JP2017022082A - リチウムイオン二次電池の制御装置 - Google Patents

リチウムイオン二次電池の制御装置 Download PDF

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真知子 阿部
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康資 岩瀬
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Abstract

【課題】電流遮断機構を適切に作動させ得るリチウムイオン二次電池の制御装置を提供する。【解決手段】本発明により提供されるリチウムイオン二次電池の制御装置は、二次電池の電池温度を検出する温度センサと、二次電池の電池温度を調整する温度調整部と、温度センサおよび前記温度調整部に電気的に接続された制御部とを備える。制御部は、60℃以上80℃以下の特定温度域における二次電池の累積保持時間を所定期間にわたって積算し、該積算した累積保持時間が24時間未満である場合には、温度調整部を制御して二次電池の電池温度を特定温度域で保つように構成されている。【選択図】図2

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池の制御装置に関する。
軽量で高エネルギー密度が得られるリチウムイオン二次電池は、車両搭載用高出力電源あるいはパソコンや携帯端末等の電源として好ましく用いられている。かかるリチウムイオン二次電池は、過充電状態になると、正極からリチウムイオンが過剰に放出され、負極ではリチウムイオンが過剰に挿入される。このため、正極と負極の両極が熱的に不安定になる。正極と負極の両極が熱的に不安定になると、やがては電解液の有機溶媒が分解され、発熱反応が生じて電池の安定性が損なわれる。
かかる問題に対して、例えば、電池内部のガス圧力が所定圧力以上になると充電を遮断する電流遮断機構を電池ケースに備え、電解液中に予め定められた過充電状態に達するとガスを発生させるガス発生剤を添加した非水電解液二次電池が開示されている。かかるガス発生剤としては、シクロヘキシルベンゼン(CHB)が用いられている(例えば特許文献1)。CHBは、過充電時において重合反応が活性化し、水素ガスを発生させる。これにより、電池ケース内の圧力が高くなり、電流遮断機構が作動して過充電電流を遮断する。
特開2015−035359号公報
しかしながら、本発明者の検討によると、リチウムイオン二次電池を長時間使用すると、CHBからのガスの発生が鈍化し、電流遮断機構の作動が遅れる事象が散見された。電流遮断機構は、予め定められた条件になると短時間で作動することが望ましい。
ここで提案されるリチウムイオン二次電池制御装置は、シクロヘキシルベンゼン(CHB)を含む非水電解液と、充電時に電池内圧が所定値以上になると充電を遮断する電流遮断機構とを有するリチウムイオン二次電池の制御装置である。この制御装置は、前記二次電池の電池温度を検出する温度センサと、前記二次電池の電池温度を調整する温度調整部と、前記温度センサおよび前記温度調整部に電気的に接続された制御部とを備える。前記制御部は、前記温度センサで検出した前記二次電池の電池温度と該電池温度を記録した時刻情報とを含む温度経過情報から、60℃以上80℃以下の特定温度域における前記二次電池の累積保持時間を所定期間にわたって積算する。そして、該積算した累積保持時間が24時間未満である場合には、該累積保持時間が少なくとも24時間に到達するまでの間、前記温度調整部を制御して前記二次電池の電池温度を前記特定温度域で保つように構成されている。かかる制御装置によれば、CHBによるガス発生量をより適切に確保できる。そのため、過充電時に電流遮断機構を適切に作動させ得る。
また、ここで提案されるリチウムイオン二次電池制御装置は、シクロヘキシルベンゼン(CHB)誘導体を含む非水電解液と、充電時に電池内圧が所定値以上になると充電を遮断する電流遮断機構とを有するリチウムイオン二次電池の制御装置である。この制御装置は、前記二次電池の電池温度を検出する温度センサと、前記二次電池の電池温度を調整する温度調整部と、前記温度センサおよび前記温度調整部に電気的に接続された制御部とを備える。前記制御部は、前記温度センサで検出した前記二次電池の電池温度と該電池温度を記録した時刻情報とを含む温度経過情報から、45℃以上80℃以下の特定温度域における前記二次電池の累積保持時間を所定期間にわたって積算し、該積算した累積保持時間が20時間未満である場合には、該累積保持時間が少なくとも20時間に到達するまでの間、前記温度調整部を制御して前記二次電池の電池温度を前記特定温度域で保つように構成されている。かかる制御装置によれば、ガス発生量をより効率的に確保できる。
電源システムの構成を示すブロック図である。 リチウムイオン二次電池の構成を説明するための図である。 活性化エネルギーを説明するための図である。 保持温度とガス発生量との関係を示すグラフである。 保持時間とガス発生量との関係を示すグラフである。 ECUにより実行される処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。 各電池のCHBラジカル量を対比するグラフである。 各電池のガス発生量を対比するグラフである。 ECUにより実行される処理ルーチンの他の一例を示すフローチャートである。 各電池のCHBラジカル量を対比するグラフである。 各電池のガス発生量を対比するグラフである。 保持温度とガス発生量との関係を示すグラフである。 保持時間とガス発生量との関係を示すグラフである。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。なお、本明細書において「リチウムイオン二次電池」とは、電解質イオンとしてリチウムイオンを利用し、正負極間のリチウムイオンの移動により充放電する二次電池をいう。
以下、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池の制御装置を図面に基づいて説明する。なお、同じ作用を奏する部材、部位には適宜に同じ符号を付している。また、各図面は模式的に描かれており、必ずしも実物を反映していない。各図面は、一例を示すのみであり、特に言及されない限りにおいて本発明を限定しない。
<第1実施形態>
図1は、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池10の制御装置によって制御される電源システム1の構成を示すブロック図である。このリチウムイオン二次電池10の制御装置は、車両(典型的には自動車、特にハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車のような電動機を備える自動車)に好適に用いられる。
電源システム1は、リチウムイオン二次電池10と、これに接続された負荷20と、負荷20に接続されたリチウムイオン二次電池10の運転をコントロールする電子制御ユニット(ECU)30と、リチウムイオン二次電池10の電池温度を検出する温度センサ40と、リチウムイオン二次電池10の電池温度を調整する温度調整部50とを含む。リチウムイオン二次電池10に接続された負荷20は、リチウムイオン二次電池10に蓄えられた電力を消費する電力消費機(例えばモータ)を含み得る。該負荷20は、電池10を充電可能な電力を供給する電力供給機(充電器)を含み得る。温度調整部50は、リチウムイオン二次電池10を加温する加温機構を含み得る。該温度調整部50は、リチウムイオン二次電池10を冷却する冷却機構を含み得る。
リチウムイオン二次電池10は、図2に示すように、対向する正極11と負極12と、これら正負極間に供給されるリチウムイオンを含む非水電解液13とから構成されている。正極11および負極12には、リチウムイオンを吸蔵および放出し得る活物質14、15が含まれている。電池の充電時には、正極活物質14からリチウムイオンが放出され、このリチウムイオンは電解質を通じて負極活物質15に吸蔵される。また、電池の放電時には、その逆に、負極活物質15に吸蔵されていたリチウムイオンが放出され、このリチウムイオンは非水電解液を通じて再び正極活物質14に吸蔵される。この正極活物質14と負極活物質15との間のリチウムイオンの移動に伴い、活物質から外部端子16、17へと電子が流れる。これにより、負荷20(図1)に対して放電が行われる。
また、このリチウムイオン二次電池10は、電流遮断機構18を備えている。電流遮断機構18は、充電時に電池内圧が所定値以上になった場合に、充電(電流経路)を遮断する機構である。この実施形態では、電流遮断機構18は、正極11における電池電流の導通経路が遮断されるように、正極端子16の内側に構築されている。電流遮断機構18は導通経路(充電回路)が遮断できればよく、正極側に限らず、負極側に設けてもよい。
非水電解液には、電池電圧(正極電位)が予め定められた電圧以上になると反応し、ガスを発生させるガス発生剤が含まれている。ガス発生剤として、シクロヘキシルベンゼン(CHB)が用いられている。CHBは、例えば、凡そ4.35Vから4.6V程度の過充電(正極高電位状態)時において、以下のような重合反応が活性化し、水素ガスを発生させる。より詳細には、過充電になると、正極11上でCHBが酸化重合する。その際、CHB分子間で水素がH(プロトン)として脱離する。このHが負極12上で電子を受け取って水素分子となることで、水素ガスが発生する。なお、下記反応式はCHBの多数ある重合反応の一例である。したがって、(C1214のHがさらに抜けてnHのnがさらに増える場合もあり得る。
n[C1216]→(C1214+nH
ここで、本発明者の知見によれば、CHBの重合反応過程には、CHBラジカルが関係している。より詳しく説明すると、非水電解液中においては、電池製造時の高温エージング処理等によりCHBの一部が電子を失ってラジカルに変換され、CHBラジカルの形態で存在している。本発明者は、かかる二次電池では、非水電解液中のCHBラジカルの量が多いほど、過充電時のガス発生量が増大傾向になることを見出した。ここに開示される技術を実施するにあたり、かかる作用が得られる理由を明らかにする必要はないが、例えば以下のことが考えられる。すなわち、図3に示すように、CHBが電子を失ってCHBラジカルになる反応の活性化エネルギーは比較的高く、一方、CHBラジカルからCHB重合物を生成する活性化エネルギーは比較的低いと推察される。そのため、CHBを予めCHBラジカルに変換しておくことで、CHBから直接CHB重合物を生成する場合に比べて、活性化エネルギーの壁を超えやすくなり(ひいてはCHBの重合反応が起こりやすくなり)、水素ガスが効率よく発生するものと考えられる。
その一方で、本発明者の得た知見によれば、CHBラジカルはCHBに比べて不安定なため、ラジカルの状態を長期間維持することができず、時間の経過とともに安定なCHBに戻ってしまう。CHBラジカルがCHBに戻ると、ガスの発生が鈍化し、電流遮断機構の作動が遅れる要因になり得る。ガスを効率よく発生させる観点から、非水電解液中のCHBラジカルの量はなるべく高濃度に保ちたい。
ここで開示される技術においては、このようなガス発生の効率化に寄与するCHBラジカルに着目し、このCHBラジカルの生成が促進されるようにリチウムイオン二次電池を高温度域で所定時間以上保持することで、過充電時のガス発生量を確保するようにしている。
すなわち、この電源システム1では、ECU(制御部)30が、温度センサ40で検出したリチウムイオン二次電池10の電池温度と該電池温度を記録した時刻情報とを含む温度経過情報(すなわち電池温度の時間推移を示す温度経過情報)から、60℃以上80℃以下の特定温度域におけるリチウムイオン二次電池10の累積保持時間を所定期間(すなわち過去から現在までの所定期間、例えば2年間)にわたって積算する。そして、該積算した累積保持時間が24時間未満である場合には、該累積保持時間が少なくとも24時間に到達するまでの間、リチウムイオン二次電池の電池温度が上記特定温度域で保たれるように温度調整部50を制御する。
上記リチウムイオン二次電池10を保温する特定温度域は、非水電解液中においてCHBラジカルの生成が促進される温度域であればよく、60℃以上80℃以下であり得る。図4に示すように、保温温度が低すぎると、CHBラジカルの生成が不十分になり、ガス発生量が低下傾向になる場合がある。例えば、図4のグラフに基づくと、上記保温温度は、概ね60℃以上であり、好ましくは70℃以上である。かかる温度範囲内でリチウムイオン二次電池10の保温を実施する場合、CHBラジカルの生成を効果的に促進することができる。一方、保温温度が高すぎると、非水電解液や電極に劣化が生じる結果、ガス発生量が低下傾向になる場合がある。この点から、上記保温温度は、概ね80℃以下であり、好ましくは75℃以下である。
上記特定温度域でリチウムイオン二次電池10を保持する保温時間は、少なくとも24時間である。図5に示すように、上記特定温度域での保温時間が短すぎると、CHBラジカルの生成が不十分になり、ガス発生量が低下傾向になる場合がある。例えば、図5のグラフに基づくと、上記保温時間は、概ね24時間以上、例えば30時間以上である。一方、上記保温時間が長すぎると、CHBラジカルを生成することによるガス発生量増大効果が鈍化傾向になることに加えて、非水電解液や電極に劣化が生じる結果、電池性能が低下する虞がある。この点から、上記保温時間は、概ね50時間以下であり、好ましくは36時間以下である。なお、CHBからCHBラジカルへの変換は、リチウムイオン二次電池10が充放電を行っていなくても(使用されていなくても)生じ得る。したがって、上記累積保持時間の積算は、リチウムイオン二次電池10の使用時と、リチウムイオン二次電池10の使用休止時との双方において行うとよい。
ECU30の典型的な構成には、少なくとも、上記制御を行うためのプログラムを記憶したROM(Read Only Memory)と、そのプログラムを実行可能なCPU(Central Processing Unit)と、一時的にデータを記憶するRAM(random access memory)と、図示しない入出力ポートとが含まれる。ECU30には、入力ポートを介して温度センサ40の出力信号が入力される。ECU30は、温度センサ40からの出力信号に基づいて、リチウムイオン二次電池10の電池温度および該電池温度を記録した時刻情報を含む温度経過情報を取得するようになっている。一方、ECU30の出力ポートは、温度調整部50に電気的に接続されている。ECU30では、温度調整部50への駆動制御が行われるとともに、温度センサ40からの出力に基づき、リチウムイオン二次電池10の電池温度制御が行われる。このECU30と温度センサ40と温度調整部50とにより、リチウムイオン二次電池10の制御装置が構成されている。
このように構成された電源システム1の動作について説明する。図6は、本実施形態に係る電源システム1のECU30により実行される電池温度制御処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、例えば車両に搭載された直後から定期的に繰り返し実行される。
図6に示す処理ルーチンが実行されると、ECU30は、まず、ステップS10において、温度センサ40で検出したリチウムイオン二次電池10の電池温度および該電池温度を記録した時刻情報を含む温度経過情報に基づき、リチウムイオン二次電池が60℃以上80℃以下の特定温度域で保持された時間(累積保持時間)T2の積算を開始する。また、該積算を開始してからの計測時間T1をカウントする。次いで、ステップS20において、上記積算を開始してからの計測時間T1が所定期間(例えば2年間)Aに達したか否かを判定する。計測時間T1が所定期間Aに達しない場合(「YES」の場合))、ステップS10に戻って累積保持時間T2の積算を続行する。一方、計測時間T1が所定期間Aに達した場合(「NO」の場合)、ステップS30に進む。
ステップS30では、上記積算した累積保持時間T2が24時間未満であるか否かを判定する。累積保持時間T2が24時間以上である場合(「NO」の場合))、CHBラジカルの生成促進が十分に行われていると判断して、ステップS40に進み、累積保持時間T2および計測時間T1をクリアする。一方、累積保持時間T2が24時間未満である場合(「YES」の場合))、CHBラジカルの生成促進が不十分であると判断して、ステップS50に進む。
ステップS50では、ECU30は、リチウムイオン二次電池10の電池温度が60℃以上80℃以下の特定温度域となるように温度調整部50を制御する。かかる制御は、累積保持時間T2が少なくとも24時間に到達するまでの間、続行される。そして、累積保持時間T2が24時間に到達したら、温度調整部50の上記制御を停止して、ステップS40に進み、累積保持時間T2および計測時間T1をクリアする。
このようにして、リチウムイオン二次電池の電池温度を60℃以上80℃以下の特定温度域で累積24時間以上保持することができる。かかる構成によると、60℃以上80℃以下の特定温度域でリチウムイオン二次電池を累積24時間以上保持することで、CHBラジカルの生成が促進され、非水電解液中のCHBラジカルの量が高濃度に保たれる。そのため、CHBの重合反応がより活性化され、水素ガスを効率よく発生させることができる。これにより、過充電時には電池内圧が速やかに上昇し、電流遮断機構を適切なタイミングで作動させることができる。
<第2実施形態>
この実施形態では、シクロヘキシルベンゼン(CHB)に代えてシクロヘキシルベンゼン(CHB)誘導体を用いる点において、上述した第1実施形態とは相違する。CHB誘導体としては、CHBの骨格構造を有する化合物であれば特に限定されないが、電子供与基を有し、かつ、水素ガスを多く発生させ得るシクロヘキシル基を有するものであることが好ましい。例えばCHB誘導体は、CHBのベンゼン環を構成する炭素原子に直接結合した水素原子の1または2以上がシクロヘキシル基で置換されたものであり得る。そのようなCHB誘導体の好適例として、下記式(A)で表されるCHB誘導体Aが挙げられる。
Figure 2017022082
また、CHB誘導体の他の好適例として、下記式(B)で表されるCHB誘導体Bが挙げられる。
Figure 2017022082
上記CHB誘導体は、生成したCHB誘導体ラジカルがCHBラジカルよりも安定化する(CHB誘導体ラジカルの活性化エネルギーがCHBラジカルよりも下がる)ため、CHBよりも低い温度および保持時間にてCHB誘導体ラジカルが効率よく生成する。そのため、CHBよりも低い特定温度域(45℃以上80℃以下)および累積保持時間(少なくとも20時間)にて非水電解液中におけるCHB誘導体ラジカル量を高濃度に保つことができ、過充電時のガス発生量を確保することができる。
すなわち、本実施形態に係る制御装置は、CHB誘導体を含む非水電解液と、充電時に電池内圧が所定値以上になると充電を遮断する電流遮断機構とを有するリチウムイオン二次電池の制御装置であって、二次電池の電池温度を検出する温度センサと、二次電池の電池温度を調整する温度調整部と、温度センサおよび温度調整部に電気的に接続された制御部(ECU)とを備える。ECUは、温度センサで検出したリチウムイオン二次電池の電池温度と該電池温度を記録した時刻情報とを含む温度経過情報から、45℃以上80℃以下の特定温度域におけるリチウムイオン二次電池の累積保持時間を所定期間(すなわち過去から現在までの所定期間、例えば2年間)にわたって積算する。そして、該積算した累積保持時間が20時間未満である場合には、該累積保持時間が少なくとも20時間に到達するまでの間、リチウムイオン二次電池の電池温度が上記特定温度域で保たれるように温度調整部を制御する。なお、その他の形態については、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
このように構成された電源システムの動作について説明する。図9は、本実施形態に係る電源システムのECUにより実行される電池温度制御処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
図9に示す処理ルーチンが実行されると、ECUは、まず、ステップS110において、温度センサで検出したリチウムイオン二次電池の電池温度および該電池温度を記録した時刻情報を含む温度経過情報に基づき、リチウムイオン二次電池が45℃以上80℃以下の特定温度域で保持された時間(累積保持時間)T2の積算を開始する。また、該積算を開始してからの計測時間T1をカウントする。次いで、ステップS120において、上記積算を開始してからの計測時間T1が所定期間(例えば2年間)Aに達したか否かを判定する。計測時間T1が所定期間Aに達しない場合(「YES」の場合))、ステップS110に戻って累積保持時間T2の積算を続行する。一方、計測時間T1が所定期間Aに達した場合(「NO」の場合)、ステップS130に進む。
ステップS130では、上記積算した累積保持時間T2が20時間未満であるか否かを判定する。累積保持時間T2が20時間以上である場合(「NO」の場合))、CHBラジカルの生成促進が十分に行われていると判断して、ステップS140に進み、累積保持時間T2および計測時間T1をクリアする。一方、累積保持時間T2が20時間未満である場合(「YES」の場合))、CHBラジカルの生成促進が不十分であると判断して、ステップS150に進む。
ステップS150では、ECUは、リチウムイオン二次電池の電池温度が45℃以上80℃以下の特定温度域となるように温度調整部を制御する。かかる制御は、累積保持時間T2が少なくとも20時間に到達するまでの間、続行される。そして、累積保持時間T2が20時間に到達したら、温度調整部の上記制御を停止して、ステップS140に進み、累積保持時間T2および計測時間T1をクリアする。
このようにして、リチウムイオン二次電池の電池温度を45℃以上80℃以下の特定温度域で累積20時間以上保持することができる。本実施形態によると、CHB誘導体を用いることで、CHBよりも低い特定温度域(45℃以上80℃以下)および累積保持時間(少なくとも20時間)にて非水電解液中におけるCHB誘導体のラジカル量を高濃度に効率よく保つことができる。そのため、当該制御(電池温度制御処理)で消費されるエネルギー量を第1実施形態よりも小さく抑えることができ、例えば燃費の向上に貢献し得る。
本発明の適用効果を確認するため、以下の試験を行った。
<試験例1>
本例では、非水電解液中にCHBを含むリチウムイオン二次電池を構築した。具体的には、シート状の正極集電体および負極集電体にそれぞれ正極活物質および負極活物質が保持された正負の電極シートがセパレータシートを介して捲回され、CHBを含む非水電解液とともにケースに収容された構成のリチウムイオン二次電池を2個構築した。そして、一方の電池に対して、2年相当劣化の耐久加速試験を実施した。以下、該電池を「2年相当劣化後電池」とする。また、他方の電池に対しては、2年相当劣化の耐久加速試験を実施しなかった。以下、該電池を「初期電池」とする。
各電池内のCHBラジカル量を電子スピン共鳴(Electron Spin Resonance:ESR)分析にて定量した。結果を図7に示す。図7では、2年相当劣化後電池のCHBラジカル量を100としたときの相対値で示してある。
図7に示すように、2年相当劣化後電池は、初期電池に比べてCHBラジカル量が減少していた。この結果から、リチウムイオン二次電池に経年劣化が生じると、CHBラジカル量が減少傾向になることが確認された。
また、各電池に対して過充電試験を行い、ガス発生量を測定した。結果を図8に示す。図8では、初期電池のガス発生量を100としたときの相対値で示してある。
図8に示すように、2年相当劣化後電池は、初期電池に比べてガス発生量が減少していた。この結果から、リチウムイオン二次電池に経年劣化が生じると、ガス発生量が減少傾向になることが確認された。また、図7および図8から明らかなように、CHBラジカル量が少ないと、ガス発生量が減少傾向になると云える。
<試験例2>
本例では、前述した2年相当劣化後電池を複数個用意した。各電池に対して高温保持試験を実施した。各電池の保持温度は30℃〜90℃の間で異ならせた。保持時間は24時間で一定とした。そして、高温保持試験後の各電池に対して過充電試験を行い、ガス発生量を測定した。結果を図4に示す。図4では、30℃で保持した電池のガス発生量を100としたときの相対値で示してある。
図4に示すように、60℃〜80℃の温度域で24時間保持した電池は、他の電池に比べてガス発生量が増大傾向であった。60℃〜80℃の温度域で24時間保持した電池は、非水電解液中のCHBラジカルの量が増大したため、ガス発生量が増大したものと推察される。この結果から、経年劣化した電池を60℃〜80℃の温度域で24時間保持することによって、ガス発生量が回復することが確認された。
<試験例3>
本例では、前述した2年相当劣化後電池を複数個用意した。各電池に対して高温保持試
験を実施した。各電池の保持時間は5時間〜48時間の間で異ならせた。保持温度は60℃で一定とした。そして、高温保持試験後の各電池に対して過充電試験を行い、ガス発生量を測定した。結果を図5に示す。図5では、5時間保持した電池のガス発生量を100としたときの相対値で示してある。
図5に示すように、60℃で24時間以上保持した電池は、他の電池に比べてガス発生量が増大傾向であった。60℃で24時間以上保持した電池は、非水電解液中のCHBラジカルの量が増大したため、ガス発生量が増大したものと推察される。この結果から、経年劣化した電池を60℃で24時間以上保持することによって、ガス発生量が回復することが確認された。
<試験例4>
本例では、非水電解液中に前述したCHB誘導体AおよびCHB誘導体Bをそれぞれ含むリチウムイオン二次電池を構築した。具体的には、シート状の正極集電体および負極集電体にそれぞれ正極活物質および負極活物質が保持された正負の電極シートがセパレータシートを介して捲回され、各CHB誘導体をそれぞれ含む非水電解液とともにケースに収容された構成のリチウムイオン二次電池を2個ずつ構築した。そして、一方の電池に対して、2年相当劣化の耐久加速試験を実施した(2年相当劣化後電池)。また、他方の電池に対しては、2年相当劣化の耐久加速試験を実施しなかった(初期電池)。
各電池内のCHB誘導体のラジカル量を電子スピン共鳴(Electron Spin Resonance:ESR)分析にて定量した。結果を図10に示す。図10では、各CHB誘導体について2年相当劣化後電池におけるCHB誘導体のラジカル量を100としたときの相対値で示してある。
図10に示すように、2年相当劣化後電池は、初期電池に比べてCHB誘導体のラジカル量が減少していた。この結果から、リチウムイオン二次電池に経年劣化が生じると、CHB誘導体のラジカル量が減少傾向になることが確認された。
また、各電池に対して過充電試験を行い、ガス発生量を測定した。結果を図11に示す。図11では、各CHB誘導体について初期電池のガス発生量を100としたときの相対値で示してある。
図11に示すように、2年相当劣化後電池は、初期電池に比べてガス発生量が減少していた。この結果から、リチウムイオン二次電池に経年劣化が生じると、ガス発生量が減少傾向になることが確認された。また、図10および図11から明らかなように、CHB誘導体のラジカル量が少ないと、ガス発生量が減少傾向になると云える。
<試験例5>
本例では、前述したCHB誘導体Aの2年相当劣化後電池を複数個用意した。各電池に対して高温保持試験を実施した。各電池の保持温度は30℃〜90℃の間で異ならせた。保持時間は20時間で一定とした。そして、高温保持試験後の各電池に対して過充電試験を行い、ガス発生量を測定した。結果を図12に示す。図12では、30℃で保持した電池のガス発生量を100としたときの相対値で示してある。
図12に示すように、45℃〜80℃の温度域で20時間保持した電池は、他の電池に比べてガス発生量が増大傾向であった。45℃〜80℃の温度域で20時間保持した電池は、非水電解液中のCHB誘導体のラジカル量が増大したため、ガス発生量が増大したものと推察される。この結果から、経年劣化した電池を45℃〜80℃の温度域で20時間保持することによって、ガス発生量が回復することが確認された。
<試験例6>
本例では、前述したCHB誘導体Aの2年相当劣化後電池を複数個用意した。各電池に対して高温保持試験を実施した。各電池の保持時間は5時間〜36時間の間で異ならせた。保持温度は45℃で一定とした。そして、高温保持試験後の各電池に対して過充電試験を行い、ガス発生量を測定した。結果を図13に示す。図13では、5時間保持した電池のガス発生量を100としたときの相対値で示してある。
図13に示すように、45℃で20時間以上保持した電池は、他の電池に比べてガス発生量が増大傾向であった。45℃で20時間以上保持した電池は、非水電解液中のCHB誘導体のラジカル量が増大したため、ガス発生量が増大したものと推察される。この結果から、経年劣化した電池を45℃で20時間以上保持することによって、ガス発生量が回復することが確認された。
以上、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池を説明したが、本発明に係る二次電池は、上述した何れの実施形態にも限定されず、種々の変更が可能である。
1 電源システム
10 リチウムイオン二次電池
13 非水電解液
18 電流遮断機構
20 負荷
30 制御部(ECU)
40 温度センサ
50 温度調整部

Claims (2)

  1. シクロヘキシルベンゼンを含む非水電解液と、充電時に電池内圧が所定値以上になると充電を遮断する電流遮断機構とを有するリチウムイオン二次電池の制御装置であって、
    前記二次電池の電池温度を検出する温度センサと、
    前記二次電池の電池温度を調整する温度調整部と、
    前記温度センサおよび前記温度調整部に電気的に接続された制御部と
    を備え、
    前記制御部は、前記温度センサで検出した前記二次電池の電池温度と該電池温度を記録した時刻情報とを含む温度経過情報から、60℃以上80℃以下の特定温度域における前記二次電池の累積保持時間を所定期間にわたって積算し、
    該積算した累積保持時間が24時間未満である場合には、該累積保持時間が少なくとも24時間に到達するまでの間、前記温度調整部を制御して前記二次電池の電池温度を前記特定温度域で保つように構成されている、リチウムイオン二次電池の制御装置。
  2. シクロヘキシルベンゼン誘導体を含む非水電解液と、充電時に電池内圧が所定値以上になると充電を遮断する電流遮断機構とを有するリチウムイオン二次電池の制御装置であって、
    前記二次電池の電池温度を検出する温度センサと、
    前記二次電池の電池温度を調整する温度調整部と、
    前記温度センサおよび前記温度調整部に電気的に接続された制御部と
    を備え、
    前記制御部は、前記温度センサで検出した前記二次電池の電池温度と該電池温度を記録した時刻情報とを含む温度経過情報から、45℃以上80℃以下の特定温度域における前記二次電池の累積保持時間を所定期間にわたって積算し、
    該積算した累積保持時間が20時間未満である場合には、該累積保持時間が少なくとも20時間に到達するまでの間、前記温度調整部を制御して前記二次電池の電池温度を前記特定温度域で保つように構成されている、リチウムイオン二次電池の制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018152157A (ja) * 2017-03-09 2018-09-27 トヨタ自動車株式会社 リチウムイオン二次電池の制御システム

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