JP2017032122A - 水素プレクールシステム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】水素ガスを膨張減圧する過程で膨張機11と、その前後に設けた1次バッファータンク14及び2次バッファータンク15とにより水素ガスの温度降下を行い、その冷熱エネルギを利用して水素ガスの予冷を行う。
【選択図】図4
Description
したがって、水素ステーションにおいて、水素自動車の燃料となる水素ガスを、水素ガス供給源から水素自動車の燃料タンクに充填する際に、水素ガスを充填する経路に設けられている膨張弁等の部分で、水素ガスの温度が上昇する。
一例として、水素ガスを、70MPa(G)、30℃から一段で膨張させたときの、各2次圧における自己温度変化の一例を図1に示す。
この水素ステーションは、水素ガスを受け入れる圧縮機ユニットからなる圧縮機設備1と、圧縮機設備1から送られてきた水素ガスを蓄圧する蓄圧器ユニットからなる水素蓄圧設備2と、水素蓄圧設備2からの水素ガスを水素自動車の燃料タンク6に充填するための経路に設けられた膨張弁3及び水素ガスプレクーラ4と、プレクーラ4を介して水素ガスの冷却を行う水素プレクールシステム5とを備え、さらに、水素プレクールシステム5には、圧縮機、凝縮器、膨張弁、蒸発器、アキュムレータ等からなる冷凍機設備7と、ブラインタンク、1次ブラインポンプ、2次ポンプ等からなるブライン回路8を備えるようにしている。
そして、この水素ステーションは、オンサイト型、オフサイト型の水素ステーションの両者とも、受け入れた水素は圧縮機設備1で中間圧(図例では40MPa(G))や高圧(図例では82MPa(G))まで圧縮され、それぞれの圧力で水素蓄圧設備2の蓄圧ユニット内にて圧縮ガスの形で保持される。
これらの水素ガスを、需要側である車載の燃料タンク6へ充填するには、膨張弁3を介しての膨張により行われるが、その際に水素ガス自身の温度上昇を伴うため、外部設備である水素プレクールシステム5により−40℃まで冷却される。
現状の技術では、この水素プレクールシステム5は、フロン冷媒等の通常の冷凍機設備7と、−40℃近辺で動作するブライン回路8とを組み合わせて構成されているため、構成が複雑であり、また、冷凍機用冷媒圧縮機、1次ブラインポンプ、2次ブラインポンプ等の多くの回転機器も必要になる。
1)外部独立した水素プレクールシステムはそれ自体が外部電力で稼働するシステムである。一般的な水素ステーション(300Nm3/h)で約40kWとなっており、水素プレクールシステムの運用自体が運転コストを上昇させる。
2)冷凍機の冷媒にフロン(代替えフロン)を使用するため法的な扱いを受け、このプレクーラ設備自体が高圧ガス保安法の冷凍保安則にかかり、設備や運用において制約を受ける。
3)フロンやブラインをステーション内に保有することは、フロンやブラインの外部漏えいに対する環境事故の予防対策が必要になる。
4)水素プレクールシステムが、冷凍回路とブライン回路の2段構成で複雑であることや、冷媒圧縮機やブラインポンプ等の回転機が複数存在するため、多くの保守管理役務が生じる。
5)ブラインを介したシステムのため、運転起動から定常状態になるまで時間を要する。このため、充填作業のかなり前から水素プレクールシステムを事前起動、系内を定常状態にしておく必要がある。
6)水素ステーション自体の設置スペースを小型化する際に、水素プレクールシステムの専有スペースがその制約となる。
7)現状の−40℃という温度では、さらなる水素の急速充填に制限が出てくる。将来において、さらに充填時間を短くするためには、現状の−40℃よりも低い温度に予冷が必要となる可能性もある。
8)膨張機を用いた水素プレクールシステムにおいて、例えば、燃料電池車1台に充填する設備においては、比較的小流量で収まる場合が多く、その場合、膨張機を水素タービンで構成したときに、非常に小型のマイクロタービンクラスになる場合がある。このマイクロタービンでは、汎用の水素タービンに対してコストダウン効果や信頼性確保の観点からは困難性が出てくる。
そして、膨張機の前後に1次バッファータンク及び2次バッファータンクを設け、さらに、前記1次バッファータンクと2次バッファータンクとを膨張機を介さずに接続する2次バイパスラインを設けるようにしたり、2次バッファータンクの内部に、水素ガス源ラインから1次バイパス膨張弁によって直接膨張させた水素ガスを需要側へ供給する1次バイパスラインの熱交換器を設けるようにすることにより、充填側の燃料電池車1台分で設計された小流量の膨張機、例えば、マイクロタービンでなく、比較的大きな汎用の水素タービン等の膨張機を活用することができる。そして、その際に余った2次バッファータンク内の寒冷は、高圧の水素ガスからの弁膨張水素ガスに与えて有効に利用することで、効率的な水素プレクールシステムを提供することができる。
水素タービン11で水素を膨張させ温度低下させた水素ガスを再合流させる。必要に応じ中間的な圧力に膨張させて混合させ、最終的に少ない膨張比でタンクに最終膨張充填させる場合もある。
図3において、高圧の状態で分岐された高圧水素ガスはタービン入口弁を介して水素タービン11へ供給される、水素タービン11による膨張は常に温度降下を生じる(図1参照。ここで、図1は計算の一例であり、水素タービン11の入口条件と膨張比の設定等により出口温度は広い範囲で制御することができる。)ため、タービン出口温度は入口より降下する。
その膨張後のガスを通常膨張させたガスと合流混合させ、最適な温度として最終的に低膨張比でタンクに対して連続充填を行うようにする。
そして、充填の相手側の圧力と温度の状況をセンサで感知して、最適な混合温度にするフィードバック制御をかけて構成する。この温度指令により水素タービン入口弁を制御することにより、タービン回路の流量を変化させることにより温度降下幅さらには混合後の温度を適切な範囲に保つようにする。
2次バッファータンク15は、最終膨張弁20を介して需要側(水素ディスペンサ21以降)へ水素ガスを供給するが、充填当初は、水素タービン11で膨張し、温度降下した水素ガスのうち所定量を最終膨張弁20から抽気されるため、水素タービン11の処理流量と最終膨張量との差が2次バッファータンク15へ徐々に蓄えられていくと同時に、2次バッファータンク15は、外部断熱された構造となっており、温度降下した水素ガスの寒冷により2次バッファータンク15自体の温度も降下していく。そのため、最終膨張弁20での温度上昇が生じても十分に低い水素ガス温度を保持できる。
この際、過剰に冷却された2次バッファータンク15を通過するため、需要側の温度上昇を防止することができる。
一例として、水素ガス源ライン9の圧力は820atm、1次バッファータンク14の圧力は400〜600atm、2次バッファータンク15の圧力は20〜600atmで、シーケンス的にタービン膨張(充填流量よりも大きな流量で膨張)、寒冷余剰発生及び膨張ルート切り替えを行い、最終充填圧まで需要側を所定時間内に加圧充填していく。
1)ブレーキファンによる制動(水冷クーラで熱に変換)
2)発電機を組み込むことによる発電制動
3)昇圧ブロワによるプロセス水素の昇圧
課題1)については、水素タービン等の膨張機の稼働には外部電力を必要としないため、従来の水素プレクールシステムの運転コスト(電気代)に対して、ほとんど電力は必要としない。
課題2)については、冷媒が存在しないので、別個には冷凍則にかからないシステムとなる。水素ステーション全体の高圧ガス保安法のなかで対処することができる。
課題3)については、フロン冷媒やブライン自体が存在しないので、環境事故に対するリスクはなくなる。
課題4)については、シンプルなシステム構成となるため、運転コストのみならず保守コストも大幅に低減できる。
課題5)については、水素タービン等の膨張機の起動と同時に温度降下状態が作れるため、系内の時定数が非常に小さい。事前起動の時間はわずかになる。
課題6)については、水素タービン等の膨張機のコールドボックスのみでよいので大幅な省スペース化が図れる。
課題7)については、水素タービン等の膨張機により、温度は−100℃近くまでプレクール可能であり、より急速な充填に対応可能である。
課題8)については、汎用の水素タービンを用いてシステム構成と余剰寒冷の利用が可能になり、必要充填流量だけで設計した小流量のマイクロタービンを使用する場合の高コスト、低信頼性、低効率の問題を解決することができる。さらに、バッチ充填の次回充填でも前回の余剰寒冷を先に利用することが可能になる。
2 水素蓄圧設備
3 膨張弁
4 プレクーラ
5 水素プレクールシステム
6 燃料タンク
7 冷凍機設備
8 ブライン回路
9 水素ガス源ライン
10 水素プレクールシステム
11 水素タービン(膨張機)
12 1次膨張弁
13 2次膨張弁
14 1次バッファータンク
15 2次バッファータンク
16 1次バイパス膨張弁
17 1次バイパスライン
18 2次バイパス膨張弁
19 2次バイパスライン
20 最終膨張弁
21 水素ディスペンサ
Claims (4)
- 高圧に蓄圧された水素ガスを相手側の弁を介した圧力差膨張によりタンクへ充填する水素充填設備における水素プレクールシステムにおいて、水素ガスを膨張減圧する過程で膨張機と、その前後に設けた1次バッファータンク及び2次バッファータンクとにより水素ガスの温度降下を行い、その冷熱エネルギを利用して水素ガスの予冷を行うことを特徴とする水素プレクールシステム。
- 前記1次バッファータンクと2次バッファータンクとを膨張機を介さずに接続する2次バイパスラインを設けたことを特徴とする請求項1記載の水素プレクールシステム。
- 2次バッファータンクの内部に、水素ガス源ラインから1次バイパス膨張弁によって直接膨張させた水素ガスを需要側へ供給する1次バイパスラインの熱交換器を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の水素プレクールシステム。
- 前記膨張機に、水素タービン、往復動機械膨張機、ロータリー式膨張機及びスクロール式膨張機のいずれか又はこれらを組み合わせて使用したことを特徴とする請求項1、2又は3記載の水素プレクールシステム。
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