JP2017008360A - 焼結合金の基地組成用合金粉、基地組成用合金粉を含有する焼結合金及び焼結合金の製造方法 - Google Patents
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前記のように生成される焼結合金は、バルブシートに使用して好適である。
本実施形態に係る基地組成用合金粉は、焼結合金の基地を組成し、質量%で、Mn:0.5〜3%、Ni:10〜25%でMnとNiとの合計が12〜28%、Mo:10〜30%を含有し、残部が不可避不純物とFeからなる。
ここに、Ni及びMnはCと共にマトリックスをオーステナイト化することで耐熱性を向上し、MoがCと反応して微細炭化物を析出することで耐摩耗性および加工性をバランスよく同時に向上させることが可能となる。
また、MnとNiとの合計が、12%未満であると、焼結合金におけるマトリックスがフェライト化して耐摩耗性が悪化する。これに対して、MnとNiとの合計が30%以上となると、延性が悪化して加工性が低下する。
更に、Moは硬質材として使用され、耐摩耗性を改善するために必要な元素である。Moの含有量が10%未満である場合にはマトリックス中における析出物が十分ではなく耐摩耗性が悪化する。一方、Moの含有量が30%を超えると析出物が多くなり加工性が悪化する。
ここに、Cは硬質材であるMoとCrとの間でMo系炭化物、Cr系炭化物を生成して凝着摩耗を防止し、Niと共にマトリックスをオーステナイト化するために必要な元素であるが、Cの含有量が0.2%を超えると原料粉の硬さが高くなり成形体強度が悪化して量産性がなくなる。
Crは炭化物を生成して耐摩耗性を改善するための元素であるが、Crの含有量が5%を超えるとCrがCと多く反応することで、Mo炭化物が減少し、耐摩耗性が悪化する。
Coは添加することで高温強度が向上し耐摩耗性が向上する。20%を越えない範囲で添加することが可能である。
第1実施形態に係る焼結合金は、前記した基地組成用合金粉を使用し、この合金粉を質量%で98.6〜99.1%と、炭素粉末:0.9〜1.4%とを混合した混合材料を焼結して生成される。
前記した第1実施形態に係る焼結合金の製造方法では、本実施形態に係る基地組成用合金粉を使用し、この合金粉を質量%で98.6〜99.1%と、炭素粉末:0.9〜1.4%とを混合した混合材料を焼結して生成される。
更に、Cは0.1%〜0.2%(0.2%以下)の範囲で、Siは0.05%〜0.1%の範囲で、Crは2%〜3%(5%以下)、Coは11%〜20%(20%以下)の範囲でそれぞれ含有されている。
尚、表1に示すように、実施例7〜実施例9では、硬質粒子を添加した。具体的に、実施例7ではNi・Mo・Fe合金粒子を10%添加し、実施例8ではNi・Mo・Fe合金粒子を20%添加し、実施例9ではCo・Mo・Mn合金粒子を30%添加した。
また、同様に、比較例7(合金粉末16を使用)ではFe・Cr・Ni合金粒子を10%添加し、比較例8(合金粉末17を使用)ではNi・Mo・Fe合金粒子を20%添加し、比較例9(合金粉末18を使用)ではCo・Mo・Mn合金粒子を30%添加した。
ここに、刃具摩耗比及び摩耗比の測定を行うに際し、刃具摩耗比については好適と考えられる実施例3に係る焼結合金を基準とし、また、摩耗比については好適と考えられる実施例4に係る焼結合金を基準とし、表1においては、実施例3の焼結合金で得られた刃具摩耗量の値を1.00とするとともに、実施例4の焼結合金で得られた摩耗量の値を1.00として他の各実施例及び比較例で得られた面粗さの値及び摩耗量の値を比で表している。
先ず、前記のように生成した実施例1〜実施例9、比較例1〜比較例9に係る焼結合金の試験片(外形30mm、内見22mm、全長9mmのリング形状を有する)を用意し、各試験片を窒化チタンアルミコーティングした超硬刃具を有するNC旋盤にセットした。NC旋盤では、超硬歯具の回転数970rpm、切込み量0.3mm、送り量0.08mm/rev、切削距離320mの条件で湿式にてトラバース切削が行われた。この後、刃具の逃げ面摩耗量を測定して評価した。
尚、ラトラ値の測定については、一般の測定装置を使用して測定された。
尚、ラトラ値については3%が上限値であり、ラトラ値が3%を超えた場合には形成体強度の点で不適格であり、一方、ラトラ値が3%以下であれば許容限度内である。
尚、その他の比較例1(合金粉10を使用)〜比較例5(合金粉14を使用)、比較例7(合金粉16を使用)〜比較例9(合金粉18を使用)の焼結合金について測定されたラトラ値は、0.71%〜1.77%の範囲内にあり、各焼結合金のラトラ値も3%以下であることから成形体強度は良好である。
同様に、比較例2(合金粉11を使用)の焼結合金について測定された摩耗比の値は3.25であり、この値は上限値1.2を大きく超えていることから、比較例2の焼結合金の耐摩耗性は低い。これは、合金粉11においてはMnが含有されておらず、Ni:11%でMnとNiの合計が11%含有されており、本発明の範囲(Mn:0.5〜3%、Ni:10〜25%でMnとNiの合計が12〜28%)からは低く外れていることに起因するものと考えられる。
更に、比較例7(合金粉16を使用)の焼結合金について測定された摩耗比の値は2.68であり、この値は上限値1.2を大きく超えていることから、比較例7の焼結合金の耐摩耗性は低い。これは、合金粉16においてはMn:0.5%、Ni:8%でMnとNiの合計が8.5%含有されており、本発明の範囲(Mn:0.5〜3%、Ni:10〜25%でMnとNiの合計が12〜28%)からは低く外れていることに起因するものと考えられる。
更に、比較例9(合金粉18を使用)の焼結合金について測定された摩耗比の値は2.43であり、この値は上限値1.2を大きく超えていることから、比較例9の焼結合金の耐摩耗性は低い。これは、合金粉18においてはMoが8%含有されているが、本発明の範囲(Mo:10〜30%)からは低く外れていることに起因するものと考えられる。
2 バルブシート
3 バルブ
4 バルブフェース
5 バルブシートフェース
Claims (9)
- 焼結合金の基地を組成する基地組成用合金粉であって、質量%で、MnとNiとの合計が12〜28%、Mo:10〜30%を含有し、残部が不可避不純物とFeからなることを特徴とする焼結合金の基地組成用合金粉。
- 質量%で、MnがMn:0.5〜3%の範囲で、NiがNi:10〜25%の範囲で含有されていることを特徴とする請求項1に記載の焼結合金の基地組成用合金粉。
- C:0.2%以下、Si:0.05〜0.1%、Cr:5%以下、Co:20%以下を含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の焼結合金の基地組成用合金粉。
- 焼結合金の基地を組成する基地組成用合金粉であって、質量%で、MnとNiとの合計が12〜28%、Mo:10〜30%を含有し、残部が不可避不純物とFeからなる合金粉を質量%で98.6〜99.1%と、炭素粉末:0.9〜1.4%とを混合した混合材料を焼結したことを特徴とする焼結合金。
- 前記基地組成用合金粉には、質量%で、MnがMn:0.5〜3%の範囲で、NiがNi:10〜25%の範囲で含有されていることを特徴とする請求項4に記載の焼結合金。
- 焼結合金の基地を組成する基地組成用合金粉であって、質量%で、MnとNiとの合計が12〜28%、Mo:10〜30%を含有し、残部が不可避不純物とFeからなる合金粉と、炭素粉末:0.9〜1.4%と、硬質粒子30%以下とを混合して全体で100%とした混合材料を焼結したことを特徴とする焼結合金。
- 前記基地組成用合金粉には、質量%で、MnがMn:0.5〜3%の範囲で、NiがNi:10〜25%の範囲で含有されていることを特徴とする請求項6に記載の焼結合金。
- 請求項1に記載の基地組成用合金粉を質量%で98.6〜99.1%と、炭素粉末:0.9〜1.4%とを混合した混合材料を用意し、
前記混合材料を成形して圧粉成形体を形成し、圧粉成形体を焼結して請求項3に記載の組成をもつ焼結合金とすることを特徴とする焼結合金の製造方法。 - 請求項3に記載の焼結合金で形成されていることを特徴とするバルブシート。
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