JP2017009712A - 光学フィルム、偏光板、及び液晶表示装置 - Google Patents

光学フィルム、偏光板、及び液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】薄膜化した際の層間の密着性、及び引き裂き強度に優れ、かつ偏光板保護フィルムとして用いた際の偏光子耐久性に優れた光学フィルムを提供する。
【解決手段】単量体(B−1)を重合して得られる繰返単位を50〜99モル%含み、単量体(A−2)を重合して得られる繰返単位を1〜50モル%含む化合物Aを含有する第1の領域と、セルロースアシレートを含有する第2の領域とを有し、第1の領域における第2の領域から最も遠い表面の化合物Aの含有量Bに対する第2の領域における第1の領域から最も遠い表面の化合物Aの含有量Cの比C/Bが0〜0.5である光学フィルム。
Figure 2017009712

【選択図】なし

Description

本発明は、光学フィルム、偏光板、及び液晶表示装置に関する。
セルロースアセテートフィルムに代表されるセルロースアシレートフィルムは透明性が高く、従来、光学フィルムとして液晶表示装置に種々の用途で利用されている。例えば、偏光子に使用されるポリビニルアルコールとの密着性を容易に確保できることから液晶表示装置における偏光板保護フィルムとして使用されている。
近年、液晶表示装置、特に中小型用途の液晶表示装置は薄型化が急激に進んでおり、使用される部材の薄膜化、特に偏光板保護フィルム(液晶表示装置の表面に設けられるハードコート層付き保護フィルムや、位相差フィルムを兼ねる保護フィルムや、位相差の小さい通常の保護フィルムなど)などの薄膜化が求められている。また、中小型の液晶表示装置は、屋外等、過酷な環境変化に晒されることも多く、高温高湿環境下での耐久性も重要な性能である。
特許文献1には、特定構造のモノマー単位を共重合して得られるポリマーを含むセルロースアシレートフィルムが開示されている。
特開2012−172062号公報
偏光板保護フィルムが薄膜化すると、単位厚み当たりに要求される偏光子保護機能は増加することとなり、これまで以上に優れた高温高湿環境下での偏光子耐久性を有する光学フィルムが必要となる。
特許文献1には、偏光板保護フィルムの薄膜化に伴い要求される偏光子耐久性についての記載はなく、薄膜化した際には、フィルムの引き裂き強度が低下することから、さらなる検討の余地が残されていた。
本発明者は光学フィルムを積層構造とすることで、偏光子耐久性及び薄手化した際のフィルムの引き裂き強度の両立を目指したが、積層間の密着性が著しく低下することがわかった。
本発明は、薄膜化した際の層間の密着性、及び引き裂き強度に優れ、かつ偏光板保護フィルムとして用いた際の偏光子耐久性に優れた光学フィルム、上記光学フィルムを有する偏光板及び液晶表示装置を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討を進め、下記手段により上記課題を解決できることを見出した。
<1>
下記一般式(1)で表される単量体を重合して得られる繰り返し単位と下記一般式(2)で表される単量体を重合して得られる繰り返し単位と含む化合物A
を含有する第1の領域と、
セルロースアシレートを含有する第2の領域と
を有し、
上記化合物Aにおける下記一般式(1)で表される単量体を重合して得られる繰り返し単位の含有量は上記化合物Aの全繰り返し単位に対して50〜99モル%であり、下記一般式(2)で表される単量体を重合して得られる繰り返し単位の含有量は上記化合物Aの全繰り返し単位に対して1〜50モル%であり、
上記第1の領域における上記第2の領域から最も遠い表面の上記化合物Aの含有量Bに対する上記第2の領域における上記第1の領域から最も遠い表面の上記化合物Aの含有量Cの比C/Bが0〜0.5である、光学フィルム。
Figure 2017009712

一般式(1)中、Rは水素原子又は炭素原子数1〜4の脂肪族基を表す。Xは、単結合、2価の脂肪族基、2価の芳香族基、2価の複素環基、−C(=O)−、−O−、−N(R)−、又はこれらを組合せてなる2価の基を表し、上記2価の脂肪族基、2価の芳香族基、及び2価の複素環基は置換基を有していてもよい。Rは水素原子又はアルキル基を表す。Rは水素原子、炭素原子数1〜12の脂肪族基、芳香族基、水酸基、又はニトリル基を表す。
Figure 2017009712

一般式(2)中、Rは水素原子、脂肪族基、芳香族基、又は複素環基を表し、上記脂肪族基、芳香族基及び複素環基は置換基を有していてもよい。Yは、単結合、2価の脂肪族基、2価の芳香族基、2価の複素環基、−C(=O)−、−O−、−N(R)−、又はこれらを組合せてなる2価の基を表し、上記2価の脂肪族基、2価の芳香族基、及び2価の複素環基は置換基を有していてもよい。Rは水素原子又はアルキル基を表す。
<2>
上記第1の領域の上記化合物Aの含有量が、上記第1の領域の全質量に対して20質量%以上100質量%以下である、<1>に記載の光学フィルム。
<3>
上記第1の領域の上記化合物Aの含有量が、上記第1の領域の全質量に対して50質量%以上100質量%以下である<1>又は<2>に記載の光学フィルム。
<4>
上記化合物Aが、上記一般式(1)で表される単量体を重合して得られる繰り返し単位を上記化合物Aの全繰り返し単位に対して70〜99モル%含み、上記一般式(2)で表される単量体を重合して得られる繰り返し単位を上記化合物Aの全繰り返し単位に対して1〜30モル%含む、<1>〜<3>のいずれか1項に記載の光学フィルム。
<5>
上記化合物Aの重量平均分子量が、1000〜80000である<1>〜<4>のいずれか1項に記載の光学フィルム。
<6>
上記セルロースアシレートのアシル置換度が2.00〜2.95である<1>〜<5>のいずれか1項に記載の光学フィルム。
<7>
上記セルロースアシレートがセルロースアセテートである<1>〜<6>のいずれか1項に記載の光学フィルム。
<8>
上記第2の領域にジカルボン酸とジオールにより構成されたポリエステルを含有する<1>〜<7>のいずれか1項に記載の光学フィルム。
<9>
上記ポリエステルの末端が酢酸又はシクロヘキサンカルボン酸で封止されている<8>に記載の光学フィルム。
<10>
<1>〜<9>のいずれか1項に記載の光学フィルムと偏光子とを有する偏光板。
<11>
上記光学フィルムの上記第1の領域が、上記偏光子側に配置された<10>に記載の偏光板。
<12>
上記光学フィルムの上記第2の領域が、上記偏光子側に配置された<10>に記載の偏光板。
<13>
<1>〜<9>のいずれか1項に記載の光学フィルム、又は<10>〜<12>のいずれか1項に記載の偏光板を具備した液晶表示装置。
本発明によれば、薄膜化した際の層間の密着性、及び引き裂き強度に優れ、かつ偏光板保護フィルムとして用いた際の偏光子耐久性に優れた光学フィルム、上記光学フィルムを有する偏光板及び液晶表示装置を提供することができる。
本発明の光学フィルムの一例を示す模式図である。
本発明の光学フィルムは、
下記一般式(1)で表される単量体を重合して得られる繰り返し単位と下記一般式(2)で表される単量体を重合して得られる繰り返し単位と含む化合物A
を含有する第1の領域と、
セルロースアシレートを含有する第2の領域と
を有し、
上記化合物Aにおける下記一般式(1)で表される単量体を重合して得られる繰り返し単位の含有量は上記化合物Aの全繰り返し単位に対して50〜99モル%であり、下記一般式(2)で表される単量体を重合して得られる繰り返し単位の含有量は上記化合物Aの全繰り返し単位に対して1〜50モル%であり、
上記第1の領域における上記第2の領域から最も遠い表面の上記化合物Aの含有量Bに対する上記第2の領域における上記第1の領域から最も遠い表面の上記化合物Aの含有量Cの比C/Bが0〜0.5である、光学フィルムである。
Figure 2017009712
一般式(1)中、Rは水素原子又は炭素原子数1〜4の脂肪族基を表す。Xは、単結合、2価の脂肪族基、2価の芳香族基、2価の複素環基、−C(=O)−、−O−、−N(R)−、又はこれらを組合せてなる2価の基を表し、上記2価の脂肪族基、2価の芳香族基、及び2価の複素環基は置換基を有していてもよい。Rは水素原子又はアルキル基を表す。Rは水素原子、炭素原子数1〜12の脂肪族基、芳香族基、水酸基、又はニトリル基を表す。
Figure 2017009712
一般式(2)中、Rは水素原子、脂肪族基、芳香族基、又は複素環基を表し、上記脂肪族基、芳香族基及び複素環基は置換基を有していてもよい。Yは、単結合、2価の脂肪族基、2価の芳香族基、2価の複素環基、−C(=O)−、−O−、−N(R)−、又はこれらを組合せてなる2価の基を表し、上記2価の脂肪族基、2価の芳香族基、及び2価の複素環基は置換基を有していてもよい。Rは水素原子又はアルキル基を表す。
図1は、本発明の光学フィルムの一例を示す模式図である。
図1の光学フィルム1は、第1の領域Iと、第2の領域IIとを有する。第1の領域Iは化合物A(符号a)を含有し、第2の領域IIはセルロースアシレート(符号2)を含有する。また、図1においては、第2の領域IIにも化合物Aが含まれている。第1の領域Iにおける第2の領域IIから最も遠い表面(符号b)の化合物Aの含有量Bに対する第2の領域IIにおける第1の領域Iから最も遠い表面(符号c)の化合物Aの含有量Cの比C/Bが0〜0.5である、
<<化合物A>>
本発明の光学フィルムは、少なくとも第1の領域に化合物Aを含有する。
<一般式(1)で表される単量体を重合して得られる繰り返し単位>
Figure 2017009712
一般式(1)中、Rは水素原子又は炭素原子数1〜4の脂肪族基を表す。Xは、単結合、2価の脂肪族基、2価の芳香族基、2価の複素環基、−C(=O)−、−O−、−N(R)−、又はこれらを組合せてなる2価の基を表し、上記2価の脂肪族基、2価の芳香族基、及び2価の複素環基は置換基を有していてもよい。Rは水素原子又はアルキル基を表す。Rは水素原子、炭素原子数1〜12の脂肪族基、芳香族基、水酸基、又はニトリル基を表す。
上記一般式(1)において、Rは水素原子又は炭素数1〜4の脂肪族基を表す。Rは、水素原子、メチル基、又はエチル基であることが好ましく、水素原子又はメチル基であることがより好ましい。
上記一般式(1)において、Xは、単結合、2価の脂肪族基、2価の芳香族基、2価の複素環基、−C(=O)−、−O−、−N(R)−、又はこれらを組合せてなる2価の基を表し、上記2価の脂肪族基、2価の芳香族基、及び2価の複素環基は置換基を有していてもよい。Rは水素原子又はアルキル基を表す。
これらの基の具体例及び好ましい例は、後述の一般式(2)中のYにおける具体例及び好ましい例と同様である。また、Xは単結合であることも好ましい。Rは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましく、水素原子又はメチル基であることがより好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
上記一般式(1)において、Rは水素原子、炭素原子数1〜12の脂肪族基、芳香族基、水酸基、又はニトリル基を表し、炭素原子数1〜12の脂肪族基、水酸基、又はニトリル基であることが好ましい。炭素数1〜12の脂肪族基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が更に好ましく、メチル基、t−ブチル基が特に好ましい。芳香族基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基が好ましく、フェニル基が特に好ましい。
一般式(1)で表される単量体としては、例えばメタクリル酸およびそのエステル誘導体(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸アダマンチル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等)、アクリル酸およびそのエステル誘導体(アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸アダマンチル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸ジメチルアミノエチルアクリル酸ジエチルアミノエチル等)、アルキルビニルエーテル(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等)、アルキルビニルエステル(ギ酸ビニル、酢酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、ステアリン酸ビニル)、スチレン誘導体(スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン等)、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フマロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロイルモルホリン、メタクリロイルモルホリン、ビニルピロリドン、ビニルカルバゾール、ビニルケトン、ビニルピリジンなどの不飽和化合物等を挙げることができる。
これらは1種単独で、または2種以上混合して用いることができる。
これらの一般式(1)で表される単量体のうち、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリロイルモルホリン、メタクリロイルモルホリン、アクリルアミド、メタクリルアミドからなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。ここで、(メタ)アクリル酸エステルは、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸イソボルニルであることが好ましく、(メタ)アクリル酸メチルであることがより好ましく、メタクリル酸メチルであることが特に好ましい。
一般式(1)で表される単量体としては市販品を用いてもよいし、公知の方法で合成することもできる。
<一般式(2)で表される単量体を重合して得られる繰り返し単位>
Figure 2017009712
一般式(2)中、Rは水素原子、脂肪族基、芳香族基、又は複素環基を表し、上記脂肪族基、芳香族基、及び複素環基は置換基を有していてもよい。Yは、単結合、2価の脂肪族基、2価の芳香族基、2価の複素環基、−C(=O)−、−O−、−N(R)−、又はそれらの組合せを表し、上記2価の脂肪族基、2価の芳香族基、及び2価の複素環基は置換基を有していてもよい。Rは水素原子又はアルキル基を表す。
一般式(2)で表される単量体を重合して得られる繰り返し単位は、下記一般式(2’)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
Figure 2017009712
一般式(2’)中、Rは水素原子、脂肪族基、芳香族基、又は複素環基を表し、上記脂肪族基、芳香族基、及び複素環基は置換基を有していてもよい。Yは、単結合、2価の脂肪族基、2価の芳香族基、2価の複素環基、−C(=O)−、−O−、−N(R)−、又はそれらの組合せを表し、上記2価の脂肪族基、2価の芳香族基、及び2価の複素環基は置換基を有していてもよい。Rは水素原子又はアルキル基を表す。
上記一般式(2)又は(2’)におけるRは水素原子、脂肪族基、芳香族基、又は複素環基を表し、上記脂肪族基、芳香族基及び複素環基は置換基を有していてもよい。
上記Rにおける脂肪族基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基などを挙げることができ、その中でも炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
上記Rにおける芳香族基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基を挙げることができ、その中でもフェニル基が好ましい。
上記Rにおける複素環基としては、ピリジル基、ピロリジル基、ピペリジル基、ピペラゾル基、ピロリル基、モルホリノ基、チアモルホリノ基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピロリドニル基、ピペリドニル基を挙げることができ、その中でもモルホリノ基、ピリジル基が好ましい。
上記脂肪族基、芳香族基、又は複素環基が有していてもよい置換基としては、例えば、炭素原子数1〜6のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、シクロペンチル、シクロヘキシル基)、炭素原子数2〜6のアルケニル基(例えばビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる)、炭素原子数2〜6のアルキニル基(例えばプロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる)、アミノ基(例えばアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる)、アリールオキシ基(例えばフェニルオキシ基、2−ナフチルオキシ基)、アシル基(例えばアセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基)、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェニルオキシカルボニル基)、アシルオキシ基(例えばアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基)、アシルアミノ基(例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基)、アルコキシカルボニルアミノ基(例えばメトキシカルボニルアミノ基)、アリールオキシカルボニルアミノ基(例えば(フェニルオキシカルボニルアミノ基)、スルホニルアミノ基(例えばメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基)、スルファモイル基(例えばスルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基)、カルバモイル基(例えばカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ基、エチルチオ基)、アリールチオ基(例えばフェニルチオ基)、スルホニル基(例えばメシル基、トシル基)、スルフィニル基(例えばメタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基)、ウレイド基(例えばウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基)、リン酸アミド基(例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミド)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(例えばイミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基)、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基)を挙げることができ、その中でもメチル基、フルオロ基が好ましい。
上記一般式(2)又は(2’)におけるRは、水素原又は脂肪族基であることが好ましく、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、水素原子又はメチル基であることが特に好ましく、メチル基であることが最も好ましい。
上記一般式(2)又は(2’)におけるYは単結合、2価の脂肪族基、2価の芳香族基、2価の複素環基、−C(=O)−、−O−、−N(R)−、又はそれらの組合せを表し、上記2価の脂肪族基、2価の芳香族基、及び2価の複素環基は置換基を有していてもよい。
上記Yは、2価の脂肪族基、2価の芳香族基、−C(=O)−、又は−Y−Y−であることが好ましい(但し、Y及びYの一方が、−C(=O)−、−O−、−N(R)−、又はそれらの組合せを表し、他方が2価の脂肪族基、2価の芳香族基、又は2価の複素環基を表す。上記2価の脂肪族基、2価の芳香族基、及び2価の複素環基は置換基を有していてもよい。Rは水素原子又はアルキル基を表す。)。ここで、上記−Y−Y−は−Yが主鎖に連結する。
上記Yは−Y−Y−であることがより好ましい。
上記Yは、Yが−C(=O)−、−O−、−N(R)−、又はそれらの組合せであり、かつ、Yが2価の脂肪族基、2価の芳香族基、又は2価の複素環基であることが特に好ましい。
上記Yにおける2価の脂肪族基としては、アルキレン基、アルキニル基であることが好ましく、炭素数1〜5の置換基を有していてもよいアルキレン基であることがより好ましく、エチレン基であることがより特に好ましい。
上記Yにおける2価の芳香族基としては、炭素数6〜12の芳香族基が好ましく、フェニレン基、ナフチレン基であることが好ましく、置換基を有していてもよいフェニレン基であることがより好ましく、無置換のフェニレン基であることが特に好ましい。
上記Yにおける2価の複素環基としては、ピリジレン基、ピロリジレン基、ピペリジレン基、ピペラジレン基、ピロリレン基、モルホリニレン基、チアモルホリレニン基、イミダゾリレン基、ピラゾリレン基、ピロリドニレン基、ピペリドニレン基、2価のカルバゾール基を挙げることができ、その中でもモルホリニレン基が好ましい。
上記2価の脂肪族基、2価の芳香族基、及び2価の複素環基が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基、ハロゲン基を挙げることができ、その中でもアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
上記Yは、−C(=O)−、−O−、−N(R)−、又はそれらの組合せであることが好ましく、上記−C(=O)−、−O−、−N(R)−、又はこれらの組合せとしては、−C(=O)−、−O−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−N(R)−C(=O)−、−C(=O)−N(R)−、−N(R)−C(=O)−N(R)−が好ましい。さらに上記Yは、−C(=O)−O−、−C(=O)−N(R)−であることがより好ましく、−C(=O)−O−であることが特に好ましい。
上記Yは2価の脂肪族基、2価の芳香族基、又は2価の複素環基であることが好ましく、炭素数1〜5の置換基を有していてもよいアルキレン基、フェニレン基、であることがより好ましく、炭素数1〜5の置換基を有していてもよいアルキレン基またはフェニレン基であることが特に好ましく、炭素数1〜5の置換基を有していてもよいアルキレン基であることがより特に好ましく、エチレン基であることがさらにより特に好ましい。
なお、上記Y及びYにおける上記2価の脂肪族基、2価の芳香族基、及び2価の複素環基の好ましい範囲は、上記Yにおける上記2価の脂肪族基、2価の芳香族基、及び2価の複素環基の好ましい範囲と同じである。
上記一般式(2)又は(2’)におけるR及びYの好ましい組み合わせは、上記一般式(2)又は(2’)におけるRが水素原子又はメチル基であり、Yが2価の脂肪族基、2価の芳香族基、−C(=O)−、又は−Y−Y−である態様である。
より好ましくは、上記一般式(2)又は(2’)におけるRが水素原子又はメチル基であり、Yが−Y−Y−である態様である。
特に好ましくは、Rが水素原子又はメチル基であり、Yが−C(=O)−O−であり、Yが炭素数1〜5の置換基を有していてもよいアルキレン基である態様である。
より特に好ましくは、Rが水素原子又はメチル基であり、Yが−C(=O)−O−であり、Yがエチレン基である態様である。すなわち、上記一般式(2)で表されるエチレン性不飽和モノマーがアセト酢酸エチルメタクリレート又はアセト酢酸エチルアクリレートである態様がより好ましい。
さらに、上記一般式(2)又は(2’)におけるRがメチル基である態様がさらにより特に好ましく、すなわち、上記一般式(2)で表されるエチレン性不飽和モノマーがアセト酢酸エチルメタクリレートであることがさらにより特に好ましい。
上記Rは水素原子又はアルキル基を表す。
上記Rは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましく、水素原子又はメチル基であることがより好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
以下に一般式(2)で表される単量体を下記に挙げるが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2017009712
上記一般式(2)で表される単量体は1種あるいは2種以上組み合わせて用いることができ、特に好ましくはアセト酢酸エチルメタクリレート、アセト酢酸エチルアクリレート、又はこれらの混合物である。
上記一般式(2)で表される単量体としては市販品を用いてもよいし、公知の方法で合成することもできる。
<化合物Aの構造>
化合物Aは、上述の一般式(1)で表される単量体を重合して得られる繰り返し単位を全繰り返し単位に対して50〜99モル%含み、かつ上述の一般式(2)で表される単量体を重合して得られる繰り返し単位を全繰り返し単位に対して1〜50モル%含む。化合物A中の共重合比を上記範囲にすることにより、偏光子耐久性が高く、第1の領域と第2の領域との間の密着性(「層間の密着性」ともいう)に優れた光学フィルムを得ることができる。
化合物A中に、疎水性の高い構造を有する上述の一般式(1)で表される単量体を重合して得られる繰り返し単位を含むことにより、化合物Aに疎水性が付与される。よって、化合物Aを含む光学フィルムを偏光板に用いた場合に、大気中からの水の透過や偏光子からのヨウ素やホウ素の流出が抑えられ、偏光子耐久性を改良することができると考えられる。
また、化合物A中に、セルロースアシレートとの親和性が高い上述の一般式(2)で表わされる単量体を重合して得られる繰返し単位を含むことにより、層間の密着性が改良されると考えられる。
化合物Aは、偏光子耐久性及び層間の密着性の観点から、上述の一般式(1)で表される単量体を重合して得られる繰り返し単位を全繰り返し単位に対して70〜99モル%含み、かつ上述の一般式(2)で表される単量体を重合して得られる繰り返し単位を全繰り返し単位に対して1〜30モル%含む構造であることがより好ましい。
化合物Aの重量平均分子量は、1000〜80000であることが好ましく、5000〜80000であることがより好ましく、10000〜80000であることが更に好ましい。化合物Aの重量平均分子量が1000〜80000であると、化合物Aの膜中における偏在性や製膜溶剤への溶解性の観点で好ましい。
化合物Aの数平均分子量は、200〜200000であることが好ましく、2000〜100000であることがより好ましく、10000〜60000であることが特に好ましい。
重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算で算出でき、使用カラムとしてはTSKgel SuperHZM−H、TSKgel SuperHZ4000、TSKgel SuperHZ200(東ソー社製))である。
本発明において、一般式(1)で表される単量体と一般式(2)で表される単量体とを重合して化合物Aを得る際の重合方法は特に限定はないが、従来公知の方法を広く採用することができ、例えばラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合などが挙げられる。ラジカル重合法の開始剤としては、例えばアゾ化合物、過酸化物等が挙げられ、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾイソブチル酸ジエステル誘導体、過酸化ベンゾイルなどが挙げられる。重合溶媒は特に問わないが、例えば、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、ジクロロエタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒、メタノール等のアルコール系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系溶媒、アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、水溶媒等が挙げられる。溶媒の選択により、均一系で重合する溶媒重合、生成したポリマーが沈殿する沈殿重合、ミセル状態で重合する乳化重合を行うことも出来る。
(化合物Aの含有量)
偏光子耐久性、第1層と第2層の密着性の観点から、本発明の光学フィルムの第1の領域の化合物Aの含有量は、第1の領域の全質量に対して20質量%以上100質量%以下であることが好ましく、偏光子耐久性改良の観点から好ましくは50質量%以上100質量%以下であることがより好ましく、60質量%以上100質量%以下であることが更に好ましい。
第1の領域に含まれる化合物Aの定量は、TOF−SIMS(Time of Flight−Secondary Ion Mass Spectrometry)により行う。TOF−SIMSの測定は、Phi Evans社製TRIFTII型TOF−SIMS(商品名)を用いて、化合物Aに起因するフラグメントを検出することで観察する。TOF−SIMS法については、具体的には日本表面科学会編「表面分析技術選書 二次イオン質量分析法」丸善株式会社(1999年発行)に記載されている。
本発明の光学フィルムの第2の領域は、化合物Aを含有してもよいし、含有しなくてもよい。第2の領域が化合物Aを含有する場合の化合物Aの含有量は、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。第2の領域における化合物Aの含有量の測定も上記と同様に行うことができる。
(第1の領域と第2の領域の表面における化合物Aの含有量の比)
偏光子耐久性、第1の領域と第2の領域の密着性の観点から、本発明の光学フィルムは、第1の領域における第2の領域から最も遠い表面の化合物Aの含有量Bに対する第2の領域における第1の領域から最も遠い表面の化合物Aの含有量Cの比C/Bが0〜0.5であり、0〜0.3が好ましく、0〜0.1がより好ましい。
化合物Aの含有量比C/Bの測定は、以下のように行う。
光学フィルムをフィルム面に対して1°の角度で斜めに切削し、生成したフィルム断面を用いて、飛行時間型二次イオン質量分析計(TOF−SIMS (Time of Flight−Secondary Ion Mass Spectrometry))による測定を行う。TOF−SIMSの測定は、Phi Evans社製TRIFTII型TOF−SIMS(商品名)を用いる。
<<セルロールアシレート>>
本発明の光学フィルムは、第2層にセルロースアシレートを含む。また、第1の領域にもセルロースアシレートを含んでもよい。第1の領域にセルロースアシレートを含む場合、第1の領域と第2の領域に含まれるセルロースアシレートは同じものであってもよいし、異なっていてもよい。
セルロースアシレートは、セルロースと酸とのエステルである。上記エステルを構成する酸としては、有機酸が好ましく、カルボン酸がより好ましく、炭素原子数が2〜22の脂肪酸がさらに好ましく、炭素原子数が2〜4の低級脂肪酸であるセルロースアシレートが最も好ましい。
セルロースアシレートの原料セルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ、針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロースアシレートでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細な記載は、例えば「プラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂」(丸澤、宇田著、日刊工業新聞社、1970年発行)や発明協会公開技報2001−1745(7頁〜8頁)に記載のセルロースを用いることができる。
本発明に用いられるセルロースアシレートはセルロースの水酸基の水素原子が、アシル基によって置換されたものである。アシル基の炭素原子数は、2〜22であるのが好ましい。アシル基は、脂肪族アシル基であっても芳香族アシル基であってもよく、単一でも2種類以上のアシル基によって置換されていてもよい。具体的には、上記セルロースアシレートの例には、セルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステル、芳香族カルボニルエステル、及び芳香族アルキルカルボニルエステルが含まれる。アルキル部位、アルケニル部位、芳香族部位、及び芳香族アルキル部位のそれぞれは、さらに置換基を有していてもよい。好ましいアシル基の例には、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、へプタノイル、ヘキサノイル、オクタノイル、デカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイル、i−ブタノイル、t−ブタノイル、シクロヘキサンカルボニル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、及びシンナモイル基などが含まれる。これらの中でも、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、ドデカノイル、オクタデカノイル、t−ブタノイル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、及びシンナモイルなどが好ましく、アセチル、プロピオニル、及びブタノイルがより好ましく、アセチルが最も好ましい。
本発明に用いられるセロースアシレートとしては、セルロースの水酸基の水素原子がアセチル基で置換された、セルロースアセテートであることが好ましい。
セルロースアシレートのアシル置換度については特に限定されないが、アシル置換度が2.00〜2.95のセルロースアシレートを使用すると、製膜性、及び製造されるフィルムの種々の特性の観点で好ましい。なお、アシル置換度は、酢酸等の脂肪酸の結合度を測定し、計算によって置換度を得ることができる。測定方法としては、ASTM D−817−91に準じて実施することができる。
アセチル基/プロピオニル基/ブタノイル基の少なくとも2種類のアシル基を有するセルロースアシレートの態様では、その全置換度が2.50〜2.95であることが好ましく、より好ましいアシル置換度は2.60〜2.95であり、さらに好ましくは2.65〜2.95である。
アセチル基のみを有するセルロールアシレート、即ちセルロースアセテートの態様では、その全置換度が2.00〜2.95であることが好ましい。さらには置換度が2.40〜2.95であることがより好ましく、2.85〜2.95であることが更に好ましい。
本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの重合度は、粘度平均重合度で180〜700であり、セルロースアセテートにおいては、180〜550がより好ましく、180〜400が更に好ましく、180〜350が特に好ましい。重合度がこの上限値以下であれば、セルロースアシレートのドープ溶液の粘度が高くなりすぎることがなく流延によるフィルム作製が容易にできるので好ましい。重合度がこの下限値以上であれば、作製したフィルムの強度が低下するなどの不都合が生じないので好ましい。粘度平均重合度は、宇田らの極限粘度法{宇田和夫、斉藤秀夫、「繊維学会誌」、第18巻第1号、105〜120頁(1962年)}により測定できる。この方法は特開平9−95538号公報にも詳細に記載されている。
セルロースアシレートの分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって評価され、その多分散性指数Mw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)が小さく、分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜4.0であることが好ましく、2.0〜4.0であることがさらに好ましく、2.3〜3.4であることがよりさらに好ましい。
第1の領域にセルロースアシレートを含有する場合は、第1の領域中のセルロースアシレートの含有量は、第1の領域の全質量に対して25質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。
<<ポリエステル>>
本発明の光学フィルムは、偏光子耐久性の観点から、第2の領域に、ジカルボン酸とジオールにより構成されたポリエステルを含有することが好ましい。
本発明で用いられるポリエステルは、下記一般式(a)で表される繰り返し単位を含み、かつ、モノカルボン酸又は脂環構造を有する基で封止されたポリエステルであることが好ましい。
一般式(a):
Figure 2017009712
Qは炭素数2〜10の2価の連結基を表し、
Rは炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基または炭素数6のアリール基を表し、2つ以上のRが結合して環構造を形成していてもよく、置換基を有していてもよく、Rが表す基の炭素数の定義にはRが表す基がさらに有していてもよい置換基の炭素数は含まれず、
mは0〜4を表す。
脂環構造を含む繰り返し単位を有するポリエステルは、芳香環構造を含む繰り返し単位を有するポリエステルよりも、25℃相対湿度60%の環境下における波長590nmの面内レターデーションReおよび厚み方向のレターデーションRthを小さくすることができる。
なお、このような構造のポリエステルは、剛直な脂環構造の比率を上げることでフィルムの高剛性及び低レターデーションを両立でき好ましい。
Qは、炭素数2〜10の2価の連結基を表す。Qは、炭素数2〜10の非環状の2価の連結基であることが好ましく、炭素数2〜6の非環状の2価の連結基であることがより好ましく、炭素数2〜4の非環状の2価の連結基であることがさらに好ましい。
炭素数2〜10の2価の連結基としては、アルキレン基(好ましくは炭素数2〜10、より好ましくは炭素数2〜6、特に好ましくは炭素数2〜4)、アルキニレン基(好ましくは炭素数2〜10、より好ましくは炭素数2〜6、特に好ましくは炭素数2〜4)、アルキレン基やアルキニレン基中に酸素原子、窒素原子などの炭素以外の分子を含む連結基などを挙げられる。
炭素数2〜10の2価の連結基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、水酸基、アルコキシ置換アルキル基、カルボキシル基などが挙げられる。
本明細書中、非環状とは、環状構造を含まないことを意味する。環状構造を含まない基としては、直鎖または分枝の基を挙げることができる。
一般式(a)中のRは炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基または炭素数6のアリール基を表し、環構造を形成していてもよく、置換基を有していてもよく、Rが表す基の炭素数の定義にはRが表す基がさらに有していてもよい置換基の炭素数は含まれない。炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられ、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましい。炭素数2〜8のアルケニル基としては、エテニル基、1−メチルエテニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、2−メチレンブチル基等が挙げられる。炭素数2〜8のアルキニル基としては、エチニル基、1−メチルエチニル基、1−プロピン基、2−プロピン基、2−メチル−1−プロピン基、2−メチル−2−プロピン基、2−メチレンブチン基等が挙げられる。炭素数6のアリール基としては、フェニル基、4−メチルフェニル基などが挙げられる。Rは環構造を形成していてもよく、環構造として例えば、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、ボロニル基、イソボロニル基、ノルボルニル基等が挙げられる。Rは置換基を有していてもよく、置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、水酸基、アルコキシ置換アルキル基、カルボキシル基などが挙げられ、アルキル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。ただし、Rが表す基の炭素数の定義にはRが表す基がさらに有していてもよい置換基の炭素数は含まれず、例えばメチル基で置換されたフェニル基は、置換基としてメチル基を有する炭素数6のアリール基であるため、Rに含まれる(すなわち、メチル基で置換されたフェニル基は、炭素数7のアリール基ではない)。
mは0〜4を表し、好ましくは1〜4を表し、より好ましくは1〜2を表し、反応性、原料調達の観点からmは1が好ましい。mは1〜4の範囲であれば、同等の高温高湿環境下での偏光子耐久性改善の効果を奏する。このとき、反応性、原料調達の観点から一般式1で表される繰り返し単位に含まれるシクロヘキシル環の4位にRが置換されていることが好ましい。
ここで、本発明で使用されるポリエステルは、ジカルボン酸である脂肪族ジカルボン酸とジオールとの合成により得られるポリエステル系オリゴマーであることが好ましい。
以下、本発明におけるポリエステルの合成に好ましく用いることができるジカルボン酸及びジオールについて説明する。
本発明で使用されるポリエステルは、炭素数2〜10の脂肪族ジオールと下記一般式(b)で表される脂環構造を含むジカルボン酸(ジカルボン酸のことを二塩基酸とも言う)から合成することが好ましく、炭素数2〜10の非環状の脂肪族ジオールと下記一般式(b)に記載の脂環構造を含むジカルボン酸から合成することがより好ましい。
一般式(b):
Figure 2017009712
一般式(b)中、Rは炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基または炭素数6のアリール基を表し、環構造を形成していてもよく、置換基を有していてもよく、Rが表す基の炭素数の定義にはRが表す基がさらに有していてもよい置換基の炭素数は含まれず、mは0〜4を表す。
(ジカルボン酸)
ジカルボン酸としては、上記一般式(b)で表されるジカルボン酸を少なくとも用いることが好ましい。
一般式(b)中のRとmの好ましい範囲は、それぞれ一般式(a)中のRとmの好ましい範囲と同様である。
上記一般式(b)で表されるジカルボン酸としては、具体的には、3−メチル−1,2−シクロヘキシルジカルボン酸、4−メチル−1,2−シクロヘキシルジカルボン酸、4−エチル−1,2−シクロヘキシルジカルボン酸、4,5−ジメチル−1,2−シクロヘキシルジカルボン酸、4−イソボロニル−1,2−シクロヘキシルジカルボン酸、4−フェニル−1,2−シクロヘキシルジカルボン酸などが挙げられる。なかでも、入手しやすさの観点から、4−メチル−1,2−シクロヘキシルジカルボン酸が好ましい。
本発明で使用されるポリエステルは一般式(a)で表される繰り返し単位に加えて、一般式(a)に含まれない繰り返し単位をポリエステル構成単位として併用してもよい。その場合は、一般式(a)に含まれない繰り返し単位は、炭素数2〜10の非環状の脂肪族ジオールと一般式(b)で表されるジカルボン酸以外から合成することが好ましい。一般式(b)で表されるジカルボン酸以外のジカルボン酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸として、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられる。
ただし、本発明で使用されるポリエステル中、一般式(a)で表される繰り返し単位のモル比率は80%以上が好ましく、90%以上であることがより好ましい。
(ジオール)
ジオールとしては、炭素数2〜10の脂肪族ジオールが好ましい。
脂環構造を含む脂肪族ジオールとしては、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。
非環状の脂肪族ジオールとしては、アルキルジオールを挙げることができ、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロ−ルペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ジエチレングリコールなどが挙げられる。
好ましい脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、及び1,3−プロパンジオールの少なくとも1種であり、特に好ましくは、エチレングリコール及び1,2−プロパンジオールの少なくとも1種であり、より特に好ましくはセルロースとの相溶性の観点からエチレングリコールである。2種用いる場合は、エチレングリコール及び1,2−プロパンジオールを用いることが好ましい。
ジオールの炭素数は、2〜6であることがより好ましく、2〜4であることが特に好ましい。2種以上のジオールを用いる場合には、2種以上の平均炭素数が上記範囲となることが好ましい。ジオールの炭素数が上記範囲であれば、セルロースアシレートとの相溶性に優れ、光学フィルムの製膜時及び加熱延伸時においてもブリードアウトを生じにくいため好ましい。
(末端構造)
上記ポリエステルの末端は、脂環構造を有する基で封止されたものであることが好ましい。その中でも、ポリエステルの末端が、脂環構造を有するモノアルコール(あるいは、モノアルコールの誘導体であって、ポリエステルの末端カルボキシル基とエステル結合を形成できる化合物)または脂環構造を有するモノカルボン酸(あるいは、モノカルボン酸の誘導体であって、ポリエステルの末端水酸基とエステル結合を形成できる化合物)と反応させて得られる末端構造を有することが好ましい。例えば、二塩基酸とジオールを反応させて末端にカルボキシル基を有するポリエステルを得た場合、これと脂環構造を有するモノアルコールを反応させて脂環構造を有するモノアルコール残基で末端を封止することができる。また、末端に水酸基を有するポリエステルを得た場合、これと脂環構造を有するモノカルボン酸を反応させて脂環構造を有するモノカルボン酸残基で末端を封止することができる。これは、末端を疎水性官能基で保護することにより、偏光板の高温高湿環境下での偏光子耐久性の改善とフィルム表面性の改善に有効であり、エステル基の加水分解を遅延させる役割を示すことが要因となっている。
ここで、残基とは、上記ポリエステルの部分構造で、上記ポリエステルを形成している単量体の特徴を有する部分構造を表す。例えばモノカルボン酸R−COOHより形成されるモノカルボン酸残基はR−CO−であり、モノアルコールR−OHより形成されるモノアルコール残基はR−O−である。
脂環構造を有する基は炭素数4〜12であることが好ましく、炭素数4〜12のシクロアルキル基を含む基であることがより好ましく、炭素数6〜12のシクロアルキル基を含む基であることが特に好ましい。本発明の光学フィルムは、脂環構造を有する基が、炭素数6〜12のシクロアルキル基を含む基であり、前述の炭素数6〜12のシクロアルキル基を含む基が少なくとも1つのシクロヘキシル環を含むことがより特に好ましい。
上記ポリエステルの末端が、脂環構造を有するモノアルコール由来の基(以下、モノアルコール残基とも言う)でカルボキシル基の一部が置換されてエステル結合が形成された末端構造を有する(以下、水酸基末端の水素原子が封止されているとも言う)ことも、脂環構造を有するモノカルボン酸由来のアシル基(以下、モノカルボン酸残基とも言う)で水酸基の水素原子が置換された末端構造を有する(以下、水酸基末端の水素原子が封止されているとも言う)ことも好ましい。その中でも、脂環構造を有するモノカルボン酸由来のアシル基で水酸基の水素原子が置換された末端構造を有することがより好ましい。
脂環構造を含むモノアルコールとしては、炭素数4〜12の脂環構造を有するモノアルコールであることが好ましく、炭素数4〜12のシクロアルキルモノアルコールであることがより好ましく、炭素数6〜12のシクロアルキルモノアルコールであることが特に好ましい。脂環構造を含むモノアルコールとしては、炭素数6〜12のシクロアルキルモノアルコールであり、かつ、炭素数6〜12のシクロアルキルモノアルコールが少なくとも1つのシクロヘキシル環を含むことがより特に好ましい。具体的にはシクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノール、4−メチルシクロヘキサノール、2−エチルシクロヘキサノール、4−エチルシクロヘキサノール、4−イソプロピルシクロヘキサノール、4−ブチルシクロヘキサノール、4−tert−ブチルシクロヘキサノール、2,5−ジメチルシクロヘキサノール、3,5−ジメチルシクロヘキサノール、4−シクロヘキシルシクロヘキサノール、シクロヘプタノール、シクロオクタノール、シクロドデカノール、シクロヘキサンメタノール、ノルボルネオール、1−アダマンタノール、2−アダマンタノール等が挙げられる。
上記脂環構造を有するモノカルボン酸としては、炭素数4〜12の脂環構造を有するモノカルボン酸であることが好ましく、炭素数4〜12のシクロアルキルモノカルボン酸であることがより好ましく、炭素数6〜12のシクロアルキルモノカルボン酸であることが特に好ましい。脂環構造を有するモノカルボン酸としては、炭素数6〜12のシクロアルキルモノカルボン酸であり、かつ、炭素数6〜12のシクロアルキルモノカルボン酸が少なくとも1つのシクロヘキシル環を含むことが特に好ましい。具体的にはシクロプロパンカルボン酸、シクロブタンカルボン酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、4−メチルシクロヘキサンカルボン酸、4−エチルシクロヘキサンカルボン酸、4−プロピルシクロヘキサンカルボン酸、4−tert−ブチルシクロヘキサンカルボン酸などが挙げられる。これらの中でも、シクロヘキサンカルボン酸、4−メチルシクロヘキサンカルボン酸がより特に好ましく、シクロヘキサンカルボン酸が特に好ましい。炭素数6〜12のシクロアルキルモノカルボン酸であり、かつ、炭素数6〜12のシクロアルキルモノカルボン酸が少なくとも1つのシクロヘキシル環を含む化合物には、シクロヘキシル環の置換基どうしが連結した縮合環を含む、炭素数6〜12のシクロアルキルモノカルボン酸なども含まれる。
封止に用いる脂環構造を有するモノアルコールや脂環構造を有するモノカルボン酸は2種以上を混合してもよい。このとき、上記ポリエステルの両末端は脂環構造を有するモノアルコール残基または脂環構造を有するモノカルボン酸残基となっていることが好ましい。末端を疎水性かつ、嵩高い脂環構造を有する官能基で保護することにより、偏光板の高温高湿環境下での偏光子耐久性の改善に有効であり、また、フィルムの剛性を改良することができる。
また、モノカルボン酸で封止されていることも好ましい態様の1つである。モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、カプリル酸、カプロン酸、デカン酸、ドデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸が挙げられ、酢酸、プロピオン酸がより好ましく、酢酸であることが特に好ましい。モノカルボン酸で封止することにより疎水性が向上する。
上記ポリエステルの酸価は10mgKOH/g以下であることが好ましく、5mgKOH/g以下であることがより好ましく、1mgKOH/g以下であることが特に好ましい。
上記ポリエステルの水酸基価は10mgKOH/g以下であることが高温高湿環境下での偏光子耐久性を改善する観点から好ましく、5mgKOH/g以下であることがより好ましく、1mgKOH/g以下であることが特に好ましい。
(合成方法)
ポリエステルの合成方法としては、ジカルボン酸とジオールの脱水縮合反応、又は、グリコールへの無水ジカルボン酸の付加および脱水縮合反応などの公知の方法を利用することができる。
さらに、上記ポリエステルの合成は、常法により上記ジカルボン酸と、上記ジオールと、末端封止用の脂環構造を有するモノメタノールや脂環構造を有するモノカルボン酸とのポリエステル化反応またはエステル交換反応による熱溶融縮合法か、あるいはこれら酸の酸クロライドとグリコール類との界面縮合法のいずれかの方法によっても容易に合成し得るものである。
ポリエステルの数平均分子量(Mn)は、500〜3000であることが好ましく、600〜1500がより好ましく、700〜1200がさらに好ましい。ポリエステルの数平均分子量は500以上であれば揮発性が低くなり、光学フィルムの延伸時の高温条件下における揮散によるフィルム故障や工程汚染を生じにくくなる。また、ポリエステルの数平均分子量は3000以下であればセルロースエステルとの相溶性が高くなり、製膜時及び加熱延伸時のブリードアウトが生じにくくなる。
本発明で使用されるポリエステルの数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定、評価することができる。具体的には、以下の方法で測定した値を採用する。上記ポリエステルをテトラヒドロフラン(THF)に溶解させ、東ソー株式会社製高速GPCを用いて行った。数平均分子量Mnはポリスチレン換算で計算した。以下に詳細を示す。
(分子量の測定)
GPC:ゲルパーミエーションクロマトグラフ装置(東ソー(株)製HLC−8220GPC、カラム;東ソー(株)製ガードカラムHXL−H、TSK gel G7000HXL、TSK gel GMHXL2本、TSK gel G2000HXLを順次連結、溶離液;テトラヒドロフラン、流速;1mL/min、サンプル濃度;0.7〜0.8wt%、サンプル注入量;70μL、測定温度;40℃、検出器;RI(40℃)、標準物質;東ソー(株)製TSKスタンダードポリスチレン)を用い、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)を測定した。なお、Mnは標準ポリスチレン換算の数平均分子量である。
(添加量(含有量))
本発明の光学フィルムの全体におけるポリエステルの含有量は、光学フィルムの全体に含まれるセルロースアシレート100質量部に対して5〜20質量部であることが好ましく、5〜18質量部であることがより好ましく、5〜15質量部であることが特に好ましい。ポリエステルは、1種類のみ含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<その他の成分>>
本発明の光学フィルムには、化合物A及びセルロースアシレート以外のその他の成分を含有していてもよい。その他の成分の例としては、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、マット剤、偏光子耐久性改良剤などが挙げられる。
<可塑剤>
可塑剤としては高分子系可塑剤(例えば、リン酸エステル系可塑剤、カルボン酸エステル系可塑剤、重縮合オリゴマー系可塑剤等)が含まれる。
高分子系可塑剤としては、ポリエステルポリウレタン系可塑剤、脂肪族炭化水素系ポリマー、脂環式炭化水素系ポリマー、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル等のアクリル系ポリマー(エステル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、イソノニル基、tert−ノニル基、ドデシル基、トリデシル基、ステアリル基、オレイル基、ベンジル基、フェニル基など)、ポリビニルイソブチルエーテル、ポリN−ビニルピロリドン等のビニル系ポリマー、ポリスチレン、ポリ4−ヒドロキシスチレン等のスチレン系ポリマー、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリウレア、フェノール−ホルムアルデヒド縮合物、尿素−ホルムアルデヒド縮合物、酢酸ビニル、等が挙げられる。
<紫外線吸収剤(UV吸収剤)>
本発明に使用可能な紫外線吸収剤については特に制限はない。従来セルロースアシレートフィルムに使用されているUV吸収剤はいずれも用いることができる。紫外線吸収剤としては、特開2006−184874号公報に記載の化合物を挙げることができる。高分子紫外線吸収剤も好ましく用いることが出来、特に特開平6−148430号公報に記載のポリマータイプの紫外線吸収剤が好ましく用いられる。
紫外線吸収剤の使用量は、紫外線吸収剤の種類、使用条件等により一様ではないが、上記紫外線吸収剤が、セルロースアシレートに対して1〜5質量%の割合で含まれていることがより好ましい。
<偏光子耐久性改良剤>
本発明の光学フィルムは、高温高湿環境下での偏光子耐久性を改良するため、添加剤として偏光子耐久性改良剤を含んでいてもよい。
偏光子耐久性改良剤としては、公知の有機酸などを用いることができ、例えば、多価カルボン酸のモノグリセリドなどの有機酸モノグリセリド、特開2012−72348号公報に記載の化合物、バルビツール酸誘導体などを挙げることができる。
本発明の光学フィルムが偏光子耐久性改良剤を含有する場合は、偏光子耐久性改良剤の含有量としては、セルロースエステルに対して、6質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましい。
<酸化防止剤>
酸化防止剤としては、公知の酸化防止剤、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、4,4’−チオビス−(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などのフェノール系あるいはヒドロキノン系酸化防止剤を挙げることができる。さらに、トリス(4−メトキシ−3,5−ジフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリストールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどのリン系酸化防止剤を挙げることもできる。
本発明の光学フィルムが酸化防止剤を含有する場合は、酸化防止剤の含有量は、セルロースアシレート100質量部に対して、0.05〜5.0質量部であることが好ましい。
<層構成>
本明細書中、後述の機能層を有するフィルムのことを機能層も含めて光学フィルムと言うことがあるが、特に機能層以外の光学フィルムのことを「セルロースアシレートを含むフィルム」と言うことがある。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、セルロースアシレートを含むコア層と、コア層の少なくとも片面にセルロースアシレートを含むスキン層とを積層した構成を有することが好ましく、スキン層用のドープとコア層用のドープとを共流延することで作成されることが好ましい。この態様においては、コア層の一方の面に設けられたスキン層が上記化合物Aを含有する第1の領域である場合、又は、コア層の一方の面に設けられたスキン層に上記化合物Aを含有する溶液を塗布して膜を形成し、この膜が第1の領域である場合が好ましい。
光学フィルムのスキン層には、さらにマット剤を添加することが好ましい。マット剤としては、例えば特開2011−127045号公報に記載のものなどを用いることができ、例えば平均粒子サイズ20nmのシリカ粒子などを用いることができる。
(光学フィルムの厚み)
本発明の光学フィルムの厚みは、10〜45μmであることが好ましく、15〜35μmであることがより好ましく、15〜30μmであることがさらに好ましく、30μm未満であることが薄膜化の観点から特に好ましい。
本発明の光学フィルムの第1の領域の厚みは、1〜10μmであることが好ましく、1〜5μmであることがより好ましく、1〜3μmであることが特に好ましい。
本発明の光学フィルムの第2の領域の厚みは、10〜45μmであることが好ましく、15〜35μmであることがより好ましく、15〜30μmであることがさらに好ましく、30μm未満であることが薄膜化の観点から特に好ましい
(引き裂き強度)
光学フィルムの引き裂き強度は、JIS K−7128−2:1998の引き裂き試験方法(エルメンドルフ引き裂き法)に基づいて25μm換算の値で示すことができ、2g以上であるのが好ましく、より好ましくは2.4g以上である。
<光学フィルムの用途>
本発明の光学フィルムは、偏光板保護フィルム、画像表示面に配置される表面保護フィルム、等種々の用途に有用である。各用途に適する機能を示すために、本発明の光学フィルムは、例えば、ハードコート層、防眩層、クリアハードコート層のほか、反射防止層、帯電防止層、防汚層等を有していてもよい。
液晶表示装置などの表示装置の表面側に用いられる偏光板保護フィルムには防眩層あるいはクリアハードコート層のほか、反射防止層、帯電防止層、防汚層を有することが好ましい。
また、偏光板の作製時には、本発明の光学フィルムが面内遅相軸を有する場合は、この面内遅相軸と偏光子との透過軸が平行もしくは直交するように貼合することが好ましい。
<<光学フィルムの製造方法>>
本発明の光学フィルムを製造する方法は、特に制限はなく、公知の方法を用いて製膜することができる。例えば、溶液流延製膜法及び溶融製膜法のいずれを利用して製膜してもよい。フィルムの面状を改善する観点から、本発明の光学フィルムは、溶液流延製膜法を利用して製造するのが好ましい。以下、溶液流延製膜法を用いる場合を例に説明するが、本発明の光学フィルムを製造する方法は溶液流延製膜法に限定されるものではない。なお、溶融製膜法を用いる場合については、公知の方法を用いることができる。
−ポリマー溶液−
溶液流延製膜方法では、セルロースアシレート、化合物A及び必要に応じてその他の成分を含有するポリマー溶液(「セルロースアシレート溶液」、「ドープ」ともいう)を用いてウェブを形成する。
−溶媒−
セルロースアシレートは溶媒に溶解させてドープを形成し、これを基材上に流延しフィルムを形成させる。この際に押し出しあるいは流延後に溶媒を蒸発させる必要性があるため、揮発性の溶媒を用いることが好ましい。
更に、反応性金属化合物や触媒等と反応せず、かつ流延用基材を溶解しないものである。又、2種以上の溶媒を混合して用いてもよい。
また、セルロースアシレートと加水分解重縮合可能な反応性金属化合物を各々別の溶媒に溶解し後に混合してもよい。
ここで、上記セルロースアシレートに対して良好な溶解性を有する有機溶媒を良溶媒といい、また溶解に主たる効果を示し、その中で大量に使用する有機溶媒を主(有機)溶媒または主たる(有機)溶媒という。
上記良溶媒の例としてはアセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類、ぎ酸メチル、ぎ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、γ−ブチロラクトン等のエステル類の他、メチルセロソルブ、ジメチルイミダゾリノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、ジメチルスルフォキシド、スルホラン、ニトロエタン、塩化メチレン、アセト酢酸メチルなどが挙げられるが、1,3−ジオキソラン、THF、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸メチルおよび塩化メチレンが好ましい。
ドープには、上記有機溶媒の他に、1〜40質量%の炭素原子数1〜4のアルコールを含有させることが好ましい。
これらは、ドープを金属支持体に流延した後、溶媒が蒸発し始めてアルコールの比率が多くなることでウェブ(支持体上にセルロースアシレートのドープを流延した以降のドープ膜の呼び方をウェブとする)をゲル化させ、金属支持体から剥離することを容易にするゲル化溶媒として用いられたり、これらの割合が少ない時は非塩素系有機溶媒のセルロースアシレートの溶解を促進したりする役割もあり、反応性金属化合物のゲル化、析出、粘度上昇を抑える役割もある。
炭素原子数1〜4のアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルを挙げることができる。
これらのうち、ドープの安定性に優れ、沸点も比較的低く、乾燥性も良く、且つ毒性がないこと等からメタノール、エタノールが好ましい。これらの有機溶媒は、単独ではセルロースアシレートに対して溶解性を有しておらず、貧溶媒という。
本発明におけるポリマー溶液の溶媒として好ましく用いられる有機溶媒の組み合せの例については、特開2009−262551号公報に挙げられている。
また、必要に応じて、非ハロゲン系有機溶媒を主溶媒とすることもでき、詳細な記載は発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)に記載がある。
本発明におけるポリマー溶液中のセルロースアシレート濃度は、5〜40質量%が好ましく、10〜30質量%がさらに好ましく、15〜30質量%が最も好ましい。
上記セルロースアシレート濃度は、セルロースアシレートを溶媒に溶解する段階で所定の濃度になるように調整することができる。また予め低濃度(例えば4〜14質量%)の溶液を調製した後に、溶媒を蒸発させる等によって濃縮してもよい。さらに、予め高濃度の溶液を調製後に、希釈してもよい。また、添加剤を添加することで、セルロースアシレートの濃度を低下させることもできる。
添加剤を添加する時期は、添加剤の種類に応じて適宜決定することができる。たとえば、芳香族エステルオリゴマーやUV吸収剤は、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコールやメチレンクロライド、酢酸メチル、アセトン、ジオキソラン等の有機溶媒或いはこれらの混合溶媒に紫外線吸収剤を溶解してからドープに添加するか、または直接ドープ組成中に添加してもよい。無機粉体のように有機溶剤に溶解しないものは、有機溶剤とセルロースアシレート中にデゾルバーやサンドミルを使用し、分散してからドープに添加する。
このような条件を満たし好ましい高分子化合物であるセルロースアシレートを高濃度に溶解する溶剤として最も好ましい溶剤は、塩化メチレン:メタノールの質量比が95:5〜70:30の混合溶剤である。
(1)溶解工程
セルロースアシレートに対する良溶媒を主とする有機溶媒に、溶解釜中でこのセルロースアシレート、添加剤を攪拌しながら溶解しドープを形成する工程、あるいはセルロースアシレート溶液に添加剤溶液を混合してドープを形成する工程である。
セルロースアシレートの溶解には、常圧で行う方法、主溶媒の沸点以下で行う方法、主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法、特開平9−95544号公報、特開平9−95557号公報、または特開平9−95538号公報に記載の如き冷却溶解法で行う方法、特開平11−21379号公報に記載の如き高圧で行う方法等種々の溶解方法を用いることができるが、特に主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法が好ましい。
ドープ中のセルロースアシレートの濃度は10〜35質量%が好ましい。溶解中または後のドープに添加剤を加えて溶解及び分散した後、濾材で濾過し、脱泡して送液ポンプで次工程に送ることが好ましい。
(2)流延工程
ドープを、送液ポンプ(例えば、加圧型定量ギヤポンプ)を通して加圧ダイに送液し、無限に移送する無端の金属ベルト、例えばステンレスベルト、あるいは回転する金属ドラム等の金属支持体上の流延位置に、加圧ダイスリットからドープを流延する工程である。
ダイの口金部分のスリット形状を調整出来、膜厚を均一にし易い加圧ダイが好ましい。加圧ダイには、コートハンガーダイやTダイ等があり、何れも好ましく用いられる。金属支持体の表面は鏡面となっている。製膜速度を上げるために加圧ダイを金属支持体上に2基以上設け、ドープ量を分割して重層してもよい。あるいは複数のドープを同時に流延する共流延法によって積層構造のフィルムを得ることも好ましい。
(3)溶媒蒸発工程
ウェブ(光学フィルムの完成品となる前の状態であって、まだ溶媒を多く含むものをこう呼ぶ)を金属支持体上で加熱し、金属支持体からウェブが剥離可能になるまで溶媒を蒸発させる工程である。
溶媒を蒸発させるには、ウェブ側から風を吹かせる方法及び/または金属支持体の裏面から液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等があるが、裏面液体伝熱の方法が、乾燥効率がよく好ましい。またそれらを組み合わせる方法も好ましい。裏面液体伝熱の場合は、ドープ使用有機溶媒の主溶媒または最も低い沸点を有する有機溶媒の沸点以下で加熱するのが好ましい。
(4)剥離工程
金属支持体上で溶媒が蒸発したウェブを、剥離位置で剥離する工程である。剥離されたウェブは次工程に送られる。なお、剥離する時点でのウェブの残留溶媒量(下記式)があまり大き過ぎると剥離し難かったり、逆に金属支持体上で充分に乾燥させ過ぎてから剥離すると、途中でウェブの一部が剥がれたりする。
ここで、製膜速度を上げる方法(残留溶媒量ができるだけ多いうちに剥離することで製膜速度を上げることができる)としてゲル流延法(ゲルキャスティング)がある。例えば、ドープ中にセルロースアシレートに対する貧溶媒を加えて、ドープ流延後、ゲル化する方法、金属支持体の温度を低めてゲル化する方法等がある。金属支持体上でゲル化させ剥離時の膜の強度を上げておくことによって、剥離を早め製膜速度を上げることができる。
金属支持体上でのウェブの剥離時残留溶媒量は、乾燥の条件の強弱、金属支持体の長さ等により5〜150質量%の範囲で剥離することが好ましいが、残留溶媒量がより多い時点で剥離する場合、経済速度と品質との兼ね合いで剥離時の残留溶媒量が決められる。本発明においては、この金属支持体上の剥離位置における温度を−50〜40℃とするのが好ましく、10〜40℃がより好ましく、15〜30℃とするのが最も好ましい。
また、この剥離位置におけるウェブの残留溶媒量を10〜150質量%とすることが好ましく、更に10〜120質量%とすることが好ましい。
残留溶媒量は下記の式で表すことができる。
残留溶媒量(質量%)=[(M−N)/N]×100
ここで、Mはウェブの任意時点での質量、Nは質量Mのものを110℃で3時間乾燥させた時の質量である。
(5)乾燥または熱処理工程、延伸工程
上記剥離工程後、ウェブを乾燥装置内に複数配置したロールに交互に通して搬送する乾燥装置、および/またはクリップでウェブの両端をクリップして搬送するテンター装置を用いて、ウェブを乾燥することが好ましい。
本発明において熱処理をする場合、この熱処理温度はTg−5℃未満であることが好ましく、Tg−20℃以上Tg−5℃未満であることがより好ましく、Tg−15℃以上Tg−5℃未満であることがさらに好ましい。
また、熱処理温度は、30分以下であることが好ましく、20分以下であることがより好ましく、10分程度であることが特に好ましい。
乾燥および熱処理の手段はウェブの両面に熱風を吹かせるのが一般的であるが、風の代わりにマイクロウエーブを当てて加熱する手段もある。使用する溶媒によって、温度、風量及び時間が異なり、使用溶媒の種類、組合せに応じて条件を適宜選べばよい。
延伸処理は、MD及びTDのいずれか一方向に行ってもよいし、双方の方向に2軸延伸してもよい。延伸は1段で実施しても、多段で実施してもよい。また、引張り弾性率は、使用するセルロースアシレートの種類やアシル置換度を調整したり、添加剤の種類を選択することで、又はその割合を調整したりすることで、上記範囲に調整することができる。
フィルム搬送方向MDへの延伸における延伸倍率は、0〜20%であることが好ましく、0〜15%であることがより好ましく、0〜10%であることが特に好ましい。上記延伸の際のウェブの延伸倍率(伸び)は、金属支持体速度と剥ぎ取り速度(剥ぎ取りロールドロー)との周速差により達成することができる。例えば、2つのニップロールを有する装置を用いた場合、入口側のニップロールの回転速度よりも、出口側のニップロールの回転速度を速くすることにより、搬送方向(縦方向)にフィルムを好ましく延伸することができる。このような延伸が施されることによって、MDの引張り弾性率を調整できる。
なお、ここでいう「延伸倍率(%)」とは、以下の式により求められるものを意味する。
延伸倍率(%)=100×{(延伸後の長さ)−(延伸前の長さ)}/延伸前の長さ
フィルム搬送方向に直交する方向TDへの延伸における延伸倍率は、0〜30%であることが好ましく、1〜20%であることがより好ましく、5〜15%であることが特に好ましい。
なお、本発明においては、フィルム搬送方向に直交する方向TDに延伸する方法として、テンター装置を用いて延伸することが好ましい。
2軸延伸の際に縦方向に、例えば0.8〜1.0倍に緩和させて所望のレターデーション値を得ることもできる。延伸倍率は様々な目的に応じて設定される。本発明の光学フィルムを製造する場合、長尺方向に一軸延伸することもできる。
延伸の際の温度が、Tg以下であると、延伸方向の引張り弾性率が上昇するので好ましい。延伸温度は、Tg−50℃〜Tgであることが好ましく、Tg−30℃〜Tg−5℃であることがより好ましい。
なお、延伸工程後に乾燥してもよい。延伸工程後に乾燥する場合、使用する溶媒によって、乾燥温度、乾燥風量及び乾燥時間が異なり、使用溶媒の種類、組合せに応じて乾燥条件を適宜選べばよい。本発明では、延伸工程後の乾燥温度は、延伸工程の延伸温度よりも低い方が、フィルムを液晶表示装置に組み込んだときの正面コントラストを上昇させる観点から好ましい。
(6)巻き取り
以上のようにして得られた、フィルムの長さは、1ロール当たり100〜10000mで巻き取るのが好ましく、より好ましくは500〜7000mであり、さらに好ましくは1000〜6000mである。フィルムの幅は、0.5〜5.0mが好ましく、より好ましくは1.0〜3.0mであり、さらに好ましくは1.0〜2.5mである。巻き取る際、少なくとも片端にナーリングを付与するのが好ましく、ナーリングの幅は3mm〜50mmが好ましく、より好ましくは5mm〜30mm、高さは0.5〜500μmが好ましく、より好ましくは1〜200μmである。これは片押しであっても両押しであってもよい。
このようにして得られたウェブを巻き取り、光学フィルムを得ることができる。
<<偏光板>>
本発明の偏光板は、偏光子と、少なくとも1枚の本発明の光学フィルムとを含む。
本発明の偏光板は、一般的な方法で作製することができる。例えば、本発明の光学フィルムの一方の面と、偏光子とを貼り合わせて積層することで作製することができる。本発明の光学フィルムの貼合面は、アルカリ鹸化処理を行うことが好ましい。また、貼合には、完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液を用いることができる。
積層には、通常、接着剤が用いられる。偏光子と両面の偏光板保護フィルムの間の接着剤層は、その厚さを0.01〜30μm程度とすることができ、好ましくは0.01〜10μm、さらに好ましくは0.05〜5μmである。接着剤層の厚さがこの範囲にあれば、積層される光学フィルムと偏光子との間に浮きや剥がれを生じず、実用上問題のない接着力が得られる。
好ましい接着剤の一つとして、水系接着剤、すなわち、接着剤成分が水に溶解又は分散しているものを挙げることができ、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液からなる接着剤が好ましく用いられる。
ポリビニルアルコール系樹脂水溶液からなる接着剤において、ポリビニルアルコール系樹脂には、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルをケン化処理して得られるビニルアルコールホモポリマーのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体をケン化処理して得られるビニルアルコール系共重合体、さらにそれらの水酸基を部分的に変性した変性ポリビニルアルコール系重合体などがある。
この接着剤には、多価アルデヒド、水溶性エポキシ化合物、メラミン系化合物、ジルコニア化合物、亜鉛化合物、グリオキシル酸塩等が架橋剤として添加されていてもよい。水系接着剤を用いた場合、それから得られる接着剤層の厚みは通常、1μm以下である。
もう一つの好ましい接着剤として、活性エネルギー線の照射又は加熱により硬化するエポキシ化合物を含有する硬化性接着剤組成物が挙げられる。ここで硬化性のエポキシ化合物は、分子内に少なくとも2個のエポキシ基を有するものである。この場合、偏光子と光学フィルムとの接着は、上記接着剤組成物の塗布層に対して、活性エネルギー線を照射するか、又は熱を付与し、接着剤に含有される硬化性のエポキシ化合物を硬化させる方法により行うことができる。エポキシ化合物の硬化は、一般に、エポキシ化合物のカチオン重合により行われる。また生産性の観点から、この硬化は活性エネルギー線の照射により行うことが好ましい。
硬化性接着剤を用いた場合、それから得られる接着剤層の厚みは通常、0.5〜5μm程度である。
硬化性接着剤を用いる場合には、貼合ロールを用いてフィルムを貼合した後、必要に応じて乾燥を行ない、活性エネルギー線を照射するかまたは加熱することにより硬化性接着剤を硬化させる。活性エネルギー線の光源は特に限定されないが、波長400nm以下に発光分布を有する活性エネルギー線が好ましく、具体的には、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ等が好ましく用いられる。
耐候性、屈折率、カチオン重合性などの観点から、硬化性接着剤組成物に含有されるエポキシ化合物は、分子内に芳香環を含まないものであることが好ましい。分子内に芳香環を含まないエポキシ化合物として、水素化エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物などが例示できる。このような硬化性接着剤組成物に好適に用いられるエポキシ化合物は、例えば、特開2004−245925号公報に詳細に説明されている。
また、光学フィルムと偏光子とを接着剤で貼合するにあたり、接着強度を向上させる目的で、光学フィルムの、偏光子と対向する面に表面処理(例、グロー放電処理、コロナ放電処理、紫外線(UV)処理)や易接着層形成等をしてもよい。特開2007-127893号公報、特開2007−127893号公報等に記載されている易接着層の材料や形成法などを用いることができる。
偏光子としては、従来公知のものを用いることができる。例えば、ポリビニルアルコールあるいはエチレン単位の含有量1〜4モル%、重合度2000〜4000、けん化度99.0〜99.99モル%であるエチレン変性ポリビニルアルコールの如き親水性ポリマーからなるフィルムを、ヨウ素の如き二色性染料で処理して延伸したものや、塩化ビニルの如きプラスチックフィルムを処理して配向させたものを用いる。
偏光子の膜厚としては、5〜30μmのものが好ましく用いられる。こうして得られた偏光子を、本発明の光学フィルムと貼合する。偏光子の膜厚が薄くなると、偏光子の耐久性が悪化しやすくなるが、本発明の光学フィルムは高温高湿環境下での偏光子耐久性を改良することが出来るので、偏光子の膜厚が薄い場合にも好適に用いられる。特に5〜20μmの偏光子と貼合することが好ましく、5〜15μmの偏光子と貼合することがより好ましい。
偏光子を、本発明の光学フィルムと貼合する際は、本発明の光学フィルムにおける上記第1の領域が偏光子と最隣接した位置に配置されていてもよいし、偏光子から最も遠い位置に配置されていてもよい。
偏光子に本発明の光学フィルムが貼合された面の反対面には、さらに本発明の光学フィルムを貼合してもよいし、従来知られている光学フィルムを貼合してもよい。
上記した従来知られている光学フィルムについては、光学特性及び材料のいずれについても特に制限はないが、セルロースエステル樹脂、アクリル樹脂、および/または環状オレフィン樹脂を含む(あるいは主成分とする)光学フィルムを好ましく用いることができ、光学的に等方性のフィルムを用いても、光学的に異方性の位相差フィルムを用いてもよい。
上記の従来知られている光学フィルムについて、セルロースエステル樹脂を含むものとしては、例えばフジタックTD40UC(富士フイルム(株)製)などを利用することができる。
上記の従来知られている光学フィルムについて、アクリル樹脂を含むものとしては、特許第4570042号公報に記載のスチレン系樹脂を含有する(メタ)アクリル樹脂を含む光学フィルム、特許第5041532号公報に記載のグルタルイミド環構造を主鎖に有する(メタ)アクリル樹脂を含む光学フィルム、特開2009−122664号公報に記載のラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂を含む光学フィルム、特開2009−139754号公報に記載のグルタル酸無水物単位を有する(メタ)アクリル系樹脂を含む光学フィルムを利用することができる。
また、上記の従来知られている光学フィルムについて、環状オレフィン樹脂を含むものとしては、特開2009−237376号公報の段落[0029]以降に記載の環状オレフィン系樹脂フィルム、特許第4881827号公報、特開2008−063536号公報に記載のRthを低減する添加剤を含有する環状オレフィン樹脂フィルムを利用することができる。
本発明の偏光板を液晶表示装置に利用する態様では、本発明の光学フィルムを偏光子の内側(すなわち偏光子と液晶セルの間)、外側(すなわち液晶セル側の面と反対側の面)のいずれの配置でも好適に使用することができるが、偏光子と液晶セルの間に配置することが好ましい。
<<液晶表示装置>>
本発明の液晶表示装置は、液晶セルと、この液晶セルの両側に配置された2枚の偏光板とを有する液晶表示装置であって、上記偏光板のうち少なくとも1枚が、本発明の偏光板である。本発明の光学フィルムの液晶表示装置における機能については特に制限はない。本発明の光学フィルムの配置方法の一例は、ハードコート層を有さない状態でバックライト側の偏光板中、偏光子と上記液晶セルとの間(すなわち偏光板の液晶セル側の面)に配置した偏光板の表面保護フィルムである。本発明の光学フィルムの配置方法の他の一例は、ハードコート層を有さない状態で表示面側の偏光板中、偏光子と上記液晶セルとの間(すなわち偏光板の液晶セル側の面)に配置される表面保護フィルムである。このように、本発明の液晶表示装置は、本発明の光学フィルムが、偏光子と液晶セルとの間に配置されることが好ましい。
その他の構成については、公知の液晶表示装置のいずれの構成も採用することができる。液晶セルのモードについても特に制限はなく、TN(Twisted Nematic)モード型の液晶セル、横電界スイッチングIPS(In−Plane Switching)モード型の液晶セル、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)モード型の液晶セル、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)モード型の液晶セル、OCB(Optically Compensatory Bend)モード型の液晶セル、STN(Supper Twisted Nematic)モード型の液晶セル、VA(Vertically Aligned)モード型の液晶セルおよびHAN(Hybrid Aligned Nematic)モード型の液晶セル等の様々な表示モードの液晶表示装置として構成することができる。その中でも、本発明の液晶表示装置は、液晶セルが、横電界スイッチングIPSモード型の液晶セルである液晶表示装置であることが好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明の特徴を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
本発明に用いられる化合物Aを以下のようにして合成した。
代表的な化合物の合成例を以下に示す。
<合成例1>
(アセト酢酸エチルメタクリレート(A−2)とメチルメタクリレート(B−1)の共重合体の合成)
攪拌機、温度計、還流冷却管、および窒素ガス導入管を備えた300ミリリットル三口フラスコに、メチルエチルケトン20.0gを仕込んで、80℃まで昇温した。次いで、アセト酢酸エチルメタクリレート(A−2)7.68g、メチルメタクリレート(B−1)32.32g、メチルエチルケトン20.0g、およびアゾ重合開始剤「V−601」(和光純薬(株)製)0.40gからなる混合溶液を、3時間で滴下が完了するように等速で滴下した。滴下完了後、1時間攪拌後、(1)「V−601」0.10g、メチルエチルケトン1.0gからなる溶液を加え、2時間攪拌を行った。続いて、(1)の工程を2回繰り返し、さらに2時間攪拌を続けた後、1.5リットルのn−ヘキサンに注いで乾燥し、実施例1に用いたアセト酢酸エチルメタクリレート(A−2)とメチルメタクリレート(B−1)の共重合体38.5gを得た。得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)は45000(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算で算出、使用カラムはTSKgel SuperHZM−H、TSKgel SuperHZ4000、TSKgel SuperHZ200(東ソー社製))であった。
実施例及び比較例で用いた上記以外の化合物は、用いるモノマー種及び組成比を下記表1に記載するように変更した以外は合成例1と同様にして合成した。また、下記実施例6〜9ではモノマーと開始剤の量を適宜変更して分子量を調整した。
各実施例や比較例における一般式(1)又は(2)で表される単量体の構造を下記に示す。
Figure 2017009712
〔実施例〕
以下のようにして、光学フィルムおよび偏光板を作製し、評価した。
[実施例1]
<光学フィルムの作製>
(コア層セルロースアシレートドープの作製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して、各成分を溶解し、コア層セルロースアシレートドープとして用いるセルロースアセテート溶液を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
コア層セルロースアシレートドープ
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
アセチル置換度2.88のセルロースアセテート 100質量部
ポリエステルE 12質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 430質量部
メタノール(第2溶剤) 64質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
実施例1で用いたポリエステルEは、1,2−シクロヘキシルジカルボン酸50モル%とエチレングリコール50モル%とから構成されるポリエステルであり、ポリエステルの両末端の水酸基の水素原子がシクロヘキサノイル基にて封止された末端構造をもつ。数平均分子量は1000であった。
(支持体側スキン層セルロースアシレートドープの作製)
上記のコア層セルロースアシレートドープ90質量部に下記のマット剤溶液を10質量部加え、支持体側スキン層セルロースアシレートドープとして用いるセルロースアセテート溶液を調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――
マット剤溶液
――――――――――――――――――――――――――――――――
平均粒子サイズ20nmのシリカ粒子
(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製)
2質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 76質量部
メタノール(第2溶剤) 11質量部
コア層セルロースアシレートドープ 1質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――
(エア側スキン層セルロースアシレートドープの作製)
下記のエア側スキン層セルロースアシレートドープ90質量部に上記のマット剤溶液を10質量部加え、エア側スキン層セルロースアシレートドープとして用いるセルロースアセテート溶液を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
エア側スキン層セルロースアシレートドープ
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
アセチル置換度2.88のセルロースアセテート 100質量部
化合物A 50質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 430質量部
メタノール(第2溶剤) 64質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
(バンド製膜による光学フィルムの作製)
上記コア層セルロースアシレートドープ、上記支持体側スキン層セルロースアシレートドープ、及び上記エア側スキン層セルロースアシレートドープを平均孔径34μmのろ紙および平均孔径10μmの焼結金属フィルターでろ過した後、上記支持体側スキン層セルロースアシレートドープが支持体側として、支持体側スキン層セルロースアシレートドープ/コア層セルロースアシレートドープ/エア側スキン層セルロースアシレートドープとなるように、3層同時に流延口から20℃の金属支持体上に流延した(バンド流延機)。溶剤含有率略20質量%の状態で剥ぎ取り、フィルムの幅方向の両端をテンタークリップで固定し、横方向に延伸倍率1.1倍で延伸しつつ乾燥した。その後、熱処理装置のロール間を搬送することにより、さらに乾燥し、厚み25μmの光学フィルムを作製し、これを実施例1の光学フィルムとした。実施例1の光学フィルムのコア層は厚み15μm、コア層の両側に配置されたスキン層はそれぞれ厚み5μmであった。
[実施例2〜12、14〜16および比較例1〜5]
実施例1の光学フィルムの作製において、光学フィルムに用いる化合物Aの種類、又は添加量を下記表1に記載したとおりに変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2〜12、14〜16および比較例1〜5の光学フィルムを作製した。実施例10においては、スキン層セルロースアシレートドープの流量を調整して、表1に記載の第1の領域膜厚とした。比較例3においては、エア側スキン層セルロースアシレートドープ単独で流延した。
(ドラム製膜による光学フィルムの作製)
なお、本発明の光学フィルムは、ドラム製膜によっても作製が可能である。以下、上記実施例1〜12、14〜16および比較例1〜5にて作製した光学フィルムをドラム製膜にて作製した場合の作製例を示す。
上記製膜用の各セルロースアシレートドープ組成において、溶媒の組成を、メチレンクロライド:メタノール:ブタノールが、質量比で82.5:17.0:0.5となるように変更した以外は同様にして、ドラム製膜用の各セルロースアシレートドープを調製した。
次に、−10℃に冷却された金属支持体上に一つの流延ダイから、支持体側から、上記支持体側スキン層用ドープ、コア層用ドープ、及びエア側スキン層用ドープを同時に押し出して共流延し、支持体上でゲル化させた。ゲル化させた後に、支持体から剥ぎ取り、搬送中にフィルムの幅手方向の両端をピンテンター(特開平4−1009号公報の図3に記載のピンテンター)で把持しながら、乾燥しフィルムを作製した。
この様に、下記表1に記載の実施例1〜12、14〜16および比較例1〜5のフィルムは、ドラム製膜によっても作製することができた。
[実施例13]
(塗布による光学フィルムの作製)
上記実施例1におけるバンド製膜による光学フィルムの作製において、エア側スキン層セルロースアシレートドープの処方を支持体側スキン層セルロースアシレートドープと同様の処方とした以外は実施例1と同様にして流延フィルムを作製し、下記溶液を塗布する際の支持体とした。
後記の表1に記載の化合物A30質量部をメチルエチルケトン70質量部に添加し塗布液とした。
上記溶液を流延フィルムの一方の表面にワイヤバーコータ#8で塗布し、60℃で120秒間乾燥させた。
<光学フィルムの評価>
各実施例および比較例にて作製した光学フィルムにつき、下記評価を行った。
(化合物Aの含有量比C/Bの測定)
上記で作製した各実施例及び比較例のセルロースアシレートフィルムをフィルム面に対して1°の角度で斜めに切削し、生成したフィルム断面を用いて、飛行時間型二次イオン質量分析計(TOF−SIMS (Time of Flight−Secondary Ion Mass Spectrometry))による測定を行った。TOF−SIMSの測定は、Phi Evans社製TRIFTII型TOF−SIMS(商品名)を用いて、フィルムを構成する第1の領域および第2の領域の表面に存在する化合物A分子起因の特異的なフラグメントイオンのピーク強度比からC/Bを算出した。ここで、Cはセルロースアシレートフィルムの第2の領域の表面(支持体側スキン層側の表面)での化合物Aの含有量であり、Bは第1の領域の表面(エア側スキン層側の表面)での化合物Aの含有量である。
得られた結果を下記表1に記載した。
(第1の領域に含まれる化合物Aの定量)
第1の領域に含まれる化合物Aの定量をTOF−SIMS(Time of Flight−Secondary Ion Mass Spectrometry)により行った。TOF−SIMSの測定は、Phi Evans社製TRIFTII型TOF−SIMS(商品名)を用いて、化合物Aに起因するフラグメントを検出することで観察する。
実施例1の光学フィルムの作製において、化合物Aの含有量が100質量%、50、0質量%である均一な単層フィルムを作成し、各フィルムに対して、フィルム表面から検出される化合物Aに由来する二次イオンの強度を計測し、検量線を作成した。本実施例ではCのイオン強度から、第1の領域に含まれる化合物Aの含有量を導出した。
上記検量線を元に、化合物Aに由来する二次イオンの強度から第1の領域に含まれる化合物Aの含有量を算出する。
得られた結果を下記表1に記載した。
(層間の密着性の評価)
上記で作製した各実施例及び比較例の光学フィルムを、温度25℃、相対湿度60%の条件で2時間調湿した。
エア側スキン層側の表面に、カッターナイフで碁盤目状に縦11本、横11本の切り込みを入れて、合計100個の正方形を刻み、その面に日東電工(株)製のポリエステル粘着テープ(No.31B)を貼りつけた。30分経時したあとに、垂直方向にテープを素早く引き剥がし、剥がれた正方形の数を数えて、下記4段階の基準で評価した。同じ試験を3回行って平均をとった。結果を下記表1に示す。
A:100個の正方形において剥がれが全く認められなかった。(許容範囲内)
B:100個の正方形において1〜5個の正方形の剥がれが認められた。(許容範囲内)
C:100個の正方形において6〜10個の正方形の剥がれが認められた。
D:100個の正方形において11個以上の正方形の剥がれが認められた。
(引き裂き強度)
光学フィルムの引き裂き強度は、JIS K−7128−2:1998の引き裂き試験方法(エルメンドルフ引き裂き法)に基づいて25μm換算の値を示す。具体的には、試料片51mm×64mmを、25℃、相対湿度65%の条件下に2時間調湿した後に軽荷重引き裂き強度試験機を用いて測定した。引き裂き強度は2g以上であるのが好ましく、より好ましくは2.4g以上である。
<偏光板の評価>
(偏光板の作製)
1)フィルムの鹸化
各実施例および比較例にて作製した光学フィルム及びフジタックTJ25(富士フイルム(株)製)を37℃に調温した4.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液(けん化液)に1分間浸漬した後、フィルムを水洗し、その後、0.05mol/Lの硫酸水溶液に30秒浸漬した後、更に水洗浴を通した。そして、エアナイフによる水切りを3回繰り返し、水を落とした後に70℃の乾燥ゾーンに15秒間滞留させて乾燥し、鹸化処理したフィルムを作製した。
2)偏光子の作製
特開2001−141926号公報の実施例1に従い、2対のニップロール間に周速差を与え、長手方向に延伸し、厚み8μmの偏光子を調製した。
3)貼り合わせ
このようにして得た偏光子を、下記表1に記載の各実施例および比較例の光学フィルム群から選択される1枚を鹸化したフィルムと、フジタックTJ25(富士フイルム(株)製)を鹸化したフィルムとで挟んだ後、PVA((株)クラレ製、PVA−117H)3%水溶液を接着剤として、偏光軸とフィルムの長手方向とが直交するようにロールツーロールで貼り合わせて偏光板を作製した。
貼り合わせる際、表1に記載の各実施例および比較例の光学フィルム群から選択されるフィルムは、支持体側スキン層が偏光子側になるように貼合した。ただし、エア側スキン層を偏光子側になるように貼合することもできる。
(偏光子耐久性の評価値)
上記で作製した偏光板について、各実施例および各比較例の光学フィルムの片方の面を粘着剤でガラス板に貼り合わせたサンプル(約5cm×5cm)を2組作製した。これをクロスニコル配置して、日本分光(株)製自動偏光フィルム測定装置VAP−7070を用いて直交透過率を410nm、および730nmで測定した。その後、60℃、相対湿度90%の高温高湿環境下で1000時間保存した後の直交透過率を上記方法で測定した。
偏光板の偏光子耐久性の評価値を以下のように定義する。
偏光板の偏光子耐久性の評価値=[経時後の直交透過率(%)−経時前の直交透過率(%)]/ 経時前の直交透過率(%)
実用使用上、問題が無いのは410nmの偏光板の偏光子耐久性の評価値が10以下の場合であり、6以下であることが好ましく、4以下であることがより好ましい。
また、730nmの偏光板の偏光子耐久性の評価値は4以下の場合に実使用上問題がなく、1.5以下であることが好ましく、1以下であることがより好ましい。
得られた結果を、下記表1に記載した。
Figure 2017009712
表1の結果から分かるように、本発明の実施例の光学フィルムは、偏光子耐久性、層間の密着性及び引き裂き強度に優れており、実施例の偏光板は偏光子耐久性に優れていた。
1 光学フィルム
2 セルロースアシレート
I 第1の領域
II 第2の領域
a 化合物A
b 第1の領域Iにおける第2の領域IIから最も遠い表面
c 第2の領域IIにおける第1の領域Iから最も遠い表面

Claims (13)

  1. 下記一般式(1)で表される単量体を重合して得られる繰り返し単位と下記一般式(2)で表される単量体を重合して得られる繰り返し単位と含む化合物A
    を含有する第1の領域と、
    セルロースアシレートを含有する第2の領域と
    を有し、
    前記化合物Aにおける下記一般式(1)で表される単量体を重合して得られる繰り返し単位の含有量は前記化合物Aの全繰り返し単位に対して50〜99モル%であり、下記一般式(2)で表される単量体を重合して得られる繰り返し単位の含有量は前記化合物Aの全繰り返し単位に対して1〜50モル%であり、
    前記第1の領域における前記第2の領域から最も遠い表面の前記化合物Aの含有量Bに対する前記第2の領域における前記第1の領域から最も遠い表面の前記化合物Aの含有量Cの比C/Bが0〜0.5である、光学フィルム。
    Figure 2017009712

    一般式(1)中、Rは水素原子又は炭素原子数1〜4の脂肪族基を表す。Xは、単結合、2価の脂肪族基、2価の芳香族基、2価の複素環基、−C(=O)−、−O−、−N(R)−、又はこれらを組合せてなる2価の基を表し、前記2価の脂肪族基、2価の芳香族基、及び2価の複素環基は置換基を有していてもよい。Rは水素原子又はアルキル基を表す。Rは水素原子、炭素原子数1〜12の脂肪族基、芳香族基、水酸基、又はニトリル基を表す。
    Figure 2017009712

    一般式(2)中、Rは水素原子、脂肪族基、芳香族基、又は複素環基を表し、前記脂肪族基、芳香族基及び複素環基は置換基を有していてもよい。Yは、単結合、2価の脂肪族基、2価の芳香族基、2価の複素環基、−C(=O)−、−O−、−N(R)−、又はこれらを組合せてなる2価の基を表し、前記2価の脂肪族基、2価の芳香族基、及び2価の複素環基は置換基を有していてもよい。Rは水素原子又はアルキル基を表す。
  2. 前記第1の領域の前記化合物Aの含有量が、前記第1の領域の全質量に対して20質量%以上100質量%以下である、請求項1に記載の光学フィルム。
  3. 前記第1の領域の前記化合物Aの含有量が、前記第1の領域の全質量に対して50質量%以上100質量%以下である請求項1又は2に記載の光学フィルム。
  4. 前記化合物Aが、前記一般式(1)で表される単量体を重合して得られる繰り返し単位を前記化合物Aの全繰り返し単位に対して70〜99モル%含み、前記一般式(2)で表される単量体を重合して得られる繰り返し単位を前記化合物Aの全繰り返し単位に対して1〜30モル%含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  5. 前記化合物Aの重量平均分子量が、1000〜80000である請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  6. 前記セルロースアシレートのアシル置換度が2.00〜2.95である請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  7. 前記セルロースアシレートがセルロースアセテートである請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  8. 前記第2の領域にジカルボン酸とジオールにより構成されたポリエステルを含有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  9. 前記ポリエステルの末端が酢酸又はシクロヘキサンカルボン酸で封止されている請求項8に記載の光学フィルム。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の光学フィルムと偏光子とを有する偏光板。
  11. 前記光学フィルムの前記第1の領域が、前記偏光子側に配置された請求項10に記載の偏光板。
  12. 前記光学フィルムの前記第2の領域が、前記偏光子側に配置された請求項10に記載の偏光板。
  13. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の光学フィルム、又は請求項10〜12のいずれか1項に記載の偏光板を具備した液晶表示装置。
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