JP2017009224A - 反応器及び蓄熱システム - Google Patents

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Abstract

【課題】化学変化と相変化との間の干渉を抑制し、高い反応速度、放熱速度を得ることができるようにする。
【解決手段】反応器16は、熱供給により物質の脱着反応を行って蓄熱し、かつ、物質の吸着反応により放熱する蓄熱材14と、供給される物質の液膜蒸発が可能な伝熱面18と、前記蓄熱材と前記伝熱面との間に設けられ、かつ、熱伝導経路を形成するための熱交換可能な熱交換隔壁20と、前記伝熱面から蒸発した前記物質を前記蓄熱材へ移動させるための、前記熱伝導経路とは異なる物質移動経路22と、を含む。
【選択図】図2

Description

本発明は、生じる熱を有効利用するための反応器及び蓄熱システムに関する。
従来より、アルカリ土類金属酸化物を充填した反応器、水を貯蔵する水タンク、上記水タンクの水を上記反応器に供給する水供給管、及び上記反応器から水タンクに戻す還流管からなる密閉サイクル、上記反応器への水の給排水を制御する水送供給手段、上記反応器内のアルカリ土類金属水酸化物を加熱分解しアルカリ土類金属酸化物に再生する加熱手段、並びに上記水送給手段を制御し上記アルカリ土類金属酸化物と水との可逆反応を制御する反応制御手段を備え、上記アルカリ土類金属酸化物の水和反応に伴い発生する熱を利用するようにした化学発熱装置が知られている(特許文献1)。
この化学発熱装置では、アルカリ土類金属酸化物を平板状成型体として反応器に積層充填しているので、充填率が向上し、反応器を小型化できる。また、積層層間及び積層方向と並行な隙間に耐熱性多孔質部材を詰めたので、長期にわたり水の流路を確保でき、水のまわりがよくなり、反応速度が速くなる。反応の可逆性も向上する。
特開平7−180539号公報
上記の特許文献1に記載の技術では、耐熱性多孔質部材の多孔空間を流通する水が反応器の内部へ流入すると同時に酸化カルシウム成型体とも接触するため、供給口付近においては即座に水和反応が生じ、反応熱に伴って供給された水の一部が水蒸気へ気化する。この気化した水蒸気は水の内部への浸透を阻害し、酸化カルシウム成型体全体へ均一な水供給を実現することは困難となる。すなわち、耐熱性多孔質部材を用いる従来技術では、水蒸気を生成する性能が低い。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、化学変化と相変化との間の干渉を抑制し、高い反応速度、放熱速度を得ることができる反応器及び化学蓄熱システムを得ることが目的である。
本発明に係る反応器は、熱供給により物質の脱着反応又は化学反応を行って蓄熱し、かつ、物質の吸着反応又は化学反応により放熱する蓄熱材と、供給される物質の液膜蒸発が可能な伝熱面と、前記蓄熱材と前記伝熱面との間に設けられ、かつ、熱伝導経路を形成するための熱交換可能な熱交換隔壁と、前記伝熱面から蒸発した前記物質を前記蓄熱材へ移動させるための、前記熱伝導経路とは異なる物質移動経路と、を含んで構成されている。
本発明に係る反応器では、反応器の蓄熱材は、熱源からの熱供給を受けることで、物質の脱着反応又は化学反応を生じつつ蓄熱する。蓄熱材に蓄熱した熱を放出する際には、物質を反応器に供給することにより、蓄熱材の物質の吸着反応又は化学反応が生じ、該蓄熱材に蓄えられていた熱が放出される。
そして、蓄熱材から放出された熱が、熱交換隔壁によって形成された熱伝導経路を介して、伝熱面へ伝わり、伝熱面において、供給される物質の液膜蒸発が起こる。伝熱面から蒸発した物質は、物質移動経路を介して、蓄熱材へ移動し、物質が反応器に供給されるため、蓄熱材の物質の吸着反応又は化学反応が更に生じ、該蓄熱材に蓄えられていた熱が放出される。
このように、熱伝導経路と物質移動経路とにより自己循環式昇圧機構として作用するため、化学変化と相変化との間の干渉を抑制し、高い反応速度、放熱速度を得ることができる。
また、本発明に係る反応器は、前記蓄熱材の重量変化が生じるときの予め定められた相対蒸気圧以上の相対蒸気圧が得られるように、前記熱伝導経路の熱抵抗を設定することができる。これにより、安定して、自己循環式昇圧機構として作用することができる。
また、本発明に係る反応器は、前記伝熱面から蒸発した前記物質を外部へ供給するための物質供給経路と、前記伝熱面から蒸発した前記物質の圧力を計測する圧力計測部と、前記圧力計測部によって計測された前記圧力に応じて、前記物質供給経路に設けられた、前記物質の供給を切り換えるためのバルブを制御する制御部と、を更に含むことができる。これにより、高圧の蒸気を外部へ供給することができる。
また、本発明に係る蓄熱システムは、上記の反応器と、前記反応器により供給された前記物質の吸着反応又は化学反応により放熱する蓄熱材であって、かつ、前記反応器の蓄熱材よりも平衡温度の高い蓄熱材を含む高温反応器と、を含んで構成されている。これにより、高温の反応熱を得ることができる。
また、上記の蓄熱システムは、前記反応器の蓄熱材の脱着反応又は化学反応により供給された前記物質、及び前記高温反応器の蓄熱材の脱着反応又は化学反応により供給された前記物質を凝縮するための凝縮器を更に含み、熱源からの熱供給により前記高温反応器の蓄熱材が脱着反応又は化学反応し、前記高温反応器からの熱供給により前記反応器の蓄熱材が脱着反応又は化学反応することができる。これにより、供給された熱を有効に回収利用することができる。
また、上記の反応器は、前記伝熱面から蒸発した前記物質の圧力を計測する圧力計測部と、前記蓄熱材の温度を計測する温度計測部と、前記熱交換隔壁内に設けられた、熱交換可能な冷媒としての媒体を流すための媒体流路と、前記圧力計測部によって計測された前記圧力が、目標圧力を超えた場合、前記温度計測部によって計測された温度に応じて、前記媒体流路に流す媒体の流量を制御する制御部と、を更に含むことができる。これにより、伝熱面からの蒸気発生量と、蓄熱材の吸着反応又は化学反応による蒸気消費量とのバランスを保ちつつ、相対蒸気圧を制御することができ、吸着反応を維持することができる。
上記の反応器は、熱交換可能な熱媒としての媒体を流すための熱媒用媒体流路と、前記熱媒用媒体流路の媒体との熱交換により、供給される物質の液膜蒸発が可能な始動時用の伝熱面と、始動するときに、前記熱媒用媒体流路に媒体を流すように制御する制御部と、を更に含み、前記蓄熱材は、始動するときに、前記始動時用の伝熱面から供給された前記物質の吸着反応又は化学反応により放熱することができる。これにより、外部からの熱媒を用いて、始動時に蒸気を供給することができる。
上記の伝熱面は、前記物質の拡散速度が、前記蓄熱材の反応速度より速くなるように形成されることができる。これにより、伝熱面の反応不均一性を抑制することができる。
以上説明したように本発明に係る反応器及び化学蓄熱システムは、熱伝導経路と物質移動経路とにより自己循環式昇圧機構として作用するため、化学変化と相変化との間の干渉を抑制し、高い反応速度、放熱速度を得ることができる、という優れた効果を有する。
本発明の第1の実施形態に係る蒸気発生器の構成を示す斜視図である。 蒸気発生器の構成を示す側視断面図である。 伝熱面の面内温度分布について説明するための図である。 伝熱面をモデル化した細管群モデルを示す図である。 接触角に対する液拡散速度を示すグラフである。 空隙率に対する液拡散速度を示すグラフである。 水和反応位置を説明するための図である。 蓄熱材重量変化が顕著となる相対蒸気圧を説明するためのグラフである。 蓄熱材重量変化が顕著となる相対蒸気圧を説明するための図である。 本発明の第3の実施形態に係る蒸気発生器の構成を示す図である。 本発明の第3の実施形態に係る蒸気発生器の制御構成を示す図である。 本発明の第3の実施形態に係る蒸気発生器における蒸気の流れを示す図である。 本発明の第3の実施形態に係る蒸気発生器の蓄熱ECUによって実行される蒸気発生処理ルーチンを示す図である。 運転・蓄熱モードにおける熱供給器を説明するための図である。 起動・暖気モードにおける熱供給器を説明するための図である。 起動・暖気モードにおける反応器及び高温反応器における化学反応を説明するための図である。 運転・蓄熱モードにおける反応器及び高温反応器における化学反応を説明するための図である。 本発明の第5の実施形態に係る熱供給器の構成を示す側視断面図である。 本発明の第5の実施形態に係る熱供給器の構成を示す図である。 本発明の第5の実施形態に係る熱供給器の蓄熱ECUによって実行される熱供給処理ルーチンを示す図である。 本発明の第6の実施形態に係る熱供給器の構成を示す側視断面図である。 本発明の第6の実施形態に係る熱供給器の構成を示す図である。 本発明の第6の実施形態に係る熱供給器の蓄熱ECUによって実行される熱供給処理ルーチンを示す図である。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る蒸気発生器10について、図1〜図6に基づいて説明する。
図1には、蒸気発生器10の斜視図が示され、図2には、蒸気発生器10の断面図が示されている。この図に示される如く、蒸気発生器10は、ステンレスなどの金属材料で構成された容器12内に、化学蓄熱材に高熱伝導な熱伝導助材(カーボンファイバー、焼結銅、グラファイトカーボン等)を混合した蓄熱材成型体14を設けた反応器16を備えている。蓄熱材成型体14に含まれる化学蓄熱材は、脱水に伴って蓄熱(吸熱)し、水和(水酸化カルシウムへの復元)に伴って放熱(発熱)する構成とされている。
この実施形態では、化学蓄熱材として、アルカリ土類金属の水酸化物の1つである水酸化カルシウム(Ca(OH))が採用されている。したがって、反応器16内の蓄熱材成型体14では、以下に示す反応で蓄熱、放熱を可逆的に繰り返し得る構成とされている。
Ca(OH) ⇔ CaO + H
この式に蓄熱量、発熱量Qを併せて示すと、以下の式で表わされる。
Ca(OH) + Q → CaO + H
CaO + HO → Ca(OH) + Q
また、反応器16内には、水供給口17から供給される水の液膜蒸発が可能な伝熱面18が設けられている。伝熱面18は、多孔質体が表面に形成された構造化伝熱面であり、無機物スラリーコロイド溶液を用いた親水処理が表面に施されている。なお、伝熱面18の表面に多孔質体が形成されている場合を例に説明したが、エッチング、フィンなどが表面に形成されていてもよい。
また、反応器16内には、蓄熱材成型体14と伝熱面18との間であって、熱伝導経路を形成するための熱交換可能な熱交換隔壁20が設けられている。
また、反応器16内には、伝熱面18から蒸発した水蒸気を蓄熱材成型体14へ移動させるための、熱伝導経路とは異なる物質移動経路22が設けられている。
容器12には、蓄熱材成型体14へ初期蒸気を供給するための初期蒸気入口24、及び伝熱面18から蒸発した水蒸気を外部へ供給するための蒸気供給経路26が設けられている。
ここで、本実施の形態における反応器16が自己循環式昇圧機構として水蒸気を供給する原理について説明する。
反応器16は、水和反応系(CaO/Ca(OH)2)の蓄熱材に高熱伝導な熱伝導助材(カーボンファイバー、焼結銅、グラファイトカーボン等)を混合した蓄熱材成型体14と、液膜蒸発が可能な伝熱面18の間に熱交換隔壁20を設け、熱伝導経路と物質移動経路を連結する循環経路を形成することで、蓄熱材の化学反応、吸着反応で発生した熱Qc[W]を熱交換隔壁20、伝熱面18を介し蒸発界面へ伝える。これにより、化学反応による発熱Qc[W]と蒸発潜熱Qe[W]との差Qc-Qe[W]が反応器16および反応媒体の顕熱上昇に消費され、蒸気温度、蒸気圧力を増大することができる。一方で、蒸発界面から発生した蒸気は物質移動経路22を介して蓄熱材成型体14に供給することで、熱移動経路と物質移動経路22を独立に持つことが可能となる。これにより反応媒体(液体)により潮解しやすい蓄熱材の性能劣化を防ぐほか、蓄熱材厚み方向への反応媒体蒸気の面内均一供給が可能となる一方で、均一厚みの液膜形成による蒸発界面積の拡大、潜熱冷却の面内均一化により反応温度制御性が向上する等、化学反応と相変化現象との間の相互干渉を抑制しつつ、熱量差ΔQ(=Qc-Qe)を反応器顕熱上昇分に利用することで蒸気昇圧が可能となり、蒸気供給経路26から高圧の蒸気を供給することができる。
次に、伝熱面18の面内温度分布発生により反応不均一を抑制する原理について説明する。
図3に示すように、蓄熱材に混合する熱伝導助材の材料熱伝導率、混合率、配向性、厚みを調整し、高密度の蓄熱材成型体14とすることで蓄熱材の厚み方向の熱抵抗を制御可能とする。一方、多孔質体、エッチング、フィン等で構成した構造化伝熱面にスラリー、ゾルゲル、コロイド溶液法で無機物系の親水性材料をコートした液膜蒸発が可能な伝熱面18とし、構造化伝熱面の空隙率、材料熱伝導率、構造体厚みを調整することで蒸発伝熱面の厚み方向の熱抵抗を制御可能とする。これにより、蓄熱材反応温度と蒸発界面温度との温度差を物質(反応媒体)移動とは独立に設定可能となる。
蓄熱材材料の反応速度および、蓄熱材成型体14の密度、厚み、蒸気拡散孔径の設定により決まる蒸気拡散速度により、熱交換隔壁20を通過する熱流束qは決定する。一方で、伝熱面18への液拡散速度は構造体空隙径、固液界面の接触角、重力により決まり、親水化処理(接触角度の低減)により極めて早い拡散速度となる。このため、熱移動(熱伝導)とは独立に液拡散速度を制御することが可能となり、反応速度よりも液拡散速度を大きくなるように設定することで面内温度分布発生による反応不均一を抑制することができる。
また、図4に、伝熱面18をモデル化した細管群モデル(常温、非蒸発)を示す。動粘性係数ν[m2/s]、表面張力T[N/m]、密度ρ[kg/m3]とすると、慣性項、粘性項、重力・毛管力項からなる以下の式が得られる。
Figure 2017009224
上記の細管群モデル(常温、非蒸発)による解析から、接触角α(親水性処理による濡れ性向上)、重力利用(反応液を鉛直上部より供給し、重力と毛管力を利用)、空隙径サイズによる液拡散速度制御が可能となり(図5、6参照)、反応速度よりも液拡散速度を大きく設定することが可能である。例えば、親水化処理により、接触角αが減少し、拡散速度を増大させることが可能である。これは接触角αの減少で毛管力項のBが増大するためである。また、反応液を下部から供給する場合に比べて、反応液を上部から供給する場合には、重力利用により液拡散速度を増大させることができる。また、反応液を上部から供給する場合には、空隙径サイズの設定として、大き目の細孔(d=0.5mm)とすることにより、拡散速度を向上させることが可能である。
次に、第1の実施形態の作用を説明する。
まず、初期蒸気入口24から初期蒸気が供給されると、蓄熱材成型体14での水和反応により発熱し、発生した熱が、熱交換隔壁20、伝熱面18を介して蒸発界面へ伝わる。このとき、水供給口17から供給された水が、伝熱面18の蒸発界面で蒸発し、水蒸気が供給される。
伝熱面18から供給された水蒸気は、物質移動経路22に沿って蓄熱材成型体14へ移送し、蓄熱材成型体14での水和反応により発熱する。
このように、熱交換隔壁20により形成された熱移動経路を移動する熱と、物質移動経路22を移動する水蒸気とが循環することにより、伝熱面18から供給される水蒸気は徐々に昇圧され、昇圧された水蒸気が、蒸気供給経路26により外部へ供給される。
そして、蓄熱材成型体14を再生する場合には、外部から蓄熱材成型体14へ熱を供給し、蓄熱材成型体14は水の脱着反応を行って蓄熱する。なお、蓄熱材成型体14の脱着反応により発生した水は、回収する機構により回収すればよい。
以上説明したように、第1の実施の形態に係る蒸気発生器によれば、熱伝導経路と物質移動経路とを独立に設けることにより自己循環式昇圧機構として作用するため、化学変化と相変化との間の干渉を抑制し、高い反応速度、放熱速度を得ることができる。
また、伝熱面の液拡散速度が、反応速度よりも大きくなるように設定することで、伝熱面の反応不均一性を抑制することができる。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る蒸気発生器10について説明する。なお、第2の実施形態に係る蒸気発生器10は、第1の実施の形態と同様の構成となるため、同一符号を付して説明を省略する。
ここで、本実施の形態における熱の移動経路における熱抵抗の設定により相対蒸気圧を制御する原理について説明する。
蓄熱材の化学反応熱は、蓄熱材成型体14、熱交換隔壁20、伝熱面18の熱伝導を介して、伝熱面18の気液蒸発界面へと輸送される。ここで、蓄熱材成型体14の蒸気通路抵抗が蓄熱材内部の蒸気拡散抵抗と比較して十分小さい場合、水和反応は蒸気通路と蓄熱材界面から進行し、厚み方向に一様な反応分布となる。このため、図7に示すように、蓄熱材界面から、以下の式で表わされる水和反応位置z(τ)では、反応蒸気が拡散し、水和反応位置から熱交換隔壁20までは、反応熱が熱交換隔壁20へと熱流束qw[W/m2]で熱伝導する。
z(τ)=δs・X(τ)
ただし、τ[s]は時間であり、δs[m]は、蓄熱材成型体14の厚みであり、X(τ)[m]は水和反応率である。
一方、伝熱面18では、親水処理による高い液拡散速度により蒸発界面は伝熱面18と物質移動経路22の界面に形成され、蒸発界面への見かけの熱伝導率は、構造体熱伝導率λmetal[W/m/K]と水の熱伝導率λliq[W/m/K]の複合熱伝導率λcomp[W/m/K]となる。
Figure 2017009224
このため、相対蒸気圧Rpは、以下の式に示すように、材料物性(蓄熱材成型体14の熱伝導率λs、伝熱面18の熱伝導率λmetal、伝熱面18の空隙率ε[-])と形状諸元(蓄熱材成型体14の厚みδs、伝熱面18の厚みδe[m]、熱交換隔壁20の厚みδw[m])より設定可能となる。
Figure 2017009224
ただし、Pe[kPa]は蒸気圧であり、Ps[kPa]は蓄熱材温度における蒸気圧であり、P(T) [kPa]は温度Tにおける飽和蒸気圧であり、ΔP1[kPa]は、物質移動経路22の圧力損失であり、ΔP1[kPa]は、蓄熱材成型体14表面から水和反応位置までの圧力損失である。ΔT[K]は、水和反応位置から蒸発界面までの間の温度差であり、Ts[K]は蓄熱材温度である。
Figure 2017009224
一方で、水和/脱水による蓄熱材重量変化が顕著となる相対蒸気圧RP,Tは蓄熱材により異なる(図8、9参照)。
そこで、熱移動経路の熱抵抗を設定することにより、相対蒸気圧RPを水和反応可能な相対蒸気圧RP,T(例えば、0.45〜0.55)以上とすることで連続的な蒸気昇圧が可能となる。なお、相対蒸気圧RP,T以下では反応温度が高すぎるため水和反応が停止する。
以上説明したように、第2の実施形態に係る蒸気発生器10の反応器16では、蓄熱材成型体14の重量変化が生じるときの予め定められた相対蒸気圧RP,T以上の相対蒸気圧RPが得られるように、材料物性(蓄熱材成型体14の熱伝導率λs、伝熱面18の熱伝導率λmetal、伝熱面18の空隙率ε[-])と形状諸元(蓄熱材成型体14の厚みδs、伝熱面18の厚みδe[m]、熱交換隔壁20の厚みδw[m])より、熱伝導経路の熱抵抗を設定する。
次に、第2の実施形態の作用を説明する。
まず、初期蒸気入口24から初期蒸気が供給されると、蓄熱材成型体14での水和反応により発熱し、発生した熱が、熱交換隔壁20、伝熱面18を介して蒸発界面へ伝わる。このとき、水供給口17から供給された水が、伝熱面18の蒸発界面で蒸発し、水蒸気が供給される。
伝熱面18から供給された水蒸気により、相対蒸気圧RPが、水和反応可能な相対蒸気圧RP,T(例えば、0.45〜0.55)以上となるため、蓄熱材成型体14の水和反応が生じ、発熱する。
このように、熱交換隔壁20により形成された熱移動経路を移動する熱と、物質移動経路22を移動する水蒸気とが循環することにより、伝熱面18から供給される水蒸気は連続的に昇圧され、昇圧された水蒸気が、蒸気供給経路26により外部へ供給される。
以上説明したように、第2の実施の形態に係る蒸気発生器によれば、蓄熱材の重量変化が生じるときの予め定められた相対蒸気圧RP,T以上の相対蒸気圧RPが得られるように、熱伝導経路の熱抵抗を設定することにより、安定して、自己循環式昇圧機構として作用し、蒸気昇圧が可能である。
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る蒸気発生器310について説明する。なお、第1の実施の形態、第2の実施の形態と同様の構成となる部分については、同一符号を付して説明を省略する。
図10に示すように、第3の実施形態に係る蒸気発生器310の反応器16の蒸気供給経路26には、蒸気の供給を切り替えるための開閉弁320が設けられている。また、水供給口17は、水供給ライン322を介して水タンク326に連通されている。水供給ライン322には、ウォータポンプ324が設けられている。また、初期蒸気入口24は、蒸気供給ライン330を介して初期蒸気発生器332に連通されている。蒸気供給ライン330には、蒸気の供給を切り替えるための開閉弁334が設けられている。
また、蒸気発生器310は、反応器16内の物質移動経路22の圧力に対応した信号を出力する圧力センサ340を備えている。なお、圧力センサ340が、圧力計測部の一例である。
また、図11に示されるように、蒸気発生器310は、蓄熱ECU350を備えている。蓄熱ECU350は、開閉弁320、334、及びウォータポンプ324のそれぞれに電気的に接続されており、これらの動作を制御するようになっている。なお、蓄熱ECU350が、制御部の一例である。
この蓄熱ECU350は、圧力センサ340に電気的に接続されている。
蓄熱ECU350は、図12に示すように、圧力センサ340によって検出された圧力が、目標圧力Ptargetに到達するまで、開閉弁320を閉じるように制御して、蒸気を昇圧する。蓄熱ECU350は、圧力センサ340によって検出された圧力が、目標圧力Ptargetに到達すると、開閉弁320を開くように制御して、蒸気供給経路26を連通させて、外部へ高圧の蒸気を供給する。
ここで、第3の実施形態における高圧蒸気を生成する原理について説明する。
蓄熱材の昇温のために、始動初期蒸気の供給により初期水和反応を開始し、反応水の供給により相対蒸気圧RP≧RP,Tとなるような蓄熱材から蒸発界面への熱伝導(温度差ΔT)により気液界面からの蒸気発生をおこなう。蒸気自己循環による蓄熱材昇温・内部蒸気昇圧後、内部蒸気圧がPtargetに到達すると同時に蒸気供給側の開閉弁320を開き高圧蒸気を供給する。これにより外部からの少ない投入エネルギー(初期水和反応に必要な蒸発潜熱、電気ヒータ加熱等)により高圧蒸気を生成することが可能となる。
次に、第3の実施形態の作用を説明する。
蓄熱ECU350の制御について、図13に示す蒸気発生処理ルーチンを参照しつつ説明する。蒸気発生器310の作動開始が指示されると、蓄熱ECU350によって蒸気発生処理ルーチンが実行される。
まず、ステップ100において、初期蒸気発生器332を一定時間だけ作動させると共に、開閉弁334を開放させる。これにより、初期蒸気発生器332から、蒸気供給ライン330及び初期蒸気入口24を介して蒸気が反応器16内の蓄熱材成型体14に供給される。蓄熱材成型体14では、水和反応が開始され、該水和反応に伴い放熱する。この熱は、熱交換隔壁20を介して伝熱面18へ伝わる。
そして、ステップ102において、ウォータポンプ324を作動させる。これにより、水タンク326から、水供給ライン322及び水供給口17を介して水が伝熱面18に供給される。
このとき、水和反応により蓄熱材成型体14の温度Tが上昇し、蓄熱材成型体14から伝熱面18へ、温度差ΔTで熱伝導が生じる。そして、
伝熱面18から供給された水蒸気Pe=P(Ts+ΔT)-ΔP1により、相対蒸気圧RPが、水和反応可能な相対蒸気圧RP,T以上となるため、蓄熱材成型体14の水和反応が更に生じ、発熱し、伝熱面18から供給される水蒸気は昇圧される。
次のステップ104では、圧力センサ340によって検出された圧力が、目標圧力Ptargetを超えたか否かを判定する。検出された圧力が、目標圧力Ptarget以下である場合には、開閉弁320を閉じたままとし、熱交換隔壁20により形成された熱移動経路を移動する熱と、物質移動経路22を移動する水蒸気との自己循環を継続する。
一方、検出された圧力が、目標圧力Ptargetを超えた場合には、ステップ106へ進み、開閉弁320を開放し、昇圧された蒸気を、蒸気供給経路26を介して外部へ供給する。
以上説明したように、第3の実施の形態に係る蒸気発生器によれば、所望の蒸気圧が得られるように、高圧の蒸気を外部へ供給することができる。
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態に係る熱供給器410について説明する。なお、第1の実施の形態〜第3の実施の形態と同様の構成となる部分については、同一符号を付して説明を省略する。
図14に示すように、第4の実施形態に係る熱供給器410は、更に高温反応器416及び凝縮器430を備えており、反応器16、高温反応器416、及び凝縮器430は、蒸気供給経路26を介して連通されている。蒸気供給経路26には、蒸気の供給を切り替えるための開閉弁421、422が設けられている。なお、熱供給器410は、蓄熱システムの一例である。
反応器16の蓄熱材成型体14では、化学蓄熱材として、例えば、M・xHOを用いる。
高温反応器416は、容器412内に、化学蓄熱材(例えば、水酸化カルシウム(Ca(OH)))に高熱伝導な熱伝導助材(カーボンファイバー、焼結銅、グラファイトカーボン等)を混合した2つの蓄熱材成型体414を設け、更に、2つの蓄熱材成型体414の間であって、熱伝導経路を形成するための熱交換可能な熱交換隔壁420が設けられている。
高温反応器416の蓄熱材成型体414では、蓄熱材成型体14の化学蓄熱材より平衡温度の高い化学蓄熱材として、例えば、Ca(OH)2を用いる。
また、高温反応器416内には、外部から供給された水蒸気を蓄熱材成型体414へ移動させ、かつ、蓄熱材成型体414から脱着された水蒸気を外部へ供給するための物質移動経路432が設けられ、物質移動経路432は、蒸気供給経路26と連通されている。
反応器16の熱交換隔壁20内と、高温反応器416の熱交換隔壁420内とに、蓄熱材脱水に必要な熱(システム排気熱等)を回収する熱交換流路440、442を設け、排気熱出口(図示省略)と高温反応器416の熱交換流路442とを連通し、高温反応器416の熱交換流路442と反応器16の熱交換流路440とを連通する。これにより、高温排気熱により高温反応器416の蓄熱材成型体414を脱水し、高温反応器416から排出される低温排気熱により反応器16の蓄熱材成型体14を脱水することでカスケード的な蓄熱が可能となる。
高温の水和反応熱を得るための原理について説明する。
蓄熱材成型体14、熱交換隔壁20、及び液膜蒸発が可能な伝熱面18で構成する反応器16により高圧蒸気を生成し、反応器16よりも反応平衡温度の高い化学蓄熱材を搭載した高温反応器416へ蒸気を蒸気供給経路26を介して供給することにより、反応器16の反応平衡温度よりも高温の水和反応熱を得ることができ、さらに高温反応器416の反応速度を向上させることが可能となる(図15、16参照)。また、反応器16で生成される蒸気を高圧化することにより、高温反応器416の平衡温度を高温側にシフトすることが可能となり、より高温の水和反応熱を得ることができる。
次に、排熱を有効に回収する原理について説明する。
蓄熱材脱水に必要な熱(システム排気熱等)を回収する熱交換流路440、442を高温反応器416、反応器16に設け、排気熱出口を高温反応器416の熱交換流路442に接続し、高温反応器416の熱交換流路442を反応器16の熱交換流路440に接続して、高温排気熱(例えば、650℃)により高温反応器416を脱水し、高温反応器416から排出される低温排気熱(例えば、450℃)により反応器16を脱水することでカスケード的な蓄熱が可能となる(図14、17参照)。これにより、システムから排出する熱を高温から低温まで有効に回収利用することが可能となり、システム効率を向上することができる。
次に、第4の実施形態の作用を説明する。
まず、運転・蓄熱モードで、蓄熱材成型体14、414を再生する場合には、排気熱出口から高温反応器416の熱交換流路442に高温の熱媒を流して、蓄熱材成型体414へ熱を供給し、蓄熱材成型体414は水の脱着反応を行って蓄熱する。このとき、蓄熱ECU350によって、開閉弁422を開放するように制御し、蓄熱材成型体414の脱着反応により発生した水は、蒸気供給経路26を介して凝縮器430により回収される。
更に、高温反応器416の熱交換流路442から反応器16の熱交換流路440に熱媒を流して、蓄熱材成型体14へ熱を供給し、蓄熱材成型体14は水の脱着反応を行って蓄熱する。このとき、蓄熱ECU350によって、開閉弁421を開放するように制御し、蓄熱材成型体14の脱着反応により発生した水は、蒸気供給経路26を介して凝縮器430により回収される。
また、起動・暖気モードに移行した場合には、まず、反応器16の初期蒸気入口24から初期蒸気が供給され、蓄熱材成型体14での水和反応により発熱し、発生した熱が、熱交換隔壁20、伝熱面18を介して蒸発界面へ伝わる。このとき、水供給口17から供給された水が、伝熱面18の蒸発界面で蒸発し、水蒸気が供給される。
伝熱面18から供給された水蒸気は、物質移動経路22に沿って蓄熱材成型体14へ移送し、蓄熱材成型体14での水和反応により発熱する。
このように、熱交換隔壁20により形成された熱移動経路を移動する熱と、物質移動経路22を移動する水蒸気とが循環することにより、伝熱面18から供給される水蒸気は徐々に昇圧され、昇圧された水蒸気が、蒸気供給経路26により高温反応器416へ供給される。
そして、高温反応器416に供給された水蒸気は、物質移動経路432に沿って蓄熱材成型体414へ移動し、蓄熱材成型体414での水和反応により発熱する。このように生成された高温の熱が、暖気対象へ供給される。
以上説明したように、第4の実施の形態に係る熱供給器によれば、高温蓄熱及び低温蓄熱による排熱回収を行って、システムから排出する熱を高温から低温まで有効に回収利用することが可能となり、システム効率を向上することができる。
また、低温用の反応器により、高圧蒸気を高温反応器に供給することにより、高速昇温が可能となり、また、高温の反応熱を得ることができる。
(第5の実施形態)
本発明の第5の実施形態に係る熱供給器510について説明する。なお、第1の実施の形態〜第4の実施の形態と同様の構成となる部分については、同一符号を付して説明を省略する。
図18に示すように、第5の実施形態に係る熱供給器510の反応器16の容器12が、蒸気供給経路と連通されていない点が、上記第1の実施の形態〜第4の実施の形態と異なっている。
反応器16の熱交換隔壁20に、冷媒を流すための媒体流路540を設け、媒体流路540は、図19に示すように、冷媒供給器550と、冷媒循環ライン552を介して連通されている。冷媒循環ライン552には、冷媒の供給の切り替え及び供給量の調整を行うための開閉弁554が設けられている。また、水供給口17は、水供給ライン322を介して水タンク326に連通されている。水供給ライン322には、ウォータポンプ324が設けられている。また、初期蒸気入口24は、蒸気供給ライン330を介して初期蒸気発生器332に連通されている。蒸気供給ライン330には、蒸気の供給を切り替えるための開閉弁334が設けられている。
また、熱供給器510は、反応器16内の物質移動経路22の圧力に対応した信号を出力する圧力センサ340と、蓄熱材成型体14の温度に対応した信号を出力する温度センサ560とを備えている。なお、温度センサ560が、温度計測部の一例である。
また、熱供給器510は、蓄熱ECU350を備えており、蓄熱ECU350は、開閉弁320、334、554、及びウォータポンプ324のそれぞれに電気的に接続されており、これらの動作を制御するようになっている。
この蓄熱ECU350は、圧力センサ340及び温度センサ560に電気的に接続されている。
蓄熱ECU350は、圧力センサ340によって検出された圧力が、目標圧力Ptargetに到達するまで、開閉弁554を閉じるように制御して、蒸気を昇圧する。蓄熱ECU350は、圧力センサ340によって検出された圧力が、目標圧力Ptargetに到達すると、開閉弁554を開くように制御して、媒体流路540に冷媒を流す。
ここで、第5の実施形態における冷媒の流量を制御する原理について説明する。
熱交換隔壁20に媒体流路540を内設することにより、化学反応で得られた熱の一部を冷媒により熱交換が可能となる。これにより自己蒸気循環により目標圧力Ptargetに昇度・昇圧された後、冷媒と熱交換することにより化学反応で得られた熱の一部を除熱し、伝熱面18からの蒸気発生量と化学反応で消費される蒸気量のバランス(化学反応熱量=蒸発潜熱量+媒体放熱量)を保ちつつ、反応温度と蒸気温度間の温度差を相対蒸気圧RP≧RP,Tとなるように制御することで水和反応を維持することが可能となる。
次に、第5の実施形態の作用を説明する。
蓄熱ECU350の制御について、図20に示す熱供給処理ルーチンを参照しつつ説明する。熱供給器510の作動開始が指示されると、蓄熱ECU350によって熱供給処理ルーチンが実行される。なお、第3の実施の形態と同様の処理については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
まず、ステップ100において、初期蒸気発生器332を一定時間だけ作動させると共に、開閉弁334を開放させる。そして、ステップ102において、ウォータポンプ324を作動させる。
次のステップ104では、圧力センサ340によって検出された圧力が、目標圧力Ptargetを超えたか否かを判定する。検出された圧力が、目標圧力Ptarget以下である場合には、開閉弁554を閉じたままとし、熱交換隔壁20により形成された熱移動経路を移動する熱と、物質移動経路22を移動する水蒸気との自己循環を継続する。
一方、検出された圧力が、目標圧力Ptargetを超えた場合には、ステップ570へ進み、開閉弁554を開放し、冷媒供給器550から初期流量Fcだけ冷媒を冷媒循環ライン552を介して媒体流路540に流す。
そして、次のステップ572では、温度センサ560によって検出された温度Tと、放温温度目標Ttargetとの差分の絶対値と、放温温度目標Ttargetとの比率|T−Ttarget|/Ttargetが、閾値(例えば、0.1)未満であるか否かを判定する。|T−Ttarget|/Ttargetが、閾値(例えば、0.1)未満である場合には、ステップ576へ移行するが、一方、|T−Ttarget|/Ttargetが、閾値(例えば、0.1)以上である場合には、ステップ574において、温度センサ560によって検出された温度Tと、放温温度目標Ttargetとの大小関係に応じて、媒体流路540に流す冷媒の流量をΔFcだけ増加又は減少させるように、開閉弁554を制御し、ステップ572へ戻る。
ステップ576では、蓄熱材成型体14の水和反応が完了したか否かを判定し、蓄熱材成型体14の水和反応が完了していないと判定した場合には、上記ステップ572へ戻り、一方、蓄熱材成型体14の水和反応が完了したと判定した場合には、熱供給処理ルーチンを終了する。
以上説明したように、第5の実施の形態に係る熱供給器によれば、媒体放熱によって水和反応熱(温熱)及び蒸発潜熱(冷熱)のバランスを取ることにより、一定の温度に制御することができる。これによって、伝熱面からの蒸気発生量と、蓄熱材の吸着反応による蒸気消費量とのバランスを保ちつつ、相対蒸気圧を制御することができ、吸着反応を維持することができる。
(第6の実施形態)
本発明の第6の実施形態に係る熱供給器610について、図21、図22に基づいて説明する。なお、第1の実施の形態〜第5の実施の形態と同様の構成となる部分については、同一符号を付して説明を省略する。
図21に示すように、第6の実施形態に係る熱供給器610の反応器16の容器12が、蒸気供給経路と連通されていない点が、上記第1の実施の形態〜第4の実施の形態と異なっている。また、反応器16内には、蓄熱材成型体14、伝熱面18、及び熱交換隔壁20が2セット設けられ、更に、2つの伝熱面18の間に、2つの始動初期用伝熱面618、及び始動初期用熱交換隔壁620が設けられている。
2つの始動初期用伝熱面618は、それぞれ、2つの伝熱面18と対向するように設けられて、2つの始動初期用伝熱面618の間に始動初期用熱交換隔壁620が設けられている。始動初期用伝熱面618は、多孔質体、エッチング、フィンなどが表面に形成された構造化伝熱面であり、無機物スラリーコロイド溶液を用いた親水処理が表面に施されている。
また、始動初期用熱交換隔壁620に、熱媒を流すための熱媒流路640を設け、熱媒流路640は、図22に示すように、熱媒供給器650と、熱媒循環ライン652を介して連通されている。熱媒循環ライン652には、熱媒の供給の切り替えを行うための開閉弁654が設けられている。
始動初期用熱交換隔壁620には、水供給口617が設けられており、水供給口617は、水供給ライン622を介して水タンク326に連通されている。水供給ライン622には、ウォータポンプ626が設けられている。
また、反応器16の熱交換隔壁20に、媒体流路540を設け、媒体流路540は、冷媒供給器550と、冷媒循環ライン552を介して連通されている。冷媒循環ライン552には、開閉弁554が設けられている。また、水供給口17は、水供給ライン322を介して水タンク326に連通されている。水供給ライン322には、ウォータポンプ324が設けられている。
また、熱供給器610は、圧力センサ340と、温度センサ560とを備えている。
また、熱供給器610は、蓄熱ECU350を備えており、蓄熱ECU350は、開閉弁554、652及びウォータポンプ324、624のそれぞれに電気的に接続されており、これらの動作を制御するようになっている。
ここで、本実施の形態における熱供給を制御する原理について説明する。
外部熱交換が可能な熱媒流路640を備えた始動初期用熱交換隔壁620の両側に、表面に親水処理が施された始動初期用伝熱面618を設けた構成を、蓄熱材成型体14、伝熱面18、及び熱交換隔壁20からなる自己循環式蒸気昇圧機構の間に挟む構成とすることにより、外部熱源(空気熱@環境温度、熱マス等)加熱による初期蒸気供給が可能となる。これにより、電気ヒータ加熱等による投入エネルギーを削減しシステム効率を向上し、初期始動から高圧蒸気発生まで連続的なシーケンス作動が可能となる。
次に、第6の実施形態の作用を説明する。
蓄熱ECU350の制御について、図23に示す熱供給処理ルーチンを参照しつつ説明する。熱供給器610の作動開始が指示されると、蓄熱ECU350によって熱供給処理ルーチンが実行される。なお、第5の実施の形態と同様の処理については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
まず、ステップ700において、開閉弁654を開放し、熱媒供給器650から熱媒を熱媒循環ライン652を介して熱媒流路640に流す。そして、ステップ702において、ウォータポンプ624を作動させる。これにより、水タンク326から、水供給ライン622及び水供給口617を介して水が始動初期用伝熱面618に供給される。
次のステップ704では、圧力センサ340によって検出された圧力が、始動初期の目標圧力P1targetを超えたか否かを判定する。検出された圧力が、始動初期の目標圧力P1target以下である場合には、熱媒及び水を供給したままとする。一方、検出された圧力が、始動初期の目標圧力P1targetより大きい場合には、ステップ706において、開閉弁654を閉じて、熱媒供給器650からの熱媒の供給を停止する。そして、ステップ708において、ウォータポンプ624の作動を停止し、始動初期用伝熱面618への水の供給を停止する。
上記ステップ700〜ステップ708により、始動初期蒸気発生シーケンスが終了すると、ステップ102〜ステップ576による高圧蒸気発生シーケンスが実行される。
ステップ102では、ウォータポンプ324を作動させる。
次のステップ104では、圧力センサ340によって検出された圧力が、蒸気昇圧の目標圧力P2targetを超えたか否かを判定する。検出された圧力が、蒸気昇圧の目標圧力P2target以下である場合には、開閉弁554を閉じたままとし、熱交換隔壁20により形成された熱移動経路を移動する熱と、物質移動経路22を移動する水蒸気との自己循環を継続する。
一方、検出された圧力が、蒸気昇圧の目標圧力P2targetを超えた場合には、ステップ570へ進み、開閉弁554を開放し、冷媒供給器550から初期流量Fcだけ冷媒を冷媒循環ライン552を介して媒体流路540に流す。
そして、次のステップ572では、温度センサ560によって検出された温度Tと、放温温度目標Ttargetとの差分の絶対値と、放温温度目標Ttargetとの比率|T−Ttarget|/Ttargetが、閾値(例えば、0.1)未満であるか否かを判定する。|T−Ttarget|/Ttargetが、閾値(例えば、0.1)未満である場合には、ステップ576へ移行するが、一方、|T−Ttarget|/Ttargetが、閾値(例えば、0.1)以上である場合には、ステップ574において、温度センサ560によって検出された温度Tと、放温温度目標Ttargetとの大小関係に応じて、媒体流路540に流す冷媒の流量をΔFcだけ増加又は減少させるように、開閉弁554を制御し、ステップ572へ戻る。
ステップ576では、蓄熱材成型体14の水和反応が完了したか否かを判定し、蓄熱材成型体14の水和反応が完了していないと判定した場合には、上記ステップ572へ戻り、一方、蓄熱材成型体14の水和反応が完了したと判定した場合には、熱供給処理ルーチンを終了する。
以上説明したように、第6の実施の形態に係る熱供給器によれば、外部熱交換によって始動初期蒸気を生成する始動初期蒸気発生シーケンスを実行した後、高圧蒸気発生シーケンスに切り換えて処理を行うことにより、初期始動から高圧蒸気発生まで連続的なシーケンス作動が可能となる。
なお、上記の第1の実施の形態〜第3の実施の形態では、蒸気発生器に本発明を適用する場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、第5の実施の形態、第6の実施の形態と同様に、熱供給器に、本発明を適用するようにしてもよい。この場合には、反応器の容器に連通する蒸気供給経路が不要となる。
また、化学蓄熱材として、水酸化カルシウム(Ca(OH))を用いる場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、水和反応系のMgO/Mg(OH)2、配位反応系であるMg、Ca水和物等を用いてもよい。
水和反応系のMgO/Mg(OH)2を用いる場合には、以下の化学反応となる。
MgO+H2O⇔Mg(OH)2+Q
また、配位反応系を用いる場合には、以下の化学反応となる。
M+xH2O⇔M・xH2O+Q
また、ゼオライト系、シリカ系、炭素系の吸着材を用いてもよい。
また、反応液として水を用いる場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、他の反応液でもよい。例えば、アンモニアを用いてもよい。
10、310 蒸気発生器
14、414 蓄熱材成型体
16 反応器
17、417 水供給口
18 伝熱面
20、420 熱交換隔壁
22、432 物質移動経路
24 初期蒸気入口
26 蒸気供給経路
320、334、421、422、554、654 開閉弁
340 圧力センサ
350 蓄熱ECU
410、510、610 熱供給器
416 高温反応器
430 凝縮器
440、442 熱交換流路
540 媒体流路
560 温度センサ
618 始動初期用伝熱面
620 始動初期用熱交換隔壁
640 熱媒流路

Claims (8)

  1. 熱供給により物質の脱着反応又は化学反応を行って蓄熱し、かつ、物質の吸着反応又は化学反応により放熱する蓄熱材と、
    供給される物質の液膜蒸発が可能な伝熱面と、
    前記蓄熱材と前記伝熱面との間に設けられ、かつ、熱伝導経路を形成するための熱交換可能な熱交換隔壁と、
    前記伝熱面から蒸発した前記物質を前記蓄熱材へ移動させるための、前記熱伝導経路とは異なる物質移動経路と、
    を含む反応器。
  2. 前記蓄熱材の重量変化が生じるときの予め定められた相対蒸気圧以上の相対蒸気圧が得られるように、前記熱伝導経路の熱抵抗を設定した請求項1記載の反応器。
  3. 前記伝熱面から蒸発した前記物質を外部へ供給するための物質供給経路と、
    前記伝熱面から蒸発した前記物質の圧力を計測する圧力計測部と、
    前記圧力計測部によって計測された前記圧力に応じて、前記物質供給経路に設けられた、前記物質の供給を切り換えるためのバルブを制御する制御部と、
    を更に含む請求項1又は2記載の反応器。
  4. 請求項1〜請求項3の何れか1項記載の反応器と、
    前記反応器により供給された前記物質の吸着反応又は化学反応により放熱する蓄熱材であって、かつ、前記反応器の蓄熱材よりも平衡温度の高い蓄熱材を含む高温反応器と、
    を含む蓄熱システム。
  5. 前記反応器の蓄熱材の脱着反応又は化学反応により供給された前記物質、及び前記高温反応器の蓄熱材の脱着反応又は化学反応により供給された前記物質を凝縮するための凝縮器を更に含み、
    熱源からの熱供給により前記高温反応器の蓄熱材が脱着反応又は化学反応し、前記高温反応器からの熱供給により前記反応器の蓄熱材が脱着反応又は化学反応する請求項4の蓄熱システム。
  6. 前記伝熱面から蒸発した前記物質の圧力を計測する圧力計測部と、
    前記蓄熱材の温度を計測する温度計測部と、
    前記熱交換隔壁内に設けられた、熱交換可能な冷媒としての媒体を流すための媒体流路と、
    前記圧力計測部によって計測された前記圧力が、目標圧力を超えた場合、前記温度計測部によって計測された温度に応じて、前記媒体流路に流す媒体の流量を制御する制御部と、
    を更に含む請求項1〜請求項3の何れか1項記載の反応器。
  7. 熱交換可能な熱媒としての媒体を流すための熱媒用媒体流路と、
    前記熱媒用媒体流路の媒体との熱交換により、供給される物質の液膜蒸発が可能な始動時用の伝熱面と、
    始動するときに、前記熱媒用媒体流路に媒体を流すように制御する制御部と、を更に含み、
    前記蓄熱材は、始動するときに、前記始動時用の伝熱面から供給された前記物質の吸着反応又は化学反応により放熱する請求項1、2、3、又は6記載の反応器。
  8. 前記伝熱面は、前記物質の拡散速度が、前記蓄熱材の反応速度より速くなるように形成される請求項1、2、3、6、又は7記載の反応器。
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