JP2005154796A - 耐摩耗性焼結合金およびその製造方法 - Google Patents

耐摩耗性焼結合金およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた高温耐摩耗性を発揮するバルブシート材用の耐摩耗性焼結合金を提供する。
【解決手段】質量比で、Mo:5.26〜28.47%、Co:1.15〜19.2%、Cr:0.25〜6.6%、Si:0.05〜2.0%、V:0.03〜0.9%、W:0.2〜2.4%、およびC:0.43〜1.56%であって、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、ベイナイト相、またはベイナイトとマルテンサイトとの混合相からなる基地組織中に、Mo珪化物よりなる析出物が析出したCo基硬質相が5〜40%分散し、粒状のCr炭化物等が析出したFe基硬質相が5〜30%分散している。
【選択図】 図1

Description

本発明は、自動車エンジンのバルブシート材に用いられる耐摩耗性焼結合金およびその製造方法に係り、とくにCNGエンジン、ヘビーデューティディーゼルエンジン等の高負荷エンジンのバルブシートに用いて好適な焼結合金の開発技術に関する。
近年、自動車エンジンは高性能化により作動条件が一段と厳しくなっており、エンジンに用いられるバルブシートにおいても、従来に増して厳しい使用環境条件に耐えることが必要となってきている。たとえば、タクシー用の自動車に多く搭載されるLPGエンジンにおいては、バルブおよびバルブシートの摺接面が乾燥状態で使用されるため、ガソリンエンジンのバルブシートに比べ摩耗が早い。また、高有鉛ガソリンエンジンのようにスラッジが付着するような環境では、バルブシートに対する面圧が高い場合、あるいはディーゼルエンジンのように高温・高圧縮比の場合に、スラッジにより摩耗が促進される。このような厳しい環境で使用される場合には、耐摩耗性が良いことに併せ、へたり現象を生じないような高い強度が要求される。
一方、バルブシートが摩耗してもバルブの位置とバルブ駆動タイミングとを自動調節できるラッシュアジャスタ装置を備えた動弁機構も実用化されているが、バルブシートの摩耗によるエンジン寿命の問題が解決されているとは言えず、耐摩耗性に優れたバルブシート用材料の開発が望まれている。また、近年では、高性能化を目指すだけではなく、経済性を重視した安価な自動車の開発も重要視されつつあり、したがってこれからのバルブシート用焼結合金としては、上記ラッシュアジャスタ装置のような付加的な機構を必要としない高温耐摩耗性、高強度を有するものであることが求められるようになってきている。
このようなバルブシート用焼結合金としては、Fe−Co系とFe−Cr系との斑状基地中にCo−Mo−Si系硬質粒子を分散させた技術が開示されている(特許文献1参照)。また、Fe−Co系基地中にCo−Mo−Si系硬質粒子を分散させた技術も開示されている(特許文献2参照)。そして、Fe−Co系にNiを添加した基地中にCo−Mo−Si系硬質粒子を分散させた技術も開示されている(特許文献3参照)。さらに、Co−Mo−Si系硬質粒子を分散させたFe基合金も開示されている。
これらの特許文献1〜4に記載されている合金中の硬質粒子は、Mo量が40質量%以下のものであるが、この硬質粒子を含む焼結合金は相当の高温耐摩耗性、高強度を有するものである。しかしながら、近年においては、さらに、高温耐摩耗性、高強度を有する焼結合金が望まれている。そこで、これらの改良発明として、質量比で、Si:1.0〜12%、Mo:20〜50%、Mn:0.5〜5.0%、および残部がFe、Ni、Coのうち少なくとも1種と不可避的不純物よりなる耐摩耗性硬質相形成用合金粉末が開示されている(特許文献5参照)。
特公昭59−037343号公報 特公平05−055593号公報 特公平07−098985号公報 特開平02−163351号公報 特開2002−356704号公報
このように、時代の要請に従い、より耐摩耗性に優れたバルブシート材として好適な焼結合金が提案されてきた。しかしながら、近年実用化されてきているCNGエンジンや、高出力用のヘビーデューティーディーゼルエンジン等のエンジンにおいては、金属接触に伴うバルブシート材への負荷が一層高いため、そのような環境下でも高い耐摩耗性を発揮する材料の開発が望まれている。
本発明はこのような事情を背景としてなされたものであって、とくにCNGエンジンやヘビーデューティーディーゼルエンジン等の高負荷エンジン環境において優れた高温耐摩耗性を発揮するバルブシート材用の耐摩耗性焼結合金およびその製造方法を提供することを目的としている。
本発明者らは、上記従前の技術的背景を受けて金属接触が発生する環境下での摩耗状態を解析したところ、金属接触が発生する環境下での摩耗は、硬質粒子以外の基地部分が基点となって塑性流動、凝着が発生することが原因であることを突き止めた。そこで、その対策として、Moの含有量を多くしてMo珪化物量を増大させ、摩耗の基点を減少させることができるとの知見を得た。また、Moの含有量を多くして一体化したMo珪化物を析出させることで、硬質粒子のピン止め効果を増大させることができるとの知見も得た。本発明者らは、これらの知見により、塑性流動、凝着の発生を最小限に止められることができることから、耐摩耗性を大幅に改善できるとの結論に達した。
具体的には、硬質相として、上記特許文献5に記載された基地より残部としてCoを採用するとともにMnを排除することで、粉末の硬さを高めることなくMo量を増すことにより、析出するMo珪化物を多くすると同時に一体化させて析出させることが本発明の骨子である。また、この硬質相について、Si量についても必要なMo珪化物を生成する必要量に止めて最適化を行うことで、粉末の硬さを低減し、Mo添加量の増大を可能とすることも重要である。本発明は、このような知見に基づいて完成されたものである。
よって、本発明は上記対策に基づきなされたもので、本発明に係る第1の耐摩耗性焼結合金は、全体組成が、質量比で、Mo:5.26〜28.47%、Co:1.15〜19.2%、Cr:0.25〜6.6%、Si:0.05〜2.0%、V:0.03〜0.9%、W:0.2〜2.4%、およびC:0.43〜1.56%であって、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、ベイナイト相、またはベイナイトとマルテンサイトとの混合相からなる基地組織中に、Co基合金基地に主としてMo珪化物よりなる析出物が一体化して析出したCo基硬質相が5〜40%分散し、Fe基合金基地に粒状のCr炭化物、Mo炭化物、V炭化物およびW炭化物が析出したFe基硬質相が5〜30%分散していることを特徴としている。
また、本発明に係る第2の耐摩耗性焼結合金は、全体組成が、質量比で、Mo:4.87〜28.47%、Co:1.15〜19.2%、Cr:0.25〜6.6%、Si:0.05〜2.0%、V:0.03〜0.9%、W:0.2〜2.4%、C:0.43〜1.56%、およびNi:13%以下であって、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、ベイナイト相、マルテンサイトおよびオーステナイトの混合相からなる基地組織中に、Co基合金基地に主としてMo珪化物よりなる析出物が一体化して析出したCo基硬質相が5〜40%分散し、Fe基合金基地に粒状のCr炭化物、Mo炭化物、V炭化物およびW炭化物が析出したFe基硬質相が5〜30%分散していることを特徴としている。
本発明によれば、硬質粒子の分散量を従来技術に比して増加することにより、摩耗の基点を減少させることができ、また、硬質粒子を一体化して析出させて硬質粒子のピン止め効果も増大させることができるため、塑性流動、凝着の発生を最小限に止められることができる。このため、硬質粒子の耐摩耗性を一層向上させて、高負荷エンジン環境において優れた高温耐摩耗性を発揮する耐摩耗性焼結合金を提供することができる。
以下、本発明の耐摩耗性焼結合金の作用について、図面を参照しながら数値限定の根拠とともに説明する。
(1)基地
図1は、上記第1の耐摩耗性焼結合金の金属組織を表す模式図である。同図に示すように、この焼結合金の基地は、ベイナイトを主とする組織である。マルテンサイトは、硬く強度が高い組織であり耐摩耗性の向上に効果があるが、その硬さ故に、たとえば相手部品となるバルブの摩耗を促進する作用も有する。そこで、マルテンサイト程は硬くなく、マルテンサイトに次いで硬く強度が高いベイナイトを主とする基地組織とすることにより、基地の塑性流動を防止しつつ相手部品に対して与えるダメージが軽減される。また、ベイナイトは単一で用いても良いし、さらに耐摩耗性を向上させるためにベイナイトの基地組織中にマルテンサイトを分散させても良い。このようなベイナイト単相のみまたはベイナイトとマルテンサイトとの混合相のみの耐摩耗性の優れた基地に本願硬質相を分散させることでより一層耐摩耗性が向上する。
このような基地を得るため、基地成分としては、Moを3〜7質量%含有する鉄基合金が適しており、鉄基合金粉末(合金粉末A)の形態で付与される。Moは鉄基地中に固溶してベイナイト領域を拡張する作用を有し、焼結後の通常の冷却速度で基地組織のベイナイト化に寄与する。ただし、Mo量が鉄基合金粉末の3質量%に満たないと、その作用が乏しく、7質量%を超えると合金粉末が固くなって圧縮性が悪くなる。
一方、図2は、上記第2の耐摩耗性焼結合金の金属組織を表す模式図である。同図に示すように、この耐摩耗性焼結合金の基地は、高強度のマルテンサイトとオーステナイトとが、ベイナイト中に分散した混合組織である。この組織によれば、靭性に富むオーステナイトがマルテンサイトの相手攻撃性を緩和させるとともに、軟質で塑性流動し易いオーステナイトを、強度が高く、かつ基地の塑性流動を防止するマルテンサイトで補い、互いに補完し合う効果を有し、一層の耐摩耗性向上の効果を有する。
このような基地組織は、上記のMo含有鉄基合金粉末(合金粉末A)にNi粉末を添加することで得ることができる。すなわち、焼結過程において、Ni粉末より鉄基地中に拡散したNiは、元のNi粉末の部分でNi濃度が高く、元のNi粉末の部分より遠ざかるにつれてその濃度が低下する濃度分布を示すが、Niは焼き入れ性を向上させる作用を有するため、Niの拡散した領域では焼結後の冷却過程でマルテンサイト組織に変態するとともに、Ni濃度の高い部分は常温でもオーステナイトとして残留し、上記基地組織を形成することとなる。ただし、添加するNi粉末の量が、13質量%を超えると、残留するオーステナイト量が過多となるとともに、Niの拡散量が多くなりすぎてベイナイト組織が残留しなくなるため、上限を13質量%に留める必要がある。
(2)硬質相
本発明の第1および第2の耐摩耗性焼結合金においては、いずれにあっても、図1および図2に示すように、基地中に、主としてMo珪化物よりなる硬質粒子が一体となって析出しており、その内部および周囲にCoが拡散してなる拡散相(白色相)が析出する硬質相(第1の硬質相)が分散している。この硬質相は、硬質で、かつ相手材であるバルブとの親和性が低いMo珪化物により耐摩耗性を一層向上させるとともに、Mo珪化物よりなる硬質粒子が一体となって析出していることから、金属接触が発生する環境下であっても、基地のピン止め効果により基地の塑性流動や凝着による摩耗を防止する。
また、本発明の第1および第2の耐摩耗性焼結合金においては、いずれにあっても、基地中に、主として粒状のCr炭化物、Mo炭化物、V炭化物およびW炭化物が析出し、その周囲をFe基合金が拡散したFe基硬質相(第2の硬質相)が分散している。この硬質相は、Mo系高速度工具鋼として知られる組成のものである。
このような硬質相の中で、Co基硬質相は、上記基地中に5〜40質量%分散させると、極めて良好な耐摩耗性を示す。5質量%未満では耐摩耗性向上の効果が顕著ではなく、40質量%を超えると、混合粉末の圧縮性が低下するとともに、相手攻撃性が高まり、かえって摩耗量が増大することとなる。また、Fe基硬質相は、上記基地中に5〜30質量%分散させると、極めて良好な耐摩耗性を示す。5質量%未満では耐摩耗性向上の効果が顕著ではなく、30質量%を超えると、混合粉末の圧縮性が低下するとともに、相手攻撃性が高まり、かえって摩耗量が増大する。
次に、上記成分組成の数値限定の根拠について説明する。
Mo:Moは基地に固溶して基地を強化するとともに、基地のベイナイト領域を拡張して、特殊な恒温処理等を行わずとも、焼結後の通常の冷却のみで、基地組織をベイナイト化する働きを有し、このような働きにより基地の強度と耐摩耗性の向上に寄与する。また、Moは、第1の硬質相において、主にSiとともに硬質なMo珪化物を形成するとともに、一部はCoとも反応してMo−Co珪化物を形成するが、これらのMo珪化物は、一体化して析出して硬質相の核を形成して基地の塑性流動、凝着を防止し、耐摩耗性の向上に寄与する。さらに、Moは、第2の硬質相において、Mo炭化物を形成し、耐摩耗性の向上に寄与する。
Moの含有量は、基地に固溶して与えられる量が3質量%を下回ると、基地のベイナイト化が不十分となり、強度および耐摩耗性が不十分となる。また、第1の硬質相中の量が48質量%を下回ると析出するMo珪化物が一体として析出せず、Mo珪化物郡として析出することとなり耐摩耗性が低下することとなる。さらに第2の硬質相中の量が、4質量%を下回ると、Mo炭化物の形成量が乏しくなり耐摩耗性が低下することとなる。よって、全体組成としてのMo量は、第1の耐摩耗性焼結合金では5.26質量%、第2の耐摩耗性焼結合金では4.87質量%を下限とする。
一方、基地に固溶して与えられる量が7質量%を超え、第1の硬質相中の量が60質量%を超え、さらに第2の硬質相中の量が8質量%を超えると、供給源となる原料粉末が固くなりすぎて圧縮性が低下する結果、成形対密度が低下して、焼結後も密度が向上せず、強度および耐摩耗性が低下することとなる。よって、全体組成としてのMo量は、28.47質量%を上限とする。
したがって、Moの含有量は、第1の耐摩耗性焼結合金では5.26〜28.47質量%とし、第2の耐摩耗性焼結合金では、4.87〜28.47質量%とした。
Co:第1の硬質相中のCoは、基地に拡散して基地を固溶強化するとともに、硬質相を基地に強固に結合する働きがある。さらに、基地に拡散したCoは基地を強化するとともに、基地および硬質相の耐熱性の向上に働く。加えて、Coの一部はMo,SiとともにMo−Co珪化物を形成し、硬質相の核となって基地の塑性流動、凝着を防止し、耐摩耗性の向上に寄与する。Coの含有量は、19.2質量%を超えると供給源である各々の粉末が固くなって圧縮性が損なわれる。一方、下限に関しては、1.15質量%とした。この下限値を下回ると上記効果が不十分となる。よって、Coの含有量は、1.15〜19.2質量%とした。
Cr:第1の硬質相中のCrは、第1の硬質相のCo基地に固溶して強化する作用を有する。また、第2の硬質相中のCrは、炭化物を形成して基地の耐摩耗性の向上に寄与する。さらに、第1および第2の硬質相から基地に拡散したCrは、基地に対して硬質相を強固に結合させるとともに、基地に固溶して基地をさらに強化し、焼入れ性をさらに向上させる働きがある。Crの含有量は、第1の硬質相中の量が3質量%および第2の硬質相中の量が2%を下回ると上記効果が不十分となる。よって全体組成中のCr量としては、0.25質量%を下限とする。一方、第1の硬質相中の量が12質量%および第2の硬質相中の量が6%を下回ると供給源である各々の粉末が固くなって圧縮性が損なわれる。よって全体組成中のCr量としては、6.6質量%を上限とする。よって、Crの含有量は、0.25〜6.6質量%とした。
Si:Siは、前述のとおり第1の硬質相中のMo,Coと化合し、硬質なMo珪化物、Mo−Co珪化物を形成し耐摩耗性の向上に寄与する。Siの含有量は、0.05質量%未満であると十分な量の珪化物が析出せず、2.0質量%を超えると供給減の粉末が固くなって圧縮性が損なわれるとともに、焼結性を悪化させる。よって、Siの含有量は、0.05〜2.0質量%とした。
V:Vは第2の硬質相中で微細なV炭化物を形成して耐摩耗性の向上に寄与するとともに、その一部は基地に拡散して固溶強化する働きを有する。Vの含有量は、0.03質量%未満であるとそのような効果が不十分となる。一方、0.9質量%を超えると供給源の粉末が固くなって圧縮性が損なわれる。よって、Vの含有量は、0.03〜0.9質量%とした。
W:WもVと同様に第2硬質相中で炭化物を形成して耐摩耗性の向上に働く。Wの含有量は、0.2質量%未満であるとそのような効果が不十分となる。一方、2.4質量%を超えると供給源の粉末が固くなって圧縮性が損なわれる。よって、Wの含有量は、0.2〜2.4質量%とした。
C:Cは基地の強化に働くとともに、基地組織のマルテンサイト化およびベイナイト化に寄与し、耐摩耗性の向上に寄与する。また、第2の硬質相中で上述のようにMo、Cr、V、Wの炭化物を形成して耐摩耗性の向上に寄与する。Cの含有量が0.43質量%未満では、基地組織に耐摩耗性、強度ともに低いフェライトが残留するようになって耐摩耗性の向上が不十分となる。一方、Cの含有量が1.56質量%を超えると、粒界にセメンタイトが析出し始めて強度が低下する。よって、Cの含有量は、0.43〜1.56質量%とした。
Ni:Niは少量の添加で、基地の固溶強化に寄与し、基地組織の焼入れ性を改善して焼結後の冷却速度でのマルテンサイト化を促進して耐摩耗性の向上に寄与する。また、Niの濃度が高い部分はオーステナイトとして残留するが、オーステナイト組織は軟質であり靭性に富むため、相手材への攻撃性の抑制の効果がある。本発明の第2の焼結合金では、ベイナイトまたはベイナイトに加えてマルテンサイトとオーステナイトの混合組織とする必要があるため、Niの含有量はある程度必要である。しかしながら、過剰なNiの含有は、靭性に富むが軟質であるオーステナイトの形成量が過多となり、基地の塑性流動、凝着が生じ易くなるとともに、基地組織にベイナイトが残留しなくなり、耐摩耗性が低下することとなる。よって、Ni含有量の上限値を13質量%とした。なお、本発明の耐摩耗性焼結合金においては、Niは第2の耐摩耗性焼結合金にのみ含有されている。
ここで、上記第1、第2の耐摩耗性焼結合金の金属組織中には、鉛、二流化モリブデン、硫化マンガン、窒化硼素、メタ珪酸マグネシウム系鉱物、およびフッ化カルシウムのうちの群より選ばれる少なくとも1種の被削性改善物質粒子が0.3〜2.0質量%分散していると好適である。これらは被削性改善成分であり、基地中に分散させることによって切削加工の際に切屑のブレーキングの起点となり、焼結合金の被削性を改善することができる。これら被削性改善成分の含有量は、0.3質量%未満であるとその効果が不十分であり、2.0質量%を超えて含有すると焼結合金の強度が低下する。よって、含有量は0.3〜2.0質量%とした。
また、本発明の耐摩耗性焼結合金においては、気孔中に、鉛、鉛合金、銅、銅合金、およびアクリル樹脂の群より選ばれる1種が充填されていると好適である。これらも被削性改善成分であり、とくに、気孔を有する焼結合金を切削すると断続切削となるが、鉛や銅を気孔中に含有させることによって連続切削となり、工具の刃先への衝撃が緩和される。また、鉛は固体潤滑剤としても機能する他、銅もしくは銅合金は熱伝導性が高いので熱のこもりを防止し、熱による刃先のダメージを軽減する機能があり、アクリル樹脂は切屑のチップブレーキングの起点となる機能がある。
次に、本発明に係る第1および第2の耐摩耗性焼結合金の製造方法について説明する。
第1の耐摩耗性焼結合金の製造方法は、組成が、質量比で、Mo:3〜7%ならびに残部:Feおよび不可避的不純物からなる基地形成用のA合金粉末に、組成が、質量比で、Mo:48〜60%、Cr:3〜12%、Si:1〜5%、ならびに残部:Coおよび不可避的不純物からなるCo基硬質相形成用のB合金粉末:5〜40%と、組成が、質量比で、Mo:4〜8%、V:0.5〜3%、W:4〜8%、Cr:2〜6%、C:0.6〜1.2%ならびに残部:Feおよび不可避的不純物からなるFe基硬質相形成用のC合金粉末:5〜30%と黒鉛粉末:0.3〜1.2質量%とを添加した混合粉末を用意し、上記混合粉末を所定形状に圧粉成形した後、非酸化性雰囲気中にて1000〜1200℃で焼結することを特徴としている。
また、第2の耐摩耗性焼結合金の製造方法は、組成が、質量比で、Mo:3〜7%ならびに残部:Feおよび不可避的不純物からなる基地形成用のA合金粉末に、組成が、質量比で、Mo:48〜60%、Cr:3〜12%、Si:1〜5%、ならびに残部:Coおよび不可避的不純物からなるCo基硬質相形成用のB合金粉末:5〜40%と、組成が、質量比で、Mo:4〜8%、V:0.5〜3%、W:4〜8%、Cr:2〜6%、C:0.6〜1.2%ならびに残部:Feおよび不可避的不純物からなるFe基硬質相形成用のC合金粉末:5〜30%と、Ni粉末:13質量%以下と、黒鉛粉末:0.3〜1.2質量%とを添加した混合粉末を用意し、上記混合粉末を所定形状に圧粉成形した後、非酸化性雰囲気中にて1000〜1200℃で焼結することを特徴としている。
以下に、上記各粉末の成分と各成分の割合の限定理由につき、基地成形用、混合粉末の順に説明する。
(1)基地成形用粉末
[A合金粉末]
Mo:Moは、焼結後の炉内冷却速度でベイナイト組織を得易くする元素であるとともに、Mo炭化物を形成して耐摩耗性の向上に寄与する。また、Moは基地の焼戻し軟化抵抗を高める作用があり、加熱と冷却が繰り返される例えばバルブシート用の焼結合金では、使用中のへたりを防止する上で有効である。Moの含有量が3質量%未満であると、上記効果が不十分で基地組織中にパーライトが残留し、耐摩耗性向上の効果に乏しい。また、Moの含有量が7質量%を超えると上記効果の向上が乏しくなるほか、Mo過共析炭化物(硬質相)が析出し易くなり、被削性を低下させるとともに相手材攻撃性が高まる。よって、Moの含有量は、3〜7質量%とした。なお、Moの上記作用を基地全体に均一に得るためには、MoはFe−Mo合金粉末の形態で付与することが望ましい。
(2)混合用粉末
上記A合金粉末により形成される基地に、硬質相を分散させて耐摩耗性を付与するため、混合用粉末として、Co基合金からなるB合金粉末と、Fe基合金からなるC合金粉末と、黒鉛粉末とを用意する。なお、上記第2の耐摩耗性焼結合金を製造する場合には、さらにNi粉末を用意する。
[B合金粉末(Co基硬質相成形用)]
Co:Coは、基地に拡散して硬質相を基地に強固に結合する働きがある。また、基地に拡散したCoは基地を強化するとともに、基地および硬質相の基地の耐熱性の向上に働く。さらに、Coの一部はMo、SiとともにMo−Co珪化物を形成し、この珪化物が硬質相の核となって耐摩耗性の向上に寄与するとともに、ピン止め効果により基地の塑性流動、凝着を防止する。以上により、B合金粉末をCo基合金により構成した。以下、B合金粉末に含有される成分組成の数値限定の根拠について説明する。
Moは主にSiと結合して、耐摩耗性、潤滑性に優れたMo珪化物を形成し、焼結合金の耐摩耗性の向上に寄与する。また、一部はCoも取り込みCo−Mo−Cr−Si合金により形成されるMo珪化物析出型の硬質粒子となる。B合金粉末中のMo含有量が48質量%未満の場合にはMo珪化物が一体化して析出せず、耐摩耗性が従来程度に止まる。逆にB合金粉末中のMo含有量が60質量%を超えると、Mo増量の効果がより大きくなり、粉末の硬さが高くなって成形時の圧縮性を損ねる。また、形成される硬質相が脆くなるため、衝撃によって一部が欠けてしまい、研摩粉の作用によって耐摩耗性が逆に低下する。よって、B合金粉末中のMo含有量は48〜60質量%とした。
Cr:Crは、硬質相のCo基地の強化に寄与する。また、Fe基地へ拡散して、Fe基地の耐摩耗性向上にも寄与する。B合金粉末中のCr含有量が3質量%に満たないとこれらの効果が乏しい。逆に、Cr含有量が12質量%を超えると、粉末の酸素量が多くなって粉末表面に酸化被膜が形成されて焼結の進行を阻害するとともに、酸化被膜により粉末が硬くなるため圧縮性の低下が生じる。このため、焼結合金の強度が低下し、耐摩耗性の低下を招くことから、Cr含有量の上限値は12質量%とした。以上により、B合金粉末中のCr含有量は3〜12質量%とした。
Si:Siは主にMoと反応して、耐摩耗性、潤滑性に優れたMo珪化物を形成し、焼結合金の耐摩耗性の向上に寄与する。B合金粉末中のSi含有量が1質量%未満の場合には、十分なMo珪化物が得られないため、十分な耐摩耗性向上効果が得られない。一方、Si含有量が過大であると、Moと反応しないで基地に拡散するSiが増える。SiはFe基地を硬くするが、同時に脆くもする。このため、ある程度のSiの基地への拡散は、硬質相の基地への固着の点で有効である。しかしながら、過大なSiの拡散は、Fe基地の耐摩耗性を低下させ、相手攻撃性を増加させることとなるので、好ましくない。ここで、Moと反応しないSi量を低減すれば、その分粉末の硬さを増加させずに適切なMo量を与えることができる。よって、Mo量と反応しないで基地に拡散するSiが増え始める5質量%をSi含有量の上限とした。以上により、B合金粉末中のSi含有量は1〜5質量%とした。
次に、B合金粉末の添加量について説明する。上述のように、B合金粉末による硬質相は、基地に強固に固着し、元の粉末部分がMo珪化物を主体とする硬質粒子が一体となった硬質相を形成するとともに、この硬質粒子の内部および周囲にCo,Cr濃度の高い拡散相(白色相)が析出した組織を形成する。ここで、B合金粉末の添加量は多いほど耐摩耗性が良好となる。しかしながら、混合粉末全体に対して添加量が5質量%未満では、金属接触が発生する環境下では、基地のピン止め効果が不十分で、基地の塑性流動、凝着が発生して摩耗が進行し、耐摩耗性向上の効果が乏しい。また逆に、添加量が40質量%を超えると、混合粉末の圧縮性が低くなって焼結後の密度や強度が低くなり、耐摩耗性も低下する。よって、B合金粉末の添加量は、混合粉末全体に対して5〜40質量%とした。
[C合金粉末(Fe基硬質相成形用)]
Fe:Feは、ここでは、いわゆるMo系高速度工具鋼の基地となり、耐摩耗性の向上に寄与する。よって、C合金粉末をFe基合金により構成した。以下、C合金粉末に含有される成分組成の数値限定の根拠について説明する。
Mo:Moは、炭化物を形成して耐摩耗性の向上に寄与する。また、基地へ拡散して硬質相の基地への固着を高める働きを有する。C合金粉末中のMoの含有量が4質量%に満たないと析出するMo炭化物の量が乏しくなり、耐摩耗性の向上の効果が乏しくなる。一方、8質量%を超えると、析出するMo炭化物の量が多くなり過ぎ、相手攻撃性が高まるとともに、被削性を極端に低下させる。したがって、C合金粉末中のMoの含有量は、4〜8質量%とした。
V:Vは硬く微小なV炭化物を形成して耐摩耗性の向上に寄与する。この効果はC合金粉末中のVの含有量が0.5質量%以上で顕著であり、一方、3質量%を超えると、析出するV炭化物の量が多くなり過ぎ、相手攻撃性が高まるとともに、被削性を極端に低下させる。したがって、C合金粉末中のVの含有量は、0.5〜3質量%とした。
W:Wは、硬質なW炭化物を形成して耐摩耗性の向上に寄与する。C合金粉末中のWの含有量が4質量%に満たないと析出するW炭化物の量が乏しくなり、耐摩耗性の向上の効果が乏しくなる。一方、8質量%を超えると、析出するW炭化物の量が多くなり過ぎ、相手攻撃性が高まるとともに、被削性を極端に低下させる。したがって、C合金粉末中のWの含有量は、4〜8質量%とした。
Cr:Crは、炭化物を形成して耐摩耗性の向上に寄与する。また、基地へ拡散して硬質相の基地への固着を高めるとともに、基地の焼き入れ性を向上させて焼結後の冷却過程で基地組織をマルテンサイト化して基地の耐摩耗性を向上させる働きを有する。C合金粉末中のCrの含有量が2質量%に満たないと析出するCr炭化物の量が乏しくなり、耐摩耗性の向上の効果が乏しくなる。一方、6質量%を超えると、析出するCr炭化物の量が多くなり過ぎ、相手攻撃性が高まるとともに、被削性を極端に低下させる。よって、C合金粉末中のCrの含有量は、2〜6質量%とした。
C:上記の合金成分をFe合金粉末として固溶して与えると粉末が硬くなり過ぎ圧縮性が極端に低下する。そこで、Fe基合金粉末中にCを与えて、Fe合金粉末中に固溶する合金成分の一部を炭化物の形態で析出させる。このようにするとFe基合金粉末中に炭化物が析出分散することになるが、Fe合金粉末の基地部分に固溶する合金成分は減少する。このため、Fe基合金粉末全体としては、粉末の硬さが低下することなり、圧縮性が向上する。Fe基合金粉末中に与えるCのC合金粉末中の含有量が0.6質量%に満たないと析出する炭化物の量が少なく圧縮性の改善が十分ではない。一方、1.2%を超えて与えると、Fe基合金粉末中に析出する炭化物の量がかえって多くなり、圧縮性が低下することとなる。よって、C合金粉末中のCの含有量は、0.6〜1.2質量%とした。
次に、C合金粉末の添加量について説明する。上記C合金粉末は、上記基地中に5〜30質量%分散させると、極めて良好な耐摩耗性を示す。C合金粉末の添加量が混合粉末全体の質量に対して5質量%未満であると、耐摩耗性向上の効果が顕著ではなく、30質量%を超えると、混合粉末の圧縮性が低下するとともに、相手攻撃性が高まり、かえって摩耗量が増加する。よって、C合金粉末の添加量は混合粉末の質量全体の5〜30質量%とした。
[Ni粉末]
Niは基地に固溶して強化するとともに、焼結後は通常の冷却速度でマルテンサイトを得易くするために添加する。Niの付与形態としては、Fe−Mo合金粉末に固溶させて与えるとNiが均一になるためベイナイト単相組織を得易い。一方、Niを単味粉としての形態で、またはFe−Mo合金粉末に部分拡散させた形態で与えると、基地中にNi濃度の高い部分が偏在する。このため、Ni濃度の高い部分がマルテンサイトに変態し、ベイナイト組織中にマルテンサイトが分散する組織を得易い。また、単味粉として用いる場合、元のNi粉末の部分はNi濃度が高く、靱性の高いオーステナイトとして残留し、基地の靱性を高める働きを有する。ただし、オーステナイトが過度に分散すると耐摩耗性が低下するため、Niの含有量は、混合粉末の質量全体の13質量%以下とする必要がある。なお、本発明の耐摩耗性焼結合金においては、Niは第2の耐摩耗性焼結合金にのみ含有されている。
[黒鉛粉末]
Cを基地成形用のA合金粉末に固溶させて与えた場合、合金粉末が固くなって圧縮性が低下するので、黒鉛粉末の形態で添加する。黒鉛粉未の形態で添加されたCは、基地を強化するとともに、耐摩耗性を向上させる。Cの添加量が0.3質量%未満であると基地組織に耐摩耗性、強度ともに低いフェライトが残留するようになり、1.2質量%を超えると粒界にセメンタイトが析出し始めて強度が低下する。よって、添加する黒鉛は、基地成形用のA合金粉末の質量に対して0.3〜1.2質量%とした。
上記所定量のA合金粉末、B合金粉末、C合金粉末および黒鉛粉末を用いて製造した、本発明に係る第1の耐摩耗性焼結合金は、全体組成が、質量比で、Mo:5.26〜28.47%、Co:1.15〜19.2%、Cr:0.25〜6.6%、Si:0.05〜2.0%、V:0.03〜0.9%、W:0.2〜2.4%、およびC:0.43〜1.56%であって、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、ベイナイト相、またはベイナイトとマルテンサイトとの混合相からなる基地組織中に、Co基合金基地に主としてMo珪化物よりなる析出物が一体化して析出したCo基硬質相が5〜40%分散し、Fe基合金基地に粒状のCr炭化物、Mo炭化物、V炭化物およびW炭化物が析出したFe基硬質相が5〜30%分散する金属組織を呈する。
また、上記所定量のA合金粉末、B合金粉末、C合金粉末、Ni粉末および黒鉛粉末を用いて製造した、本発明に係る第2の耐摩耗性焼結合金は、全体組成が、質量比で、Mo:4.87〜28.47%、Co:1.15〜19.2%、Cr:0.25〜6.6%、Si:0.05〜2.0%、V:0.03〜0.9%、W:0.2〜2.4%、C:0.43〜1.56%、およびNi:13%以下であって、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、ベイナイト相、マルテンサイトおよびオーステナイトの混合相からなる基地組織中に、Co基合金基地に主としてMo珪化物よりなる析出物が一体化して析出したCo基硬質相が5〜40%分散し、Fe基合金基地に粒状のCr炭化物、Mo炭化物、V炭化物およびW炭化物が析出したFe基硬質相が5〜30%分散する金属組織を呈する。
次に、本発明の第1および第2の耐摩耗性焼結合金の製造方法における好ましい付加的要素を説明する。
(1)鉛、二硫化モリブデン、硫化マンガン、窒化硼素、メタ珪酸マグネシウム系鉱物、フッ化カルシウム粉末の添加
本発明の耐摩耗性焼結合金の被削性を改善するために、上記混合粉末には、鉛粉末、二硫化モリブデン粉末、硫化マンガン粉末、窒化硼素粉末、メタ珪酸マグネシウム系鉱物の粉末、フッ化カルシウム粉末のうち、少なくとも1種を、混合粉末に対して0.3〜2.0質量%添加することができる。なお、この添加量の数値限定の根拠は前述のとおりである。
(2)鉛、鉛合金、銅、銅合金、およびアクリル樹脂の溶浸または含浸
上記製造方法により製造した本発明の耐摩耗性焼結合金の気孔中に、鉛、鉛合金、銅、銅合金、およびアクリル樹脂を溶浸もしくは含浸することもできる。具体的には、混合粉末中に鉛や銅等の粉末を添加し、粉末の成形体を焼結することで気孔中にそれら金属を含有させる(溶浸)。あるいは、密閉容器内に溶融したアクリル樹脂と耐摩耗性焼結合金とを充填し、密閉容器の内部を減圧することでアクリル樹脂を気孔内に充填することができる(含浸)。なお、アクリル樹脂に代えて溶融した鉛または銅もしくは銅合金を用いることにより、これら金属を気孔内に含浸させることもできる。
[Co基硬質相形成合金粉末(B合金粉末)の組成と添加量の影響]
表1に示す基地形成用のA合金粉末と、Co基硬質相形成用のB合金粉末と、Fe基硬質相形成用のC合金粉末と、黒鉛粉末とを、表1に示す割合で、成形潤滑剤(ステアリン酸亜鉛0.8質量%)とともに配合し、混合した混合粉末を成形圧力650MPaでφ30×φ20×h10のリングに成形した。
Figure 2005154796
次に、これら成形体を、アンモニア分解ガス雰囲気中で1180℃で60分間焼結し、表2に示す組成の試料01〜20を作製した。以上の試料について、簡易摩耗試験を行った結果を表2に併記する。
Figure 2005154796
なお、簡易摩耗試験は、高温下で叩きと摺動の入力がかかる状態で行った。具体的には、上記リング状試験片を、内径面に45°のテーパ面を有するバルブシート形状に加工し、焼結合金をアルミ合金製ハウジングに圧入嵌合した。そして、SUH−36素材で作製した外形面に一部45°のテーパ面を有する円盤形状の相手材(バルブ)を、モーター駆動による偏心カムの回転によって上下ピストン運動させることにより、焼結合金と相手材とのテーパ面同士を繰り返し衝突させた。すなわち、バルブの動作は、モータ駆動によって回転する偏心カムによってバルブシートから離れる開放動作と、バルブスプリングによるバルブシートへの着座動作とを繰り返し、上下ピストン運動が実現される。なお、この試験では、相手材をバーナーで加熱して焼結合金が300℃となるように温度設定し、簡易摩耗試験叩き回数を2800回/分、繰り返し時間を15時間とした。このようにして、試験後のバルブシートの摩耗量およびバルブの摩耗量を測定して評価を行った。
以下、図3〜図6を参照して試験結果を考察する。
(摩耗量とB合金粉末中のMo量との関係)
図3に示すように、B合金中のMo量が48〜60質量%の範囲である焼結合金(試料番号02〜05)は、バルブシートおよびバルブの摩耗量が安定して低くなっており、良好な耐摩耗性を示すことが判る。一方、Mo量が48〜60質量%の範囲を逸脱している焼結合金(試料番号01,06)は、とくにバルブシートの摩耗量が顕著に高くなっており、バルブの摩耗量も比較的高い。したがって、B合金粉末中のMo量が48〜60質量%の範囲であれば、優れた耐摩耗性が実現されることが確認された。
(摩耗量とB合金粉末中のSi量との関係)
図4に示すように、B合金中のSi量が1〜5質量%の範囲である焼結合金(試料番号03,08.09)は、バルブシートおよびバルブの摩耗量が安定して低くなっており、良好な耐摩耗性を示すことが判る。一方、Si量が1〜5質量%の範囲を逸脱している焼結合金(試料番号07,10)は、とくにバルブシートの摩耗量が顕著に高くなっている。したがって、B合金粉末中のSi量が1〜5質量%の範囲であれば、優れた耐摩耗性が実現されることが確認された。
(摩耗量とB合金粉末中のCr量との関係)
図5に示すように、B合金中のCr量が3〜12質量%の範囲である焼結合金(試料番号03,12〜14)は、バルブシートおよびバルブの摩耗量が安定して低くなっており、良好な耐摩耗性を示すことが判る。一方、Cr量が3〜12質量%の範囲を逸脱している焼結合金(試料番号11,15)は、とくにバルブシートの摩耗量が顕著に高くなっている。したがって、B合金粉末中のCr量が3〜12質量%の範囲であれば、優れた耐摩耗性が実現されることが確認された。
(摩耗量とB合金粉末の添加量との関係)
図6に示すように、混合粉末全体の質量に対するB合金粉末の添加量が5〜40質量%の範囲である焼結合金(試料番号03,17〜19)は、バルブシートおよびバルブの摩耗量が安定して低くなっており、良好な耐摩耗性を示すことが判る。一方、B合金粉末の添加量が5〜40質量%の範囲を逸脱している焼結合金(試料番号16,20)は、とくにバルブシートの摩耗量が顕著に高くなっている。したがって、混合粉末全体の質量に対するB合金粉末の添加量が5〜40質量%の範囲であれば、優れた耐摩耗性が実現されることが確認された。
[基地形成合金粉末(A合金粉末)の組成と添加量の影響]
表3にそれぞれ示す基地形成用のA合金粉末と、Co基硬質相形成用のB合金粉末と、Fe基硬質相形成用のC合金粉末と、黒鉛粉末とを、表3に示す割合で、成形潤滑剤(ステアリン酸亜鉛0.8質量%)とともに配合し、混合した混合粉末を成形圧力650MPaでφ30×φ20×h10のリングに成形した。次いで、実施例1と同様の条件で焼結を行い、表4に示す組成の試料03,21〜24を作製した。以上の試料について、実施例1と同様に、簡易摩耗試験を行った。その結果を表4に併記する。
Figure 2005154796
Figure 2005154796
以下、図7を参照して試験結果を考察する。
(摩耗量とA合金粉末中のMo量との関係)
図7に示すように、A合金中のMo量が3〜7質量%の範囲である焼結合金(試料番号03,22,23)は、バルブシートおよびバルブの摩耗量が安定して低くなっており、良好な耐摩耗性を示すことが判る。一方、Mo量が3〜7質量%の範囲を逸脱している焼結合金(試料番号21,24)は、とくにバルブシートの摩耗量が顕著に高くなっている。したがって、A合金粉末中のMo量が3〜7質量%の範囲であれば、優れた耐摩耗性が実現されることが確認された。
[Fe基硬質相形成合金粉末(C合金粉末)の組成と添加量の影響]
表5にそれぞれ示す基地形成用のA合金粉末と、Co基硬質相形成用のB合金粉末と、Fe基硬質相形成用のC合金粉末と、黒鉛粉末とを、表3に示す割合で、成形潤滑剤(ステアリン酸亜鉛0.8質量%)とともに配合し、混合した混合粉末を成形圧力650MPaでφ30×φ20×h10のリングに成形した。次いで、実施例1と同様の条件で焼結を行い、表6に示す組成の試料03,25〜43を作製した。以上の試料について、実施例1と同様に、簡易摩耗試験を行った。その結果を表6に併記する。
Figure 2005154796
Figure 2005154796
以下、図8〜図11を参照して試験結果を考察する。
(摩耗量とC合金粉末中のMo量との関係)
図8に示すように、C合金中のMo量が4〜8質量%の範囲である焼結合金(試料番号03,26,27)は、バルブシートおよびバルブの摩耗量が安定して低くなっており、良好な耐摩耗性を示すことが判る。一方、Mo量が4〜8質量%の範囲を逸脱している焼結合金(試料番号25,28)は、とくにバルブシートの摩耗量が顕著に高くなっている。したがって、C合金粉末中のMo量が4〜8質量%の範囲であれば、優れた耐摩耗性が実現されることが確認された。
(摩耗量とC合金粉末中の合金元素(V,W,Cr)の量との関係)
図9に示すように、C合金中の合金元素の量がV:0.5〜3質量%、W:4〜8質量%、およびCr:2〜6質量%の範囲である焼結合金(試料番号03,30,31)は、バルブシートおよびバルブの摩耗量が安定して低くなっており、良好な耐摩耗性を示すことが判る。一方、C合金中の合金元素の量がV:0.5〜3質量%、W:4〜8質量%、およびCr:2〜6質量%の範囲を逸脱している焼結合金(試料番号29,32)は、とくにバルブシートの摩耗量が顕著に高くなっている。したがって、C合金中の合金元素の量がV:0.5〜3質量%、W:4〜8質量%、およびCr:2〜6質量%の範囲であれば、優れた耐摩耗性が実現されることが確認された。
(摩耗量とC合金粉末中のC量との関係)
図10に示すように、C合金中のC量が0.6〜1.2質量%の範囲である焼結合金(試料番号03,34,35)は、バルブシートおよびバルブの摩耗量が安定して低くなっており、良好な耐摩耗性を示すことが判る。一方、C量が0.6〜1.2質量%の範囲を逸脱している焼結合金(試料番号33,36)は、とくにバルブシートの摩耗量が顕著に高くなっている。したがって、C合金粉末中のC量が0.6〜1.2質量%の範囲であれば、優れた耐摩耗性が実現されることが確認された。
(摩耗量とC合金粉末の添加量との関係)
図11に示すように、混合粉末全体の質量に対するC合金粉末の添加量が5〜30質量%の範囲である焼結合金(試料番号03,38〜42)は、バルブシートおよびバルブの摩耗量が安定して低くなっており、良好な耐摩耗性を示すことが判る。一方、C合金粉末の添加量が5〜30質量%の範囲を逸脱している焼結合金(試料番号37,43)は、とくにバルブシートの摩耗量が顕著に高くなっている。したがって、混合粉末全体の質量に対するC合金粉末の添加量が5〜30質量%の範囲であれば、優れた耐摩耗性が実現されることが確認された。
[Ni粉末添加の影響]
表7にそれぞれ示す基地形成用のA合金粉末と、Co基硬質相形成用のB合金粉末と、Fe基硬質相形成用のC合金粉末と、Ni粉末と、黒鉛粉末とを、表7に示す割合で、成形潤滑剤(ステアリン酸亜鉛0.8質量%)とともに配合し、混合した混合粉末を成形圧力650MPaでφ30×φ20×h10のリングに成形した。次いで、実施例1と同様の条件で焼結を行い、表8に示す組成の試料03,44〜48を作製した。以上の試料について、実施例1と同様に、簡易摩耗試験を行った。その結果を表8に併記する。
Figure 2005154796
Figure 2005154796
以下、図12を参照して試験結果を考察する。
(摩耗量とNi粉末の添加量との関係)
図12に示すように、Ni粉末の添加量が13質量%以下の範囲である焼結合金(試料番号03,44〜47)は、バルブシートおよびバルブの摩耗量が安定して低くなっており、良好な耐摩耗性を示すことが判る。一方、Ni粉末の添加量が13質量%以下の範囲を逸脱している焼結合金(試料番号48)は、とくにバルブシートの摩耗量が顕著に高くなっている。したがって、Ni粉末の添加量が13質量%以下の範囲であれば、優れた耐摩耗性が実現されることが確認された。
[黒鉛粉末添加の影響]
表9にそれぞれ示す基地形成用のA合金粉末と、Co基硬質相形成用のB合金粉末と、Fe基硬質相形成用のC合金粉末と、黒鉛粉末とを、表9に示す割合で、成形潤滑剤(ステアリン酸亜鉛0.8質量%)とともに配合し、混合した混合粉末を成形圧力650MPaでφ30×φ20×h10のリングに成形した。次いで、実施例1と同様の条件で焼結を行い、表10に示す組成の試料03,49〜54を作製した。以上の試料について、実施例1と同様に、簡易摩耗試験を行った。その結果を表10に併記する。
Figure 2005154796
Figure 2005154796
以下、図13を参照して試験結果を考察する。
(摩耗量と黒鉛粉末の添加量との関係)
図13に示すように、黒鉛粉末の添加量が0.3〜1.2質量%の範囲である焼結合金(試料番号03,50〜53)は、バルブシートおよびバルブの摩耗量が安定して低くなっており、良好な耐摩耗性を示すことが判る。一方、黒鉛粉末の添加量が0.3〜1.2質量%の範囲を逸脱している焼結合金(試料番号49,54)は、とくにバルブシートの摩耗量が顕著に高くなっている。したがって、黒鉛粉末の添加量が0.3〜1.2質量%の範囲であれば、優れた耐摩耗性が実現されることが確認された。
[焼結温度の影響]
表11にそれぞれ示す基地形成用のA合金粉末と、Co基硬質相形成用のB合金粉末と、Fe基硬質相形成用のC合金粉末と、黒鉛粉末とを、表11に示す割合で、成形潤滑剤(ステアリン酸亜鉛0.8質量%)とともに配合し、混合した混合粉末を成形圧力650MPaでφ30×φ20×h10のリングに成形した。次いで、実施例1と同様の条件で焼結を行い、表12に示す組成の試料03,55〜59を作製した。以上の試料について、実施例1と同様に、簡易摩耗試験を行った。その結果を表12に併記する。
Figure 2005154796
Figure 2005154796
以下、図14を参照して試験結果を考察する。
(摩耗量と焼結温度との関係)
図14に示すように、焼結温度が1000〜1200℃の範囲である焼結合金(試料番号03,56〜58)は、バルブシートおよびバルブの摩耗量が安定して低くなっており、良好な耐摩耗性を示すことが判る。一方、焼結温度が1000〜1200℃の範囲を逸脱している焼結合金(試料番号55,59)は、とくにバルブシートの摩耗量が顕著に高くなっている。したがって、焼結温度が1000〜1200℃の範囲であれば、優れた耐摩耗性が実現されることが確認された。
本発明の焼結合金の活用例としては、耐摩耗性を向上させたことにより、自動車エンジンの高性能化により作動条件が近年一段と厳しくなっているバルブシートに適用することができる。
本発明の第1の耐摩耗性焼結合金の金属組織を表す模式図である。 本発明の第2の耐摩耗性焼結合金の金属組織を表す模式図である。 摩耗量とB合金粉末中のMo量との関係を示すグラフである。 摩耗量とB合金粉末中のSi量との関係を示すグラフである。 摩耗量とB合金粉末中のCr量との関係を示すグラフである。 摩耗量とB合金粉末の添加量との関係を示すグラフである。 摩耗量とA合金粉末中のMo量との関係を示すグラフである。 摩耗量とC合金粉末中のMo量との関係を示すグラフである。 摩耗量とC合金粉末中の合金元素(V,W,Cr)の量との関係を示すグラフである。 摩耗量とC合金粉末中のC量との関係を示すグラフである。 摩耗量とC合金粉末の添加量との関係を示すグラフである。 摩耗量とNi粉末の添加量との関係を示すグラフである。 摩耗量と黒鉛粉末の添加量との関係を示すグラフである。 摩耗量と焼結温度との関係を示すグラフである。

Claims (8)

  1. 全体組成が、質量比で、Mo:5.26〜28.47%、Co:1.15〜19.2%、Cr:0.25〜6.6%、Si:0.05〜2.0%、V:0.03〜0.9%、W:0.2〜2.4%、およびC:0.43〜1.56%であって、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、
    ベイナイト相、またはベイナイトとマルテンサイトとの混合相からなる基地組織中に、
    Co基合金基地に主としてMo珪化物よりなる析出物が一体化して析出したCo基硬質相が5〜40%分散し、
    Fe基合金基地に粒状のCr炭化物、Mo炭化物、V炭化物およびW炭化物が析出したFe基硬質相が5〜30%分散していることを特徴とする耐摩耗性焼結合金。
  2. 全体組成が、質量比で、Mo:4.87〜28.47%、Co:1.15〜19.2%、Cr:0.25〜6.6%、Si:0.05〜2.0%、V:0.03〜0.9%、W:0.2〜2.4%、C:0.43〜1.56%、およびNi:13%以下であって、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、
    ベイナイト相、マルテンサイトおよびオーステナイトの混合相からなる基地組織中に、
    Co基合金基地に主としてMo珪化物よりなる析出物が一体化して析出したCo基硬質相が5〜40%分散し、
    Fe基合金基地に粒状のCr炭化物、Mo炭化物、V炭化物およびW炭化物が析出したFe基硬質相が5〜30%分散していることを特徴とする耐摩耗性焼結合金。
  3. 前記基地組織中に、鉛、二硫化モリブデン、硫化マンガン、窒化硼素、メタ珪酸マグネシウム系鉱物、およびフッ化カルシウムの群より選ばれる少なくとも1種の被削性改善物質粒子が0.3〜2.0質量%分散していることを特徴とする請求項1または2に記載の耐摩耗性焼結合金。
  4. 気孔中に、鉛、鉛合金、銅、銅合金、およびアクリル樹脂の群より選ばれる1種が、充填されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の耐摩耗性焼結合金。
  5. 組成が、質量比で、Mo:3〜7%ならびに残部:Feおよび不可避的不純物からなる基地形成用のA合金粉末に、
    組成が、質量比で、Mo:48〜60%、Cr:3〜12%、Si:1〜5%、ならびに残部:Coおよび不可避的不純物からなるCo基硬質相形成用のB合金粉末:5〜40%と、
    組成が、質量比で、Mo:4〜8%、V:0.5〜3%、W:4〜8%、Cr:2〜6%、C:0.6〜1.2%ならびに残部:Feおよび不可避的不純物からなるFe基硬質相形成用のC合金粉末:5〜30%と、
    黒鉛粉末:0.3〜1.2質量%と
    を添加した混合粉末を用意し、
    前記混合粉末を所定形状に圧粉成形した後、非酸化性雰囲気中にて1000〜1200℃で焼結することを特徴とする耐摩耗性焼結合金の製造方法。
  6. 前記混合粉末に、さらに、Ni粉末:13質量%以下を添加することを特徴とする請求項5に記載の耐摩耗性焼結合金の製造方法。
  7. 前記混合粉末に、さらに、鉛、二硫化モリブデン、硫化マンガン、窒化硼素、メタ珪酸マグネシウム系鉱物、およびフッ化カルシウムの群より選ばれる少なくとも1種の被削性改善物質粉末:0.3〜2.0質量%を添加することを特徴とする請求項5または6に記載の耐摩耗性焼結合金の製造方法。
  8. 請求項5〜7のいずれかに記載の耐摩耗性焼結合金の気孔中に、鉛、鉛合金、銅、銅合金、およびアクリル樹脂の群より選ばれる1種を溶浸または含浸することを特徴とする耐摩耗性焼結合金の製造方法。
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