以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.現金処理装置の概要>
まず、本発明の一実施形態に係る現金処理装置の概要について説明する。本実施形態に係る現金処理装置は、釣銭として使用される現金を出金する出金取引と、売り上げた現金を入金する入金取引とを行う現金処理装置であり、入出金取引を中断および再開する機能を有するものである。
なお、以下では、主として入金取引を例示して説明するが、出金取引についても同様であることは言うまでもない。
現金処理装置において、入金取引は、例えば、一日の業務の終了後、各レジスタ担当者によって各レジスタから売上が回収され、売上が現金処理装置に投入される際に行われる。ここで、流通施設および商業施設では、多数のレジスタが設置されているが、多くの場合、一日の売上はその日のうちに集計する必要がある。そのため、一日の業務終了後、各レジスタ担当者によって集中して入金取引が行われることが多い。このような場合、一日の業務終了後に入金取引を行うレジスタ担当者が現金処理装置に集中することで混雑が発生してしまうため、各レジスタ担当者は、入金取引を行うために長時間待つ必要があった。
また、入金金額が大きい場合、投入された現金の計数および収納のため、より多くの時間がかかってしまう。一日の売上を入金する場合、入金金額が大きくなることが多いため、一日の業務終了後の入金取引に伴う現金処理装置の混雑は、特に大きくなる傾向があった。
上記の事情を鑑み、本実施形態に係る現金処理装置では、中断操作により取引を中断し、再開操作により中断した取引を再開することを可能にする。これにより、操作者が現金処理装置の空きを待つ時間を短縮することができるため、現金処理装置は、操作者に対する利便性を向上させることができる。
具体的には、本実施形態に係る現金処理装置は、取引における入出金金額の入力が行われた場合、操作者の識別情報と、当該取引とを紐付けて記憶することで、取引を中断することを可能にする。これにより、取引が集中し、現金処理装置が混雑している時には、入出金金額の入力までで取引を中断し、計数および収納のため時間がかかる現金の入金については、現金処理装置が混雑していない時に分散して行えるようにすることができる。なお、現金処理装置への入金前の現金については、例えば、別途、金庫等に保管しておけばよい。
<2.現金処理装置の構成>
続いて、図1を参照して、本実施形態に係る現金処理装置の具体的な構成について説明する。図1は、本実施形態に係る現金処理装置1の構成を示す模式図である。
図1に示すように、現金処理装置1は、紙幣投入口101と、紙幣一時保留部103と、紙幣鑑別部105と、万券カセット107と、五千券カセット109と、千券カセット111と、回収カセット113と、リジェクト部115と、硬貨投入口117と、硬貨鑑別部119と、硬貨一時保留部121と、硬貨返却箱123と、出金ホッパ125と、硬貨回収庫127と、硬貨出金箱129と、カードリーダ部131と、操作表示部133と、レシートプリンタ部135と、制御部150と、を備える。
紙幣投入口101は、現金処理装置1に入金される紙幣が投入される投入口である。また、紙幣投入口101は、紙幣の出金口としても機能する。具体的には、紙幣投入口101は、売上入金の取り消しにより返却される紙幣、釣銭出金により出金される紙幣、および紙幣鑑別部105により正常ではないとしてリジェクトされた紙幣を出金する。
紙幣一時保留部103には、入金計数時および売上金作成時に、一時的に紙幣が集積される。また、紙幣鑑別部105は、投入された紙幣が正常な紙幣であるか否かを各種センサによって鑑別する。
万券カセット107、五千券カセット109、および千券カセット111は、それぞれ万券、五千券、および千券の紙幣を収納する現金収納部である。具体的には、万券カセット107、五千券カセット109、および千券カセット111(以下では、まとめて各紙幣カセットともいう)には、各種紙幣が釣銭準備金として収納される。また、各紙幣カセットには、売上として入金され、紙幣鑑別部105で正常と鑑別された各種紙幣が収納される。さらに、釣銭出金時には、各紙幣カセットからそれぞれ各種紙幣が出金される。
回収カセット113は、売上回収のためのカセットである。具体的には、回収カセット113には、入金時または精算集計時に、各紙幣カセットから移動された紙幣が売上金として収納される。
リジェクト部115には、紙幣鑑別部105によって正常な紙幣ではないと鑑別された紙幣、すなわちリジェクトされた紙幣が集積される。具体的には、リジェクト部115には、売上入金時に紙幣一時保留部103から各紙幣カセットに紙幣を搬送する過程でリジェクトされた紙幣、各紙幣カセットから釣銭出金を行う過程でリジェクトされた紙幣、精算集計時に各紙幣カセットから回収カセット113に紙幣を搬送する過程でリジェクトされた紙幣などが集積される。
硬貨投入口117は、硬貨が投入される開口である。また、硬貨鑑別部119は、投入された硬貨が正常な硬貨であるか否かを各種センサによって鑑別する。さらに、硬貨一時保留部121には、入金計数時および精算集計時に、一時的に硬貨が集積される。
硬貨返却箱123は、硬貨の返却口であり、計数が行われた硬貨、売上入金の取り消しがなされた硬貨が返却される。また、出金ホッパ125は、売上入金によって投入された各種硬貨が収納される現金収納部である。例えば、出金時には出金ホッパ125から各種硬貨が出金される。
硬貨回収庫127は、売上回収のためのカセットである。具体的には、硬貨回収庫127には、精算集計時に出金ホッパ125から移動された硬貨が売上金として収納される。また、硬貨出金箱129は、釣銭出金時に硬貨を出金するための硬貨出金口である。
カードリーダ部131は、レジカードまたはIDカード等に書き込まれた情報を読み取る。レジカードまたはIDカード等に書き込まれる情報としては、例えば、カードを利用する操作者を識別するための識別情報、および許可されている取引の種類を示す情報が挙げられる。カードリーダ部131により読み取られる情報が事前に登録されている情報と一致する場合、後述する制御部150は、現金処理装置1の利用を許可する。なお、現金処理装置1は、カードリーダ部131に加えて、あるいはカードリーダ部131に代えて、指紋認識を行う指紋認識部、または暗証番号の入力を受け付ける暗証番号入力部等を有してもよい。
操作表示部133は、操作者による操作を検出する操作部としての機能と、各種画面を表示する表示部としての機能とを備える。表示部としての機能は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display:LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置により実現することができる。また、操作部としての機能は、例えば、タッチパネルにより実現することができる。なお、表示部および操作部の機能は、分離して備えられていてもよい。
レシートプリンタ部135は、取引の結果が印字されたレシートを発行する。例えば、レシートプリンタ部135は、中断された取引の結果が印字された中断レシート、再開した取引の結果が印字された再開レシートを発行してもよい。
制御部150は、演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)、CPUが使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶するROM(Read Only Memory)、CPUの実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶するRAM(Random Access Memory)、およびデータ等を記憶するHDD(Hard Disk Drive)装置等のデータ格納用記憶装置などで構成される。
このような制御部150により、現金処理装置1の動作全般が制御される。例えば、制御部150は、レジカードやIDカードによる認証が終了した場合、操作者が所望の処理を選択するためのメニュー画面を操作表示部133に表示させ、メニュー画面にて操作者が選択した処理の実行を制御してもよい。
<3.制御部の構成>
次に、図2を参照して、本実施形態に係る現金処理装置1にて特徴的な制御部150の機能について、より具体的に説明する。図2は、本実施形態に係る現金処理装置1が備える制御部150の機能構成を示すブロック図である。
図2に示すように、制御部150は、中断情報生成部151と、中断情報記憶部153と、表示生成部155と、入出金制御部157と、を備える。
中断情報生成部151は、中断操作が行われた場合に、中断操作を行った操作者の識別番号と、中断操作が行われた取引とを紐付けた中断情報を生成する。具体的には、中断情報生成部151は、操作者によって取引における入出金金額の入力が行われた後、中断操作が行われた場合、操作者の識別情報と、中断操作が行われた取引の入出金金額とを紐付けた中断情報を生成する。ここで、操作者の識別情報とは、例えば、カードリーダ部131によって読み取られたIDカード等に書き込まれている操作者を識別するための情報(識別ID)などである。
中断情報生成部151が生成した中断情報は、中断情報記憶部153に記憶される。中断情報記憶部153は、例えば、RAMなどの一時記憶装置であってもよく、HDD装置などのデータ格納用記憶装置であってもよい。
また、中断情報生成部151が生成した中断情報は、レシートプリンタ部135によって中断レシートに印字される。なお、中断レシートは、操作者に対して発行される。
ここで、中断レシートの具体例を図3に示す。図3は、中断レシートの具体例を示す説明図である。
図3に示すように、中断レシート300には、中断された取引に関する情報が印字される。例えば、(1)には、取引時刻として「2015.06.15 20:15」が印字され、取引種別として「入金中断」が印字されている。(2)には、中断された取引の勘定日として「2015.06.15」が印字されている。また、(3)には、取引の中断操作を識別するための処理通番として「00011」が印字され、(4)には、中断操作を行った操作者(取扱者)を識別する識別番号として「10011111」が印字されている。さらに、(5)には、中断操作時に入力した入出金金額である「10,000」が伝票金額として印字されている。
これにより、操作者は、発行された中断レシートを参照することで、入出金金額の入力が行われた後、中断されており、現金の入出金がされていない取引の存在を把握することができる。
表示生成部155は、操作表示部133に表示される表示を生成する。特に、本実施形態に係る現金処理装置1では、表示生成部155は、取引の再開操作が行われた場合、再開操作を行った操作者の識別情報に基づいて中断情報を抽出し、抽出した中断情報を含む再開表示を生成する。これにより、操作者は、再開表示に一覧表示された中断情報を参照することで、再開する取引を選択することができる。
例えば、表示生成部155は、取引の再開操作を行った操作者の識別情報に対して紐付けられた取引の中断情報を中断情報記憶部153から抽出し、抽出された中断情報を一覧表示した再開表示を生成してもよい。これにより、再開操作を行った操作者は、再開表示に一覧表示された中断情報を選択することで、自身が中断した取引を再開し、現金処理装置1から現金の入出金を行うことができる。
また、表示生成部155は、取引の再開操作を行った操作者の識別情報と関連する識別情報に対して紐付けられた取引の中断情報を中断情報記憶部153から抽出し、抽出された中断情報を一覧表示した再開表示を生成してもよい。ここで、取引の再開操作を行った操作者は、例えば、レジスタ担当者を管理する管理者を表す。すなわち、表示生成部155は、取引の再開操作を行った管理者によって管理されるレジスタ担当者の識別情報に対して紐付けられた取引の中断情報を中断情報記憶部153から抽出し、抽出された中断情報を一覧表示した再開表示を生成してもよい。
これにより、再開操作を行った管理者は、再開表示に一覧表示された中断情報を選択することで、管理している操作者によって中断された取引を再開し、現金処理装置1から現金の入出金を行うことができる。この構成によれば、現金処理装置1からの現金の入出金を管理者が一括して行うことができるため、現金処理装置1は、業務効率を向上させ、かつ各レジスタ担当者による不正を防止することができる。
入出金制御部157は、再開表示から中断情報が選択された場合、選択された中断情報に対応する取引における現金の入出金を可能にする。具体的には、入出金制御部157は、操作表示部133に表示された再開表示から操作者によって再開する取引の中断情報が選択された場合、選択された中断情報の入出金金額の現金の入出金が可能になるように現金処理装置1を制御する。これにより、操作者は、現金処理装置1に対して、中断した取引における現金の入出金を行うことができる。
ここで、入出金制御部157は、再開表示から一度に選択可能な中断情報を一つのみとしてもよく、複数としてもよい。これらは、現金処理装置1の制御部150にあらかじめ設定等され、再開表示から一度に選択可能な中断情報は、一つまたは複数のいずれか一方となっていることが好ましい。
例えば、再開表示から一度に複数の中断情報を選択可能である場合、操作者は、選択した複数の中断情報に対応する取引の各々における現金の入出金をまとめて行うことができるため、業務の効率性を向上させることができる。
ただし、現金の入出金をまとめて行った場合、操作者の誤入力等により、入力された入出金金額と、再開時に入出金された現金の合計金額とが一致しない際に、いずれの取引が原因で入出金金額と合計金額とが一致しないのか判別することが困難になる。したがって、中断時に入力された入出金金額と、再開時に入出金した現金の金額との不一致を取引ごとに確認するためには、再開表示から一度に選択可能な中断情報は、一つのみとすることが好ましい。これにより、操作者は、入力された入出金金額と、再開時に入出金した現金の金額とが一致していることを一つずつ確認しながら、再開した取引を行うことができる。
また、操作者の誤入力等により、中断時に入力された入出金金額と、再開時に入出金した現金の金額とが一致しない場合、制御部150は、操作者の操作に基づいて中断時に入力された入出金金額を修正してもよい。これにより、操作者は、誤入力等による入力された入出金金額と、入出金した現金の金額との不一致に対して、取引の取消等を行うことなく、取引の入出金金額を修正することができる。したがって、現金処理装置1は、操作者に対する利便性を向上させることができる。
さらに、入出金制御部157が行う制御により、操作者によって現金の入出金が行われた場合、レシートプリンタ部135は、取引における現金の入出金の結果を印字し、該取引を中断した際に発行された中断レシートと紐付けられた再開レシートを発行する。
具体的には、レシートプリンタ部135は、取引を中断した際に発行する中断レシートに識別情報となる整理番号または通し番号を印字し、該取引を再開した際に発行する再開レシートには、中断レシートに印字した整理番号または通し番号を印字する。これにより、レシートプリンタ部135は、中断レシートと再開レシートとを対応付けることができる。
ここで、再開レシートの具体例を図4に示す。図4は、再開レシートの具体例を示す説明図である。
図4に示すように、再開レシート310には、再開した取引に関する情報が印字されている。例えば、(1)には、取引時刻として「2015.06.16 14:15」が印字され、取引種別として「入金再開」が印字されている。(2)には、再開された取引の勘定日として「2015.06.15」が印字されている。また、(3)には、取引の再開操作を識別するための処理通番として「00059」が印字され、(4)には、再開操作を行った操作者(取扱者)を識別する識別番号として「10011111」が印字されている。
(5)には、再開した取引において、中断操作時に発行された中断レシートの処理通番である「00011」が対象通番として印字されている。これにより、取引の再開時に発行される再開レシートは、該取引の中断時に発行される中断レシートと対応付けられる。また、(6)には、再開した取引において、中断操作を行った操作者(対象者)の識別番号として「10011111」が印字されている。例えば、操作者が自分自身によって中断された取引を再開する場合、(4)に印字される識別番号と、(6)に印字される識別番号とは一致することになる。一方、例えば、管理者が自身の管理下の操作者によって中断された取引を再開する場合、(4)に印字される識別番号と、(6)に印字される識別番号とは異なることになる。
また、(7)には、中断操作時に入力した入出金金額である「10,000」が伝票金額として印字される。なお、再開操作後に入出金金額が修正された場合、伝票金額「10,000」は、修正後の入出金金額が印字される。さらに、(8)〜(19)には、入出金された現金の金額と、入出金された現金の紙幣および硬貨の内訳が印字される。なお、図3、図4では、識別情報となる整理番号または通し番号を処理通番として記載している。
以上の構成を備える制御部150によれば、本実施形態に係る現金処理装置1は、操作者の中断操作によって入出金金額の入力にて取引を中断し、再開操作によって取引を再開することで、現金の入出金を行うことができる。これにより、操作者は、現金処理装置1が混雑している場合には、売上の集計等に必要な入出金金額の入力までで取引を中断し、取引にかかる時間を短縮することができる。よって、本実施形態に係る現金処理装置1は、操作者が現金処理装置の空きを待つ時間を短縮することができるため、操作者に対する利便性を向上させることができる。
<4.現金処理装置の動作>
続いて、図5〜図11を参照して、本実施形態に係る現金処理装置1における入出金取引の流れについて、操作表示部133に表示される表示例を示しつつ、具体的に説明する。なお、以下では、主として入金取引について説明するが、出金取引についても同様であることは言うまでもない。
図5は、現金処理装置1における通常の入金取引の流れを示したフローチャート図である。また、図6は、中断操作が行われた入金取引の流れを示したフローチャート図であり、図7は、中断操作後、再開操作が行われた場合の流れを示したフローチャート図である。図8〜図11は、操作表示部133に表示される表示の一例を示す模式図である。
まず、図5を参照して、本実施形態に係る現金処理装置1が行う通常の入金取引(中断操作等が行われない場合)の流れを説明する。
図5に示すように、まず、現金処理装置1は、カードリーダ部131によって操作者のIDカード等を読み取り、操作者の識別情報を取得する(S301)。次に、表示生成部155は、取引選択画面の表示を生成し、操作表示部133は、取引選択画面を表示する(S303)。
図8に取引選択画面200の表示の一例を示す。図8に示すように、取引選択画面200には、各種取引を選択するためのボタンが表示される。具体的には、取引選択画面200には、出金取引を行うための出金ボタン201、入金取引を行うための入金ボタン202、現金処理装置1の設定を変更するための設定ボタン203、現金の装填・回収操作を行うための装填・回収ボタン204が表示されている。また、他に選択可能な取引が存在する場合、取引選択画面200には、次候補ボタン205が表示される。操作者は、次候補ボタンを押下することにより、他の取引を選択するためのボタンを操作表示部133に表示させることができる。
入金ボタン202が押下され、入金取引が選択された場合(S305)、表示生成部155は、入金金額の入力画面の表示を生成し、操作表示部133は、入金金額の入力画面を表示する。表示された入金金額の入力画面には、操作者によって入金金額(以下、伝票金額ともいう)が入力される(S307)。
図9に入金金額の入力画面210の表示の一例を示す。図9に示すように、入力画面210には、操作者が入金金額を入力するための入力欄211が表示される。また、入力画面210には、入金取引を続けるための確認ボタン212と、入金取引を中断するための中断ボタン213とが表示される。操作者は、入金金額を入力欄211に入力し、確認ボタン212を押下することで、入金取引を続行し、現金の入金を行うことができる。なお、中断ボタン213が押下された場合については図6を参照して後述する。
入金金額が入力欄211に入力され、確認ボタン212が押下された後、操作者によって現金の入金が行われる(S309)。紙幣投入口101および硬貨投入口117から投入された現金は、紙幣一時保留部103および硬貨一時保留部121に搬送された後、金額が計数され(S311)、計数された現金の金額は、操作表示部133に表示される(S313)。
ここで、現金処理装置1において一時に投入可能な現金の量には制限がある。そのため、投入する現金の量が多く、追加で現金の入金をする必要がある場合、操作者は、追加入金ボタン(図示せず)を押下することで、追加入金を選択し(S315/Yes)、再度、現金の入金(S309)を行ってもよい。現金の追加入金がない場合、操作者は、計数された現金の金額を確認し、確認ボタン(図示せず)を押下する(S315/No)。これにより、現金処理装置1は、現金の入金が完了したと判断する。
なお、現金の入金後、操作者が計数された現金の金額を確認した際に、誤入力等により入力された入金金額を修正する必要が生じた場合(S317/Yes)、操作者は、入金金額の入力画面に戻り、入力金額を修正してもよい(S319)。入金金額の修正がない場合(S317/No)、および入力金額の修正が行われた場合、レシートプリンタ部135は、取引の結果をレシートに印字し、操作者に対してレシートを発行する(S321)。その後、現金処理装置1は、紙幣一時保留部103および硬貨一時保留部121に搬送されていた現金を収納する(S323)。具体的には、現金処理装置1は、紙幣を各紙幣カセット(万券カセット107、五千券カセット109、および千券カセット111)に収納し、硬貨を出金ホッパ125に収納する。
次に、図6を参照して、本実施形態に係る現金処理装置1にて、中断操作が行われた場合の入金取引の流れを説明する。
図6に示すように、まず、現金処理装置1は、カードリーダ部131によって操作者のIDカード等を読み取り、操作者の識別情報を取得する(S101)。次に、表示生成部155は、取引選択画面の表示を生成し、操作表示部133は、取引選択画面を表示する(S103)。取引選択画面において、入金取引が選択された場合(S105)、表示生成部155は、入金金額の入力画面の表示を生成し、操作表示部133は、入金金額の入力画面を表示する。表示された入金金額の入力画面には、操作者によって入金金額が入力される(S107)。
ここで、入力画面に入力金額が入力された後、入金取引を中断するための中断ボタン213が押下され、取引の中断が選択された場合(S109)、操作表示部133は、入力された入金金額(伝票金額)を表示する(S111)。このとき、誤入力等により、入力された入金金額(伝票金額)を修正する必要が生じた場合(S113/Yes)、操作者は、入金金額の入力画面に戻り、入力金額を修正してもよい(S115)。
入金金額の修正がない場合(S113/No)、および入力金額の修正が行われた場合、中断情報生成部151は、中断操作を行った操作者の識別情報と、入力された入金金額とを紐付けた中断情報を生成する(S117)。生成された中断情報は、中断情報記憶部153に記憶される(S119)。続いて、レシートプリンタ部135は、中断情報を含む取引に関する情報を中断レシートとして印字し、操作者に対して中断レシートを発行する(S121)。
以上の流れによって、現金処理装置1は、操作者からの中断操作に対して、取引の中断を実行する。
続いて、図7を参照して、本実施形態に係る現金処理装置1にて、再開操作により中断操作が行われた取引を再開する場合の入金取引の流れを説明する。
図7に示すように、まず、現金処理装置1は、カードリーダ部131によって操作者のIDカード等を読み取り、操作者の識別情報を取得する(S201)。次に、表示生成部155は、取引選択画面の表示を生成し、操作表示部133は、取引選択画面を表示する。また、表示生成部155は、入金取引および入金取引再開の選択画面の表示を生成し、操作表示部133は、選択画面を表示する(S203)。
ここで、図10に選択画面220の表示の一例を示す。図10に示すように、選択画面220には、入金取引を行うための入金ボタン221、入金取引再開を行うための入金再開ボタン222が表示される。例えば、表示生成部155は、まず、図8に示す取引選択画面200を表示し、入金ボタン202が押下された場合、図10に示す選択画面220を表示してもよい。操作者は、入金再開ボタン222を選択することにより、中断した入金取引を再開することができる。
入金再開ボタン222が押下され、入金取引再開が選択された場合(S205)、表示生成部155は、操作者の識別情報に基づいて中断情報を抽出し、抽出した中断情報を含む再開表示を生成する(S207)。生成された再開表示は、表示生成部155に表示される。
図11に再開表示230の一例を示す。図11に示すように、再開表示230には、中断された取引の中断情報がリスト状に一覧表示された中断取引リスト231が表示される。操作者は、選択ボタン234を押下することで、中断取引リスト231から再開したい取引を選択し、取引を再開することができる。なお、中断取引リスト231の「処理通番」は、中断レシートにおいて取引の中断操作を識別するために印字された処理通番に対応する。操作者は、中断レシートに印字された処理通番を参照することで、いずれの中断情報がいずれの取引に対応するのかを把握することができる。
また、中断した取引の数が多いため、表示される中断情報が1ページの中断取引リスト231に収まりきらない場合、表示生成部155は、中断取引リスト231を複数ページに分けて表示してもよい。このような場合、表示生成部155は、「前を表示」ボタン232および「次を表示」ボタン233を表示する。操作者は、「前を表示」ボタン232および「次を表示」ボタン233を押下することにより、中断取引リスト231のページを切り替えることができる。
図11に示した再開表示230では、操作者が自身によって中断した取引を再開する場合を示したため、「オペレータID」欄には、1種類のIDしか表示されていない。一方で、例えば、管理者が再開操作を行った場合、「オペレータID」欄には、該管理者の管理下にある操作者の複数のIDが表示されることになる。
再開表示230の中断取引リスト231から再開する取引が選択された場合(S209)、操作表示部133は、中断操作時に入力された入金金額(伝票金額)を表示する(S211)。次に、表示された入金金額を確認した操作者によって現金の入金が行われる(S213)。紙幣投入口101および硬貨投入口117から投入された現金は、紙幣一時保留部103および硬貨一時保留部121に搬送された後、金額が計数され(S215)、計数された現金の金額は、操作表示部133に表示される(S217)。
ここで、上述したように、現金処理装置1では、一時に投入可能な現金の量には制限がある。そのため、投入する現金の量が多く、追加で現金の入金をする必要がある場合、操作者は、追加の現金入金を選択し(S219/Yes)、再度、現金の入金(S213)を行ってもよい。一方、現金の追加入金がない場合、操作者は、計数された現金の金額を確認し、現金の入金を終了する。
また、現金の入金後、計数された現金の金額を操作者が確認した際に、誤入力等により入力された入金金額を修正する必要が生じた場合(S221/Yes)、操作者は、入金金額の入力画面に戻り、入力金額を修正してもよい(S223)。
入金金額の修正がない場合(S221/No)、および入力金額の修正が行われた場合、レシートプリンタ部135は、入金取引再開の結果を再開レシートとして印字し、操作者に対して再開レシートを発行する(S225)。なお、再開レシートには、中断レシートの処理通番が印字され、これにより、操作者は、同一取引における再開レシートと中断レシートとを対応付けることができる。
その後、現金処理装置1は、紙幣一時保留部103および硬貨一時保留部121に搬送されていた現金を収納する(S227)。具体的には、現金処理装置1は、紙幣を各紙幣カセット(万券カセット107、五千券カセット109、および千券カセット111)に収納し、硬貨を出金ホッパ125に収納する。
以上の流れにより、本実施形態に係る現金処理装置1は、操作者の中断操作により、入出金金額の入力にて入出金取引を中断することができる。また、現金処理装置1は、操作者の再開操作により、中断した取引を再開し、現金の入出金を行うことができる。
これにより、操作者は、現金処理装置1が混雑等している場合には、取引を中断することで、他の操作者が現金処理装置1の空きを待つ時間を短縮することができる。また、操作者は、現金処理装置1が混雑していない時に取引を再開し、計数等により時間がかかる現金の入出金を行うことができる。したがって、本実施形態に係る現金処理装置1によれば、操作者に対する利便性を向上させることができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施形態では、主として現金処理装置にて入金取引が行われる場合を例示して説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、本発明に係る現金処理装置にて出金取引が行われる場合も、同様の構成および方法にて取引の中断および再開を行うことができる。