以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は、第1の実施の形態における印刷システムの構成例を示す図である。
図1に示される印刷システム1おいて、拠点A、拠点B、及び拠点C等の各拠点は、例えば、或る企業の事業所又はオフィス等の活動拠点である。例えば、拠点Aは、地域Aの拠点であり、拠点Bは、地域Bの拠点であり、拠点Cは、地域Cの拠点であってもよい。地域A〜Cは、県が異なっていてもよいし、国が異なっていてもよい。また、四つ以上の拠点が、存在してもよい。なお、拠点Aに属する装置の符号の末尾には、「a」が付与され、拠点Bに属する装置の符号の末尾には、「b」が付与され、拠点Cに属する装置の符号の末尾には、「c」が付与される。拠点A、拠点B、及び拠点Cの各装置を区別しない場合、符号の末尾の「a」、「b」、又は「c」は省略される。
各拠点は、拠点サーバ10、一以上のクライアント端末30、及び一以上の画像形成装置20等を含む。拠点サーバ10と、各クライアント端末30及び各画像形成装置20とは、LAN(Local Area Network)又はインターネット等のネットワークを介して通信可能に接続されている。すなわち、各拠点サーバ10は、相互に異なる画像形成装置20に対応している。
クライアント端末30は、例えば、拠点において業務を行う各ユーザが利用する端末である。例えば、ノートPC等が、クライアント端末30として利用されてもよい。本実施の形態において、クライアント端末30は、ユーザから文書データの印刷指示を受け付ける。クライアント端末30は、印刷指示の対象とされた文書データについて、印刷データを生成し、当該クライアント端末30のユーザの識別情報(以下、「ユーザ名」という。)、当該印刷データの識別情報、及び当該クライアント端末30の識別名(以下、「端末名」という。)等を、当該クライアント端末30と同じ拠点に属する拠点サーバ10に対して送信する。印刷指示において、拠点サーバ10が印刷データの保存先として指定された場合、クライアント端末30は、印刷データも当該拠点サーバ10に送信する。一方、印刷指示において、クライアント端末30が印刷データの保存先として指定された場合、クライアント端末30は、印刷データを拠点サーバ10に送信せずに、保存する。
なお、端末名は、クライアント端末30が所属する拠点が異なっても変化しない識別情報である。一方、クライアント端末30のIPアドレスは、クライアント端末30が所属する拠点に応じて変化しうる。例えば、各拠点は、相互に異なるIPアドレスの体系を有し、クライアント端末30のIPアドレスは、それぞれの拠点において割り当てられる。
また、印刷データは、例えば、PDL(Page Description Language)形式のデータ等、印刷ジョブにおいて印刷イメージの描画に利用されるデータである。
拠点サーバ10は、クライアント端末30から送信されるユーザ名及び印刷データの識別情報を含む情報(以下、「ジョブ情報」という。)を印刷データごとに記憶する。また、拠点サーバ10は、クライアント端末30から印刷データが送信された場合には、当該印刷データも記憶する。ジョブ情報には、印刷データの保存先を示す情報も含まれる。例えば、印刷データの保存先が拠点サーバ10である場合、当該情報の値は、拠点サーバ10を示す値である。一方、印刷データの保存先がクライアント端末30である場合、当該情報の値は、当該クライアント端末30の端末名である。本実施の形態において、拠点サーバ10は、一つの拠点に一つで設置される。但し、一つの拠点に複数の拠点サーバ10が設置されてもよい。
画像形成装置20は、複合機又はプリンタ等、印刷機能を有する機器である。画像形成装置20は、ユーザによる操作に応じ、当該画像形成装置20と同一の拠点に属する拠点サーバ10に、ジョブ情報の取得要求を送信する。画像形成装置20は、当該取得要求に応じて返信されるジョブ情報の中から、ユーザによって選択されたジョブ情報に含まれている保存先を示す情報等に基づいて、当該ジョブ情報に係る印刷データを取得する。各画像形成装置20には、予め、ジョブ情報の取得先として、当該画像形成装置20と同一拠点に属する拠点サーバ10の宛先情報が設定されている。
管理サーバ40は、複数の拠点のそれぞれの拠点サーバ10と、インターネット又はLAN等のネットワークを介して通信可能に接続されるコンピュータである。管理サーバ40は、ジョブ情報や印刷データについて、拠点サーバ10間を跨った流通を実現するための処理を実行する。例えば、管理サーバ40は、拠点Aの画像形成装置20aによる、拠点Bの拠点サーバ10b又はクライアント端末30bに記憶されている印刷データに基づく印刷ジョブの実行を可能とするための処理を実行する。
なお、管理サーバ40は、唯一の存在でなくてもよい。例えば、所定数の拠点の集合ごとに、管理サーバ40が設置されてもよい。また、管理サーバ40は、いずれかの拠点に属していてもよい。例えば、いずれかの拠点サーバ10が、管理サーバ40として機能してもよい。
図2は、第1の実施の形態における拠点サーバのハードウェア構成例を示す図である。図2の拠点サーバ10は、それぞれバスBで相互に接続されているドライブ装置100、補助記憶装置102、メモリ装置103、CPU104、及びインタフェース装置105等を有する。
拠点サーバ10での処理を実現するプログラムは、CD−ROM等の記録媒体101によって提供される。プログラムを記憶した記録媒体101がドライブ装置100にセットされると、プログラムが記録媒体101からドライブ装置100を介して補助記憶装置102にインストールされる。但し、プログラムのインストールは必ずしも記録媒体101より行う必要はなく、ネットワークを介して他のコンピュータよりダウンロードするようにしてもよい。補助記憶装置102は、インストールされたプログラムを格納すると共に、必要なファイルやデータ等を格納する。
メモリ装置103は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置102からプログラムを読み出して格納する。CPU104は、メモリ装置103に格納されたプログラムに従って拠点サーバ10に係る機能を実行する。インタフェース装置105は、ネットワークに接続するためのインタフェースとして用いられる。
なお、各拠点サーバ10は、それぞれ図2に示されるような構成を有する複数のコンピュータによって実現されてもよい。また、管理サーバ40も、拠点サーバ10と同様のハードウェア構成を有していてもよい。
図3は、第1の実施の形態における印刷システムの機能構成例を示す図である。図3において、クライアント端末30は、設定受付部31、登録要求部32、印刷指示受付部33、印刷データ生成部34、ジョブ情報送信部35、及びクライアントデータ管理部36等を有する。これら各部は、クライアント端末30にインストールされた1以上のプログラムが、クライアント端末30のCPUに実行させる処理により実現される。クライアント端末30は、また、サーバ情報記憶部37及びクライアントデータ記憶部38等を有する。これら各記憶部は、例えば、クライアント端末30の補助記憶装置等を用いて実現可能である。
設定受付部31は、印刷システム1を利用可能とするための設定情報の入力を、ユーザから受け付ける。具体的には、当該クライアント端末30が属する拠点における拠点サーバ10の識別情報(以下、「サーバ情報」という。)が、斯かる設定情報として入力される。設定受付部31は、受け付けたサーバ情報を、サーバ情報記憶部37に記憶する。なお、サーバ情報の一例として、拠点サーバ10のIPアドレスが挙げられる。
登録要求部32は、例えば、ユーザによる操作に応じ、当該クライアント端末30の端末名及びIPアドレスの登録要求を、サーバ情報記憶部37に記憶されているサーバ情報に係る拠点サーバ10に送信する。
印刷指示受付部33は、クライアント端末30に保存されている文書データ、又はクライアント端末30において編集中の文書データ等について、ユーザから印刷指示を受け付ける。印刷指示においては、当該文書データに関して生成される印刷データの保存先も指定される。
印刷データ生成部34は、印刷指示において印刷対象として指定された文書データに関して、印刷データを生成する。
ジョブ情報送信部35は、印刷データ生成部34によって生成された印刷データの識別情報(以下、「ジョブ名」という。)、クライアント端末30のログインユーザ名、及びクライアント端末30の端末名等を含むジョブ情報を、サーバ情報記憶部37に記憶されているサーバ情報に係る拠点サーバ10に送信する。ジョブ情報送信部35は、また、印刷データの保存先として拠点サーバ10が指定された場合には、印刷データを拠点サーバ10に送信し、印刷データの保存先としてクライアント端末30が指定された場合には、印刷データをクライアントデータ記憶部38に記憶する。
クライアントデータ管理部36は、画像形成装置20からの印刷データの取得要求に応じ、当該印刷データをクライアントデータ記憶部38から取得する。クライアントデータ管理部36は、取得された印刷データを、取得要求の送信元の画像形成装置20に返信する。
拠点サーバ10は、登録要求中継部121、ジョブ情報受信部122、保存情報送信部123、ジョブリスト要求受信部124、保存先照会部125、ジョブ情報収集部126、ジョブリスト返信部127、及びサーバデータ管理部128等を有する。これら各部は、拠点サーバ10にインストールされた1以上のプログラムが、CPU104に実行させる処理により実現される。拠点サーバ10は、また、ジョブ情報記憶部131及びサーバデータ記憶部132等を有する。これら各記憶部は、例えば、補助記憶装置102を用いて実現可能である。又は、拠点サーバ10にネットワークを介して接続される記憶装置を用いて、これら各記憶部が実現されてもよい。
登録要求中継部121は、クライアント端末30の登録要求部32によって送信される、当該クライアント端末30の端末名及びIPアドレスの登録要求を受信し、当該登録要求を管理サーバ40に転送する。
ジョブ情報受信部122は、クライアント端末30から送信されるジョブ情報を受信する。ジョブ情報受信部122は、受信したジョブ情報をジョブ情報記憶部131に記憶する。ジョブ情報受信部122は、また、クライアント端末30から印刷データが受信された場合には、当該印刷データをジョブ情報に関連付けてサーバデータ記憶部132に記憶する。
保存情報送信部123は、ジョブ情報受信部122によって受信されたジョブ情報に係るユーザのユーザ名と、当該拠点サーバ10の識別情報(以下、「拠点サーバ名」という。)とを、管理サーバ40に送信する。すなわち、保存情報送信部123は、当該拠点サーバ10に、当該ユーザ名に係るユーザのジョブ情報が保存されたことを管理サーバ40に通知する。以下、保存情報送信部123によって通知される情報を「保存情報」という。
ジョブリスト要求受信部124は、画像形成装置20のログインユーザに係るジョブ情報の一覧(以下、「ジョブリスト」という。)の取得要求を画像形成装置20から受信する。保存先照会部125は、ジョブリストの取得要求に係るユーザに対応するジョブ情報の保存先の拠点サーバ10を、管理サーバ40に照会する。すなわち、管理サーバ40は、各拠点サーバ10から受信される保存情報に基づいて、各ユーザに対応するジョブ情報を記憶する拠点サーバ10を特定することができる。ジョブ情報収集部126は、保存先照会部125による照会結果に基づいて、当該拠点サーバ10又は他の拠点サーバ10から、ジョブリストの取得要求に係るユーザに対応するジョブ情報を収集する。ジョブリスト返信部127は、ジョブ情報収集部126によって収集されたジョブリストを、ジョブリストの取得要求の送信元の画像形成装置20に返信する。サーバデータ管理部128は、ジョブリストの中から選択されたジョブ情報に係る印刷データの取得要求に応じ、当該印刷データをサーバデータ記憶部132から取得する。サーバデータ管理部128は、取得された印刷データを、取得要求の送信元の画像形成装置20に返信する。
管理サーバ40は、クライアント登録部41、保存情報受信部42、保存先応答部43、及びクライアント情報応答部44等を有する。これら各部は、管理サーバ40にインストールされた1以上のプログラムが、管理サーバ40のCPUに実行させる処理により実現される。管理サーバ40は、また、クライアント情報記憶部45、保存情報記憶部46、及び拠点サーバリスト記憶部47等を有する。これら各記憶部は、例えば、管理サーバ40が有する補助記憶装置を用いて実現可能である。又は、管理サーバ40にネットワークを介して接続される記憶装置を用いて、これら各記憶部が実現されてもよい。
クライアント登録部41は、各拠点サーバ10によって中継される、クライアント端末30の端末名及びIPアドレスの登録要求を受信し、当該端末名及び当該IPアドレスを対応付けてクライアント情報記憶部45に記憶する。すなわち、各クライアント端末30の端末名とIPアドレスとは、管理サーバ40において一元的に管理される。
保存情報受信部42は、各拠点サーバ10の保存情報送信部123から送信される保存情報を受信する。保存情報受信部42は、受信した保存情報を保存情報記憶部46に記憶する。したがって、保存情報記憶部46には、ユーザ名に関連付けられて、当該ユーザ名に係るユーザに対応するジョブ情報の保存先の拠点サーバ10の拠点サーバ名が記憶される。
保存先応答部43は、各拠点サーバ10の保存先照会部125からの照会要求に応じ、当該照会要求に含まれているユーザ名に関連付けられて保存情報記憶部46に記憶されている拠点サーバ名の一覧を返信する。
クライアント情報応答部44は、各拠点サーバ10のジョブ情報収集部126から送信される、クライアント端末30のIPアドレスの取得要求に応じ、当該取得要求に含まれている端末名に対応付けられてクライアント情報記憶部45に記憶されているIPアドレスを返信する。
拠点サーバリスト記憶部47には、拠点サーバ10ごとに、拠点サーバ名とIPアドレスとが対応付けられて記憶されている。
画像形成装置20は、入力制御部21、表示制御部22、ログイン制御部23、ジョブリスト取得部24、データ取得部25、及びジョブ実行部26等を有する。これら各部は、画像形成装置20にインストールされた1以上のプログラムが、画像形成装置20のCPUに実行させる処理により実現される。
入力制御部21は、例えば、画像形成装置20が有する操作パネルを介して入力されるユーザの指示を解釈する。表示制御部22は、画像形成装置20が実行する処理の進行において生成される情報を、操作パネルに表示させる。ログイン制御部23は、画像形成装置20に対するユーザのログイン処理を制御する。
ジョブリスト取得部24は、画像形成装置20に対して参照先として設定されている拠点サーバ10から、ログインユーザに係るジョブリストを取得する。
データ取得部25は、操作パネルに表示されたジョブリストの中からユーザによって選択されたジョブ情報に係る印刷データを取得する。ジョブ実行部26は、データ取得部25によって取得された印刷データの印刷を制御する。
以下、印刷システム1において実行される処理手順について説明する。図4は、印刷指示に関して実行される処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。
まず、印刷指示が行われる前に、クライアント端末30の登録指示がユーザによってクライアント端末30に入力される。クライアント端末30の登録要求部32は、サーバ情報記憶部37に記憶されているサーバ情報に係る拠点サーバ10に、当該クライアント端末30の端末名及びIPアドレスを含む登録要求を送信する(S101)。
なお、サーバ情報は、例えば、図5に示されるサーバ情報設定画面を介して予めクライアント端末30に設定され、サーバ情報記憶部37に記憶されている。
図5は、サーバ情報設定画面の表示例を示す図である。図5において、サーバ情報設定画面510は、領域511、領域512、及び領域513等を含む。
領域511には、フェイルオーバの動作時に有効にする拠点サーバ10のセカンダリサーバを設定するチェックボックスが含まれる。フェイルオーバの動作時に有効にするセカンダリサーバを設定するチェックボックスがチェックされると、選択したセカンダリサーバの設定欄が有効となる。
また、領域511には、クライアント端末30がプライマリサーバである拠点サーバ10からの応答を待機する時間を接続タイムアウトとして設定するエディットボックスが含まれる。領域512には、拠点サーバ10のプライマリサーバのIPアドレスまたはホスト名を設定するエディットボックス、及びポート番号を設定するエディットボックスが含まれる。領域513には、拠点サーバ10のセカンダリサーバのIPアドレスまたはホスト名を設定するエディットボックス、及びポート番号を設定するエディットボックスが含まれる。また、領域512及び513には、また、設定されたIPアドレスまたはホスト名、及びポート番号による拠点サーバ10への接続を確認するための接続テストボタンが含まれる。
なお、上記では、拠点サーバ10についてセカンダリサーバが有る例が示されているが、セカンダリサーバは、設置されなくてもよい。この場合、セカンダリサーバに関する設定は不要である。
拠点サーバ10の登録要求中継部121は、当該登録要求を受信すると、当該登録要求を管理サーバ40に転送する(S102)。なお、各拠点サーバ10には、予め管理サーバ40のIPアドレス等が設定されている。
管理サーバ40のクライアント登録部41は、当該登録要求を受信すると、当該登録要求に含まれている端末名とIPアドレスとを対応付けて、クライアント情報記憶部45に記憶する。
図6は、クライアント情報記憶部の構成例を示す図である。図6に示されるように、クライアント情報記憶部45には、各クライアント端末30の端末名及びIPアドレスが対応付けて記憶される。
管理サーバ40のクライアント登録部41は、登録要求に含まれている端末名に係るレコードが、既にクライアント情報記憶部45に記憶されている場合には、当該登録要求に含まれているIPアドレスによって、当該レコードに記憶されているIPアドレスを上書きする。したがって、或るクライアント端末30が所属する拠点が変化した場合、クライアント情報記憶部45には、変化後の拠点において割り当てられたIPアドレスが、当該クライアント端末30の端末名に対応付けられて記憶される。
なお、ステップS101は、クライアント端末30が、或る拠点において初めて印刷指示が行われる前に実行される。すなわち、ステップS101は、クライアント端末30の接続先の拠点サーバ10が切り替えられるたびに実行される。例えば、サーバ情報の設定に応じて、ステップS101が自動的に実行されてもよい。また、クライアント端末30が、或る拠点において初めて印刷指示を受けた場合に、登録要求部32が、自動的にステップS101を実行してもよい。或る拠点において初めての印刷指示であるか否かは、例えば、クライアント端末30に対して割り当てられるIPアドレスの変更後の初めての印刷指示であるか否かに基づいて判定されてもよい。
続いて、クライアント端末30の印刷指示受付部33が、或る文書データを印刷対象とした印刷指示を受け付けると(S103)、印刷データ生成部34は、当該文書データに関して印刷データを生成する。続いて、ジョブ情報送信部35は、当該印刷データに関するジョブ情報を、サーバ情報記憶部37に記憶されているサーバ情報に係る拠点サーバ10に送信する(S104)。当該拠点サーバ10のジョブ情報受信部122は、当該ジョブ情報を受信すると、当該ジョブ情報を、ジョブ情報記憶部131に記憶する。
図7は、ジョブ情報記憶部の構成例を示す図である。図7において、ジョブ情報記憶部131は、印刷データごとに、ジョブ名、ユーザ名、及び保存先等を記憶する。ジョブ名は、当該印刷データの識別情報である。ユーザ名は、当該印刷データに係る印刷指示の入力元のユーザのユーザ名である。保存先は、印刷データの保存先の識別情報である。印刷データの保存先が、クライアント端末30である場合、保存先の値は、当該クライアント端末30の端末名である。印刷データの保存先が、拠点サーバ10である場合、保存先の値は、当該拠点サーバ10の拠点サーバ名である。
なお、印刷データの保存先が拠点サーバ10である場合、ステップS104において、ジョブ情報送信部35は、ジョブ情報と共に印刷データを拠点サーバ10に送信する。当該拠点サーバ10のジョブ情報受信部122は、当該印刷データを、例えばジョブ名に関連付けてサーバデータ記憶部132に記憶する。
続いて、拠点サーバ10の保存情報送信部123は、当該ジョブ情報に関するユーザ名と、当該拠点サーバ10の拠点サーバ名とを含む保存情報を、管理サーバ40に送信する(S105)。管理サーバ40の保存情報受信部42は、当該保存情報を受信すると、当該保存情報を保存情報記憶部46に記憶する。
図8は、保存情報記憶部の構成例を示す図である。図8に示されるように、保存情報記憶部46には、ジョブ情報に係るユーザ名と、当該ジョブ情報が記憶された拠点サーバ10の拠点サーバ名とが対応付けられて記憶される。
続いて、ステップS103及びS104に関してクライアント端末30が実行する処理の詳細について説明する。
図9は、第1の実施の形態において印刷指示に応じてクライアント端末が実行する処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
ステップS201において、印刷指示受付部33は、ユーザから印刷指示を受け付ける。印刷指示においては、印刷対象の文書データや印刷データの保存先等が指定される。印刷データの保存先は、例えば、印刷属性(印刷条件)の設定を受け付けるための画面等を介して受け付けられてもよい。
続いて、印刷データ生成部34は、印刷対象として指定された文書データについて、印刷データを生成する(S202)。
続いて、ジョブ情報送信部35は、印刷データの保存先が、拠点サーバ10であるか否かを判定する(S203)。印刷データの保存先が拠点サーバ10である場合(S203でYes)、ジョブ情報送信部35は、ジョブ名及びログインユーザのユーザ名を含むジョブ情報と、生成された印刷データとを拠点サーバ10に送信する(S204)。ジョブ情報等の送信先の拠点サーバ10は、サーバ情報記憶部37に記憶されているサーバ情報に基づいて特定される。また、ジョブ名は、例えば、印刷対象の文書データのファイル名等に基づいて生成される。
一方、印刷データの保存先がクライアント端末30である場合(S203でNo)、ジョブ情報送信部35は、ジョブ名、ログインユーザのユーザ名、及び当該クライアント端末30の端末名を含むジョブ情報を、拠点サーバ10に送信する(S205)。続いて、ジョブ情報送信部35は、印刷データを、ジョブ名に関連付けてクライアントデータ記憶部38に記憶する(S206)。
続いて、印刷時に実行される処理手順について説明する。ここでは、図10に示されるような状況を想定する。図10は、印刷時に実行される処理手順の説明において想定される状況を示す図である。
図10において、クライアント端末30aは、当初、拠点Aのネットワークに接続している。したがって、クライアント端末30aは、拠点Aにおいて、図4において説明した処理を実行する。図10において、r1は、クライアント端末30aの端末名及びIPアドレスを含む登録要求に相当する。したがって、この時点において、クライアント端末30aの端末名に対応付けられて、拠点Aにおいてクライアント端末30aに対して割り当てられたIPアドレスが、クライアント情報記憶部45に記憶される。また、j1は、ジョブ情報に相当する。当該ジョブ情報は、拠点サーバ10aに記憶される。なお、ここでは、印刷データは、クライアント端末30aに記憶されたこととする。更に、n1は、ジョブ情報の受信に応じて送信される、保存情報である。すなわち、ユーザAに関するジョブ情報が拠点サーバ10aに記憶されたことが、管理サーバ40に登録される。
その後、クライアント端末30aのユーザ(ユーザA)が、クライアント端末30aを携帯して、拠点Bに移動したとする。この際、ユーザAは、クライアント端末30aの設定受付部31aを介して、拠点Bの拠点サーバ10bに関するサーバ情報を設定する。したがって、サーバ情報記憶部37aには、拠点サーバ10bに関するサーバ情報が記憶される。続いて、クライアント端末30aは、拠点Bのネットワークに接続して、図4のステップS101を実行する。すなわち、図10において、r2は、クライアント端末30aの端末名及びIPアドレスを含む登録要求に相当する。したがって、この時点において、クライアント端末30aの端末名に対応付けられて、拠点Bにおいてクライアント端末30aに対して割り当てられたIPアドレスがクライアント情報記憶部45に記憶される。すなわち、登録要求r1に基づいてクライアント情報記憶部45に記憶されたレコードが、登録要求r2に基づいて更新される。
その後、クライアント端末30aが、拠点Bのネットワークに接続された状態で、ユーザAが、拠点Cに移動し、拠点Cの画像形成装置20cに対して、印刷指示を入力する場合を想定する。
図11は、第1の実施の形態において印刷時に実行される処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。なお、図11の説明において、図3に示した各部の符号の末尾には、当該各部を含む具体的な装置の符号の末尾に付与されているa、b、又はcが付与される。
ステップS301において、ユーザAは、画像形成装置20cの操作パネルに表示されているログイン画面を介してログイン要求を入力する。ログイン要求において、例えば、ユーザAのユーザ名(userA)及びパスワード等が入力される。画像形成装置20cの入力制御部21cが、当該ログイン要求を検知すると、ログイン制御部23cは、当該ログイン要求に伴って入力されたユーザ名等について認証を行う。なお、認証は、公知の方法に基づいて行われてもよい。認証に成功すると、ログイン制御部23cは、ユーザAによる画像形成装置20cの利用を可能な状態にする(S302)。例えば、ログイン画面が消去されて、画像形成装置20cの機能の利用指示の入力を待ち受けるための画面が表示される。
続いて、入力制御部21cが、ジョブリストの取得指示の入力を検知すると(S303)、ジョブリスト取得部24cは、ジョブリストの取得要求を、拠点サーバ10cに送信する(S304)。当該取得要求には、画像形成装置20cのログインユーザのユーザ名(「userA」)が含まれる。なお、画像形成装置20cには、予め、拠点サーバ10cのIPアドレス等が設定されている。
拠点サーバ10cのジョブリスト要求受信部124cによって当該取得要求が受信されると、保存先照会部125cは、当該取得要求に係るユーザのジョブ情報の保存先の照会要求を、管理サーバ40に送信する(S305)。当該照会要求には、当該取得要求に含まれていたユーザ名(「userA」)が含まれる。
管理サーバ40の保存先応答部43は、当該照会要求を受信すると、当該照会要求に含まれているユーザ名に対応付けられている拠点サーバ名を、保存情報記憶部46から取得する。図10の例に基づけば、拠点サーバ10aの拠点サーバ名が取得される。なお、仮に、ユーザAが、拠点Bにおいても印刷指示を行っていた場合、拠点サーバ10bの拠点サーバ名も取得される。保存先応答部43は、取得された拠点サーバ名に対応するIPアドレスを、拠点サーバリスト記憶部47から取得する。
図12は、拠点サーバリスト記憶部の構成例を示す図である。図12に示されるように、拠点サーバリスト記憶部47には、拠点サーバ10ごとに、当該拠点サーバ10の拠点サーバ名に対応付けられて当該拠点サーバ10のIPアドレスが記憶されている。
保存先応答部43は、拠点サーバリスト記憶部47から取得されたIPアドレスを、保存先照会部125cに返信する(S306)。なお、各拠点サーバ10において、他の拠点サーバ10の拠点サーバ名に対応付けられて当該他の拠点サーバ10のIPアドレスが記憶されている場合には、ステップS306において、保存情報記憶部46から取得された拠点サーバ名が返信されてもよい。
保存先照会部125cによって、当該IPアドレスが受信されると、ジョブ情報収集部126cは、当該IPアドレスに係る拠点サーバ10aに対して、ジョブリストの取得要求を送信する(S307)。当該取得要求には、ステップS304において受信されたジョブリストの取得要求に含まれていたユーザ名が含められる。なお、複数のIPアドレスが保存先応答部43から返信された場合、各IPアドレス宛に、ジョブリストの取得要求が送信される。
拠点サーバ10aのジョブリスト要求受信部124aによって、当該取得要求が受信されると、ジョブリスト返信部127aは、当該取得要求に含まれているユーザ名を含むジョブ情報を、ジョブ情報記憶部131aから取得する。続いて、ジョブリスト返信部127aは、取得されたジョブ情報を構成要素とするジョブリストを、ジョブ情報収集部126cに返信する(S308)。
ジョブ情報収集部126cは、ジョブリストの取得要求の全ての送信先(ここでは、拠点サーバ10a)からジョブリストが受信されると、受信されたジョブリストをマージする(S309)。すなわち、各ジョブリストが、一つのジョブリストに統合される。続いて、ジョブ情報収集部126cは、統合後のジョブリストに、いずれかのクライアント端末30の端末名を保存先とするジョブ情報が含まれている場合、当該ジョブ情報の端末名を含む、IPアドレスの取得要求を、管理サーバ40に送信する(S310)。管理サーバ40のクライアント情報応答部44は、当該取得要求に含まれている端末名に対応付けられてクライアント情報記憶部45に記憶されているIPアドレスを取得する。クライアント情報応答部44は、当該IPアドレスを、ジョブ情報収集部126cに返信する(S311)。なお、図10の例によれば、ここでは、クライアント端末30aに対して拠点Bにおいて割り当てられたIPアドレスが返信される。
ジョブ情報収集部126cは、端末名に対するIPアドレスを受信すると、ジョブリストに含まれる各ジョブ情報に対して、それぞれのジョブ情報の保存先に対応するIPアドレスを付加する。保存先の値が拠点サーバ名であるジョブ情報に対しては、当該拠点サーバ名に係るIPアドレスが付加される。当該IPアドレスは、ステップS306において取得されている。また、保存先の値がクライアント端末30aの端末名であるジョブ情報に対しては、ステップS311によって受信されたIPアドレスが付加される。なお、各ジョブ情報の保存先の値が、IPアドレスによって置換されることで、各ジョブ情報に対してIPアドレスが付加されてもよい。
続いて、ジョブリスト返信部127cは、各ジョブ情報にIPアドレスが付加されたジョブリストを、画像形成装置20cに返信する(S312)。
図13は、ジョブリストの一例を示す図である。図13には、図7に示したジョブ情報のうち、「userA」をユーザ名として含むジョブ情報を構成要素とするジョブリストが示されている。また、当該ジョブリストを構成する各ジョブ情報には、当該ジョブ情報の保存先に対応するIPアドレスが付加されている。
画像形成装置20cのジョブリスト取得部24cによって、当該ジョブリストが受信されると、表示制御部22cは、当該ジョブリストを操作パネルに表示する(S313)。
ユーザAは、表示されたジョブリストの中から、1以上のジョブ情報を選択して、印刷の実行指示を入力する(S314)。入力制御部21cによって、当該実行指示が検知されると、データ取得部25cは、選択されたジョブ情報のIPアドレス宛に、印刷データの取得要求を送信する(S315)。当該取得要求には、当該ジョブ情報のジョブ名が含まれる。例えば、保存先がクライアント端末30aのIPアドレスであるジョブ情報が選択された場合、クライアント端末30aに対して、印刷データの取得要求が送信される。ここで、ジョブ情報に含まれているクライアント端末30aのIPアドレスは、拠点Bにおいてクライアント端末30aに対して割り当てられたIPアドレスである。したがって、当該IPアドレスは、通信障害等の特段の事情がなければ、クライアント端末30aのクライアントデータ管理部36aによって正常に受信される。
続いて、クライアントデータ管理部36aは、当該取得要求に含まれているジョブ名に関連付けられてクライアントデータ記憶部38aに記憶されている印刷データを取得し、当該印刷データを、データ取得部25cに返信する(S316)。
データ取得部25cによって当該印刷データが受信されると、ジョブ実行部26cは、当該印刷データに関して印刷ジョブを実行する。その結果、当該印刷データが印刷された用紙が出力される。
なお、仮に、ステップS314において、拠点サーバ10aを保存先とするジョブ情報が選択された場合、データ取得部25cは、拠点サーバ10aに対して印刷データの取得要求を送信する。当該取得要求には、当該ジョブ情報のジョブ名が含まれる。拠点サーバ10aのサーバデータ管理部128は、当該取得要求に含まれているジョブ名に関連付けられてサーバデータ記憶部132aに記憶されている印刷データを取得して、当該印刷データをデータ取得部25cに返信する。
上述したように、第1の実施の形態によれば、各クライアント端末30の最新のIPアドレスは、各クライアント端末30の端末名に関連付けられて管理サーバ40に記憶される。また、各クライアント端末30に保存されている印刷データに係るジョブ情報には、保存先のクライアント端末30の端末名が含まれる。ここで、端末名は、クライアント端末30が接続するネットワークに依存しない固定的な識別情報である。したがって、クライアント端末30の接続先の拠点サーバ10が変化し、当該クライアント端末30のIPアドレスが変化した場合であっても、各ジョブ情報に係る印刷データの保存先のクライアント端末30の最新のIPアドレス(宛先情報)は、当該ジョブ情報に含まれている端末名に基づいて特定可能である。したがって、各画像形成装置20は、このようにして特定されたIPアドレスに基づいて、クライアント端末30から印刷データを取得することができる。よって、印刷データの保存先の装置(クライアント端末30)の宛先情報が変化した場合であっても当該保存先からのデータの取得を可能とすることができる。
なお、本実施の形態では、IPアドレスが、クライアント端末30の宛先情報の一例である例を示したが、使用される通信プロトコル等に応じて、IPアドレス以外の宛先情報が利用されてもよい。
また、本実施の形態では、印刷データが、クライアント端末30又は拠点サーバ10に記憶されるデータの一例として説明したが、記憶装置に記憶させることができ、当該記憶装置から取得して利用することができるデータであれば、他の種類のデータ及び画像形成装置20以外の機器に関して本実施の形態が適用されてもよい。例えば、プロジェクタ及びプロジェクタに投影させる画像データに関して、本実施の形態が適用されてもよい。
また、クライアント端末30又は拠点サーバ10に記憶されるデータは、必ずしも機器によって何らかの形式で出力されるデータでなくてもよい。例えば、機器によって何らかの形で利用される(何らかの機能において処理対象とされる)データであってもよいし、機器によって参照されるデータであってもよい。
次に、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では第1の実施の形態と異なる点について説明する。したがって、特に言及されない点については、第1の実施の形態と同様でもよい。
図14は、第2の実施の形態における印刷システムの機能構成例を示す図である。図14中、図3と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。図14において、クライアント端末30は、更に、送信情報記憶部39を有する。送信情報記憶部39は、例えば、クライアント端末30の補助記憶装置等を用いて実現可能である。
送信情報記憶部39には、各ジョブ情報の送信先の拠点サーバ10を識別するための情報が記憶される。すなわち、ジョブ情報送信部35は、ジョブ情報の送信後、当該ジョブ情報のジョブ名に対応付けて、当該ジョブ情報の拠点サーバ10のサーバ情報(IPアドレス)を送信情報記憶部39に記憶する。ジョブ情報送信部35は、また、印刷データの保存先が拠点サーバ10である場合であっても、印刷データをクライアントデータ記憶部38に記憶する。または、第2の実施の形態においては、クライアント端末30のみが印刷データの保存先として選択可能とされてもよい。
一方、管理サーバ40は、クライアント登録部41、クライアント情報応答部44、及びクライアント情報記憶部45を有さない。第2の実施の形態において、クライアント端末30の端末名とIPアドレスとの対応付けは、拠点サーバ10において管理されるからである。
したがって、拠点サーバ10は、登録要求中継部121の代わりにクライアント登録部129を有し、更に、クライアント情報記憶部133を有する。
図15は、第2の実施の形態において印刷指示に応じてクライアント端末が実行する処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。図15中、図9と同一ステップには同一ステップ番号を付し、その説明は省略する。
図15では、印刷データの保存先が拠点サーバ10であっても、ステップS206が実行されて、ジョブ名が印刷データに関連付けられてクライアントデータ記憶部38に記憶される。
続いて、ジョブ情報送信部35は、ジョブ名とジョブ情報の送信先の拠点サーバ10のサーバ情報とを関連付けて送信情報記憶部39に記憶する(S207)。ジョブ情報の送信先の拠点サーバ10のサーバ情報は、サーバ情報記憶部37に記憶されている。
図16は、送信情報記憶部の構成例を示す図である。図16に示されるように、送信情報記憶部39には、ジョブ情報ごとに、当該ジョブ情報のジョブ名と送信先アドレスとが記憶される。ジョブ名は、当該ジョブ情報のジョブ名である。送信先アドレスは、当該ジョブ情報の送信先の拠点サーバ10のサーバ情報である。
次に、拠点Aにおいて、クライアント端末30aがユーザAの指示に応じて図15の処理手順を実行した後に、ユーザAがクライアント端末30aを携帯して拠点Bに移動した際に実行される処理手順について説明する。
図17は、第2の実施の形態においてクライアント端末が属する拠点が変化した際に実行される処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。
まず、ユーザAは、クライアント端末30aの設定受付部31aを介して、拠点Bの拠点サーバ10bに関するサーバ情報を設定する。したがって、サーバ情報記憶部37aには、拠点サーバ10bに関するサーバ情報が記憶される。
続いて、サーバ情報記憶部37aに記憶されているサーバ情報の更新に応じて自動的に、又はユーザAによる登録指示の入力に応じ、クライアント端末30aの登録要求部32aは、サーバ情報記憶部37aに記憶されているサーバ情報に係る拠点サーバ10bに、クライアント端末30aの端末名及びIPアドレスを含む登録要求を送信する(S401)。拠点サーバ10bのクライアント登録部129bは、当該登録要求を受信すると、当該登録要求に含まれている端末名とIPアドレスとを対応付けて、クライアント情報記憶部133bに記憶する(S402)。クライアント情報記憶部133bの構成例は、例えば、図6に示した通りである。
なお、拠点Aにおいて初めて図15の処理手順が実行される前においても、拠点サーバ10aに関してステップS401及びS402が実行される。すなわち、第2の実施の形態では、図4のステップS102は実行されなくてよい。
続いて、クライアント端末30bのジョブ情報送信部35bは、サーバ情報が更新されたことに応じて、更新後のサーバ情報と異なるサーバ情報が送信先アドレスとして記憶されているレコードを送信情報記憶部39から検索する。ここでは、拠点サーバ10aのサーバ情報が送信先アドレスとして記憶されているレコードが検索される。そこで、ジョブ情報送信部35bは、当該レコードの送信先アドレスに基づいて、拠点サーバ10aに対してジョブ情報の削除要求を送信する(S403)。当該削除要求には、当該レコードのジョブ名が含まれる。
拠点サーバ10aのジョブ情報受信部122aは、当該削除要求を受信すると、当該削除要求に含まれているジョブ名に係るジョブ情報を、ジョブ情報記憶部131aから削除する(S404)。この際、当該ジョブ情報に係る印刷データの保存先が拠点サーバ10aである場合、ジョブ情報受信部122aは、当該印刷データをサーバデータ記憶部132aから削除する。
続いて、拠点サーバ10aの保存情報送信部123aは、削除されたジョブ情報に含まれているユーザ名(ここでは、「userA」)と拠点サーバ10aの拠点サーバ名とを含む、保存情報の削除要求を管理サーバ40へ送信する(S405)。拠点サーバ10aには、もはやユーザAに関するジョブ情報は記憶されていないからである。
管理サーバ40の保存情報受信部42は、当該削除要求を受信すると、当該削除要求に含まれているユーザ名及び拠点サーバ名を含む保存情報を保存情報記憶部46から削除する(S406)。
続いて、クライアント端末30aのジョブ情報送信部35aは、送信情報記憶部39aのレコードの中で、送信先アドレスが、サーバ情報記憶部37aに記憶されているサーバ情報とは異なるレコードの送信先アドレスを、当該サーバ情報によって上書きする(S407)。ここでは、該当レコードの送信先アドレスが、拠点サーバ10aのサーバ情報から拠点サーバ10bのサーバ情報へ更新される。
続いて、ジョブ情報送信部35aは、送信先アドレスが更新されたレコードのジョブ名と、クライアント端末30aのログインユーザのユーザ名(ここでは、「userA」)と、クライアント端末30aの端末名とを含むジョブ情報を、拠点サーバ10bに送信する(S408)。拠点サーバ10bのジョブ情報受信部122bは、当該ジョブ情報をジョブ情報記憶部131に記憶する(図7)。その結果、拠点サーバ10aに記憶されていたジョブ情報が、拠点サーバ10bに移動したことになる。なお、ここでは、クライアント端末30aの端末名が、保存先として記憶される。
続いて、拠点サーバ10bの保存情報送信部123bは、当該ジョブ情報に関するユーザ名と、拠点サーバ10bの拠点サーバ名とを含む保存情報を管理サーバ40に送信する(S409)。管理サーバ40の保存情報受信部42は、当該保存情報を受信すると、当該保存情報を保存情報記憶部46に記憶する。なお、ステップS409は、拠点サーバ10bのジョブ情報記憶部131に既に記憶されているいずれのジョブ情報ともユーザ名が異なるジョブ情報が受信された場合に実行されればよい。
また、ステップS407以降は、ユーザによる指示に応じて実行されてもよい。例えば、クライアント端末30aのジョブ情報送信部35aは、送信情報記憶部39aのレコードの中で、送信先アドレスが、サーバ情報記憶部37aに記憶されているサーバ情報とは異なるレコードが有る場合、当該レコードのジョブ名を表示して、当該ジョブ名に係るジョブ情報の送信の要否をユーザに問い合わせてもよい。ユーザによって、送信を行う旨が入力された場合に、ステップS407以降が実行されてもよい。
また、拠点サーバ10aに対するジョブ情報の削除要求の送信(S403)と、拠点サーバ10bに対するジョブ情報の送信(S408)とは、サーバ情報記憶部37aに記憶されているサーバ情報の更新に応じて、同時に又は並行して実行されてもよい。すなわち、ユーザからの一つの指示(サーバ情報の設定)に応じて、拠点サーバ10aに対するジョブ情報の削除要求の送信(S403)と、拠点サーバ10bに対するジョブ情報の送信(S408)とが同時に実行されてもよい。
以上の処理手順から明らかなように、第2の実施の形態では、或るクライアント端末30からいずれかの拠点サーバ10へ登録されたジョブ情報は、当該クライアント端末30の拠点の移動に伴って移動する。
その後、クライアント端末30aが、拠点Bのネットワークに接続された状態で、ユーザAが、拠点Cに移動し、拠点Cの画像形成装置20cに対して、印刷指示を入力する場合を想定する。
図18は、第2の実施の形態において印刷時に実行される処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。図18中、図11と同一ステップには同一ステップ番号を付し、その説明は適宜省略する。
図18において、管理サーバ40の保存先応答部43は、ユーザAのジョブ情報の保存先の照会要求に応じ(S405)、拠点サーバ10bのIPアドレスを返信する(S406)。ユーザAを含む保存情報における拠点サーバ名は、図17のS409において、拠点サーバ10bの拠点サーバ名に更新されているからである。
したがって、ステップS307及びS308は、拠点サーバ10bに関して実行される。この際、拠点サーバ10bのジョブリスト返信部127bは、返信対象のジョブリストに含まれる各ジョブ情報に対し、当該ジョブ情報の端末名に対応付けられてクライアント情報記憶部133bに記憶されているIPアドレスを付加する。ここでは、ユーザAに関するジョブ情報に対して、拠点Bにおけるクライアント端末30aのIPアドレスが付加される。
したがって、第2の実施の形態では、図11のステップS310及びS311は実行されなくてもよい。また、各ユーザが利用するクライアント端末30が一つに固定されていれば、ジョブリストのマージ(S309)も実行されなくてよい。この場合、第2の実施の形態においては、或るユーザのジョブ情報は、当該ユーザのクライアント端末30が属する拠点の拠点サーバ10に集約されるからである。
ステップS312以降は、図11において説明した通りである。
上述したように、第2の実施の形態によっても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
なお、上記各実施の形態において、印刷システム1は、情報処理システムの一例である。拠点サーバ10は、第1の情報処理装置の一例である。管理サーバ40は、第2の情報処理装置の一例である。クライアント端末30は、端末の一例である。画像形成装置20は、データ取得装置の一例である。登録要求中継部121又はクライアント登録部129は、第1の登録部の一例である。クライアント情報記憶部45又はクライアント情報記憶部133は、第1の記憶部の一例である。ジョブ情報受信部122は、受信部及び削除部の一例である。ジョブ情報記憶部131は、第2の記憶部の一例である。ジョブ情報収集部126は、取得部の一例である。ジョブリスト返信部127は、送信部の一例である。保存情報送信部123は、第2の登録部及び削除要求部の一例である。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。