JP2017013330A - 印刷用孔版及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 優れた印刷精度が得られるように厚みが均一化され、また、被印刷物からの版離れ性がよくなるように表面が粗面化された印刷用孔版を提供する。。【解決手段】 本発明の一実施形態に係る印刷用孔版の製造方法は、印刷パターン開口部が形成され、少なくともその印刷面が有機材料から成る基体を準備する工程と、前記印刷面をドライエッチングする工程と、を備える。【選択図】 図3

Description

本発明は、印刷用孔版及びその製造方法に関し、特に電子部品の製造に好適に用いられる印刷用孔版及びその製造方法に関する。
電子部品を製造する際に、印刷用孔版を用いたスクリーン印刷が広く利用されている。例えば、積層セラミクスコンデンサや積層セラミクスインダクタを製造する際には、スクリーン印刷を用いて、NiやAg等の金属微粉を含む導電ペーストがグリーンシートに印刷される。かかる用途に用いられる印刷用孔版は、例えば、枠体と、この枠体に張られたメッシュと、このメッシュに塗布された乳剤とを備える。当該乳剤には、印刷パターンに対応する印刷パターン開口部が形成される。乳剤は例えば感光乳剤であり、感光乳剤には、フォトリソグラフィ法を用いて印刷パターン開口部を形成することができる。印刷用孔版は、印刷開口パターンが形成されたメタルマスク等の印刷用マスクに乳剤を塗布したものであってもよい。スクリーン印刷に用いることができるメタルマスクは、例えば、特開平11−245371号公報に開示されている。
スクリーン印刷を行う際には、印刷用孔版のスキージ面に印刷ペーストを塗布し、スキージを当該スキージ面に一定圧で押し当てたままスライドさせることにより、塗布された印刷ペーストが印刷パターン開口部を通過して被印刷物に転写される。
乳剤をメッシュに塗布する方法には、バケット等を用いてメッシュに直接乳剤を塗布する直接法、開口パターンが形成された乳剤膜をメッシュに貼り付ける間接法、及び開口パターンが形成されていない乳剤膜をメッシュに貼り付けて貼り付け後に乳剤膜に開口パターンを形成する直間法がある(特開2012−215862号公報参照)。
電子部品の小型化の要請に応えるためにはスクリーン印刷により基板に転写される電極を薄膜化する必要がある。特開2006−335045号公報に記載されているように、スクリーン印刷により転写される電極を薄膜化するために、印刷用孔版の乳剤を薄くすることが試みられている。
また、スクリーン印刷により転写される電極の厚みを一定にするために、印刷用孔版に形成される乳剤の厚みは均一であることが望まれる。例えば、積層セラミクスコンデンサの内部電極をスクリーン印刷で形成する場合には、当該内部電極の厚さをサブミクロン単位で制御できることが望ましい。
特開平11−245371号公報 特開2012−215862号公報 特開2006−335045号公報 特開2010−247534号公報 特開平8−118834号公報
しかしながら、間接法及び直間法を用いる場合、乳剤膜を均一に薄く形成することはできるが、乳剤膜が薄膜化するほど乳剤膜のメッシュへの貼り付け作業が難しくなる。また、直接法を用いる場合には、バケットのメッシュに対する姿勢やバケットをメッシュに押し当てる力を一定に保つことは難しいため、メッシュに塗布された乳剤の厚みを均一にすることは困難であり、特に、積層セラミクスコンデンサの内部電極の作成のために要求されるサブミクロン単位での乳剤の膜厚の制御は難しい。
スクリーン印刷の印刷精度を向上させるためには、乳剤が均一な厚みを有し、その印刷面が高い平滑性を有することが望ましいと考えられている。例えば、特開2010−247534号公報の段落[0020]には、直間法や間接法により均一な厚みの乳剤を形成する方法や、直接法により形成された乳剤の印刷面を鏡面加工することにより乳剤表面の平滑性を向上させることが記載されている。
しかしながら、乳剤の厚みの均一性を高めてその印刷面の平滑性を向上させると、以下のような不具合が見られる。まず、乳剤を保護するためにその表面にコーティング薄膜を付与する場合には、乳剤表面の平滑性が高いと当該コーティング薄膜の定着性が悪くなる。また、平滑性の高い乳剤表面では露光時の光線が散乱しやすいので、散乱光が乳剤の印刷パターン開口部に入射し当該印刷パターン開口部を感光させてしまう。これにより、当該印刷パターン開口部の内壁の一部が露光によって除去されてしまい、その結果、当該内壁が粗面化されるので、印刷ペーストが当該印刷パターン開口部を通過しにくくなる。また、乳剤印刷面の平滑性が非常に高いと、散乱光が再び乳剤表面に入射することなく散逸してしまうため露光効率が悪い。
印刷用孔版と印刷シートの間を予め接触させない適度な空間を設けて対向させ、スキージにより印刷用孔版を被印刷物に押し付けて当該印刷用孔版の表層を被印刷物に接触させてインクを転写するオフコンタクト印刷法を用いる場合、被印刷物に印刷用孔版の表層が接触している時間(スキージの通過時にスクリーンが被印刷物に接触してから離れるまでにかかる「版離れ時間」)が短いほどインクの滲みが少なく高精細な印刷が可能となる。しかしながら、印刷用孔版の表面が印刷用孔版と被印刷物との間の空気を逃すことができないほど平滑な場合、印刷用孔版が被印刷物に吸着されたり、印刷ペーストを被印刷物の所定位置へ定着させることが困難になるという問題がある(例えば、特開平8−118834号参照)。
本発明は、上述した問題点の少なくとも一部を解決することを目的とする。例えば、本発明の目的の一つは、印刷用孔版において、優れた印刷精度が得られるようにその厚みをより均一化するとともに、被印刷物からの版離れ性がよくなるようにその表面を粗面化することである。また、本発明の他の目的は、印刷用孔版の厚みを薄くすることである。また、本発明の他の目的は、印刷用孔版の厚さを微細に(例えば、サブミクロン単位で)制御可能にすることである。
本発明の一実施形態に係る印刷用孔版の製造方法は、印刷パターン開口部が形成され、少なくともその印刷面が有機材料から成る基体を準備する工程と、前記印刷面をドライエッチングする工程と、を備える。
また、本発明の一実施形態に係る印刷用孔版は、印刷パターン開口部が形成され、少なくともその印刷面が有機材料から成る基体を備える。本発明の一実施形態において、前記印刷面にはドライエッチングによって一以上の突起物が形成されている。
これらの実施形態によれば、印刷面をドライエッチングすることにより、基体を薄膜化することができる。また、ドライエッチングの処理条件(例えば、処理時間、原料ガスの濃度)を調整することにより、基体の薄膜化をサブミクロン単位で調整することができる。さらに、ドライエッチングにおいては、厚い部分がより多く除去されるため、マクロな範囲で基体の厚みをより均一化し、これにより印刷精度を向上させることができる。また、有機材料から成る基体の印刷面をドライエッチングすることにより、当該印刷面にナノオーダーの突起物(凹凸構造)を形成することができ、この凹凸構造により空気の通り道を確保し、印刷用孔版が被印刷物に吸着することを防止することができる。
本発明の一態様における印刷用孔版は、枠体にメッシュを張ったスクリーン版である。この場合、メッシュに乳剤が設けられ、当該乳剤に印刷開口パターンが形成される。この乳剤は、直接法、間接法、又は直間法のいずれによりメッシュに設けられされてもよい。本発明の他の実施形態における印刷用孔版は、メタルマスク、電鋳マスク、樹脂マスク等の印刷用マスクである。
本発明の一実施形態において、前記ドライエッチングは、O、N、H、F、及びArから成る群より選択される少なくとも1つの元素を含む原料ガスを用いて行われる。
本発明の一実施形態においては、前記基体が添加物質を含んでおり、前記ドライエッチングにより、前記印刷面に前記添加物質を含む一以上の突起物が形成される。当該添加物質は、金属元素、金属酸化物、及びガラスから成る群より選択される少なくとも1つの物質である。添加物質として用いることができる金属元素には、Si、Ti、Al、Zr及びこれら以外のプラズマによりエッチングされにくい金属元素が含まれる。例えば、O、N、H、F、Ar、又はこれらの混合ガスが原料ガスとして用いられる場合には、これらの原料ガスのプラズマ(又はこれらの原料ガスのラジカルやイオン)ではエッチングされにくい金属元素が添加物質として選択されえる。本発明の添加物質として用いることができる金属酸化物及びガラスとしては、プラズマガスによりエッチングされにくい任意の金属酸化物及び/又はガラスを用いることができる。
これらの実施形態によれば、乳剤に含まれる添加物質がエッチングを行う際にマスクの役割を果たし、当該添加物質と乳剤のうち当該添加物質の下方にある部分はエッチング残渣として残留する。この結果、エッチング後の乳剤の表面は、エッチング残渣から成る突起物を有する。このように、エッチングによって乳剤の表面(印刷面)のうち添加物質を含まない部分が除去されるため、乳剤の平均の厚さをエッチング前よりも薄くすることができる。
本発明の一態様において、前記乳剤は感光乳剤であり、前記エッチングの後に前記乳剤が露光される。この露光後の乳剤を現像することにより、乳剤に印刷パターン開口部を形成することができる。当該実施態様によれば、露光用の光線が乳剤の印刷面にエッチングで形成された突起物の側面で散乱された後に、再び乳剤の印刷面に入射しやすくなるので、露光効率を改善することができる。また、露光用の光線が乳剤の印刷面で散乱された後に乳剤の印刷パターン開口部への露光を抑制できるので、印刷パターン開口部の内壁が粗面化して印刷ペーストの抜けが悪くなることを抑制できる。
また、上述した実施形態によれば、乳剤の印刷面はドライエッチングにより活性化されており、また、突起物が形成されているため、この印刷面は高い親水性能や親油性を有する。
本発明の一態様においては、前記エッチングの後に、前記乳剤の前記印刷面にコーティング薄膜が形成される。この印刷面には、上述のように突起物が形成されているので、アンカー効果により、当該印刷面にコーティング薄膜を定着性良く保持することができる。
本発明の一態様において、前記印刷面の平均粗さ(Rz)は、前記印刷ペーストに含まれる金属微粉の平均粒径よりも小さくなるように、印刷面のドライエッチングが行われる。当該実施形態によれば、乳剤の印刷パターン開口部に充填された印刷ペーストが、当該印刷パターン開口部から乳剤の他の場所へ移動しにくい。これにより、印刷パターンに沿って印刷ペーストを被印刷物に転写することができるので、印刷精度を向上させることができる。
本発明の実施形態によれば、優れた印刷精度が得られるように印刷用孔版の厚みをより均一化するとともに、被印刷物からの版離れ性がよくなるように印刷用孔版の表面を粗面化することができる。本発明のこれ以外の有利な効果は、本明細書の他の部分を参照することにより明らかになる。
本発明の一実施形態に係る印刷用孔版(スクリーン版)の全体構成を模式的に表す平面図 本発明の一実施形態に係る印刷用孔版スクリーン版を模式的に表す断面図 本発明の一実施形態に係る印刷用孔版(印刷用マスク)を模式的に表す断面図 本発明の一実施形態に係るスクリーン版の印刷面付近を拡大して模式的に示す断面図 本発明の一実施形態に係るスクリーン版の印刷面付近を拡大して模式的に示す断面図 乳剤スクリーン版のうちドライエッチングを行っていない部分(マスキングされた部分)のレーザ顕微鏡写真 乳剤スクリーン版のうちドライエッチングを行った部分(マスキングしていない部分)のレーザ顕微鏡写真 本発明の一実施形態に従って形成された乳剤表面の電子顕微鏡写真 本発明の一実施形態に従って形成された乳剤表面の電子顕微鏡写真 本発明の一実施形態に従って形成された乳剤表面の電子顕微鏡写真 比較例の電子顕微鏡写真
本発明の様々な実施形態について添付図面を参照して説明する。これらの図面において、同一又は類似の構成要素には同一又は類似の参照符号を付し、その同一又は類似の構成要素についての詳細な説明は適宜省略する。
図1及び図2は、本発明の一実施形態に係る印刷用孔版の一例であるスクリーン版10を示す。このスクリーン版10は、鉄製の鋳物、ステンレス鋼、又はアルミニウム合金等から成る枠体12に、メッシュ16を張り、このメッシュ16の全部又は一部に乳剤14を塗布して構成される。乳剤14には、後述するように、印刷パターン開口部18が形成される。
本発明の一実施形態に係るメッシュ16は、様々な金属材料の糸を編み込んで作成される。また、メッシュ16は、金属以外にも、樹脂、ガラス繊維、炭素繊維、又はこれらの複合材料から形成してもよい。メッシュ16が炭素を含有する素材から成る場合には、後述するエッチングによりメッシュ16の線径が細くなることを考慮して、エッチングにより消失する分だけ太い糸から成るメッシュ16を用いることができる。
メッシュ16を構成する糸の表面粗さ、断面形状、及び折り方は、その用途等に応じて適宜変更され得る。断面形状は、例えば、丸型、楕円型、四角形型、多角形型、不定形型、及び星型が含まれる。折り方の例には、平織り、綾折、及び3次元形状折が含まれる。メッシュ16を構成する糸の材料は、例えば、ステンレス鋼、鉄鋼、銅、チタニウム、若しくはタングステン等の金属又はこれらの合金である。また、金属には非晶質金属なども含まれる。例えば、メッシュ16として、#500−19メッシュを用いることができる。#500−19メッシュは、メッシュを構成する線材(繊維糸)の線径が19μm、メッシュ開口部幅(目開き、つまり隣接する線材の間隔)が概ね30μmであり、メッシュカウントが500である。メッシュカウントが500とは、1インチ幅に500本のメッシュ線材が存在することを意味する。
メッシュ16においては、繊維糸同士が上下に交差する部分(交点部分)をめっきの析出物、接着剤、蒸着膜、又はスパッタ膜等で固定することができる。このめっきの析出物は、例えば電解Niめっき法、電解Ni−Co合金めっき法、又は電解Crめっき法により形成される。一実施形態においては、メッシュ糸の交点部分を押しつぶし、メッシュの糸1本の厚みに相当する厚みまでメッシュ16の厚みを薄型化することができる。メッシュ16の材質、線径、メッシュ数、メッシュ開口部の大きさの均一性、メッシュ開口部の位置、メッシュ開口部のテーパ角度、及び開口部の形状等の仕様は、ここで述べたものに限られず、印刷方法、印刷パターン、印刷対象、要求される耐久性等に応じて適宜変更することができる。また、一実施形態において、メッシュ16は、通常、糸状の素材を編み込むことによって形成されるが、それ以外の方法によって形成することも可能である。例えば、メッシュ16は、電鋳法、印刷法、及びフォトリソグラフィー法により形成され得る。また、メッシュ16は、基材に対して、レーザ加工、エッチング加工、ドリル加工、パンチング加工、及び放電加工等の様々な方法で貫通孔を形成することにより形成される。このとき形成される貫通孔が、メッシュ16の開口部に相当する。上述した材質や作成方法は適宜組み合わせられる。また、メッシュ16の開口部のエッジ部は、適宜面取りされる。メッシュ16は、複数のメッシュを組み合わせたものであってもよい。例えば、同じ種類のメッシュ同士や異なる種類のメッシュ同士が組み合わせられる。
本発明の他の実施形態に係る印刷用孔版として、印刷開口パターンが形成されたマスクを用いることができる。このマスクには、メタルマスク(ステンシルと呼ばれることもある。)、電鋳マスク、及び樹脂マスクが含まれる。メタルマスクは、ステンレス鋼などの金属薄板に、様々な手法、例えば、レーザ加工法、エッチング法、めっき電鋳法、プレス法、又はドリル法により印刷開口パターンを形成することにより作成される。また、電鋳マスクは、Niめっき、Ni―CoやNi−W等のNi合金めっき、Cuめっき、Cu合金めっき、及びこれら以外のめっきを用いためっき電鋳法により作成される。また、樹脂マスクは、例えば樹脂薄膜や樹脂フィルムに、常法に従って印刷開口パターンを形成したものである。これらの印刷パターン開口部が形成された各種マスク版をメッシュに固定したものを本発明の印刷用孔版の基体として用いることもできる。このような印刷用孔版には、例えば印刷シート基板の凹凸追随性を向上させる目的、印刷シート基板を傷つけない目的、印刷基板との密着性を向上させる目的、及び/又はこれら以外の目的のために乳剤、炭素を含む樹脂又はゴム薄膜、及び/又はフィルムが形成されてもよい。また、本発明の印刷用孔版の形状は、平板状、円筒状、又はこれら以外の使用目的に応じた任意の形状を取り得る。グラビア印刷版などの凹版や凸版においては、印刷パターンの表層にクッション層として樹脂層が形成される。これと同様に、上記の乳剤、炭素を含む樹脂又はゴム薄膜、及び/又はフィルムを本発明の印刷用孔版の表層に形成することができる。
本発明の一実施形態において、乳剤14は、炭素を含有する感光性の樹脂乳剤である。感光性樹脂乳剤は、光硬化形態によって、光架橋型、光重合型、ハイブリッド型に分類できるが、乳剤14は、このいずれであってもよい。乳剤14として用いることができる炭素含有乳剤には、例えば、ポリビニルアルコールと酢酸ビニルポリマー(又はアクリルモノマー)と光架橋用ジアゾ樹脂とを混合したもの、及び、ポリビニルアルコールとアクリルモノマーと光重合開始剤を混ぜたものが含まれる。感光性の乳剤14は、ポジ型であってもネガ型であってもよい。
本発明の一実施形態における乳剤14は、金属元素、金属酸化物、又はガラスから成る添加物質を含む。この添加物質として用いることができる金属元素には、Si、Ti、Al、及びZrが含まれる。上述した以外にも、本発明において添加物質として用いることができる物質には、プラズマガスによりエッチングされにくい任意の物質を含む。この添加物質は、乳剤14の少なくとも印刷面16付近に、概ね均一に分散している。
乳剤14には、例えばフォトリソグラフィ法によって、印刷パターンに対応する印刷パターン開口部18が形成される。印刷パターン開口部18は、乳剤14を厚み方向に貫通するように形成される。フォトリソグラフィ法を用いる場合には、フォトマスクのマスクパターンをメッシュ16に塗布された乳剤14に露光することにより乳剤14の一部を硬化させ、続いて、乳剤14のうち露光により硬化した部分のみをメッシュ16上に残存させ、それ以外の部分を除去することで、印刷パターン開口部18を形成する。印刷パターン開口部18は、乳剤14の内壁25によって画定されている。乳剤14は、直接法、間接法、直間法のいずれによりメッシュ16に形成されてもよい。乳剤14が直接法又は直間法によりメッシュに設けられる場合には、乳剤14がメッシュ16に設けられた後に露光が行われる。一方、乳剤14が間接法によりメッシュ16に設けられる場合には、乳剤フィルムに露光・現像により印刷パターンを形成し、その印刷パターンが形成された乳剤フィルムがメッシュ16に貼り付けられる。
図3は、本発明の一実施形態に係る印刷用孔版の一例である印刷用マスク10’を示す。このマスク10’は、例えば、メタルマスク(ステンシルと呼ばれることもある。)、電鋳マスク、又は樹脂マスクである。図示のとおり、マスク10’は、印刷開口パターン18’が形成されたマスク基体40を備える。このマスク基体40は、例えばステンレス鋼などの金属薄板から成る。印刷開口パターン18’は、例えば、レーザ加工法、エッチング法、めっき電鋳法、プレス法、又はドリル法により、マスク基体40に形成される。
マスク基体40の少なくとも印刷面26は、炭素を含有する有機材料から成る。例えば、マスク基体40は、炭素を含有する樹脂から成る樹脂マスクであってもよい。また、マスク基体40がステンレス鋼等の炭素を含有しない材料から成る場合には、マスク基体40の印刷面26’側に炭素を含有する薄膜40’を形成してもよい。この場合、薄膜40’もマスク基体40の一部と考えることができ、薄膜40’の表面がマスク基体40の印刷面26’となる。この薄膜40’は、例えば、オーバーコート用の炭素含有乳剤、上層への接着層として機能する炭素を含有するカップリング剤、炭素を含有する界面活性剤、及び炭素を含有する硬質薄膜(例えば、非晶質炭素膜)であってもよい。
本発明の一実施形態においては、O、N、H、F、Ar、及びこれら以外の元素のうちの少なくとも1つを含む原料ガスのプラズマを発生させ、発生させたプラズマを乳剤14の印刷面26(又はマスク基体40の印刷面26’)に照射することで、乳剤14の印刷面26(又はマスク基体40の印刷面26’)をドライエッチングする。本発明の他の実施形態においては、プラズマ放電により当該原料ガスのラジカル及びイオンを発生させ、乳剤14の印刷面26(又はマスク基体40の印刷面26’)をこの発生したラジカル及びイオンの少なくとも一方と反応させることにより、当該印刷面26(又はマスク基体40の印刷面26’)をドライエッチングする。本明細書においては、印刷用孔版の印刷面に対するエッチング処理を説明する際に、説明を簡潔にするために、スクリーン版10の乳剤14の印刷面26に対するエッチング処理のみを説明し、マスク基体40の印刷面26’に対する処理を省略することがあるが、スクリーン版10の乳剤14の印刷面26に対するエッチング処理は、マスク基体40の印刷面26’に対しても同様に行うことができることに留意されたい。また、乳剤14に添加される金属元素、金属酸化物、又はガラスから成る添加物質は、マスク基体40の印刷面26’付近に添加されてもよい。
このようなドライエッチングは、プラズマCVD装置やプラズマPVD装置等の各種真空プラズマプロセス用の装置を使用して行うことができる。また、印刷面26のドライエッチングは、大気圧プラズマプロセス、UV照射、及びコロナ放電プロセス、、及びこれら以外の公知の様々な手法により発生させたプラズマ、ラジカル、及びイオンの少なくとも一つを用いて行われる。この印刷面26のエッチングは、乳剤14に印刷パターン開口部を形成する前に行ってもよいし、印刷パターン開口部を形成した後に行ってもよいし、その両方において行ってもよい。
炭素を含有する乳剤14に対してOを含むプラズマガスを用いてエッチングを行う場合には、当該プラズマが乳剤14中の炭素(C)と反応してCOxガスを生成することで乳剤14をエッチングすることができる。同様に、炭素を含有する乳剤14に対してNを含むプラズマガスを用いてエッチングを行う場合には、当該プラズマが乳剤14中の炭素(C)と反応してCNxガスを生成し、プラズマがHを含む場合には、当該プラズマが乳剤14中の炭素(C)と反応してCHxガスを生成する。
メッシュ16に塗布された乳剤14が凹凸を有する場合(均一でない場合)には、凹部に比べて凸部にプラズマ電流が流れやすいので、乳剤14の凸部を集中的にエッチングすることができ、その結果、マクロな範囲で乳剤14の厚さを均一化することができる。したがって、プラズマを乳剤14の印刷面26に照射することにより、乳剤14を薄膜化しつつ、その厚みをマクロな範囲でより均一にすることができる。ここで前記マクロな範囲とは、例えば、スクリーン版を構成するメッシュ16の目開き(つまり、メッシュの繊維糸により四方を囲まれたメッシュ16の一つの開口部)よりも大きい範囲をいう。例えば、#500のメッシュを使用する場合には、繊維糸の間隔は約30μmである。
O、N、H、F、及びArから成る群より選択される少なくとも1つの元素を含む原料ガスから生成されたプラズマ、ラジカル及びイオンは、金属材料から成るメッシュ16とは反応しないため、メッシュ16が金属材料から成る場合には、上述の原料ガスを用いることによりメッシュ16をエッチングせずに乳剤14をエッチングすることができる。このようにして乳剤14を選択的にエッチングすることにより、メッシュ16の体積を減少させることなく乳剤14を薄膜化することができる。
メッシュ16が樹脂製の場合又は樹脂以外の炭素を含有する有機材料から成る場合には、プラズマを用いたエッチングによりメッシュ16のうち印刷パターン開口部18から露出する部分の厚みが減少する可能性があるが、印刷パターン開口部18を形成する前にエッチングを行うことにより、メッシュ16がエッチングされることを防止できる。また、メッシュ16が有機材料から成る実施形態において、印刷パターン開口部18を形成した後にエッチングを行う場合であっても、当該メッシュ16の線径を完成品に要求される所定の線径よりも太くすることにより、メッシュ16のうち印刷パターン開口部18から露出する部分のエッチング後における線径を当該所定の線径にすることができる。
本発明の発明者は、炭素を含有する基材(例えば、上述の炭素を含有する乳剤14)の表面にO、N、H、F、及びAr等の原料ガスから生成されたプラズマ、ラジカル及びイオンの少なくとも一つを照射することによって、当該基材の表面に、当該基材の凹凸構造に依存しない微細な凹凸構造を形成することができることを見出した。本発明の一実施形態においては、上述したように、乳剤14の印刷面26に、O、N、H、F、及びAr等の原料ガスから生成されたプラズマ、ラジカル及びイオンの少なくとも一つを照射することによって、当該印刷面26に微細な凹凸構造を形成し、当該印刷面26を粗面化することができる。このようにして微細な凹凸構造が形成された印刷面26の平均粗さ(Rz)は、プラズマ、ラジカル、及び/又はイオンによる印刷面26の処理時間、原料ガスの濃度、プラズマ発生装置の電源電圧等のパラメータを変化させることにより調整することが可能であり、数10nm〜数100nmの幅で調整可能である。
図4を参照して、乳剤14の表面に形成される微細構造について説明する。図4は、図2のスクリーン版10の乳剤14の印刷面26付近を拡大して模式的に示す断面図である。図3に示すように、乳剤14の印刷面26は、乳剤14の一部を上述したエッチングにより除去して形成された多数の凹部20と、エッチングされずに残ったエッチング残渣である多数の突起物21と、を有する。
上述したように、一実施形態における乳剤14には、Si、Ti、Al、Zr等の添加物質が含まれている。このような添加物質を含む乳剤14に上述のプラズマエッチングを行うと、当該添加物質がマスクの役割を果たし、乳剤14のうち当該添加物質とその下方の部分がエッチング残渣として残留する。この結果、エッチング後の乳剤14の印刷面16は、エッチング残渣から成る多数の突起物を有する。このエッチング残渣(突起物)は、ブラックシリコンと同様に針状(又は円錐状)に形成され、その頂部近辺に前記添加物質又は当該添加物質がプラズマと反応してできた化合物を含む。例えば、Siを含む乳剤14を酸素を含むプラズマを用いてエッチングすると、当該乳剤14中のSiと酸素とが反応して乳剤14中にSiOxが形成され、このSiOx及び当該乳剤14中のSiOxの下方の部分がエッチング残渣として残留する。その結果、エッチング後の乳剤14の印刷面26には、頂点付近にSiOxを含む突起物(エッチング残渣)が多数形成される。
図5を参照して、乳剤14の表面に形成される微細構造について説明する。図5は、図2のスクリーン版10の乳剤14の印刷面26付近を拡大して模式的に示す断面図である。図5に示すように、乳剤14の印刷面26は、乳剤14の一部をプラズマエッチングにより除去して形成された多数の凹部20’と、エッチングされずに残ったエッチング残渣である多数の突起物21’と、を有する。上述したように、乳剤14は、O、N、H、F、及びAr等の原料ガスから生成されたプラズマ、ラジカル及びイオンの少なくとも一つを照射することによってエッチングされる。このようなプラズマ、ラジカル、及びイオンは、乳剤14に対して高いエッチング能力を有する一方、添加物質22(Si、Ti、Al、及びZr並びにこれらの化合物)に対するエッチング能力は低いかほとんどない。したがって、多数の添加物質22を含む乳剤14を上述のプラズマでエッチングすることにより、乳剤14のうち添加物質22を含まない部分は深くエッチングされて凹部20’となる一方、添加物質22を含む部分はエッチングが進行せず、乳剤14のうち添加物質22とその下方の部分が突起物21’として残る。突起物21’は、添加物質22によって、プラズマ、ラジカル、及びイオンから保護されているので、図4に示した突起物21よりも鋭く尖った形状となりやすい。この結果、乳剤14がその印刷面26付近に添加物質22を含有する場合(図5)には、添加物質22を含有しない場合(図4)と比べて、印刷面26が粗面化されやすくなる。
本発明の印刷用孔版の印刷面26(印刷面26’)には多数の突起物21(突起物21’)が形成されているため、その突起物21(突起物21’)の間の空間から空気を逃し、また、当該空間に空気を導入することができるので、印刷時に印刷面26が被印刷物に吸着することを抑制できる。
印刷面26(印刷面26’)に形成されている突起物21(突起物21’)の高さは、数10nm〜数100nmの範囲で調整することができる。このようにして印刷面26(印刷面26’)に形成されるナノオーダーの凹凸構造は、マクロな範囲(例えば、30μm四方で囲まれた範囲)においては無視し得るほど小さい起伏に過ぎない。
本発明の一実施形態においては、印刷面26(印刷面26’)のJIS B 0601(1994年)に従って計測される十点平均粗さ(Rz)が、使用される印刷ペーストに含まれる金属微粉の平均粒径よりも小さくなるように、印刷面26(印刷面26’)のエッチングが行われる。ここで、金属微粉の平均粒径は、乾式レーザ回折法で測定した粉末の平均粒径を意味し、この平均粒径は、例えば、レーザ回折式粒度分布測定装置(堀場製作所製、LA−950)により測定することができる。当該実施形態によれば、乳剤の印刷パターン開口部18に充填された印刷ペーストが、当該印刷パターン開口部18から印刷面26(印刷面26’)の印刷パターン開口部18以外の部分に拡散しにくくなる。これにより、印刷パターンに従って印刷ペーストを被印刷物に転写することができるので、印刷精度を向上させることができる。例えば、積層セラミクスコンデンサの電極を形成するために用いられる導電ペーストに含まれるNi微粉は粒径が200nm前後である。印刷ペーストが平均粒径200nmのNi微粉を含むペーストを用いる場合には、乳剤は、その印刷面の平均粗さが200nmよりも小さくなるようにエッチングされる。
上述した乳剤14へのエッチングは、ドライプロセスによる化学反応を使用する化学エッチングであり、メッシュ16や乳剤14に対して応力を加えないため、メッシュ16や乳剤14における望ましくない変形、残留応力の発生、メッシュ16のテンションの緩み、乳剤14の印刷開口パターン18のエッジ形状の劣化(欠けやダレの発生)を発生させないという利点がある。この利点は、乳剤14表面を粗面化する別の方法、例えばサンドブラスト加工やヤスリを用いた研磨加工と比較して顕著である。
また、上述した乳剤14へのエッチングは、プラズマ放電の時間を調整することにより、エッチング量を細かく調整することができ、したがって乳剤14をどの程度薄膜化するかを細かく調整することができるという利点がある。また、上述のとおり、乳剤14の厚みが均一でない場合には、厚い部分をより多く除去することにより、厚さを均一化することができるという利点がある。これらの利点もサンドブラスト加工や平面研磨では実現が難しい、本発明の上述した実施形態に特有の利点である。
さらに、印刷パターン開口部18を形成する過程でメッシュ16のうち乳剤14の印刷パターン開口部18に露出した部分に乳剤が残存してしまっても、上述したエッチングを行うことにより、印刷パターン開口部18に残存する不要な乳剤を除去することができる。
図5に示すように、添加物質22を乳剤14の表面付近に含有させておくことにより、乳剤14をドライエッチングした後に、添加物質22は乳剤の表面において濃縮される。プラズマの原料ガスとして酸素を用いた場合には、添加物質22は酸化すると考えられる。この酸化した添加物質は、例えば水素プラズマを用いて還元することができる。このようにして、添加物質22が導電性の金属の場合には、絶縁性の乳剤膜表層に導電体層を形成することができる。このように、乳剤14の表面に導電体層を形成することにより、スクリーン版10が被印刷物と接触して発生させる静電気を除去することが可能となり、これにより印刷中のスクリーン版10と被印刷物との摩擦により発生する静電気に起因する被印刷物の破損や、スクリーン版10と被印刷物との吸着を防止することができる。
乳剤14の印刷面26には、コーティング薄膜30を設けても良い。コーティング薄膜30は、例えば、オーバーコート用の乳剤膜やカップリング剤より成る薄膜であってもよい。これらのコーティング薄膜30により、エッチングにより活性化された乳剤14の表面を覆うことができる。また、コーティング薄膜30は、その上層に対する接着層として機能し得る。さらに、コーティング薄膜30は、表面の濡れ性改質や静電気発生防止層として形成するための界面活性剤膜であってもよい。また、コーティング薄膜30には、乳剤14を摩擦から保護するために、非晶質炭素膜等の硬質薄膜、エポキシ等の樹脂膜、ポリイミドやポリイミドアミド等の樹脂フィルム、及び接着剤樹脂であってもよい。
上述したように、乳剤14の印刷面26には突起物21(及び/又は突起物21’)が形成されているので、アンカー効果により、当該印刷面26にコーティング薄膜30を定着性良く保持することができる。また、乳剤14には、Si、Ti、Al、及びZr等の添加物、又は、反応性エッチングにより生成された当該添加物の化合物(例えば、SiO2、Al23)が含まれるので、コーティング薄膜30としてフッ素含有カップリング剤又はフッ素コート剤を用いることにより、乳剤14表層に含まれる上述の添加物又はその化合物に由来する水酸基とコーティング薄膜30とを脱水縮合反応により強固に結合させることができる。一実施形態において、コーティング薄膜30は、乳剤14の印刷面26に形成された突起物21に凹凸構造を埋めないように、数nm〜数10nmの厚さを有するように形成することができる。
コーティング薄膜30は、例えば、フッ素含有カップリング剤である。このフッ素含有カップリング剤として、例えば、フロロテクノロジー社のフロロサーフFG−5010Z130−0.2(フッ素樹脂0.02〜0.2%、フッ素系溶剤99.8%〜99.98%)を用いることができる。乳剤14の印刷面に、コーティング薄膜30としてフッ素含有カップリング剤を形成することにより、乳剤の印刷面の表面に撥水性及び/又は撥油性を付与することができる。シランカップリング剤は、乳剤14中のSi、Ti、Al、及びZr、並びにこれらの化合物に由来する水酸基と化学結合(例えば、脱水縮合反応による結合又は水素結合など)により結合するので、乳剤14の印刷面26に強固な結合架橋層を伴う連続性のある面状のフッ素樹脂膜を形成することができる。コーティング薄膜30は、印刷パターン開口部18を閉塞しないように設けられる。
フッ素含有カップリング剤は、その分子構造内にフッ素の置換基を有するカップリング剤であり、撥水・撥油機能を奏する。コーティング薄膜30として使用可能なフッ素含有カップリング剤には、以下のものが含まれる。
(i) CF3 (CF2 )7 CH2 CH2 Si(OCH3 )3
(ii) CF3 (CF2 )7 CH2 CH2 SiCH3 Cl2
(iii)CF3 (CF2 )7 CH2 CH2 SiCH3 (OCH3 )2
(iv)(CH3 )3 SiOSO2 CF3
(v) CF3 CON(CH3 )SiCH3
(vi) CF3 CH2 CH2 Si(OCH3 )3
(vii) CF3 CH2 SiCl3
(Viii) CF3 (CF2 )5 CH2 CH2 SiCl3
(ix) CF3 (CF2 )5 CH2 CH2 Si(OCH3 )3
(x)CF3 (CF2 )7 CH2 CH2 SiCl3
これらのフッ素カップリング剤はあくまで一例であり、本発明に適用可能なフッ素含有カップリング剤はこれらの例に限定されるものではない。
また、コーティング薄膜30は、カップリング剤を主成分とする第1層と、撥水性材料又は撥水・撥油性材料を主成分とする第2層と、から成る2層構造であってもよい。この第1層は、例えば乳剤上に当該乳剤層と水素結合及び/又は縮合反応による−O−M結合(ここで、Mは、Si、Ti、Al、及びZrから成る群より選択されるいずれかの元素。)を形成可能なカップリング剤から成る薄膜である。かかるカップリング剤には、例えば、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、及びジルコネート系カップリング剤が含まれる。これらのカップリング剤は、他の種類のカップリング剤と混合して用いることもできる。第2層は、例えば、メチルトリクロロシラン、オクチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン等のアルキルクロロシラン類、ジメチルジメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン等のアルキルメトキシシラン類、ヘキサメチルジシラザンおよびシリル化剤、及びシリコーン等の撥水性材料から成る薄膜である。また、上述したフッ素含有シランカップリング剤から成る薄膜を第2層として用いることもできる。第2層として利用可能な撥水性材料、撥油性材料又は撥水・撥油性材料は、本明細書で明示されたものに限定されない。
シランカップリング剤は、例示するまでもなく広く普及している。本発明の実施形態においては、市販されている様々なシランカップリング剤を用いることができる。本発明に適用可能なシランカップリング剤の一例は、デシルトリメトキシシラン(商品名「KBM−3103」信越化学工業(株))等である。
撥水撥油層を構成する本発明に適用可能なチタネート系カップリング剤には、テトラメトキシチタネート、テトラエトキシチタネート、テトラプロポキシチタネート、テトライソプロポキシチタネート、テトラブトキシチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラ(2、2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジ−トリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、及びイソプロピルトリクミルフェニルチタネートが含まれる。商品名「プレンアクト38S」(味の素ファインテクノ株式会社)が市販されている。
撥水撥油層を構成する本発明に適用可能なアルミネート系カップリング剤には、アルミニウムアルキルアセトアセテート・ジイソプロピレート、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルミニウムイソプロピレート、アルミニウムジイソプロピレートモノセカンダリーブチレート、アルミニウムセカンダリーブチレート、アルミニウムエチレート、アルミニウムビスエチルアセトアセテート・モノアセチルアセトネート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、及びアルミニウムモノイソプロポキシモノオレキシエチルアセトアセテートが含まれる。商品名「プレンアクトAL−M」(アルキルアセテートアルミニウムジイソプロピレート、味の素ファインテクノ(株)製)が市販されている。
撥水撥油層を構成する本発明に適用可能なジルコニア系カップリング剤には、ネオペンチル(ジアリル)オキシ、トリメタクリルジルコネイト、テトラ(2、2ジアリロキシメチル)ブチル、ジ(ジトリデシル)ホスフェイトジルコネイト、及びシクロ[ジネオペンチル(ジアリル)]ピロホスフェイトジネオペンチル(ジアリル)ジルコネイトが含まれる。商品名「ケンリアクトNZ01」(ケンリッチ社)が市販されている。
続いて、スクリーン版10の製造方法の一例について説明する。まず、枠体12及びメッシュ16を準備し、このメッシュ16を枠体12に張る。メッシュ16は、枠体12に直接取り付けてもよく、支持スクリーンを介して取り付けてもよい。次に、このメッシュ16に乳剤14を塗布し、この乳剤14の表面(特に印刷面26)をO、N、H、F、及びArから成る群より選択される少なくとも1つの元素を含むプラズマを用いてエッチングする。次に、フォトリソグラフィ法等によりフォトマスクのマスクパターンに従ってメッシュ16に塗布された乳剤14に露光して乳剤の一部を硬化させる。次に、露光後の乳剤に現像を行い、乳剤14のうち未露光部を除去することにより、印刷パターン開口部18が形成される。このようにしてスクリーン版10が得られる。なお、エッチングは、印刷パターン開口部18の形成後に行っても良い。
フォトリソグラフィ法を用いて印刷パターン開口部18を形成する際に、その露光工程において光線が乳剤14の印刷面26に照射される。図4及び図5に示したように、印刷面26(印刷面26’)には、多数の突起物21(突起物21’)が形成されているため、印刷面26(印刷面26’)で散乱された光線は、散逸せずに再び印刷面26(印刷面26’)の別の部分に入射しやすい。例えば、突起物21(突起物21’)の傾斜面に入射した光線の散乱光の多くは、当該突起物21(突起物21’)と隣合う突起物21(突起物21’)の傾斜面に入射する。このように、印刷用孔版の印刷面26(印刷面26’)には多数の突起物21(突起物21’)が形成されているため、露光用の光線が印刷用孔版の印刷面26(印刷面26’)で散乱された後に再び印刷面26(印刷面26’)に入射しやすくなり、その結果、露光効率を改善することができる。また、散乱光が印刷パターン開口部18の内壁25に入射して当該内壁25を不必要に感光させることによる当該内壁25への余分な凹凸の形成を抑制することができる。これにより、印刷ペーストの透過性の劣化を抑制することができる。
スクリーン版10及び印刷用マスク10’は、使用時には、その印刷面26(印刷面26’)が被印刷物と対向するように配置される。スクリーン版10を所定位置に配置後、スキージ面24(スキージ面24’)にはんだペーストや電子部品の内部電極を構成する金属ペースト等の印刷ペーストを塗布し、スキージ(不図示)を上面24に一定圧で押し当てたままスキージ面24(スキージ面24’)に沿ってスライドさせることにより、塗布された印刷ペーストが印刷パターン開口部18を通過し、被印刷物に転写される。スクリーン版10及び印刷用マスク10’は、これらの印刷ペースト以外にも、印刷物印刷用のインク、染料、塗料、防錆材、接着剤、反応性活材、グリーンシート用スラリー、リソグラフィー用レジスト、感圧材、感温材、及び吸着剤等を転写するために用いられ得る。
以下に述べる方法により、炭素含有乳剤をドライエッチングすることにより、均一で薄い膜厚を有する乳剤が得られることを確認した。
まず、320mm×320mmの枠体と、200mm×200mmの方形のSUS304製スクリーンメッシュ#640−15(メッシュ繊維糸交点部をプレスで薄くしたカレンダー仕様のもの)を準備した。このスクリーンメッシュは厚み(図2のT1に相当する部分の厚み)が18μmであった。この枠体にテトロンメッシュを介して当該スクリーンメッシュを取り付けた後、バケットを用いて、当該スクリーンメッシュに、Siを含有する公知の感光性乳剤(水素を計測しない水素フリー基準でC:80.68原子%、O:17.93原子%、Si:1.4原子%の組成を有する乳剤)を厚さ(図2のT2に相当する部分の厚さ)が2μmとなるように塗布した。つまり、当該感光性乳剤を塗布した後のスクリーンメッシュの厚さと乳剤の厚さとの合計の目標厚みが19〜20μm(したがって、乳剤の厚みT2の目標厚みが1〜2μm)となるように乳剤を塗布した。
このようにして得られた2枚のスクリーン版の各々の合計厚み(T1+T2に相当する厚み)をスクリーンメッシュの四隅及び中央の5点で測定した。測定機はPROTEC MODEL MG−500CTNを使用した、その測定結果は、以下のとおりであった。
1枚目のスクリーン版
・19.8μm(中央)
・19.8μm(左上隅)
・19.7μm(右上隅)
・19.9μm(左下隅)
・19.3μm(右下隅)
2枚目のスクリーン版
・19.9μm(中央)
・19.9μm(左上隅)
・20.2μm(右上隅)
・20.3μm(左下隅)
・19.5μm(右下隅)
この測定結果から、1枚目のスクリーン版についてはいずれの部分の膜厚も目標厚みの範囲内に収まっているが、2枚目のスクリーン版については右上隅と左下隅の厚みが目標厚みから外れていることが分かる。このように、直接法によって塗布された乳剤の厚みをサブミクロンオーダーで均一化することは難しい。
次に、2枚目のスクリーン版をDCプラズマCVD装置の反応容器内に設けられた導電性試料台上に載せ、当該スクリーン版のメッシュを当該DCプラズマCVD装置の陰極に接続した。このとき、試料は、そのスキージ面が試料台に面し、印刷面が上を向くように、試料台に載せられた。続いて、反応容器を3×10-3Paの真空度まで排気した。次にガス流量80SCCMの酸素ガスを及びガス流量40SCCMのArガスの混合ガスをガス圧2Paで反応容器内に導入し、印加電圧−3kVp、パルス周波数10KHZ、パルス幅2μsの条件でプラズマを発生させ、試料台上のスクリーン版を10分間ドライエッチングした。その後、当該スクリーン版を反応容器内に15分間放置して冷却した後、同条件で再度ドライエッチングを行った。このドライエッチングを合計で6回行った(したがって、ドライエッチングを行った時間は60分(10(分/1回)x6(回))である)。
次に、反応容器を常圧に戻した後、スクリーン版を取り出し、当該スクリーン版の5点の合計厚み(T1+T2に相当する厚み)を再度測定した。厚みの測定はエッチング前と同じ位置で行った。この測定結果は、以下のとおりであった。
・19.5μm(中央)(0.4μm減少)
・19.5μm(左上隅)(0.4μm減少)
・19.7μm(右上隅)(0.5μm減少)
・19.8μm(左下隅)(0.5μm減少)
・19.1μm(右下隅)(0.4μm減少)
以上により、炭素を含む乳剤を酸素を含むプラズマでドライエッチングすることにより、メッシュ上に形成された乳剤の厚みを薄くすることができ、さらに乳剤の厚い部分が多くエッチングされるため乳剤の厚みを均一化できることが分かった。乳剤の厚みは、ドライエッチングの時間によって調節することができる。したがって、メッシュに炭素含有乳剤を直接法により目標厚みよりも若干厚くなるように塗布し、その後、プラズマドライエッチングを行うことにより、サブミクロンオーダーで乳剤の厚みを制御して、目標厚みに適合した厚みを有する乳剤を形成することができる。上述したように、乳剤の厚みは、エッチングの累計時間を調整することにより調整可能である。
このように、本発明の一実施形態により、ドライエッチングによりメッシュに塗布された乳剤を薄膜化するとともに、その厚みをマクロな範囲で均一化できることが確認できた。
次に、以下に述べる方法により、上記実施例とは別の光感光性乳剤を用いて、ドライエッチングにより乳剤表面の厚みをマクロな範囲で均一化できるとともに、当該乳剤表面にナノオーダーの凹凸構造を形成できることを確認した。
まず、450mm×450mmの枠体と、テトロン(ポリエステル)メッシュで中央部にコンビネーションされた250mm×250mmの方形のステンレス鋼(SUS304)製スクリーンメッシュST500−19を準備した。このメッシュに、Siを含有しない光感光性乳剤(美濃商事株式会社のエキスパート7)を、メッシュの厚さと乳剤の厚さとの合計が60μmになるように塗布した。このようにして、メッシュに乳剤が塗布された乳剤スクリーン版を3枚作成した。
次に、3枚の乳剤スクリーン版の中央付近の60mm四方の領域の半分を樹脂フィルムでマスキングした。このマスキングを施した乳剤板を、DCプラズマCVD装置の反応容器内に設けられた導電性試料台上に載せ、当該スクリーン版のメッシュを当該DCプラズマCVD装置の陰極に接続した。このとき、試料は、そのスキージ面が試料台に面し、印刷面が上を向くように、試料台に載せられた。続いて、反応容器を3×10-3Paの真空度まで排気した。次にガス流量80SCCMの酸素ガスを及びガス流量40SCCMのArガスの混合ガスをガス圧2Paで反応容器内に導入し、印加電圧−3kVp、パルス周波数10KHZ、パルス幅2μsの条件でプラズマを発生させ、試料台上のスクリーン版を10分間ドライエッチングした。1枚目の乳剤版については、その後、当該スクリーン版を反応容器内に15分間放置して冷却した後、同条件で再度ドライエッチングを5分間行った。したがって、1枚目のスクリーン版については、合計で15分間のドライエッチングを行った。2枚目の乳剤については、10分間のドライエッチングを3回繰り返し、合計で30分間のドライエッチングを行った。3枚目の乳剤については、10分間のドライエッチングを6回繰り返し、合計で60分間のドライエッチングを行った。
このようにして、乳剤表面にドライエッチングを行った乳剤スクリーン版の試料を3枚作成した。このうち、30分間ドライエッチィングを行った乳剤スクリーン版の中央部を切り出した。そして、この切り出された乳剤スクリーン版の中央部分のうちドライエッチングを行っていない部分(マスキングされた部分)及びドライエッチングを行った部分のレーザ顕微鏡写真を撮影し、それぞれの部分の平滑性を比較した。撮影は、キーエンス製 レーザ顕微鏡 VK-9510を用いて行った。
このようにして撮影したレーザ顕微鏡写真を図6及び図7に示す。図6は、乳剤スクリーン版の中央部分のうちドライエッチングを行っていない部分(マスキングされた部分)のレーザ顕微鏡写真であり、図7は、乳剤スクリーン版の中央部分のうちドライエッチングを行った部分(マスキングしていない部分)のレーザ顕微鏡写真である。図6及び図7において、白く写っている部分がメッシュの繊維糸の交点部であり、図の下方の曲線がプロファイルを示す。
この図6及び図7を比較すると、ドライエッチングを行う前の表層を示す図6においては、メッシュの繊維糸の交点がはっきりと白く現れている。これに対し、図7に示すドライエッチングを行った後の表層は、メッシュの繊維糸の交点付近に現れる白い模様がぼやけており、基材表層の凹凸(うねり)がマクロな範囲で平滑化されたことがわかる。
続いて、上記の3枚の乳剤スクリーン版の中央部分のうちドライエッチングを行っていない部分(マスキングされた部分)及びドライエッチングを行った部分(マスキングしていない部分)の表面粗さ(十点平均粗さ(Rz))を、それぞれ原子間力顕微鏡(AFM)測定機器(パシフィック ナノテクノロジー社製のNano-I2 AFM)を使用し、JIS B 0601(1994年)に従って計測した。
次に、上記の3枚のスクリーン版(それぞれ15分、30分、60分のドライエッチングを行ったもの)各々のドライエッチングを行った部分(マスキングしていない部分)の厚みを測定することにより、ドライエッチィング工程による乳剤の膜厚の減少量を測定した。また、各スクリーン版の乳剤表層の算術平均粗さ(Sa)、最大高さ(Sy)、及び十点平均粗さ(Rz)を測定した。これらの測定は以下のようにして行った。まず、3枚のスクリーン版の各々から小片を切り出し、この切り出した小片の乳剤側を樹脂埋めした後研磨した。そして、この研磨後の小片について断面写真を撮影することにより、乳剤を塗布した側の面(プリント基板面側)のメッシュ交点の頂点付近における乳剤の厚みを測定した。つまり乳剤のクロスセクションを行い、膜厚(及びその減少量)を実測した。断面写真の撮影は、電子顕微鏡(FE-SEM)測定機器(日立ハイテク社製 FE-SEM SU-70)を用いて行った。また、スクリーン版のドライエッチングを行っていない部分(マスキングされた部分)についても同様にして、Sa、Sy、Rzを測定した。
この測定結果を以下に示す。
まず、スクリーン版のドライエッチングを行っていない部分(マスキングされた部分)については、Saが15.5nm、Syが177nm、Rzが164nmとなった。また、各スクリーン版のドライエッチングを行った部分(マスキングしていない部分)の測定結果は以下のとおりであった。
1)ドライエッチィング15分間を行ったものが
Sa:26.1nm、Sy:288.2nm、Rz281.8nm、膜厚の減少は0.09μm
2)ドライエッチィング30分間を行ったものが
Sa:38.3nm、Sy:439nm、Rz:327nm、膜厚の減少は0.19μm
3)ドライエッチィング60分間を行ったものが
Sa:59.5nm、Sy:661nm、Rz:563nm、膜厚の減少は0.41μm
このように、ドライエッチィングを15分行うごとに、乳剤の膜厚が概ね0.1μmずつ減少することが分かる。また、表面粗さもドライエッチィングの長さに概ね合せて増加していることが確認できた。
また、上述のようにして作製したスクリーン版のドライエッチングを行っていない部分(マスキングされた部分)、及びそれぞれ15分、30分、60分のドライエッチングを行った部分の表面状態の電子顕微鏡写真を測定倍率1万倍で撮影した。この写真においては、ドライエッチィングを行ったものは先端向けて細くなる無数の突起は形成されていることが確認できた。一方、ドライエッチングを行っていない部分(マスキングされた部分)にはこのような突起は確認できず、その代わりに平らな表面に空気等の抜けた空孔が存在することが確認できた。これは乳剤の露光時にガラス乾板に乳剤を押し当て露光するため、表層び平滑なガラス乾板の平面が転写されるからである。
次に、上述のようにして作製したスクリーン版のドライエッチングを行っていない部分(マスキングされた部分)、及び60分のドライエッチングを行った部分のそれぞれの表面の水(純水)との濡れ性(接触角)を測定した。測定環境は25℃±5℃、湿度:30%である。測定機器'及び測定条件は以下のとおりとした。
測定機器: 協和界面科学(株) ポータブル接触角計 PCA-1
測定範囲: 0〜180°(表示分解能0.1°)
測定方法: 接触角測定(液適法)
測定液 : 純水
測定液量: 0.5μl
ドライエッチングを行っていない部分及び60分のドライエッチングを行った部分のそれぞれについて、任意の5点において接触各を測定し、その平均値を算出した。その結果、ドライエッチングを行っていない部分の接触角の平均値は96.6°であり撥水性を示していることが確認できた。一方、ドライエッチィングを60分間行った部分の接触角の平均値は13.6°であり、非常に水との濡れ性が高い親水表面が得られていることがわかった。このことは、エッチィングされた乳剤の表層に、双極性である水分子を良く吸着する極性の官能其が多数形成され、表面が活性化していることを示している。
次に、以下に述べる方法により、O、N、H、F、及びArから成る群より選択される少なくとも1つの元素を含むプラズマを用いて乳剤をエッチングすることにより、当該乳剤の表面に多数の突起物が形成されることを確認した。
まず、枠体にステンレス鋼製メッシュST500−19を取り付けた後、当該スクリーンメッシュにSiを含有する感光性乳剤(水素を計測しない水素フリー基準でC:80.68原子%、O:17.93原子%、Si:1.4原子%の組成を有する乳剤)を厚さ(図2のT2に相当する部分の厚さ)が20μmとなるように塗布した。このようにして乳剤が塗布されたメッシュを100mmX100mmの方形の形状に3枚切り取った。また、同じ枠体に同じメッシュを取り付けた後、当該メッシュにSiを含有しない乳剤(美濃商事株式会社のエキスパート7)を塗布した。この乳剤が塗布されたメッシュを100mmX100mmの方形の形状に1枚切り取った。
このようにして得られた4枚の試料(乳剤付きメッシュ)のうち各1枚をDCプラズマCVD装置の反応容器内に設けられた導電性試料台上に載せ、当該スクリーン版のメッシュを当該DCプラズマCVD装置の陰極に接続した。このとき、試料は、そのスキージ面側が試料台に面し、印刷面に相当する表面が上を向くように、試料台に載せられた。続いて、反応容器を3×10-3Paの真空度まで排気した。次にガス流量70SCCMの酸素ガスを及びガス流量40SCCMのArガスの混合ガスをガス圧2Paで反応容器内に導入し、印加電圧−3kVp、パルス周波数10KHZ、パルス幅2μsの条件でプラズマを発生させ、試料台上の試料(その乳剤)を10分間ドライエッチングした。その後、当該スクリーン版を反応容器内に20分間放置して冷却した後、同条件で再度ドライエッチングを行った。このドライエッチングを合計で6回行った。したがって、ドライエッチングを行った累計時間は60分である。このように、累計60分間ドライエッチングを行うことで実施例1の試料を得た。また、上記の4枚の乳剤付きメッシュのうち1枚には累計120分間のドライエッチングを行って実施例2の試料を得た。またSiを含有しない光感光性乳剤に同様に累計60分間ドライエッチングを行うことで実施例3の試料を得た。また、上記の4枚の乳剤付きメッシュのうち1枚にはドライエッチングを行わず、比較例1の試料とした。
上記のようにして作成した実施例1、実施例2、比較例1の各試料の表面を電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製「FE−SEM SU−70」)を用いて観察した。
さらに原子間力顕微鏡(AFM)測定機器: パシフィック ナノテクノロジー社製
Nano-I2 AFMにて図8は実施例1の試料の表面の電子顕微鏡写真、図9は実施例2の試料の表面の電子顕微鏡写真、図10は実施例2の試料の表面の電子顕微鏡写真、図11は比較例1の試料の表面の電子顕微鏡写真である。図8ないし図10に示した写真を図11の写真と比較することにより、プラズマエッチングにより多数の突起物が実施例1及び実施例2の試料の表面に形成されたことが確認できた。また、表面粗さSaを計測したところ、比較例1が18.2nm、実施例1が59.4nm、実施例2が83.0nmであった。この突起物は、試料の乳剤のうちSiを含まない部分が深くエッチングされる一方、Si及び乳剤のSiの下部にある部分においてエッチングが進行しなかった結果形成されたものと考えられる。
以上により、Siを含む乳剤をプラズマエッチングすることにより、乳剤の平均の厚さをエッチング前よりも薄くすることができ、また、乳剤の表面にナノオーダーの凹凸構造を形成できることが分かった。乳剤へ添加する添加物質として、Siに代えて又はSiに加えて、Ti、Al、及びZr並びにこれらの化合物を用いても同様の結果が得られると考えられる。
以上の実施例では、Ar(アルゴン)ガス及びO(酸素)ガスをエッチングガスとして使用して乳剤の表面にナノオーダーの凹凸構造を形成したが、N(窒素)及び/又はH(水素)をエッチィングガスとして使用しても、同様の微細な凹凸構造を形成することができると考えられる。これは、有機材料から成る基板に窒素をプラズマ照射することによりこの窒素が基材中の炭素と反応してCNを形成すること、また、当該基板に水素をプラズマ照射することによりこの水素が炭素と反応してCHxを形成するためである。
また、実施例1の試料の組成分析をFE-SEM測定機器(日立ハイテク社製 FE-SEM SU-70)を用いて行った。その結果、実施例1の組成は、水素を計測しない水素フリー基準で炭素:62.3原子%、酸素:35.09%、珪素:2,62%であった。これにより、炭素が減少し、酸素及び珪素の濃度構成比が上昇していることが確認できた。酸素はプラズマの原料ガスから取り込まれ、珪素はドライエッチングにより除去されにくいため濃度構成比が上昇したものと考えられる。印刷用孔版の乳剤は露光・現像され、パターンを形成する必要があるため、露光の阻害となるようなガラスや金属、金属酸化物(セラミクス)やダイアモンド、CNTなど耐摩耗性の成分や導電性の成分、潤滑性の成分、色素、また、カップリング剤など縮合反応を起こす水酸基、カルボニル碁などを生成するSi、Ti、Al、Zr、P、などの元素その他所望の成分を単元素状や化合物の状態、または微細な微粉やフィラー、ロットなどの形状で高濃度で層状に予め乳剤中に導入することは困難であるが、前記成分を乳剤中に広く低濃度で予め分散させておき、露光・現像後にドライエッチィングを行うこと(乳剤とのエッチィングレートの差を利用すること)で乳剤の表層部に前記有用物質を濃縮することが容易になる。
次に、一般的な樹脂等の有機高分子素材に本発明に係るドライエッチングによって微細凹凸構造を形成した試料について表面粗さや濡れ性を検証した。
まず市販の透明アクリル樹脂板(アクリサンデー社製のアクリサンデー板(色番 001 透明))を準備し、当該アクリル樹脂板を40mmX40mm厚さ2mmにカットした。このカットしたアクリル樹脂板をDCプラズマCVD装置の反応容器内に設けられた導電性試料台上に載せ、続いて、当該反応容器を3×10-3Paの真空度まで排気した。次にガス流量70SCCMの酸素ガス及びガス流量30SCCMのArガスの混合ガスをガス圧2Paで反応容器内に導入し、印加電圧−3kVp、パルス周波数10KHZ、パルス幅1μsの条件でプラズマを発生させ、試料台上のアクリル樹脂板をドライエッチングした。このドライエッチィングは、アクリル樹脂板が耐熱変形温度を超えないように、アクリル樹脂板近傍に添付したサーモラベル(60℃に達したことを示すサーモラベル)の温度指標が変色しないことを確認しながら行った。具体的には、当該アクリル樹脂板に対してドライエッチィングを3分間行った後15分間ドライエッチィングを中止して試料を冷却するというサイクルを繰り返し行うことにより、アクリル樹脂板が耐熱変形温度を超えないようにした。このようにして、ドライエッチィングを累計で10分間行った(最後のサイクルにおいては1分間でドライエッチングを中止した。)アクリル樹脂板と、ドライエッチングを累計で30分間行ったアクリル樹脂板とが得られた。
このようにしてドライエッチングを10分間行ったアクリル樹脂板もドライエッチングを30分間行ったアクリル樹脂板も、エッチング終了時において十分な透明性が保たれていた。ただし、ドライエッチングを30分間行ったアクリル樹脂板の方が若干マットな表情であることが確認できた。
続いて、以下のようにして、ドライエッチングを10分間行ったアクリル樹脂板及びドライエッチングを30分間行ったアクリル樹脂板の各々に非晶質炭素膜を成膜し、当該非晶質炭素膜に酸素を導入した。まず、上記のようにしてドライエッチングを行った後に、反応容器からArと酸素とを排気し、当該反応容器を3×10-3Paの真空度まで排気した。次にガス流量30SCCMのトリメチルシランガスをガス圧0.26Paで反応容器内に導入し、印加電圧−4kVp、パルス周波数10KHZ、パルス幅10μsの条件でプラズマを発生させ、試料台上のアクリル樹脂板にSi含有非晶質炭素膜を30秒間成膜した。次にトリメチルシランガスを排気した後、ガス流量30SCCMの酸素ガスをガス圧0.3Paで反応容器内に導入し、印加電圧−3kVp、パルス周波数10KHZ、パルス幅10μsの条件でプラズマを発生させ、アクリル樹脂板上に形成されたSiを含有する非晶質炭素膜に酸素を導入(注入)した。酸素導入後にアクリル樹脂板を15分間放置して冷却した後、上記と同じ手順及び条件でトリメチルシランガスを導入してSi含有非晶質炭素膜をさらに形成し、また、上記と同じ手順及び条件で当該Si含有非晶質炭素膜上に酸素を再度導入した。
上述のようにしてドライエッチングを10分間行ったアクリル樹脂板にSi含有非晶質炭素膜を形成し、当該Si含有非晶質炭素膜に酸素を導入した試料を実施例Aとする。また、ドライエッチングを30分間行ったアクリル樹脂板にSi含有非晶質炭素膜を形成し、当該Si含有非晶質炭素膜に酸素を導入した試料を実施例Bとする。また、準備した市販のアクリル樹脂板に処理を施さないものを比較例Cとする。さらに、準備した市販のアクリル樹脂板に上述した前記Arと酸素による混合ガスによるドライエッチィングを行わなわずに、前記と同様の手順及び条件でSi含有非晶質炭素膜を形成し、当該非晶質炭素膜に上記の同様の手順及び条件で酸素ガスプラズマにより酸素を導入した試料を比較例Dとする。なお、実施例A及び実施例Bの試料についてはいずれも、その透明性が保たれていることを確認した。特に、表面の粗い実施例Bの試料については、測定機器(株)日立ハイテクノロジーズ製U-4100形分光光度計で測定した全光透過率が86%、スガ試験機(株)製ヘーズメーターHZ-2(規格 JIS K7136、JIS K7361-1)D65光で測定したヘーズが0.9、ミノルタカメラ 分光測色計 CM-508d 測定光源 パルスキセノンランプで測定したb*が1.0であった。
続いて、上記の実施例A、実施例B、比較例Cの3枚の試料の各々について表面粗さ(十点平均粗さ(Rz))を、それぞれ原子間力顕微鏡(AFM)測定機器(パシフィック ナノテクノロジー社製のNano-I2 AFM)を使用し、JIS B 0601(1994年)に従って計測した。この測定結果を以下に示す。
1)比較例C)(未処理アクリル樹脂板)
Sa:1.1nm、Sy:19.1nm、Rz16.4nm
2)実施例A(ドライエッチィングを10分間行ったもの)
Sa:0.4nm、Sy:8.5nm、Rz:6.6nm
3)実施例B(ドライエッチィングを30分間を行ったもの)
Sa:2.4nm、Sy:85.1nm、Rz:81.0nm
比較例Cの表面粗さと実施例Aの表面粗さとを比較することにより、アクリル樹脂板試料の表層は、ドライエッチィングにより未処理の状態よりも極めて平滑になることが分かった。よって、ドライエッチングにより表面が平滑化されたアクリル樹脂は、印刷用孔版基材としてだけでなく、滑落性の向上や摺動抵抗の低減が望まれる様々な用途の素材として好適である。このような表層の平滑性は、特に高い透明性や透視性の要求される、PET、アクリル、ポリカーボネート、ウレタンその他透明な有機高分子樹脂基材表層の水滴や積雪滑落用途などに好適に用いることが可能である。このドライエッチィングにより付与される平滑性を適用できる具体例としては、自動車、航空機、船舶、及び鉄道車両に搭載される車載(搭載)カメラ等の各種カメラのレンズ並びにこれらのレンズのカバー、全天候型の各種監視カメラのレンズやレンズカバー、顕微鏡、望遠鏡、潜望鏡、眼鏡、及び内視鏡のレンズ並びにこれらのレンズカバー、自動車ライトの外装カバー、太陽光発電パネル、太陽光集光発電パネル、交通標識、並びに信号機レンズ及びそのレンズカバーがある。これらの表層に本発明に従って平滑性を付与することにより、その表層から雨水や雪の滑落させて、雨水や雪が付着することを防止できる。また、このドライエッチィングにより付与される平滑性を適用できる他の具体例としては、印刷用孔版の印刷基板面側及び印刷用インクジェットノズルのインク突出側面がある。これらの面に平滑性を付与することにより、インクの滑落性を高めることができる。上述のようにして樹脂基材表面を平滑化した後に、当該表層に撥水性皮膜を付与することにより、また、当該樹脂基材表面に非晶質炭素膜、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化亜鉛などの硬質膜を形成することにより、基材表面の耐摩耗性を向上させることができ、その表層の平滑性が長期に渡り維持することができる。
比較例C、実施例A、及び実施例Bの表面粗さの値を比較すると、アクリル樹脂板の試料に対するドライエッチィングの時間が長くなると、当該試料の表面が無処理状態よりも粗くなっていることが確認できた。より具体的には、上記の表面粗さの測定結果から、ドライエッチィングを10分間行ったアクリル樹脂板(実施例A)表層の凹凸の高い部分と低い部分の差が無処理基材(比較例C)の表層の凹凸の高い部分と低い部分の差に比べて半分程度に減少し(つまり、平滑になり)、ドライエッチィングを30分間行ったアクリル樹脂板(実施例B)表層の凹凸の高い部分と低い部分の差は比較例Cの場合と比較して4倍程度に増幅しており、ドライエッチィングを30分間行ったアクリル樹脂板の表層は表面積の大きなフラクタル構造を形成していることが確認できる。
このように炭素や水素を構成成分とする各種樹脂やゴムなどの有機高分子素材は、酸素を用いたドライエッチィングにより、その酸素が炭素や水素と反応することで、その表面形状や粗さを化学的に変化させることが可能であることが確認できた。
上述したように、透明なアクリル樹脂板にドライエッチングを行った後でも透明性は確保されている。したがって、ドライエッチングによる基材の平滑化はサンドブラストや研磨などの物理的な研磨による基材の平滑化とは異なり、基材表面の透明度の劣化や光の散乱の増大を抑制可能であることが確認できた。これと同様に、ドライエッチングによる基材の粗面化は、サンドブラストや研磨などの物理的な研磨による粗面化手法よる粗面化と異なり、基材表面の透明度の劣化や光の散乱の増大を抑制可能であることが確認できた。
また、ドライエッチングによる平滑化及び粗面化の処理は、ナノインプリント金型を用いた有機高分子素材上への微細な凹凸構造の、例えば、ナノ・インプリント金型を樹脂等に押し当てて蛾の眼球部表層のような細かな凹凸を形成した「モス・アイ」構造の(転写)形成処理に比べて、高価な装置や金型などが不要であるという利点がある。
上述したようにドライエッチングにより有機高分子材料の表層の平滑化や有機高分子材料の表層への微細な凹凸構造の形成を行う場合には、ドライエッチング時間やドライエッチングのプラズマ条件を調整することにより、形成する表面の粗さや基材のエッチング量を容易に変更することができる。したがって、ドライエッチングによる基材表層の平滑化及び基材表層への微細な凹凸構造の形成は、研磨材料や金型をそれぞれ必要な形成粗さや研磨量分だけ準備しなければならない物理エッチングと比べ、経済性が高く、制御が容易であり、また再現性が高い。
さらに、ドライエッチングを用いて基材自体の表層に凹凸構造を付与することで、基材上に形成した他の成分の皮膜を凹凸化するのと異なり、当該他成分の基材からの剥離やコンタミなどの影響を大きく抑制することが可能となり、また、医療用物品における生体親和性などの基材の特性をそのまま外界に対して継続使用することが可能となる。
次に、実施例A、実施例B、比較例C、比較例Dのそれぞれの試料の表面の水(純水)との濡れ性(接触角)を測定した。測定環境は25℃±5℃、湿度:30%である。測定機器及び測定条件は以下のとおりとした。
測定機器: 協和界面科学株式会社 ポータブル接触角計 PCA-1
測定範囲: 0〜180°(表示分解能0.1°)
測定方法: 接触角測定(液適法)
測定液 : 純水
測定液量: 1μl
初回の測定は試料をプラズマ反応容器から取り出し、表面に異物を接触させない状態で72時間常態で放置した後に行った。
各試料について、任意の5点において接触各を測定し、その平均値を算出した。その結果は以下のとおりであった。
比較例C: 64.3°
比較例D: 3.9°
実施例A: 3.8°
実施例B: 3.2°
このように、Siと酸素を含む透明な非晶質炭素膜を形成したものはいずれも(つまり、比較例C以外は)高い親水性を発現している。
次に、実施例Aと同様の手順及び条件で、アクリル樹脂板に対してドライエッチング及び非晶質炭素膜の成膜を行い、当該アクリル樹脂板の表面にSi及び酸素を含む透明な非晶質炭素膜を形成し、当該非晶質炭素膜の表面にフッ素含有カップリング剤(フロロテクノロジー社のフロロサーフFG−5010Z130−0.2(フッ素樹脂0.02〜0.2%、フッ素系溶剤99.8%〜99.98%))を塗布し24時間経過させた。このようにして作成した試料を参考例Aとする。また、実施例Bと同様の手順及び条件でアクリル樹脂板に対してドライエッチング及び非晶質炭素膜の成膜を行い、当該アクリル樹脂板の表面にフッ素含有カップリング剤(フロロサーフFG−5010Z130−0.2)を塗布し24時間経過させた。このようにして作成した試料を参考例Bとする。この参考例A及び参考例Bの試料の各々について、上記と同様の測定方法で水との接触角を測定した。その結果は以下のとおりである。
参考例A: 100.5°
参考例B: 100.8°
このように、参考例A及び参考例Bのいずれについても撥水性が確認できるが、表層に微細な凹凸構造を伴う参考例Bについては、撥水性が所謂「超撥水性」といわれる140°に遠く及ばない状態であることが確認された。これは、参考例Bに形成された微細な凹凸はナノスケールであり、超撥水性を発現させるためのより粗いミクロンスケールの凹凸構造が形成されていないためと考えられる。超撥水性を発現させるためには、基材にミクロンスケールの凹凸構造を予めナノインプリント金型などで形成しておくことが必要と考えられる。このように、ミクロンスケールの凹凸構造が形成された基材に、上述したのと同様の手法でドライエッチングを行うことにより、基材表層の粗いミクロンスケールの凹凸構造の表層に微細なナノスケールの凹凸をさらに形成し、「フラクタル構造」を得ることができる。
基材として有機高分子フィルムを用いる場合には、例えばナノインプリント金型を使用して基材表層にミクロンスケールの凹凸構造を形成することができ、基材としてガラス基材を用いる場合には。フッ酸等による化学エッチングやレーザ光によるケガキなどにより基材表層にミクロンスケールの凹凸構造を形成することができる。
スライドガラス(松浪硝子工業株式会社製のMICRO SLIDE GLASS(品番 S1111)、Size:76x26mm、Thickness:0.8〜1.0mm、Pre-Cleaned:白縁磨 No.1)上に、上述したのと同様の手順及び条件で、Si及び酸素を含有する透明な非晶質炭素膜を形成した。このような非晶質炭素膜が形成されたスライドガラスの光学特性は、その全光透過率が概ね90%、ヘーズが0.7、b*が0.6となった(測定に用いた機器は、上述したものと同じである。)。よって、上述のようにしてSi及び酸素を含有する非晶質炭素膜が形成されたスライドガラスは透明な光学特性を示していることが確認できた。
続いて、プラズマ処理から長い時間が経過することによりプラズマにより試料表層部に形成された親水性の官能基は雰囲気物質の吸着や失活で劣化する。そこで、化学的な親水性のみでなく、長期継続安定性の高い構造的な親水性(主に物理的な凹凸構造由来の)を確認するために、比較例C、比較例D、及び実施例Bについて、各々のプラズマ処理完了から264時間経過した時点での接触角を、上述したのと同様の測定方法により測定した。その測定結果は以下のとおりであった。
比較例C: 65.3°
比較例D: 35.4°
実施例B: 16.6°
この測定の結果から、実施例Bの親水性は比較的長期に渡って維持されることが確認された。これは、実施例Bの表層に形成された凹凸構造に由来する構造親水性は比較的長期に渡って維持されるためと考えられる。
また実施例Bの水との接触角は、20°未満(水膜として認識される)となっていることが確認できる。したがって、実施例Bのような構造体は、曇り防止や雨水などによるセルクリ−ニング性などが求められ、長期にわたって親水性を維持する必要のある用途に適している。例えば、実施例Bの構造体は、特に高い透明性や透視性の要求されるガラス、及び、PET・アクリル・ポリカーボネート・ウレタン等の透明な有機高分子樹脂基材表層の曇り止めとしてまた、かかるガラスや有機高分子樹脂基材表層に水などによるセルフクリ−ニング機能を付与するために用いることが可能である。曇り防止やセルフクリ−ニング機能が求められる具体的な用途としては、自動車、航空機、船舶、及び鉄道車両に登載される車載(搭載)カメラ等各種カメラのレンズやこれらのレンズのカバー、全天候型の各種監視カメラのレンズやレンズカバー(カメラ等本体全体のカバーも含む)、顕微鏡、望遠鏡、潜望鏡、眼鏡、内視鏡等のレンズ、またはレンズカバー、自動車ライトの反射板の曇り防止、太陽光発電パネル、太陽光集光発電パネル、並びに交通標識や信号機レンズがある。また、実施例Bの構造体は、インクの濡れ性・充填性が求められる用途にも適用される。インクの濡れ性・充填性が求められる具体的な用途としては、印刷用インクジェットノズルのインク供給面、印刷用インクジェットノズルの供給孔の断面部、及び印刷用孔版のスキージ面がある。さらに、実施例Bの構造体は、医療用の有機高分子基材から成るカテーテルなどの血液や体液との濡れ性の長期維持が重要な用途にも好適に使用することができる。この用途においては、基材への凹凸形成プロセスで使用するプラズマドライエッチング時に発生する紫外線や活性酸素などでの基材殺菌効果も合わせて享受することが期待できる。
また、本発明の実施形態に係る表層に微細な凹凸構造を伴う親水性の有機高分子フィルムを、親水性が必要な各種素材からなる本体に貼付して使用することができる。このような本体としては、例えば、電子表示装置表面の保護フィルム(特に指紋可視性の緩和)、車や建造物の窓ガラスがある。
樹脂基材を一旦粗面化した後、その粗面化された表面に化学的に親水性の皮膜(例えば上述したSi及び酸素を含む非晶質炭素膜、酸化ケイ素膜、酸化チタン膜(二酸化チタンなどの光触媒膜含む)、酸化亜鉛膜などのスパッタ膜や蒸着薄膜)をさらに形成することにより、また、当該粗面化された表面に非晶質炭素膜などの硬質膜をさらに形成することにより、基材表層の粗面化された構造を長期にわたって維持することができる。
版枠に貼り付けられた透明な有機高分子フィルムにエキシマレーザ等のレーザで印刷パターン開口部がパターニングされた印刷用孔版が用いられる。このような印刷用孔版においては、そのスキージ面側から目視にて当該有機高分子フィルム越しに印刷対象基板のパターンを透視して確認することができ、印刷用孔版のパターンと印刷基板のパターンの位置合わせを容易に行うことができる。
10 スクリーン版
12 枠体
14 乳剤
16 メッシュ
18 印刷パターン開口部
30 コーティング薄膜

Claims (15)

  1. 印刷パターン開口部が形成され、少なくともその印刷面が有機材料から成る基体を準備する工程と、
    前記印刷面をドライエッチングする工程と、
    を備える印刷用孔版の製造方法。
  2. 前記基体は、枠体に取り付けられたメッシュと、当該メッシュに設けられた炭素含有乳剤とを、備える、請求項1に記載の方法。
  3. 前記乳剤は感光乳剤であり、
    前記ドライエッチングの後に前記乳剤を露光する工程をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 前記乳剤は感光乳剤であり、
    前記ドライエッチングの前に前記乳剤を露光する工程をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  5. 前記ドライエッチングの後に、前記印刷面にコーティング薄膜を形成する工程をさらに備える請求項1に記載の方法。
  6. 前記ドライエッチングは、O、N、H、F、及びArから成る群より選択される少なくとも1つの元素を含む原料ガスを用いて行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  7. 前記印刷面の平均粗さ(Rz)は、前記印刷ペーストに含まれる金属微粉の平均粒径よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  8. 前記基体が添加物質を含んでおり、前記ドライエッチングは、前記印刷面に前記添加物質を含む一以上の突起物が形成されるように行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  9. 前記添加物質は、金属元素、金属酸化物、及びガラスから成る群より選択される少なくとも1つの物質であることを特徴とする請求項8に記載の方法。
  10. 印刷パターン開口部が形成され、少なくともその印刷面が有機材料から成る基体を備え、
    前記印刷面にはドライエッチングによって一以上の突起物が形成されていることを特徴とする印刷用孔版。
  11. 前記基体は、
    枠体と、
    前記枠体に取り付けられたメッシュと、
    前記メッシュに設けられた炭素含有乳剤と、
    を備えることを特徴とする請求項10に記載の印刷用孔版。
  12. 前記印刷面に形成されたコーティング薄膜をさらに備える請求項10に記載の印刷用孔版。
  13. 前記突起物は、前記印刷面に、O、N、H、F、及びArから成る群より選択される少なくとも1つの元素を含む原料ガスを用いてドライエッチングを行うことにより形成されることを特徴とする請求項10に記載の印刷用孔版。
  14. 前記印刷面の平均粗さ(Rz)は、前記印刷ペーストに含まれる金属微粉の平均粒径よりも小さいことを特徴とする請求項10に記載の印刷用孔版。
  15. 前記乳剤は、金属元素、金属酸化物、及びガラスから成る群より選択される少なくとも1つの物質から成る添加物質を含有することを特徴とする請求項10に記載の印刷用孔版。
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