JP2010286168A - 蓄熱システム - Google Patents
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Abstract
【課題】高効率であり、かつ、蓄熱量の多い蓄熱システムを提供する。
【解決手段】蓄熱材3から水を脱離することによって蓄熱し、かつ、脱離した水を蓄熱材3と反応させることによって放熱する蓄熱システムであって、上方に解放した開口を有し、蓄熱材3を収容する反応容器1と、反応容器1の開口を覆うように配置され、水蒸気を透過させるが、液体の水を透過させない水蒸気透過手段13と、蓄熱運転時に、蓄熱材3を加熱する蓄熱材加熱部4と、水蒸気透過手段13の上方に配置され、蓄熱材3を加熱することによって蓄熱材3から脱離して水蒸気透過手段13を透過した水蒸気を凝縮させて凝縮水を得る凝縮部12と、反応容器1、水蒸気透過手段13、蓄熱材加熱部4および凝縮部12を収容する蓄熱容器2とを備え、水蒸気透過手段13は、水蒸気透過手段13の上面に付着した凝縮水を上面から移動させる構造を有している。
【選択図】図1
【解決手段】蓄熱材3から水を脱離することによって蓄熱し、かつ、脱離した水を蓄熱材3と反応させることによって放熱する蓄熱システムであって、上方に解放した開口を有し、蓄熱材3を収容する反応容器1と、反応容器1の開口を覆うように配置され、水蒸気を透過させるが、液体の水を透過させない水蒸気透過手段13と、蓄熱運転時に、蓄熱材3を加熱する蓄熱材加熱部4と、水蒸気透過手段13の上方に配置され、蓄熱材3を加熱することによって蓄熱材3から脱離して水蒸気透過手段13を透過した水蒸気を凝縮させて凝縮水を得る凝縮部12と、反応容器1、水蒸気透過手段13、蓄熱材加熱部4および凝縮部12を収容する蓄熱容器2とを備え、水蒸気透過手段13は、水蒸気透過手段13の上面に付着した凝縮水を上面から移動させる構造を有している。
【選択図】図1
Description
本発明は、蓄熱システムに関する。
熱エネルギーを蓄える蓄熱システムは、従来から省エネルギー技術として有効である。また、近年、CO2ヒートポンプや燃料電池コージェネレーションシステムを利用した給湯機器が注目されているが、これらの機器を小型化し、設置性の向上を図るために、高密度蓄熱技術の開発が待望されている。
従来からの蓄熱技術を大別すると、顕熱蓄熱、潜熱蓄熱および化学蓄熱に分類される。これらの中で顕熱蓄熱および潜熱蓄熱によると、実用上熱交換損失等の損失が発生するものの、理論的には、蓄熱時に入力した熱量と同等の熱量を必要時に取り出すことができる。
顕熱蓄熱と潜熱蓄熱は蓄熱部に用いる蓄熱材の種類によって区別される。潜熱蓄熱に用いる潜熱蓄熱材は、顕熱型蓄熱材に比べて蓄熱密度が高く、相変化温度が一定である。そのため、熱の取り出し温度が安定であるという利点を有する。この利点を活かして、種々の潜熱蓄熱材を用いる蓄熱システムが実用化されている。従来より、特許文献1に開示されているように、熱源部の熱を熱媒回路の蓄熱部に一旦蓄熱し、この蓄熱部の熱を熱媒を介して利用側に供給する蓄熱装置が一般に知られている。この蓄熱システムでは、例えば潜熱蓄熱材が充填された蓄熱部に熱交換部を設け、この熱交換部の伝熱管に熱媒としての水を通過させる。このようにして潜熱蓄熱材によって加熱された水は、利用側に供給され、給湯器などに利用される。
また、特許文献1には冷媒回路で生成した熱を蓄熱材料に熱を蓄えるように構成された蓄熱システムが開示されている。
図7は冷媒回路を利用した従来の蓄熱システムの構成を例示する図である。図7に示す蓄熱システムは、圧縮機6、第2熱交換部(熱媒加熱部)9、膨張装置8および蒸発器7を有する冷媒回路10と、第2熱交換9と蓄熱材3を収容する反応容器1との間で熱媒を循環させる熱媒回路11を備えている。反応容器1内には、熱媒と潜熱蓄熱材3との熱交換を行うための第1熱交換部(蓄熱材加熱部)4と、第1熱交換部4の伝熱面を拡大するためのフィン5とが設けられている。
図7の蓄熱システムでは、冷媒回路10によって蓄熱部を加熱する構成をとっている。冷媒回路10の冷媒と熱媒回路11の熱媒とを第2熱交換部(熱媒加熱部)9で熱交換させることによって、熱媒を加熱する。加熱された熱媒は、第1熱交換部(蓄熱材加熱部)4で蓄熱材3と熱交換される。これにより、蓄熱材3に熱源部の熱を蓄えることができる。蓄えられた熱は、例えば給湯器などの熱回収機器で利用される。このシステムでは、蓄熱状態の蓄熱材3と市水とを熱交換し、得られた水(温水)を給湯口22から取り出して利用する。
一方、化学蓄熱を利用した蓄熱システムも提案されている。化学蓄熱は可逆的な化学反応による反応熱を利用する蓄熱技術である。化学蓄熱には、利用する化学反応により、吸着系、水素吸蔵合金系、有機反応系、無機反応系がある。化学蓄熱システムは、物質の吸着、水和等の化学変化を伴うため、蓄熱材自体の顕熱や潜熱による蓄熱方法と比較して単位質量当たりの蓄熱密度が高くなる特徴がある。しかし、化学蓄熱システムは上記のいずれの化学反応を利用する場合でも、気液反応もしくは気固反応を利用しており、気体の状態のまま貯蔵すると貯蔵気体の容積が極めて大きいために蓄熱密度がかなり低くなる。これに対し、蓄熱時に生成する気体を凝縮もしくは金属水素化物のような固体化合物に変換して、システムの容積を縮小することが提案されているが、凝縮または変換によって生じる熱(生成熱)を外気に逃がしている。このため、熱を利用する時、すなわち放熱過程では、液体もしくは固体化合物から気体を生じさせて、蓄熱時とは逆の反応を起こす。また、ケミカルヒートポンプといわれる化学蓄熱システムでは、単一の可逆反応の反応条件を変えることによって、あるいは複数の反応を組みわせることによって低温熱源から高温熱源に熱エネルギーを汲みあげることが可能である。このため、ケミカルヒートポンプを用いた排熱利用システムの開発が盛んに進められている。
また、特許文献2には、固体の無機無水物と水蒸気とが反応した固体の水和物が生成される反応を利用した化学蓄熱システムにおいて、蓄熱時に気体の水蒸気の凝縮によって生じる生成熱(凝縮熱)を蓄熱の熱源であるヒートポンプに回収することが提案されている。
さらに、特許文献3は、1つの密閉容器内に、蓄熱材を収容する蓄熱部と凝縮器/蒸発器とを一体的に配置することを提案している。
図8は、特許文献3に開示されたケミカルヒートポンプの構成を示す図である。図8に示すように、蓄熱部(反応部)50、複数の凝縮部52および複数の蒸発部53が1つの蓄熱容器54に設置されている。蓄熱容器54内の蓄熱部50の上方にはドーム型の滴下防止カバー55が設けられている。滴下防止カバー55は、中央に開口部を有している。凝縮部52は、蓄熱容器54内に側壁および上面に沿って配置されている。ただし、滴下防止カバー55の開口部の上方には配置されていない。蒸発部53は、蓄熱容器54の底面に配置されている。なお、本明細書では、「上方」および「下方」は、それぞれ、水平面に対する上方および下方を指すものとする。
図8に示すケミカルヒートポンプでは、蓄熱材から脱離した水蒸気は、滴下防止カバー55の開口部を通過して凝縮部52に移動し、凝縮される。凝縮された水(凝縮水)は、滴下防止カバー55によって、蓄熱容器54の下部に設けられた水貯留部58に誘導される。したがって、滴下防止カバー55により、凝縮部52で凝縮された水が蓄熱部50に滴下して蓄熱材と反応(再水和)することを防止できる。
なお、本明細書では、蓄熱過程及び放熱過程を含む熱サイクルにおいて実質的に蓄熱できる熱エネルギー(熱量)を「蓄熱量」、蓄熱材量の単位体積(また単位重量)当たりの蓄熱量を「蓄熱密度」という。
冷媒回路を利用した従来の蓄熱システムでは、蓄熱運転時にヒートポンプのサイクルの成績係数(COP:Coefficient of Performance、以下「COP」とする。)が低下してしまうという問題が生じる。特許文献1に開示された蓄熱システム(図7)を例に説明すると、蓄熱時において蓄熱材3の温度が上昇してくると、蓄熱材3と熱交換した後の熱媒の温度も上昇し、その結果、第2熱交換部(熱媒加熱部)9において熱交換される熱量が低下するからである。
これに対し、従来は、低いCOPでシステムを運転することを防止するため、蓄熱材3と熱交換した後、第2熱交換部(熱媒加熱部)9で加熱される前の熱媒の温度が60℃に達すると、蓄熱運転を完了させていた。このため、蓄熱材3の温度を60℃よりも高くすることが難しく、蓄熱量を増加させることが困難であった。
また、特許文献2の蓄熱システムによると、凝縮熱を蓄熱の熱源であるヒートポンプに回収することにより冷媒回路のCOPを向上させることができる。しかしながら、凝縮熱を回収したとしても、蓄熱部の加熱に伴う熱媒の温度上昇によって、熱源と蓄熱部との熱交換が抑制されるので、COPの低下は避けられない。
その上、本発明者が検討したところ、特許文献2の蓄熱システムでは、蓄熱材を含む蓄熱部と、凝縮器/蒸発器とが別個の容器で構成され、互いに離れて配置されている。このため、蓄熱材から離脱した水蒸気が反応容器から凝縮器に移動する際の抵抗(流動抵抗)が高くなり、蓄熱材の脱水反応が進みにくくなるおそれがある。脱水反応が進みにくくなると、蓄熱運転時の効率が大幅に低下する。脱水反応を促進するためには、蓄熱材をより高い温度まで加熱する必要があるが、蓄熱材の加熱温度を上げると、ヒートポンプへの戻り温度が高くなり、COPを低下させる要因となる。
一方、特許文献3で提案されているように、蓄熱部50と凝縮部52とを同一容器内に配置すると、蓄熱材から脱離した水蒸気が凝縮部に移動する際の流動抵抗を低減できるので、蓄熱容器の外部に凝縮部を設ける場合(特許文献2)よりも低い温度で脱水反応を進めることができると考えられる。しかしながら、特許文献3に開示されたケミカルヒートポンプでは、蓄熱材から脱離した水蒸気が凝縮部52に移動する際に、滴下防止カバー55に設けられた開口部を通過する必要がある。開口部は、滴下防止カバー55の一部にのみ設けられる。また、開口部から凝縮水が逆流することを防ぐためには、開口部のサイズをより大きくすることは困難と考えられる。このため、水蒸気の流動抵抗を十分に低減できず、低温で十分に脱水反応を進められない可能性がある。
また、滴下防止カバー55の内側で、蓄熱材から脱離した水蒸気が凝縮してしまい、この凝縮水が蓄熱材に付着して反応(再水和)をおこすおそれがある。再水和がおこると、蓄熱材の脱水反応を効率よく進めることがさらに困難になり、蓄熱量が減少するおそれがある。
このように、従来の蓄熱システムによると、蓄熱量を確保しつつ、蓄熱システムの効率を高めることは困難であった。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、脱水反応によって蓄熱し、吸水反応によって放熱する蓄熱材を用いて、高効率であり、かつ、蓄熱量の多い蓄熱システムを提供することにある。
本発明の蓄熱システムは、蓄熱材から水を脱離することによって蓄熱し、かつ、前記脱離した水を前記蓄熱材と反応させることによって放熱する蓄熱システムであって、上方に解放した開口を有し、前記蓄熱材を収容する反応容器と、前記反応容器の前記開口を覆うように配置され、水蒸気を透過させるが、液体の水を透過させない水蒸気透過手段と、蓄熱運転時に、前記蓄熱材を加熱する蓄熱材加熱部と、前記水蒸気透過手段の上方に配置され、前記蓄熱材を加熱することによって前記蓄熱材から脱離して前記水蒸気透過手段を透過した水蒸気を凝縮させて凝縮水を得る凝縮部と、前記反応容器、前記水蒸気透過手段、前記蓄熱材加熱部および前記凝縮部を収容する蓄熱容器とを備え、前記水蒸気透過手段は、前記水蒸気透過手段の上面に付着した凝縮水を前記上面から移動させる構造を有している。
上記構成によると、反応容器と凝縮部とが同一容器内に配置されているので、反応容器から凝縮部まで移動する際の水蒸気の流動抵抗を低減できる。したがって、蓄熱材から脱離した水が、凝縮部で凝縮することを促進することができる。また、反応容器と凝縮部との間に、反応容器の開口を覆うように水蒸気透過手段が配置されており、かつ、水蒸気透過手段は、水蒸気透過手段の上面に付着した凝縮水を上面から移動させる構造を有しているので、水蒸気透過手段の上面に凝縮水が滞留することによる水蒸気の流動抵抗の増大を抑えつつ、凝縮部から滴下した凝縮水が蓄熱材と再水和することを防止できる。このため、蓄熱運転時において、蓄熱材から水が脱離する反応(脱水反応)を従来よりも大幅に促進できるので、より高い効率で、蓄熱量の多い蓄熱システムを実現できる。
ある好ましい実施形態において、前記水蒸気透過手段の前記上面は、前記上面に付着した凝縮水を前記上面から移動させるための傾斜部を有している。
これにより、水蒸気透過手段の構造を複雑にすることなく、水蒸気透過手段の上面に付着した凝縮水を上面から移動させることができる。例えば水蒸気透過手段の上面は、凝縮水を蓄熱容器から排出するための水排出流路に近づくにつれて位置が低くなるような傾斜部を有していてもよい。
ある好ましい実施形態において、前記傾斜部の水平面に対する傾斜角度は1°より大きく24°以下である。これにより、蓄熱容器の容積の増大を抑制しつつ、水蒸気の流動抵抗が増大することを防止できる。特に、前記凝縮部における冷却面の凝縮水に対する接触角が90°未満であるときには、水蒸気透過手段の傾斜部の水平面に対する傾斜角度が1°より大きく12°以下であることが好ましい。
前記水蒸気透過手段は気液分離膜を含んでもよい。
前記水蒸気透過手段は、前記上面に付着した凝縮水を、前記反応容器と前記蓄熱容器の内壁との間を下方に移動させる構造を有していてもよい。
上記蓄熱システムは、前記凝縮水を貯留する水貯留部と、放熱運転時に、前記水貯留部に貯留された水を前記水貯留部から前記反応容器内に供給する水供給経路とをさらに備えてもよい。
前記水貯留部は、前記蓄熱容器の外部に設けられており、前記上面から移動させた凝縮水を、前記蓄熱容器から前記水貯留部に輸送する水輸送経路と、前記水輸送経路に設けられ、前記蓄熱容器と前記水貯留部との間の水の移動を制限する弁と、前記水貯留部に貯留されていた水を加熱する貯留水加熱部とをさらに備えてもよい。
上記のような構成によると、反応容器から水を取り出しながら蓄熱を行った後(第1の蓄熱工程)、蓄熱容器と水貯留器との間の水に移動を制限する弁を閉状態にして、さらに蓄熱材の温度を上昇させることができる(第2の蓄熱工程)。したがって、同一の熱源で、蓄熱材の温度をより高い温度まで上昇させることが可能になり、蓄熱量を高めることができる。また、放熱運転時において、貯留水加熱部で加熱された水と蓄熱材とを反応させることができる。このため、蓄熱状態の蓄熱材をより高温の水と反応させることが可能になるので、放熱運転時に、反応させる水が低いことによって取り出し熱量が減少することを抑制することができる。さらに、蓄熱容器から取り出した凝縮水を加熱する際に、上記弁を閉状態とすることにより、加熱された水が蓄熱容器内に逆流してくることを防止できる。したがって、蓄熱運転時に、蓄熱材と水と反応して放熱することによる蓄熱量の低下を抑制できる。
前記蓄熱材加熱部は、圧縮機、放熱器、膨張装置、蒸発器およびこれらの間で冷媒を循環させる冷媒経路を含む冷媒回路と、前記放熱器によって加熱され、前記蓄熱材と熱交換することによって冷却されるように熱媒を循環させる熱媒回路とを有し、前記凝縮部は、前記冷媒回路の前記冷媒と熱交換することによって、前記脱離した水を冷却するように構成されていてもよい。これにより、凝縮熱を蓄熱の熱源であるヒートポンプに回収することができるので、冷媒回路のCOPを向上させることができる。
前記貯留水加熱部は、前記水貯留器に貯留されていた貯留水と、前記蓄熱材と熱交換した後であって前記放熱器によって加熱される前の前記熱媒とを熱交換させる貯留水/熱媒熱交換部、または前記水貯留器に貯留されていた貯留水と、前記放熱器を通過した後であって前記膨張装置によって減圧される前の前記冷媒と熱交換させる貯留水/冷媒熱交換部を含んでもよい。
このような構成によると、蓄熱運転時に、上記弁を閉状態とした後、冷媒回路の放熱器に流入する熱媒の温度を、水貯留器に貯留されていた水を利用して下げることができる。したがって、蓄熱材の温度が上昇しても、冷媒回路の放熱器で加熱される前の熱媒の温度または膨張装置で減圧される前の冷媒の温度を低く抑えることができるので、ヒートポンプサイクルのCOPの低下を抑制できる。また、COPの低下を抑制しつつ、蓄熱材を従来よりも高い温度まで加熱することが可能となる。
本発明によれば、蓄熱材を収容する反応容器と、凝縮部とを同一の容器内に配置するので、蓄熱材から脱離した水蒸気が凝縮部に到達しやすくなる。このため、水蒸気の凝縮を効率よく行うことができる。また、水蒸気透過手段を設けることにより、水蒸気が反応容器から凝縮部に移動する際の流動抵抗を抑えつつ、凝縮部で凝縮された水(凝縮水)が蓄熱材と再水和することを防止できる。したがって、蓄熱運転時において、蓄熱材からの水の脱離反応を促進することができるので、蓄熱材を所望の塩濃度まで迅速に脱水させることができ、蓄熱運転時の効率を高めることができる。
(実施形態)
以下、図面を参照しながら、本発明による蓄熱システムの実施の形態を説明する。
以下、図面を参照しながら、本発明による蓄熱システムの実施の形態を説明する。
図1は、本実施形態の蓄熱システムの構成図である。本実施形態では、蓄熱材として、脱水反応によって蓄熱し、吸水反応によって放熱する蓄熱材を用いる。
<蓄熱システムの構成>
本実施形態の蓄熱システムは、上方に解放した開口を有し、蓄熱材3を収容する反応容器1と、反応容器1の開口を覆うように配置された水蒸気透過手段13と、水蒸気透過手段13の上方に配置され、蓄熱材を加熱することによって蓄熱材から脱離した水を凝縮させる凝縮部12と、蓄熱運転時に蓄熱材3を加熱する蓄熱材加熱部(熱交換部)4とを備える。反応容器1には、蓄熱材加熱部4の熱媒から蓄熱材3への伝熱性能を向上させるためのフィン5と、放熱運転時に蓄熱材3に水を供給するための散水部15とが設けられている。反応容器1、水蒸気透過手段13、蓄熱材加熱部4および凝縮部12は、何れも蓄熱容器2内に配置されている。
本実施形態の蓄熱システムは、上方に解放した開口を有し、蓄熱材3を収容する反応容器1と、反応容器1の開口を覆うように配置された水蒸気透過手段13と、水蒸気透過手段13の上方に配置され、蓄熱材を加熱することによって蓄熱材から脱離した水を凝縮させる凝縮部12と、蓄熱運転時に蓄熱材3を加熱する蓄熱材加熱部(熱交換部)4とを備える。反応容器1には、蓄熱材加熱部4の熱媒から蓄熱材3への伝熱性能を向上させるためのフィン5と、放熱運転時に蓄熱材3に水を供給するための散水部15とが設けられている。反応容器1、水蒸気透過手段13、蓄熱材加熱部4および凝縮部12は、何れも蓄熱容器2内に配置されている。
水蒸気透過手段13は、水蒸気を透過させるが、液体の水を透過させない構造体であればよく、例えば気液分離膜を用いて構成されていてもよい。気液分離膜は、気体を通過させるが液体を通過させない膜であり、例えば中空糸や活性炭やポリテトラフルオロエチレン、または撥水性処理を施したポリビニリデンフオライド、ポリエチレン、ポリプロピレンなどを含む膜である。好ましくは、水滴を通さずに水蒸気のみを微細孔を介して通す透湿膜が用いられる。
また、水蒸気透過手段13は、水蒸気透過手段13の上面に付着した凝縮水を上面から移動させる構造を有している。図示する例では、水蒸気透過手段13の上面は、中央から縁部に向かって傾斜している。これにより、水蒸気透過手段13の上面に付着した凝縮水を縁部から反応容器1の外部に滴下させることができる。
蓄熱材3から脱離した水の移動をより詳しく説明すると、まず、蓄熱材加熱部4によって蓄熱材を加熱することによって蓄熱材から脱離した水(水蒸気)は、水蒸気透過手段13を透過し、凝縮部12で冷却されて、凝縮水(液体の水)となる。凝縮水は液膜となり、ある一定の量になると重力の作用により、水滴となって下方に滴下する。凝縮水の一部は、矢印48で示すように、水蒸気透過手段13の上面に滴下するが、水蒸気透過手段13を透過できないので、反応容器1内には戻らず、水蒸気透過手段13の傾斜に沿って水蒸気透過手段13の上面をすべり、反応容器1の外側に移動する。
本実施形態では、凝縮水は、水蒸気透過手段13の構造により、水蒸気透過手段13の上面から、蓄熱容器2の内壁と反応容器1との間を下方に向かって通過する。ここでは、蓄熱容器2の内壁と反応容器1との間における凝縮水が通過する経路14を「水排出経路」と称する。なお、水排出経路14は、図示する経路に限定されない。水排出経路14の配置にかかわらず、水蒸気透過手段13の上面が水排出経路14に近づくにつれて位置が低くなるような傾斜部を有していれば、凝縮水を水排出経路14に誘導させることができる。
本実施形態では、蓄熱材3として、塩化カルシウム、臭化カルシウム、硫酸マグネシウムから選ばれた少なくとも1種の化合物を含む潜熱蓄熱材を用いることができる。例えば塩化カルシウムの水和物、臭化カルシウムの水和物などを用いてもよい。ここでは、塩化カルシウム・6水和物を用いる。
本実施形態は上記構成を有しているので、従来の蓄熱システムと比べて、次のような利点がある。
図8を参照しながら前述した従来の蓄熱システムでは、蓄熱材から脱離した水蒸気は、滴下防止カバー55の開口部を通過して凝縮部52に送られる。開口部は滴下防止カバー55の中央に設けられている。このシステムでは、開口部のサイズを大きくすると、凝縮水が開口部を通過して蓄熱部50に戻ってしまうため、開口部を所定のサイズよりも大きくすることが困難である。このため、蓄熱材から脱離した水蒸気の流動抵抗を十分に低減できない。また、滴下防止カバー55の内側で水蒸気が凝縮し、蓄熱材と再水和するという問題もある。
これに対し、本実施形態では、反応容器1の開口を覆うように水蒸気透過手段13が配置されているので、開口のサイズを大きくしても(例えば反応容器1の上面全体を開口しても)、凝縮部12で凝縮された水が上記開口を経て反応容器1に戻ることはない。このため、より大きな開口を設けることができ、水蒸気の流動抵抗を大幅に低下させることが可能になる。また、流動抵抗が低く、水蒸気が水蒸気透過手段13を経て反応容器1の外部に移動しやすいため、蓄熱材から脱離した水蒸気が水蒸気透過手段13の内側で凝縮するという問題は生じにくい。このため、蓄熱材の脱水反応を従来よりも促進できるので、蓄熱時の効率を高めることができる。よって、蓄熱材を同じ温度(例えば60℃)まで加熱した場合でも、従来より多くの熱を蓄熱材に蓄えることができる。
また、水蒸気透過手段の上面に付着した凝縮水が滞留していると、蓄熱材から脱離した水蒸気が水蒸気透過手段を通過しにくくなり、水蒸気の流動抵抗が高くなると考えられる。これに対し、本実施形態の水蒸気透過手段13によると、水蒸気透過手段13の上面に付着した凝縮水を滞留させず、速やかに上面から移動させることができるので、凝縮水の滞留によって流動抵抗が増大することを防止できる。したがって、蓄熱材の脱水反応をより効果的に促進できる。
本実施形態の蓄熱システムは、さらに、蓄熱容器2の外部に設けられ、凝縮部12によって凝縮された凝縮水を貯留する水貯留部17と、凝縮水を蓄熱容器2から水貯留部17に輸送する水輸送経路16と、放熱運転時に、水貯留部17に貯留された水を水貯留部17から反応容器1内に供給する水供給経路20とを備えてもよい。水供給経路20は、水貯留器17と反応容器1に配置された散水部15とを接続している。このような構成により、蓄熱運転時には、水排出経路14を通過した凝縮水は、水輸送経路16により水貯留器17に輸送されて貯留される。蓄熱運転時に水貯留器17に貯留された貯留水は、放熱運転時に、ポンプ30によって、水供給経路20を通過して散水部15まで輸送され、散水部15から反応容器1内に供給されて蓄熱材と反応(水和反応)する。この反応により、蓄熱材に蓄えられていた熱が放出される。
水輸送経路16には、反応容器2と水貯留器17との間で水が移動することを制限する弁23が設けられていることが好ましい。弁23を開けた状態で、蓄熱容器2から水を取り出しながら第1の蓄熱工程を行った後、弁23を閉じた状態で、蓄熱材3をさらに加熱する第2の蓄熱工程を行うと、蓄熱材3の温度をさらに上昇させることが可能になる。このため、蓄熱量を増加させることができる。
また、水貯留部17に貯留されていた水を加熱する貯留水加熱部19を備えていることが好ましい。これにより、放熱運転時に、加熱した貯留水と蓄熱材と反応させることができるので、取出し熱量を増加させることができる。蓄熱運転時に貯留水を加熱するときには、加熱された貯留水が反応容器1に逆流することを防止するために弁23を閉じておくことが好ましい。
蓄熱材加熱部4は、冷媒を循環させる冷媒経路を含む冷媒回路10と、冷媒回路10の冷媒によって熱媒を加熱し、蓄熱材3と熱交換することによって熱媒が冷却されるように循環させる熱媒回路11とを備えていてもよい。
本実施形態における冷媒回路10は、冷媒を圧縮する圧縮機6と、圧縮機6で圧縮された冷媒と熱媒回路10の熱媒とを熱交換する第2熱交換部(熱媒加熱部)9と、熱媒と熱交換した後の冷媒を膨張させる膨張装置8と、膨張された冷媒を加熱する蒸発器7と、これらの間で冷媒を循環させる冷媒経路とを有している。凝縮部12は、冷媒回路10の冷媒と熱交換することによって、蓄熱材から脱離した水蒸気を冷却するように構成されていてもよい。図示する例では、凝縮部12は、冷媒回路10における圧縮機6の吸入側と蒸発器7との間に設けられ、反応容器1内の水蒸気と冷媒とを熱交換させるように構成されている。これにより、冷媒回路10のCOPをより効果的に向上できる。
熱媒回路11は、冷媒回路10の第2熱交換部(熱媒加熱部)9と、反応容器1の第1熱交換部(蓄熱材加熱部)4と、これらの間で熱媒を循環させる熱媒経路とを有している。熱媒として、例えば水を用いてもよい。また、熱媒回路11には、第1熱交換部(蓄熱材加熱部)4で冷却された後、第2熱交換部(熱媒加熱部)9で加熱される前の熱媒と、水貯留部17に貯留されていた貯留水との熱交換を行う第3熱交換部(貯留水/熱媒熱交換部)18が設けられている。熱媒回路11は、さらに、給水口21および給湯口22と接続されていてもよい。この場合、放熱時には、給水口21から供給された熱媒(水)を、第1熱交換部4で蓄熱状態の蓄熱材3と熱交換させることによって加熱し、得られた温水を給湯口22に輸送するように構成されていてもよい。
貯留水加熱部19は、水貯留器17と、第3熱交換部(貯留水/熱媒熱交換部)18と、これらの間で水貯留器17により貯留されていた貯留水を循環させる貯留水経路とを有している。このような構成により、水貯留器17で貯留されていた貯留水は、第3熱交換部(貯留水/熱媒熱交換部)18において、熱媒回路11の熱媒と熱交換して加熱され、その後、水貯留器17に戻される。また、貯留水加熱部19は、水貯留器17に貯留されていた貯留水と冷媒回路10の放熱器9を流通し、膨張装置8を流通する前の冷媒と熱交換を行い、加熱を行う構成を有していてもよい。
<水蒸気透過手段13の材料および構成>
次に、本実施形態における水蒸気透過手段13をより具体的に説明する。
次に、本実施形態における水蒸気透過手段13をより具体的に説明する。
水蒸気透過手段13は透湿膜を有していることが好ましい。透湿膜は撥水性であってもよいし親水性であってもよいが、透湿膜の表面に付着した液滴をより容易に所望の方向へ移動させるためには、撥水性であることが好ましい。本明細書では、表面に置かれた水滴の接触角θが90°を越えると撥水性、90°未満であれば親水性とする。また、透湿膜は、蓄熱熱運転による容器内の圧力変化に耐え得る強度を有することが好ましい。
本発明者は、上述したような要求性能を検討した結果、水蒸気透過手段13として、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を含んだ撥水透湿膜が好適に用いられることを見出した。ここでは、そのような撥水透湿膜として、住友電工ファインポリマー(株)製の孔径5μm、厚さ100μmの撥水透湿膜(品名:ポアフロンメンブレン、型番:WP−500−100)を用いる。
撥水透湿膜は、水平面に対して傾斜した傾斜部を有するように配置されていることが好ましい。これにより、凝縮部12より滴下した凝縮水(液滴)が透湿膜表面の傾斜に沿って移動し、透湿膜表面に留まりにくくなるので、凝縮水が透湿膜表面に滞留することによる水蒸気の流動抵抗の増大を抑制できる。
水蒸気透過手段(撥水透湿膜)13の傾斜部における傾斜面と水平面との角度(傾斜角)は適宜選択され得る。
しかしながら、傾斜角が小さすぎると、傾斜面に沿って凝縮水の液滴を迅速に流すことが困難となる。液滴の流れやすさは液滴の大きさに依存し、液滴の大きさは、凝縮部12における冷却面の濡れ性により異なる。従って、傾斜角は、凝縮部12における冷却面の構造や濡れ性および水蒸気透過手段13の上面の濡れ性などを考慮して、凝縮部12から滴下した液滴が流れ得る最小の角度よりも大きくなるように設定されることが好ましい。これにより、水蒸気透過手段13の上面でより確実に液滴を移動させることができる。一方、傾斜角が大きすぎると、システムの容積が増大し、蓄熱密度を低下させる要因となる。従って、傾斜角はできるだけ小さく抑えることが好ましい。
そこで、本発明者は、水蒸気透過手段13における傾斜角の最適な範囲の検討を行った。具体的には、水蒸気透過手段13としてPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を含んだ撥水透湿膜(前進接触角:110°、後退接触角:80°)を用いた場合の、凝縮部12の冷却面の濡れ性(接触角)、液滴半径および傾斜角の関係を計算により求めた。その結果を表1に示す。なお、表1に示す「傾斜角」は、透湿膜表面を液滴が流れることができる最小の角度を表す。
表1からわかるように、凝縮部12における冷却面の接触角が小さいと(親水性)、液滴が大きくなり、傾斜角が小さくても、透湿膜の傾斜面に沿って液滴を移動させることができる。一方、冷却面の接触角が大きくなると(撥水性)、液滴は小さくなり、傾斜角を大きくしないと液滴を移動させることができない。
凝縮部12の冷却面の接触角が1°以上140°以下の範囲であれば、液滴の半径は例えば2.6mm以上6.6mm以下となる。このような液滴を移動させるための傾斜角は1°以上であることが好ましい。また、接触角が140°であっても、傾斜角が23.4°以上であれば液滴を移動させることができる。このことから、傾斜角が24°以下であっても、透湿膜表面に滴下した液滴を移動させ得ることがわかる。したがって、蓄熱容器2の容積の増大を抑えるためには、傾斜角を24°以下に設定することが好ましい。このように、傾斜角を1°以上24°以下に設定することにより、蓄熱容器2の容積を増大させることなく、すなわち、蓄熱密度を増大させることなく、水蒸気透過手段13の上面に液滴が滞留することを防止できる。
凝縮部12の冷却面は、例えば銅やアルミ等の金属から形成されている。このような場合、冷却面は親水性(接触角:90°未満)を示す。表1からわかるように、凝縮部12の冷却面が親水性であれば、液滴半径は例えば3.7mm以上6.6mm以下になる。このような場合、傾斜角を1°より大きく12°未満に設定することにより、蓄熱容器2の容積の増大を抑えつつ、水蒸気透過手段13の上面で液滴が滞留することを防止できる。
一方、滴状に凝縮を進行させることにより、冷却面と水蒸気との熱伝達率を向上させる目的で、凝縮部12の冷却面に対して撥水処理が行われることがある。撥水処理により、冷却面の接触角が例えば140°に達することもある。表1からわかるように、凝縮部12の冷却面が撥水性(接触角:90°以上)を示す場合、液滴半径は例えば2.6mm以上3.7mm以下と小さくなる。このように、液滴が小さい場合でも、傾斜角を12°以上24°未満に設定することにより、容積を必要以上に増大させることなく、水蒸気透過手段13上での液滴の滞留を防ぐことができる。
本実施形態における水蒸気透過手段13を透湿膜を用いて構成する場合、蓄熱および放熱運転を繰り返すと、透湿膜に撓みが発生することがある。このような撓みが発生すると、凝縮部12より滴下した液滴が窪みに滞留し、水蒸気の流動抵抗を高めるおそれがある。したがって、透湿膜を支持する支持体を設けることが好ましい。
図2(a)および(b)は、それぞれ、支持体を有する水蒸気透過手段13を例示する模式的な断面図および上面図である。図2(a)に示すように、反応容器1の開口に支持体47を配置し、支持体47の上に透湿膜である水蒸気透過手段13を配置する。支持体47は、水蒸気の流動抵抗を大きく増大させない構造を有していればよく、例えば金属や樹脂のパンチングシートであってもよい。
この例では、支持体(例えばパンチングシート)47および水蒸気透過手段13の上面は、2つの傾斜部(傾斜角:α)を有している。凝縮部12で凝縮され、水蒸気透過手段13の上面に滴下した液滴は、何れかの傾斜部の傾斜面に沿って流れ、図2(b)に示す上面図において、水蒸気透過手段13の左側または右側の縁部から水蒸気透過手段13の下方に滴下する。
また、蓄熱材3を減圧下で加熱すると、減圧沸騰により蓄熱材3が反応容器1から蓄熱容器2内に飛散するおそれがある。したがって、反応容器1の上面が開口されていることが好ましい。また、反応容器1の開口を、水蒸気透過手段13で密閉することが好ましい。これにより、開口から凝縮水が反応容器1に戻されることを防止できるだけでなく、蓄熱材3が反応容器1の外部へ飛散することを効果的に防止できる。
本実施形態における水蒸気透過手段13の構造は図2に示す構造に限定されない。図3(a)および(b)は、水蒸気透過手段13の他の例を示す模式的な断面図である。
図3(a)に示すように、水蒸気透過手段13の上面全体が一方向に傾斜していてもよい。あるいは、図示しないが、水蒸気透過手段13の上面は、その中央を頂点とする角錐状であってもよい。また、傾斜面は平面でなくてもよい。さらに、水蒸気透過手段13の上面の傾斜角は一定でなくてもよい。例えば図3(b)に示すように、水蒸気透過手段13は、傾斜角の異なる複数の領域を含んでいてもよい。この場合、複数の領域のうち水排出経路に遠い方の領域における傾斜角αが1°より大きく24°以下であれば上記と同様の効果が得られる。図示しないが、図3(a)および(b)に示す水蒸気透過手段13は、支持体によって支持されていてもよい。
反応容器1における開口の位置や形状も特に限定されない。反応容器1は、水蒸気を凝縮部12に移動させるために、上方に解放された開口を有していればよく、反応容器1の上面全体が開口されていなくてもよい。例えば上面の一部のみが開口されていてもよい。また、上方に開放された開口に加えて、側方に解放された開口をさらに有していてもよい。
さらに、水蒸気透過手段13における傾斜部は、水蒸気透過手段13の一部のみに設けられていてもよい。また、傾斜部は、水平面に対して傾斜していればよい。したがって、反応容器1自体が水平面から傾斜して配置されていても、水蒸気透過手段13の上面が水平面に対して傾斜していれば、上記と同様の効果が得られる。ただし、反応容器1は、反応容器1の底面が水平になるように配置されていることが好ましい。この場合、水蒸気透過手段13の傾斜面の水平面に対する傾斜角αは、傾斜面と反応容器1の底面に平行な面とのなす角度と等しくなる。これにより、蓄熱システムの構成を複雑にしたり、蓄熱システムの容積を増大させることなく、水蒸気透過手段13の上面に対する凝縮水の滞留を防止できる。
<蓄熱動作>
次に、蓄熱材として塩化カルシウム・6水和物を用いる場合を例に、図1に示す蓄熱システムの蓄熱運転時の動作を説明する。
次に、蓄熱材として塩化カルシウム・6水和物を用いる場合を例に、図1に示す蓄熱システムの蓄熱運転時の動作を説明する。
本実施形態では、弁23を開けた状態で、蓄熱材3を加熱するとともに、凝縮部12で凝縮した水を蓄熱容器2から取り出して水貯留器17に貯留する(以下、「第1の蓄熱工程」という)。続いて、弁23を閉じることによって、蓄熱容器2と水貯留器17との間で水が移動することを遮断する。この状態で、蓄熱材3をさらに加熱して、蓄熱材3の温度をさらに上げるとともに、水貯留器17に貯留されていた貯留水を加熱する(以下、「第2の蓄熱工程」という。)。このようにして、2段階で蓄熱工程を行う。
以下、図面を参照しながら、各蓄熱工程の動作をより詳しく説明する。
図4は、蓄熱運転時における蓄熱材の温度と塩濃度との関係を例示するグラフである。図4に示す曲線(A)が第1の蓄熱工程に相当し、直線(B)が第2の蓄熱工程に相当する。
下記式(1)からわかるように、塩化カルシウム・6水和物は加熱されると脱水反応を生じて塩化カルシウム水溶液と塩化カルシウム・2水和物との混合物になるとともに、熱(ΔH)を蓄える(右向きの反応)。一方、塩化カルシウム水溶液と塩化カルシウム・2水和物との混合物は、水と反応して塩化カルシウム・6水和物になるとともに、熱(ΔH)を放出する(左向きの反応)。なお、本明細書では、蓄熱している状態(ここでは塩化カルシウム水溶液と塩化カルシウム・2水和物との混合物)を単に「蓄熱状態」、放熱後の状態(ここでは塩化カルシウム・6水和物)を単に「放熱状態」という。
CaCl2・6H2O(固体)+ΔH ⇔ aCaCl2/(4.03〜4.43)H2O(水溶液)+ bCaCl2・2H2O(固体)+2H2O (1)
CaCl2・6H2O(固体)+ΔH ⇔ aCaCl2/(4.03〜4.43)H2O(水溶液)+ bCaCl2・2H2O(固体)+2H2O (1)
まず、第1の蓄熱工程を開始する前に、弁23〜27を全て閉じておく。次いで、弁23を開放し、真空ポンプ等の減圧装置により蓄熱容器2及び水貯留器17の圧力を下げる。蓄熱容器2及び水貯留器17の圧力が所定の値まで下がれば、弁23を閉じる。
続いて、第1の蓄熱工程を開始する。ここでは、冷媒回路10により反応容器1内の蓄熱材を例えば60℃まで加熱する。また、膨張装置8を流通した後の冷媒を凝縮部12に流通させることによって、蓄熱材の加熱と同時に、蓄熱材から脱離した水蒸気の冷却を行う。このとき、図4の曲線(A)で示すように、水和物である蓄熱材3は固体から液体に相変化し、続いて濃縮により水和数が減少しはじめる。この反応は上式(1)の右方向の反応に相当する。潜熱蓄熱材3から脱離した水分は水蒸気となり、水蒸気透過手段13を通過して、蓄熱容器2の上部に配置された凝縮部12に到達する。凝縮部12に到達した水蒸気は冷却されて液滴となり、重力により下方向に滴下する。滴下した液滴は、水蒸気透過手段13の上面の傾斜部をすべって水排出経路14に誘導される。水排出経路14を通った後、水輸送経路16を経て、水貯留器17で貯留される。
ここで、図4および図5を参照しながら、上記蓄熱工程により、従来よりも低温で高濃度まで蓄熱材を濃縮できる理由を説明する。
図5は、蓄熱材の脱水速度を説明するための模式的な図である。蓄熱材からの水が脱離する速度(脱水速度)は下式(2)で決定される。
X=kΔP
ΔP:PS−(PV+PH+PR) (2)
なお、Xは脱水速度、kは比例定数、PSは蓄熱材の飽和水蒸気圧、PVは蓄熱容器の空間圧力、PRは水蒸気が移動する際の流動抵抗、PHは蓄熱材の深さ方向に働く圧力である。
X=kΔP
ΔP:PS−(PV+PH+PR) (2)
なお、Xは脱水速度、kは比例定数、PSは蓄熱材の飽和水蒸気圧、PVは蓄熱容器の空間圧力、PRは水蒸気が移動する際の流動抵抗、PHは蓄熱材の深さ方向に働く圧力である。
圧力PHは蓄熱材の密度をρ、重力加速度をg、蓄熱材の上面からの深さをhとすると、ρghで表される。したがって、例えば図5に示すC点(深さh:0.1m)の蓄熱材にかかる圧力PHは、蓄熱材の密度ρを1500kg/m3、重力加速度gを9.8m/s2とすると、hは0.1mなので、1470Paとなる。
上式(2)から分かるように、蓄熱材の飽和水上気圧PsがPV+PH+PRの値を超えると脱水反応が開始する。特許文献3に開示された従来の蓄熱システム(図8)では、水蒸気が通過するための開口部の小さい滴下防止カバー55が設置されているので、水蒸気の流動抵抗PRが増大する。また、滴下防止カバー55の内側で水蒸気の凝縮が発生すると、さらにPRが増大してしまう。その結果、ΔPが小さくなり、脱水速度を示すXの値が大幅に低下してしまう。
これに対して、本実施形態によると、水蒸気透過手段13として透湿膜を用いており、透湿膜の全面を水蒸気が通過できるので、水蒸気の流動抵抗PRが小さい。また、水蒸気透過手段13の内側では凝縮が起こりにくいことから、凝縮水が蓄熱材に付着して再水和を生じる可能性も低い。また、本実施形態では、水蒸気透過手段13の内側に支持体47(図2)を備えているので、透湿膜に撓みが発生し、撓んだ部分に凝縮部12から滴下した凝縮水が滞留することもない。よって、従来の蓄熱システム(図8)よりも、流動抵抗PRの増大を大幅に抑えることができるので、脱水速度Xを十分に確保できる。その結果、低温で高濃度まで蓄熱材3を濃縮することが可能となる。
さらに、水蒸気透過手段13として撥水性の透湿膜を用いると、凝縮水が透湿膜表面からすべり落ちやすいので、傾斜角αを小さくすることができる(例えば24°以下)。したがって、水蒸気透過手段13の設置によるシステムの容積の増大を従来よりも抑えることができる。このように、本実施形態によると、凝縮水の再水和を抑制しつつ、システムの容積の増大に起因する蓄熱密度の低下を防ぐことができる。
第1の蓄熱工程では、図4の曲線(A)で示すように、蓄熱材3の温度は60℃まで上昇し、かつ、蓄熱材3における塩濃度は60%まで高くなる。この工程において、蓄熱材3を相変化温度まで昇温させるための顕熱、相変化温度での蓄熱材の融解潜熱、固液共存状態の蓄熱材3を相変化温度から60℃まで昇温させるための顕熱、および、蓄熱材3の脱水反応による反応熱を蓄えることが可能である。また、第1の蓄熱工程では、蓄熱材3で冷却された後、第2熱交換部(熱媒加熱部)9で加熱される前の熱媒の温度Tmは、蓄熱材3の温度上昇に伴って約60°まで上昇する。
この後、弁23を閉じて、蓄熱容器2と水貯留器17との間の水の移動を遮断する。これによって、第1の蓄熱工程を終了する。
なお、弁23は、蓄熱材3で冷却された後、第2熱交換部(熱媒加熱部)9で加熱される前の熱媒の温度Tmが所定温度(例えば60℃)以上になると、開状態から閉状態に切り換えられることが好ましい。例えば、熱媒回路11の第1熱交換部(蓄熱材加熱部)4と第2熱交換部(熱媒加熱部)9との間に、熱媒の温度を計測する温度計測部28を設けておき、温度計測部28による測定温度が所定温度に達したことを検知すると、弁23を閉じるように制御することができる。
代わりに、水貯留器17に水位計を設けるか、あるいは水輸送経路16に流量計を設けておき、蓄熱容器2から取り出された水の量が一定量に達すると弁23を閉じるようにしてもよい。また、第1の蓄熱工程を開始して所定の時間が経過すると、弁23を閉じてもよい。
続いて、第2の蓄熱工程を行う。弁23を閉じた状態で、蓄熱材3をさらに加熱すると同時に、熱媒と水貯留器17に貯留された貯留水とを熱交換する動作を行う。
第2の蓄熱工程では、まず、弁24及び弁25を開き、ポンプ29により水貯留器17内の貯留水を第3熱交換部(貯留水/熱媒熱交換部)18に送る。第3熱交換部(貯留水/熱媒熱交換部)18において、反応容器1内を流通した後の熱媒と水貯留器17で貯留されていた貯留水とが熱交換され、熱媒の温度Tmを下げるとともに、貯留されていた貯留水を加熱することができる。加熱された貯留水は、再び水貯留器17に戻される。
本実施形態における第2の蓄熱工程では、弁23を閉じた状態で、すなわち蓄熱容器2から水が取り出されることなく、蓄熱材3の加熱が行われる。蓄熱材3の加熱は、例えば、熱媒の温度Tmが再び60℃まで上昇するまで行うことができる。このため、図4の直線(B)で示すように、蓄熱材3の塩濃度は下げずに、第1の蓄熱工程よりも高い温度(例えば80℃)まで蓄熱材3の温度を上昇させることができる。なお、図4からわかるように、本実施形態における蓄熱状態の蓄熱材3は固液共存状態である。
第2の蓄熱工程が終了すると、全ての弁を閉じた状態にして蓄熱材3の加熱を停止する。
一方、従来技術では、脱水速度が低いので、例えば、図4の破線で示すように蓄熱材3の温度が60℃に達するまでに、塩濃度を60%まで高めることができない。また、水の取り出しを終了した時点で蓄熱運転を終了し、第2の蓄熱工程を行わない。したがって、本実施形態によると、従来技術よりも脱水量を多くできるので、より多くの反応熱を蓄熱材に蓄えることができる。また、蓄熱材3を60℃から80℃まで昇温させるための顕熱分だけ、蓄熱量を増加させることが可能である。
さらに、本実施形態では、弁23を閉じた状態で貯留水の加熱を行うので、開いた状態で加熱を行う場合と比べて、次のような利点もある。
蓄熱時に、弁23を開いた状態で貯留水を加熱すると、水貯留器17内の水の温度が高くなることによって水貯留器17内の蒸気圧が上昇し、蓄熱容器2内の蒸気圧より高くなってしまう。このため、水貯留器17内の水(水蒸気)の逆流が起こるおそれがある。蓄熱時に水が蓄熱容器2に逆流すると、逆流した水が蓄熱材3と反応して放熱するため、脱水速度および蓄熱量の低下を引き起こす可能性がある。これに対して、本実施形態では、弁23を閉じた状態で貯留水を加熱するので、貯留水の逆流による脱水速度および蓄熱量の低下を抑制することができる。
<放熱動作>
次に、本実施形態の蓄熱システムの放熱運転時の動作を説明する。
次に、本実施形態の蓄熱システムの放熱運転時の動作を説明する。
本実施形態では、上記蓄熱動作の後、水貯留器17内の貯留水を反応容器1に供給し、蓄熱状態の蓄熱材3と反応させることによって放熱を行う。また、放熱時に蓄熱材から放出された熱の回収を、第1熱交換部(蓄熱材加熱部)4において、給水口21より供給された市水と蓄熱材3とを熱交換させることにより行う。
まず、放熱動作の第1パターンを説明する。冷媒回路10を用いて蓄熱を行う場合には、深夜電力を用いることが多い。深夜電力とは、深夜から朝にかけての電力消費が少ない時間帯のみに利用ができ、契約により、通常の3分の1から4分の1の価格で使用できる電力をいう。
第1の運転パターンでは、この深夜電力の時間帯が終了すると同時に蓄熱を終了し、水貯留器17から反応容器1内に貯留水を供給する。具体的には、深夜電力の時間帯が終了すると、弁24、26を開き、水貯留器17に貯留されていた貯留水をポンプ30により、水供給経路20を介して散水部15に送る。散水部15から反応容器1に水が供給されると、蓄熱状態(水和数が減少した状態)の蓄熱材3と水とが反応する。この結果、蓄熱材3が放熱状態(蓄熱前の状態)に戻るとともに、反応熱が発生する。したがって、蓄熱材3の温度がより高くなるので、より多くの熱量を取り出すことができる。
放熱時に蓄熱材3と反応させる水は、例えば第3熱交換部(貯留水/熱媒熱交換部)18で加熱されていることが好ましい。加熱を行っていない水や市水を供給しても放熱させることはできるが、その場合には、水の温度が低いため、蓄熱材3の温度を低下させてしまうので、たとえ蓄熱量が多くても、放熱時に回収できる熱量が減少するからである。
次に、放熱時の第2の運転パターンを説明する。蓄熱終了後から給湯等の大きな負荷が発生するまでに長時間が経過してしまうと、反応容器1から外気への放熱損失が顕著となり湯切れ等の原因となる。したがって、第1の運転パターンのように蓄熱終了直後に反応容器1に水貯留器17内の全ての貯留水を供給してしまうと、熱利用時までの放熱損失が大きくなり、効率のよい運転ができない場合がある。
そこで、第2の運転パターンでは、給湯等の大きな負荷が発生する時間帯に多くの熱量が取り出せるように、反応容器1への貯留水の供給量を調整する。例えば、弁24、26を開き、水貯留器17に貯留された水の一部のみを蓄熱終了直後に反応容器1に供給する(第1の動作)。第1の動作が終われば、弁24、26を閉じる。この後、給湯等の大きな負荷が発生する時間帯に合わせて、弁24、26を再び開き、水貯留器17に残っている貯留水を反応容器1に供給する。このように、貯留水の供給を段階的に行えば、放熱損失を抑制した効率のよい運転を行うことができる。
本実施形態の蓄熱システムの構成は、図1〜図3を参照しながら前述した構成に限定されない。例えば図6に示すように、複数の反応容器1を備えていてもよい。その場合、複数の反応容器1を鉛直方向に積層し、各反応容器1内における蓄熱材3の厚さを低減してもよい。これにより、蓄熱材3の深さ方向に働く圧力PHの値を小さくできるので、前述した式(2)から分かるように、蓄熱材3の脱水速度Xをさらに向上させることができる。
また、本実施形態の蓄熱および放熱動作も上述した動作に限定されない。例えば、第2の蓄熱工程を行わなくてもよい。また、貯留水を加熱しなくてもよい。そのような場合でも、脱水反応の促進によって蓄熱材3を従来よりも高濃度まで濃縮できるので(図4)、本願発明の効果が得られる。さらに、本実施形態では、凝縮水を貯留して放熱時に再利用しているが、凝縮水を貯留しない構成であってもよい。放熱時に回収された熱の利用手段も給湯に限定されず、例えば暖房機器などに利用してもよい。
本発明に係る蓄熱システムは、給湯器、空調設備、工業廃熱の貯蔵等に利用することができ、特に、給湯器に好適に用いることができる。
1 反応容器
2 蓄熱容器
3 蓄熱材
4 第1熱交換部(蓄熱材加熱部)
5 フィン
6 圧縮機
7 蒸発器
8 膨張装置
9 第2熱交換部(熱媒加熱部)
10 冷媒回路
11 熱媒回路
12 凝縮部
13 水蒸気透過手段
14 水排出経路
15 散水部
16 水輸送経路
17 水貯留器
18 第3熱交換部(貯留水/熱媒熱交換部)
19 貯留水加熱部
20 水供給経路
21 給水口
22 給湯口
23〜27 弁
28 温度検知手段
29、30 ポンプ
31〜35 弁
36 第4熱交換部(貯留水/冷媒熱交換部)
37 貯留水加熱部
38〜43 弁
44〜46 三方弁
47 支持体
49 蓄熱容器
50 蓄熱部(反応器)
51 ヘッダー
52 凝縮部
53 蒸発部
54 密閉容器
55 滴下防止カバー
56 熱媒体の入口
57 熱媒体の出口
58 水貯留部
2 蓄熱容器
3 蓄熱材
4 第1熱交換部(蓄熱材加熱部)
5 フィン
6 圧縮機
7 蒸発器
8 膨張装置
9 第2熱交換部(熱媒加熱部)
10 冷媒回路
11 熱媒回路
12 凝縮部
13 水蒸気透過手段
14 水排出経路
15 散水部
16 水輸送経路
17 水貯留器
18 第3熱交換部(貯留水/熱媒熱交換部)
19 貯留水加熱部
20 水供給経路
21 給水口
22 給湯口
23〜27 弁
28 温度検知手段
29、30 ポンプ
31〜35 弁
36 第4熱交換部(貯留水/冷媒熱交換部)
37 貯留水加熱部
38〜43 弁
44〜46 三方弁
47 支持体
49 蓄熱容器
50 蓄熱部(反応器)
51 ヘッダー
52 凝縮部
53 蒸発部
54 密閉容器
55 滴下防止カバー
56 熱媒体の入口
57 熱媒体の出口
58 水貯留部
Claims (9)
- 蓄熱材から水を脱離することによって蓄熱し、かつ、前記脱離した水を前記蓄熱材と反応させることによって放熱する蓄熱システムであって、
上方に解放した開口を有し、前記蓄熱材を収容する反応容器と、
前記反応容器の前記開口を覆うように配置され、水蒸気を透過させるが、液体の水を透過させない水蒸気透過手段と、
蓄熱運転時に、前記蓄熱材を加熱する蓄熱材加熱部と、
前記水蒸気透過手段の上方に配置され、前記蓄熱材を加熱することによって前記蓄熱材から脱離して前記水蒸気透過手段を透過した水蒸気を凝縮させて凝縮水を得る凝縮部と、
前記反応容器、前記水蒸気透過手段、前記蓄熱材加熱部および前記凝縮部を収容する蓄熱容器と
を備え、
前記水蒸気透過手段は、前記水蒸気透過手段の上面に付着した凝縮水を前記上面から移動させる構造を有している蓄熱システム。 - 前記水蒸気透過手段の前記上面は、前記上面に付着した凝縮水を前記上面から移動させるための傾斜部を有している請求項1に記載の蓄熱システム。
- 前記傾斜部の水平面に対する傾斜角度は1°より大きく24°以下である請求項2に記載の蓄熱システム。
- 前記凝縮部における冷却面の凝縮水に対する接触角は90°未満であり、
前記傾斜部の水平面に対する傾斜角度は1°より大きく12°未満である請求項2に記載の蓄熱システム。 - 前記水蒸気透過手段は気液分離膜を含む請求項1から4のいずれかに記載の蓄熱システム。
- 前記水蒸気透過手段は、前記上面に付着した凝縮水を、前記反応容器と前記蓄熱容器の内壁との間を下方に移動させる構造を有する請求項1から5のいずれかに記載の蓄熱システム。
- 前記凝縮水を貯留する水貯留部と、
放熱運転時に、前記水貯留部に貯留された水を前記水貯留部から前記反応容器内に供給する水供給経路と
をさらに備える請求項1から6のいずれかに記載の蓄熱システム。 - 前記水貯留部は、前記蓄熱容器の外部に設けられており、
前記上面から移動させた凝縮水を、前記蓄熱容器から前記水貯留部に輸送する水輸送経路と、
前記水輸送経路に設けられ、前記蓄熱容器と前記水貯留部との間の水の移動を制限する弁と、
前記水貯留部に貯留されていた水を加熱する貯留水加熱部と
をさらに備える請求項7に記載の蓄熱システム。 - 前記蓄熱材加熱部は、
圧縮機、放熱器、膨張装置、蒸発器およびこれらの間で冷媒を循環させる冷媒経路を含む冷媒回路と、
前記放熱器によって加熱され、前記蓄熱材と熱交換することによって冷却されるように熱媒を循環させる熱媒回路と
を有し、
前記凝縮部は、前記冷媒回路の前記冷媒と熱交換することによって、前記脱離した水を冷却するように構成された請求項8に記載の蓄熱システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009140185A JP2010286168A (ja) | 2009-06-11 | 2009-06-11 | 蓄熱システム |
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JP2009140185A JP2010286168A (ja) | 2009-06-11 | 2009-06-11 | 蓄熱システム |
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JP2009140185A Pending JP2010286168A (ja) | 2009-06-11 | 2009-06-11 | 蓄熱システム |
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JP (1) | JP2010286168A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012220102A (ja) * | 2011-04-08 | 2012-11-12 | Toyota Central R&D Labs Inc | 反応器 |
WO2015174282A1 (ja) * | 2014-05-14 | 2015-11-19 | 住友電気工業株式会社 | レドックスフロー電池 |
-
2009
- 2009-06-11 JP JP2009140185A patent/JP2010286168A/ja active Pending
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