JP2017027854A - 燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】セルとセパレータが1つずつ交互に積層された「縦縞型」の燃料電池であって、空気極又は燃料極の外側表面にクラックが発生し難いものを提供すること。
【解決手段】燃料電池100は、固体電解質層120と燃料極110と空気極130とを備える。燃料極110の外側表面の少なくとも一部に形成された凹凸の間隔(L)の平均値は30〜900μmであり、凹凸の高低差(H)の平均値は3〜30μmである。
【選択図】図24
【解決手段】燃料電池100は、固体電解質層120と燃料極110と空気極130とを備える。燃料極110の外側表面の少なくとも一部に形成された凹凸の間隔(L)の平均値は30〜900μmであり、凹凸の高低差(H)の平均値は3〜30μmである。
【選択図】図24
Description
本発明は、燃料電池に関する。
従来、「ガス流路が内部に形成された平板状の支持基板」と、「前記支持基板の主面における互いに離れた複数の箇所にそれぞれ設けられ、それぞれが少なくとも内側電極、固体電解質膜、及び外側電極がこの順で積層されてなる複数の発電素子部」と、「隣り合う前記発電素子部の一方の内側電極と他方の外側電極とを電気的に接続する電気的接続部」とを備えた固体酸化物形燃料電池が知られている(例えば、特許文献1を参照)。この形式の燃料電池は、「横縞型」とも呼ばれる。
横縞型の燃料電池において、内側電極が燃料極であり、外側電極が空気極である場合には、ガス流路には燃料ガス(水素など)が流され、外側電極の周囲には酸化剤ガス(空気など)が流される。横縞型の燃料電池において、内側電極が空気極であり、外側電極が燃料極である場合には、ガス流路には酸化剤ガスが流され、外側電極の周囲には燃料ガスが流される。
ところで、上記文献に記載の燃料電池では、前記電気的接続部は、外側電極と接続し、多孔質材料からなる集電部を有する。
この燃料電池が稼働されると、「集電部の外側表面を起点とする、集電部の内部に向かうクラック」(以下、単に「クラック」と呼ぶ)が発生する場合がある(後述する図15を参照)。これは、集電部の外側表面に応力が集中し易いことに起因する、と考えられる。
本発明者は、この問題に対処するため日々研究・実験を重ねた。その結果、本発明者は、上述したクラックを発生し難くするために有効な条件を見出した。
以上より、本発明は、ガス流路が内部に形成された支持基板を有する「横縞型」の燃料電池であって、電気的接続部の集電部の外側表面にクラックが発生し難いものを提供することを目的とする。
本発明に係る燃料電池は、上述と同じ、「支持基板」、「複数の発電素子部」及び「電気的接続部」を備え、前記電気的接続部は、「前記外側電極と接続し、且つ、多孔質材料からなる集電部」を有する。
本発明に係る燃料電池の特徴は、前記電気的接続部の前記集電部の外側表面には凹凸が形成され、前記凹凸における全ての凸部のそれぞれについて得られる「その凸部の最頂部と、その凸部の最頂部から最も近い位置にある他の凸部の最頂部と、の間隔(L)」、の平均値が30〜900μmであり、前記凹凸における全ての凸部のそれぞれについて得られる「その凸部の最頂部と、その凸部に隣接する凹部の最底部と、の間の高低差(H)」、の平均値が3〜30μmである、ことにある。
ここで、前記凹凸は、前記電気的接続部の前記集電部の外側表面の一部にのみ形成されてもよいし、前記外側表面の全面に亘って形成されていてもよい。また、(前記凹凸が形成されていないと仮定したときの)前記第1部分の外側表面は、曲面であってもよいし、平面であってもよい。
本発明者は、上述したクラックの起点となる「電気的接続部の集電部の外側表面」の形状に着目した。そして、本発明者は、電気的接続部の集電部の外側表面の形状に関して上記の条件が満足される場合に、そうでない場合と比べて、上述した燃料電池が熱応力的に過酷な環境下で稼働された場合にて、上述したクラックが発生し難いこと、を見出した(詳細は後述する)。
加えて、本発明者は、「複数の平板状のセルと、複数のセパレータと、を備え、前記セルと前記セパレータとが1つずつ交互に積層された燃料電池」(所謂「縦縞型」)における燃料極及び空気極の外側表面についても、上記内容と同じ内容が当てはまること、をも見出した(詳細は後述する)。
(横縞型の構成)
図1は、本発明の実施形態に係る固体酸化物形燃料電池(SOFC)を示す。このSOFCは、長手方向(x軸方向)を有する平板状の支持基板10の上下面(互いに平行な両側の主面(平面))のそれぞれに、電気的に直列に接続された複数(本例では、4つ)の同形の発電素子部Aが長手方向において所定の間隔をおいて配置された、所謂「横縞型」と呼ばれる構成を有する。
図1は、本発明の実施形態に係る固体酸化物形燃料電池(SOFC)を示す。このSOFCは、長手方向(x軸方向)を有する平板状の支持基板10の上下面(互いに平行な両側の主面(平面))のそれぞれに、電気的に直列に接続された複数(本例では、4つ)の同形の発電素子部Aが長手方向において所定の間隔をおいて配置された、所謂「横縞型」と呼ばれる構成を有する。
このSOFCの全体を上方からみた形状は、例えば、長手方向の辺の長さが50〜500mmで長手方向に直交する幅方向(y軸方向)の長さが10〜100mmの長方形である。このSOFCの全体の厚さは、1〜5mmである。このSOFCの全体は、厚さ方向(z軸方向)の中心を通り且つ支持基板10の主面に平行な面に対して上下対称の形状を有する。以下、図1に加えて、このSOFCの図1に示す2−2線に対応する部分断面図である図2を参照しながら、このSOFCの詳細について説明する。図2は、代表的な1組の隣り合う発電素子部A,Aのそれぞれの構成(の一部)、並びに、発電素子部A,A間の構成を示す部分断面図である。その他の組の隣り合う発電素子部A,A間の構成も、図2に示す構成と同様である。
支持基板10は、電子伝導性を有さない多孔質の材料からなる平板状の焼成体である。支持基板10の内部には、長手方向に延びる複数(本例では、6本)のガス流路11(貫通孔)が幅方向において所定の間隔をおいて形成されている。本例では、支持基板10の上下面における複数の発電素子部Aに対応する位置に、凹部12がそれぞれ形成されている。各凹部12は、支持基板10の材料からなる底壁と、全周に亘って支持基板10の材料からなる周方向に閉じた側壁(長手方向に沿う2つの側壁と幅方向に沿う2つの側壁)と、で画定された直方体状の窪みである。各凹部12の長さ(x軸方向の寸法)は5〜50mmであり、幅(y軸方向の寸法)は2〜95mmであり、深さ(z軸方向の寸法)は0.03〜1.5mmである。
支持基板10は、MgO(酸化マグネシウム)と、第1酸化物セラミックスと、を含んで構成される。なお、支持基板10が第1酸化物セラミックスを含んでいるのは、MgO単独の熱膨張係数(約14ppm/K)が、通常の電極材料の熱膨張係数(10〜13ppm/K)と比べて大きいことに起因して、支持基板10の等価熱膨張係数を通常の電極材料の熱膨張係数に近づけるため、である。従って、第1酸化物セラミックスとしては、熱膨張係数が通常の電極材料の熱膨張係数(10〜13ppm/K)と比べて小さいものが好適である。具体的には、「第1酸化物セラミックス」としては、Y2O3(イットリア)、YSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)、CSZ(カルシア安定化ジルコニア)等が好適である。支持基板10は、「遷移金属酸化物又は遷移金属」を含んでいてもよい。「遷移金属酸化物又は遷移金属」としては、NiO(酸化ニッケル)又はNi(ニッケル)が好適である。遷移金属は、燃料ガスの改質反応を促す触媒(炭化水素系のガスの改質触媒)として機能し得る。
このように、支持基板10が「遷移金属酸化物又は遷移金属」を含むことによって、改質前の残存ガス成分を含んだガスが多孔質の支持基板10の内部の多数の気孔を介してガス流路11から燃料極に供給される過程において、上記触媒作用によって改質前の残存ガス成分の改質を促すことができる。加えて、支持基板10が絶縁性の酸化物セラミックスを含むことによって、支持基板10の絶縁性を確保することができる。この結果、隣り合う燃料極間における絶縁性が確保され得る。
支持基板10の厚さは、1〜5mmである。支持基板10全体の気孔率は15〜55%である。なお、気孔率の値は、後述する還元処理後の値である(他の気孔率の値についても同様)。なお、気孔率の測定は,樹脂埋めしたサンプル(還元処理後)の断面を研磨し、同断面についてのSEM(走査型電子顕微鏡)による画像(2次電子像)を解析することによって行われた。具体的には、「断面の総面積」に対する「断面上にて樹脂埋めされた領域に対応する部分の面積の総和」の割合が、その断面の「気孔率」であると定義された。SEMの加速電圧は5kV、SEMの倍率は5000倍、又は7500倍に設定された。気孔率の測定は、サンプルの任意の10箇所の断面について行われ、それらの平均値が気孔率の値として採用された。
以下、この構造体の形状が上下対称となっていることを考慮し、説明の簡便化のため、支持基板10の上面側の構成についてのみ説明していく。支持基板10の下面側の構成についても同様である。
図2及び図3に示すように、支持基板10の上面(上側の主面)に形成された各凹部12には、燃料極集電部21の全体が埋設(充填)されている。従って、各燃料極集電部21は直方体状を呈している。
各燃料極集電部21の上面(外側面)には、凹部21aが形成されている。各凹部21aは、燃料極集電部21の材料からなる底壁と、全周に亘って燃料極集電部21の材料からなる周方向に閉じた側壁(長手方向に沿う2つの側壁と、幅方向に沿う2つの側壁)と、で画定された直方体状の窪みである。
各凹部21aには、燃料極活性部22の全体が埋設(充填)されている。従って、各燃料極活性部22は直方体状を呈している。燃料極集電部21と燃料極活性部22とにより燃料極20が構成される。燃料極20(燃料極集電部21及び燃料極活性部22)は、電子伝導性を有する多孔質の材料からなる焼成体である。各燃料極活性部22の4つの側面と底面とは、凹部21a内で燃料極集電部21と接触している。
各燃料極集電部21の上面(外側面)における凹部21aを除いた部分には、凹部21bが形成されている。各凹部21bは、燃料極集電部21の材料からなる底壁と、全周に亘って燃料極集電部21の材料からなる周方向に閉じた側壁(長手方向に沿う2つの側壁と、幅方向に沿う2つの側壁)と、で画定された直方体状の窪みである。
各凹部21bには、インターコネクタ30が埋設(充填)されている。従って、各インターコネクタ30は直方体状を呈している。インターコネクタ30は、電子伝導性を有する緻密な材料からなる焼成体である。各インターコネクタ30の4つの側面と底面とは、凹部21b内で燃料極集電部21と接触している。
燃料極20(燃料極集電部21及び燃料極活性部22)の上面(外側面)と、インターコネクタ30の上面(外側面)と、支持基板10の主面とにより、1つの平面(凹部12が形成されていない場合の支持基板10の主面と同じ平面)が構成されている。即ち、燃料極20の上面とインターコネクタ30の上面と支持基板10の主面との間で、段差が形成されていない。
燃料極集電部21は、NiO(酸化ニッケル)と、第2酸化物セラミックスと、を含んで構成される。なお、燃料極集電部21が第2酸化物セラミックスを含んでいるのは、NiO単独の熱膨張係数(約14ppm/K)が、通常の電極材料の熱膨張係数(10〜13ppm/K)と比べて大きいことに起因して、燃料極集電部21の等価熱膨張係数を通常の電極材料の熱膨張係数に近づけるため、である。従って、第2酸化物セラミックスとしては、熱膨張係数が通常の電極材料の熱膨張係数(10〜13ppm/K)と比べて小さいものが好適である。具体的には、「第2酸化物セラミックス」としては、Y2O3(イットリア)、YSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)、CSZ(カルシア安定化ジルコニア)等が好適である。燃料極集電部21の厚さ(即ち、凹部12の深さ)は、50〜500μmである。燃料極集電部21の気孔率は15〜55%である。
燃料極活性部22は、電子伝導性を有する物質と、酸素イオン伝導性を有する物質と、を含んで構成される。「電子伝導性を有する物質」としては、NiO(酸化ニッケル)が好適である。「酸素イオン伝導性を有する物質」としては、YSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)、GDC(ガドリニウムドープセリア)等が好適である。燃料極活性部22の厚さは、5〜30μmである。燃料極活性部22の気孔率は15〜55%である。
なお、燃料極集電部21内、並びに、燃料極活性部22内のNiOは、後述する還元処理によってNiに変化して、電子伝導性を獲得する。燃料極活性部22における「気孔部分を除いた全体積に対する酸素イオン伝導性を有する物質の体積割合」は、燃料極集電部21における「気孔部分を除いた全体積に対する酸素イオン伝導性を有する物質の体積割合」よりも大きい。
インターコネクタ30は、例えば、LaCrO3(ランタンクロマイト)から構成され得る。或いは、(Sr,La)TiO3(ストロンチウムチタネート)から構成されてもよい。インターコネクタ30の厚さは、10〜100μmである。
燃料極20及びインターコネクタ30がそれぞれの凹部12に埋設された状態の支持基板10における長手方向に延びる外周面において複数のインターコネクタ30が形成されたそれぞれの部分の長手方向中央部を除いた全面は、固体電解質膜40により覆われている。固体電解質膜40は、イオン伝導性を有する緻密な材料からなる焼成体である。固体電解質膜40は、例えば、YSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)から構成され得る。或いは、LSGM(ランタンガレート)から構成されてもよい。固体電解質膜40の厚さは、3〜50μmである。
即ち、燃料極20がそれぞれの凹部12に埋設された状態の支持基板10における長手方向に延びる外周面の全面は、インターコネクタ30と固体電解質膜40とからなる緻密層により覆われている。本実施形態において、この緻密層は、緻密層の内側の空間を流れる燃料ガスと緻密層の外側の空間を流れる空気との混合を防止するガスシール機能を発揮するシール膜である。なお、本願において「緻密」とは、「ガスが通過しない程度に高密度であること」を指し、具体的には、「気孔率が10%以下であること」を指す。
なお、図2に示すように、本例では、固体電解質膜40が、燃料極20の上面、インターコネクタ30の上面における長手方向の両側端部、及び支持基板10の主面を覆っている。ここで、上述したように、燃料極20の上面とインターコネクタ30の上面と支持基板10の主面との間で段差が形成されていない。従って、固体電解質膜40が平坦化されている。この結果、固体電解質膜40に段差が形成される場合に比して、応力集中に起因する固体電解質膜40でのクラックの発生が抑制され得、固体電解質膜40が有するガスシール機能の低下が抑制され得る。
固体電解質膜40における各燃料極活性部22と接している箇所の上面には、反応防止膜50を介して空気極60が形成されている。反応防止膜50は、緻密な材料からなる焼成体であり、空気極60は、電子伝導性を有する多孔質の材料からなる焼成体である。反応防止膜50及び空気極60を上方からみた形状は、燃料極活性部22と略同一の長方形である。
反応防止膜50は、例えば、GDC=(Ce,Gd)O2(ガドリニウムドープセリア)から構成され得る。反応防止膜50の厚さは、3〜50μmである。空気極60は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O3(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成され得る。或いは、LSF=(La,Sr)FeO3(ランタンストロンチウムフェライト)、LNF=La(Ni,Fe)O3(ランタンニッケルフェライト)、LSC=(La,Sr)CoO3(ランタンストロンチウムコバルタイト)等から構成されてもよい。また、空気極60は、LSCFからなる第1層(内側層)とLSCからなる第2層(外側層)との2層によって構成されてもよい。空気極60の厚さは、10〜100μmである。
なお、反応防止膜50が介装されるのは、SOFC作製時又は作動中のSOFC内において固体電解質膜40内のYSZと空気極60内のSrとが反応して固体電解質膜40と空気極60との境界部分に電気抵抗が大きい反応層が形成される現象の発生を抑制するためである。
ここで、燃料極20と、固体電解質膜40と、反応防止膜50と、空気極60とが積層されてなる積層体が、「発電素子部A」に対応する(図2を参照)。即ち、支持基板10の上面には、複数(本例では、4つ)の発電素子部Aが、長手方向において所定の間隔をおいて配置されている。
各組の隣り合う発電素子部A,Aについて、一方の(図2では、左側の)発電素子部Aの空気極60と、他方の(図2では、右側の)発電素子部Aのインターコネクタ30とを跨ぐように、空気極60、固体電解質膜40、及び、インターコネクタ30の上面に、空気極集電部70が形成されている。空気極集電部70は、本実施形態に係る「集電部」の一例である。空気極集電部70は、電子伝導性を有する多孔質の材料からなる焼成体である。空気極集電部70を上方からみた形状は、長方形である。(後述する凹凸が形成されていないと仮定したときの)空気極集電部70の外側表面(上表面)は、平面である。
空気極集電部70は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O3(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成され得る。或いは、LSC=(La,Sr)CoO3(ランタンストロンチウムコバルタイト)から構成されてもよい。或いは、Ag(銀)、Ag−Pd(銀パラジウム合金)から構成されてもよい。或いは、化学式Lam(Ni1−x−yFexCuy)nO3−δ(ただし、0.95≦m≦1.05、0.95≦n≦1.05、0.03≦x≦0.3、0.05≦y≦0.5、0≦δ≦0.8)で表される多孔質材料から構成されてもよい。以下、この材料を、La(Ni、Fe、Cu)O3と表記する。空気極集電部70の厚さは、50〜500μm(より好ましくは、100〜500μm)である。
このように各空気極集電部70が形成されることにより、各組の隣り合う発電素子部A,Aについて、一方の(図2では、左側の)発電素子部Aの空気極60と、他方の(図2では、右側の)発電素子部Aの燃料極20(特に、燃料極集電部21)とが、電子伝導性を有する「空気極集電部70及びインターコネクタ30」を介して電気的に接続される。この結果、支持基板10の上面に配置されている複数(本例では、4つ)の発電素子部Aが電気的に直列に接続される。ここで、電子伝導性を有する「空気極集電部70及びインターコネクタ30」が、「電気的接続部」に対応する。
なお、空気極集電部70は、前記「電気的接続部」における「多孔質材料からなる第1部分」に対応し、気孔率は20〜60%である。インターコネクタ30は、前記「電気的接続部」における「緻密質材料で構成された第2部分」に対応し、気孔率は10%以下である。
以上、説明した「横縞型」のSOFCに対して、図4に示すように、支持基板10のガス流路11内に改質後の燃料ガス(水素ガス等)を流すとともに、支持基板10の上下面(特に、各空気極集電部70)を「酸素を含むガス」(空気等)に曝す(或いは、支持基板10の上下面に沿って酸素を含むガスを流す)ことにより、固体電解質膜40の両側面間に生じる酸素分圧差によって起電力が発生する。更に、この構造体を外部の負荷に接続すると、下記(1)、(2)式に示す化学反応が起こり、電流が流れる(発電状態)。
(1/2)・O2+2e−→O2− (於:空気極60) …(1)
H2+O2−→H2O+2e− (於:燃料極20) …(2)
(1/2)・O2+2e−→O2− (於:空気極60) …(1)
H2+O2−→H2O+2e− (於:燃料極20) …(2)
発電状態においては、図5に示すように、各組の隣り合う発電素子部A,Aについて、電流が、矢印で示すように流れる。この結果、図4に示すように、このSOFC全体から(具体的には、図4において最も手前側の発電素子部Aのインターコネクタ30と最も奥側の発電素子部Aの空気極60とを介して)電力が取り出される。
(製造方法)
次に、図1に示した「横縞型」のSOFCの製造方法の一例について図6〜図14を参照しながら簡単に説明する。図6〜図14において、各部材の符号の末尾の「g」は、その部材が「焼成前」であることを表す。
次に、図1に示した「横縞型」のSOFCの製造方法の一例について図6〜図14を参照しながら簡単に説明する。図6〜図14において、各部材の符号の末尾の「g」は、その部材が「焼成前」であることを表す。
先ず、図6に示す形状を有する支持基板の成形体10gが作製される。この支持基板の成形体10gは、例えば、支持基板10の材料(例えば、MgOとY2O3)の粉末にバインダー、造孔材、分散材等が添加されて得られるスラリーを用いて、押し出し成形、切削等の手法を利用して作製され得る。以下、図6に示す7−7線に対応する部分断面を表す図7〜図14を参照しながら説明を続ける。
図7に示すように、支持基板の成形体10gが作製されると、次に、図8に示すように、支持基板の成形体10gの上下面に形成された各凹部12に、燃料極集電部の成形体21gがそれぞれ埋設・形成される。次いで、図9に示すように、各燃料極集電部の成形体21gの外側面に形成された各凹部に、燃料極活性部の成形体22gがそれぞれ埋設・形成される。各燃料極集電部の成形体21g、及び各燃料極活性部22gは、例えば、燃料極20の材料(例えば、NiとY2O3)の粉末にバインダー、造孔材、分散材等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して埋設・形成される。
続いて、図10に示すように、各燃料極集電部の成形体21gの外側面における「燃料極活性部の成形体22gが埋設された部分を除いた部分」に形成された各凹部に、インターコネクタの成形体30gがそれぞれ埋設・形成される。各インターコネクタの成形体30gは、例えば、インターコネクタ30の材料(例えば、LaCrO3)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して埋設・形成される。
次に、図11に示すように、複数の燃料極の成形体(21g及び22g)及び複数のインターコネクタの成形体30gがそれぞれ埋設・形成された状態の支持基板の成形体10gにおける長手方向に延びる外周面において複数のインターコネクタの成形体30gが形成されたそれぞれの部分の長手方向中央部を除いた全面に、固体電解質膜の成形膜40gが形成される。固体電解質膜の成形膜40gは、例えば、固体電解質膜40の材料(例えば、YSZ)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法、ディッピング法等を利用して形成される。
次に、図12に示すように、固体電解質膜の成形体40gにおける各燃料極の成形体22gと接している箇所の外側面に、反応防止膜の成形膜50gが形成される。各反応防止膜の成形膜50gは、例えば、反応防止膜50の材料(例えば、GDC)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して形成される。
そして、このように種々の成形膜が形成された状態の支持基板の成形体10gが、空気中にて1500℃で3時間焼成される。これにより、図1に示したSOFCにおいて空気極60及び空気極集電部70が形成されていない状態の構造体が得られる。
次に、図13に示すように、各反応防止膜50の外側面に、空気極の成形膜60gが形成される。各空気極の成形膜60gは、例えば、空気極60の材料(例えば、LSCF)の粉末にバインダー、造孔材、分散材等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して形成される。
次に、図14に示すように、各組の隣り合う発電素子部について、一方の発電素子部の空気極の成形膜60gと、他方の発電素子部のインターコネクタ30とを跨ぐように、空気極の成形膜60g、固体電解質膜40、及び、インターコネクタ30の外側面に、空気極集電部の成形膜70gが形成される。各空気極集電部の成形膜70gは、例えば、空気極集電部70の材料(例えば、LSCF)の粉末にバインダー、造孔材、分散材等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して形成される。また、液体を液滴として吐出する液滴吐出装置(インクジェットディスペンサ)を用いて、空気極集電部70が形成されるべき面上の異なる位置に前記スラリーの液滴を順に吐出・付着させていくことによって、空気極集電部の成形膜70gが形成されてもよい。
そして、このように成形膜60g、70gが形成された状態の支持基板10が、空気中にて1050℃で3時間焼成される。これにより、図1に示したSOFCが得られる。なお、この時点では、酸素含有雰囲気での焼成により、燃料極20(集電部21及び活性部22)中のNi成分が、NiOとなっている。従って、燃料極20(集電部21及び活性部22)の電子伝導性を獲得するため、その後、支持基板10側から還元性の燃料ガスが流され、NiOが800〜1000℃で1〜10時間に亘って還元処理される。なお、この還元処理は発電時に行われてもよい。以上、図1に示したSOFCの製造方法の一例について説明した。
(クラックの発生の防止)
上記実施形態に係るSOFCが稼働されると、図15に示すような「空気極集電部70の外側表面を起点とする、空気極集電部70の内部に向かうクラック」(以下、単に「クラック」と呼ぶ)が発生する場合がある(図15を参照)。この現象は、空気極集電部70の外側表面に応力が集中し易いことに起因する、と考えられる。前記クラックが発生する可能性を低減することは重要である。
上記実施形態に係るSOFCが稼働されると、図15に示すような「空気極集電部70の外側表面を起点とする、空気極集電部70の内部に向かうクラック」(以下、単に「クラック」と呼ぶ)が発生する場合がある(図15を参照)。この現象は、空気極集電部70の外側表面に応力が集中し易いことに起因する、と考えられる。前記クラックが発生する可能性を低減することは重要である。
本発明者は、上述したクラックの起点となる「空気極集電部70の外側表面」の形状に着目した。そして、本発明者は、空気極集電部70の外側表面に凹凸が形成されると、凹凸が形成されない場合と比べて、前記クラックが発生し難いことを見出した。
図16は、空気極集電部70の外側表面に形成された凹凸の一例を示している。図17は、図16の17−17断面図である。図18に示す複数のドットは、それぞれ、図16に示す凹凸における対応する凸部の最頂部の位置を示している。図16〜図18に示す例では、空気極集電部70の外側表面(平面)の全面に亘って凹凸が形成されているが、空気極集電部70の外側表面の一部にのみ凹凸が形成されていてもよい。外側表面の一部にのみ凹凸が形成されている場合には、外側表面のうち凹凸が形成された領域においてクラックの発生を抑制することができる。従って、空気極集電部70の外側表面のうち応力が集中しやすい領域やクラックの発生を特に抑制しておきたい領域がある場合には、当該領域に選択的に凹凸を形成してもよい。
なお、凸部の平面形状は特に制限されない。凸部の平面形状とは、空気極集電部70の外側表面の平面視において、凸部の最頂部を取り囲むように凹部の最低部を結んだラインの形状である。凸部の平面サイズは特に制限されないが、円相当径でφ100〜800μmとすることができる。円相当径とは、平面視において凸部と同じ面積を有する円の直径である。単位面積当たりの凸部の数は特に制限されないが、平面視において1mm2あたり1〜100個とすることができる。
以下、図17に示すように、或る凸部の最頂部と、その凸部に隣接する凹部の最底部と、の間の高低差(凹凸が形成されていないと仮定したときの空気極集電部70の外側表面(平面)に垂直な方向(z軸方向)における距離)を、「凹凸の高低差H」(μm)と定義し、図18に示すように、或る凸部の最頂部(例えば、点aを参照)と、その凸部の最頂部から最も近い位置にある他の凸部の最頂部(例えば、点bを参照)と、の間隔(凹凸が形成されていないと仮定したときの空気極集電部70の外側表面(平面)に沿う方向(x−y平面方向)における距離)を、「凹凸の間隔L」(μm)と定義する。
本発明者は、上述したクラックの発生の有無が、「空気極集電部70の外側表面に凹凸が形成されているか否か」に加えて、「凹凸の間隔Lの平均値」及び「凹凸の高低差Hの平均値」とも、強い相関があることを見出した。以下、これらのことを確認した試験について説明する。なお、本明細書において「平均」とは「相加平均」を指す。
(試験A)
この試験Aでは、図1に示したSOFCについて、「空気極集電部70の材料」、「凹凸の間隔Lの平均値(μm)」、及び「凹凸の高低差Hの平均値(μm)」の組み合わせが異なる複数のサンプルが作製された。具体的には、表1に示すように、20種類の水準(組み合わせ)が準備された。各水準に対して10個のサンプル(N=10)が作製された。水準1のみが「凹凸が形成されない場合」に対応し、水準2〜20が「凹凸が形成される場合」に対応する。水準2〜10、15〜20では、空気極集電部70の外側表面の全面に凹凸が形成されており、水準11〜14では、空気極集電部70の外側表面の一部にのみ凹凸が形成されている。
この試験Aでは、図1に示したSOFCについて、「空気極集電部70の材料」、「凹凸の間隔Lの平均値(μm)」、及び「凹凸の高低差Hの平均値(μm)」の組み合わせが異なる複数のサンプルが作製された。具体的には、表1に示すように、20種類の水準(組み合わせ)が準備された。各水準に対して10個のサンプル(N=10)が作製された。水準1のみが「凹凸が形成されない場合」に対応し、水準2〜20が「凹凸が形成される場合」に対応する。水準2〜10、15〜20では、空気極集電部70の外側表面の全面に凹凸が形成されており、水準11〜14では、空気極集電部70の外側表面の一部にのみ凹凸が形成されている。
各サンプル(図1に示すSOFC)にて、支持基板10は、長手方向(x軸方向)の長さが50〜500mmで、幅方向(y軸方向)の長さが10〜100mmで、厚さが1〜5mmの平板状を呈していた。空気極集電部70は、長手方向(x軸方向)の長さが10〜50mmで、幅方向(y軸方向)の長さが8〜90mmで、厚さが100〜500μmの平板状を呈していた。即ち、空気極集電部70の外側表面は、(凹凸が形成されていないものと仮定すると)平面であった。空気極集電部70の気孔率は、20〜60%であった。空気極集電部の成形膜70gの成膜は、印刷法、テープ接着法、ディスペンサ法、等によってなされた。空気極集電部70の外側表面に形成された凹凸の間隔L、高低差H及び凸部の個数の調整は、印刷法の場合は印刷パターンの調整により、テープ積層法の場合は金型の転写条件の調整により、ディスペンサ法の場合はノズル噴射条件の調整により調整した。
各サンプルについて、空気極集電部70の焼成は、1000〜1100℃にて、1〜3時間に亘って行われた。各サンプルに対して施された上記還元処理は、800〜1000℃にて、1〜10時間に亘って行われた。
表1に記載された各水準についての「凹凸の間隔Lの平均値」の値(μm)は、その水準に対応する10個のサンプルのそれぞれについて「空気極集電部70の外側表面に形成された凹凸における全ての凸部のそれぞれについて得られる間隔L(=複数の値)」の平均値を算出し、算出された「10個の前記平均値」を平均して得られた値である。表1に記載された各水準についての「凹凸の間隔Lの標準偏差」の値は、各水準の10個のサンプルそれぞれに係る「空気極集電部70の外側表面に形成された凹凸に含まれる全ての凸部に係る間隔Lの偏差」の二乗平均平方根である。
表1に記載された各水準についての「凹凸の高低差Hの平均値」の値(μm)は、その水準に対応する10個のサンプルのそれぞれについて「空気極集電部70の外側表面に形成された凹凸における全ての凸部のそれぞれについて得られる高低差H(=複数の値)」の平均値を算出し、算出された「10個の前記平均値」を平均して得られた値である。表1に記載された各水準についての「凹凸の高低差Hの標準偏差」の値は、各水準の10個のサンプルそれぞれに係る「空気極集電部70の外側表面に形成された凹凸に含まれる全ての凸部に係る高低差Hの偏差」の二乗平均平方根である。
この試験Aでは、まず上記還元処理後の水準1〜14に係る各サンプルについて、「燃料極20に還元性の燃料ガスを流通させながら、雰囲気温度を常温から750℃まで2時間で上げた後に750℃から常温まで4時間で下げるパターン」を10回繰り返す熱サイクル試験を行った。そして、各サンプルについて、空気極集電部70の外側表面のうち凹凸が形成された領域における「空気極集電部70の外側表面を起点とする、空気極集電部70の内部に向かうクラック」の発生の有無が確認された。凹凸が形成された領域とは、外側表面の平面視において、最外周に並んだ凸部を結んだ線の内側の領域である。クラックの確認は、目視、並びに、顕微鏡を使用した断面の観察によってなされた。この結果は表1に示すとおりである。
次に、上記還元処理後の水準15〜20に係る各サンプルについて、上述した水準1〜14と同じ昇降温パターンを30回繰り返す熱サイクル試験を行った。そして、各サンプルについて、空気極集電部70の外側表面のうち凹凸が形成された領域におけるクラックの有無を確認した。この結果は表1に示すとおりである。
表1から理解できるように、空気極集電部70の外側表面のうち凹凸が形成された領域では、凹凸が形成されない領域と比べて、上述したクラックが発生し難い。これは、空気極集電部70の外側表面のうち凹凸が形成された領域では、凹凸が形成されない領域と比べて、空気極集電部70の外側表面に応力が集中し難くなることに起因する、と考えられる。なお、表1には示していないが、水準15〜20では、空気極集電部70の外側表面のうち凹凸が形成されていない領域において水準1と同程度のクラックの発生が確認された。
更には、空気極集電部70の外側表面に凹凸が形成される場合において、凹凸の間隔Lの平均値が30〜900μmであり且つ凹凸の高低差Hの平均値が3〜30μmであると、そうでない場合と比べて、上述したクラックがより一層発生し難い。これは、空気極集電部70の外側表面に形成される凹凸について上記の条件が満足されると、上記の条件が満足されない場合と比べて、空気極集電部70の外側表面に応力がより一層集中し難くなることに起因する、と考えられる。
以上より、空気極集電部70の外側表面に凹凸が形成され、且つ、凹凸の間隔Lの平均値が30〜900μmであり且つ凹凸の高低差Hの平均値が3〜30μmであると、そうでない場合と比べて、上述したSOFCが稼働された場合においても、上述したクラックが発生し難くなる、ということができる。
また、表1に示すように、「凹凸の間隔Lの標準偏差」は260以下であればよく、「凹凸の高低差Hの標準偏差」は10以下であればよいことが確認された。
なお、上記試験Aでは、各サンプルに使用された空気極集電部70の外側表面は(凹凸が形成されていないものと仮定すると)平面であったが、(凹凸が形成されていないものと仮定したときに)曲面であっても、上記試験と同じ結果が得られたことが別途確認されている。
本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記実施形態では、図6等に示すように、支持基板10に形成された凹部12の平面形状(支持基板10の主面に垂直の方向からみた場合の形状)が、長方形になっているが、例えば、正方形、円形、楕円形、長穴形状等であってもよい。また、上記実施形態では、支持基板10が平板状を呈しているが、支持基板が円筒状を呈していてもよい。この場合、空気極集電部の外側表面は(凹凸が形成されていないものと仮定すると)、平面ではなく曲面となる。
また、上記実施形態においては、平板状の支持基板10の上下面のそれぞれに複数の凹部12が形成され且つ複数の発電素子部Aが設けられているが、支持基板10の片側面のみに複数の凹部12が形成され且つ複数の発電素子部Aが設けられていてもよい。また、上記実施形態においては、支持基板のガス流路11に燃料ガスが流され、SOFCの周囲に空気が流されるため、前記「内側電極」及び前記「外側電極」がそれぞれ、「燃料極20」及び「空気極60」に対応している。一方で、支持基板のガス流路11に空気が流され、SOFCの周囲に燃料ガスが流される場合には、前記「内側電極」及び前記「外側電極」がそれぞれ、「空気極」及び「燃料極」に対応することになる。この場合、上記実施形態における空気極集電部70は「燃料極集電部」に対応し、燃料極集電部の外側表面に上述した凹凸が形成されることになる。燃料極集電部は、本実施形態に係る「集電部」の一例である。
また、上記実施形態においては、燃料極20が燃料極集電部21と燃料極活性部22との2層で構成されているが、燃料極20が燃料極活性部22に相当する1層(Ni及び酸化物セラミックス)で構成されてもよい。
また、上記実施形態においては、各燃料極20(集電部21及び活性部22)が支持基板の主面に形成された凹部12に埋設されているが、支持基板の主面に凹部が形成されず、各燃料極20(集電部21及び活性部22)が支持基板の主面から突出するように形成されていてもよい。
また、上記実施形態では、インターコネクタ30と固体電解質膜40が、ガスシール機能を発揮するシール膜を構成することとしたが、これに限られるものではない。例えば、反応防止膜50が緻密質である場合、シール膜は、インターコネクタ30、固体電解質膜40及び反応防止膜50によって構成されることになる。また、シール膜のうち発電素子部Aの外側の部分は、緻密質であればよく、固体電解質膜40と異なる組成の材料で構成されていてもよい。
以上、本発明の実施形態に係る横縞型の燃料電池について説明したが、本発明者は、縦縞型の燃料電池についても、上記内容と同じ内容が当てはまること、をも見出した。以下、この点について説明する。
(縦縞型の構成)
図19〜図21は、本発明の実施形態に係る固体酸化物形燃料電池(SOFC)の一例を示す。このSOFCは、セル100とセパレータ200とが交互に積層された構造を有している。この構造は、「縦縞型」とも「平板スタック構造」とも呼ばれる。なお、図20に示すように、この燃料電池では、最も上方に位置するセル100の上側に位置するセパレータを特に上側蓋部材300と呼び、最も下方に位置するセル100の下側に位置するセパレータを特に下側蓋部材400と呼ぶ。
図19〜図21は、本発明の実施形態に係る固体酸化物形燃料電池(SOFC)の一例を示す。このSOFCは、セル100とセパレータ200とが交互に積層された構造を有している。この構造は、「縦縞型」とも「平板スタック構造」とも呼ばれる。なお、図20に示すように、この燃料電池では、最も上方に位置するセル100の上側に位置するセパレータを特に上側蓋部材300と呼び、最も下方に位置するセル100の下側に位置するセパレータを特に下側蓋部材400と呼ぶ。
図21に示すように、セル100は、固体電解質層120と、固体電解質層120の上面に積層された燃料極110と、固体電解質層120の下面に積層された空気極130と、からなる平板状の焼成体である。セル100の平面形状は、例えば、1辺の長さが10〜300mmの正方形である。
セル100の厚さ(z軸方向の長さ)は全体に渡って均一であり、例えば、110〜2100μmである。燃料極110、固体電解質層120、及び、空気極130の厚さはそれぞれ、例えば、50〜2000μm、1〜50μm、及び、50〜2000μmである。図21に示す例では、セル100を構成する部材のうち燃料極110が最も厚く、従って、燃料極110がセル100全体を支持する構造となっている。
燃料極110は、例えば、NiとYSZとを含む多孔質材料で構成される。固体電解質層120は、例えば、YSZを含む緻密質材料で構成される。空気極130は、例えば、LSM(La(Sr)MnO3:ランタンストロンチウムマンガナイト)を含む多孔質材料で構成される。燃料極110、固体電解質層120、及び、空気極130の気孔率はそれぞれ、15〜55%、0〜10%、15〜55%である。燃料極110、固体電解質層120、及び、空気極130の常温から1000℃での平均熱膨張率はそれぞれ、およそ、12.5ppm/K、10.8ppm/K、及び、11(10.8)ppm/Kである。
図20及び図21に示すように、セパレータ200は、平板部210と、枠体部220と、を備えている。セパレータ200の平面形状は、セル100の平面形状と同形である。枠体部220は、平板部210の周縁部をその全周に亘って囲むように位置している。枠体部220の厚さ(z軸方向の長さ)は、平板部210の厚さ(z軸方向の長さ)より大きい。枠体部220は、平板部210に対して、上方及び下方の両方に突出している。
セパレータ200は、Ni系耐熱合金(例えば、フェライト系SUS、インコネル600及びハステロイ等)で構成されている。セパレータ200の常温から1000℃での平均熱膨張率は、例えばフェライト系SUSであるSUS430の場合、およそ12.5ppm/Kである。従って、セパレータ200の熱膨張率は、セル100の平均熱膨張率よりも大きい。
各セル100の周縁部は、その上側及び下側に隣接するセパレータ200のそれぞれの枠体部220によって、接合材(ガラス材料等)を介して挟持されている。この結果、図21に示すように、各セル100について、セル100とセル100の上側に隣接するセパレータ200との間にて、燃料ガスが流通する燃料流路が区画・形成され、セル100とセル100の下側に隣接するセパレータ200との間にて、空気が流通する空気流路が区画・形成されている。従って、セパレータ200は、燃料ガスと空気との混合を防止する機能を果たす。
以上、図19〜図21に示した燃料電池に対して、各燃料流路に燃料ガス(水素ガス等)を流すとともに、各空気流路に空気を流し、この燃料電池を外部の負荷に接続することによって、下記の化学反応式(3)及び(4)に基づく発電が行われる。
(1/2)・O2+2e−→O2− (於:空気極130) …(3)
H2+O2−→H2O+2e− (於:燃料極110) …(4)
(1/2)・O2+2e−→O2− (於:空気極130) …(3)
H2+O2−→H2O+2e− (於:燃料極110) …(4)
(製造方法)
次に、図19〜図21に示す燃料電池の製造方法について簡単に説明する。セル100については、まず、セラミックスシート(固体電解質層120となる層)の上面に、燃料極110用の成形膜が形成される。燃料極110用の成形膜は、例えば、燃料極110の材料粉末にバインダー、造孔材、分散材等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して形成される。また、液体を液滴として吐出する液滴吐出装置(インクジェットディスペンサ)を用いて、燃料極110が形成されるべき面上の異なる位置に前記スラリーの液滴を順に吐出・付着させていくことによって、燃料極110の成形膜が形成されてもよい。この積層体が1400℃・1時間にて焼成される。
次に、図19〜図21に示す燃料電池の製造方法について簡単に説明する。セル100については、まず、セラミックスシート(固体電解質層120となる層)の上面に、燃料極110用の成形膜が形成される。燃料極110用の成形膜は、例えば、燃料極110の材料粉末にバインダー、造孔材、分散材等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して形成される。また、液体を液滴として吐出する液滴吐出装置(インクジェットディスペンサ)を用いて、燃料極110が形成されるべき面上の異なる位置に前記スラリーの液滴を順に吐出・付着させていくことによって、燃料極110の成形膜が形成されてもよい。この積層体が1400℃・1時間にて焼成される。
次いで、セラミックスシート(固体電解質層120となる層)の下面に、空気極130用の成形膜が形成される。空気極130用の成形膜は、例えば、空気極130の材料粉末にバインダー、造孔材、分散材等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して形成される。また、燃料極110と同様、液滴吐出装置(インクジェットディスペンサ)を用いて形成されてもよい。この積層体が1200℃・1時間にて焼成される。これにより、セル100が形成される。セパレータ200は、Ni系耐熱合金の薄板材料に対して、切削加工、プレス加工等に施すことによって形成される。
次に、完成したセル100とセパレータ200とを交互に、且つ、隣接するセル100の周縁部とセパレータ200の枠体部220との間にガラス材料が介在する状態で積層し、この積層体(のガラス材料)に対して熱処理(830℃/1hr)が施される。この結果、ガラス材料が固化することによってこの積層体が一体化されて、平板スタック構造を有する図1に示す縦縞型の燃料電池が完成する。
なお、この時点では、酸素含有雰囲気での焼成により、燃料極110中のNi成分が、NiOとなっている。従って、燃料極110の電子伝導性を獲得するため、その後、燃料流路側から還元性の燃料ガスが流され、NiOが800〜1000℃で1〜10時間に亘って還元処理される。なお、この還元処理は発電時に行われてもよい。以上、図19に示したSOFCの製造方法の一例について説明した。
(クラックの発生の防止)
上述した図19に示すSOFCが稼働されると、図22に示すような「燃料極110の外側表面を起点とする、燃料極110の内部に向かうクラック」(以下、単に「クラック」と呼ぶ)が発生する場合がある(図22を参照)。この現象は、燃料極110の外側表面に応力が集中し易いことに起因する、と考えられる。
上述した図19に示すSOFCが稼働されると、図22に示すような「燃料極110の外側表面を起点とする、燃料極110の内部に向かうクラック」(以下、単に「クラック」と呼ぶ)が発生する場合がある(図22を参照)。この現象は、燃料極110の外側表面に応力が集中し易いことに起因する、と考えられる。
本発明者は、上述したクラックの起点となる「燃料極110の外側表面」の形状に着目した。そして、本発明者は、燃料極110の外側表面に凹凸が形成されると、凹凸が形成されない場合と比べて、前記クラックが発生し難いことを見出した。ただし、凹凸は、燃料極110の外側表面自体の形状により形成されるものであり、例えばセル100とセパレータ200を接合するための接合材などによって形成されるものを含まない。
図23〜図25は、それぞれ、上述した図16〜図18に対応しているので、これらの詳細な説明を省略する。「凹凸の高低差H」(μm)の定義(図24)、並びに、「凹凸の間隔L」(μm)の定義(図25)についても、それぞれ、上述した図17及び図18と同様であるので、これらの詳細な説明を省略する。また、「凹凸の間隔Lの標準偏差」の定義及び「凹凸の高低差Hの標準偏差」の定義についても上述のとおりである。さらに、凸部の平面形状、凸部の平面サイズ及び単位面積当たりの凸部の数についても上述のとおりである。
本発明者は、上述した燃料極110の外側表面におけるクラックの発生の有無が、「燃料極110の外側表面に凹凸が形成されているか否か」に加えて、「凹凸の間隔Lの平均値」及び「凹凸の高低差Hの平均値」とも、強い相関があることを見出した。以下、これらのことを確認した試験Bについて説明する。
(試験B)
この試験Bでは、図19に示したSOFCについて、「燃料極110の材料」、「凹凸の間隔Lの平均値(μm)」、及び「凹凸の高低差Hの平均値(μm)」の組み合わせが異なる複数のサンプルが作製された。具体的には、表2に示すように、20種類の水準(組み合わせ)が準備された。各水準に対して10個のサンプル(N=10)が作製された。水準1のみが「凹凸が形成されない場合」に対応し、水準2〜20が「凹凸が形成される場合」に対応する。水準2〜10、15〜20では、燃料極110の外側表面の全面に凹凸が形成されており、水準11〜14では、燃料極110の外側表面の一部にのみ凹凸が形成されている。
この試験Bでは、図19に示したSOFCについて、「燃料極110の材料」、「凹凸の間隔Lの平均値(μm)」、及び「凹凸の高低差Hの平均値(μm)」の組み合わせが異なる複数のサンプルが作製された。具体的には、表2に示すように、20種類の水準(組み合わせ)が準備された。各水準に対して10個のサンプル(N=10)が作製された。水準1のみが「凹凸が形成されない場合」に対応し、水準2〜20が「凹凸が形成される場合」に対応する。水準2〜10、15〜20では、燃料極110の外側表面の全面に凹凸が形成されており、水準11〜14では、燃料極110の外側表面の一部にのみ凹凸が形成されている。
各サンプル(図19に示すSOFC)にて、燃料極110、固体電解質層120、及び、空気極130の平面形状は、1辺の長さが10〜300mmの正方形であった。燃料極110、固体電解質層120、及び、空気極130の厚さは、それぞれ、例えば、50〜2000μm、1〜50μm、及び、50〜2000μmであった。即ち、燃料極110がセル100全体を支持する構造となっていた。
燃料極110の気孔率は、20〜60%であった。燃料極110の成形膜の成膜は、印刷法、テープ接着法、ディスペンサ法、等によってなされた。燃料極110の外側表面に形成された凹凸の間隔L、高低差H及び凸部の個数の調整は、印刷法の場合は印刷パターンの調整により、テープ積層法の場合は金型の転写条件の調整により、ディスペンサ法の場合はノズル噴射条件の調整により調整した。
各サンプルについて、燃料極110の焼成は、1200〜1500℃にて、1〜3時間に亘って行われた。各サンプルに対して施された上記還元処理は、800〜1000℃にて、1〜10時間に亘って行われた。
表2に記載された各水準についての「凹凸の間隔Lの平均値」の値(μm)、「凹凸の間隔Lの標準偏差」の値、「凹凸の高低差Hの平均値」の値(μm)及び「凹凸の高低差Hの標準偏差」の値は、それぞれ、上記試験Aと同様に算出した。
この試験Bでは、まず上記還元処理後の水準1〜14に係る各サンプルについて、「燃料極110に還元性の燃料ガスを流通させながら、雰囲気温度を常温から750℃まで2時間で上げた後に750℃から常温まで4時間で下げるパターン」を10回繰り返す熱サイクル試験を行った。そして、各サンプルについて、燃料極110の外側表面のうち凹凸が形成された領域における「燃料極110の外側表面を起点とする、燃料極110の内部に向かうクラック」の発生の有無が確認された。凹凸が形成された領域とは、外側表面の平面視において、最外周に並んだ凸部を結んだ線の内側の領域である。クラックの確認は、目視、並びに、顕微鏡を使用した断面の観察によってなされた。この結果は表2に示すとおりである。
次に、上記還元処理後の水準15〜20に係る各サンプルについて、上述した水準1〜14と同じ昇降温パターンを30回繰り返す熱サイクル試験を行った。そして、各サンプルについて、燃料極110の外側表面のうち凹凸が形成された領域におけるクラックの有無を確認した。この結果は表2に示すとおりである。
表2から理解できるように、燃料極110の外側表面のうち凹凸が形成された領域では、凹凸が形成されない領域と比べて、上述したクラックが発生し難い。これは、燃料極110の外側表面のうち凹凸が形成された領域では、凹凸が形成されない領域と比べて、燃料極110の外側表面に応力が集中し難くなることに起因する、と考えられる。なお、表2には示していないが、水準15〜20では、燃料極110の外側表面のうち凹凸が形成されていない領域において水準1と同程度のクラックの発生が確認された。
更には、燃料極110の外側表面に凹凸が形成される場合において、凹凸の間隔Lの平均値が30〜900μmであり且つ凹凸の高低差Hの平均値が3〜30μmであると、そうでない場合と比べて、上述したクラックがより一層発生し難い。これは、燃料極110の外側表面に形成される凹凸について上記の条件が満足されると、上記の条件が満足されない場合と比べて、燃料極110の外側表面に応力がより一層集中し難くなることに起因する、と考えられる。
以上より、燃料極110の外側表面に凹凸が形成され、且つ、凹凸の間隔Lの平均値が30〜900μmであり且つ凹凸の高低差Hの平均値が3〜30μmであると、そうでない場合と比べて、上述した図19に示すSOFCが熱応力的に過酷な環境下で稼働された場合においても、上述した燃料極110の外側表面におけるクラックが発生し難くなる、ということができる。
また、表2に示すように、「凹凸の間隔Lの標準偏差」は200以下であればよく、「凹凸の高低差Hの標準偏差」は10以下であればよいことが確認された。
以上、図19に示す縦縞型のSOFCにおける燃料極110の外側表面におけるクラックの発生の防止について説明したが、本発明者は、同じ縦縞型のSOFCにおける空気極130の外側表面についても上記内容と同じ内容が当てはまること、をも見出した。以下、この点について簡単に説明する。
本発明者は、空気極130の外側表面に凹凸が形成されると、凹凸が形成されない場合と比べて、空気極130の外側表面にてクラック(図26を参照)が発生し難いことを見出した。ただし、凹凸は、空気極130の外側表面自体の形状により形成されるものであり、例えばセル100とセパレータ200を接合するための接合材などによって形成されるものを含まない。
図27〜図29は、それぞれ、上述した図16〜図18に対応しているので、これらの詳細な説明を省略する。「凹凸の高低差H」(μm)の定義(図28)、並びに、「凹凸の間隔L」(μm)の定義(図29)についても、それぞれ、上述した図17及び図18と同様であるので、これらの詳細な説明を省略する。また、「凹凸の間隔Lの標準偏差」の定義及び「凹凸の高低差Hの標準偏差」の定義については上述のとおりである。さらに、凸部の平面形状、凸部の平面サイズ及び単位面積当たりの凸部の数についても上述のとおりである。
本発明者は、上述した空気極130の外側表面におけるクラックの発生の有無が、「空気極130の外側表面に凹凸が形成されているか否か」に加えて、「凹凸の間隔Lの平均値」及び「凹凸の高低差Hの平均値」とも、強い相関があることを見出した。以下、これらのことを確認した試験Cについて説明する。
(試験C)
この試験Cでは、図19に示したSOFCについて、「空気極130の材料」、「凹凸の間隔Lの平均値(μm)」、及び「凹凸の高低差Hの平均値(μm)」の組み合わせが異なる複数のサンプルが作製された。具体的には、表3に示すように、20種類の水準(組み合わせ)が準備された。各水準に対して10個のサンプル(N=10)が作製された。水準1のみが「凹凸が形成されない場合」に対応し、水準2〜20が「凹凸が形成される場合」に対応する。水準2〜10、15〜20では、空気極130の外側表面の全面に凹凸が形成されており、水準11〜14では、空気極130の外側表面の一部にのみ凹凸が形成されている。
この試験Cでは、図19に示したSOFCについて、「空気極130の材料」、「凹凸の間隔Lの平均値(μm)」、及び「凹凸の高低差Hの平均値(μm)」の組み合わせが異なる複数のサンプルが作製された。具体的には、表3に示すように、20種類の水準(組み合わせ)が準備された。各水準に対して10個のサンプル(N=10)が作製された。水準1のみが「凹凸が形成されない場合」に対応し、水準2〜20が「凹凸が形成される場合」に対応する。水準2〜10、15〜20では、空気極130の外側表面の全面に凹凸が形成されており、水準11〜14では、空気極130の外側表面の一部にのみ凹凸が形成されている。
各サンプル(図19に示すSOFC)のサイズ、及び、作成条件等は、上記試験Bの場合と同様であったので、それらの詳細な説明を省略する。表3に記載された各水準についての「凹凸の間隔Lの平均値」の値(μm)、「凹凸の間隔Lの標準偏差」の値、「凹凸の高低差Hの平均値」の値(μm)及び「凹凸の高低差Hの標準偏差」の値は、それぞれ、上記試験Aと同様に算出した。
この試験Cでは、まず上記還元処理後の水準1〜14に係る各サンプルについて、上記試験Bにおける熱サイクル試験と同じ試験を行った。そして、各サンプルについて、空気極130の外側表面のうち凹凸が形成された領域における「空気極130の外側表面を起点とする、空気極130の内部に向かうクラック」の発生の有無が確認された。凹凸が形成された領域とは、外側表面の平面視において、最外周に並んだ凸部を結んだ線の内側の領域である。クラックの確認は、目視、並びに、顕微鏡を使用した断面の観察によってなされた。この結果は表3に示すとおりである。
次に、上記還元処理後の水準15〜20に係る各サンプルについて、上述した水準1〜14と同じ昇降温パターンを30回繰り返す熱サイクル試験を行った。そして、各サンプルについて、空気極130の外側表面のうち凹凸が形成された領域におけるクラックの有無を確認した。この結果は表3に示すとおりである。
表3から理解できるように、空気極130の外側表面のうち凹凸が形成された領域では、凹凸が形成されない領域と比べて、上述したクラックが発生し難い。これは、空気極130の外側表面のうち凹凸が形成された領域では、凹凸が形成されない領域と比べて、空気極130の外側表面に応力が集中し難くなることに起因する、と考えられる。なお、表3には示していないが、水準15〜20では、空気極130の外側表面のうち凹凸が形成されていない領域において水準1と同程度のクラックの発生が確認された。
更には、空気極130の外側表面に凹凸が形成される場合において、凹凸の間隔Lの平均値が30〜900μmであり且つ凹凸の高低差Hの平均値が3〜30μmであると、そうでない場合と比べて、上述したクラックがより一層発生し難い。これは、空気極130の外側表面に形成される凹凸について上記の条件が満足されると、上記の条件が満足されない場合と比べて、空気極130の外側表面に応力がより一層集中し難くなることに起因する、と考えられる。
以上より、空気極130の外側表面に凹凸が形成され、且つ、凹凸の間隔Lの平均値が30〜900μmであり且つ凹凸の高低差Hの平均値が3〜30μmであると、そうでない場合と比べて、上述した図19に示すSOFCが熱応力的に過酷な環境下で稼働された場合においても、上述した空気極130の外側表面におけるクラックが発生し難くなる、ということができる。
また、表3に示すように、「凹凸の間隔Lの標準偏差」は300以下であればよく、「凹凸の高低差Hの標準偏差」は8以下であればよいことが確認された。
10…支持基板、11…ガス流路、12…凹部、20…燃料極、21…燃料極集電部、22…燃料極活性部、30…インターコネクタ、40…固体電解質膜、50…反応防止膜、60…空気極、70…空気極集電部、A…発電素子部、100…セル、110…燃料極、120…固体電解質層、130…空気極、200…セパレータ
Claims (2)
- 固体電解質層と、前記固体電解質層の第1側に積層された燃料極と、前記固体電解質層の第2側に積層された空気極と、を備えた燃料電池であって、
前記燃料極の外側表面の少なくとも一部には凹凸が形成され、
前記凹凸における全ての凸部のそれぞれについて得られる、その凸部の最頂部と、その凸部の最頂部から最も近い位置にある他の凸部の最頂部と、の間隔(L)、の平均値が30〜900μmであり、
前記凹凸における全ての凸部のそれぞれについて得られる、その凸部の最頂部と、その凸部に隣接する凹部の最底部と、の間の高低差(H)、の平均値が3〜30μmである、燃料電池。 - 固体電解質層と、前記固体電解質層の第1側に積層された燃料極と、前記固体電解質層の第2側に積層された空気極と、を備えた燃料電池であって、
前記空気極の外側表面には凹凸が形成され、
前記凹凸における全ての凸部のそれぞれについて得られる、その凸部の最頂部と、その凸部の最頂部から最も近い位置にある他の凸部の最頂部と、の間隔(L)、の平均値が30〜900μmであり、
前記凹凸における全ての凸部のそれぞれについて得られる、その凸部の最頂部と、その凸部に隣接する凹部の最底部と、の間の高低差(H)、の平均値が3〜30μmである、燃料電池。
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