JP2021015723A - 白金コアシェル触媒、その製造方法、及び検査方法 - Google Patents

白金コアシェル触媒、その製造方法、及び検査方法 Download PDF

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Abstract

【課題】触媒活性にばらつきが少なく、かつ、高活性の燃料電池触媒を提供することを目的とする。【解決手段】固体高分子形燃料電池のカソード触媒として適した白金コアシェル触媒の触媒活性を、サイクリックボルタンメトリーを実施することにより、高活性を有する触媒を選抜し、ばらつきが少なく、高活性な燃料電池触媒及びその製造方法、並びに、前記選抜を行うための燃料電池触媒の検査方法が提供される。【選択図】なし

Description

本発明は、固体高分子形燃料電池においてカソード触媒として適した、白金コアシェル触媒の触媒活性の検査並びに検査結果を利用して提供される白金コアシェル触媒、その製造方法、及び検査方法に関する。
固体高分子形燃料電池(PEFC)は、アノードで水素酸化反応(HOR)を、カソードで酸素還元反応(ORR)を起こすことにより発電し、水のみを生成するクリーンエネルギーデバイスである。アノード触媒やカソード触媒には、触媒活性が高く、腐食を受けにくい白金を用いた触媒が使用されている。
PEFCの普及に対してシステム全体はもとより、特に、電極触媒のコストの低減が最も重要視されている。燃料電池触媒に用いられる白金は、その希少性から価格が高くコスト低減を阻害している。酸性条件下ではORRはHORと比べて非常に反応速度が遅いため、白金は主にカソードに多く使用されている。そこで白金の利用率、活性及び耐久性を向上させて、カソードの白金使用量を低減させるための種々の検討が進められている。その検討の結果物の一つとして、白金以外の元素上に白金を被覆してなる白金コアシェル触媒がある。
白金コアシェル触媒の一つとして、コアにパラジウム(Pd)を用いるパラジウムコア白金シェル担持カーボン触媒(以下、Pt/Pd/C)が知られている。非特許文献1及び非特許文献2には、コア金属としてPdを使用した場合、PEFCでのORR活性が高まることが開示されている。Pdの格子定数(0.3890 nm)はPt(0.3923 nm)よりも小さいため、Pdコア上にPtシェルには僅かな圧縮応力が発生する。この圧縮応力によって、Ptシェル表面で酸素還元反応が進行しやすい状況が実現され、ORR活性が高まったものと考えられている。
Pt/Pd/Cは、Pdナノ粒子をカーボン上に担持したPd/Cコア材料のPd表面にPtシェルを形成することで得られる。工業的に実施可能なPtシェルの形成方法として種々の方法が開示されている。非特許文献3には金属CuとPd/Cを酸性溶液中に共存させて、Pd表面にCuを1原子層析出させ、CuとPtを置換してPtシェルを得る改良型Cu-UPD法が開示されている。また非特許文献4にはPdとPtの酸化還元電位差を利用して、Pdの酸化によってPtを還元してPtシェルをPd表面上に形成する直接置換法が開示されている。
しかしこれらの作製方法で形成されたPt/Pd/Cは、Ptシェルに原子レベルの欠陥を多く有しており、Ptと比較してORR活性の低いPdが露出している。Ptシェルに欠陥があると、上記したORR活性が高まるメカニズムであるPtシェルへの圧縮応力が緩和される。そのためPtシェル形成直後のPt/Pd/Cは、Ptナノ粒子がカーボンに担持された触媒(Pt/C)と比較してORR活性は高いものの、白金使用量を大きく低減できるほどの高いORR活性が得られない。非特許文献5には耐久性の観点からもPtシェルに欠陥が残っているとPEFCでの使用環境下で、コアとなるPdの溶出が起きて、Pdが固体高分子膜内で再析出を起こし、膜の劣化が進行することが開示されている。
そこでこれらの方法で作製されたPt/Pd/CのPtシェルの欠陥を消失させ、ORRに対して最適な圧縮応力をPtシェル表面に与えるため、特許文献1には、電位サイクルや種々のガス供給によってPt/Pd/Cに繰り返し酸化還元反応を与えてORR活性を向上させる方法(以下、高活性化処理)が開示されている。
特開2017−29967号公報
J. Zhang et al., J. Phys. Chem. B, 108, 10955 (2004) J. Zhang et al., Angew. Chem., Int. Ed., 44, 2132 (2005) Naoya Aoki et al., Electrocatalysis (2018) 9:125-138 平成30年度NEDO次世代電池・水素部成果報告会 K. Sasaki et al., Angew. Chem. Int. Ed., 49, 8602 (2010)
前記のような種々の製法でPt/Pd/Cを作製し、高活性化処理を実施したPt/Pd/Cは、Pt/C又は前記の高活性化処理の施されていないPt/Pd/Cと比較して高いORR活性を有するものの、一般的に、ロット間でのORR活性のばらつきが大きい。そこで本発明は、このようなばらつきを的確に検知することによりORR活性のより高いPt/Pd/Cを選別することを可能にし、ばらつきが少なく、より高活性な燃料電池触媒及びその製造方法を提供すること、並びに前記検知のためのPt/Pd/Cの検査方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、Pt/Pd/Cを作製し、そのORR活性を電気化学測定によって評価してきた。その結果、例えば、前記特許文献1に記載された高活性化処理後のPt/Pd/CのORR質量活性(ORR Mass Activity:MA)がロット間で大きくばらつくことを発見した。特許文献1はここに引用することによりその記載事項は本明細書の内容となる。MAは、ORR面積比活性(ORR Specific Activity:SA)と電気化学的表面積(Electro-Chemical Surface Area:ECSA)の積であることから、MAのばらつきがSAのばらつきに起因することを見出した。なお、このようなばらつきは、前記の高活性化処理が工業的に実施可能な酸化および還元ガスを使った、気体、液体および固体を使用するため反応形態が非常に複雑になることによるものと考える。
SAは、ORRがPt/Pd/Cの最外表面の白金上で起きるため、白金シェルの構造に大きく依存する。こうして、本発明者らは白金シェル構造によって大きく変化する白金シェル表面への水素の吸着脱離挙動に着目した。水素の脱離挙動は、電気化学的に評価することができ、電位掃引して測定される電流値をプロットして得られるサイクリックボルタモグラム(Cyclic Voltammogram(以下、CV))の波形から知ることができる。CVから得られる水素脱離波の形状に着目して、その形状を定量化した形状係数と、SAとの間に相関性が存在することを確認して本発明に至った。
より具体的には、燃料電池触媒の検査方法であって、パラジウムの表面に少なくとも白金原子を被覆させた金属粒子を担持する燃料電池触媒について、サイクリックボルタンメトリーを実施し、該サイクリックボルタンメトリーにおける電位Eとファラデー電流Iの関係を表すピーク関数I(E)の形状に基づいて、前記ピーク関数I(E)の形状を数値化した形状係数とSAとの間に相関性が存在するので、当該形状係数に基づいて、前記燃料電池触媒の合否判定を行うことが可能である。このような合否判定は、上記の特許文献1に記載された高活性化処理後のPt/Pd/Cに適用できるだけでなく、本発明の目的上適当であるなら、前記処理前のものや当該技術分野で提供されるその他のPt/Pd/Cにも適用できる。
さらに、前記検査方法で得られる知見又は前述の合否判定の結果を利用することにより、ORR活性のばらつきが小さく、かつ、ORR活性のより高いPt/Pd/C触媒及びその製造方法を提供することができる。
したがって、限定されるものでないが、本発明の主たる態様として次のものを挙げることができる。
態様1:
パラジウムの表面に少なくとも白金原子を被覆させた金属粒子を担持する燃料電池触媒のサイクリックボルタンメトリーを実施し、該サイクリックボルタンメトリーにおける電位Eとファラデー電流Iの関係を表すピーク関数I(E)の形状に基づいて、前記ピーク関数I(E)の形状を数値化した形状係数を算出し、こうして得られる形状係数の値に基づいて、前記燃料電池触媒の合否判定を行うことを特徴とする、燃料電池触媒の検査方法。
態様2:
態様1に記載の検査方法であって、前記形状係数は、前記ピーク関数I(E)、ファラデー電流Iの値が0となる前記ピーク関数I(E)のピーク両端の電位Ea及びEbに基づいて、数式1により前記ピーク関数I(E)を正規化した正規化ピーク関数f(E)、該正規化ピーク関数f(E)に基づいて数式2によって定義されるピーク関数f(E)の重心E0と、数式3によって定義される2次モーメントM2数式4によって定義される3次モーメントM3を用いて数式5によって定義される前記正規化ピーク関数f(E)の歪度であり、前記燃料電池触媒の前記歪度の値に基づいて前記燃料電池触媒の合否判定を行うことを特徴とする、検査方法。
態様3:
態様1又は2に記載の検査方法であって、前記ファラデー電流のピーク関数I(E)は前記金属粒子の表面に吸着した吸着水素原子の酸化に要する酸化電流のピーク関数であって、該酸化電流のピーク関数の前記歪度が算出される検査方法。
態様4:
態様3に記載の検査方法であって、前記酸化電流のピーク関数の前記歪度の値が0.10以上である。
態様5:
パラジウムの表面に少なくとも白金原子を被着させた金属粒子を担持する燃料電池触媒であって、態様3に記載の検査方法により検査した場合に算出される酸化電流のピーク関数の前記歪度の値が0.10以上である、燃料電池触媒。
態様6:
パラジウムの表面に少なくとも白金原子を被覆させた金属粒子を担持する燃料電池触媒について、
態様3に記載の検査方法により検査した場合に算出される、酸化電流のピーク関数の前
記歪度の値に基づいて、前記燃料電池触媒が選別される工程を含むことを特徴とする燃料電池触媒の製造方法。
態様7:
Pd/Cコアを作製する工程と、Pd/CコアへのPtシェル形成を行い、Pt/Pd/Cを作成する工程と、態様3に記載の検査方法により前記歪度を測定する工程と、所定数値以下の歪度を持つPt/Pd/Cに対して高活性化処理を行う工程、とを含む燃料電池触媒の製造方法。
ここで、形状係数の値に基づいて合否判定する、とは、被測定触媒の形状係数の測定値で直接合否判定する場合、および、被測定触媒の値を参照触媒の相当する値と比較することにより、合否判定する場合の双方を含む。
ここで、歪度の値に基づいて合否判定する、とは、被測定触媒の歪度の測定値で直接合否判定する場合、および、被測定触媒の値を参照触媒の相当する値と比較することにより、合否判定する場合の双方を含む。
ここで、参照触媒としては、例えば、所期の値又はそれに近い値を有する特定されたPt/Pd/Cコアシェル触媒を用いることができる。
理論により、本発明の技術的範囲が制限されるものではないが、歪度が大きい場合にORR活性が高いことについては以下のように考えている。すなわち、水素脱離波の形状が変化する要因には、露出している結晶面や表面の組成が考えられる。水素脱離波の形状を表す歪度が正の値を示し、その値が大きいとORR活性が高いのは、ORR活性が高いとされているテラスエッジを含むPt(111)がPt/Pd/CのPtシェル表面に形成されていることやPtシェルの被覆性が向上して露出しているPdが大幅に減少したことが考えられる。
本発明によれば、燃料電池触媒の機能又は活性を的確、かつ、簡便に評価又は判定できる検査方法が提供されるので、多種多様な技法により提供されるPt/Pd/Cから所期のORR質量活性(ORR Mass Activity:MA)をばらつきなく有する触媒を選別することができる。したがって、本発明によれば、所期のORR質量活性をばらつきなく有する触媒及びそのような触媒の製造方法も提供できる。
実施例1の電気化学特性(ECSA、SA、MA)のばらつきを示すグラフ表示である。 Pt/Pd/CのCVである。 実施例1の(iv)ORR活性評価および(v)歪度の算出に基づく歪度とSAとの関係のグラフ表示である。
本発明は高いORR活性を有するPt/Pd/Cの検査方法およびPt/Pd/Cに関する。本発明で用いるCVは電位を掃引した際の電流をプロットしたものであり、低電位領域においては電位は種々の構造を有するPt上の水素が脱離するために必要なエネルギー、電流は種々の構造を有する白金の量を示している。したがってCVから得られる水素脱離波はPt/Pd/CのPtシェル上のPtの構造に依存した水素の脱離挙動を示しており、ORRが起きるPtの表面構造の違いを表していると考えられる。具体的には、本発明の態様は下記のようになる。
本発明の燃料電池触媒の検査方法において、サイクリックボルタンメトリーを用いる。サイクリックボルタンメトリーとは、ある電位を開始電位として作用極の電位を時間に対して線形に掃引し、開始電位とは別のある電位で折り返して、電位掃引を反復し、作用極に流れる電流を連続的に測定する方法のことをいう。作用極の電位を時間に対して線形に一定速度で掃引することで、充放電電流(変位電流=電気二重層容量×電位掃引速度)も常に一定値になる。
サイクリックボルタンメトリーは電気化学測定装置を用いて測定する。電気化学測定装置は少なくとも電解液を収容する電気化学セルと、電気化学セル内に浸漬され液電位を測定するための参照極と、燃料電池触媒を塗布した作用極と、作用極に電流を流すための対極を備える。電解液としては触媒表面に特異的に吸着しない過塩素酸水溶液が好ましいが、希硫酸等の他の無機酸であっても使用できる。参照極としては標準水素電極が好ましく、対極は白金線が好ましい。
図1は、下記する実施例1の触媒についての電気化学測定結果を示す。左からECSAを示す図、SAを示す図、MAを示す図である。図を見ると、触媒のロット間でECSAは、ばらかきが少ないが、MAが大きくばらついている。MAは、SAとECSAの積であることから、MAのばらつきは主にSAのばらつきに起因する。
図2はPt/Pd/CのCVの測定例を示す。CVは、電極触媒としてPt/Pd/Cを適用し、N2雰囲気、0.1 mol/l HClO4溶液中で電位を0.05 Vから1.2 Vまで掃引して測定される電流値をプロットして得られる。0.05 Vから0.4 Vまで電位を掃引した際に得られる波形が水素脱離波である。ECSAは水素脱離波の電気量をPtに適用される係数(210 μC/cm2)で除することで得られる。
本発明のサイクリックボルタンメトリーを用いる燃料電池触媒の検査方法においては、低電位から高電位に掃引する場合も、高電位から低電位に掃引される場合も、電位0.4 V付近において作用極に流れる全電流が極小値となる。これは、作用極表面で特別な電気化学反応が起こらず、ファラデー電流が0となり、作用極表面に形成された電気二重層に充電もしくは放電のための充放電電流のみが流れるためである。
なお、触媒の種類や組成によっては、ファラデー電流が0となる電位が0.4 Vよりもずれる場合や、全電流が極小値においても微弱なファラデー電流が流れる場合もあるが、充放電電流を作用極に流れる全電流が極小値となる電流と近似しても、本発明の検査方法において障害とはならない。
ただし、本発明において電位はサイクリックに掃引するため、作用極に流れる全電流の極小値は、低電位から高電位に向けて掃引する場合と高電位から低電位に向けて掃引する場合とに分けて考える必要がある。
低電位から高電位に向けて掃引する場合は掃引途中の作用極に流れる全電流の極小値を低電位から高電位に掃引する場合の充放電電流とし、後述する定義区間に亘って、作用極に流れる全電流から充放電電流の値を差し引いた電流をファラデー電流Iとする。
一方、高電位から低電位に向けて掃引する場合は掃引途中の作用極に流れる全電流の極小値を高電位から低電位に掃引する場合の充放電電流とし、同じく後述する定義区間に亘って、作用極に流れる全電流から充放電電流の値を一様に差し引いた電流をファラデー電流Iとする。
本発明に検査方法おいては、作用極の電位Eの関数として、作用極に流れる全電流から充放電電流を引き算して求めたファラデー電流Iのピーク関数I(E)を決定することができる。ここで、ピーク関数I(E)は、ファラデー電流Iの値が最大となるピークの裾に位置しファラデー電流Iが0となる下限電位Eaと上限電位Ebとを両端とする閉区間[Ea, Eb]を定義区間として定義されている。
本発明におけるファラデー電流Iのピークは、例えば燃料電池触媒の表面に吸着した水素が酸化反応によって酸化されプロトンとして脱離する酸化電流のピークを用いる。電位掃引を0.05 Vから開始し高電位に向けて掃引した場合は、0.05 Vから作用極を流れる全電
流が極小値となる電位0.4 Vまでの区間において水素脱離反応による酸化電流のピークが出現する。電位0.4 Vにおいて作用極を流れる全電流が極小となる電流値を電気二重層の充放電電流の値とし、上記の電位0.05 Vから電位0.4 Vまでの定義区間において作用極を流れる全電流から前記充放電電流の値を一様に引き算してピーク関数I(E)を決定することができる。
本発明におけるファラデー電流のピーク関数は、サイクリックボルタンメトリーにおいて得られ、縦軸をファラデー電流Iとし横軸を電位するCVのことを指し、ファラデー電流Iのピークの裾に位置しファラデー電流が0となる電位を両端とする定義区間[Ea, Eb]で定義されており、下記の手順で正規化した正規化ピーク関数f(E)として計算に使用する。作用極に塗布する触媒量が異なり、これによってファラデー電流Iの値が異なる場合であっても、正規化することにより触媒量が異なる場合も同列に判定できるようにするためである。
本発明において、ファラデー電流のピーク関数I(E)を正規化した正規化ピーク関数f(E)は、まず電位Eについてピーク関数I(E)を定義区間[Ea, Eb]で定積分した積分値を算出し、ファラデー電流のピーク関数I(E)を前記積分値で割り算してスケーリングすることにより求められる。すなわち、ファラデー電流Iのピーク関数I(E)と、ファラデー電流Iのピークの裾に位置しファラデー電流が0となる電位EaとEbを用いた、下記の数式1によって求める。
次に、数式1によって正規化した正規化ピーク関数f(E)、該に基づいて数式2によって定義されるピーク関数の重心E0を求める。
次に、本発明のひとつの実施形態においては、数式2によって定義される正規化ピーク関数f(E)が、正規化ピーク関数f(E)の重心E0からのどれだけ電位が離れているかによって重みづけられ、数式3によって定義される2次モーメントM2数式4によって定義される3次モーメントM3を計算する。
次に、数式3によって定義される2次モーメントM2数式4によって定義される3次モーメントM3とから、下記の数式5に基づいて、正規化ピーク関数f(E)の歪度を計算する。
本発明における「ピーク関数の重心」は、数学的には統計確率分野における「平均値」
に相当する。また、「2次モーメントM2」は、数学的には統計確率分野における「分散」に相当する。統計確率分野における正規分布について、定義区間[Ea, Eb]を[−∞, ∞]に拡張して数式1〜5の計算を行った場合は、歪度は0となる。
本発明において、正規化ピーク関数f(E)の歪度が負になった場合は正規分布よりも重心(平均値)が高電位側に偏って裾が低電位側により広がった態様の曲線形状であることを示し、歪度が正になった場合は正規分布よりも重心(平均値)が低電位側に偏って裾が高電位側により広がった態様の曲線形状であることを示す。すなわち、燃料電池触媒の表面に吸着した水素が酸化されプロトンが脱離する酸化電流の正規化ピーク関数f(E)の形状が低電位側に偏って裾が高電位側により広がった形状であるほど、言い換えると正規化ピーク関数f(E)の歪度の値が大きいほど、燃料電池触媒の酸素還元活性が高くなる。この場合、正規化ピーク関数f(E)の歪度の値は、好ましくは0.15以上であり、より好ましくは0.19以上である。
以上のようにして、サイクリックボルタンメトリーでピーク関数I(E)の形状を数値化した形状係数である歪度を求めることにより、燃料電池触媒のORR活性を直接測定するよりも、ばらつきが小さく制度に優れた製品検査を簡便方法で実施することができる。
以上の説明では、ファラデー電流Iのピークの一例として、燃料電池触媒の表面に吸着した水素が酸化反応によって酸化されプロトンとして脱離する酸化電流のピークを用いた。
形状係数の一つである歪度は、燃料電池触媒の表面に形成された白金酸化物を還元反応によって還元する白金酸化物の還元ピークを用いることもできる。
すなわち、電位掃引を1.2 Vから低電位に向けて折り返した場合は、電位1.2 Vから作用極を流れる全電流が極小となる電位0.4 Vまでの区間に白金酸化物の還元反応による還元電流のピークが出現する。電位0.4 Vにおいて作用極を流れる全電流が極小となる電流値を充放電電流の値とし、電位1.2 Vから電位0.4 Vまでの定義区間において作用極を流れる全電流から前記充放電電流の値を一様に引き算してピーク関数I(E)を決定することができる。
なお、サイクリックボルタンメトリーにおいて、酸化電流は正の値であることに対して、還元電流は負の値であるため、歪度を還元ピークを用いて表す場合には、数式1〜5の計算において、還元電流は符号を反転させた正の値として計算に使用する。
以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
[実施例1]Pt/Pd/Cコアシェル触媒
(i)Pd/Cコアの作製
Pdで3.0 g分のPd(NO3)2を純水300 mlに溶解させた。この水溶液にカーボン担体(Ketjen Black EC300J、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製)7.0 gを超音波分散させた後、ホットスタラーで撹拌しながら水分を蒸発させた。次に、カーボン担体にPd(NO3)2を担持させた試料を、水素ガスを用いて400℃で1時間還元した。水素還元処理後、Pd粒子内に吸蔵した水素を除去するため、窒素雰囲気中、300℃で1時間処理してカーボン担持Pdコア(Pd/C)を得た。得られたPd/CのPd担持率はカーボン担体を燃焼して残った重量から算出し、30.7 wt.%であった。またPd粒子径はXRDの測定結果からシェラー式を用いて算出し、4.7 nmであった。

(ii)Pd/CコアへのPtシェル形成
Pd担持率が30.7 wt.%、Pd粒子径が4.7 nmのPd/Cを300 mg採取し、0.1 mol/lのH2SO4溶液に分散させた。N2を500 ml/minで30 min流通させながら、分散液を5℃まで冷やした。その後、予めN2を流通させて、O2を除去したK2PtCl4水溶液を、Ptで52 mg分加えて5min撹拌したのちに、撹拌しながら70℃まで昇温して70℃に達してから2 h保持することでPt/Pd/Cを得た。作製したPt/Pd/Cを濾別して、500 mlの超純水に分散させて濾別する操作を3回繰り返した。得られたPt/Pd/Cを60℃の乾燥器で乾燥した。

(iii)高活性化処理
前記のようにして作製したPt/Pd/Cを0.1 gを2 mol/l H2SO4溶液を含むセパラブルフラスコに分散させた。セパラブルフラスコを恒温槽に移して、セパラブルフラスコ内が80℃になるように保持した。スターラーで撹拌しながら、不活性ガスとしてN2ガスを500 ml/minで5 min流した。その後、H2ガスを200ml/lで6min、N2ガスを500ml/lで5min、O2ガスを200 ml/minで6 min流した。このサイクルを50回繰り返した。その後、濾別、超純水での洗浄を3回繰り返して、60℃の乾燥器で乾燥した。(i)〜(iii)の操作を6回繰り返し、6ロット分のPt/Pd/Cを作製した。

(iv)ORR活性評価
6ロット分のPt/Pd/CのORR活性を電気化学測定によって評価した。高活性化処理をしたPt/Pd/Cをn-ヘキサノールに分散させて、触媒インクを調製した。調整した触媒インクをRDEのグラッシーカーボン(直径5 mm)に、Pt量が15 μg-Pt/cm2になるように塗布し、測定用電極を作製した。作製した測定用電極をN2ガス飽和した25℃、0.1 mol/l HClO4に浸漬し、参照電極に可逆水素電極(RHE)、対極に白金線を使用し、電位範囲を0.05 V〜1.2 V、電位掃引速度50 mV/secでCVを測定した。得られたCVの水素脱離波から、ECSAを算出した。その後、セル内にO2ガスを導入し、O2飽和雰囲気下で、測定用電極を1600 rpmで回転させながら、電位を0.05 V〜1.2 V、電位掃引速度10 mV/secで分極曲線を測定した。得られた分極曲線から、0.9 Vの酸素還元電流値および0.4 Vの限界拡散電流値から活性化支配電流値を算出した。この活性化支配電流値をECSAまたはRDE上のPt重量で除することで、SAとMAを算出した。算出したECSA、SA、MAを表1に示す。

(v)歪度の算出
測定したCVの水素脱離波から数式1〜数式5に従って歪度を計算した。算出した歪度を表1に示す。歪度とSAとの関係を図3に示す。

Claims (7)

  1. パラジウムの表面に少なくとも白金原子を被着させた金属粒子を担持する燃料電池触媒のサイクリックボルタンメトリーを実施し、該サイクリックボルタンメトリーにおける電位Eとファラデー電流Iの関係を表すピーク関数I(E)の形状に基づいて、前記ピーク関数I(E)の形状を数値化した形状係数を算出し、前記形状係数の値に基づいて、前記燃料電池触媒の合否判定を行うことを特徴とする、燃料電池触媒の検査方法。
  2. 請求項1に記載の検査方法であって、前記ピーク関数I(E)、ファラデー電流Iの値が0となる前記ピーク関数I(E)のピーク両端の電位Ea及びEbに基づいて、数式1により前記ピーク関数I(E)を正規化した正規化ピーク関数f(E)、該正規化ピーク関数f(E)に基づいて数式2によって定義されるピーク関数f(E)の重心E0と、数式3によって定義される2次モーメントM2数式4によって定義される3次モーメントM3を用いて数式5によって定義される前記正規化ピーク関数f(E)の歪度であり、前記燃料電池触媒の前記歪度の値に基づいて前記燃料電池触媒の合否判定を行うことを特徴とする、検査方法。
  3. 請求項1、2に記載の検査方法であって、前記ファラデー電流のピーク関数I(E)は前記金属粒子の表面に吸着した吸着水素原子の酸化に要する酸化電流のピーク関数であって、該酸化電流のピーク関数の前記歪度が算出される、検査方法。
  4. 請求項3に記載の検査方法であって、前記酸化電流のピーク関数の前記歪度の値が0.10以上である、検査方法。
  5. パラジウムの表面に少なくとも白金原子を被覆させた金属粒子を担持する燃料電池触媒であって、請求項3に記載の検査方法により検査した場合に算出される酸化電流のピーク関数の前記歪度の値が0.10以上である、燃料電池触媒。
  6. パラジウムの表面に少なくとも白金原子を被覆させた金属粒子を担持する燃料電池触媒について、請求項3に記載の検査方法により検査した場合に算出される酸化電流のピーク関数の前記歪度の値に基づいて、前記触媒が選別される工程を含むことを特徴とする燃料
    電池触媒の製造方法。
  7. Pd/Cコアを作製する工程と、Pd/CコアへのPtシェル形成を行い、Pt/Pd/Cを作成する工程と、請求項3に記載の検査方法により前記歪度を測定する工程と、所定数値以下の歪度を持つPt/Pd/Cに対して高活性化処理を行う工程、とを含む燃料電池触媒の製造方法。
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