JP2008267793A - ヒートポンプ暖房システム - Google Patents
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Abstract
【課題】ヒートポンプ暖房システムの成績係数を向上させる。
【解決手段】蓄熱材12に蓄熱しながら暖房を行う蓄熱運転と、蓄熱材12から放熱しながら暖房を行う放熱運転とを交互に繰り返し、熱媒から蓄熱材12に熱を与えて脱水反応を生じさせる蓄熱用熱交換器15と、熱媒から脱水反応によって生じた水に熱を与えて蒸発させ、蒸発させた水と蓄熱材12とを反応させる放熱用熱交換器17と、蒸発させた水との反応によって蓄熱材12が放出した熱を熱媒に回収する熱回収用熱交換器18と、暖房端末9から出た熱媒が、蓄熱運転時には蓄熱用熱交換器15を経て循環し、放熱運転時には放熱用熱交換器17を循環するように熱媒経路7を切り換える第1切り換え手段10と、熱媒が、蓄熱運転時には熱回収用熱交換器18を循環しないように、放熱運転時には熱回収用熱交換器18を循環するように熱媒経路7を切り換える第2切り換え手段11とを備える。
【選択図】図1
【解決手段】蓄熱材12に蓄熱しながら暖房を行う蓄熱運転と、蓄熱材12から放熱しながら暖房を行う放熱運転とを交互に繰り返し、熱媒から蓄熱材12に熱を与えて脱水反応を生じさせる蓄熱用熱交換器15と、熱媒から脱水反応によって生じた水に熱を与えて蒸発させ、蒸発させた水と蓄熱材12とを反応させる放熱用熱交換器17と、蒸発させた水との反応によって蓄熱材12が放出した熱を熱媒に回収する熱回収用熱交換器18と、暖房端末9から出た熱媒が、蓄熱運転時には蓄熱用熱交換器15を経て循環し、放熱運転時には放熱用熱交換器17を循環するように熱媒経路7を切り換える第1切り換え手段10と、熱媒が、蓄熱運転時には熱回収用熱交換器18を循環しないように、放熱運転時には熱回収用熱交換器18を循環するように熱媒経路7を切り換える第2切り換え手段11とを備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、ヒートポンプによって加温された熱媒を用いて暖房を行うヒートポンプ暖房システムに関する。
ヒートポンプ回路によって加熱された水、不凍液などの熱媒体を利用して暖房を行うヒートポンプ暖房システムが提案されている。
図8は、一般的なヒートポンプ暖房システムの構成を説明するための図である。ヒートポンプ暖房システム200は、圧縮機55、熱交換器58、膨張手段56および蒸発器57を有するヒートポンプ回路50と、ラジエタ、床暖房などの暖房端末52および温度センサ60を有する暖房回路53とを備えている。このシステム200では、ヒートポンプ回路50の熱交換器58によって加熱された熱媒体が暖房端末52に循環して放熱する。このような構成は例えば特許文献1に開示されている。
しかしながら、ヒートポンプ暖房システム200では、暖房端末52によって暖房を行うために利用する熱媒体の温度が通常50℃以上と高いので、暖房端末52の廃熱の温度も高くなる。例えば、暖房端末52として床暖房を用いる場合、暖房端末52に約60℃の水(熱媒体)を通過させて室内を加熱し、約40℃の水が暖房端末52から回収される。そのため、暖房端末52から比較的高い温度(上記の例では約40℃)の熱媒体がヒートポンプ回路50の熱交換器58に流入するので、ヒートポンプ回路50の成績係数(COP:Coefficient of Performance)が低下するという問題がある。
このようなヒートポンプ回路の成績係数の低下を抑制するため、暖房端末の下流側に蓄熱槽を設置する構成が提案されている。
図9は、特許文献2に提案されているヒートポンプ暖房システムの構成を説明するための図である。ヒートポンプ暖房システム300は、圧縮機61、水/冷媒熱交換器63、減圧手段65、吸熱器67を有するヒートポンプ回路70と、ラジエタ、床暖房などの暖房端末72を有する暖房回路74と、蓄熱部76を有する貯湯タンク78と、給湯端末80とを備えている。システム300では、暖房端末72から出た中温の水(熱媒体)は、蓄熱部76の蓄熱材と熱交換を行った後、熱交換器63に流入する。給湯需要が発生すると、蓄熱部76と熱交換した水と貯湯タンク78から取り出した水とを混合することにより、所望の温度のお湯を給湯端末80に供給する。このような構成によると、熱交換器63に流入する水(熱媒体)の温度を低くすることができるので、図8に示すシステム200よりも成績係数を改善できる。
一方、ヒートポンプ回路と、蓄熱材からの水の蒸発および蓄熱材への水の吸収・吸着を用いた化学蓄熱とを組合せたヒートポンプシステムも提案されている。
図10および図11は、それぞれ、特許文献3および特許文献4に提案されているヒートポンプシステムの構成を説明するための図である。簡単のため、これらの図における同様の構成要素には同じ参照符号を付している。図10および図11に示すヒートポンプシステム400、500は、ヒートポンプ回路90と、蓄熱材(反応材)102を収容する蓄熱容器104と、蓄熱材102と反応させる被反応材(水など)106を収容する被反応材容器108と、蓄熱容器104および被反応材容器108との間で被反応材106の蒸気を移動させる配管109とを備えている。図10に示すヒートポンプシステム400のヒートポンプ回路90は、圧縮機92、熱交換器94、凝縮器95、減圧手段(膨張弁)96、蒸発器98、熱交換器91、および冷媒をこの順で循環させる冷媒循環経路99を含んでいる。図11に示すヒートポンプシステム500のヒートポンプ回路90は、圧縮機92、熱交換器94、減圧手段(膨張弁)96、熱交換器91、他の熱源部と熱交換を行う熱交換器101、およびこの順で冷媒を循環させる冷媒循環経路99を含んでいる。
これらのシステム400、500では、ヒートポンプ回路90の熱交換器94によって蓄熱材102を加熱して被反応材106を蒸発させることにより蓄熱を行う。このとき、ヒートポンプ回路90の熱交換器91によって、減圧手段96により減圧された低温の冷媒で被反応材容器108内の被反応材106を冷却する。このように、ヒートポンプシステム400、500によると、ヒートポンプ回路90との熱交換を利用して蓄熱材102の反応速度および反応効率を向上できる。
特開2002−122334号公報
特開2006−214659号公報
特開平5−288425号公報
特公平7−6708号公報
前述したように、特許文献2に提案されているヒートポンプ暖房システム300(図9)によると、暖房端末72からヒートポンプ回路70のガスクーラ63に流入する熱媒体を蓄熱部76で冷却できるので、特許文献1のヒートポンプ暖房システムよりも、ヒートポンプ回路70の成績係数を高めることが可能である。
しかしながら、ヒートポンプ回路70の成績係数は、暖房、給湯の両需要に依存して変化するので、安定して高い成績係数を得ることは難しい。例えば、暖房需要に対して給湯需要の割合が小さすぎる場合には、暖房を続けると、蓄熱部76の温度が高くなる。その結果、暖房端末72から出た水(熱媒体)の温度を蓄熱部76によって十分に低くすることができなくなり、高い成績係数が得られない可能性がある。さらに、蓄熱部76に蓄えられた熱は給湯端末80で利用され、暖房端末72で利用されないので、暖房運転単独での成績係数(圧縮機61の入力に対する暖房端末72の出力)を向上できないという問題もある。
また、特許文献3および特許文献4は、ヒートポンプシステム400、500(図10、図11)において、ヒートポンプ回路90の熱交換器94に流入する熱媒体の温度を低く抑える手段を何ら教示しておらず、上記のような熱媒体の高温化による成績係数低下の問題を解決するものではない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ヒートポンプ回路からの熱を利用して暖房を行うヒートポンプ暖房システムにおいて、ヒートポンプ回路の圧縮機入力に対する暖房出力として求められる暖房運転単独の成績係数を向上させることにある。
本発明のヒートポンプ暖房システムは、圧縮機、熱媒/冷媒熱交換器、膨張手段、蒸発器およびこれらの間で冷媒を循環させる冷媒経路を含み、前記蒸発器で吸熱し、前記熱媒/冷媒熱交換器で放熱するヒートポンプ回路と、暖房端末、および、前記暖房端末と前記ヒートポンプ回路の前記熱媒/冷媒熱交換器との間で熱媒を循環させる熱媒経路を含み、前記ヒートポンプ回路からの放熱によって前記熱媒を加熱し、前記暖房端末で放熱する暖房回路と、脱水反応によって蓄熱し、かつ、吸水反応によって放熱する蓄熱材を保持する蓄熱槽とを備え、前記蓄熱材に蓄熱しながら暖房を行う蓄熱運転と、前記蓄熱材から放熱しながら暖房を行う放熱運転とを交互に繰り返すヒートポンプ暖房システムであって、前記熱媒から前記蓄熱材に熱を与えて脱水反応を生じさせる蓄熱用熱交換器と、前記熱媒から前記脱水反応によって生じた水に熱を与えて蒸発させ、蒸発させた水と前記蓄熱材とを反応させる放熱用熱交換器と、前記蒸発させた水との反応によって前記蓄熱材が放出した熱を前記熱媒に回収する熱回収用熱交換器と、前記暖房端末から出た前記熱媒が、前記蓄熱運転時には前記蓄熱用熱交換器を経て前記熱媒/冷媒熱交換器に循環し、前記放熱運転時には前記放熱用熱交換器を経て前記熱媒/冷媒熱交換器に循環するように前記熱媒経路を切り換える第1切り換え手段と、前記熱媒/冷媒熱交換器から出た前記熱媒が、前記蓄熱運転時には前記熱回収用熱交換器を通過しないように循環し、前記放熱運転時には前記熱回収用熱交換器を経て前記暖房端末に循環するように前記熱媒経路を切り換える第2切り換え手段とをさらに備える。
ある好ましい実施形態において、前記蓄熱運転時に前記脱水反応によって生じた水を冷却するための冷却手段をさらに備える。
前記脱水反応によって生じた水を収容する水容器と、前記水容器と前記蓄熱槽との間で水を移動させる水経路とをさらに備え、前記冷却手段は、前記冷媒経路における前記膨張手段と前記圧縮機との間に配置され、前記水容器に収容された水を凝縮させる水凝縮用熱交換器と、前記膨張手段で膨張された前記冷媒が、前記蓄熱運転時には前記水凝縮用熱交換器を通過し、前記放熱運転時には前記水凝縮用熱交換器を通過しないように前記冷媒経路を切り換える第3切り換え手段とを含んでいてもよい。
前記第3切り換え手段は、前記冷媒経路における前記蒸発器と前記圧縮機との間に配置されることが好ましい。
ある好ましい実施形態において、前記ヒートポンプ回路は、前記冷媒経路において前記熱媒/冷媒熱交換器と前記暖房端末との間に配置され、前記熱媒/冷媒熱交換器を通過した熱媒をさらに加熱する他の熱媒/冷媒熱交換器をさらに含み、前記第2切り換え手段は、前記熱媒経路において前記熱媒/冷媒熱交換器と前記他の熱媒/冷媒熱交換器との間に配置されている。
前記蓄熱運転と前記放熱運転とを交互に行うように前記第1および第2切り換え手段を制御する制御手段をさらに備えていてもよい。
前記蓄熱材は、塩化カルシウムまたは臭化カルシウムの水和物であってもよい。
ある好ましい実施形態において、前記蓄熱運転の時間と前記放熱運転の時間とは略等しい。
本発明のヒートポンプ暖房システムの運転方法は、ヒートポンプ回路と、暖房端末と、脱水反応によって蓄熱し、かつ、吸水反応によって放熱する蓄熱材を収容する蓄熱槽とを有し、前記ヒートポンプ回路によって加温された熱媒を利用して暖房を行うヒートポンプ暖房システムの運転方法であって、前記暖房端末で利用された後の前記熱媒の熱を前記蓄熱材に与えて脱水反応を生じさせることにより前記蓄熱材に熱を蓄える工程、および、前記蓄熱材に熱を与えた後の前記熱媒を前記ヒートポンプ回路によって加温して前記暖房端末で利用する工程を含む蓄熱運転工程と、前記暖房端末で利用された後の前記熱媒の熱を前記脱水反応によって生じた水に与えて前記水を蒸発させる工程、前記蒸発させた水を蓄熱状態の前記蓄熱材と反応させることにより前記蓄熱材から熱を放出させる工程、および、前記水に熱を与えた後の前記熱媒を、前記蓄熱材から放出させた熱および前記ヒートポンプによって加温して前記暖房端末で利用する工程とを含む放熱運転工程とを交互に繰り返す。
ある好ましい実施形態において、前記蓄熱運転工程は、前記ヒートポンプ回路の冷媒によって、前記脱水反応によって生じた水を凝縮させる工程をさらに含む。
前記蓄熱運転工程および前記放熱運転工程の前記暖房端末の出力が略等しいとき、前記蓄熱運転工程における前記ヒートポンプ回路の圧縮機に対する入力は、前記放熱運転工程における前記ヒートポンプ回路の圧縮機に対する入力よりも大きいことが好ましい。
以下、図面を参照しながら、本発明によるヒートポンプ暖房システムの実施形態を説明する。ただし、従来から広く採用されているヒートポンプ回路およびその構成要素などの公知の手段については、詳細な説明を省略する。
図1は、実施形態のヒートポンプ暖房システムの構成を示す図である。
ヒートポンプ暖房システム100は、冷媒を循環させるヒートポンプ回路20、熱媒を循環させる暖房回路22、および蓄熱部24を有する。
ヒートポンプ回路20は、冷媒を高温、高圧にする圧縮機2と、第1のガスクーラ3および第2のガスクーラ4と、冷媒を減圧する膨張手段5と、冷媒と大気との熱交換を行う蒸発器(エバポレータ)6と、この順で冷媒を循環させる冷媒経路1とを有している。第1および第2のガスクーラ3、4は、暖房回路22の熱媒と熱交換を行う熱媒/冷媒熱交換器である。第1および第2のガスクーラ3、4では放熱を行い、暖房回路22を循環する熱媒に熱を与える。また、蒸発器6では吸熱を行う。蒸発器6と圧縮機2との間には、冷媒経路1を切り換える第3の三方弁19が設けられている。第3の三方弁19の動作は制御部28によって制御される。本実施形態では、ヒートポンプ回路20の冷媒として二酸化炭素を用いる。膨張手段5としては、例えば膨張弁、キャピラリチューブを用いることができる。
なお、本実施形態では、冷媒/熱媒熱交換器として2つのガスクーラ3、4を用いたが、単一の熱交換器を用いてもよいし、3以上の熱交換器を用いてもよい。
暖房回路22は、暖房端末9と、暖房端末9と第1および第2のガスクーラ3、4との間で熱媒を循環させる熱媒経路7と、熱媒経路7に設けられ、熱媒を循環させるための循環ポンプ8とを有している。第1および第2のガスクーラ3、4によって加熱された熱媒は、暖房端末9の熱媒入口9aから流入して熱媒出口9bから流出する間に放熱し、これにより、暖房端末9で暖房を行うことができる。熱媒経路7における暖房端末9の熱媒出口9bと第1のガスクーラ3との間には、熱媒経路7を切り換えるための第1の三方弁10が設けられている。また、第1のガスクーラ3と第2のガスクーラ4との間には、熱媒経路7を切り換えるための第2の三方弁11が設けられている。第1および第2の三方弁10、11の動作は制御部28によって制御される。本実施形態では、熱媒(作動流体)として水(循環水)を用いる。暖房端末9はラジエタである。なお、暖房端末9はラジエタに限定されず、例えば床暖房であってもよい。
蓄熱部24は、蓄熱材12を充填した蓄熱槽13と、蓄熱槽13と水のやり取り可能に接続された水容器14とを有する。本実施形態では、水(液体状態の水)または水蒸気を移動させるための水経路26を介して、蓄熱槽13と水容器14とを接続している。なお、水容器14は、熱媒または冷媒との熱交換器(後述する)を備えており、水容器14内に収容された液体状態の水を蒸発させて蓄熱槽13へ移動させたり、あるいは、蓄熱槽13から移動してきた水蒸気を凝縮して液体状態の水として収容する機能も有するため、蒸発/凝縮器と呼ぶこともある。
水経路26の構成は特に限定せず、水または水蒸気を移動させることができればよい。蓄熱槽13および水容器14で生じた水蒸気のみを取り出すために、水経路26の一方の端部を蓄熱槽13の上方に接続し、他の端部を水容器14の上方に接続してもよい。また、取り出された水蒸気が水経路26内で凝縮してもよい。
本実施形態における蓄熱材12は、脱水反応によって蓄熱し、かつ、吸水反応によって放熱する材料であり、例えば塩化カルシウムの水和物および臭化カルシウムなどの水和物を用いることができる。ここでは、蓄熱している状態(以下、単に「蓄熱状態」)の蓄熱材12として塩化カルシウム・4水和物、放熱後の状態(以下、単に「放熱状態」)として塩化カルシウム・6水和物を用いる。この関係を式(1)に表わす。
CaCl2・6H2O +ΔH ⇔ CaCl2・4H2O+2H2O (1)
CaCl2・6H2O +ΔH ⇔ CaCl2・4H2O+2H2O (1)
式(1)からわかるように、塩化カルシウム・6水和物は加熱されると脱水反応を生じて塩化カルシウム・4水和物になるとともに、熱(ΔH)を蓄える(右向きの反応)。一方、塩化カルシウム・4水和物は、水と反応して塩化カルシウム・6水和物になるとともに、熱(ΔH)を放出する(左向きの反応)。
図2は、塩化カルシウムの相対湿度と平衡水和数との関係を示すグラフである。相対湿度30%では、塩化カルシウム・6水和物が平衡状態となり、相対湿度15%では、塩化カルシウム・4水和物が平衡状態となる。従って、蓄熱槽13に収容された放熱状態の蓄熱材(塩化カルシウム・6水和物)12を加熱すると、塩化カルシウム・4水和物と水とに分解する。この反応により生じた水を蓄熱槽13から取り出すことによって蓄熱することができる。取り出された水は、水経路26を介して水容器14に収容される。一方、蓄熱材12に蓄えた熱を放出させて熱利用を行う場合には、水容器14に貯蔵された水を水経路26を介して蓄熱槽13に移送し、蓄熱状態の蓄熱材(塩化カルシウム・4水和物)12と反応させ、発熱させる。
蓄熱槽13には、暖房端末9からの廃熱で蓄熱材12を加熱して脱水する熱交換器(以下、「蓄熱用熱交換器」)15と、蓄熱材12からの放熱で暖房回路22の熱媒を加熱する熱交換器(以下、「熱回収用熱交換器」)18とが設けられている。また、水容器14には、暖房端末9からの廃熱で水容器14内の水を加熱して蒸発させる熱交換器(以下、「放熱用熱交換器」)17と、ヒートポンプ回路20の冷媒によって水容器14に収容された水を冷却する水凝縮用熱交換器16とが設けられている。
蓄熱材12に熱を蓄える際には(蓄熱時)、蓄熱用熱交換器15および水凝縮用熱交換器16が用いられる。
本実施形態では、蓄熱用熱交換器15において、熱媒経路7における暖房端末9の熱媒出口9bと第1のガスクーラ3との間を通過する熱媒(水)によって、蓄熱槽13の放熱状態の蓄熱材(塩化カルシウム・6水和物)12を加熱し、脱水反応を生じさせる。脱水反応によって生じた水(水蒸気)は、水経路26を介して水容器14に移送される。水容器14に移送された水蒸気は、水凝縮用熱交換器16によって凝縮される。水凝縮用熱交換器16では、蒸発器6を通過した後、圧縮機2で圧縮される前の低温の冷媒によって水容器14を冷却し、水容器14に移送された水蒸気を凝縮させるとともに、ヒートポンプ回路20に水蒸気の熱を回収する。
一方、蓄熱材12から熱を放出させる際には(放熱時)、放熱用熱交換器17および熱回収用熱交換器18が用いられる。
本実施形態では、放熱用熱交換器17において、熱媒経路7における暖房端末9の熱媒出口9bから出た後、第1のガスクーラ3で加熱される前の熱媒(水)によって、水容器14に貯蔵された水を加熱して蒸発させる。蒸発した水(水蒸気)は蓄熱槽13に移送され、蓄熱状態の蓄熱材(塩化カルシウム・4水和物)12と反応する。この反応により蓄熱材12に蓄えられていた熱が放出される。放出した熱は、熱回収用熱交換器18によって、熱媒経路7における第1のガスクーラ3と第2のガスクーラ4との間を通過する熱媒に回収される。なお、蓄熱材12から放出した熱は、第1のガスクーラ3を通過した後、暖房端末9の熱媒入口9aに移送される前の熱媒に回収されればよく、これにより、第1のガスクーラ3に流入する前の熱媒の温度を低く抑えつつ、蓄熱材12の放出した熱を暖房に利用できる。
<ヒートポンプ暖房システム100の動作>
次に、ヒートポンプ暖房システム100の動作の一例を具体的に説明する。
次に、ヒートポンプ暖房システム100の動作の一例を具体的に説明する。
ヒートポンプ暖房システム100は、蓄熱材12に蓄熱しながら暖房を行う蓄熱運転と、蓄熱材12から放熱しながら暖房を行う放熱運転とを交互に繰り返しながら、継続して暖房運転を行う。このように動作させることによって、蓄熱運転時に蓄熱部24に蓄えた熱を、放熱運転時に暖房回路22の熱媒を加熱するために利用できるので、蓄熱部24を有していない従来のシステムよりもヒートポンプ回路20のトータルのエネルギー消費量を抑制できる。
蓄熱運転では、暖房回路22において、暖房端末9から出た熱媒が蓄熱用熱交換器15を経て循環し(図1に示すA方向)、かつ、熱回収用熱交換器18を通過しないように(図1に示すA方向)、第1の三方弁10および第2の三方弁11をそれぞれ設定する。また、ヒートポンプ回路20において、蒸発器6から出た冷媒が水凝縮用熱交換器16を経て循環するように(図1に示すA方向)、第3の三方弁19を設定する。一方、放熱運転では、暖房回路22において、暖房端末9から出た熱媒が放熱用熱交換器17および熱回収用熱交換器18を経て循環するように(図1に示すB方向)、第1の三方弁10および第2の三方弁11を設定する。また、ヒートポンプ回路において、冷媒が水凝縮用熱交換器16を通過しないように(図1に示すB方向)第3の三方弁19を設定する。
蓄熱運転時における冷媒経路1および熱媒経路7を図3、放熱運転時における冷媒経路1および熱媒経路7を図4に示す。簡単のため、図1と同様の構成要素には同じ符号を付している。
なお、本実施形態では、ヒートポンプ暖房システム100を次のような条件で運転させる。蓄熱運転および放熱運転の何れの際にも、暖房端末9の熱媒入口9aに流入する熱媒の温度は65℃、暖房端末9の熱媒出口9bから流出する熱媒の温度は40℃とする。暖房端末9では10kWの出力で暖房を行う。暖房端末(ここではラジエタ)9の表面温度は50℃とする。また、暖房経路7を循環する熱媒の流速を、循環ポンプ8によって6L/分に設定する。さらに、蓄熱槽13に収容する放熱状態の蓄熱材(塩化カルシウム・6水和物)12の重量を15kg、容量を31リットルとする。
以下、図3および図4を参照しながら、各運転時の動作を具体的に説明する。
(i)蓄熱運転時の動作
はじめに、蓄熱運転について説明する。
はじめに、蓄熱運転について説明する。
図3に示すように、蓄熱運転では、暖房端末9を出た40℃の熱媒は、蓄熱用熱交換器15に供給されて蓄熱材12との間で熱交換を行い、30℃まで冷却されて第1のガスクーラ3に流入する。この後、熱媒は、第1のガスクーラ3および第2のガスクーラ4において、ヒートポンプ回路20の冷媒で65℃まで加熱されて暖房端末9で利用される。
ヒートポンプ回路20では、圧縮機2によって圧縮された冷媒(温度:100℃)がガスクーラ3、4によって36℃まで冷却されて膨張手段5に送られる。その後、膨張手段5によってさらに−5℃まで冷却され、蒸発器6および水凝縮用熱交換器16で吸熱した後、再び圧縮機2に送られる。
蓄熱部24では、蓄熱用熱交換器15によって蓄熱槽13が加熱され、蓄熱槽13内の平均温度は30℃となる。一方、蓄熱槽13と連通している水容器14は、水凝縮用熱交換器16で、ヒートポンプ回路20の蒸発器6の冷媒出口と圧縮機2の冷媒入口の間の−5℃の冷媒によって冷却される。これにより、水容器14内部は0℃近傍となる。
このとき、蓄熱槽13と水容器14との温度に基づき、蓄熱槽13内の相対湿度は15%になる。図2を参照して前述したように、相対湿度15%のときの平衡水和数は4であるため、蓄熱材12の脱水反応が生じ、脱水反応によって生成された水蒸気が蓄熱槽13から水容器14に移動する。
本実施形態では、蓄熱運転を1時間継続して行う。これにより、蓄熱運転開始前の放熱状態の蓄熱材(塩化カルシウム・6水和物)12は、蓄熱運転終了時には塩化カルシウム・4水和物になる。なお、蓄熱運転の時間は、蓄熱材(塩化カルシウム・6水和物)12の全量が脱水反応によって蓄熱状態となるまでの時間に基づいて適宜選択され得る。
放熱運転から蓄熱運転に切換える際には、図1に示す第1〜第3の三方弁10、11、19を同時に切り換えてもよいが、第2の三方弁11、第1の三方弁10および第3の三方弁19の順に切り換えることが好ましい。この順序で切換えを行うことにより、暖房端末9の暖房出力の変動を抑制できる。
ここで、蓄熱運転時のヒートポンプ回路20の成績係数を、蓄熱部を有さないヒートポンプ暖房システム(以下、「比較例のシステム」)と比較して説明する。ここでは、圧縮機入力に対する暖房出力で求められる成績係数(「暖房単独運転の成績係数」ともいう)に基づいて、本実施形態と比較例との比較を行う。
まず、比較例のシステムの構成を説明する。図5(a)は、比較例のシステムを示す構成図であり、蓄熱部を有していない点以外は、ヒートポンプ暖房システム100と同様の構成を有する。簡単のため、図1と同様の構成要素には同じ参照符号を付し、説明を省略する。比較例のシステムは蓄熱部を有さないので、蓄熱運転および放熱運転の切り換えはなく、冷媒回路および熱媒回路は常に同じである。また、比較例のシステムでは、暖房端末9から出た40℃の熱媒は、冷却されずにそのままガスクーラ3に流入する。暖房出力、暖房端末9の表面温度などの条件は本実施形態と同様とする。
図5(b)は、比較例におけるヒートポンプ回路20の冷媒の圧力と総エネルギーの変化との関係を示すグラフであり、横軸は総エネルギーの変化(kW)、縦軸は冷媒の圧力(MPa)を表している。ここで、ヒートポンプ回路20の「総エネルギー(kW)」は、ヒートポンプ回路20全体の熱エネルギーであり、冷媒循環量(1kg)あたりの熱エネルギーである比エンタルピー(kJ/kg)に冷媒循環量(kg)を乗じることにより求められる。図5(b)の横軸の「総エネルギーの変化(kW)」は、ヒートポンプサイクルの断熱工程(点u→点v)における総エネルギーの値を基準(ゼロ)とした場合の各工程における総エネルギーの値であり、ヒートポンプ回路20の入出力に相当する。
線30に示すように、ヒートポンプ回路20は、点s、t、uおよびvの間で総エネルギーの変化を繰り返す。線30における点sと点tとの間は圧縮機2による圧縮工程、点tと点uとの間はガスクーラ3、4による凝縮工程、点uと点vとの間は膨張手段5による膨張工程、点vと点sとの間は蒸発器6による蒸発工程にそれぞれ対応している。図示するように、凝縮工程の開始時である点tと終了時である点uとの総エネルギーの差が暖房出力に相当し、10kWである。また、圧縮工程の開始時である点sと終了時である点tとの総エネルギーの差が圧縮機2に対する入力エネルギー(圧縮機2の消費電力)に相当する。比較例では、ヒートポンプ回路20の冷媒循環量は0.07kg/秒であり、圧縮機2に対する入力エネルギーは4.72kWである。よって、成績係数は暖房出力(=10kW)/圧縮機入力(=4.72kW)によって求められ、2.12となる。
これに対し、本実施形態における蓄熱運転時のヒートポンプ回路20の冷媒の圧力と総エネルギーの変化との関係を図6に示す。図6の横軸は総エネルギーの変化(kW)、縦軸は冷媒の圧力(MPa)を表している。線32に示すように、ヒートポンプ回路20は点s、t、u、vの間で総エネルギーの変化を繰り返す。図5(b)を参照して説明したように、線32における点sと点tとの間、点tと点uとの間、点uと点vとの間、および点vと点sとの間は、それぞれ圧縮工程、凝縮工程、膨張工程および蒸発工程に対応している。なお、比較のため、図6に、図5(b)に示す比較例における総エネルギーの変化を示す線30を点線で示している。
本実施形態では、蓄熱運転におけるヒートポンプ回路20の冷媒循環量は0.07kg/秒であり、圧縮機2に対する入力エネルギー、すなわち圧縮工程の開始時(点s)と終了時(点t)との総エネルギーの差は4.72kWである。この値は、比較例のシステムにおける圧縮機2の入力エネルギーと同等である。一方、凝縮工程の総エネルギーの差、すなわち凝縮工程の開始時(点t)と終了時(点u)との総エネルギーの差は14kwとなり、比較例のシステムにおける凝縮工程の総エネルギーの差(10kW)よりも大きい。凝縮工程の開始時(点t)の冷媒温度(100℃)は何れのシステムでも同じであるが、本実施形態では暖房端末9を出た熱媒を蓄熱材12との熱交換によって冷却するので、凝縮工程の終了時(点u)の冷媒温度(36℃)を、比較例のシステムにおける凝縮工程の終了時の冷媒温度(例えば46℃)よりも低くできるからである。本実施形態における凝縮工程の総エネルギーの差(14kW)のうち10kWは暖房で利用され、残りの4kWは蓄熱材12の加熱に利用される。
従って、本実施形態における蓄熱運転時の暖房出力/圧縮機入力で表される成績係数は、暖房出力(=10kW)/圧縮機入力(=4.72kW)によって求められ、2.12となる。この値は、線30に示す比較例のシステムの成績係数と同等である。
なお、蓄熱出力も含めたシステム全体の成績係数は、(暖房出力+蓄熱出力)(=14kW)/圧縮機入力(=4.72kW)によって求められて2.97となるが、「暖房単独運転の成績係数」を求める場合には、出力エネルギーとして暖房出力のみを考慮し、蓄熱出力を考慮しないので、暖房単独運転の成績係数は上記の値(=2.12)となる。
(ii)放熱運転時の動作
次に放熱運転について説明する。
次に放熱運転について説明する。
図4に示すように、放熱運転では、暖房端末9を出た40℃の熱媒は、放熱用熱交換器17に供給されて水容器14との間で熱交換を行い、30℃まで冷却される。冷却された熱媒は第1のガスクーラ3で44℃に加熱された後、熱回収用熱交換器18に送られて蓄熱材12との間で熱交換を行い、54℃まで加熱される。熱回収用熱交換器18を出た熱媒は、第2のガスクーラ4で冷媒との熱交換を行い、さらに65℃まで加熱されて暖房端末9で利用される。
ヒートポンプ回路20では、圧縮機2によって圧縮された冷媒(温度:100℃)がガスクーラ3、4によって35℃まで冷却されて膨張手段5に送られる。この後、膨張手段5によってさらに−5℃まで冷却され、蒸発器6を経て圧縮機2に戻される。なお、放熱運転においては、ヒートポンプ回路20の冷媒は、蓄熱部24の水容器14と直接の熱の交換は行わない。従って、膨張手段5を経た冷媒は、蒸発器6で大気からのみ吸熱して圧縮機2へ送られる。
蓄熱部24では、放熱用熱交換器17によって水容器14が加熱され、水容器14内の平均温度が30℃になる。加熱された水容器14内の水は、水経路26を介して蓄熱槽13に移動して蓄熱材(塩化カルシウム・4水和物)12と反応する。これにより、蓄熱材12は放熱し、その平均温度は54℃まで上昇する。蓄熱材12によって放出された熱は、熱回収用熱交換器18によって暖房回路7の熱媒を加熱するために利用される。
このとき、蓄熱槽13と水容器14との温度に基づき、蓄熱槽13内の相対湿度は30%になる。図2を参照して前述したように、相対湿度30%のときの平衡水和数は6であるため、水容器14の水が水蒸気として蓄熱槽13に移動して、蓄熱材12と反応する(吸水反応)。
本実施形態では、放熱運転を1時間継続して行う。これにより、放熱運転開始前の蓄熱材(塩化カルシウム・4水和物)12は、放熱運転終了時には塩化カルシウム・6水和物になる。なお、放熱運転の時間は、蓄熱材(塩化カルシウム・4水和物)12の全量が吸水反応によって放熱状態となるまでの時間に基づいて適宜選択され得る。
また、蓄熱運転から放熱運転に切換える際には、図1に示す第1〜第3の三方弁10、11、19を同時に切り換えてもよいが、第3の三方弁19、第1の三方弁10および第2の三方弁11の順で切り換えることが好ましい。この順序で切換えを行うことにより、暖房端末9の暖房出力の変動を抑制できる。
ここで、放熱運転時のヒートポンプ回路20の成績係数を、図5(a)を参照しながら説明した比較例のシステムと比較して説明する。
図7は、本実施形態における放熱運転時のヒートポンプ回路20の冷媒の圧力と総エネルギーの変化との関係を示すグラフである。図7の横軸は総エネルギーの変化(kW)、縦軸は冷媒の圧力(MPa)を表している。上述したように、「総エネルギーの変化(kW)」は、ヒートポンプサイクルの断熱工程(点u→点v)における総エネルギーの値を基準とした場合の各工程における総エネルギーの値であり、ヒートポンプ回路20の入出力に相当する。
線34に示すように、ヒートポンプサイクルは点s、t、u、vの間で総エネルギーの変化を繰り返す。図5(b)を参照して説明したように、線34における点sと点tとの間、点tと点uとの間、点uと点vとの間、および点vと点sとの間は、それぞれ圧縮工程、凝縮工程、膨張工程および蒸発工程に対応している。なお、比較のため、図7に、図5(b)に示す比較例の総エネルギーの変化を示す線30を点線で示している。
本実施形態では、凝縮工程の開始時(点t)と終了時(点u)との総エネルギーの差は暖房出力に相当し、10kWとなる。この値は、比較例のシステムにおける凝縮工程の熱エネルギーの差(10kW)と同等である。
一方、圧縮機2に対する入力エネルギーは、本実施形態の蓄熱運転時および比較例における入力エネルギー(=4.72kW)よりも小さくなる。この理由を説明する。放熱運転では、蓄熱材12の放熱を利用して暖房回路22の熱媒を加温できるので、10kWの暖房出力を得るために、ヒートポンプ回路20の冷媒から暖房回路22の熱媒に与える熱量が少なくてすむ。そのため、ヒートポンプ回路20の冷媒循環量が、本実施形態の蓄熱運転時および比較例における冷媒循環量よりも少なくなる。ここで、圧縮機2に対する入力エネルギーは、比エンタルピー×冷媒循環量によって求められるので、冷媒循環量の減少により圧縮機2に対する入力エネルギーを低減できる。図示する例では、放熱運転時のヒートポンプ回路20の冷媒循環量は0.05kg/秒であり、圧縮機2に対する入力は3.30kWである。
従って、本実施形態における放熱運転時の成績係数は、暖房出力(=10kW)/圧縮機入力(=3.30kW)によって求められ、3.03になる。これは、比較例の成績係数(=2.12)よりも43%高い。
また、図6に示す蓄熱運転および図7に示す放熱運転を通した成績係数は2.49となり、比較例のシステムの成績係数(=2.12)よりも18%高く、蓄熱運転後に放熱運転を行うことにより成績係数を改善できることがわかる。
このように、本実施形態によると、蓄熱運転時には、圧縮機2の入力に対する凝縮工程における出力エネルギーを増加できるが、増加したエネルギーは蓄熱部に入力されるので、暖房単独運転の成績係数(圧縮機入力に対する暖房出力)は従来と同等になる。しかしながら、放熱運転時には、蓄熱運転時に蓄熱材12に蓄えた熱を暖房に利用するため、暖房運転単独の成績係数を従来よりも大幅に高めることができる。従って、蓄熱運転と放熱運転とを交互に繰り返すことにより、従来よりも高い成績係数を安定して実現できる。
蓄熱運転および放熱運転の時間は上記例に限定されないが、蓄熱運転および放熱運転の時間が略等しくなるように設定されることが好ましく、これにより、蓄熱運転時に蓄熱材12に蓄えられた熱を放熱運転時に効率的に利用でき、より効果的に成績係数を向上できる。なお、これらの運転時間は一定でなくてもよいし、蓄熱運転の時間と放熱運転の時間とは互いに異なっていてもよく、そのような場合でも、蓄熱材12の放熱を放熱運転時に暖房に利用できるので、成績係数を改善する効果が得られる。
上述した例では、凝縮工程の終了時(点u)における冷媒温度(ここでは、第1のガスクーラ3に流入する冷媒温度)は30℃であるが、この冷媒温度は、暖房端末9で利用された後の熱媒の温度(ここでは40℃)よりも低ければよく、これにより、凝縮工程における冷媒温度の差を十分に確保できるので、ヒートポンプ回路20のエネルギー効率を向上できる。
本発明のヒートポンプ暖房システムの構成および動作は、図1に示すヒートポンプ暖房システム100の構成および動作に限定されない。
例えば、ヒートポンプ暖房システム100では、放熱運転時に、ヒートポンプ回路20の蒸発器6の下流側に第3の切り換え手段19および水凝縮用熱交換器16を配置しているが(以下、「第1冷却手段」とする)、代わりに、第3の切り換え手段19および水凝縮用熱交換器16を蒸発器6の上流側に設け、膨張手段5を通過した後、蒸発器6で蒸発させる前の冷媒により水容器14の水の冷却を行うこともできる(以下、「第2冷却手段」)。また、蓄熱槽13から水容器14に送られる水蒸気を凝縮できればよく、水凝縮用熱交換器16を設ける代わりに、水容器14に他の冷却手段を設けたり、あるいは、空冷によって水容器14を冷却してもよい。
なお、上記第1および第2冷却手段のように、膨張手段5を通過した後、圧縮機2で圧縮される前の低温の冷媒により水容器14内の水を冷却することが好ましい。この構成によると、水容器14を空冷する場合と比べて、より効率的に水の冷却を行うことができる。より好ましくは、上記第1冷却手段のように、蒸発器6を通過した後、圧縮機2で圧縮される前の冷媒を用いて水の冷却を行う。これにより、ヒートポンプ回路20の蒸発工程における冷媒の圧力を高めることができるので、圧縮機2によって圧縮すべき圧力差が小さくなり、圧縮機2の仕事量が小さくてすむ。その結果、圧縮機2に対する入力エネルギーを低減できるので、成績係数をさらに改善することが可能になる。
上記実施形態では、ヒートポンプ回路20の冷媒と暖房回路22の熱媒22との熱交換を行う熱媒/冷媒熱交換器として2つのガスクーラ3、4を設けているが、単数または3以上の熱媒/冷媒熱交換器を用いてもよい。単数の熱媒/冷媒熱交換器を用いる場合には、その上流側に蓄熱用および放熱用熱交換器、その下流側に熱回収用熱交換器を配置する。複数の熱媒/冷媒熱交換器を用いる場合には、冷媒経路1において最も低温側に位置する熱媒/冷媒熱交換器(「低温側熱媒/冷媒熱交換器」、図1では第1のガスクーラ3に相当する)の上流側に蓄熱用および放熱用熱交換器を配置し、熱回収用熱交換器は、低温側熱媒/冷媒熱交換器と暖房端末9との間の所望の位置に配置され得る。
図1に示すヒートポンプ暖房システム100は、蓄熱槽13に2つの熱交換器(蓄熱用熱交換器および放熱用熱交換器)15、18が設けられているが、蓄熱槽13に熱媒と蓄熱材との熱交換を行う単一の熱交換器を設け、熱媒経路を切り換えることにより、この単一の熱交換器を、蓄熱運転時には蓄熱用熱交換器として、放熱運転時には放熱用熱交換器として機能させてもよい。
本実施形態では、ヒートポンプ回路20の冷媒として二酸化炭素を使用しているが、他の冷媒(例えばフロン)を用いてもよい。また、暖房回路22の熱媒として水を使用しているが、代わりに不凍液、熱媒油等を用いてもよい。さらに、蓄熱材12も塩化カルシウム・6水和物に限定されず、相対湿度に対する吸水量の差が大きい材料系であればよく、例えば臭化カルシウム・6水和物などであってもよい。
また、蓄熱材12の量も適宜選択され得る。蓄熱材12が多くなると、蓄熱材12の蓄熱および放熱に要する時間が長くなるので、蓄熱運転および放熱運転の時間も上述した例(1時間)に限定されず、蓄熱材12の蓄熱および放熱に要する時間に応じて適宜選択され得る。運転時間の長さをどのように設定した場合でも、蓄熱材12で蓄熱した熱を暖房に利用できるため、成績係数を改善する効果が得られる。
暖房端末9の表面温度や出力などの条件も上述した例に限定されず、用途に応じて適宜選択され得る。暖房端末9の表面温度は、室温〜90℃の範囲で選択されることが好ましい。
本発明によると、家庭用、産業用などの多様な用途に適用可能な、成績係数に優れたヒートポンプ暖房システムを提供できる。本発明は、暖房端末を連続的に運転する用途に特に適しており、例えば寒冷地用の暖房装置に適用すると有利である。
1 冷媒経路
2 圧縮機
3 第1のガスクーラ
4 第2のガスクーラ
5 膨張手段
6 蒸発器
7 暖房経路
8 循環ポンプ
9 暖房端末
9a 暖房端末の熱媒入口
9b 暖房端末の熱媒出口
10 第1の三方弁
11 第2の三方弁
12 蓄熱材
13 蓄熱槽
14 水容器(凝縮/蒸発器)
15 蓄熱用熱交換器
16 水凝縮用熱交換器
17 放熱用熱交換器
18 熱回収用熱交換器
19 第3の三方弁
20 ヒートポンプ回路
22 暖房回路
24 蓄熱部
26 水経路
28 制御部
2 圧縮機
3 第1のガスクーラ
4 第2のガスクーラ
5 膨張手段
6 蒸発器
7 暖房経路
8 循環ポンプ
9 暖房端末
9a 暖房端末の熱媒入口
9b 暖房端末の熱媒出口
10 第1の三方弁
11 第2の三方弁
12 蓄熱材
13 蓄熱槽
14 水容器(凝縮/蒸発器)
15 蓄熱用熱交換器
16 水凝縮用熱交換器
17 放熱用熱交換器
18 熱回収用熱交換器
19 第3の三方弁
20 ヒートポンプ回路
22 暖房回路
24 蓄熱部
26 水経路
28 制御部
Claims (13)
- 圧縮機、熱媒/冷媒熱交換器、膨張手段、蒸発器およびこれらの間で冷媒を循環させる冷媒経路を含み、前記蒸発器で吸熱し、前記熱媒/冷媒熱交換器で放熱するヒートポンプ回路と、
暖房端末、および、前記暖房端末と前記ヒートポンプ回路の前記熱媒/冷媒熱交換器との間で熱媒を循環させる熱媒経路を含み、前記ヒートポンプ回路からの放熱によって前記熱媒を加熱し、前記暖房端末で放熱する暖房回路と、
脱水反応によって蓄熱し、かつ、吸水反応によって放熱する蓄熱材を保持する蓄熱槽と
を備え、
前記蓄熱材に蓄熱しながら暖房を行う蓄熱運転と、前記蓄熱材から放熱しながら暖房を行う放熱運転とを交互に繰り返すヒートポンプ暖房システムであって、
前記熱媒から前記蓄熱材に熱を与えて脱水反応を生じさせる蓄熱用熱交換器と、
前記熱媒から前記脱水反応によって生じた水に熱を与えて蒸発させ、蒸発させた水と前記蓄熱材とを反応させる放熱用熱交換器と、
前記蒸発させた水との反応によって前記蓄熱材が放出した熱を前記熱媒に回収する熱回収用熱交換器と、
前記暖房端末から出た前記熱媒が、前記蓄熱運転時には前記蓄熱用熱交換器を経て前記熱媒/冷媒熱交換器に循環し、前記放熱運転時には前記放熱用熱交換器を経て前記熱媒/冷媒熱交換器に循環するように前記熱媒経路を切り換える第1切り換え手段と、
前記熱媒/冷媒熱交換器から出た前記熱媒が、前記蓄熱運転時には前記熱回収用熱交換器を通過しないように循環し、前記放熱運転時には前記熱回収用熱交換器を経て前記暖房端末に循環するように前記熱媒経路を切り換える第2切り換え手段と
をさらに備えたヒートポンプ暖房システム。 - 前記蓄熱運転時に前記脱水反応によって生じた水を冷却するための冷却手段をさらに備える請求項1に記載のヒートポンプ暖房システム。
- 前記脱水反応によって生じた水を収容する水容器と、
前記水容器と前記蓄熱槽との間で水を移動させる水経路と
をさらに備え、
前記冷却手段は、
前記冷媒経路における前記膨張手段と前記圧縮機との間に配置され、前記水容器に収容された水を凝縮させる水凝縮用熱交換器と、
前記膨張手段で膨張された前記冷媒が、前記蓄熱運転時には前記水凝縮用熱交換器を通過し、前記放熱運転時には前記水凝縮用熱交換器を通過しないように前記冷媒経路を切り換える第3切り換え手段と
を含む請求項2に記載のヒートポンプ暖房システム。 - 前記第3切り換え手段は、前記冷媒経路における前記蒸発器と前記圧縮機との間に配置される請求項3に記載のヒートポンプ暖房システム。
- 前記ヒートポンプ回路は、前記冷媒経路において前記熱媒/冷媒熱交換器と前記暖房端末との間に配置され、前記熱媒/冷媒熱交換器を通過した熱媒をさらに加熱する他の熱媒/冷媒熱交換器をさらに含み、
前記第2切り換え手段は、前記熱媒経路において前記熱媒/冷媒熱交換器と前記他の熱媒/冷媒熱交換器との間に配置されている請求項1に記載のヒートポンプ暖房システム。 - 前記蓄熱運転と前記放熱運転とを交互に行うように前記第1および第2切り換え手段を制御する制御手段をさらに備える請求項1に記載のヒートポンプ暖房システム。
- 前記蓄熱材は、塩化カルシウムまたは臭化カルシウムの水和物である請求項1に記載のヒートポンプ暖房システム。
- 前記蓄熱運転の時間と前記放熱運転の時間とは略等しい請求項1に記載のヒートポンプ暖房システム。
- ヒートポンプ回路と、暖房端末と、脱水反応によって蓄熱し、かつ、吸水反応によって放熱する蓄熱材を収容する蓄熱槽とを有し、前記ヒートポンプ回路によって加温された熱媒を利用して暖房を行うヒートポンプ暖房システムの運転方法であって、
前記暖房端末で利用された後の前記熱媒の熱を前記蓄熱材に与えて脱水反応を生じさせることにより前記蓄熱材に熱を蓄える工程、および、前記蓄熱材に熱を与えた後の前記熱媒を前記ヒートポンプ回路によって加温して前記暖房端末で利用する工程を含む蓄熱運転工程と、
前記暖房端末で利用された後の前記熱媒の熱を前記脱水反応によって生じた水に与えて前記水を蒸発させる工程、前記蒸発させた水を蓄熱状態の前記蓄熱材と反応させることにより前記蓄熱材から熱を放出させる工程、および、前記水に熱を与えた後の前記熱媒を、前記蓄熱材から放出させた熱および前記ヒートポンプによって加温して前記暖房端末で利用する工程とを含む放熱運転工程と
を交互に繰り返すヒートポンプ暖房システムの運転方法。 - 前記蓄熱運転工程は、前記ヒートポンプ回路の冷媒によって、前記脱水反応によって生じた水を凝縮させる工程をさらに含む請求項9に記載のヒートポンプ暖房システムの運転方法。
- 前記蓄熱運転工程および前記放熱運転工程の前記暖房端末の出力が略等しいとき、前記蓄熱運転工程における前記ヒートポンプ回路の圧縮機に対する入力は、前記放熱運転工程における前記ヒートポンプ回路の圧縮機に対する入力よりも大きい請求項9に記載のヒートポンプ暖房システムの運転方法。
- 前記蓄熱材は、塩化カルシウムまたは臭化カルシウムの水和物である請求項9に記載のヒートポンプ暖房システムの運転方法。
- 前記蓄熱運転の時間と前記放熱運転の時間とは略等しい請求項9に記載のヒートポンプ暖房システムの運転方法。
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- 2008-03-19 JP JP2008072130A patent/JP2008267793A/ja active Pending
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CN114382565B (zh) * | 2022-01-24 | 2023-07-04 | 中国科学院工程热物理研究所 | 一种冷热电联产的储能发电系统 |
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