JP2017019131A - 印刷装置,印刷システム,印刷方法,及びカードの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
この再転写装置は、インクリボンとして、例えば、Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),及びB(ブラック)の四色のインク層を有するものを用い、各インク層のインクを順次転写体に重畳転写させて無光沢カラー画像を形成する。そして、形成した画像を別の転写体に再度転写印刷することで、その転写体に無光沢カラー画像を形成できる。
以下、転写体に形成された無光沢カラー画像及び光沢付きカラー画像を、単に形成画像とも称する。また、画像を転写による印刷で形成させる対象物を、転写体と称する。
昇華型インクは、画像のドット数を間引くことなく濃淡調節して多階調の転写ができるため、高解像度のカラー画像形成に好適である。
そのため、メタルインクは、画像のドット数を間引くことなく濃淡調節をすることができず、基本的に転写有無の二階調しか得られない。
そこで、形成画像がカラーインクの階調に応じた光沢が視認されて自然なものとなるように、転写する原画像データにディザリング処理を施して光沢画像データを生成し、インクリボンのメタルインクを、転写体に対しこの光沢画像データで転写することが検討される。
再転写する転写体が光不透過性の場合、メタルインクを最も転写体側に位置させ、その上に各カラーインクを重畳させる。
この構成により、メタルインクが転写された部分(メタルインク転写部)に入射した光は、最深位置にあるメタルインクで概ね正反射する。その反射光はメタルインクに重ねられたカラーインクを通過して出光するので、出光方向から見ると、メタルインク転写部は、反射光が通過したカラーインクに応じた光沢色として視認される。
これにより、例えば、カラーインクによる形成画像の濃度が、メタルインク転写部とメタルインク非転写部とで同じ場合、転写体に対する視線角度によって、明暗が異なって見える。具体的には、メタルインク転写部が、メタルインクからの反射光が視認されてメタルインク非転写部よりも明るく見える場合と、メタルインクからの反射光が視認されずメタルインク非転写部よりも暗く見える場合と、が生じる。
すなわち、メタルインク転写部は、視認角度に応じて、メタルインク非転写部よりも明るく見える場合と、暗く見える場合と、での光沢差が生じる。
すなわち、このメタルインク転写部の光沢差は、形成画像における明度が低い領域(濃度が高い領域)において、認識はされるものの比較的目立たない。
一方、明度が高い領域(濃度が低い領域)は、カラーインクの色が薄く明るく、かつメタルインク転写部がディザリング処理によって点状に散在する領域である。
このため、形成画像における明度が高い領域は、視認角度によっては明るい領域の中にメタルインク転写部の暗く見える点が顕著に散在認識され、形成画像の品位が低下するという点で改善が望まれていた。
1) 第1のインクによる第1の印刷画像と、光沢性を有する第2のインクによる第2の印刷画像と、を重畳させて光沢付き画像の印刷を行う印刷装置であって、
前記第1の印刷画像に対応した第1の画像データを入力する入力部と、
前記第1の画像データに含まれる画素の濃度値を取得する濃度取得部と、
前記画素に付加すべき光沢性の濃度を特定する光沢濃度値を、前記画素の濃度値に基づいて決定する光沢濃度決定部と、
決定した前記光沢濃度値をディザリング処理して前記第2のインクによる印刷画像に対応した第2の画像データを生成するディザリング処理部と、
を有し、
前記光沢濃度決定部は、前記光沢濃度値を、
前記画素の前記濃度値が所定値未満の場合に、前記光沢濃度値がとり得る最小値に決定し、
前記画素の前記濃度値が所定値以上の場合に、前記最小値より大きい値に決定することを特徴とする印刷装置である。
2) 印刷装置と、前記印刷装置に画像データを送出するプリンタドライバを有するコンピュータと、を含んで構成される印刷システムであって、
前記印刷装置は、
第1のインクによる第1の印刷画像と、光沢性を有する第2のインクによる第2の印刷画像と、を重畳させて光沢付き画像の印刷を行い、
前記プリンタドライバは、
前記第1の印刷画像に対応した第1の画像データを入力する入力部と、
前記第1の画像データに含まれる各画素の濃度値を取得する濃度取得部と、
前記各画素に付加すべき光沢性の濃度を特定する光沢濃度値を、前記各画素の前記濃度値に基づいてそれぞれ決定する光沢濃度決定部と、
決定した各前記光沢濃度値をディザリング処理して前記第2のインクによる印刷画像に対応した第2の画像データを生成するディザリング処理部と、
を有し、
前記光沢濃度決定部は、前記光沢濃度値を、
前記画素の前記濃度値が所定値未満の場合に、前記光沢濃度値がとり得る最小値に決定し、
前記画素の前記濃度値が所定値以上の場合に、前記最小値より大きい値に決定することを特徴とする印刷システムである。
3) 第1のインクによる第1の印刷画像と、光沢性を有する第2のインクによる第2の印刷画像と、を重畳させて光沢付き画像の印刷を行う印刷方法であって、
前記第1の印刷画像に対応した第1の画像データに含まれる各画素の濃度値を取得する濃度値取得ステップと、
前記各画素に付加すべき光沢性の濃度を特定する光沢濃度値を、前記各画素の前記濃度値に基づいてそれぞれ決定する光沢濃度決定ステップと、
決定した各前記光沢濃度値をディザリング処理して前記第2のインクによる印刷画像に対応した第2の画像データを生成するディザリング処理ステップと、
を含み、
前記光沢濃度決定ステップは、前記光沢濃度値を、
前記画素の前記濃度値が所定値未満の場合に、前記光沢濃度値がとり得る最小値に決定し、
前記画素の前記濃度値が所定値以上の場合に、前記最小値より大きい値に決定することを特徴とする印刷方法である。
4) 光沢付きカラー画像が印刷形成されてなるカードを製造するカードの製造方法であって、
前記光沢付き画像を、第1のインクによる第1の印刷画像と、光沢性を有する第2のインクによる第2の印刷画像と、を重畳させて形成し、
前記第1の印刷画像に対応した第1の画像データに含まれる各画素の濃度値を取得する濃度値取得ステップと、
前記各画素に付加すべき光沢性の濃度を特定する光沢濃度値を、前記各画素の前記濃度値に基づいてそれぞれ決定する光沢濃度決定ステップと、
決定した各前記光沢濃度値をディザリング処理して前記第2のインクによる印刷画像に対応した第2の画像データを生成するディザリング処理ステップと、
を含み、
前記光沢濃度決定ステップは、前記光沢濃度値を、
前記画素の前記濃度値が所定値未満の場合に、前記光沢濃度値がとり得る最小値に決定し、
前記画素の前記濃度値が所定値以上の場合に、前記最小値より大きい値に決定することを特徴とするカードの製造方法である。
実施例1の印刷装置PRは、例えば再転写方式の印刷装置であって、いわゆるカードプリンタである。
印刷装置PRは、図1に示されるように、筐体PRaと、筐体PRaの内部に収められた転写装置51と、再転写装置52と、を有している。
転写装置51は、インクリボン11用の供給リール12及び巻き取りリール13を装脱自在に取り付け可能である。
取り付けられた供給リール12及び巻き取りリール13は、それぞれ駆動用のモータM12及びモータM13の駆動により回転する。モータM12,M13の回転速度及び回転方向は、印刷装置PRに備えられた制御部CTにより制御される。
インクリボン11の走行経路の途中には、頭出し用のインクリボンセンサ15が配置されている。
インクリボンセンサ15は、インクリボン11の頭出しマーク11d(図3参照)を検出し、リボンマーク検出情報J1(図2参照)を制御部CTに向け送出する。
インクリボン11は、図3に示されるように、リボンベース11aと、リボンベース11aの一面側に形成されたイエローインクのインク層11Y,マゼンタインクのインク層11M,シアンインクのインク層11C,及び金属光沢の銀色を呈するメタルインクSのインク層11Sを有する。インクリボン11の詳細は後述する。また、以下の説明において、イエローインク,マゼンタインク,及びシアンインクはそれぞれカラーインクCIKとも称する。
サーマルヘッド16は、掛け渡されたインクリボン11のリボンベース11a側の面(図3参照)に対し離接する(図5の矢印Da方向)。
このサーマルヘッド16の離接動作は、ヘッド離接駆動部D16により制御部CTの制御の下で実行される。
取り付けられた供給リール22及び巻き取りリール23は、それぞれ駆動用のモータM22及びモータM23の駆動により回転する。モータM22,M23の回転速度及び回転方向は、制御部CTにより制御される。
中間転写フィルム21の走行経路の途中には、頭出し用のフレームマークセンサ25が配置されている。
フレームマークセンサ25は、中間転写フィルム21のフレームマーク21d(図4参照)を検出し、フレームマーク検出情報J2(図2参照)を制御部CTに向け送出する。
中間転写フィルム21は光透過性を有する。例えば、フレームマークセンサ25を光センサとし、フレームマーク21dを光遮断する部分として形成して、光の透過と遮断との違いによりフレームマーク21dを検出する。
モータM26の回転速度及び回転方向は、制御部CTにより制御される。
詳しくは、サーマルヘッド16は、インクリボン11をプラテンローラ26に向け押圧し、プラテンローラ26との間に中間転写フィルム21とインクリボン11とを挟んで圧接させる圧接位置(図5に示される位置)と、インクリボン11から離隔した離隔位置(図1に示される位置)と、の間を移動する。サーマルヘッド16が圧接位置にあるときに、後述する転写が行われる。
制御部CTは、中央処理装置(CPU)CTaと、画像データ送出部CTbと、を有する。
図2に示されるように、画像データ送出部CTbは、カラー画像データ送出部CT1と光沢画像データ送出部CT2と、を有する。
光沢画像データ送出部CT2は、カラー画像濃度取得部CT2a(濃度取得部CT2aとも称する),光沢画像濃度決定部CT2b(光沢濃度決定部CT2bとも称する),及びディザリング処理部CT2cを有する。
転写画像情報J3は、無光沢のカラー画像(無光沢カラー画像)の画像データであるカラー画像データSN1を含んでいる。供給されたカラー画像データSN1は、記憶部MRに記憶される。
カラー画像データ送出部CT1は、画像データSN1y,SN1m,SN1cを、カラー画像データSN1Aとしてサーマルヘッド16に送出する。
各カラーインクCIKは、昇華量が、サーマルヘッドによって加えられる熱量に応じて調整可能なので、転写画像の濃淡を、濃度階調で表現可能である。
カラー画像データSN1A及び光沢画像データSN2の供給タイミングは、フレームマーク検出情報J2などに基づいて制御部CT全体として決定される。
インクリボン11は、インク層11bとして、四種のインク層を有する。この四種のインク層を所定順に並べたインク組11b1が、インクリボン11の延在方向(帯方向:矢印DRa参照)に繰り返し塗布されている。
具体的には、インク組11b1は、イエローインクのインク層11Y,マゼンタインクのインク層11M,シアンインクのインク層11C,及びメタルインクSのインク層11Sであり、この順で帯方向に塗布されている。
メタルインクSは、例えば灰色の溶融型インクであって、金属粒子又は金属フレークを含有し、光不透過性である。金属は、例えばアルミニウム、銀である。
メタルインクSの転写で転写体に形成されたメタルインク転写部は、入射光を狭指向性で概ね鏡面的に反射する。これにより、メタルインク転写部は、視認角度によって金属光沢の銀色として視認される。
各インク層11Y,11M,11C,11Sの帯方向の長さLaは、互いに同じである。従って、インク層11bの組のピッチLapは、長さLaの4倍となっている。
インクリボンセンサ15の位置は、インクリボンセンサ15が頭出しマーク11dを検出したときに、サーマルヘッド16の圧接位置がインク層11Yの走行方向先頭縁の位置と一致するようになっている。
すなわち、圧接位置からインクリボンセンサ15の検出位置までの走行経路長が、ピッチLapの整数倍とされている。
フィルムベース21aの幅は、インクリボン11のリボンベース11aの幅と同じである。
フィルムベース21a又は転写用受像層21cには、フレームマーク21dが、帯方向(矢印DRb参照)に所定のピッチLbで繰り返し形成されている。
フレームマーク21dは、全幅に亘り形成されている。
ピッチLbは、インクリボン11における長さLaと同じ(La=Lb)である。
すなわち、フレームマーク21dは、各フレームFの境界部位に付与され、各フレームFを中間転写フィルム21の延在方向(帯方向)に複数並設するように区画している。
すなわち、圧接位置からフレームマークセンサ25の検出位置までの走行経路長が、ピッチLbの整数倍とされている。ここでは、例えば4倍にされているものとする。
転写用受像層21cは、加熱により昇華したインク層11Y,11M,11Cのインク、及び加熱により溶融したインク層11SのメタルインクSを受容して固定する。
これにより、図5に示されるサーマルヘッド16の圧接状態において、転写用受像層21cに圧着したインク層11bからインクが転写され、転写用受像層21cに画像が印刷形成される。
また、インク層11SのメタルインクSは、サーマルヘッド16に供給された光沢画像データSN2に応じた加熱パターンで転写される。
発熱抵抗体16aは、例えば、1インチあたり300個並設される。
通常は、形成する画像に対応する発熱抵抗体16aは、全数nではなく、並設方向の両端に余裕分をとって隣接するm個(mは、m<nなる1以上の整数)とされる。
従って、転写する画像の帯方向(縦)におけるライン数(通電のONとOFFとを選択できる数に相当)をライン数LNaとすると、被画像形成体である中間転写フィルム21には、画像が、幅×縦=m×LNaのドットで形成される。
例えば、印刷装置PRとして、再転写する転写体の外形86mm×54mmなるカードに、300dpiの画像を形成する場合、mは約1000、LNaの値は約600である。
これにより、転写用受像層21cのフレームFに所望の光沢付きカラー画像を転写形成することができる。この画像形成動作の詳細は、後述する。
再転写装置52は、中間転写フィルム21の走行経路における、プラテンローラ26と巻き取りリール23との間に設けられた再転写部ST1と、再転写部ST1にカード素材31aを供給する供給部ST2と、再転写部ST1を通過したカード31を搬出する搬出部ST3と、を有している。
供給部ST2は、カード素材31aを挟持したままカード素材31aの姿勢を垂直から水平に転換するように90°回動する姿勢転換部ST2aを有する。
供給部ST2は、またさらに、持ち上げローラ33で持ち上げられたカード素材31aを、上方に配置された姿勢転換部ST2aに挟持して送り込む一対の送り込みローラ34と、姿勢転換部ST2aで水平姿勢にされたカード31を左方の再転写部ST1に送り込む複数対の搬送ローラ35と、を有する。
再転写部ST1において、カード素材31aは、ヒートローラ駆動部D41の動作によって、昇温したヒートローラ41と対向ローラ42との間に中間転写フィルム21と共に圧接挟持されながら、モータM41の駆動により搬出部ST3に向け移動する。カード素材31aには、中間転写フィルム21の転写用受像層21cが圧接する。
すなわち、カード素材31aの表面上に形成画像として画像Pcが再転写によって形成され、カード31とされる。
画像Pcが再転写形成されたカード31は、搬出部ST3に搬送され、例えば外部のストッカ36に積層収容される。
転写画像情報J3は、外部のデータ機器38(図2参照)などから入力部である通信部37を介して制御部CTに供給され、記憶部MRに記憶される。
より具体的には、カラー画像濃度取得部CT2aは、各画素のRGB値の内の最大値をmaxRGBとし、最小値をminRGBとして、輝度LUを、
LU=〔(maxRGB)+(minRGB)〕/2・・・(式1)
として求める。
次いで、求めたLUから、濃度値Nを、
N=255−LU ・・・(式2)
として算出する。
所定領域は、カラー画像データSN1で表されるカラー画像に対し任意に設定される。すなわち、カラー画像の全領域であってもよいし、任意の一部領域であってもよい。
決定の際、濃度値Nが、所定の濃度値として予め設定された特定濃度値Na未満となる画素については、光沢濃度値NMを、濃度値Nよりも小さい値として決定する。例えば、光沢濃度値NMとしてとり得る最小値に決定する。この決定基準を第1の決定基準と称する。
ここでは、光沢濃度値HMを、第1の決定基準により、0(ゼロ)として決定する。
一方、特定濃度値Na以上となる画素については、第2の決定基準を適用し、光沢濃度値NMを
NM=(N−Na)×〔255/(255−Na)〕 ・・・(式3)
として求め、決定する。
第2の決定基準において、光沢濃度値NMは、例えば、第1の決定基準でとり得る光沢濃度値NMの最小値よりも大きい値とされる。
尚、(式3)で得られた光沢濃度値NMが小数点以下の値となった場合は、四捨五入等により整数となるように決定する。
また、(式3)により、光沢濃度値NMは、0〜255の範囲の値となり、8bitのデータとして表される。従って、光沢濃度値NMとしてとり得る最小値は0(ゼロ)である。
特定濃度値Naは、例えば、仮に、特定濃度値Na未満の特定濃度値Naに近い領域(明度が高い側の領域)にメタルインクSによって転写された部分が点状散在する場合に、その点状の部分が顕著に散在認識され、形成画像の品位が低下すると判断される値に設定される。尚、特定濃度値Naは、実験等により適切な値が事前に求められ、設定される。
特定濃度値Naは、例えば予め設定され記憶部MRに記憶されている。
すなわち、ディザリング処理部CT2cは、各画素の8bitの光沢濃度値を疑似階調処理して1bit化し、光沢画像データSN2とする。
ディザリング処理部CT2cは、光沢画像データSN2を記憶部MRに記憶させる。
以上の方法により、光沢画像データSN2が生成される。
例えば、カラー画像データSN1におけるある画素QaのRGB値が、R=48,G=72,B=96であったとする(図8参照)。
この場合、カラー画像データ送出部CT1は、画素Qaに対応する画素として中間転写フィルム21に重畳転写される転写画素Qa1のRGB値がR=48,G=72,B=96となるように、各カラーインクCIKの画像データSN1y,SN1m,SN1cを生成し、サーマルヘッド16に送出する。
LU=(96+48)/2=72 ・・・(式5)
N=255−72=183 ・・・(式6)
と求める。
この場合、N=183であるから、特定濃度値Na以上(No)と判定する。
従って、光沢画像濃度決定部CT2bは、(式3)から、画素Qaに対応づけて付与する光沢を特定する光沢濃度値NMを、
NM=(183−25)×〔255/(255−25)〕≒175
・・・(式7)
として決定する(図9:Step2)。
この場合、画素Qbに対応する画素として中間転写フィルム21に重畳転写される転写画素Qb1のRGB値がR=250,G=230,B=240となるように、各カラーインクCIKが画像データSN1y,SN1m,SN1cによって重畳転写される。
LU=(250+230)/2=240 ・・・(式8)
N=255−240=15 ・・・(式9)
として求める。
この場合、N=15であるから、特定濃度値Na未満(Yes)と判定する。
従って、光沢画像濃度決定部CT2bは、画素Qbに対応づけて付与する光沢を特定する光沢濃度値NMを、濃度値N未満(15未満)とする。この例では、0(ゼロ)と決定する(図9:Step3)。
すなわち、カラー画像データ送出部CT1及び光沢画像データ送出部CT2から出力されたカラー画像データSN1A及び光沢画像データSN2における各画素のデータ構造は、図11に示されるように、RGBが8bit、光沢濃度値NM(図11ではS)が1bitとなっている。
この転写において、画素Qaについては、ディザリングなどの疑似階調処理によって、光沢濃度値NM=175に相当する光沢濃度が得られるように二値的に転写形成される。
また、画素Qbについては、光沢濃度値NM=0と決定されたので、メタルインクSの転写は行われない。
転写装置51は、三色のカラーインクCIK及びメタルインクSの転写動作それぞれにおいて、巻き戻し動作及び頭出し動作を行う。
図12及び図13には、インクリボン11の搬送方向(帯方向)に不動のサーマルヘッド16と、サーマルヘッド16の位置に対するインクリボン11及び中間転写フィルム21の位置と転写内容とが示されている。
また、転写動作で密着対向させているインクリボン11のインク層11bの面と中間転写フィルム21の転写用受像層21cの面とを、左右に並べて記載している。
また、図12及び図13において、転写に供するインク組11b1のインク層11bに、説明上の便宜から、1から連番を付してある。例えば、インク層11Y1〜11S1は、一番目のインク組11b1のインク層11Y〜11Sを示す。
また、インク毎に転写する画像を( )付の連番で示す。例えば、画像M(1)は、マゼンタインクによる一番目の転写画像(フレームF1に形成するマゼンタの画像)を意味する。同様に、画像C(1)は、シアンインクで転写する一番目の転写画像(フレームF1に形成するシアンの画像)を意味する。
次いで、サーマルヘッド16を圧接状態としてインクリボン11と中間転写フィルム21とを図12の下方に密着移動させながら、イエローのインク層11Y1のインクを、画像データSN1yによってフレームF1に転写し、画像Y(1)を形成する。
この密着移動は一つのフレーム分行う。送り方向は、インクリボン11は巻きとり方向(順送り)となり、中間転写フィルム21は巻き戻し方向(逆送り)となる。
すなわち、中間転写フィルム21のフレームF1には、イエローインクの画像Y(1)が転写形成されている。また、インクリボン11のインク層11Y1は、画像Y(1)に対応した範囲(斜線で示される)のインクが、他の範囲より少ない、或いは完全に無くなった状態となっている。
この頭出し動作では、サーマルヘッド16を、インクリボン11から離隔した離隔位置とし、インクリボン11を図13の状態から下方に送り出し(順送り)し、中間転写フィルム21を、図13の状態から上方に巻き取る(順送り)する。
これにより、フレームF1には、図15に示される、画像Y(1)と画像M(1)とが重畳した画像が形成される。
これにより、フレームF1には、画像Y(1)と画像M(1)と画像C(1)との重畳画像が形成される。
すなわち、フレームF1には、画像Y(1),画像M(1),画像C(1),及び画像S(1)が重畳転写されて、画像P(1)が中間画像Pとして形成されている。
転写用受像層21cには、昇華して転写されたイエローインクの染料YI(白ヌキ)、マゼンタインクの染料MI(片ハッチ付与)、シアンインクの染料CI(クロスハッチ付与)、メタルインクSの顔料SI(長方形)が受像されている。
メタルインクSの顔料SIは、転写順が最後であるため、転写用受像層21cにおけるフィルムベース21aから遠い側に受像されている。
そのため、上述のように、濃度が予め設定された特定濃度値Na未満の領域には、メタルインクSが転写されていない。また、特定濃度値Na以上の領域は、疑似階調処理による面積階調によって光沢の濃淡が視認され得るように転写されている。
そして、各フレームFに形成した中間画像Pの一部が、再転写装置52によって、カード素材31aに画像Pcとして再転写される。
詳しくは、画像P(1)の一部が、カード素材31aに転写されて再転写範囲P(1)c(点描部分)となっている。
未転写のカード31であるカード素材31aの一面に、転写用受像層21cが転写されている。
転写により、転写用受像層21cのリボンベース11aとは反対側の面が、カード素材31a側の面になるので、カード素材31a側にメタルインクSが位置する。
すなわち、中間転写フィルム21への転写において、カラーインクCIKの転写部にメタルインクSが重畳転写された部分は、カード素材31aでは、カード素材31a上のメタルインクSの上にカラーインクCIKが載った状態となる。
この反射光LGaは、カラーインクCIKが光透過性を有することから、メタルインクSの上に載っているカラーインクCIKの色を反映した光沢色で視認される。
一方、観察者の目Eが、反射光LGaの出光方向にないときは、目Eには、メタルインク転写部Acからの反射光LGaよりもメタルインク非転写部Adからの乱反射光LGbの方がはるかに多く届く。そのため、相対的に、メタルインク転写部Acは暗い領域として視認される。
図21(a)に示されるように、カラー画像Pdは横長の長方形である。カラー画像Pdの左端の画素の濃度値Nは、最低濃度の0(ゼロ)であり、右端の画素の濃度値Nは、最高濃度の255である。
また、カラー画像Pdにおいて、画素の濃度値Nは、左端から右端に向かうに従って線形で上昇している。
図21(a)に記載された破線Lhは、濃度値Nが25となっている画素の位置を示している。
濃度値Nの25という値は、特定濃度値Naとして記憶部MRに記憶された値である。
仮に、メタルインクSによる転写印刷が、破線Lhより左側の領域Aaにおいてカラー画像Pdと同じ濃度値Nを示すように疑似階調処理を経て行われ、メタルインクSが点状に散在すると、形成画像の品位が低下する。
さらにディザリング処理部CT2cによりディザリング処理されて、図21(b)に示すような光沢濃淡を有する光沢画像Psの光沢画像データSN2が生成される。
図21(b)において、破線Lhより左側の領域ASaは、光沢濃度値NMが0(ゼロ)となっている。また、破線Lhより右側の領域ASbは、左端の画素の光沢濃度値NMが最低濃度の0(ゼロ)であり、右端の光沢濃度値NMが最高濃度の255となっている。
また、領域ASbにおいて、光沢濃度値NMは、左端から右端に向かうに従って線形で上昇している。
これにより、印刷装置PRは、光沢付きカラー画像を、低濃度領域でメタルインクの転写が散在認識されないように形成できる。そのため、光沢付きカラー画像を高品位に形成できる。
例えば、カラーインクCIKの転写画像に基づいて特定濃度値Naを設定し、特定濃度値Na未満の画像領域を明度の高い領域とする。そして、この明度の高い領域については、メタルインクSの濃度特性を、カラーインクCIKの濃度特性よりも抑制された特性となるように設定してメタルインクSの転写を行う。
これにより、カードなどの転写体に光沢付きカラー画像を高品位に再転写形成できる。
また、高品位の光沢付きカラー画像が表面に形成されたカードを製造することができる。
実施例1は、印刷装置PRとして、制御部CTに画像データ送出部CTbを有する例を説明したが、これに限定されるものではない。
画像データ送出部CTbを外部のコンピュータ61に備え、そのコンピュータ61と印刷装置とで印刷システムを構成してもよい。
実施例2として、その印刷システムの一例である印刷システムSYを説明する。印刷システムSYの概略構成は図22に示される。
印刷装置PRAは、実施例1の印刷装置PRに対し、制御部CTの替わりに、画像データ送出部CTbを有していない制御部CTAを備える点のみが異なる。
すなわち、印刷装置PRAは、中央処理装置CTaを有する制御部CTA,記憶部MR,転写装置51,及び再転写装置52を備えている。
プリンタドライバ62は、印刷装置PRにおける画像データ送出部CTbに相当するブロックを有する。
すなわち、プリンタドライバ62は、カラー画像データ送出部CT1と、光沢画像データ送出部CT2とを有する。
光沢画像データ送出部CT2は、カラー画像濃度取得部CT2a,光沢画像濃度決定部CT2b,及びディザリング処理部CT2cを有する。
光沢画像データSN2は、プリンタドライバ62の光沢画像データ送出部CT2で生成される。
印刷装置PRAとコンピュータ61とは、例えばインターネット回線を介して接続される。
カラー画像データSN1A及び光沢画像データSN2の生成方法は実施例1と同じであり、印刷装置PRAにおける転写及び再転写動作も実施例1の印刷装置PRと同じであり、実施例1と同様の効果が得られる。
太線G2によって、濃度値Nと光沢濃度値NMとの関係が示されている。一点鎖線G1は、濃度値Nが線形に増加した場合を示している。
図23(a)において、光沢濃度値NMは、濃度値Nが0から特定濃度値Naまでの間で0(ゼロ)とされ、特定濃度値Na以上で線形増加している(太線G2)。
図23(b)において、光沢濃度値NMは、濃度値Nが0から特定濃度値Naまでの間で一点鎖線G1よりも小さい増加率で線形増加し、特定濃度値Na以上で、一点鎖線G1よりも大きい増加率で線形増加している(太線G3)。
図23(c)において、光沢濃度値NMは、濃度値Nが0(ゼロ)から特定濃度値Naまでの間で0(ゼロ)とされ、特定濃度値Na以上で曲線状に増加している(太線G4)。
図23(d)において、光沢濃度値NMは、濃度値Nが0(ゼロ)から特定濃度値Naまでの間、一点鎖線G1よりも小さく曲線状に増加し、特定濃度値Na以上で一部が一点鎖線G1以上となる部分をもって曲線状に増加している(太線G5)。
図23(e)において、光沢濃度値NMは、濃度値Nが0(ゼロ)から特定濃度値Naまでの間、一点鎖線G1よりも小さく曲線状に増加し、特定濃度値Na以上で一点鎖線G1と同じ線形増加をしている(太線G6)。
このように、光沢画像濃度決定部CT2bにおける、光沢濃度値NMの決定の仕方は、図23(a)に示されるものに限定されず、図23(b)〜(e)で示されるものなどであっても良い。
第2の決定基準で決定する光沢濃度値NMを、第1の決定基準でとり得る光沢濃度値NMの最大値よりも大きい値とすることにより、画素の濃度値Nが特定濃度値Na以上の場合に第2の決定基準で決定する光沢濃度値NMは、特定濃度値Na未満の場合に第1の決定基準で決定する光沢濃度値NMよりも必ず大きくなる。そのため、光沢画像Psの光沢濃度変化がより自然に視認される。
また、光沢対象領域は、一つのカラー画像の中において複数個所設定してよい。
また、光沢対象領域を複数個所設定した場合、各領域に対して用いる特定濃度値Naを異なるものとしてよい。
この光沢対象領域を特定する情報、及び光沢対象領域に対応する光沢画像データSN2を生成する際に用いる特定濃度値及び濃度変化特性は、カラー画像データSN1毎に使用者側で予め設定して転写画像情報J3に含めておくことができる。
詳しくは、例えば、中間転写フィルム21の転写済みのフレームFを所定の形状に切り出して、フィルム状カードとする転写装置であってもよい。また、中間転写フィルム21の替わりにカードなどの転写体に直接転写する転写装置であってもよい。
これにより、転写体を、転写した側の面とは反対側から見た場合に、光沢画像を視認できる。
これにより、形成した画像は、転写体に最も近い側にメタルインクSがあり、そのメタルインクS上にカラーインクCIKが載った構造となる。
そのため、転写した側から見た場合に光沢画像を視認することができる。
特定濃度値Naは、任意に設定でき、上述の25に限定されるものではない。
11Y (イエローインクの)インク層
11M (マゼンタインクの)インク層
11C (シアンインクの)インク層
11S (メタルインクの)インク層
11a リボンベース、 11b インク層、 11b1 インク組
11d 頭出しマーク
12 供給リール、 13 巻き取りリール、 14 ガイドシャフト
15 インクリボンセンサ
16 サーマルヘッド、 16a 発熱抵抗体、 16b ヘッドドライバ
21 中間転写フィルム
21a フィルムベース、 21b 剥離層、 21c 転写用受像層
21d フレームマーク
22 供給リール、 23 巻き取りリール、 24 ガイドシャフト
25 フレームマークセンサ、 26 プラテンローラ
31 カード、 31a カード素材
32 スタッカ、 33 持ち上げローラ、 34 送り込みローラ
35 搬送ローラ、 36 ストッカ、 37 通信部(入力部)
38 データ機器、 41 ヒートローラ、 42 対向ローラ
51 転写装置、 52 再転写装置
61 コンピュータ、 62 プリンタドライバ
Aa,Ab,ASa,ASb 領域
Ac メタルインク転写部、 Ad メタルインク非転写部
CT,CTA 制御部
CTa,63 中央処理装置(CPU)、 CTb 画像データ送出部
CT1 カラー画像データ送出部、 CT2 光沢画像データ送出部
CT2a カラー画像濃度取得部、 CT2b 光沢画像濃度決定部
CT2c ディザリング処理部
D16 ヘッド離接駆動部、 D41 ヒートローラ駆動部
F,F1 (転写)フレーム
J1 リボンマーク検出情報、 J2 フレームマーク検出情報
J3 転写画像情報
La 長さ、 LG 光、 LGa 反射光、 LGb 乱反射光
LNa ライン数、 Lap,Lb ピッチ、 Lh 破線
LU 輝度
M12,M13,M22,M23,M26,M41 モータ
MR 記憶部
N 濃度値、 Na 特定濃度値、 NM 光沢濃度値
P 中間画像、 Pc 画像(形成画像)、 P(1)c 再転写範囲
P(1),Y(1),M(1),C(1),S(1) 画像
Pd カラー画像、 Ps (メタルインクの)転写画像
PR,PRA 印刷装置、 PRa 筐体
Qa,Qb 画素、 Qa1,Qb1 転写画素
SN1,SN1A カラー画像データ
SN1y,SN1m,SN1c 画像データ、 SN2 光沢画像データ
ST1 再転写部、 ST2 供給部、 ST2a 姿勢転換部
ST3 搬出部
SY 印刷システム
YI (イエローインクの)染料、 MI (マゼンタインクの)染料
CI (シアンインクの)染料、 SI (メタルインクの)顔料
CIK カラーインク、 S メタルインク
Claims (4)
- 第1のインクによる第1の印刷画像と、光沢性を有する第2のインクによる第2の印刷画像と、を重畳させて光沢付き画像の印刷を行う印刷装置であって、
前記第1の印刷画像に対応した第1の画像データを入力する入力部と、
前記第1の画像データに含まれる画素の濃度値を取得する濃度取得部と、
前記画素に付加すべき光沢性の濃度を特定する光沢濃度値を、前記画素の濃度値に基づいて決定する光沢濃度決定部と、
決定した前記光沢濃度値をディザリング処理して前記第2のインクによる印刷画像に対応した第2の画像データを生成するディザリング処理部と、
を有し、
前記光沢濃度決定部は、前記光沢濃度値を、
前記画素の前記濃度値が所定値未満の場合に、前記光沢濃度値がとり得る最小値に決定し、
前記画素の前記濃度値が所定値以上の場合に、前記最小値より大きい値に決定することを特徴とする印刷装置。 - 印刷装置と、前記印刷装置に画像データを送出するプリンタドライバを有するコンピュータと、を含んで構成される印刷システムであって、
前記印刷装置は、
第1のインクによる第1の印刷画像と、光沢性を有する第2のインクによる第2の印刷画像と、を重畳させて光沢付き画像の印刷を行い、
前記プリンタドライバは、
前記第1の印刷画像に対応した第1の画像データを入力する入力部と、
前記第1の画像データに含まれる各画素の濃度値を取得する濃度取得部と、
前記各画素に付加すべき光沢性の濃度を特定する光沢濃度値を、前記各画素の前記濃度値に基づいてそれぞれ決定する光沢濃度決定部と、
決定した各前記光沢濃度値をディザリング処理して前記第2のインクによる印刷画像に対応した第2の画像データを生成するディザリング処理部と、
を有し、
前記光沢濃度決定部は、前記光沢濃度値を、
前記画素の前記濃度値が所定値未満の場合に、前記光沢濃度値がとり得る最小値に決定し、
前記画素の前記濃度値が所定値以上の場合に、前記最小値より大きい値に決定することを特徴とする印刷システム。 - 第1のインクによる第1の印刷画像と、光沢性を有する第2のインクによる第2の印刷画像と、を重畳させて光沢付き画像の印刷を行う印刷方法であって、
前記第1の印刷画像に対応した第1の画像データに含まれる各画素の濃度値を取得する濃度値取得ステップと、
前記各画素に付加すべき光沢性の濃度を特定する光沢濃度値を、前記各画素の前記濃度値に基づいてそれぞれ決定する光沢濃度決定ステップと、
決定した各前記光沢濃度値をディザリング処理して前記第2のインクによる印刷画像に対応した第2の画像データを生成するディザリング処理ステップと、
を含み、
前記光沢濃度決定ステップは、前記光沢濃度値を、
前記画素の前記濃度値が所定値未満の場合に、前記光沢濃度値がとり得る最小値に決定し、
前記画素の前記濃度値が所定値以上の場合に、前記最小値より大きい値に決定することを特徴とする印刷方法。 - 光沢付きカラー画像が印刷形成されてなるカードを製造するカードの製造方法であって、
前記光沢付き画像を、第1のインクによる第1の印刷画像と、光沢性を有する第2のインクによる第2の印刷画像と、を重畳させて形成し、
前記第1の印刷画像に対応した第1の画像データに含まれる各画素の濃度値を取得する濃度値取得ステップと、
前記各画素に付加すべき光沢性の濃度を特定する光沢濃度値を、前記各画素の前記濃度値に基づいてそれぞれ決定する光沢濃度決定ステップと、
決定した各前記光沢濃度値をディザリング処理して前記第2のインクによる印刷画像に対応した第2の画像データを生成するディザリング処理ステップと、
を含み、
前記光沢濃度決定ステップは、前記光沢濃度値を、
前記画素の前記濃度値が所定値未満の場合に、前記光沢濃度値がとり得る最小値に決定し、
前記画素の前記濃度値が所定値以上の場合に、前記最小値より大きい値に決定することを特徴とするカードの製造方法。
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