JP2017015204A - ベータサイアロン製ベアリングボールの製造法とその製品 - Google Patents

ベータサイアロン製ベアリングボールの製造法とその製品 Download PDF

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Abstract

【課題】窒化ケイ素製ベアリングボールが余りにも高価すぎる。原因を解析して低価格化を図る。【解決手段】一次粒子を製造する際のビーズミルによる水中処理の際に、窒化ケイ素の一部が加水分解する事が原因と考えられる。窒化ケイ素に代替可能な、ベータサイアロンの適用で課題が解消できる。【選択図】なし

Description

ベータサイアロン製ベアリングボールの製法とその製品に関する
回転を伴う大半の機械要素には軸受鋼で製造されたベアリングボールが使用されている。しかしセラミックスの加工技術が画期的進歩を遂げた現代においても所謂ハイブリット軸受け構造体としてセラミックスベアリングボールの適用は極めて特殊な用途に限られている。
セラミックスベアリングボールを機械要素として適用するにはセラミックスベアリングボールがあまりにも高価すぎるのがその理由である。特殊鋼製のベアリングボールに相当するコストパフォーマンスおよび品質特性でセラミックスベアリングボールを製造する事を提案する事が本特許の目的である。
セラミックス製のベアリングボールがハイブリッド軸受け構造体として工業化されているのは窒化ケイ素で製造されたベアリングボールが主体をなしている。特殊鋼製ベアリングボールと同様にISO3290-2-2008に準拠して規格化された精度に仕上げられ寸法精度で生産されている。ISOの基準に定めらた寸法精度をクリアーする為にダイアアモンド製研削砥石による極めて長時間に渡る研磨加工を余儀なくされている。しかしベアリングボール用セラミックスとして活用されているのは、窒化ケイ素のみである。
この点に焦点を当てて窒化家素の解析を詳細に行ったところ、
1)原料としてはアルファー結晶が特定値以上に含有する事が指定された窒化ケイ素が用いられている。アルファ窒化ケイ素はこの後に行われる焼結処理の際に、ベータ窒化ケイ素としてロッド状に再析出し、窒化ケイ素の重要用途例えばベアリングボール等の破壊靭性値の向上に寄与するとされている。
2)原料はアルファ窒化ケイ素として投入し、一連の工程を経由して製品はベータ窒化ケイ素製となる。
3)原料のアルファ窒化ケイ素は微細化の目的でまずイオン化処理水中に投入される。次いで粉砕ミル(ビーズミル)→攪拌→ビーズミル→攪拌を数十時間を水中で処理される。この処理はアルファ窒化ケイ素とイオン処理水のほぼ50%泥漿(スラリー)状態で実施されている。窒化ケイ素の単位粒子(一次粒子)を極力微細化する目的である、
4)詳細は後述するが(Si3N4+(3n+10)H2O→3SiO2・3nH2O+4NH4OHの反応に3)の工程でアルファ窒化ケイ素が加水分解する。)加水分解したアルファ窒化ケイ素は分解した多量の欠陥(ボイド)が生成される。このビーズミルによる長時間微細化処理でアルファ窒化ケイ素が加水分解する。加水分解したアルファ窒化は極めて脆い。
5)乾燥工程(スプレードライ)による乾燥工程を経て粉体としての流動性を確保する目的で数十μmの顆粒を形成する。顆粒を形成するアルファ窒化ケイ素は脆い事から、この後に行う成形加工において種々の対策を講じている。
6)即ち、金型パーティン面に所謂土星リング状のバリ加工面を付与している。特許文献にも詳しいが、極めて複雑な素球形状をを付与している。
7)この理由は加水分解で脆弱化したアルファ窒化ケイ素顆粒を割れない様に成形するする為の手段となっている。このようにして成形した素球には一例では直径で数百μmの研磨代が付与されている。この結果、研磨工程費用が全体の50%以上となっている。
表1に示す表面精度のISO規格を基準に研磨加工が実施されている。即ち、金型成形で大きな余肉を付加したしかも金型併せ面に大きなバリ(土星リングと呼称されている)を付加した素球を形成している。パーテング面の形状を工夫する事(土星リング付与)および多大な余肉付与する事が窒化ケイ素製素球成形金型成形には必須であるとされ複数件の特許が提出されている。
Figure 2017015204
さらに、表1に示す表面精度に仕上げる為の前加工工程および仕上げ工程が存在している。特に、セラミックスの特性を加味しつつ研磨加工前の素球を生産している。市場探索により求めた表記に関する全製造工程を後述する図1に示した。想定コスト大半が研磨工程に費やされている事が分かる。窒化ケイ素製ベアリングボールの製造コストはこの多大な研磨工程のコストそのものである。先ずこの研磨加工工程の内容を解析してその拠ってきたる要因の解析を行う。その新規なベアリングボール製造に、製造面および特性面で優れたセラミックス、ベータサイアロンについて本特許で提案する。
窒化ケイ素の金型成形でバリ付(土星リングと呼ばれる)の素球を先ず製造する。原料は一次粒子径とスプレードライアーによる二次粒子径の調整が工程管理の重要なポイントとして存在する。なお金型成形での1分間当たりの素球生産数はせいぜい数十個に限られ、特殊鋼製ベアリングボール素球の生産能力1000個/分には遠く及んでいない。それで新たな成形技術としてラバー型を用いた等圧成形技術についても提案したい。
窒化ケイ素粉末を素球に成形する際の金型成形に関する幾多の特許(特許文献1−4)が出願されている。いずれの特許も上型と下型とで構成されるダイセットに関するものであり、上型と下型との合わせ面に関するものであり金型成形では併せ面で割れ易くその為の方策について述べたものである。併せ面で成形品が割れ易いのは、後述する、窒化ケイ素微粉末の製法に起因するものである事を本特許で明らかにする事ができた。後述する。また併せ面の問題の他に研磨の為の余肉があまりにも過大すぎると云う問題点がある。セラミックスは特殊鋼対比で研磨加工性が悪いので、素球製造の本工程で土星リングの如き余分な凸部を付加したり、完成球に対するあまりにも過大の研磨代を付与する事はコストパーフォーマンス上極力避けるべきである。それが敢えてなさせれている原因の解明ができたので本特許で説明するとともに対策についても記述していきたい。
金型成形では球体の三次元成形は極めて難しい。柔軟性を有するラバープレスによる余肉の最小化も本特許の第一ステップで検討した。この際、ラバープレスそのものに関する生産性についても検討した。
現在生産されている窒化ケイ素製ベアリングボールの生産工程には窒化ケイ素としての本質的な大きな課題が存在している。すなわち、目標とする粒子径にする為の一次粒子製造はビーズミルを用いて水中で数十時間の長時間をかけて行われる。実施例で後述するように、窒化ケイ素は、水中処理の間に徐々に加水分解が進む(非特許文献)。この工程の後工程で行う乾燥+造粒工程(スプレードライヤー)で製造された窒化ケイ素のミクロ的な欠陥が存在必然的に存在する。この様な条件下で、ベアリングボール用窒化ケイ素顆粒は生産されている。
ベアリンブボール用としての疲労強度、L10寿命を評価したデータが存在するベータサイアロン単一相セラミックスに注目したい。今後、本ベータサイアロン単一相セラミックスを単にベータサイアロンと呼ぶ。後述する様(表2)にベアリングボール用疲労強度は窒化ケイ素と同等であり、粉末微細化処理中の長時間の水中処理で加水分解反応は皆無である。併せて。ベータサイアロンは窒化ケイ素対比で研削性が極めて良好である。抜本的代替セミックスとして、加水分解しないベータサイアロンを提案するとともに金型成形に代替しうるラバープレスによる成形工程および研磨工程について検討し、所期の目的が達成できる事を掴んだ。
特開2001−163673 特開平2−214606 特開2003−137640 特開2011−93789
www.toshiba-tmat.co.jp/ (社)日本セラミックス協会標準物質 JCRM R003,004,005 窒化けい素 Journal of the Ceramic Society of Japan 108 [2] 161-165 (2000) Journal of the Ceramic Society of Japan 101 [4] 416-421 (1993)
現状行われているベアリングボールの大凡の工程を示す図1から、以下の課題が抽出される。
(1)製品形状に対して素球の大きさがあまりにも大きい。
(2)土星リングと呼ばれるバリ部は削除すべきである。
成形工程設計上、この様な余肉を敢えて付与する原因は窒化ケイ素の原料となるアルファ窒化ケイ素の材質的特性に起因している。
アルファ窒化ケイ素原料を微細化して一次粒子を得るには、量産工程においては、純水中にアルファ窒化ケイ素粗大粉末を投入して製造したスラリーを攪拌しながら連続的に例えば粉砕用ビーズミルに投入している。この水処理工程を数十時間に渡る長時間繰り返す。この間にアルファ窒化ケイ素が加水分解する。
(3)(1)および(2)実施の為の微粉末製造条件を明確すべきである。
(4)それに基づいた新規な成形工程を確立すべきである。
(5)研削性の立場からのセラミックスの選定をすべきである。
アルファ窒化ケイ素微粉末の一次粒子の大きさを1μm以下の大きさに超微細化する為に、数十時間の長時間かけて水中でビーズミルにより粉砕する事実がある。この際に窒化ケイ素粉体の表面部の一部は水中でSi3N4+(3n+10)H2O→3SiO2・3nH2O+4NH4OHの反応により、加水分解する。この現象は引用する非特許文献にも明らかである。ベアリングボールを製造する事を目的にしており、高強度ベアリングボールを形成するには、直径0.5μm以下の超微細粉末を予め製造する必要がある。この欠点をカバーする事を目的に素球外形に大きな余剰の研磨代を設けざるを得ないし、成形時の併せ面に土星リングなるバリ部を設けて成形時の割れを防いでいる。
一次粒子製造時にアルファ窒化ケイ素に認められる加水分解による脆弱性の皆無のセラミックスを採用する事によりこの課題が解消できる。本特許では長時間の水中処理において加水分解発生が皆無のベータサイアロンを提案する。
ベータサイアロンは研削および研磨加工性が窒化ケイ素対比で約60%良好である。研削および研磨工程が短縮化できる。
成形加工プロセスとして金型成形とは別にラバープレスによる成形工程を本特許では提案したい。詳細は実施例で説明する。
各種の詳細な調査を行い、窒化ケイ素に匹敵するセラミックスとしてベータサイアロン一を選定した。その基本データを、窒化ケイ素、ベータサイアロン(Z=1)およびベアリングボール用特殊鋼として汎用されている軸受鋼2種(SUJ2)の超清浄鋼の特性値と比較して表2に示した。ベアリングボール寿命評価のパラメータとしてベアリング業界で常用されているL10寿命は、ベータサイアロンで4.00E+07、窒化ケイ素で1.00E+0.7で両者ともベアリングボール強度ほゞ同等あると評価される。軸受鋼2種の超清浄鋼は現状では1.00E+08の実力を有しており、現状のセラミックス製ベアリングボールの10倍のL10寿命を有している。云いかえるとベータサイアロンは窒化ケイ素に代替できる可能性が大いに存在する事になる。
Figure 2017015204
ここで注目点はベアリングボールとしての評価はあくまでもL10寿命であり、動的疲労強度である。静的特性値とかK!Cではない。言い換えれば硬さUPがベアリングボールの寿命向上には何らの効果もない事は表2に示す軸受鋼の硬さを参考すれば自明である。
ベアリングボール製造のコストパーフォーマンスに大きな影響を与えるセラミックスの研削性をベターサイアロンと窒化ケイ素について比較して示す。なお、アルファ窒化ケイ素は成形加工後に焼結処理により強化されてベータ窒化ケイ素になっている。
1)研削抵抗値(図2):被研削面の単位長さ(mm)当たりの法線方向の研削抵抗値(N/mm)はベターサイアロンが低い。研削抵抗値が低い事は研削加工性はベータサイアロンが優れている。研削量(mm3)がますにつれてその差は大きくなる。
2)砥石摩耗量(図3):摩耗量(μm)はベータサイアロンが少なく、窒化ケイ素のほぼ1/2である。砥石の摩耗量が1/2である事は特に研磨加工費が全加工費の大半を占めている事からコストパーアフォーマンス的にも極めて好ましい。
3)表面粗さ(図4):粗さ(Ra)もベターサイアロンが良好である。
なお研削研磨条件を表3に示した。
全体のコストに影響を及ぼす重要特性である。詳細は実施例で説明する。
Figure 2017015204
ベターサイアロンを用いる事により、研削および研磨工程が大幅に削減できる事からベアリングボールの製造コストが大幅に削減できると想定される。
セラミックス製ベアリングボールは1)非磁性であり電流を通さない。2)その結果、電食が発生しない。3)鉄損を生じないので車体全体を流れる電流のロスが低減できる。特に電気自動車でその効果が大きい。4)鉄鋼の40%の比重であり高速回転にの遠心力が低減する。5)極めて少量の初期潤滑で耐えうる事が可能である事から真空環境に耐えうる唯一材料である。等の特徴を有していながらはばひろく活用されていないのは偏に窒化ケイ素セラミックスベアリングボール高価すぎるからと思われる。本特許によりセラミックスベアリングが幅広く活用されれば、その効果は極めて大きい。
窒化ケイ素製ベアリングボール製造の大凡の工程と技術課題を示した図。成形工程でバリ(土星リング)つきの素球製造から開始が全体のコストパーフォローマンスに悪影響を与えている。 ベータサイアロンと窒化ケイ素との研削抵抗値の差異を示す。サイアロンの研削抵抗値が窒化ケイ素対比で低く、サイアロンが研削の負荷は低くく研削できる事を示している。 研削砥石の寿命を示している。ベータサイアロンでは研削砥石の寿命は窒化ケイ素対比で2倍以上である。コストパーフォーマンス向上に有益である。 研削仕上り面の粗さがベータサイアロンは窒化ケイ素対比極めて良好である。 最も理想的な製造工程図を示す。 ベータサイアロンを水中で0.5μmまで粉砕するビーズミル(左上部)とその攪拌装置(右下部)。ベータサイアロンでは加水分解は生じていない。装置周辺にアンモニア臭は皆無である。 泥漿(スラーリー)として得られた平均0.5μm微粉末のスプレードライヤーによる乾燥後に得られた顆粒の例 ラバープレス型成形機(Dry CIP)。顆粒の秤量装置(A)で顆粒重量を秤量し、ロボットアーム(C)により成形用ラバー型(B)に自動運転を行う。 装置から搬出された多数の素球を示す。Dは飛び出している素球製品。躍動感が大きい。 ベータサイアロンのTEM像を示す。粒界は鮮明である。結果からベータサイアロンの焼結は固相拡散焼結によるものあると思われる。 粒界が3本集合したトリプルポイントの箇所のEDS解析の結果を示す。シリコンを主体としたベータサイアロンの組成に近い。焼結助剤として添加しているY成分は強度上からは検出されていない。 液相焼結する代表組成である窒化ケイ素焼結材のTEM像である。焼結時に液相化した粒界の一部がHIP処理でトリプルポイントに押しやられてY-サイアロン組成のアモルファス化した状態が認めらる(写真中の三角形状の個所)。
窒化ケイ素製ベアリングボール製造は極めて効率の悪いプロセスで製造されている。ISO基準に合致した精度の球体の製造にきゅうきゅうとしていると云わざるを得ない。プロセスの改変には焦点を置かれておらず、ひたすら精度のみに焦点が置かれている。窒化ケイ素製ベアリングボール製造の際には、超微細な一次粒子を長時間の水中処理で製造する事により生ずる窒化ケイ素の加水分解が原因であり、この様な環境の現状製造プロセスに本発明の提案するベターサイアロンを適用する事によりセラミックスベアリングボールの大幅なコストダウンを図る事ができる。
アルファ窒化ケイ素粉体は水中で、Si3N4+(3n+10)H2O→3SiO2・3nH2O+4NH4OHの反応により、加水分解する。本特許では、ベアリングボールを製造する事を目的にしており、高強度ベアリングボールを形成するには、直径0.5μm以下のベータサイアロン超微細粉末を予め製造する必要がある。図5に理想的な製造プロセスを示した。併せて個々を構成する装置についても以下に示した。
図5に示す最も適した本発明の焦点はゴム型成形プロセスによる一連の連続プロセスにある。一次粒径およびスプレードライアーにより形成される顆粒の粒径が重要である。実施例で詳細に説明説明した様に、一次粒径が特に重要である。一次粒径0.5μm以下で粒子相互がひき合う力(ファンデールワースルス力)が発生する。この発見が本発明の基本である。
図5に示す最も適した本発明の焦点はゴム型成形プロセスによる一連の連続プロセスにある。一次粒径およびスプレードライアーにより形成される顆粒の粒径が重要である。実施例で詳細に説明説明した様に、一次粒径が特に重要である。一次粒径0.5μm以下で粒子相互がひき合う力(ファンデールワースルス力)が発生する。この発見が本発明の基本である。
図5に示す最も適した本発明の焦点はゴム型成形プロセスによる一連の連続プロセスにある。一次粒径およびスプレードライアーにより形成される顆粒の粒径が重要である。実施例で詳細に説明説明した様に、一次粒径が特に重要である。一次粒径0.5μm以下で粒子相互がひき合う力(ファンデールワースルス力)が発生する。この発見が本発明の基本である。
予め合成されたベータサイアロン原料を例えばビーズミル(図6)等を用いて、水中で、15時間以上に渡る長時間を掛けて繰り返し粉砕を行い泥漿(スラリー)を製造する。スラリーをスプレードライアーにより乾燥して直径数十μmの顆粒(図7)を製造する原料製造工程により製造する。その目的および手段から云えば原料製造工程の水中処理で加水分解する窒化ケイ素はベアリングボールの最適生産用原料には適していないと云えよう。本特許ではベアリングボール用材料としてベータサイアロンを提案する。
ゴム型を用いたバリ無成形の可否が本発明の生命線である。一次粒径およびスプレードライアーにより形成される顆粒の粒径が重要である。図8に本発明の際に用いた全自動ラバーの外観を表した。最大プレス荷重は200MPaである。図9には成形されたベアリングボール素球が成形装置から勢いよく飛び出してくる様子が認められる。顆粒を成形する際には、PVAで代表される水溶性バインダーは全く使用していない。成形された素球の圧砕荷重は30MPaを示した。これらの一連の事象から一次粒径0.5μm以下で粒子相互がひき合う力(ファンデールワースルス力)が発生した事による現象であると思われる。
素球をハイス切削刃を用いて軽切削加工を行う。この後に行う焼結処理による収縮代+研磨加工代の直径に仕上げた。なお、ファンデールワースルス力の影響により成形用水溶性バインダーの事前分解処理が省略できた。
図5に示す最も適した本発明の焦点はゴム型成形プロセスによる一連の連続プロセスにある。一次粒径およびスプレードライアーにより形成される顆粒の粒径が重要である。実施例で詳細に説明説明した様に、一次粒径が特に重要である。一次粒径0.5μm以下で粒子相互がひき合う力(ファンデールワースルス力)が発生する。この発見が本発明の基本である。
次に全体工程のコストに大きく影響を与えるベータサイアロンの基本的な研削性については図2〜4で説明したので実施例では更にコストパーフォーマンスに効率的に効果のある素球の切削加工について触れたい。
表4に示す実施例を説明する。本特許はベアリングボールを安価に製造する為のものであり、コストパーフォマンスを高める数々のアクションを示している。
サンプルとしてA〜Dを用いた。サンプルA〜Cが実施例の一部であり、Dは比較材である。サンプルと用いたベータサイアロンは燃焼合成法で合成したものを用いた。サンプルA〜Cの結晶構造はXRDの反射強度からほぼ100%がZ=1に相当するベータサイアロンである事が確認されている。燃焼合成後に通常行われるているスラリーを製造し、ビーズミルを介して水中処理による一次粒子を製造する。一次粒子製造中に、従来のアルファ窒化ケイ素でみられる加水分解状況を比較する目的でサンプルDを加えている。
Figure 2017015204
1)最適な一次粒子径
定性的には細かければ細かい程製品強度が向上する事は公知ではある。しかし、ベターサイアロンならば水処理時間を長時間にして、0.5μm以下にすれば、破壊靭性値は最大にできる。しかし実用的には1μm以下が最適である。アルファ窒化ケイ素を10重量%を添加比較材Dでは成形加工性が極端に低下しているので注意を要する。ここでもアルファ窒化ケイ素の加水分解による劣化が素球の
強度に影響している様子が認められる。
2)成形加工性
本実施例では、ラバープレス後の成形状況を詳細観察した。図8〜9に写真で状況を示している。実施例A〜Cはラバープレスの圧縮率50%では成形加工後に十分な形状を維持している。ラバープレス後に、成形製品は極めて型離れが良好であった。なお、本実施例には全て水溶性バインダー(PVA)は添加していないが、型離れ後に何らの破壊は出ていない極めて価値ある結果が得られている。
3)成形加工後の切削加工
焼結後の研削または研磨加工時間を短縮する事がコストパーフォーマンに極めて重要である。成形加工後(焼結処理前)に切削加工を行い研磨代を最小化する事がポイントである。その目的で、成形加工後のサンプルに切削工具としてハイスチップを用いた真球形状への切削加工を行った。その結果A〜C共に何らの問題なしにハイス切削加工が可能であった。焼結後の収縮代20%を見込んだ
切削加工を行う事により最小の研磨代に抑える事が出来るのでベータサイアロンベアリングボールが製造可能である。
4)この事実はあらゆる構造用用途に適用できる。
5)実施例に記載はしていないが、焼結処理前の状態での露点管理が焼結時の割れを防ぐ重要技術となる。
図5に示す最も適した本発明の焦点はゴム型成形プロセスによる一連の連続プロセスにある。一次粒径およびスプレードライアーにより形成される顆粒の粒径が重要である。実施例で詳細に説明説明した様に、一次粒径が特に重要である。一次粒径0.5μm以下で粒子相互がひき合う力(ファンデールワースルス力)が発生した事による効果とした図9の様に極めて良好な素球が得られている。この素球はこの後のハイスによる切削加工に強度的に十分に耐える事が出来た。この発見が本発明のコストパーフォーマンス向上の基本になっている。
可能な限り研削・研磨加工を最小限にするには、焼結処理での収縮量が一定している事が必須である。焼結処理として窒素雰囲気で行う1750℃のHIP処理によった。その結果を表5に示した。
Figure 2017015204
ベータサイアロンが焼結の際に、収縮量が安定して得られ数μm程度の研磨加工で所定の寸法に収まる事を示唆している。この様に所定の焼結処理で安定した収縮が得られかつ焼結処理後の機械的特性の得られている理由は図10−12に示す様にベータサイアロンは固相拡散焼結により強化する為であると考えられる本発明に於ける重要な提案である。
ベアリングボールの業界は小はボールペン用ボールから始まり大は風力発電機の回転翼用までと形状的には多義を極めている。その大凡の金額レベルは数兆円に達していると見られている。そして大半は鉄鋼製である。セラミック製のベアリングボールの主体は窒化ケイ素製のベアリングボールであるが量は微々たるものである。その理由は云うまでもなくコストである。本特許はコスト構成の悪循環を打破してセラミック製のベアリングボールを普及させる事を狙ったものである。
特に電動自動車が増加の傾向にある。特にハブ構造で構成される回転体では鉄損と云う形で電力が発熱として大量に消耗される。その対策としてのセラミックスベアリングボールの活用を大いに進めていきたいものである。
A:ラバープレスに挿入するベータサイアロン顆粒の自動秤量装置。所定量をここで秤量する。
B:成形用ラバー型
C:自動制御されたロボットアーム
D:ラバープレスされた素球完成品。飛び出し中の素球完成品
E:TEM像のトリプルポインの位置

Claims (4)

  1. 原料としてアルファおよびベータ窒化ケイ素を全く含有せず、平均粒径が0.5μm以下の一次粒子で構成されかつ平均粒径が50〜150μmの二次粒子で構成された顆粒であり、かつ水成分が露点換算で常圧で0℃以下である結晶構造がベータサイアロンの表記顆粒をゴム型をもちいたプレス成形加工工程でボール形状に該プレス加工された素球をグリーン状態の素球状態で主として切削工程加工により、該後工程の後で行う焼結工程による収縮代+10%の直径での切削工程代を付与した切削による素球加工を経由して焼結後に前記の研磨代を研削および/または研磨により所望の仕上げ、研磨後にL10寿命が107以上を有するベアリングボールを製造する一連のベアリングボール製造プロセスおよび該工程で製造されたベアリングボール。
  2. 請求項1のプロセスにおける成形において、スラリー製造工程中にPVAで代表される成形用バインダーおよび分散剤を用いない事およびその後工程でバインダー飛散工程を用いない事を特徴とする一連のベアリングボール製造プロセスおよび該工程で製造されたベアリングボール。
  3. 請求項1および2に於いて、焼結処理は固相拡散焼結である事を特徴とする一連のベアリングボール製造プロセスおよび該工程で製造されたベアリングボール。
  4. 請求項1〜3に於いて、焼結処理後に行う研磨加工代を径で10μm以下である事を特徴とする研磨加工によって5G同等もしくは該等級以上の表面精度を有するベアリングボールの製造方法およびその製品。
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