JP2017012091A - 表面に液膜が形成されている構造体 - Google Patents

表面に液膜が形成されている構造体 Download PDF

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Abstract

【課題】特に乳化物に対する滑り性を向上させる液膜が基材の表面に形成されており、しかも、表面を流れる乳化物の気泡の巻き込みが有効に抑制されていると共に、液膜による滑り性が持続して安定に発揮される構造体を提供する。【解決手段】基材1の表面に液膜3が形成されている構造体において、液膜3は、増粘安定剤により増粘された水により形成されていることを特徴とする。【選択図】 図1

Description

本発明は、滑り性を向上させるための液膜が表面に形成されている構造体に関するものである。
液状内容物が収容される容器では、容器の材質を問わず、内容物に対する排出性が要求される。水のように粘性の低い液体を収容する場合では、このような排出性はほとんど問題とならないが、例えば、マヨネーズやケチャップのように粘度の高い粘稠な物質では、プラスチック容器であろうがガラス製容器であろうが、この排出性はかなり深刻な問題である。即ち、このような内容物は、容器を傾けて速やかに排出されないし、また、容器壁に付着してしまうため、最後まで使い切ることができず、特に容器の底部にはかなりの量の内容物が排出されずに残ってしまう。
最近になって、容器等の基材の内面に油膜を形成することによって、粘稠な物質に対する滑り性を高める技術が種々提案されている(例えば特許文献1,2)。
かかる技術によれば、基材の内面を形成する合成樹脂に滑剤などの添加剤を加える場合と比して、滑り性を飛躍的に高めることができるため、現在注目されている。
さらに、特許文献3には、液状油脂成分、動植物ワックス及び水を含む油中水型エマルジョンからなる離型油が提案されており、この離型油を容器に噴霧することにより、パンや菓子などを焼く際に、その生地の容器への付着を防止し得ることが示されている。
また、本出願人は、先に、マヨネーズ様食品に代表される水中油型乳化物が収容された包装容器であって、該水中油型乳化物が接触する容器内面に油膜が形成されている包装容器を提案している(特願2014−023425号)。
しかしながら、上記のように基材表面に油膜を形成して表面特性を改質する手段においては、油膜上を乳化物が流れたとき、基材表面と乳化物との間に気泡が分布し、その上、基材表面から乳化物が離れると、乳化物の表面は角が立つような形態となってしまう傾向が有り、これが外観を低下させるという問題を生じていた。特に、表面を流れる乳化物が、特に油分(脂質成分)の少ないマヨネーズ様食品であるとき、この傾向が顕著である。このような外観低下は、マヨネーズ様食品などが充填された透明ボトルでは、商品価値を低下させるため、極めて大きな問題である。
また、基材表面に上述した油膜を形成することにより滑り性を高めるという手段では、該油膜により発揮される滑り性の有効寿命が短く、長期間経過後には、その滑り性が低下し、場合によっては、表面に内容物などが貼り付いてしまうなどの問題が生じていた。特に、表面を滑る物質が、乳化物、特に油分の少ないマヨネーズ様食品であるとき、この傾向が顕著である。
WO2012/100099 WO2013/022467 特開2008−22791号公報
従って、本発明の目的は、特に乳化物に対する滑り性を向上させる液膜が表面に形成されており、しかも、表面を流れる乳化物の気泡の巻き込みが有効に抑制されていると共に、液膜による滑り性が持続して安定に発揮される構造体を提供することにある。
本発明の他の目的は、特に乳化物が内容物として収容される容器として使用される構造体を提供することにある。
本発明によれば、基材の表面に液膜が形成されている構造体において、該液膜は、増粘安定剤により増粘された水により形成されていることを特徴とする構造体が提供される。
本発明の構造体においては、
(1)前記水は、回転数20rpmで測定した粘度(25℃)が690mPa・s以上の範囲にあること、
(2)前記増粘安定剤として、キサンタンガム、グアーガム、ジェランガム、ペクチン、カルボキシルメチルセルロース、ゼラチン、アルギン酸、寒天、またはカラギーナンのいずれか1つ、あるいはそれらを混合して使用されていること、
(3)前記液膜は、0.65〜6.56mg/cmの量で基材の表面に形成されていること、
(4)前記基材が容器であること、
(5)前記容器が、乳化物を内容物として収容されるものであること、
(6)前記乳化物が、マヨネーズ様食品であること、
が好ましい。
本発明の構造体においては、乳化物が表面を流れたときの気泡の巻き込みが有効に抑制され、乳化物と表面との間に気泡が分布してしまうこと、また、乳化物が表面から離れると角が立つような形態を形成してしまうという不都合を有効に回避することができる。例えば、後述する実施例に示されているように、例えば、脂質含量が少ないマヨネーズ様食品(脂質分34%)が構造体表面を落下した場合にも、気泡の生成は有効に防止されている。
また、本発明の構造体は、粘稠な乳化物に対して優れた滑り性を示すばかりか、この滑り性が長期間にわたって安定に発揮される。
従って、本発明の構造体は、マヨネーズ様食品などの粘稠な乳化物が収容される透明な容器、特にダイレクトブロー容器として、好適に使用される。
本発明の構造体の表面形態を説明するための概略側断面図。 本発明の構造体の好適な形態であるダイレクトブローボトルの形態を示す図。
図1を参照して、本発明の構造体の基材1は、用途に応じた形状に成形されており、その表面には、液膜3が形成されているが、この液膜3は、増粘安定剤によって増粘された水(以下、「増粘水」と呼ぶ)により形成されている。
<滑り性発現の原理>
このような基材1では、先に述べたように、乳化物が表面の液膜3上を流れたときの気泡の巻き込みが有効に防止されており、乳化物が表面から離れる際に、乳化物の表面に角が立つような形態の生成が抑制されており、さらには、その液膜3は、乳化物に対して高い滑り性を示す。
このメカニズムは明確に解明されているわけではないが、本発明者等は次のように推定している。
即ち、食用油などの油により液膜3(油膜)が形成されている場合、この液膜3上を乳化物等の含水物質が流れるとき、その高い撥水性により優れた滑り性が発揮されるのであるが、反面、含水物質は、この液膜3に対して濡れ性が悪く、このため、含水物質と液膜3とが密着せず、液膜3と含水物質との間に気泡が巻き込まれてしまい、含水物が粘稠である場合には、この気泡が抜けず、含水物質と液膜3との界面部分に気泡が分布してしまい、この気泡が分布した表面形態が形成されてしまうこととなる。特に、油分(脂質)の少ない乳化物ほど、水分含量が多く、液膜3(油膜)に対する濡れ性がより低いため、上記のような傾向が大きいものと考えられる。
しかるに、本発明に従って、増粘水により液膜3が形成されている場合には、液膜3が高い親水性を示すため、乳化物が液膜3に対して高い濡れ性を示し、液膜3と密着するように液膜3上を流れ、この結果、気泡を巻き込み難く、従って、気泡が分布した表面形態の発生が有効に防止される。
しかも、増粘安定剤で増粘されている増粘水は、チキソトロピー性を示し、低荷重下では高い粘性を示し、この粘性により、基材1の表面に安定に保持され、従って、基材1の表面から脱落することなく、安定に保持された液膜3が形成されることとなる。さらに、そのチキソトロピー性により、高荷重下では、その粘性が大きく低下する。即ち、この増粘水により形成された液膜3上を高粘性の乳化物が流れるとき、液膜3の表面部分は、その応力によって低粘性化し、流動性が高められ、この結果、高粘性の乳化物は、液膜3上を、抵抗を受けることなく流れることとなり、このような乳化物に対して高い滑り性が得られることとなる。
また、液膜3上を粘稠な乳化物が流れた場合において、液膜3と基材1の表面との間にはほとんど応力を生じないため、この液膜3の基材1の表面に近い部分は高い粘性を示し、その高い粘性により基材1の表面にしっかりと保持されている。従って、粘稠な乳化物が繰り返し液膜3上を流れたときの液膜3の脱落や消耗を有効に回避することができ、これが、上記のような優れた滑り性が長期にわたって持続して発揮される要因と考えられる。
例えば、食用油などの油膜では、チキソトロピー性を示さないため、その表面を粘稠な乳化物が流れると、徐々に基材1の表面から脱落していき、滑り性の経時的に大きく低下していくこととなる。
<基材1>
本発明において、基材1は、その表面に増粘水による液膜3を保持することが可能である限り、その材質は特に制限されず、樹脂製、ガラス製、金属製、紙製等の任意の材質により用途に応じた形態を有していればよい。
特に、乳化物に対して、持続して優れた滑り性が発揮されるという観点から、基材1は、乳化物を流すための配管や乳化物が収容された容器や容器蓋などの形態を有していることが好適であり、このような乳化物と接触する面に、上記の液膜3が形成されていることが好適である。
また、気泡が分布した表面形態の生成を有効に防止するという本発明の特性を最大限に活かすという点で、基材1は透明性を有していることが好ましく、この点で、ガラス製及び合成樹脂製であることが望ましく、さらに、粘稠な乳化物に対しての滑り性が優れているという点で、基材1は、このような乳化物が収容される容器の成形に使用される合成樹脂製であることが最も好適である。
このような合成樹脂(以下、下地樹脂と呼ぶ)は、成形可能な任意の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂であってよいが、一般的には、成形が容易であるという観点から、熱可塑性樹脂であることが好ましい。
このような熱可塑性樹脂としては、例えば、以下のものを例示することができる。
オレフィン系樹脂、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテンあるいはエチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同士のランダムあるいはブロック共重合体、環状オレフィン共重合体など;
エチレン・ビニル系共重合体、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・塩化ビニル共重合体等;
スチレン系樹脂、例えば、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、ABS、α−メチルスチレン・スチレン共重合体等;
ビニル系樹脂、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等;
ポリアミド樹脂、例えば、ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン11、ナイロン12等;
ポリエステル樹脂、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、及びこれらの共重合ポリエステル等;
ポリカーボネート樹脂;
ポリフエニレンオキサイド樹脂;
生分解性樹脂、例えば、ポリ乳酸など;
勿論、成形性が損なわれない限り、これらの熱可塑性樹脂のブレンド物を、下地樹脂として使用することもできる。
本発明においては、上記の熱可塑性樹脂の中でも、粘稠な内容物を収容する容器素材として使用されているオレフィン系樹脂やポリエステル樹脂が好適であり、オレフィン系樹脂が最適である。
即ち、オレフィン系樹脂は、可撓性が高く、後述するダイレクトブロー成形による絞り出し容器(スクイズボトル)の用途にも使用されており、本発明をこのような容器に適用するという観点からもオレフィン系樹脂は適している。
また、かかる基材1は、上記のような熱可塑性樹脂の単層構造であってもよいし、複数の熱可塑性樹脂が組み合わされた多層構造を有するものであってもよく、特に透明性が要求されないのであれば、熱化成樹脂と紙との積層体であってもよい。
特に基材1が容器の形態を有する場合において、内面が、オレフィン系樹脂或いはポリエステル樹脂で形成されている場合には、中間層として、適宜接着剤樹脂の層を介して、酸素バリア層や酸素吸収層を積層し、さらに、内面を形成する下地樹脂(オレフィン系樹脂或いはポリエステル樹脂)と同種の樹脂が外面側に積層した構造を採用することができる。
かかる多層構造での酸素バリア層は、例えばエチレン−ビニルアルコール共重合体やポリアミドなどの酸素バリア性樹脂により形成されるものであり、その酸素バリア性が損なわれない限りにおいて、酸素バリア性樹脂に他の熱可塑性樹脂がブレンドされていてもよい。
また、酸素吸収層は、特開2002−240813号等に記載されているように、酸化性重合体及び遷移金属系触媒を含む層であり、遷移金属系触媒の作用により酸化性重合体が酸素による酸化を受け、これにより、酸素を吸収して酸素の透過を遮断する。このような酸化性重合体及び遷移金属系触媒は、上記の特開2002−240813号等に詳細に説明されているので、その詳細は省略するが、酸化性重合体の代表的な例は、第3級炭素原子を有するオレフィン系樹脂(例えばポリプロピレンやポリブテン−1等、或いはこれらの共重合体)、熱可塑性ポリエステル若しくは脂肪族ポリアミド;キシリレン基含有ポリアミド樹脂;エチレン系不飽和基含有重合体(例えばブタジエン等のポリエンから誘導される重合体);などである。また、遷移金属系触媒としては、鉄、コバルト、ニッケル等の遷移金属の無機塩、有機酸塩或いは錯塩が代表的である。
各層の接着のために使用される接着剤樹脂はそれ自体公知であり、例えば、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などのカルボン酸もしくはその無水物、アミド、エステルなどでグラフト変性されたオレフィン樹脂;エチレン−アクリル酸共重合体;イオン架橋オレフィン系共重合体;エチレン−酢酸ビニル共重合体;などが接着性樹脂として使用される。
上述した各層の厚みは、各層に要求される特性に応じて、適宜の厚みに設定されればよい。
さらに、上記のような多層構造の基材1を成形する際に発生するバリ等のスクラップをオレフィン系樹脂等のバージンの樹脂とブレンドとしたリグライド層を内層として設けることも可能であるし、オレフィン系樹脂或いはポリエステル樹脂により表面が形成されている基材1において、その他方の面をポリエステル樹脂或いはオレフィン系樹脂により形成することも勿論可能である。
本発明における基材1は、粘稠な乳化物に対して優れた滑り性を示すため、このような乳化物が収容される容器として使用されることが最適である。
容器の形状は、特に制限されず、カップまたはコップ状、ボトル状、袋状(パウチ)、シリンジ状、ツボ状、トレイ状等、容器材質に応じた形態を有していてよく、延伸成形されていてもよく、それ自体公知の方法で成形される。
図2には、本発明の基材1の最も好適な形態であるダイレクトブローボトルが示されている。このボトルは、マヨネーズ様食品等の粘稠な乳化物が収容される容器として広く普及している。
図2において、全体として10で示されるこのボトルは、螺条を備えた首部11、肩部13を介して首部11に連なる胴部壁15及び胴部壁15の下端を閉じている底壁17を有しており、このようなボトルの内面に液膜3が形成されることとなる。
かかるボトル10は、粘稠な物質の収容に好適に使用され、胴部壁15をスクイズすることにより、内部に収容された粘稠な物質を排出するというものであり、このようなボトルの内面に、増粘水による液膜3が形成され、内容物に対する滑り性及びその持続性が向上していれば、このような内容物を速やかに排出することができるし、しかも、その全量を排出し、該内容物を使い切ることも可能となる。
<液膜3>
本発明において、上記のような基材1の表面に設けられる液膜3は、先にも述べたように、増粘安定剤により増粘された水(増粘水)により形成される。
即ち、増粘安定剤により増粘された水は、非ニュートン流体であり、チキソトロピー性を示し、このような粘度特性により、基材1の表面に安定に保持され、且つ粘稠な乳化物に対して高い滑り性及びその持続性を示す。
例えば、かかる液膜3の形成に使用される増粘水は、回転数20rpmで測定した粘度(25℃)が690mPa・s以上、特に1200〜15300mPa・sの範囲にあることが好ましい。即ち、この粘度が小さ過ぎると、液膜3が基材体1の表面から流れ落ち易くなり、液膜3の保持が困難となり、滑り性の持続性も低下するおそれがある。また、粘度が大き過ぎると、滑落速度が遅くなり、経時とともに潤滑機能が低下してしまい、性能を十分発揮できない恐れがある。
また、例えば、水100gに増粘安定剤としてキサンタンガム1gを混合した増粘水は、回転数20rpmでの粘度が1200mPa・s、回転数1rpmでの粘度が14997mPa・sであり、チキソトロピー性を有している。このように、チキソトロピー性を有することで、初期滑り性を大きくし且つその持続性を大きく向上させることができる。チキソトロピー性が小さい(粘度差が小さい)と、初期滑り性が低くなる傾向があり、しかも、基材1表面での増粘水が安定に保持されず、増粘水上を物質が流れるごとに、滑り性が低下していく傾向が大きく、滑り性の持続性が不満足となってしまう恐れがある。
本発明において、水に上記のような粘度特性を持たせるために使用される増粘安定剤としては、特に制限されず、天然系ものや界面活性剤系のものなど、用途に応じて適宜のものを使用することができるが、特に食品類に対する滑り性を高めるという観点からは、安全性を考慮して天然系のもの、例えば、キサンタンガム、ジェランガム、グアーガム、カラギーナン、カルボキシメチルセルロース(CMC)、アルギン酸、アルギン酸カルシウム、ゼラチン、タマリンドガム、ペクチン、寒天などが好適に使用され、特に、キサンタンガム、グアーガム、ジェランガム、ペクチン、カルボキシルメチルセルロース、ゼラチン、アルギン酸、寒天、カラギーナンなどが最も好適である。そして、増粘安定剤としてはいずれか1つ、あるいは、これらを混合したものが使用される。
このような増粘安定剤は、上記のような粘度特性が得られるような量で使用され、通常、その種類によっても異なるが、水100質量部当り、0.5〜5質量部程度の量で使用される。
このような増粘安定剤によって増粘された増粘水によって形成される液膜の量は、その優れた滑り性を長期にわたって発現させるという観点から、通常、0.65〜6.56mg/cm、特に2.62〜4.37mg/cmの量で基材の表面に形成されることが好適である。この量が多すぎると、液膜3を安定に保持することが困難となり、滑り性の変動を生じ易く、量が少なすぎると、滑り性の持続性が低下するおそれがある。
上記のような増粘水による液膜3の形成は、増粘安定剤と水とを混合した液体を、撹拌して増粘水を調製し、この増粘水を基材1の表面部分(乳化物と接触する部分)に塗布することにより行われる。
塗布手段としては、基材1の形態に応じて、スプレー噴霧、ナイフコーティング、ロールコーティング等、それ自体公知の手段で行うことができるが、増粘水がチキソトロピー性を有していることから、スプレー噴霧が最も好適に採用される。
上述した本発明の基材1は、粘稠な含水物質に対して優れた滑り性及びその持続性を示すため、特に、粘度(25℃)が100mPa・s以上の粘稠な含水物質を収容する容器、特にダイレクトブロー容器として好適に使用され、例えば、マヨネーズ様食品、ドレッシング、乳液等の化粧液などを収容するために好適に使用され、特に脂質含量が34%以下の低脂質のマヨネーズ様食品を収容する用途に最も好適である。
本発明を次の実験例にて説明する。
各実施例、比較例にて使用した容器、液膜、内容物は次のとおりである。
<容器>
下記の層構成を有する多層構造を有し、且つ内容量400gの多層ダイレクトブローボトルを供した。
内層:低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)
中間層:エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)
外層:低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)
接着層(内外層と中間層との間):酸変性ポリオレフィン
<液膜>
水:純水
増粘安定剤:キサンタンガム
表1に示す量の水と増粘安定剤を混合し、液膜用の液体を調製し、規定の塗布量を、エアースプレーを用いて容器の内面に均一となるように塗布した。
<液膜の粘度測定>
デジタル粘度計(Brookfield製)のLVスピンドル LV4を用いて、25℃、それぞれの回転数でスピンドルを1分間回転させ、粘度測定を行った。
<内容物>
マヨネーズ様食品として、水中油型乳化物(脂質含有量=34%、粘度=1260mPa・s)を用いた。なお、粘度は音叉型振動式粘度計SV−10((株)エー・アンド・デイ製)を用いて25℃で測定した値である。
各実施例、各比較例の内容物を用いて滑り性の評価方法は次の通りである。
<滑り性評価>
ボトル内に、噴霧ノズルを底まで挿入し、液体を噴霧しながら引き上げることによりボトル底部から側壁全面に塗布した。この容器内面に液膜が形成されているボトル内に、内容物であるマヨネーズ様食品を常法で400g充填し、ボトル口部をアルミ箔でヒートシールし、キャップで密封して充填ボトルを得た。
内容物が充填された充填ボトルを23℃で1週間保管した(初期ボトル)。
初期ボトルを、表1に示す各保管期間・温度にて更に保管したボトルについて、胴部を押し、ボトル口部を通して内容物を最後まで搾り出した後、このボトル内に空気を入れ形状を復元させた。
次いで、このボトルを倒立(口部を下側)にして1時間保管した後のボトル胴部壁の内容物滑り性の程度(胴部壁に内容物が付着していない程度)を測定し、次の式で内容物付着率を計算した。
内容物付着率(%)
=(内容物が付着している表面積/ボトル胴部壁表面積)×100
上記で計算された内容物付着率から、滑り性を次の基準で評価した。
○:内容物付着率が10%未満
△:内容物付着率が10%以上で50%未満
×:内容物付着率が50%以上
〔実施例1〜8〕
成形したボトルに、表1中に示す量の液膜用の液体を、エアースプレーにて塗布し、内容物を充填後、数回内容物を動かした後、気泡の発生確認を行った。その後、滑り性を評価した。
〔比較例1〕
成形したボトルに、水をエアースプレーにて塗布し、内容物を充填後、数回内容物を動かした後、気泡の発生確認を行った。その後、滑り性を評価した。
〔比較例2〕
成形したボトルに、食用油をエアースプレーにて塗布し、内容物を充填後、数回内容物を動かした後、気泡の発生確認を行った。その後、滑り性を評価した。
表1に示す評価結果から分かるように、液膜は増粘安定剤により増粘された水により形成され、回転数20rpmで測定した粘度(25℃)が690mPa・s以上、特に1200〜15300mPa・sの範囲にあることが、滑り性を発揮し、気泡を形成しないためには好適である。また、液膜は、0.65〜6.56mg/cm、特に2.62〜4.37mg/cmの量で基材表面に形成されることが滑り性を発揮するのに好適である。
1:基材
3:液膜
10:ダイレクトブローボトル
11:首部
13:肩部
15:胴部壁
17:底壁

Claims (7)

  1. 基材の表面に液膜が形成されている構造体において、該液膜は、増粘安定剤により増粘された水により形成されていることを特徴とする構造体。
  2. 前記水は、回転数20rpmで測定した粘度(25℃)が690mPa・s以上の範囲にある請求項1に記載の構造体。
  3. 前記増粘安定剤として、キサンタンガム、グアーガム、ジェランガム、ペクチン、カルボキシルメチルセルロース、ゼラチン、アルギン酸、寒天、またはカラギーナンのいずれか1つ、あるいは、それらを混合して使用されている請求項1〜2の何れかに記載の構造体。
  4. 前記液膜は、0.65〜6.56mg/cmの量で前記基材の表面に形成されている請求項1〜3の何れかに記載の構造体。
  5. 前記基材が容器である請求項1〜4の何れかに記載の構造体。
  6. 前記容器が、乳化物を内容物として収容されるものである請求項5に記載の構造体。
  7. 前記乳化物が、マヨネーズ様食品である請求項6に記載の構造体。
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