JP2017025765A - 水力機械 - Google Patents
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Abstract
【課題】非設計点での水力損失を抑制することができる水力機械を提供する。【解決手段】実施の形態による水力機械1は、ケーシング2と、複数のステーベーン3と、複数のガイドベーン4と、ランナ5と、を備えている。ガイドベーン4は、ガイドベーン上流部20と、ガイドベーン上流部20に離間したガイドベーン下流部21と、ガイドベーン上流部20とガイドベーン下流部21との間にガイドベーン4の外周側面4aおよび内周側面4bを形成する弾性部材22と、を有している。ガイドベーン上流部20またはガイドベーン下流部21が回動することにより、ランナ5に流入する水の流量が調整される。【選択図】図2
Description
本発明の実施の形態は、水力機械に関する。
近年、風力、太陽光等を含む再生可能エネルギの導入により、電力網が複雑化している。このような複雑化した電力網での需給バランスを確保するために、水力発電設備の水力機械を非設計点で運転(特に部分負荷運転)する要求が高まっている。このような非設計点での水力機械の性能改善は試みられてきてはいるものの、この要求に応えるためには、非設計点における効率の更なる改善が望まれる。
ところで、図12の実線で示すように、設計点でのガイドベーン40は、上流側(外周側)に設けられた対応するステーベーン41の延長上に配置されている。これにより、ステーベーン41から流出した水の流れに沿うようにガイドベーン40が形成され、ガイドベーン40に流入した水流に損失が発生することを抑制している。
しかしながら、水力機械は、ガイドベーン40が回動して開度を調整することにより、水力機械の出力が調整されるように構成されている。すなわち、非設計点では、ガイドベーン40は設計点よりも閉方向または開方向に回動した位置に位置付けられる。このうち、図12に、ガイドベーン40が閉方向に回動した例を破線で示す。この場合、ガイドベーン40の角度は、ステーベーン41から流出した水の流れに沿わなくなる。このことにより、ガイドベーン40の上流部(ステーベーン41の側の部分)の内周側面において流れの剥離が生じ、場合によってはキャビテーションが発生することがある。また、ガイドベーン40が開方向に回動した場合においても、ガイドベーン40の角度がステーベーン41から流出した水の流れに沿わなくなり、ガイドベーン40の上流部の外周側面において流れの剥離が生じ得る。このようにして、非設計点での水車運転時には、ガイドベーン40の上流部において流れの剥離が生じ、ガイドベーン40を流れる水流の損失が増大し得るという問題がある。
同様の問題がランナにおいても存在し得る。すなわち、非設計点ではガイドベーン40の開度に応じて、ガイドベーン40から流出した水流がランナベーンに沿わなくなり得る。このため、非設計点ではランナを流れる水流の損失が増大し得る。
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、非設計点での水力損失を抑制することができる水力機械を提供することを目的とする。
実施の形態による水力機械は、水が流入する渦巻き状のケーシングと、ケーシングの内周側に設けられ、周方向に離間して配列された複数のステーベーンと、ステーベーンの内周側に設けられ、周方向に離間して配列された複数のガイドベーンと、ガイドベーンの内周側に設けられ、ガイドベーンから流入する流れによって回転駆動するランナと、を備えている。ガイドベーンは、ガイドベーン上流部と、ガイドベーン上流部に離間したガイドベーン下流部と、ガイドベーン上流部とガイドベーン下流部との間にガイドベーンの外周側面および内周側面を形成する弾性部材と、を有している。ガイドベーン上流部またはガイドベーン下流部が回動することにより、ランナに流入する水の流量が調整される。
また、実施の形態による水力機械は、水が流入する渦巻き状のケーシングと、ケーシングの内周側に設けられ、周方向に離間して配列された複数のステーベーンと、ステーベーンの内周側に設けられ、周方向に離間して配列され、回動軸線を中心に回動して水の流量を調整可能な複数のガイドベーンと、ガイドベーンの内周側に設けられ、ガイドベーンから流入する流れによって回転駆動するランナと、を備えている。ランナは、周方向に離間して配列された複数のランナベーンを有している。ランナベーンは、ランナベーン上流部と、ランナベーン上流部に離間したランナベーン下流部と、ランナベーン上流部とランナベーン下流部との間にランナベーンの圧力面および負圧面を形成する中実状の弾性部材と、を含んでいる。
本発明によれば、非設計点での水力損失を抑制することができる。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態における水力機械について説明する。
(第1の実施の形態)
図1乃至図3を用いて、第1の実施の形態における水力機械について説明する。ここでは、まず、図1を用いて、水力機械の一例としてのフランシス形水車について説明する。
図1乃至図3を用いて、第1の実施の形態における水力機械について説明する。ここでは、まず、図1を用いて、水力機械の一例としてのフランシス形水車について説明する。
図1に示すように、フランシス形水車1は、水車運転時に上池から水圧管(いずれも図示せず)を通って水が流入する渦巻き状のケーシング2と、ケーシング2の内周側に設けられた複数のステーベーン3と、ステーベーン3の内周側に設けられた複数のガイドベーン4と、ガイドベーン4の内周側に設けられたランナ5と、を備えている。
ステーベーン3は、周方向に離間して配列されており、互いに隣り合うステーベーン3の間に流路が形成され、各流路を、ケーシング2から流入する水が流れる。そして、ステーベーン3は、ケーシング2から流入する水の流れをガイドベーン4に導くようになっている。
ガイドベーン4は、ステーベーン3と同様にして、周方向に離間して配列されており、互いに隣り合うガイドベーン4の間に流路が形成され、各流路をステーベーン3から流入する水が流れる。各ガイドベーン4は、設計点に位置付けられている場合に、その外周側に設けられた対応するステーベーン3(より詳細には、ステーベーン3のキャンバーライン)の延長上に配置されており、ステーベーン3から流入する水の流れをランナ5に導くようになっている。
ランナ5は、ガイドベーン4から流入する水の流れによって回転駆動するように構成されている。すなわち、ランナ5は、周方向に離間して配列された複数のランナベーン5aを有しており、互いに隣り合うランナベーン5aの間に流路が形成され、各流路をガイドベーン4から流入する水が流れる。そして、ランナ5は、ランナ軸線Xを中心に回転可能に構成されている。このようにして、ランナベーン5aが、ガイドベーン4から流入した水の圧力を受けることで、ランナ5は回転駆動される。
図1に示すように、ランナ5には、主軸6を介して発電機7が連結されている。この発電機7は、水車運転時には発電を行うように構成されている。また、ランナ5の水車運転時の下流側には、吸出し管8が設けられている。この吸出し管8は、図示しない下池(または放水路)に連結されており、ランナ5を回転駆動させた水が下池に放出されるようになっている。
本実施の形態におけるフランシス形水車1は、ポンプ運転(揚水運転)を行うようになっていてもよい。ポンプ運転時(揚水運転時)には、発電機7が電動機として作用してランナ5を回転駆動することにより、吸出し管8内の水を吸い上げて揚水する。ランナ5に吸い上げられた水は、ガイドベーン4およびステーベーン3を通って、ケーシング2に流入し、ケーシング2から水圧管を通って上池に放出される。この場合、ガイドベーン4およびステーベーン3は、ランナ5から流入する水をケーシング2に導く。
次に、ガイドベーン4について詳細に説明する。
ガイドベーン4は、水の流量を調整可能になっている。すなわち、ガイドベーン4は、図1に示すように、ランナ5のランナ軸線Xに略平行に延びるガイドベーン軸線Y(回動軸線)を中心に回動可能に構成されており、ガイドベーン4の角度が変化可能になっている。このことにより、ガイドベーン4は、隣り合うガイドベーン4との間に形成される流路面積を調整可能になっている。これにより、下流側に配置されたランナ5に流入する水の流量を変えて、発電機7の発電出力を調整可能になっている。
図2および図3に示すように、本実施の形態によるガイドベーン4は、ガイドベーン上流部20と、ガイドベーン上流部20に離間したガイドベーン下流部21と、ガイドベーン上流部20とガイドベーン下流部21との間にガイドベーン4の外周側面4aおよび内周側面4bを形成する弾性ベルト22(弾性部材)と、を有している。本実施の形態においては、ガイドベーン上流部20は、ガイドベーン軸線Yに沿う方向に延びる円柱状に形成されており、ガイドベーン4の上流端に配置されている。このガイドベーン上流部20は、対応する(外周側に近接した)ステーベーン3の延長上に配置されている。また、ガイドベーン下流部21は、ガイドベーン軸線Yに沿う方向に延びる円柱状に形成されており、ガイドベーン4の下流端に配置されている。このガイドベーン下流部21は、設計点において、対応するステーベーン3の延長上に配置されている。なお、ガイドベーン上流部20およびガイドベーン下流部21は、金属材料等の剛性を有する材料により形成されていることが好適である。
図2および図3に示す形態では、弾性ベルト22は無端状に形成されている。すなわち、ガイドベーン上流部20およびガイドベーン下流部21は、弾性ベルト22に覆われて当該弾性ベルト22に内接している。弾性ベルト22には所定の張力が負荷されており、この張力が、ガイドベーン上流部20およびガイドベーン下流部21によって支持されている。このようにして、弾性ベルト22が、ガイドベーン4の外周側面4aおよび内周側面4bを形成している。なお、このような弾性ベルト22の材料としては、その厚さにもよるがガイドベーン4に流入した水の圧力によって後述するように滑らかな湾曲状に変形することができれば特に限られることはなく、例えばゴムを好適に用いることができる。この場合、ガイドベーン4においてキャビテーションが発生したとしてもガイドベーン4の壊食を防止することができる。
この弾性ベルト22は、ガイドベーン上流部20とガイドベーン下流部21との間に、水が充填可能な内部空間23を形成している。すなわち、この内部空間23は、ガイドベーン上流部20と、ガイドベーン下流部21と、弾性ベルト22のうちの外周側(外周側面4aの側)の部分および内周側(内周側面4bの側)の部分と、によって画定されている。例えば、ガイドベーン4の上側に設けられた上カバー10(図1および図3参照)と弾性ベルト22との間、および/または、ガイドベーン4の下側に設けられた下カバー11(図1および図3参照)と弾性ベルト22との間に、隙間(図示せず)を設けて、この隙間を介して、ガイドベーン4の周囲を流れる水が内部空間23に流入可能になっていてもよい。この内部空間23が水で充填されることにより、弾性ベルト22の外周側の部分および内周側の部分のうちの一方が水流から受ける圧力が、内部空間23の水を介して他方に伝達される。このため、弾性ベルト22の外周側の部分および内周側の部分のうちの一方の変形に追従するように他方を変形させることが可能となる。
図2に示すように、ガイドベーン4のガイドベーン軸線Yは、ガイドベーン上流部20に位置付けられている。ガイドベーン上流部20は、ガイドベーン駆動部9(例えばサーボモータ、図1参照)によって、このガイドベーン軸線Yを中心に回動可能になっている。一方、ガイドベーン下流部21は、ガイドベーン上流部20の回動に伴ってガイドベーン軸線Yを中心に円弧状に移動可能になっている。このことにより、ガイドベーン上流部20がガイドベーン軸線Yを中心に回動すると、ガイドベーン上流部20から弾性ベルト22を介してガイドベーン下流部21に回動力が伝達され、ガイドベーン下流部21が、ガイドベーン軸線Yを中心とする円弧上を移動する。このようにして、本実施の形態によるガイドベーン4の開度が調整され、ランナ5に流入する水の流量が調整可能になっている。
なお、ガイドベーン上流部20とガイドベーン駆動部9との間の機構は、ガイドベーンを回動させるための一般的な機構と同様に、ガイドベーンアームおよびガイドリング(いずれも図示せず)等を用いて構成することができる。この場合、各ガイドベーン4を一体的に回動させて開度を調整することができる。
また、図示しないが、ガイドベーン下流部21の移動をスムースにさせるために、上カバー10および/または下カバー11に、ガイドベーン下流部21の円弧状の移動の軌跡に沿った溝またはスリット等が設けられて、ガイドベーン下流部21に連結された被ガイド部材が案内されるようになっていてもよい。
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
本実施の形態によるフランシス形水車1において水車運転を行う場合、図1に示すように、上池から水圧管(いずれも図示せず)を通ってケーシング2に水が流入する。ケーシング2に流入した水は、ケーシング2からステーベーン3およびガイドベーン4を通ってランナ5に流入する。このランナ5へ流入した水によって、ランナ5が回転駆動される。このことにより、ランナ5に主軸6を介して連結された発電機7が駆動され、発電が行われる。ランナ5に流入した水は、ランナ5から吸出し管8を通って下池(図示せず)へ放出される。
設計点での水車運転時には、ガイドベーン4、すなわち、ガイドベーン上流部20、弾性ベルト22およびガイドベーン下流部21は、図2の実線で示される位置に位置付けられている。
一方、部分負荷運転での水車運転時には、ガイドベーン4の開度は小さくされる。より具体的には、ガイドベーン上流部20がガイドベーン駆動部9によって駆動されて、弾性ベルト22およびガイドベーン下流部21は、設計点よりも閉方向(図2に示す反時計回り方向)に回動した位置、例えば図2の破線で示される位置に位置付けられる。このことにより、隣り合うガイドベーン4同士の間の流路面積が低減され、ランナ5に流入する水の流量が低減される。
この部分負荷運転では、ステーベーン3から流出してガイドベーン4に流入した水流は、ガイドベーン4の外周側面4aに向って流れ、ガイドベーン4の外周側面4aが水流から受ける圧力が大きくなり得る。このことにより、弾性ベルト22の外周側の部分は、ガイドベーン4に流入した水流に沿うように、図2の二点鎖線で示されるように凹状に変形する。当該部分が受けた圧力は、内部空間23に充填された水を介して弾性ベルト22の内周側の部分にも伝達され、当該部分は、弾性ベルト22の外周側の部分に追従するように凸状に変形する。この場合、ガイドベーン4の外周側面4aおよび内周側面4bは、弾性ベルト22の弾力性によって滑らかに湾曲状に変形し得る。このことにより、ガイドベーン4に流入した水流の向きを滑らかに変化させることができる。このため、ガイドベーン4において流れの剥離が生じることを抑制でき、損失が発生することが抑制され得る。
また、ガイドベーン軸線Yがガイドベーン上流部20に位置付けられているため、部分負荷運転時においても、ガイドベーン4の上流端がステーベーン3の延長上からずれることが防止され得る。さらに、ガイドベーン上流部20が、対応するステーベーン3の延長上に配置されているため、この点においても、ガイドベーン4の上流端がステーベーン3の延長上からずれることが防止され得る。このことにより、ステーベーン3から流出してガイドベーン4に流入する水流に損失が発生することが抑制され得る。
一方、過負荷運転点での水車運転時には、図示しないが、ガイドベーン4の開度は大きくされ、図2の設計点よりも開方向(図2に示す時計回り方向)に回動する。このことにより、隣り合うガイドベーン4同士の間の流路面積が増大され、ランナ5に流入する水の流量が増大される。この場合、ガイドベーン4に流入した水流は、ガイドベーン4の内周側面4bに向って流れ、ガイドベーン4の内周側面4bが水流から受ける圧力が大きくなり得る。弾性ベルト22の内周側の部分および外周側の部分が変形し得るが、弾性ベルト22は滑らかに湾曲状に変形し得る。このため、損失が発生することが抑制され得る。また、ガイドベーン軸線Yがガイドベーン上流部20に位置付けられているとともに、ガイドベーン上流部20が、ステーベーン3の延長上に配置されているため、過負荷運転時においても、ガイドベーン4の上流端がステーベーン3の延長上からずれることが防止され得る。
このように本実施の形態によれば、ガイドベーン上流部20とガイドベーン下流部21との間に、弾性ベルト22によってガイドベーン4の外周側面4aおよび内周側面4bが形成されているため、非設計点において水流から受ける圧力によって、外周側面4aおよび内周側面4bを滑らかに湾曲状に変形させることができる。このことにより、ガイドベーン4に流入した水流の向きを滑らかに変化させることができる。このため、非設計点での運転時に、ガイドベーン4において水流の剥離が生じることを抑制でき、損失が生じることを抑制できる。
また、本実施の形態によれば、ガイドベーン軸線Yがガイドベーン上流部20に位置付けられている。このことにより、非設計点においても、ガイドベーン4の上流端がステーベーン3の延長上からずれることを防止できる。とりわけ、本実施の形態によれば、ガイドベーン上流部20が対応するステーベーン3の延長上に配置されているため、非設計点においても、ガイドベーン4の上流端がステーベーン3の延長上からずれることをより一層防止できる。このため、ガイドベーン4に流入する水流に損失が生じることを抑制できる。
(第2の実施の形態)
次に、図4および図5を用いて、本発明の第2の実施の形態における水力機械について説明する。
次に、図4および図5を用いて、本発明の第2の実施の形態における水力機械について説明する。
図4および図5に示す第2の実施の形態においては、ガイドベーン下流部が回動可能になっている点が主に異なり、他の構成は、図1乃至図3に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図4および図5において、図1乃至図3に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
本実施の形態においては、図4に示すように、ガイドベーン上流部20とガイドベーン下流部21との間に、ガイドベーン中間部24が設けられていている。このガイドベーン中間部24は、ガイドベーン上流部20に離間しているとともに、ガイドベーン下流部21にも離間している。そして、ガイドベーン中間部24は、弾性ベルト22によって形成された内部空間23内に(弾性ベルト22の外周側の部分と内周側の部分との間)に配置されており、弾性ベルト22に内接して弾性ベルト23の張力を支持している。そして、このガイドベーン中間部24によって、内部空間23が、上流側内部空間23aと下流側内部空間23bとに分断されている。
ガイドベーン中間部24は、ガイドベーン軸線Yに沿う方向に延びる円柱状に形成されている。図4に示す形態では、ガイドベーン中間部24の直径は、ガイドベーン上流部20の直径よりも大きくなっている。このようにして、ガイドベーン中間部24は、ガイドベーン4の外周側面4aと内周側面4bがそれぞれ凸状となるように(外側に膨らむように)弾性ベルト22を支持している。これにより、ガイドベーン4の外周側面4aおよび内周側面4bを、一般的なガイドベーン(図12参照)の形状に近似させている。
本実施の形態によるガイドベーン軸線Yは、ガイドベーン下流部21に位置付けられている。ガイドベーン下流部21は、ガイドベーン駆動部9(図1参照)によって、このガイドベーン軸線Yを中心に回動可能になっている。このことにより、ガイドベーン下流部21が回転軸線Yを中心に回動すると、ガイドベーン4の開度が調整され、ランナ5に流入する水の流量が調整可能になっている。なお、ガイドベーン下流部21とガイドベーン駆動部9との間の機構は、ガイドベーンを回動させるための一般的な機構と同様に、ガイドベーンアームおよびガイドリング(いずれも図示せず)等を用いて構成することができる。
図4に示す形態では、ガイドベーン下流部21は、ガイドベーン4の下流端だけではなく、下流端から上流側に向って所定の長さだけ延びるように形成されている。そして、ガイドベーン下流部21は、ガイドベーン4の開度を小さくした場合に、弾性ベルト22を滑らかに湾曲させることができるように形成されている。すなわち、ガイドベーン下流部21を閉方向(図4に示す反時計回り方向)に回動させた場合に、ガイドベーン下流部21の一部によって、弾性ベルト22により形成される外周側面4aまたは内周側面4bに突出部等が形成されることを防止している。このことにより、部分負荷運転時において、ガイドベーン4の外周側面4aおよび内周側面4bを滑らかな形状に形成することができ、損失が発生することを抑制できる。
なお、ガイドベーン下流部21は、開方向に回動させた場合に、ガイドベーン下流部21の一部によって、弾性ベルト22により形成される外周側面4aまたは内周側面4bに突出部等が形成されることを抑制可能な形状に形成することもできる。この場合には、過負荷運転時においても、ガイドベーン4の外周側面4aおよび内周側面4bを滑らかな形状に形成することができ、損失が発生することを抑制できる。
また、ガイドベーン軸線Yは、ガイドベーン下流部21を閉方向に回動させた場合に、隣り合うガイドベーン4との間に形成される流路面積を低減させることができる位置(例えば、ガイドベーン4の下流端よりも上流側の位置)に位置付けられていることが好適である。
一方、ガイドベーン上流部20およびガイドベーン中間部24は、ステーベーン3に対して(上カバー10および下カバー11に対して)固定されている。すなわち、ガイドベーン下流部21を回動させた場合であっても、ガイドベーン上流部20およびガイドベーン中間部24は、同じ位置に留まるようになっている。また、本実施の形態によるガイドベーン上流部20およびガイドベーン中間部24は、対応するステーベーン3の延長上に配置されている。このため、ガイドベーン上流部20およびガイドベーン下流部21は、非設計点においても、対応するステーベーン3の延長上に留まる。
部分負荷運転時にガイドベーン4の開度を小さくする場合、ガイドベーン4のガイドベーン下流部21が、ガイドベーン駆動部9によって駆動されて、設計点よりも閉方向に回動した位置、例えば、図5に示される位置に位置付けられる。このことにより、隣り合うガイドベーン4同士の間の流路面積が低減され、ランナ5に流入する水の流量が低減される。
この部分負荷運転では、上述したように、ガイドベーン4の外周側面4aが水流から受ける圧力が大きくなり得る。このことにより、弾性ベルト22の外周側の部分のうち下流側空間23bを画定している部分は、ガイドベーン4に流入した水流に沿うように、図5に示されるように凹状に変形し、弾性ベルト22の外周側の部分が、ガイドベーン下流部21の外周側の面に近接または接するようになる。また、弾性ベルト22の外周側の部分が受けた圧力は、内部空間23に充填された水を介して弾性ベルト22の内周側の部分にも伝達され、当該部分は、弾性ベルト22の外周側の部分に追従するように凸状に変形する。この場合、ガイドベーン4の外周側面4aおよび内周側面4bは、弾性ベルト22の弾力性によって滑らかに湾曲状に変形し得る。このことにより、ガイドベーン4に流入した水流の向きを滑らかに変化させることができる。このため、ガイドベーン4において流れの剥離が生じることを抑制でき、損失が発生することが抑制され得る。
また、ガイドベーン上流部20およびガイドベーン中間部24が固定されているため、部分負荷運転時においても、ガイドベーン4の上流端がステーベーン3の延長上からずれることが防止され得る。さらに、ガイドベーン上流部20およびガイドベーン中間部24が、対応するステーベーン3の延長上に配置されているため、この点においても、ガイドベーン4の上流端がステーベーン3の延長上からずれることが防止され得る。このことにより、ステーベーン3から流出してガイドベーン4に流入する水流に損失が発生することが抑制され得る。
このように本実施の形態によれば、ガイドベーン中間部24が、ガイドベーン4の外周側面4aと内周側面4bが凸状となるように弾性ベルト22を支持している。このことにより、ガイドベーン4の外周側面4aおよび内周側面4bを、一般的なガイドベーンの形状に近似させることができ、ガイドベーン4を流れる水流に損失が生じることをより一層抑制できる。
また、本実施の形態によれば、ガイドベーン上流部20およびガイドベーン中間部24がステーベーン3に対して固定されるとともに、当該ステーベーン3の延長上に配置されている。このことにより、非設計点においても、ガイドベーン4の上流端がステーベーン3の延長上からずれることを防止でき、ガイドベーン4に流入する水流に損失が生じることを抑制できる。
なお、上述した本実施の形態においては、ガイドベーン上流部20とガイドベーン下流部21との間に、ガイドベーン中間部24が設けられている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、このようなガイドベーン中間部24は設けられていなくてもよい。この場合においても、損失が生じることを抑制できる。
(第3の実施の形態)
次に、図6を用いて、本発明の第3の実施の形態における水力機械について説明する。
次に、図6を用いて、本発明の第3の実施の形態における水力機械について説明する。
図6に示す第3の実施の形態においては、弾性部材が、ガイドベーン上流部を越えてステーベーンに延びている点が主に異なり、他の構成は、図4および図5に示す第2の実施の形態と略同一である。なお、図6において、図4および図5に示す第2の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
本実施の形態においては、図6に示すように、ガイドベーン4は、ガイドベーン上流部20と、ガイドベーン下流部21と、弾性ベルト22と、を有している。このうちガイドベーン上流部20は、図4に示すガイドベーン中間部24と同様の位置に配置されており、本実施の形態では、ガイドベーン上流部20とガイドベーン下流部21との間に、ガイドベーン中間部24は設けられていない。また、図6に示すガイドベーン上流部20は、図4に示すガイドベーン中間部24と同等の直径を有している。
図6に示すように、弾性ベルト22は、ガイドベーン上流部20を越えて、対応するステーベーン3に延びている。すなわち、ステーベーン3、ガイドベーン上流部20およびガイドベーン下流部21は、無端状の弾性ベルト22に覆われて当該弾性ベルト22に内接している。弾性ベルト22には所定の張力が負荷されており、この張力が、ステーベーン3、ガイドベーン上流部20およびガイドベーン下流部21によって支持されている。このようにして、弾性ベルト22が、ガイドベーン4の外周側面4aおよび内周側面4bを形成するとともに、当該外周側面4aおよび当該内周側面4bをステーベーン3まで延長している。これにより、ステーベーン3およびガイドベーン4が一体化されている。なお、本実施の形態による弾性ベルト22は、ステーベーン3とガイドベーン上流部20との間に、水が充填可能な第2の内部空間25を形成している。この第2の内部空間25にも、内部空間23と同様にして水が充填されることが好適である。
図6は、部分負荷運転時に、本実施の形態によるガイドベーン4の開度が小さくされた状態を示している。すなわち、ガイドベーン下流部21が、ガイドベーン駆動部9によって駆動されて、設計点よりも閉方向(図6に示す反時計回り方向)に回動した位置に位置付けられている。このことにより、隣り合うガイドベーン4同士の間の流路面積が低減され、ランナ5に流入する水の流量が低減される。
この部分負荷運転では、上述したように、ガイドベーン4の外周側面4aが水流から受ける圧力が大きくなり得る。このことにより、弾性ベルト22の外周側の部分は、ガイドベーン4に流入した水流に沿うように、図6に示されるように凹状に変形し、弾性ベルト22の外周側の部分が、ガイドベーン下流部21の外周側の面に近接または接するようになる。また、弾性ベルト22の外周側の部分が受けた圧力は、内部空間23に充填された水を介して弾性ベルト22の内周側の部分にも伝達され、当該部分は、弾性ベルト22の外周側の部分に追従するように凸状に変形する。この場合、ガイドベーン4の外周側面4aおよび内周側面4bは、弾性ベルト22の弾力性によって滑らかに湾曲状に変形し得る。このことにより、ガイドベーン4に流入した水流の向きを滑らかに変化させることができる。このため、ガイドベーン4において流れの剥離が生じることを抑制でき、損失が発生することが抑制され得る。
また、弾性ベルト22が、ガイドベーン上流部20を越えて、対応するステーベーン3に延びているため、ステーベーン3およびガイドベーン4が一体化されている。上述したように、弾性ベルト22は、水流から受ける圧力によってガイドベーン4に流入した水流に沿うように滑らかに変形する。このことにより、ステーベーン3とガイドベーン4との間の不連続性が解消され、ステーベーン3から流出した水流は、弾性ベルト22に沿ってガイドベーン4に滑らかに流入し得る。このため、ガイドベーン4に流入する水流に損失が発生することが抑制され得る。
このように本実施の形態によれば、弾性ベルト22が、ガイドベーン上流部20を越えて、対応するステーベーン3に延びている。このことにより、ステーベーン3およびガイドベーン4が一体化され、ステーベーン3から流出した水流を、弾性ベルト22に沿ってガイドベーン4に滑らかに流入させることができる。このため、ステーベーン3から流出してガイドベーン4に流入する水流に損失が発生することを抑制できる。
また、本実施の形態によれば、ステーベーン3およびガイドベーン4が一体化されているため、ステーベーン3の上流端からガイドベーン4の下流端までの距離を短くすることができる。この場合、ステーベーン3およびガイドベーン4を流れる水流に生じ得る損失を低減することができるとともに、水力機械を小形化させて低コスト化させることもできる。
(第4の実施の形態)
次に、図7および図8を用いて、本発明の第4の実施の形態における水力機械について説明する。
次に、図7および図8を用いて、本発明の第4の実施の形態における水力機械について説明する。
図7および図8に示す第4の実施の形態においては、ガイドベーン上流部およびガイドベーン下流部がそれぞれ回動可能になっている点が主に異なり、他の構成は、図4および図5に示す第2の実施の形態と略同一である。なお、図7および図8において、図4および図5に示す第2の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
本実施の形態においては、図7に示すように、ガイドベーン上流部20には、上流側ガイドベーン軸線Ya(上流側回動軸線)が位置付けられている。ガイドベーン上流部20は、上流側ガイドベーン駆動部9aによって、この上流側ガイドベーン軸線Yaを中心に回動可能になっている。一方、ガイドベーン下流部21に下流側ガイドベーン軸線Yb(下流側回動軸線)が位置付けられている。ガイドベーン下流部21は、下流側ガイドベーン駆動部9bによって、この下流側ガイドベーン軸線Ybを中心に回動可能になっている。このことにより、ガイドベーン上流部20が上流側ガイドベーン軸線Yaを中心に回動するとともに、ガイドベーン下流部21が下流側ガイドベーン軸線Ybを中心に回動することにより、ガイドベーン4の開度が調整され、ランナ5に流入する水の流量が調整可能になっている。なお、本実施の形態においては、図4に示すようなガイドベーン中間部24は設けられていないが、これに限られることはない。
図7に示す形態では、ガイドベーン上流部20は、ガイドベーン4の上流端だけではなく、上流端から下流側に向って所定の長さだけ延びるように形成されている。そして、ガイドベーン上流部20は、ガイドベーン4の開度を小さくした場合に、弾性ベルト22を滑らかに湾曲させることができるように形成されている。すなわち、ガイドベーン上流部20を閉方向(図7に示す反時計回り方向)に回動させた場合に、ガイドベーン上流部20の一部によって、弾性ベルト22により形成される外周側面4aまたは内周側面4bに突出部等が形成されることを抑制している。このことにより、部分負荷運転時において、ガイドベーン4の外周側面4aおよび内周側面4bを滑らかな形状に形成することができ、損失が発生することを抑制できる。
なお、ガイドベーン上流部20は、開方向に回動させた場合に、ガイドベーン上流部20の一部によって、弾性ベルト22により形成される外周側面4aまたは内周側面4bに突出部等が形成されることを抑制可能な形状に形成することもできる。この場合には、過負荷運転時においても、ガイドベーン4の外周側面4aおよび内周側面4bを滑らかな形状に形成することができ、損失が発生することを抑制できる。
また、上流側ガイドベーン軸線Yaは、ガイドベーン上流部20を閉方向に回動させた場合に、隣り合うガイドベーン4との間に形成される流路面積を低減させることができる位置(例えば、ガイドベーン4の上流端よりも下流側の位置)に位置付けられていることが好適である。
ガイドベーン上流部20と上流側ガイドベーン駆動部9aとの間の機構は、ガイドベーンを回動させるための一般的な機構と同様に、ガイドベーンアームおよびガイドリング(いずれも図示せず)等を用いて構成することができる。また、同様にして、ガイドベーン下流部21と下流側ガイドベーン駆動部9bとの間の機構は、他のガイドベーンアームおよび他のガイドリング(いずれも図示せず)等を用いて構成することができる。このことにより、各ガイドベーン4を一体的に回動させて開度を調整することができる。
部分負荷運転時にガイドベーン4の開度を小さくする場合、ガイドベーン上流部20が、上流側ガイドベーン駆動部9aによって駆動されるとともに、ガイドベーン下流部21が、下流側ガイドベーン駆動部9bによって駆動され、図8に示される位置にそれぞれ位置付けられる。このことにより、隣り合うガイドベーン4同士の間の流路面積(例えば、一方のガイドベーン4のガイドベーン下流部21と、他方のガイドベーン4のガイドベーン上流部20との間の流路面積)が、低減される。
この部分負荷運転では、上述したように、ガイドベーン4の外周側面4aが水流から受ける圧力が大きくなり得る。このことにより、弾性ベルト22の外周側の部分は、ガイドベーン4に流入した水流に沿うように、図8に示されるように凹状に変形し、弾性ベルト22の外周側の部分が、ガイドベーン下流部21の外周側の面に近接または接するようになる。また、弾性ベルト22の外周側の部分が受けた圧力は、内部空間23に充填された水を介して弾性ベルト22の内周側の部分にも伝達され、当該部分は、弾性ベルト22の外周側の部分に追従するように凸状に変形する。この場合、ガイドベーン4の外周側面4aおよび内周側面4bは、弾性ベルト22の弾力性によって滑らかに湾曲状に変形し得る。このことにより、ガイドベーン4に流入した水流の向きを滑らかに変化させることができる。このため、ガイドベーン4において流れの剥離が生じることを抑制でき、損失が発生することが抑制され得る。
このように本実施の形態によれば、ガイドベーン上流部20およびガイドベーン下流部21がそれぞれ回動することにより、ガイドベーン4の開度が調整される。このことにより、ガイドベーン4の開度を小さくした場合に、ガイドベーン4の外周側面4aおよび内周側面4bの曲率を小さくすることができる。このため、ガイドベーン4に流入した水流の向きの変化の程度を低減することができ、ガイドベーン4を流れる水流に損失が発生することを抑制できる。なお、ガイドベーン上流部20が回動することにより、ガイドベーン4の上流端が、ステーベーン3の延長上からずれる場合があるが、この場合であっても、ガイドベーン4の外周側面4aおよび内周側面4bの曲率を小さくすることにより得られる損失抑制の効果によって、フランシス形水車1全体として損失を効果的に抑制することが可能である。
(第5の実施の形態)
次に、図9および図10を用いて、本発明の第5の実施の形態における水力機械について説明する。
次に、図9および図10を用いて、本発明の第5の実施の形態における水力機械について説明する。
図9および図10に示す第5の実施の形態においては、弾性部材が中実状に形成されている点が主に異なり、他の構成は、図4および図5に示す第2の実施の形態と略同一である。なお、図9および図10において、図4および図5に示す第2の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
本実施の形態においては、図9に示すように、ガイドベーン4の外周側面4aおよび内周側面4bは、中実状の弾性体26(弾性部材)によって形成されている。より具体的には、本実施の形態のガイドベーン4は、ガイドベーン上流部20とガイドベーン下流部21とを弾性材料を用いてモールド成形して得られる。これにより、弾性体26は中実状に形成され、ガイドベーン上流部20とガイドベーン下流部21とを連結するとともに、ガイドベーン上流部20およびガイドベーン下流部21を覆うようになる。そして、弾性体26は、圧力等が負荷されていない状態では一般的なガイドベーン(図12参照)の形状を有しており、この弾性体26の外周側の面がガイドベーン4の外周側面4aをなし、弾性体26の内周側の面がガイドベーン4の内周側面4bをなす。このように弾性体26が中実状に形成されていることから、本実施の形態においては、図2等に示すような内部空間23は形成されていない。また、図4に示すようなガイドベーン中間部24は設けられていない。なお、弾性体26の材料としては、ガイドベーン4に流入した水の圧力によって滑らかに変形することができれば特に限られることはなく、例えばゴムを好適に用いることができる。この場合、ガイドベーン4においてキャビテーションが発生したとしてもガイドベーン4の壊食を防止することができる。
部分負荷運転では、ガイドベーン4に対して図10に示すような方向から水流が流入する。このため、ガイドベーン4の外周側面4aが水流から受ける圧力が大きくなり得る。このことにより、弾性体26の外周側の面は、ガイドベーン4に流入した水流に沿うように、図10に示されるように凹状に変形する。当該外周側の面が受けた圧力は弾性体26の内周側の面にも伝達され、弾性体26の内周側の面は、外周側の面に追従するように凸状に変形する。この場合、弾性体26が中実状に形成されているため、内周側の面を、外周側の面により一層確実に追従させることができる。また、この場合、ガイドベーン4の外周側面4aおよび内周側面4bは、弾性体26の弾力性によって滑らかに湾曲状に変形し得る。このことにより、ガイドベーン4に流入した水流の向きを滑らかに変化させることができる。このため、ガイドベーン4において流れの剥離が生じることを抑制でき、損失が発生することが抑制され得る。なお、図10において示す破線は、弾性体26に圧力等が負荷されていない状態(すなわち、図9に示すガイドベーン4の形状)を示している。
このように本実施の形態によれば、ガイドベーン4の外周側面4aおよび内周側面4bを形成する弾性体26が中実状に形成されている。このことにより、弾性体26の外周側の面および内周側の面のうちの一方の面が水流の圧力によって変形した場合に、当該一方の面の変形に追従して他方の面を容易に変形させることができる。このため、弾性体26を、ガイドベーン4に流入した水流に沿うように容易に変形させることができ、ガイドベーン4において水流の剥離が生じることをより一層抑制できる。
(第6の実施の形態)
次に、図11を用いて、本発明の第6の実施の形態における水力機械について説明する。
次に、図11を用いて、本発明の第6の実施の形態における水力機械について説明する。
図11に示す第6の実施の形態においては、中実状の弾性体によって、ランナベーン上流部とランナベーン下流部との間にランナベーンの圧力面および負圧面が形成されている点が主に異なり、他の構成は、図1乃至図3に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図11において、図1乃至図3に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
本実施の形態においては、図11に示すように、ランナベーン5aは、ランナベーン上流部30と、ランナベーン上流部30に離間したランナベーン下流部31と、ランナベーン上流部30とランナベーン下流部31との間にランナベーンの圧力面5bおよび負圧面5cを形成する中実状の弾性体32(弾性部材)と、を含んでいる。
より具体的には、本実施の形態のランナベーン5aは、ランナベーン上流部30とランナベーン下流部31とを弾性材料を用いてモールド成形して得られる。これにより、弾性体32は中実状に形成され、ランナベーン上流部30とランナベーン下流部31を連結するとともに、ランナベーン上流部30およびランナベーン下流部31を覆うようになる。そして、弾性体32は、圧力等が負荷されていない状態では一般的なランナベーンの形状を有しており、この弾性体32の一方の面が圧力面5bをなし、他方の面が負圧面5cをなす。なお、弾性体32の材料としては、ランナベーン5aに流入した水の圧力によって後述するように滑らかに変形することができれば特に限られることはなく、例えばゴムを好適に用いることができる。この場合、ランナベーン5aにおいてキャビテーションが発生したとしてもランナベーン5aの壊食を防止することができる。
部分負荷運転では、ガイドベーン4から流出してランナ5に流入した水流は、ランナベーン5aに沿わなくなる場合がある。しかしながら、この場合、ランナ5に流入した水流は負圧面5cに向って流れ、負圧面5cが水流から受ける圧力が大きくなり得る。このことにより、負圧面5cは、ランナ5に流入した水流に沿うように、図11に破線で示されるように凹状に変形する。当該負圧面5cが受けた圧力は弾性体32を介して圧力面5bにも伝達され、圧力面5bは、負圧面5cに追従するように凸状に変形する。この場合、弾性体32が中実状に形成されているため、圧力面5bを、より一層確実に負圧面5cに追従させることができる。また、この場合、ランナベーン5aの圧力面5bおよび負圧面5cは、弾性体32の弾力性によって滑らかに変化させることができる。このため、ランナベーン5aにおいて流れの剥離が生じることを抑制でき、損失が発生することが抑制され得る。
一方、過負荷運転時では、ランナ5に流入した水流は圧力面5bに向って流れ、圧力面5bが水流から受ける圧力が大きくなり得る。このことにより、圧力面5bは、ランナ5に流入した水流に沿うように、図11に二点鎖線で示されるように凹状に変形する。当該圧力面5bが受けた圧力は弾性体32を介して負圧面5cにも伝達され、負圧面5cは、圧力面5bに追従するように凸状に変形する。この場合、弾性体32が中実状に形成されているため、負圧面5cを、より一層確実に圧力面5bに追従させることができる。また、この場合、ランナベーン5aの圧力面5bおよび負圧面5cは、弾性体32の弾力性によって滑らかに変化させることができる。このため、ランナベーン5aにおいて流れの剥離が生じることを抑制でき、損失が発生することが抑制され得る。
このように本実施の形態によれば、ランナベーン上流部30とランナベーン下流部31との間に、弾性体32によってランナベーン5aの圧力面5bおよび負圧面5cが形成されているため、非設計点において水流から受ける圧力によって、圧力面5bおよび負圧面5cを滑らかに変形させることができる。このことにより、ランナベーン5aに流入した水流の向きを滑らかに変化させることができる。このため、非設計点での運転時に、ランナベーン5aにおいて水流の剥離が生じることを抑制でき、損失が生じることを抑制できる。
以上述べた実施の形態によれば、非設計点での水力損失を抑制することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、当然のことながら、本発明の要旨の範囲内で、これらの実施の形態を、部分的に適宜組み合わせることも可能である。
なお、上述した各実施の形態では、水力機械の一例としてフランシス形水車を例にとって説明したが、このことに限られることはなく、フランシス形水車以外の水力機械にも、本発明を適用することができる。また、ポンプ運転を行わない水車にも当然に適用することができる。
1:フランシス形水車、2:ケーシング、3:ステーベーン、4:ガイドベーン、4a:外周側面、4b:内周側面、5:ランナ、5a:ランナベーン、5b:圧力面、5c:負圧面、20:ガイドベーン上流部、21:ガイドベーン下流部、22:弾性ベルト、23:内部空間、24:ガイドベーン中間部、26:弾性体、30:ランナベーン上流部、31:ランナベーン下流部、32:弾性体、Y:ガイドベーン軸線、Ya:上流側ガイドベーン軸線、Yb:下流側ガイドベーン軸線、
Claims (5)
- 水が流入する渦巻き状のケーシングと、
前記ケーシングの内周側に設けられ、周方向に離間して配列された複数のステーベーンと、
前記ステーベーンの内周側に設けられ、周方向に離間して配列された複数のガイドベーンと、
前記ガイドベーンの内周側に設けられ、前記ガイドベーンから流入する流れによって回転駆動するランナと、を備え、
前記ガイドベーンは、ガイドベーン上流部と、前記ガイドベーン上流部に離間したガイドベーン下流部と、前記ガイドベーン上流部と前記ガイドベーン下流部との間に前記ガイドベーンの外周側面および内周側面を形成する弾性部材と、を有し、
前記ガイドベーン上流部または前記ガイドベーン下流部が回動することにより、前記ランナに流入する水の流量が調整されることを特徴とする水力機械。 - 前記ガイドベーン上流部に回動軸線が位置付けられて、当該回動軸線を中心に当該ガイドベーン上流部が回動可能であり、
前記ガイドベーン下流部は、前記ガイドベーン上流部の回動に伴って前記回動軸線を中心に円弧状に移動可能であることを特徴とする請求項1に記載の水力機械。 - 前記ガイドベーン下流部に回動軸線が位置付けられて、当該回動軸線を中心に当該ガイドベーン下流部が回動可能であり、
前記ガイドベーン上流部は、前記ステーベーンに対して固定されていることを特徴とする請求項1に記載の水力機械。 - 前記ガイドベーン上流部に上流側回動軸線が位置付けられて、当該上流側回動軸線を中心に当該ガイドベーン上流部が回動可能であり、
前記ガイドベーン下流部に下流側回動軸線が位置付けられて、当該下流側回動軸線を中心に当該ガイドベーン下流部が回動可能であり、
前記ガイドベーン上流部および前記ガイドベーン下流部がそれぞれ回動することにより、前記ランナに流入する水の流量が調整されることを特徴とする請求項1に記載の水力機械。 - 水が流入する渦巻き状のケーシングと、
前記ケーシングの内周側に設けられ、周方向に離間して配列された複数のステーベーンと、
前記ステーベーンの内周側に設けられ、周方向に離間して配列され、回動軸線を中心に回動して水の流量を調整可能な複数のガイドベーンと、
前記ガイドベーンの内周側に設けられ、前記ガイドベーンから流入する流れによって回転駆動するランナと、を備え、
前記ランナは、周方向に離間して配列された複数のランナベーンを有し、
前記ランナベーンは、ランナベーン上流部と、前記ランナベーン上流部に離間したランナベーン下流部と、前記ランナベーン上流部と前記ランナベーン下流部との間に前記ランナベーンの圧力面および負圧面を形成する中実状の弾性部材と、を含んでいることを特徴とする水力機械。
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