JP2017007157A - 親水膜付き基材及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】光触媒効果に依らずに親水性となる親水膜が付与された基材を提供し、かような親水膜付き基材を容易に製造可能な製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の親水膜付き基材では、アクリルポリマー及びメタクリルポリマーの混合物を主成分とする親水膜が、基材の表面に蒸着されている。かような親水膜付き基材は、アクリルポリマー及びメタクリルポリマーの混合物を主成分とする蒸着材料により、基材の表面に対し親水膜が蒸着されることで製造される。
【選択図】なし

Description

本発明は、レンズや鏡等の基材の表面に対し水滴や曇り等の発生を防止するために親水膜が付与された親水膜付き基材、及びその製造方法に関する。
親水膜の製造方法として、金属酸化物及び親水性(光触媒効果)の微粒子を分散させた有機溶媒が基材に直接塗布された後、乾燥・焼結される湿式の方法が知られている(特許文献1)。この方法では、微粒子を光触媒効果が全面に亘り発揮されるように有機溶媒に所定の濃度で十分に分散させる工程や、硬化剤を添加する工程や、乾燥工程が必要となり、微粒子の濃度の調整や分散度合の調整に手間がかかる。
又、親水膜の製造方法として、乾式のものも知られている(特許文献2,3)。特許文献2の方法では、光触媒効果を有した酸化チタン(TiO)層と酸化ケイ素(SiO)層が化学蒸着によって交互に積層される。特許文献3の方法では、真空蒸着法やイオンプレーティングによって、結晶系をアナターゼ型に調整したTiO膜が形成され、光触媒効果によって親水性が付与される。
特開2004−2104号公報 特開2005−119920号公報 特開2000−53449号公報
特許文献2,3の乾式の方法では、乾燥工程が不要であり、親水成分の溶媒に対する濃度調整や分散も不要であって、より手間の少ない状態で親水膜が製造される。しかし、TiO膜が光触媒効果を発揮するように化学蒸着や真空蒸着等を制御しなければならず、成膜条件の最適化が困難である。又、TiO膜が光触媒効果を発揮して親水性の表面となるために、紫外線が必要となる。
本発明の目的は、光触媒効果に依らずに親水性となる親水膜が付与された基材を提供し、かような親水膜付き基材を容易に製造可能な製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、親水膜付き基材にあって、アクリルポリマー及びメタクリルポリマーの混合物を主成分とする親水膜が、基材の表面に蒸着されていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、上記発明にあって、前記親水膜と前記基材の間に、SiO膜及びMgF膜の少なくとも一方である中間膜が配置されていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、上記発明にあって、前記親水膜は、SiOを含むことを特徴とする。
上記目的を達成するため、請求項4に記載の発明は、親水膜付き基材の製造方法にあって、アクリルポリマー及びメタクリルポリマーの混合物を主成分とする蒸着材料により、基材の表面に対し親水膜が蒸着されることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、上記発明にあって、前記親水膜の蒸着に先立って、基材の表面に対し、SiO膜及びMgF膜の少なくとも一方である中間膜が形成されることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、上記発明にあって、前記蒸着材料は、SiOを含むことを特徴とする。
本発明は、光触媒効果に依らずに親水性となる親水膜が付与された基材を提供し、かような親水膜付き基材を容易に製造可能な製造方法を提供することができる、という効果を奏する。
以下、本発明に係る実施の形態の例が、適宜図面に基づいて説明される。なお、本発明の形態は、これらの例に限定されない。
本発明に係る親水膜付き基材は、所定の親水膜用蒸着材料が基材に対して蒸着されることで製造される。親水膜用蒸着材料は、第一には、アクリルポリマーとメタクリルポリマーの混合物である。アクリルポリマーとメタクリルポリマーの混合比は、どのようなものであっても良い。アクリルポリマーは、アクリル酸エステルの重合体であり、アクリル酸エステルとして、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ジメチルアミノエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、あるいはこれらの組合せが挙げられる。メタクリルポリマーは、メタクリル酸エステルの重合体であり、メタクリル酸エステルとして、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、あるいはこれらの組合せが挙げられる。又、親水膜用蒸着材料は、第二には、第一の親水膜用蒸着材料に、SiOを加えたものである。
親水膜用蒸着材料は、アクリルポリマーとメタクリルポリマーの混合物、あるいはこれにSiOを加えたものを、有機溶剤において分散させた後、溶媒部分を除去して製造されることが、蒸着用の材料として適度に混合した状態とする観点から好ましい。かような分散や溶媒部分の除去は、従来の湿式の製造方法に比べ、条件の緩やかな状態で行え、より容易に行うことができる。有機溶剤として、例えばアセトン、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、イソペンチルアルコール、エチルエーテル、オルト−ジクロルベンゼン、キシレン、クレゾール、クロルベンゼン、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソペンチル、酢酸エチル、酢酸ノルマル−ブチル、酢酸ノルマル−プロピル、酢酸ノルマル−ペンチル、酢酸メチル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、1,1,1−トリクロルエタン、トルエン、ノルマルヘキサン、1−ブタノール、2−ブタノール、メタノール、メチルエチルケトン、メチルシクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノン、メチル−ノルマル−ブチルケトンあるいはこれらの適宜の組合せが挙げられる。
蒸着は、成膜後の親水性を良好にする観点から、好ましくは真空蒸着とされる。又、酸素イオン及びアルゴンイオンの少なくとも一方等のイオンでアシストしながら、あるいはプラズマ処理をしながら蒸着がなされても良い。
基材は、表面に親水性(防水性、防曇性、防汚性、セルフクリーニング性の少なくとも何れか)を付与したいものであれば何れのものでも良く、例えば、カメラや眼鏡や望遠鏡や双眼鏡等のレンズやフィルタ、建物や車等のガラス、建物の外壁、製品の外枠、車載用や姿見用の鏡、各種のカバーが挙げられる。ここで、カメラは、スチルカメラであってもビデオカメラであっても良いし、監視用であっても、車載用(バックモニタ用を始めとする視覚確保用や運転支援システムにおける画像認識用)であっても、ナイトビジョン(暗視)用であっても、これらの組合せ等の複数の用途を有するものであっても良い。
本発明に属する実施例が以下に示される。但し、実施例は、本発明の範囲を限定するものではない。尚、本発明の捉え方によって、下記の実施例の一部が、実質的には本発明に属さない比較例となり得る。
≪実施例1〜9≫
<製造等>
無酸素銅製の容器に対し、溶媒(水)中にアクリルポリマーとメタクリルポリマーの混合物を有するポリマー薬品(大阪有機化学工業株式会社製LAMBIC770)、及び溶媒(イソプロピルアルコールとエタノールと水の混合溶媒)中にシリカナノ粒子(SiO)を有するシリカ薬品がそれぞれ分注のうえ混合され、ポリマー薬品とシリカ薬品の混合物が80℃〜100℃程度に設定された乾燥機に入れられて溶媒部分が除去されることで、実施例1〜9に係る親水膜αを蒸着するための出発材料(蒸着材料)が形成された。ポリマー薬品において、溶媒は水であるが、エタノールを始めとする有機溶剤やこれらの混合溶媒であっても良い。シリカ薬品の溶媒も、水又は有機溶媒、あるいはこれらの混合溶媒とされて良い。
ポリマー薬品における各成分の体積比は、アクリルポリマー8.3パーセント(%)、メタクリルポリマー1.7%、水90%であり、当該薬品の分注量は2.0ミリリットル(ml)で、シリカ薬品における各成分の体積比は、シリカナノ粒子(固形分)10%、混合溶媒90%であり、シリカ薬品の分注量は0.7mlであった。アクリルポリマー及びメタクリルポリマーは、何れもトリシラノール基と水溶性の両性基を有するものであった。尚、蒸着材料におけるSiOは、必ずしもシリカナノ粒子であることを要しないが、シリカナノ粒子とすればより均一に分散させ易い。
この蒸着材料入りの容器は、目開き1ミリメートル(mm)のステンレス製の網で蓋をされた状態で、電子銃を蒸発源とする真空蒸着装置に対し基材と共にセットされ、基材の表面に、かような蒸着材料に基づく親水膜αが形成された。真空蒸着装置は、直径1100mmのドームを有する。基材は、何れも透明な板状であり、基材の種類は、白板ガラス、合成石英、シクロオレフィンポリマー(COP)樹脂(日本ゼオン株式会社製ZEONEX480R)の3種類であって、白板ガラス基材は直径60mmの円板、合成石英基材は直径30mmの円板、COP樹脂基材は25×40mmの矩形板であり、それぞれドームの中段付近に設置された。電子銃における電子ビームの条件は、5ミリアンペア(加速電圧6キロボルト)であり、ビームスキャンは、基材の全体にビームが当たる40%程度とされた。チャンバー内部の圧力は、真空排気により、1.0×10−3パスカル以下に維持された。
各種基材の蒸着前(基材そのもの)における純水接触角は、次の表1の通りであった。又、それぞれの種類の基材の表面に対して、親水膜αが直接蒸着されたものと、SiO膜が蒸着された上で親水膜αが蒸着されたものと、フッ化マグネシウム(MgF)膜が蒸着された上で親水膜αが蒸着されたものが用意され、3種類の基材と3種類の膜構成で9個の実施例1〜9が形成された。SiO膜の成膜レートは10オングストローム毎秒で成膜完了時の膜厚は50ナノメートル(nm)であり、MgF膜の成膜レートは5オングストローム毎秒で成膜完了時の膜厚は50nmであって、何れの成膜においても膜厚制御には水晶膜厚計が用いられた。親水膜α及び各中間膜は何れも透明であり、COP樹脂板に親水膜αとSiO膜が形成された実施例8における可視域(例えば波長400nm以上780nm以下)の分光透過率分布は90±2%で平坦なものとなった。これらの実施例1〜9の親水膜αが形成された面(親水面)に対して、次の測定等が行われた。即ち、純水接触角の測定、防曇性の評価、セルフクリーニング性の評価、耐久性の評価が行われた。
Figure 2017007157
<純水接触角>
純水接触角は、接触角測定装置(協和界面科学株式会社製DM501)によって測定された。実施例1〜9に係る親水膜αの純水接触角ないしその評価が次の表2に示される。純水接触角の評価は、A〜Cの3段階評価とし(Aが最良,以下同様)、0°以上10°未満である場合をA、10°以上30°未満である場合をB、30°以上である場合をCとした。
Figure 2017007157
実施例1〜9の何れにおいても純水接触角が基材の純水接触角より小さくなっており、特に、SiO膜を下地とした親水膜α(実施例2,5,8)や、MgF膜を下地とした親水膜α(実施例3,6,9)の純水接触角は、基材の純水接触角に対して大幅に小さくなって、何れも評価がAとなった。
<防曇性>
実施例1〜9のそれぞれが、80℃の水の上側に、親水面が下側となるようにかざされて、目視にて親水面の曇り状態を確認され、防曇性が確認された。実施例1〜9に係る親水膜αの防曇性の評価が次の表3に示される。防曇性の評価は、曇りが見受けられない場合をA、基材より薄い曇りが見受けられる場合をB、基材と同等かそれ以上の曇りが見受けられる場合をCとした。
Figure 2017007157
基材に直接親水膜αが付与された実施例1,4,7において、防曇性は基材そのものと同等であった(評価C)。これに対し、基材との間にSiO膜が挿入された親水膜α(実施例2,5,8)では、防曇性が基材そのものより向上したが、曇りが少し見られた(評価B)。そして、基材との間にMgF膜が挿入された親水膜α(実施例3,6,9)では、温水のうえにかざされても曇りが見られず、防曇性に関する評価がAとなった。尚、実施例1〜9とは別に、アリルジグリコールカーボネート(CR39)製の基材の表面に上述のSiO膜と親水膜αが形成されたものについても、親水面の曇り状態が同様に確認され、防曇性評価がAとなった。
<セルフクリーニング性>
実施例1〜9のそれぞれの親水面に対し、油性ペンで線状の油性インクを付着させたものが、室温と同温の純水入りの静的なビーカーに投入され、油性インクが純水中で消えるか否かが目視で確認され、セルフクリーニング性が確認された。実施例1〜9に係る親水膜αのセルフクリーニング性の評価が次の表4に示される。セルフクリーニング性の評価は、静的な純水中で自然に油性インクが剥がれる場合をA、静的な純水中で自然に消えないがレンズペーパーで拭くと油性インクが取れる場合をB、同様に純水中においてレンズペーパーで拭いても油性インクが取れない場合をCとした。
Figure 2017007157
COP樹脂板に直接親水膜αが形成された実施例7では、純水中で拭いても油性インクが取れず、セルフクリーニング性の評価がCとなった。又、何れの基材においても、MgF膜が中間膜となった実施例3,6,9においては、純水中においてレンズペーパーで拭けば油性インクが取れ、セルフクリーニング性の評価がBとなった。そして、何れの基材においても、SiO膜が中間膜となった実施例2,5,8においては、純水中において自然に油性インクが取れ、セルフクリーニング性の評価がAとなった。
<耐久性>
実施例1〜9のそれぞれに対し、セルフクリーニング性の確認を適宜繰り返し行うことで、親水面の耐久性が評価された。即ち、最初(前回)のセルフクリーニング性の確認においてインクが消えたら(拭いて消えた場合を含む)、実施例1〜9の何れかが純水から取り出されてレンズペーパーで親水面の水分が拭き取られ、油性インクが同一箇所に付着されて、実施例1〜9の何れかが純水中に再び沈められ、油性インクが消えるか否かが同様に確認される。油性インクか消えれば、更にこれらの手順が繰り返され、油性インクがレンズペーパーで拭いても消えなくなれば、耐久性の確認が終了となる。実施例1〜9に係る親水膜αの耐久性の評価が次の表5に示される。耐久性の評価は、繰り返しの回数が初回を1回目として10回以上である場合をA、6回以上10回未満である場合をB、5回以下である場合をCとした。
Figure 2017007157
COP樹脂板に直接親水膜αが形成された実施例7では、上述の通りセルフクリーニング性確認の初回において純水中で拭いても油性インクが取れず、耐久性の評価もCとなった。又、COP樹脂板にMgF膜を介して親水膜αが形成された実施例9では、耐久性の評価がBとなった。そして、これら以外の実施例1〜6,8では、耐久性の評価がAとなった。
<まとめ>
実施例1〜9の何れにおいても、親水膜αにより基材表面に対する親水性の向上がなされた(純水接触角の低下等)。基材に直接親水膜αが形成される実施例1,4,7に比べ、SiO膜やMgF膜の中間膜が挿入されたもの(実施例2,3,5,6,8,9)は、より親水性が向上されて、防曇性やセルフクリーニング性においていわゆる超親水の水準に達するものとされ、更に耐久性も向上された。特に、MgF膜が挿入されたもの(実施例3,6,9)は、優れたセルフクリーニング性(評価B)を有しつつ、SiO膜が挿入されたもの(実施例2,5,8)と比べても、極めて優れた防曇性を有している(評価A)。又、SiO膜が挿入されたもの(実施例2,5,8)は、優れた防曇性(評価B)を呈しつつ、MgF膜が挿入されたもの(実施例3,6,9)と比べても、極めて優れたセルフクリーニング性を有しており(評価A)、基材を選ばない優れた耐久性を有している(COP樹脂板に係る実施例8でも耐久性評価Aとなっている)。
尚、各種中間膜の膜厚を実施例1〜9のもの(50nmから)厚くなる方及び薄くなる方へ数nm毎に変えたものが、実施例1〜9とは別に数種類作製され、それぞれについて親水性(純水接触角,防曇性,セルフクリーニング性,耐久性)が別途確認されたが、これらの親水性は実施例1〜9と同等であった。又、各種中間膜が蒸着ではなく塗布(スピンコート)により成膜されるものが実施例1〜9とは別に作製され、それぞれについて同様に親水性が確認されたが、やはり実施例1〜9と同等であった。更に、中間膜としてSiO膜とMgF膜の組合せを採用したもの(SiO膜が基材側となったものとMgF膜が基材側となったものの双方)が、実施例1〜9とは別に作製され、それぞれについて同様に親水性が確認されたが、やはり実施例1〜9と同等であった。又更に、親水膜αの親水性は、紫外線のない環境下においても発揮された。加えて、親水膜αの蒸着材料におけるシリカナノ粒子の含有量を変えることで蒸着材料全体におけるアクリルポリマー及びメタクリルポリマーの混合物の割合が互いに異なるものが、実施例1〜9とは別に作製され、それぞれについて同様に親水性が確認されたが、アクリルポリマー及びメタクリルポリマーの混合物が主成分となれば、実施例1〜9と同等の親水性を呈した。ここで、主成分となることは、蒸着材料全体に対する重量の割合又は体積の割合の何れか一方が過半数となる成分であることを示す。
更に、ポリマー薬品におけるアクリルポリマーとメタクリルポリマーの割合が実施例1〜9とは異なるものも別途作製された。まずアクリルポリマーを有さずメタクリルポリマーのみのポリマー薬品(実施例1〜9のポリマー薬品と同系のLAMBIC400)を用いたものが作製され、親水性を確認されたが、蒸着による成膜では親水性の十分な向上は見られなかった。そして、同様に同系のもの(LAMBIC700,LAMBIC780等)が各種試されたところ、体積の割合が次の範囲であれば、蒸着による成膜であっても親水性が十分に(実施例1〜9と同程度以上に)向上して好ましいことが分かった。即ち、溶媒中にある段階で、アクリルポリマー5%以上20%以下、メタクリルポリマー1%以上2%以下、溶媒78%以上94%以下であり、よって溶媒を含めないとアクリルポリマー:メタクリルポリマー=20:1〜5:2である。尚、ポリマー薬品における各種ポリマーの重合度(分子量)は様々であったが、重合度による親水性の相違は特に見受けられなかった。
≪実施例11〜19≫
<製造等>
実施例1〜9と同様にして、実施例11〜19が作製された。但し、実施例11〜19の親水膜βの蒸着材料において、SiO(シリカナノ粒子)が入れられなかった。よって、実施例11〜19の親水膜βは、実施例1〜9の親水膜αと異なり、SiOを含んでいない。尚、対比を容易にするため、実施例10は欠番とする。そして、これらの実施例11〜19の親水膜βに対しても、実施例1〜9と同様に、純水接触角の測定、防曇性の評価、セルフクリーニング性の評価、耐久性の評価が行われた。
<純水接触角>
実施例11〜19の親水膜βの純水接触角は、何れにおいても基材の純水接触角より小さくなり、それらの評価は、次の表6に示されるように、実施例1〜9と同等であった。
Figure 2017007157
<防曇性>
実施例11〜19の親水膜βの防曇性評価は、次の表7に示されるように、実施例1〜9とほぼ同じであった。特に、白板ガラス基材でMgF膜と親水膜βを有する実施例13は、十分な防曇性を有しながら、同様の構成(親水膜α)である実施例3に対し若干防曇性に劣ることとなり、逆に、合成石英基材に直接親水膜βが形成された実施例14は、同様の構成(親水膜α)である実施例4に対し防曇性が向上した。
Figure 2017007157
<セルフクリーニング性>
実施例11〜19の親水膜βのセルフクリーニング性評価は、次の表8に示されるように、実施例1〜9と同等であった。
Figure 2017007157
<耐久性>
実施例11〜19の親水膜βの耐久性評価は、次の表9に示されるように、実施例1〜9と同等であった。
Figure 2017007157
<まとめ>
実施例11〜19においても、実施例1〜9の親水膜αと同様に、親水性に優れた親水膜βが形成された。尚、シリカが親水膜用蒸着材料に入る場合(実施例1〜9)、シリカ自体もある程度の親水性を呈するし、シリカが親水膜αに混合することでSiO膜が下地となる場合と同様となり、これらのことから親水膜αの親水性が向上するものと考えられる。

Claims (6)

  1. アクリルポリマー及びメタクリルポリマーの混合物を主成分とする親水膜が、基材の表面に蒸着されている
    ことを特徴とする親水膜付き基材。
  2. 前記親水膜と前記基材の間に、SiO膜及びMgF膜の少なくとも一方である中間膜が配置されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の親水膜付き基材。
  3. 前記親水膜は、SiOを含む
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の親水膜。
  4. アクリルポリマー及びメタクリルポリマーの混合物を主成分とする蒸着材料により、基材の表面に対し親水膜が蒸着される
    ことを特徴とする親水膜付き基材の製造方法。
  5. 前記親水膜の蒸着に先立って、基材の表面に対し、SiO膜及びMgF膜の少なくとも一方である中間膜が形成される
    ことを特徴とする請求項4に記載の親水膜付き基材の製造方法。
  6. 前記蒸着材料は、SiOを含む
    ことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の親水膜付き基材の製造方法。
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