JP2017014451A - サイリウムシードガムの製造方法及びサイリウムシードガム - Google Patents

サイリウムシードガムの製造方法及びサイリウムシードガム Download PDF

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Abstract

【課題】サイリウム種皮及びその粉砕物の水溶性成分と不溶性成分とを容易に分離することができ、且つ、透明性に優れた精製サイリウムシードガムを容易に製造できる製造方法を提供する。
【解決手段】
(1)サイリウム種皮及びその粉砕物から選択される少なくとも1種、
(2)水、又は、水とアルコールとの混合溶媒、並びに、
(3)アルカリ性化合物
を含有する、溶液又は分散液を調製する工程1を有する、
ことを特徴とするサイリウムシードガムの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、サイリウムシードガムの製造方法及びサイリウムシードガムに関する。
従来、サイリウム種皮またはその粉砕物を温水や熱水で抽出して得られるサイリウムシードガムは、食物繊維の豊富な食品用素材として用いられている。近年、その整腸作用、血糖値抑制作用または血中脂質調整作用等が着目されており、厚生労働省から表示を許可された特定保健用食品の原材料として盛んに利用されている。
サイリウムシードガムは、一般に用いられている他の植物由来のガム、海藻由来のガム、微生物由来のガムに比べて、以下のような特徴がある。すなわち、糊液がゲル状を呈し、粘着性が少ない。また、糊液はチクソトロピックな流動性を示し、せん断力が増すにつれて粘度が低下する。当該糊液の溶液は20〜50℃では温度による粘度の変化が少なく、また、pH3〜10では粘度変化が小さい。このような特性を利用して、保健用食品、食品添加物、食物繊維素材等の食品用途に用いられ、また、化粧品、ペットフード添加剤等にも広く用いられている。
サイリウムシードガムの製造方法が提案されている(例えば、特許文献1〜5参照)。
特許文献1には、種子より剥離したサイリウムハスクを熱分散した後、ケーキろ過用濾過助剤を添加することなく30乃至150メッシュの網あるいは同等の目開きを有する濾布を用いて濾過して不溶解分を除去し、次いで濾液よりガム分を回収し乾燥、粉砕する精製サイリウムガムの製造方法が記載されている(請求項1参照)。
しかしながら、特許文献1に記載された製造方法では、高度に精製されたサイリウムシードガムを得るために細かい目開きの濾材を用いて濾過を行う場合、希薄な分散液で濾過しなければならず、また、濃度が高い分散液を用いた場合は、濾過に長時間を要するという問題がある。
また、特許文献2には、サイリウム種皮(ハスク)またはその粉砕物を、加水分解した後に、ケーキ濾過用濾過助剤を添加することなく目開き100μm未満の濾材により濾過する精製サイリウムシードガムの製造方法が記載されている(請求項1参照)。特許文献2には、加水分解反応の方法として、サイリウム種皮(ハスク)またはその粉砕物を溶媒に分散もしくは溶解し、これに酵素を作用させる方法(酵素法)、酸性条件下で加水分解する方法(酸加水分解法)または酵素法と酸加水分解法とを組み合わせた方法(酵素/酸加水分解法)等によって行うことが記載されている([0009]参照)。
しかしながら、特許文献2記載された方法では、目開き100μm未満の濾材を用いて濾過を行っているが、目開きを大きくすれば高度に精製された高粘度サイリウムシードガムが得られず、目開きを細かくすれば濾過時間が長くなるという問題がある。目開きを細かくし、且つ、濾過時間を短縮する場合、酸性条件下でサイリウム種皮を加水分解して低分子化し、溶液を低粘度化する必要があるため、低分子化されたサイリウムシードガムしか得られないという問題がある。
また、特許文献3には、サイリウム種皮(ハスク)、またはその粉砕物の溶液もしくは分散液を、酸化剤を用いて減粘処理した後に、濾過することを特徴とする精製サイリウムシードガムの製造方法が記載されている(請求項1参照)。
しかしながら、特許文献3に記載された方法では、低粘度化処理を行う際のサイリウム種皮または、その粉砕物の使用量は0.1質量部から2質量部しかなく、且つ、処理後のサイリウムシードガムを濾過するためにケーキ濾過用濾過助剤を添加あるいは添加しないで目開き100μm以下の濾材を用いて濾過しており、サイリウムシードガムの溶液濃度を下げて低粘度濾過する必要があり、サイリウムシードガムを低分子化して溶液を低粘度化する必要があるため、低分子化されたサイリウムシードガムしか得られないという問題があり、また、濾過に長時間を要するという問題がある。
また、特許文献4には、精製サイリウムシードガムの製造方法であって、サイリウム種皮(ハスク)またはその粉砕物を溶媒に分散または溶解し、pH3.5〜4.5、60〜100℃で酸によって加水分解する工程(A)および加水分解反応物をケーキ濾過する工程(B)を有する方法が記載されている(請求項2参照)。当該方法によれば、0.5質量%の濃度の水溶液の光線透過率(測定波長660nm、液厚10mm、温度25℃)が83%以上である、透明性を示す精製サイリウムシードガムを製造することができる(請求項1参照)。
更に、特許文献5には、サイリウムを水に分散溶解した液(A)と、水混和性有機溶剤(B)とを混合してサイリウムシードガムの沈殿を回収する際、前記液(A)と前記液(B)との混合液の温度を50℃以上沸点以下とするサイリウムシードガムの製造方法が記載されている(請求項1)。
しかしながら、特許文献4及び5に記載された方法では、サイリウムシードガムを水に溶解した溶液の粘度の低減について十分に検討されていない。これらの方法においては、サイリウムシードガムを加水分解して低分子化することにより低粘度化する必要があるため、低分子化したサイリウムシードガムしか製造できないという問題がある。
また、特許文献4に記載された方法では、遠心分離等の簡易な方法によりサイリウム種皮等の不溶成分を除去することができず、透明性が高い精製サイリウムシードガムを製造するためにケーキ濾過が必要である。このため、上述のようにサイリウムシードガムを加水分解して低分子化することにより低粘度化し、ケーキ濾過することが必要となる。ケーキ濾過を行わない場合、不溶性成分を除去することができず、得られた精製サイリウムシードガムの透明性が劣るという問題がある。
従って、サイリウム種皮及びその粉砕物の水溶性成分と不溶性成分とを容易に分離することができ、且つ、透明性に優れた精製サイリウムシードガムを容易に製造できる製造方法の開発が望まれている。
特開平1−197501号公報 特開2003−268003号公報 特開2004−346192号公報 特許第4095318号公報 特許第4530341号公報
本発明は、サイリウム種皮及びその粉砕物の水溶性成分と不溶性成分とを容易に分離することができ、且つ、透明性に優れた精製サイリウムシードガムを容易に製造できる製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、サイリウム種皮、又はその粉末状等の粉砕物に、水又は水とアルコールとの混合溶媒と、アルカリ性化合物とを加えてこれらの溶液又は分散液を調製すると、当該溶液又は分散液の粘度が著しく低下することを発見した。本発明は、この発見に基づいてなされたものである。
本発明者は上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、(1)サイリウム種皮及びその粉砕物から選択される少なくとも1種、(2)水、又は、水とアルコールとの混合溶媒、並びに、(3)アルカリ性化合物を含有する、溶液又は分散液を調製する工程1を有するサイリウムシードガムの製造方法によれば、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記のサイリウムシードガムの製造方法及びサイリウムシードガムに関する。
1.(1)サイリウム種皮及びその粉砕物から選択される少なくとも1種、
(2)水、又は、水とアルコールとの混合溶媒、並びに、
(3)アルカリ性化合物
を含有する、溶液又は分散液を調製する工程1を有する、
ことを特徴とするサイリウムシードガムの製造方法。
2.前記アルカリ性化合物は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、アンモニア及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種である、項1に記載の製造方法。
3.前記溶液又は分散液中の前記アルカリ性化合物の濃度は、前記溶液又は分散液を100質量%として、0.5〜10質量%である、項1又は2に記載の製造方法。
4.前記溶液又は分散液のpHは、10以上である、項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
5.前記溶液又は分散液は、更に酸を含有し、前記工程1は、
(1)サイリウム種皮及びその粉砕物から選択される少なくとも1種、並びに
(2)水、又は、水とアルコールとの混合溶媒
を混合し、更に酸を添加して混合液を調製する工程1−1、及び
前記混合液に、(3)アルカリ性化合物を添加して前記溶液又は分散液を調製する工程1−2
をこの順に有する、項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
6.前記工程1の後に、前記溶液又は分散液にアルコールを添加する工程2Aを有する、項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
7.前記工程1の後に、前記溶液又は分散液を冷却する工程2Bを有する、項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
8.項1〜7のいずれかに記載の製造方法により製造されたサイリウムシードガム。
本発明のサイリウムシードガムの製造方法は、アルカリ性化合物により、サイリウム種皮及びその粉砕物の水溶性成分と不溶性成分とが分離し易くなっており、遠心分離等の簡易な方法により容易に不溶性成分を除去することができる。このため、不溶性成分を除去するために、酸を用いた加水分解によりサイリウムシードガムの低分子化を行い溶液又は分散液の粘度を低減して濾過することが必要でなく、高分子量のサイリウムシードガムであっても容易に不溶性成分を除去することができ、且つ、透明性に優れた精製サイリウムシードガムを容易に製造することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
1.サイリウムシードガムの製造方法
本発明のサイリウムシードガムの製造方法は、
(1)サイリウム種皮及びその粉砕物から選択される少なくとも1種、
(2)水、又は、水とアルコールとの混合溶媒、並びに、
(3)アルカリ性化合物
を含有する、溶液又は分散液を調製する工程1を有する製造方法である。
(サイリウム種皮及びその粉砕物)
本発明に用いられるサイリウム種皮は、オオバコ科の植物プランタゴオバタの種子から得られる種皮であり、その主成分は多糖類である。本発明においては、サイリウム種皮は、粉砕物を用いてもよい。また、本発明においては、サイリウム種皮と、その粉砕物とを混合して用いてもよい。後述する水又は混合溶媒に溶解し易い点で、粉砕物を用いることが好ましい。
本発明で用いられるサイリウム種皮又はその粉砕物(以下、「サイリウム種皮等」とも示す。)は、サイリウム、サイリウムハスク、サイリウムシードガム、イサゴールとして市販されている。これらの市販品としては、ATLAS INDUSTRIES社(以下、単に「ATLAS社」とも示す。)製又はSARDA社製のサイリウムハスクパウダー等が挙げられる。
サイリウム種皮等の市販品のグレードは特に限定されないが、異物の混入が少ないものが好ましい。また、粉砕されていない種皮も用いることができるので、サイリウム種皮等の平均粒子径は特に限定されないが、市販されているサイリウム種皮の粉砕物としてはJIS標準フルイ210μm(目開き210μm)を95%以上篩過するグレードが好適に用いられる。サイリウム種皮の粉砕物の平均粒子径を上記範囲とすることで、後述する水又は混合溶媒に溶解し易くなり、効率良くサイリウムシードガムを製造することができる。
サイリウム種皮等の含有量は、溶液又は分散液(以下、「溶液等」とも示す。)を100質量部として、0.5〜12質量部が好ましく、1〜8質量部がより好ましく、2〜6質量部が更に好ましい。サイリウム種皮等の含有量を上述の範囲とすることにより、工程1により調製される溶液等の粘度が高くなり過ぎず、遠心分離等の操作を容易に行うことができ、且つ、溶液等の量が多くなり過ぎず、生産性に優れる。
(水、又は、水とアルコールとの混合溶媒)
本発明の製造方法では、水又は水とアルコールとの混合溶媒(以下、「水又は混合溶媒」とも示す。)が用いられる。混合溶媒に用いられるアルコールとしては特に限定されず、メタノール、エタノール、イソプロパノール等が挙げられる。これらの中でも、サイリウム種皮等の溶解性に優れる点で、メタノール又はエタノールが好ましい。
混合溶媒中の水とアルコールとの質量比は、100:0〜30:70が好ましい。混合溶媒中の水とアルコールとの質量比を上述の範囲とすることにより、溶液等の粘度の上昇が抑制され、サイリウム種皮及びその粉砕物の水溶性成分と不溶性成分とを、より容易に分離することができる。
本発明の製造方法において、溶液又は分散液中の水又は混合溶媒の濃度は、溶液等を100質量%として88〜99質量%が好ましく、92〜99質量%がより好ましい。水又は混合溶媒の濃度を上述の範囲とすることにより、溶液等の粘度の上昇が抑制され、遠心分離等の操作を容易に行うことができ、且つ、溶液等の量の増加が抑制され、生産性に優れる。
(アルカリ性化合物)
アルカリ性化合物としては特に限定されず、溶液等の粘度を低減できるものであればよい。上記アルカリ性化合物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、アンモニア及びこれらの塩等が挙げられる。アルカリ性化合物は、製造されるサイリウムシードガムの使用目的に応じたものを用いることが好ましい。例えば、サイリウムシードガムを食品用途に使用するのであれば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を好適に用いることができる。上記アルカリ性化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
溶液又は分散液中のアルカリ化合物の含有量は特に限定されず、溶液等を100質量%として、0.5〜10質量%が好ましく、0.5〜4.0質量%がより好ましい。アルカリ化合物の含有量を上述の範囲とすることにより、工程1の後工程において行われる遠心分離等の簡易な方法により、サイリウム種皮等の水溶性成分と不溶性成分との分離を容易に行うことができる。
溶液又は分散液中のアルカリ化合物の含有量は、より具体的には、用いるアルカリ性化合物が水酸化ナトリウムである場合は、アルカリ性化合物の好ましい添加量は、溶液又は分散液中のサイリウム種皮及びその粉砕物から選択される少なくとも1種の濃度が3質量%の場合には、溶液又は分散液100質量%に対して水酸化ナトリウムが0.5質量%以上、好ましくは1質量%以上になるように設定すればよい。
(溶液又は分散液の調製方法)
溶液等の調製方法としては特に限定されず、上記(1)サイリウム種皮及びその粉砕物から選択される少なくとも1種、(2)水、又は、水とアルコールとの混合溶媒、並びに、(3)アルカリ性化合物を、従来公知の方法により混合攪拌すればよい。
上記混合攪拌の際の溶液等の温度は、原料であるサイリウム種皮等の品質、溶液又は分散液中のサイリウム種皮等の濃度等を考慮して適宜設定すればよい。具体的には、上記温度は40℃以上が好ましく、より好ましくは50℃以上、更に好ましくは70℃以上である。また、上記温度の上限は、高圧反応機を用いて製造することもできるので、特に限定されないが、120℃以下であることが好ましい。上記範囲の温度とすることで、サイリウム種皮等の水溶性成分と不溶性成分とが分離し易くなり、且つ、溶液等を速やかに低粘度化することができ、低粘度化処理に要する時間を短縮して生産コストを低減することができる。
上記溶液等は、B型粘度計を用いて25℃、スピンドルNo.3、回転数30rpmの測定条件により測定される粘度が2000mPa・s以下であることが好ましく、1000mPa・s以下であることがより好ましい。溶液等の粘度が上述の範囲であることにより、後工程において遠心分離等を行う際に、高速回転や長時間の分離を行う必要がなく、生産コストを抑えることができる。
上記溶液等のpHは、10以上が好ましく、11以上がより好ましい。pHを上述の範囲とすることにより、サイリウムシードガムの低分子化を行わずに、サイリウム種皮等の水溶性成分と不溶性成分とを容易に分離することができる。
上記溶液等は、更に、酸を含有していてもよい。本発明において、酸は、サイリウム種皮等が含有するセルロース、ヘミセルロース等の不溶性多糖類と、水溶性多糖類とを分離し易くするために用いられる。従来公知の精製サイリウムシードガムの製造において、酸を用いて水溶性多糖類を加水分解して低分子化することにより、溶液等を低粘度化する方法とは相違する。
上記酸としては、サイリウム種皮等の水溶性成分と不溶性成分とを分離することができれば特に限定されないが、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、亜硫酸、亜硝酸等の無機酸性化合物;ギ酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、グリコール酸、フィチン酸等の有機酸が挙げられる。中でも、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、フィチン酸が好ましい。酸は、製造するサイリウムシードガムの使用目的に応じたものを用いることがより好ましい。たとえば、サイリウムシードガムを食品用途に使用するのであれば、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸等を用いればよい。これらの酸は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
溶液等が酸を含有する場合、上記工程1は、
(1)サイリウム種皮及びその粉砕物から選択される少なくとも1種、並びに
(2)水、又は、水とアルコールとの混合溶媒
を混合し、更に酸を添加して混合液を調製する工程1−1、及び
上記混合液に、(3)アルカリ性化合物を添加して上記溶液又は分散液を調製する工程1−2
をこの順に有することが好ましい。
(工程1−1)
上記工程1−1において用いられる(1)サイリウム種皮及びその粉砕物から選択される少なくとも1種、並びに(2)水、又は、水とアルコールとの混合溶媒は、上述のものを用いることができる。また、酸も、上述のものを用いることができる。
上記混合液の調製方法としては特に限定されず、上記(1)サイリウム種皮及びその粉砕物から選択される少なくとも1種、並びに(2)水、又は、水とアルコールとの混合溶媒を混合し、酸を添加して、従来公知の方法により混合攪拌すればよい。
上記混合攪拌の際の混合液の温度は、原料であるサイリウムシード種皮等の品質、溶液又は分散液中のサイリウム種皮等の濃度等を考慮して適宜設定すればよい。具体的には、上記温度は40℃以上が好ましく、より好ましくは50℃以上、更に好ましくは70℃以上である。また、上記温度の上限は、高圧反応機を用いて製造することもできるので、特に限定されないが、120℃以下であることが好ましい。上記範囲の温度とすることで、サイリウム種皮等の水溶性成分と不溶性成分とが分離し易くなる。
混合液中の酸の含有量は特に限定されず、混合液を100質量%として、2質量%以下が好ましく、0.2〜0.8質量%がより好ましい。酸の含有量を上述の範囲とすることにより、工程1の後工程において行われる遠心分離等の方法による、サイリウム種皮及びその粉砕物の水溶性成分と不溶性成分との分離を容易に行うことができる。
上記混合液のpHは、1〜4が好ましく、2〜3がより好ましい。pHを上述の範囲とすることにより、サイリウム種皮等の水溶性成分と不溶性成分とを容易に分離することができる。
(工程1−2)
工程1−2は、工程1−1により調製された上記混合液に、(3)アルカリ性化合物を添加して溶液又は分散液を調製する工程である。アルカリ性化合物は、上述のものを上述した添加量等により添加すればよい。
(遠心分離工程)
本発明の製造方法は、上記工程1の後に、遠心分離を行う遠心分離工程を有していてもよい。遠心分離工程を有することにより、工程1により調製された溶液等に含まれる、サイリウム種皮等の水溶性成分と不溶性成分とを、より容易に分離することができる。
遠心分離工程では、工程1により調製された溶液等を従来公知の遠心分離機により分離し、上澄み液を採取して、これを溶液等として用い、サイリウムシードガムを調製すればよい。
遠心分離工程における遠心分離の条件としては特に限定されず、溶液又は分散液の粘度に応じて適宜設定すればよく、1000〜5000rpm、1〜5分程度が好ましい。である。なお、上記遠心分離の条件は、日立製作所製himac SCR 20Bを用いて遠心分離を行う際の条件である。
工程1により調製された溶液等からサイリウムシードガムを得る方法としては特に限定されず、例えば、スプレードライ法、ドラムドライヤー法、アルコール沈澱法等の公知の方法を用いることができる。精製度が高いサイリウムシードガムを得ることができる点で、アルコール沈澱法が好ましい。アルコール沈殿法としては、より具体的には、後述する工程2A及び2Bの方法が挙げられる。
工程1により調製された溶液等から、アルコール沈殿法によりサイリウムシードガムを得る場合、例えば、上記遠心分離工程により得られた上澄み液を採取し、当該上澄み液にアルコールを添加してサイリウムシードガムの沈殿物を得る方法によればよい。また、上澄み液のpHを、酸を添加して中性に調整し、pHを6〜8とすることにより、サイリウムシードガムの沈澱物の生成を効果的に行うことができる。これにより、沈澱物生成に必要なアルコールの使用量を低減することができる。上記酸としては、上記工程1で用いられる酸と同一のものを用いることができる。
(工程2A)
本発明の製造方法は、上記工程1の後に、更に、上記溶液等にアルコールを添加する工程2Aを有していてもよい。上記工程1の後に、工程2Aを行うことにより、溶液又は分散液中にサイリウムシードガムを析出させることができる。工程2Aは、工程1において、溶媒として水、又は、アルコールが低濃度である水とアルコールとの混合溶媒を用いる場合に有効である。すなわち、工程2Aは、工程1において溶媒として、水、又は、水とアルコールとの混合溶媒を用い、上記混合溶媒中のアルコールの含有量は、混合溶媒を100質量%として30質量%以下である場合に有効である。
工程2Aにおいて用いられるアルコールは、水と相溶性のあるアルコールであれば特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。工程2Aにおいて用いられるアルコールとしては、本発明の製造方法によって製造されるサイリウムシードガムの用途に応じたものをて適宜選定すればよい。例えば、食品、食品添加物、化粧品、医薬部外品等の用途に使用する場合には、エタノールを用いる等、その用途に適したアルコールを用いることが好ましい。
工程2Aにおいて、アルコール添加後の溶液又は分散液中のアルコールの含有量は、アルコール添加後の溶液等を100質量%として、40〜70質量%が好ましく、50〜60質量%がより好ましい。工程2Aにおけるアルコール添加後の溶液又は分散液中のアルコールの含有量を上述の範囲とすることにより、溶液等にサイリウムシードガムをより効率よく析出させることができる。
工程2Aにおける溶液等の温度は、20〜60℃が好ましく、20〜30℃がより好ましい。溶液等の温度を上記範囲とすることにより、溶液又は分散液中にサイリウムシードガムをより効率よく析出させることができる。
本発明の製造方法は、上記工程2Aの後に、更に、溶液又は分散液を冷却する冷却工程を有していてもよい。冷却工程を有する構成とすることで、溶液又は分散液中にサイリウムシードガムをより効率よく析出させることができる。冷却工程では、溶液等の冷却後の温度は、−5〜20℃が好ましく、5〜20℃がより好ましい。
(工程2B)
本発明の製造方法は、上記工程1の後に、更に、上記溶液又は分散液を冷却する工程2Bを有していてもよい。上記工程1の後に、工程2Bを行うことにより、溶液又は分散液中にサイリウムシードガムを析出させることができる。
工程2Aは、工程1において、溶媒としてアルコールが高濃度である水とアルコールとの混合溶媒を用いる場合に有効である。すなわち、工程2Bは、工程1において溶媒として、水とアルコールとの混合溶媒を用い、上記混合溶媒中のアルコールの含有量は、混合溶媒を100質量%として30質量%を超える場合に有効である。上記混合溶媒中のアルコールの含有量の好ましい下限は40質量%である。また、上記混合溶媒100質量%中のアルコール含有量の好ましい上限は70質量%であり、より好ましい上限は55質量%であり、更に好ましい上限は50質量%である。上記混合溶媒中のアルコールの含有量を上記範囲とすることにより、溶液等の粘度の上昇が抑制されて、遠心分離等の簡易な方法により、サイリウム種皮及びその粉砕物の水溶性成分と不溶性成分とを容易に分離することができ、且つ、溶液又は分散液中にサイリウムシードガムをより効率よく析出させることができる。
工程2Bにおいて、溶液等の冷却後の温度は、−5〜20℃が好ましく、5〜20℃がより好ましい。
(洗浄工程)
本発明の製造方法は、上記工程2A又は2Bの後に、更に、洗浄工程を有していてもよい。上記工程2A又は2Bの後に洗浄工程を行うことにより、サイリウムシードガムに付着した不溶性成分等を除去することができ、より純度の高いサイリウムシードガムを調製することができる。洗浄工程は、上記工程2A又は2Bにより溶液又は分散液中に析出したサイリウムシードガムの沈殿を、例えば、濾紙を用いた吸引濾過等の従来公知の方法により濾別して濾過残渣として得た後、当該濾過残渣をアルコール等の揮発性を有する溶剤を添加して洗浄し、再度濾紙により濾別して、濾過残渣を得ることにより行うことができる。
上記洗浄工程で用いられる溶剤としては、揮発性を有していれば特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコールが挙げられ、揮発性に優れる点で、メタノール又はエタノールを用いることが好ましい。
上記濾過残渣は、洗浄後に乾燥されることが好ましい。乾燥を行うことにより、濾過残渣から、洗浄工程において添加した溶剤を除去することができ、より純度の高いサイリウムシードガムを調製することができる。乾燥温度としては特に限定されないが、40〜120℃程度である。上記乾燥された濾過残渣を粉砕、分級して、所望の用途に適したサイリウムシードガムを製造することができる。
2.サイリウムシードガム
本発明は、また、上記製造方法により製造されたサイリウムシードガムでもある。上記サイリウムシードガムは、上記製造方法により製造されるので、酸により低分子化する必要がなく、高分子量のサイリウムシードガムであってもよいので、様々な用途に用いることができる。
上記サイリウムシードガムの用途しては特に限定されないが、例えば、食品、食品添加物、化粧品、医薬部外品、ペットフード添加剤、工業用糊剤等に用いることができる。
上記サイリウムシードガムは、1%水溶液のB型粘度度計、25℃の条件で測定された粘度が、6〜5000mPa・sであることが好ましく、100〜4000mPa・sであることがより好ましい。
上記サイリウムシードガムの1%の糊液の、測定波長440nm、光路長10mm、25℃の条件で測定した透過率は、30%以上が好ましく、50%以上がより好ましい。上記糊液の透過率が上述の範囲であることにより、サイリウムシードガムが透明性に優れる。
上記サイリウムシードガムの平均粒子径は、840μm以下が好ましく、5〜500μmがより好ましい。サイリウムシードガムの平均粒子径を上記範囲とすることで、サイリウムシードガムを食品、食品添加物、化粧品、医薬部外品、ペットフード添加剤、工業用糊剤等の様々な分野に適した製品とすることができる。
以下に実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
なお、以下の実施例及び比較例において、透過率は日立製作所製U2000ダブルビーム分光光度計を用いて下記の条件により測定を行った。また、遠心分離は、遠心分離機 日立製作所製himac SCR20B(商品名)を用いて下記の条件により行った。
(実施例1−1)
482.5gの水にカセイソーダ2.5gを添加し、撹拌しながらサイリウム種皮パウダー(ATLAS社製)15gを加え、浴温95℃で30分間撹拌して溶解させ、溶液を調製した。この溶液のpHは11.4であった。また、この溶液の粘度は120mPa・s(B型粘度度計、65℃、No.3、30rpm)であった。この溶液を用いて、遠心分離機により5000回転、30分間の条件で遠心分離を行った。上澄み溶液を採取して粘度を測定したところ、198mPa.s(B型粘度度計、65℃、No.3、30rpm)であった。
上述のようにして調製された上澄み溶液にクエン酸を添加して、中和してpHを7.2とした。
次いで、中和された上澄み溶液を400gのメタノール中に添加して沈殿物を得た。この沈殿物を、No.2の濾紙を用いて吸引濾別した後、濾過残渣に200gのメタノールを加えて洗浄し、再びNo.2の濾紙で吸引濾別して濾過残渣を得た。当該濾過残渣をバットに広げて50℃で乾燥させ、万能粉砕機で粉砕して10.5gの精製サイリウムシードガムの粉末を調製した。
調製した精製サイリウムシードガム粉末の物性を測定したところ、当該精製サイリウムシードガム粉末を再度水に溶解させて調製した1%水溶液の粘度は2904mPa・s(B型粘度度計、25℃、No.3、30rpm)であり、この1%水溶液の透過率は71%(測定波長440nm、光路長10mm、25℃)であった。
(実施例1−2)
482.5gの水に80%硫酸2gを添加し、撹拌しながらサイリウム種皮パウダー(ATLAS社製)15gを加え、浴温95℃で30分間撹拌して溶解させて、混合液を調製した。この混合液のpHは2.6であった。
次いで、カセイソーダ4gを加えて30分間撹拌し、溶液を調製した。この溶液のpHは12.1であった。また、この溶液の粘度は6mPa.s(B型粘度計、65℃、No.3、30rpm)であった。この溶液を用いて、遠心分離機により5000回転、30分間の条件で遠心分離を行った。上澄み溶液を採取して粘度を測定したところ、9mPa・s(B型粘度度計、25℃、No.3、30rpm) であった。
上述のようにして調製された上澄み溶液にクエン酸を添加して、pH7.0にして中和した。
次いで、200gのエタノールを添加して沈殿物を得た。この沈澱物をNo.2の濾紙を用いて吸引濾別した後、濾過残渣に200gのエタノールを加えて洗浄し、再びNo.2の濾紙を用いて吸引濾別して濾過残渣を得た。濾過残渣をバットに広げて50℃で乾燥させ、万能粉砕機で粉砕して9gの精製サイリウムシードガムの粉末を調製した。
調製した精製サイリウムシードガム粉末の物性を測定したところ、当該精製サイリウムシードガム粉末を再度水に溶解させて調製した1%水溶液の粘度は10mPa・s(B型粘度計、25℃、No.3、30rpm)であり、この1%水溶液の透過率は90%(測定波長440nm、光路長10mm、25℃)であった。
(実施例1−3)
484.5gの水に80%硫酸0.5gを添加し、撹拌しながらサイリウム種皮パウダー(ATLAS社製)15gを加えて浴温95℃で60分間撹拌して溶解させて、混合液を調製した。この混合液のpHは3.0であった。
次いで、カセイソーダ4gを加えて15分間撹拌し、溶液を調製した。この溶液のpHは11.9であった。また、この溶液の粘度は22mPa.s(B型粘度計、65℃、No.3、30rpm)であった。この溶液を用いて、遠心分離機を用いて3000回転、10分間の条件で遠心分離を行った。上澄み溶液を採取して粘度を測定したところ、70mPa.S(B型粘度計、25℃、No.3、30rpm)であった。
上述のようにして調製された上澄み溶液にクエン酸を添加して、中和してpHを6.8とした。
次いで、400gのエタノールを添加して沈殿物を得た。この沈殿物をNo.2の濾紙を用いて吸引濾別した後、濾過残渣に200gのエタノールを加えて洗浄し、再びNo.2の濾紙を用いて吸引濾別して濾過残渣を得た。濾過残渣をバットに広げて50℃で乾燥させ、万能粉砕機で粉砕して10gの精製サイリウムシードガムの粉末を調製した。
調製した精製サイリウムシードガムの物性を測定したところ、当該精製サイリウムシードガム粉末を再度水に溶解させて調製した1%水溶液の粘度は2562mPa.s(B型粘度計、25℃、No.3、30rpm)であり、この1%水溶液の透過率は89%(測定波長440nm、光路長10mm、25℃)であった。
(実施例1−4)
484gの水に36%塩酸1gを添加し、撹拌しながらサイリウム種皮(ATLAS社製)15gを加えて浴温90℃で60分間撹拌して溶解させて、混合液を調製した。この混合液のpHは2.8であった。
次いで、カセイソーダ4gを加えて20分間撹拌し、溶液を調製した。この溶液のpHは11.5であった。また、この溶液の粘度は10mPa.s(B型粘度計、65℃、No.3、30rpm)であった。この溶液を用いて、遠心分離機により3000回転、10分間の条件で遠心分離を行った。上澄み溶液を採取して粘度を測定したところ、180mPa.S(B型粘度計、25℃、No.3、30rpm)であった。
上述のようにして調製された上澄み溶液にクエン酸を添加して、中和してpHを7.1とした。
次いで、400gのイソプロパノールを添加して沈殿物を得た。この沈澱物をNo.2の濾紙を用いて吸引ろ別した後、濾過残渣に200gのイソプロパノールを加えて洗浄し、再びNo.2の濾紙を用いて吸引濾別して濾過残渣を得た。濾過残渣をバットに広げて50℃で乾燥させ、万能粉砕機で粉砕して7gの精製サイリウムシードガムの粉末を調製した。
調製した精製サイリウムシードガムの物性を測定したところ、当該精製サイリウムシードガム粉末を再度水に溶解させて調製した1%水溶液の粘度は2884mPa.s(B型粘度計、25℃、No.3、30rpm)であり、この1%水溶液の透過率は82%(測定波長440nm、光路長10mm、25℃)であった。
(実施例1−5)
482.5gの20%メタノール水溶液に80%硫酸2gを添加し、撹拌しながらサイリウム種皮パウダー(ATLAS社製)20gを加え、浴温80℃で60分間撹拌して溶解させて、混合液を調製した。この混合液のpHは2.6であった。
次いで、カセイソーダ4gを加えて30分間撹拌し、溶液を調製した。この溶液のpHは12.0であった。また、この溶液の粘度は10mPa.s(B型粘度計、65℃、No.3、30rpm)であった。この溶液を用いて、遠心分離機により3000回転、10分間の条件で遠心分離を行った。上澄み溶液を採取して粘度を測定したところ、18mPa・s(B型粘度計、25℃、No.3、30rpm)であった。
上述のようにして調製された上澄み溶液にクエン酸を添加して、中和してpHを6.8とした。
次いで、200gのメタノールを添加して沈殿物を得た。この沈澱物をNo.2の濾紙を用いて吸引濾別した後、濾過残渣に200gのメタノールを加えて洗浄し、再びNo.2の濾紙を用いて吸引濾別して濾過残渣を得た。濾過残渣をバットに広げて50℃で乾燥させ、万能粉砕機で粉砕して11gの精製サイリウムシードガムの粉末を調製した。
調製した精製サイリウムシードガム粉末の物性を測定したところ、当該精製サイリウムシードガム粉末を再度水に溶解させて調製した1%水溶液の粘度は820mPa・s(B型粘度計、25℃、No.3、30rpm)であり、この1%水溶液の透過率は89%(測定波長440nm、光路長10mm、25℃)であった。
(比較例1−1)
495gの水に撹拌しながらサイリウム種皮パウダー(ATLAS社製)5gを加え、浴温85℃で1時間撹拌して溶解させ、混合液を調製した。この混合液の粘度は40mPa.s(B型粘度計、67℃、No.3、30rpm)であった。この混合液を用いて、遠心分離機により5000回転、30分間の条件で遠心分離を行った。上澄み溶液を採取して粘度を測定したところ、96mPa.s(B型粘度度計、25℃、No.3、30rpm)であった。
次いで、400gのエタノールを添加して沈殿物を得た。この沈殿物を、No.2濾紙を用いて吸引濾別した後、濾過残渣に200gのエタノールを加えて洗浄し、再びNo.2の濾紙で吸引濾別して濾過残渣を得た。当該濾過残渣をバットに広げて50℃で乾燥させ、万能粉砕機で粉砕して10gの精製サイリウムシードガムの粉末を調製した。
調製した精製サイリウムシードガム粉末の物性を測定したところ、当該精製サイリウムシードガム粉末を再度水に溶解させて調製した1%水溶液の粘度は1662mPa.s(B型粘度計、25℃、No.3、30rpm)であり、この1%水溶液の透過率は18.7%(測定波長440nm、光路長10mm、25℃)であった。
(実施例2−1)
45%メタノール水溶液784gに80%硫酸3.2gを添加し、撹拌しながらサイリウム種皮パウダー(ATLAS社製)48gを加え、浴温80℃で2時間撹拌して溶解させて、混合液を調製した。次いで、カセイソーダ17gを加えて20分間撹拌し、溶液を調製した。この溶液のpHは12.5であった。また、この溶液の粘度は51mPa・s(B型粘度度計、65℃、No.3、30rpm)であった。
この溶液を用いて、遠心分離機により3000回転、2分間の条件で遠心分離を行った。上澄み溶液を採取し、冷却しながら攪拌して沈殿物を得た。液温を9℃まで冷却した後に、再び遠心分離機を用いて3000回転、2分間の条件で遠心分離を行った。沈澱物を採取し、50%メタノール150gを加えて撹拌洗浄し、No.2の濾紙を用いて吸引濾別して濾過残渣を得た。上述の、メタノールを加えて攪拌洗浄して濾過残渣を得る工程を3回繰り返した後に、濾過残渣にクエン酸を添加して中和してpHを7.1とし、No.2の濾紙を用いて吸引濾別して沈殿物を得た。得られた沈殿物を40℃で乾燥させ、27gの精製サイリウムシードガムの粉末を調製した。
調製した精製サイリウムシードガム粉末の物性を測定したところ、当該精製サイリウムシードガム粉末を再度水に溶解させて調製した1%水溶液の粘度は252mPa・s(B型粘度度計、25℃、No.3、30rpm)であり、この1%水溶液の透過度は93.2%(測定波長440nm、光路長10mm、25℃)であった。
(実施例2−2)
50%メタノール水溶液392gに80%硫酸1.2gを添加し、撹拌しながらサイリウム種皮パウダー(SARDA社製)12gを加え、浴温80℃で1時間撹拌して溶解させて、混合液を調製した。次いで、カセイソーダ9gを加えて20分間撹拌し、溶液を調製した。この溶液のpHは12.2であった。また、この溶液の粘度は33mPa・s(B型粘度度計、65℃、No.3、30rpm)であった。
この溶液を用いて、遠心分離機(日立製作所製himac SCR20B(商品名))により3000回転、2分間の条件で遠心分離を行った。上澄み溶液を採取し、冷却しながら撹拌して沈殿物を得た。液温を6℃まで冷却した後に、再び遠心分離機を用いて3000回転、2分間の条件で遠心分離を行った。沈澱物を採取し、50%メタノール150gを加えて撹拌洗浄し、No.2の濾紙を用いて吸引濾別して濾過残渣を得た。上記メタノールを加えて攪拌洗浄し、濾過残渣を得る工程を3回繰り返した後に、濾過残渣にクエン酸を添加して中和してpHを7.0とし、No.2の濾紙を用いて吸引濾別して沈殿物を得た。得られた沈殿物を40℃で乾燥させ、7gの精製サイリウムシードガムの粉末を調製した。
調製した精製サイリウムシードガム粉末の物性を測定したところ、当該精製サイリウムシードガム粉末を再度水に溶解させて調製した1%水溶液の粘度は3567mPa・s(B型粘度度計、25℃、No.3、30rpm)であり、この1%水溶液の透過度は80.2%(測定波長440nm、光路長10mm、25℃)であった。
(実施例2−3)
43%メタノール水溶液392gに80%硫酸1.6gを添加し、撹拌しながらサイリウム種子パウダー(SARDA社製)20gを加えて、浴温80℃で1時間撹拌して溶解させて、混合液を調製した。次いで、カセイソーダ9gを加えて20分間撹拌し、溶液を調製した。この溶液のpHは12.0であった。また、この溶液の粘度は41mPa・s(B型粘度度計、65℃、No.3、30rpm)であった。
この溶液を用いて、遠心分離機により3000回転、2分間の条件で遠心分離を行った。上澄み溶液を採取し冷却しながら撹拌して沈殿物を得た。液温を6℃まで冷却した後に、再び遠心分離機を用いて、3000rpm、2分間の条件で遠心分離を行った。沈殿物を採取し、50%メタノール150gを加えて攪拌洗浄し、濾過残渣を得る工程を3回繰り返した後に、濾過残渣にクエン酸を添加して中和してpHを6.9とし、No.2の濾紙を用いて吸引濾別して沈殿物を得た。得られた沈殿物を40℃で乾燥させ、8gの精製サイリウムシードガムの粉末を調製した。
調製した精製サイリウムシードガムの物性を測定したところ、当該精製サイリウムシードガム粉末を再度水に溶解させて調製した1%水溶液の粘度は253mPa・s(B型粘度度計、25℃、No.3、30rpm)であり、この1%水溶液の透過率は92.7%(測定波長440nm、光路長10mm、25℃)であった。
(実施例2−4)
45%メタノール水溶液784gに36%塩酸5gを添加し、撹拌しながらサイリウム種子パウダー(ATLAS社製)48gを加え、浴温70℃で3時間撹拌して溶解させて、混合液を調製した。次いで、カセイソーダ16gを加えて20分間撹拌し、溶液を調製した。この溶液のpHは12.6であった。また、この溶液の粘度は54mPa・s(B型粘度度計、65℃、No.3、30rpm)であった。
この溶液を用いて、遠心分離機により3000回転、2分間の条件で遠心分離を行った。上澄み溶液を採取し、冷却しながら撹拌して沈殿物を得た。液温を6℃まで冷却した後に、再び遠心分離機を用いて3000回転、2分間の条件で遠心分離を行った。沈殿物を採取し、50%メタノール150gを加えて撹拌洗浄した後にNo.2の濾紙を用いて吸引濾別して濾過残渣を得た。上記メタノールを加えて攪拌洗浄し、濾過残渣を得る工程を3回繰り返した後に、濾過残渣にクエン酸を添加して中和してpHを6.8とし、No.2の濾紙を用いて吸引濾別して沈殿物を得た。得られた沈殿物を40℃で乾燥させ、26gの精製サイリウムシードガムの粉末を調製した。
調製した精製サイリウムシードガム粉末の物性を測定したところ、当該精製サイリウムシードガム粉末を再度水に溶解させて調製した1%水溶液の粘度は122mPa・s(B型粘度度計、25℃、No.3、30rpm)であり、この1%水溶液の透過度は90.2%(測定波長440nm、光路長10mm、25℃)であった。
(実施例2−5)
45%エタノール水溶液392gと36%塩酸2.4gとの混合溶媒に、サイリウム種皮(SARDA社製)20gを加え、浴温80℃で1時間撹拌して溶解させて、混合液を調製した。この混合液のpHは2.6であった。
次いで、カセイソーダ8gを加えて20分間撹拌し、溶液を調製した。この溶液のpHは12.0であった。また、この溶液の粘度は41mPa.s(B型粘度計、65℃、No.3、30rpm)であった。この溶液を用いて、遠心分離機により3000回転、2分間の条件で遠心分離を行った。上澄み溶液を採取し、冷却しながら撹拌して沈殿物を得た。液温を4℃まで冷却した後に、再び遠心分離機を用いて3000回転、2分間の条件で遠心分離を行った。沈殿物を採取し、50%エタノール150gを加えて撹拌洗浄し、No.2の濾紙を用いて吸引濾別して濾過残渣を得た。上記エタノールを加えて攪拌洗浄し、濾過残渣を得る工程を3回繰り返した後に、濾過残渣にクエン酸を添加して中和してpHを7.0とし、No.2の濾紙を用いて吸引濾別して沈殿物を得た。得られた沈殿物を40℃で乾燥させ、8gの精製サイリウムシードガムの粉末を調製した。
調製した精製サイリウムシードガムの物性を測定したところ、当該精製サイリウムシードガム粉末を再度水に溶解させて調製した1%水溶液の粘度は950mPa・s(B型粘度度計、25℃、No.3、30rpm)であり、この1%水溶液の透過度は84.7%(測定波長440nm、光路長10mm、25℃)であった。
(比較例2−1)
45%メタノール水溶液298.5gにサイリウム種皮パウダー(SARDA社製)1.5gを添加し、浴温80℃で1時間撹拌して溶解させ、混合液を調製した。この粘度は15mPa.s(B型粘度計、66℃、No.3、30rpm)であった。この混合液を用いて、遠心分離機により3000回転、2分間の条件で遠心分離を行った。上澄み溶液を採取し、冷却しながら攪拌して沈殿物を得た。液温を3℃まで冷却した後に、再び遠心分離機を用いて3000回転、2分間の条件で遠心分離を行った。沈殿物を採取し、50%エタノール150gを加えて撹拌洗浄し、No.2の濾紙を用いて吸引濾別して濾過残渣を得た。上記エタノールを加えて攪拌洗浄し、濾過残渣を得る工程を3回繰り返した後に、No.2の濾紙を用いて吸引濾別して沈殿物を得た。得られた沈殿物を40℃で乾燥させ、0.5gの精製サイリウムシードガムの粉末を調製した。
調製した精製サイリウムシードガム粉末の物性を測定したところ、当該精製サイリウムシードガム粉末を再度水に溶解させて調製した1%水溶液の粘度は2003mPa・s(B型粘度度計、25℃、No.3、30rpm)であり、この1%水溶液の透過度は27.1%(測定波長440nm、光路長10mm、25℃)であった。

Claims (8)

  1. (1)サイリウム種皮及びその粉砕物から選択される少なくとも1種、
    (2)水、又は、水とアルコールとの混合溶媒、並びに、
    (3)アルカリ性化合物
    を含有する、溶液又は分散液を調製する工程1を有する、
    ことを特徴とするサイリウムシードガムの製造方法。
  2. 前記アルカリ性化合物は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、アンモニア及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記溶液又は分散液中の前記アルカリ性化合物の濃度は、前記溶液又は分散液を100質量%として、0.5〜10質量%である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記溶液又は分散液のpHは、10以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 前記溶液又は分散液は、更に酸を含有し、前記工程1は、
    (1)サイリウム種皮及びその粉砕物から選択される少なくとも1種、並びに
    (2)水、又は、水とアルコールとの混合溶媒
    を混合し、更に酸を添加して混合液を調製する工程1−1、及び
    前記混合液に、(3)アルカリ性化合物を添加して前記溶液又は分散液を調製する工程1−2
    をこの順に有する、請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 前記工程1の後に、前記溶液又は分散液にアルコールを添加する工程2Aを有する、請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 前記工程1の後に、前記溶液又は分散液を冷却する工程2Bを有する、請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法により製造されたサイリウムシードガム。
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