JP5939148B2 - 検査チップ及び検査システム - Google Patents

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Description

本発明は、検査対象物の化学的、医学的、または生物学的な検査を行うための検査チップ及び検査システムに関する。
従来、生体物質、または化学物質等の検体を検査するための検査チップが知られている。例えば特許文献1に開示された検査チップは、第1の基板と第2の基板とが貼り合わせられて形成される。第1の基板の表面には溝が形成され、溝と第2の基板の第1の基板側表面とから流体回路が形成される。流体回路は、検査チップに第1の方向に遠心力が作用されることにより、検体を遠心分離により第1成分と第1成分より比重が大きい第2成分とに分離するための遠心分離部を備える。遠心分離部に第2の方向に遠心力が印加されることにより、測定において不要である第1成分および余分な一部の第2成分が遠心分離部の開口部から取り出される。そして、遠心分離部には、第2成分の残部が保持される。遠心分離部に第3の方向に遠心力が作用されることにより、第2成分の残部が遠心分離部の開口部から取り出される。
特開2009−276143号公報
特許文献1に開示の検査チップでは、測定対象である第2成分は、第1成分の下層に分離される。遠心分離部の開口部から第1対象成分が取り出されたとしても、下層に分離された第2対象成分を上から取り出すと、上層に分離された第1対象成分が取り出された第2対象成分に含まれる可能性がある。この結果、検査精度が低下する恐れがあるという問題がある。
本発明の目的は、検査精度が低下するおそれを低減する検査チップ及び検査システムを提供することである。
本発明の第一態様の検査チップは、検体中に含まれる第1成分と前記第1成分より比重が大きい第2成分とが分離される分離部と、前記分離部の一壁面に直接接続されている第2成分保持部とを備えた検査チップであって、前記分離部の一壁面と、前記一壁面に接続された前記第2成分保持部の一壁面とのなす角度の内、前記分離部の外側における角度は90度以上、180度未満であり、前記分離部の一壁面において前記第2成分保持部とは反対側に連結し、前記分離部の一壁面と交差する方向に開口する第1成分保持部を備え、前記第1成分保持部において前記第2成分保持部と反対側の開口端部は、前記第2成分保持部の一壁面に平行な方向において、前記第1成分保持部の前記第2成分保持部側の開口端部よりも第2成分保持部側にあり、さらに、前記第2成分を希釈する希釈液が注入される希釈液注入部と、前記希釈液注入部から流出する希釈液を保持する希釈液保持部を備え、前記希釈液保持部は、底面である希釈液保持部底面及び側面である希釈液保持部側面を少なくとも備え、前記検査チップの下辺部の延設方向と平行な方向と前記希釈液保持部底面のなす角度の内、鋭角である第1角度は、前記平行な方向と前記第2成分保持部の一壁面がなす角度の内、鋭角である第2角度より大きく、前記平行な方向と前記分離部の一壁面がなす角度の内、鋭角である第3角度より小さいことを特徴とする。
検査装置が上記構成を備える検査チップに対して、分離部において第2成分保持部の方向に遠心力を作用させると、検体は第1成分と第2成分とに分離される。分離部163の一壁面と、第2成分保持部の一壁面とのなす角度の内、分離部の外側における角度は90度以上、180度未満である。これにより、検査チップを自転させて遠心力の作用方向を変化させると、分離部の一壁面が、この一壁面に接続された第2成分保持部の一壁面よりも先に遠心力の作用方向と直交する。従って、第1成分と第2成分保持部から溢れた第2成分とが分離部から先に流出する。次いで、流出した第1成分と第2成分保持部から溢れた第2成分は、第1成分保持部が、分離部の一壁面と交差する方向に開口しているので、遠心力の作用により第1成分保持部に流入する。第2成分保持部には第2成分が残る。従って、第1成分が先に流出しているので、第2成分保持部に残った第2成分に第1成分が混ざることを低減できる。よって、検体から分離された第2成分の検査精度を高めることができる。第2成分保持部に残った第2成分は、検査チップをさらに自転させると、第1成分保持部において第2成分保持部と反対側の開口端部が、第2成分保持部の一壁面に平行な方向において、第1成分保持部の第2成分保持部側の開口端部よりも第2成分保持部側にあるので、第1成分保持部に流入することが低減される。よって、検体から分離された第2成分の検査精度を高めることができる。また、第1角度は、第2角度より大きくなるように検査チップ2が形成されているので、希釈液保持部から希釈液が流出される角度に検査チップ2を自転させても第2成分保持部には第2成分が保持されたままにできる。また、第1角度は、第3角度より小さくなるように、検査チップ2が形成されている。従って、第1成分を第1成分保持部に流入させる角度に検査チップ2を自転させても第2成分保持部には第2成分が保持されたままにできる。従って、第1成分を先に流出させることができ、第2成分の分離を良好に行うことができる。従って、第1成分が第2成分に混じることを低減して、検査対象である第2成分を取り出すことができる。
前記分離部の一壁面の延長面と前記第2成分保持部を構成する凹部とに囲まれる体積が前記第2成分の定量量であるようにしてもよい。分離部の一壁面の延長線と凹部とに囲まれる体積が第2成分の定量量であるので、第2成分保持部から流出する第2成分の液量が、測定に必要な第2成分の定量量となる。この結果、第2成分保持部から流出する第2成分の液量を定量する構成を別途検査チップに設ける必要がなくなり、検査チップの大型化、または検査工程の短縮化を図ることができる。
前記第2成分と前記希釈液が混合される混合部と、前記混合部で前記希釈液が混合された前記第2成分が注入される測定部とを備え、前記混合部は、前記測定部側に前記希釈液と混合された前記第2成分を取り出す取り出し側壁面を備え、前記検査チップの下辺部の延設方向と平行な方向と前記取り出し側壁面とのなす角度の内、前記測定部側の第4角度は、前記第3角度より大きくてもよい。この構成の検査チップでは、取り出し側壁面の第4角度は、第3角度より大きいので、定量後の第2成分を混合部に流入させる場合に第2成分を混合部から溢れさせず、混合部において第2成分と希釈液とを混合することができる。
前記希釈液保持部の開口方向は、前記第2成分保持部の開口方向と同方向であってもよい。このようにすると、検査チップに作用する遠心力により、第2成分が第2成分保持部に保持される場合に、希釈液も希釈液保持部に保持される。従って、希釈液が第2成分よりも先に流出することを防止できる。
本発明の第二態様の検査システムは、検体または試薬を定量して混合する検査チップと、前記検査チップを所定の第一軸を中心に公転させることにより前記検査チップに遠心力を作用させ、且つ、前記第一軸とは異なる第二軸を中心に前記検査チップを自転させることにより前記遠心力の方向を変化させる検査装置とから構成される検査システムであって、 前記検査チップは、検体中に含まれる第1成分と前記第1成分より比重が大きい第2成分とが分離される分離部と、前記分離部の一壁面に直接接続されている第2成分保持部とを備え、前記分離部の一壁面と前記一壁面に接続された前記第2成分保持部の一壁面とのなす角度の内、前記分離部の外側における角度は90度以上、180度未満であり、前記分離部の一壁面において前記第2成分保持部とは反対側に連結し、前記分離部の一壁面と交差する方向に開口する第1成分保持部を備え、前記第1成分保持部において前記第2成分保持部と反対側の開口端部は、前記第2成分保持部の一壁面に平行な方向において、前記第1成分保持部の前記第2成分保持部側の開口端部よりも第2成分保持部側にあり、前記検査装置は、前記自転を制御する自転制御手段と、前記公転を制御する公転制御手段とを備え、前記自転制御手段は、前記公転により生じる遠心力により、前記検体が前記分離部に注入される方向に前記検査チップを自転させる第1ステップと、前記遠心力により、前記分離部にて前記検体が前記第1成分と前記第2成分とに分離される第2ステップと、前記遠心力により、前記第2成分保持部にて前記第2成分が所定量定量される方向に前記検査チップを自転させる第3ステップと、前記遠心力により、前記第2成分保持部から前記第2成分が取り出される方向に前記検査チップを自転させる第4ステップとを実行することを特徴とする。この検査システムによれば、第一態様の検査チップと同様の効果を奏することができる。
検査装置1及び制御装置90を含む検査システム3の構成を示す図である。 遠心処理前の重力Gが下方に働く検査チップ2の正面図である。 分離部163及びその周囲の拡大正面図である。 自転角度0度において公転される検査チップ2の正面図である。 自転角度90度において公転される検査チップ2の正面図である。 自転角度0度において公転される検査チップ2の正面図である。 自転角度0度において公転される検査チップ2の正面図である。 自転角度54度において公転される検査チップ2の正面図である。 自転角度87度において公転される検査チップ2の正面図である。 自転角度90度において公転される検査チップ2の正面図である。 自転角度0度において公転される検査チップ2の正面図である。 自転角度0度において公転が停止した検査チップ2の正面図である。
本発明を具体化した実施の形態について、図面を参照して説明する。尚、図1は、検査システム3を構成する検査装置1の平面及び制御装置90の内部の機能ブロックを示している。
<1.検査システム3の概略構造>
本発明の実施形態を説明する。図1を参照して、検査システム3の概略構造について説明する。本実施形態の検査システム3は、液体である検体及び試薬を収容可能な検査チップ2と、検査チップ2を用いて検査を行う検査装置1とを含む。検査装置1が検査チップ2から離間した垂直軸線A1を中心として検査チップ2を回転させると、遠心力が検査チップ2に作用する。検査装置1が水平軸線A2を中心に検査チップ2を回転させると、検査チップ2に作用する遠心力の方向である遠心方向が切り替えられる。尚、本第一実施形態の検査システム3及び検査装置1は、特開2012−78107に記載されているように周知の構造であるので、以下の説明では、検査装置1の構造の概略について説明する。
<2.検査装置1の構造>
図1を参照して、検査装置1の構造について説明する。以下の説明では、図1の上方、下方、右方、左方、紙面手前側、及び紙面奥側を、それぞれ、検査装置1の前方、後方、右方、左方、上方、及び下方とする。本実施形態では、垂直軸線A1の方向は検査装置1の上下方向であり、水平軸線A2の方向は検査チップ2が垂直軸線A1を中心として回転される際の速度の方向である。なお、図1は検査装置1の上部筐体30の天板が取り除かれた状態を示す。尚、第1軸の方向である垂直軸線A1と第2軸の方向である水平軸線A2が上述した関係に限られず、同じ上下方向を向いてもよいし、第1軸の方向と第2軸の方向とが異なってもよい。
図1に示すように、検査装置1は、上部筐体30、下部筐体31、上板32、ターンテーブル33、角度変更機構34、及び制御装置90を備える。ターンテーブル33は、下部筐体31の上面側に設けられる上板32上で回転する円盤である。検査チップ2は、ターンテーブル33の上方に保持される。角度変更機構34は、ターンテーブル33に設けられた駆動機構である。この角度変更機構34は、水平軸線Aを中心に検査チップ2を各々回転させる。上部筐体30は、下部筐体31の上側の上板32に固定されており、検査チップ2に対して光学測定を行う測定部7が内部に設けられている。制御装置90は、検査装置1の各種処理を制御するコントローラである。
下部筐体31の概略構造を説明する。下部筐体31は、枠部材を組み合わせた箱状のフレーム構造を有する。下部筐体31の上面には、長方形の板材である上板32が設けられている。上板32の上側には、ターンテーブル33が回転自在に設けられている。下部筐体31の内部には、垂直軸線を中心にターンテーブル33を回転させる駆動機構が、次のように設けられている。
下部筐体31内の左方寄りに、ターンテーブル33を回転させるための駆動力を供給する主軸モータ35が設置されている。主軸モータ35の軸36は、上方に突出しており、プーリ37が固定されている。下部筐体31の中央部には、下部筐体31の内部から上方に延びる垂直な主軸57が設けられている。主軸57は、上板32を貫通して、下部筐体31の上側に突出している。主軸57の上端部は、ターンテーブル33の中央部に接続されている。
主軸57は、上板32の直下に設けられた図示しない支持部材により、回転自在に保持されている。支持部材の下側では、主軸57にプーリ38が固定されている。プーリ37とプーリ38とに亘って、ベルト39が掛け渡されている。主軸モータ35が軸36を回転させると、プーリ37、ベルト39、及びプーリ38を介して駆動力が主軸57に伝達される。このとき、主軸57の回転に連動して、ターンテーブル33が主軸57を中心に回転する。
下部筐体31内の右方寄りに、下部筐体31の内部において上下方向に延びる図示しないガイドレールが設けられている。図示しないT型プレートは、ガイドレールに沿って下部筐体31内において上下方向に移動可能である。
先述の主軸57は、内部が中空の筒状体である。図示しない内軸は、主軸57の内部において上下方向に移動可能な軸である。内軸の上端部は、主軸57内を貫通してラックギア43に接続されている。T型プレートの左端部には、図示しない軸受が設けられている。軸受の内部では、内軸の下端部が回転自在に保持される。
T型プレートの前方には、T型プレートを上下動させるためのステッピングモータ51が固定されている。ステッピングモータ51の軸58は後方、すなわち図1では下方側に向けて突出している。軸58の先端には、図示しない円盤状のカム板が固定されている。カム板の後側の面には、図示しない円柱状の突起が設けられている。突起の先端部は、図示しない溝部に挿入されている。突起は、溝部内を摺動可能である。ステッピングモータ51が軸58を回転させると、カム板の回転に連動して突起が上下動する。このとき、溝部に挿入されている突起に連動して、T型プレートがガイドレールに沿って上下動する。
角度変更機構34の詳細構造を説明する。角度変更機構34は、ターンテーブル33の上面に固定された一対のL型プレート60を有する。各L型プレート60は、ターンテーブル33の中心近傍に固定された基部から上方に延び、且つ、その上端部がターンテーブル33の径方向外側に向けて延びている。一対のL型プレート60の間には、内軸に固定された図示しないラックギア43が設けられている。ラックギア43は、上下方向に長い金属製の板状部材であり、両端面にギアが各々刻まれている。
各L型プレート60の延設方向の先端側では、ギア45を有する水平な支軸46が回転自在に軸支されている。支軸46は図示外の装着用ホルダを介して検査チップ2に固定されている。このため、ギア45の回転に連動して検査チップ2も支軸46を中心に回転する。ギア45とラックギア43との間には、L型プレート60により水平軸線を中心に回転自在に支持されたピニオンギア44が介在している。ピニオンギア44は、ギア45及びラックギア43にそれぞれ噛合している。ラックギア43の上下動に連動して、ピニオンギア44、及びギア45がそれぞれ従動回転し、ひいては検査チップ2が支軸46を中心に回転する。
本実施形態では、主軸モータ35がターンテーブル33を回転駆動するのに伴って、検査チップ2が垂直軸である主軸57を中心に回転して、検査チップ2に遠心力が付与される。検査チップ2の垂直軸線を中心とした回転を、公転と呼ぶ。一方、ステッピングモータ51が内軸を上下動させるのに伴って、検査チップ2が水平軸である支軸46を中心に回転して、検査チップ2に作用する遠心力の方向が相対変化する。検査チップ2の水平軸線を中心とした回転を、自転と呼ぶ。
T型プレートが可動範囲の最下端まで下降した状態では、ラックギア43も可動範囲の最下端まで下降する。このとき、検査チップ2は、自転角度が0度の定常状態になる。また、T型プレートが可動範囲の最上端まで上昇した状態では、ラックギア43も可動範囲の最上端まで上昇する。このとき、検査チップ2は、定常状態から水平軸線を中心に180度回転した状態になる。つまり、本実施形態では検査チップ2が自転可能な角度幅は、自転角度0度〜180度である。
上部筐体30の詳細構造を説明する。図1に示すように、上部筐体30は、枠部材を組み合わせた箱状のフレーム構造を有し、上板32の左部上側に設置されている。より詳細には、上部筐体30は、ターンテーブル33の回転中心にある主軸57からみて、検査チップ2が回転される範囲の外側に設けられている。
上部筐体30の内部に設けられた測定部7は、測定光を発光する光源71と、光源71から発せられた測定光を検出する光センサ72とを有する。光源71及び光センサ72は、検査チップ2の回転範囲の外側において、ターンテーブル33の前後両側に配置されている。本実施形態では、検査チップ2の公転可能範囲のうちで主軸57の左側位置が、検査チップ2に測定光が照射される測定位置である。検査チップ2が測定位置にある場合、光源71と光センサ72とを結ぶ測定光が、検査チップ2の前後面に対して略垂直に交差する。
<3.制御装置90の電気的構成>
図1を参照して、制御装置90の電気的構成について説明する。制御装置90は、検査装置1の主制御を司るCPU91と、各種データを一時的に記憶するRAM92と、制御プログラムを記憶したROM93とを有する。CPU91には、ユーザが制御装置90に対する指示を入力するための操作部94と、各種データ、及びプログラムを記憶するハードディスク装置95と、各種情報を表示するディスプレイ96とが接続されている。制御装置90としては、パーソナルコンピュータを用いてもよいし、専用の制御装置を用いてもよい。
さらに、CPU91には、公転コントローラ97、自転コントローラ98、及び測定コントローラ99が接続されている。公転コントローラ97は、主軸モータ35を回転駆動させる制御信号を主軸モータ35に送信することにより、検査チップ2の公転を制御する。自転コントローラ98は、ステッピングモータ51を回転駆動させる制御信号をステッピングモータ51に送信することにより、検査チップ2の自転を制御する。測定コントローラ99は、測定部7を駆動することにより、検査チップ2の光学測定を実行する。詳細には、測定コントローラ99は、光源71の発光、及び光センサ72の光検出を実行させる制御信号を、光源71及び光センサ72に送信する。尚、CPU91が公転コントローラ97、自転コントローラ98及び測定コントローラ99を制御する。尚、生成された混合液175の測定方法は、光学測定に限られず、他の方法でもよい。」
<4.検査チップ2の構造>
図2及び図3を参照して、本実施形態に係る検査チップ2の詳細構造を説明する。以下の説明では、図2の上方、下方、右方、左方、紙面手前側、及び紙面奥側を、それぞれ、検査チップ2の上方、下方、右方、左方、前方及び後方とする。図3〜図12は、シート29を取り除いた検査チップ2の正面図を示している。
図2に示すように、検査チップ2は一例として前方から見た場合に正方形状であり、上辺部21、右辺部22、左辺部23及び下辺部24を備え、所定の厚みを有する透明な合成樹脂の板材20を主体とする。板材20の前面は、透明の合成樹脂の薄板から構成されたシート29により封止されている。板材20とシート29との間には、検査チップ2に封入された液体が流動可能な液体流路25が形成されている。液体流路25は、板材20の前面側に所定深さにより形成された凹部であり、板材20の厚み方向である前後方向と直交する方向に延びる。すなわち、シート29は、板材20に形成された液体流路25の流路形成面を封止する。
液体流路25は、希釈液注入部101、希釈液定量部155、希釈液保持部159、希釈液余剰部157、検体注入部112、検体保持部162、分離部163、第2成分保持部164、第1成分保持部169、第1試薬注入部132、第1試薬保持部133、第1試薬定量部135、第1試薬余剰部137、第2試薬注入部142、第2試薬保持部143、第2試薬定量部145、第2試薬余剰部147、及び測定部150を含む。
図2に示すように、希釈液注入部101は、シート29に形成された図示しない希釈液注入口から希釈液10が注入される部位である。希釈液10は、後述する検体11から分離された第2成分11Bを希釈するために用いられる。希釈液注入部101は、左辺部23と左辺部23から斜め右上方に延設される壁部102との間に形成され、且つ上側に開口する凹部である。また、流路105は、希釈液注入部101の上方に連結した流路であり、壁部102と、上辺部21から下方に延設される壁部103と、壁部103から左斜め下方に延設される壁部104との間に形成されている。また、流路105は、壁部103及び壁部104に沿って下方向に延びる希釈液10の供給流路である。流路105の下端部は、流路が狭く形成された希釈液流入口106に接続する。希釈液流入口106を通過して、流路105から希釈液定量部155に希釈液10が流入する。
希釈液流入口106には、左斜め下に延びる流路156が接続している。流路156は、希釈液定量部155の左下方に設けられた希釈液余剰部157まで延びている。希釈液余剰部157は、希釈液定量部155から溢れ出た希釈液10が貯留される部位であり、流路156の下端部から右方向に延びる凹部である。流路156は、流路の形成方向が変わるように前方からみて屈曲している。これにより、流路156において希釈液10が希釈液定量部155と希釈液余剰部157との間を移動するためには、希釈液10に複数の異なる方向の外力を付与する必要がある。つまり希釈液余剰部157に貯留された希釈液10は、流路156を通過して希釈液定量部155に逆流しにくい。
希釈液定量部155と壁部103との間には、流路158により希釈液定量部155に接続される希釈液保持部159が形成されている。希釈液保持部159は、希釈液定量部155にて定量された希釈液10が流入して保持される部位である。希釈液保持部159は、底面である希釈液保持部底面159B及び側面である希釈液保持部側面159Cを備えている。希釈液保持部底面159Bは、壁部103から斜め左方に延設される壁部159Aの上側の面である。希釈液保持部側面159Cは、壁部103の左側の側面である。希釈液保持部159の下方には、希釈液定量部155にて定量された希釈液10と、後述する定量された血球とが混合される混合部160が形成されている。混合部160の右端部には、希釈液10と混合された血球を取り出す取り出し側壁面170が混合部160の底面160Aから斜め右上方に所定長さに延設されている。混合部160は、取り出し側壁面170の上端部と後述する壁部153との間の流路173を介して、斜め右下方の測定部150に向かう流路171に接続している。
検体注入部112は、シート29に形成された図示しない検体注入口から検体11が注入される部位である。検体注入部112は壁部103と壁部103から斜め右上方に延設される壁部111との間に形成され、且つ上側に開口する凹部である。本実施形態の検体11は、例えば血液、骨髄、尿、膣組織、上皮組織、腫瘍、精液、唾液または食料品などである。一例として、検体11が血液である場合には、第1成分が血漿であり、第2成分が血球である。また、流路115は、検体注入部112の上方に連結した流路であり、壁部111と、上辺部21から下方に延設される壁部114と、壁部114から左斜め下方に延設される壁部116との間に形成されている。また、流路115は、壁部111、壁部114、及び壁部116に沿って下方向に延びる検体11の供給流路である。流路115の下端部は、検体流入口117に接続する。検体流入口117を通過して、流路115から検体保持部162に検体11が流入する。検体流入口117の開口幅は、流路115の幅よりも狭く、且つ、検体保持部162の開口幅よりも狭くなっている。
検体保持部162は、検体注入部112に注入された検体11が、流路115を経由して流入して保持される部位である。検体保持部162は壁部103と壁部103の下端部から斜め右上方に延設される壁部165との間に形成され、且つ上側に開口する凹部である。検体保持部162の右側には、分離部163が形成されている。検体保持部162の上部は検体流入口162Aを介して分離部163に接続している。
分離部163は、検体保持部162に保持された検体11が流入して保持される部位である。以下、図2及び図3を参照して、分離部163の構造の詳細を説明する。分離部163は、壁部116、壁部165、壁部167、及び壁面166の間に形成されている。壁部167は壁部114の下端部から斜め左下方に延設される壁部である。また、壁面166は、壁部114において壁部116が接続される部位から右斜め下方に延設される壁面である。分離部163は左斜め下方に開口する凹部である。
図3に示すように、分離部163においては、壁面166の下端部166Aと壁部167の上側の壁面167Bの上端部167Cとの間に、検体から分離された第2成分を保持する凹部である第2成分保持部164が形成されている。第2成分保持部164は、壁面167Bの延長面Tと、第2成分保持部164の底面を成す壁面164Aと壁面166とを備える凹部から形成される。すなわち、第2成分保持部164は、三角柱状の凹部となっている。検体11が第1成分と第1成分より比重が重い第2成分の混合物である場合には、分離部163に検体11が保持された状態において、遠心力が図3に示す矢印F方向に付加されると、第2成分保持部164には、第2成分が遠心部分離されて保持される。検体11が血液である場合には、第1成分が血漿であり、第2成分が血球である。第2成分保持部164では、分離部163の壁面167Bの延長面Tと壁面164Aと壁面166とに囲まれた三角柱状の凹部の体積が第2成分の定量量である。後述するが、この定量量は測定部150における測定に必要な量である。
分離部163の下方には、分離部163にて分離された第1成分が流入して保持される第1成分保持部169が設けられている。第1成分保持部169は、壁部167の下面と、壁部152と、壁部153と、壁部168との間に形成される。壁部152は壁部167の下面から下方に延設された壁部である。壁部153は壁部152の下端部から左方向に延設された壁部である。壁部168は壁部153の左先端部から上方へ所定長さ延設された壁部である。第1成分保持部169は、左方向に開口した凹部である。すなわち、第1成分保持部169は、壁面167Bに交差する方向に開口する。より詳細には、第2成分保持部164側の第1成分保持部169の開口端部167Aは、壁面167Bに平行な方向において、第1成分保持部169の第2成分保持部164と反対側の開口端部168Aよりも第2成分保持部164側にある。左右方向において、第2成分保持部164と反対側の第1成分保持部169の開口端部168Aは、第2成分保持部164の壁面164Aに平行な方向において、第1成分保持部169の第2成分保持部164側の開口端部167Aよりも第2成分保持部164側にある。
また、図3に示すように、壁部167の壁面167Bと、第2成分保持部164の壁面164Aとのなす角度の内、分離部163の外側における角度θ0は90度以上、180度未満に形成されている。角度θ0が90度以上であるのは、第2成分保持部164に貯溜した第2成分を流出させるには、角度θ0が90度以上であることが必要であり、角度θ0が90度より小さいと、第2成分保持部164に第2成分が残るからである。また、角度θ0が180度未満であるのは、角度θ0が180度以上になると、凹部が形成できないからである。
また、図3に示すように、矢印F方向に遠心力が作用すると、第2成分保持部164に第2成分が分離されて集まり保持される。ここで、検査チップ2に作用する遠心力の方向Fと平行な方向の仮想線H1が希釈液保持部底面159Bとなす角度の内、鋭角である角度を第1角度θ1とする。第1角度θ1は、検査チップ2の下辺部24と平行な仮想線H1と希釈液保持部底面159Bのなす角の内の内、鋭角である角度でもある。また、検査チップ2に作用する遠心力の方向Fと平行な方向の仮想線H2が第2成分保持部164の壁面164Aとなす角度の内、鋭角である角度を第2角度θ2とする。第2角度θ2は、検査チップ2の下辺部24と平行な仮想線H2と第2成分保持部164の壁面164Aとなす角度の内、鋭角である角度でもある。この場合に、第1角度θ1が第2角度θ2より大きくなるように検査チップ2が形成されている。この構成により、図8に示すように、希釈液保持部159から希釈液を混合部160に流出させる角度に検査チップ2を自転させても第2成分保持部164には第2成分が保持されたままになる。
また、第1角度θ1は、検査チップに作用する遠心力の方向Fと平行な方向の仮想線H3が分離部163の壁面167Bとなす角度の内、鋭角である第3角度θ3より小さい。
第3角度θ3は、検査チップ2の下辺部24と平行な仮想線H3と分離部163の壁面167Bとなす角度の内、鋭角である角度でもある。この構成により、図8に示すように、第1成分を第1成分保持部169に流入させる角度に検査チップ2を自転させても第1角度θ1が第3角度θ3より小さいので、希釈液保持部底面159Bより先に、第2成分保持部164の壁部167が遠心力の作用方向と直交する方向になる。従って、希釈液保持部底面159B保持された希釈液10よりも先に、第2成分保持部164から第1成分を先に流出させることができる。第2成分に第1成分が混ざることを防止して第2成分の分離を良好に行うことができる。尚、図2に示すように、検査チップ2の下辺部24は、本実施の形態では、左右方向に水平であるが、左右方向に対して所定角度斜め上方向又は斜め下方向に傾斜していてもよい。この場合でも、第1角度θ1が、第2角度θ2より大きく、第3角度θ3より小さい関係は保たれる。
また、検査チップに作用する遠心力の方向Fと平行な方向の仮想線H4が取り出し側壁面170となす角度の内、測定部150側の第4角度θ4は、第3角度θ3より大きくなるように、取り出し側壁面170が形成されている。第4角度θ4は、検査チップ2の下辺部24と平行な仮想線H4と取り出し側壁面170とのなす角度の内、測定部150側の角度でもある。この構成により、定量後の第2成分を混合部160に移動させる場合に第2成分を混合部160から溢れさせず、混合部160において第2成分と希釈液とを混合することができる。尚、検査チップ2の下辺部24は、左右方向に対して所定角度斜め上方向又は斜め下方向に傾斜していてもよい。この場合でも、第4角度θ4は、第3角度θ3より大きい関係は保たれる。
次に、図3を参照して、分離部163の壁面167Bを基準とした場合の希釈液保持部底面159B、第2成分保持部164の壁面164A、及び、混合部160の取り出し側壁面170の角度の関係を説明する。壁面167Bの延設方向と平行な仮想線K1と希釈液保持部底面159Bとのなす角を第5角度θ5とする。壁面167Bの延設方向と壁面164Aとのなす角を第6角度θ6とする。この場合には、第6角度θ6が第5角度θ5より大きくなっている。この構成により、図8に示すように、希釈液保持部159から希釈液を混合部160に流出させる角度に検査チップ2を自転させても第2成分保持部164には第2成分が保持されたままになる。また、壁面167Bの延設方向と平行な仮想線K2と取り出し側壁面170とのなす角を第7角度θ7とすると、第7角度θ7は0度より大きくなる。この構成により、定量後の第2成分を混合部160に移動させる場合に第2成分を混合部160から溢れさせず、混合部160において第2成分と希釈液とを混合することができる。
次に、図2を参照して、第1試薬注入部132の構造を説明する。第1試薬注入部132はシート29に形成された図示しない第1試薬注入口から第1試薬13が注入される部位である。第1試薬注入部132は、分離部163の下方右側に形成され、壁部152と、壁部152から斜め右上方に延設される壁部130と、壁部130の先端部から斜め右上方に延設される壁部131との間に形成され、且つ上側に開口する凹部である。第1試薬保持部133は、第1試薬注入部132に連結し、壁部131と壁部114の右下端部から下方に延設される壁部151との間に形成される。第1試薬保持部133の下方には、第1試薬13が所定量定量される第1試薬定量部135に第1試薬13を流入させる第1試薬流入口134が形成されている。第1試薬流入口134には、流路136が接続している。流路136は、第1試薬定量部135の左下方に設けられた第1試薬余剰部137まで延びている。また、第1試薬流入口134と第1試薬定量部135とが連通する部位から、流路138が右斜め上方向に所定長さ延び、幅広の流路154に接続している。
第2試薬注入部142はシート29に形成された図示しない第2試薬注入口から第2試薬14が注入される部位である。第2試薬注入部142は、壁部114と壁部114から斜め右上方に延設される壁部141との間に形成され、且つ上側に開口する凹部である。第2試薬保持部143は、第2試薬注入部142に連結し、壁部141と右辺部22との間に形成される。第2試薬保持部143の下方には、第2試薬14が所定量定量される第2試薬定量部145に第2試薬14を流入させる第2試薬流入口144が形成されている。第2試薬流入口144には、流路146が接続している。流路146は、第2試薬定量部145の左下方に設けられた第2試薬余剰部147まで延びている。また、第2試薬流入口144と第2試薬定量部145とが連通する部位から、流路139が右斜め上方向に所定長さ延び、幅広の流路154に接続している。幅広の流路154の下方には、測定部150が設けられている。
図2に示すように、希釈液注入部101、検体注入部112、第1試薬注入部132、及び第2試薬注入部142は、検査チップ2の上側の壁面である上辺部21に沿って、板材20の前面に左右方向に並んで形成されている。
測定部150は、検査チップ2の右下部に設けられた上側に開口する矩形状の凹部である。測定部150では、流路171から流入する希釈液10で希釈された検体11の第2成分と、流路154から流入する第1試薬13及び第2試薬14とが混合され、図11に示す混合液175が生成される。生成された混合液175は、測定部150を通る測定光により光学測定される。
上記の検査チップ2では、図2に示すように、希釈液保持部159の開口方向は、第2成分保持部164の開口方向と同方向である左方向になっている。このようにすることにより、遠心力により、希釈液保持部159に希釈液10を保持すると共に第2成分保持部164に第2成分11Bを保持することができる。
尚、検体11を検体注入部112に注入するためには、例えば、図示しない器具に収容された検体11が、ユーザの操作により図示しない検体注入口から注入されればよい。すなわち、公知の手法を用いて、検体注入口を介して検体11が検体注入部112に注入されればよい。希釈液10、第1試薬13及び第2試薬14の注入も同様の方法を用いればよい。図2は、検体11、希釈液10、第1試薬13及び第2試薬14を注入した状態を示している。
<4.検査方法の一例>
図2〜図12を参照して、検査装置1及び検査チップ2を用いた検査方法について説明する。尚、検査チップ2の自転、公転、及び回転数の制御は、それぞれ、所定の基準時間が経過したか否かで制御される。基準時間の情報は制御装置90のHDD95に予め記憶されている。検査チップ2が支軸46に取り付けられて、制御装置90に操作部94から処理開始のコマンドが入力されると、以下の測定動作が実行される。なお、検査装置1は二つの検査チップ2を同時に検査可能であるが、以下では説明の便宜のため、一つの検査チップ2を検査する手順を説明する。以下の説明では、図2に示す検査チップ2の定常状態を自転角度0度とし、定常状態から90度反時計回りに回転した状態を「自転角度90度」と言う。また、検査チップ2には、検体11、希釈液10、第1試薬13及び第2試薬14が注入された状態になっている。
〈液体移動ステップ1〉
まず、主軸モータ35が制御装置90のCPU91の指示に基づき、ターンテーブル33の駆動を開始する。この結果、図4に示すように、自転角度が0度の検査チップ2が公転する。主軸モータ35は、CPU91の指示に基づき、ターンテーブル33の回転速度を上げる。一例として、回転速度が3000rpmに達すると、主軸モータ35はこの回転速度を保持する。尚、ターンテーブル33の回転速度は、3000rpmに限られず、他の回転速度でもよい。この状態において、図4に示すように、左辺部23から右辺部22に向けて、検査チップ2に遠心力Fが作用する。遠心力Fの作用により検体11は検体注入部112から流路115に移動する。同様に、希釈液10は希釈液注入部101から流路105に移動する。第1試薬13は第1試薬注入部132から第1試薬保持部133に移動する。第2試薬14は第2試薬注入部142から第2試薬保持部143に移動する。この状態での公転時間は、検体11、希釈液10、第1試薬13、及び第2試薬14が、上述した移動を行うのに十分な時間としてHDD95に予め記憶されている。
〈液体移動ステップ2〉
次に、CPU91の指示に基づくステッピングモータ51の駆動制御により、図5に示すように、高速駆動により公転中の検査チップ2が前方からみて反時計回りに90度自転される。これにより、検査チップ2の自転角度が90度に変化する。この結果、上辺部21と遠心力の方向との成す角度が90度になるように検査チップ2に遠心力Fが作用する。遠心力Fの作用により検体11は流路115から検体流入口117を通過して検体保持部162に注入される。同様に、希釈液10は流路105から希釈液流入口106を介して希釈液定量部155に注入されて定量される。希釈液定量部155から溢れた希釈液10は希釈液余剰部157に溜まる。第1試薬13は第1試薬保持部133から第1試薬流入口134を介して第1試薬定量部135に注入されて定量される。第1試薬定量部135から溢れた第1試薬13は第1試薬余剰部137に溜まる。第2試薬14は第2試薬保持部143から第2試薬流入口144を介して第2試薬定量部145に注入されて定量される。第2試薬定量部145から溢れた第2試薬14は第2試薬余剰部147に溜まる。
〈第1ステップ〉
次に、CPU91の指示に基づくステッピングモータ51の駆動制御により、図6に示すように、公転中の検査チップ2が前方からみて時計回りに90度自転される。これにより検査チップ2の自転角度が0度に戻り、左辺部23から右辺部22に向けて検査チップ2に遠心力Fが作用する。遠心力Fの作用により、検体11は検体保持部162から検体流入口117を介して分離部163に流入する。同様に、希釈液10は希釈液定量部155から流路158を介して希釈液保持部159に移動する。第1試薬定量部135にて定量された第1試薬13は流路154に移動する。第2試薬定量部145にて定量された第2試薬14は流路154に移動する。また、希釈液余剰部157に溜まった希釈液10は、希釈液余剰部157の右側に移動する。第1試薬余剰部137に溜まった第1試薬13は第1試薬余剰部137の右側に移動する。第2試薬余剰部147に溜まった第2試薬14は第2試薬余剰部147の右側に移動する。一方、希釈液余剰部157、第1試薬余剰部137及び第2試薬余剰部147は各々右方向に閉じる凹部であるため、溜まった液体が漏れることがない。
〈第2ステップ〉
この状態にて公転が所定時間行われることにより、図7に示すように、分離部163に注入された検体11は第1成分11Aと第1成分より比重の大きい第2成分11Bに遠心分離される。第2成分11Bは、第1成分11Aより比重が大きいので分離部163の右端部に形成されている第2成分保持部164に溜まる。例えば、検体11が血液の場合には、第1成分11Aである血漿と第2成分11Bである血球とに分離され、血球が第2成分保持部164に溜まる。尚、第2成分保持部164から溢れた第2成分11Bは、分離部163において第1成分11Aの下層である右側に溜まる。この状態での公転時間は、検体11、希釈液10、第1試薬13、及び第2試薬14が、上述した移動及び検体の遠心分離を行うのに十分な時間が制御装置90のHDD95に予め記憶されている。
〈第3ステップ〉
次に、制御装置90の指示に基づくステッピングモータ51の駆動制御により、図8に示すように、公転中の検査チップ2が前方からみて反時計回りに54度自転される。これにより検査チップ2の自転角度が54度になる。図8に示す矢印方向Fに向けて検査チップ2に遠心力Fが作用する。遠心力Fの作用により、分離部163にて分離された第1成分11A及び第2成分保持部164から溢れた第2成分11Bは、壁面167Bを流れる。
第1成分保持部169の開口端部167A及び開口端部168Aの間から遠心力Fの作用方向に沿って第1成分保持部169に流入し保持される。また、第2成分保持部164に留まった第2成分11Bの体積は、図3に示す、壁面167Bの延長面Tと、第2成分保持部164の壁面164Aと、壁面166とに囲まれた三角柱状の体積となる。この体積が第2成分保持部164にて定量された第2成分11Bの定量量となる。また、希釈液保持部159に保持された希釈液10は、混合部160に流入し保持される。さらに、第1試薬13及び第2試薬14は流路154から測定部150に移動する。上述した処理を行うのに十分な時間が制御装置90のHDD95に予め記憶されている。ここで、図3に示す第1角度θ1は、第2角度θ2より大きくなるように検査チップ2が形成されているので、希釈液保持部159から希釈液を混合部160に流出させる角度に検査チップ2を自転させても第2成分保持部164には第2成分が保持されたままにできる。また、第1角度θ1は、第3角度θ3より小さくなるように、検査チップ2が形成されている。このようにすると、第1成分を第1成分保持部169に流入させる角度に検査チップ2を自転させても第2成分保持部164には第2成分が保持されたままにできる。従って、第1成分を先に流出させることができ、第2成分の分離を良好に行うことができる。
〈第4ステップ〉
次に、制御装置90の指示に基づくステッピングモータ51の駆動制御により、図9に示すように、公転中の検査チップ2が前方からみて反時計回りに33度自転される。これにより検査チップ2の自転角度が87度になる。図9に示す矢印方向Fに向けて検査チップ2に遠心力Fが作用する。遠心力Fの作用により、第2成分保持部164に保持されていた第2成分11Bが壁面167Bを流れて、混合部160に注入される。このとき、遠心力Fの作用方向は、左方向であるので、第2成分11Bは、第1成分保持部169に流れ込まずに混合部160に注入される。また、希釈液保持部159に保持されていた希釈液10も混合部160に注入される。従って、混合部160にて第2成分11Bは希釈液10と混合して希釈される。
次に、制御装置90の指示に基づくステッピングモータ51の駆動制御により、図10に示すように、公転中の検査チップ2が前方からみて反時計回りに更に36度自転される。これにより検査チップ2の自転角度が90度になる。この結果、上辺部21と遠心力の方向との成す角度が90度になるように検査チップ2に遠心力Fが作用する。遠心力Fの作用により、希釈液10と混ざった第2成分11Bは混合部160に留まる。第1試薬13及び第2試薬14は測定部150に留まる。ここで、図3に示すように、第4角度θ4は、第3角度θ3より大きくなるように、検査チップ2が形成されている。このようにすると、定量後の第2成分を混合部160に移動させる場合に第2成分を混合部160から溢れさせず、混合部160において第2成分と希釈液とを混合することができる。また、希釈液保持部159の開口方向は、第2成分保持部164の開口方向と同方向になっている。このようにすることにより、遠心力により、希釈液保持部159に希釈液10を保持すると共に第2成分保持部164に第2成分11Bを保持することができる。
〈混合液生成ステップ〉
次に、制御装置90の指示に基づくステッピングモータ51の駆動制御により、図11に示すように、公転中の検査チップ2が前方からみて時計回りに90度自転される。これにより検査チップ2の自転角度が0度に戻り、左辺部23から右辺部22に向けて検査チップ2に遠心力Fが作用する。遠心力Fの作用により、混合部160にて希釈液10により希釈された第2成分11Bは、取り出し側壁面170を乗り越えて流路171を通過して流路154に移動し、第1試薬13及び第2試薬14と混ざる。希釈液余剰部157に溜まった希釈液10は、希釈液余剰部157の右側に移動する。第1試薬余剰部137に溜まった第1試薬13は第1試薬余剰部137の右側に移動する。第2試薬余剰部147に溜まった第2試薬14は第2試薬余剰部147の右側に移動する。上述した移動を行うのに十分な時間が制御装置90のHDD95に予め記憶されている。
〈停止ステップ〉
次に、制御装置90の指示に基づく主軸モータ35の駆動制御により、主軸モータ35が減速駆動され、主軸モータ35が停止する。故に、図11に示すように、測定部150に希釈液10により希釈された第2成分11B、第1試薬13及び第2試薬14の混合液175が溜まる。
〈測定ステップ〉
上記遠心処理の実行後、主軸モータ35の駆動制御により、検査チップ2を測定位置の角度まで回転移動させる。光源71が発光すると、測定光が測定部150に貯溜された混合液175を通る。光センサ72が受光した測定光の変化量に基づいて、混合液175の光学測定が行われ、測定データが取得される。次いで、取得された測定データに基づいて、検体11の測定結果が算出される。測定結果に基づく検体11の検査結果が表示される。その後、メイン処理が終了される。
<5.本実施形態の主たる作用・効果>
以上説明したように、本実施形態の検査チップ2及び検査装置1によれば、分離部163において第2成分保持部164の方向に遠心力を作用させると、検体11は第1成分11Aと第2成分11Bとに分離される。分離部163の壁面167Bと、第2成分保持部164の壁面164Aとのなす角度の内、分離部163の外側における角度θ0は90度以上、180度未満である。これにより、検査チップを自転させて遠心力の作用方向を変化させると、分離部163の壁面167Bが、この壁面167Bに接続された第2成分保持部164の壁面164Aよりも先に遠心力の作用方向と直交する。従って、第1成分11Aと第2成分保持部164から溢れた第2成分11Bとが分離部163から先に流出する。次いで、流出した第1成分11Aと第2成分保持部164から溢れた第2成分11Bは、第1成分保持部169が、分離部163の一壁面と交差する方向に開口しているので、遠心力の作用により第1成分保持部169に流入する。第2成分保持部164には第2成分11Bが残る。従って、第1成分11Aが先に流出しているので、第2成分保持部164に残った第2成分11Bに第1成分11Aが混ざることを低減できる。よって、検体11から分離された第2成分11Bの検査精度を高めることができる。検査チップ2をさらに自転させると、第1成分保持部169において第2成分保持部164と反対側の開口端部168Aが、第2成分保持部164の壁面164Aに平行な方向において、第1成分保持部169の第2成分保持部164側の開口端部167Aよりも第2成分保持部164側にあるので、第2成分保持部164に残った第2成分11Bが第1成分保持部169に流入することが低減される。よって、検体11から分離された第2成分11Bの検査精度を高めることができる。
また、分離部163の壁面167Bの延長線Tと第2成分保持部164のへ壁面164A及び壁面166により形成される凹部の体積が第2成分11Bの定量量であるので、第2成分保持部164から流出する第2成分11Bの液量が、測定に必要な第2成分11Bの定量量となる。この結果、第2成分保持部164から流出する第2成分11Bの液量を定量する構成を別途検査チップ2に設ける必要がなくなり、検査チップ2の大型化、または検査工程の短縮化を図ることができる。
第1角度θ1は、第2角度θ2より大きくなるように検査チップ2が形成されているので、希釈液保持部159から希釈液を混合部160に流出させる角度に検査チップ2を自転させても第2成分保持部164には第2成分が保持されたままにできる。また、第1角度θ1は、第3角度θ3より小さくなるように、検査チップ2が形成されている。このようにすると、第1成分を第1成分保持部169に流入させる角度に検査チップ2を自転させても第2成分保持部164には第2成分が保持されたままにできる。従って、第1成分を先に流出させることができ、第2成分の分離を良好に行うことができる。
また、第4角度θ4は、第3角度θ3より大きくなるように、検査チップ2が形成されている。このようにすると、定量後の第2成分を混合部160に移動させる場合に第2成分を混合部160から溢れさせず、混合部160において第2成分と希釈液とを混合することができる。また、希釈液保持部159の開口方向は、第2成分保持部164の開口方向と同方向になっている。このようにすることにより、遠心力により、希釈液保持部159に希釈液10を保持すると共に第2成分保持部164に第2成分11Bを保持することができる。従って、希釈液10が第2成分11Bよりも先に流出することを防止できる。
<6.その他>
上記実施形態において、開口端部168Aが本発明の「第1成分保持部において第2成分保持部と反対側の開口端部」の一例である。また、開口端部167Aが本発明の「第1成分保持部の第2成分保持部側の開口端部」の一例である。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、各種の変形が可能である。上記実施形態の検査装置1及び検査チップ2は単なる例示であり、各々の構造、形状及びや処理などを変更可能である。上記実施形態では、CPU91によって検査チップ2の公転の制御処理及び自転の制御処理を行ったが、処理を行う形態はこれらに限られない。各処理を複数のCPUで分担して処理しても良い。また、各処理をASICで処理しても良い。さらに、各処理を一または複数のCPUと一または複数のASICとの組み合わせで実行してもよい。また、上記の実施の形態の検査チップの自転角度は単なる一例であり、処理工程に応じて適宜決定すればよい。例えば、第2成分11Bの定量時の検査チップ2の自転角度は54度に限られない。また、上記実施の形態では、第1ステップと第2ステップとを別々に行っているが、第1ステップと第2ステップとを一度に行って、検体11の分離部163への注入と遠心分離を一度に行ってもよい。また、検査チップ2の下辺部24の下辺部24は、必ずしも直線状でなくてもよい。例えば、凹凸等があっても所定方向へ延設されていればよい。
1 検査装置
2 検査チップ
3 検査システム
10 希釈液
11 検体
13 第一試薬
14 第二試薬
101 希釈液注入部
112 検体注入部
150 測定部
159 希釈液保持部
159B 希釈液保持部底面
159C 希釈液保持部側面
160 混合部
162 検体保持部
163 分離部
164 第2成分保持部
169 第1成分保持部
167A 開口端部
168A 開口端部
169 第1成分保持部
170 取り出し側壁面
175 混合液
θ1 第1角度
θ2 第2角度
θ3 第3角度
θ4 第4角度

Claims (4)

  1. 検体中に含まれる第1成分と前記第1成分より比重が大きい第2成分とが分離される分離部と、
    前記分離部の一壁面に直接接続されている第2成分保持部とを備えた検査チップであって
    前記分離部の一壁面と前記一壁面に接続された前記第2成分保持部の一壁面とのなす角度の内、前記分離部の外側における角度は90度以上、180度未満であり、
    前記分離部の一壁面において前記第2成分保持部とは反対側に連結し、前記分離部の一壁面と交差する方向に開口する第1成分保持部を備え、
    前記第1成分保持部において前記第2成分保持部と反対側の開口端部は、前記第2成分保持部の一壁面に平行な方向において、前記第1成分保持部の前記第2成分保持部側の開口端部よりも第2成分保持部側にあり、
    さらに、前記第2成分を希釈する希釈液が注入される希釈液注入部と、
    前記希釈液注入部から流出する希釈液を保持する希釈液保持部を備え、
    前記希釈液保持部は、底面である希釈液保持部底面及び側面である希釈液保持部側面を少なくとも備え、
    前記検査チップの下辺部の延設方向と平行な方向と前記希釈液保持部底面のなす角度の内、鋭角である第1角度は、
    前記平行な方向と前記第2成分保持部の一壁面がなす角度の内、鋭角である第2角度より大きく、
    前記平行な方向と前記分離部の一壁面がなす角度の内、鋭角である第3角度より小さいことを特徴とする検査チップ。
  2. 前記分離部の一壁面の延長面と前記第2成分保持部を構成する凹部とに囲まれる体積が前記第2成分の定量量であることを特徴とする請求項1に記載の検査チップ。
  3. 前記第2成分と前記希釈液が混合される混合部と、
    前記混合部で前記希釈液が混合された前記第2成分が注入される測定部とを備え、
    前記混合部は、前記測定部側に前記希釈液と混合された前記第2成分を取り出す取り出し側壁面を備え、
    前記検査チップの下辺部の延設方向と平行な方向と前記取り出し側壁面とのなす角度の内、前記測定部側の第4角度は、前記第3角度より大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載の検査チップ。
  4. 前記希釈液保持部の開口方向は、前記第2成分保持部の開口方向と同方向であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の検査チップ。
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