JP2017029967A - 白金触媒の製造方法及びそれを用いた燃料電池 - Google Patents

白金触媒の製造方法及びそれを用いた燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】コア金属としてパラジウム(Pd)を用いた白金コアシェル触媒や、白金と白金以外の金属とを含む白金合金触媒であって、酸素還元活性に優れたカーボン担持白金触媒、及び、かかる触媒を工業的に量産化可能な方法で得るための製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】白金と白金以外の金属とを含む燃料電池用の白金触媒の製造方法であって、プロトンを含む酸性溶液に白金触媒を分散した分散溶液中に、(I)前記白金触媒の白金の酸化物生成開始電位よりも高い電位を与える化学種を存在させる工程と、(II)前記白金触媒の白金の酸化物還元開始電位よりも低い電位を与える化学種を存在させる工程と、を含む、白金触媒の製造方法。【選択図】図7

Description

本発明は、燃料電池において酸素還元反応の触媒として用いるのに適した白金触媒の製造方法、及び当該触媒を用いた燃料電池に関する。
固体高分子形燃料電池(PEFC)は、アノード側で水素の酸化反応を、カソード側で酸素の還元反応を起こすことにより、水のみを生成するクリーンエネルギーデバイスであって、カソード側の触媒として、白金(Pt)を使用するものが知られている。貴金属である白金を用いる触媒は、触媒活性や電気伝導性が高く、また、周辺環境の状態や周辺環境に存在する物質による腐食や被毒を受けにくいという利点を有する。
一方で、白金は資源量が少なく価格が高いという問題があり、その利用効率や耐久性を向上させて使用量を低減するために種々の検討が進められている。検討の一つとして、異種金属上に白金を被覆してなる白金コアシェル触媒が注目されている。白金コアシェル触媒は、触媒活性を発揮する白金原子は触媒粒子の最外層に露出した白金原子のみであることに着目して考案されたもので、白金原子層(シェル)で被覆された異種金属微粒子(コア)が、カーボン等の担体に高分散担持された構成を有する。
白金コアシェル触媒のコア金属の一つとして、パラジウム(Pd)が知られている。非特許文献1及び非特許文献2には、コア金属としてPdを使用した場合、PEFCでの酸素還元反応(Oxygen Reduction Reaction: ORR)活性が高まることが開示されている。Pdの格子定数(0.38898 nm)はPt(0.39231 nm)よりも小さいため、Pdコア上に設けたPtシェルには僅かな圧縮応力が発生する。この圧縮応力によって、Ptシェル表面で酸素還元反応が進行しやすい状況が実現され、ORR活性が高まったものと考えられている。
白金をシェル、パラジウムをコアとしたコアシェル触媒では、上述のようにORR活性が向上する一方で、Pdの標準酸化還元電位(0.92 V vs. NHE)がPt(1.19 V vs. NHE)に比べて低いため、その耐久性に問題がある。非特許文献3では、カーボン担持Pdコア/Ptシェル触媒(以後、Pt/Pd/C触媒と記述することもある。)をカソードに使用したPEFCにおいて、発電によりPdコアの一部が酸化溶解し、固体高分子電解質膜中に金属Pdが再析出し、Pdバンドが現れることが報告されている。
発明者らは既に、Pdコアの酸化溶出は触媒の耐久性の観点からは問題である一方で、Pdの酸化溶出によってPt/Pd/C触媒の粒径と形態に変化が生じ、ORR活性が高まることを見出している。特許文献1には、従来、触媒の電位サイクル耐久性試験(Accelerated Durability Test, ADT)として行われてきた電圧の印加が、Pt/Pd/C触媒の活性を向上させる結果をもたらすことが開示されている。また特許文献1には、Pt/Pd/C触媒に、Ptの酸化物還元開始電位よりも高い電位と、Ptの酸化物生成開始電位よりも低い電位とを繰り返し与えることによって、Pt/Pd/C触媒の活性が向上することも開示されている。
特許文献1に開示された具体的な電位付与方法は、プロトンを含む酸性溶液中に白金コアシェル触媒を分散し、酸化還元電位が当該白金コアシェル触媒の酸化物生成開始電位よりも低い金属を共存させながら、酸素供給下に撹拌するという方法であった。当該方法は全く新規な手法であり、一定の効果を得るものであったが、ORR活性のさらなる向上が期待されていた。
一方、特許文献2には白金合金の触媒とその製造方法が開示されている。特許文献2に開示された製造方法は、白金の有機金属錯体と金属塩化物を有機溶媒に分散してから、還元剤を加えて調製した混合溶液を加圧及び加熱して、2nm以下の径の白金合金ナノ粒子を合成する工程と、前記白金合金ナノ粒子を真空中300℃以上1000℃以下の温度で加熱(アニール)して、その直径を2nm以上100nm以下とする工程とを有する。特許文献2の発明では、白金合金ナノ粒子を合成した後に加熱(アニール)を行うことによって、合金粒子の粒子径を2nm以上100nm以下に調整し、特定の結晶形の白金合金粒子を得ることができると考えられている。
特開2015−398号公報 特開2015−17317号公報
J. Zhang et al., J. Phys. Chem. B, 108, 10955 (2004) J. Zhang et al., Angew. Chem., Int. Ed., 44, 2132 (2005) K. Sasaki et al., Angew. Chem. Int. Ed., 49, 8602 (2010)
本発明は、白金と白金以外の金属とを組み合わせて用いた白金触媒において、ORR活性に優れたカーボン担持白金触媒、及び、かかる触媒を得るための製造方法を提供することを目的とする。
発明者らは、Pt質量当たりの活性を示すORR質量活性(ORR mass activity:MA)は、ORR面積比活性(ORR specific activity:SA)と電気化学的表面積(Electro-Chemical Surface Area:ECSA)との積で表されることに着目し、SA及びECSAの両方を高めることによって、ORR質量活性を一層向上させることが可能であると考えた。そして、電位サイクル耐久性試験を経た白金コアシェル触媒の粒子の一部に凝集が生じていることを見出し、凝集を抑制することによってECSAの低下を抑止し、もってORR質量活性の向上を図ることに着想した。またさらなる検討によって、電位を付与する合計時間が同じであるとき、電位サイクル一回あたりの電位保持時間を長く、かつ、電位サイクルの回数を少なくすると、Pdコアの酸化溶出が維持されるとともに凝集が抑制されることを見出した。そして、白金コアシェル触媒を分散した酸性溶液中に所定の特性を有する気体を送入することによって、白金コアシェル触媒に持続的に電位を付与することが可能で、かかる処理を工業的に実現できることを確認し、本発明に至った。
さらに発明者らは検討を重ね、前述の方法はコアシェル構造の触媒に限定されず、白金と白金以外の金属とを含む白金触媒全般に適用可能であることを確認し、本願発明を完成した。なお本明細書では、触媒活性を有する物質として白金を利用する触媒をまとめて、白金触媒と称している。白金触媒には、白金コアシェル触媒と白金合金触媒との両方が含まれる。
またさらに発明者らは検討を重ね、前述の方法は、白金触媒に対して交互に持続的に一定の電位を付与することが要点であり、電位の付与方法としては、気体を送入することに限定されないことを見出し、さらなる本願発明を完成した。気体を送入する方法以外の方法として、具体的には、白金触媒を分散した酸性溶液中に、不活性ガスの存在下で、白金触媒の酸化物還元開始電位よりも低い酸化還元電位を有する金属を共存させる方法が見出された。
すなわち本発明は、
[1]白金と白金以外の金属とを含む燃料電池用の白金触媒の製造方法であって、プロトンを含む酸性溶液に白金触媒を分散した分散溶液中に、
(I)前記白金触媒の白金の酸化物生成開始電位よりも高い電位を与える化学種を存在させる工程と、
(II)前記白金触媒の白金の酸化物還元開始電位よりも低い電位を与える化学種を存在させる工程と、を含む、製造方法に関する。
また本発明は、
[2]前記工程(I)及び前記工程(II)を交互に複数回行う、[1]に記載の白金触媒の製造方法に関する。
[3]前記工程(I)及び前記工程(II)を、それぞれ所定の持続時間行う、[1]又は[2]に記載の白金触媒の製造方法に関する。
[4]前記所定の持続時間が、1分〜30分のいずれかの時間である、[3]に記載の白金触媒の製造方法に関する。
また本発明は、
[5]前記工程(I)及び前記工程(II)が、前記分散溶液中に、気体及び/又は固体を存在させる工程である、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の白金触媒の製造方法に関する。
また本発明は、
[6]前記工程(I)が、(A)前記白金触媒の白金の酸化物生成開始電位よりも高い電位を与える気体を送入する工程、であり、
前記工程(II)が、(B−1)前記白金触媒の白金の酸化物還元開始電位よりも低い電位を与える気体を送入する工程である、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の白金触媒の製造方法に関する。
また本発明は、
[7]前記工程(B−1)において、白金の酸化物還元開始電位よりも低い電位を与える気体が、水素である、[6]に記載の白金触媒の製造方法に関する。
また本発明は、
[8]前記工程(I)が、(A)前記白金触媒の白金の酸化物生成開始電位よりも高い電位を与える気体を送入する工程、であり、
前記工程(II)が、(B−2)前記白金触媒の白金の酸化物還元開始電位よりも低い電位を与える固体を前記分散溶液中に存在させながら、不活性気体を送入する工程である、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の白金触媒の製造方法に関する。
また本発明は、
[9]前記工程(B−2)において、白金の酸化物還元開始電位よりも低い電位を与える固体が銅であり、不活性気体が窒素ガスあるいはアルゴンガスである、[8]に記載の白金触媒の製造方法に関する。
さらに本発明は、
[10]前記工程(A)において、白金の酸化物生成開始電位よりも高い電位を与える気体が、酸素を含む気体である、[6]〜[9]のいずれか1項に記載の白金触媒の製造方法に関する。
[11]前記プロトンを含む酸性溶液が硫酸溶液である、[1]〜[10]のいずれか1項に記載の白金触媒の製造方法に関する。
[12]前記工程(I)と、前記工程(II)との間に、(III)不活性ガスを送入する工程をさらに含む、[1]〜[11]のいずれか1項に記載の白金触媒の製造方法に関する。
また本発明は、
[13]前記白金触媒が、パラジウムを含有するコア粒子と、当該コア粒子の表面に形成された白金シェルとを有する白金コアシェル触媒である、[1]〜[12]のいずれか1項に記載の白金触媒の製造方法に関する。
[14]前記白金触媒が、白金と、パラジウム、コバルト、ニッケル、鉄又は銅との白金合金触媒である、[1]〜[12]のいずれか1項に記載の白金触媒の製造方法に関する。
また本発明は、
[15][1]〜[14]のいずれか1項に記載の方法によって製造された白金触媒に関する。
[16][1]〜[14]のいずれか1項に記載の方法によって製造された白金触媒を酸化還元反応の触媒として利用する燃料電池に関する。
さらに本発明は、
[17]燃料電池用の白金触媒の活性を向上させる方法であって、白金触媒を酸性溶液中に分散させて、
(1)白金触媒分散溶液に、不活性ガスを送入する工程と、
(2)白金触媒分散溶液に、水素を送入する工程と、
(3)白金触媒分散溶液に、不活性ガスを送入する工程と、
(4)白金触媒分散溶液に、酸素を送入する工程と、を順番に繰り返して複数回行う方法に関する。
さらに本発明は、
[18]燃料電池用の白金触媒の活性を向上させる方法であって、白金触媒を酸性溶液中に分散させて、
(101)白金触媒分散溶液に、不活性ガスを送入する工程と、
(102)白金触媒分散溶液に、不活性ガスを送入しながら、固体銅を存在させる工程と、
(103)前記工程(102)の固体銅を白金触媒分散溶液中から除去する工程と、
(104)白金触媒分散溶液に、酸素を送入する工程と、を順番に繰り返して複数回行う方法に関する。
本発明によれば、白金質量当たりの酸素還元活性(ORR質量活性:MA)が高い白金触媒を、工業的規模で量産可能な方法で処理することによって得ることができる。本発明の白金触媒は白金質量当たりの活性が高いため、白金の使用量を抑制することが可能となり、コスト及び環境面でも有利である。
シェルを構成する白金原子のADTによる構造変化を示す模式図である。 ADT前後におけるPt-Pt原子間距離のXAFS分析結果を示す。 ADT前後におけるPt/Pd/C触媒のTEM像を示す。 Pd/C及びPt/Cについて、初期、電位サイクル(3 秒×1,000 回)後、及び、電位サイクル(300 秒×10 回)後のサイクリックボルタモグラムを示す。 白金コアシェル触媒を分散した酸性溶液中に、水素(6分)、アルゴン(5分)、酸素(6分)を交互に送入した際の電位変化を示す。 実施例1、比較例1、参考例1の白金コアシェル触媒の形態を示すTEM像である。 実施例1、比較例1、参考例1の白金コアシェル触媒のORR質量活性を示す。 実施例2、比較例2、参考例2のPtPd/C合金触媒のORR質量活性を示す。 実施例3、比較例3のPtCo/C合金触媒のORR質量活性を示す。 アルゴン雰囲気の酸性溶液中に、銅シートを浸漬し、その後、硫酸銅を添加した際の銅シートの電位変化を示す。 実施例4、比較例4、参考例4のPt/Pd/Cコアシェル触媒のORR質量活性を示す。 実施例5、比較例5、参考例5のPtPd/C合金触媒のORR質量活性を示す。 実施例6、比較例6、参考例6のPtCo/C合金触媒のORR質量活性を示す。
本発明は第一に、白金触媒の製造方法に関する。本発明の製造方法は、白金触媒を分散した酸性溶液に複数種類の化学種を交互に、一定の持続時間をもって繰り返し送入することによって、白金触媒に対して所定の電位を繰り返し与える工程を含むことを特徴とする。当該工程は、白金触媒の製造における後処理工程であり、触媒の活性を向上させるための触媒活性向上処理工程である。当該工程によって、白金よりも低い酸化還元電位を有する異種金属(パラジウム、コバルト、ニッケル、鉄、銅等)の一部が酸化溶出するとともに、触媒粒子の表面では白金原子の再配列が起こり、さらに触媒粒子同士の凝集が抑制される。その結果、触媒のORR面積比活性が高くなり、かつ、電気化学的表面積が維持され、ORR質量活性の高い触媒が得られると考えられている。
従来の検討において、Pt/Pd/C触媒について電位サイクル耐久性試験(ADT、条件:0.6 V (3 s)/1.0 V (3 s)矩形波、Ar 飽和した80 ℃の0.1 M HClO4、10,000サイクル)を行うと、ORR 活性が大きく向上することが見出されている。
ADT前後のPt/Pd/C触媒について分析を行った結果、ADT後のPt/Pd/C触媒は、形状が丸く変化し平均粒径が減少すること、コアシェル構造が維持されていること、及び、Ptシェルが厚膜化していることがわかった。一例によれば、ADTによって、Pdコアの粒径は4.2nmから2.5nmに減少し、Ptシェルの厚みは1.1モノレイヤー(ML)相当から2.7ML相当に厚膜化したと見積もられた。
ORR活性が向上する原因は次のように考えられた。すなわちADT前のPt/Pd/C触媒の白金シェルは完全ではなく、多くの欠陥が存在している。ADTで高電位と低電位とが繰り返し印加されると、この欠陥部位を通して、酸化還元電位がPtに比べて低いPdコアが選択的に酸化溶出し、同時にPtシェル原子が再配列して厚膜化する。この過程で、ADT前にはPtシェルに存在した低配位数のPt原子が減少し、欠陥が少なく平滑なPtシェルに変化したことでORR活性が向上したと考えられた([図1]参照)。なお、低配位数のPt原子がORRに対して低活性であることは、公知である(例えば、H. A. Gasteiger et al., Appl. Catal. B Environ., 56, 9 (2005). M. Shao et al., Nano Lett., 11, 3714 (2011))。また、XAFS分析によってPt-Pt原子間距離を測定した結果、ADTによってPt-Pt原子間距離が減少しており、Ptシェルに圧縮応力が発生したことが確認された([図2]参照)。この圧縮応力発生によってPtシェルの電子状態が変化し、ORR活性が向上したと考えられた。
一方で、ADT前後におけるPt/Pd/C触媒のTEM像をよく観察すると、ADT後には、形状が丸く単独で存在する触媒粒子に加えて、凝集した触媒粒子も存在していることが確認された([図3]参照)。触媒粒子同士が凝集するとその電気化学的表面積が減少し、ORR質量活性の低下を招く。そのため、触媒粒子の凝集を抑制してECSAの減少を抑えつつ、ORR面積比活性を高めることによって、Pt/Pd/C触媒のORR質量活性を一層向上させることが可能であると考えられた。
Pt/Pd/C触媒粒子の凝集を抑制するための条件の検討として、カーボン担持Pdナノ粒子コア(Pd/C)とカーボン担持白金触媒(Pt/C)とをそれぞれ単独で使用し、上述した変化がどのようなADTプロトコルによって実現できるかを検討した。具体的には、電位保持時間の合計を一定として、0.6 V (3 s)/1.0 V (3 s)の矩形波、1,000サイクルで電位を付与した場合と、0.6 V (300 s)/1.0 V (300 s)の矩形波、10サイクルで電位を付与した場合とを比較した。するといずれの場合も、Pd/CのECSA(CVの電位範囲0.05V - 0.4Vに現れる水素吸脱着波より算出)は同程度に減少しており、Pdコアの酸化溶出は、電位サイクルの回数に大きく依存しないことが確認された。一方、Pt/Cの変化を見ると、PtのECSAは電位サイクル数の増加により減少したことが確認された([図4]参照)。すなわち、サイクル1回あたりの電位保持時間を長く、電位サイクル数を少なくすることで、Pdコアの酸化溶出を止めることなく、触媒粒子の凝集を抑制してECSAの低下を抑制することができることが確認され、かかる条件で処理することでPt/Pd/C触媒のORR質量活性を高めることが可能であると考えられた。
但し、上記の試験結果は、触媒を直径6 mmのGC電極(Glassy Carbon Electrode)上に塗布し、ポテンショスタットを用いて精密な電位制御により行った結果であり、工業的規模で実施するためには、別途の方法が必要である。
発明者らは既に、電位サイクル試験を模擬して高電位と低電位とを繰り返し付与でき、かつ、工業的に実施可能な方法として、プロトンを含む酸性溶液中に白金コアシェル触媒を分散し、酸化還元電位が当該白金コアシェル触媒の酸化物生成開始電位よりも低い金属(例えば銅)を共存させながら、酸素供給下に撹拌する方法を開発している(特許文献1)。しかしながら、当該方法では、酸性溶液中に分散された触媒粒子が、溶液中に配置された金属と衝突する瞬間に低電位が与えられ、酸素分子と衝突する瞬間に高電位が与えられる。つまり、高電位及び低電位が維持される時間は極めて短く、衝突時間(電位保持時間)を制御することは不可能であった。また、衝突回数(サイクル回数)を制御することも不可能であった。
これに対して本発明では、白金触媒に高電位及び低電位を繰り返し付与することが可能で、かつ、電位保持時間の制御が可能な工程として、プロトンを含む酸性水溶液中に白金触媒を分散し、当該溶液中に、高電位及び低電位を与えるための化学種をそれぞれ交互に存在させることが考案されたものである。
本発明の製造方法は、プロトンを含む酸性溶液に白金触媒を分散し、この分散溶液中に、(I)前記白金触媒の白金の酸化物生成開始電位よりも高い電位を与える化学種を存在させる工程と、(II)前記白金触媒の白金の酸化物還元開始電位よりも低い電位を与える化学種を存在させる工程と、を含むことを特徴とする。工程(I)は、典型的には、(A)前記白金触媒の白金の酸化物生成開始電位よりも高い電位を与える気体を送入する工程である。工程(II)は、典型的には、(B−1)前記白金触媒の白金の酸化物還元開始電位よりも低い電位を与える気体を送入する工程、或いは(B−2)前記白金触媒の白金の酸化物還元開始電位よりも低い電位を与える固体を前記分散溶液中に存在させながら不活性気体を送入する工程、である。
なお、本明細書において、工程(A)及び工程(B−1)を含む方法を「気体−気体法」、工程(A)及び工程(B−2)を含む方法を「固体−気体法」とそれぞれ称することがある。
本発明に用いる白金触媒としては、シェルが白金でありコアがパラジウム等の白金以外の金属である、コアシェル構造を有する触媒(白金コアシェル触媒)でもよく、白金と白金以外の金属との合金を含む白金合金触媒であってもよい。なお本明細書では、触媒活性を有する物質として白金を利用する触媒をまとめて、白金触媒と称している。白金触媒には、白金コアシェル触媒と白金合金触媒との両方が含まれる。
プロトンを含む酸性溶液としては、例えば、硝酸、硫酸、塩酸、過塩素酸等が挙げられるが、触媒を担持するカーボン担体への影響の少なさ、白金への影響の少なさ等から、硫酸であることが好ましい。濃度は例えば10 mM〜3 Mとすることができ、特に制限されないが、反応速度と電位制御の観点からは20 mM〜2.5 M程度とすることができる。また酸性溶液は通常水溶液であるが、必要に応じて、その他の溶媒や添加剤を含んでいてもよい。
前記(A)白金触媒の白金の酸化物生成開始電位よりも高い電位を与える気体を送入する工程に用いる気体としては、白金の酸化物生成開始電位が約0.7 Vであることから、白金触媒に0.7 Vよりも高い電圧を印加できる気体であれば制限されない。具体的には例えば、酸素が挙げられる。酸素としては、純酸素ガスを用いてもよいし、空気等の酸素を含有する気体を用いてもよく、酸素と不活性ガスとの混合ガスを用いてもよい。前記溶液中に酸素を送入した時、溶液中では下記式(1)の反応が生じ、白金触媒に持続的に電位1.23Vが付与される。なお、過電圧により、実際の測定電位は1.23Vより低くなることもある。
この工程において、温度及び気体の送入量は、反応速度、白金触媒粒子の量、送入する気体中の酸素分圧等に応じて適宜調整すればよく、特に制限されないが、例えば温度は10 ℃〜95 ℃、気体の送入量は溶液1 Lに対して10 ml/min.〜1,000 ml/min.とすることができる。
前記(B−1)白金触媒の白金の酸化物還元開始電位よりも低い電位を与える気体を送入する工程に用いる気体としては、白金の酸化物還元開始電位が約0.9 Vであることから、白金触媒に0.9 Vよりも低い電圧を印加できる気体であれば制限されない。このような気体としては例えば、水素が挙げられる。
水素ガスは、純水素ガスを用いても良いし、水素と不活性ガスとの混合ガスを用いてもよい。前記溶液中に水素ガスを送入した時、溶液中では、下記式(2)の反応が生じ、白金触媒に持続的に電位0.00 Vが付与される。なお、過電圧により、実際の測定電位は0.00 Vより高くなることもある。
この工程において、温度、気体の送入量及び送入時間は、反応速度や白金触媒粒子の量、送入する気体中の水素分圧等に応じて適宜調整すればよく、特に制限されないが、例えば温度は10 ℃〜95 ℃、気体の送入量は溶液1 Lに対して10 ml/min.〜1,000 ml/min.とすることができる。
前記(B−2)白金触媒の白金の酸化物還元開始電位よりも低い電位を与える固体を前記分散溶液中に存在させながら不活性気体を送入する工程に用いる固体としては、白金の酸化物還元開始電位が約0.9 Vであることから、白金触媒に0.9 Vよりも低い電圧を印加できる固体であれば制限されない。さらに、図4に示されるCVから、0.4 V付近ではPt酸化物の還元がほぼ完了し、かつ、水素の還元吸着も開始していないことがわかる。このため、低電位側では0.4 V程度を印加することがより好ましいと考えられる。このような電位を与える固体としては、例えば、金属銅(単に「銅」と記載することもある。)が挙げられる。銅としては、純度99.9 %より高い純度の金属銅を使用することが好ましい。不純物の存在は白金触媒を汚染させる。また、不純物として鉄が存在すると、燃料電池の作動中に固体高分子電解質膜を劣化させる触媒となる恐れがあるため、鉄の不純物には注意が必要である。また、加える金属銅の形状は、板状、シート状、網状、粒状その他のいずれの形状であっても良いが、表面積が大きく、かつ、白金触媒の分散液から素早く引き上げることができる形状(例えばシート状)であることが好ましい。
白金触媒分散液に銅を存在させながら、不活性ガスを送入することが好ましい。不活性ガスとしては、窒素ガスあるいはアルゴンガスであることが好ましい。溶液中に銅を配置し、不活性ガスを送入しながら撹拌を行うことによって、溶液中では、下記式(3)の反応が生じ、白金触媒に持続的に約0.3 Vの電位が付与される。なお、過電圧により、実際の測定電位は0.3 Vから変化することもある。
なお工程(B−2)を採用する場合には、白金触媒を分散した酸性溶液にCu2+イオンを含むことが好ましい。Cu2+イオンを与える物質としては、硫酸銅(CuSO4)、塩化銅(CuCl2)、酢酸銅(Cu(CH3COO)2)、硝酸銅(Cu(NO3)2)等が挙げられ、これらのCu塩を水溶液とすることによってCu2+イオンが解離し、式(3)で示した平衡電位が発生する。Cu2+イオン濃度は特に制限されるものではないが、例えば1 mM〜1000 mMとすることができ、反応速度と反応溶液の安定性等の観点からは10 mM〜500 mM程度とすることが好ましい。
前記工程(A)及び工程(B−1)又は(B−2)は、撹拌しながら行うことが好ましい。撹拌の方法は特に制限されず従来公知の方法で行うことができる。
工程(A)及び工程(B−1)又は(B−2)の持続時間はそれぞれ、所定の持続時間をもって行うことが好ましい。例えば、30秒〜100分とすることができ、1分〜60分とすることが好ましく、2分〜30分とすることがより好ましい。
また工程(A)及び工程(B−1)又は(B−2)は、工程(A)及び工程(B−1)又は(B−2)を交互に複数回繰り返して行うことが好ましい。繰り返しの回数は特に制限されないが、例えば10回〜10,000回とすることができる。繰り返し回数が過大になれば、白金触媒粒子の凝集が生じてECSAが減少し、ORR質量活性が低下するおそれがある。触媒粒子の凝集を抑制し、また、十分な反応を行う観点から、繰り返し回数は20 回〜500 回であることが好ましい。なお、工程(A)及び工程(B−1)又は(B−2)の繰り返しは、工程(A)、工程(B)のどちらから始めてもよい。但し、工程の終了時、酸性溶液中に酸化溶出した金属陽イオンを還元析出させないため、(A)の白金触媒の白金の酸化物生成開始電位よりも高い電位を与える気体を送入する工程で終了することが好ましい。
工程(A)及び工程(B−1)を含む製造方法においては、工程(A)及び工程(B−1)の間に、(C)不活性ガスを送入する工程をさらに含んでいることが好ましい。また、工程(A)及び工程(B−1)の繰り返しを始める前に、反応系内のガスを置換するために、不活性ガスを送入することが好ましい。特に、工程(B−1)から繰り返しを開始する場合には、一回目の工程(B−1)の前に不活性ガスを送入して、反応系内の空気中に存在する酸素を排出することが好ましい。不活性ガスとしては特に制限されないが例えばアルゴンガス、窒素ガス等が挙げられる。不活性ガスの流量等は適宜選択すればよく、特に制限されない。不活性ガスの送入持続時間は特に制限されないが、工程(A)及び工程(B−1)で使用されるガスが、十分不活性ガスで置換される時間であることが好ましい。
工程(A)及び工程(B−2)を含む製造方法においても、工程(A)及び工程(B−2)の間に(C)不活性ガスを送入する工程をさらに含んでいることが好ましい。また、工程(B−2)実施時以外は、固体銅を白金触媒分散溶液から除去する。特に、工程(A)実施時には、白金触媒分散溶液中に固体銅が存在してはならない。
すなわち、工程(A)及び工程(B−2)を含む製造方法においては、
(101)白金触媒分散溶液に、不活性ガスを送入する工程と、
(102)白金触媒分散溶液に、不活性ガスを送入しながら、固体銅を存在させる工程と、
(103)工程(102)の固体銅を白金触媒分散溶液中から除去する工程と、
(104)白金触媒分散溶液に、酸素を送入する工程と、を繰り返して行うことが好ましい。
また、工程(A)及び工程(B−2)の繰り返しを始める前に、反応系内のガスを置換するために、不活性ガスを送入することが好ましい。特に、工程(B−2)から繰り返しを開始する場合には、一回目の工程(B−2)の前に不活性ガスを送入して、反応系内の空気中に存在する酸素を排出することが好ましい。不活性ガスとしては特に制限されないが、前記と同じくアルゴンガス、窒素ガス等が挙げられる。不活性ガスの流量等は適宜選択すればよく、特に制限されない。不活性ガスの送入持続時間は、系内の酸素が不活性ガスで十分に置換される時間であれば特に制限されない。
上述の工程に供するための白金触媒としては、従来公知の白金触媒を用いることができ、白金コアシェル触媒又は白金合金触媒であることが好ましい。白金コアシェル触媒である場合、コア及び/又はシェルを生成させる方法は特に制限されない。上述の工程に供する白金コアシェル触媒は、上述の工程に供される直前に製造されてもよいし、予め製造された白金コアシェル触媒の仕上げ工程や後処理工程として、上述の工程を実施するのでもよい。
本発明の製造工程に供する白金コアシェル触媒は特に制限されないが、例えば次の製造方法によって製造することができる。
すなわち、炭素質担体に担持されたPdコア粒子は公知の合成法によって合成することが可能である。一例として、塩化パラジウム(PdCl2)、硝酸パラジウム(Pd(NO3)2)、酢酸パラジウム(Pd(CH3COO)2)、塩化パラジウム(II)ナトリウム・三水和物(Na2[PdCl4]・3H2O)、ジニトロジアンミンパラジウム(II)([Pd(NH3)2(NO2)2])等の水溶液、有機溶液、又はそれらの混合溶液中にカーボン担体を共存させ、パラジウムイオンを還元してカーボン担持Pdナノ粒子コアを得る方法がある。
Ptシェルの形成には、外部電源を使用した精密な電位制御と対極や参照極を必要としない、改良型Cu-UPD法を用いることが好ましい。改良型Cu-UPD法とは、Pd/Cコアを、Cuからなる固体が浸漬されたCu2+イオンを含有する酸性水溶液中に投入し、アルゴンや窒素等の不活性ガス雰囲気中で撹拌することで、Pdコア表面にCuからなる単原子膜を形成させる方法である。Cu単原子膜は必ずしも膜の全面が単原子膜からなる均一膜でなく、部分的に欠陥があるもの、あるいは部分的に二原子或いはそれ以上の重複が生じているものも含む。
改良型Cu-UPD法に用いられるCuからなる固体としては、少なくとも表面がCuで構成されており、Pdナノ粒子と接触した際にイオン化してCu2+イオンを生じる物体であれば制限されないが、例えば、Cuメッシュ、Cuワイヤ、Cu粒、Cu板、Cu塊等が挙げられる。
Cuイオンを含有する酸性水溶液に用いられるCu2+イオンを与える物質としては、硫酸銅(CuSO4)、塩化銅(CuCl2)、酢酸銅(Cu(CH3COO)2)、硝酸銅(Cu(NO3)2)等が挙げられ、これらのCu塩を水溶液とすることによってCu2+イオンが解離する。Cu2+イオン濃度は特に制限されるものではないが、例えば0.1 mM〜100 mMとすることができ、反応速度と反応溶液の安定性等の観点からは1 mM〜50 mM程度とすることが好ましい。
酸性溶液を与える酸としては、Cuを溶解可能であれば特に制限されないが、例えば、硝酸、硫酸、塩酸、過塩素酸等が挙げられ、濃度は10 mM〜1 Mとすることができ、反応速度とCu固体の電位制御の観点からは20 mM〜0.5 M程度とすることができる。
上記Cu固体を浸漬した上記のCuイオンを含む酸性溶液に、Pd/Cコアを投入し、例えば、5 ℃〜30 ℃において1〜50時間、不活性ガス通気下で撹拌を行うことによって、Pdコア粒子表面にCuの単原子膜が形成される。
続いて、得られたPdコア粒子表面のCuをPtと置換する。このステップは公知の置換めっき法で行うことができる。Ptイオンを与える物質としては、白金酸塩(K2PtCl4、K2PtBr4)、硝酸テトラアンミン白金(II)(Pt(NH3)4(NO3)2)、水酸化テトラアンミン白金(II)(Pt(NH3)4(OH)2)、テトラアンミン白金(II)クロリド(Pt(NH3)4Cl2)、ビス(エチレンジアミン)白金(II)クロリド([Pt(NH2CH2CH2NH2)2]Cl2)、ジニトロジアンミン白金(II)(Pt(NH3)2(NO2)2)等が挙げられる。
Cuからなる単原子膜を、Pt置換するステップは、前述のCu固体を浸漬した上記のCuイオンを含む酸性溶液から、Cu固体を除いた後、前記のPtを含む化合物を水溶液に添加し、撹拌することで行うことができる。Pt化合物の添加は、Cu固体を取り除いた後、可能な限り時間をあけずに行うことが好ましい。操作の過程で大気中の酸素が溶液中に侵入すると、Pdコア上に生成したCu単原子膜が酸化溶解するため、Cu固体を取り除いた後、直ちに白金化合物を添加することが好ましい。反応時間、温度は適宜選択することができるが、例えば、5 ℃〜30 ℃において1分〜50時間、より好ましくは1分〜1時間であり、不活性ガス通気下、撹拌しながら行うことが好ましい。
前記の方法によって得られた白金コアシェル触媒は、必要に応じて、公知の方法によって洗浄、乾燥等を行う。前述のステップの他、必要に応じて分離、精製、洗浄工程等を含むこともできる。
続いて、得られた触媒を、本発明の特徴である既述の工程(触媒活性向上処理工程)に供して、本発明の白金コアシェル触媒を得る。
また本発明の製造方法で得られる白金コアシェル触媒のPdコア粒子には、Pd以外の他種元素、例えば銀、銅、ニッケル等の金属を含んでいてもよい。また、本発明の効果に影響を与えない範囲で他の物質を含んでいてもよく、製造の過程で使用される添加剤(還元剤、微粒子化剤等)の残渣或いは一部を含んでいてもよい。
本発明の製造方法で得られる白金コアシェル触媒のPdコア粒子の粒径は3.0 nm〜7.0 nmが適する。粒径3.0 nm未満のPdコア粒子を使用した場合、白金コアシェル触媒の粒径が小さくなり、電位変動による凝集が生じやすくなる問題がある。一方、粒径が7.0 nmを超えると白金コアシェル触媒の粒径が大きくなり、電位変動によって触媒粒子が多孔質化し、ORR活性が高まらない問題がある。なお、Pdコア粒子の粒径は、TEM像から求めた平均粒径、或いはPdの(220)面のX線回折ピークにシェラー式を適用して算出した値を意味している。
本発明の製造方法で得られる白金コアシェル触媒のPtシェルの平均的厚みは、単原子層(1 ML相当)〜三原子層(3 ML相当)、すなわち0.3 nm〜0.9 nm程度であることが好ましい。酸素還元触媒として活性を発揮するPt原子は、シェルの最外層(最表面)に位置するPt原子のみであるが、耐食性の観点からPt単原子層では不十分と考えられる。本発明により、Ptシェル原子が再配列して厚膜化することは耐食性の点から重要であり、二原子層〜三原子層のPtシェル厚みが適している。三原子層を超えるPtシェルでは、酸素還元反応に関与しないPt原子が増加し、ORR質量活性の低下を招く。白金コアシェル触媒におけるPtシェルは、Ptのみからなってもよいし、PdとPtが混在していてもよいし、Pt-Pd合金シェルでも良い。またPd以外の異種金属との合金シェルであってもよい。異種金属としては、白金よりも酸化還元電位が低い金属が好ましく、例えば銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)が挙げられる。
なお、本発明の特徴である製造工程では、白金コアシェル触媒のコアのPdが酸化溶出するとともに、シェルのPt原子が酸化還元を繰り返しながら再配列されると考えられている。ゆえに本発明の工程に供する前のPt/Pd/C触媒は、Ptシェルに若干の欠陥を有していてもよいと考えられる。
一方、白金触媒がコアシェル構造を有さない白金合金触媒である場合、白金と組み合わせて用いられる異種金属としては、パラジウム、コバルト、ニッケル、鉄、銅等が好ましく挙げられ、具体的には、カーボン担持白金パラジウム合金触媒(以後、PtPd/C触媒と記載することがある。)、カーボン担持白金コバルト合金触媒(以後、PtCo/C触媒と記載することがある。)等が挙げられる。
白金合金触媒の製造方法としては例えば、白金の塩又は錯体と、白金以外の金属(例えばパラジウム、コバルト等)の塩又は錯体とを溶媒に溶解し、還元剤により液中で加熱還元する方法があるが、製造方法は特に制限されず公知の方法を用いることができる。本発明に供される白金合金触媒は、触媒活性向上処理工程に供される直前に製造されてもよいし、予め製造された白金合金触媒の仕上げ工程や後処理工程として、前述の工程を実施するのでもよい。
公知の方法で製造された白金合金触媒に対して本発明の特徴である触媒活性向上処理を行うことによって、白金原子と異種金属原子とが混在する触媒表面から選択的に異種金属原子が溶出するとともに、触媒表面に存在する白金原子の再配列が生じると考えられる。この過程で触媒表面に白金原子が集積し、かつ低配位数の白金原子が減少することによって、高いORR質量活性を得られるものと考えられる。
本発明の白金触媒は、炭素質材料からなる担体の表面に分散されて担持されていることが好ましく、担体である炭素質材料としては、カーボンブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、カーボンナノチューブ等が挙げられる。また、炭素質材料の酸化劣化の観点から、耐酸化性の高い酸化錫(SnOx)や酸化チタン(TiOx)などの金属酸化物担体を使用してもよく、炭素質担体と金属酸化物担体とを混合して使用してもよい。担体は、比表面積が10〜1000 m2/g程度であることが好ましい。白金触媒は、主に静電的相互作用によって担体の表面に担持されていると考えられるが、より強固に担持させて担体表面からの触媒の脱落を低減するためには、白金触媒と担体との間に化学的結合を形成して担持することもできる。
以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
1.気体−気体法による活性向上処理
[実施例1]Pt/Pd/Cコアシェル触媒
(i)Pd/Cコアの作製
1.4×10-3モルのPd(NO3)2を純水300 mlに溶解させた。この水溶液にカーボン担体(Ketjen Black EC 300J, 比表面積800 m2/g)0.35 gを超音波分散させた後、ホットスタラーで水分を蒸発させた。次に、カーボン担体にPd(NO3)2を担持させた試料を、水素ガスを用いて400 ℃で1時間還元した。水素還元処理後、Pd粒子内に吸蔵した水素を除去するため、窒素雰囲気中、300 ℃で1時間処理してカーボン担持Pdコアを得た。
(ii)Pd/Cコアの分析
作製したPd/CコアをTEM(日本電子株式会社製、JEM2100F)で観察した結果、カーボン担体に担持されたPd微粒子が確認された。TEM像中の200個のPdコア粒子の直径を測定した結果、平均粒径は4.6 nmであった。また、金属Pdの担持率を熱重量分析(リガク製、Thermo Plus TG-8120)で調べた結果、30.6 wt.%であった。
(iii)Pd/Cコア上へのPtシェルの形成
担持率30.6 wt.%、粒径4.6 nmのPd/Cコア100 mgを、濃度50 mMのH2SO4と濃度10 mMのCuSO4を含む300 mlの水溶液中に分散させた。Arを500 ml/min.の流量で流し、Cuメッシュを水溶液中に共存させた後、5 ℃で5時間撹拌してPdコア粒子表面にCuシェルを形成した。その後、Cuメッシュを水溶液から除去し、予めArバブリングして溶存酸素を除去したK2PtCl4水溶液を2 mMの濃度となるよう直ちに加え、Cuシェル層をPtシェル層に置換してPt/Pd/C コアシェル触媒を得た。生成したPt/Pd/C コアシェル触媒を濾別し、純水300 ml中に再分散して30分間撹拌した後、濾別した。この操作を3回繰り返してPt/Pd/C コアシェル触媒を洗浄した。その後、大気中60 ℃のオーブンで6時間乾燥した。
(iv)Pt/Pd/C触媒の分析
得られたPt/Pd/C触媒の組成を、XRF(SII社製、SEA1200VX)で分析した結果、Pt:Pd=33.5:66.5 (at.%)であった。Pd/Cコア粒子径(4.6 nm)とXRF組成分析値から算出したPtシェル層厚は1.3原子層相当であった。また、TEMで観察した結果、Pt/Pd/C触媒の平均粒径は5.4 nmであった。
(v)活性向上処理(気体−気体法)
前記で作製したPt/Pd/C触媒を、触媒活性向上処理に供した。すなわち、前記で作製したPt/Pd/C触媒0.1 gを濃度2 Mの硫酸水溶液150 mlを含むセパラブルフラスコ中で5分間超音波分散し、セパラブルフラスコを恒温槽に移して80 ℃で保持した。マグネティックスターラーを使用して分散液を撹拌しながら、先ず不活性ガスとしてアルゴンガスを500 ml/min.の流量で5分間流し、水素ガスを200 ml/min.で6分間流し、次に、不活性ガスとしてアルゴンガスを500 ml/min.の流量で5分間流した。その後、酸素ガスを200 ml/min.で6分間流した。このサイクルを30回繰り返した後、Pt/Pd/C触媒を濾別し、超純水300 mlに再分散して30分攪拌した。この操作を3回繰り返してPt/Pd/C触媒を洗浄した。その後、大気中60 ℃のオーブンでPt/Pd/C触媒を乾燥した。
上記で得たPt/Pd/C触媒を実施例1とした。
[電位の確認]
上記処理工程で、水素(6分)、アルゴン(5分)、酸素(6分)を交互に送入した際のPt/Pd/C触媒に印加される電位変化を確認した。直径6 mmのGC電極上にPt/Pd/C触媒のアルコール分散液を塗布乾燥し、濃度2 M、温度80 ℃の硫酸水溶液にGC電極を浸漬した。標準電極に可逆水素電極(Reversible Hydrogen Electrode: RHE)を用い、ガス送入によるPt/Pd/C触媒の電位変化を測定した。図5に示されるとおり、水素ガスを送入するとPt/Pd/C触媒の電位は0.03 V vs. RHE、酸素ガスを送入するとPt/Pd/C触媒の電位は0.93 V vs. RHEであった。本発明により、Ptの酸化物還元開始電位より低い電位(0.03 V vs. RHE)とPtの酸化物生成開始電位より高い電位(0.93 V vs. RHE)をそれぞれ継続的に印加できることが確認された。
[実施例2]PtPd/C合金触媒
(i)PtPd/C 合金触媒の作製
4.8×10-4モルのPt(C5H7O2)2(以下、(C5H7O2)を(acac)と表記する)と1.9×10-3モルのPd(acac)2をt−ブチルアミン1000 mlに溶解し、この溶液にカーボン担体(Vulcan XC-72R、比表面積250 m2/g)0.7 gを加えて超音波分散した。ホットスタラーで溶媒であるt−ブチルアミンを蒸発後、水素ガス(15%)/Arガス(85%)を用い、600℃で4時間還元してPtPd/C合金触媒を得た。
(ii)PtPd/C 合金触媒の分析
得られたPtPd/C 合金触媒をTEM(日本電子株式会社製、JEM2100F)で観察した結果、カーボン担体に担持されたPtPd微粒子が確認され、100個のPtPd合金粒子の直径を測定した結果、平均粒径は5.3 nmであった。金属PtPdの担持率を熱重量分析(リガク製、Thermo Plus TG-8120)で調べた結果、33.7 wt.%であった。また、PtPd/C触媒の組成をXRF(SII社製、SEA1200VX)で分析した結果,Pt:Pd=23.6:76.4 (at.%)であった。
(iii)活性向上処理(気体−気体法)
前記で作製したPtPd/C触媒を、触媒活性向上処理に供した。すなわち、前記で作製したPtPd/C触媒0.1 gを濃度2 Mの硫酸水溶液150 mlを含むセパラブルフラスコ中で5分間超音波分散し、セパラブルフラスコを恒温槽に移して80 ℃で保持した。マグネティックスターラーを使用して分散液を撹拌しながら、先ず不活性ガスとしてアルゴンガスを500 ml/min.の流量で5分間流し、水素ガスを200 ml/min.で6分間流し、次に、不活性ガスとしてアルゴンガスを500 ml/min.の流量で5分間流した。その後、酸素ガスを200 ml/min.で6分間流した。実施例1と同様に、水素(6分)、アルゴン(5分)、酸素(6分)を交互に送入することで、Ptの酸化物還元開始電位より低い電位(0.03 V vs. RHE)とPtの酸化物生成開始電位より高い電位(0.93 V vs. RHE)をそれぞれ継続的に印加できると考えられる。
このサイクルを30回繰り返した後、PtPd/C触媒を濾別し、超純水300 mlに再分散して30分攪拌した。この操作を3回繰り返してPtPd/C触媒を洗浄した。その後、大気中60 ℃のオーブンでPtPd/C触媒を乾燥した。
上記で得たPtPd/C触媒を実施例2とした。
[実施例3]PtCo/C 合金触媒
(i)PtCo/C 合金触媒の作製
30 mlのオレイルアミン(OAm)中にPt(acac)2とCo(acac)2をそれぞれ0.5×10-3モル溶解させ、N2雰囲気で30分間脱気を行った。その後、マントルヒーターで300℃に昇温し、1時間攪拌して金属イオンを還元してPtCoナノ粒子を得た。生成したPtCoナノ粒子をエタノールとヘキサンで3回洗浄し、最終的にヘキサンに再分散させた。次に、カーボン担体(Ketjen Black EC 300J, 比表面積800 m2/g)300 mgを300 mlのヘキサンに超音波分散し、このカーボン分散液にヘキサンに分散させたPtCoナノ粒子を加えて12時間撹拌し、カーボン担持PtCo合金触媒(PtCo/C)を得た。合成したPtCo/C合金触媒では、OAmがPtCoナノ粒子表面に化学結合しているため、その表面は電気化学的に不活性である。このOAmを除去し、さらにPtCo合金を規則相に転移させるため、H2 (15%)/Ar(85%)の還元雰囲気でPtCo/C合金触媒を900℃で1時間熱処理した。その後、1 MのH2SO4水溶液150 mlが入ったセパラブルフラスコに熱処理したPtCo/C触媒を150 mg加え、超音波分散後、大気中25℃で12時間撹拌した。触媒を純水で濾別洗浄し、大気中で乾燥した。最後に、この試料をH2 (15%)/Ar(85%)の還元雰囲気下、400℃で2時間熱処理した。
(ii)PtCo/C 合金触媒の分析
得られたPtCo/C合金触媒の組成をXRF(SII社製、SEA1200VX)で分析した結果、Pt:Co=51.5:48.5 (at.%)であった。触媒をTEM(日本電子株式会社製、JEM2100F)で観察した結果、カーボン担体に担持されたPtCo微粒子が確認され、100個のPtCo合金粒子の直径を測定した結果、平均粒径は6.3 nmであった。また、金属PtCoの担持率を熱重量分析(リガク製、Thermo Plus TG-8120)で調べた結果、26.7 wt.%であった。
(iii)活性向上処理(気体−気体法)
前記で作製したPtCo/C触媒を、触媒活性向上処理に供した。すなわち、前記で作製したPtCo/C触媒0.1 gを濃度2 Mの硫酸水溶液150 mlを含むセパラブルフラスコ中で5分間超音波分散し、セパラブルフラスコを恒温槽に移して80 ℃で保持した。マグネティックスターラーを使用して分散液を撹拌しながら、先ず不活性ガスとしてアルゴンガスを500 ml/min.の流量で5分間流し、水素ガスを200 ml/min.で6分間流し、次に、不活性ガスとしてアルゴンガスを500 ml/min.の流量で5分間流した。その後、酸素ガスを200 ml/min.で6分間流した。実施例1と同様に、水素(6分)、アルゴン(5分)、酸素(6分)を交互に送入することで、Ptの酸化物還元開始電位より低い電位(0.03 V vs. RHE)とPtの酸化物生成開始電位より高い電位(0.93 V vs. RHE)をそれぞれ継続的に印加できると考えられる。
このサイクルを30回繰り返した後、PtCo/C触媒を濾別し、超純水300 mlに再分散して30分攪拌した。この操作を3回繰り返してPtCo/C触媒を洗浄した。その後、大気中60 ℃のオーブンでPtCo/C触媒を乾燥した。
上記で得たPtCo/C触媒を実施例3とした。
[比較例1]
Pt/Pd/C触媒を、触媒活性向上処理工程を行わないこと以外は実施例1と同じ方法で作製し、比較例1とした。
[比較例2]
PtPd/C合金触媒を、触媒活性向上処理を行わないこと以外は実施例2と同じ方法で作製し、比較例2とした。
[比較例3]
PtCo/C合金触媒を、触媒活性向上処理を行わないこと以外は実施例3と同じ方法で作製し、比較例3とした。
[参考例1]
触媒活性向上処理工程の代わりに、次の条件で電位を付与したPt/Pd/C触媒を、参考例1とした。
すなわち、Pt/Pd/C触媒(触媒活性向上処理を行わないもの)をn-ヘキサノール中に超音波分散して懸濁液を調製した。その後、回転リングディスク電極のGC電極(直径6 mm)上に、Ptが14.1 μg/cm2になるよう塗布し、作用電極を作製した。作製した電極をアルゴンガス飽和した、80 ℃、濃度0.1 MのHClO4水溶液に浸漬し、可逆水素電極(RHE)に対して0.05 V (300 s) - 1.0 V (300 s)の矩形波を30サイクルPt/Pd/C触媒に付与した。
[参考例2]
触媒活性向上処理工程の代わりに、次の条件で電位を付与したPtPd/C触媒を、参考例2とした。
すなわち、PtPd/C触媒(触媒活性向上処理を行わないもの)をn-ヘキサノール中に超音波分散して懸濁液を調製した。その後、回転リングディスク電極のGC電極(直径6 mm)上に、Ptが14.1 μg/cm2になるよう塗布し、作用電極を作製した。作製した電極をアルゴンガス飽和した、80 ℃、濃度0.1 MのHClO4水溶液に浸漬し、可逆水素電極(RHE)に対して0.05 V (300 s) - 1.0 V (300 s)の矩形波を30サイクルPtPd/C触媒に付与した。
[評価]
前記実施例、比較例及び参考例の触媒について、形態及び触媒活性の評価を行った。
[形態]
実施例1、比較例1及び参考例1の触媒粒子の形態をTEMで観察した。TEM像を図6に示す(比較例1:上段左、参考例1:上段右、実施例1:下段)。図6に示されるとおり、実施例1の白金コアシェル触媒は、粒子形態が丸みを帯び、また、触媒粒子の凝集が抑制されていることが確認された。一方、比較例1の白金コアシェル触媒には角張った形態が見られた。参考例1の白金コアシェル触媒は、粒子が丸みを帯び、凝集の発生は穏やかであった。
[触媒活性の評価]
実施例1〜3、比較例1〜3及び参考例1、2の各触媒のORR活性を、回転ディスク法で評価した。回転リングディスク電極のGC電極(直径6 mm)上に、Ptが14.1 μg/cm2になるよう各触媒を塗布し、作用電極を作製した。作製した作用電極をアルゴンガス飽和した、25 ℃、濃度0.1 MのHClO4水溶液に浸漬し、標準電極に可逆水素電極(RHE)、対極にPt線を使用し、電位幅0.05 V〜1.2 V、電位掃引速度50 mV/sでサイクリックボルタモグラム(CV)を測定した。得られたCVの水素脱着波から、各触媒の電気化学的表面積(Electro-Chemical Surface Area: ECSA)を算出した。その後、酸素ガスに置換し、GC電極を1,600 rpmで回転させながら電位幅0.05 V〜1.0 V、電位掃引速度10 mV/sで分極曲線を測定した。得られた分極曲線から、0.9 Vの酸素還元電流値と0.4 Vでの限界電流値から活性化支配電流(ik)を求めた。得られたikをECSAとPt重量でそれぞれ除することにより、ORR面積比活性(Specific Activity: SA)とORR質量活性(Mass Activity: MA)を算出した。算出したECSA、ORR面積比活性(SA)及びORR質量活性(MA)を下記表1〜表3に示す。
表1に示されるとおり、実施例1、参考例1ともに電気化学的表面積(ECSA)の低下は生じているものの実施例1と参考例1のECSA低下は同レベルに抑制されていた。ORR面積比活性(SA)は、実施例1、参考例1ともに、比較例1の2 倍以上であった。ECSAとSAの積で算出されるORR質量活性(MA)は、実施例1、参考例1ともに、比較例1の約1.5 倍に向上した。
ORR質量活性の比較グラフを図7に示す。図7に示されるとおり、実施例1のPt/Pd/C触媒は、比較例1の触媒と比較して、ORR質量活性が約1.5倍向上した。また、実施例1のPt/Pd/C触媒は、参考例1の触媒と同等のORR質量活性を示した。前記の評価結果は、GC電極を用いた電位付与でPt/Pd/C触媒に生じる触媒活性の向上現象を、本発明の方法によって再現できていることを示すものである。
表2に示されるとおり、実施例2、参考例2ともに比較例2に比べて電気化学的表面積の低下が生じているものの、ORR面積比活性は、実施例2は比較例2の約1.9 倍であった。電気化学的表面積とORR面積比活性の積から算出されるORR質量活性は、実施例2、参考例2ともに、比較例2の約1.9 倍に向上した。
ORR質量活性の比較グラフを図8に示す。図8に示されるとおり、実施例2のPtPd/C触媒は、比較例2の触媒と比較して、ORR質量活性が約1.9倍向上した。また、実施例2のPtPd/C触媒は、参考例2の触媒と同等のORR質量活性を示した。前記の評価結果は、GC電極を用いた電位付与でPtPd/C触媒に生じる触媒活性の向上現象を、本発明の方法によって再現できていることを示すものである。
表3に示されるとおり、実施例3のPtCo/C合金触媒のORR質量活性は、触媒活性向上処理を行わない比較例3と比較して、約1.3倍に向上した。ORR質量活性の比較グラフを図9に示す。図9に示されるとおり、実施例3のPtCo/C触媒は、比較例3の触媒と比較して、ORR質量活性が約1.3倍向上した。
2.固体−気体法による活性向上処理
[実施例4]Pt/Pd/Cコアシェル触媒
(i)Pt/Pd/Cコアシェル触媒の作製
活性向上処理以外の工程は、実施例1と同様の方法として、Pt/Pd/C触媒を得た。続いて次の活性向上処理を行った。
(ii)活性向上処理(固体−気体法)
作製したPt/Pd/C触媒を、触媒活性向上処理(固体−気体法)に供した。すなわち、前記で作製したPt/Pd/C触媒0.2 gを、濃度2 Mの硫酸及び0.1 Mの硫酸銅を含む水溶液800 mlを入れたセパラブルフラスコ中で5分間超音波分散し、セパラブルフラスコを恒温槽に移して80 ℃で保持した。マグネティックスターラーを使用して分散液を撹拌しながら、先ず不活性ガスとしてアルゴンガスを500 ml/min.の流量で20分間流した。次に、アルゴンガスを500 ml/min.の流量で流しながら溶液中に銅シートを浸漬し、撹拌しながら5分間保持した。5分後に銅シートを引き上げ、アルゴンガスを停止した。次いで、酸素ガスを200 ml/min.で6分間流した。このサイクルを30回繰り返した後、Pt/Pd/C触媒を濾別し、超純水300 mlに再分散して30分攪拌した。この操作を3回繰り返してPt/Pd/C触媒を洗浄した。その後、大気中60 ℃のオーブンでPt/Pd/C触媒を乾燥した。
上記で得たPt/Pd/C触媒を実施例4とした。
[電位の確認]
上記処理工程で、80 ℃で保持した濃度2 Mの硫酸水溶液にアルゴンガスを500 ml/min.の流量で流し、銅シートを浸漬して対極に白金線、標準電極に可逆水素電極(Reversible Hydrogen Electrode: RHE)を用いて銅シートの電位を測定し、その結果を図10に示す。銅シートを2 Mの硫酸に浸漬した場合、その電位は0.14 V vs. RHEであるが、0.1 Mの硫酸銅を添加すると銅シートの電位は0.26 V vs. RHEに上昇して安定することがわかる。銅シートを除去し、酸素ガスを導入した場合では、前述した気体−気体処理と同様の酸素電位である0.93 V vs. RHEがPt/Pd/C触媒に印加される。したがって、本発明による固体−気体法により、Ptの酸化物還元開始電位より低い電位(0.26 V vs. RHE)とPtの酸化物生成開始電位より高い電位(0.93 V vs. RHE)をそれぞれ継続的に印加できることが確認された。
[実施例5]PtPd/C合金触媒
(i)PtPd/C合金触媒の作製
活性向上処理以外の工程は実施例2と同様の方法として、PtPd/C合金触媒を得た。
(ii)活性向上処理(固体−気体法)
作製したPtPd/C合金触媒を、触媒活性向上処理(固体−気体法)に供した。すなわち、前記で作製したPtPd/C合金触媒0.2 gを、濃度2 Mの硫酸及び0.1 Mの硫酸銅を含む水溶液800 mlを入れたセパラブルフラスコ中で5分間超音波分散し、セパラブルフラスコを恒温槽に移して80 ℃で保持した。マグネティックスターラーを使用して分散液を撹拌しながら、先ず不活性ガスとしてアルゴンガスを500 ml/min.の流量で20分間流した。次に、アルゴンガスを500 ml/min.の流量で流しながら溶液中に銅シートを浸漬し、撹拌しながら5分間保持した。5分後に銅シートを引き上げ、アルゴンガスを停止した。次いで、酸素ガスを200 ml/min.で6分間流した。このサイクルを30回繰り返した後、PtPd/C合金触媒を濾別し、超純水300 mlに再分散して30分攪拌した。この操作を3回繰り返してPtPd/C合金触媒を洗浄した。その後、大気中60 ℃のオーブンでPtPd/C合金触媒を乾燥した。
上記で得たPtPd/C合金触媒を実施例5とした。
[実施例6]PtCo/C合金触媒
(i)PtCo/C合金触媒の作製
活性向上処理以外の工程は実施例3と同様の方法として、PtCo/C合金触媒を得た。
(ii)活性向上処理(固体−気体法)
作製したPtCo/C合金触媒を、触媒活性向上処理(固体−気体法)に供した。すなわち、前記で作製したPtCo/C合金触媒0.2 gを、濃度2 Mの硫酸及び0.1 Mの硫酸銅を含む水溶液800 mlを入れたセパラブルフラスコ中で5分間超音波分散し、セパラブルフラスコを恒温槽に移して80 ℃で保持した。マグネティックスターラーを使用して分散液を撹拌しながら、先ず不活性ガスとしてアルゴンガスを500 ml/min.の流量で20分間流した。次に、アルゴンガスを500 ml/min.の流量で流しながら溶液中に銅シートを浸漬し、撹拌しながら5分間保持した。5分後に銅シートを引き上げ、アルゴンガスを停止した。次いで、酸素ガスを200 ml/min.で6分間流した。このサイクルを30回繰り返した後、PtCo/C合金触媒を濾別し、超純水300 mlに再分散して30分攪拌した。この操作を3回繰り返してPtCo/C合金触媒を洗浄した。その後、大気中60 ℃のオーブンでPtCo/C合金触媒を乾燥した。
上記で得たPtCo/C合金触媒を実施例6とした。
[比較例4]
Pt/Pd/C触媒を、触媒活性向上処理工程を行わないこと以外は実施例4と同じ方法で作製し、比較例4とした。
[比較例5]
PtPd/C合金触媒を、触媒活性向上処理を行わないこと以外は実施例5と同じ方法で作製し、比較例5とした。
[比較例6]
PtCo/C合金触媒を、触媒活性向上処理を行わないこと以外は実施例6と同じ方法で作製し、比較例6とした。
[参考例4]
実施例4の触媒活性向上処理の代わりに、次の条件で電位を付与したPt/Pd/C触媒を、参考例4とした。
すなわち、Pt/Pd/C触媒(触媒活性向上処理を行わないもの)をn-ヘキサノール中に超音波分散して懸濁液を調製した。その後、回転リングディスク電極のGC電極(直径6 mm)上に、Ptが14.1 μg/cm2になるよう塗布し、作用電極を作製した。作製した電極をアルゴンガス飽和した、80 ℃、濃度0.1 MのHClO4水溶液に浸漬し、可逆水素電極(RHE)に対して0.4 V (300 s) - 1.0 V (300 s)の矩形波を30サイクルPt/Pd/C触媒に付与した。
[参考例5]
実施例5の触媒活性向上処理の代わりに、参考例4と同様の条件で電位を付与したPtPd/C合金触媒を、参考例5とした。
[参考例6]
実施例6の触媒活性向上処理の代わりに、参考例4と同様の条件で電位を付与したPtCo/C合金触媒を、参考例6とした。
[触媒活性の評価]
実施例4〜6、比較例4〜6及び参考例4〜6の各触媒のORR活性を、実施例1〜3と同様の回転ディスク法で評価した。算出したORR質量活性(MA)を図11〜13及び下記表4に示す。
表4に示されるとおり、実施例4〜6の触媒は、比較例4〜6に比べて、ORR質量活性が約1.5〜2.2倍に向上した。また、実施例4〜6の触媒は、参考例4〜6と同程度ないし参考例よりも優れたORR質量活性を示した。このことは、GC電極を用いた電位付与で生じる触媒活性の向上現象を、本発明の方法によって再現できていることを示すものである。

Claims (18)

  1. 白金と白金以外の金属とを含む燃料電池用の白金触媒の製造方法であって、プロトンを含む酸性溶液に白金触媒を分散した分散溶液中に、
    (I)前記白金触媒の白金の酸化物生成開始電位よりも高い電位を与える化学種を存在させる工程と、
    (II)前記白金触媒の白金の酸化物還元開始電位よりも低い電位を与える化学種を存在させる工程と、を含む、製造方法。
  2. 前記工程(I)及び前記工程(II)を交互に複数回行う、請求項1に記載の白金触媒の製造方法。
  3. 前記工程(I)及び前記工程(II)を、それぞれ所定の持続時間行う、請求項1又は2に記載の白金触媒の製造方法。
  4. 前記所定の持続時間が、1分〜30分のいずれかの時間である、請求項3に記載の白金触媒の製造方法。
  5. 前記工程(I)及び前記工程(II)が、前記分散溶液中に、気体及び/又は固体を存在させる工程である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の白金触媒の製造方法。
  6. 前記工程(I)が、(A)前記白金触媒の白金の酸化物生成開始電位よりも高い電位を与える気体を送入する工程、であり、
    前記工程(II)が、(B−1)前記白金触媒の白金の酸化物還元開始電位よりも低い電位を与える気体を送入する工程である、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の白金触媒の製造方法。
  7. 前記工程(B−1)において、白金の酸化物還元開始電位よりも低い電位を与える気体が、水素である、請求項6に記載の白金触媒の製造方法。
  8. 前記工程(I)が、(A)前記白金触媒の白金の酸化物生成開始電位よりも高い電位を与える気体を送入する工程、であり、
    前記工程(II)が、(B−2)前記白金触媒の白金の酸化物還元開始電位よりも低い電位を与える固体を前記分散溶液中に存在させながら、不活性気体を送入する工程である、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の白金触媒の製造方法。
  9. 前記工程(B−2)において、白金の酸化物還元開始電位よりも低い電位を与える固体が銅であり、不活性気体がアルゴンガスあるいは窒素ガスである、請求項8に記載の白金触媒の製造方法。
  10. 前記工程(A)において、白金の酸化物生成開始電位よりも高い電位を与える気体が、酸素を含む気体である、請求項6〜9のいずれか1項に記載の白金触媒の製造方法。
  11. 前記プロトンを含む酸性溶液が硫酸溶液である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の白金触媒の製造方法。
  12. 前記工程(I)と、前記工程(II)との間に、(III)不活性ガスを送入する工程をさらに含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の白金触媒の製造方法。
  13. 前記白金触媒が、パラジウムを含有するコア粒子と、当該コア粒子の表面に形成された白金シェルとを有する白金コアシェル触媒である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の白金触媒の製造方法。
  14. 前記白金触媒が、白金と、パラジウム、コバルト、ニッケル、鉄又は銅との白金合金触媒である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の白金触媒の製造方法。
  15. 請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法によって製造された白金触媒。
  16. 請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法によって製造された白金触媒を酸化還元反応の触媒として利用する燃料電池。
  17. 燃料電池用の白金触媒の活性を向上させる方法であって、白金触媒を酸性溶液中に分散させて、
    (1)白金触媒分散溶液に、不活性ガスを送入する工程と、
    (2)白金触媒分散溶液に、水素を送入する工程と、
    (3)白金触媒分散溶液に、不活性ガスを送入する工程と、
    (4)白金触媒分散溶液に、酸素を送入する工程と、を順番に繰り返して複数回行う方法。
  18. 燃料電池用の白金触媒の活性を向上させる方法であって、白金触媒を酸性溶液中に分散させて、
    (101)白金触媒分散溶液に、不活性ガスを送入する工程と、
    (102)白金触媒分散溶液に、不活性ガスを送入しながら、固体銅を存在させる工程と、
    (103)前記工程(102)の固体銅を白金触媒分散溶液中から除去する工程と、
    (104)白金触媒分散溶液に、酸素を送入する工程と、を順番に繰り返して複数回行う方法。
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