JP2017025575A - 油圧ショベル - Google Patents

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Abstract

【課題】オペレータが必要なときに作業を補助する情報を表示する油圧ショベルを提供する。
【解決手段】走行体と、上部旋回体と、フロント作業機と、運転室7と、を備えた油圧ショベルにおいて、運転室の前窓13より前方の位置に所定の情報を虚像として表示するヘッドアップディスプレイ30と、ヘッドアップディスプレイ30の表示を制御する表示制御部18と、バケットの位置がオペレータMの視界に入っているか否かを判定するバケット位置判定部17cと、を備え、表示制御部18は、バケットの位置がオペレータMの視界から外れていると判定された場合にバケット画像40を表示する一方、バケットの位置がオペレータMの視界に入っていると判定された場合には、表示されているバケット画像を非表示にする。
【選択図】図3

Description

本発明は、油圧ショベルに関し、特に、作業に関する情報をオペレータに表示する技術に関するものである。
従来、油圧ショベル等に代表される建設機械の運転室内には、オペレータにとって必要な各種情報を表示するための表示装置が備えられている。この表示装置は、運転室内の前側に固定されており、オペレータは、いわゆるフロント作業機を操作するために前方へ視線を向けながら、適宜、表示装置に視線を移して必要な情報を得る。
また、特許文献1には、「運転室と、運転室内のオペレータの操作により動作する作業機と、運転室に設けられ所定の画像を表示する表示装置と、表示装置における画像の表示位置を作業機の動きに応じて変更する表示位置変更部と、を備え、表示位置変更部は、表示位置のうち、作業機の先端部と運転室内のオペレータの視点位置とを結ぶ直線と交差する位置に画像を表示させる、作業車両」の構成が記載されている。
特許第5113586号公報
ところで、油圧ショベルで作業を行う際、バケットが運転室にいるオペレータの視界から外れる(見えなくなる)状況が起こり得る。例えば、図13(a)に示すような海底を掘削する浚渫作業や、図13(b)に示すような溝掘削作業においては、オペレータは、バケットが見えない状態で作業を行う必要がある。経験の浅いオペレータにとって、バケットが見えない状況での作業は非常に困難であり、かかる状況において作業を補助するための情報を表示して欲しいという要請が多い。
その一方で、オペレータが運転室からバケットを視認できる状態において、上記した作業を補助するための情報が表示されると、その表示がかえってオペレータにとって邪魔となる(煩わしい)場合も考えられる。そのため、作業を補助するための情報は、必要なときに表示されることが望ましい。
しかしながら、特許文献1では、画像の表示位置をどのようにするかについての言及はあるが、バケットがオペレータの視界から外れる状況を考慮して、オペレータの作業を補助するための情報をどのように表示するかについての工夫はなされていない。
本発明は、上記した実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、オペレータが必要なときに作業を補助する情報を表示することのできる油圧ショベルを提供することにある。
上記目的を達成するために、代表的な本発明の1つは、走行体と、この走行体に旋回可能に設けられる上部旋回体と、この上部旋回体の前方に設けられ、油圧アクチュエータの駆動によって上下方向に回動するブーム、アーム及びバケットを含むフロント作業機と、このフロント作業機を操作する運転室と、を備えた油圧ショベルにおいて、前記運転室内に設けられ、前記運転室の前窓より前方の位置に所定の情報を虚像として表示するヘッドアップディスプレイと、前記ヘッドアップディスプレイの表示を制御する表示制御部と、前記バケットの位置が前記運転室にいるオペレータの視界に入っているか否かを判定するバケット位置判定部と、を備え、前記表示制御部は、前記バケット位置判定部により前記バケットの位置が前記オペレータの視界から外れていると判定された場合に、前記ヘッドアップディスプレイを制御して前記所定の情報としてのバケット画像を表示する一方、前記バケット位置判定部により前記バケットの位置が前記オペレータの視界に入っていると判定された場合には、前記表示されているバケット画像を非表示にすることを特徴とする。
本発明によれば、バケットがオペレータの視界から外れた場合に、作業を補助する情報であるバケット画像を虚像として表示するようにしたので、操作の利便性が高まる。また、バケットがオペレータの視界に入っている場合には、バケット画像を非表示にするので、バケット画像がオペレータの操作の邪魔になることはない。なお、上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
(a)は本発明の第1実施形態に係る油圧ショベルの側面図、(b)はバケット位置の演算を説明するための図である。 図1に示す油圧ショベルの運転室を示す図である。 ヘッドアップディスプレイの概略構成を示す図である。 (a)はヘッドアップディスプレイの表示制御の処理手順を示すフローチャート、(b)はヘッドアップディスプレイの非表示制御の処理手順を示すフローチャートである。 (a)は掘削時のバケット画像の具体例を示す図、(b)は掘削後のバケット画像の具体例を示す図である。 (a)は本発明の第2実施形態に係る油圧ショベルの側面図、(b)はバケット位置の演算を説明するための図である。 (a)はヘッドアップディスプレイの表示制御の処理手順を示すフローチャート、(b)はヘッドアップディスプレイの非表示制御の処理手順を示すフローチャートである。 (a)は本発明の第3実施形態に係る油圧ショベルの側面図、(b)はバケット位置の演算を説明するための図である。 (a)はヘッドアップディスプレイの表示制御の処理手順を示すフローチャート、(b)はヘッドアップディスプレイの非表示制御の処理手順を示すフローチャートである。 運転室から見て上下方向及び左右方向においてバケットが視界から外れる場合の閾値の算出方法を説明するための図である。 運転室から見て上下方向及び左右方向においてバケットが視界から外れる場合の閾値の算出方法を説明するための図である。 バケット画像の表示/非表示の制御を示すフローチャートである。 油圧ショベルが行う作業の種類を示す図である。
「第1実施形態」
本発明に係る油圧ショベルの第1実施形態について、図面を用いて説明する。図1(a)は本発明の第1実施形態に係る油圧ショベルの側面図、図1(b)はバケット位置の演算を説明するための図、図2は図1に示す油圧ショベルの運転室を示す図、図3はヘッドアップディスプレイの概略構成を示す図、図4(a)はヘッドアップディスプレイの表示制御の処理手順を示すフローチャート、図4(b)はヘッドアップディスプレイの非表示制御の処理手順を示すフローチャート、図5(a)は掘削時のバケット画像の具体例を示す図、図5(b)は掘削後のバケット画像の具体例を示す図である。なお、以下の説明で、特に断らない限り、運転席7Aに着座したオペレータMを基準に前後左右を定めるものとする。また、以下の各実施形態の説明において、同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
(全体構成)
図1に示すように、油圧ショベル1は、走行体1eと、この走行体1eの上側に旋回可能に取り付けられる上部旋回体1Bと、を備える。上部旋回体1Bは、ベースとなる旋回フレーム10と、この旋回フレーム10の前方左側に配置される運転室7と、旋回フレーム10の前方中央に上下方向に回動可能に取り付けられるフロント作業機1Aと、旋回フレーム10の後方に配置されるカウンタウェイト6と、フロント作業機1Aとカウンタウェイト6との間に設置されるエンジンルーム1dと、を含む。
フロント作業機1Aは、ブーム1a、アーム1b、バケット1c、及び油圧アクチュエータ3a〜3cを含んで構成される。このフロント作業機1Aは、運転室7に搭乗したオペレータMによって操作される。カウンタウェイト6は、フロント作業機1Aとの重量バランスを取るためのもので、円弧状をした重量物として形成されている。
運転室7は、図2に示すように、オペレータMが着座する運転席7Aと、各油圧アクチュエータ3a〜3cの動作を含む車体の動作を指示する操作装置としての4本の操作レバー7a1〜7a4と、油圧ショベル1の動作に関する各種の情報を表示する表示装置7bと、を含んでおり、これらの操作レバー7a1〜7a4、及び表示装置7bは制御装置17(図3参照)に接続されている。この制御装置17は、運転席7Aより右側に配置されたコンソールボックス15内に収納されている。
なお、運転室7には、図示しないが、操作レバー7a1〜7a4、表示装置7bの他に、例えば、エンジンを停止させるエンジン停止ボタン、制御装置17の電源をON状態又はOFF状態に切替える電源スイッチなどが設けられている。また、制御装置17には、各種センサ20,21,22・・・からのデータが入力され(図3参照)、これらのデータに基づく情報が表示装置7bに表示される。
ここで、各種センサ20,21,22・・・とは、例えば油圧アクチュエータの圧力を検出するための圧力センサ、エンジンの回転数を検出するための回転数センサ、作動油の温度を検出するための温度センサ、作動油タンク内にある作動油のレベルを検出するためのレベルセンサなどである。また、図1(a)に示すように、ブーム1a、アーム1b、及びバケット1cには、それぞれの回動角を検出するために角度検出器8a〜8cが設けられており、角度検出器8a〜8cで検出された各検出データ(回動角データ)も制御装置17に入力される。
操作レバー7a1〜7a4は、例えば、運転席7Aに着座したオペレータMが把持して車体の動作を手動で操作するものであり、これらの各操作レバー7a1〜7a4の操作信号は制御装置17へ送信される。
操作レバー7a1は、運転席7Aの前方左側に配置され、前後方向に操作されることにより、走行体1eの左側の履帯を前後方向へ走行させる(左履帯前進/左履帯後退)。操作レバー7a2は、運転席7Aの前方右側に配置され、前後方向に操作されることにより、走行体1eの右側の履帯を前後方向へ走行させる(右履帯前進/右履帯後退)。
操作レバー7a3は、運転席7Aの左側方に配置され、前後方向に操作されることにより、上部旋回体1Bを旋回させるための旋回装置(図示せず)を左右に旋回させたり(右旋回/左旋回)、左右方向に操作されることにより、アーム1bを上下方向に回動させる(アーム伸ばし/アーム曲げ)。操作レバー7a4は、運転席7Aの右側方に配置され、前後方向に操作されることにより、ブーム1aを上下方向に回動させたり(ブーム下げ/ブーム上げ)、左右方向に操作されることにより、バケット1cを上下方向に回動させる(バケット掘削/バケット開放)。
運転室7は複数のピラー16で支持されており、フロント側の2本のピラー16の間にフロントガラス(前窓)13が埋め込まれている。また、運転席7A側から見て右側のピラー16の下部(運転席7Aに着座したオペレータMの視線より下方の位置)には表示装置7bが取り付けられており、表示装置7bの上方近傍の位置には、後述するヘッドアップディスプレイ30が取り付けられている。そして、このヘッドアップディスプレイ30から投射される画像がフロントガラス13を介して前方に虚像40として表示される。
この虚像40は、具体的にはバケット1cの画像(以下、バケット画像40という)であり、実物のバケット1cがオペレータMの視界から外れる(消える)状態になった場合に限って、フロントガラス13の前方にバケット画像40が虚像として表示されるように制御されている。なお、バケット画像40の表示/非表示の制御の詳細については後述する。
表示装置7bは、制御装置17から受信した情報を映し出すモニタ7b1と、このモニタ7b1の電源をON状態又はOFF状態に切替える電源スイッチ、及びこの電源スイッチがON状態のときにモニタ7b1に映し出される映像を切替える切替スイッチ等の操作スイッチ7b2とから構成されている。
また、ヘッドアップディスプレイ30は、その構成自体は公知であるため詳細な説明は省略するが、図3に示すように、実像を表示するための実像表示部31と、実像表示部31から投射されたバケット画像を反射させてフロントガラス13の前方に当該バケット画像40を表示するためのコンバイナ36と、を備えて構成されている。
実像表示部31は、画像を投射するプロジェクタ32と、このプロジェクタ32から投射される画像をスクリーン34に反射させるミラー33と、プロジェクタ32からミラー33を介してスクリーン34に投射された画像をコンバイナ36へ拡大して投射するためのレンズ35と、を含む。また、コンバイナ36は、凹面形状のハーフミラーで構成されている。
なお、図2に示すように、本実施形態において、実像表示部31及びコンバイナ36はピラー16に取り付けられているが、例えば、実像表示部31をコンソールボックス15に収納しても良い。すなわち、ヘッドアップディスプレイ30の取付場所は、オペレータMの視界の妨げにならない位置であれば、どこでも良い。なお、コンバイナ36は、右側(ブーム1a側)のピラー16に取り付けられているが、コンバイナ36の位置は、バケット画像40を表示する位置に応じて、適宜、変更可能である。
ヘッドアップディスプレイ30は、表示制御部18を介して制御装置17と電気的に接続されており、制御装置17からの指令に基づき、表示制御部18によって画像の表示が制御されている。制御装置17は、図3に示すように、バケット1cの位置を演算する演算部17aと、記憶部17bと、バケット1cの位置を判定するバケット位置判定部17cと、を備えて構成される。記憶部17bには、複数のバケット画像40のデータが後述するバケット1cの回動角γと予め対応付けて記憶されているほか、フロント作業機1A及び上部旋回体1Bの各部の寸法データなども記憶されている。なお、図3において点線は電気信号を示している。
(バケット先端座標及びバケット根元座標の導出)
次に、バケット1cの先端位置及び根元位置の座標を導出する方法について、図1を参照しながら説明する。演算部17aは、記憶部17bに記憶されている各部寸法データと、角度検出器8a,8b,8cで検出した回動角α,β,γの値を用いてバケット先端座標P1及びバケット根元座標P2の位置を演算する。このとき、P1及びP2の位置は、例えばブーム1aの回動支点を原点としたXZ座標系の座標値P1(X1,Z1)、P2(X2,Z2)として求めることができる。
ブーム1aの回動支点とアーム1bの回動支点との距離をL1、アーム1bの回動支点とバケット1cの回動支点の距離をL2、バケット1cの回動支点とバケット1cの先端との距離をL3、Z軸に対するブーム1aの回動角をα、ブーム1aに対するアーム1bの回動角をβ、アーム1bに対するバケット1cの回動角をγとすると、XZ座標系の座標値P1(X1,Z1)及びP2(X2,Z2)は、下記の式(1)〜(4)により求まる。
X1=L1sinα+L2sin(α+β)+L3sin(α+β+γ)・・・(1)
Z1=L1cosα+L2cos(α+β)+L3cos(α+β+γ)・・・(2)
X2=L1sinα+L2sin(α+β)・・・(3)
Z2=L1cosα+L2cos(α+β)・・・(4)
(溝掘削における閾値の決定)
ブーム1aの回動支点から走行体1eの底面までの距離をL4とすると、上部旋回体1Bの各部寸法から、ブーム1aの回動支点を原点とした走行体1eと接する地表面高さZ0が求まる。この地表面高さZ0を溝掘削における閾値(境界値)とし、この閾値とバケット先端座標Z1及びバケット根元座標Z2とを比較することでバケット画像40の表示のON/OFFを切り替えることができる。
(バケット画像の表示制御)
図4(a)に示すように、演算部17aは、角度検出器8a,8b,8cからの回動角α、β、γ(検出データ)を取得し(S101)、座標値P2を計算する(S102)。次いで、バケット位置判定部17cは、Z0がZ2より大きいか否かを判定し(S103)、Z0がZ2より大きい場合(S103/Yes)には、バケット位置判定部17cは、バケット1cがオペレータMの視界から外れたと判定し、表示制御部18にバケット画像40の表示命令を出力する。表示制御部18は、その表示命令を受けて、ヘッドアップディスプレイ30からバケット画像40を表示するよう制御する(S104)。このとき、表示制御部18は、バケット1cの回動角γの値に対応するバケット画像40を記憶部17bに記憶されている複数のバケット画像40の中から選択して表示する。一方、Z0がZ2以下の場合(S103/No)にはS101に戻る。
(バケット画像の非表示制御)
図4(b)に示すように、演算部17aは、角度検出器8a,8b,8cからの回動角α、β、γ(検出データ)を取得し(S111)、座標値P1を計算する(S112)。次いで、バケット位置判定部17cは、Z0がZ1より小さいか否かを判定し(S113)、Z0がZ1より小さい場合(S113/Yes)には、バケット位置判定部17cは、バケット1cがオペレータMの視界に入っていると判定し、表示制御部18にバケット画像40の非表示命令を出力する。表示制御部18は、その非表示命令を受けて、表示されているバケット画像40を非表示にするようヘッドアップディスプレイ30を制御する(S114)。一方、Z0がZ1以上の場合(S113/No)にはS111に戻る。
(バケット画像の具体例)
図5(a)に示すように、掘削時にバケット1cがオペレータMの視界から外れた場合には、バケット1cの開口部がオペレータMから見えるような姿勢のバケット画像40を表示し、図5(b)に示すように、掘削後(アームクラウド状態)においてバケット1cがオペレータMの視界から外れた場合には、バケット1cの開口部が上方を向くような姿勢のバケット画像40を表示する。ここで、表示されるバケット画像40は、実物のバケット1cの回動角γに対応しているため、実物のバケット1cとバケット画像40とは概ね同じ姿勢である。
このように、本実施形態では、バケット1cがオペレータMの視界から外れた場合であっても、実物と略同等の姿勢のバケット画像40が表示されるため、オペレータMは、そのバケット画像40を見ながら操作レバー7a1〜7a4を操作できる。よって、操作の利便性が高まる。特に、経験の浅いオペレータMにとっては、バケット画像40は作業を補助するための有用な情報となり得る。そして、バケット画像40を見ながら作業を行うことにより、バケット画像40が表示されない場合と比べて、作業ミス等を防止することもできる。
また、バケット1cの実物が見える状態となった場合には、バケット画像40が非表示となるため、バケット1cにバケット画像40が重なって見えるようなことがない。そのため、バケット画像40が作業の邪魔になったりすることがない。すなわち、本実施形態では、オペレータMが必要とする状況になったときに限ってバケット画像40を表示するようにしているため、バケット画像40が煩わしいといった不都合は生じない。
また、バケット画像40はフロントガラス13の前方に虚像として表示されるため、オペレータMは、視線をあまり移すことなく、バケット画像40を視認できる。よって、例えば、バケット画像40を表示装置7bに表示する場合と比べて、オペレータMの視線の移動範囲を小さくできるため、オペレータMは作業に集中できることとなり、作業効率の低下を防止することができる。
「第2実施形態」
本発明に係る油圧ショベルの第2実施形態について、図面を用いて説明する。図6(a)は本発明の第2実施形態に係る油圧ショベルの側面図、図6(b)はバケット位置の演算を説明するための図、図7(a)はヘッドアップディスプレイの表示制御の処理手順を示すフローチャート、図7(b)はヘッドアップディスプレイの非表示制御の処理手順を示すフローチャートである。
第2実施形態に係る油圧ショベル101は、出来形計測装置2とGNSS受信装置3により、溝掘削における閾値を決定している点で第1実施形態と相違する。以下、この相違点を中心に説明する。
(溝掘削における閾値の決定)
油圧ショベル101の車体外部または油圧ショベル101自身に出来形計測装置2を設ける。車体外部に設けられた出来形計測装置2は緯度経度及び高さの座標データQ(Xgq,Ygq,Zgq)を持ち、油圧ショベル101周辺の地形形状を、装置本体を原点とした座標データ群E(Xge,Yge,Zge)として記録する。また、出来形計測装置2が油圧ショベル101に設けられた場合は、上部旋回体1B及びフロント作業機1Aの各部寸法から、例えばブーム1aの回動支点を原点としたXYZ座標系の座標値として求めることができる。
出来形計測装置2は、カメラまたは測距センサを備えており、現在時刻における地形形状を計測する。油圧ショベル101の外部に出来形計測装置2を設ける場合、上部旋回体1B上にGNSS受信装置3を設ける。GNSS受信装置3は、緯度経度及び高さの座標データG(Xgg,Ygg,Zgg)を持っている。また、ブーム1aの回動支点を原点とするGNSS受信装置3のXYZ座標値は、GNSS受信装置3の設置時に制御装置17内の記憶部17bに記億させる。
油圧ショベル101に設けられたGNSS受信装置3の座標データG及び出来形計測装置2の座標データQはどちらも同じ座標系で表現される。また、出来形計測装置2の座標データQ及び地形形状Eは無線通信で油圧ショベル101に送信される。
演算部17aにて、ブーム先端位置P1、ブーム根元位置P2、地形形状Eは全て、同じ基準点を原点としたグローバル座標系P1’(Xg1,Yg1,Zg1)、P2’(Xg2,Yg2,Zg2)、E’(Xge,Yge,Zge)に変換される。
バケット先端位置P1’及びバケット根元位置P2’の緯度経度における地形形状Eの高さ座標値をバケット視認可否を判定するための境界とし、バケット先端高さ座標Zg1及びバケット根元高さ座標Zg2と比較することで、画像表示のON/OFFを切り替えることができる。
(バケット画像の表示制御)
図7(a)に示すように、演算部17aは、角度検出器8a,8b,8cからの回動角α、β、γ(検出データ)を取得し(S201)、座標値P2を計算する(S202)。次いで、演算部17aは、GNSS座標データを受信し(S203)、地形形状データを受信する(S204)。次いで、演算部17aは、グローバル座標系P1’、P2’、E’に変換する(S205)。次いで、バケット位置判定部17cは、ZgeがZg2より大きいか否かを判定し(S206)、ZgeがZg2より大きい場合(S206/Yes)には、バケット位置判定部17cは、バケット1cがオペレータMの視界から外れたと判定し、表示制御部18にバケット画像40の表示命令を出力する。表示制御部18は、その表示命令を受けると、バケット1cの回動角γに基づいて所定のバケット画像40を選択し、ヘッドアップディスプレイ30から所定のバケット画像40を表示するよう制御する(S207)。一方、ZgeがZg2以下の場合(S206/No)にはS201に戻る。
(バケット画像の非表示制御)
図7(b)に示すように、演算部17aは、角度検出器8a,8b,8cからの回動角α、β、γ(検出データ)を取得し(S211)、座標値P2を計算する(S212)。次いで、演算部17aは、GNSS座標データを受信し(S213)、地形形状データを受信する(S214)。次いで、演算部17aは、グローバル座標系P1’、P2’、E’に変換する(S215)。次いで、バケット位置判定部17cは、ZgeがZg1より小さいか否かを判定し(S216)、ZgeがZg1より小さい場合(S216/Yes)には、バケット位置判定部17cは、バケット1cがオペレータMの視界に入っていると判定し、表示制御部18にバケット画像40の非表示命令を出力する。表示制御部18は、その非表示命令を受けて、表示されているバケット画像40を非表示にするようヘッドアップディスプレイ30を制御する(S217)。一方、ZgeがZg1以上の場合(S216/No)にはS211に戻る。
このように構成された第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に、オペレータMにとって必要と判断される場合に限って作業の補助となるバケット画像40が表示されるようになっているため、作業の利便性が向上するうえ、バケット画像40が煩わしいといった不都合も生じない。また、出来形計測装置2とGNSS受信装置3を用いているため、バケット1cの位置の判定精度が高く、バケット画像40の表示/非表示をよりきめ細かく行うことができる。
「第3実施形態」
本発明に係る油圧ショベルの第3実施形態について、図面を用いて説明する。図8(a)は本発明の第3実施形態に係る油圧ショベルの側面図、図8(b)はバケット位置の演算を説明するための図、図9(a)はヘッドアップディスプレイの表示制御の処理手順を示すフローチャート、図9(b)はヘッドアップディスプレイの非表示制御の処理手順を示すフローチャートである。
第3実施形態に係る油圧ショベル201は、浚渫作業に用いられるものであって、潮位計4とGNSS受信装置3により、浚渫作業における閾値を決定している点で第1実施形態及び第2実施形態と相違する。以下、この相違点を中心に説明する。
(浚渫作業における閾値の決定)
GNSS受信装置3を上部旋回体1B上に設ける。GNSS受信装置3は、緯度経度及び高さの座標データG(Xgg,Ygg,Zgg)を持っている。また、ブーム1aの回動支点を原点とするGNSS受信装置3のXYZ座標値は、制御装置17内の記憶部17bに記憶される。これにより、ブーム先端位置P1、ブーム根元位置P2はそれぞれグローバル座標系P1’(Xg1,Yg1,Zg1)、P2’(Xg2,Yg2,Zg2)で表すことができる。
水面の高さを計測する潮位計4は、緯度経度及び高さの座標データS(Xgs,Ygs,Zgs)を持っており、潮位計4から水面までの距離データを計測する。また、潮位計4は潮位Zgwを送信するための送信部4aを備える。
油圧ショベル201は座標データを受信するための受信部5を備え、現在時刻における潮位Zgwを取得する。また、潮位計位置座標Sは制御装置17の記憶部17bに予め記憶される。潮位Zgwと、バケット先端位置P1’及びバケット根元位置P2’の高さ座標Zg1及びZg2とを比較することで、画像表示のON/OFFを切り替えることができる。
(バケット画像の表示制御)
図9(a)に示すように、演算部17aは、角度検出器8a,8b,8cからの回動角α、β、γ(検出データ)を取得し(S301)、座標値P2を計算する(S302)。次いで、演算部17aは、GNSS座標データを受信し(S303)、潮位データを受信する(S304)。次いで、演算部17aは、グローバル座標系P1’、P2’に変換する(S305)。次いで、バケット位置判定部17cは、ZgwがZg2より大きいか否かを判定し(S306)、ZgwがZg2より大きい場合(S306/Yes)には、バケット位置判定部17cは、バケット1cがオペレータMの視界から外れたと判定し、表示制御部18にバケット画像40の表示命令を出力する。表示制御部18は、その表示命令を受けると、バケット1cの回動角γに基づいて所定のバケット画像40を選択し、ヘッドアップディスプレイ30から所定のバケット画像40を表示するよう制御する(S307)。一方、ZgwがZg2以下の場合(S306/No)にはS301に戻る。
(バケット画像の非表示制御)
図9(b)に示すように、演算部17aは、角度検出器8a,8b,8cからの回動角α、β、γ(検出データ)を取得し(S311)、座標値P2を計算する(S312)。次いで、演算部17aは、GNSS座標データを受信し(S313)、潮位データを受信する(S314)。次いで、演算部17aは、グローバル座標系P1’、P2’に変換する(S315)。次いで、バケット位置判定部17cは、ZgwがZg1より小さいか否かを判定し(S216)、ZgwがZg1より小さい場合(S316/Yes)には、バケット位置判定部17cは、バケット1cがオペレータMの視界に入っていると判定し、表示制御部18にバケット画像40の非表示命令を出力する。表示制御部18は、その非表示命令を受けて、表示されているバケット画像40を非表示にするようヘッドアップディスプレイ30を制御する(S317)。一方、ZgwがZg1以上の場合(S316/No)にはS311に戻る。
このように構成された第3実施形態によれば、第1実施形態または第2実施形態と同様に、オペレータMにとって必要と判断される場合に限って作業の補助となるバケット画像40が表示されるようになっているため、作業の利便性が向上するうえ、バケット画像40が煩わしいといった不都合もない。そして、第3実施形態では、潮位データを利用することで、浚渫作業におけるオペレータMの補助を適切に行うことができる。
「その他の実施形態について」
次に、オペレータMの任意の設定に応じて、バケット1cがオペレータMの視界から外れるか否かを判定する実施形態について説明する。この実施形態では、バケット1cが視界から外れたか否かの判定に用いるための閾値の算出方法が異なる。この点について、主に図を用いて説明する。図10及び図11は、運転室から見て上下方向及び左右方向においてバケットが視界から外れる場合の閾値の算出方法を説明するための図である。また、図12は、バケット画像の表示/非表示の制御を示すフローチャートである。
(バケットのフレームアウトを任意に設定する場合における閾値の決定)
図11に示すように、例えばブーム1aの回動支点を原点としたXZ座標系におけるオペレータMの頭部の座標値をM1(X6,Z6)とする。オペレータMの頭部の座標は任意に設定できる。同じくブーム1aの回動支点を原点としたXZ座標系におけるフロントガラス13の上端の座標値をF1(X7,Z7)、下端の座標値をF2(X8,Z8)とする。
図10及び図11に示すように、頭部位置M1とフロントガラス13の上端F1を通る境界直線z1及び頭部位置M1とフロントガラス13の下端F1を通る境界直線z2は、下記の式(5)、(6)で表される。
z1=a1x+b1={(Z7−Z6)/(X7−X6)}x+Z6−{(Z7−Z6)/(X7−X6)}X7・・・(5)
z2=a2x+b2={(Z8−Z6)/(X8−X6)}x+Z6−{(Z8−Z6)/(X8−X6)}X8・・・(6)
また、運転席7Aの左右方向、すなわちXY座標系における境界直線y3,y4もXZ座標系と同様に設定する。
バケット先端位置P1及びバケット根元位置P2の高さ座標と境界線z1=a1x+b1及びz2=a2x+b2を比較することで、バケット画像40の表示のON/OFFを切り替えることができる。
(バケット画像の表示制御)
図12(a)に示すように、演算部17aは、角度検出器8a,8b,8cからの回動角α、β、γ(検出データ)を取得し(S401)、座標値P1,P2を計算する(S402)。次いで、バケット位置判定部17cは、z1<Z1か否かを判定し(S403)、z2>Z2か否かを判定し(S404)、y3<Y4か否かを判定し(S405)、y4>Y3か否かを判定する(S406)。S403〜S406の何れかでYesの場合には、バケット位置判定部17cは、バケット1cがオペレータMの視界から外れたと判定し、表示制御部18にバケット画像40の表示命令を出力する。表示制御部18は、その表示命令を受けると、バケット1cの回動角γに基づいて所定のバケット画像40を選択し、ヘッドアップディスプレイ30から所定のバケット画像40を表示するよう制御する(S407)。一方、S403〜S406の何れにおいてもNoの場合には、S401に戻る。
(バケット画像の非表示制御)
図12(b)に示すように、演算部17aは、角度検出器8a,8b,8cからの回動角α、β、γ(検出データ)を取得し(S411)、座標値P1,P2を計算する(S412)。次いで、バケット位置判定部17cは、z1>Z2か否かを判定し(S413)、z2<Z1か否かを判定し(S414)、y3>Y3か否かを判定し(S415)、y4>Y4か否かを判定する(S416)。S413〜S416の全てにおいてYesの場合には、バケット位置判定部17cは、バケット1cがオペレータMの視界に入っていると判定し、表示制御部18にバケット画像40の非表示命令を出力する。表示制御部18は、その非表示命令を受けて、表示されているバケット画像40を非表示にするようヘッドアップディスプレイ30を制御する(S417)。一方、S413〜S416の何れかでNoの場合には、S411に戻る。
この実施形態によれば、第1実施形態〜第3実施形態と同様の作用効果を奏することができるうえ、オペレータMによる任意の設定ができるため、使い勝手の更なる向上が見込める。
以上説明したように、各実施形態によれば、バケット1cがオペレータMの視界から外れる場合に限ってバケット画像40を表示することができるため、操作の利便性と、表示の煩わしさの解消を図ることができる。
なお、上述した実施形態は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の要旨を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。例えば、バケット画像40の近傍に数値や文字等で構成される作業補助情報を表示しても良い。また、オペレータMとバケット1cとの前後方向の距離を演算して、その演算結果に応じてバケット画像の大きさを拡大または縮小するよう表示制御しても良い。また、バケット1cを側面から見たバケット画像を表示するようにしても良い。また、作業を補助するための情報として、各種警報情報を表示するようにしても良い。また、運転室7のフロントガラス13に透過型液晶を設けておき、この透過型液晶にバケット画像40を表示/非表示する構成も採用できる。また、P1をバケット先端座標、P2をバケット根元座標とおいたが、バケット先端座標、およびバケット根元座標からの位置座標を実測や設計仕様値等から予め求めた別の座標とすることも可能である。また、角度検出器8a〜8cは回動角を直接測定するポテンショメータの他、対地角センサ等を使用してもよい。
1 油圧ショベル
1A フロント作業機
1B 上部旋回体
1a ブーム
1b アーム
1c バケット
1e 走行体
3a,3b,3c 油圧アクチュエータ
7 運転室
8a,8b,8c 角度検出器
17 制御装置
17a 演算部
17b 記憶部
17c バケット位置判定部
18 表示制御部
30 ヘッドアップディスプレイ
40 バケット画像(虚像)
M オペレータ
101,201 油圧ショベル

Claims (3)

  1. 走行体と、この走行体に旋回可能に設けられる上部旋回体と、この上部旋回体の前方に設けられ、油圧アクチュエータの駆動によって上下方向に回動するブーム、アーム及びバケットを含むフロント作業機と、このフロント作業機を操作する運転室と、を備えた油圧ショベルにおいて、
    前記運転室内に設けられ、前記運転室の前窓より前方の位置に所定の情報を虚像として表示するヘッドアップディスプレイと、
    前記ヘッドアップディスプレイの表示を制御する表示制御部と、
    前記バケットの位置が前記運転室にいるオペレータの視界に入っているか否かを判定するバケット位置判定部と、を備え、
    前記表示制御部は、前記バケット位置判定部により前記バケットの位置が前記オペレータの視界から外れていると判定された場合に、前記ヘッドアップディスプレイを制御して前記所定の情報としてのバケット画像を表示する一方、前記バケット位置判定部により前記バケットの位置が前記オペレータの視界に入っていると判定された場合には、前記表示されているバケット画像を非表示にすることを特徴とする油圧ショベル。
  2. 請求項1において、
    前記ブーム、前記アーム及び前記バケットのそれぞれの回動角を検出するための複数の角度検出器をさらに備え、
    前記バケット位置判定部は、前記複数の角度検出器からの検出データに基づいて、前記バケットの位置が前記運転室にいるオペレータの視界に入っているか否かを判定することを特徴とする油圧ショベル。
  3. 請求項2において、
    複数の前記バケット画像が、前記バケットの回動角と予め対応付けられて記憶されており、
    前記表示制御部は、前記複数のバケット画像の中から、前記角度検出器で検出された前記バケットの回動角に対応する前記バケット画像を選択して表示することを特徴とする油圧ショベル。
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