JP2017007634A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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浩史 古澤
Hiroshi Furusawa
浩史 古澤
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Abstract

【課題】タイヤの氷上性能あるいは雪上性能を向上できる空気入りタイヤを提供すること。
【解決手段】この空気入りタイヤは、複数のブロック5をトレッド面に備える。また、ブロック5が、複数の細浅溝7と、複数の凹部8とを接地面に備える。また、1つのブロック5の接地面をタイヤ周方向に三等分して一対の端部領域を定義するときに、ブロック5の接地面のタイヤ周方向の一方の端部領域ER1における凹部8の開口面積率Se1と、タイヤ周方向の他方の端部領域ER2における凹部8の開口面積率Se2とが、Se2<Se1の関係を有する。
【選択図】図3

Description

この発明は、空気入りタイヤに関し、さらに詳しくは、タイヤの氷上性能あるいは雪上性能を向上できる空気入りタイヤに関する。
一般的な新品タイヤでは、薬品がトレッド表面に付着しているため、摩耗初期におけるブロックの吸水作用およびエッジ作用が小さく、氷上制動性能が低いという課題がある。このため、近年のスタッドレスタイヤでは、浅く微細な複数の細浅溝をブロックの表面に備える構成が採用されている。かかる構成では、摩耗初期にて、細浅溝が氷路面とトレッド面との間に介在する水膜を除去することにより、タイヤの氷上制動性能が向上する。かかる構成を採用する従来の空気入りタイヤとして、特許文献1に記載される技術が知られている。
特許第3702958号公報
この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、タイヤの氷上性能あるいは雪上性能を向上できる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、この発明にかかる空気入りタイヤは、複数のブロックをトレッド面に備える空気入りタイヤであって、前記ブロックが、複数の細浅溝と、複数の凹部とを接地面に備え、且つ、1つの前記ブロックの接地面をタイヤ周方向に三等分して一対の端部領域を定義するときに、前記ブロックの接地面のタイヤ周方向の一方の前記端部領域における前記凹部の開口面積率Se1と、タイヤ周方向の他方の前記端部領域における前記凹部の開口面積率Se2とが、Se2<Se1の関係を有することを特徴とする。
この発明にかかる空気入りタイヤでは、ブロックの一方の端部領域では、凹部が高い開口面積率Se1で配置されるので、凹部の吸水作用により、氷路面に対するブロック踏面の密着性が向上して、タイヤの氷上制動性能が向上する。また、端部領域の接地圧が上昇し、雪路における雪柱剪断力が増加して、タイヤの雪上性能が向上する。また、ブロックの他方の端部領域では、凹部が低い開口面積率Se2で配置されるので、ブロックのエッジ部の剛性が確保され、また、ブロックのエッジ部の接地面積が確保される。そして、ブロックのタイヤ周方向の前後の端部領域が相互に異なる接地特性を有することにより、タイヤの雪上性能あるいは氷上性能が向上する利点がある。
図1は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤを示すタイヤ子午線方向の断面図である。 図2は、図1に記載した空気入りタイヤのトレッド面を示す平面図である。 図3は、図2に記載した空気入りタイヤの陸部を示す説明図である。 図4は、図3に記載したブロックの要部を示す拡大図である。 図5は、図4に記載したブロックの接地面のA−A視断面図である。 図6は、図2に記載した空気入りタイヤの陸部を示す説明図である。 図7は、図2に記載した空気入りタイヤの陸部を示す説明図である。 図8は、図4に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図9は、図4に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図10は、図4に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図11は、図4に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図12は、図4に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図13は、図4に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図14は、図4に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図15は、図4に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図16は、図4に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図17は、図5に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図18は、図4に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図19は、図4に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図20は、図4に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図21は、図4に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図22は、図2に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図23は、図2に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図24は、図2に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図25は、図2に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図26は、図2に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図27は、図2に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図28は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。 図29は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。 図30は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。 図31は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施の形態の構成要素には、発明の同一性を維持しつつ置換可能かつ置換自明なものが含まれる。また、この実施の形態に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
[空気入りタイヤ]
図1は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤを示すタイヤ子午線方向の断面図である。同図は、タイヤ径方向の片側領域の断面図を示している。また、同図は、空気入りタイヤの一例として、乗用車用ラジアルタイヤを示している。
同図において、タイヤ子午線方向の断面とは、タイヤ回転軸(図示省略)を含む平面でタイヤを切断したときの断面をいう。また、符号CLは、タイヤ赤道面であり、タイヤ回転軸方向にかかるタイヤの中心点を通りタイヤ回転軸に垂直な平面をいう。また、タイヤ幅方向とは、タイヤ回転軸に平行な方向をいい、タイヤ径方向とは、タイヤ回転軸に垂直な方向をいう。
この空気入りタイヤ1は、タイヤ回転軸を中心とする環状構造を有し、一対のビードコア11、11と、一対のビードフィラー12、12と、カーカス層13と、ベルト層14と、トレッドゴム15と、一対のサイドウォールゴム16、16と、一対のリムクッションゴム17、17とを備える(図1参照)。
一対のビードコア11、11は、複数のビードワイヤを束ねて成る環状部材であり、左右のビード部のコアを構成する。一対のビードフィラー12、12は、一対のビードコア11、11のタイヤ径方向外周にそれぞれ配置されてビード部を構成する。
カーカス層13は、1枚のカーカスプライから成る単層構造あるいは複数のカーカスプライを積層して成る多層構造を有し、左右のビードコア11、11間にトロイダル状に架け渡されてタイヤの骨格を構成する。また、カーカス層13の両端部は、ビードコア11およびビードフィラー12を包み込むようにタイヤ幅方向外側に巻き返されて係止される。また、カーカス層13のカーカスプライは、スチールあるいは有機繊維材(例えば、アラミド、ナイロン、ポリエステル、レーヨンなど)から成る複数のカーカスコードをコートゴムで被覆して圧延加工して構成され、絶対値で80[deg]以上95[deg]以下のカーカス角度(タイヤ周方向に対するカーカスコードの繊維方向の傾斜角として定義される)を有する。
ベルト層14は、一対の交差ベルト141、142と、ベルトカバー143とを積層して成り、カーカス層13の外周に掛け廻されて配置される。一対の交差ベルト141、142は、スチールあるいは有機繊維材から成る複数のベルトコードをコートゴムで被覆して圧延加工して構成され、絶対値で20[deg]以上55[deg]以下のベルト角度を有する。また、一対の交差ベルト141、142は、相互に異符号のベルト角度(タイヤ周方向に対するベルトコードの繊維方向の傾斜角として定義される)を有し、ベルトコードの繊維方向を相互に交差させて積層される(いわゆるクロスプライ構造)。ベルトカバー143は、コートゴムで被覆されたスチールあるいは有機繊維材から成る複数のコードを圧延加工して構成され、絶対値で0[deg]以上10[deg]以下のベルト角度を有する。また、ベルトカバー143は、交差ベルト141、142のタイヤ径方向外側に積層されて配置される。
トレッドゴム15は、カーカス層13およびベルト層14のタイヤ径方向外周に配置されてタイヤのトレッド部を構成する。一対のサイドウォールゴム16、16は、カーカス層13のタイヤ幅方向外側にそれぞれ配置されて左右のサイドウォール部を構成する。一対のリムクッションゴム17、17は、左右のビードコア11、11およびカーカス層13の巻き返し部のタイヤ径方向内側にそれぞれ配置されて、リムフランジに対する左右のビード部の接触面を構成する。
[トレッドパターン]
図2は、図1に記載した空気入りタイヤのトレッド面を示す平面図である。同図は、スタッドレスタイヤのトレッドパターンを示している。同図において、タイヤ周方向とは、タイヤ回転軸周りの方向をいう。また、符号Tは、タイヤ接地端である。
図2に示すように、空気入りタイヤ1は、タイヤ周方向に延在する複数の周方向主溝21、22と、これらの周方向主溝21、22に区画された複数の陸部31〜33と、これらの陸部31〜33に配置された複数のラグ溝41〜43とをトレッド部に備える。
周方向主溝とは、摩耗末期を示すウェアインジケータを有する周方向溝であり、一般に、5.0[mm]以上の溝幅および7.5[mm]以上の溝深さを有する。また、ラグ溝とは、2.0[mm]以上の溝幅および3.0[mm]以上の溝深さを有する横溝をいう。
溝幅は、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を充填した無負荷状態にて、溝開口部における左右の溝壁の距離の最大値として測定される。陸部が切欠部や面取部をエッジ部に有する構成では、溝長さ方向を法線方向とする断面視にて、トレッド踏面と溝壁の延長線との交点を基準として、溝幅が測定される。また、溝がタイヤ周方向にジグザグ状あるいは波状に延在する構成では、溝壁の振幅の中心線を基準として、溝幅が測定される。
溝深さは、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を充填した無負荷状態にて、トレッド踏面から溝底までの距離の最大値として測定される。また、溝が部分的な凹凸部やサイプを溝底に有する構成では、これらを除外して溝深さが測定される。
規定リムとは、JATMAに規定される「適用リム」、TRAに規定される「Design Rim」、あるいはETRTOに規定される「Measuring Rim」をいう。また、規定内圧とは、JATMAに規定される「最高空気圧」、TRAに規定される「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値、あるいはETRTOに規定される「INFLATION PRESSURES」をいう。また、規定荷重とは、JATMAに規定される「最大負荷能力」、TRAに規定される「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値、あるいはETRTOに規定される「LOAD CAPACITY」をいう。ただし、JATMAにおいて、乗用車用タイヤの場合には、規定内圧が空気圧180[kPa]であり、規定荷重が最大負荷能力の88[%]である。
例えば、図2の構成では、ストレート形状を有する4本の周方向主溝21、22がタイヤ赤道面CLを中心として左右対称に配置されている。また、4本の周方向主溝21、22により、5列の陸部31〜33が区画されている。また、陸部31が、タイヤ赤道面CL上に配置されている。また、各陸部31〜33が、タイヤ周方向に所定間隔で配置されて陸部31〜33をタイヤ幅方向に貫通する複数のラグ溝41〜43を備えている。また、セカンド陸部32が、タイヤ周方向に屈曲しつつ延在する周方向細溝23を備えている。そして、各陸部31〜33が、周方向主溝21、22、周方向細溝23およびラグ溝41〜43に区画されてブロック列となっている。
なお、図2の構成では、上記のように、周方向主溝21、22が、ストレート形状を有している。しかし、これに限らず、周方向主溝21、22が、タイヤ周方向に屈曲あるいは湾曲しつつ延在するジグザグ形状あるいは波状形状を有しても良い(図示省略)。
また、図2の構成では、上記のように、各陸部31〜33が、ラグ溝41〜43によりタイヤ周方向に分断されてブロック列となっている。しかし、これに限らず、例えば、ラグ溝41〜43が陸部31〜33の内部で終端するセミクローズド構造を有することにより、いくつかの陸部31〜33がタイヤ周方向に連続するリブであっても良い(図示省略)。
また、図2の構成では、空気入りタイヤ1が、左右点対称なトレッドパターンを有している。しかし、これに限らず、空気入りタイヤ1が、例えば、左右線対称なトレッドパターン、左右非対称なトレッドパターン、タイヤ回転方向に方向性を有するトレッドパターンを有しても良い(図示省略)。
また、図2の構成では、空気入りタイヤ1が、タイヤ周方向に延在する周方向主溝21、22を備えている。しかし、これに限らず、空気入りタイヤ1が、周方向主溝21、22に代えて、タイヤ周方向に対して所定角度で傾斜しつつ延在する複数の傾斜主溝を備えても良い。例えば、空気入りタイヤ1が、タイヤ周方向に凸となるV字形状を有すると共にタイヤ幅方向に延在して左右のトレッド端に開口する複数のV字傾斜主溝と、隣り合うV字傾斜主溝を接続する複数のラグ溝と、これらのV字傾斜主溝およびラグ溝に区画された複数の陸部とを備えても良い(図示省略)。
[ブロックのサイプ]
図3は、図2に記載した空気入りタイヤの陸部を示す説明図である。同図は、ショルダー陸部33を構成する1つのブロック5の平面図を示している。
図2および図3に示すように、この空気入りタイヤ1では、すべての陸部31〜33のブロック5が複数のサイプ6をそれぞれ有する。これらのサイプ6により、陸部31〜33のエッジ成分が増加して、タイヤの氷上性能および雪上性能が向上する。
サイプは、陸部に形成された切り込みであり、一般に1.0[mm]未満のサイプ幅および2.0[mm]以上のサイプ深さを有することにより、タイヤ接地時に閉塞する。なお、サイプ深さの上限は、特に限定がないが、一般に主溝の溝深さよりも浅い。
サイプ幅は、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を充填した無負荷状態にて、陸部の接地面におけるサイプの開口幅の最大値として測定される。
なお、サイプ6は、両端部にてブロック5の内部で終端するクローズド構造、一方の端部にてブロック5のエッジ部に開口して他方の端部にてブロック5の内部で終端するセミクローズド構造、および、両端部にてブロック5のエッジ部に開口するオープン構造のいずれを有しても良い。また、ブロック5におけるサイプ6の長さ、枚数および配置構造は、当業者自明の範囲内にて適宜選択できる。また、サイプ6は、タイヤ幅方向、タイヤ周方向、およびこれらに傾斜する方向の任意の方向に延在できる。
例えば、図3の構成では、ショルダー陸部33が、最外周方向主溝22および複数のラグ溝43(図2参照)に区画されて成る複数のブロック5を備えている。また、1つのブロック5が複数のサイプ6を備えている。また、これらのサイプ6が、タイヤ幅方向に延在するジグザグ形状を有し、また、タイヤ周方向に所定間隔をあけて並列に配置されている。また、タイヤ周方向の最も外側にあるサイプ6が、両端部にてブロック5の内部で終端するクローズド構造を有している。これにより、タイヤ転動時におけるブロック5の踏み込み側および蹴り出し側のエッジ部の剛性が確保されている。また、タイヤ周方向の中央部にあるサイプ6が、一方の端部にて周方向主溝22に開口し、他方の端部にてブロック5の内部で終端するセミクローズド構造を有している。これにより、ブロック5の中央部の剛性が低減されて、ブロック5のタイヤ周方向の剛性分布が均一化されている。
[ブロックの細浅溝]
図4は、図3に記載したブロックの要部を示す拡大図である。図5は、図4に記載したブロックの接地面のA−A視断面図である。これらの図において、図4は、サイプ6、細浅溝7および凹部8の位置関係を示し、図5は、細浅溝7および凹部8の深さ方向の断面図を示している。
この空気入りタイヤ1では、ブロック5が、複数の細浅溝7を接地面に備える(図3参照)。かかる構成では、タイヤ接地時にて、細浅溝7が氷路面とトレッド面との間に介在する水膜を吸い取って除去することにより、タイヤの氷上制動性能が向上する。
複数の細浅溝7は、長手形状を有すると共に相互に並列に配置される(図4参照)。かかる構成では、細浅溝7が長手形状を有することにより、細浅溝7に吸収された水膜を細浅溝7の長手方向にガイドして排出できる。また、凹部8がかかる長手形状を有する複数の細浅溝7に跨って配置されるので、凹部8が吸収された水膜の溜まり場となり、ブロック5の吸水性が向上する。これらにより、タイヤの氷上制動性能が向上する。
細浅溝7は、0.2[mm]以上0.7[mm]以下の溝幅および0.2[mm]以上0.7[mm]以下の溝深さHg(図5参照)を有する。このため、細浅溝7は、サイプ6よりも浅い。また、複数の細浅溝7が、ブロック5の全面に配置されている。
例えば、図3の構成では、複数の細浅溝7が、ショルダー陸部33のブロック5の接地面の全域に渡って配置されている。また、細浅溝7が、直線形状を有し、タイヤ周方向に対して所定の傾斜角θ(図4参照)にて傾斜して配置されている。また、複数の細浅溝7が、相互に所定間隔P(図4参照)をあけつつ並列に配置されている。また、図4に示すように、細浅溝7が、サイプ6と交差しており、サイプ6により長手方向に分断されている。
なお、図3のように、複数の細浅溝7が長尺形状を有して相互に並列に配置される構成では、細浅溝7の傾斜角θ(図4参照)が、20[deg]≦θ≦80[deg]の範囲にあることが好ましく、40[deg]≦θ≦60[deg]の範囲にあることがより好ましい。また、細浅溝7の配置間隔P(図4参照)が、0.5[mm]≦P≦1.5[mm]の範囲にあることが好ましく、0.7[mm]≦P≦1.2[mm]の範囲にあることがより好ましい。これにより、細浅溝7による水膜除去作用が適正に確保され、また、ブロック5の接地面積が確保される。なお、細浅溝7の配置密度は、特に限定がないが、上記の配置間隔Pにより制約を受ける。
細浅溝7の配置間隔Pは、隣り合う細浅溝7、7の溝中心線の距離として定義される。
[ブロックの凹部]
図2および図3に示すように、この空気入りタイヤ1では、すべてのブロック5が、複数の凹部8を接地面に備える。かかる構成では、タイヤ接地時にて、凹部8が氷路面とトレッド面との間に生ずる水膜を吸い取ることにより、氷路面に対するブロック踏面の密着性が向上する。これにより、タイヤの氷上制動性能が向上する。また、凹部8によりブロック5のエッジ成分が増加して、雪路における雪柱剪断力(いわゆる掘り起こし力)が増加する。これにより、タイヤの雪上性能が向上する。
凹部8は、ブロック5の接地面に形成されたクローズドな窪み(接地面の境界に開口していない窪み。いわゆるディンプル)であり、ブロック5の接地面にて任意の幾何学的形状を有する。例えば、凹部8が、円形、楕円形、四角形、六角形などの多角形を有し得る。円形あるいは楕円形の凹部8は、ブロック5の接地面の偏摩耗が小さい点で好ましく、多角形の凹部8は、エッジ成分が大きく氷上制動性能を向上できる点で好ましい。
また、凹部8の開口面積が、2.5[mm^2]以上10[mm^2]以下の範囲にあることが好ましい。例えば、円形の凹部8であれば、その直径が約1.8[mm]〜3.6[mm]の範囲にある。これにより、凹部8の開口面積が適正化される。すなわち、凹部8の開口面積が2.5[mm^2]以上であることにより、凹部8のエッジ作用および吸水性が確保される。また、凹部8の開口面積が10[mm^2]以下であることにより、ブロック5の接地面積が確保される。
凹部8の開口面積は、ブロック5の接地面における凹部8の開口面積であり、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を付与すると共に無負荷状態として測定される。
また、凹部8の深さHd(図5参照)と、細浅溝7の溝深さHgとが、0.5≦Hd/Hg≦1.5の関係を有することが好ましく、0.8≦Hd/Hg≦1.2の関係を有することがより好ましい。すなわち、凹部8の深さHdと細浅溝7の溝深さHgとが略同一である。これにより、ブロック5の接地面の吸水作用が向上する。また、凹部8が、サイプ(例えば、線状サイプ6や円形サイプ(図示省略))と比較して浅いので、ブロック5の剛性が適正に確保される。これにより、タイヤの氷上制動性能および雪上性能が確保される。
また、凹部8の壁角度α(図5参照)が、−85[deg]≦α≦95[deg]の範囲にあることが好ましい。すなわち、凹部8の内壁がブロック5の接地面に対して略垂直であることが好ましい。これにより、凹部8のエッジ成分が増加する。
凹部8の壁角度αは、凹部8の深さ方向の断面視にて、ブロック5の接地面と凹部8の内壁とのなす角として測定される。
また、図4に示すように、凹部8は、サイプ6から離間して配置される。すなわち、凹部8とサイプ6とは、ブロック5の接地面にて相互に異なる位置に配置されて、交差しない。また、凹部8とサイプ6との距離gは、0.2[mm]≦gの範囲にあることが好ましく、0.3[mm]≦gの範囲にあることがより好ましい。かかる構成では、凹部8とサイプ6とが相互に分離して配置されるので、ブロック5の剛性が確保されて、タイヤの氷上制動性能が向上する。
また、図4に示すように、凹部8は、細浅溝7に交差して配置されて、細浅溝7に連通する。また、凹部8が、相互に分離した隣り合う複数の細浅溝7、7に跨って配置される。言い換えると、相互に分離した隣り合う複数の細浅溝7、7が、1つの凹部8を貫通して配置される。これにより、隣り合う複数の細浅溝7、7が、凹部8を介して接続されて相互に連通する。また、凹部8が、隣り合う複数の細浅溝7、7の間に介在して、細浅溝7の容積を部分的に拡大する。すると、タイヤ接地時にて、凹部8が水の溜まり場となり、氷路面の水膜が効率的に吸収される。これにより、タイヤの氷上制動性能が向上する。
相互に分離した複数の細浅溝7とは、サイプ6および凹部8を除外した細浅溝7のみの配置パターンにて、相互に交差することなく延在する複数の細浅溝7をいう。したがって、複数の細浅溝7が相互に交差する配置パターンは、除外される。
例えば、図3の構成では、直線形状を有する複数の細浅溝7が、タイヤ周方向に対して所定角度で傾斜しつつ所定間隔でブロック5の全面に配置されている。このため、図4に示すように、隣り合う細浅溝7、7が、相互に平行に配置されて一方向に併走している。また、凹部8が、隣り合う2本の細浅溝7、7に跨って配置されて、これらの細浅溝7、7を接続している。言い換えると、併走する2本の細浅溝7、7が、1つの凹部8を一方向に貫通している。なお、上記に限らず、3本以上の細浅溝7が、1つの凹部8を貫通しても良い(図示省略)。
また、上記の構成では、1つのブロック5の接地面にて、隣り合う複数の細浅溝7、7に跨って配置された凹部8の数が、この接地面における凹部8の総数に対して70[%]以上あることが好ましく、80[%]以上あることがより好ましい。これにより、上記した凹部8の水の溜まり場としての機能が効果的に発揮される。例えば、図3の構成では、すべての凹部8が、隣り合う2本の細浅溝7、7に跨って配置されている。しかし、これに限らず、一部の凹部8が、単一の細浅溝7に交差しても良いし、あるいは、細浅溝7に交差することなく隣り合う細浅溝7、7の間に配置されても良い(図示省略)。
また、図3の構成では、ブロック5が、細浅溝7を区画する複数のサイプ6を接地面に備えている。また、サイプ6により区画された1つの細浅溝7の部分が、複数の凹部8を貫通することなく延在している。すなわち、複数の凹部8が、サイプ6により区画された1つの細浅溝7の部分に対して重複して配置されないように、分散して配置されている。このため、1つの細浅溝7の部分には、最大1つの凹部8のみが配置される。
また、図3に示すように、凹部8は、細浅溝7と比較して、疎に配置される。具体的には、1つのブロック5の接地面の全域における凹部8の配置密度Daが、0.8[個/cm^2]≦Da≦4.0[個/cm^2]の範囲にあることが好ましく、1.0[個/cm^2]≦Da≦3.0[個/cm^2]の範囲にあることがより好ましい。これにより、凹部8の配置密度Daが適正化される。すなわち、0.8[個/cm^2]≦Daであることにより、凹部8の配置数が確保されて、凹部8の機能が適正に確保される。また、Da≦4.0[個/cm^2]であることにより、ブロック5の接地面積が適正に確保される。
凹部の配置密度は、所定領域の接地面積に対する凹部の総数として定義される。
接地面積は、タイヤが規定リムに装着されて規定内圧を付与されると共に静止状態にて平板に対して垂直に置かれて規定荷重に対応する負荷を加えられたときのタイヤと平板との接触面にて、測定される。
[凹部の開口面積率]
この空気入りタイヤ1では、図3に示すように、ブロック5の接地面のタイヤ周方向の一方の端部領域ER1における凹部8の開口面積率Se1と、タイヤ周方向の他方の端部領域ER2における凹部8の開口面積率Se2とが、Se2<Se1の関係を有する。すなわち、ブロック5のタイヤ周方向の一方の端部領域ER1における凹部8の開口面積率Se1が、他方の端部領域ER2よりも大きい。また、凹部8の開口面積率の比Se1/Se2が、1.50≦Se1/Se2の関係を有することが好ましく、1.80≦Se1/Se2の関係を有することがより好ましい。比Se1/Se2の上限は、特に限定がないが、上記した凹部8の配置密度Naや開口面積との関係により制約を受ける。また、他方の端部領域ER2が凹部8を有さない場合(図示省略)には、Se2=0となり、Se2<Se1の条件が満たされる。
接地面は、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を付与すると共に静止状態にて平板に対して垂直に置いて規定荷重に対応する負荷を加えたときのタイヤと平板との接触面にて定義される。
ブロック5の接地面は、2.0[mm]以上の溝幅および3.0[mm]以上の溝深さを有する溝により区画された接地面として定義される。具体的には、上記の溝幅および溝深さを有する周方向溝およびラグ溝により区画された陸部31〜33の部分の接地面が、1つのブロック5の接地面に該当する。また、例えば、陸部内で終端するクローズド構造のラグ溝、陸部に形成された部分的な切り欠き(例えば、後述する図7の切欠部311)、タイヤ接地時に閉塞するサイプやカーフなどは、接地面を分断しないため、上記の溝に該当しない。
タイヤ周方向の端部領域ER1、ER2は、ブロック5の接地面をタイヤ周方向に三等分したときの両端部の領域としてそれぞれ定義される。また、凹部8の中心が上記の端部領域ER1、ER2にあれば、凹部8が上記の端部領域ER1、ER2に配置されているといえる。なお、図3の破線は、ブロック5の前後の端部領域ER1、ER2と残りの領域との境界線を示している。
凹部の開口面積率は、所定領域に配置された凹部の開口面積の総和と当該領域の接地面積との比として定義される。凹部と領域の境界線とが交差する場合には、凹部の中心点が領域内にあれば当該凹部が領域内に配置されているといえる。
凹部の開口面積および領域の接地面積は、タイヤが規定リムに装着されて規定内圧を付与されると共に静止状態にて平板に対して垂直に置かれて規定荷重に対応する負荷を加えられたときのタイヤと平板との接触面にて、測定される。
また、陸部がタイヤ周方向に配列された複数のブロックから成る場合(図2参照)には、1つのブロック列を構成する70[%]以上、好ましくは80[%]以上のブロック5が、上記した凹部8の開口面積率の条件Se2<Se1を満たすことが好ましい。一方で、トレッド全体では、少なくとも1列の陸部がブロック列の条件を満たせば足りる。
タイヤ周方向の端部領域ER1、ER2における凹部8の開口面積率は、各領域における凹部8の配置密度により調整できる。すなわち、凹部8が、一方の端部領域ER1で密に配置され、他方の端部領域ER2で疎に配置されることにより、一方の端部領域ER1における凹部8の開口面積率Se1が大きく設定される。
具体的には、図3において、1つのブロック5のタイヤ周方向の一方の端部領域ER1における凹部8の配置数Ne1と、他方の端部領域ER2における凹部8の配置数Ne2とが、Ne2<Ne1の関係を有することにより、凹部8の開口面積率の条件Se2<Se1が満たされる。すなわち、1つのブロック5における凹部8の配置密度がタイヤ周方向の前後の端部領域ER1、ER2で相異するように、複数の凹部8が1つのブロック5の接地面内で偏在して配置される。また、凹部8の配置数の比Ne1/Ne2が、1.50≦Ne1/Ne2の関係を有することが好ましく、1.80≦Ne1/Ne2の関係を有することがより好ましい。比Ne1/Ne2の上限は、特に限定がないが、上記したブロック5の接地面の全域における凹部8の配置密度Daの範囲により制約を受ける。また、他方の端部領域ER2における凹部8の配置密度De2が、0.8[個/cm^2]≦De2≦4.0[個/cm^2]の範囲にあることが好ましく、1.0[個/cm^2]≦De2≦3.0[個/cm^2]の範囲にあることがより好ましい。また、他方の端部領域ER2が凹部8を有さない場合(図示省略)には、Ne2=0となり、Se2<Se1かつNe2<Ne1の条件が満たされる。
また、タイヤ周方向の一方の端部領域ER1に配置された凹部8の個数Ne1[個]と、他方の端部領域ER2に配置された凹部8の個数Ne2[個]とが、Ne2+1≦Ne1の関係を有することが好ましく、Ne2+2≦Ne1の関係を有することがより好ましい。これにより、凹部8が、一方の端部領域ER1に密に配置される。
凹部の配置数は、所定の領域にある凹部の中心点の数としてカウントされる。したがって、凹部の一部が領域からはみ出している場合であっても、凹部の中心点が領域内にあれば、凹部が当該領域に配置されているといえる。
また、陸部がタイヤ周方向に配列された複数のブロックから成る場合(図2参照)には、1つのブロック列を構成する70[%]以上、好ましくは80[%]以上のブロック5が、上記した凹部8の条件Se2<Se1かつNe2<Ne1を満たすことが好ましい。一方で、トレッド全体では、少なくとも1列の陸部が当該ブロック列の条件を満たせば足りる。
例えば、図3の構成では、ショルダー陸部33の1つのブロック5が、接地面内に合計17個の凹部8を有している。また、10個の凹部8がタイヤ周方向の一方の端部領域ER1に配置され、4個の凹部8が他方の端部領域ER2に配置されている。これにより、一方の端部領域ER1における凹部8の配置数Ne1と他方の端部領域ER2における凹部8の配置数Ne2との比Ne1/Ne2が、Ne1/Ne2≒2.5となっている。また、各凹部8が、同一の開口形状および同一の開口面積を有している。また、一方の端部領域ER1における凹部8の開口面積率Se1と、他方の端部領域ER2における凹部8の開口面積率Se2とが、Se2<Se1の関係を有している。また、ショルダー陸部33の全体において、すべてのブロック5の凹部8が、上記Se2<Se1かつNe2<Ne1の条件を満たしている(図2参照)。
図3において、(a)ブロック5の一方の端部領域ER1では、凹部8が密に配置されるので、氷路走行時にて、凹部8の吸水作用により、氷路面の水膜が効率的に吸収され、氷路面に対するブロック踏面の密着性(凝着摩擦力)が向上して、タイヤの氷上制動性能が向上する。また、雪路走行時には、端部領域ER1の接地圧が上昇し、雪路における雪柱剪断力が増加して、タイヤの雪上性能が向上する。また、(b)ブロック5の他方の端部領域ER2では、凹部8が疎に配置されるので、ブロック5のエッジ部の剛性が確保され、また、ブロック5のエッジ部の接地面積が確保される。そして、ブロック5のタイヤ周方向の前後の端部領域ER1、ER2が、上記した相互に異なる接地特性を有することにより、タイヤの氷上性能および雪上性能が向上する。
例えば、図3におけるタイヤ周方向の第一側がタイヤ回転方向である場合には、第一側の端部領域ER1がタイヤ転動時の踏み込み側となり、第二側の端部領域ER2が蹴り出し側となる。(1)一般に、ブロック5の踏み込み側のエッジ部では、タイヤ接地時の接地圧が蹴り出し側よりも大きいため、氷路面の走行時にて接地圧により路面の氷が溶け易く、水膜が発生し易い。このとき、凹部8がブロック5の踏み込み側の端部領域ER1に密に配置されるので、氷路面の水膜が効率的に吸収される。これにより、氷路面に対するブロック踏面の密着性が向上して、氷上制動性能が向上する。また、(2)凹部8がブロック5の蹴り出し側の端部領域ER2に疎に配置されるので、ブロック5の蹴り出し側の接地面積が確保されて、氷上制動性能および氷上加速性能が向上する。加えて、(3)凹部8がブロック5の踏み込み側の端部領域ER1に密に配置されるので、タイヤ転動時にて、踏み込み側の端部領域ER1の接地圧が上昇する。これにより、雪路における雪柱剪断力が増加して、タイヤの雪上駆動性能が向上する。
特に、ショルダー陸部33は、タイヤの制動性能に対する影響が大きい。そこで、図3のように、ショルダー陸部33のブロック5が凹部8を踏み込み側の端部領域ER1に密に有することにより、凹部8による氷上制動性能の向上作用が顕著に得られる。なお、ショルダー陸部33は、最外周方向主溝に区画されたタイヤ幅方向外側の陸部として定義される。
また、例えば、図3におけるタイヤ周方向の第二側がタイヤ回転方向である場合には、第一側の端部領域ER1がタイヤ転動時の蹴り出し側となり、第二側の端部領域ER2が踏み込み側となる。このとき、(1)凹部8がブロック5の蹴り出し側の端部領域ER1に密に配置されるので、ブロック5の排雪性能が向上する。これにより、ブロック5のエッジ成分が確保されて、雪上制動性能および雪上加速性能が向上する。また、(2)凹部8がブロック5の踏み込み側の端部領域ER2に疎に配置されるので、踏み込み側の端部領域ER2の接地面積が確保されて、雪上加速性能が向上する。
なお、タイヤ回転方向とは、タイヤ使用時にて使用頻度が高い回転方向をいい、例えば、車両前進時における回転方向をいう。タイヤ回転方向は、空気入りタイヤ1の回転方向表示部(図示省略)により表示される。この回転方向表示部の表示を基準として、ブロック5の接地先着側(いわゆる踏み込み側あるいはトゥ側)および接地後着側(いわゆる蹴り出し側あるいはヒール側)が定義される(図2参照)。踏み込み側は、指定された回転方向へのタイヤ転動時にて先に接地する側であり、蹴り出し側は、踏み込み側に対する逆側である。なお、回転方向表示部は、例えば、タイヤのサイドウォール部に付されたマークや凹凸によって構成される。
また、図3の構成では、ショルダー陸部33のブロック5が、矩形状の接地面を有している。また、複数のサイプ6が、タイヤ周方向に並列に配置されてブロック5をタイヤ周方向に複数の区間に区画している。また、すべての区間が、少なくとも1つの凹部8を有している。また、ブロック5のタイヤ周方向の中央部では、ブロック5の周方向主溝22側の端部に凹部8を有する区間と、前記端部に凹部8を有さない区間とが、タイヤ周方向に交互に配置されている。
また、図3の構成では、ブロック5のタイヤ周方向の両端部の区間では、凹部8が、ブロック5の周方向主溝22側のすべての角部にそれぞれ配置されている。また、ブロック5のタイヤ周方向の一方の端部領域ER1側の端部の区間では、凹部8がブロック5の角部および中央部の双方に配置され、一方で、他方の端部領域ER2側の端部の区間では、凹部8がブロック5の角部にのみ配置されて中央部には配置されていない。これにより、ブロック5のタイヤ周方向の両端部の区間の接地特性に、差が設けられている。かかる構成では、接地圧が高く水膜が発生し易いブロック5の角部に、凹部8が配置される。これにより、氷路面の水膜が効率的に吸収されて、タイヤの氷上制動性能が向上する。また、ブロック5の角部に凹部8が配置されるので、ブロック5の角部の接地圧が上昇する。これにより、ブロック5の雪中剪断力が増加して、タイヤの雪上性能が向上する。
ブロック5の角部は、ブロック5の接地面の角部を含む5[mm]四方の領域として定義される。ブロック5の角部は、主溝およびラグ溝により区画された領域のみならず、ブロック5に形成された切欠部(例えば、後述する図7の切欠部311)により区画された領域を含む。また、凹部8の中心が上記の領域にあれば、凹部8がブロック5の角部に配置されているといえる。
ブロック5のタイヤ周方向の両端部の区間とは、複数のサイプ6によりタイヤ周方向に区画されたブロック5の複数の区間のうち、タイヤ周方向の両端部に位置する一対の区間をいう。また、ブロック5のタイヤ周方向の中央部の区間とは、前記タイヤ周方向の両端部の区間を除いた区間をいう。
また、図3の構成では、複数のサイプ6が、タイヤ周方向に並列に配置されてブロック5を複数の区間に区画している。このとき、タイヤ周方向に隣り合う任意の3つの前記区間の少なくとも1つが、タイヤ幅方向の端部領域(図中の符号省略)に凹部8を有している。また、図3に示すように、タイヤ周方向に隣り合う任意の2つの前記区間の少なくとも1つが、タイヤ幅方向の端部領域に凹部8を有することが好ましい。ブロック5のタイヤ幅方向の端部領域、特に、周方向主溝22側の端部領域では、タイヤ接地時にてブロック5の中央部よりも大きな接地圧が作用する。このため、氷路面の走行時にて接地圧により路面の氷が溶け易く、水膜が発生し易い。したがって、凹部8がブロック5の端部領域および角部に密に配置されることにより、氷路面の水膜が効率的に吸収されて、タイヤの氷上制動性能が向上する。また、ブロック5のタイヤ幅方向の端部領域に凹部8が密に配置されることにより、端部領域の接地圧が上昇し、ブロック5の雪柱剪断力が増加して、タイヤの雪上性能が向上する。
タイヤ幅方向の端部領域は、ブロック5をタイヤ幅方向に三等分したときの左右の領域として定義される。また、凹部8の中心が上記の端部領域ER1、ER2にあれば、凹部8が上記の端部領域ER1、ER2に配置されているといえる。
また、図3の構成では、複数のサイプ6が、タイヤ周方向に並列に配置されてブロック5を複数の区間に区画している。また、タイヤ周方向に隣り合う一対の区間に配置された凹部8が、タイヤ幅方向に相互にオフセットして配置されている。これにより、凹部8がタイヤ幅方向に分散して配置されて、ブロック5の接地面が良好となる。具体的には、サイプ6に区画されたブロック5の65[%]以上(好ましくは80[%]以上)の区間にて、タイヤ周方向に隣り合う一対の区間に配置された凹部8がタイヤ幅方向に相互にオフセットして配置されることが好ましい。また、隣り合う区間の凹部8の中心のタイヤ幅方向の距離が凹部8の半径以上であれば、凹部8がタイヤ幅方向にオフセットして配置されているといえる。
また、図3の構成では、サイプ6が、ラグ溝43に平行ないしは若干傾斜して配置され、また、タイヤ接地端Tからタイヤ幅方向内側の領域にのみ配置されている。また、細浅溝7が、タイヤ接地端Tを越えてショルダー陸部33のタイヤ幅方向外側の領域まで延在している。また、凹部8が、タイヤ接地端Tからタイヤ幅方向内側の領域にのみ配置されている。
タイヤ接地端Tとは、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を付与すると共に静止状態にて平板に対して垂直に置いて規定荷重に対応する負荷を加えたときのタイヤと平板との接触面におけるタイヤ軸方向の最大幅位置をいう。
なお、上記の構成では、少なくとも一部の凹部8が、タイヤ成形金型(図示省略)のベント孔に対応する位置に配置されることが好ましい。すなわち、タイヤ加硫成形工程では、グリーンタイヤをタイヤ成形金型に押圧するために、タイヤ成形金型内の空気を外部に排出する必要がある。このため、タイヤ成形金型が、陸部31〜33の接地面を成形する金型面に、複数のベント装置(図示省略)を有している。また、ある種のベント装置は、加硫成形後の陸部31〜33の接地面に、小さな窪みであるベント穴を形成する。そこで、このベント穴を上記の凹部8として用いることにより、ベント穴を有効に利用し、また、陸部31〜33の接地面における無用な窪みを低減して陸部31〜33の接地面積を適正に確保できる。
図6および図7は、図2に記載した空気入りタイヤの陸部を示す説明図である。これらの図において、図6は、セカンド陸部32を構成する1つのブロック5の平面図を示している。また、図7は、センター陸部31を構成する1つのブロック5の平面図を示している。
図2の構成では、セカンド陸部32が、1本の周方向細溝23によりタイヤ幅方向に分断され、さらに複数のラグ溝42によりタイヤ周方向に分断されて、複数のブロック5が区画されている。また、セカンド陸部32のタイヤ幅方向内側の領域には、タイヤ周方向に長尺なブロック5が形成され、タイヤ幅方向外側の領域には、短尺なブロック5が形成されている。なお、セカンド陸部32は、最外周方向主溝22に区画されたタイヤ幅方向内側の陸部として定義される。
また、図6に示すように、セカンド陸部32のタイヤ幅方向外側にある1つのブロック5が、矩形状の接地面を有している。また、複数のサイプ6が、タイヤ周方向に並列に配置されてブロック5を複数の区間に区画している。また、すべての区間が、少なくとも1つの凹部8を有している。また、ブロック5のタイヤ周方向の一方の端部領域ER1では、タイヤ周方向の端部の区間にて、凹部8がブロック5の角部および中央部の双方に配置され、一方で、他方の端部領域ER2側の端部の区間では、凹部8がブロックの角部にのみ配置されて中央部に配置されていない。これにより、ブロック5のタイヤ周方向の両端部の区間の接地特性に、差が設けられている。
また、1つのブロック5が、接地面内に合計12個の凹部8を有し、また、タイヤ周方向の一方の端部領域ER1に5個の凹部8を有し、他方の端部領域ER2に4個の凹部8を有している。また、各凹部8が、同一の開口形状および同一の開口面積を有している。また、一方の端部領域ER1における凹部8の配置数Ne1と他方の端部領域ER2における凹部8の配置数Ne2とが、Ne1/Ne2≒1.3の関係を有している。また、セカンド陸部32のすべてのブロック5の凹部8が、上記Se2<Se1かつNe2<Ne1の条件を満たしている(図2参照)。
一般に、短尺なブロック5を有する陸部32では、ブロック5の剛性が低いため、車両制動時におけるブロック5の倒れ込み量が大きい。特に、ブロック5が複数のサイプ6を有する構成では、その傾向が顕著となり、タイヤの氷上制動性能が低下し易い。この点において、上記のように、凹部8がサイプ6で区画されたブロック5のすべての区間に配置されることにより、氷路面の水膜が凹部8に効率的に吸収されて、氷路面に対するブロック踏面の密着性が向上する。これにより、タイヤの氷上制動性能が適正に確保される。
また、セカンド陸部32は、タイヤの制駆動性能に対する影響が大きい。そこで、図6のように、セカンド陸部32のブロック5の凹部8がタイヤ周方向の一方の端部領域ER1に密に配置され、タイヤが図6の第一側をタイヤ回転方向とし、上記一方の端部領域ER1側を踏み込み側として車両に装着されることにより、氷路面に対するブロック踏面の密着性が向上して、氷路での制動性能が向上する。逆に、タイヤが図6の第二側をタイヤ回転方向とし、上記一方の端部領域ER1側を蹴り出し側として車両に装着されることにより、ブロック5の排雪性能が向上して、タイヤの雪上性能が向上する。
また、図2の構成では、センター陸部31が、複数のラグ溝41によりタイヤ周方向に分断されて、複数のブロック5が区画されている。また、ブロック5が、セカンド陸部32のラグ溝42の延長線上に、切欠部311を有している。また、ブロック5が、矩形状の接地面を有している。なお、センター陸部は、タイヤ赤道面CL上にある陸部31(図2参照)、あるいは、タイヤ赤道面CLを挟んで隣り合う陸部(図示省略)として定義される。
また、図7に示すように、複数のサイプ6が、タイヤ周方向に並列に配置されてブロック5を複数の区間に区画している。また、凹部8を密に配置したタイヤ周方向の一方の端部領域ER1では、すべての区間が凹部8をそれぞれ有している。また、各凹部8が、同一の開口形状および同一の開口面積を有している。また、凹部8を疎に配置したタイヤ周方向の他方の端部領域ER2では、任意の隣り合う3つの区間が凹部8を有さない少なくとも1つの区間を含んでいる。また、凹部8が、ブロック5の4つの角部にそれぞれ配置されている。また、ブロック5のタイヤ周方向の一方の端部領域ER1側の端部の区間では、凹部8がブロック5の角部および中央部の双方に配置され、一方で、他方の端部領域ER2側の端部の区間では、凹部8がブロック5の角部にのみ配置されて中央部には配置されていない。これにより、ブロック5のタイヤ周方向の両端部の区間の接地特性に、差が設けられている。また、切欠部311に隣接する区間が、凹部8を有している。また、凹部8を密に配置したタイヤ周方向の一方の端部領域ER1を除く領域では、ブロック5をタイヤ幅方向に三等分したときの中央部に、凹部8が配置されていない。
また、ブロック5が、接地面内に合計24個の凹部8を有し、また、タイヤ周方向の一方の端部領域ER1に12個の凹部8を有し、他方の端部領域ER2に6個の凹部8を有している。また、一方の端部領域ER1における凹部8の配置数Ne1と他方の端部領域ER2における凹部8の配置数Ne2とが、Ne1/Ne2≒2.0の関係を有している。また、センター陸部31のすべてのブロック5の凹部8が、上記Se2<Se1かつNe2<Ne1の条件を満たしている(図2参照)。
一般にセンター陸部31は、タイヤの操縦安定性能を確保するために、高い剛性を有することが好ましい。そこで、図7のように、センター陸部31のブロック5が凹部8を有さない区間を部分的に有し、また、ブロック5のタイヤ幅方向の中央部に凹部8を有さないことにより、ブロック5の剛性が確保されて、タイヤの操縦安定性能が確保される。
また、センター陸部31は、タイヤの駆動性能に対する影響が大きい。そこで、図7のように、センター陸部31のブロック5の凹部8がタイヤ周方向の一方の端部領域ER1に密に配置され、タイヤが図6の第一側をタイヤ回転方向とし、上記一方の端部領域ER1側を踏み込み側として車両に装着されることにより、タイヤ転動時にて、踏み込み側の端部領域ER1の接地圧が上昇する。これにより、雪路における雪柱剪断力が増加して、タイヤの雪上駆動性能が向上する。
[変形例1]
図8〜図14は、図4に記載した空気入りタイヤの変形例1を示す説明図である。これらの図は、サイプ6、細浅溝7および凹部8の位置関係を示している。
図4の構成では、細浅溝7が、タイヤ周方向に対して所定角度θで傾斜して配置されている。かかる構成では、傾斜した細浅溝7により、タイヤ周方向およびタイヤ幅方向の双方へのエッジ成分が生じる点で好ましい。
しかし、これに限らず、細浅溝7が、タイヤ周方向に平行に延在しても良いし(図8参照)、タイヤ幅方向に平行に延在しても良い(図9参照)。
また、図4の構成では、細浅溝7が、直線形状を有している。かかる構成では、細浅溝7の形成が容易な点で好ましい。
しかし、これに限らず、細浅溝7が、ジグザグ形状を有しても良いし(図10参照)、波状形状を有しても良い(図11参照)。このとき、図10および図11のように、複数の細浅溝7が相互に位相を揃えて配置されても良いし、図12のように、相互に位相をずらして配置されても良い。また、図13に示すように、細浅溝7が、屈曲あるいは湾曲した短尺構造を有しても良い。このとき、短尺な細浅溝7が、相互にオフセットしつつ連なって配列されても良いし(図13参照)、マトリクス状に整列して配置されても良い(図示省略)。また、細浅溝7が、円弧形状を有しても良いし(図14参照)、S字形状などの湾曲形状を有しても良い(図示省略)。
また、図10〜図14においても、図4、図8および図9の構成と同様に、細浅溝7が、タイヤ周方向に対して所定角度θで傾斜しても良いし、タイヤ周方向に平行に延在しても良いし、タイヤ幅方向に平行に延在しても良い。なお、細浅溝7がジグザグ形状あるいは波状形状を有する場合には、細浅溝7の傾斜角θがジグザグ形状あるいは波状形状の振幅の中心を基準として測定される。
図15および図16は、図4に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。これらの図は、サイプ6、細浅溝7および凹部8の位置関係を示している。
図4の構成では、細浅溝7が、所定方向に延在する線状構造を有している。かかる構成では、細浅溝7が、ブロック5の接地面の全域に渡って連続的に延在できる点で好ましい。
しかし、これに限らず、図15および図16に示すように、細浅溝7が、環状構造を有し、相互に分離して配置されても良い。例えば、細浅溝7が、円形状(図15参照)あるいは楕円形状(図示省略)、矩形状(図16参照)、三角形状、六角形状などの多角形状(図示省略)を有し得る。また、かかる構成においても、凹部8が、相互に分離した隣り合う複数の細浅溝7、7に跨って配置される。かかる構成では、細浅溝7が陸部31〜33を貫通する構成と比較して、陸部31〜33の剛性が高い。これにより、タイヤの氷上制動性能が向上する。
図17は、図5に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。同図は、細浅溝7a、7bおよび凹部8の深さ方向の断面図を示している。
図5の構成では、すべての細浅溝7が、同一の溝深さHgを有している。
これに対して、図17の構成では、一部の細浅溝7bの溝深さが、基準となる細浅溝7aの溝深さHgよりも浅く設定される。かかる構成では、タイヤの摩耗進行により、浅い溝深さを有する細浅溝7bが先に消滅し、その後に深い溝深さHgを有する細浅溝7aが消滅する。これにより、すべての細浅溝7が同時に消滅することによるブロック5の性状変化を抑制できる。
図18〜図21は、図4に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。これらの図は、サイプ6、細浅溝7および凹部8の位置関係を示している。
図4の構成では、すべての細浅溝7が相互に平行に配置されている。このため、細浅溝7が相互に交差することなく、縞状に配置されている。
しかし、これに限らず、図18〜図21に示すように、細浅溝7が相互に交差あるいは連通して配置されても良い。例えば、図18〜図19のように、複数の細浅溝7が網目状に配置されても良い。このとき、細浅溝7が、タイヤ周方向およびタイヤ幅方向に対して傾斜して配置されても良いし(図18参照)、タイヤ周方向およびタイヤ幅方向に対して平行に配置されて良い(図19参照)。また、一部の細浅溝7が、例えば、円弧状、波状など湾曲して配置されても良い(図20参照)。また、細浅溝7が、環状構造を有して相互に連通して配置されても良い(図21参照)。例えば、図21の構成では、細浅溝7がハニカム状に配置されている。また、これらの構成においても、凹部8が、相互に交差しない2本以上の細浅溝7に交差して配置される。これらにより、細浅溝7の溝面積が増加して、細浅溝7による水膜の吸収作用が向上する。
[変形例2]
図22は、図2に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。同図は、トレッドパターンの平面図を示している。
図2の構成では、上記のように、空気入りタイヤ1が、1つのセンター陸部31、左右一対のセカンド陸部32、32および左右一対のショルダー陸部33、33を備え、各陸部31〜33が複数のブロック5から成るブロック列を有している。また、すべての陸部31〜33のブロック5が複数の凹部8を有し、各ブロック5の凹部8がタイヤ周方向の一方の端部領域ER1で密に配置され、他方の端部領域ER2で疎に配置されている(図3、図6および図7参照)。このとき、図2では、すべての陸部31〜33のブロック5が、凹部8を密に配置した一方の端部領域ER1をタイヤ周方向の第一側に向けて配置されている。このため、ブロック5のタイヤ周方向の接地特性が、タイヤ赤道面CLを境界として左右対称となり、トレッド全域でタイヤ周方向の一方向に揃えられている。かかる構成では、タイヤの氷上性能および雪上性能を効果的に高め得る点で好ましい。
これに対して、図22の構成では、タイヤ幅方向の第一側の領域では、セカンド陸部32およびショルダー陸部33のブロック5が、凹部8を密に配置した一方の端部領域ER1(図3および図6参照)をタイヤ周方向の第二側に向けて配置されている。逆に、タイヤ幅方向の第二側の領域では、セカンド陸部32およびショルダー陸部33のブロック5が、凹部8を密に配置した一方の端部領域ER1側をタイヤ周方向の第一側に向けて配置されている。このため、ブロック5のタイヤ周方向の接地特性が、タイヤ赤道面CLを境界とするタイヤ幅方向の第一側の領域と第二側の領域とで相互に点対称に構成されている。かかる構成では、空気入りタイヤ1がタイヤ周方向の第一側をタイヤ回転方向として車両に装着されたときに、タイヤ幅方向の第一側の領域では、凹部8を密に配置した端部領域ER1が蹴り出し側に位置し、タイヤ幅方向の第二側の領域では、凹部8を密に配置した端部領域ER1が踏み込み側に位置する。このため、タイヤ幅方向の第一側領域では、凹部8の疎密配置によるブロック5の接地特性が特に雪上性能に寄与し、タイヤ幅方向の第二側領域では、ブロック5の接地特性が特に氷上性能に寄与する。したがって、かかる構成では、タイヤの氷上性能および雪上性能の双方を得られる点で好ましい。
特に、タイヤの車両装着時にて、タイヤ赤道面CLを境界として車幅方向外側に位置する領域は、氷路面の走行時における氷上旋回性能に対する寄与が大きい。したがって、空気入りタイヤ1が、タイヤ周方向の第一側をタイヤ回転方向とし、凹部8を踏み込み側の端部領域に密に有するタイヤ幅方向の第二側を車幅方向外側にして車両に装着されることが好ましい。これにより、タイヤ赤道面CLを境界とするタイヤ幅方向の第二側の領域が氷上旋回性能に大きく寄与し、一方で、凹部8を蹴り出し側に密に有するタイヤ幅方向の第一側の領域が雪上性能を確保する。これにより、タイヤの氷上旋回性能および雪上性能の双方を両立できる。
タイヤの車両に対する装着方向は、例えば、タイヤのサイドウォール部に付されたマークや凹凸によって構成される。例えば、ECER30(欧州経済委員会規則第30条)が、車両装着状態にて車幅方向外側となるサイドウォール部に車両装着方向の表示部を設けることを義務付けている。
[変形例3]
図2の構成では、トレッド部ショルダー領域における凹部8の配置密度Dshが、トレッド部センター領域における凹部8の配置密度Dceよりも高い(Dce<Dsh)。すなわち、凹部8が、トレッド部ショルダー領域で密に配置され、トレッド部センター領域で疎に配置される。また、トレッド部ショルダー領域における凹部8の配置密度Dshが、トレッド部全域における凹部8の配置密度Dtrよりも高い(Dtr<Dsh)。
また、比Dsh/Dceが、1.10≦Dsh/Dceの範囲にあることが好ましく、1.20≦Dsh/Dceの範囲にあることがより好ましい。比Dsh/Dceの上限は、特に限定がないが、上記した凹部8の配置密度Daの範囲により制約を受ける。
トレッド部センター領域およびショルダー領域は、原則として、タイヤ接地幅をタイヤ幅方向に3等分する基準線を境界として定義される。ただし、タイヤ周方向に連続する周方向溝(例えば、周方向主溝、周方向細溝など)がタイヤ接地端Tからタイヤ接地幅の28[%]以上38[%]以下の領域に配置された構成(例えば、図2の構成)では、最もタイヤ幅方向外側にある前記周方向溝(例えば、図2の周方向細溝23)を境界線として、トレッド部センター領域およびショルダー領域が定義される。
タイヤ接地幅は、左右のタイヤ接地端T、Tの間の距離として定義される。タイヤ接地端Tは、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を付与すると共に静止状態にて平板に対して垂直に置いて規定荷重に対応する負荷を加えたときのタイヤと平板との接触面におけるタイヤ軸方向の最大幅位置として定義される。
凹部8の配置密度Dce、Dshは、凹部8の総数と接地面積との比であり、センター領域および左右のショルダー領域のそれぞれの接地面に配置された凹部について、それぞれ定義される。接地面積は、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を付与すると共に静止状態にて平板に対して垂直に置いて規定荷重に対応する負荷を加えたときのタイヤと平板との接触面の面積として定義される。
図2の構成では、凹部8がトレッド部ショルダー領域で密に配置されるので、凹部8が吸水作用を発揮することにより、接地圧が高く水膜が発生し易いトレッド部ショルダー領域の除水性(特に、吸水性)が向上し、また、凹部8により陸部のエッジ成分が増加する。これにより、タイヤの氷上制動性能および氷上旋回性能が向上する。また、凹部8がトレッド部センター領域で疎に配置されるので、トレッド部センター領域の接地面積が確保されて、タイヤの氷上制動性能が向上する。したがって、図2の構成は、タイヤの氷上性能が効果的に高まる点で好ましい。
しかし、これに限らず、トレッド部センター領域における凹部8の配置密度Dceと、トレッド部ショルダー領域における凹部8の配置密度Dshとが、Dsh<Dceの関係を有しても良い(図示省略。例えば、後述する図23参照)。すなわち、凹部8が、トレッド部センター領域で密に配置され、トレッド部ショルダー領域で疎に配置される。また、トレッド部センター領域における凹部8の配置密度Dceが、トレッド部全域における凹部8の配置密度Dtrよりも高い(Dtr<Dce)。
また、比Dce/Dshが、1.10≦Dce/Dshの範囲にあることが好ましく、1.20≦Dce/Dshの範囲にあることがより好ましい。比Dsh/Dceの上限は、特に限定がないが、上記した接地面における凹部8の配置密度Daの範囲により制約を受ける。
一般に、トレッド部センター領域では、トレッド部ショルダー領域よりも接地圧が小さい。上記の構成では、凹部8がトレッド部センター領域で密に配置されるので、トレッド部センター領域の接地面積が減少し、接地圧が上昇して、凹部8による雪柱剪断力が増加する。また、凹部8がトレッド部ショルダー領域で疎に配置されるので、トレッド部ショルダー領域の剛性が確保される。これらにより、タイヤのトラクション性能が向上して、タイヤの雪上性能が向上する。したがって、上記の構成は、タイヤの雪上性能が効果的に高まる点で好ましい。
[変形例4]
図23〜図26は、図2に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。これらの図において、図23は、空気入りタイヤ1のトレッド面の平面図を示している。また、図24は、ショルダー陸部33を構成する1つのブロック5の平面図を示し、図25は、セカンド陸部32を構成する1つのブロック5の平面図を示し、図26は、センター陸部31を構成する1つのブロック5の平面図を示している。
図2の構成では、上記のように、複数の凹部8が1つのブロック5の接地面内で偏在して配置されることにより、1つのブロック5のタイヤ周方向の一方の端部領域ER1における凹部8の開口面積率Se1がタイヤ周方向の他方の端部領域ER2における凹部8の開口面積率Se2よりも大きく(Se2<Se1)設定されている。具体的には、図3、図6および図7に示すように、凹部8がブロック5のタイヤ周方向の一方の端部領域ER1に密に配置されている。また、各陸部31〜33の凹部8が、同一の開口形状および同一の開口面積を有している。
しかし、これに限らず、図23に示すように、複数の凹部8が1つのブロック5の接地面内で開口面積を変化させることにより、タイヤ周方向の一方の端部領域ER1における凹部8の開口面積率Se1が他方の端部領域ER2における凹部8の開口面積率Se2よりも大きく(Se2<Se1)設定されても良い。すなわち、比較的大きな開口面積を有する凹部8が、タイヤ周方向の一方の端部領域ER1に配置される。
具体的には、図23〜図26において、タイヤ周方向の一方の端部領域ER1における凹部8の開口面積の平均値Ae1と、タイヤ周方向の他方の端部領域ER2における凹部8の開口面積の平均値Ae2とが、Ae2<Ae1の関係を有することにより、凹部8の開口面積率の条件Se2<Se1が満たされる。また、凹部8の開口面積の平均値Ae1、Ae2の比Ae1/Ae2が、1.5≦Ae1/Ae2≦4.0の関係を有することが好ましく、2.0≦Ae1/Ae2≦3.0の関係を有することがより好ましい。また、すべての凹部8が一方の端部領域ER1に配置された場合には、Ae2=0となり、Ae2<Ae1かつSe2<Se1の条件が満たされる。
開口面積の平均値Ae1、Ae2は、所定領域における凹部の開口面積の総和と当該領域における凹部の総数との比として算出される。
また、図23にように、陸部31〜33がタイヤ周方向に配列された複数のブロック5から成る場合には、1つのブロック列を構成する70[%]以上、好ましくは80[%]以上のブロック5が、上記した凹部8の開口面積の条件Ae2<Ae1かつSe2<Se1を満たすことが好ましい。一方で、トレッド全体では、少なくとも1列の陸部が当該ブロック列の条件を満たせば足りる。
例えば、図24の構成では、ショルダー陸部33の1つのブロック5が接地面内に合計16個の凹部8を有し、また、タイヤ周方向の一方の端部領域ER1と他方の端部領域ER2とが6個の凹部8をそれぞれ有している。また、各凹部8が、同一の開口形状を有している。また、一方の端部領域ER1には、比較的大きな開口面積の凹部8が配置され、逆に、他方の端部領域ER2には、比較的小さな開口面積の凹部8が配置されている。これにより、各領域における凹部8の開口面積の条件Ae2<Ae1かつSe2<Se1が同時に満たされている。また、ショルダー陸部33では、すべてのブロック5の凹部8が、上記の条件Ae2<Ae1かつSe2<Se1を満たしている(図23参照)。
また、図25の構成では、セカンド陸部32のタイヤ幅方向外側にある1つのブロック5(図23参照)が、接地面内に合計16個の凹部8を有し、また、タイヤ周方向の一方の端部領域ER1と他方の端部領域ER2とが5個の凹部8をそれぞれ有している。また、各凹部8が、同一の開口形状を有している。また、一方の端部領域ER1には、比較的大きな開口面積の凹部8が配置され、逆に、他方の端部領域ER2には、比較的小さな開口面積の凹部8が配置されている。これにより、各領域における凹部8の開口面積の条件Ae2<Ae1かつSe2<Se1が同時に満たされている。また、セカンド陸部32では、すべてのブロック5の凹部8が、上記の条件Ae2<Ae1かつSe2<Se1を満たしている(図23参照)。
また、図26の構成では、センター陸部31の1つのブロック5が、接地面内に合計37個の凹部8を有し、また、タイヤ周方向の一方の端部領域ER1と他方の端部領域ER2とが12個の凹部8をそれぞれ有している。また、一方の端部領域ER1には、比較的大きな開口面積の凹部8が配置され、逆に、他方の端部領域ER2には、比較的小さな開口面積の凹部8が配置されている。また、各領域における凹部8の開口面積の条件Ae2<Ae1かつSe2<Se1が同時に満たされている。また、センター陸部31では、すべてのブロック5の凹部8が、上記の条件Ae2<Ae1かつSe2<Se1を満たしている(図23参照)。
上記の構成では、(a)ブロック5の一方の端部領域ER1では、比較的大きな凹部8が配置されるので、氷路走行時にて、凹部8の吸水作用により、氷路面の水膜が効率的に吸収され、氷路面に対するブロック踏面の密着性が向上して、タイヤの氷上制動性能が向上する。また、雪路走行時には、端部領域ER1の接地圧が上昇し、雪路における雪柱剪断力が増加して、タイヤの雪上性能が向上する。また、(b)ブロック5の他方の端部領域ER2では、比較的小さな凹部8が配置されるので、ブロック5のエッジ部の剛性が確保され、また、ブロック5のエッジ部の接地面積が確保される。そして、ブロック5のタイヤ周方向の前後の端部領域ER1、ER2が、上記した相互に異なる接地特性を有することにより、タイヤの氷上性能および雪上性能が向上する。
例えば、図23におけるタイヤ周方向の第一側がタイヤ回転方向である場合には、第一側の端部領域ER1がタイヤ転動時の踏み込み側となり、第二側の端部領域ER2が蹴り出し側となる。(1)一般に、ブロック5の踏み込み側のエッジ部では、タイヤ接地時の接地圧が蹴り出し側よりも大きいため、氷路面の走行時にて接地圧により路面の氷が溶け易く、水膜が発生し易い。このとき、比較的大きな凹部8がブロック5の踏み込み側の端部領域ER1に配置されるので、氷路面の水膜が効率的に吸収される。これにより、氷路面に対するブロック踏面の密着性が向上して、氷上制動性能が向上する。また、(2)比較的小さな凹部8がブロック5の蹴り出し側の端部領域ER2に配置されるので、ブロック5の蹴り出し側の接地面積が確保されて、氷上制動性能および氷上加速性能が向上する。加えて、(3)比較的大きな凹部8がブロック5の踏み込み側の端部領域ER1に配置されるので、タイヤ転動時にて、踏み込み側の端部領域ER1の接地圧が上昇する。これにより、雪路における雪柱剪断力が増加して、タイヤの雪上駆動性能が向上する。
また、例えば、図23におけるタイヤ周方向の第二側がタイヤ回転方向である場合には、第一側の端部領域ER1がタイヤ転動時の蹴り出し側となり、第二側の端部領域ER2が踏み込み側となる。このとき、(1)比較的大きな凹部8がブロック5の蹴り出し側の端部領域ER1に配置されるので、ブロック5の排雪性能が向上する。これにより、ブロック5のエッジ成分が確保されて、雪上制動性能および雪上加速性能が向上する。また、(2)比較的小さな凹部8がブロック5の踏み込み側の端部領域ER2に配置されるので、踏み込み側の端部領域ER2の接地面積が確保されて、雪上加速性能が向上する。
また、図24〜図26の構成では、タイヤ周方向の一方の端部領域ER1に配置された70[%]以上、好ましくは80[%]以上の凹部8が、ブロック5に配置された凹部8の開口面積の平均値よりも大きな開口面積を有している。すなわち、大きな凹部8の大半が一方の端部領域ER1に配置される。これにより、一方の端部領域ER1における大きな凹部8の配置数が適正化される。
また、図24〜図26の構成では、平均値よりも大きな開口面積をもつ凹部8が、一方の端部領域ER1にてタイヤ周方向の最も外側に配置され、且つ、前記平均値よりも小さい開口面積をもつ凹部8が、他方の端部領域ER2にてタイヤ周方向の最も外側に配置されている。これにより、異なる開口面積をもつ凹部8を偏在させたことによる作用が向上する。
例えば、図24〜図26の構成では、1つのブロック5が、相互に異なる開口面積をもつ2種類の凹部8を備え、一方の端部領域ER1には、大きい凹部8のみが配置され、他方の端部領域ER2には、小さい凹部8のみが配置されている。このため、各領域ER1、ER2が相互に異なる大きさの凹部8を有している。これにより、特徴的な凹部8の配列パターンが形成されている。なお、残りの中央部の領域には、大きい凹部8が配置されている。
しかし、上記に限らず、一部の小さい凹部8が、一方の端部領域ER1および残りの中央部の領域に配置されても良い(図示省略)。また、大きな凹部8が、他方の端部領域ER2に配置されても良い(図示省略)。
また、図24〜図26の構成では、ブロック5が、タイヤ周方向に並列に配置されてブロック5を複数の区間に区画する複数のサイプ6と、相互に異なる開口面積をもつ複数種類の凹部8とを備える。そして、一方の端部領域ER1では、平均値よりも大きな開口面積をもつ凹部8が、タイヤ周方向に隣り合う任意の3つの区間の少なくとも1つに配置される。すなわち、サイプ6により区画された隣り合う任意の3つの区間が、少なくとも1つの大きな凹部8を有する。これにより、大きな凹部8が一方の端部領域ER1にてタイヤ周方向に分散して配置されるので、雪路面の走行時にて、凹部8による雪柱剪断力の向上作用が効率的に得られる。例えば、図24〜図26の構成では、サイプ6により区画されたすべての区間が、大きな凹部8を有している。これにより、凹部8が一方の端部領域ER1の各区間に分散して配置されている。
また、上記の構成では、平均値よりも大きな開口面積をもつ凹部8が、一方の端部領域ER1におけるブロック5の角部に配置され、且つ、平均値よりも小さな開口面積をもつ凹部8が、他方の端部領域ER2におけるブロック5の角部に配置されることが好ましい。これにより、一方の端部領域ER1では、大きな凹部8により、氷路面の走行時における踏面の水膜が効率的に吸収されて、タイヤの氷上制動性能が向上する。また、他方の端部領域ER2では、小さな凹部8により、ブロック5の角部の接地面積が確保されて、氷路面に対する角部の凝着作用が確保される。これにより、タイヤの氷上性能が確保される。例えば、図24〜図26の構成では、周方向溝21〜23とラグ溝41〜43との交差位置(図23参照)に形成されたすべてのブロック5の角部に、大きな凹部8あるいは小さな凹部8のいずれか一方が配置されている。
なお、図24〜図26の構成では、各ブロック5の一方の端部領域ER1における凹部8の配置数Ne1と他方の端部領域ER2における凹部8の配置数Ne2とが略同一であり、各領域ER1、ER2における凹部8の配置密度Daが略同一に設定されている。また、各領域ER1、ER2における凹部8の配置数が、0.90≦Ne1/Ne2≦1.10の関係を有することが好ましい。これにより、凹部8が各領域ER1、ER2に均一の配置密度で配置される。
しかし、これに限らず、上記の条件Ae2<Ae1に加えて、各領域ER1、ER2における凹部8の配置数Ne1、Ne2が、1.20≦Nc/Neの関係を有するように、より好ましくは1.50≦Nc/Neの関係を有するように設定されても良い。すなわち、タイヤ周方向の一方の端部領域ER1にて、凹部8が、比較的大きな開口面積を有しつつ密に配置される。これにより、各領域ER1、ER2における凹部8の開口面積の比Ae1/Ae2を小さくしつつ、各領域ER1、ER2における凹部8の開口面積率の条件Se2<Se1を効率的に調整できる。
[変形例5]
図27は、図2に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。同図は、空気入りタイヤ1のトレッド平面図を示している。
図23の構成では、トレッド部センター領域における凹部8の配置密度Dceと、トレッド部ショルダー領域における凹部8の配置密度Dshとが、Dsh<Dceの関係を有する。すなわち、凹部8が、トレッド部センター領域で密に配置され、トレッド部ショルダー領域で疎に配置される。また、トレッド部センター領域における凹部8の配置密度Dceが、トレッド部全域における凹部8の配置密度Dtrよりも高い(Dtr<Dce)。
また、比Dce/Dshが、1.10≦Dce/Dshの範囲にあることが好ましく、1.20≦Dce/Dshの範囲にあることがより好ましい。比Dsh/Dceの上限は、特に限定がないが、上記した接地面における凹部8の配置密度Daの範囲により制約を受ける。
一般に、トレッド部センター領域では、トレッド部ショルダー領域よりも接地圧が小さい。この点において、図23の構成では、凹部8がトレッド部センター領域で密に配置されるので、トレッド部センター領域の接地面積が減少し、接地圧が上昇して、凹部8による雪柱剪断力が増加する。また、凹部8がトレッド部ショルダー領域で疎に配置されるので、トレッド部ショルダー領域の剛性が確保される。これらにより、タイヤのトラクション性能が向上して、タイヤの雪上性能が向上する。したがって、図23の構成は、タイヤの雪上性能が効果的に高まる点で好ましい。
しかし、これに限らず、トレッド部ショルダー領域における凹部8の配置密度Dshと、トレッド部センター領域における凹部8の配置密度Dceとが、Dce<Dshの関係を有しても良い(図示省略。例えば、図2参照)。すなわち、凹部8が、トレッド部ショルダー領域で密に配置され、トレッド部センター領域で疎に配置される。また、トレッド部ショルダー領域における凹部8の配置密度Dshが、トレッド部全域における凹部8の配置密度Dtrよりも高い(Dtr<Dsh)。
また、比Dsh/Dceが、1.10≦Dsh/Dceの範囲にあることが好ましく、1.20≦Dsh/Dceの範囲にあることがより好ましい。比Dsh/Dceの上限は、特に限定がないが、上記した凹部8の配置密度Daの範囲により制約を受ける。
上記の構成では、凹部8がトレッド部ショルダー領域で密に配置されるので、凹部8が吸水作用を発揮することにより、接地圧が高く水膜が発生し易いトレッド部ショルダー領域の除水性(特に、吸水性)が向上し、また、凹部8により陸部のエッジ成分が増加する。これにより、タイヤの氷上制動性能および氷上旋回性能が向上する。また、凹部8がトレッド部センター領域で疎に配置されるので、トレッド部センター領域の接地面積が確保されて、タイヤの氷上制動性能が向上する。したがって、上記の構成は、タイヤの氷上性能が効果的に高まる点で好ましい。
[効果]
以上説明したように、この空気入りタイヤ1は、複数のブロック5をトレッド面に備える(図2参照)。また、ブロック5が、複数の細浅溝7と、複数の凹部8とを接地面に備える(図3および図4参照)。また、1つのブロック5の接地面をタイヤ周方向に三等分して一対の端部領域を定義するときに、ブロック5の接地面のタイヤ周方向の一方の端部領域ER1における凹部8の開口面積率Se1と、タイヤ周方向の他方の端部領域ER2における凹部8の開口面積率Se2とが、Se2<Se1の関係を有する。
かかる構成では、(1)ブロック5が凹部8を接地面に備えるので、タイヤ接地時にて、凹部8が氷路面とトレッド面との間に生ずる水膜を吸い取ることにより、氷路面に対するブロック踏面の密着性が向上する。これにより、タイヤの氷上制動性能が向上する利点がある。また、凹部8によりブロック5のエッジ成分が増加して、雪路における雪柱剪断力(いわゆる掘り起こし力)が増加する。これにより、タイヤの雪上性能が向上する利点がある。
また、(2)ブロック5の一方の端部領域ER1では、凹部8が高い開口面積率Se1で配置されるので、凹部8の吸水作用により、氷路における路面の水膜が効率的に吸収され、氷路面に対するブロック踏面の密着性(凝着摩擦力)が向上して、タイヤの氷上制動性能が向上する。また、端部領域ER1の接地圧が上昇し、雪路における雪柱剪断力が増加して、タイヤの雪上性能が向上する。また、ブロック5の他方の端部領域ER2では、凹部8が低い開口面積率Se2で配置されるので、ブロック5のエッジ部の剛性が確保され、また、ブロック5のエッジ部の接地面積が確保される。そして、上記のように、ブロック5のタイヤ周方向の前後の端部領域ER1、ER2が相互に異なる接地特性を有することにより、タイヤの雪上性能あるいは氷上性能が向上する利点がある。
また、(3)凹部8が、サイプ(例えば、線状サイプ6や円形サイプ(図示省略))と比較して浅いので、ブロック5の剛性が適正に確保される。これにより、タイヤの氷上制動性能が確保される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、一方の端部領域ER1における凹部8の開口面積率Se1と、他方の端部領域ER2における凹部8の開口面積率Se2とが、1.50≦Se1/Se2の関係を有する。これにより、ブロック5のタイヤ周方向の前後の端部領域ER1、ER2における凹部8の開口面積率比Se1/Se2が確保されて、凹部8の開口面積の偏りによる作用が適正に得られる利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、一方の端部領域ER1における凹部8の配置数Ne1と、他方の端部領域ER2における凹部8の配置数Ne2とが、Ne2<Ne1の関係を有する(図3、図6および図7参照)。かかる構成では、ブロック5の一方の端部領域ER1にて、凹部8が密に配置されるので、凹部8の吸水作用により、氷路における路面の水膜が効率的に吸収され、氷路面に対するブロック踏面の密着性が向上して、タイヤの氷上制動性能が向上する。また、一方の端部領域ER1の接地圧が上昇し、雪路における雪柱剪断力が増加して、タイヤの雪上性能が向上する。また、ブロック5の他方の端部領域ER2では、凹部8が疎に配置されるので、ブロック5のエッジ部の剛性が確保され、また、ブロック5のエッジ部の接地面積が確保される。そして、上記のように、ブロック5のタイヤ周方向の前後の端部領域ER1、ER2が相互に異なる接地特性を有することにより、タイヤの雪上性能あるいは氷上性能が向上する利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、一方の端部領域ER1における凹部8の配置数Ne1と、他方の端部領域ER2における凹部8の配置数Ne2とが、1.50≦Ne1/Ne2の関係を有する(図3、図6および図7参照)。これにより、ブロック5のタイヤ周方向の前後の端部領域ER1、ER2における凹部8の疎密配置が適正化される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、他方の端部領域ER2における凹部8の配置密度De2が、0.8[個/cm^2]≦De2≦4.0[個/cm^2]の範囲にある。これにより、凹部8を疎に配置した端部領域ER2における凹部8の配置密度De2が適正化される利点がある。すなわち、0.8[個/cm^2]≦De2であることにより、凹部8の配置数が確保されて、凹部8の機能が適正に確保される。また、Da≦4.0[個/cm^2]であることにより、ブロック5の接地面積が適正に確保される。
また、この空気入りタイヤ1は、タイヤ回転方向を示す表示部(図示省略)を備え、且つ、一方の端部領域ER1がタイヤ回転方向の踏み込み側にある(例えば、図2において、大きな開口面積率Se1を有するタイヤ周方向の第一側がタイヤ回転方向となる)ことが好ましい。これにより、タイヤの氷上性能が向上する利点がある。すなわち、(1)ブロック5の踏み込み側のエッジ部では、タイヤ接地時の接地圧が蹴り出し側よりも大きいため、氷路面の走行時にて接地圧により路面の氷が溶け易く、水膜が発生し易い。このとき、ブロック5の踏み込み側の端部領域ER1にて、凹部8の開口面積率Se1が大きいので、氷路面の水膜が効率的に吸収される。これにより、氷路面に対するブロック踏面の密着性が向上して、氷路での制動性能が向上する。また、(2)ブロック5の蹴り出し側の端部領域ER2にて、凹部8の開口面積率Se2が小さいので、ブロック5の蹴り出し側の接地面積が確保されて、氷上制動性能および氷上加速性能が向上する。
また、この空気入りタイヤ1では、タイヤ回転方向を示す表示部を備え(図示省略)、且つ、タイヤ周方向の一方の端部領域ER1がタイヤ回転方向の蹴り出し側にある(例えば、図2において、大きな開口面積率Se1を有するタイヤ周方向の第一側が、タイヤ回転方向に対して逆方向となる)ことが好ましい。これにより、タイヤの雪上性能が向上する利点がある。すなわち、(1)ブロック5の蹴り出し側の端部領域ER1にて、凹部8の開口面積率Se1が大きいので、ブロック5の蹴り出し側の端部領域ER1における排雪性能が向上する。これにより、ブロック5のエッジ成分が確保されて、雪路での雪上制動性能および雪上加速性能が向上する。また、(2)ブロック5の踏み込み側の端部領域ER2にて、凹部8の開口面積率Se2が小さいので、踏み込み側の端部領域ER2の接地面積が確保されて、雪上加速性能が向上する。
また、この空気入りタイヤ1では、複数のサイプ6が、タイヤ周方向に並列に配置されてブロック5を複数の区間に区画する。また、タイヤ周方向に隣り合う一対の区間に配置された凹部8が、タイヤ幅方向に相互にオフセットして配置される(特に、図3および図6参照)。これにより、凹部8がタイヤ幅方向に分散して配置されて、ブロック5の接地面形状が良好となる利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、複数のサイプ6が、タイヤ周方向に並列に配置されて陸部31〜33を複数の区間に区画する。また、タイヤ周方向に隣り合う任意の3つの区間の少なくとも1つが、凹部8を一方の端部領域ER1に有する(図3、図6および図7参照)。これにより、ブロック5における凹部8の配置数が確保されて、凹部8による雪上性能あるいは氷上性能の向上作用が高まる利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、複数のサイプ6が、タイヤ周方向に並列に配置されてブロック5を複数の区間に区画する。また、他方の端部領域ER2にある隣り合う任意の3つの前記区間が、凹部8を有する区間と、凹部8を有さない前記区間とをそれぞれ含む(図7参照)。かかる構成では、凹部8を疎に配置した端部領域ER2が凹部8を有さない区間を有することにより、凹部8が分散して配置される。これにより、ブロック5の接地面積が確保されて、凹部8を疎に配置した端部領域ER2の接地特性が効果的に高まる利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、複数のサイプ6が、タイヤ周方向に並列に配置されてブロック5を複数の区間に区画する。また、他方の端部領域ER2にある最もタイヤ周方向外側の区間が、ブロック5の角部にのみ凹部8を有する(図3、図6および図7参照)。したがって、凹部8を疎に配置した端部領域ER2では、ブロック5のタイヤ周方向のエッジ部の区間が、角部にのみ凹部8を有し、中央部には凹部8を有さない。これにより、他方の配置領域ER2におけるブロック5のエッジ部の接地面積が確保される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、凹部8が、ブロック5の接地面にて円形状(図4参照)あるいは楕円形状(図示省略)を有する。これにより、凹部8が多角形を有する構成(図示省略)と比較して、ブロック5の接地面の偏摩耗を抑制できる利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、凹部8の壁角度αが、−85[deg]≦α≦95[deg]の範囲にある(図5参照)。かかる構成では、凹部8の壁角度αがブロック5の踏面に対して略垂直となることにより、凹部8のエッジ作用が向上する利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、凹部8の深さHdと、細浅溝7の溝深さHgとが、0.5≦Hd/Hg≦1.5の関係を有する(図5参照)。これにより、凹部8の深さHdが適正化される利点がある。すなわち、0.5≦Hd/Hgであることにより、凹部8の吸水作用が確保される。また、Hd/Hg≦1.5であることにより、凹部8が細浅溝7に対して深過ぎることに起因するブロック5の剛性低下を抑制できる。
また、この空気入りタイヤ1では、トレッド部センター領域における凹部8の配置密度Dceと、トレッド部ショルダー領域における凹部8の配置密度Dshとが、Dce<Dshの関係を有することが好ましい(図2参照)。かかる構成では、凹部8がトレッド部ショルダー領域で密に配置されるので、凹部8が吸水作用を発揮することにより、接地圧が高く水膜が発生し易いトレッド部ショルダー領域の除水性(特に、吸水性)が向上し、また、凹部8により陸部のエッジ成分が増加する。これにより、タイヤの氷上制動性能および氷上旋回性能が向上する利点がある。また、凹部8がトレッド部センター領域で疎に配置されるので、トレッド部センター領域の接地面積が確保されて、タイヤの氷上制動性能が向上する利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、トレッド部センター領域における凹部8の配置密度Dceと、トレッド部ショルダー領域における凹部8の配置密度Dshとが、Dsh<Dceの関係を有することが好ましい(図示省略)。かかる構成では、凹部8がトレッド部センター領域で密に配置されるので、トレッド部センター領域の接地面積が減少し、接地圧が上昇して、凹部8による雪柱剪断力が増加する。これにより、タイヤのトラクション性能が向上して、タイヤの雪上性能が向上する利点がある。また、凹部8がトレッド部ショルダー領域で疎に配置されるので、トレッド部ショルダー領域の剛性が確保される。これにより、タイヤの雪上性能が向上する利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、一方の端部領域ER1における凹部8の開口面積の平均値Ae1と、他方の端部領域ER2における凹部8の開口面積の平均値Ae2とが、Ae2<Ae1の関係を有する(図24〜図26参照)。かかる構成では、(a)ブロック5の一方の端部領域ER1では、比較的大きな凹部8が配置されるので、氷路走行時にて、凹部8の吸水作用により、氷路面の水膜が効率的に吸収され、氷路面に対するブロック踏面の密着性が向上して、タイヤの氷上制動性能が向上する利点がある。また、雪路走行時には、端部領域ER1の接地圧が上昇し、雪路における雪柱剪断力が増加して、タイヤの雪上性能が向上する利点がある。また、(b)ブロック5の他方の端部領域ER2では、比較的小さな凹部8が配置されるので、ブロック5のエッジ部の剛性が確保され、また、ブロック5のエッジ部の接地面積が確保される。そして、ブロック5のタイヤ周方向の前後の端部領域ER1、ER2が、上記した相互に異なる接地特性を有することにより、タイヤの氷上性能および雪上性能が向上する利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、タイヤ周方向の一方の端部領域ER1における凹部8の開口面積の平均値Ae1と、他方の端部領域ER2における凹部8の開口面積の平均値Ae2とが、1.5≦Ae1/Ae2≦4.0の関係を有する。これにより、各領域ER1、ER2における凹部8の開口面積の比Ae1/Ae2が適正化される利点がある。すなわち、1.5≦Ae1/Ae2であることにより、各領域ER1、ER2における凹部8の開口面積の比Ae1/Ae2が確保されて、凹部8の開口面積の偏りによる作用が適正に得られる。また、Ae1/Ae2≦4.0であることにより、開口面積の比Ae/Acが過大となる事態が回避されて、ブロック5の偏摩耗が抑制される。
また、この空気入りタイヤ1では、陸部31〜33が、相互に異なる開口面積をもつ複数種類の凹部8を備え、且つ、一方の端部領域ER1に配置された70[%]以上の凹部8が、ブロック5に配置された凹部8の開口面積の平均値よりも大きな開口面積を有する(図24〜図26参照)。これにより、一方の端部領域ER1における大きな凹部8の配置数が適正化されて、大きな凹部8の機能が確保される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、ブロック5が、相互に異なる開口面積をもつ複数種類の凹部8を備え、且つ、ブロック5に配置された凹部8の開口面積の平均値よりも大きな開口面積をもつ凹部8が、一方の端部領域ER1にてタイヤ周方向の最も外側に配置され、且つ、前記平均値よりも小さい開口面積をもつ凹部8が、他方の端部領域ER2にてタイヤ周方向の最も外側に配置される(図24〜図26参照)。これにより、異なる開口面積をもつ凹部8を偏在させたことによる作用が向上する利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、ブロック5が、タイヤ周方向に並列に配置されてブロック5を複数の区間に区画する複数のサイプ6と、相互に異なる開口面積をもつ複数種類の凹部8とを備える(図24〜図26参照)。また、ブロック5に配置された凹部8の開口面積の平均値よりも大きな開口面積をもつ凹部8が、一方の端部領域ER1にてタイヤ周方向に隣り合う任意の3つの前記区間の少なくとも1つに配置される。これにより、大きな凹部8がタイヤ周方向に分散して配置されて、凹部8の機能が適正に確保される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、ブロック5が、相互に異なる開口面積をもつ複数種類の凹部8を備える(図24〜図26参照)。また、ブロック5に配置された凹部8の開口面積の平均値よりも大きな開口面積をもつ凹部8が、一方の端部領域ER1にてブロック5の角部に配置され、且つ、前記平均値よりも小さな開口面積をもつ凹部8が、他方の端部領域ER2にてブロック5の角部に配置される。これにより、異なる開口面積をもつ凹部8を偏在させたことによる作用が向上する利点がある。
図28〜図31は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。
この性能試験では、複数種類の試験タイヤについて、(1)氷上制動性能、(2)氷上旋回性能、(3)雪上制動性能および(4)雪上加速性能に関する評価が行われた。また、タイヤサイズ195/65R15の試験タイヤがリムサイズ15×6Jのリムに組み付けられ、この試験タイヤに230[kPa]の空気圧およびJATMA規定の最大負荷が付与される。また、試験タイヤが、試験車両である排気量1600[cc]かつFF(Front engine Front drive)方式のセダンに装着される。
(1)氷上制動性能に関する評価では、試験車両が所定の氷路面を走行し、走行速度40[km/h]からの制動距離が測定される。そして、この測定結果に基づいて従来例を基準(100)とした指数評価が行われる。この評価は、数値が大きいほど好ましい。
(2)氷上旋回性能に関する評価では、試験車両が所定の氷路面を半径6[m]の円に沿って旋回走行して、その走行タイムが計測される。そして、この測定結果に基づいて従来例を基準(100)とした指数評価が行われる。この評価は、数値が大きいほど好ましい。
(3)雪上制動性能に関する評価では、試験車両が雪路試験場のスノー路面を走行し、駆動性能および走行速度40[km/h]からの制動距離が測定される。そして、この測定結果に基づいて従来例を基準(100)とした指数評価が行われる。この評価は、数値が大きいほど好ましい。
(4)雪上加速性能に関する評価では、試験車両が雪路試験場のスノー路面を走行し、完全停止状態から走行速度20[km/h]に至るまでの加速タイムが測定される。そして、この測定結果に基づいて従来例を基準(100)とした指数評価が行われる。この評価は、数値が大きいほど好ましい。
図28および図29において、実施例1〜18の試験タイヤは、図2のトレッドパターンを備え、陸部31〜33のブロック5がサイプ6、細浅溝7および凹部8をそれぞれ有する。また、図4に示すように、直線状の細浅溝7がタイヤ周方向に傾斜しつつ平行に配置されてブロック5を貫通する。また、細浅溝7の溝深さが、0.3[mm]である。また、トレッド面にあるすべての凹部8が、同一形状および一定の開口面積を有する。また、すべてのブロック5にて、タイヤ周方向の一方の端部領域ER1における凹部8の配置数Ne1と他方の端部領域ER2における凹部8の配置数Ne2とが、Ne2<Ne1の関係を有する。また、凹部8の配置密度Daおよび配置数比Ne1/Ne2は、トレッド面にあるすべてのブロック5の平均値である。また、凹部8の開口面積率比Se1/Se2が、各領域ER1、ER2における凹部8の配置数の比Ne1/Ne2に略等しい。
また、図28の実施例1〜9では、試験タイヤが、タイヤ周方向の第一側(図2参照)をタイヤ回転方向に向けて試験車両に装着される。このため、凹部8を密に設けた一方の端部領域ER1(図3、図6および図7参照)が、タイヤ転動時にて踏み込み側となる。そして、この装着状態にて、(1)氷上制動性能および(2)氷上旋回性能に関する評価が行われる。一方、図29の実施例10〜18では、試験タイヤが、タイヤ周方向の第一側をタイヤ回転方向の逆方向に向けて試験車両に装着される。このため、凹部8を密に設けた一方の端部領域ER1が、タイヤ転動時にて蹴り出し側となる。そして、この装着状態にて、(3)雪上制動性能および(4)雪上加速性能に関する評価が行われる。
図30および図31において、実施例19〜42の試験タイヤは、図23のトレッドパターンを備え、陸部31〜33のブロック5がサイプ6、細浅溝7および凹部8をそれぞれ有する。また、図4に示すように、直線状の細浅溝7がタイヤ周方向に傾斜しつつ平行に配置されてブロック5を貫通する。また、細浅溝7の溝深さが、0.3[mm]である。また、トレッド面にあるすべてのブロック5が、異なる開口面積をもつ2種類かつ複数の凹部8を備える。また、すべての凹部8が、同一形状を有する。また、大きい開口面積Aeを有する凹部8がブロック5のタイヤ周方向の一方の端部領域ER1および中央部の領域(図24〜図26参照)に配置され、小さい開口面積Acを有する凹部8が他方の端部領域ER2に配置される。また、1つのブロック5では、一方の端部領域ER1における凹部8の配置数Ne1と他方の端部領域ER2における凹部8の配置数Ne2とが略同一である。このため、凹部8の開口面積率比Se1/Se2が、大小の凹部8の開口面積の比Ae1/Ae2に略等しい。また、凹部8の配置密度Daは、トレッド面にあるすべてのブロック5の平均値である。
また、図30の実施例19〜30では、試験タイヤが、タイヤ周方向の第一側(図23参照)をタイヤ回転方向に向けて試験車両に装着される。このため、大きな凹部8を有する一方の端部領域ER1(図24〜図26参照)が、タイヤ転動時にて踏み込み側となる。そして、この装着状態にて、(1)氷上制動性能および(2)氷上旋回性能に関する評価が行われる。一方、図31の実施例31〜42では、試験タイヤが、タイヤ周方向の第一側をタイヤ回転方向の逆方向に向けて試験車両に装着される。このため、大きな凹部8を有する一方の端部領域ER1が、タイヤ転動時にて蹴り出し側となる。そして、この装着状態にて、(3)雪上制動性能および(4)雪上加速性能に関する評価が行われる。
従来例1、2の試験タイヤでは、実施例1、10の構成において、ブロック5がサイプ6および細浅溝7のみを有し、凹部8を有していない。比較例1、2の試験タイヤは、実施例1、10の構成において、ブロック5のタイヤ周方向の前後の端部領域ER1、ER2(図3参照)における凹部8の配置数Ne1、Ne2が、Ne1/Ne2=1.00である。
試験結果に示すように、実施例1〜42の試験タイヤでは、タイヤの氷上性能あるいは雪上性能が向上することが分かる。
1:空気入りタイヤ、21、22:周方向主溝、23:周方向細溝、31〜33:陸部、311:切欠部、41〜43:ラグ溝、5:ブロック、6:サイプ6:細浅溝、8:凹部、11:ビードコア、12:ビードフィラー、13:カーカス層、14:ベルト層、141、142:交差ベルト、143:ベルトカバー、15:トレッドゴム、16:サイドウォールゴム、17:リムクッションゴム

Claims (22)

  1. 複数のブロックをトレッド面に備える空気入りタイヤであって、
    前記ブロックが、複数の細浅溝と、複数の凹部とを接地面に備え、且つ、
    1つの前記ブロックの接地面をタイヤ周方向に三等分して一対の端部領域を定義するときに、
    前記ブロックの接地面のタイヤ周方向の一方の前記端部領域における前記凹部の開口面積率Se1と、タイヤ周方向の他方の前記端部領域における前記凹部の開口面積率Se2とが、Se2<Se1の関係を有することを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記一方の端部領域における前記凹部の開口面積率Se1と、前記他方の端部領域における前記凹部の開口面積率Se2とが、1.50≦Se1/Se2の関係を有する請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記一方の端部領域における前記凹部の配置数Ne1と、前記他方の端部領域における前記凹部の配置数Ne2とが、Ne2<Ne1の関係を有する請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記一方の端部領域における前記凹部の配置数Ne1と、前記他方の端部領域における前記凹部の配置数Ne2とが、1.50≦Ne1/Ne2の関係を有する請求項3に記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記他方の端部領域における前記凹部の配置密度De2が、0.8[個/cm^2]≦De2≦4.0[個/cm^2]の範囲にある請求項3または4に記載の空気入りタイヤ。
  6. タイヤ回転方向を示す表示部を備え、且つ、前記一方の端部領域が前記タイヤ回転方向の踏み込み側にある請求項1〜5のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  7. タイヤ回転方向を示す表示部を備え、且つ、タイヤ周方向の前記一方の端部領域が前記タイヤ回転方向の蹴り出し側にある請求項1〜6のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  8. 複数のサイプが、タイヤ周方向に並列に配置されて前記ブロックを複数の区間に区画し、且つ、タイヤ周方向に隣り合う一対の前記区間に配置された前記凹部が、タイヤ幅方向に相互にオフセットして配置される請求項1〜7のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  9. 複数のサイプが、タイヤ周方向に並列に配置されて前記ブロックを複数の区間に区画し、且つ、タイヤ周方向に隣り合う任意の3つの前記区間の少なくとも1つが、前記凹部を前記一方の端部領域に有する請求項1〜8のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  10. 複数のサイプが、タイヤ周方向に並列に配置されて前記ブロックを複数の区間に区画し、且つ、前記他方の端部領域にある隣り合う任意の3つの前記区間が、前記凹部を有する前記区間と、前記凹部を有さない前記区間とをそれぞれ有する請求項1〜9のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  11. 複数のサイプが、タイヤ周方向に並列に配置されて前記ブロックを複数の区間に区画し、且つ、前記他方の端部領域にある最もタイヤ周方向外側の前記区間が、前記ブロックの角部にのみ前記凹部を有する請求項1〜10のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  12. 前記凹部が、前記ブロックの接地面にて円形状あるいは楕円形状を有する請求項1〜11のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  13. 前記凹部の壁角度αが、−85[deg]≦α≦95[deg]の範囲にある請求項1〜12のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  14. 前記凹部の深さHdと、前記細浅溝の溝深さHgとが、0.5≦Hd/Hg≦1.5の関係を有する請求項1〜13のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  15. トレッド部センター領域における前記凹部の配置密度Dceと、トレッド部ショルダー領域における前記凹部の配置密度Dshとが、Dce<Dshの関係を有する請求項1〜14のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  16. トレッド部センター領域における前記凹部の配置密度Dceと、トレッド部ショルダー領域における前記凹部の配置密度Dshとが、Dsh<Dceの関係を有する請求項1〜15のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  17. 前記一方の端部領域における前記凹部の開口面積の平均値Ae1と、前記他方の端部領域における前記凹部の開口面積の平均値Ae2とが、Ae2<Ae1の関係を有する請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
  18. 前記一方の端部領域における前記凹部の開口面積の平均値Ae1と、前記他方の端部領域における前記凹部の開口面積の平均値Ae2とが、1.5≦Ae1/Ae2≦4.0の関係を有する請求項17に記載の空気入りタイヤ。
  19. 前記ブロックが、相互に異なる開口面積をもつ複数種類の前記凹部を備え、且つ、前記一方の端部領域に配置された70[%]以上の前記凹部が、前記ブロックに配置された前記凹部の開口面積の平均値よりも大きな開口面積を有する請求項17または18に記載の空気入りタイヤ。
  20. 前記ブロックが、相互に異なる開口面積をもつ複数種類の前記凹部を備え、
    前記ブロックに配置された前記凹部の開口面積の平均値よりも大きな開口面積をもつ前記凹部が、前記一方の端部領域にてタイヤ周方向の最も外側に配置され、且つ、
    前記平均値よりも小さい開口面積をもつ前記凹部が、前記他方の端部領域にてタイヤ周方向の最も外側に配置される請求項17〜19のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  21. 前記ブロックが、タイヤ周方向に並列に配置されて前記ブロックを複数の区間に区画する複数のサイプと、相互に異なる開口面積をもつ複数種類の前記凹部とを備え、且つ、
    前記ブロックに配置された前記凹部の開口面積の平均値よりも大きな開口面積をもつ前記凹部が、前記一方の端部領域にてタイヤ周方向に隣り合う任意の3つの前記区間の少なくとも1つに配置される請求項17〜20のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  22. 前記ブロックが、相互に異なる開口面積をもつ複数種類の前記凹部を備え、
    前記ブロックに配置された前記凹部の開口面積の平均値よりも大きな開口面積をもつ前記凹部が、前記一方の端部領域にて前記ブロックの角部に配置され、且つ、
    前記平均値よりも小さな開口面積をもつ凹部が、前記他方の端部領域にて前記ブロックの角部に配置される請求項17〜21のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
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