JP2004303649A - 車両用燃料電池へのガス燃料供給方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高圧状態のガス燃料を減圧する際の圧力差を利用してエネルギを効率よく回収する車両用燃料電池へのガス燃料供給方法を提供する。
【解決手段】高圧ガス貯蔵槽と燃料電池との間のガス燃料供給路中に複数台のガスタービン25〜31を配置する。高圧ガス貯蔵槽から出た高圧状態のガス燃料を複数台のガスタービン25〜31を通して減圧する。複数台のガスタービンから出たガス燃料を熱交換型の加熱装置61によって加熱する。複数台のガスタービンの回転力で発電機21を駆動する。発電機21の出力を車両に搭載された電気機器の駆動電力として利用する。また加熱装置61による熱交換を利用して車両に搭載されたエアコンディショナで必要とされる除熱を実施する。
【選択図】 図2
【解決手段】高圧ガス貯蔵槽と燃料電池との間のガス燃料供給路中に複数台のガスタービン25〜31を配置する。高圧ガス貯蔵槽から出た高圧状態のガス燃料を複数台のガスタービン25〜31を通して減圧する。複数台のガスタービンから出たガス燃料を熱交換型の加熱装置61によって加熱する。複数台のガスタービンの回転力で発電機21を駆動する。発電機21の出力を車両に搭載された電気機器の駆動電力として利用する。また加熱装置61による熱交換を利用して車両に搭載されたエアコンディショナで必要とされる除熱を実施する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高圧ガス燃料を減圧して得たガス燃料を用いる車両用燃料電池へのガス燃料供給方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、水素燃料電池を発電源とする水素燃料電池自動車が実用化されている。水素ガス(ガス燃料)は、200気圧以上の高圧状態で高圧ガス貯蔵槽に貯蔵されている。高圧ガス貯蔵槽に貯蔵された水素ガスは、常圧に近い圧力まで減圧弁を用いて減圧されて、燃料電池に供給されている。
【0003】
特開2002−252013号公報には、水素燃料電池自動車のシステムの一例が記載されている。
【0004】
【特許文献】特開2002−252013号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
高圧から常圧まで減圧弁を利用して水素ガスを減圧する過程では、大きなエネルギ差が生じているにもかかわらず、従来はこの大きなエネルギ差を利用していなかった。また減圧弁を利用して水素ガスの減圧を行うと、断熱膨張により極低温(例えば高圧ガス貯蔵槽の圧力が150気圧以上の場合には、−200℃以下)の超音速のガス流となるため、減圧弁以降の配管は極低温に耐えることができる特殊な材料で作る必要がある。また超音速のガス流が流れる配管では、磨耗により配管が破損するおそれもある。
【0006】
本発明の目的は、高圧状態のガス燃料を減圧する際の圧力差を利用してエネルギを効率よく回収する車両用燃料電池へのガス燃料供給方法及び装置を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、高圧ガス貯蔵槽の圧力変化及び/または高圧ガス貯蔵槽からのガスの流量の変化に対応して、効率よくエネルギを回収することができる車両用燃料電池へのガス燃料供給方法及び装置を提供することにある。
【0008】
本発明の更に他の目的は、減圧の際に発生する温度低下をできるだけ小さくして安全性を高めることができる車両用燃料電池へのガス燃料供給方法及び装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、車両に搭載されて高圧状態でガス燃料を貯蔵する高圧ガス貯蔵槽から燃料電池に減圧したガス燃料を供給する車両用燃料電池へのガス燃料供給方法を対象とする。
【0010】
本発明の方法では、高圧ガス貯蔵槽と燃料電池との間のガス燃料供給路中に1台以上のガスタービンを配置する。そして高圧ガス貯蔵槽から出た高圧状態のガス燃料を1台以上のガスタービンを通して減圧し、1台以上のガスタービンの回転力で発電機を駆動する。発電機の出力は、車両に搭載された電気機器の駆動電力として利用する。このようにするとガス燃料を減圧する際に、その圧力差を利用してガスタービンを回転させて発電機を駆動することにより、圧力差のエネルギを有効に且つ効率よく電力として回収することができる。また断熱膨張により発生する極低温の温度低下を、減圧弁を用いた場合よりも小さいものとすることができる。
【0011】
高圧ガス貯蔵槽に貯蔵するガス燃料の圧力が高くなればなるほど、複数台のガスタービンを用いて段階的に減圧することが好ましい。このようにすると減圧差が極端に大きくなることがないので、減圧の結果として発生する極低温のガス流の温度差が極端に大きくなるのを防止することができる。その結果、配管及び周辺機器の耐久性の低下を抑制することができて、従来よりも安全性を高めることができる。
【0012】
また複数台のガスタービンを用いる場合において、高圧ガス貯蔵槽中のガス燃料の貯蔵量が少なくなって高圧ガスの圧力が低下した場合や、単位時間あたりのガス燃料の使用量が少なくなったときに、複数台のガスタービンの全てを運転し続けると、ガスタービン内の風量が低下し、ガスタービンの運転効率が低下する。そこでこのようなことを防止するためには、高圧ガス貯蔵槽から出力されるガス燃料の圧力の低下及び/または流量の低下に応じて、ガス燃料供給路中に配置する複数台のガスタービンの数を段階的に減ずるのが好ましい。このようにすると、使用するガスタービンでの膨張率を高めて、風量を増加させることができるので、ガス燃料の圧力及び流量に見合った最適な台数のガスタービンを効率よく運転することが可能になって、効率よくエネルギを回収することができる。
【0013】
また複数台のガスタービンから出たガス燃料を熱交換型の加熱装置によって加熱すると、断熱膨張による温度降下を小さくすることができる。そのため、使用する配管等を耐久性の高い特殊な材料で形成する必要がなくなって、装置の価格を下げることができるだけでなく、安全性を高めることができる。
【0014】
なお熱交換型の加熱装置による熱交換を利用して、車両に搭載された1以上の発熱機器で必要とされる除熱を実施すると、更にエネルギの回収効率を高めることができる。
【0015】
本発明の車両用燃料電池へのガス燃料供給装置は、高圧ガス貯蔵槽と燃料電池との間のガス燃料供給路中に配置された1台以上のガスタービンと、1台以上のガスタービンの回転力で駆動される発電機とを具備する。また複数台のガスタービンを用いる場合には、複数台のガスタービンから出たガス燃料を加熱する熱交換型の加熱装置を用いる。そしてこの熱交換型の加熱装置は、熱交換を利用して車両に搭載された1以上の発熱機器で必要とされる除熱を実施することができるように構成する。
【0016】
また複数台のガスタービンを用いる場合に、段階的にガスタービンを運転するためには、隣り合う2台のガスタービンへの入力側ガス燃料供給路どうしを選択的に連通するバイパス供給路と、バイパス供給路中に配置された開閉の制御が可能なバイパス制御弁と、バイパス供給路の上流側に位置する入力側ガス燃料供給路中に配置された開閉の制御が可能な入力側制御弁と、高圧ガス貯蔵槽から出力されるガス燃料の圧力の低下及び/または流量の低下に応じて、バイパス制御弁及び入力側制御弁の開閉を制御してガス燃料供給路中に配置される複数台のガスタービンの数を段階的に減ずる制御弁制御装置とを設ければよい。
【0017】
なおガス燃料としては、現段階では水素ガス燃料が好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の車両用燃料電池へのガス燃料供給方法及び装置を、水素燃料電池自動車に適用した場合の実施の形態の概略構成を示す図である。図1において、符号1は水素ガスをガス燃料として発電する水素燃料電池である。水素燃料電池1が発電した電力は適宜の充電回路を備えた蓄電手段3に蓄電される。また水素燃料電池1の出力は、自動車用の駆動モータ5にアクセル機能を備えた放電手段7を介して供給される。水素燃料電池1が発電をしていない期間は、蓄電手段3からの電力の放出で駆動モータ5を回転させる。駆動モータ5は、車軸を介してタイヤ9を回転させる。
【0019】
水素燃料電池1への水素燃料(ガス燃料)の供給のために、本実施の形態では、1台の水素ガスタービン11を、水素燃料電池1と水素ガスを貯蔵した高圧ガス貯蔵槽13との間のガス燃料供給路15中に配置している。ガス燃料供給路15の高圧側配管16の途中には開閉制御が可能で流速の測定機能を備えた制御弁17が配置される。この制御弁17、水素ガスタービン11及び水素燃料電池1は、制御装置19からの指令に基づいて制御される。制御装置19には、高圧ガス貯蔵槽13内の圧力データと、高圧側配管16の流速データとが入力されている。運転を開始する前には制御弁17を開いて水素ガスの水素ガスタービン11への供給を開始し、運転を終了するときには制御弁17を閉じて水素ガスの水素ガスタービン11への供給を停止する。運転の途中において供給燃料の制御弁17の開き量を調節することにより、水素ガス燃料の供給量を調節して水素燃料電池1の発電量を制御している。
【0020】
水素ガスタービン11は、供給される水素ガスが膨張する際の流量の増加に伴ってブレードが回転して、供給される水素ガスの圧力を低減する。この例では、高圧ガス貯蔵槽13中の水素ガス圧力(例えば200気圧)を、常圧まで低減して、低圧側配管18に低圧水素ガスを出力する。
【0021】
水素ガスタービン11の回転軸には、発電機21が接続されている。水素ガスタービン11で減圧が行われる際に、ブレードが回転することにより発電機21のロータが回転して発電が行われ、発電された電力は蓄電手段3に蓄電される。このように水素ガス燃料を減圧する際に、その圧力差を利用して水素ガスタービン11を回転させて発電機21を駆動すると、圧力差のエネルギを有効に且つ効率よく電力として回収することができる。
【0022】
高圧ガス貯蔵槽13に貯蔵する水素ガス燃料の圧力が高くなる場合には、複数台のガスタービンを用いて段階的に減圧することが好ましい。図2はこの場合の多段階の水素ガスタービン装置23の一例の構成の概略を示す図である。この多段階の水素ガスタービン装置23では、4台のガスタービン25,27,29及び31がガス燃料供給路に対して直列に配置されている。具体的には、初段のガスタービン25の入力側ガス燃料供給路33に、開閉の制御が可能な入力側制御弁35が配置されている。また初段の入力側ガス燃料供給路33は、バイパス供給路37を介して2段目のガスタービン27の入力側ガス燃料供給路39と連通している。バイパス供給路37には、開閉の制御が可能なバイパス制御弁41が配置されている。また2段目のガスタービン27の入力側ガス燃料供給路39にも開閉の制御が可能なバイパス制御弁43が配置されている。同様にして、2段目のガスタービン27の入力側ガス燃料供給路39は、バイパス供給路45を介して3段目のガスタービン29の入力側ガス燃料供給路47と連通している。バイパス供給路45には、開閉の制御が可能なバイパス制御弁49が配置されている。これらの制御弁35,41,43及び49は、制御装置19内に構築された制御弁制御装置20からの指令に基づいて開閉する。
【0023】
この例では、第3段目のガスタービン29の入力側ガス燃料供給路47と第4段目のガスタービン31の入力側ガス燃料供給路51との間には、両者を連通するバイパス供給路は設けられていない。また初段のガスタービン25の出力側ガス燃料供給路36と2段目のガスタービン27の入力側ガス燃料供給路39との間には熱交換部53が設けられており、2段目のガスタービン27の出力側ガス燃料供給路40と3段目のガスタービン29の入力側ガス燃料供給路47との間には熱交換部55が設けられており、3段目のガスタービン29の出力側ガス燃料供給路48と4段目のガスタービン31の入力側ガス燃料供給路51との間には熱交換部57が設けられており、4段目のガスタービン31の出力側ガス燃料供給路52と低圧側配管18との間には熱交換部59が設けられている。
【0024】
これらの熱交換部53〜59は、熱交換型の加熱装置61のハウジング63の内部にそれぞれ配置されている。ハウジング63の内部には、例えば自動車に搭載されたエアコンディショナ67に接続された除熱用熱媒体循環熱交換部65が配置されている。エアコンディショナ67に限られず、駆動モータ5の冷却用の熱媒体循環交換部等がハウジング63内に配置されていてもよいのは勿論である。そしてハウジング63の内部には、熱交換部53〜59と除熱用熱媒体循環熱交換部65との間での熱交換に寄与する伝熱媒体が充填されている。
【0025】
高圧ガス貯蔵槽13内の圧力が高い場合には、4台のガスタービン25〜31がすべてガス燃料供給路15中に挿入される。このとき制御弁35及び43は開状態にあり、制御弁41及び49は閉状態にある。まず初段のガスタービン25に入った水素ガスは断熱膨張して、タービン内の風量を増加させ、タービン内部のブレードを回転させる。その結果、動力回収が行われる。初段のガスタービン25から出力側ガス燃料供給路36に出た水素ガス燃料は、断熱膨張により温度が低下している。この温度が低下した水素ガス燃料は加熱装置61中の熱交換部53において加熱されて温度回復する。温度回復した水素ガス燃料は、第2のガスタービン27に入り前述と同様にして断熱膨張して、内部のブレードを回転させる。そして温度が低下した水素ガス燃料は加熱装置61中の熱交換部55において加熱されて温度回復する。以後第3段目のガスタービン29及び第4段目のガスタービン31においても、同様に、水素ガス燃料の断熱膨張によりブレードを回転し、熱交換部57及び59において水素ガス燃料の温度回復が行われる。したがって低圧側配管18には、常圧でしかも温度が極端に低くなっていない水素ガス燃料が出力される。熱交換型の加熱装置61内の除熱用熱媒体循環熱交換部65で冷却された熱媒体はエアコンディショナ67において利用される。4台のガスタービン25〜31がすべて運転状態にあるときには、制御弁35及び43は開状態にあり、制御弁41及び49は閉状態にある。
【0026】
高圧ガス貯蔵槽13内の水素ガス燃料の貯蔵量が減って高圧ガス貯蔵槽13内の圧力が低下したり、運転状態により制御弁17が絞られて、高圧ガス貯蔵槽13から流出する水素ガス燃料の流量が低下した場合には、各ガスタービン内での断熱膨張量が少なくなって、ガスタービンの運転効率が低下する。そこでこのような場合には、あえて4台のガスタービンを運転するよりも、必要な台数のガスタービンだけを運転したほうが、高い運転効率を得ることができる。そこで本実施の形態では、圧力及び流量の少なくとも一方(圧力及び/または流量)の低下量が、予め定めた量以上になったときには、段階的に使用するガスタービンの台数を減少させる。そのために制御弁35,41,43及び49が制御される。まず初段のガスタービンを使用しない場合には、制御弁35を閉じ、バイパス供給路37中の制御弁41が開かれる。これによって初段のガスタービン25への水素ガス燃料の供給が停止され、残りの3台のガスタービンによって減圧が行われる。このとき制御弁43は開状態にあり、制御弁49は閉状態にある。
【0027】
さらに圧力及び流量の少なくとも一方(圧力及び/または流量)の低下量が、予め定めた量以上になって、2段目のガスタービン27の使用を停止する場合には、制御弁43を閉状態にし、制御弁49を開状態にする。このようにすると、水素ガス燃料は高圧ガス貯蔵槽13から直接第3段目のガスタービン29に供給されるようになる。また燃料の補給や発電量の増加のために、圧力及び流量の少なくとも一方(圧力及び/または流量)が増加した場合には、制御弁35,41,43及び49を適宜に切り換えて、前述とは逆に第2段目のガスタービン27の運転を再開し、更に必要であれば、初段のガスタービン25の運転を再開するようにすればよい。
【0028】
図3は、高圧ガス貯蔵槽13に貯蔵した水素ガス燃料の水素貯蔵圧力が低下する場合における単位時間当たりの発電機21の発電量の低下の様子と、その場合における発電機21の累積発電量の増加の変化の様子と、ガスタービンの切換時期との関係をシミュレーションした例の結果を示している。この例では、高圧ガス貯蔵槽13の水素ガス燃料の貯蔵圧力がほぼ125気圧まで低下した段階で、初段のガスタービン25の運転を停止し、水素ガス燃料の貯蔵圧力がほぼ90気圧まで低下した段階で、2段目のガスタービン27の運転を停止し、以後3段目と4段目のガスタービン29及び31の運転を継続している。このように水素ガス燃料の圧力の低下に伴って使用するガスタービンの台数を減少させると、水素ガス燃料の圧力の低下割合に比べて、発電機の単位時間当たりの発電量の低下を抑制し、運転効率を高められることが分かる。なお図3において、一点鎖線で示したカーブは、タービンの段数を変えずに、タービン段数を4段に維持したときのシミュレーション結果である。実線のカーブと比べて分かるように、タービン段数を4段に維持したときには、発電量が大幅に低下する。
【0029】
水素ガスタービンと発電機による発電量は、水素ガスの流量をF(kg)、ガスタービンの段数をS、各段における水素ガス燃料の膨張率をγ(出口圧力/入口圧力)としたときに、下記の式(1)のように表すことができる。
【0030】
【数1】
但し上記式(1)において、zは圧縮係数、κは定圧比熱と定容比熱の比(=Cp/Cv),T1はガスタービンの入口温度(°K)、MWは分子量、ηはガスタービンと発電機の変換効率である。ガスタービン発電量Qは、ガスタービンの入口圧力(水素ガスの貯蔵圧力pから水素ガスの制御弁17の圧力損失を引いたもの)により変化し、水素ガスの貯蔵圧力がp1からp2の間では下記式(2)のように表される。
【0031】
【数2】
設計圧力350気圧の高圧ガス貯蔵槽13に水素ガス燃料5kgを350気圧で貯蔵し、水素ガスを時間当たり一定量消費したとき、ガスタービンと発電機による発電量(回収エネルギ)総量Qrは、2.79kWとなる。なおガスタービンは最大4段が運転状態にあり、polytropic効率を65%、発電機の効率を95%とする。発電量(回収エネルギ)総量は、水素燃料電池の低発熱量基準発電効率を48%としたときの水素燃料電池の発熱量72.6kWの3.8%に相当し、水素燃料電池自動車の総合エネルギ変換効率を48%から49.9%へ向上させることができる。
【0032】
図4は、4台のガスタービンを運転している場合における、各ガスタービンに入力される水素ガスの圧力の変化と、初段ガスタービン25の出口温度、第2段目のガスタービン27の出口温度及び第3段目のガスタービン29の出口温度の変化を示している。また図4は、比較のために減圧弁のみで減圧を行った場合に発生する断熱膨張温度の変化を示している。なお高圧ガス貯蔵槽13の出口温度及び各ガスタービンの入口温度は、25℃一定である。図4から分かるように、減圧弁だけで減圧を行った場合と比べて、ガスタービンを用いて減圧を行うと、断熱膨張によるガスタービンの出口の温度の低下を、50℃から80℃の間の温度範囲内のものとすることができる。したがって減圧弁だけで減圧を行う場合と比べて出口温度を上げることができる。その結果、ガスタービンを含めて各種の機器の部品を特殊な材質で形成する必要がなくなる。
【0033】
上記実施の形態は水素燃料電池を用いる車両用燃料電池へのガス燃料供給装置に本発明を適用したものであるが、本発明はその他のガス燃料を用いる車両用燃料電池を用いる場合にも当然にして適用できるものである。
【0034】
【発明の効果】
本発明によれば、従来未回収のガス燃料の圧力差エネルギを電力として回収することができ、燃料電池自動車の総合エネルギ変換効率を高めることができる。また断熱膨張により発生する極低温の温度低下を、減圧弁を用いた場合よりも小さいものとすることができるので、ガスタービン及び配管を特殊な材質で形成する必要がなくなる利点が得られる。また本発明によれば、従来よりも安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両用燃料電池へのガス燃料供給方法及び装置を、水素燃料電池自動車に適用した場合に実施の形態の概略構成を示す図である。
【図2】多段階の水素ガスタービン装置の一例の構成の概略を示す図である。
【図3】高圧ガス貯蔵槽に貯蔵した水素ガス燃料の水素貯蔵圧力が低下する場合における単位時間当たりの発電機の発電量の低下の様子と、その場合における発電機の累積発電量の増加の変化の様子と、ガスタービンの切換時期との関係をシミュレーションした例の結果を示す図である。
【図4】4台のガスタービンを運転している場合における、各ガスタービンに入力される水素ガスの圧力の変化と、初段ガスタービンの出口温度、第2段目のガスタービンの出口温度及び第3段目のガスタービンの出口温度の変化を示す図である。
【符号の説明】
1 水素燃料電池
3 蓄電手段
5 駆動モータ
9 タイヤ
11 水素ガスタービン
13 高圧ガス貯蔵槽
15 ガス燃料供給路
17 制御弁
18 低圧側配管
19 制御装置
25〜31 ガスタービン
43 バイパス制御弁
53〜59 熱交換部
61 熱交換型の加熱装置
63 ハウジング
【発明の属する技術分野】
本発明は、高圧ガス燃料を減圧して得たガス燃料を用いる車両用燃料電池へのガス燃料供給方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、水素燃料電池を発電源とする水素燃料電池自動車が実用化されている。水素ガス(ガス燃料)は、200気圧以上の高圧状態で高圧ガス貯蔵槽に貯蔵されている。高圧ガス貯蔵槽に貯蔵された水素ガスは、常圧に近い圧力まで減圧弁を用いて減圧されて、燃料電池に供給されている。
【0003】
特開2002−252013号公報には、水素燃料電池自動車のシステムの一例が記載されている。
【0004】
【特許文献】特開2002−252013号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
高圧から常圧まで減圧弁を利用して水素ガスを減圧する過程では、大きなエネルギ差が生じているにもかかわらず、従来はこの大きなエネルギ差を利用していなかった。また減圧弁を利用して水素ガスの減圧を行うと、断熱膨張により極低温(例えば高圧ガス貯蔵槽の圧力が150気圧以上の場合には、−200℃以下)の超音速のガス流となるため、減圧弁以降の配管は極低温に耐えることができる特殊な材料で作る必要がある。また超音速のガス流が流れる配管では、磨耗により配管が破損するおそれもある。
【0006】
本発明の目的は、高圧状態のガス燃料を減圧する際の圧力差を利用してエネルギを効率よく回収する車両用燃料電池へのガス燃料供給方法及び装置を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、高圧ガス貯蔵槽の圧力変化及び/または高圧ガス貯蔵槽からのガスの流量の変化に対応して、効率よくエネルギを回収することができる車両用燃料電池へのガス燃料供給方法及び装置を提供することにある。
【0008】
本発明の更に他の目的は、減圧の際に発生する温度低下をできるだけ小さくして安全性を高めることができる車両用燃料電池へのガス燃料供給方法及び装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、車両に搭載されて高圧状態でガス燃料を貯蔵する高圧ガス貯蔵槽から燃料電池に減圧したガス燃料を供給する車両用燃料電池へのガス燃料供給方法を対象とする。
【0010】
本発明の方法では、高圧ガス貯蔵槽と燃料電池との間のガス燃料供給路中に1台以上のガスタービンを配置する。そして高圧ガス貯蔵槽から出た高圧状態のガス燃料を1台以上のガスタービンを通して減圧し、1台以上のガスタービンの回転力で発電機を駆動する。発電機の出力は、車両に搭載された電気機器の駆動電力として利用する。このようにするとガス燃料を減圧する際に、その圧力差を利用してガスタービンを回転させて発電機を駆動することにより、圧力差のエネルギを有効に且つ効率よく電力として回収することができる。また断熱膨張により発生する極低温の温度低下を、減圧弁を用いた場合よりも小さいものとすることができる。
【0011】
高圧ガス貯蔵槽に貯蔵するガス燃料の圧力が高くなればなるほど、複数台のガスタービンを用いて段階的に減圧することが好ましい。このようにすると減圧差が極端に大きくなることがないので、減圧の結果として発生する極低温のガス流の温度差が極端に大きくなるのを防止することができる。その結果、配管及び周辺機器の耐久性の低下を抑制することができて、従来よりも安全性を高めることができる。
【0012】
また複数台のガスタービンを用いる場合において、高圧ガス貯蔵槽中のガス燃料の貯蔵量が少なくなって高圧ガスの圧力が低下した場合や、単位時間あたりのガス燃料の使用量が少なくなったときに、複数台のガスタービンの全てを運転し続けると、ガスタービン内の風量が低下し、ガスタービンの運転効率が低下する。そこでこのようなことを防止するためには、高圧ガス貯蔵槽から出力されるガス燃料の圧力の低下及び/または流量の低下に応じて、ガス燃料供給路中に配置する複数台のガスタービンの数を段階的に減ずるのが好ましい。このようにすると、使用するガスタービンでの膨張率を高めて、風量を増加させることができるので、ガス燃料の圧力及び流量に見合った最適な台数のガスタービンを効率よく運転することが可能になって、効率よくエネルギを回収することができる。
【0013】
また複数台のガスタービンから出たガス燃料を熱交換型の加熱装置によって加熱すると、断熱膨張による温度降下を小さくすることができる。そのため、使用する配管等を耐久性の高い特殊な材料で形成する必要がなくなって、装置の価格を下げることができるだけでなく、安全性を高めることができる。
【0014】
なお熱交換型の加熱装置による熱交換を利用して、車両に搭載された1以上の発熱機器で必要とされる除熱を実施すると、更にエネルギの回収効率を高めることができる。
【0015】
本発明の車両用燃料電池へのガス燃料供給装置は、高圧ガス貯蔵槽と燃料電池との間のガス燃料供給路中に配置された1台以上のガスタービンと、1台以上のガスタービンの回転力で駆動される発電機とを具備する。また複数台のガスタービンを用いる場合には、複数台のガスタービンから出たガス燃料を加熱する熱交換型の加熱装置を用いる。そしてこの熱交換型の加熱装置は、熱交換を利用して車両に搭載された1以上の発熱機器で必要とされる除熱を実施することができるように構成する。
【0016】
また複数台のガスタービンを用いる場合に、段階的にガスタービンを運転するためには、隣り合う2台のガスタービンへの入力側ガス燃料供給路どうしを選択的に連通するバイパス供給路と、バイパス供給路中に配置された開閉の制御が可能なバイパス制御弁と、バイパス供給路の上流側に位置する入力側ガス燃料供給路中に配置された開閉の制御が可能な入力側制御弁と、高圧ガス貯蔵槽から出力されるガス燃料の圧力の低下及び/または流量の低下に応じて、バイパス制御弁及び入力側制御弁の開閉を制御してガス燃料供給路中に配置される複数台のガスタービンの数を段階的に減ずる制御弁制御装置とを設ければよい。
【0017】
なおガス燃料としては、現段階では水素ガス燃料が好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の車両用燃料電池へのガス燃料供給方法及び装置を、水素燃料電池自動車に適用した場合の実施の形態の概略構成を示す図である。図1において、符号1は水素ガスをガス燃料として発電する水素燃料電池である。水素燃料電池1が発電した電力は適宜の充電回路を備えた蓄電手段3に蓄電される。また水素燃料電池1の出力は、自動車用の駆動モータ5にアクセル機能を備えた放電手段7を介して供給される。水素燃料電池1が発電をしていない期間は、蓄電手段3からの電力の放出で駆動モータ5を回転させる。駆動モータ5は、車軸を介してタイヤ9を回転させる。
【0019】
水素燃料電池1への水素燃料(ガス燃料)の供給のために、本実施の形態では、1台の水素ガスタービン11を、水素燃料電池1と水素ガスを貯蔵した高圧ガス貯蔵槽13との間のガス燃料供給路15中に配置している。ガス燃料供給路15の高圧側配管16の途中には開閉制御が可能で流速の測定機能を備えた制御弁17が配置される。この制御弁17、水素ガスタービン11及び水素燃料電池1は、制御装置19からの指令に基づいて制御される。制御装置19には、高圧ガス貯蔵槽13内の圧力データと、高圧側配管16の流速データとが入力されている。運転を開始する前には制御弁17を開いて水素ガスの水素ガスタービン11への供給を開始し、運転を終了するときには制御弁17を閉じて水素ガスの水素ガスタービン11への供給を停止する。運転の途中において供給燃料の制御弁17の開き量を調節することにより、水素ガス燃料の供給量を調節して水素燃料電池1の発電量を制御している。
【0020】
水素ガスタービン11は、供給される水素ガスが膨張する際の流量の増加に伴ってブレードが回転して、供給される水素ガスの圧力を低減する。この例では、高圧ガス貯蔵槽13中の水素ガス圧力(例えば200気圧)を、常圧まで低減して、低圧側配管18に低圧水素ガスを出力する。
【0021】
水素ガスタービン11の回転軸には、発電機21が接続されている。水素ガスタービン11で減圧が行われる際に、ブレードが回転することにより発電機21のロータが回転して発電が行われ、発電された電力は蓄電手段3に蓄電される。このように水素ガス燃料を減圧する際に、その圧力差を利用して水素ガスタービン11を回転させて発電機21を駆動すると、圧力差のエネルギを有効に且つ効率よく電力として回収することができる。
【0022】
高圧ガス貯蔵槽13に貯蔵する水素ガス燃料の圧力が高くなる場合には、複数台のガスタービンを用いて段階的に減圧することが好ましい。図2はこの場合の多段階の水素ガスタービン装置23の一例の構成の概略を示す図である。この多段階の水素ガスタービン装置23では、4台のガスタービン25,27,29及び31がガス燃料供給路に対して直列に配置されている。具体的には、初段のガスタービン25の入力側ガス燃料供給路33に、開閉の制御が可能な入力側制御弁35が配置されている。また初段の入力側ガス燃料供給路33は、バイパス供給路37を介して2段目のガスタービン27の入力側ガス燃料供給路39と連通している。バイパス供給路37には、開閉の制御が可能なバイパス制御弁41が配置されている。また2段目のガスタービン27の入力側ガス燃料供給路39にも開閉の制御が可能なバイパス制御弁43が配置されている。同様にして、2段目のガスタービン27の入力側ガス燃料供給路39は、バイパス供給路45を介して3段目のガスタービン29の入力側ガス燃料供給路47と連通している。バイパス供給路45には、開閉の制御が可能なバイパス制御弁49が配置されている。これらの制御弁35,41,43及び49は、制御装置19内に構築された制御弁制御装置20からの指令に基づいて開閉する。
【0023】
この例では、第3段目のガスタービン29の入力側ガス燃料供給路47と第4段目のガスタービン31の入力側ガス燃料供給路51との間には、両者を連通するバイパス供給路は設けられていない。また初段のガスタービン25の出力側ガス燃料供給路36と2段目のガスタービン27の入力側ガス燃料供給路39との間には熱交換部53が設けられており、2段目のガスタービン27の出力側ガス燃料供給路40と3段目のガスタービン29の入力側ガス燃料供給路47との間には熱交換部55が設けられており、3段目のガスタービン29の出力側ガス燃料供給路48と4段目のガスタービン31の入力側ガス燃料供給路51との間には熱交換部57が設けられており、4段目のガスタービン31の出力側ガス燃料供給路52と低圧側配管18との間には熱交換部59が設けられている。
【0024】
これらの熱交換部53〜59は、熱交換型の加熱装置61のハウジング63の内部にそれぞれ配置されている。ハウジング63の内部には、例えば自動車に搭載されたエアコンディショナ67に接続された除熱用熱媒体循環熱交換部65が配置されている。エアコンディショナ67に限られず、駆動モータ5の冷却用の熱媒体循環交換部等がハウジング63内に配置されていてもよいのは勿論である。そしてハウジング63の内部には、熱交換部53〜59と除熱用熱媒体循環熱交換部65との間での熱交換に寄与する伝熱媒体が充填されている。
【0025】
高圧ガス貯蔵槽13内の圧力が高い場合には、4台のガスタービン25〜31がすべてガス燃料供給路15中に挿入される。このとき制御弁35及び43は開状態にあり、制御弁41及び49は閉状態にある。まず初段のガスタービン25に入った水素ガスは断熱膨張して、タービン内の風量を増加させ、タービン内部のブレードを回転させる。その結果、動力回収が行われる。初段のガスタービン25から出力側ガス燃料供給路36に出た水素ガス燃料は、断熱膨張により温度が低下している。この温度が低下した水素ガス燃料は加熱装置61中の熱交換部53において加熱されて温度回復する。温度回復した水素ガス燃料は、第2のガスタービン27に入り前述と同様にして断熱膨張して、内部のブレードを回転させる。そして温度が低下した水素ガス燃料は加熱装置61中の熱交換部55において加熱されて温度回復する。以後第3段目のガスタービン29及び第4段目のガスタービン31においても、同様に、水素ガス燃料の断熱膨張によりブレードを回転し、熱交換部57及び59において水素ガス燃料の温度回復が行われる。したがって低圧側配管18には、常圧でしかも温度が極端に低くなっていない水素ガス燃料が出力される。熱交換型の加熱装置61内の除熱用熱媒体循環熱交換部65で冷却された熱媒体はエアコンディショナ67において利用される。4台のガスタービン25〜31がすべて運転状態にあるときには、制御弁35及び43は開状態にあり、制御弁41及び49は閉状態にある。
【0026】
高圧ガス貯蔵槽13内の水素ガス燃料の貯蔵量が減って高圧ガス貯蔵槽13内の圧力が低下したり、運転状態により制御弁17が絞られて、高圧ガス貯蔵槽13から流出する水素ガス燃料の流量が低下した場合には、各ガスタービン内での断熱膨張量が少なくなって、ガスタービンの運転効率が低下する。そこでこのような場合には、あえて4台のガスタービンを運転するよりも、必要な台数のガスタービンだけを運転したほうが、高い運転効率を得ることができる。そこで本実施の形態では、圧力及び流量の少なくとも一方(圧力及び/または流量)の低下量が、予め定めた量以上になったときには、段階的に使用するガスタービンの台数を減少させる。そのために制御弁35,41,43及び49が制御される。まず初段のガスタービンを使用しない場合には、制御弁35を閉じ、バイパス供給路37中の制御弁41が開かれる。これによって初段のガスタービン25への水素ガス燃料の供給が停止され、残りの3台のガスタービンによって減圧が行われる。このとき制御弁43は開状態にあり、制御弁49は閉状態にある。
【0027】
さらに圧力及び流量の少なくとも一方(圧力及び/または流量)の低下量が、予め定めた量以上になって、2段目のガスタービン27の使用を停止する場合には、制御弁43を閉状態にし、制御弁49を開状態にする。このようにすると、水素ガス燃料は高圧ガス貯蔵槽13から直接第3段目のガスタービン29に供給されるようになる。また燃料の補給や発電量の増加のために、圧力及び流量の少なくとも一方(圧力及び/または流量)が増加した場合には、制御弁35,41,43及び49を適宜に切り換えて、前述とは逆に第2段目のガスタービン27の運転を再開し、更に必要であれば、初段のガスタービン25の運転を再開するようにすればよい。
【0028】
図3は、高圧ガス貯蔵槽13に貯蔵した水素ガス燃料の水素貯蔵圧力が低下する場合における単位時間当たりの発電機21の発電量の低下の様子と、その場合における発電機21の累積発電量の増加の変化の様子と、ガスタービンの切換時期との関係をシミュレーションした例の結果を示している。この例では、高圧ガス貯蔵槽13の水素ガス燃料の貯蔵圧力がほぼ125気圧まで低下した段階で、初段のガスタービン25の運転を停止し、水素ガス燃料の貯蔵圧力がほぼ90気圧まで低下した段階で、2段目のガスタービン27の運転を停止し、以後3段目と4段目のガスタービン29及び31の運転を継続している。このように水素ガス燃料の圧力の低下に伴って使用するガスタービンの台数を減少させると、水素ガス燃料の圧力の低下割合に比べて、発電機の単位時間当たりの発電量の低下を抑制し、運転効率を高められることが分かる。なお図3において、一点鎖線で示したカーブは、タービンの段数を変えずに、タービン段数を4段に維持したときのシミュレーション結果である。実線のカーブと比べて分かるように、タービン段数を4段に維持したときには、発電量が大幅に低下する。
【0029】
水素ガスタービンと発電機による発電量は、水素ガスの流量をF(kg)、ガスタービンの段数をS、各段における水素ガス燃料の膨張率をγ(出口圧力/入口圧力)としたときに、下記の式(1)のように表すことができる。
【0030】
【数1】
但し上記式(1)において、zは圧縮係数、κは定圧比熱と定容比熱の比(=Cp/Cv),T1はガスタービンの入口温度(°K)、MWは分子量、ηはガスタービンと発電機の変換効率である。ガスタービン発電量Qは、ガスタービンの入口圧力(水素ガスの貯蔵圧力pから水素ガスの制御弁17の圧力損失を引いたもの)により変化し、水素ガスの貯蔵圧力がp1からp2の間では下記式(2)のように表される。
【0031】
【数2】
設計圧力350気圧の高圧ガス貯蔵槽13に水素ガス燃料5kgを350気圧で貯蔵し、水素ガスを時間当たり一定量消費したとき、ガスタービンと発電機による発電量(回収エネルギ)総量Qrは、2.79kWとなる。なおガスタービンは最大4段が運転状態にあり、polytropic効率を65%、発電機の効率を95%とする。発電量(回収エネルギ)総量は、水素燃料電池の低発熱量基準発電効率を48%としたときの水素燃料電池の発熱量72.6kWの3.8%に相当し、水素燃料電池自動車の総合エネルギ変換効率を48%から49.9%へ向上させることができる。
【0032】
図4は、4台のガスタービンを運転している場合における、各ガスタービンに入力される水素ガスの圧力の変化と、初段ガスタービン25の出口温度、第2段目のガスタービン27の出口温度及び第3段目のガスタービン29の出口温度の変化を示している。また図4は、比較のために減圧弁のみで減圧を行った場合に発生する断熱膨張温度の変化を示している。なお高圧ガス貯蔵槽13の出口温度及び各ガスタービンの入口温度は、25℃一定である。図4から分かるように、減圧弁だけで減圧を行った場合と比べて、ガスタービンを用いて減圧を行うと、断熱膨張によるガスタービンの出口の温度の低下を、50℃から80℃の間の温度範囲内のものとすることができる。したがって減圧弁だけで減圧を行う場合と比べて出口温度を上げることができる。その結果、ガスタービンを含めて各種の機器の部品を特殊な材質で形成する必要がなくなる。
【0033】
上記実施の形態は水素燃料電池を用いる車両用燃料電池へのガス燃料供給装置に本発明を適用したものであるが、本発明はその他のガス燃料を用いる車両用燃料電池を用いる場合にも当然にして適用できるものである。
【0034】
【発明の効果】
本発明によれば、従来未回収のガス燃料の圧力差エネルギを電力として回収することができ、燃料電池自動車の総合エネルギ変換効率を高めることができる。また断熱膨張により発生する極低温の温度低下を、減圧弁を用いた場合よりも小さいものとすることができるので、ガスタービン及び配管を特殊な材質で形成する必要がなくなる利点が得られる。また本発明によれば、従来よりも安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両用燃料電池へのガス燃料供給方法及び装置を、水素燃料電池自動車に適用した場合に実施の形態の概略構成を示す図である。
【図2】多段階の水素ガスタービン装置の一例の構成の概略を示す図である。
【図3】高圧ガス貯蔵槽に貯蔵した水素ガス燃料の水素貯蔵圧力が低下する場合における単位時間当たりの発電機の発電量の低下の様子と、その場合における発電機の累積発電量の増加の変化の様子と、ガスタービンの切換時期との関係をシミュレーションした例の結果を示す図である。
【図4】4台のガスタービンを運転している場合における、各ガスタービンに入力される水素ガスの圧力の変化と、初段ガスタービンの出口温度、第2段目のガスタービンの出口温度及び第3段目のガスタービンの出口温度の変化を示す図である。
【符号の説明】
1 水素燃料電池
3 蓄電手段
5 駆動モータ
9 タイヤ
11 水素ガスタービン
13 高圧ガス貯蔵槽
15 ガス燃料供給路
17 制御弁
18 低圧側配管
19 制御装置
25〜31 ガスタービン
43 バイパス制御弁
53〜59 熱交換部
61 熱交換型の加熱装置
63 ハウジング
Claims (9)
- 車両に搭載されて高圧状態でガス燃料を貯蔵する高圧ガス貯蔵槽から、燃料電池に減圧した前記ガス燃料を供給する車両用燃料電池へのガス燃料供給方法であって、
前記高圧ガス貯蔵槽と前記燃料電池との間のガス燃料供給路中に1台以上のガスタービンを配置し、
前記高圧ガス貯蔵槽から出た高圧状態の前記ガス燃料を前記1台以上のガスタービンを通して減圧し、
前記1台以上のガスタービンの回転力で発電機を駆動し、
前記発電機の出力を前記車両に搭載された電気機器の駆動電力として利用することを特徴とする車両用燃料電池へのガス燃料供給方法。 - 車両に搭載されて高圧状態でガス燃料を貯蔵する高圧ガス貯蔵槽から、燃料電池に減圧した前記ガス燃料を供給する車両用燃料電池へのガス燃料供給方法であって、
前記高圧ガス貯蔵槽と前記燃料電池との間のガス燃料供給路中に複数台のガスタービンを配置し、
前記高圧ガス貯蔵槽から出た高圧状態の前記ガス燃料を前記複数台のガスタービンを通して減圧し、
前記複数台のガスタービンから出た前記ガス燃料を熱交換型の加熱装置によって加熱し、
前記複数台のガスタービンの回転力で発電機を駆動し、
前記発電機の出力を前記車両に搭載された電気機器の駆動電力として利用し、且つ前記熱交換型の加熱装置による熱交換を利用して前記車両に搭載された1以上の発熱機器で必要とされる除熱を実施することを特徴とする車両用燃料電池へのガス燃料供給方法。 - 前記高圧ガス貯蔵槽から出力される前記ガス燃料の圧力の低下及び/または流量の低下に応じて、前記ガス燃料供給路中に配置する複数台の前記ガスタービンの数を段階的に減ずることを特徴とする車両用燃料電池へのガス燃料供給方法。
- 前記ガス燃料が水素ガス燃料である請求項1,2または3に記載の車両用燃料電池へのガス燃料供給方法。
- 車両に搭載されて高圧状態でガス燃料を貯蔵する高圧ガス貯蔵槽から、燃料電池に減圧した前記ガス燃料を供給する車両用燃料電池へのガス燃料供給装置であって、
前記高圧ガス貯蔵槽と前記燃料電池との間のガス燃料供給路中に配置された1台以上のガスタービンと、
前記1台以上のガスタービンの回転力で駆動される発電機とを具備することを特徴とする車両用燃料電池へのガス燃料供給装置。 - 車両に搭載され、高圧状態でガス燃料が貯蔵された高圧ガス貯蔵槽から、燃料電池に減圧した前記ガス燃料を供給する車両用燃料電池へのガス燃料供給装置であって、
前記高圧ガス貯蔵槽と前記燃料電池との間のガス燃料供給路中に配置された複数台のガスタービンと、
前記複数台のガスタービンから出た前記ガス燃料を加熱する熱交換型の加熱装置と、
前記複数台のガスタービンの回転力で駆動される発電機とを具備し、
前記熱交換型の加熱装置は、熱交換を利用して前記車両に搭載された1以上の発熱機器で必要とされる除熱を実施することができるように構成されていることを特徴とする車両用燃料電池へのガス燃料供給装置。 - 隣り合う2台の前記ガスタービンへの入力側ガス燃料供給路どうしを選択的に連通するバイパス供給路と、
前記バイパス供給路中に配置された開閉の制御が可能なバイパス制御弁と、
前記バイパス供給路の上流側に位置する前記入力側ガス燃料供給路中に配置された開閉の制御が可能な入力側制御弁と、
前記高圧ガス貯蔵槽から出力される前記ガス燃料の圧力の低下及び/または流量の低下に応じて、前記バイパス制御弁及び前記入力側制御弁の開閉を制御して前記ガス燃料供給路中に配置される複数台の前記ガスタービンの数を段階的に減ずる制御弁制御装置とを具備することを特徴とする請求項6に記載の車両用燃料電池へのガス燃料供給装置。 - 前記熱交換型の加熱装置は、前記燃料電池からの発熱、前記車両に搭載されている電動機からの発熱及び前記車両に搭載されているエアコンディショナからの発熱の少なくとも1つの発熱を除熱するように構成されていることを特徴とする請求項6に記載の車両用燃料電池へのガス燃料供給装置。
- 前記ガス燃料が水素ガス燃料である請求項5,6,7または8に記載の車両用燃料電池へのガス燃料供給装置。
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