JP2017197112A - 空気入りタイヤ - Google Patents

空気入りタイヤ Download PDF

Info

Publication number
JP2017197112A
JP2017197112A JP2016091328A JP2016091328A JP2017197112A JP 2017197112 A JP2017197112 A JP 2017197112A JP 2016091328 A JP2016091328 A JP 2016091328A JP 2016091328 A JP2016091328 A JP 2016091328A JP 2017197112 A JP2017197112 A JP 2017197112A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tire
region
recess
block
width direction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2016091328A
Other languages
English (en)
Inventor
浩史 古澤
Hiroshi Furusawa
浩史 古澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yokohama Rubber Co Ltd
Original Assignee
Yokohama Rubber Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Yokohama Rubber Co Ltd filed Critical Yokohama Rubber Co Ltd
Priority to JP2016091328A priority Critical patent/JP2017197112A/ja
Publication of JP2017197112A publication Critical patent/JP2017197112A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Tires In General (AREA)

Abstract

【課題】タイヤの雪上性能を向上できる空気入りタイヤを提供すること。【解決手段】この空気入りタイヤ1は、リブあるいは複数のブロックを有する陸部31〜33をトレッド面に備える。また、陸部31〜33が、50[μm]以下の算術平均粗さRaをもつ表面加工部7と、複数の凹部8とをブロック5の接地面に備える。また、ブロック5の全域における前記フラットな領域の面積比率が、50[%]以上である。また、ブロック5のタイヤ幅方向の中央部50[%]の領域を中央部領域として定義し、タイヤ幅方向の左右の端部25[%]の領域を端部領域として定義するときに、ブロック5のタイヤ幅方向の中央部領域CRにおける凹部8の開口面積率Scと、タイヤ幅方向の端部領域における凹部8の開口面積率Seとが、Se<Scの関係を有する。【選択図】図3

Description

この発明は、空気入りタイヤに関し、さらに詳しくは、タイヤの雪上性能を向上できる空気入りタイヤに関する。
一般的なスタッドレスタイヤでは、氷路面および雪路面でのタイヤ性能を向上させるために、トレッドコンパウンドに微細な突起物を配合した構成や、微細な空隙を含むトレッドゴムを用いた構成などが採用されている。これらの構成では、微細な突起物により氷路面でのエッジ作用が向上し、あるいは、微細な空隙により氷路面での吸水作用およびエッジ作用が向上する。これにより、タイヤの氷上性能および雪上性能が向上する。
さらに、近年のスタッドレスタイヤでは、タイヤ使用初期における氷路面および雪路面でのタイヤ性能を向上させるために、トレッド踏面に微細かつ多数の突起部を形成した構成が採用されている。かかる構成では、タイヤ接地面の表面粗さが増加して、突起部間の空隙が氷路面とトレッド面との間に介在する水膜を除去し、また、突起部により路面とトレッド面との摩擦力が増加する。これにより、タイヤ新品時における氷上性能および雪上性能が向上する。かかる構成を採用する従来の空気入りタイヤとして、特許文献1に記載される技術が知られている。
特開2013−136346号公報
一方で、空気入りタイヤでは、タイヤの雪上性能を向上させるべき課題もある。
そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、タイヤの雪上性能を向上できる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、この発明にかかる空気入りタイヤは、リブあるいは複数のブロックを有する陸部をトレッド面に備える空気入りタイヤにおいて、前記陸部が、50[μm]以下の算術平均粗さをもつフラットな領域と、複数の凹部とを連続した接地面に備え、且つ、前記連続した接地面の全域における前記フラットな領域の面積比率が、50[%]以上であり、前記連続した接地面のタイヤ幅方向の中央部50[%]の領域を中央部領域として定義し、タイヤ幅方向の左右の端部25[%]の領域を端部領域として定義するときに、前記連続した接地面の前記タイヤ幅方向の中央部領域における前記凹部の開口面積率Scと、前記タイヤ幅方向の端部領域における前記凹部の開口面積率Seとが、Se<Scの関係を有することを特徴とする。
複数のブロックをトレッド面に備える空気入りタイヤにおいて、前記陸部が、50[μm]以下の算術平均粗さをもつフラットな領域と、複数の凹部とを接地面に備え、且つ、前記ブロックの接地面の全域における前記フラットな領域の面積比率が、50[%]以上であり、前記ブロックの接地面のタイヤ周方向の中央部50[%]の領域を中央部領域として定義し、タイヤ周方向の前後の端部25[%]の領域を端部領域として定義するときに、前記ブロックの接地面の前記タイヤ周方向の中央部領域における前記凹部の開口面積率Sc’と、前記タイヤ周方向の端部領域における前記凹部の開口面積率Se’とが、Se’<Sc’の関係を有することを特徴とする。
この発明にかかる空気入りタイヤでは、陸部が、50[μm]以下の算術平均粗さをもつフラットな領域と複数の凹部との双方を連続した接地面に備えることにより、接地面で発生した水膜がフラットな領域から凹部に移動して効率的に吸収および排出される。これにより、陸部の接地特性が向上して、タイヤの氷上制動性能が向上する利点がある。
図1は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤを示すタイヤ子午線方向の断面図である。 図2は、図1に記載した空気入りタイヤのトレッド面を示す平面図である。 図3は、図2に記載した空気入りタイヤの陸部を示す説明図である。 図4は、ブロックの踏面を示す拡大図である。 図5は、凹部の深さ方向の断面を示す説明図である。 図6は、ブロックの表面加工を示す説明図である。 図7は、ブロックの表面加工を示す説明図である。 図8は、図2に記載した空気入りタイヤの陸部を示す説明図である。 図9は、図2に記載した空気入りタイヤの陸部を示す説明図である。 図10は、図2に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図11は、図2に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図12は、図2に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図13は、図2に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図14は、図2に記載した空気入りタイヤの陸部を示す説明図である。 図15は、図2に記載した空気入りタイヤの陸部を示す説明図である。 図16は、図2に記載した空気入りタイヤの陸部を示す説明図である。 図17は、図13に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図18は、図13に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図19は、図13に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図20は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。 図21は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施の形態の構成要素には、発明の同一性を維持しつつ置換可能かつ置換自明なものが含まれる。また、この実施の形態に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
[空気入りタイヤ]
図1は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤを示すタイヤ子午線方向の断面図である。同図は、タイヤ径方向の片側領域の断面図を示している。また、同図は、空気入りタイヤの一例として、乗用車用ラジアルタイヤを示している。
同図において、タイヤ子午線方向の断面とは、タイヤ回転軸(図示省略)を含む平面でタイヤを切断したときの断面をいう。また、符号CLは、タイヤ赤道面であり、タイヤ回転軸方向にかかるタイヤの中心点を通りタイヤ回転軸に垂直な平面をいう。また、タイヤ幅方向とは、タイヤ回転軸に平行な方向をいい、タイヤ径方向とは、タイヤ回転軸に垂直な方向をいう。
この空気入りタイヤ1は、タイヤ回転軸を中心とする環状構造を有し、一対のビードコア11、11と、一対のビードフィラー12、12と、カーカス層13と、ベルト層14と、トレッドゴム15と、一対のサイドウォールゴム16、16と、一対のリムクッションゴム17、17とを備える(図1参照)。
一対のビードコア11、11は、複数のビードワイヤを束ねて成る環状部材であり、左右のビード部のコアを構成する。一対のビードフィラー12、12は、一対のビードコア11、11のタイヤ径方向外周にそれぞれ配置されてビード部を構成する。
カーカス層13は、1枚のカーカスプライから成る単層構造あるいは複数のカーカスプライを積層して成る多層構造を有し、左右のビードコア11、11間にトロイダル状に架け渡されてタイヤの骨格を構成する。また、カーカス層13の両端部は、ビードコア11およびビードフィラー12を包み込むようにタイヤ幅方向外側に巻き返されて係止される。また、カーカス層13のカーカスプライは、スチールあるいは有機繊維材(例えば、アラミド、ナイロン、ポリエステル、レーヨンなど)から成る複数のカーカスコードをコートゴムで被覆して圧延加工して構成され、絶対値で80[deg]以上95[deg]以下のカーカス角度(タイヤ周方向に対するカーカスコードの繊維方向の傾斜角として定義される)を有する。
ベルト層14は、一対の交差ベルト141、142と、ベルトカバー143とを積層して成り、カーカス層13の外周に掛け廻されて配置される。一対の交差ベルト141、142は、スチールあるいは有機繊維材から成る複数のベルトコードをコートゴムで被覆して圧延加工して構成され、絶対値で20[deg]以上55[deg]以下のベルト角度を有する。また、一対の交差ベルト141、142は、相互に異符号のベルト角度(タイヤ周方向に対するベルトコードの繊維方向の傾斜角として定義される)を有し、ベルトコードの繊維方向を相互に交差させて積層される(いわゆるクロスプライ構造)。ベルトカバー143は、コートゴムで被覆されたスチールあるいは有機繊維材から成る複数のコードを圧延加工して構成され、絶対値で0[deg]以上10[deg]以下のベルト角度を有する。また、ベルトカバー143は、交差ベルト141、142のタイヤ径方向外側に積層されて配置される。
トレッドゴム15は、カーカス層13およびベルト層14のタイヤ径方向外周に配置されてタイヤのトレッド部を構成する。一対のサイドウォールゴム16、16は、カーカス層13のタイヤ幅方向外側にそれぞれ配置されて左右のサイドウォール部を構成する。一対のリムクッションゴム17、17は、左右のビードコア11、11およびカーカス層13の巻き返し部のタイヤ径方向内側にそれぞれ配置されて、リムフランジに対する左右のビード部の接触面を構成する。
[トレッドパターン]
図2は、図1に記載した空気入りタイヤのトレッド面を示す平面図である。同図は、スタッドレスタイヤのトレッドパターンを示している。同図において、タイヤ周方向とは、タイヤ回転軸周りの方向をいう。また、符号Tは、タイヤ接地端である。
図2に示すように、空気入りタイヤ1は、タイヤ周方向に延在する複数の周方向主溝21、22と、これらの周方向主溝21、22に区画された複数の陸部31〜33と、これらの陸部31〜33に配置された複数のラグ溝41〜43とをトレッド部に備える。
周方向主溝とは、摩耗末期を示すウェアインジケータを有する周方向溝であり、一般に、5.0[mm]以上の溝幅および7.5[mm]以上の溝深さを有する。また、ラグ溝とは、2.0[mm]以上の溝幅および3.0[mm]以上の溝深さを有する横溝をいう。
溝幅は、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を充填した無負荷状態にて、溝開口部における左右の溝壁の距離の最大値として測定される。陸部が切欠部や面取部をエッジ部に有する構成では、溝長さ方向を法線方向とする断面視にて、トレッド踏面と溝壁の延長線との交点を基準として、溝幅が測定される。また、溝がタイヤ周方向にジグザグ状あるいは波状に延在する構成では、溝壁の振幅の中心線を基準として、溝幅が測定される。
溝深さは、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を充填した無負荷状態にて、トレッド踏面から溝底までの距離の最大値として測定される。また、溝が部分的な凹凸部やサイプを溝底に有する構成では、これらを除外して溝深さが測定される。
規定リムとは、JATMAに規定される「適用リム」、TRAに規定される「Design Rim」、あるいはETRTOに規定される「Measuring Rim」をいう。また、規定内圧とは、JATMAに規定される「最高空気圧」、TRAに規定される「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値、あるいはETRTOに規定される「INFLATION PRESSURES」をいう。また、規定荷重とは、JATMAに規定される「最大負荷能力」、TRAに規定される「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値、あるいはETRTOに規定される「LOAD CAPACITY」をいう。ただし、JATMAにおいて、乗用車用タイヤの場合には、規定内圧が空気圧180[kPa]であり、規定荷重が最大負荷能力の88[%]である。
例えば、図2の構成では、ストレート形状を有する4本の周方向主溝21、22がタイヤ赤道面CLを中心として左右対称に配置されている。また、4本の周方向主溝21、22により、5列の陸部31〜33が区画されている。また、陸部31が、タイヤ赤道面CL上に配置されている。また、各陸部31〜33が、タイヤ周方向に所定間隔で配置されて陸部31〜33をタイヤ幅方向に貫通する複数のラグ溝41〜43を備えている。また、セカンド陸部32が、タイヤ周方向に屈曲しつつ延在する周方向細溝23を備えている。そして、各陸部31〜33が、周方向主溝21、22、周方向細溝23およびラグ溝41〜43に区画されてブロック列となっている。
なお、図2の構成では、上記のように、周方向主溝21、22が、ストレート形状を有している。しかし、これに限らず、周方向主溝21、22が、タイヤ周方向に屈曲あるいは湾曲しつつ延在するジグザグ形状あるいは波状形状を有しても良い(図示省略)。
また、図2の構成では、上記のように、各陸部31〜33が、ラグ溝41〜43によりタイヤ周方向に分断されてブロック列となっている。しかし、これに限らず、例えば、一部のラグ溝41〜43が陸部31〜33の内部で終端するセミクローズド構造を有することにより、一部の陸部31〜33がタイヤ周方向に連続するリブであっても良い(図示省略)。
また、図2の構成では、空気入りタイヤ1が、左右点対称なトレッドパターンを有している。しかし、これに限らず、空気入りタイヤ1が、例えば、左右線対称なトレッドパターン、左右非対称なトレッドパターン、タイヤ回転方向に方向性を有するトレッドパターンを有しても良い(図示省略)。
また、図2の構成では、空気入りタイヤ1が、タイヤ周方向に延在する周方向主溝21、22を備えている。しかし、これに限らず、空気入りタイヤ1が、周方向主溝21、22に代えて、タイヤ周方向に対して所定角度で傾斜しつつ延在する複数の傾斜主溝を備えても良い。例えば、空気入りタイヤ1が、タイヤ周方向に凸となるV字形状を有すると共にタイヤ幅方向に延在して左右のトレッド端に開口する複数のV字傾斜主溝と、隣り合うV字傾斜主溝を接続する複数のラグ溝と、これらのV字傾斜主溝およびラグ溝に区画された複数の陸部とを備えても良い(図示省略)。
[ブロックのサイプ]
図3は、図2に記載した空気入りタイヤの陸部を示す説明図である。同図は、ショルダー陸部33を構成する1つのブロック5の平面図を示している。なお、ショルダー陸部33は、最外周方向主溝22に区画されたタイヤ幅方向外側の陸部として定義される。
図2および図3に示すように、この空気入りタイヤ1では、すべての陸部31〜33のブロック5が複数のサイプ6をそれぞれ有する。これらのサイプ6により、陸部31〜33のエッジ成分が増加して、タイヤの氷雪上性能が向上する。
サイプは、陸部に形成された切り込みであり、一般に1.0[mm]未満のサイプ幅および2.0[mm]以上のサイプ深さを有することにより、タイヤ接地時に閉塞する。なお、サイプ深さの上限は、特に限定がないが、一般に主溝の溝深さよりも浅い。
サイプ幅は、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を充填した無負荷状態にて、陸部の接地面におけるサイプの開口幅の最大値として測定される。
なお、サイプ6は、両端部にて陸部31〜33の内部で終端するクローズド構造、一方の端部にてブロック5のエッジ部に開口して他方の端部にてブロック5の内部で終端するセミクローズド構造、および、両端部にてブロック5のエッジ部に開口するオープン構造のいずれを有しても良い。また、陸部31〜33におけるサイプ6の長さ、枚数および配置構造は、当業者自明の範囲内にて適宜選択できる。また、サイプ6は、タイヤ幅方向、タイヤ周方向、およびこれらに傾斜する方向の任意の方向に延在できる。
例えば、図3の構成では、ショルダー陸部33が、最外周方向主溝22および複数のラグ溝43(図2参照)に区画されて成る複数のブロック5を備えている。また、1つのブロック5が複数のサイプ6を備えている。また、これらのサイプ6が、タイヤ幅方向に延在するジグザグ形状を有し、また、タイヤ周方向に所定間隔をあけて並列に配置されている。また、タイヤ周方向の最も外側にあるサイプ6が、両端部にてブロック5の内部で終端するクローズド構造を有している。これにより、タイヤ転動時におけるブロック5の踏み込み側および蹴り出し側のエッジ部の剛性が確保されている。また、タイヤ周方向の中央部にあるサイプ6が、一方の端部にて周方向主溝22に開口し、他方の端部にてブロック5の内部で終端するセミクローズド構造を有している。これにより、ブロック5の中央部の剛性が低減されて、ブロック5のタイヤ周方向の剛性分布が均一化されている。
[ブロック踏面の表面粗さ]
図4は、ブロックの踏面を示す拡大図である。図5は、凹部の深さ方向の断面を示す説明図である。これらの図において、図4は、ブロック5の踏面におけるサイプ6および凹部8の位置関係を示し、図5は、凹部8の中心点を通りブロック5の踏面に垂直な断面を示している。
また、図6および図7は、ブロックの表面加工を示す説明図である。これらの図において、図6は、ブロックの踏面に施された表面加工部7の平面図を模式的に示し、図7は、表面加工部7の高さ方向の断面図を模式的に示している。
この空気入りタイヤ1では、陸部31〜33の接地面の少なくとも一部の領域が、1[μm]以上50[μm]以下の算術平均粗さRaを有する。また、算術平均粗さRaが、10[μm]以上40[μm]以下の範囲にあることが好ましい。かかる構成では、突起部間の空隙が氷路面とトレッド面との間に介在する水膜を除去し、また、突起部により路面とトレッド面との摩擦力が増加する。これにより、タイヤ新品時における氷上性能および雪上性能が向上する。
算術平均粗さRaは、JIS B0601(2001年)に準拠して測定される。また、算術平均粗さRaは、陸部に形成されたサイプ6、後述する凹部8、切り欠き、細溝などを除外して測定される。
例えば、図2の構成では、各陸部31〜33のすべてのブロック5の接地面に、図6および図7に示す表面加工部7が施されている。また、表面加工部7が、微細かつ多数の半球状の突起部を接地面の全域に点在させた構造を有する。また、突起部の最大高さHp(図7参照)が、1[μm]以上50[μm]以下の範囲にあり、また、突起部の最大外径Dp(図6参照)が、1[μm]以上50[μm]以下の範囲にある。また、隣り合う突起部の頂部の平均間隔が、5[μm]以上100[μm]以下の範囲にあることが好ましい。
突起部の最大高さHpおよび最大外径Dpは、図6および図7に示すように、突起部の外輪郭線(突起部の外表面とブロックの平面部との交点により定義される。)を測定点として、例えばマイクロスコープを用いて測定される。
なお、図2の構成では、上記のように、表面加工部7の突起部が、半球状を有している(図6および図7参照)。しかし、これに限らず、表面加工部7の突起部が、裁頭半球状、裁頭円錐状、裁頭角錐状などの断面台形状を有しても良いし、円柱状、角柱状などの断面矩形状を有しても良い(図示省略)。
また、図2の構成では、上記のように、各陸部31〜33のすべてのブロック5が、上記した表面加工部7を踏面の全域に有している。しかし、これに限らず、陸部31〜33のブロック5の一部あるいは全部が、あるいは、ブロック5の踏面の一部あるいは全部が、表面加工部7を有さないプレーンな領域を有しても良い。プレーンな領域は、1[μm]未満の算術平均粗さRaを有する領域として定義される。
ここで、50[μm]以下の算術平均粗さRaをもつ領域をフラットな領域として定義する。このフラットな領域は、上記表面加工部7をもつ領域および上記プレーンな領域の双方を含む概念である。
この空気入りタイヤ1では、陸部31〜33のブロック5が、上記したフラットな領域と、後述する複数の凹部8とを接地面に備える。また、連続した接地面の全域におけるフラットな領域(好ましくは、上記表面加工部7をもつ領域)の面積比率が、50[%]以上、すなわち半分以上であることが好ましい。
接地面は、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を付与すると共に静止状態にて平板に対して垂直に置いて規定荷重に対応する負荷を加えたときのタイヤと平板との接触面(具体的には、当該接触面の輪郭線に囲まれた領域)として定義される。
連続した接地面は、2.0[mm]以上の溝幅および3.0[mm]以上の溝深さを有する溝により区画された接地面として定義される。具体的には、上記の溝幅および溝深さを有する周方向溝およびラグ溝により区画された1つのリブあるいは1つのブロックの接地面が、上記連続した接地面に該当する。また、例えば、陸部内で終端するクローズド構造のラグ溝、陸部に形成された部分的な切り欠き(例えば、後述する図9の切欠部311)、タイヤ接地時に閉塞するサイプやカーフなどは、陸部の接地面を分断しないため、上記の溝に該当しない。
[ブロックの凹部]
図2および図3に示すように、この空気入りタイヤ1では、すべてのブロック5が、複数の凹部8を接地面に備える。かかる構成では、タイヤ接地時にて、凹部8が氷路面とトレッド面との間に生ずる水膜を吸い取ることにより、氷路面に対するブロック踏面の密着性が向上する。これにより、タイヤの氷上制動性能が向上する。
凹部8は、陸部31〜33の接地面に形成されたクローズドな窪み(接地面の境界に開口していない窪み。いわゆるディンプル)であり、陸部31〜33の接地面にて任意の幾何学的形状を有する。例えば、凹部8の開口部が、円形あるいは楕円形を有しても良いし、四角形、六角形などの多角形を有しても良い。円形あるいは楕円形の凹部8は、陸部31〜33の接地面の偏摩耗が小さい点で好ましく、多角形の凹部8は、エッジ成分が大きく氷上制動性能を向上できる点で好ましい。
また、凹部8の開口面積が、2.5[mm^2]以上10[mm^2]以下の範囲にあることが好ましい。例えば、円形の凹部8であれば、その直径が約1.8[mm]〜3.6[mm]の範囲にある。これにより、凹部8の開口面積が適正化される。すなわち、凹部8の開口面積が2.5[mm^2]以上であることにより、凹部8のエッジ作用および吸水性が確保される。また、凹部8の開口面積が10[mm^2]以下であることにより、ブロック5の接地面積が確保される。
凹部8の開口面積は、陸部31〜33の接地面における凹部8の開口面積であり、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を付与すると共に無負荷状態として測定される。
また、凹部8の深さHd(図5参照)が、0.10[mm]以上2.0[mm]未満の範囲にあることが好ましく、0.2[mm]以上1.5[mm]以下の範囲にあることがより好ましい。すなわち、凹部8の深さが、タイヤ接地面に施される表面粗さレベルの加工よりも明らかに深く、また、一般的なサイプ(例えば、線状サイプ6や円形サイプ(図示省略)など)の深さよりも明らかに浅い範囲に設定される。上記数値範囲の下限により、凹部8の機能が適正に確保され、また、上記数値範囲の上限により、陸部31〜33の剛性が適正に確保される。
また、凹部8の壁角度α(図5参照)が、−85[deg]≦α≦95[deg]の範囲にあることが好ましい。すなわち、凹部8の内壁が陸部31〜33の接地面に対して略垂直であることが好ましい。これにより、凹部8のエッジ成分が増加する。
凹部8の壁角度αは、凹部8の深さ方向の断面視にて、陸部31〜33の接地面と凹部8の内壁とのなす角として測定される。
また、図4に示すように、凹部8は、サイプ6から離間して配置される。すなわち、凹部8とサイプ6とは、陸部31〜33の接地面にて相互に異なる位置に配置されて、交差しない。また、凹部8とサイプ6との距離gは、0.2[mm]≦gの範囲にあることが好ましく、0.3[mm]≦gの範囲にあることがより好ましい。これにより、陸部31〜33の剛性が適正に確保される。
また、凹部8は、ブロック5の踏面で疎らに配置される。具体的には、1つのブロック5の接地面の全域における凹部8の配置密度Daが、0.8[個/cm^2]≦Da≦4.0[個/cm^2]の範囲にあることが好ましく、1.0[個/cm^2]≦Da≦3.0[個/cm^2]の範囲にあることがより好ましい。これにより、凹部8の配置密度Daが適正化される。すなわち、0.8[個/cm^2]≦Daであることにより、凹部8の配置数が確保されて、凹部8の機能が適正に確保される。また、Da≦4.0[個/cm^2]であることにより、ブロック5の接地面積が適正に確保される。
凹部8の配置密度Daは、1つのリブあるいはブロックの接地面の面積に対する凹部8の総数として定義される。例えば、陸部がタイヤ周方向に連続するリブである場合(図示省略)には、1つのリブ全体の接地面積に対する凹部8の総数が、上記の配置密度Daとなる。また、陸部がブロックである場合(図2および図3参照)には、1つのブロック5の接地面積に対する凹部8の総数が、上記の配置密度Daとなる。
陸部の接地面積は、タイヤが規定リムに装着されて規定内圧を付与されると共に静止状態にて平板に対して垂直に置かれて規定荷重に対応する負荷を加えられたときのタイヤと平板との接触面にて、測定される。
[タイヤ幅方向における凹部の開口面積率の偏在]
この空気入りタイヤ1では、連続した接地面にて定義されるタイヤ幅方向の中央部領域CRにおける凹部8の開口面積率Scと、タイヤ幅方向の端部領域における凹部8の開口面積率Seとが、Se<Scの関係を有する。すなわち、タイヤ幅方向の中央部領域CR(図3参照)における凹部8の開口面積率Scが、端部領域よりも大きい。また、凹部8の開口面積率の比Sc/Seが、1.50≦Sc/Seの関係を有することが好ましく、3.00≦Sc/Seの関係を有することがより好ましい。比Sc/Seの上限は、特に限定がないが、凹部8の配置密度や開口面積との関係により制約を受ける。また、すべての凹部8が中央部領域CRに配置された場合(図示省略)には、Se=0となり、Se<Scの条件が満たされる。
接地面は、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を付与すると共に静止状態にて平板に対して垂直に置いて規定荷重に対応する負荷を加えたときのタイヤと平板との接触面にて定義される。
連続した接地面は、2.0[mm]以上の溝幅および3.0[mm]以上の溝深さを有する溝により区画された接地面として定義される。具体的には、上記の溝幅および溝深さを有する周方向溝およびラグ溝により区画された1つのリブあるいは1つのブロックの接地面が、上記連続した接地面に該当する。また、例えば、陸部内で終端するクローズド構造のラグ溝、陸部に形成された部分的な切り欠き(例えば、後述する図9の切欠部311)、タイヤ接地時に閉塞するサイプやカーフなどは、陸部の接地面を分断しないため、上記の溝に該当しない。
タイヤ幅方向の中央部領域は、連続した接地面のタイヤ幅方向の中央部50[%]の領域として定義される(図3参照)。タイヤ幅方向の端部領域は、連続した接地面のタイヤ幅方向の左右の端部25[%]の領域として定義される。例えば、陸部がタイヤ周方向に連続するリブである場合(図示省略)には、1つのリブ全体の接地面についてタイヤ幅方向の中央部領域および端部領域が定義される。また、陸部がブロック列である場合(図2参照)には、ブロック列を構成する各ブロックの接地面について中央部領域および端部領域がそれぞれ定義される。なお、図3の破線は、中央部領域と端部領域との境界線を示している。
凹部の開口面積率は、所定領域に配置された凹部の開口面積の総和と当該領域の接地面積との比として定義される。凹部と領域の境界線とが交差する場合には、凹部の中心点が領域内にあれば当該凹部が当該領域内に配置されているといえる。
凹部の開口面積および領域の接地面積は、タイヤが規定リムに装着されて規定内圧を付与されると共に静止状態にて平板に対して垂直に置かれて規定荷重に対応する負荷を加えられたときのタイヤと平板との接触面にて、測定される。
また、陸部がタイヤ周方向に配列された複数のブロックから成る場合(図2参照)には、1つのブロック列を構成する70[%]以上、好ましくは80[%]以上のブロック5が、上記した凹部8の開口面積率の条件Se<Scを満たすことが好ましい。一方で、トレッド全体では、少なくとも1列の陸部が当該ブロック列の条件を満たせば足りる。
中央部領域CRおよび端部領域における凹部8の開口面積率は、各領域における凹部8の配置密度により調整できる。すなわち、凹部8が、タイヤ幅方向の中央部領域CRで密に配置され、タイヤ幅方向の端部領域で疎に配置されることにより、中央部領域CRにおける凹部8の開口面積率Scが大きく設定される。
具体的には、図3において、1つのブロック5のタイヤ幅方向の中央部領域CRにおける凹部8の配置数Ncと、タイヤ幅方向の端部領域(図中の符号省略)における凹部8の配置数Neとが、Ne<Ncの関係を有することにより、凹部8の開口面積率の条件Se<Scが満たされる。すなわち、1つのリブあるいは1つのブロックにおける凹部8の配置密度がタイヤ幅方向の中央部領域CRと端部領域とで相異するように、複数の凹部8が1つのリブあるいは1つのブロックの接地面内で偏在して配置される。また、凹部8の配置数の比Nc/Neが、1.50≦Nc/Neの関係を有することが好ましく、3.00≦Nc/Neの関係を有することがより好ましい。比Nc/Neの上限は、特に限定がないが、凹部8の配置密度との関係により制約を受ける。また、すべての凹部8が中央部領域CRに配置された場合(図示省略)には、Ne=0となり、Se<ScかつNe<Ncの条件が満たされる。
凹部の配置数は、所定の領域にある凹部の中心点の数としてカウントされる。したがって、凹部の一部が領域からはみ出している場合であっても、凹部の中心点が領域内にあれば、凹部が当該領域に配置されているといえる。
また、陸部がタイヤ周方向に配列された複数のブロックから成る場合(図2参照)には、1つのブロック列を構成する70[%]以上、好ましくは80[%]以上のブロック5が、上記した凹部8の条件Se<ScかつNe<Ncを満たすことが好ましい。一方で、トレッド全体では、少なくとも1列の陸部が当該ブロック列の条件を満たせば足りる。
なお、上記のように、ブロック5の中央部領域CRがブロック5の接地面の中央部50[%]の領域として定義されるため、1つのブロック5では、中央部領域CRの接地面積と端部領域の接地面積とが、切欠部や細溝などを除外すれば実質的に等しい。このため、ブロック5の各凹部8が同一の開口面積を有する構成では、上記した凹部8の配置数の条件Ne<Ncにより、端部領域における凹部8の開口面積の総和が中央部領域CRにおける凹部8の開口面積の総和よりも大きくなる。
上記の構成では、凹部8が、接地圧が低いブロック5の中央部領域CRに密に配置される。すると、中央部領域CRの接地面積が減少し、接地圧が上昇して、凹部8による雪柱剪断力(いわゆる掘り起こし力)が増加する。これにより、タイヤのトラクション性能が向上して、タイヤの雪上性能が向上する。また、凹部8が端部領域で疎に配置されるので、ブロック5の端部領域の接地面積が確保される。これにより、端部領域の凝着作用(氷路面に対する密着性)が確保されて、タイヤの氷上性能が確保される。
特に、ショルダー陸部33(最外周方向主溝22に区画されたタイヤ幅方向外側の陸部として定義される)は、タイヤの制動性能に対する影響が大きい。そこで、図3のように、ショルダー陸部33のブロック5が凹部8をタイヤ幅方向の中央部領域CRに密に有することにより、凹部8による雪上制動性能の向上作用が顕著に得られる。
例えば、図3の構成では、ショルダー陸部33の1つのブロック5が、接地面内に合計11個の凹部8を有し、また、接地面のタイヤ幅方向の中央部領域CRに7個の凹部8を有し、左右の端部領域に合計4個の凹部8を有している。また、各凹部8が、同一の開口形状および同一の開口面積を有している。また、タイヤ幅方向の中央部領域CRにおける凹部8の配置数Ncと、タイヤ幅方向の端部領域における凹部8の配置数Neとが、Nc/Ne=7/4=1.75の関係を有している。また、ショルダー陸部33の全体において、すべてのブロック5の凹部8が、上記の配置数Ncの条件を満たしている(図2参照)。
また、図3の構成では、ショルダー陸部33のブロック5が、矩形状の接地面を有している。また、複数のサイプ6が、タイヤ周方向に並列に配置されてブロック5をタイヤ周方向に複数の区間に区画している。また、すべての区間が、少なくとも1つの凹部8を有している。また、ブロック5のタイヤ周方向の中央部の区間では、凹部8が、ブロック5のタイヤ幅方向の中央部領域CRに集中して配置され、最外周方向主溝22側の端部領域には配置されていない。また、ブロック5のタイヤ周方向の両端部の区間では、凹部8が、ブロック5の周方向主溝22側の角部にそれぞれ配置されている。また、ブロック5のタイヤ周方向の両端部の区間では、凹部8が、角部のみに配置されて、タイヤ幅方向の中央部領域CRに配置されていない。
陸部31〜33の角部は、陸部の接地面の角部を含む5[mm]四方の領域として定義される。陸部の角部は、主溝およびラグ溝により区画された陸部の部分のみならず、陸部に形成された切欠部により区画された陸部の部分を含む。また、凹部8の中心が上記の角部にあれば、凹部8が上記の角部に配置されているといえる。
また、図3の構成では、タイヤ周方向に隣り合う任意の3つの区間が、タイヤ幅方向の端部領域に凹部8を有する区間と、タイヤ幅方向の中央部領域CRに凹部8を有する区間とをそれぞれ含んでいる。これにより、凹部8が陸部31〜33の端部領域および中央部領域CRに分散して配置されている。
ブロック5のタイヤ周方向の両端部の区間とは、複数のサイプ6によりタイヤ周方向に区画されたブロック5の複数の区間のうち、タイヤ周方向の両端部に位置する一対の区間をいう。また、ブロック5のタイヤ周方向の中央部の区間とは、前記タイヤ周方向の両端部の区間を除いた区間をいう。
ブロック5の角部(特に、鋭角な接地面をもつ角部)では、タイヤ接地時にてブロック5の中央部よりも大きな接地圧が作用する。このため、氷路面の走行時にて接地圧により路面の氷が溶け易く、水膜が発生し易い。したがって、凹部8がブロック5の角部に配置されることにより、氷路面の水膜が効率的に吸収されて、タイヤの氷上制動性能が向上する。
また、図3の構成では、サイプ6が、ラグ溝43に平行ないしは若干傾斜して配置され、また、タイヤ接地端Tからタイヤ幅方向内側の領域にのみ配置されている。また、凹部8が、タイヤ接地端Tからタイヤ幅方向内側の領域にのみ配置されている。
タイヤ接地端Tとは、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を付与すると共に静止状態にて平板に対して垂直に置いて規定荷重に対応する負荷を加えたときのタイヤと平板との接触面におけるタイヤ軸方向の最大幅位置をいう。
図8および図9は、図2に記載した空気入りタイヤの陸部を示す説明図である。これらの図において、図8は、セカンド陸部32を構成する1つのブロック5の平面図を示している。また、図9は、センター陸部31を構成する1つのブロック5の平面図を示している。
図2の構成では、セカンド陸部32が、1本の周方向細溝23によりタイヤ幅方向に分断され、さらに複数のラグ溝42によりタイヤ周方向に分断されて、複数のブロック5が区画されている。また、セカンド陸部32のタイヤ幅方向内側の領域には、タイヤ周方向に長尺なブロック5が形成され、タイヤ幅方向外側の領域には、短尺なブロック5が形成されている。なお、セカンド陸部32は、最外周方向主溝22に区画されたタイヤ幅方向内側の陸部として定義される。
また、図8に示すように、セカンド陸部32のタイヤ幅方向外側にある1つのブロック5が、矩形状の接地面を有している。また、複数のサイプ6が、タイヤ周方向に並列に配置されてブロック5を複数の区間に区画している。また、すべての区間が、少なくとも1つの凹部8を有している。また、ブロック5のタイヤ周方向の中央部の区間では、凹部8が、タイヤ幅方向の中央部領域CRにのみ配置され、タイヤ幅方向の端部領域には配置されていない。また、ブロック5のタイヤ周方向の両端部の区間では、凹部8が、ブロック5の4つの角部にそれぞれ配置されて、また、タイヤ幅方向の中央部領域CRに配置されていない。
また、1つのブロック5が、接地面内に合計10個の凹部8を有し、また、タイヤ幅方向の左右の端部領域に合計4個の凹部8を有し、タイヤ幅方向の中央部領域CRに6個の凹部8を有している。また、各凹部8が、同一の開口形状および同一の開口面積を有している。また、ブロック5のタイヤ幅方向の端部領域(図中の符号省略)における凹部8の配置数Neと、タイヤ幅方向の中央部領域CRにおける凹部8の配置数Ncとが、Nc/Ne=6/4=1.50の関係を有している。また、図2において、セカンド陸部32のすべてのブロック5の凹部8が、上記した条件Ne<Ncを満たしている。
一般に、短尺なブロック5を有する陸部32では、ブロック5の剛性が低いため、車両制動時にて、ブロック5の倒れ込み量が大きい。特に、ブロック5が複数のサイプ6を有する構成では、その傾向が顕著となり、タイヤの氷上制動性能が低下し易い。そこで、かかる構成では、ブロック5が、サイプ6で区画されたブロック5のすべての区間に凹部8を有することにより、氷路面の水膜が効率的に吸収されて、タイヤの氷上制動性能が確保される。
特に、セカンド陸部32は、タイヤの制駆動性能に対する影響が大きい。そこで、図8のように、セカンド陸部32のブロック5が凹部8をタイヤ幅方向の端部領域に疎に有することにより、ブロック5のタイヤ幅方向の端部領域の接地面積が確保される。これにより、端部領域の凝着作用が確保されて、タイヤの氷上性能が確保される。
また、図2の構成では、センター陸部31が、複数のラグ溝41によりタイヤ周方向に分断されて、複数のブロック5が区画されている。また、ブロック5が、セカンド陸部32のラグ溝42の延長線上に、切欠部311を有している。また、ブロック5が、矩形状の接地面を有している。なお、センター陸部は、タイヤ赤道面CL上にある陸部31(図2参照)、あるいは、タイヤ赤道面CLを挟んで隣り合う陸部(図示省略)として定義される。
また、図9に示すように、複数のサイプ6が、タイヤ周方向に並列に配置されてブロック5を複数の区間に区画している。また、ブロック5が、凹部8を有さない区間を有している。また、任意の隣り合う3つの区間が、凹部8を有さない区間を含んでいる。例えば、図9の構成では、ブロック5のタイヤ幅方向の両端部にのみ凹部8を有する区間と、凹部8を有さない区間とが、タイヤ周方向に交互に配置されている。また、凹部8が、ブロック5の4つの角部にそれぞれ配置されている。また、ブロック5のタイヤ周方向の両端部の区間では、凹部8が、ブロック5の角部にのみ配置されて、タイヤ幅方向の中央部領域CRに配置されていない。また、切欠部311を含む区間が、切欠部311の近傍に凹部8を有している。また、ブロック5のタイヤ幅方向の端部領域には、上記した角部および切欠部311の近傍を除いて、凹部8が配置されていない。
また、1つのブロック5が、接地面内に合計17個の凹部8を有し、また、ブロック5のタイヤ幅方向の中央部領域CRにおける凹部8の配置数Ncが9個であり、タイヤ幅方向の端部領域における凹部8の配置数Neが8個である。また、各凹部8が、同一の開口形状および同一の開口面積を有している。また、ブロック5のタイヤ幅方向の中央部領域CRにおける凹部8の配置数Ncと、タイヤ幅方向の端部領域(図中の符号省略)における凹部8の配置数Neとが、Nc/Ne=9/8=1.13の関係を有している。また、センター陸部31では、すべてのブロック5の凹部8が、上記した条件Ne<Ncを満たしている(図2参照)。
一般に、センター陸部31は、タイヤの操縦安定性能を確保するために、高い剛性を有することが好ましい。そこで、図9のように、センター陸部31のブロック5が凹部8を有さない区間を部分的に有することにより、ブロック5の剛性が確保されて、タイヤの操縦安定性能が確保される。
また、センター陸部31は、タイヤの駆動性能に対する影響が大きい。そこで、図9のように、センター陸部31のブロック5が凹部8をタイヤ幅方向の中央部領域CRに密に有することにより、中央部領域CRの接地面積が減少し、接地圧が上昇して、凹部8による雪柱剪断力が増加する。これにより、タイヤのトラクション性能が向上して、タイヤの駆動性能の向上効果が顕著に得られる。
なお、上記の構成では、少なくとも一部の凹部8が、タイヤ成形金型(図示省略)のベント孔に対応する位置に配置されることが好ましい。すなわち、タイヤ加硫成形工程では、グリーンタイヤをタイヤ成形金型に押圧するために、タイヤ成形金型内の空気を外部に排出する必要がある。このため、タイヤ成形金型が、陸部31〜33の接地面を成形する金型面に、複数のベント装置(図示省略)を有している。また、ある種のベント装置は、加硫成形後の陸部31〜33の接地面に、ベント穴(小さな窪み)を形成する。そこで、このベント穴を上記の凹部8として用いることにより、ベント穴を有効に利用し、また、陸部31〜33の接地面における無用な窪みを低減して陸部31〜33の接地面積を適正に確保できる。
[タイヤ周方向における凹部の開口面積率の偏在]
図10〜図12は、図2に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。これらの図において、図10は、ショルダー陸部33を構成する1つのブロック5の平面図を示し、図11は、セカンド陸部32を構成する1つのブロック5の平面図を示し、図12は、センター陸部31を構成する1つのブロック5の平面図を示している。
図2の構成では、上記のように、連続した接地面について定義されるタイヤ幅方向の中央部領域CRにおける凹部8の開口面積率Scがタイヤ幅方向の端部領域における凹部8の開口面積率Seよりも大きく(Se<Sc)なるように、複数の凹部8が1つのブロック5の接地面内で偏在して配置されている。具体的には、図3、図8および図9に示すように、すべての陸部31〜33のブロック5にて、タイヤ幅方向の中央部領域CRにおける凹部8の配置数Ncと、タイヤ幅方向の端部領域における凹部8の配置数Neとが、Ne<Ncの関係を有している。
これに対して、図10〜図12の変形例では、連続した接地面にて定義されるタイヤ周方向の中央部領域CR’における凹部8の開口面積率Sc’と、タイヤ周方向の端部領域における凹部8の開口面積率Se’とが、Se’<Sc’の関係を有する。また、凹部8の開口面積率の比Sc’/Se’が、1.50≦Sc’/Se’の関係を有することが好ましく、3.00≦Sc’/Se’の関係を有することがより好ましい。比Sc’/Se’の上限は、特に限定がないが、凹部8の配置密度および開口面積との関係により制約を受ける。また、すべての凹部8が中央部領域CRに配置された場合には、Se’=0となり、Se’<Sc’の条件が満たされる。
タイヤ周方向の中央部領域CR’は、連続した接地面のタイヤ周方向の中央部50[%]の領域として定義される(図10参照)。タイヤ周方向の端部領域は、連続した接地面のタイヤ周方向の前後の端部25[%]の領域として定義される。これらの中央部領域および端部領域は、陸部31〜33に形成された部分的な切欠部を除外して定義される。また、ブロック列を構成する各ブロック5の接地面について中央部領域および端部領域がそれぞれ定義される。なお、図10の破線は、中央部領域と端部領域との境界線を示している。
具体的には、図10〜図12において、1つのブロック5のタイヤ周方向の中央部領域CR’における凹部8の配置数Nc’と、タイヤ周方向の端部領域における凹部8の配置数Ne’とが、Ne’<Nc’の関係を有することにより、凹部8の開口面積率の条件Se’<Sc’が満たされる。また、凹部8の配置数の比Nc’/Ne’が、1.50≦Nc’/Ne’の関係を有することが好ましく、3.00≦Nc’/Ne’の関係を有することがより好ましい。比Nc’/Ne’の上限は、特に限定がないが、凹部8の配置密度との関係により制約を受ける。また、すべての凹部8が中央部領域CR’に配置された場合には、Ne’=0となり、Ne’<Nc’かつSe’<Sc’の条件が満たされる。
また、陸部31〜33がタイヤ周方向に配列された複数のブロック5から成る場合(図2参照)には、1つのブロック列を構成する70[%]以上、好ましくは80[%]以上のブロック5が、上記した凹部8の条件Ne’<Nc’かつSe’<Sc’を満たすことが好ましい。一方で、トレッド全体では、少なくとも1列の陸部が当該ブロック列の条件を満たせば足りる。
上記の構成では、凹部8が、接地圧が低いブロック5の中央部領域CRに密に配置される。すると、中央部領域CRの接地面積が減少し、接地圧が上昇して、凹部8による雪柱剪断力(いわゆる掘り起こし力)が増加する。これにより、タイヤのトラクション性能が向上して、タイヤの雪上性能が向上する。また、凹部8が端部領域で疎に配置されるので、ブロック5の端部領域の接地面積が確保される。これにより、端部領域の凝着作用が確保されて、タイヤの氷上性能が確保される。
例えば、図10の構成では、ショルダー陸部33の1つのブロック5が、接地面内に合計11個の凹部8を有し、また、タイヤ周方向の中央部領域CR’に7個の凹部8を有し、タイヤ周方向の前後の端部領域(図中の符号省略)に4個の凹部8を有している。また、各凹部8が、同一の開口形状および同一の開口面積を有している。また、タイヤ周方向の中央部領域CR’における凹部8の配置数Nc’と、タイヤ周方向の端部領域における凹部8の配置数Ne’とが、Nc’/Ne’=7/4=1.75の関係を有している。また、1つのショルダー陸部33において、すべてのブロック5の凹部8が、上記した条件Nc’<Ne’を満たしている。
特に、ショルダー陸部33は、タイヤの制動性能に対する影響が大きい。そこで、ショルダー陸部33のブロック5が凹部8をタイヤ周方向の中央部領域CR’に密に有することにより、凹部8による雪上制動性能の向上作用が顕著に得られる。
また、図11の構成では、セカンド陸部32のタイヤ幅方向外側にある1つのブロック5(図2参照)が、接地面内に合計9個の凹部8を有し、また、タイヤ周方向の中央部領域CR’に5個の凹部8を有し、タイヤ周方向の前後の端部領域(図中の符号省略)に4個の凹部8を有している。また、各凹部8が、同一の開口形状および同一の開口面積を有している。また、ブロック5のタイヤ周方向の中央部領域CR’における凹部8の配置数Ncと、タイヤ周方向の端部領域における凹部8の配置数Ne’とが、Nc’/Ne’=5/4=1.25の関係を有している。また、1つのセカンド陸部32において、すべてのブロック5の凹部8が、上記した条件Ne’<Nc’を満たしている。
特に、セカンド陸部32(最外周方向主溝22に区画されたタイヤ幅方向内側の陸部として定義される)は、タイヤの制駆動性能に対する影響が大きい。そこで、図11のように、セカンド陸部32のブロック5が凹部8をタイヤ幅方向の端部領域に疎に有することにより、ブロック5のタイヤ幅方向の端部領域の接地面積が確保される。これにより、端部領域の凝着作用が確保されて、タイヤの氷上性能が確保される。
また、図12の構成では、センター陸部31の1つのブロック5が、接地面内に合計19個の凹部8を有し、また、タイヤ周方向の中央部領域CR’に11個の凹部8を有し、タイヤ周方向の前後の端部領域(図中の符号省略)に8個の凹部8を有している。また、各凹部8が、同一の開口形状および同一の開口面積を有している。また、タイヤ周方向の中央部領域CR’における凹部8の配置数Nc’と、タイヤ周方向の端部領域における凹部8の配置数Ne’とが、Nc’/Ne’=11/8=1.38の関係を有している。また、1つのセンター陸部31において、すべてのブロック5の凹部8が、上記した条件Ne’<Nc’を満たしている。
特に、センター陸部31は、タイヤの駆動性能に対する影響が大きい。そこで、センター陸部31のブロック5が凹部8をタイヤ周方向の中央部領域CR’に密に有することにより、中央部領域CR’の接地面積が減少し、接地圧が上昇して、凹部8による雪柱剪断力が増加する。これにより、タイヤのトラクション性能が向上して、凹部8によるタイヤの駆動性能の向上効果が顕著に得られる。
[タイヤ幅方向における凹部の開口面積率の偏在の変形例]
図13〜図16は、図2に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。これらの図において、図13は、空気入りタイヤ1のトレッド面の平面図を示している。また、図14は、ショルダー陸部33を構成する1つのブロック5の平面図を示し、図15は、セカンド陸部32を構成する1つのブロック5の平面図を示し、図16は、センター陸部31を構成する1つのブロック5の平面図を示している。
図2の構成では、上記のように、複数の凹部8が1つのブロック5の接地面内で偏在して配置されることにより、1つのブロック5のタイヤ幅方向の中央部領域CRにおける凹部8の開口面積率Scがタイヤ幅方向の端部領域(図中の符号省略)における凹部8の開口面積率Seよりも大きく(Se<Sc)設定されている。具体的には、図3、図8および図9に示すように、凹部8がブロック5のタイヤ幅方向の中央部領域CRに密に配置されている。また、各陸部31〜33の凹部8が、同一の開口形状および同一の開口面積を有している。
しかし、これに限らず、複数の凹部8が1つのリブあるいはブロック5の接地面内で開口面積を変化させることにより、1つのリブあるいはブロック5のタイヤ幅方向の中央部領域CRにおける凹部8の開口面積率Scがタイヤ幅方向の端部領域における凹部8の開口面積率Seよりも大きく(Se<Sc)設定されてもても良い。すなわち、比較的大きな開口面積を有する凹部8が、タイヤ幅方向の中央部領域CRに配置される。
具体的には、図14〜図16において、タイヤ幅方向の中央部領域CRにおける凹部8の開口面積の平均値Acと、タイヤ幅方向の端部領域(図中の符号省略)における凹部8の開口面積の平均値Aeとが、Ae<Acの関係を有することにより、凹部8の開口面積率の条件Se<Scが満たされる。また、凹部8の開口面積の平均値Ac、Aeの比Ac/Aeが、1.5≦Ac/Ae≦4.0の関係を有することが好ましく、2.0≦Ac/Ae≦3.0の関係を有することがより好ましい。また、すべての凹部8が中央部領域CRに配置された場合には、Ae=0となり、Ae<AcかつSe<Scの条件が満たされる。
開口面積の平均値Ac、Aeは、所定領域における凹部の開口面積の総和と当該領域における凹部の総数との比として算出される。
また、陸部31〜33がタイヤ周方向に配列された複数のブロック5から成る場合(図2参照)には、1つのブロック列を構成する70[%]以上、好ましくは80[%]以上のブロック5が、上記した凹部8の開口面積の条件Ac<AeかつSc<Seを満たすことが好ましい。一方で、トレッド全体では、少なくとも1列の陸部が上記した凹部8の開口面積の条件Ac<AeかつSc<Seを満たせば足りる。
上記の構成では、比較的大きな開口面積を有する凹部8が、接地圧が低いブロック5の中央部領域CRに配置される。すると、中央部領域CRの接地面積が減少し、接地圧が上昇して、凹部8による雪柱剪断力(いわゆる掘り起こし力)が増加する。これにより、タイヤのトラクション性能が向上して、タイヤの雪上性能が向上する。また、比較的小さな開口面積を有する凹部8が端部領域に配置されるので、ブロック5の端部領域の接地面積が確保される。これにより、端部領域の凝着作用が確保されて、タイヤの氷上性能が確保される。
例えば、図14の構成では、ショルダー陸部33の1つのブロック5が接地面内に合計16個の凹部8を有し、また、タイヤ幅方向の中央部領域CRと端部領域(図中の符号省略)とが8個の凹部8をそれぞれ有している。また、各凹部8が、同一の開口形状を有している。また、中央部領域CRには、比較的大きな開口面積の凹部8が配置され、逆に、端部領域には、比較的小さな開口面積の凹部8が配置されている。これにより、各領域における凹部8の開口面積の条件Ae<Acおよび開口面積率の条件Se<Scが同時に満たされている。また、ショルダー陸部33では、すべてのブロック5の凹部8が、上記の条件Ae<Ac、Se<Scを満たしている(図13参照)。
また、図15の構成では、セカンド陸部32のタイヤ幅方向外側にある1つのブロック5(図13参照)が、接地面内に合計16個の凹部8を有し、また、タイヤ幅方向の左右の中央部領域CRと端部領域(図中の符号省略)とが8個の凹部8をそれぞれ有している。また、各凹部8が、同一の開口形状を有している。また、中央部領域CRには、比較的大きな開口面積の凹部8が配置され、逆に、端部領域には、比較的小さな開口面積の凹部8が配置されている。これにより、各領域における凹部8の開口面積の条件Ae<Acおよび開口面積率の条件Se<Scが同時に満たされている。また、セカンド陸部32では、すべてのブロック5の凹部8が、上記の条件Ae<Ac、Se<Scを満たしている(図13参照)。
また、図16の構成では、センター陸部31の1つのブロック5が、接地面内に合計35個の凹部8を有し、また、タイヤ幅方向の中央部領域CRに17個の凹部8を有し、タイヤ幅方向の端部領域(図中の符号省略)に18個の凹部8を有している。また、各凹部8が、同一の開口形状を有している。また、中央部領域CRには、比較的大きな開口面積の凹部8が配置され、逆に、端部領域には、比較的小さな開口面積の凹部8が配置されている。また、各領域における凹部8の開口面積の条件Ae<Acおよび開口面積率の条件Se<Scが同時に満たされている。また、センター陸部31では、すべてのブロック5の凹部8が、上記の条件Ae<Ac、Se<Scを満たしている(図13参照)。
また、上記の構成では、タイヤ幅方向の中央部領域CRに配置された70[%]以上、好ましくは80[%]以上の凹部8が、ブロック5に配置された凹部8の開口面積の平均値よりも大きな開口面積を有することが好ましい。すなわち、大きな凹部8の大半が中央部領域CRに配置される。これにより、雪路面の走行時にて、凹部8による雪柱剪断力の増加作用が効率的に得られる。例えば、図13〜図16の構成では、1つのブロック5が、相互に異なる開口面積をもつ2種類の凹部8を備え、大きい開口面積をもつすべての凹部8が中央部領域CRに配置されている。また、中央部領域CRには、大きい凹部8のみが配置され、端部領域には、小さい凹部8のみが配置されている。このため、各領域が相互に異なる大きさの凹部8を有している。これにより、特徴的な凹部8の配列パターンが形成されている。
しかし、これに限らず、一部の小さい凹部が、中央部領域CRに配置されても良い(図示省略)。
また、上記の構成では、平均値よりも小さい開口面積をもつ凹部8が、連続した接地面にてタイヤ幅方向の最も外側に配置されることが好ましい。かかる構成では、ブロック5の端部領域の接地面積が確保されて、氷路面に対する端部領域の凝着作用が確保される。これにより、タイヤの氷上性能が確保される。例えば、図13〜図16の構成では、小さい凹部8が、ブロック5の周方向溝21〜23側のエッジ部に沿って配置されている。これにより、端部領域の接地面積が確保されている。
また、上記の構成では、陸部31〜33が、複数のブロック5を有するブロック列であり、タイヤ周方向に並列に配置されて陸部31〜33を複数の区間に区画する複数のサイプ6と、相互に異なる開口面積をもつ複数種類の凹部8とを備える。そして、中央部領域CRでは、平均値よりも大きな開口面積をもつ凹部8が、タイヤ周方向に隣り合う任意の3つの区間の少なくとも1つに配置されることが好ましい。すなわち、サイプ6により区画された隣り合う任意の3つの区間が、少なくとも1つの大きな凹部8を有する。これにより、大きな凹部8が中央部領域CRにてタイヤ周方向に分散して配置されるので、雪路面の走行時にて、凹部8による雪柱剪断力の向上作用が効率的に得られる。例えば、図13〜図16の構成では、サイプ6により区画されたすべての区間が、大きな凹部8を有している。これにより、凹部8が中央部領域CRの各区間に分散して配置されている。
また、上記の構成では、陸部31〜33が複数のブロック5を有するブロック列であり、且つ、平均値よりも小さい開口面積をもつ凹部8がブロック5の角部に配置されることが好ましい。かかる構成では、角部の接地面積が確保されて、氷路面に対する角部の凝着作用が確保される。これにより、タイヤの氷上性能が確保される。例えば、図13〜図16の構成では、周方向溝21〜23とラグ溝41〜43との交差位置(図13参照)に形成されたすべてのブロック5の角部に、小さな凹部8が配置されている。さらに、センター陸部33に形成された切欠部311の角部にも、小さな凹部8が配置されている(図16参照)。これにより、角部の接地面積が確保されている。
なお、図13〜図16の構成では、各ブロック5の中央部領域CRにおける凹部8の配置数Ncと端部領域における凹部8の配置数Neとが略同一であり、各領域における凹部8の配置密度が略同一に設定されている。また、各領域における凹部8の配置数Nc、Neが、0.90≦Nc/Ne≦1.10の関係を有することが好ましい。これにより、凹部8がブロック5内に均一の配置密度で配置される。
しかし、これに限らず、上記の条件Ae<Acに加えて、各領域における凹部8の配置数の比Nc/Neが、1.20≦Nc/Neの関係を有するように、より好ましくは1.50≦Nc/Neの関係を有するように設定されても良い。すなわち、タイヤ幅方向の中央部領域CRにて、凹部8が、比較的大きな開口面積を有しつつ密に配置される。これにより、各領域における凹部8の開口面積の比Ac/Aeを小さくしつつ、各領域における凹部8の開口面積率の条件Se<Scを効率的に調整できる。
[タイヤ周方向における凹部の開口面積率の偏在の変形例]
図17〜図19は、図13に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。これらの図において、図17は、ショルダー陸部33を構成する1つのブロック5の平面図を示し、図18は、セカンド陸部32を構成する1つのブロック5の平面図を示し、図19は、センター陸部31を構成する1つのブロック5の平面図を示している。
図13の構成では、上記した図14〜図16に示すように、1つのリブあるいはブロック5のタイヤ幅方向の中央部領域における凹部8の開口面積率Scがタイヤ幅方向の端部領域CRにおける凹部8の開口面積率Seよりも大きく(Se<Sc)なるように、複数の凹部8が1つのリブあるいはブロック5の接地面内で開口面積を変化させている。
しかし、これに限らず、1つのリブあるいはブロック5のタイヤ周方向の中央部領域CR’における凹部8の開口面積率Sc’がタイヤ周方向の端部領域における凹部8の開口面積率Se’よりも大きく(Se’<Sc’)なるように、複数の凹部8が1つのリブあるいはブロック5の接地面内で開口面積を変化させても良い。すなわち、比較的大きな開口面積を有する凹部8が、タイヤ周方向の中央部領域CR’に配置される。
具体的には、図17〜図19において、タイヤ周方向の中央部領域CR’における凹部8の開口面積の平均値Ac’と、タイヤ周方向の端部領域(図中の符号省略)における凹部8の開口面積の平均値Ae’とが、Ae’<Ac’の関係を有することにより、凹部8の開口面積率の条件Se’<Sc’が満たされる。また、凹部8の開口面積の平均値Ac’、Ae’の比Ac’/Ae’が、1.5≦Ac’/Ae’≦4.0の関係を有することが好ましく、2.0≦Ac’/Ae’≦3.0の関係を有することがより好ましい。また、すべての凹部8が中央部領域CR’に配置された場合には、Ae’=0となり、Ae’<Ac’かつSe’<Sc’の条件が満たされる。
また、陸部31〜33がタイヤ周方向に配列された複数のブロック5から成る場合(図2参照)には、1つのブロック列を構成する70[%]以上、好ましくは80[%]以上のブロック5が、上記した凹部8の開口面積の条件Ae’<Ac’かつSe’<Sc’を満たすことが好ましい。一方で、トレッド全体では、少なくとも1列の陸部が当該ブロック列の条件を満たせば足りる。
上記の構成では、比較的大きな開口面積を有する凹部8が、接地圧が低いブロック5の中央部領域CR’に配置される。すると、中央部領域CRの接地面積が減少し、接地圧が上昇して、凹部8による雪柱剪断力(いわゆる掘り起こし力)が増加する。これにより、タイヤのトラクション性能が向上して、タイヤの雪上性能が向上する。また、比較的小さな開口面積を有する凹部8が端部領域CR’に配置されるので、ブロック5の端部領域の接地面積が確保される。これにより、端部領域の凝着作用が確保されて、タイヤの氷上性能が確保される。
例えば、図17の構成では、ショルダー陸部33の1つのブロック5が接地面内に合計16個の凹部8を有し、また、タイヤ周方向の中央部領域CR’と端部領域(図中の符号省略)とが8個の凹部8をそれぞれ有している。また、各凹部8が、同一の開口形状を有している。また、中央部領域CR’には、比較的大きな開口面積の凹部8が配置され、逆に、端部領域には、比較的小さな開口面積の凹部8が配置されている。これにより、各領域における凹部8の開口面積の条件Ae’<Ac’および開口面積率の条件Se’<Sc’が同時に満たされている。また、ショルダー陸部33の全体では、すべてのブロック5の凹部8が、上記の条件Ae’<Ac’、Se’<Sc’を満たしている。
また、図18の構成では、セカンド陸部32のタイヤ周方向外側にある1つのブロック5(図13参照)が、接地面内に合計16個の凹部8を有し、また、タイヤ周方向の左右の中央部領域CR’と端部領域(図中の符号省略)とが8個の凹部8をそれぞれ有している。また、各凹部8が、同一の開口形状を有している。また、中央部領域CR’には、比較的大きな開口面積の凹部8が配置され、逆に、端部領域には、比較的小さな開口面積の凹部8が配置されている。これにより、各領域における凹部8の開口面積の条件Ae’<Ac’および開口面積率の条件Se’<Sc’が同時に満たされている。また、セカンド陸部32の全体では、すべてのブロック5の凹部8が、上記の条件Ae’<Ac’、Se’<Sc’を満たしている。
また、図19の構成では、センター陸部31の1つのブロック5が、接地面内に合計36個の凹部8を有し、また、タイヤ周方向の中央部領域CR’と左右の端部領域(図中の符号省略)とが18個の凹部8をそれぞれ有している。また、各凹部8が、同一の開口形状を有している。また、中央部領域CR’には、比較的大きな開口面積の凹部8が配置され、逆に、端部領域には、比較的小さな開口面積の凹部8が配置されている。これにより、各領域における凹部8の開口面積の条件Ae’<Ac’および開口面積率の条件Se’<Sc’が同時に満たされている。また、センター陸部31の全体では、すべてのブロック5の凹部8が、上記の条件Ae’<Ac’、Se’<Sc’を満たしている。
また、上記の構成では、タイヤ周方向の中央部領域CR’に配置された70[%]以上、好ましくは80[%]以上の凹部8が、平均値よりも大きな開口面積を有することが好ましい。すなわち、大きな凹部8の大半が中央部領域CR’に配置される。これにより、雪路面の走行時にて、凹部8による雪柱剪断力の増加作用が効率的に得られる。例えば、図17〜図19の構成では、1つのブロック5が、相互に異なる開口面積をもつ2種類の凹部8を備え、大きい開口面積をもつすべての凹部8が中央部領域CR’に配置されている。また、中央部領域CR’には、大きい凹部8のみが配置され、端部領域には、小さい凹部8のみが配置されている。このため、各領域が相互に異なる大きさの凹部8を有している。これにより、特徴的な凹部8の配列パターンが形成されている。
しかし、これに限らず、一部の小さい凹部が、中央部領域CR’に配置されても良い。
また、上記の構成では、平均値よりも小さい開口面積をもつ凹部8が、連続した接地面にてタイヤ周方向の最も外側に配置されることが好ましい。これにより、ブロック5の端部領域の接地面積が確保されて、端部領域の凝着作用が確保される。例えば、図18および図19の構成では、小さい凹部8が、ブロック5のラグ溝41、42側のエッジ部に沿って配置されている。これにより、端部領域の接地面積が確保されている。
また、上記の構成では、陸部31〜33が複数のブロック5を有するブロック列であり、且つ、平均値よりも小さい開口面積をもつ凹部8がブロック5の角部に配置されることが好ましい。かかる構成では、角部の接地面積が確保されて、角部の凝着作用が確保される。これにより、タイヤの氷上性能が確保される。例えば、図17〜図19の構成では、周方向溝21〜23とラグ溝41〜43との交差位置(図13参照)に形成されたすべてのブロック5の角部に、小さい凹部8が配置されている。これにより、角部の接地面積が確保されている。
なお、図17〜図19の構成では、各ブロック5の中央部領域CR’における凹部8の配置数Nc’と端部領域における凹部8の配置数Ne’とが略同一であり、各領域における凹部8の配置密度が略同一に設定されている。また、各領域における凹部8の配置数Nc’、Ne’が、0.90≦Nc’/Ne’≦1.10の関係を有することが好ましい。これにより、凹部8がブロック5内に均一の配置密度で配置される。
しかし、これに限らず、上記の条件Ae’<Ac’に加えて、各領域における凹部8の配置数の比Nc’/Ne’が、1.20≦Nc’/Ne’の関係を有するように、より好ましくは1.50≦Nc’/Ne’の関係を有するように設定されても良い。すなわち、タイヤ周方向の中央部領域CR’にて、凹部8が、比較的大きな開口面積を有しつつ密に配置される。これにより、各領域における凹部8の開口面積の比Ac’/Ae’を小さくしつつ、各領域における凹部8の開口面積率の条件Se’<Sc’を効率的に調整できる。
[効果]
以上説明したように、この空気入りタイヤ1は、リブあるいは複数のブロック5を有する陸部31〜33をトレッド面に備える(図2および図13参照)。また、陸部31〜33が、50[μm]以下の算術平均粗さRaをもつフラットな領域(図2および図13では、図6および図7に示す表面加工部7が施された領域)と、複数の凹部8とを連続した接地面(図2および図13では、ブロック5の接地面)に備える(図3および図4参照)。また、前記連続した接地面の全域における前記フラットな領域の面積比率が、50[%]以上である。また、前記連続した接地面のタイヤ幅方向の中央部50[%]の領域を中央部領域として定義し、タイヤ幅方向の左右の端部25[%]の領域を端部領域として定義するときに、前記連続した接地面のタイヤ幅方向の中央部領域CRにおける凹部8の開口面積率Scと、タイヤ幅方向の端部領域における凹部8の開口面積率Seとが、Se<Scの関係を有する。
かかる構成では、(1)陸部31〜33が凹部8を接地面に備えるので、陸部31〜33のエッジ成分が増加して、タイヤの氷上制動性能が向上する利点がある。また、(2)凹部8の開口面積率がタイヤ幅方向の中央部領域CRで大きく設定されるので、中央部領域CRの接地面積が減少し、接地圧が上昇して、凹部8による雪柱剪断力(いわゆる掘り起こし力)が増加する。これにより、タイヤのトラクション性能が向上して、タイヤの雪上性能が向上する利点がある。また、(3)凹部8の開口面積率がタイヤ幅方向の端部領域で小さく設定されるので、ブロック5の端部領域の接地面積が確保される。これにより、端部領域の氷路面に対する凝着作用が確保されて、タイヤの氷上性能が確保される利点がある。また、(4)凹部8が、サイプ(例えば、線状サイプ6や円形サイプ(図示省略))と比較して浅いので、陸部31〜33の剛性が適正に確保される。これにより、タイヤの氷上制動性能が確保される利点がある。
また、(5)陸部31〜33が、50[μm]以下の算術平均粗さRaをもつフラットな領域と複数の凹部8との双方を連続した接地面に備えることにより、凹部8の吸水作用が向上して、タイヤの氷上制動性能が向上する利点がある。すなわち、接地面における接地圧分布は、フラットな領域で高く、凹部8の開口部で低い。このため、接地面で発生した水膜が、フラットな領域から凹部8に移動して効率的に吸収および排出される。これにより、陸部31〜33の接地特性が向上して、タイヤの氷上制動性能が向上する。特に、発明者の知見によれば、接地面に微細かつ多数の突起部を形成した構成(例えば、図6および図7に示す表面加工部7のみを備える構成)では、氷路面に発生した水膜が突起部間の空隙に吸収されるが、この水膜を効率的に排水できないという課題がある。そこで、陸部31〜33が上記した凹部8を接地面に備えることにより、突起部間に吸収された水膜を効率的に回収して排出できる。
また、この空気入りタイヤ1では、タイヤ幅方向の中央部領域CRにおける凹部8の開口面積率Scと、タイヤ幅方向の端部領域における凹部8の開口面積率Seとが、1.50≦Sc/Seの関係を有する。これにより、各領域における凹部8の開口面積率の比Sc/Seが確保されて、凹部8の開口面積の偏りによる作用が適正に得られる利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、タイヤ幅方向の中央部領域CRにおける凹部8の配置数Ncと、タイヤ幅方向の端部領域における凹部8の配置数Neとが、Ne<Ncの関係を有する(図3、図8および図9参照)。かかる構成では、凹部8がタイヤ幅方向の中央部領域CRで密に配置されるので、中央部領域CRの接地面積が減少し、接地圧が上昇して、凹部8による雪柱剪断力(いわゆる掘り起こし力)が増加する。これにより、タイヤのトラクション性能が向上して、タイヤの雪上性能が向上する利点がある。また、凹部8が端部領域で疎に配置されるので、ブロック5の端部領域の接地面積が確保される。これにより、端部領域の氷路面に対する凝着作用が確保されて、タイヤの氷上性能が確保される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、タイヤ幅方向の中央部領域CRにおける凹部8の配置数Ncと、タイヤ幅方向の端部領域における凹部8の配置数Neとが、1.50≦Nc/Neの関係を有する(図3、図8および図9参照)。これにより、各領域における凹部8の疎密配置が適正化されて、タイヤの雪上性能の向上作用が適正に得られる利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、1つの前記連続した接地面の全域における凹部8の配置密度Daが、0.8[個/cm^2]≦Da≦4.0[個/cm^2]の範囲にある。これにより、凹部8の配置密度が適正化される利点がある。すなわち、0.8[個/cm^2]≦Daであることにより、凹部8の配置数が確保されて、凹部8に水膜の除去作用が適正に確保される。また、Da≦4.0[個/cm^2]であることにより、陸部31〜33の接地面積が適正に確保される。
また、この空気入りタイヤ1では、陸部31〜33が、複数のサイプ6を接地面に備え、且つ、凹部8が、サイプ6から離間して配置される(例えば、図3参照)。かかる構成では、凹部8とサイプ6とが相互に分離して配置されるので、タイヤの氷上制動性能および雪上性能が向上する利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、複数のサイプ6が、タイヤ周方向に並列に配置されて陸部31〜33を複数の区間に区画する。また、隣り合う任意の一対の前記区間の少なくとも一方が、タイヤ幅方向の中央部領域CRに凹部8を有する(図3および図9参照)。これにより、凹部8がタイヤ幅方向の中央部領域CRで密に配置されて、水捌けが悪い中央部領域CRの排水性が向上する利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、陸部31〜33が、複数のブロック5を有するブロック列であり、ブロック5の角部に凹部8を有する(図3、図8および図9参照)。かかる構成では、接地圧が高く水膜が発生し易いブロック5の角部に、凹部8が配置される。これにより、氷路面にて、踏面の水膜が効率的に吸収されて、タイヤの氷上制動性能が向上する利点がある。また、雪路面にて、凹部8により角部の接地圧がさらに増加し、雪柱剪断力が増加して、タイヤの雪上性能が向上する利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、凹部8の開口面積が、2.5[mm^2]以上10[mm^2]以下の範囲にある。これにより、凹部8の開口面積が適正化される利点がある。すなわち、凹部8の開口面積が2.5[mm^2]以上であることにより、凹部8のエッジ作用および吸水性が確保される。また、凹部8の開口面積が10[mm^2]以下であることにより、陸部31〜33の接地面積および剛性が確保される。
また、この空気入りタイヤ1では、凹部8の壁角度αが、−85[deg]≦α≦95[deg]の範囲にある(図5参照)。これにより、凹部8のエッジ作用が向上する利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、タイヤ幅方向の中央部領域CRにおける凹部8の開口面積の平均値Acと、タイヤ幅方向の端部領域における凹部8の開口面積の平均値Aeとが、Ae<Acの関係を有する(図13〜図16参照)。かかる構成では、比較的大きな開口面積を有する凹部8が中央部領域CRに配置されるので、中央部領域CRの接地面積が減少し、接地圧が上昇して、凹部8による雪柱剪断力(いわゆる掘り起こし力)が増加する。これにより、タイヤのトラクション性能が向上して、タイヤの雪上性能が向上する。また、比較的小さな開口面積を有する凹部8が端部領域に配置されるので、ブロック5の端部領域の接地面積が確保される。これにより、氷路面に対するブロック5の凝着作用が確保されて、タイヤの氷上性能が確保される。
また、この空気入りタイヤ1では、タイヤ幅方向の中央部領域CRにおける凹部8の開口面積の平均値Acと、タイヤ幅方向の端部領域における凹部8の開口面積の平均値Aeとが、1.5≦Ac/Ae≦4.0の関係を有する。これにより、各領域における凹部8の開口面積の比Ac/Aeが適正化される利点がある。すなわち、1.5≦Ac/Aeであることにより、各領域における凹部8の開口面積の比Ac/Aeが確保されて、凹部8によるタイヤの雪上性能の向上作用が適正に得られる。また、Ac/Ae≦4.0であることにより、開口面積の比Ae/Acが過大となる事態が回避されて、ブロック5の偏摩耗が抑制される。
また、この空気入りタイヤ1は、複数のブロック5をトレッド面に備える(図2参照)。また、ブロック5が、50[μm]以下の算術平均粗さRaをもつフラットな領域と、複数の凹部8とを接地面に備える(図4参照)。また、ブロック5の接地面の全域における前記フラットな領域の面積比率が、50[%]以上である。また、ブロック5の接地面のタイヤ周方向の中央部50[%]の領域を中央部領域として定義し、タイヤ周方向の前後の端部25[%]の領域を端部領域として定義するときに、ブロック5の接地面のタイヤ周方向の中央部領域CR’における凹部8の開口面積率Sc’と、タイヤ周方向の端部領域における凹部8の開口面積率Se’とが、Se’<Sc’の関係を有する(図10〜図12参照)。
かかる構成では、(1)ブロック5が凹部8を接地面に備えるので、ブロック5のエッジ成分が増加して、タイヤの氷上制動性能が向上する利点がある。また、(2)凹部8の開口面積率がタイヤ周方向の中央部領域CR’で大きく設定されるので、中央部領域CR’の接地面積が減少し、接地圧が上昇して、凹部8による雪柱剪断力(いわゆる掘り起こし力)が増加する。これにより、タイヤのトラクション性能が向上して、タイヤの雪上性能が向上する利点がある。また、(3)凹部8の開口面積率がタイヤ周方向の中央部領域CR’で小さく設定されるので、ブロック5の中央部領域CR’の接地面積が確保されて、タイヤの氷上制動性能が向上する利点がある。また、(4)凹部8が、サイプ(例えば、線状サイプ6や円形サイプ(図示省略))と比較して浅いので、陸部31〜33の剛性が適正に確保される。これにより、タイヤの氷上制動性能が確保される利点がある。
また、(5)ブロック5が、50[μm]以下の算術平均粗さRaをもつフラットな領域と複数の凹部8との双方を連続した接地面に備えることにより、凹部8の吸水作用が向上して、タイヤの氷上制動性能が向上する利点がある。すなわち、接地面における接地圧分布は、フラットな領域で高く、凹部8の開口部で低い。このため、接地面で発生した水膜が、フラットな領域から凹部8に移動して効率的に吸収および排出される。これにより、陸部31〜33の接地特性が向上して、タイヤの氷上制動性能が向上する。特に、発明者の知見によれば、接地面に微細かつ多数の突起部を形成した構成(例えば、図6および図7に示す表面加工部7のみを備える構成)では、氷路面に発生した水膜が突起部間の空隙に吸収されるが、この水膜を効率的に排水できないという課題がある。そこで、ブロック5が上記した凹部8を接地面に備えることにより、突起部間に吸収された水膜を効率的に回収して排出できる。
また、この空気入りタイヤ1では、タイヤ周方向の中央部領域CR’における凹部8の配置数Nc’と、タイヤ周方向の端部領域における凹部8の配置数Ne’とが、Ne’<Nc’の関係を有する(図10〜図12参照)。かかる構成では、凹部8がタイヤ周方向の中央部領域CR’で密に配置されるので、中央部領域CR’の接地面積が減少し、接地圧が上昇して、凹部8による雪柱剪断力(いわゆる掘り起こし力)が増加する。これにより、タイヤのトラクション性能が向上して、タイヤの雪上性能が向上する利点がある。また、凹部8が端部領域で疎に配置されるので、ブロック5の端部領域の接地面積が確保される。これにより、氷路面に対する端部領域の凝着作用が確保されて、タイヤの氷上性能が確保される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、タイヤ周方向の中央部領域CR’における凹部8の開口面積の平均値Ac’と、タイヤ周方向の端部領域における凹部8の開口面積の平均値Ae’とが、Ae’<Ac’の関係を有する(図10〜図12参照)。かかる構成では、比較的大きな開口面積を有する凹部8が、接地圧が低いブロック5の中央部領域CR’に配置される。すると、中央部領域CR’の接地面積が減少し、接地圧が上昇して、凹部8による雪柱剪断力(いわゆる掘り起こし力)が増加する。これにより、タイヤのトラクション性能が向上して、タイヤの雪上性能が向上する利点がある。また、比較的小さな開口面積を有する凹部8が端部領域に配置されるので、ブロック5の端部領域の接地面積が確保される。これにより、ブロック5の端部領域の接地面積が確保されて、タイヤの氷上性能が確保される利点がある。
図20は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤの性能試験の結果1を示す図表である。図21は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤの性能試験の結果2を示す図表である。
この性能試験では、複数種類の試験タイヤについて、雪上制動性能に関する評価が行われた。また、タイヤサイズ195/65R15の試験タイヤがJATMA規定の適用リムに組み付けられ、この試験タイヤに230[kPa]の空気圧およびJATMA規定の最大負荷が付与される。また、試験タイヤが、試験車両である排気量1600[cc]かつFF(Front engine Front drive)方式のセダンに装着される。
雪上性能に関する評価では、試験車両が雪路試験場のスノー路面を走行し、駆動性能および走行速度40[km/h]からの制動距離が測定される。そして、この測定結果に基づいて従来例を基準(100)とした指数評価が行われる。この評価は、数値が大きいほど好ましい。
図20において、実施例1〜8の試験タイヤは、図1および図2の構成を備え、陸部31〜33のブロック5がサイプ6、表面加工部7および凹部8をそれぞれ有する(図4〜図7参照)。また、表面加工部7がブロック5のフラットな領域に施されて、フラットな領域の算術平均粗さRaが一定に設定される。また、トレッド面にあるすべての凹部8が、同一形状および同一開口面積を有し、また、同一深さHd=0.3[mm]を有する。また、すべてのブロック5にて、タイヤ幅方向の中央部領域CRにおける凹部8の配置数Ncと、タイヤ幅方向の端部領域における凹部8の配置数Neとが、Ne<Ncの関係を有する。また、凹部8の配置密度Daおよび配置数比Ne<Ncは、トレッド面にあるすべてのブロック5の平均値である。また、凹部8の開口面積率比Sc/Seが、各領域における凹部8の配置数の比Nc/Neに略等しい。
図21において、実施例9〜16の試験タイヤは、図1および図13の構成を備え、陸部31〜33のブロック5がサイプ6、表面加工部7および凹部8をそれぞれ有する。また、表面加工部7がブロック5のフラットな領域に施されて、フラットな領域の算術平均粗さRaが一定に設定される。また、トレッド面にあるすべてのブロック5が、異なる開口面積をもつ2種類かつ複数の凹部8を備える。また、すべての凹部8が、同一形状を有し、また、同一深さHd=0.3[mm]を有する。また、大きい開口面積Acを有する凹部8がブロック5の中央部領域CR(図14〜図16)に配置され、小さい開口面積Aeを有する凹部8がブロック5の端部領域に配置される。また、1つのブロック5では、中央部領域CRにおける凹部8の配置数Ncと端部領域における凹部8の配置数Neとが略同一である。このため、凹部の開口面積率比Sc/Seが、大小の凹部8の開口面積の比Ac/Aeに略等しい。また、凹部8の配置密度Daは、トレッド面にあるすべてのブロック5の平均値である。
従来例の試験タイヤでは、実施例2の構成において、ブロック5がサイプ6および表面加工部7のみを有し、凹部8を有していない。
試験結果に示すように、実施例1〜16の試験タイヤでは、タイヤの雪上性能が向上することが分かる。
1:空気入りタイヤ、21、22:周方向主溝、23:周方向細溝、31〜33:陸部、311:切欠部、41〜43:ラグ溝、5:ブロック、6:サイプ、7:表面加工部、8:凹部、11:ビードコア、12:ビードフィラー、13:カーカス層、14:ベルト層、141、142:交差ベルト、143:ベルトカバー、15:トレッドゴム、16:サイドウォールゴム、17:リムクッションゴム

Claims (15)

  1. リブあるいは複数のブロックを有する陸部をトレッド面に備える空気入りタイヤにおいて、
    前記陸部が、50[μm]以下の算術平均粗さをもつフラットな領域と、複数の凹部とを連続した接地面に備え、且つ、
    前記連続した接地面の全域における前記フラットな領域の面積比率が、50[%]以上であり、
    前記連続した接地面のタイヤ幅方向の中央部50[%]の領域を中央部領域として定義し、タイヤ幅方向の左右の端部25[%]の領域を端部領域として定義するときに、
    前記連続した接地面の前記タイヤ幅方向の中央部領域における前記凹部の開口面積率Scと、前記タイヤ幅方向の端部領域における前記凹部の開口面積率Seとが、Se<Scの関係を有することを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記タイヤ幅方向の中央部領域における前記凹部の開口面積率Scと、前記タイヤ幅方向の端部領域における前記凹部の開口面積率Seとが、1.50≦Sc/Seの関係を有する請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記タイヤ幅方向の中央部領域における前記凹部の配置数Neと、前記タイヤ幅方向の端部領域における前記凹部の配置数Neとが、Ne<Ncの関係を有する請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記タイヤ幅方向の中央部領域における前記凹部の配置数Ncと、前記タイヤ幅方向の端部領域における前記凹部の配置数Neとが、1.50≦Nc/Neの関係を有する請求項3に記載の空気入りタイヤ。
  5. 1つの前記連続した接地面の全域における前記凹部の配置密度Daが、0.8[個/cm^2]≦Da≦4.0[個/cm^2]の範囲にある請求項1〜4のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記陸部が、複数のサイプを接地面に備え、且つ、前記凹部が、前記サイプから離間して配置される請求項1〜5のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  7. 複数のサイプが、タイヤ周方向に並列に配置されて前記陸部を複数の区間に区画し、且つ、隣り合う任意の一対の前記区間の少なくとも一方が、前記タイヤ幅方向の中央部領域に前記凹部を有する請求項1〜6のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  8. 前記陸部が、複数のブロックを有するブロック列であり、前記ブロックの角部に前記凹部を有する請求項1〜7のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  9. 前記凹部の開口面積が、2.5[mm^2]以上10[mm^2]以下の範囲にある請求項1〜8のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  10. 前記凹部の壁角度αが、−85[deg]≦α≦95[deg]の範囲にある請求項1〜9のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  11. 前記タイヤ幅方向の中央部領域における前記凹部の開口面積の平均値Acと、前記タイヤ幅方向の端部領域における前記凹部の開口面積の平均値Aeとが、Ae<Acの関係を有する請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
  12. 前記タイヤ幅方向の中央部領域における前記凹部の開口面積の平均値Acと、前記タイヤ幅方向の端部領域における前記凹部の開口面積の平均値Aeとが、1.5≦Ac/Ae≦4.0の関係を有する請求項11に記載の空気入りタイヤ。
  13. 複数のブロックをトレッド面に備える空気入りタイヤにおいて、
    前記ブロックが、50[μm]以下の算術平均粗さをもつフラットな領域と、複数の凹部とを接地面に備え、且つ、
    前記ブロックの接地面の全域における前記フラットな領域の面積比率が、50[%]以上であり、
    前記ブロックの接地面のタイヤ周方向の中央部50[%]の領域を中央部領域として定義し、タイヤ周方向の前後の端部25[%]の領域を端部領域として定義するときに、
    前記ブロックの接地面の前記タイヤ周方向の中央部領域における前記凹部の開口面積率Sc’と、前記タイヤ周方向の端部領域における前記凹部の開口面積率Se’とが、Se’<Sc’の関係を有することを特徴とする空気入りタイヤ。
  14. 前記タイヤ周方向の中央部領域における前記凹部の配置数Nc’と、前記タイヤ周方向の端部領域における前記凹部の配置数Ne’とが、Ne’<Nc’の関係を有する請求項13に記載の空気入りタイヤ。
  15. 前記タイヤ周方向の中央部領域における前記凹部の開口面積の平均値Ac’と、前記タイヤ周方向の端部領域における前記凹部の開口面積の平均値Ae’とが、Ae’<Ac’の関係を有する請求項13または14に記載の空気入りタイヤ。
JP2016091328A 2016-04-28 2016-04-28 空気入りタイヤ Pending JP2017197112A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016091328A JP2017197112A (ja) 2016-04-28 2016-04-28 空気入りタイヤ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016091328A JP2017197112A (ja) 2016-04-28 2016-04-28 空気入りタイヤ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2017197112A true JP2017197112A (ja) 2017-11-02

Family

ID=60237275

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016091328A Pending JP2017197112A (ja) 2016-04-28 2016-04-28 空気入りタイヤ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2017197112A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6075425B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP6834119B2 (ja) 空気入りタイヤ
WO2016088854A1 (ja) 空気入りタイヤ
WO2018225501A1 (ja) 空気入りタイヤ
WO2016088856A1 (ja) 空気入りタイヤ
WO2016088843A1 (ja) 空気入りタイヤ
JP2017197145A (ja) 空気入りタイヤ
JP2016147655A (ja) 空気入りタイヤ
JP2017197149A (ja) 空気入りタイヤ
JP2017197120A (ja) 空気入りタイヤ
JP2017197111A (ja) 空気入りタイヤ
JP2017007635A (ja) 空気入りタイヤ
JP2017197148A (ja) 空気入りタイヤ
JP2019026015A (ja) 空気入りタイヤ
JP2019026016A (ja) 空気入りタイヤ
JP2017197110A (ja) 空気入りタイヤ
JP2016147656A (ja) 空気入りタイヤ
JP2017197112A (ja) 空気入りタイヤ
JP2017197121A (ja) 空気入りタイヤ
WO2016088853A1 (ja) 空気入りタイヤ
WO2016088855A1 (ja) 空気入りタイヤ
JP2017197122A (ja) 空気入りタイヤ
JP2017197123A (ja) 空気入りタイヤ
JP2017197144A (ja) 空気入りタイヤ
JP2017197119A (ja) 空気入りタイヤ