JP2017014211A - 固形状組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】胃の中での泡の持続性に優れ、且つ風味の良好な固形状組成物の提供。【解決手段】次の成分(A)、(B)及び(C):(A)HLBが12以上の可食性界面活性剤 3〜60質量%、(B)炭酸塩 5〜27質量%、(C)有機酸 5〜27質量%を含有し、成分(C)/成分(B)の中和度が1.25〜7であり、且つ成分(A)の含有量に対する成分(B)と成分(C)の合計含有量の比(含有質量比)[{(B)+(C)}/(A)]が0.6〜10である固形状組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、発泡成分を含有する固形状組成物に関する。
炭酸塩と有機酸の中和反応により炭酸ガスが発生する仕組みを利用した固形状の製品が数多く上市されている。その一つに、発泡錠や発泡顆粒等の経口固形製剤、錠菓等の菓子類がある(例えば、特許文献1、2)。これらは、携帯性や保存性に優れるだけでなく、経口摂取すると口内の唾液や水との接触により発泡し、速やかな崩壊性・溶解性や独特の清涼感が得られることから人気が高まっている。
一方、経口摂取時に口内で発泡させるのではなく、消化管画像診断用の消化管膨張剤のような、経口摂取後に胃等の消化管内で炭酸ガスを発生させる経口固形製剤も知られている。消化管膨張剤は、造影の妨げとならないように、胃の中で発泡した直後に消泡するように作られている。
炭酸ガス(気泡)は、一定の時間胃の中に溜まり、胃が膨張すると、脳の満腹中枢が刺激されて、腹部(胃部)膨満感、満腹感をもたらすことが知られている(非特許文献1)。そのため、経口摂取後に、胃の中で生じた泡を消すことなく安定に保持させることができれば、例えば、膨満感や満腹感を与え、食物の摂取量をコントロールする製品等に有用と考えられる。
特開2000−239158号公報 特開2013−129654号公報
J Nutr Sci Vitaminol、2012年、第58巻第5号、p.333−338
しかしながら、胃の中で気泡を安定に保つには、唾液がほぼ中性であるのに対して、胃液が強酸性(pH1.0−2.0)であることを考慮する必要がある。また、無理なく継続して経口摂取させるには、それに適した風味が求められる。
したがって、本発明は、胃の中での泡の持続性に優れ、且つ風味の良好な固形状組成物を提供することに関する。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、発泡成分に所定の可食性界面活性剤を組み合わせると、胃の中での泡立ちが良く、且つ生じた泡が長時間胃の中で安定に持続することを見出した。また、発泡成分と可食性界面活性剤を組み合わせると、酸味や苦味、エグ味が感じられるようになるが、これらを一定範囲で組み合わせることにより、適度な酸味がありながらも苦味とエグ味が低減されて、風味の良好な固形状組成物とすることができることを見出した。
すなわち、本発明は、次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)HLBが12以上の可食性界面活性剤 3〜60質量%、
(B)炭酸塩 5〜27質量%、
(C)有機酸 5〜27質量%
を含有し、成分(C)/成分(B)の中和度が1.25〜7であり、且つ成分(A)の含有量に対する成分(B)と成分(C)の合計含有量の比(含有質量比)[{(B)+(C)}/(A)]が0.6〜10である固形状組成物を提供するものである。
本発明によれば、胃の中での泡立ち及び泡の持続性に優れ、且つ適度な酸味がありながらも苦味とえぐ味が少ない、風味の良好な固形状組成物を提供することができる。
本発明において、「可食性界面活性剤」とは、食品用および医薬品用に一般的に用いられる界面活性剤を示す。本発明で用いられる成分(A)の可食性界面活性剤は、そのHLBが12以上である。固形状組成物中に、所定のHLBを有する可食性界面活性剤を後述の発泡成分と共に含有させることで、胃の中で発泡成分の反応を促し、且つ生じた泡を安定して保持することができる。
ここで、HLB(親水性−親油性のバランス、Hydrophilic−Lypophilic Balance)は、界面活性剤の全分子量に占める親水基部分の分子量を示すものである。可食性界面活性剤のHLBは、グリフィン(Griffin)の式により求められる。なお、2種以上の可食性界面活性剤から構成される場合のHLBは、各可食性界面活性剤のHLB値をその配合質量比率に基づいて相加算平均する。
(A)可食性界面活性剤のHLBは、12以上であるが、胃の中での泡の持続性が良好である点から14以上であるのが好ましく、また、HLBが17以下であるのが好ましく、16以下であるのがより好ましい。
(A)HLBが12以上の可食性界面活性剤としては、例えば、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
ショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖の水酸基に脂肪酸がエステル結合してなる界面活性剤で、モノエステルの他、ジエステル、トリエステル、ポリエステルが含有されていてもよい。
なかでも、風味の点から、ショ糖脂肪酸エステルのモノエステルの含有量は60質量%(以下、単位「%」とする)以上、更に65%以上であるのが好ましい。
ショ糖脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、固形状組成物に使用可能な点から、炭素数12〜22の飽和又は不飽和脂肪酸であるのが好ましく、更に炭素数12〜18の飽和又は不飽和脂肪酸、更に炭素数16〜18の飽和又は不飽和脂肪酸であるのが好ましい。なかでも、炭素数18の飽和又は不飽和脂肪酸は、総脂肪酸量の60%以上であるのが好ましい。炭素数18の飽和又は不飽和脂肪酸としては、ステアリン酸、オレイン酸が好ましく、ステアリン酸がより好ましい。
ポリグリセリン脂肪酸エステルは、ポリグリセリンと脂肪酸とのエステルである。このポリグリセリンにおけるグリセリンの平均重合度は、一般的に広く用いられている点、泡の持続性が良好である点から、7以上が好ましく、10であるのがより好ましい。ここで、グリセリンの平均重合度は、末端基分析法により求めた値をいう。末端基分析法とは、以下の方法である。水酸基価(OHV)の測定値と理論値の関係から、次式により重合度nと分子量(MW)を求める。
MW=74n+18
OHV=56110(n+2)/MW
水酸基価の測定法としては、無水酢酸・ピリジン法または無水フタル酸・ピリジン法がある。
ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、固形状組成物に利用する点から、炭素数12〜22の飽和又は不飽和脂肪酸であるのが好ましく、更に炭素数12〜18の飽和又は不飽和脂肪酸、更に炭素数16〜18の飽和又は不飽和脂肪酸であるのが好ましい。なかでも、炭素数18の飽和脂肪酸は、総脂肪酸量の60%以上であるのが好ましい。
(A)HLBが12以上の可食性界面活性剤は、既知の合成法を利用して調製しても、また、市販品を用いてもよく、また、必要に応じて市販品を分画し、再構成することによって調製してもよい。
(A)HLBが12以上の可食性界面活性剤は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の固形状組成物中、(A)HLBが12以上の可食性界面活性剤の含有量は3〜60%であるが、胃の中での泡の持続性が良好である点から、5〜60%、更に5〜45%、更に10〜45%、更に10〜30%であるのが好ましい。
本発明の固形状組成物は、発泡成分として(B)炭酸塩と(C)有機酸を含有する。
本発明で用いられる(B)炭酸塩としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、セスキ炭酸ナトリウム等が挙げられる。なかでも、泡の持続性が良好である点、食感が良好である点から、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムが好ましく、炭酸水素ナトリウムが更に好ましい。
(B)炭酸塩は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の固形状組成物中、(B)炭酸塩の含有量は、5〜27%であるが、生じる泡の量が多い点、苦味、エグ味を少なくするという点から、10〜25%、更に10〜20%であるのが好ましい。
本発明で用いられる(C)有機酸としては、可食性の酸を使用することができる。例えば、クエン酸、コハク酸、アスコルビン酸、酢酸、グルコン酸、リンゴ酸、酒石酸、フマル酸、アジピン酸等の有機酸が挙げられる。なかでも、口腔中で雑味を感じず適度な酸味がたつ点から、クエン酸又はリンゴ酸が好ましく、更にクエン酸が好ましい。
(C)有機酸は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の固形状組成物中、(C)有機酸の含有量は、5〜27%であるが、生じる泡の量が多い点、適度な酸味が感じられる点から、更に10〜27%、更に10〜25%であるのが好ましい。
また、本発明の固形状組成物中、(B)炭酸塩と(C)有機酸の合計含有量は、生じる泡の量が多い点、苦味、エグ味を少なくするという点から、10〜54%、更に20〜50%、更に30〜50%が好ましい。
本発明において、成分(C)/成分(B)の中和度は、1.25〜7である。
ここで、成分(C)/成分(B)の中和度とは、固形状組成物に含まれる(C)有機酸の当量を(B)炭酸塩の当量で除した値であり、次式により求めることができる。
中和度={成分(C)の質量%/成分(B)の質量%}/{成分(C)1g当量/成分(B)1g当量}
成分(C)/成分(B)の中和度は、味の点から、1.25〜4であるのが好ましく、更に1.25〜3であるのが好ましく、更に1.25〜2であるのが好ましい。
本発明において、固形状組成物中の(A)HLBが12以上の可食性界面活性剤の含有量に対する、固形状組成物中の(B)炭酸塩と(C)有機酸の合計含有量の比(含有質量比)[{(B)+(C)}/(A)]は、0.6〜10であるが、胃の中での泡の持続性が良好である点、苦味、エグ味を少なくするという点から、更に0.66〜6、更に3〜6であるのが好ましい。
本発明の固形状組成物には、上記成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲において、ミネラル(例えば、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、クロム、セレン、マンガン、モリブデン、銅、ヨウ素、リン、カリウム、ナトリウム)、ビタミン(例えば、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンE、葉酸及びそれらの塩、又はそれらのエステル)、甘味料(例えば、フルクトース、グルコース、ガラクトース、キシロース等の単糖;ショ糖、乳糖、麦芽糖、トレハロース、イソマルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、大豆オリゴ糖、イソマルツロース、カップリングシュガー等の少糖;糖アルコール、サッカリン、スクラロース、ステビア、アセスルファムカリウム等の合成甘味料)、(A)以外の界面活性剤、(C)有機酸以外の酸味料、香料、着色料、保存料等が適宜配合されていてもよい。
本発明の固形状組成物は、口内の唾液又は水の存在下で炭酸ガスを発生するものである。とりわけ、経口摂取後、胃内の水分と反応して発泡し、且つ生じた泡が長時間胃の中で安定に持続する。そのため、本発明の固形状組成物は、腹部(胃部)膨満感、満腹感を与え、食物の摂取量をコントロールする製品等として好適である。尚、胃液のpHは、状況によりその酸性度は変化するものの、一般的にpH1.0〜2.0である。
本発明の固形状組成物は、後述する実施例に記載の胃液モデルを用いた泡安定性の評価による相対泡量(%)が45%以上であることが好ましく、更に50%以上、更に70%以上であることが好ましい。この値が大きいほうが、胃の中での泡の持続性に優れると判断できる。
本発明の固形状組成物は、室温(15〜25℃)で固形状態のものを意味し、粉末、固形、顆粒等の形態が挙げられる。更に、具体的な製剤(剤型)としては、例えば、カプセル剤、顆粒剤、散剤、錠剤、丸剤、トローチ剤等が挙げられる。なかでも、摂取が簡便な点、食品として摂取する点から、発泡錠である錠剤、顆粒剤、散剤、丸剤、トローチ剤が好ましく、口腔内での滞留時間の短さから、錠剤、顆粒剤、散剤が更に好ましい。錠剤の形状としては、円形錠又は楕円形、長円形、四角形等の面形を有する各種異形錠であってもよい。円形錠の場合、服用性の点から、直径5〜15mmが好ましい。また、錠剤の重量は、一製剤当たり0.1〜2g、更に0.3〜1gとするのが、簡便性及び有効性の点で好ましい。
固形状の組成物を調製するには、必要に応じて許容される担体を配合することができる。例えば、賦形剤(例えば、デンプン類、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸、リン酸水素カルシウム等)、結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン、アルファー化デンプン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、プルラン、メチルセルロース、硬化油等)、崩壊剤(例えば、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポピドン、トウモロコシデンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、タルク、二酸化ケイ素等)、増量剤、分散剤、緩衝剤、希釈剤等の担体が挙げられる。
本発明の固形状組成物は、特に制限はなく常法に従い製造される。
例えば、散剤を製造する場合、(A)HLBが12以上の可食性界面活性剤、(B)炭酸塩、(C)有機酸及び必要に応じて添加される添加剤を混合し、その混合物をそのまま用いてもよいし、混合物を粉砕して用いてもよい。散剤は、18号(850μm)ふるいを全量通過することが好ましく、300号(500μm)ふるいに残留するものが全量の5%以下であることがより好ましい。
顆粒剤は、(A)HLBが12以上の可食性界面活性剤、(B)炭酸塩、(C)有機酸及び必要に応じて添加される添加剤を混合し、その混合物を乾式造粒法、湿式造粒法等を用いて造粒することにより得ることができる。造粒法としては、押し出し造粒法、破砕造粒法、転動造粒法、攪拌造粒法、流動層造粒法等が挙げられる。造粒物の平均粒子径は、45μm〜850μmとするのが好ましく、100μm〜500μmとするのが更に好ましい。
錠剤を製造する場合は、(A)HLBが12以上の可食性界面活性剤、(B)炭酸塩、(C)有機酸及び必要に応じて添加される添加剤を混合し、その混合物を原料粉末として直接圧縮して成形しても、前記乾式造粒法、湿式造粒法等を用いて造粒してから、造粒物を打錠成形機で圧縮して成形しても良い。
直接又は造粒物を圧縮して成形して錠剤を製造する場合、打錠成形機としてはロータリー式打錠機や単発式打錠機等通常使用されるものを用いることができる。
打錠時の圧縮成型圧は、成型物の硬度維持の点から、10〜30MPa程度が好ましい。
また、錠剤硬度は、運搬や保存等に耐え得る硬度であることが好ましく、また、胃の中での泡の持続性を考慮して、10N〜200N程度が好ましい。
[炭酸塩の分析]
固形状組成物中の炭酸塩の含有量の分析方法は以下の通りである。
固形状組成物を0.1〜0.2g採取し、水10mLと50%りん酸2mLを加え密栓した。10分間超音波処理を行った後、1時間放置しヘッドスペースガスをガスクロマトグラフに供してCO2量を求め、発生したCO2量から算出した。
<ガスクロマトグラフ操作条件>
機種:GC−14B[島津製作所]
検出器:TCD
カラム:Chromosorb101,80〜100mesh
ガラス管,φ3.2mm×2m
温度:カラム50℃,注入口及び検出器100℃
セル電流75mA
ガス圧力:ヘリウム(キャリヤーガス)100kPa
注入量:ヘッドスペースガス0.2mL
[有機酸の分析]
固形状組成物中の有機酸の含有量の分析方法は以下の通りである。
固形状組成物を1g採取し5%過塩素酸20mLを加え、10分間振とうすることで抽出した。これを水で200mLに定容し10分間超音波処理を行った。ろ過後高速液体クロマトグラフに供した。
<高速液体クロマトグラフ操作条件>
機種:LC−20AD[株式会社島津製作所]
検出器:紫外可視吸光光度計SPD−20AV[島津製作所]
カラム:Shim−pack SCR−102H 300×80(長さ×内径(mm))
[島津製作所]
カラム温度:40℃
移動相:3mmоl/L過塩素酸
反応液:0.2mmоl/Lブロムチモールブルー含有
15mmоl/Lりん酸水素二ナトリウム溶液
流量:移動相1.0mL/min、反応液1.4mL/min
測定波長:445nm
[原料]
可食性界面活性剤として、表1に示すSA−1〜SA−19を用いた。
Figure 2017014211
また、次の原料を用いた。
炭酸水素ナトリウム:重曹(食添C)、東ソー
クエン酸:無水クエン酸MS、扶桑化学工業(株)
リンゴ酸:フソウS、扶桑化学工業(株)
コハク酸:コハク酸、日本触媒(株)
ステアリン酸カルシウム:オーラブライトCA−65、日油(株)
マルチトール:アマルティMR−50、三菱商事フードテック(株)
試験例1〜19
〔固形状組成物の調製〕
表2に記載の配合組成で各原料成分を均一に混合し、粉末状の組成物を得た。可食性界面活性剤(SA−1〜SA−19)のカッコ内の数値はHLBを示す。各組成物における成分(C)/成分(B)の中和度、可食性界面活性剤(SA−1〜SA−19)の含有量に対する成分(B)と成分(C)の合計含有量の比(含有質量比)は表2のとおりであった。
〔泡安定性の評価〕
上記で得た本発明品と比較品について泡安定性を次のとおり評価した。
(1)1g当たりの理論泡量の定義と算出
固形状組成物中の炭酸塩と有機酸の反応により生成する二酸化炭素のモル数は、炭酸塩の質量を炭酸塩の1グラム当量で除した値と、有機酸の質量を有機酸の1グラム当量で除した値のうち最も小さな値(Mi)となる。一方、1モルの理想気体の体積は、標準状態(0℃、1bar)下で22.7リットルである。そこで、本明細書においては、前記Miに22.7リットルを乗じた値を、固形状組成物1g当たりの理論泡量(mL)とした。
(2)胃液モデル液
胃液モデル液として、第16版改正日本薬局方に準拠した崩壊試験第1液(pH1.2)を用いた。
(3)相対泡量の定義と算出
上記胃液モデル液に投じた固形状組成物1gから生じる実際の泡量(実測量)(mL)を固形状組成物1g当たりの理論泡量(mL)で除し、百分率で示した値を相対泡量(%)とした。
相対泡量(%)=〔実測量(mL)〕/〔1g当たりの理論泡量(mL)〕×100
実測量(mL)は、50mLメスシリンダーにサンプル1gを入れ、上記胃液モデル液を2mL添加し、添加直後を0分とし、15分後の泡上部の目盛りを読み取った。
本発明品と比較品それぞれの理論泡量(mL)、実測量(mL)及び相対泡量(%)を表2に示す。
Figure 2017014211
表2より明らかなように、HLBが12以上の可食性界面活性剤を配合した本発明品は、比較品と比べて実測量(mL)及び相対泡量(%)が高く、胃の中で発泡し、且つ生じた泡が消えることなく長時間安定に持続することが確認された。
試験例20〜48
〔固形状組成物の調製〕
表3又は表4に記載の配合組成で各原料成分を混合し、粉末状の組成物を得た。各組成物における成分(C)/成分(B)の中和度、成分(A)の含有量に対する成分(B)と成分(C)の合計含有量の比(含有質量比)は表3又は表4のとおりであった。
〔泡安定性の評価〕
上記で得た本発明品と比較品について泡安定性を同様に評価した。それぞれの理論泡量(mL)、実測量(mL)及び相対泡量(%)を表3及び表4に示す。
〔官能評価〕
また、本発明品と比較品について3名の専門パネルによる官能評価を行なった。評価は、サンプルを食べた時に感じる酸味、苦味とエグ味の強度について、下記に示す判断基準に従って行い、協議により評点を決定した。結果を表3及び表4に示す。
(酸味の強度)
5:酸味が弱い
4:酸味がやや弱い
3:酸味がちょうど良い
2:酸味がやや強い
1:酸味が強い
(苦味とエグ味の強度)
4:苦味とエグ味が弱い
3:苦味とエグ味がやや弱い
2:苦味とエグ味がやや強い
1:苦味とエグ味が強い
Figure 2017014211
Figure 2017014211
表3及び表4から明らかなように、本発明品は、相対泡量(%)が高く、胃の中で発泡し、且つ生じた泡が消えることなく長時間安定に持続することが確認された。また、本発明品は、適度な酸味を有しつつも、苦味とエグ味の少ない良好な風味であった。
これに対して、HLBが12以上の可食性界面活性剤を所定範囲で配合しなかった比較品は、実測量(mL)及び相対泡量(%)が低く、胃の中ですぐに泡が消えてしまった。また、酸味の強度が好ましくなかったり、苦味とエグ味が感じられたりする場合があった。
試験例49〜55
〔固形状組成物の調製〕
表5に記載の配合組成で各原料成分を均一に混合し、次いで単発式打錠機(RIKEN製)を用いて、穴径14mmのリング状杵で錠剤重量1000mg/1錠で打錠し、円形の錠剤を得た。試験例49と50、試験例51と52、試験例53と54は、それぞれ打錠圧を調整して錠剤の硬度を変化させた。錠剤硬度は、Hardness Tester(藤原製作所製)を用いて直径方向の硬度を測定した。
各錠剤における成分(C)/成分(B)の中和度、成分(A)の含有量に対する成分(B)と成分(C)の合計含有量の比(含有質量比)、錠剤の硬度、厚さ及び直径を表5に示した。
〔泡安定性の評価〕
試験例49〜55で得た本発明品について泡安定性を同様に評価した。それぞれの理論泡量(mL)、実測量(mL)及び相対泡量(%)を表5に示す。
〔官能評価〕
試験例49〜55で得た本発明品を食べた時に感じる酸味、苦味とエグ味の強度について、上記と同様に3名の専門パネルによる官能評価を行なった。結果を表5に示す。
Figure 2017014211
表5から明らかなように、本発明品は、相対泡量(%)が高く、胃の中で発泡し、且つ生じた泡が消えることなく長時間安定に持続することが確認された。試験例49と50、試験例51と52、試験例53と54の対比では錠剤の硬度が低いものが泡の持続性が良好であった。また、本発明品は、適度な酸味を有しつつも、苦味とエグ味の少ない良好な風味であった。

Claims (6)

  1. 次の成分(A)、(B)及び(C):
    (A)HLBが12以上の可食性界面活性剤 3〜60質量%、
    (B)炭酸塩 5〜27質量%、
    (C)有機酸 5〜27質量%
    を含有し、成分(C)/成分(B)の中和度が1.25〜7であり、且つ成分(A)の含有量に対する成分(B)と成分(C)の合計含有量の比(含有質量比)[{(B)+(C)}/(A)]が0.6〜10である固形状組成物。
  2. (A)HLBが12以上の可食性界面活性剤がショ糖脂肪酸エステル及びポリグリセリン脂肪酸エステルから選ばれる1種又は2種以上である請求項1記載の固形状組成物。
  3. ショ糖脂肪酸エステル及びポリグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸が炭素数12〜18の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸である請求項2記載の固形状組成物。
  4. (A)HLBが12以上の可食性界面活性剤の含有量が5〜60質量%である請求項1〜3のいずれか1項記載の固形状組成物。
  5. (C)有機酸がクエン酸、リンゴ酸又はこれらの組み合わせである請求項1〜4のいずれか1項記載の固形状組成物。
  6. 発泡錠又は発泡顆粒である請求項1〜5のいずれか1項記載の固形状組成物。
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