JP2017003091A - ねじ締結部品の製造方法 - Google Patents

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重三 中村
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【課題】繊維が途中で切断されることを抑制しながら繊維をねじ山に入り込ませることによってねじ山の強度の向上を図れるねじ締結部品の製造方法を提供する。
【解決手段】第1方向D1に沿って移動可能な第1金型21と、第1方向D1に直交する第2方向D2に沿って移動可能な第2金型22とによって囲まれる空間45に、繊維延在方向Fを第1方向D1に整合させて繊維強化樹脂材料10をセットする。第1金型21を第1方向D1に沿って移動させることによって繊維強化樹脂材料10を当該第1金型21により繊維延在方向Fに圧縮し、同時に、第2金型22を第2方向D2に沿って移動させることによって繊維強化樹脂材料10を当該第2金型22により繊維延在方向Fに直交する直交方向Tに圧縮することによって、繊維強化樹脂材料10をねじ締結部品1へと成形する。
【選択図】図6

Description

この発明は、繊維強化樹脂材料を用いたねじ締結部品の製造方法に関する。
下記特許文献1には、長繊維で補強された熱可塑性の合成樹脂を素材とした螺子の製造方法が記載されている。この螺子は、螺子山が形成された軸部と、軸部の一端部に形成された皿状の頭部とを有する。
この螺子を製造する場合には、まず、合成樹脂中に長繊維を多数含有させたものを押出成形または引抜成形することによって、棒状の素材を形成する。この素材では、長繊維が素材の長手方向に沿っている。次に、この素材を雌型内に挿入し、加熱して軟化させる。その後、雄型により素材を雌型の成形部に押し付けるようにプレスすると、螺子の半周分に相当する成形品が得られる。
この成形品を2つ準備して互いに接着することによって、1つの棒状の成形品が得られる。次に、棒状の成形品を別の型の内部に挿入し、加熱して軟化させる。この型には、成形品の長手方向に沿って交互に並ぶ山部および谷部を有する螺子山成形部が設けられている。螺子山成形部は、型に挿入された成形品に対して、成形品の長手方向に直交する半径方向から対向している。この状態で、軟化した成形品の端部に丸棒状の強化素材が当該長手方向に圧入されると、この端部が螺子山成形部へ向けて半径方向に押し広げられるので、当該端部の外周面に螺子山が形成される。
特公平7−86367号公報
特許文献1に記載された製造方法では、強化素材を用いて半径方向だけから成形品に積極的に圧力をかけることによって、螺子山を形成する。この場合には、長繊維が容易に変形しないので、長繊維を螺子山の形状に沿うように蛇行させて螺子山内に入り込ませることが困難である。また、成形品における半径方向外側の外周面に分布する長繊維は、蛇行状へと無理に変形させられることにより、螺子山に入り込もうとする部分と、隣り合う螺子山の間の谷部に留まろうとする部分との間で引っ張られる。このように無理な力がかかった長繊維は、途中で切断される虞がある。これでは、螺子山の強度の向上を図ることが困難である。
この発明は、かかる背景のもとでなされたもので、繊維が途中で切断されることを抑制しながら繊維をねじ山に入り込ませることによってねじ山の強度の向上を図れるねじ締結部品の製造方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、所定の繊維延在方向に沿って直線状に引き揃えられた多数の繊維に樹脂を含浸させた繊維強化樹脂材料を用いて、前記繊維延在方向に交差するねじ山を有するねじ締結部品を製造する方法であって、第1方向に沿って移動可能な第1金型と、前記第1方向に直交する第2方向に沿って移動可能な第2金型とによって囲まれる空間に、前記繊維延在方向を前記第1方向に整合させて前記繊維強化樹脂材料をセットする材料セットステップと、前記第1金型を前記第1方向に沿って移動させることによって前記繊維強化樹脂材料を当該第1金型により前記繊維延在方向に圧縮し、同時に、前記第2金型を前記第2方向に沿って移動させることによって前記繊維強化樹脂材料を当該第2金型により前記繊維延在方向に直交する方向に圧縮することによって、前記繊維強化樹脂材料を前記ねじ締結部品へと成形する成形ステップとを含む、ねじ締結部品の製造方法である。
請求項2に記載の発明は、前記ねじ締結部品は、外表面に前記ねじ山が形成された雄ねじ部を有し、前記第2金型において前記空間に臨む領域には、前記ねじ山に対応する形状の溝を有する雄ねじ成形部が設けられている、請求項1に記載のねじ締結部品の製造方法である。
請求項3に記載の発明は、前記ねじ締結部品は、内表面に前記ねじ山が形成された雌ねじ部を有し、前記材料セットステップに先立って、前記ねじ山に対応する形状のねじ溝を外表面に有するねじ軸に前記繊維強化樹脂材料を巻き付けるステップと、前記成形ステップの後に、前記ねじ締結部品と前記ねじ軸とを相対回転させて、前記ねじ締結部品を前記ねじ軸から取り外すステップとをさらに含む、請求項1に記載のねじ締結部品の製造方法である。
請求項4に記載の発明は、前記ねじ山の断面および隣り合う前記ねじ山の間の谷部の断面が、それぞれ円弧状に丸められた輪郭を有するように前記ねじ山が成形される、請求項1〜3のいずれか一項に記載のねじ締結部品の製造方法である。
請求項5に記載の発明は、前記第1金型は、前記第1方向に互いに対向するように一対設けられる、請求項1〜4のいずれか一項に記載のねじ締結部品の製造方法である。
請求項6に記載の発明は、前記成形ステップは、一対の前記第1金型の両方を、前記第1方向に沿って互いに接近するように移動させるステップを含む、請求項5に記載のねじ締結部品の製造方法である。
請求項7に記載の発明は、前記第2金型は、前記第2方向に互いに対向するように一対設けられる、請求項1〜6のいずれか一項に記載のねじ締結部品の製造方法である。
請求項8に記載の発明は、前記成形ステップは、一対の前記第2金型の一方または両方を、前記第2方向に沿って移動させ、それによって前記一対の第2金型を互いに接近させるステップを含む、請求項7に記載のねじ締結部品の製造方法である。
請求項9に記載の発明は、前記樹脂は、熱硬化性樹脂である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のねじ締結部品の製造方法である。
この発明によれば、材料セットステップでは、第1方向に沿って移動可能な第1金型と、第1方向に直交する第2方向に沿って移動可能な第2金型とによって囲まれる空間に、繊維強化樹脂材料が、繊維延在方向を第1方向に整合させた状態でセットされる。材料セットステップの後の成形ステップでは、第1金型を第1方向に沿って移動させ、同時に、第2金型を第2方向に沿って移動させる。これにより、繊維強化樹脂材料は、第1金型により繊維延在方向に圧縮され、同時に、第2金型により繊維延在方向に直交する方向にも圧縮される。すると、少なくとも繊維強化樹脂材料の表面に分布する繊維が、繊維延在方向Fに圧縮されることで撓み、直線状から蛇行状へと自然に変形する。そのため、成形ステップにおいて繊維強化樹脂材料をねじ締結部品へと成形する際には、繊維を、無理な力がかからないように蛇行状に撓ませながら、ねじ山にうまく入り込ませることができる。その結果、ねじ締結部品では、繊維が途中で切断されることを抑制しながら繊維をねじ山に入り込ませることによってねじ山の強度の向上を図れる。
図1は、本発明の一実施形態におけるねじ締結部品の側面図である。 図2は、ねじ締結部品の元となるシート状の繊維強化樹脂材料の斜視図である。 図3は、棒状の繊維強化樹脂材料の斜視図である。 図4は、ねじ締結部品を製造するための製造装置の一部の分解斜視図である。 図5は、ねじ締結部品を製造する工程を示す模式図である。 図6は、図5の次の工程を示す模式図である。 図7は、図6のA−A線断面図である。 図8は、ねじ締結部品の断面図である。 図9は、図8において破線で囲まれた部分の拡大図である。 図10は、図8のB−B線断面図である。 図11は、第1変形例に係るねじ締結部品において図10に対応する部分を示した図である。 図12は、第2変形例に係るねじ締結部品の側面図である。 図13は、第2変形例に係るねじ締結部品において図9に対応する部分を示した図である。 図14は、第3変形例に係るねじ締結部品の側面図である。 図15は、第4変形例に係るねじ締結部品を製造する工程を示す模式図である。 図16は、図15の次の工程を示す模式図である。 図17は、第5変形例に係るねじ締結部品を製造するための製造装置の一部の分解斜視図である。 図18は、第5変形例に係るねじ締結部品を製造する工程を示す模式図である。 図19は、図18の次の工程を示す模式図である。 図20は、第5変形例に係るねじ締結部品の断面図である。 図21は、図20において破線で囲まれた部分の拡大図である。
本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の一実施形態におけるねじ締結部品1の側面図である。ねじ締結部品1は、ボルトである。ねじ締結部品1は、円柱状の軸部2と、軸部2の端部に連結された頭部3とを一体的に有する中実体である。ねじ締結部品1の中心軸1Aは、軸部2の円中心を通って軸部2と平行に延びている。中心軸1Aの延びる方向を「軸方向X」といい、中心軸1Aまわりに周回する方向を「周方向S」という。
軸部2において軸方向Xにおける少なくとも一部には、雄ねじ部4が設けられている。雄ねじ部4の外表面4Aは、軸部2の外周面2Aの一部である。外表面4Aには、軸方向Xに交差するように中心軸1Aを中心として螺旋状に延びるねじ山5が形成されている。ねじ山5は、軸部2の外周面2Aにおいて、図1に示すように頭部3から離れた先端側領域2Bだけに形成されてもよいし、頭部3に近い根元側領域2Cも含む全域に形成されてもよい。外周面2Aにおいて、その周方向Sに180度離れた2箇所には、軸方向Xに沿う平坦面6が、先端側領域2Bおよび根元側領域2Cに跨って形成されている。先端側領域2Bに形成された平坦面6は、それぞれのねじ山5の先端部を切り取っている。
頭部3は、中心軸1Aを基準とする径方向Rにおいて軸部2よりも外側へ張り出している。軸方向Xに直交する切断面で切断したときの頭部3の断面は、円形であってもよいし、六角形等の多角形であってもよい。この実施形態では、頭部3の断面は、六角形である。
図2は、ねじ締結部品1の元となる繊維強化樹脂材料10を示す模式的な斜視図である。繊維強化樹脂材料10は、所定の繊維延在方向Fに沿って直線状に引き揃えられた多数の繊維11に樹脂12を含浸させることによって形成される。図2に示すシート状の繊維強化樹脂材料10において一番大きく見えている面を「表面10A」といい、表面10Aとは反対側の面を「裏面10B」ということにする。なお、図2では、説明の便宜上、表面10Aにおいて、繊維11を実線で示している。
繊維11は、たとえば、炭素繊維、ガラス繊維およびアラミド繊維の少なくともいずれかであり、この実施形態では、炭素繊維が用いられてもよい。それぞれの繊維11は、1本の糸であってもよいし、複数本の糸を撚ったものであってもよい。
樹脂4は、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂であってもよく、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂であってもよい。熱硬化性樹脂であれば、難燃性に優れたねじ締結部品1を提供できる。熱可塑性樹脂であれば、再加熱による再加工が可能なので、リサイクル性に優れたねじ締結部品1を提供できる。
各繊維11が繊維延在方向Fに沿った直線状で維持されるように、シート状の繊維強化樹脂材料10を、繊維延在方向Fに沿った直線まわりに丸めると、繊維強化樹脂材料10は、図3に示すように略円柱の棒状になる。棒状の繊維強化樹脂材料10の長手方向は、繊維延在方向Fと一致し、ねじ締結部品1の軸方向X(図1参照)とも一致する。つまり、繊維延在方向Fと軸方向Xとは互いに平行である。また、繊維延在方向Fに直交する直交方向Tは、ねじ締結部品1の径方向R(図1参照)と一致する。
図3では、繊維強化樹脂材料10における略円形状の端面10Cでは、繊維延在方向Fに沿って直線状に延びる多数の繊維11が、ほぼ均等に分布している。なお、繊維強化樹脂材料10では、端面10Cに限らず、繊維延在方向Fにおけるいずれの位置における断面においても、多数の繊維11がほぼ均等に分布している。
次に、繊維強化樹脂材料10を用いてねじ締結部品1を製造する方法について説明する。図4は、ねじ締結部品1を製造するための製造装置20の一部の分解斜視図である。
図4を参照して、製造装置20は、第1金型21と、第2金型22とを主に含む。第1金型21および第2金型22は、一対ずつ設けられている。一対の第1金型21は、互いに対向するように配置され、一対の第2金型22は、互いに対向するように配置されている。一対の第1金型21の対向方向を「第1方向D1」といい、一対の第2金型22の対向方向を「第2方向D2」という。第1方向D1と第2方向D2とは、互いに直交している。この実施形態では、第1方向D1は、横方向(水平方向)であり、第2方向D2は、上下方向である。下側は、第2方向D2における一方側D2Aであり、上側は、第2方向D2における他方側D2Bである。
一対の第1金型21のそれぞれは、ブロック状に形成されている。これらを区別するときには、一方を第1金型21Aといい、他方を第1金型21Bという。
第1金型21Aにおいて第1金型21Bに対向する端面23は、軸方向Xに直交する切断面で切断したときのねじ締結部品1の軸部2の断面と一致した略円形状である。第1方向D1に直交する切断面で切断したときの第1金型21Aの断面(図示せず)も、端面23と同じ形状である。第1金型21Bの外周面において、その周方向に180度離れた2箇所には、軸部2の一対の平坦面6にそれぞれ対応する一対の平坦面24が、第1方向D1および第2方向D2に沿って設けられている。一対の平坦面24は、第1方向D1および第2方向D2の両方に直交する水平方向に対向する互いに平行な平面である。
第1金型21Bにおいて第1金型21Aに対向する端面25は、軸方向Xに直交する切断面で切断したときのねじ締結部品1の頭部3の断面と一致した六角形状である。第1方向D1に直交する切断面で切断したときの第1金型21Bの断面(図示せず)も、端面25と同じ形状である。端面25および第1金型21Aの端面23は、第1方向D1に対向する互いに平行な平面である。
一対の第2金型22のそれぞれは、第1方向D1に長手の略直方体のブロック状に形成されている。これらを区別するときには、下側に位置する一方を第2金型22Aといい、上側に位置する他方を第2金型22Bという。第2金型22Aにおいて第2金型22Bに下側から対向する上面30と、第2金型22Bにおいて第2金型22Aに上側から対向する下面31とは、第2方向D2に直交する平坦面である。これらの上面30および下面31は、第2方向D2に対向し、互いに平行である。
上面30および下面31のそれぞれには、同じ形状の凹部32が形成されている。上面30に設けられた凹部32は、下側へ窪み、第2金型22Aを第1方向D1に沿って貫通している。下面31に設けられた凹部32は、上側へ窪み、第2金型22Bを第1方向D1に沿って貫通している。凹部32は、第1方向D1に長手であり、棒状の繊維強化樹脂材料10(図3参照)よりも若干長い。凹部32は、ねじ締結部品1の軸部2を成形するための第1凹部33と、ねじ締結部品1の頭部3を成形するための第2凹部34とを含む。第1凹部33と第2凹部34とは、第1方向D1に並んでおり、互いに連通している。第1凹部33は、第1方向D1における一方側D1A、つまり、第1金型21A側に位置し、第2凹部34は、第1方向D1における他方側D1B、つまり、第1金型21B側に位置している。
第2金型22Aには、上面30から下側に延びて第1方向D1に長手となるように平行に延びる一対の平坦面35と、これらの平坦面35の下端の間に架設されて下側へ膨出しつつ第1方向D1に沿って延びる樋状の湾曲面36とが設けられている。一対の平坦面35は、第1方向D1および第2方向D2に沿って設けられている。一対の平坦面35は、第1方向D1および第2方向D2に直交する水平方向に対向する互いに平行な平面である。一対の平坦面35と湾曲面36とによって、第1方向D1に長手の第1凹部33が区画されている。第1凹部33は、第2金型22Aにおいて、上面30から上側に露出されるとともに、第1方向D1における一方側D1Aにも露出されている。
第2金型22Bには、下面31から上側に延びて第1方向D1に長手となるように平行に延びる一対の平坦面37と、これらの平坦面37の上端の間に架設されて上側へ膨出しつつ第1方向D1に沿って延びる樋状の湾曲面38とが設けられている。一対の平坦面37は、第1方向D1および第2方向D2に沿って設けられている。一対の平坦面37は、第1方向D1および第2方向D2に直交する水平方向に対向する互いに平行な平面である。一対の平坦面37と湾曲面38とによって、第1方向D1に長手の第1凹部33が区画されている。第1凹部33は、第2金型22Bにおいて、下面31から下側に露出されるとともに、第1方向D1における一方側D1Aにも露出されている。
第2金型22Aの湾曲面36および第2金型22Bの湾曲面38には、ねじ締結部品1のねじ山5に対応する形状の溝39を有する雄ねじ成形部40が設けられている。溝39は、複数設けられ、第1方向D1に並んで配置されている。それぞれの溝39は、第1方向D1に交差するように延びている。雄ねじ成形部40において、溝39の断面および隣り合う溝39の間の山部41の断面は、それぞれ円弧状に丸められた輪郭を有している(後述する図5も参照)。溝39は、湾曲面36および38のそれぞれにおいて、全域に設けられてもよいし、第1方向D1における途中の領域だけに設けられてもよい。この実施形態では、ねじ締結部品1の軸部2の根元側領域2Cにねじ山5が設けられていないことに対応して、湾曲面36および38のそれぞれにおける他方側D1Bの領域には溝39が設けられていない。
第1方向D1に直交する切断面で切断したときの第2凹部34の断面は、軸方向Xに直交する切断面で切断したときのねじ締結部品1の頭部3の六角形状の断面の半分に相当する。第2凹部34は、第2金型22Aにおいて、上面30から上側に露出されるとともに、第1方向D1における他方側D1Bにも露出されている。第2金型22Bの第2凹部34は、下面31から下側に露出されるとともに、他方側D1Bにも露出されている。
また、製造装置20は、第1金型21Aおよび第1金型21Bのそれぞれを第1方向D1に沿って移動させるアクチュエータ42と、第2金型22Aおよび第2金型22Bのそれぞれを第2方向D2に沿って移動させるアクチュエータ43と、第1金型21や第2金型22を加熱するヒーター44とをさらに含む。
このような製造装置20を用いて繊維強化樹脂材料10からねじ締結部品1を製造する際、まず、第1金型21や第2金型22をヒーター44によって目標温度まで加熱する。そして、図5に示すように、一対の第1金型21を第1方向D1に沿って互いに離間させ、一対の第2金型22を第2方向D2に沿って互いに離間させる。すると、第1金型21と第2金型22とによって囲まれた空間45は、棒状の繊維強化樹脂材料10を1つ受け入れることができる大きさまで広がる。空間45の一部は、一対の第2金型22の凹部32によって構成されおり、それぞれの凹部32に設けられた溝39は、第2方向D2から空間45に臨んでいる。
次いで、材料セットステップとして、この空間45に、棒状の繊維強化樹脂材料10(図3参照)をセットする。空間45にセットされた繊維強化樹脂材料10は、第1方向D1に沿って長手となっていて、繊維延在方向Fが第1方向D1に整合している。
次いで、成形ステップとして、第1金型21および第2金型22が目標温度まで加熱された状態を維持しながら、図6に示すように、一対の第1金型21の両方を第1方向D1に沿って互いに接近するように移動させ、同時に、一対の第2金型22の両方を、第2方向D2に沿って移動させ、それによって一対の第2金型22を互いに接近させる。これにより、繊維強化樹脂材料10は、第1金型21Aの端面23および第1金型21Bの端面25に接触されることにより、繊維延在方向Fに圧縮される。繊維強化樹脂材料10は、繊維延在方向Fに圧縮されるのと同時に、それぞれの第2金型22において凹部32を区画する領域に接触されることにより、繊維延在方向Fに直交する直交方向Tにも圧縮される。
互いに接近した状態にある一対の第1金型21では、第1金型21Aが、第1方向D1における一方側D1Aから、それぞれの第2金型22の第1凹部33において雄ねじ成形部40よりも手前の領域まで入り込んでいる。また、第1金型21Bが、第1方向D1における他方側D1Bから、それぞれの第2金型22の第2凹部34の途中まで入り込んでいる。
図7は、図6のA−A線断面図である。互いに接近した状態にある一対の第2金型22では、下側の第2金型22Aの上面30と、上側の第2金型22Bの下面31とが面接触している。また、第2金型22Aの凹部32と第2金型22Bの凹部32とが上下に連続している。第2金型22Aの凹部32の一部を区画する一対の平坦面35と、第2金型22Bの凹部32の一部を区画する一対の平坦面37とは、対応するもの同士が連結され、第2方向D2に沿ってそれぞれ面一となっている。
このように第1金型21および第2金型22が移動することによって、繊維強化樹脂材料10がセットされた空間45は、成形後のねじ締結部品1に一致する大きさまで狭まる。すると、繊維強化樹脂材料10は、第1金型21および第2金型22によって圧縮されるとともに加熱されるので、図6に示すように、ねじ締結部品1の形状に一致するように変形する。特に、繊維強化樹脂材料10において第1凹部33に位置する部分の外周部分は、第1凹部33を区画する湾曲面36や38の雄ねじ成形部40におけるそれぞれの溝39に入り込んでいってねじ締結部品1の雄ねじ部4のねじ山5へと成形されていく。また、繊維強化樹脂材料10において第2凹部34に位置する部分は、直交方向Tに広がってねじ締結部品1の頭部3へと成形されていく。
このように繊維強化樹脂材料10が圧縮および加熱された状態が目標時間まで経過すると、繊維強化樹脂材料10は、ねじ締結部品1へと成形される。当該目標時間に到達すると、圧縮および加熱を停止し、その後、一対の第1金型21の両方を第1方向D1に沿って互いに離間するように移動させ、一対の第2金型22の少なくとも一方を、第2方向D2に沿って移動させ、それによって一対の第2金型22を互いに離間させる。これにより、成形後のねじ締結部品1にアクセスできるので、ねじ締結部品1を取り出すことができる。なお、図6に示すように横に寝かせた状態のねじ締結部品1は容易に取り出すことができる。取り出されたねじ締結部品1は、自然冷却される。また、一対の第2金型22のそれぞれに多数の凹部32が形成されていれば、一度に多数のねじ締結部品1を成形できるので、ねじ締結部品1の大量生産に有利である。
図8は、ねじ締結部品1の中心軸1Aを通って軸方向Xに沿う平坦面によって切断した場合における成形後のねじ締結部品1の切断面を示している。図8においてねじ締結部品1の輪郭の内側に存在する多数の細長い線のそれぞれが、繊維11である。
ねじ締結部品1では、軸方向Xにおけるいずれの位置においても、全ての繊維11が、ねじ締結部品1において径方向Rに沿った断面において均一に分布している。そして、それぞれの繊維11は、軸部2と頭部3との境界7で途切れることなく、軸部2および頭部3の両方に亘って連続して延びている。それぞれの繊維11は、軸部2において頭部3とは反対側の端面2Dを始点として頭部3へ向かって延び、境界7を経由して、頭部3の外表面3Aまで達している。なお、ねじ締結部品1において繊維11以外の部分、つまり、隣り合う繊維11の隙間を塞いでいる部分は、樹脂12である。
ねじ締結部品1の中心軸1A側に位置する繊維11は、軸部2および頭部3に亘って軸方向Xに延びている。一方、中心軸1Aから径方向Rの外側へ離れた位置にある繊維11は、軸部2では軸方向Xに延びていて、境界7周辺または頭部3内で径方向Rの外側へ向けて放射状に湾曲している。
図9は、図8において破線で囲まれた部分Vの拡大図である。前述したように、成形時の繊維強化樹脂材料10は、第1金型21により繊維延在方向Fに圧縮され、同時に、第2金型22により繊維延在方向Fに対する直交方向Tにも圧縮される。すると、少なくとも繊維強化樹脂材料10の外表面10D(図5参照)に分布する繊維11が、繊維延在方向Fに圧縮されることで撓み、直線状から蛇行状へと自然に変形する。そのため、成形ステップにおいて繊維強化樹脂材料10をねじ締結部品1へと成形する際には、繊維11を、無理な力がかからないように蛇行状に撓ませながら、雄ねじ成形部40の溝39にうまく入り込ませることができる。その結果、成形後のねじ締結部品1の軸部2では、繊維11が途中で切断されることを抑制しながら繊維11をねじ山5に入り込ませることによってねじ山5の強度の向上を図れる。このねじ締結部品1では、鉄製のねじ締結部品と同等以上の強度(詳しくは、軸方向Xにおける引っ張り強度)を発揮できる。
また、軸部2の雄ねじ部4の輪郭は、第2金型22の雄ねじ成形部40の輪郭に一致している。そのため、雄ねじ部4では、ねじ山5の断面および隣り合うねじ山5の間の谷部8の断面が、それぞれ円弧状に丸められた輪郭を有する。繊維強化樹脂材料10の成形時には、このような輪郭を有するようにねじ山5および谷部8が成形されるので、圧縮された繊維強化樹脂材料10の繊維11は、ねじ山5および谷部8の円弧状の輪郭に近い蛇行状となる。そのため、蛇行状の繊維11において凸状に湾曲した部分が、ねじ山5に一層うまく入り込める。その結果、繊維11が途中で切断されることを抑制しながら繊維11をねじ山5に入り込ませることによってねじ山5の強度の向上を図れる。
また、繊維強化樹脂材料10の成形時には、第1方向D1に互いに対向するように一対設けられた第1金型21の両方を第1方向D1に沿って互いに接近するように移動させることによって、繊維延在方向Fにおける両側から繊維強化樹脂材料10を圧縮することができる(図6参照)。これにより、繊維強化樹脂材料10を繊維延在方向Fに圧縮し、同時に、繊維延在方向Fに直交する直交方向Tにも圧縮すると、繊維強化樹脂材料10の外表面10Dに分布する繊維11を、直線状から蛇行状へと確実に変形させることができる。また、繊維延在方向Fにおける両側から繊維強化樹脂材料10を圧縮することにより、成形後のねじ締結部品1では、軸方向Xにおけるいずれの位置においても繊維11を均一に分布させることができる。
さらに、第2方向D2に互いに対向するように一対設けられた第2金型22の両方を第2方向D2に沿って移動させ、それによって一対の第2金型22を互いに接近させることによって、直交方向Tにおける両側から繊維強化樹脂材料10を圧縮することができる(図6参照)。これにより、成形ステップにおいて、繊維強化樹脂材料10を繊維延在方向Fに圧縮し、同時に、直交方向Tにも圧縮すると、繊維強化樹脂材料10の表面に分布する繊維11を、直線状から蛇行状へと確実に変形させることができる。また、直交方向Tにおける両側から繊維強化樹脂材料10を圧縮することにより、成形後のねじ締結部品1では、径方向Rにおけるいずれの位置においても繊維11を均一に分布させることができる。
そして、前述した特許文献1に記載された製造方法では、熱可塑性樹脂しか対応できないが、本願発明の前述した各実施形態の製造方法であれば、硬化後に成形をやり直すことができない熱硬化性樹脂で構成された繊維強化樹脂材料10を用いる場合であっても、繊維11を途中で切断されることを抑制しながら繊維11をねじ山5に入り込ませることによってねじ山5の強度の向上を図れる。
図10は、図8のB−B線断面図である。繊維強化樹脂材料10において第2金型22Aの平坦面35と第2金型22Bの平坦面37とに一致する部分(図7参照)は、図10に示すように、成形後のねじ締結部品1では、平坦面6となる。ねじ締結部品1をナット等の相手部品に組み付ける際に、平坦面6は、相手部品に接触しないので、ねじ山5の性能に影響を与えない部分である。
第1金型21および第2金型22によって第1方向D1および第2方向D2の両方から同時に繊維強化樹脂材料10を圧縮する場合には、第1金型21と第2金型22との境界に繊維強化樹脂材料10がはみ出しにくい。そのため、成形後のねじ締結部品1にはバリが発生しにくい。図10に示すように、仮に平坦面35と平坦面37との境界に入り込んだ繊維強化樹脂材料10がバリ47になったとしても、バリ47は、ねじ山5の性能に影響を与えない平坦面6に位置する。そのため、ねじ締結部品1を相手部品に組み付けたり相手部品から取り外したり際に、バリ47が相手部品に干渉することを防止できる。
図11は、第1変形例に係るねじ締結部品1において図10に対応する部分を示した図である。図11において、以上で説明した部分と同一の部分には同一の参照符号を付して、当該部分についての説明は省略する(図12以降の各図においても同様)。
平坦面6の代わりに、図11に示す第1変形例のように、ねじ山5を軸方向Xに切り欠く凹状の切欠き48を設けてもよい。この場合、ねじ締結部品1の成形時には、平坦面35と平坦面37との境界が切欠き48の内側に位置するように設定されるので、発生したバリ47は、切欠き48の内側に位置し、ねじ山5の性能に影響を与えない。
図12は、第2変形例に係るねじ締結部品1の側面図である。図13は、第2変形例に係るねじ締結部品1において図9に対応する部分を示した図である。ねじ山5の断面および谷部8の断面は、円弧状に丸められた輪郭でなく、図12および図13に示す第2変形例のように台形状の輪郭を有してもよい。この場合、繊維11が途中で切断されることを抑制しながら繊維11を蛇行状に湾曲させてねじ山5にうまく入り込ませるために、ねじ山5のピッチPは、ねじ山5の高さHよりも大きいことが好ましい(図13参照)。
図14は、第3変形例に係るねじ締結部品1の側面図である。ねじ締結部品1は、図14に示す第3変形例のように、軸部2だけを有し、軸部2の外周面2Aの全域にねじ山5が形成されたねじ軸であってもよい。
図15および図16は、第4変形例に係るねじ締結部品1を製造する工程を示す模式図である。第4変形例では、図15に示すように管状の繊維強化樹脂材料10が準備される。この繊維強化樹脂材料10には、繊維延在方向Fに沿って繊維強化樹脂材料10を貫通する貫通穴50が形成されていて、繊維延在方向Fに延びる柱状の芯材51が貫通穴50に挿入される。芯材51の材料として、金属や樹脂等の任意の材料を選択できる。成形時に繊維強化樹脂材料10が繊維延在方向Fに圧縮されることを考慮して、芯材51は、繊維強化樹脂材料10よりも繊維延在方向Fにおいて短くしておくことが好ましい。そのため、芯材51が挿入された状態の繊維強化樹脂材料10は、繊維延在方向Fにおける両側へ芯材51よりもはみ出した部分を有する。なお、管状の繊維強化樹脂材料10を準備してその貫通穴50に芯材51を挿入する代わりに、シート状の繊維強化樹脂材料10(図2参照)を芯材51に巻き付けてもよい。
芯材51が挿入された状態の繊維強化樹脂材料10を、材料セットステップとして、先ほど説明した手順と同様に、第1金型21と第2金型22とによって囲まれた空間45にセットする。そして、第1金型21や第2金型22が目標温度まで加熱された状態を維持しながら、図16に示すように、第1金型21を第1方向D1に沿って移動させ、同時に、第2金型22を第2方向D2に沿って移動させる。これにより、繊維強化樹脂材料10は、第1金型21により繊維延在方向Fに圧縮され、同時に、第2金型22により直交方向Tに圧縮される。この結果、外周部だけが繊維強化樹脂材料によって構成されたねじ締結部品1が成形される。芯材51が金属製であれば、ねじ締結部品1の強度の向上を図れる。芯材51の材料が繊維強化樹脂材料よりも安価であれば、ねじ締結部品1のコスト低減を図れる。
以上では、ボルトやねじ軸のように雄ねじ部4を有するねじ締結部品1について説明したが、以下に示す第5変形例のように、内周面に雌ねじ部を有する環状のねじ締結部品100も挙げられる。このねじ締結部品100は、ナットである。
図17は、第5変形例に係るねじ締結部品100を製造するための製造装置60の一部の分解斜視図である。図17を参照して、製造装置60は、第1金型61と、第2金型62とを主に含む。第1金型61および第2金型62は、一対ずつ設けられている。一対の第1金型21は、互いに対向するように配置され、一対の第2金型62は、互いに対向するように配置されている。一対の第1金型61の対向方向を「第1方向D1」といい、一対の第2金型22の対向方向を「第2方向D2」という。第1方向D1と第2方向D2とは、互いに直交している。第5変形例では、第1方向D1は、上下方向であり、第2方向D2は、横方向(水平方向)である。下側は、第1方向D1における一方側D1Aであり、上側は、第1方向D1における他方側D1Bである。
一対の第1金型61は、ブロック状に形成されており、第1方向Dから見たときに、ナットの外周面に一致する六角形状の輪郭を有する。これらを区別するときには、一方側D1Aの第1金型61を第1金型61Aいい、他方側D1Bの第1金型61を第1金型61Bという。第1金型61Aにおいて第1金型61Bに対向する六角形状の上端面63と、第1金型61Bにおいて第1金型61Aに対向する六角形状の下端面64とは、第1方向D1に直交する平坦面である。これらの上端面63および下端面64は、第1方向D1に対向し、互いに平行である。上端面63および下端面64のそれぞれには、円形状の穴65が形成されている。
一対の第2金型62は、ブロック状に形成されている。一対の第2金型62において互いに対向する対向面66は、第2方向D2に直交しながら互いに平行な平坦面である。それぞれの第2金型62の対向面66には、同じ形状の凹部67が形成されている。凹部67は、第2金型62を第1方向D1に沿って貫通している。第1方向D1に直交する切断面で切断したときの凹部67の断面は、六角形の半分に相当する形状を有する。
また、製造装置60は、第1金型61Aおよび第1金型61Bのそれぞれを第1方向D1に沿って移動させるアクチュエータ78と、それぞれの第2金型62を第2方向D2に沿って移動させるアクチュエータ79と、第1金型61や第2金型62を加熱するヒーター80とをさらに含む。
このような製造装置60を用いて繊維強化樹脂材料10から第5変形例のねじ締結部品100を製造する場合には、ねじ軸70を準備する。ねじ軸70は、たとえば金属製の円柱状であって、その外表面70Aの全域には、ねじ溝71が形成されている。ねじ溝71は、ねじ軸70の円中心を通る中心軸70Bを中心として螺旋状に延びている。中心軸70Bが延びる方向が、ねじ軸70の軸方向Jである。
ねじ軸70を準備した後に、シート状の繊維強化樹脂材料10(図2参照)をねじ軸70に巻き付ける。ねじ軸70に巻き付いた状態の繊維強化樹脂材料10は、環状になっていて、繊維強化樹脂材料10における繊維11の繊維延在方向Fは、ねじ軸70の軸方向Jと一致している。
次いで、第1金型61や第2金型62をヒーター80によって目標温度まで加熱する。そして、図18に示すように、一対の第1金型61を第1方向D1に沿って互いに離間させ、一対の第2金型62を第2方向D2に沿って互いに離間させる。すると、第1金型61と第2金型62とによって囲まれた空間72は、ねじ軸70に巻き付いた状態の繊維強化樹脂材料10を1つ受け入れることができる大きさまで広がる。空間72の一部は、一対の第2金型22の凹部67によって構成されている。
次いで、材料セットステップとして、この空間72に、ねじ軸70に巻き付いた状態の繊維強化樹脂材料10をセットする。空間72にセットされた繊維強化樹脂材料10では繊維延在方向Fが第1方向D1に整合しており、ねじ軸70は、第1方向D1に沿って長手になっている。なお、製造装置60は、ねじ軸70の軸方向Jが第1方向D1に対して傾斜しないようにねじ軸70を位置決めする位置決め機構を備えてもよい。
次いで、成形ステップとして、第1金型61および第2金型62が目標温度まで加熱された状態を維持しながら、図19に示すように、一対の第1金型61の両方を第1方向D1に沿って互いに接近するように移動させ、同時に、一対の第2金型62の両方を、第2方向D2に沿って移動させ、それによって一対の第2金型62を互いに接近させる。これにより、繊維強化樹脂材料10は、第1金型61Aの上端面63や第1金型61Bの下端面64に接触されることにより繊維延在方向Fに圧縮される。繊維強化樹脂材料10は、繊維延在方向Fに圧縮されるのと同時に、それぞれの第2金型62において凹部67を区画する領域に接触されることにより、繊維延在方向Fに直交する直交方向Tにも圧縮される。ねじ軸70において繊維強化樹脂材料10からはみ出した部分は、第1金型61の穴65に受け入れられる。
互いに接近した状態にある一対の第1金型61では、第1金型61Aが、第1方向D1における一方側D1Aから、第2金型62の凹部67の途中まで入り込んでいる。また、第1金型61Bが、第1方向D1における他方側D1Bから、凹部67の途中まで入り込んでいる。また、互いに接近した状態にある一対の第2金型62では、前述した対向面66同士が面接触している(図示せず)。
このように第1金型61および第2金型62が移動することによって、繊維強化樹脂材料10がセットされた空間72は、成形後のねじ締結部品100に一致する大きさまで狭まる。すると、繊維強化樹脂材料10は、第1金型61および第2金型62によって圧縮されるとともに加熱されるので、図19に示すように、ねじ締結部品100の形状に一致するように変形する。特に、環状の繊維強化樹脂材料10の内周部分は、ねじ軸70の外表面70Aにおけるねじ溝71に入り込むことにより、ねじ溝71に対応する形状のねじ山73へと成形されていく。また、環状の繊維強化樹脂材料10の外周面は、第2金型62の凹部67に沿うことによって、第1方向D1から見たときに六角形状の輪郭を有するように成形されていく。
このように繊維強化樹脂材料10が圧縮および加熱された状態が目標時間まで経過すると、繊維強化樹脂材料10は、ねじ締結部品100へと成形される。当該目標時間に到達すると、加熱および加圧を停止し、その後、一対の第1金型61の両方を第1方向D1に沿って互いに離間するように移動させ、一対の第2金型62の少なくとも一方を、第2方向D2に沿って移動させ、それによって一対の第2金型62を互いに離間させる。これにより、成形後のねじ締結部品100にアクセスできるので、ねじ軸70に組み付いた状態のねじ締結部品100を取り出すことができる。取り出されたねじ締結部品100は、自然冷却される。その後、ねじ締結部品100とねじ軸70とを相対回転させると、ねじ締結部品100をねじ軸70から取り外すことができる。
図20は、第5変形例に係るねじ締結部品100の断面図である。ねじ締結部品100の中心軸100Aの延びる方向を「軸方向X」という。軸方向Xは、繊維強化樹脂材料10の繊維延在方向Fと一致する方向である。
第5変形例に係るねじ締結部品100は、環状のナットであり、その内表面100Bには、ねじ軸70のねじ溝71に対応する形状のねじ山73が形成された雌ねじ部74を有する。ねじ山73は、軸方向Xに交差するように中心軸100Aを中心として螺旋状に延びている。
このねじ締結部品100では、軸方向Xにおけるいずれの位置においても、全ての繊維11が、ねじ締結部品100の径方向Rに沿った断面において均一に分布しており、それぞれの繊維11は、ねじ締結部品100における軸方向Xの一端面100Cから他端面100Dまで途切れずに延びている。
図21は、図20において破線で囲まれた部分Wの拡大図である。繊維強化樹脂材料10を成形する際、繊維強化樹脂材料10が繊維延在方向Fに圧縮され、同時に、繊維延在方向Fに直交する方向にも圧縮されると、ねじ軸70に巻き付いた繊維強化樹脂材料10の内表面10E(図18参照)に分布する繊維11が、繊維延在方向Fに圧縮されることで撓み、直線状から蛇行状へと自然に変形する(図19参照)。そのため、成形ステップにおいて繊維強化樹脂材料10をねじ締結部品100へと成形する際には、繊維11を、無理な力がかからないように蛇行状に撓ませながら、ねじ軸70のねじ溝71にうまく入り込ませることができる。その結果、ねじ締結部品100では、繊維11が途中で切断されることを抑制しながら繊維11を雌ねじ部74のねじ山73に入り込ませることによってねじ山73の強度の向上を図れる。
また、雌ねじ部74では、前述した雄ねじ部4と同様に、ねじ山73の断面および隣り合うねじ山73の間の谷部75の断面が、それぞれ円弧状に丸められた輪郭を有することが好ましい。これにより、繊維強化樹脂材料10の成形時には、このような輪郭を有するようにねじ山73および谷部75が成形されるので、圧縮された繊維強化樹脂材料10の繊維11は、ねじ山73および谷部75の円弧状の輪郭に近い蛇行状となる。そのため、蛇行状の繊維11において凸状に湾曲した部分が、ねじ山73に一層うまく入り込める。その結果、繊維11が途中で切断されることを抑制しながら繊維11をねじ山73に入り込ませることによってねじ山73の強度の向上を図れる。
また、繊維強化樹脂材料10の成形時には、第1方向D1に互いに対向するように一対設けられた第1金型61の両方を第1方向D1に沿って互いに接近するように移動させることによって、繊維延在方向Fにおける両側から繊維強化樹脂材料10を圧縮することができる(図19参照)。これにより、繊維強化樹脂材料10を繊維延在方向Fに圧縮し、同時に、繊維延在方向Fに対する直交方向Tにも圧縮すると、繊維強化樹脂材料10の内表面10Eに分布する繊維11を、直線状から蛇行状へと確実に変形させることができる。また、繊維延在方向Fにおける両側から繊維強化樹脂材料10を圧縮することにより、成形後のねじ締結部品100では、軸方向Xにおけるいずれの位置においても繊維11を均一に分布させることができる。
さらに、第2方向D2に互いに対向するように一対設けられた第2金型62の両方を第2方向D2に沿って移動させ、それによって一対の第2金型22を互いに接近させることによって、直交方向Tにおける両側から繊維強化樹脂材料10を圧縮することができる(図19参照)。これにより、成形ステップにおいて、繊維強化樹脂材料10を繊維延在方向Fに圧縮し、同時に、直交方向Tにも圧縮すると、繊維強化樹脂材料10の内表面10Eに分布する繊維11を、直線状から蛇行状へと確実に変形させることができる。また、直交方向Tにおける両側から繊維強化樹脂材料10を圧縮することにより、成形後のねじ締結部品100では、径方向Rにおけるいずれの位置においても繊維11を均一に分布させることができる。
そして、このような製造方法であれば、硬化後に成形をやり直すことができない熱硬化性樹脂で構成された繊維強化樹脂材料10を用いる場合であっても、繊維11が途中で切断させることなくねじ山73に入り込ませることによってねじ山73の強度の向上を図れる。
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
たとえば、前述した実施形態では、成形ステップにおいて一対の第2金型22の両方を第2方向D2に沿って移動させるが、一対の第2金型22の一方(たとえば、上側の第2金型22B)だけを第2方向D2に沿って移動させ、これによって、一対の第2金型22を互いに接近させてもよい。第5変形例における一対の第2金型62についても同様である。
1 ねじ締結部品
4 雄ねじ部
4A 外表面
5 ねじ山
8 谷部
10 繊維強化樹脂材料
11 繊維
12 樹脂
21 第1金型
22 第2金型
39 溝
40 雄ねじ成形部
45 空間
61 第1金型
62 第2金型
70 ねじ軸
71A 外表面
71 ねじ溝
72 空間
73 ねじ山
74 雄ねじ部
75 谷部
100 ねじ締結部品
100B 内表面
D1 第1方向
D2 第2方向
F 繊維延在方向
T 直交方向

Claims (9)

  1. 所定の繊維延在方向に沿って直線状に引き揃えられた多数の繊維に樹脂を含浸させた繊維強化樹脂材料を用いて、前記繊維延在方向に交差するねじ山を有するねじ締結部品を製造する方法であって、
    第1方向に沿って移動可能な第1金型と、前記第1方向に直交する第2方向に沿って移動可能な第2金型とによって囲まれる空間に、前記繊維延在方向を前記第1方向に整合させて前記繊維強化樹脂材料をセットする材料セットステップと、
    前記第1金型を前記第1方向に沿って移動させることによって前記繊維強化樹脂材料を当該第1金型により前記繊維延在方向に圧縮し、同時に、前記第2金型を前記第2方向に沿って移動させることによって前記繊維強化樹脂材料を当該第2金型により前記繊維延在方向に直交する方向に圧縮することによって、前記繊維強化樹脂材料を前記ねじ締結部品へと成形する成形ステップとを含む、ねじ締結部品の製造方法。
  2. 前記ねじ締結部品は、外表面に前記ねじ山が形成された雄ねじ部を有し、
    前記第2金型において前記空間に臨む領域には、前記ねじ山に対応する形状の溝を有する雄ねじ成形部が設けられている、請求項1に記載のねじ締結部品の製造方法。
  3. 前記ねじ締結部品は、内表面に前記ねじ山が形成された雌ねじ部を有し、
    前記材料セットステップに先立って、前記ねじ山に対応する形状のねじ溝を外表面に有するねじ軸に前記繊維強化樹脂材料を巻き付けるステップと、
    前記成形ステップの後に、前記ねじ締結部品と前記ねじ軸とを相対回転させて、前記ねじ締結部品を前記ねじ軸から取り外すステップとをさらに含む、請求項1に記載のねじ締結部品の製造方法。
  4. 前記ねじ山の断面および隣り合う前記ねじ山の間の谷部の断面が、それぞれ円弧状に丸められた輪郭を有するように前記ねじ山が成形される、請求項1〜3のいずれか一項に記載のねじ締結部品の製造方法。
  5. 前記第1金型は、前記第1方向に互いに対向するように一対設けられる、請求項1〜4のいずれか一項に記載のねじ締結部品の製造方法。
  6. 前記成形ステップは、一対の前記第1金型の両方を、前記第1方向に沿って互いに接近するように移動させるステップを含む、請求項5に記載のねじ締結部品の製造方法。
  7. 前記第2金型は、前記第2方向に互いに対向するように一対設けられる、請求項1〜6のいずれか一項に記載のねじ締結部品の製造方法。
  8. 前記成形ステップは、一対の前記第2金型の一方または両方を、前記第2方向に沿って移動させ、それによって前記一対の第2金型を互いに接近させるステップを含む、請求項7に記載のねじ締結部品の製造方法。
  9. 前記樹脂は、熱硬化性樹脂である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のねじ締結部品の製造方法。
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