JP2017008821A - ロータリ型圧縮機 - Google Patents

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Koichi Tanaka
孝一 田中
隆造 外島
Ryuzo Toshima
隆造 外島
孝志 清水
Takashi Shimizu
孝志 清水
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Abstract

【課題】遠心ポンプとリアバランサとが一体に形成されたロータリ型圧縮機において、駆動軸の下端部の下部軸受部に対する片当たりを抑制する。
【解決手段】遠心ポンプ82と一体に形成されたリアバランサ70を備えたロータリ型圧縮機において、遠心ポンプ82を、給油通路81の下端部であって下部軸受部53bの下端よりも上方の位置に圧入される圧入部Pを有するように構成する。また、リアバランサ70を、その重心が圧入部Pの下端よりも上方に位置するように形成し、圧入部Pの下方において遠心ポンプ82に連結する。
【選択図】図5

Description

本発明は、遠心ポンプとリアバランサとが一体に形成されたロータリ型圧縮機に関し、駆動軸の下端部の下部軸受部に対する片当たり抑制対策に係るものである。
従来、駆動軸の偏心部の外周を取り囲むシリンダと、該シリンダ内において偏心部に外嵌された円筒状のピストンとを有し、駆動軸の回転に伴って、シリンダとピストンとの間に形成される圧縮室において流体を圧縮する圧縮機構を備えたロータリ型圧縮機が知られている。
ところで、この種のロータリ型圧縮機では、偏心部を有する駆動軸が回転すると、偏心部に大きな遠心力が作用する。この偏心部に作用する遠心力によって駆動軸が撓み、モータのロータが振れ回ってステータに接触して騒音や振動を引き起こすおそれがある。
そこで、上記ロータリ型圧縮機では、駆動軸の撓みを抑制するために、モータのロータの上端及び下端と、駆動軸の下端部とにバランサを設けている(例えば、下記の特許文献1を参照)。このような構成により、上記圧縮機では、運転中に、バランサの遠心力と偏心部の遠心力とを相殺させることにより、駆動軸の撓みを抑制して騒音や振動の発生を抑制している。
また、特許文献1に開示されたロータリ型圧縮機では、製造コストを低減するために、駆動軸の下端部に設けられたリアバランサを、同じく駆動軸の下端部に設けられ、ケーシングの底部に貯留された潤滑油を駆動軸内の給油通路に汲み上げる遠心ポンプと一体に形成している。そして、上記ロータリ型圧縮機では、遠心ポンプの上端部を駆動軸内の給油通路に圧入することで、遠心ポンプとリアバランサを駆動軸の下端部に固定していた。
特開2012−092740号公報
しかしながら、上記ロータリ型圧縮機では、駆動軸の下端部に設けられたリアバランサは、遠心ポンプと一体に形成されて駆動軸の下端部に設けられている。そのため、高速運転時に、リアバランサに作用する大きな遠心力により、駆動軸の下端部が撓み、該下端部を回転自在に支持する下部軸受部の下端部に荷重が集中してかかる片当たりが発生して焼き付きを生じるおそれがあった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、遠心ポンプとリアバランサとが一体に形成されたロータリ型圧縮機において、駆動軸の下端部の下部軸受部に対する片当たりを抑制することにある。
第1の発明は、底部が潤滑油を溜める油溜まりとなるケーシング(11)と、上下方向に延びる軸本体(31)と、該軸本体(31)に対して偏心した偏心部(32)とを有し、上記ケーシング(11)内に設けられた駆動軸(30)と、上記偏心部(32)の外周を取り囲むシリンダ(51)と、該シリンダ(51)内に設けられ、上記偏心部(32)に外嵌された円筒状のピストン(60)と、上記シリンダ(51)の上端を閉塞すると共に上記駆動軸(30)を回転自在に支持する上部軸受部(52)と、上記シリンダ(51)の下端を閉塞すると共に上記駆動軸(30)を回転自在に支持する下部軸受部(53)とを有し、上記ケーシング(11)内に収容され、上記駆動軸(30)の回転に伴って上記シリンダ(51)と上記ピストン(60)との間に形成された圧縮室(55a,55b)において流体を圧縮する圧縮機構(50)と、上記ケーシング(11)内に設けられ、上記圧縮機構(50)の上方において上記駆動軸(30)を回転駆動するモータ(21)と、上記駆動軸(30)の下端部に設けられ、該駆動軸(30)の回転に伴い、上記油溜まり(15)の潤滑油を、上記駆動軸(30)の内部に形成された上下方向に延びる給油通路(81)に汲み上げる円筒状の遠心ポンプ(82)と、上記遠心ポンプ(82)と一体に形成されたバランサ(70)とを備えたロータリ型圧縮機であって、上記遠心ポンプ(82)は、上記給油通路(81)の下端部であって上記下部軸受部(53)の下端よりも上方の位置に圧入される圧入部(P)を有し、上記バランサ(70)は、重心が上記圧入部(P)の下端よりも上方に位置するように形成され、上記圧入部(P)の下方において上記遠心ポンプ(82)に連結されている。
第1の発明では、駆動軸(30)が回転すると、ピストン(60)がシリンダ(51)内において偏心回転し、シリンダ(51)とピストン(60)との間に形成された圧縮室(55a,55b)において流体が圧縮される。このとき、偏心部(32)には遠心力が作用するが、該遠心力は、駆動軸(30)の偏心部(32)の下方の位置に設けられたバランサ(70)に作用する遠心力によって打ち消され、駆動軸(30)の撓みが抑制される。また、駆動軸(30)が回転すると、遠心ポンプ(82)によって、油溜まり(15)の潤滑油が駆動軸(30)内に形成された給油通路(81)に汲み上げられ、各摺動部に供給される。
また、第1の発明では、遠心ポンプ(82)の圧入部(P)が、給油通路(81)の下端部であって下部軸受部(53)の下端よりも上方の位置に圧入されている。そのため、駆動軸(30)が回転すると、バランサ(70)に遠心力が作用し、この遠心力荷重が圧入部(P)を介して駆動軸(30)にも作用することとなるが、その駆動軸(30)において遠心力荷重が作用する部分が、下部軸受部(53)の下端よりも上方に位置することとなる。
また、第1の発明では、バランサ(70)の重心(G)が、遠心ポンプ(82)の圧入部(P)の下端よりも上方に位置している。つまり、遠心力が作用するバランサ(70)の重心(G)が、圧入部(P)を介して駆動軸(30)において遠心力荷重が作用する部分以上の高さに位置することとなる。
ところで、駆動軸(30)においてバランサ(70)の遠心力荷重が作用する部分が、下部軸受部(53)によって支持されない下部軸受部(53)の下方に位置すると、作用する遠心力荷重によって駆動軸(30)の下端部が撓み、下部軸受部(53)の下端部に荷重が集中してかかる片当たりが発生するおそれがある。また、第1の発明では、バランサ(70)は、遠心ポンプ(82)の圧入部(P)よりも下方の位置で遠心ポンプ(82)に連結されている。そのため、駆動軸(30)においてバランサ(70)の遠心力荷重が作用する部分が、下部軸受部(53)の下端よりも上方に位置する場合であっても、遠心力が作用するバランサ(70)の重心(G)が、駆動軸(30)においてバランサ(70)の遠心力荷重が作用する部分よりも下方に位置すると、バランサ(70)の重心(G)に作用する遠心力により、遠心ポンプ(82)に、圧入部(P)を支持点とする曲げモーメントが作用する。その結果、遠心ポンプ(82)によって駆動軸(30)の下端部が外周側に押圧されて撓み、下部軸受部(53)の下端部に荷重が集中してかかる片当たりが発生するおそれがある。
これに対し、第1の発明では、駆動軸(30)においてバランサ(70)の遠心力荷重が作用する部分が、下部軸受部(53)の下端よりも上方に位置し、この高さ位置以上の高さにバランサ(70)の重心(G)が位置することとなる。そのため、圧入部(P)を介して駆動軸(30)に作用するバランサ(70)の遠心力荷重によって駆動軸(30)の下端部が撓むことがない。また、バランサ(70)の重心(G)に作用する遠心力により、遠心ポンプ(82)に圧入部(P)を支持点とする曲げモーメントが作用することもない。よって、駆動軸(30)の下端部を支持する下部軸受部(53)の下端部に、荷重が集中してかかることがない。つまり、片当たりが発生しない。
第2の発明は、第1の発明において、上記遠心ポンプ(82)は、上記圧入部(P)と、該圧入部(P)の下方に連続する円筒状の下側部分(82b)とを有し、上記バランサ(70)は、上記下部軸受部(53)の外周側に配置され、内部に上記重心(G)が位置するバランサ本体(71)と、該バランサ本体(71)の下端部と上記下側部分(82b)の上端部とを連結する連結部(72)とを有している。
第2の発明では、バランサ(70)の重心(G)が位置するバランサ本体(71)が、下部軸受部(53)の外周側に配置されている。
第3の発明は、第2の発明において、上記バランサ本体(71)は、軸心が上記駆動軸(30)の軸心(O)と一致する円筒形状に形成され、上記駆動軸(30)の径方向において上記偏心部(32)の偏心側と逆側の部分(71a)が上記偏心側の部分(71b)よりも肉厚に形成されている。
第3の発明では、バランサ本体(71)が、駆動軸(30)の軸心(O)と軸心が一致する円筒形状に形成されているため、バランサ(70)の外形が駆動軸(30)の軸心(O)に対して回転対称形状に形成される。バランサ(70)は、油溜まり(15)の潤滑油に浸漬されるため、このような回転対称形状にすることにより、回転対称形状でない場合に比べて、回転するバランサ(70)に作用する潤滑油の抵抗力(攪拌抵抗)が小さくなる。
第1の発明によれば、遠心ポンプ(82)の圧入部(P)を、給油通路(81)の下端部であって下部軸受部(53)の下端よりも上方の位置に圧入し、バランサ(70)を、その重心が遠心ポンプ(82)の圧入部(P)の下端よりも上方に位置するように、圧入部(P)の下方において遠心ポンプ(82)に連結することとした。このような構成により、駆動軸(30)においてバランサ(70)の遠心力荷重が作用する部分が、下部軸受部(53)の下端よりも上方に位置することとなるため、圧入部(P)を介して駆動軸(30)に作用するバランサ(70)の遠心力荷重によって駆動軸(30)の下端部が撓むことがない。また、バランサ(70)の重心(G)が、駆動軸(30)においてバランサ(70)の遠心力荷重が作用する部分以上の高さに位置することとなるため、バランサ(70)の重心(G)に作用する遠心力により、遠心ポンプ(82)に圧入部(P)を支持点とする曲げモーメントが作用することがない。よって、駆動軸(30)の下端部が遠心ポンプ(82)によって押圧されて撓むこともない。従って、上記構成によれば、遠心ポンプ(82)と一体に形成されたバランサ(70)に大きな遠心力が作用したとしても、駆動軸(30)の下端部が撓むのを抑制することができる。よって、駆動軸(30)の下端部の撓みに起因する駆動軸(30)の下部軸受部(53)の下端部への片当たりの発生を抑制することができ、片当たりによる焼き付きを防止することができる。
また、第2の発明によれば、バランサ(70)の重心(G)が位置するバランサ本体(71)が下部軸受部(53)の外周側に配置されるように、バランサ本体(71)の下端部と下側部分(82b)の上端部とを連結部(72)で連結する容易な構成により、バランサ(70)の重心(G)を遠心ポンプ(82)の圧入部(P)の下端よりも上方に位置させることができる。
また、第3の発明によれば、バランサ(70)の外形が、駆動軸(30)の軸心(O)に対し、回転対称形状になるようにバランサ(70)を形成している。バランサ(70)は、油溜まり(15)の潤滑油に浸漬されるため、このような回転対称形状にすることにより、回転するバランサ(70)に作用する潤滑油の抵抗力(攪拌抵抗)を低減することができ、該抵抗力による動力損失を低減することができる。
図1は、本発明の実施形態に係るロータリ型圧縮機の全体構成を示す縦断面図である。 図2は、図1の部分拡大図である。 図3は、図1のIII−III線断面図である。 図4は、本発明の実施形態に係る遠心ポンプに一体に形成されたリアバランサを拡大して示す斜視図である。 図5は、本発明の実施形態に係る遠心ポンプの圧入部とリアバランサの重心と下部軸受部との位置関係を説明するために駆動軸の下端部付近を拡大して示す縦断面図である。 図6は、本発明と異なる比較例を示す図5対応図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
《発明の実施形態》
実施形態に係るロータリ型圧縮機(10)は、冷凍装置の冷媒回路(図示省略)に接続され、冷凍サイクルの圧縮行程を行う。図1に示すように、ロータリ型圧縮機(10)は、縦長円筒状のケーシング(11)と、該ケーシング(11)内に収容された駆動機構(20)と、ケーシング(11)内において駆動機構(20)の下方に収容された圧縮機構(50)とを備えている。
〈ケーシング〉
ケーシング(11)は、縦長の円筒状で上下両端が開口した胴部(12)と、この胴部(12)の上部開口を閉塞するように胴部(12)に固定された上部鏡板(13)と、この胴部(12)の下部開口を閉塞するように胴部(12)に固定された下部鏡板(14)とを含んでいる。ケーシング(11)の底部は、潤滑油を貯留する油溜まり(15)となるように形成されている。油溜まり(15)の油面(16)は、圧縮機構(50)の下部が油に浸かる程度の高さに設定されている。
ケーシング(11)には、吸入管(17)と吐出管(18)とが接続されている。吸入管(17)は、ケーシング(11)の胴部(12)を貫通するように設けられた後述する吸入接続管(57)と取付部材(58)を介して圧縮機構(50)に接続されている。吐出管(18)は、ケーシング(11)の上部鏡板(13)の頂部を貫通し、吐出管(18)の流入端がケーシング(11)の内部空間(S)に連通している。ケーシング(11)の内部空間(S)は、圧縮機構(50)で圧縮された高圧の冷媒で満たされている。つまり、本実施形態のロータリ型圧縮機(10)は、圧縮機構(50)から吐出された高圧ガス冷媒が内部空間(S)を通過して吐出管(18)からケーシング(11)の外部へ吐出する、所謂、高圧ドーム式に構成されている。
〈駆動機構〉
駆動機構(20)は、モータ(21)と、該モータ(21)に回転駆動される駆動軸(30)とを有している。モータ(21)は、ステータ(22)とロータ(23)とを備えている。ステータ(22)は、電磁鋼板を積層することにより円筒状に形成されたステータコア(22a)と、該ステータコア(22a)に巻きつけられたコイル(22b)とを含んでいる。ステータ(22)は、ステータコア(22a)の外周面がケーシング(11)の胴部(12)の上側寄りの部位に溶接又は焼き嵌めされることで固定されている。ロータ(23)は、電磁鋼板を積層することにより形成されたロータコア(23a)と、該ロータコア(23a)に装着された永久磁石(23b)とから構成されている。ロータ(23)は、その外周面とステータ(22)の内周面との間に均一で微細なラジアルギャップが形成されるように、ステータ(22)の内周側に配置されている。
駆動軸(30)は、ロータ(23)の内周面に固定されている。駆動軸(30)は、上下方向に延びる軸本体(31)と、この軸本体(31)の中途部で下端寄りの位置に形成された偏心部(32)とを有している。
軸本体(31)は、偏心部(32)の上方に設けられた主軸部(33)と、該偏心部(32)の下方に設けられた副軸部(34)とを有している。副軸部(34)は、主軸部(33)よりも小径に形成されている。一方、偏心部(32)は、軸本体(31)よりも大径の円柱状に形成され、その軸心が軸本体(31)の軸心Oから所定量だけ偏心している。
〈圧縮機構〉
図2及び図3に示すように、圧縮機構(50)は、非円形式の揺動ピストン式に構成されている。圧縮機構(50)は、シリンダ(51)と、フロントヘッド(上部軸受部)(52)と、リアヘッド(下部軸受部)(53)と、環状メタル(59)と、ピストン(60)と、ブッシュ(61)と、ブレード(62)とを備えている。圧縮機構(50)では、フロントヘッド(52)、シリンダ(51)、リアヘッド(53)が、上から下へ、順に積層され、ボルト(図示省略)によって固定されている。シリンダ(51)は、フロントヘッド(52)によって上端が閉塞され、リアヘッド(53)によって下端が閉塞されている。環状メタル(59)と、ピストン(60)と、ブッシュ(61)と、ブレード(62)とは、シリンダ(51)の内部に設けられている。
シリンダ(51)は、扁平な環状のシリンダ本体部(51a)と、シリンダ本体部(51a)の外周部にシリンダ本体部(51a)と連続して一体に形成されたシリンダ接続部(51b)とを有している。シリンダ接続部(51b)は、シリンダ本体部(51a)の外周部から径方向外側に突出するように形成され、ケーシング(11)の胴部(12)の下部に溶接等によって固定されている。
シリンダ本体部(51a)の中央部には、楕円柱状のシリンダ室(55)が形成されている。図2及び図3に示すように、シリンダ本体部(51a)とシリンダ接続部(51b)とには、シリンダ本体部(51a)の内周面からシリンダ接続部(51b)の外周面に亘って、径方向に延びる吸入ポート(56)が形成されている。
吸入ポート(56)には、吸入接続管(57)が圧入されている。吸入接続管(57)は、ケーシング(11)の胴部に固定された円筒形状の取付部材(58)に挿入され、ケーシング(11)の内外に跨がって設けられている。吸入接続管(57)の外端には、吸入管(17)が接続されている。つまり、吸入接続管(57)は、吸入管(17)を吸入ポート(56)に接続している。取付部材(58)は、ケーシング(11)の胴部(12)の下部に、ケーシング(11)の内外を連通するように設けられている。吸入接続管(57)と取付部材(58)、及び吸入管(17)と取付部材(58)は、それぞれ溶接されて固定されている。このような構成により、吸入管(17)が、吸入接続管(57)及び吸入ポート(56)を介してシリンダ室(55)と連通している。
フロントヘッド(52)は、端板部(52a)と、ボス部(52b)とを有している。端板部(52a)は、中央部に円形状の孔が形成された扁平な板状体によって形成されている。また、図示を省略するが、端板部(52a)には、上下方向に貫通するように延び、シリンダ室(55)において圧縮された流体を吐出するための吐出ポートが形成されている。ボス部(52b)は、上下に延びる円筒部材からなり、端板部(52a)の内周側に連続して端板部(52a)と一体に形成されている。ボス部(52b)の内部には、駆動軸(30)の軸本体(31)の主軸部(33)が挿通されている。ボス部(52b)は、主軸部(33)を回転自在に支持する軸受として機能する。このような構成により、フロントヘッド(52)は、シリンダ(51)の上端を閉塞すると共に駆動軸(30)の主軸部(33)を回転自在に支持する上部軸受部を構成している。
リアヘッド(53)は、端板部(53a)と、ボス部(53b)とを有している。端板部(53a)は、中央部に円形状の孔が形成された扁平な板状体によって形成されている。ボス部(53b)は、上下に延びる円筒部材からなり、端板部(53a)の内周側に連続して端板部(53a)と一体に形成されている。ボス部(53b)の内部には、駆動軸(30)の軸本体(31)の副軸部(34)が挿通されている。ボス部(53b)の内周面は、副軸部(34)を回転自在に支持する軸受として機能する。このような構成により、リアヘッド(53)は、シリンダ(51)の下端を閉塞すると共に駆動軸(30)副軸部(34)を回転自在に支持する下部軸受部を構成している。
環状メタル(59)は、円筒状に湾曲させた金属板によって構成され、ピストン(60)の内周面に固定された状態で、駆動軸(30)の偏心部(32)に外嵌される。環状メタル(59)は、駆動軸(30)の回転に伴って、内周面が偏心部(32)の外周面と摺接する。
ピストン(60)は、上述したように、内周面に環状メタル(59)が固定された状態で偏心部(32)に外嵌される。ピストン(60)、環状メタル(59)、及び偏心部(32)の上端面及び下端面は、それぞれ同一平面上に位置するように形成されている。つまり、ピストン(60)、環状メタル(59)及び偏心部(32)は、高さ(軸方向の最大長さ)が概ね等しくなるように形成されている。
図3に示すように、本実施形態のピストン(60)は、その外周面が非円形状に形成されている。具体的には、ピストン(60)の外周面は、図3に示す平面視において、後述するブレード(62)の長手方向の中心線Mを挟んだ両側の部位が径方向外方へ膨出するような略楕円形状又は略卵形状に形成されている。つまり、本実施形態のピストン(60)の外周面は、ブレード(62)の中心線Mを挟んだ両側が径方向外方に膨出した非円形状に形成されている。また、ピストン(60)は、駆動軸(30)が回転するときに、ピストン(60)の外周面がシリンダ(51)の内周面に油膜を介して実質的に接するように構成されている。
一方、シリンダ(51)の内周面形状は、ピストン(60)の外周面形状に対応するような非円形状に形成されている。即ち、シリンダ(51)の内周面形状は、ブレード(62)の中心線Mを挟んだ両側の部位が径方向外方に膨出するような非円形状に形成されている。つまり、シリンダ(51)の内周面形状は、揺動運動を行うピストン(60)の外周面の包絡線に基づいた非円形状に形成されている。
シリンダ(51)には、シリンダ室(55)と隣接する位置に略円形のブッシュ溝(63)が形成される。このブッシュ溝(63)には、略半円形の一対のブッシュ(61,61)が嵌め込まれている。一対のブッシュ(61,61)は、各々の平坦な面が互いに対向するようにブッシュ溝(63)に配置される。一対のブッシュ(61,61)は、ブッシュ溝(63)の軸心を中心として揺動運動するように構成されている。
ブレード(62)は、径方向外方に延びる直方体状又は板状に形成される。ブレード(62)の基端は、ピストン(60)の外周面に連続して一体に形成されている。ブレード(62)は、一対のブッシュ(61,61)の間に形成される径方向に延びるブレード溝(64)に進退可能に収容される。
ブレード(62)は、シリンダ室(55)を低圧室(55a)と高圧室(55b)とに区画する仕切部を構成している。低圧室(55a)は、図3におけるブレード(62)の右側の空間であり、吸入ポート(56)と連通している。高圧室(55b)は、図3におけるブレード(62)の左側の空間であり、吐出ポート(図示省略)と連通している。低圧室(55a)及び高圧室(55b)は、シリンダ(51)とピストン(60)との間に形成されて流体を圧縮する圧縮室を構成する。
〈給油機構〉
ロータリ型圧縮機(10)には、油溜まり(15)に貯留された潤滑油を圧縮機構(50)の各摺動部へ供給する給油機構(80)が設けられている。給油機構(80)は、給油通路(81)と、遠心ポンプ(82)とを有している。
[給油通路]
給油通路(81)は、主通路(81a)と、第1〜第4通路(81b〜81e)と、排気通路(81f)を有している。
主通路(81a)は、駆動軸(30)の内部において上下方向に長く形成されている。具体的には、主通路(81a)は、駆動軸(30)の下端(副軸部(34)の下端)から主軸部(33)のフロントヘッド(52)のボス部(52b)の上端と重なる位置まで延びている。
第1〜第4通路(81b〜81e)は、駆動軸(30)の内部において、それぞれ主通路(81a)から分岐し、駆動軸(30)の径方向に延びて駆動軸(30)の外周面において開口している。第1通路(81b)は、副軸部(34)の上端部の外周面において開口している。第2通路(81c)は、偏心部(32)の上下方向の中央部の外周面において開口している。第3通路(81d)は、主軸部(33)の下端部の外周面において開口している。第4通路(81e)は、主軸部(33)の外周面であってフロントヘッド(52)のボス部(52b)の下部に対応する部分において開口している。
排気通路(81f)は、駆動軸(30)の内部において、主通路(81a)の上端部から駆動軸(30)の径方向に延びて駆動軸(30)の外周面において開口している。
[遠心ポンプ]
図2,4,5に示すように、遠心ポンプ(82)は、上下方向に延びる略円筒形状に形成されている。また、遠心ポンプ(82)は、上側の上側部分(82a)と下側の下側部分(82b)とを有している。
上側部分(82a)は、外径が駆動軸(30)の内部に形成された給油通路(81)の主通路(81a)の内径よりも僅かに大きい大きさに形成されている。また、上側部分(82a)は、上端部が、駆動軸(30)の内部に形成された主通路(81a)内に圧入されている(内嵌されている)。上側部分(82a)の上端は、主通路(81a)に圧入する際に、ひっかからないように角部が面取りされている。また、副軸部(34)の下端部(34a)は、主通路(81a)の下端部が、下端に向かって拡径するようにテーパ形状に形成されている。そのため、上側部分(82a)のうち、面取り部の下端の位置からテーパ形状の副軸部(34)の下端部(34a)の上端に対応する位置までの部分が、主通路(81a)内に圧入されて副軸部(34)の内壁に当接する圧入部(P)となる。つまり、本実施形態では、圧入部(P)の下端の高さZp2が下部軸受部(53)のボス部(53b)の下端の高さ位置Zr2よりも高くなるように構成されている。
下側部分(82b)は、上端部が上側部分(82a)の下端部に連続するように形成されている。下側部分(82b)は、上側部分(82a)よりも外径が大径に形成され、上側部分(82a)よりも肉厚に形成されている。具体的には、下側部分(82b)は、外径が副軸部(34)よりも大径に形成され、内径は上側部分(82a)の内径と等しくなるように形成されている。このような構成により、遠心ポンプ(82)の内部には、上下方向に延び、給油通路(81)の主通路(81a)に連通する遠心ポンプ通路(85)が形成されている。また、本実施形態では、下側部分(82b)の下端部は、すり鉢状に形成され、下端に遠心ポンプ通路(85)の通路径よりも小径な開口からなる吸込口(84)が形成されている。
このような構成により、遠心ポンプ(82)の下側部分(82b)が油溜まり(15)の潤滑油に浸漬した状態で、駆動軸(30)が回転すると、遠心ポンプ(82)の内部に侵入した潤滑油が、該潤滑油に作用する遠心力と、その粘性による表面張力とにより、下側部分(82b)の裾窄まりの内壁面に沿って上昇する。このようにして、駆動軸(30)の回転により、油溜まり(15)の潤滑油が、遠心ポンプ(82)によって上方の給油通路(81)に汲み上げられる。
〈バランサ〉
ロータリ型圧縮機(10)には、駆動軸(30)の偏心部(32)に作用する遠心力による駆動軸(30)の撓みを抑制するために、複数のバランサが設けられている。本ロータリ型圧縮機(10)は、下バランサ(25)と、上バランサ(26)と、リアバランサ(70)とを有している(図1を参照)。
下バランサ(25)は、ロータ(23)の下面における外縁部に固定されている。下バランサ(25)は、ロータ(23)において、駆動軸(30)の軸心Oを基準として偏心部(32)の偏心方向と逆側の位置に設けられている。つまり、下バランサ(25)の偏心角度は、偏心部(32)の偏心角度に対して約180°ずれている。下バランサ(25)は、偏心部(32)の遠心力を打ち消して駆動軸(30)の撓みを抑制するように構成されている。
上バランサ(26)は、ロータ(23)の上端面における外縁部に固定されている。上バランサ(26)は、ロータ(23)において、駆動軸(30)の軸心Oを基準として、下バランサ(25)の偏心方向と逆側の位置に設けられている。つまり、上バランサ(26)の偏心角度は、下バランサ(25)に対して約180°ずれている。上バランサ(26)は、下バランサ(25)に起因して発生する曲げモーメントを抑制するように構成されている。
図2,4,5に示すように、リアバランサ(70)は、遠心ポンプ(82)と同一部材により連続して一体に形成されている。リアバランサ(70)は、バランサ本体(71)と、該バランサ本体(71)を遠心ポンプ(82)に連結する連結部(72)とを有している。
バランサ本体(71)は、軸心が駆動軸(30)の軸心Oと一致する円筒形状に形成され、下部軸受部(53)のボス部(53b)の外周側に配置されている。バランサ本体(71)には、内周部の一部が切り欠かれて空洞(73)が形成されている。空洞(73)は、バランサ本体(71)の駆動軸(30)の径方向において偏心部(32)の偏心側に形成されている。この空洞(73)により、バランサ本体(71)は、駆動軸(30)の径方向において偏心部(32)の偏心側と逆側の半分が肉厚の厚肉部(71a)となり、駆動軸(30)の径方向において偏心部(32)の偏心側の半分が厚肉部(71a)よりも厚みの薄い薄肉部(71b)となる。バランサ本体(71)は、厚肉部(71a)の内径が下部軸受部(53)のボス部(53b)の外径よりも僅かに大きくなるような大きさに形成されている。
連結部(72)は、円環形状の柱状体によって構成され、バランサ本体(71)の厚肉部(71a)の下端部の内周に連続してバランサ本体(71)と一体に形成されている。また、連結部(72)は、遠心ポンプ(82)の下側部分(82b)の上端部の外周に連続して遠心ポンプ(82)の下側部分(82b)と一体に形成されている。つまり、連結部(72)は、バランサ本体(71)の下端部と遠心ポンプ(82)の下側部分(82b)の上端部とを連結するように、バランサ本体(71)と遠心ポンプ(82)と一体に形成されている。
以上のような構成により、リアバランサ(70)は、連結部(72)によって圧入部(P)の下方において遠心ポンプ(82)に連結される一方、内部に重心(G)が位置するバランサ本体(71)が、下部軸受部(53)のボス部(53b)の外周側に配置されている。また、以上のような構成により、リアバランサ(70)は、外形が、駆動軸(30)の軸心Oに対し、回転対称形状に形成されている。
リアバランサ(70)は、バランサ本体(71)の厚肉部(71a)が、駆動軸(30)の軸心Oを基準として偏心部(32)の偏心方向と逆側に位置するように設けられている。より具体的には、リアバランサ(70)は、その重心(G)が偏心部(32)の偏心方向と逆側に位置するように設けられている。このようにして、リアバランサ(70)は、偏心部(32)の遠心力を打ち消して駆動軸(30)の撓みを抑制するように構成されている。
《遠心ポンプの圧入部と下部軸受部との位置関係》
本実施形態では、一体に形成された遠心ポンプ(82)及びリアバランサ(70)は、遠心ポンプ(82)の圧入部(P)の上端の高さ位置Zp1が、下部軸受部(53)の副軸部(34)に摺接する軸受部分Rの上端の高さ位置Zr1よりも下方の位置となるように形成され、遠心ポンプ(82)の圧入部(P)の下端の高さ位置Zp2が、下部軸受部(53)の副軸部(34)に摺接する軸受部分Rの下端(本実施形態では、下部軸受部(53)の下端)の高さ位置Zr2よりも上方の位置となるように形成されている。
つまり、本実施形態では、遠心ポンプ(82)及びリアバランサ(70)は、圧入部(P)が、下部軸受部(53)の副軸部(34)に摺接する軸受部分Rの高さ範囲(Zr1〜Zr2)内に位置するように形成されている。詳細については後述するが、圧入部(P)がこのような高さ位置に形成されることにより、圧入部(P)を介して駆動軸(30)にリアバランサ(70)の遠心力荷重が作用しても、その遠心力荷重によって副軸部(34)の下部軸受部(53)の軸受部分Rによって支持されない部分(軸受部分Rの上方又は下方の部分)が撓まないため、副軸部(34)の下部軸受部(53)に対する片当たりの発生が抑制される。
《遠心ポンプの圧入部とリアバランサの重心との位置関係》
また、本実施形態では、リアバランサ(70)は、バランサ本体(71)の厚肉部(71a)の内部に位置する重心Gの高さ位置Zbgが、遠心ポンプ(82)の圧入部(P)の下端の高さ位置Zp2よりも上方の位置となるように形成されている。詳細については後述するが、遠心力が作用するリアバランサ(70)の重心(G)が、このような高さ位置にくるようにリアバランサ(70)が形成されることにより、リアバランサ(70)の重心(G)に大きな遠心力が作用しても、リアバランサ(70)に圧入部(P)を支持点とするモーメントが作用しないため、駆動軸(30)の下部軸受部(53)に対する片当たりの発生が抑制される。
−運転動作−
次に、このロータリ型圧縮機(10)の運転動作について説明する。
モータ(21)を起動すると、ロータ(23)及び駆動軸(30)が一体的に回転する。その結果、偏心部(32)が偏心回転してピストン(60)がシリンダ室(55)内でシリンダ(51)の内周面に沿って旋回運動を行う。シリンダ室(55)では、ピストン(60)の旋回運動に伴い、低圧室(55a)と高圧室(55b)の容積が変化する。このとき、ブレード(62)は、ブレード溝(64)の内部を長非方向に進退し、且つブッシュ溝(63)の軸心を中心として揺動する。
ピストン(60)が旋回して低圧室(55a)の容積が徐々に大きくなる際に、吸入管(17)の流体(冷媒)が吸入ポート(56)を介して低圧室(55a)に吸入される。ピストン(60)がさらに旋回して低圧室(55a)が吸入ポート(56)から遮断されると、遮断された空間は高圧室(55b)となる。その後、ピストン(60)が更に旋回して高圧室(55b)の容積が徐々に小さくなる際には、高圧室(55b)内の流体(冷媒)が圧縮される。高圧室(55b)の内圧が所定の圧力を超えると、吐出ポート(図示省略)のリード弁が開放され、高圧室(55b)の冷媒が、吐出ポートを介してケーシング(11)の内部空間(S)に流出する。ケーシング(11)の内部空間(S)に流出した冷媒は、吐出管(18)からロータリ型圧縮機(10)の外部(冷媒回路)へ吐出される。
〈潤滑油の供給動作〉
モータ(21)によって、駆動軸(30)が回転駆動されると、油溜まり(15)に溜まった潤滑油が、遠心ポンプ(82)によって、給油通路(81)に汲み上げられる。具体的には、駆動軸(30)が回転すると、吸込口(84)を介して遠心ポンプ通路(85)に侵入した潤滑油は、該潤滑油に作用する遠心力と、その粘性による表面張力とにより、下側部分(82b)の裾窄まりの内壁面に沿って上昇する。このようにして、油溜まり(15)の潤滑油が、遠心ポンプ通路(85)を介して給油通路(81)の主通路(81a)に汲み上げられる。
給油通路(81)に汲み上げられた潤滑油は、主通路(81a)を上昇し、第1〜第4通路(81b〜81e)にそれぞれ流入して圧縮機構(50)の各摺動部に供給される。具体的には、第1通路(81b)に流入した潤滑油は、副軸部(34)の軸受部分Rとリアヘッド(53)のボス部(53b)との摺動部に供給されて該摺動部を潤滑する。第2通路(81c)に流入した潤滑油は、偏心部(32)と環状メタル(59)との摺動部に供給されて該摺動部を潤滑する。第3通路(81d)及び第4通路(81e)に流入した潤滑油は、主軸部(33)とフロントヘッド(52)のボス部(52b)との摺動部に供給されて該摺動部を潤滑する。
−片当たりの抑制作用について−
図5に示すように、本実施形態では、一体に形成された遠心ポンプ(82)とリアバランサ(70)とは、遠心ポンプ(82)の圧入部(P)が、給油通路(81)の下端部であって下部軸受部(53)の下端よりも上方の位置に圧入される(Zp2>Zr2)ことによって駆動軸(30)の下端部である副軸部(34)に固定されている。そのため、駆動軸(30)が回転すると、リアバランサ(70)に遠心力が作用し、この遠心力荷重が圧入部(P)を介して駆動軸(30)にも作用することとなるが、その駆動軸(30)において遠心力荷重が作用する部分が、下部軸受部(53)の下端よりも上方に位置することとなる。
また、本実施形態では、リアバランサ(70)の重心(G)が、遠心ポンプ(82)の圧入部(P)の下端よりも上方に位置する(Zbg>Zp2)ようにリアバランサ(70)が形成されている。これにより、遠心力が作用するリアバランサ(70)の重心(G)が、圧入部(P)を介して駆動軸(30)において遠心力荷重が作用する部分以上の高さに位置することとなる。
ところで、駆動軸(30)においてリアバランサ(70)の遠心力荷重が作用する部分(圧入部(P)に対応する部分)が、下部軸受部(53)によって支持されない下部軸受部(53)の下方に位置すると、作用する遠心力荷重によって駆動軸(30)の下端部が撓み、下部軸受部(53)の下端部に荷重が集中してかかる片当たりが発生するおそれがある。
また、本実施形態では、リアバランサ(70)は、遠心ポンプ(82)の圧入部(P)よりも下方の位置で遠心ポンプ(82)に連結されている。そのため、図6に示すように、駆動軸(30)においてリアバランサ(70)の遠心力荷重が作用する部分が、下部軸受部(53)の下端よりも上方に位置する場合であっても、遠心力が作用するリアバランサ(70)の重心(G)が、駆動軸(30)においてリアバランサ(70)の遠心力荷重が作用する部分よりも下方に位置すると、リアバランサ(70)の重心(G)に作用する遠心力により、遠心ポンプ(82)に圧入部(P)を支持点とする曲げモーメントが作用する。その結果、遠心ポンプ(82)によって駆動軸(30)の下端部が外周側に押圧されて撓み、下部軸受部(53)の下端部に荷重が集中してかかる片当たりが発生するおそれがある。
これに対し、本実施形態では、上述のように、駆動軸(30)においてリアバランサ(70)の遠心力荷重が作用する部分が、下部軸受部(53)の下端よりも上方に位置し、この高さ位置以上の高さにリアバランサ(70)の重心(G)が位置することとなる。そのため、圧入部(P)を介して駆動軸(30)に作用するリアバランサ(70)の遠心力荷重によって駆動軸(30)の下端部を構成する副軸部(34)が撓むことがない。また、リアバランサ(70)の重心(G)に作用する遠心力により、遠心ポンプ(82)に圧入部(P)を支持点とする曲げモーメントが作用することもない。よって、副軸部(34)を支持する下部軸受部(53)の下端部に、荷重が集中してかかることがない。つまり、片当たりが発生しない。
また、本実施形態では、図5に示すように、一体に形成された遠心ポンプ(82)とリアバランサ(70)とは、遠心ポンプ(82)の圧入部(P)が、下部軸受部(53)の軸受部分Rの上端よりも下方に位置する(Zp1<Zr1)ように形成されている。そのため、駆動軸(30)が回転すると、リアバランサ(70)に遠心力が作用し、この遠心力荷重が圧入部(P)を介して駆動軸(30)にも作用することとなるが、その駆動軸(30)において遠心力荷重が作用する部分(圧入部(P)に対応する部分)が、下部軸受部(53)の軸受部分Rの上端よりも下方に位置することとなる。
ところで、本実施形態の構成とは異なり、駆動軸(30)においてリアバランサ(70)の遠心力荷重が作用する部分が、副軸部(34)において下部軸受部(53)の軸受部分Rによって支持されない軸受部分Rの上方に位置すると、作用する遠心力荷重によって副軸部(34)が撓み、下部軸受部(53)の上端部に荷重が集中してかかる片当たりが発生するおそれがある。これに対し、本実施形態では、上述のように、駆動軸(30)においてリアバランサ(70)の遠心力荷重が作用する部分が、下部軸受部(53)の軸受部分Rの上端よりも下方に位置するため、圧入部(P)を介して駆動軸(30)に作用するリアバランサ(70)の遠心力荷重によって副軸部(34)が撓むことがない。そのため、下部軸受部(53)の上端部に荷重が集中してかかる片当たりが発生することがなく、焼き付くこともない。
−実施形態の効果−
本実施形態によれば、遠心ポンプ(82)の圧入部(P)を、給油通路(81)の下端部であって下部軸受部(53)の下端よりも上方の位置に圧入し、リアバランサ(70)を、その重心が遠心ポンプ(82)の圧入部(P)の下端よりも上方に位置するように、圧入部(P)の下方において遠心ポンプ(82)に連結することとした。このような構成により、駆動軸(30)においてリアバランサ(70)の遠心力荷重が作用する部分が、下部軸受部(53)の下端よりも上方に位置することとなるため、圧入部(P)を介して駆動軸(30)に作用するリアバランサ(70)の遠心力荷重によって駆動軸(30)の下端部が撓むことがない。また、リアバランサ(70)の重心(G)が、駆動軸(30)においてリアバランサ(70)の遠心力荷重が作用する部分以上の高さに位置することとなるため、リアバランサ(70)の重心(G)に作用する遠心力により、遠心ポンプ(82)に圧入部(P)を支持点とする曲げモーメントが作用することがない。よって、駆動軸(30)の下端部が遠心ポンプ(82)によって押圧されて撓むこともない。従って、上記構成によれば、遠心ポンプ(82)と一体に形成されたリアバランサ(70)に大きな遠心力が作用したとしても、駆動軸(30)の下端部が撓むのを抑制することができる。よって、駆動軸(30)の下端部の撓みに起因する駆動軸(30)の下部軸受部(53)の下端部への片当たりの発生を抑制することができ、片当たりによる焼き付きを防止することができる。
また、本実施形態によれば、リアバランサ(70)の重心(G)が位置するバランサ本体(71)が下部軸受部(53)の外周側に配置されるように、バランサ本体(71)の下端部と下側部分(82b)の上端部とを連結部(72)で連結する容易な構成により、リアバランサ(70)の重心(G)を遠心ポンプ(82)の圧入部(P)の下端よりも上方に位置させることができる。
また、本実施形態によれば、リアバランサ(70)の外形が、駆動軸(30)の軸心(O)に対し、回転対称形状になるようにリアバランサ(70)を形成している。リアバランサ(70)は、油溜まり(15)の潤滑油に浸漬されるため、このような回転対称形状にすることにより、回転するリアバランサ(70)に作用する潤滑油の抵抗力(攪拌抵抗)を低減することができ、該抵抗力による動力損失を低減することができる。
以上説明したように、本発明は、遠心ポンプとリアバランサとが一体に形成されたロータリ型圧縮機に関し、駆動軸の下端部の下部軸受部に対する片当たり抑制対策について有用である。
10 ロータリ型圧縮機
11 ケーシング
21 モータ
30 駆動軸
31 軸本体
32 偏心部
50 圧縮機構
51 シリンダ
52 フロントヘッド(上部軸受部)
53 リアヘッド(下部軸受部)
55a 低圧室(圧縮室)
55b 高圧室(圧縮室)
60 ピストン
70 リアバランサ(バランサ)
71 バランサ本体
71a 厚肉部
71b 薄肉部
72 連結部
81 給油通路
82 遠心ポンプ
82a 上側部分
82b 下側部分
85 遠心ポンプ通路

Claims (3)

  1. 底部が潤滑油を溜める油溜まりとなるケーシング(11)と、
    上下方向に延びる軸本体(31)と、該軸本体(31)に対して偏心した偏心部(32)とを有し、上記ケーシング(11)内に設けられた駆動軸(30)と、
    上記偏心部(32)の外周を取り囲むシリンダ(51)と、該シリンダ(51)内に設けられ、上記偏心部(32)に外嵌された円筒状のピストン(60)と、上記シリンダ(51)の上端を閉塞すると共に上記駆動軸(30)を回転自在に支持する上部軸受部(52)と、上記シリンダ(51)の下端を閉塞すると共に上記駆動軸(30)を回転自在に支持する下部軸受部(53)とを有し、上記ケーシング(11)内に収容され、上記駆動軸(30)の回転に伴って上記シリンダ(51)と上記ピストン(60)との間に形成された圧縮室(55a,55b)において流体を圧縮する圧縮機構(50)と、
    上記ケーシング(11)内に設けられ、上記圧縮機構(50)の上方において上記駆動軸(30)を回転駆動するモータ(21)と、
    上記駆動軸(30)の下端部に設けられ、該駆動軸(30)の回転に伴い、上記油溜まり(15)の潤滑油を、上記駆動軸(30)の内部に形成された上下方向に延びる給油通路(81)に汲み上げる円筒状の遠心ポンプ(82)と、
    上記遠心ポンプ(82)と一体に形成されたバランサ(70)とを備えたロータリ型圧縮機であって、
    上記遠心ポンプ(82)は、上記給油通路(81)の下端部であって上記下部軸受部(53)の下端よりも上方の位置に圧入される圧入部(P)を有し、
    上記バランサ(70)は、重心が上記圧入部(P)の下端よりも上方に位置するように形成され、上記圧入部(P)の下方において上記遠心ポンプ(82)に連結されている
    ことを特徴とするロータリ型圧縮機。
  2. 請求項1において、
    上記遠心ポンプ(82)は、上記圧入部(P)と、該圧入部(P)の下方に連続する円筒状の下側部分(82b)とを有し、
    上記バランサ(70)は、上記下部軸受部(53)の外周側に配置され、内部に上記重心(G)が位置するバランサ本体(71)と、該バランサ本体(71)の下端部と上記下側部分(82b)の上端部とを連結する連結部(72)とを有している
    ことを特徴とするロータリ型圧縮機。
  3. 請求項2において、
    上記バランサ本体(71)は、軸心が上記駆動軸(30)の軸心(O)と一致する円筒形状に形成され、上記駆動軸(30)の径方向において上記偏心部(32)の偏心側と逆側の部分(71a)が上記偏心側の部分(71b)よりも肉厚に形成されている
    ことを特徴とするロータリ型圧縮機。
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