JP2017025918A - ベーン型圧縮機 - Google Patents

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宏樹 永野
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達志 森
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Kunihisa Matsuda
邦久 松田
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友哉 服部
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Abstract

【課題】回転軸心方向の小型化を実現しつつ、圧縮性能の低下を抑制可能なベーン型圧縮機を提供する。【解決手段】本発明の圧縮機では、第2サイドプレート5によってシリンダ室31と圧縮室9Aとが区画されている。第2サイドプレート5には、第2区画面5Rが形成されている。また、第2サイドプレート5には、カバー面135Gを有するカバー体35が固定されている。第2サイドプレート5とカバー体35との間には、第2区画面5Rの一部と、カバー面135の一部とを回転軸心X1方向において離間させるとともに、吐出室9A内よりも低圧、かつモータ室1Cよりも高圧となる中間圧室36が形成されている。中間圧室36は、回転軸心X1方向から見た場合に、シリンダ室31の他面の少なくとも一部と重なるように配置されている。カバー体35には、吐出室9Aと中間圧室36とを連通する第1、2油流路35P、35Qが形成されている。【選択図】図1

Description

本発明はベーン型圧縮機に関する。
特許文献1に従来のベーン型圧縮機が開示されている。このベーン型圧縮機において、ハウジングは、シリンダ室と吐出室とを区画する区画体としてのリヤサイドプレートを有している。リヤサイドプレートには、シリンダ室を形成する第1区画面と、回転軸心方向における第1区画面とは反対側に位置する第2区画面とが形成されている。また、リヤサイドプレートには、回転軸を回転可能に支持する軸孔が貫設されている。さらに、リヤサイドプレートには、吐出室と軸孔とを連通する油流路が形成されている。また、リヤサイドプレートには、カバー体が固定されている。カバー体は、第2区画面と対面した状態でリヤサイドプレートに固定されており、吐出室内に配置されている。
このベーン型圧縮機では、ロータが回転軸心周りで回転することにより、吸入室内の冷媒が圧縮室に吸入されて圧縮室内で圧縮される。この際、吐出室内の冷媒に含まれる潤滑油が油流路を経由して軸孔に供給される。
特開平2−185692号公報
ところで、ベーン型圧縮機には、車両等への搭載性を向上させるために小型化が求められている。そこで、上記従来のベーン型圧縮機において、リヤサイドプレート等の区画体の回転軸心方向の厚みを薄くすることが考えられる。
しかしながら、この場合、高圧となる吐出室内の圧力と、圧縮室側の圧力との差圧によって、区画体が圧縮室に向かって撓み易くなる。このため、区画体の第1区画面と、ロータとによって規定される回転軸心方向の隙間であるスラストクリアランスが作動中に設定よりも小さくなり過ぎるおそれがある。その結果、このベーン型圧縮機では、高負荷時には、ロータの回転時の抵抗力が増加し、動力損失が大きくなる。特に、区画体に油流路を形成している場合には、これが顕著になるおそれがある。一方、スラストクリアランスを比較的大きく設定すると、低負荷時に圧縮室内の冷媒が漏れ易くなる。これらのため、このベーン型圧縮機では、体積効率の低下が懸念される。
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、回転軸心方向の小型化を実現しつつ、体積効率の低下を抑制可能なベーン型圧縮機を提供することを解決すべき課題としている。
本発明のベーン型圧縮機は、吸入室、吐出室及びシリンダ室が形成されたハウジングと、
前記シリンダ室内に回転軸心周りで回転可能に設けられ、複数個のベーン溝が形成されたロータと、
前記各ベーン溝に出没可能に設けられたベーンとを備え、
前記シリンダ室の一面、前記シリンダ室の内周面、前記シリンダ室の他面、前記ロータの外周面及び前記各ベーンによって圧縮室が形成されるベーン型圧縮機であって、
前記ハウジングは、前記シリンダ室と前記吐出室とを区画する区画体を有し、
前記区画体には、前記シリンダ室の前記他面を構成する第1区画面と、前記回転軸心方向における前記第1区画面とは反対側に位置する第2区画面とが形成され、
前記吐出室内には、前記第2区画面と対面するカバー面を有し、前記区画体に固定されたカバー体が配置され、
前記区画体と前記カバー体との間には、前記第2区画面の一部と前記カバー面の一部とを前記回転軸心方向において離間させるとともに、前記吐出室内よりも低圧かつ前記吸入室内よりも高圧となる中間圧室が形成され、
前記回転軸心方向から見た場合に、前記中間圧室は、前記シリンダ室の前記他面の少なくとも一部と重なるように配置され、
前記カバー体には、前記吐出室と前記中間圧室とを連通する油流路が形成されていることを特徴とする。
本発明のベーン型圧縮機では、油流路が区画体ではなく、カバー体に形成されている。これにより、区画体の回転軸心方向の厚みを従来よりも薄くすることができる。ここで、カバー体は吐出室内に配置されているため、カバー体に油流路を形成しても、ハウジングの回転軸心方向の大きさには影響を与え難い。
そして、このベーン型圧縮機では、区画体とカバー体との間に中間圧室が形成されている。この中間圧室は、第2区画面の一部とカバー面の一部とを回転軸心方向において離間させている。また、中間圧室は、回転軸心方向から見た場合に、シリンダ室の他面の少なくとも一部と重なるように配置されている。そして、中間圧室には、油流路によって吐出室から潤滑油が供給される。これにより、中間圧室内は、吐出室内よりも低圧、かつ吸入室よりも高圧、すなわち、中間圧となっている。
これらにより、このベーン型圧縮機では、第2区画面における中間圧室に臨む領域では、カバー体に作用する吐出室内の圧力、すなわち、吐出圧が中間圧室によって遮断され、その領域に対して中間圧が作用する。その一方、第2区画面の残りの領域には、吐出圧が作用する。このため、作動中に第2区画面を圧縮室に向けて押圧する押圧力は、第2区画面の全体に吐出圧が作用する場合と比較して小さくなる。このため、区画体の回転軸心方向の厚みが薄くても、区画体が圧縮室に向かって撓み難い。特に、油流路が形成されていない区画体は、油流路によって弱体化されておらず、自己の強度を維持し易い。
このため、このベーン型圧縮機では、スラストクリアランスが作動中に設定よりも小さくなり難い。その結果、高負荷時にも、ロータの回転時の抵抗力が増加し難く、動力損失が大きくなり難い。一方、スラストクリアランスを比較的大きく設定する必要もないことから、低負荷時に圧縮室内の冷媒が漏れ易くなることもない。
したがって、本発明の本発明のベーン型圧縮機は、回転軸心方向の小型化を実現しつつ、体積効率の低下を抑制できる。
また、このベーン型圧縮機では、上記のように薄くなった区画体の撓みを抑制できるので、区画体の構成素材を高剛性の材料に変更しなくてもよく、区画体の製造コストの高騰化も抑制できる。
ロータには、回転軸心方向に延びる回転軸が設けられ得る。また、区画体には、回転軸心と同軸をなし、回転軸を回転可能に支持する軸孔が貫設され得る。そして、中間圧室は、回転軸及び軸孔に臨むように配置されていることが好ましい。この場合、中間圧室に導かれた冷媒に含まれる潤滑油によって、回転軸や軸孔等を好適に潤滑することができる。
区画体には、カバー体に向かって突出しつつ軸孔が貫設された凸部が形成され得る。そして、回転軸心方向から見た場合に、中間圧室は、凸部の全体と重なるように配置され、かつ凸部よりも大きく形成されていることが好ましい。
この場合、凸部に軸孔が形成されることにより、軸孔が回転軸を支持する範囲を大きくすることができ、軸孔が回転軸を好適に支持することが可能となる。そして、中間圧室が凸部よりも大きく形成されることにより、第2区画面において中間圧が作用する領域が大きくなる。このため、このベーン型圧縮機では、第2区画面を圧縮室に向けて押圧する押圧力をより小さくすることができる。
カバー体には、冷媒から潤滑油を分離するオイルセパレータの少なくとも一部が形成されていることが好ましい。この場合、カバー体が複数の機能を兼ねるので、部品点数を削減できる。
オイルセパレータは、吐出室に連通する油排出口を有し得る。そして、油流路は、油排出口より鉛直方向の下方で吐出室に開口していることが好ましい。この場合には、油流路によって、吐出室から中間圧室へ潤滑油を枯渇させることなく確実に供給することが可能となる。
各ベーン溝と各ベーンとの間は背圧室とされ得る。そして、中間圧室と背圧室とは、背圧流路によって連通していることが好ましい。この場合、背圧流路によって中間圧室内の潤滑油を背圧室に供給することが可能となる。これにより、中間圧室の潤滑油によって各ベーンをシリンダ室の内周面に押し付けることが可能となる。このため、このベーン型圧縮機では、各ベーンのチャタリングを抑制できることから、この点においても体積効率の低下を抑制できる。
本発明の本発明のベーン型圧縮機は、回転軸心方向の小型化を実現しつつ、体積効率の低下を抑制できる。
図1は、実施例1のベーン型圧縮機の断面図である。 図2は、実施例1のベーン型圧縮機の要部拡大断面図である。 図3は、実施例1のベーン型圧縮機に係り、図1のA−A断面を示す拡大断面図である。 図4は、実施例1のベーン型圧縮機に係り、図1のB−B断面を示す拡大断面図である。 図5は、実施例1のベーン型圧縮機に係り、カバー体及び区画体の第2区画面に作用する吐出圧と、第2区画面に作用する中間圧等とを示す模式図である。 図6は、比較例のベーン型圧縮機に係り、カバー体及び区画体の第2区画面に作用する吐出圧等を示す模式図である。 図7は、実施例2のベーン型圧縮機の部分断面図である。 図8は、実施例2のベーン型圧縮機に係り、図7のC−C断面を示す拡大断面図である。
以下、本発明を具体化した実施例1、2を図面を参照しつつ説明する。
(実施例1)
図1に示すように、実施例1の電動ベーン型圧縮機(以下、単に圧縮機という。)は、本発明のベーン型圧縮機の具体的態様の一例である。この圧縮機は、モータハウジング1と、モータ機構3と、第1サイドプレート4と、第2サイドプレート5と、シリンダブロック7と、メインハウジング9と、圧縮機構13とを備えている。モータハウジング1、第1、2サイドプレート4、5、シリンダブロック7及びメインハウジング9は、本発明の「ハウジング」の一例である。また、第2サイドプレート5は、本発明の「区画体」の一例である。
以下の説明では、図1の紙面左側であるモータハウジング1側を圧縮機の前側とし、図1の紙面右側であるメインハウジング9側を圧縮機の後側とする。また、図1の紙面上側を圧縮機の上側とし、図1の紙面下側を圧縮機の下側とする。そして、図2以降では、図1に対応させて前後方向及び上下方向を表示する。なお、実施例1における前後方向及び上下方向は一例である。本発明の圧縮機は、搭載される車両等に対応して、その取付姿勢が適宜変更される。
モータハウジング1は、前端側から後端側まで軸方向に延び、前端側が底壁1Aによって閉塞されているとともに後端側に開口1Bを有する有底筒状をなしている。モータハウジング1は、内部に吸入室を兼ねるモータ室1Cを形成している。モータハウジング1は、円筒部1Dを有している。円筒部1Dは、回転軸19の回転軸心X1を中心軸とする略円筒形状とされている。円筒部1Dの前側周縁は、底壁1Aの外周縁に接続している。円筒部1Dには、外部とモータ室1Cとを連通する吸入口1Eが形成されている。吸入口1Eには、図示しない配管によって車両用空調装置の蒸発器が接続されている。また、底壁1Aには、軸支部1Gが突設されている。軸支部1Gには、軸受装置21が設けられている。
モータ機構3は、ステータ15及びモータロータ17を有している。ステータ15は、円筒部1Dの内周面に固定されている。また、円筒部1D内には、リード線16C及びクラスタブロック16が収容されている。
クラスタブロック16は、接続端子16A、16Bを有している。接続端子16Aは、底壁1Aを通過して外部に突出している。接続端子16Bは、リード線16Cを介してステータ15に接続されている。これにより、ステータ15には、図示しない給電装置からクラスタブロック16及びリード線16Cを介して適宜給電される。
モータロータ17は、ステータ15内に配置されている。モータロータ17は、前後方向に延びる回転軸心X1を軸心とする回転軸19を挿通している。回転軸19の前端部は、軸受装置21によって軸支されている。
また、モータハウジング1の後端には、メインハウジング9が複数の図示しないボルトによって固定されている。メインハウジング9は、後端側が底壁9Dによって閉塞されているとともに前端側に開口9Eを有する有底筒状をなしている。モータハウジング1の開口1Bにメインハウジング9の開口9Eが当接し、モータハウジング1及びメインハウジング9が閉塞されている。モータハウジング1の開口1Bと、メインハウジング9の開口9Eとの間には、ガスケット22が設けられている。
メインハウジング9の開口9E側には、回転軸19の回転軸心X1と同軸の環状に凹設された第1段部9Fが形成されている。第1段部9Fには、第1サイドプレート4が嵌合されている。モータハウジング1の開口1B側には、回転軸19の回転軸心X1と同軸の環状に凹設された第2段部1Hが形成されている。第2段部1Hにも、第1サイドプレート4が嵌合されている。第1サイドプレート4は、回転軸心X1と直交する径方向に延びる平板部材である。第1サイドプレート4の外周縁は、モータハウジング1の第2段部1Hと、メインハウジング9の第1段部9Fとによって前後から挟まれている。
第1サイドプレート4の外周面と第1段部9Fの内周面との間には、Oリング23が設けられている。第1サイドプレート4には、回転軸19を挿通させる軸孔4Aが貫設されている。軸孔4Aには、回転軸19を好適に摺動させる図示しないめっきが形成されている。また、第1サイドプレート4の後面には、環状溝4Cが回転軸心X1周りに円環状に凹設されている。
メインハウジング9内には、シリンダブロック7、第2サイドプレート5及びカバー体35が収容されている。シリンダブロック7及び第2サイドプレート5は、図3に示すボルト25A〜25Dによって、図1に示す第1サイドプレート4の後面に組み付けられている。シリンダブロック7は、第1サイドプレート4と第2サイドプレート5とに前後から挟まれている。
第2サイドプレート5は、メインハウジング9の内周面に嵌合されている。第2サイドプレート5は、回転軸心X1と直交する径方向に延びる平板部材である。第2サイドプレート5の外周面とメインハウジング9の内周面との間には、Oリング24が設けられている。
図2に示すように、第2サイドプレート5には、第1区画面5Fと、第2区画面5Rとが形成されている。第1区画面5Fは、圧縮機の前側に面している。第2区画面5Rは、回転軸心X1方向において第1区画面5Fとは反対側に位置しており、圧縮機の後側に面している。第2区画面5Rには、圧縮機の後側、すなわち、後述するカバー体35に向かって突出する凸部5Tが形成されている。図4に示すように、凸部5Tは、直径が長さL1に設定された円筒状をなしている。また、図2に示すように、凸部5Tには軸孔5Aが貫設されている。この軸孔5Aには、回転軸19を好適に摺動させる図示しないめっきが形成されている。
図1に示すように、回転軸19の後端部は、軸孔5Aによって軸支されている。こうして、回転軸19は、第1サイドプレート4の軸孔4Aと第2サイドプレート5の軸孔5Aとによって両端が軸支され、回転軸心X1周りで回転可能となっている。
また、図2に示すように、第2サイドプレート5には、通路5Bが形成されている。通路5Bは、後述する吐出空間37と連通している。また、第1区画面5Fには、環状溝5Cが回転軸心X1周りに円環状に凹設されている。さらに、第2サイドプレート5には、連通路5Pが形成されている。連通路5Pは、第2区画面5Rから環状溝5Cに向かって延びている。これらの連通路5P及び環状溝5Cが本発明における「背圧流路」に相当する。
図1に示すように、メインハウジング9の底壁9D側と第2サイドプレート5の第2区画面5Rとの間には、吐出室9Aが形成されている。メインハウジング9には、外部と吐出室9Aとを連通する吐出口9Bが形成されている。吐出口9Bには、図示しない配管によって車両用空調装置の凝縮器が接続されている。
カバー体35は、回転軸心X1と直交する径方向に延びる平板部材であり、第2サイドプレート5に組み付けられている。具体的には、図4に示すように、カバー体35は、ボルト27A〜27Cによって、第2サイドプレート5の第2区画面5Rに組み付けられている。カバー体35と第2区画面5Rとの間にはガスケット26が設けられている。なお、説明を容易にするため、図4では後述する通路35Bの図示を省略している。後述する図8についても同様である。また、ボルト27A〜27Cの個数は適宜設計することができる他、ガスケット26に代えてOリング等を設けても良い。
ここで、第1サイドプレート4及び第2サイドプレート5は、回転軸19や後述するロータ41との摺接に耐え得る強度を有するアルミニウム合金によって形成されている。また、カバー体35についてもアルミニウム合金によって形成されている。しかし、カバー体35については、第1、2サイドプレート4、5よりも強度が低く安価なアルミニウム合金が採用されている。
図2に示すように、カバー体35は、前側に位置して第2サイドプレート5の第2区画面5Rと対面するカバー面135を有している。このカバー面135には、第2区画面5R及び凸部5Tから遠隔するように凹む凹部135Gが形成されている。図4に示すように、凹部135Gは円筒状をなしており、後述するシリンダ室31と同様に、回転軸心X1に対して偏心して位置している。凹部135Gは、シリンダ室31と同径となるように直径が長さL2に設定されており、凸部5Tの直径の長さL1よりも長くなっている。
図2に示すように、凹部135Gによって、第2サイドプレート5とカバー体35との間には中間圧室36が形成されている。より詳細には、中間圧室36は、第2区画面5Rとカバー面135との間に形成されている。上記のように、凹部135Gは、第2区画面5R及び凸部5Tから遠隔するよう形成されている。これにより、中間圧室36は、凸部5Tを含み第2区画面5Rにおいて凹部135Gに対面する領域と、カバー面135において凹部135Gが形成されている領域とを回転軸心X1方向において離間させている。そして、中間圧室36は、凸部5T、ひいては、回転軸19及び軸孔5Aに臨んでいる。また、図4に示すように、中間圧室36は、回転軸心X1方向から見た場合に、回転軸心X1に対して偏心しつつ、凸部5Tの全体と重なるように配置されており、かつ凸部5Tよりも大きく形成されている。さらに、図2に示すように、中間圧室36は、連通路5Pによって環状溝5Cと連通している。中間圧室36内は、上記のガスケット26によって気密性が確保されている。
また、カバー体35において、カバー面135の反対側の面には、円柱状をなして軸直角方向に延びる油分離室35Aが形成されている。油分離室35A内には、円筒状の筒部材54が固定されている。筒部材54の上端は、吐出室9Aに開いている。油分離室35Aの下端には、吐出室9Aに開く油排出口35Bが形成されている。また、カバー体35には通路35Cが形成されている。通路35Cは、通路5Bと連通することにより、油分離室35Aと後述する吐出空間37とを連通する。これら油分離室35A及び筒部材54により、本発明における「オイルセパレータ」が構成されている。
また、カバー体35には、圧縮機の後側に向かって突出するリブ351が形成されている。リブ351は、油排出口35Bから排出される潤滑油が、吐出室9A内に貯留された潤滑油の油面を撹乱させて巻き上げた場合に、潤滑油の混入した冷媒を衝突させることで潤滑油を分離させる。
さらに、カバー体35には、第1、2油流路35P、35Qが形成されている。これらの第1、2油流路35P、35Qが本発明における「油流路」に相当している。第1油流路35Pは、下端で吐出室9Aの底部と連通しており、回転軸心X1に近づくように上方に延びている。より具体的には、第1油流路35Pの下端は、上記の油排出口35Bよりも鉛直方向の下方となる位置で吐出室9Aの底部に開口している。第2油流路35Qは、第1油流路35Pの上端と連続しつつ、カバー面135の凹部135Gに向かって延びている。これらの第1、2油流路35P、35Qによって、吐出室9Aと中間圧室36とが連通している。これにより、油分離室35A及び筒部材54によって吐出室9A内の冷媒から分離された潤滑油は、第1、2油流路35P、35Qによって吐出室9Aから中間圧室36に導かれるようになっている。この際、第1、2油流路35P、35Qは絞り流路として機能し、中間圧室36内が吐出室9A内よりも低圧、かつモータ室1C内よりも高圧となるように、潤滑油を中間圧室36内に導くようになっている。
図1に示すように、シリンダブロック7は、回転軸心X1方向に筒状に延びている。シリンダブロック7は、第1、2サイドプレート4、5とともに内部にシリンダ室31を形成している。図3に示すように、シリンダ室31の内周面31Sの断面形状は、本実施例では、回転軸心X1に対して偏心するほぼ真円に形成されており、上記のように直径は長さL2に設定されている。シリンダ室31の前面が本発明における「シリンダ室の一面」に相当しており、シリンダ室31の後面が本発明の「シリンダ室の他面」に相当している。そして、図1に示すように、このシリンダ室31の後面は、第2サイドプレート5の第1区画面5Fによって構成されている。なお、シリンダ室31は、後述する第1〜第3ベーン51〜53が内周面Sに摺接可能な形状であれば、真円以外の形状に形成されても良い。
また、第1サイドプレート4には、回転軸心X1方向に開いてモータ室1Cに連通する吸入通路33Aが形成されている。シリンダブロック7には、吸入通路33Aと連通する吸入通路33Bが形成されている。図3に示すように、吸入通路33Bは、シリンダブロック7に凹設された吸入ポート33Cによってシリンダ室31に連通している。
シリンダブロック7には、外周側に開く吐出空間37が凹設されている。吐出空間37は、シリンダ室31の外周面から凹設された吐出ポート37Aによってシリンダ室31に連通している。吐出空間37内では、吐出ポート37Aを開閉する吐出リード弁39と、吐出リード弁39の開度を規制するリテーナ39Aとがボルト39Bによってシリンダブロック7に固定されている。
圧縮機構13は、シリンダ室31、ロータ41及び第1〜3ベーン51〜53によって構成されている。
図1に示すように、ロータ41には、回転軸19が圧入されている。これにより、ロータ41はシリンダ室31内で回転軸19と同期回転可能にとなっている。図3に示すように、ロータ41の外周面41Sの断面形状は、回転軸心X1を中心とする真円である。本実施例では、ロータ41の回転方向R1は、図3の紙面に向かって反時計方向である。
ここで、図5に示すように、ロータ41の後端面と第2サイドプレート5の第1区画面5Fとの間には所定の大きさに設定されたスラストクリアランスSC1が設けられている。図示を省略するものの、ロータ41の前端面と第1サイドプレート4の後面との間についても同様である。なお、図5では、説明を容易にするため、第2サイドプレート5やカバー体35等の形状を簡略化して図示しているとともに、ガスケット26等の図示を省略している。後述する図6についても同様である。
図3に示すように、ロータ41には、第1〜3ベーン溝41A〜41Cが形成されている。これらの第1〜3ベーン溝41A〜41Cは、それぞれ等間隔に配置されており、ロータ41の径方向で回転軸心X1に向かって延びている。
第1ベーン溝41Aには、第1ベーン51が出没可能に設けられている。第1ベーン51は、ロータ41の回転に伴って、その先端部をシリンダ室31の内周面31Sに摺接させることにより、第1ベーン溝41Aに対して出没する。同様に、第2ベーン溝41Bには第2ベーン52が出没可能に設けられており、第3ベーン溝41Cには第3ベーン53が出没可能に設けられている。これらの第1〜3ベーン51〜53は、同一形状に形成されており、平板形状をなしている。なお、シリンダ室31の前面、内周面31S及び後面の他、第1〜3ベーン51〜53には、ロータ41と好適に摺動させるために図示しないめっきが形成されている。
この圧縮機では、シリンダ室31の前面、シリンダ室31の内周面31S、第1区画面5F、ロータ41の外周面41S及び第1〜3ベーン51〜53によって、圧縮室30A、30B、30Cが形成されている。ここで、上記のように、シリンダ室31の後面が第2サイドプレート5の第1区画面5Fによって構成されていることから、シリンダ室31と吐出室9Aとは、第2サイドプレート5によって区画されている。
そして、上記のように、カバー面135に形成された凹部135Gは、シリンダ室31と同様に回転軸心X1に対して偏心して位置しており、シリンダ室31と同径となっている。このため、図4に示すように、回転軸心X1方向から見た場合に、中間圧室36は、凸部5Tの全体と重なるとともに、シリンダ室31の後面の全体と重なるように、第2区画面5Rと、カバー面135との間に配置されている。
また、上記のように、中間圧室36は、凸部5Tを含み第2区画面5Rにおいて凹部135Gに対面する領域と、カバー面135において凹部135Gが形成されている領域とを回転軸心X1方向において離間させるように形成されている。これらにより、中間圧室36は、吐出圧と対向する押圧力を発揮できる程度の容積を有している。ここで、中間圧室36の容積が大きすぎると、潤滑油が中間圧室36を通過する際に多くの時間を要することになるため、結果として、圧縮機の起動時に後述する第1〜3背圧室49A〜49Cへの背圧供給が遅れ、チャタリングが生じる恐れがある。このため、中間圧室36の容積は、このようなチャタリングの発生を防止できる程度に所定の範囲内の大きさで設定される。なお、中間圧室36の押圧力については後述する。
図3に示すように、第1ベーン51の底面51Sと第1ベーン溝41Aとの間は、第1背圧室49Aとされている。第2ベーン52の底面52Sと第2ベーン溝41Bとの間は、第2背圧室49Bとされている。第3ベーン53の底面53Sと第3ベーン溝41Cとの間は、第3背圧室49Cとされている。これらの第1〜3背圧室49A〜49Cは、図1に示す環状溝5C及び連通路5Pを介して中間圧室36と連通している。
この圧縮機では、ステータ15に給電が行われれば、モータ機構3が作動し、回転軸19が回転軸心X1周りで回転する。このため、圧縮機構13が作動し、ロータ41がシリンダブロック7内で回転する。この際、シリンダ室31内では、ロータ41の回転に応じて第1〜3ベーン51〜53がそれぞれ第1〜3ベーン溝41A〜41Cに対して出没する。
これにより、各圧縮室30A〜30Cが容積の拡大と縮小とを繰り返す。このため、各圧縮室30A〜30Cは、モータ室1Cから吸入通路33A、33B及び吸入ポート33Cを経て低圧の冷媒を吸入する吸入行程を行う。また、吸入行程後、各圧縮室30A〜30C内で冷媒を圧縮する圧縮行程を行う。さらに、圧縮行程後、各圧縮室30A〜30C内の高圧の冷媒を吐出ポート37A、吐出空間37、通路5B、35Cを経て吐出室9Aに吐出する吐出行程を行う。こうして、車室内の空調が行われる。
また、この圧縮機では、通路5B、35Cから油分離室35Aに吐出された高圧の冷媒は遠心力によって潤滑油を分離する。潤滑油は吐出室9A内に貯留される。この潤滑油は、吐出室9A内から第1、2油流路35P、35Qを経て中間圧室36内に導かれる。そして、中間圧室36内の潤滑油は、連通路5P及び環状溝5Cによって各第1〜3背圧室49A〜49Cに供給される。この際、環状溝4Cによって各第1〜3背圧室49A〜49C内の圧力が調整される。
そして、この圧縮機では、第1、2油通路35P、35Qが第2サイドプレート5ではなく、カバー体35に形成されている。これにより、この圧縮機では、第1、2油通路35P、35Qを形成するために第2サイドプレート5の回転軸心X1方向の厚みを確保する必要がなく、その分、第2サイドプレート5の回転軸心X1方向の厚みを薄くすることが可能となっている。ここで、カバー体35は吐出室9A内に配置されているため、カバー体35に第1、2油通路35P、35Qを形成しても、圧縮機の回転軸心X1方向の大きさには影響を与え難くなっている。これにより、この圧縮機では、回転軸心X1方向での小型化を実現している。
そして、この圧縮機では、体積効率の低下を抑制することも可能となっている。この作用について、図6に示す比較例の圧縮機との比較を基に具体的に説明する。
比較例の圧縮機は、第2サイドプレート5の回転軸心X1方向の厚みが実施例1の圧縮機と同様となっているものの、カバー体35のカバー面135に凹部135Gが形成されていない。このため、比較例の圧縮機では、第2サイドプレート5と、カバー体35との間に中間圧室36が存在しておらず、カバー面135の全体が第2サイドプレート5の第2区画面5Rに当接する構成となっている。比較例の圧縮機の圧縮機における他の構成は実施例1の圧縮機と同様である。
このため、このような比較例の圧縮機では、同図の白色矢印で示すように、作動時における吐出室9A内の吐出圧Pdがカバー体35を介して、第2サイドプレート5の第2区画面5Rの全体に作用する。このため、第2区画面5Rが圧縮室30A〜30Cに向けて押圧され、第2サイドプレート5がシリンダ室31、つまり、圧縮室30A〜30Cに向かって撓み易くなる。このため、比較例の圧縮機では、ロータ41の後端面と第2サイドプレート5の第1区画面5Fとの間のスラストクリアランスSC2が作動中に設定よりも小さくなり過ぎることにより、高負荷時にロータ41の回転時の抵抗力が増加し、動力損失が大きくなってしまう。
そこで、同図に示すように、比較例の圧縮機におけるスラストクリアランスSC2について、実施例1の圧縮機におけるスラストクリアランスSC1(図5参照)よりも大きく設定することが考えられる。しかし、この場合には、低負荷時に圧縮室30A〜30C内の冷媒が漏れ易くなる。これらのため、比較例の圧縮機では、体積効率が低下し易くなる。
これに対し、実施例1の圧縮機では、図5に示すように、カバー面135に凹部135Gが凹設されていることにより、第2区画面5Rとカバー面135との間に中間圧室36が形成されている。この中間圧室36は、凸部5Tを含み第2区画面5Rにおいて凹部135Gに対面する領域と、カバー面135において凹部135Gが形成されている領域とを回転軸心X1方向において離間させている。また、図4に示すように、中間圧室36は、回転軸心方向から見た場合に、凸部5Tの全体と重なるとともに、シリンダ室31の後面の全体と重なっている。そして、中間圧室36には、第1、2油流路35P、35Qによって吐出室9Aから潤滑油が供給される。この際、第1、2油流路35P、35Qは、中間圧室36内が吐出室9A内よりも低圧、かつモータ室1C内よりも高圧となるように、潤滑油を中間圧室36内に導く。このため、中間圧室36内は、吐出室9A内よりも低圧、かつモータ室1C内よりも高圧である中間圧Pcとなっている。
これらにより、実施例1の圧縮機では、同図の白色矢印で示すように、カバー体35には吐出圧Pdが作用するものの、凸部5Tを含む第2区画面5Rにおいて中間圧室36に臨む領域では、カバー体35に作用する吐出圧Pdが中間圧室36によって遮断され、この領域には、同図の黒色矢印で示すように、中間圧室36内の圧力である中間圧Pcが作用する。その一方、第2区画面5Rの残りの領域、つまり、第2区画面5Rにおいて中間圧室36の外側となる領域には、カバー体35を介して吐出圧Pdが作用することとなる。
ここで、中間圧室36は、回転軸心X1方向から見た場合に、凸部5Tの後面の全体と重なるように形成されている。これにより、実施例1の圧縮機では、第2区画面5Rにおいて中間圧Pcが作用する領域が大きくなっている。このため、実施例1の圧縮機では、作動中に第2区画面5Rを圧縮室30A〜30Cに向けて押圧する押圧力は、比較例の圧縮機のように第2区画面5Rの全体に吐出圧Pdが作用する場合と比較して小さくなっている。このため、実施例1の圧縮機では、第2サイドプレート5の回転軸心X1方向の厚みが薄くても、第2サイドプレート5が圧縮室30A〜30Cに向かって撓み難くなっている。特に、第2サイドプレート5には第1、2油流路35P、35Qが形成されていないため、第1、2油流路35P、35Qによって弱体化されておらず、自己の強度を維持し易くなっている。
このため、実施例1の圧縮機では、スラストクリアランスSC1が作動中に設定よりも小さくなり難い。その結果、高負荷時にも、ロータ41の回転時の抵抗力が増加し難く、動力損失が大きくなり難い。一方、実施例1の圧縮機では、スラストクリアランスSC1を比較的大きく設定する必要もないことから、低負荷時に圧縮室30A〜30C内の冷媒が漏れ易くなることもない。
したがって、実施例1の圧縮機では、回転軸心X1方向の小型化を実現しつつ、体積効率の低下を抑制できる。
また、この圧縮機では、上記のように薄くなった第2サイドプレート5の撓みを抑制できるので、第2サイドプレート5の構成素材を高剛性の材料に変更しなくてもよく、第2サイドプレート5の製造コストの高騰化も抑制できる。このため、この圧縮機では、低コスト化も実現できる。
さらに、この圧縮機では、第2サイドプレート5に対して、カバー体35に向かって突出する凸部5Tが形成されており、凸部5Tには軸孔5Aが貫設されている。このため、この圧縮機では、軸孔5Aが回転軸19を支持する範囲を大きくすることができ、軸孔5Aが回転軸19を好適に支持することが可能となっている。また、上記のように、中間圧室36は凸部5Tの後面の全体と重なるように形成されているため、中間圧室36は、回転軸19及び軸孔5Aに臨んでいる。このため、中間圧室36に導かれた潤滑油によって、回転軸19や軸孔5A等を好適に潤滑することが可能となっている。
さらに、カバー体35には、油分離室35Aが形成されている。これにより、この圧縮機では、カバー体35が複数の機能を兼ねることが可能となっており、油分離室35Aをカバー体35と別途に設ける場合と比較して、部品点数を削減することが可能となっている。
また、第1油流路35Pの下端は、油排出口35Bよりも鉛直方向の下方となる位置で吐出室9Aの底部に開口している。これにより、この圧縮機では第1、2油流路35P、35Qは、吐出室9A内に貯留された潤滑油を吐出室9Aから中間圧室36へ枯渇させることなく確実に供給することが可能となっている。
さらに、この圧縮機では、連通路5P及び環状溝5Cによって中間圧室36内の潤滑油を第1〜3背圧室49A〜49Cに供給することが可能となっている。これにより、中間圧室36の潤滑油によって第1〜3ベーン51〜53を好適にシリンダ室31の内周面に押し付けることが可能となっている。このため、この圧縮機では、第1〜3ベーン51〜53のチャタリングを抑制できることから、この点においても体積効率の低下を抑制することが可能となっている。
(実施例2)
図7に示すように、実施例2の圧縮機では、第2サイドプレート5に環状溝5C及び連通路5Pが形成されていない。一方、この圧縮機では、回転軸19の内部に軸路5Gが形成されている。また、回転軸19及びロータ41に対して第1径路5Hが形成されている。軸路5Gは、回転軸19の後端面から回転軸心X1に沿って前側に向かって延びている。第1径路5Hは、軸路5Gの先端側から回転軸19及びロータ41径外方向に延びており、第3背圧室49Cと連通している。これにより、軸路5G及び第1径路5Hによって、中間圧室36と第3背圧室49Cとが連通している。なお、図示を省略するものの、回転軸19及びロータ41には、径外方向に延びて軸路5Gと第1背圧室49Aとを連通する第2径路と、径外方向に延びて軸路5Gと第2背圧室49Bとを連通する第3径路とが更に形成されている。これらの軸路5G、第1径路5H、第2径路及び第3径路も本発明における「背圧流路」に相当している。
また、この圧縮機では、実施例1の圧縮機と比べて凹部135Gが小径に形成されている。具体的には、図8に示すように、この圧縮機では、凹部135Gの直径が長さL3に設定されており、凸部5Tの直径の長さL1よりも長いものの、シリンダ室31の直径の長さL2よりも短くなっている。これにより、この圧縮機では、凹部135G、ひいては、中間圧室36は、凸部5Tよりも大径であるものの、シリンダ室31よりも小径となっている。このため、回転軸心X1方向から見た場合に、中間圧室36は、凸部5Tの全体と重なるとともに、シリンダ室31の後面の一部と重なるように、第2区画面5Rと、カバー面135との間との間に配置されている。この圧縮機における他の構成は実施例1の圧縮機と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
この圧縮機では、中間圧室36内の潤滑油が軸路5G及び第1径路5Hを経て、第3背圧室49Cに供給される。同様に、中間圧室36内の潤滑油は、軸路5G及び第2径路を経て第1背圧室49Aに供給されるとともに、軸路5G及び第3径路を経て第2背圧室49Bに供給される。この圧縮における他の作用は実施例1の圧縮機と同様である。
以上において、本発明を実施例1、2に即して説明したが、本発明は上記実施例1、2に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、第1サイドプレート4に対して回転軸心X1方向で第2サイドプレート5に向かって延びる筒状部を形成し、第1サイドプレート4から延びる筒状部の内部にシリンダ室31が形成される構成としても良い。同様に、第2サイドプレート5に対して回転軸心X1方向で第1サイドプレート4に向かって延びる筒状部を形成し、第2サイドプレート5から延びる筒状部の内部にシリンダ室31が形成される構成としても良い。
また、第1サイドプレート4及び第2サイドプレート5に対して回転軸心X1方向に延びる筒状部を形成するとともに、双方の筒状部を対面させて配置することにより、第1サイドプレート4から延びる筒状部と、第2サイドプレート5から延びる筒状部とでシリンダ室31が形成される構成としても良い。
さらに、中間圧室36をシリンダ室31の後面よりも大径に形成する他、中間圧室36を種々の形状に形成しても良い。
また、第2サイドプレート5とカバー体35との間に複数の中間圧室36が形成されても良い。
さらに、実施例1、2の圧縮機では、第1〜3ベーン51〜53の3枚が設けられているが、ベーンは3枚に限られず、例えばベーンを2枚としたり4枚としたりすることもできる。
本発明は車両等の空調装置に利用可能である。
1C…モータ室(吸入室)
9A…吐出室
31…シリンダ室
1、4、7、5、9…ハウジング(1…モータハウジング、4…第1サイドプレート、7…シリンダブロック、5…第2サイドプレート、9…メインハウジング)
X1…回転軸心
41A、41B、41C…ベーン溝(41A…第1ベーン溝、41B…第2ベーン溝、41C…第3ベーン溝)
41…ロータ
51、52、53…ベーン(51…第1ベーン、52…第2ベーン、53…第3ベーン)
30A、30B、30C…圧縮室
5…第2サイドプレート(区画体)
5F…第1区画面
5R…第2区画面
135…カバー面
35…カバー体
36…中間圧室
35P、35Q…油流路(35P…第1油流路、35Q…第2油流路)
19…回転軸
5A…軸孔
5T…凸部
35A、54…オイルセパレータ(35A…油分離室、54…筒部材)
49A、49B、49C…背圧室(49A…第1背圧室、49B…第2背圧室、49C…第3背圧室)
5C、5P、5G、5H…背圧流路(5C…環状溝、5P…連通路、5G…軸路、5H…第1径路)

Claims (6)

  1. 吸入室、吐出室及びシリンダ室が形成されたハウジングと、
    前記シリンダ室内に回転軸心周りで回転可能に設けられ、複数個のベーン溝が形成されたロータと、
    前記各ベーン溝に出没可能に設けられたベーンとを備え、
    前記シリンダ室の一面、前記シリンダ室の内周面、前記シリンダ室の他面、前記ロータの外周面及び前記各ベーンによって圧縮室が形成されるベーン型圧縮機であって、
    前記ハウジングは、前記シリンダ室と前記吐出室とを区画する区画体を有し、
    前記区画体には、前記シリンダ室の前記他面を構成する第1区画面と、前記回転軸心方向における前記第1区画面とは反対側に位置する第2区画面とが形成され、
    前記吐出室内には、前記第2区画面と対面するカバー面を有し、前記区画体に固定されたカバー体が配置され、
    前記区画体と前記カバー体との間には、前記第2区画面の一部と前記カバー面の一部とを前記回転軸心方向において離間させるとともに、前記吐出室内よりも低圧かつ前記吸入室内よりも高圧となる中間圧室が形成され、
    前記回転軸心方向から見た場合に、前記中間圧室は、前記シリンダ室の前記他面の少なくとも一部と重なるように配置され、
    前記カバー体には、前記吐出室と前記中間圧室とを連通する油流路が形成されていることを特徴とするベーン型圧縮機。
  2. 前記ロータには、前記回転軸心方向に延びる回転軸が設けられ、
    前記区画体には、前記回転軸心と同軸をなし、前記回転軸を回転可能に支持する軸孔が貫設され、
    前記中間圧室は、前記回転軸及び前記軸孔に臨むように配置されている請求項1記載のベーン型圧縮機。
  3. 前記区画体には、前記カバー体に向かって突出しつつ前記軸孔が貫設された凸部が形成され、
    前記回転軸心方向から見た場合に、前記中間圧室は、前記凸部の全体と重なるように配置され、かつ前記凸部よりも大きく形成されている請求項2記載のベーン型圧縮機。
  4. 前記カバー体には、冷媒から潤滑油を分離するオイルセパレータの少なくとも一部が形成されている請求項1乃至3のいずれか1項記載のベーン型圧縮機。
  5. 前記オイルセパレータは、前記吐出室に連通する油排出口を有し、
    前記油流路は、前記油排出口より鉛直方向の下方で前記吐出室に開口している請求項4項記載のベーン型圧縮機。
  6. 前記ロータには、前記回転軸心方向に延びる回転軸が設けられ、
    前記各ベーン溝と前記各ベーンとの間は背圧室とされ、
    前記中間圧室と前記背圧室とは背圧流路によって連通している請求項1乃至5のいずれか1項記載のベーン型圧縮機。
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