量態様は、詳細を後述する。
また、検体17は遠心力Xによって、定量分離部124に移動すると共に、余剰の検体17が定量端部147(図2参照)から溢れる。溢れた検体17は、第二流路125を介して第一余剰部126に移動して貯留される。遠心力Xは、検体定量面148に垂直な方向に作用する。これによって、定量分離部124の容量分の検体17が定量される。
次いで、CPU91は、検査チップ2を速度Vで所定時間公転する(S5)。自転角度90度の検査チップ2に、上辺部21から下辺部24に向けた遠心力Xが所定時間作用する。この遠心力によって、定量分離部124では、検体17の成分が第一分離成分17Aと第二分離成分17Bとに分離される(図7の状態F3参照)。例えば、検体17が血液の場合、比重の大きい血球が遠心力Xの作用方向側に溜まり、比重の小さい血漿が遠心力Xの作用方向の反対側に溜まる。すなわち検体17は、血液中の血球である第二分離成分17Bと、血漿である第一分離成分17Aとが分離される。
次いで、CPU91は自転角度を90度から0度に変更する(S6)。図7の状態F3に示すように、左辺部23から右辺部22に向けて、検査チップ2に遠心力Xが作用する。この遠心力Xによって、各液体が以下のように移動する。試薬定量部134Aで定量された第一試薬18は、第一案内部138及び第一接続流路301を通って、流入口306(図2参照)から混合部80に移動して貯留される。試薬定量部134Bにおいて定量された第二試薬19は、第一案内部138を通って、第二接続流路331の試薬受け部341に移動する。
また、定量分離部124で定量及び分離された検体17のうち、第一分離成分17Aの一部が、定量分離部124から溢れて第三流路127を通り、分離成分保持部123に移動する。このとき、定量分離部124から流出することなく残留する液体を、検体残留液という。定量分離部124にある検体残留液の一部は、遠心力Xによって、接続流路120を介して残留液保持部121に移動して貯留される。
本実施形態では、定量分離部124に残留する第一分離成分17A及び第二分離成分17Bが、検体残留液である。定量分離部124に残留する第一分離成分17Aの一部と、第二分離成分17Bの一部とが、接続流路120を介して残留液保持部121に移動して貯留される。尚、残留液保持部121に貯留される検体残留液は、第一分離成分17Aと第二分離成分17Bを含む液に限定されず、第二分離成分17Bのみであってもよいし、分離されていない検体17を含んでいてもよい。
次いで、CPU91は自転角度を0度から90度に変更する(S7)。上辺部21から下辺部24に向けて、検査チップ2に遠心力Xが作用する。この遠心力Xによって、各液体が以下のように移動する。第一分離成分17Aは、分離成分案内部128(図2参照)を介して検体定量部114に移動する。第二試薬19は、第二接続流路331において試薬受け部341から試薬受け部342に移動する。
更に、図8の状態F4に示すように、第一分離成分17Aは更に検体定量部114に移動すると共に、余剰の第一分離成分17Aが定量端部119(図2参照)から溢れる。溢れた第一分離成分17Aは、流路115を介して第二余剰部116に移動して貯留される。遠心力Xは、検体定量面129に垂直な方向に作用する。これによって、検体定量部114の容量分の第一分離成分17Aが定量される。また、試薬受け部342に移動した第二試薬19は、合流孔部351を介して前面201に形成された第一接続流路301に合流する。
次いで、CPU91は自転角度を90度から0度に変更する(S8)。S8において検査チップ2が自転される過程で、検体定量部114で定量された第一分離成分17Aが遠心力Xによって混合部80に流入する。検査チップ2の自転角度が90度に変更されると、左辺部23から右辺部22に向けた遠心力Xによって、混合部80に流入した第一分離成分17Aが第一試薬18と混合して、混合液(図示外)が生成される。
また、S8において検査チップ2が自転される過程で、第一接続流路301に合流した第二試薬19は、遠心力Xによって流入口306から混合部80に流入する。図8の状態F5に示すように、左辺部23から右辺部22に向けた遠心力Xによって、混合部80に流入した第二試薬19が混合液(図示外)と混合して、混合液262が生成される。
次いで、CPU91は自転角度を0度から90度に変更する(S9)。図8の状態F6に示すように、上辺部21から下辺部24に向けて、検査チップ2に遠心力Xが作用する。この遠心力Xによって、混合液262は測定部81に移動する。次いで、CPU91は自転角度を90度から0度に変更すると共に、検査チップ2の公転を終了する(S10)。以上により、遠心処理は終了する。
遠心処理の実行後、CPU91は、検査チップ2を測定位置まで公転させる。図1に示すように、測定コントローラ99は、光源71を発光させることで、測定光を測定部81に貯溜された混合液262に透過させる。CPU91は、光センサ72が受光した測定光の変化量に基づいて、混合液262の光学測定を行い、測定データを取得する。CPU91は、取得された測定データに基づいて混合液262の測定結果を算出し、その算出結果をディスプレイ96に表示させる。尚、混合液262の測定方法は、光学測定に限られず、他の方法でもよい。
<1−8.液体の定量態様>
検査チップ2で行われる液体の定量態様を説明する。以下では、試薬定量部134で行われる試薬16の定量態様を、図9及び図10で示す比較例の検査チップ200と対比して説明する。図9及び図10では、理解を容易にするために、板材210、シート220、及び試薬定量部230を図示し、且つ、シート220を仮想線で示す。垂直軸線A1から半径方向に延びる仮想面Yは、板材210及びシート220と平行に延び、且つ、検査チップ200からシート220側に離れた位置にある。
図9及び図10に示すように、比較例の検査チップ200は、垂直軸線A1と直交する方向に並んで配置された板材210とシート220との間に、試薬定量部230が設けられる。検査チップ200の自転角度は90度であるため、試薬定量部230は垂直軸線A1側に開口している。試薬定量部230は、定量壁240と試薬定量面244とに囲まれた領域である。定量壁240は、試薬定量部230を挟んで対向配置された、板材210の表面の一部である第一面241と、シート220の接着面の一部である第二面242とを含む。但し、第一面241の表面粗さと、第二面242の表面粗さとは同一である。試薬定量面244は、垂直軸線A1と直交する方向に延び、且つ定量壁240の流出側端部である定量端部243を通る仮想面である。
第二面242は、第一面241よりも仮想面Yに近い。第一面241の垂直軸線A1に最も近い端部を、位置P1とする。位置P1は試薬定量面244上にある。垂直軸線A1を中心として位置P1を通る円筒状の仮想面を、基準面C1とする。基準面C1が第二面242と交わる位置を、位置P2とする。位置P2は、試薬定量面244よりも試薬定量部230内の下流側にある。S4(図6参照)と同様に、自転角度90度の検査チップ200が公転された場合、試薬16が遠心力によって試薬定量部230に流入する。
このとき、図10に示すように、第一面241に遠心力及び重力の合力である作用力Z1が作用し、且つ、第二面242に遠心力及び重力の合力である作用力Z2が作用する。検査チップ200では、作用力Z2のほうが作用力Z1よりも、仮想面Yに対する傾斜角度が小さい。作用力Z2は、作用力Z1よりも、検査チップ200の移動面と平行な成分が大きい。従って、試薬定量部230に移動及び貯留された試薬16は、第二面242に近い位置にあるほど、試薬定量部230内の下流側に移動しやすい。
試薬定量部230には、試薬16の液面が基準面C1と一致するまで試薬16が貯留される。つまり、試薬定量部230に貯留された試薬16の液面は、第一面241側から第二面242側に向けて試薬定量部230内の下流側に傾斜する。基準面C1を超える試薬16は、定量端部243の第一面241側の端部から漏出する。試薬定量部230では、試薬定量面244と基準面C1との間に試薬16が貯留されないため、貯留可能な液量が減少する。従って、比較例の検査チップ200では、試薬16を正確に定量できない可能性がある。
図5を参照して、本実施形態の検査チップ2において、試薬定量部134で行われる試薬16の定量態様を説明する。S4では、検査チップ2の公転によって、第一面1341に作用力Z1が作用し、且つ第二面1342に作用力Z2が作用する。検査チップ2では、作用力Z2のほうが作用力Z1よりも、仮想面Yに対する傾斜角度が小さい。作用力Z2は、作用力Z1よりも、検査チップ2の移動面と平行な成分が大きい。
従って、試薬定量部134に移動及び貯留された試薬16は、第二面1342に近い位置にあるほど、試薬定量部134内の下流側に移動しやすい。試薬定量部134に貯留された試薬16に対して、試薬16の液面を基準面C1に沿って湾曲させる作用力が働く。つまり、試薬定量部134に貯留された試薬16の液面を、第一面1341側から第二面1342側に向けて試薬定量部134内の下流側に傾斜させる作用力が働く。
一方、検査チップ2では、第一面1341の表面粗さが第二面1342の表面粗さよりも大きいため、試薬定量部134に貯留された試薬16に対して、試薬16の液面を基準面C2に沿って湾曲させる表面張力が働く。つまり、試薬定量部134に貯留された試薬16の液面を、第二面1342側から第一面1341側に向けて試薬定量部134内の下流側に傾斜させる作用力が働く。
従って、図7の状態F2では、試薬16の液面を基準面C1に沿って湾曲させる作用力と、試薬16の液面を基準面C2に沿って湾曲させる表面張力とが互いに相殺し合う。試薬定量部134に貯留された試薬16の液面が、遠心力と直交する試薬定量面146と略一致するように、余剰の試薬16が定量端部142から溢れる。これにより、試薬定量部134では、その容量と略一致するように試薬16が正確に定量されるため、検査チップ2内を移動する試薬16の液量を正確に制御できる。なお、説明は省略するが、定量分離部124及び検体定量部114においても、試薬定量部134Aと同様に液体の定量が行われる。
<1−9.第一実施形態の作用の例示>
(1)検査チップ2は、試薬16を定量する定量壁1340と、遠心力と直交する仮想面である試薬定量面146とで囲まれた試薬定量部134を備える。試薬定量面146は、定量壁1340よりも垂直軸線A1に近い側から、定量壁1340の少なくとも一か所の定量端部142における接面として定義される。検査装置1は、検査チップ2を保持可能な角度変更機構34と、垂直軸線A1を中心として角度変更機構34を回転させることで、遠心力を角度変更機構34に保持された検査チップ2に付与可能なターンテーブル33及び主軸モータ35とを備える。
定量壁1340の壁面のうち、試薬定量面146と交わる壁面である第一面1341の試薬定量部134に対する外向きの法線N1が、遠心力の付与時に第一面1341に作用する作用力Z1の向きとの間になす角度を、作用角θ11とする。定量壁1340の壁面のうち、試薬定量面146と交わる壁面である第二面1342の試薬定量部134に対する外向きの法線N2が、遠心力の付与時に第二面1342に作用する作用力Z2の向きとの間になす角度を、作用角θ12とする。作用角θ11は作用角θ12より小さい。試薬16と第一面1341との間の接触角θ21は、試薬16と第二面1342との間の接触角θ22よりも大きい。
これによれば、検査チップ2に垂直軸線A1を中心とした遠心力が付与されることによって、検査チップ2の内部にある試薬16を試薬定量部134に移動させることが可能である。このとき、試薬定量部134の容量を超える試薬16は、少なくとも一か所の定量端部142から溢れて、試薬定量部134から排出される。作用角θ11が作用角θ12より小さいことは、試薬定量部134に貯留された試薬16の液面を、第一面1341側から第二面1342側に向けて試薬定量部134内の下流側に傾斜させる第一の作用を有する。
一方、接触角θ21が接触角θ22よりも大きいことは、試薬定量部134に貯留された試薬16の液面を、第二面1342側から第一面1341側に向けて試薬定量部134内の下流側に傾斜させる第二の作用を有する。従って、試薬16が遠心力によって試薬定量部134に移動される場合、第一の作用及び第二の作用が互いに相殺し合うことで、試薬定量部134に貯留された試薬16の液面が、遠心力と直交する試薬定量面146と略一致する。これにより、試薬定量部134において試薬16が正確に定量されるため、検査チップ2内を移動する試薬16の液量を正確に制御できる。
(2)第一面1341及び第二面1342に作用する力は、遠心力と重力との合力である。垂直軸線A1は、第一面1341及び第二面1342の少なくとも一つの法線N1,N2と直交する方向に延びる。これによれば、検査チップ2は、第一面1341及び第二面1342の少なくとも一つが垂直軸線A1から半径方向に延びる仮想面Yと平行をなす。このような縦置きタイプの検査チップ2において、内部を移動する試薬16の液量を正確に制御できる。
(3)検査チップ2は、二つの定量部である試薬定量部134A,134Bを備える。試薬定量部134A,134Bに対する各法線は、互いに同一方向である。これにより、試薬定量部134A,134Bの各々において、試薬16を正確に定量できる。
(4)検査チップ2は、試薬定量部134A,134Bとの間に配置された壁部である共通壁134Cを備える。試薬定量部134Aの第一面1341及び第二面1342の一方と、試薬定量部134Bの第一面1341及び第二面1342の一方とは、共通壁134Cの壁面である。本実施形態では、試薬定量部134A,134Bの第二面1342が、共通壁134Cの壁面である。これにより、試薬定量部134Aの第一面1341及び第二面1342の一方と、試薬定量部134Bの第一面1341及び第二面1342とを別々の壁面に設ける場合よりも、検査チップ2の構造を簡素化できる。
(5)検査チップ2は、板状のシート291,292と、板状の板材20とを備える。板状のシート291,292は、第一面1341及び第二面1342の一方であって、接着性を有する面である接着面291A,291Bが設けられる。板材20は、第一面1341及び第二面1342の他方である非接着面の基板面20Aが設けられ、且つシート291,292まで突出する壁部である連結壁20Bを有する。接着面291A,291Bは、連結壁20Bと接着された状態で、シート291,292と板材20を連結する。本実施形態では、接着面291A,291Bは第一面1341であり、非接着面の基板面20Aは第二面1342である。これにより、接着面291A,291Bに連結壁20Bを接着させる簡易な製造手法で、内部で移動する試薬16の液量を正確に制御可能な検査チップ2を製造できる。
(6)第一面1341の表面粗さは、第二面1342の表面粗さよりも大きい。これにより、第一面1341及び第二面1342の各表面粗さを利用して、接触角θ21が接触角θ22よりも大きい検査チップ2を容易に製造できる。
(7)接触角θ21,θ22は、何れも90度以上である。これにより、接触角θ21,θ22の大きさを利用して、第一の作用を十分に相殺できる第二の作用を有する検査チップ2を容易に製造できる。
<2.第二実施形態>
本発明を具体化した第二実施形態について、図面を参照して説明する。
<2−1.検査システム3の概略構造>
図11を参照して、検査システム4の概略構造を説明する。本実施形態の検査システム4は、液体である検体及び試薬を収容可能な検査チップ6と、検査チップ6を用いて検査を行う検査装置5とを含む。本実施形態の検査装置5は、特開昭60−238760号公報に記載されているように周知の構造であるので、以下の説明では、検査装置5の概略構造を説明する。
検査装置5は、筐体501の上側に配置された円形のプレート503を備える。筐体501内には、モータ502が配置されている。モータ502から上方に延びる回転軸は、プレート503に連結されている。プレート503の外周縁の上側には、一対の保持部504が設けられている。各保持部504は、検査チップ6が水平に延びる姿勢で、検査チップ6を保持する。プレート503の下側には、一対の駆動部材505が設けられている。各駆動部材505から上方に延びる回転軸は、各保持部504に連結されている。筐体501の上側におけるプレート503の外側には、検査チップ6に対して光学測定を行う一対の測定部506が設けられている。制御装置509は、制御装置90(図1参照)と同様であり、検査装置5の各種処理を制御するコントローラである。
検査装置5がモータ502を駆動してプレート503を回転させると、各保持部504が垂直軸線B1を中心に公転して、検査チップ6に遠心力が作用する。検査装置5が各駆動部材505を駆動して各保持部504を回転させると、各保持部504が垂直軸線B2を中心に自転して、検査チップ6からみた検査チップ6に作用する遠心力の方向が切り替えられる。
<2−2.検査チップ6の全体構造>
図12及び図13を参照して、検査チップ6の全体構造を説明する。以下の説明では、図12の上方、下方、左方、右方、紙面手前側、及び紙面奥側を、夫々、検査チップ6の前方、後方、左方、右方、上方、及び下方とする。一例として検査チップ6は、平面視で前辺部641、右辺部642、左辺部643及び後辺部644を有する正方形状であり、所定の厚みを有する透明な合成樹脂の板材601を主体とする。本例の板材601は、第一実施形態の板材20と同じ材質である。
板材601の上面は、シート602と接着可能な接着剤が塗布された接着面601Aである。本例の接着面601Aは、第一実施形態の接着面291A,292Aと同じ材質である。板材601の上面は、透明の合成樹脂の薄板から構成されたシート602によって封止されている。板材601とシート602との間には、検査チップ6に封入された液体が流動可能な液体流路603が形成されている。液体流路603は、板材601の上面側に所定深さに形成された凹部であり、板材601の厚み方向である上下方向と直交する方向に延びる。板材601の上面と平行な断面を、検査チップ6の移動面という。検査チップ6の移動面内で移動する液体の速度ベクトルは、検査チップ6の移動面と平行な成分を有する。
図13に示すように、板材601のうちで液体流路603が形成されていない壁部は、上方に突出する壁部である連結壁601Bである。シート602の表面であるシート面602Aは、表面粗さが小さい平滑面且つ非接着面である。本例のシート面602Aは、第一実施形態の基板面20Aと同じ材質である。従って、先述の接着面601Aは、シート面602Aよりも表面粗さが大きい。接着面601Aが、連結壁601Bの上端部に配置されたシート面602Aに接着されることで、シート602と板材601とが連結される。
図12に示すように、液体流路603は、第一液溜部610、第二液溜部620、定量部631、流路632、余剰部633、流路634、及び受け部635を含む。第一液溜部610は、シート602に形成された注入口611から注入された検体17を溜める領域である。第二液溜部620は、シート602に形成された注入口621から注入された試薬16を溜める領域である。
定量部631は、第一液溜部610の後方に設けられている。定量部631は、検体17が定量される部位であり、左後方に凹む凹部である。定量部631の容量は、定量端部631Aから右方向に延びる定量面631Bより後方の液体流路603の容量である。定量端部631Aは、定量部631における余剰部633側の壁面の、最も前方側の端部である。定量面631Bは、検体17が定量部631において定量される場合における検体17の液面の位置となる仮想的な面である。
定量部631は、定量部631の前部から左斜め後方に延びる流路632を介して、余剰部633と接続されている。余剰部633は、流路632を移動した検体17が収容される凹部である。定量部631は、定量部631の前部から右斜め前方に延びる流路634を介して、受け部635と接続されている。受け部635は、流路634を移動した検体17、及び第二液溜部620から移動した試薬16が収容される凹部である。
<2−3.検査チップ6の断面構造>
定量部631を例示して、検査チップ6の断面構造を説明する。図12及び図13に示す検査チップ6は、前辺部641が垂直軸線B1側を向く自転角度0度の状態にある。図13に示すように、定量部631は、検体17を定量する定量壁6310と、先述の定量面631Bとで囲まれた領域である。定量壁6310は、試薬定量部134Aの上下両側に対向配置された、接着面601Aの一部である第一面6311と、シート面602Aの一部である第二面6312とを含む。第一面6311及び第二面6312は定量面631Bと交わる面である。
更に定量部631は、以下の構造的特徴を有する。検査チップ6は自転角度0度である状態で、遠心力によって定量部631に検体17が供給される(図14の状態F11参照)。このとき、定量面631Bは遠心力と直交する仮想面をなす。定量面631Bは、定量壁6310よりも垂直軸線B1に近い側から、定量壁6310の少なくとも一か所の定量端部631Aにおける接面として定義される。自転角度0度の検査チップ6において、第一面6311の垂直軸線B1に最も近い端部を、位置P1とする。垂直軸線B1を中心として位置P1を通る円筒状の仮想面を、基準面C1とする。基準面C1が第二面6312と交わる位置を、位置P2とする。本例の位置P1,P2は定量面631B上にある。
第一面6311の定量部631に対する外向き(本例では下向き)に延びる法線を、法線N1とする。自転角度0度の検査チップ6が公転された場合に、位置P1を含む第一面6311に作用する力(本例では、遠心力及び重力の合力)を、作用力Z1とする。第二面6312の試薬定量部134に対する外向き(本例では上向き)に延びる法線を、法線N2とする。自転角度0度の検査チップ6が公転された場合に、位置P2を含む第二面6312に作用する力(本例では、遠心力及び重力の合力)を、作用力Z2とする。
本例では、第一面6311に作用する遠心力と、第二面6312に作用する遠心力とは等しい。一方、第二面6312が第一面6311の上方にあるため、第二面6312に作用する重力は、第一面6311に作用する重力よりも大きい。そのため、作用力Z2は、作用力Z1よりも大きな力であり、且つ作用力Z1よりも下向きに傾斜する。法線N1と作用力Z1とのなす作用角θ11は、法線N2と作用力Z2とのなす作用角θ12よりも小さい。
次に、検査チップ6が公転されていない状態で、定量部631に液体が貯留された場合を想定する。このとき、定量部631に貯留された液体の液面が描く仮想面を、基準面C2とする。基準面C2が第一面6311と交わる位置を、位置Q1とする。基準面C2が第二面6312と交わる位置を、位置Q2とする。位置Q1において液体が第一面6311と静的に接触する角度を、接触角θ21とする。位置Q2において液体が第二面6312と静的に接触する角度を、接触角θ22とする。
接着面601Aの一部である第一面6311は、シート面602Aの一部である第二面6312よりも表面粗さが大きい。従って、接触角θ21は接触角θ22よりも大きく、好適には接触角θ21,θ22は何れも90度以上である。これにより、位置Q1は定量面631Bよりも定量面631B内の下流側にあり、且つ位置Q2は定量面631B上にある。定量部631に貯留された液体の液面は、第二面6312側に近い位置ほど定量面631Bに近づくように傾斜する。
定量部631では、第一面6311において位置Q1が位置P1よりも定量部631内の下流側にあり、且つ第二面6312において位置P2が位置Q2よりも定量部631内の下流側にある。位置Q1と位置Q2とを結ぶ仮想面を基準面C3とした場合、基準面C2,C3は、定量部631内で互いに交差する。
<2−4.検査方法の一例>
検査装置5及び検査チップ6を用いた検査方法を説明する。図12に示すように、注入口611から検体17が注入され、第一液溜部610に配置される。注入口621から試薬16が注入され、第二液溜部620に配置される。次いで、検査チップ6は、シート602が上方を向く姿勢で、保持部504(図11参照)に装着される。
まず検査装置5は、自転角度0度の検査チップ6を速度Vで公転する。図14の状態F11に示すように、前辺部641から後辺部644に向けて、検査チップ6に遠心力Xが作用する。この遠心力Xによって、試薬16は受け部635に移動し、検体17は定量部631に移動する。このとき、余剰の検体17は、定量端部631Aから溢れて、流路632を介して余剰部633に移動して貯留される。遠心力Xは、定量面631Bに垂直な方向に作用する。これによって、定量部631の容量分の検体17が定量される。なお、定量部631で行われる検体17の定量態様は、詳細を後述する。
次に、検査装置5は、公転中の検査チップ6の自転角度を、0度から90度に変更する。図14の状態F12に示すように、自転角度90の検査チップ6では、左辺部643から右辺部642に向けて、検査チップ6に遠心力Xが作用する。この遠心力Xによって、定量部631で定量された検体17は、流路634を介して受け部635に移動する。受け部635では、検体17と試薬16とが混合されて、混合液650が生成される。
次に、検査装置5は、公転中の検査チップ6の自転角度を、90度から0度に変更する。図14の状態F13に示すように、前辺部641から後辺部644に向けて作用する遠心力Xによって、受け部635にある混合液650が更に混合される。最後に、検査装置5は、検査チップ6の公転を終了して、測定部506によって混合液650の光学測定を行い、測定データを取得する。
<2−5.液体の定量態様>
図13を参照して、定量部631で行われる検体17の定量態様を説明する。図14の状態F11では、第一面6311に作用力Z1が作用し、且つ第二面6312に作用力Z2が作用する。作用力Z2は、作用力Z1よりも大きな力であり、且つ作用力Z1よりも下向きに傾斜する。そのため、作用力Z2は作用力Z1よりも、検体17を下方に移動させる力が大きい。
従って、定量部631に移動及び貯留された検体17は、第二面6312に近い位置にあるほど、定量部631内の下流側に移動しやすい。定量部631に貯留された検体17に対して、検体17の液面を基準面C3に沿って湾曲させる作用力が働く。つまり、定量部631に貯留された検体17を、第一面6311側から第二面6312側に向けて定量部631内の下流側に傾斜させる作用力が働く。
一方、検査チップ2では、第一面6311の表面粗さが第二面6312の表面粗さよりも大きいため、定量部631に貯留された検体17に対して、検体17の液面を基準面C2に沿って湾曲させる表面張力が働く。つまり、定量部631に貯留された検体17の液面を、第二面6312側から第一面6311側に向けて定量部631内の下流側に傾斜させる作用力が働く。
従って、図14の状態F11では、検体17の液面を基準面C3に沿って湾曲させる作用力と、検体17の液面を基準面C2に沿って湾曲させる表面張力とが互いに相殺し合う。定量部631に貯留された検体17の液面が、遠心力と直交する定量面631Bと略一致するように、余剰の検体17が定量端部631Aから溢れる。これにより、定量部631では、その容量と略一致するように検体17が正確に定量されるため、検査チップ6内を移動する検体17の液量を正確に制御できる。
<2−6.第二実施形態の作用の例示>
(1)検査チップ6は、検体17を定量する定量壁6310と、遠心力と直交する仮想面である定量面631Bとで囲まれた定量部631を備える。定量部631は、定量壁6310よりも垂直軸線B1に近い側から、定量壁6310の少なくとも一か所の定量端部631Aにおける接面として定義される。検査装置5は、検査チップ6を保持可能な保持部504と、垂直軸線B1を中心として保持部504を回転させることで、遠心力を保持部504に保持された検査チップ6に付与可能なプレート503及びモータ502とを備える。
定量壁6310の壁面のうち、定量面631Bと交わる壁面である第一面6311の定量部631に対する外向きの法線N1が、遠心力の付与時に第一面6311に作用する作用力Z1の向きとの間になす角度を、作用角θ11とする。定量壁6310の壁面のうち、定量面631Bと交わる壁面である第二面6312の定量部631に対する外向きの法線N2が、遠心力の付与時に第二面6312に作用する作用力Z2の向きとの間になす角度を、作用角θ12とする。作用角θ11は作用角θ12より小さい。検体17と第一面6311との間の接触角θ21は、検体17と第二面6312との間の接触角θ22よりも大きい。
これによれば、検査チップ6に垂直軸線B1を中心とした遠心力が付与されることによって、検査チップ6の内部にある検体17を定量部631に移動させることが可能である。このとき、定量部631の容量を超える検体17は、少なくとも一か所の定量端部631Aから溢れて、定量部631から排出される。作用角θ11が作用角θ12より小さいことは、定量部631に貯留された検体17の液面を、第一面6311側から第二面6312側に向けて定量部631内の下流側に傾斜させる第一の作用を有する。
一方、接触角θ21が接触角θ22よりも大きいことは、定量部631に貯留された検体17の液面を、第二面6312側から第一面6311側に向けて定量部631内の下流側に傾斜させる第二の作用を有する。従って、検体17が遠心力によって定量部631に移動される場合、第一の作用及び第二の作用が互いに相殺し合うことで、定量部631に貯留された検体17の液面が、遠心力と直交する定量面631Bと略一致する。これにより、定量部631において検体17が正確に定量されるため、検査チップ6内を移動する検体17の液量を正確に制御できる。
(2)第一面6311及び第二面6312に作用する力は、遠心力と重力との合力である。垂直軸線B1は、第一面6311及び第二面6312の少なくとも一つの法線N1,N2と平行な方向に延びる。これによれば、検査チップ6は、第一面6311及び第二面6312の少なくとも一つが垂直軸線B1から半径方向に延びる仮想面Yと直交をなす。このような横置きタイプの検査チップ6において、内部を移動する検体17の液量を正確に制御できる。
(3)検査チップ6は、<1−9>で説明した(5)〜(7)と同様の作用を奏する。更に検査チップ6は、第一実施形態の検査チップ2と同様に、垂直軸線B1と平行に並ぶ二つの定量部631を備えてもよい。この場合、検査チップ6は<1−9>で説明した(3)及び(4)と同様の作用を奏する。
<3.備考>
上記実施形態において、試薬16及び検体17の各々は、本発明の「液体」の一例である。検査チップ2,6の各々は、本発明の「検査チップ」の一例である。垂直軸線A1,B1の各々は、本発明の「公転軸線」の一例である。検査装置1,5の各々は、本発明の「検査装置」の一例である。検査システム3,4の各々は、本発明の「検査装置」の一例である。定量壁1340,6310の各々は、本発明の「定量壁」の一例である。定量端部142,631Aの各々は、本発明の「溢出部」の一例である。試薬定量面146及びは定量面631Bの各々は、本発明の「定量面」の一例である。試薬定量部134及び定量部631の各々は、本発明の「定量部」の一例である。
角度変更機構34及び保持部504は、本発明の「保持手段」の一例である。ターンテーブル33及び主軸モータ35、或いはプレート503及びモータ502の各々は、本発明の「公転手段」の一例である。第一面1341,6311の各々は、本発明の「第一面」の一例である。作用角θ11は本発明の「第一角度」の一例である。第二面1342,6312の各々は、本発明の「第二面」の一例である。作用角θ12は本発明の「第二角度」の一例である。接触角θ21は本発明の「第一接触角」の一例である。接触角θ22は本発明の「第二接触角」の一例である。
試薬定量部134A,134Bは、本発明の「第一定量部及び第二定量部」の一例である。共通壁134Cは本発明の「共通壁」の一例である。接着面291A,292A,601Aの各々は、本発明の「接着面」の一例である。シート291,292及び板材601の各々は、本発明の「第一部材」の一例である。基板面20A及びシート面602Aの各々は、本発明の「非接着面」の一例である。連結壁20B,601Bの各々は、本発明の「連結壁」の一例である。板材20及びシート602の各々は、本発明の「第二部材」の一例である。
本発明は上記実施形態に限定されず、各種変形が可能である。例えば、定量部(上記実施形態では、試薬定量部134及び定量部631)で定量される液体は、試薬及び検体に限定されず、他の液体でもよい。第一面(上記実施形態では、第一面1341,6311)に作用する力、及び第二面(上記実施形態では、第二面1342,6312)に作用する力は、遠心力のみでもよいし、重力のみでもよい。検査チップ(上記実施形態では、検査チップ2,6)の形状及び構造は、各種変形が可能である。
例えば、検査チップ2と仮想面Yの位置関係等によって、検査チップ2の公転時に試薬定量部134A,134Bに作用する力が、以下の関係になる場合がある。図5に示す検査チップ2において、仮想面Yがシート291の前方にある場合、試薬定量部134Aの第一面1341に働く作用力Z1は、共通壁134Cに働く作用力よりも、検査チップ2の移動面と平行な成分が大きい。同時に、共通壁134Cに働く作用力は、試薬定量部134Bの第一面1341に働く作用力Z1よりも、検査チップ2の移動面と平行な成分が大きい。
この場合、液体と共通壁134Cの接触角θ22は、試薬定量部134Aの第一面1341の接触角θ21と、試薬定量部134Bの第一面1341の接触角θ21と中間値であることが好適である。これにより、試薬定量部134A,134Bの各々は、試薬16を遠心力の方向に移動させる成分の大きさが互いに異なる場合でも、試薬16を正確に定量できる。本変形例において、液体と共通壁134Cの接触角θ22は、本発明の「第三接触角」の一例である。
1,5 検査装置
2,6 検査チップ
3,4 検査システム
16 試薬
17 検体
20,601 板材
20B,601B 連結壁
33 ターンテーブル
34 角度変更機構
35 主軸モータ
134 試薬定量部
134A,134B 試薬定量部
134C 共通壁
142,631A 定量端部
146,631B 試薬定量面
291,292,602 シート
291A,292A,601A 接着面
502 モータ
503 プレート
504 保持部
602A シート面
631 定量部
1340,6310 定量壁
1341,6311 第一面
1342,6312 第二面

Claims (16)

  1. 液体が内部で移動可能な検査チップと、前記検査チップに公転軸線を中心とした遠心力を付与可能な検査装置とを含む検査システムであって、
    前記検査チップは、
    前記液体を定量する定量壁と、前記遠心力と直交する仮想面であって、前記定量壁よりも前記公転軸線に近い側から前記定量壁の少なくとも一か所の溢出部における接面として定義される定量面とで囲まれた定量部を備え、
    前記検査装置は、
    前記検査チップを保持可能な保持手段と、
    前記公転軸線を中心として前記保持手段を回転させることで前記遠心力を前記保持手段に保持された前記検査チップに付与可能な公転手段と、を備え、
    前記定量壁の壁面のうち、前記定量面と交わる壁面である第一面の前記定量部に対する外向きの法線が前記公転手段の動作時に前記第一面に作用する力の向きとの間になす第一角度は、前記定量面と交わる壁面である第二面の前記定量部に対する外向きの法線が前記公転手段の動作時に前記第二面に作用する力の向きとの間になす第二角度よりも小さく、
    前記液体と前記第一面との間の第一接触角は、前記液体と前記第二面との間の第二接触角よりも大きい
    ことを特徴とする検査システム。
  2. 前記第一面及び前記第二面に作用する力は、前記遠心力と重力との合力であって、
    前記公転軸線は、前記第一面及び前記第二面の少なくとも一つの前記法線と直交する方向に延びる
    ことを特徴とする請求項1に記載の検査システム。
  3. 前記第一面及び前記第二面に作用する力は、前記遠心力と重力との合力であって、
    前記公転軸線は、前記第一面及び前記第二面の少なくとも一つの前記法線と平行な方向に延びる
    ことを特徴とする請求項1に記載の検査システム。
  4. 前記検査チップは、二つの前記定量部である第一定量部及び第二定量部を備え、
    前記第一定量部及び前記第二定量部に対する各法線は、互いに同一方向である
    ことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の検査システム。
  5. 前記検査チップは、前記第一定量部及び前記第二定量部との間に配置された壁部である共通壁を備え、
    前記第一定量部の前記第一面及び前記第二面の一方と、前記第二定量部の前記第一面及び前記第二面の一方とは、前記共通壁の壁面である
    ことを特徴とする請求項4に記載の検査システム。
  6. 前記液体と前記共通壁の壁面との間の第三接触角は、前記第一定量部の前記第一面及び前記第二面の他方と前記液体との間の接触角と、前記第一面及び前記第二面の他方と前記液体との間の接触角との中間値である
    ことを特徴とする請求項5に記載の検査システム。
  7. 前記検査チップは、
    前記第一面及び前記第二面の一方であって、接着性を有する面である接着面が設けられた板状の第一部材と、
    前記第一面及び前記第二面の他方である非接着面が設けられ、且つ前記第一部材まで突出する壁部である連結壁を有する板状の第二部材と、を備え、
    前記接着面は、前記連結壁と接着された状態で、前記第一部材と前記第二部材とを連結する
    ことを特徴とする請求項1から6の何れかに記載の検査システム。
  8. 前記第一面の表面粗さは、前記第二面の表面粗さよりも大きいことを特徴とする請求項1から7の何れかに記載の検査システム。
  9. 前記第一接触角及び前記第二接触角は、何れも90度以上であることを特徴とする請求項1から8の何れかに記載の検査システム。
  10. 公転軸線を中心とした遠心力が付与されることによって、液体が内部で移動可能な検査チップであって、
    前記液体を定量する定量壁と、前記遠心力と直交する仮想面であって、前記定量壁よりも前記公転軸線に近い側から前記定量壁の少なくとも一か所の溢出部における接面として定義される定量面とで囲まれた定量部を備え、
    前記定量壁の壁面のうち、前記定量面と交わる壁面である第一面の前記定量部に対する外向きの法線が前記遠心力の付与時に前記第一面に作用する力の向きとの間になす第一角度は、前記定量面と交わる壁面である第二面の前記定量部に対する外向きの法線が前記遠心力の付与時に前記第二面に作用する力の向きとの間になす第二角度よりも小さく、
    前記液体と前記第一面との間の第一接触角は、前記液体と前記第二面との間の第二接触角よりも大きい
    ことを特徴とする検査チップ。
  11. 二つの前記定量部である第一定量部及び第二定量部を備え、
    前記第一定量部及び前記第二定量部に対する各法線は、互いに同一方向である
    ことを特徴とする請求項10に記載の検査チップ。
  12. 前記第一定量部及び前記第二定量部との間に配置された壁部である共通壁を備え、
    前記第一定量部の前記第二面と、前記第二定量部の前記第一面及び前記第二面の一方とは、前記共通壁の壁面である
    ことを特徴とする請求項11に記載の検査チップ。
  13. 前記第二定量部の前記第一面は、前記共通壁の壁面であり、
    前記液体と前記前記共通壁の壁面との間の第三接触角は、前記第一定量部の前記第一面の前記第一接触角と、前記第二定量部の前記第二面の前記第二接触角との中間値である
    ことを特徴とする請求項12に記載の検査チップ。
  14. 前記第一面及び前記第二面の一方であって、接着性を有する面である接着面が設けられた板状の第一部材と、
    前記第一面及び前記第二面の他方である非接着面が設けられ、且つ前記第一部材まで突出する壁部である連結壁を有する板状の第二部材と、を備え、
    前記接着面は、前記連結壁と接着された状態で、前記第一部材と前記第二部材とを連結する
    ことを特徴とする請求項10から13の何れかに記載の検査チップ。
  15. 前記第一面の表面粗さは、前記第二面の表面粗さよりも大きいことを特徴とする請求項10から14の何れかに記載の検査チップ。
  16. 前記第一接触角及び前記第二接触角は、何れも90度以上であることを特徴とする請求項10から15の何れかに記載の検査チップ。
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