JP2016070849A - 検査チップ及び検査システム - Google Patents

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Abstract

【課題】定量部内に空気が残留する可能性を低減して検体又は試薬の定量精度を向上する検査チップ及び検査システムを提供すること。
【解決手段】
第一保持部132の第一仮想面132Kが連通路154の連通方向Rと平行な方向に対して成す鋭角が角度αである。また、第一壁面132Aが連通方向Rと平行な方向に対して成す鋭角が角度βである。第一保持部132において、角度αは角度βより大きい。第二保持部133の第一仮想面133Kが連通方向Rと平行な方向に対して成す鋭角が角度αである。また、第一壁面133Aが連通方向Rと平行な方向に対して成す鋭角が角度βである。第二保持部133において、角度αは角度βより大きい。第二保持部133において、角度αが角度βより大きいので試薬注入部131への試薬の予め定められた注入量V0の試薬18は、第一保持部132及び第二保持部133で各々保持される。
【選択図】図4

Description

本発明は、定量部において検体又は試薬が定量される検査チップ及び検査チップに遠心力を印加して検査チップに配置された検体の検査を行う検査システムに関する。
従来、検体又は試薬が定量される定量部を備え、注入された検体又は試薬が遠心力により定量部まで移動されて定量される検査チップが知られている。例えば、特許文献1に記載の検査チップは、検体保持部、検体供給部及び検体定量部を備えている。検体保持部に検体が注入される。検体供給部は検体保持部から流入する検体を、検体案内部を介して検体定量部に供給する。検体定量部において検体は定量される。検体定量部は、定量された検体が流入する第一通路に接続する第一端部、及び検体余剰部に余剰な検体を案内する第二通路に接続する第二端部を備える。検体案内部は検体供給部から検体を検体保持部に案内する流路であり、流路の出口は検体定量部の第一端部及び第二端部の間に対向している。
特開2014−81247号公報
特許文献1に記載の検査チップでは、検体案内部から注入する検体が検体定量部の第二端部に当たる可能性がある。この場合、検体定量部内の空気が、第二端部に当接して定量部へ流入する検体により定量部外へ抜けず、定量部内に残留する。この結果、定量精度が低下する恐れがあった。
本発明の目的は、定量部内に空気が残留する可能性を低減して検体又は試薬の定量精度を向上する検査チップ及び検査システムを提供することである。
本発明の第一態様である検査チップは、一方向に開口した凹部から形成され検体又は試薬が注入される注入部と、凹部から形成され前記検体又は前記試薬が定量される定量部と、前記注入部と前記定量部の間の流路において、前記検体又は前記試薬を保持する保持部と、前記保持部において前記定量部の方向に延設された壁面である第一壁面と、前記定量部の一端部である第一端部に接続され、前記定量部において定量された前記検体又は前記試薬が移動する第一案内部と、前記定量部の他端部である第二端部に接続され、前記定量部から溢れた前記検体又は前記試薬が移動する第二案内部とを備え、前記注入部への前記試薬の予め定められた注入量、又は検体を分離する分離部にて分離され、前記分離部から流出する分離後の前記検体の流出量が、前記注入部と前記保持部の連通方向と平行な方向に対して、前記第一壁面の先端部から角度α方向に延設された第一仮想面と、前記保持部を形成する壁面とにより形成される体積が等しい場合に、前記角度αは、前記第一壁面が前記連通方向と平行な方向に対して成す角度βより大きく、かつ、前記保持部から前記試薬又は前記検体が前記定量部に向けて流出する前記保持部の第一先端部を通り前記第一仮想面に垂直な直線である第一仮想線が、前記第二端部より前記第一端部側を通過することを特徴とする。
角度αが角度βより大きいので注入部へ注入される予め定められた注入量の試薬、分離部から流出する分離後の検体は、保持部で保持される。この予め定められた注入量の試薬、または分離部から流出する分離後の検体が定量部へ流入する時、試薬又は検体は第一仮想線に沿って流れる。第一仮想線が第二端部より第一端部側を通過するので、予め定められた注入量の試薬は、第二端部に当たることなく、定量部へ流入する。よって、予め定められた注入量の試薬が流れる時に、第二端部と定量部へ流入する検体との間に隙間ができる。この隙間を介して定量部内の空気が定量部外へ抜けることが出来る。分離部から流出する分離後の検体においても同様である。よって、定量部の第二端部側に空気が残留する可能性を低減して検体又は試薬の定量精度を向上することができる。
前記定量部として、前記試薬を定量する試薬定量部と、前記検体を定量する検体定量部とを備え、前記試薬定量部の定量量は、前記検体定量部の定量量よりも多く、前記定量部が前記試薬定量部の場合には、前記第一仮想線が前記試薬定量部内を通過し、前記定量部が前記検体定量部の場合には、前記第一仮想線が前記第一端部よりも第一案内部側を通過し、且つ、前記第一案内部を形成し前記第一端部と接続する第一案内壁面と前記第一仮想線とが成す角の内、前記第一案内部内の角度が90度未満であってもよい。
この場合には、試薬定量部の定量量は検体定量部の定量量よりも多い。すなわち試薬定量部への注入量が検体定量部への注入量よりも多く、試薬定量部へ注入される試薬が第一案内部の壁面に当たって下流に流れるのを防ぐ必要がある。上記検査チップでは、試薬定量部に試薬が流入する場合には、試薬の流れが第一仮想線に沿う。第一仮想線は試薬定量部内を通過するので、試薬の流れが第二端部及び第一案内部の壁面に当たることなく定量部内に流入する。また、検体定量部は定量量が試薬定量部の定量量より少ないので、検体の跳ね返りで定量部外に流れ、定量不足を招く可能性がある。上記検査チップでは、検体定量部に検体が流入する場合には、検体の流れが第一仮想線に沿う。第一仮想線が検体定量部の第一端部よりも第一案内部側を通過し、第一案内壁面と前記第一仮想線とが成す角度が90度未満であるので、検体は第二端部に当たること無く、第一端部側から検体定量部内に流入する。従って、定量部内に試薬又は検体が満たされてから、第二端部より試薬又は検体が溢れ出る。よって、定量部の第二端部側に空気が残留する可能性を低減して検体又は試薬の定量精度を向上することができる。
前記定量部が前記検体を定量する検体定量部の場合には、前記第一壁面が前記連通方向と平行な方向に対して成す角度β1は、前記定量部が前記試薬を定量する試薬定量部の場合に前記第一壁面が前記連通方向と平行な方向に対して成す角度β2より小さく、前記分離部から流出する分離後の前記検体の前記流出量に対する前記検体定量部の定量量の比は、前記注入部への前記試薬の予め定められた前記注入量に対する前記試薬定量部の前記定量量の比よりも大きくてもよい。
検体定量部における検体の定量精度を向上するためには、より確実に検体定量部に検体が注入される必要がある。このためには、検体定量部における検体の定量量よりも余剰な検体も検体定量部に注入後に、検査チップに印加される遠心力の方向が、第一壁面に垂直になる必要がある。即ち、検体定量部の第二端部から余剰な検体が流出するタイミングと、遠心力の方向が第一壁面に垂直になり、検体定量部への検体の注入が終わるタイミングとの間が長くなる必要がある。このためには、保持部に保持された検体が流れ出す角度αと、第一壁面が連通方向と平行な方向に対して成す角度β1との差を大きくする必要がある。角度αを大きくするためには、検体定量部へ注入される量を大きくする必要がある。検体定量部へ注入される量は分離部にて分離された後の検体の量である。従って、検体定量部へ注入される量を大きくすると分離された後の検体の量を多くする必要があり分離前の検体の量を多くする必要があり、検査チップの外形が大きくなる。これに対して、角度αを大きくせずに、第一壁面角度β1を小さくする場合には、上記の問題点が無く、検体定量部の第二端部から余剰な検体が流出するタイミングと、遠心力の方向が第一壁面に垂直になるタイミングとの間を広くできる。また、分離部から流出する分離後の検体の流出量に対する検体定量部の定量量の比が、注入部への試薬の予め定められた注入量に対する試薬定量部の定量量の比よりも大きくなれば、分離後の検体が第二案内部に流入して無駄になる量が減るので、検体が注入される注入部の大きさを大きくする必要が無くなる。従って、検査チップの外形を大きくする必要性を低減できる。
本発明の第二の態様の検査システムは、上記何れかに記載の検査チップと、前記検査チップを保持して公転させて遠心力を前記検査チップに印加させ、かつ前記検査チップを自転させて前記遠心力の印加方向を変える検査装置とを備えた検査システムであって、前記検査チップは、前記定量部が前記検体を定量する検体定量部の場合には、前記保持部から前記検体を前記検体定量部に案内する検体案内部の開口幅が、前記検体定量部の開口幅よりも細く、前記定量部が前記試薬を定量する試薬定量部の場合には、前記保持部から前記試薬を前記試薬定量部に案内する試薬案内部の開口幅が、前記検体案内部の開口幅よりも広く形成され、前記検査装置は、前記検査チップを保持する検査チップ保持部と、前記検査チップ保持部を第一軸を中心に公転させ、前記検査チップに遠心力を印加させる第一回転装置と、前記検査チップ保持部を前記第一軸と交差する第二軸を中心として自転させ、前記検査チップに印加される前記遠心力の方向を変える第二回転装置と、前記第一回転装置及び前記第二回転装置を制御する制御装置とを備え、前記制御装置の記憶装置には、前記検体の粘度μ、前記検体案内部の流路長さL、前記検体案内部の流路断面積S、前記検体定量部へ注入される前記検体の質量m、重力加速度g、前記定量部の前記第二端部に接続され、前記第二案内部を構成する傾斜面が前記連通方向と平行な方向に対して成す鋭角の角度θ、前記定量部の前記第一端部と前記第二端部の開口幅d2、前記定量部の深さw、前記検体の表面張力T、及び、前記検体の液の接触角δが予め記憶され、前記制御装置は、前記検体定量部へ前記検体が注入される場合には、前記第二回転装置を制御して、前記第一仮想面に垂直な方向である第一遠心方向、前記第一壁面に垂直な方向である第二遠心方向、前記定量面に垂直な方向である第三遠心方向の順に、前記遠心力が印加されるように、前記検査チップを第二軸を中心として回転させる角度変更回転を実行し、前記検体定量部へ前記検体の注入に係る注入時間である前記第一遠心方向から前記第二遠心方向に前記遠心力が印加される方向が変化する時間がtの場合には、前記第一遠心方向及び前記第二遠心方向に印加される第一遠心力の大きさは、32×μ×L /(s×t×m×g)より大きくなるように、前記第一回転装置による前記検査チップの公転速度を制御し、その後、前記第三遠心方向に印加される第二遠心力の大きさF1は、(2×(d2+w)×T×cosδ×cosθ/cos(90−θ))+1より大きくなるように、前記第一回転装置による前記検査チップの公転速度を制御することを特徴とする。
この場合には、検体案内部の開口幅は、検体定量部の開口幅よりも細く、試薬案内部の開口幅よりも細い、従って、検体案内部の流路抵抗は、試薬案内部の流路抵抗よりも大きい。そのため検体案内部の流路抵抗により検体が流れにくく、第三遠心方向に第二遠心力が印加される前に検体定量部に検体が満たされず、第二遠心力が印加される場合には検体定量部の定量面に垂直方向に第二遠心力が印加されるため、定量面に検体が直接当たり液面が凹んで定量量が不足する可能性がある。検体定量部へ検体が注入される時には、第一遠心方向に第一遠心力が印加され、その後、第二遠心方向に第一遠心力が印加され、さらに、第三遠心方向に第二遠心力が印加される。従って、流路抵抗が大きい場合でも、第三遠心方向に作用する第二遠心力が印加される前に、検体定量部に検体を満たして、第二端部から第二案内部側に検体の流出の開始をすることができる。従って、検体定量部への検体の流入量の規制を行うために、第一壁部と案内部流路の抵抗の両方で流入液の液幅を制限することができ、第二端部に液が接触し検体定量部の第二端部側に空気が残留する可能性を低減して検体又は試薬の定量精度を向上することができる。さらに、検体定量部は定量量が小さいため定量面断面積が小さく、定量面に垂直に遠心力がかかった場合、定量面にて保持される保持力が弱いので、保持時に第二案内部側へ検体が流出し易い。従って、第二案内部側へ検体が流出することなく定量面にて検体を保持するために定量面断面積に関係する第三遠心力を印加することにより定量面にて検体を保持することができる。
前記記憶装置には、前記定量部の前記第二端部に接続され、前記第二案内部を構成する傾斜面が前記連通方向と平行な方向に対して成す鋭角の角度θ’、前記定量部の前記第一端部と前記第二端部の開口幅d2’、前記定量部の深さw’、前記試薬の表面張力T’、及び、前記試薬の液の接触角δ’が予め記憶され、前記試薬定量部へ前記試薬が注入される場合には、前記制御装置は、前記第一遠心力と異なる第三遠心力を前記第一遠心方向及び前記第二遠心方向に作用させ、前記第三遠心方向に前記三遠心力よりも大きい前記二遠心力を前記検査チップに作用させるように、前記第一回転装置及び前記第二回転装置を制御し、前記第二遠心力は、(2×(d2’+w’)×T’×cosδ’×cosθ’/cos(90−θ’))+1より大きくなるように、前記第一回転装置による前記検査チップの公転速度を制御するようにしてもよい。
上記の場合には、試薬案内部の開口幅が、検体案内部の開口幅よりも広く形成されている。従って、試薬案内部を試薬が通る場合には、検体案内部を検体が通場合のような狭い流路からの流路抵抗に打ち勝つ遠心力を印加させる必要がない。また、第二遠心力は、(2×(d2’+w’)×T’×cosδ’×cosθ’/cos(90−θ’))+1より大きくなるように印加されるため、試薬保持部の第一壁面に試薬を残らさせずに、試薬定量部に試薬を注入できる。
前記第一仮想面と平行な第二仮想面が前記試薬定量部の底部と接する部分から前記第二端部に延びる第二仮想線の長さがLm’であり、前記第一仮想面と平行な第二仮想面が前記検体定量部の底部と接する部分から前記第二検体定量部端部に延びる第二仮想線の長さがLmであり、前記第一遠心方向に前記第一遠心力が印加されるときから前記第二遠心方向に前記第一遠心力が印加されるまでの時間がt1の間に前記検査チップに印加される遠心力がF1の場合には、前記試薬定量部へ前記試薬が注入される場合には、
時間t1が
Figure 2016070849
(式1)
になるようにし、
前記検体定量部へ前記検体が注入される場合には、
時間t1が
Figure 2016070849
(式2)
になるように前記制御装置が前記第一回転装置及び前記第二回転装置を制御するようにしてもよい。
この場合には、試薬案内部の開口面積は、検体案内部の開口面積よりも広く形成されているが、時間t1が(式1)の関係になるようにしているので、試薬定量部への試薬の注入はゆっくり行われる。従って、試薬定量部へ注入される試薬が試薬案内部から一気に流れ込むことが無い。よって、注入される試薬の液幅を細く絞ることができる。さらに、試薬定量部の第二端部に注入される試薬が当たる可能性を低減し、第二端部側に空気が残留する可能性を低減して試薬の定量精度を向上することができる。また、検体案内部の開口面積は、検体定量部の開口面積よりも狭く、試薬案内部の開口面積よりも狭く形成されているが、時間t1が(式2)の関係になるようにしているので、検査チップの自転を早く行って、第三遠心方向に第二遠心力が作用する前に、検体定量部に検体を満たして、第二端部から第二案内部側に検体の流出の開始をすることができる。従って、検体定量部の第二端部側に空気が残留する可能性を低減して検体又は試薬の定量精度を向上することができる。
検査装置1及び制御装置90を含む検査システム3の構成を示す図である。 検査チップ2の正面図である。 検査チップ2の背面図である。 検査チップ2の正面の部分拡大図である。 検査チップ2の正面の部分拡大図である。 遠心処理のフローチャートである。 遠心処理における検査チップ2の状態遷移図である。 図7の続きの検査チップ2の状態遷移図である。 図8の続きの検査チップ2の状態遷移図である。 図9の続きの検査チップ2の状態遷移図である。 検査チップ2の正面の部分拡大図である。 検査チップ2の正面の部分拡大図である。
本発明を具体化した実施形態について、図面を参照して説明する。尚、図1は、検査システム3を構成する検査装置1の平面及び制御装置90の内部の機能ブロックを示している。
<1.検査システム3の概略構造>
図1を参照して、検査システム3の概略構造について説明する。本実施形態の検査システム3は、液体である検体及び試薬を収容可能な検査チップ2と、検査チップ2を用いて検査を行う検査装置1とを含む。検査装置1が検査チップ2から離間した垂直軸線A1を中心として検査チップ2を回転させると、遠心力が検査チップ2に作用する。検査装置1が水平軸線A2を中心に検査チップ2を回転させると、検査チップ2に作用する遠心力の方向である遠心方向が切り替えられる。尚、本実施形態の検査システム3及び検査装置1は、特開2012−78107号公報に記載されているように周知の構造であるので、以下の説明では、検査装置1の構造の概略について説明する。
<2.検査装置1の構造>
図1を参照して、検査装置1の構造について説明する。以下の説明では、図1の上方、下方、右方、左方、紙面手前側、及び紙面奥側を、夫々、検査装置1の前方、後方、右方、左方、上方、及び下方とする。本実施形態では、垂直軸線A1の方向は検査装置1の上下方向であり、水平軸線A2の方向は、検査チップ2が垂直軸線A1を中心として回転される際の速度の方向である。なお、図1は検査装置1の上部筐体30の天板が取り除かれた状態を示す。
図1に示すように、検査装置1は、上部筐体30、下部筐体31、上板32、ターンテーブル33、角度変更機構34、及び制御装置90を備える。ターンテーブル33は、後述する上板32の上側に回転可能に設けられた円盤である。検査チップ2は、ターンテーブル33の上方に保持される。角度変更機構34は、ターンテーブル33に設けられた駆動機構である。この角度変更機構34は、水平軸線A2を中心に検査チップ2を各々回転させる。上部筐体30は、後述する上板32に固定されており、検査チップ2に対して光学測定を行う測定部7が内部に設けられている。制御装置90は、検査装置1の各種処理を制御するコントローラである。
下部筐体31の概略構造を説明する。下部筐体31は、枠部材を組み合わせた箱状のフレーム構造を有する。下部筐体31の上面には、長方形の板材である上板32が設けられている。下部筐体31の内部には、垂直軸線A1を中心にターンテーブル33を回転させる駆動機構が、次のように設けられている。
下部筐体31内の左方寄りに、ターンテーブル33を回転させるための駆動力を供給する主軸モータ35が設置されている。主軸モータ35の軸36は、上方に突出しており、プーリ37が固定されている。下部筐体31の中央部には、下部筐体31の内部から上方に延びる垂直な主軸57が設けられている。主軸57は、上板32を貫通して、下部筐体31の上側に突出している。主軸57の上端部は、ターンテーブル33の中央部に接続されている。
主軸57は、上板32の直下に設けられた図示しない支持部材により、回転自在に保持されている。支持部材の下側では、主軸57にプーリ38が固定されている。プーリ37とプーリ38とに亘って、ベルト39が掛け渡されている。主軸モータ35が軸36を回転させると、プーリ37、ベルト39、及びプーリ38を介して駆動力が主軸57に伝達される。このとき、主軸57の回転に連動して、ターンテーブル33が主軸57を中心に回転する。
下部筐体31内の右方寄りに、下部筐体31の内部において上下方向に延びる図示しないガイドレールが設けられている。図示しないT型プレートは、ガイドレールに沿って下部筐体31内において上下方向に移動可能である。
先述の主軸57は、内部が中空の筒状体である。図示しない内軸は、主軸57の内部において上下方向に移動可能な軸である。内軸の上端部は、主軸57内を貫通してラックギア43に接続されている。T型プレートの左端部には、図示しない軸受が設けられている。軸受の内部では、内軸の下端部が回転自在に保持される。
T型プレートの前方には、T型プレートを上下動させるためのステッピングモータ51が固定されている。ステッピングモータ51の軸58は後方、すなわち図1では下方側に向けて突出している。軸58の先端には、図示しない円盤状のカム板が固定されている。カム板の後側の面には、図示しない円柱状の突起が設けられている。突起の先端部は、図示しない溝部に挿入されている。突起は、溝部内を摺動可能である。ステッピングモータ51が軸58を回転させると、カム板の回転に連動して突起が上下動する。このとき、溝部に挿入されている突起に連動して、T型プレートがガイドレールに沿って上下動する。
角度変更機構34の詳細構造を説明する。角度変更機構34は、ターンテーブル33の上面に固定された一対のL型プレート60を有する。各L型プレート60は、ターンテーブル33の中心近傍に固定された基部から上方に延び、且つ、その上端部がターンテーブル33の径方向外側に向けて延びている。一対のL型プレート60の間には、内軸に固定された図示しないラックギア43が設けられている。ラックギア43は、上下方向に長い金属製の板状部材であり、両端面にギアが各々刻まれている。
各L型プレート60の延設方向の先端側では、ギア45を有する水平な支軸46が回転自在に軸支されている。支軸46は装着用ホルダ61を介して検査チップ2に固定されている。このため、ギア45の回転に連動して検査チップ2も支軸46を中心に回転する。ギア45とラックギア43との間には、L型プレート60により図示略の水平軸線を中心に回転自在に支持されたピニオンギア44が介在している。ピニオンギア44は、ギア45及びラックギア43に夫々噛合している。ラックギア43の上下動に連動して、ピニオンギア44、及びギア45が夫々従動回転し、ひいては検査チップ2が支軸46を中心に回転する。
本実施形態では、主軸モータ35がターンテーブル33を回転駆動するのに伴って、検査チップ2が垂直軸である主軸57を中心に回転して、検査チップ2に遠心力が作用される。検査チップ2の垂直軸線A1を中心とした回転を、公転と呼ぶ。一方、ステッピングモータ51が内軸を上下動させるのに伴って、検査チップ2が水平軸である支軸46を中心に回転して、検査チップ2に作用する遠心力の方向が相対変化する。検査チップ2の水平軸線A2を中心とした回転を、自転と呼ぶ。
T型プレートが可動範囲の最下端まで下降した状態では、ラックギア43も可動範囲の最下端まで下降する。このとき、検査チップ2は、自転角度が0度の定常状態になる。また、T型プレートが可動範囲の最上端まで上昇した状態では、ラックギア43も可動範囲の最上端まで上昇する。このとき、検査チップ2は、定常状態から水平軸線A2を中心に180度回転した状態になる。つまり、本実施形態では検査チップ2が自転可能な角度幅は、自転角度0度〜180度である。
上部筐体30の詳細構造を説明する。図1に示すように、上部筐体30は、枠部材を組み合わせた箱状のフレーム構造を有し、上板32の左部上側に設置されている。より詳細には、上部筐体30は、ターンテーブル33の回転中心にある主軸57からみて、検査チップ2が回転される範囲の外側に設けられている。
上部筐体30の内部に設けられた測定部7は、測定光を発光する光源71と、光源71から発せられた測定光を検出する光センサ72とを有する。光源71及び光センサ72は、検査チップ2の回転範囲の外側において、ターンテーブル33の前後両側に配置されている。本実施形態では、検査チップ2の公転可能範囲のうちで主軸57の左側位置が、検査チップ2に測定光が照射される測定位置である。検査チップ2が測定位置にある場合、光源71と光センサ72とを結ぶ測定光が、検査チップ2の前面及び後面に対して略垂直に交差する。
<3.制御装置90の電気的構成>
図1を参照して、制御装置90の電気的構成について説明する。制御装置90は、検査装置1の主制御を司るCPU91と、各種データを一時的に記憶するRAM92と、制御プログラムを記憶したROM93とを有する。CPU91には、ユーザが制御装置90に対する指示を入力するための操作部94と、各種データ、及びプログラムを記憶するハードディスク装置95と、各種情報を表示するディスプレイ96とが接続されている。制御装置90としては、パーソナルコンピュータを用いてもよいし、専用の制御装置を用いてもよい。
さらに、CPU91には、公転コントローラ97、自転コントローラ98、及び測定コントローラ99が接続されている。公転コントローラ97は、主軸モータ35を回転駆動させる制御信号を主軸モータ35に送信することによって、検査チップ2の公転を制御する。自転コントローラ98は、ステッピングモータ51を回転駆動させる制御信号をステッピングモータ51に送信することによって、検査チップ2の自転を制御する。測定コントローラ99は、測定部7を駆動することによって、検査チップ2の光学測定を実行する。詳細には、測定コントローラ99は、光源71の発光、及び光センサ72の光検出を実行させる制御信号を、光源71及び光センサ72に送信する。尚、CPU91が公転コントローラ97、自転コントローラ98及び測定コントローラ99を制御する。ハードディスク装置95には、後述する検査チップ2の各種のパラメータ等や検体や試薬の物性値等も予め記憶されている。
<4.検査チップ2の構造>
図2及び図3を参照して、本実施形態に係る検査チップ2の詳細構造を説明する。以下の説明では、図2の上方、下方、左方、右方、紙面手前側、及び紙面奥側を、それぞれ、検査チップ2の上方、下方、左方、右方、前方、及び後方とする。
図2及び図3に示すように、検査チップ2は一例として前方から見た場合に、上辺部21、右辺部22、左辺部23及び下辺部24からなる正方形状であり、所定の厚みを有する透明な合成樹脂の板材20を主体とする。図2に示すように、板材20の前面201は、透明の合成樹脂の薄板から構成されたシート291によって封止されている。図3に示すように、前面201の反対側の後面202は、透明の合成樹脂の薄板から構成されたシート292によって封止されている。図2及び図3に示すように、板材20とシート291との間、及び、板材20とシート292との間には、検査チップ2に封入された液体が流動可能な液体流路25が形成されている。液体流路25は、板材20の前面201側及び後面202側に所定深さに形成された凹部であり、板材20の厚み方向である前後方向と直交する方向に延びる。シート291,292は、板材20の流路形成面を封止する。シート291,292は、図2及び図3以外では図示を省略している。
液体流路25は、検体定量流路11、試薬定量流路13,15、第一接続流路301、第二接続流路331、混合部80、及び測定部81等を含む。図2に示すように、試薬定量流路13は、前面201における左上部に設けられている。検体定量流路11は、前面201における試薬定量流路13の右側に設けられている。図3に示すように、試薬定量流路15は、後面202側における左上部に設けられている。混合部80は、前面201における右下部に設けられている。混合部80は、後述する分離成分第一案内部117に接続されて下方に延びる、後述する流入口306より右側の流路を含む領域である。測定部81は、混合部80の下部である。
試薬定量流路13、15に共通する構成について説明する。図2及び図3に示すように、試薬定量流路13,15は、それぞれ、注入口130、試薬注入部131、連通路154、第一保持部132、第二保持部133、捕捉部160、試薬定量部134、第一案内部138、第二案内部137、及び試薬余剰部136を含む。試薬注入部131は、検査チップ2の左上部に設けられている。試薬注入部131は、上方に開口する凹部である。試薬注入部131と第一保持部132との間には、壁部27が設けられている。この壁部27は、左辺部23から上辺部21に向けて右斜め上方に延び、試薬注入部131を形成する。第二保持部133の下方には、試薬定量部134が設けられている。試薬定量部134は、試薬16が定量される部位であり、左下方に凹む凹部である。
注入口130は、試薬注入部131の上部から検査チップ2の上辺部21に向かって板材20を貫通する。注入口130は、第一試薬18又は第二試薬19が試薬注入部131に注入される部位である。試薬定量流路13の試薬注入部131は、試薬定量流路13の注入口130から注入された第一試薬18が貯留される部位である。試薬定量流路15の試薬注入部131は、試薬定量流路15の注入口130から注入された第二試薬19が貯留される部位である。尚、本実施形態の第二試薬19は、第一試薬18と後述する分離成分17Aとが混合された後に混合される試薬である。以下の説明では、第一試薬18、及び第二試薬19を総称する場合、又はいずれかを特定しない場合、試薬16という。また、分離成分17Aは、「分離後の検体」ともいう。
図2及び図3に示すように、第一保持部132は、試薬注入部131の開口方向である上向きと交差する方向である左向きに開口する凹部となっている。第一保持部132と試薬注入部131とは、左右方向に延びる連通路154を介して接続されている。第一保持部132は、左側において、連通路154の右側部分から下方向に延びる流路を備え、この流路を介して、下方の第二保持部133に接続される。以下、「試薬注入部131の開口方向と交差する方向」とは、「上辺部21の延設方向に平行に左方向に向かう方向」をいう。また、連通路154の左右方向に延びる連通方向を「連通方向R」という。
第一保持部132は、上辺部21の下壁面21Aと、第一壁部132Cの第一壁面132Aと、縦壁面132Bとから形成される凹部となっている。第一壁面132Aは、下壁面21Aと対向する壁面である。縦壁面132Bは、第一壁面132Aの一端部と上辺部21とを接続する壁面である。また、第一壁面132Aの先端部132D側から第一壁面132Aと交差する方向、かつ、第二保持部133側に突出部132Eが突出している。突出部132Eは、第二保持部133側の第一先端部132Fと、内側壁面132G及び外側壁面132Hを備える。内側壁面132Gは、第一先端部132Fから第一壁部132C方向に延び、かつ、第二保持部133の後述する第二壁面133Bに対向する壁面である。外側壁面132Hは、第一先端部132Fから先端部132Dに延びる壁面である。
第二保持部133は、試薬注入部131の開口方向と交差する方向に開口する屈曲壁面となっている。具体的には、第二保持部133は、検査チップ2の左下部に設けられる試薬定量部134Aに向けて傾斜した第一壁面133Aと、第一壁面133Aの一端部に接続され、第一保持部132に向かう方向に延設された第二壁面133Bとから形成されている。本実施形態では、第二保持部133は、第一壁面133Aが第二壁面133Bとの屈曲点133Gから左下方向に向かって延び、第二壁面133Bが第一壁面133Aとの屈曲点133Gから右上方向に向かって延びることによって形成された屈曲壁面である。第一保持部132の第一壁面132Aは、縦壁面132Bとの接続部から、左下方向に向かって延びる。よって、第一壁面132Aの左下方向の先端部132Dは、開口方向において、第一壁面132Aと縦壁面132Bとの接続部よりも第二保持部133側に位置する。
試薬定量部134Aは、第一案内部138及び第一接続流路301を介して混合部80と接続されており、第二案内部137を介して試薬余剰部136と接続されている。試薬定量部134Aの混合部80側の端部を第一端部141という。試薬定量部134Aの混合部80とは反対側の端部を第二端部142という。第一端部141と第二端部142とを結ぶ面は、試薬定量面146である。試薬定量面146は、試薬16が試薬定量部134Aにおいて定量される場合における試薬16の上面の位置となる仮想的な面である。従って、試薬定量面146より下方の液体流路25の容量が試薬定量部134Aにおける定量量である。
第一保持部132の第一壁面132Aは、第二保持部133側の端部である先端部132Dを有する。また、第二保持部133の第二壁面133Bは、第一保持部132側の端部である第二先端部133Cを有する。先端部132Dは、第二先端部133Cよりも交差方向において、試薬注入部131に近い位置に設けられている。従って、試薬注入部131と試薬定量部134Aの間の流路において、第一試薬18は、第一保持部132から第二保持部133へと流れる。また、先端部132Dは、第二先端部133Cよりも交差方向において試薬注入部131に近いので、第一保持部132から流れ出た第一試薬18は、第二保持部133に流れ込み、他の部分に流れ込む可能性を低減できる。
検査チップ2の前面201においては、第一先端部132Fと、第二先端部133Cとの間から交差方向に開口する凹部である捕捉部160が設けられている。試薬注入部131から第一保持部132へ第一試薬18が注入される場合に、第一保持部132から溢れ出た第一試薬18が捕捉部160に流入し保持される。
試薬定量部134Aの上部から、第一案内部138が右斜め上方に延びる。すなわち、第一案内部138は第一端部141から第一接続流路301に向けて延びる。第一案内部138は、試薬定量部134Aで定量された第一試薬18を測定部81に向けて案内する流路である。第一案内部138は第一端部141に接続され屈曲した第一案内部壁面145と、第一案内部壁面145に対向し、且つ、第二保持部133側の壁面である第二保持部側壁面149とから形成される。第一案内部壁面145の第一端部141と反対側の先端部310は、第二保持部側壁面149に対向する。
試薬定量部134Aの上部から、第二案内部137が左斜め下方に延びる。すなわち、第二案内部137は第二端部142から試薬余剰部136に向けて延びる。第二案内部137は、試薬定量部134Aから溢れた試薬16が移動する流路である。試薬定量部134Aの左下方には、試薬余剰部136が設けられている。試薬余剰部136は、第二案内部137を移動した試薬16が収容される部位であり、第二案内部137の下端部から下方向及び右方向に設けられた凹部である。第二案内部137においては、試薬定量部134Aの第二端部142から壁面144が試薬余剰部136方向に延設されている。試薬定量部134Aから溢れた試薬16は壁面144上を流れて試薬余剰部136に流入する。
第一接続流路301について説明する。以下の説明では、試薬定量流路13の試薬定量部134を試薬定量部134Aといい、試薬定量流路15の試薬定量部134を試薬定量部134Bという。第一接続流路301は、前面201に形成され、第一案内部138と混合部80とを接続する流路である。第一接続流路301は、第一案内部138の第一案内部壁面145の先端部310から右斜め下方に延び、試薬受け部305を備え、流入口306に接続する。
試薬受け部305は、第一接続流路301の下辺部24側に設けられ、流入口306に接続する。流入口306は、混合部80の左側に位置し、混合部80に試薬16を流入させる部位である。試薬受け部305の左側には、合流孔部351が設けられている。合流孔部351は、板材20を前後方向に貫通し、第一接続流路301に第二接続流路331を合流させる孔部である。
第二接続流路331について説明する。図3に示すように、第二接続流路331は、後面202に形成され、試薬定量部134Bから合流孔部351側に延び、試薬定量部134Bと合流孔部351とを接続する流路である。第二接続流路331は、2つの試薬受け部341,342を備えている。試薬受け部341,342は、試薬定量部134Bにおいて定量された第二試薬19を受ける部位である。第二接続流路331は、試薬定量部134Bから右斜め上方に延びて試薬受け部341に繋がり、試薬受け部341から左斜め下方に延びて試薬受け部342に繋がる。試薬受け部342の右端部は、合流孔部351に接続されており、前面201側の第一接続流路301に繋がる。
検体定量流路11について説明する。図2に示すように、検体定量流路11は、注入口110、検体注入部111、第一検体保持部112、検体案内部113、分離部124、通路125、通路127、検体余剰部126、第二検体保持部123、検体定量部114、分離成分第二案内部115、分離成分第一案内部117、及び第二余剰部116を含む。検体注入部111は、試薬定量流路13の第一保持部132の右側に設けられている。検体注入部111は、上方に開口する凹部である。注入口110は、検体注入部111の上部から検査チップ2の上辺部21に向かって板材20を貫通する。注入口110は、検体17が検体注入部111に注入される部位である。検体注入部111は、注入口110から注入された検体17が貯留される部位である。本実施形態の検体17は、例えば、血液、血漿、血球、骨髄、尿、膣組織、上皮組織、腫瘍、精液、唾液、又は食料品などの成分を含む液体である。第一検体保持部112と、検体注入部111とは、左右方向に延びる連通路を介して接続されている。第一検体保持部112は、検体注入部111方向に開口する凹部である。第一検体保持部112の下端部は、通路である検体案内部113に繋がっている。
検体案内部113の下方には、分離部124が設けられている。検体案内部113は、分離部124に検体17を案内する。分離部124は検体17に含まれる成分が分離される部位である。分離部124は、遠心力の作用によって、検体17を比重の小さい成分と比重の大きい成分とに遠心分離する。以下の説明では、分離部124において分離された検体17の比重の小さい成分を分離成分17Aといい、比重の大きい成分を残留成分17Bという。
分離部124の右側面における上下方向中央部から連結流路120が右斜め上方に延設され、連結流路120の上端部は成分保持部121の上端部に接続されている。成分保持部121は分離部124において分離された残留成分17Bの少なくとも一部を保持する貯溜部である。すなわち、成分保持部121に分離前の検体17、または、分離成分17Aが流入してもよい。
分離部124の上部から、通路125が左斜め下方に延び、通路127が右斜め上方に延びている。通路125は、分離部124の左下方に設けられた検体余剰部126まで延びている。検体余剰部126は、分離部124から溢れ出た検体17が貯留される部位である。
通路127は、第二検体保持部123に繋がっている。第二検体保持部123の下方には、検体定量部114が設けられている。検体定量部114は、分離成分17Aを定量する部位であり、上側に開口する凹部である。第二検体保持部123は、壁部123Cと、縦壁面123Bとを備える。壁部123Cは、検体定量部114方向に傾斜した第一壁面123Aを備える。縦壁面123Bは、検体定量部114と反対側の第一壁面123Aの端部に接続された、右辺部22の内壁面である。第一壁面123Aは検体定量部114方向の端部である先端部123Dを備える。壁部123Cの検体定量部114方向の先端が先端部123Fである。先端部123Dと先端部123Fとの間の流路が検体定量部114に向けて分離成分17Aを案内する検体案内部128である。
検体定量部114は、分離成分第一案内部117を介して混合部80と接続されており、分離成分第二案内部115を介して第二余剰部116に接続されている。検体定量部114の混合部80側の端部を第一検体定量部端部118という。検体定量部114の混合部80とは反対側の端部を第二検体定量部端部119という。第一検体定量部端部118と第二検体定量部端部119とを結ぶ面は、検体定量面129である。検体定量面129は、分離成分17Aが検体定量部114において定量される場合における分離成分17Aの上面の位置となる仮想的な面である。従って、検体定量面129より下方の液体流路25の容量が検体定量部114における定量量である。検体定量部114の検体定量面129より下方においては、上側よりも浅く形成されている。第二余剰部116は、検体定量部114から溢れ出た分離成分17Aが貯留される部位である。
混合部80は、分離成分第一案内部117を介して検体定量部114と繋がっている。混合部80は、第一接続流路301を介して試薬定量部134Aに繋がっている。混合部80は、第二接続流路331を介して、試薬定量部134Bに繋がっている。混合部80においては、検体定量部114において定量された分離成分17A、試薬定量部134Aにおいて定量された第一試薬18、及び試薬定量部134Bにおいて定量された第二試薬19が混合される。後述する光学測定が行われる際には、混合部80の下部を形成する測定部81に測定光が透過される。
次に、図2、図4及び図5を参照して、検査チップ2の第一保持部132、第二保持部133、第二検体保持部123、試薬定量部134A、及び、検体定量部114の構造の詳細について説明する。図1に示すCPU91が公転コントローラ97を制御し、主軸モータ35の駆動を開始してターンテーブル33が所定の速度で回転する。また、CPU91が自転コントローラ98を制御してステッピングモータ51を駆動制御し、図4及び図5に示す状態に検査チップ2が自転される。この状態が、図4に示すように、第二保持部133から試薬の流出が開始する状態である。また、図5に示すように、第二検体保持部123から分離成分17Aの流出が開始する状態である。
以下の説明では、後述する角度α1、角度α2、角度α3を総称して角度αともいう。また、後述する角度β1、角度β2、角度β3を総称して角度βともいう。図4に示すように、第一保持部132を形成する第一壁面132A及び縦壁面132Bと、第一壁面132Aの先端部132Dを通る第一仮想面132Kとに囲まれる試薬の体積が体積V1である。第一仮想面132Kが連通路154の連通方向R、すなわち右方向に対して成す鋭角が角度α3である。また、第一壁面132Aが連通方向Rに対して成す鋭角が角度β3である。第一保持部132において、角度α3は角度β3より大きい。
第二保持部133は、第一壁面133Aと、第二壁面133Bとを備える。第一壁面133Aは、試薬定量部134Aに向けて傾斜する。第二壁面133Bは、先端部133Dと反対側の第一壁面133Aの端部に接続され、第一保持部132方向に延設される。第一壁面133Aの試薬定量部134A側の端部が先端部133Dである。また、先端部133Dから試薬定量部134Aに向けて突出部133Eが突出し、突出部133Eの先端部が先端部133Fである。第二保持部133を形成する第一壁面133A及び第二壁面133Bと、第一壁面133Aの先端部133Dを通る第一仮想面133Kとに囲まれる試薬の体積が体積V2である。第一仮想面133Kが連通方向Rに対して成す鋭角が角度α2である。また、第一壁面133Aが連通方向Rに対して成す鋭角が角度β2である。第二保持部133において、角度α2は角度β2より大きい。
図4に示す体積V1と体積V2との和が、図2に示す試薬注入部131に注入された予め定められた試薬の注入量である体積V0と同量である。尚、予め定められた注入量である体積V0は、一例として、以下のように決められる。図2及び図4に示すように、試薬注入部131に流路から少し盛り上がった稜線131Aが形成されるようにしてもよい。図4に示す稜線131Aと、試薬注入部131を形成する壁面23A、壁面27A及び壁面27Bとで囲まれる体積が試薬注入部131への予め定められた注入量の体積V0である。また稜線131Aが設けられなくてもよく、周知のホールピペット(Volumetric pipette)のように、注入器具に基準線を設け、先端から基準線までの体積が体積V0であってもよい。先端を検体、又は試薬などの液体に接触させると、液体が、毛管力により注入器具に吸引される。ユーザは基準線を目安に体積V0の液体を注入部に注入させることが出来る。従って、いずれの場合においても、注入量が予め定められている。尚、体積V0は、定量量以上である。
第二保持部133において、角度α2が角度β2より大きく、角度α3が角度β3より大きいので試薬注入部131への試薬の予め定められた注入量V0の試薬18は、第一保持部132及び第二保持部133で各々保持される。第一仮想面133Kと第一仮想面132Kとは平行である。すなわち、角度α3と角度α2とは同じである。また、角度β3は角度β2以上であればよい。
図2に示すように、検査チップ2においては、試薬定量部134Aの定量量は検体定量部114の定量量よりも多い。すなわち試薬定量部134Aへの注入量が検体定量部114への注入量よりも多く、試薬定量部134Aへの注入される試薬が第一案内部138の第一案内部壁面145に当たって下流に流れるのを防ぐ必要がある。本実施の形態の検査チップ2においては、図4に示すように、第二保持部133において、第一仮想面133Kと直交し、かつ先端部133Fと接する接線が第一仮想線133Hである。試薬定量部134Aにおいて、第一仮想線133Hは、第二端部142より第一端部141側を通過する。本実施形態においては、第一仮想線133Hは、第一端部141と第二端部142との間を通過するが、第一端部141よりも右側の第一案内部壁面145に交わってもよい。従って、第二保持部133に保持された試薬が試薬定量部134Aへ流入する場合に、試薬は第一仮想線133Hに沿って流れる。第一仮想線133Hが、第二端部142より第一端部141側を通過するので、試薬定量部134Aへ流入する試薬は、第二端部142に当たる可能性を低減し、試薬定量部134Aへ流入する。よって、試薬が試薬定量部134Aへ流入する時に、試薬定量部134Aの第二端部142と、流れる試薬との間に隙間ができる。この隙間を介して試薬定量部134A内の空気が試薬定量部134A外へ抜けることが出来る。
図5に示すように、分離成分17Aを保持する第二検体保持部123を形成する第一壁面123A及び縦壁面123Bと、第一壁面123Aの先端部123Dを通る第一仮想面123Kとに囲まれる分離成分17Aの体積が体積V01である。第一仮想面123Kが図2に示す連通方向Rに対して成す鋭角が角度α1である。また、第一壁面123Aが連通方向Rに対して成す鋭角が角度β1である。分離成分17Aの体積V01について、図11及び図12を参照して説明する。図11に示す分離部124の通路125側の端部147から連通方向R(図2参照)方向に延びる第五仮想面148と分離部124の壁面とに囲まれる容積が容積V11である。連結流路120の端部120Aから第五仮想面148と平行に延びる仮想線120Kから分離部124側の連結流路120の容積が容積V12である。連結流路120の端部120Aは、円血流を形成する通路127側の壁面のうち、最も分離時の遠心方向側に位置する。容積V11と容積V12との和が容積V10である。遠心力F0は、第五仮想面148及び仮想線120Kに垂直に作用する。図12に示すように、分離部124において、第一端部143を通る第二仮想面151と分離部124を形成する壁面とで囲まれる容積と、連結流路120において仮想面155と分離部124側の連結流路120を形成する壁面とで囲まれる容積との和がV13である。第二仮想面151と仮想面155とは平行であり、仮想面155は、連結流路120を形成し、対向する壁面の接線を含む。従って、図12に示すように、分離部124からの取出量V01は、V10からV13を引いた容積である。従って、図12に示すように取出量V01の分離成分17Aが第二検体保持部123に保持される。図5に示すように、第二検体保持部123において、角度α1は角度β1より大きい。第二検体保持部123において、角度α1が角度β1より大きいので分離部124から分離成分17Aは、第二検体保持部123で保持される。
また、図2に示すように、検査チップ2においては、検体定量部114は定量量が試薬定量部134Aの定量量より少ないので、検体定量部114に注入される分離成分が跳ね返ると、検体定量部114外に流れやすい。この結果、定量不足を招く可能性がある。本実施形態ではでは、図5に示すように、第二検体保持部123において、第一仮想面123Kと直交し、かつ第二検体保持部123の壁部123Cの先端部123Fと接する接線が第一仮想線123Hである。本実施形態においては、第一仮想線123Hは、検体定量部114において、第二検体定量部端部119より第一検体定量部端部118側を通過するが、第一検体定量部端部118よりも右側の分離成分第一案内部117を形成し第一検体定量部端部118と接続する第一案内壁面117Aに交わってもよい。望ましくは、第一案内壁面117Aと第一仮想線123Hとが成す角の内、分離成分第一案内部117側の角度θ1が90度未満である。
従って、第二検体保持部123に保持された分離成分が検体定量部114へ流入する場合に、第一仮想線123Hに沿って流れる。第一仮想線123Hが、第二検体定量部端部119より第一検体定量部端部118側を通過するので、検体定量部114へ流入する分離成分は、第二検体定量部端部119に当たる可能性を低減しことなく、検体定量部114へ流入する。また、第一案内壁面117Aと第一仮想線123Hとが成す角度の内、分離成分第一案内部117側の角度が90度未満であるので、分離成分17Aは、第二検体定量部端部119に当たる可能性を低減できる。また、分離成分17Aは第一案内壁面117Aに鋭角に当たり、第一検体定量部端部118側から検体定量部114内に流入する。従って、検体定量部114内に分離成分が満たされてから、第二検体定量部端部119より分離成分が溢れ出る。よって、分離成分が検体定量部114へ流入する時に、検体定量部114の第二検体定量部端部119と、流れる分離成分との間に隙間ができる。この隙間を介して検体定量部114内の空気が検体定量部114外へ抜けることが出来る。よって、検体定量部114の第二端部側に空気が残留する可能性を低減して検体又は試薬の定量精度を向上することができる。
図5に示すように、第二検体保持部123において、第一壁面123Aが図2に示す連通方向Rに対して成す角度β1は、図4に示す第二保持部133の第一壁面133Aが連通方向Rに対して成す角度β2より小さい。また、図5に示す、分離部124から流出する分離成分17Aの流出量V01に対する検体定量部114の定量量の比は、図2に示す試薬注入部131への試薬18の予め定められた注入量V0に対する試薬定量部134Aの定量量の比よりも大きくなるように、分離部124、成分保持部121、連結流路120、検体定量部114、試薬注入部131及び試薬定量部134Aの位置及び大きさが定められている。
上記のこれら定量量の大小関係が定められているので、検体定量部114における分離成分の定量精度を向上するためには、より確実に検体定量部114に分離成分が注入される必要がある。上記の大小関係を満たすためには、以下のいずれかの方法がある。第一方法:試薬定量部134Aへの注入量V0よりも検体定量部114への流出量V01を小さくする。第二方法:試薬定量部134Aにおける試薬18の定量量よりも検体定量部114における分離成分17Aの検体定量量を多くする。本実施形態では、検体定量部114の定量量は、試薬定量部134Aの定量量よりも少ないので、第一方法を満たす必要が有る。検体定量部114への分離成分17Aの流出量V01が少ないと、分離成分17Aが検体定量部114へ正確に流入しなかった場合には、分離成分17Aの不足が起きる可能性がある。従って、より確実に検体定量部114に分離成分17Aが注入される必要がある。
このためには、検体定量部114の第二検体定量部端部119から余剰な分離成分17Aが流出する第一タイミングと、遠心力Fの方向が第一壁面123Aに垂直になり、検体定量部114への分離成分17Aの注入が終わる第二タイミングとの期間を長くする必要が有る。第一タイミングは、(上記で説明しており、ここで記載すると、英訳困難になりそうなので、削除したいと思います。)第二検体保持部123の第一仮想面123Kに対して遠心力Fの方向が垂直になり、その後第一壁面123A対して遠心力Fの方向が垂直になるまでの期間に含まれる。第一タイミングから第二タイミングになっても良いし、第二タイミングから第一タイミングになっても良いが、第一タイミングから第二タイミングになる方が望ましい。このためには、第二検体保持部123に保持された分離成分が流れ出す角度α1と、第一壁面123Aが連通方向Rに対して成す角度β1との差を大きくする必要がある。
角度α1と角度β1との差を大きくするには、一例として、角度α1を大きくすることが考えられる。この場合、検体定量部114へ注入される分離成分17Aの量を多く大きくする必要がある。検体定量部114へ注入される分離成分17Aは分離部124にて分離された後の検体である。従って、検体定量部114へ注入される分離成分17Aの量を多くすると分離前の検体の量を多くする必要があり、検体注入部111が大きくなり検査チップ2の外形が大きくなる。角度α1と角度β1との差を大きくするには、一例として、角度β1を小さくすることが考えられる。この場合、検査チップ2の外形を大きくせずに、検体定量部114の第二検体定量部端部119から余剰な検体が流出するタイミングと、遠心力Fの方向が第一壁面123Aに垂直になるタイミングとの期間を長くできる。
また、分離部124から流出する分離成分17Aの流出量の体積V01に対する検体定量部114の定量量の比が、試薬注入部131への試薬の予め定められた注入量V0に対する試薬定量部134Aの定量量の比よりも大きいので、分離成分17Aが分離成分第二案内部115に流入して無駄になる量が減る。従って、検体17が注入される検体注入部111の大きさを大きくする必要が無くなる。従って、検査チップ2の外形を大きくする必要性を低減できる。
以下の説明は、すべてSI単位系に基づく。図5に示すように、第二検体保持部123から検体定量部114に向けて、分離成分17Aが流れる検体案内部128が形成されている。検体案内部128は対向する壁面から形成され、この対向する壁面が上下方向に延びる。これら壁面の一方の壁面は左下方向に延びる第一壁面123Aと接続する。対向する壁面の間の断面積が「S」であり、長さは「L」である。また、検体定量部114の第二検体定量部端部119に接続され、分離成分第二案内部115を構成する傾斜面115Aが連通方向Rに対して成す鋭角が「角度θ2」である。検体定量部114から溢れ出た分離成分17Aは、傾斜面115Aを伝わって第二余剰部116に流入する。検体定量部114の第二検体定量部端部119と、第一検体定量部端部118との第二検体定量部端部119との開口部の幅が「d2」である。第一検体定量部端部118との第二検体定量部端部119との開口部の深さが「w」である。検体案内部128を通過して検体定量部114に流入する分離成分17Aの体積V01の質量が「m」である。重力加速度が「g」である。分離成分17Aの表面張力が「T」であり、分離成分17Aの液の接触角が「δ」である。これらのパラメータは、HDD95に予め記憶されている。
図5及び図9(A)に示すように、第二検体保持部123から検体案内部128を通過して、検体定量部114へ分離成分17Aが注入される場合には、第二検体保持部123の第一仮想面123Kに垂直に第一遠心力F0が印加される。この第一遠心力F0の印加方向が「第一遠心方向」である。この状態から第二検体保持部123から?検体案内部128を通過して、検体定量部114へ分離成分17Aの流入が始まる。次いで、第二検体保持部123の第一壁面123Aに垂直に第一遠心力F0が印加される状態に検査チップ2が自転される。この場合の第一遠心力F0の印加方向が「第二遠心方向」である。上記の遠心処理は、図1に示す制御装置90のCPU91が公転コントローラ97及び自転コントローラ98を制御して行う。具体的には、CPU91が公転コントローラ97を制御し、主軸モータ35の駆動を開始してターンテーブル33が所定の速度で回転しつつ、CPU91が自転コントローラ98を制御してステッピングモータ51を所定ステップだけ駆動制御する。
検体定量部114へ分離成分17Aの注入に係る注入時間が「時間t」である。時間tは、第一遠心方向に第一遠心力F0が印加され始めてから、第二遠心方向に第一遠心力F0が印加される方向が変化するまでの時間である。第一仮想面123Kに垂直に第一遠心力F0が印加されてから、第一壁面123Aに垂直に第一遠心力F0が印加されるまでの期間、すなわち、分離成分17Aが第二検体保持部123から検体案内部128を通過して検体定量部114へ流入する期間に、第一遠心方向及び第二遠心方向に印加される第一遠心力F0の大きさは、検体案内部128を通過する分離成分17Aに対する流路抵抗より大きい必要がある。
細い流路を通るときの壁面から受ける流路抵抗P[Pa]は
P[Pa]=λ×(L/S)×(ρ×Va)/2 (式3)で表される。
ここで
λ=(64×ν)/(Va×S) (式4)
Va=L/t (式5)
ν=μ/ρ (式6)
式3に式4、式5、式6を代入して、
P=(32×μ×L)/(S×t) (式7)となる。
この流路抵抗Pより大きな遠心力を印加することで液体を細い流路から流出させることができる。この流出時の遠心力は圧力がかかる断面積と移動する液の質量および重力加速度を用いて
遠心力=P×S/(m×g)(式8)で表される。
(式8)に(式7)を代入して、
遠心力=32×μ×L /(S×t×m×g) (式9)となる。
従って、第一遠心力F0の大きさは、(式9)より大きくなるように、CPU91が公転コントローラ97を制御し、主軸モータ35の駆動を開始してターンテーブル33が所定の回転速度V0で回転するように制御する。この回転速度V0は、予め検査チップ2を使用した実験により求めた1秒当たりの回転数である。
(式9)の値より大きい第一遠心力F0が印加された後、図9(B)に示すように、図2に示す検体定量部114の検体定量面129に垂直な方向である第三遠心方向に、第二遠心力F1が印加される。第三遠心方向に印加される第二遠心力の大きさF1は、
F1>(2×(d2+w)×T×cosδ×cosθ2/cos(90−θ2))+1(式10)
となるように、CPU91が公転コントローラ97を制御し、主軸モータ35の駆動を開始してターンテーブル33が所定の回転速度V1で回転するように制御する。この回転速度V1は、予め検査チップ2を使用した実験により求めた1秒当たりの回転数である。
検体定量部114の第一検体定量部端部118と第二検体定量部端部119との開口部の周囲長を「L2」とすると、L2=2×(d2+w) (式11)
Fst=L2×Tcosα (式12)
検体定量部114から分離成分17Aが流れ出さない保持力を「F2」とすると、
F2=Fst/cos(90−θ2) (式13)
重力をF3とすると、F3=1 (式14)
この場合に必要な第二遠心力F1は、
F1>F2×cosθ2+F3 (式15)
式15に、式11〜式14を代入して、式10を得る。
図5に示す場合には、検体案内部128の開口面積Sは、検体定量部114の開口幅d2よりも狭く、試薬定量部134Aの開口幅d2’よりも細い、従って、検体案内部128の流路抵抗は、試薬案内部の流路抵抗よりも大きい。そのため検体案内部128の流路抵抗により分離成分17Aが流れにくく、第三遠心方向に第二遠心力F1が印加される前に検体定量部114に分離成分17Aが満たされず、第二遠心力F1が印加される場合には検体定量部114の検体定量面129に垂直方向に第二遠心力F1が印加されるため、検体定量面129に分離成分17Aが直接当たり液面が凹んで定量量が不足する可能性がある。検体定量部114へ分離成分17Aが注入される時には、第一遠心方向に第一遠心力F0が印加され、その後、第二遠心方向に第一遠心力F0が印加され、さらに、第三遠心方向に第二遠心力F1が印加される。従って、流路抵抗が大きい場合でも、第三遠心方向に作用する第二遠心力F0が印加される前に、検体定量部114に分離成分17Aを満たして、第二検体定量部端部119から分離成分第二案内部115側に分離成分17Aの流出の開始をすることができる。従って、検体定量部114への分離成分17Aの流入量の規制を行うために、第一壁面123Aと検体案内部128の流路抵抗の両方で分離成分17Aの流入液の液幅を制限することができ、第二検体定量部端部119に分離成分17Aが接触し検体定量部114の第二検体定量部端部119側に空気が残留する可能性を低減して検体の定量精度を向上することができる。さらに、検体定量部114は定量量が小さいため検体定量面129の断面積が小さく、検体定量面129に垂直に遠心力がかかった場合、検体定量面129にて保持される保持力が弱いので、保持時に第二検体定量部端部119側へ分離成分17Aが流出し易い。従って、第二検体定量部端部119側へ分離成分17Aが流出することなく検体定量面129にて分離成分17Aを保持するために定量面断面積に関係する第二遠心力F1を印加することにより検体定量面129にて分離成分17Aを保持することができる。
また、図4に示すように、試薬定量部134Aの第二端部142に接続され、第二案内部137を構成する傾斜面137Aが連通方向Rに対して成す鋭角の角度θ’、試薬定量部134Aの第一端部141と第二端部142の開口幅d2’、第一端部141と第二端部142のとの間の試薬定量部134Aの深さw’、試薬18の表面張力T’、及び、試薬18の液の接触角δ’が制御装置90のハードディスク装置95に予め記憶されている。図4及び図7(B)に示すように、試薬定量部134Aへ試薬18が注入される場合には、第一遠心力F0と異なる第三遠心力を第一遠心方向及び第二遠心方向に作用させるように、CPU91が公転コントローラ97を制御し、主軸モータ35の駆動を開始してターンテーブル33が所定の回転速度V3で回転するように制御する。この回転速度V3は、予め検査チップ2を使用した実験により求めた1秒当たりの回転数である。回転速度V3は、検査チップ2の上記各パラメータ及び試薬18の上記物性値により異なる。
次いで、図7(C)に示すように、第三遠心方向に三遠心力よりも大きい二遠心力F1を検査チップ2に印加するように、CPU91が公転コントローラ97を制御し、主軸モータ35の駆動を開始してターンテーブル33が所定の回転速度V1で回転するように制御する。第二遠心力F1は、
F1>(2×(d2’+w’)×T’×cosδ’×cosθ’/cos(90−θ’))+1 (式16)
より大きい。この回転速度V1は、予め検査チップ2を使用した実験により求めた1秒当たりの回転数である。回転速度V1は、検査チップ2の上記各パラメータ及び分離成分17Aの上記物性値により異なる。
上記の場合には、試薬案内部139の開口面積s’が、検体案内部128の開口面積sよりも広く形成されている。従って、試薬案内部139を試薬18が通る場合には、検体案内部128を分離成分17Aが通る場合のような狭い流路からの流路抵抗に打ち勝つ遠心力を印加させる必要がない。また、第二遠心力F1は、
F1>(2×(d2’+w’)×T’×cosδ’×cosθ’/cos(90−θ’))+1 (式17)
より大きくなるように印加されるため、第二保持部133の第一壁面133Aに試薬18を残留させずに、試薬定量部134Aに試薬18を注入できる。
図4に示すように、第一仮想面133Kと平行な第二仮想面134Kが試薬定量部134Aの底部134Tと接する部分から第二端部142に延びる第二仮想線の長さがLm’であり、図5に示すように第一仮想面123Kと平行な第二仮想面134Kが前記検体定量部114の底部114Tと接する部分から第二検体定量部端部119に延びる第二仮想線の長さがLmであり、第一遠心方向に遠心力が印加されるときから第二遠心方向に第一遠心力が印加されるまでの時間がt1の間に前記検査チップに印加される遠心力がF0の場合には、時間t1の間の検査チップ2に作用する遠心力の大きさは、試薬定量部○図番の記載をお願い致しますへ試薬が注入される場合には、
時間t1が
Figure 2016070849
(式18)になるようにし、
検体定量部114へ分離成分17Aが注入される場合には、
時間t1が
Figure 2016070849
(式19)
になるように制御装置90のCPU91が公転コントローラ97を制御し、主軸モータ35の駆動を開始してターンテーブル33が所定の回転速度で回転するように制御する。
式18は、検体定量部114に分離成分14Aが注入されるときに、液面が移動する距離Lmは、検体定量部114の定量部底から液面が上昇し第二検体定量部端部119に液が到達するまでの液面の移動距離である。
この距離Lmを移動する時間つまり検体定量部114への注入時の時間tは、加えられる遠心力による力((2×(d2’+w’)×T’×cosδ’×cosθ’/cos(90−θ’))+1)×gから算出される。式19に付いても同様である。
この場合には、試薬案内部139の開口面積S’は検体案内部128の開口面積Sよりも広く形成されているが、時間t1が 式18の関係になるようにしているので、試薬定量部134Aへの試薬18の注入はゆっくり行われる。従って、試薬定量部134Aへ注入される試薬18が試薬案内部139から一気に流れ込むことが無い。よって、注入される試薬18の液幅を細く絞ることができる。さらに、試薬定量部134Aの第二端部142に注入される試薬18が当たらずに、第二端部142側に空気が残留する可能性を低減して試薬18の定量精度を向上することができる。また、検体案内部128の開口面積Sは、検体定量部114の開口幅d2よりも細く、試薬案内部139の開口面積S’よりも細く形成されているが、時間t1が式19の関係になるようにしているので、検査チップ2の自転を早く行って、第三遠心方向に第二遠心力F1が作用する前に、検体定量部114に分離成分17Aを満たして、第二検体定量部端部から分離成分第二案内部115側に分離成分17Aの流出の開始をすることができる。従って、検体定量部114の第二検体定量部端部119に空気が残留する可能性を低減して分離成分17Aの定量精度を向上することができる。
<5.検査チップ2のその他構造>
図1に示すように、L型プレート60から延びる支軸46は、装着用ホルダ61の後面中央に垂直に連結される。支軸46の回転に伴って、検査チップ2が支軸46を中心に自転する。検査チップ2は図2及び図3に示す定常状態である場合、上辺部21及び下辺部24が重力Gの方向と直交し、右辺部22及び左辺部23が重力Gの方向と平行、且つ、左辺部23が右辺部22よりも主軸57側に配置される。定常状態の検査チップ2が測定位置に配置されている状態において、光源71と光センサ72とを結ぶ測定光を測定部81に通過させることで、検査装置1は光学測定による検査を行う。
<6.検査方法の一例>
検査装置1及び検査チップ2を用いた検査方法について説明する。図2に示すように、注入口110から検体17が注入され、検体注入部111に配置される。試薬定量流路13の注入口130から第一試薬18が注入され、試薬定量流路13の試薬注入部131に配置される。図3に示すように、試薬定量流路15の注入口130から第二試薬19が注入され、試薬定量流路15の試薬注入部131に配置される。第一試薬18、第二試薬19、及び検体17の配置方法は限定されない。例えば、シート291,292における検体注入部111及び試薬注入部131に対応する位置に穴が開いており、ユーザが穴から、検体17、第一試薬18、及び第二試薬19を注入し、さらにシールをして封止してもよい。また、予め、第一試薬18と第二試薬19とが、試薬定量流路13,15のそれぞれの試薬注入部131に配置されて、シート291,292によって封止されていてもよい。この場合、シート291における検体定量流路11の検体注入部111に対応する位置に穴が開いており、ユーザが穴から検体17を注入し、さらにシールをして封止してもよい。また、第一試薬18の予め定められた注入量である体積V0は、一例として、使用者がピペットを用いて予め定められた体積V0を試薬注入部131に注入することで決まる。第二試薬19及び検体17の注入量についても、一例として、使用者がピペットを用いて予め定められた体積を試薬注入部131及び検体注入部111に注入することで決まる。
ユーザは検査チップ2を装着用ホルダ61に取り付けて、操作部94から処理開始のコマンドを入力する。これによって、CPU91は、ROM93に記憶されている制御プログラムに基づいて、図6に示す遠心処理を実行する。尚、検査装置1は二つの検査チップ2を同時に検査可能であるが、以下では説明の便宜のため、一つの検査チップ2を検査する手順を説明する。以下の説明では、図2及び図3に示す検査チップ2の定常状態を自転角度0度といい、定常状態から90度反時計回りに回転した状態を自転角度90度という。尚、以下の説明においてCPU91が検査チップ2を自転角度0度から90度に回転させる場合、検査チップ2は、前方から見て反時計回りに回転する。また、CPU91が検査チップ2を自転角度90度から0度に回転させる場合、検査チップ2は、前方から見て時計回りに回転する。
図6に示すように、CPU91は、HDD95に予め記憶されているモータの駆動情報を読み込み、公転コントローラ97に主軸モータ35の駆動情報をセットし、自転コントローラ98にステッピングモータ51の駆動情報をセットする(S1)。このとき、検査チップ2は図2及び図3に示すように、定常状態であり自転角度0度である。次いで、図1に示すCPU91が公転コントローラ97を制御し、主軸モータ35の駆動を開始する(S2)。この結果、自転角度が0度の検査チップ2が公転する。主軸モータ35は、公転コントローラ97の指示に基づき、ターンテーブル33の回転速度を速度Vに上げる。速度Vは、例えば3000rpmである。この速度Vでターンテーブル33が回転されると、検査チップ2に、数百Gほどの遠心力Fが作用する。CPU91は主軸モータ35の回転速度を速度Vに保持する(S3)。図7(A)に示すように、左辺部23から右辺部22に向けて、検査チップ2に遠心力Fが作用する。遠心力Fの作用によって試薬16は、試薬注入部131から第一保持部132に移動する。また、検体17は、検体注入部111から第一検体保持部112に移動する。尚、以下の説明では、ターンテーブル33の回転速度は速度Vで一定であるとするが、速度Vの値が遠心処理の途中で変更されてもよい。
次いで、CPU91は自転コントローラ98を制御してステッピングモータ51を駆動制御し、図7(C)に示すように、自転角度90度まで検査チップ2を回転させる(S4)。図7(C)は、自転角度90度まで検査チップ2が自転された状態を示し、図7(B)は、自転角度0度から自転90度まで検査チップ2が自転される間の中間の状態を示し、図6と同様の状態である。図7(C)に示す状態では、自転90度まで検査チップ2が自転され、上辺部21から下辺部24に向けて、検査チップ2に遠心力Fが作用する。遠心力Fの作用によって、試薬16は、第一保持部132から、屈曲壁面である第二保持部133を介して試薬定量部134に流れる。試薬定量部134において余った試薬16は、第二案内部137を介して試薬余剰部136に流れる。遠心力Fは試薬定量面146に垂直な方向に作用する。これによって、試薬定量部134の容量分の試薬16が定量される。また、検体17は、第一検体保持部112から、検体案内部113を介して分離部124に流れる。分離部124において余った検体17は、通路125を介して検体余剰部126に流れる。このため、分離部124の容量分の検体17が分離部124に残る。分離部124の容量は、図2に示す分離部124における通路125側の端部147から、右方向に延びる第五仮想面148より下方の液体流路25の容量である。
次に、図7(B)を参照して、図7(A)に示す自転角度0度から図7(C)に示す自転角度90度迄の検査チップ2の自転時の第一試薬18の流れを説明する。図7(B)に示すように、自転角度0度から自転角度90度に向けて検査チップ2が自転される間に、第一保持部132から、第二保持部133に第一試薬18が流れ込む。第二保持部133は屈曲壁面であるので、第一試薬18が貯留されずに、第二保持部133から試薬定量部134に第一試薬18が流れ込む。
CPU91は、所定時間の間、主軸モータ35の回転速度を速度Vに保持する(S5)。これによって、図7(C)に示す自転角度90度迄の検査チップ2に、所定時間の間、上辺部21から下辺部24に向けて、遠心力Fが作用する。これによって、図8(A)に示すように、分離部124においては、検体17の成分が分離成分17Aと残留成分17Bとに分離される。例えば、検体17が血液の場合、比重の大きい血球が遠心力Fの作用方向側に溜まり、比重の小さい血漿が遠心力Fの作用方向の反対側に溜まる。すなわち、血液中の血球である残留成分17Bと血漿である分離成分17Aとが分離される。
次いで、CPU91は、自転コントローラ98を制御してステッピングモータ51を駆動制御し、図8(B)に示すように、自転角度0度まで検査チップ2を回転させる(S6)。この結果、左辺部23から右辺部22に向けて検査チップ2に遠心力Fが作用する。
図8(B)に示す状態に検査チップ2の姿勢が変化すると、試薬定量部134において定量された第一試薬18が混合部80に移動し貯留される。また、試薬定量部134Bにおいて定量された第二試薬19は、試薬受け部341に移動する。また、分離成分17Aは通路127を通って第二検体保持部123に移動する。尚、図8(C)に示すように、分離部124に残った分離成分17Aと、残留成分17Bの一部とは、連結流路120を介して成分保持部121に移動する。
次いで、CPU91は、自転コントローラ98を制御してステッピングモータ51を駆動制御し、図9(A)に示すように、自転角度90度まで検査チップ2を回転させる(S7)。この結果、図9(B)に示すように、上辺部21から下辺部24に向けて遠心力F1が作用する。遠心力F1の作用によって、分離成分17Aは、第二検体保持部123から検体定量部114に流れる。また、第二試薬19は、試薬受け部341から試薬受け部342に移動する。図9(B)に示すように、検体定量部114において余った分離成分17Aは、分離成分第二案内部115を介して第二余剰部116に流れる。遠心力Fは検体定量面129に垂直な方向に作用する。これによって、検体定量部114の容量分の分離成分17Aが定量される。また、試薬受け部342に移動した第二試薬19は、合流孔部351を介して前面201に形成された第一接続流路301に合流する。
次いで、CPU91は、自転コントローラ98を制御してステッピングモータ51を駆動制御し、図9(C)、図10(A)、図10(B)に示すように、自転角度0度まで検査チップ2を回転させる(S8)。この結果、左辺部23から右辺部22に向けて検査チップ2に遠心力Fが作用する。
図9(B)に示す状態から図10(B)に示す状態に検査チップ2の姿勢が変化する過程で遠心力Fが作用することで、図9(C)に示すように、混合部80に貯留されている第一試薬18に、 検体定量部114で定量された分離成分17Aが流入して混同され混合液261が生成される。次いで、合流孔部351から合流した第二試薬19が混合部80に流入して図10(B)に示すように第二混合液262が生成される。
次いで、CPU91は、自転コントローラ98を制御してステッピングモータ51を駆動制御し、図10(C)に示すように、自転角度90度まで検査チップ2を回転させる(S9)。この結果、上辺部21から下辺部24に向けて検査チップ2に遠心力Fが作用する。遠心力Fの作用によって、第二混合液262は、測定部81に移動する。
図10には図示しないが、S9が実行された後、CPU91は自転コントローラ98を制御し、ステッピングモータ51を駆動する。CPU91は、自転角度0度まで検査チップ2を回転させる(S10)。また、CPU91は公転コントローラ97を制御し、主軸モータ35の回転を停止する(S10)。故に、検査チップ2の公転が終了する。遠心処理は終了される。
遠心処理の実行後、CPU91は公転コントローラ97を制御し、検査チップ2を測定位置の角度まで回転移動させる。図1に示す測定コントローラ99が光源71を発光させると、測定光が測定部81に貯溜された第二混合液262を通る。CPU91は光センサ72が受光した測定光の変化量に基づいて、第二混合液262の光学測定を行い、測定データを取得する。CPU91は、取得された測定データに基づいて、第二混合液262の測定結果を算出する。測定結果に基づく第二混合液262の検査結果が、図1に示すディスプレイ96に表示される。尚、第二混合液262の測定方法は、光学測定に限られず、他の方法でもよい。
上記実施形態において、試薬注入部131が本発明の「注入部」の一例である。第一試薬18及び第二試薬19は本発明の「試薬」の一例である。試薬定量部134は本発明の「定量部」の一例である。試薬定量部134Bは本発明の「定量部」の一例である。分離成分17Aは、本発明の「検体」の一例である。
以上説明したように、上記実施の形態の検査チップ2及び検査システム3では、定量部内に空気が残留する可能性を低減して検体又は試薬の定量精度を向上することができる。
尚、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、第一試薬18は、検体に変えてもよい。また、測定部81は、混合部80の下部であったが、混合部80とは別に設けられていてもよい。
また、試薬定量流路15と第二接続流路331とは後面202側に形成され、試薬定量流路13と第一接続流路301とは前面201に形成されていたが、これに限定されない。例えば、試薬定量流路15、第二接続流路331、試薬定量流路13、及び第一接続流路301が前面201に形成されてもよい。この場合、第一接続流路301と第二接続流路331とが合流孔部351において合流するのではなく、前面201の流路において合流してもよい。また、試薬定量流路15及び第二接続流路331が検査チップ2に設けられなくてもよい。また、本実施例では、試薬定量部134は、試薬を定量する定量部であるが検体の定量部に用いてもよい。また、第二保持部133が屈曲壁面でなく、凹部から形成されてもよい。
また、検査チップ2では、試薬注入部131に流路から少し盛り上がった稜線が形成されるようにしてもよい。稜線と、試薬注入部131を形成する壁面で囲まれる体積が試薬注入部131への予め定められた注入量の体積V0となるようにしてもよい。この場合には、試薬注入部131にどこまで第一試薬18(16)が注入されれば、体積V0になるかがはっきり分かる。
1 検査装置
2 検査チップ
3 検査システム
17 検体
17A 分離成分
18 第一試薬
19 第二試薬
114 検体定量部
123 第二検体保持部
123A 第一壁面
123B 縦壁面
123C 壁部
123D 先端部
123K 第一仮想面
128 検体案内部
131 試薬注入部
132 第一保持部
132A 第一壁面
132B 縦壁面
132C 第一壁部
132D 先端部
132K 第一仮想面
133 第二保持部
133A 第一壁面
133B 第二壁面
133K 第一仮想面
134 試薬定量部
139 試薬案内部

Claims (6)

  1. 一方向に開口した凹部から形成され検体又は試薬が注入される注入部と、
    凹部から形成され前記検体又は前記試薬が定量される定量部と、
    前記注入部と前記定量部の間の流路において、前記検体又は前記試薬を保持する保持部と、
    前記保持部において前記定量部の方向に延設された壁面である第一壁面と、
    前記定量部の一端部である第一端部に接続され、前記定量部において定量された前記検体又は前記試薬が移動する第一案内部と、
    前記定量部の他端部である第二端部に接続され、前記定量部から溢れた前記検体又は前記試薬が移動する第二案内部と、
    を備え、
    前記注入部への前記試薬の予め定められた注入量、又は検体を分離する分離部にて分離され、前記分離部から流出する分離後の前記検体の流出量が、前記注入部と前記保持部の連通方向と平行な方向に対して、前記第一壁面の先端部から角度α方向に延設された第一仮想面と、前記保持部を形成する壁面とにより形成される体積が等しい場合に、
    前記角度αは、前記第一壁面が前記連通方向と平行な方向に対して成す角度βより大きく、かつ、
    前記保持部から前記試薬又は前記検体が前記定量部に向けて流出する前記保持部の第一先端部を通り前記第一仮想面に垂直な直線である第一仮想線が、前記第二端部より前記第一端部側を通過することを特徴とする検査チップ。
  2. 前記定量部として、前記試薬を定量する試薬定量部と、前記検体を定量する検体定量部とを備え、
    前記試薬定量部の定量量は、前記検体定量部の定量量よりも多く、
    前記定量部が前記試薬定量部の場合には、前記第一仮想線が前記試薬定量部内を通過し、
    前記定量部が前記検体定量部の場合には、前記第一仮想線が前記第一端部よりも第一案内部側を通過し、且つ、前記第一案内部を形成し前記第一端部と接続する第一案内壁面と前記第一仮想線とが成す角の内、前記第一案内部内の角度が90度未満であることを特徴とする請求項1に記載の検査チップ。
  3. 前記定量部が前記検体を定量する検体定量部の場合には、前記第一壁面が前記連通方向と平行な方向に対して成す角度β1は、前記定量部が前記試薬を定量する試薬定量部の場合に前記第一壁面が前記連通方向と平行な方向に対して成す角度β2より小さく、
    前記分離部から流出する分離後の前記検体の前記流出量に対する前記検体定量部の定量量の比は、前記注入部への前記試薬の予め定められた前記注入量に対する前記試薬定量部の前記定量量の比よりも大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載の検査チップ。
  4. 請求項1から3の何れかに記載の検査チップと、前記検査チップを保持して公転させて遠心力を前記検査チップに印加させ、かつ前記検査チップを自転させて前記遠心力の印加方向を変える検査装置とを備えた検査システムであって、
    前記検査チップは、
    前記定量部が前記検体を定量する検体定量部の場合には、前記保持部から前記検体を前記検体定量部に案内する検体案内部の開口幅が、前記検体定量部の開口幅よりも細く、
    前記定量部が前記試薬を定量する試薬定量部の場合には、前記保持部から前記試薬を前記試薬定量部に案内する試薬案内部の開口幅が、前記検体案内部の開口幅よりも広く形成され、
    前記検査装置は、
    前記検査チップを保持する検査チップ保持部と、
    前記検査チップ保持部を第一軸を中心に公転させ、前記検査チップに遠心力を印加させる第一回転装置と、
    前記検査チップ保持部を前記第一軸と交差する第二軸を中心として自転させ、前記検査チップに印加される前記遠心力の方向を変える第二回転装置と、
    前記第一回転装置及び前記第二回転装置を制御する制御装置とを備え、
    前記制御装置の記憶装置には、
    前記検体の粘度μ、
    前記検体案内部の流路長さL、
    前記検体案内部の流路の断面積S、
    前記検体定量部へ注入される前記検体の質量m、
    重力加速度g、
    前記定量部の前記第二端部に接続され、前記第二案内部を構成する傾斜面が前記連通方向と平行な方向に対して成す鋭角の角度θ、
    前記定量部の前記第一端部と前記第二端部の開口幅d2、
    前記定量部の深さw、
    前記検体の表面張力T、
    及び、前記検体の液の接触角δが予め記憶され、
    前記制御装置は、
    前記検体定量部へ前記検体が注入される場合には、前記第二回転装置を制御して、
    前記第一仮想面に垂直な方向である第一遠心方向、前記第一壁面に垂直な方向である第二遠心方向、前記定量面に垂直な方向である第三遠心方向の順に、前記遠心力が印加されるように、前記検査チップを第二軸を中心として回転させる角度変更回転を実行し、
    前記検体定量部へ前記検体の注入に係る注入時間である前記第一遠心方向から前記第二遠心方向に前記遠心力が印加される方向が変化する時間がtの場合には、
    前記第一遠心方向及び前記第二遠心方向に印加される第一遠心力の大きさは、
    32×μ×L /(S×t×m×g)より大きくなるように、前記第一回転装置による前記検査チップの公転速度を制御し、
    その後、前記第三遠心方向に印加される第二遠心力の大きさは、
    (2×(d2+w)×T×cosδ×cosθ/cos(90−θ))+1
    より大きくなるように、前記第一回転装置による前記検査チップの公転速度を制御することを特徴とする検査システム。
  5. 前記記憶装置には、
    前記定量部の前記第二端部に接続され、前記第二案内部を構成する傾斜面が前記連通方向と平行な方向に対して成す鋭角の角度θ’、
    前記定量部の前記第一端部と前記第二端部の開口幅d2’、
    前記定量部の深さw’、
    前記試薬の表面張力T’、
    及び、前記試薬の液の接触角δ’が予め記憶され、
    前記試薬定量部へ前記試薬が注入される場合には、前記制御装置は、前記第一遠心力と異なる第三遠心力を前記第一遠心方向及び前記第二遠心方向に作用させ、前記第三遠心方向に前記三遠心力よりも大きい前記二遠心力を前記検査チップに作用させるように、前記第一回転装置及び前記第二回転装置を制御し、
    前記第二遠心力は、
    (2×(d2’+w’)×T’×cosδ’×cosθ’/cos(90−θ’))+1
    より大きくなるように、前記第一回転装置による前記検査チップの公転速度を制御することを特徴とする請求項4に記載の検査システム。
  6. 前記第一仮想面と平行な第二仮想面が前記試薬定量部の底部と接する部分から前記第二端部に延びる第二仮想線の長さがLm’であり、
    前記第一仮想面と平行な第二仮想面が前記検体定量部の底部と接する部分から第二検体定量部端部に延びる第二仮想線の長さがLmであり、
    前記第一遠心方向に前記第一遠心力が印加されるときから前記第二遠心方向に前記第一遠心力が印加されるまでの時間がt1の間に前記検査チップに印加される遠心力がF1の場合には、
    前記試薬定量部へ前記試薬が注入される場合には、
    時間t1が
    Figure 2016070849

    になるようにし、
    前記検体定量部へ前記検体が注入される場合には、
    時間t1が
    Figure 2016070849
    になるように前記制御装置が前記第一回転装置及び前記第二回転装置を制御することを特徴とする請求項5に記載の検査システム。
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